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令和1年(2019年) マンション管理士 試験問題 及び 解説

ページ1(問1より問25まで)

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謝辞:問題文の作成には、 高井さまの協力を得ています。

※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。

*試験に臨んで、お節介なアドバイス
  1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
    殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
    そして、各選択肢を読み、○かXをつけます。
    問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。

  2.疑問な問題は、とりあえず飛ばす。
    回答の時間は限られています。
    そこで、回答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
    全部の回答が終わってから、再度戻って決定してください。

  3.複雑な問は、図を描く。
    甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
    この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。
    重要な点が分かってきます。

(出題者からの注意
次の注意事項をよく読んでから、始めてください。
(注意事項)
1 これは試験問題です。問題は、1 ペ−ジから 30 ペ−ジまでの 50 問です。
2 試験開始の合図と同時に、問題のペ−ジ数を確認してください。
 もし落丁や乱丁があった場合は、ただちに試験監督員に申し出てください。また、法律等の略称及び用語の定義について、裏面の記載を確認してください。
3 解答は、別の解答用紙に記入してください。
 解答用紙に記入する際は、解答用紙の注意事項をよく読み、所定の要領で記入してください。
4 正解は、各問題とも 1 つだけです。
 2 つ以上の解答をしたもの、判読が困難なものは、正解としません。
5 問題中法令等に関する部分は、平成 31 年 4 月 1 日現在において施行中の規定に基づいて出題されています。
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 問題及びこのページの中で使用している主な法律等の略称及び用語の定義について は、各問題において特に記述している場合を除いて以下のとおりとします。

・「区分所有法」………………… 建物の区分所有等に関する法律 (昭和37年法律第69号)
  ☆マンション管理士 香川より;この解説においては、私も略称「区分所有法」といいます。

・「マンション管理適正化法」… マンションの管理の適正化の推進に関する法律 (平成12年法律第149号)
  ☆マンション管理士 香川より;この解説においては、私も略称「マンション管理適正化法」といいます。

・「標準管理規約」………………  マンション標準管理規約(単棟型)及び マンション標準管理規約(単棟型)コメント  (最終改正平成 29 年8月 29 日 国住マ第 33 号)
  ☆マンション管理士 香川より、この解説においては、私も略称「標準管理規約」といいます。

・「マンション」…………………  「マンション管理適正化法第2条第1号イに 規定するマンション」をいう。
 ☆マンション管理士 香川より;
  初めての人には、分かり難い引用方法です。
  そこで、
私の過去の年度の解説を読んでいる人には、度々となりますが、これは、受験での基本ですから、解説します。

 建物の区分所有等に関する法律(以下、当解説では、「区分所有法」といいます)では、法律用語として「マンション」の定義がありません。しかし、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、当解説では、「マンション管理適正化法」といいます)第2条では、以下のように定義されていますので、マンションの用語を試験で使用する際にはこのような「マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号イに規定するマンションをいう」の表現が使用されます。
 
  そこで、マンション管理適正化法第2条とは、
 
「(定義) 
  第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
     一
 マンション 次に掲げるものをいう
       イ 
二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項 に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項 に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設」

 です。マンション管理適正化法第2条1号イによれば、「マンション」であるための要件は、
    @2人以上の区分所有者 がいて、 
    A人の居住用の専有部分が1つでもあればいい 
 です。マンションの建物には、専有部分と共用部分しかなく、そして、マンションは専有部分と共用部分を含んだ建物と敷地及び附属施設の全体的なものであることに注意してください。

 


・「管理組合」……………………  「区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体」 をいう。
  ☆マンション管理士 香川より;毎年ながら、 この定義の仕方には問題があります。
  まず、区分所有法第3条とは、
 
 「(区分所有者の団体)
   
第三条  区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。 」
 です。

  このマンション管理士試験では、区分所有法第3条前半に規定される区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を”即=管理組合”に置き換えていますが、区分所有法では、法人化された場合には、「管理組合法人」の規定はありますが、管理組合だけの規定は1つも存在しません。
 法律で定義がされていない管理組合を国家試験として、直ちに「区分所有法第 3条に規定する区分所有者の団体をいう」は、適切ではありません。

・「管理組合法人」……………… 「区分所有法第 47 条第1項に規定する法人」をいう。
 
・「団地管理組合」……………… 「区分所有法第65条に規定する団地建物所有者の団体」をいう。


解説者(マンション管理士 香川)からのコメント:あやふやな出題、適切でない出題もあって、解答ができないのもあります。

※  ・マンション標準管理委託契約書は、平成30年3月9日付で24条に「反社会勢力の排除」などの改正があり、平成30年度の試験から出題適用となるので注意のこと。

   ・マンション標準管理規約は、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があり、平成30年度の試験から出題適用となるので注意のこと。

    ・マンションの管理の適正化に関する指針(国土交通省告示第490号)及びマンション標準管理規約は、平成28年3月14日付で大幅な改正があった。
  
   ・マンション標準管理委託契約書は、平成28年7月に改正があり、平成29年度の試験から出題適用となるので注意のこと。
   
   ・マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
   ・マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。

問1

〔問 1〕 規約に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、その効力が認められないものの組合せはどれか。

ア 構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分を専有部分とする規約の定め

X? 規約の効力が認められない。 構造上明らかな共用部分は、規約でも専有部分にはできない?
 平成24年 マンション管理士試験 「問1」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問34」 、

 出だしから、組合せ問題か! しかも、疑問がある出題だ!

 まず、「構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分」とは、区分所有法第4条
「(共用部分)
 第四条 数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他
構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならないものとする。
2 第一条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。」

 と、
区分所有法第4条1項にあります。

 「構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分」とは、具体的に何が該当するのか分かり難い表現ですが、それらに該当すれば、区分所有法第4条1項の前半に例示されています、「数個の専有部分に通ずる”廊下”又は”階段室”」のように、「区分所有権の目的にならない」と、規定されています。
 これらに該当すれば、別に定めがなくても”当然にみんなのために使われる部分(共用部分といいます。)”となり
これは、規約でも区分所有権の目的である専有部分には、できませんから、「構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分を専有部分とする規約」は、その効力が認められません、と一応しますが。

 注:しかし、各室に入る玄関前のスペースが、廊下から入り込んでいるような場合、構造上もその一部の共用に供されるべき建物の部分がありえて、この場合には、規約によって、専有部分にできると解釈されますから、この設問は、不適切です。
  また、何が専有部分で、何が共用部分であるかの仕切りの判断は、実に難しく、裁判でも争いが多発しています。





イ 区分所有権の目的とすることができる建物の部分及び附属の建物を共用部分とする規約の定め

〇 規約の効力が認められる。
 平成30年 マンション管理士試験 「問6」 、 平成25年 マンション管理士試験 「問1」
 
 設問は、選択肢アで引用しました、区分所有法第4条2項
「(共用部分)
 第四条
 2 
第一条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。」

 に関係します。
 この中で規定されています、「第一条に規定する建物の部分及び附属の建物」は、
「(建物の区分所有)
 第一条 一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。」

  です。
 「一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるもの」とは、専有部分ともよばれ、区分所有法では、専有部分の所有権は、「区分所有権」となりますから、区分所有法第4条2項により、「区分所有権の目的とすることができる建物の部分及び附属の建物を共用部分とする規約の定め」は、効力が認められます。

「参考:区分所有法第2条
「(定義)
第二条 この法律において
「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。
2 この法律において「区分所有者」とは、区分所有権を有する者をいう。
3 この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。
4 この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。
5 この法律において「建物の敷地」とは、建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により建物の敷地とされた土地をいう。
6 この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。」



ウ 管理組合法人における理事の任期を3年とする規約の定め

〇 規約の効力が認められる。 管理組合法人の理事の任期は、原則2年だが、規約で3年以内なら変更できる。
 平成28年 マンション管理士試験 「問8」 、 

 管理組合が法人化されると、その理事は、区分所有法第49条
「(理事)
 第四十九条 管理組合法人には、理事を置かなければならない。
2 理事が数人ある場合において、規約に別段の定めがないときは、管理組合法人の事務は、理事の過半数で決する。
3 理事は、管理組合法人を代表する。
4 理事が数人あるときは、各自管理組合法人を代表する。
5 前項の規定は、規約若しくは集会の決議によつて、管理組合法人を代表すべき理事を定め、若しくは数人の理事が共同して管理組合法人を代表すべきことを定め、又は規約の定めに基づき理事の互選によつて管理組合法人を代表すべき理事を定めることを妨げない。
6 理事の任期は、二年とする。ただし、規約で三年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。
7 理事が欠けた場合又は規約で定めた理事の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した理事は、新たに選任された理事(第四十九条の四第一項の仮理事を含む。)が就任するまで、なおその職務を行う。
8 第二十五条の規定は、理事に準用する。」

 とあり、
 区分所有法第49条6項により、理事の任期は、原則2年ですが、「管理組合法人における理事の任期を3年とする規約の定め」も、効力が認められます。





エ 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者の4分の3以上の多数で、かつ議決権の3分の2以上の多数による集会の決議で決するとする規約の定め

X 規約の効力が認められない。 共用部分の重大変更では、定数だけ過半数まで減が可。議決権は、3/4以上は、変えられない。
 平成30年 管理業務主任者試験 「問29」 、 平成28年 マンション管理士試験 「問1」 、など多数。

 共用部分の変更は、区分所有法第17条
「(共用部分の変更)
 第十七条 
共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
2 前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。」

 とあり、
 第17条1項は、「その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。」の規定が、法の改正により中途半端に挿入されたために、難解な規定ですが、これは、「共用部分の重大な変更をするときには、特別な決議が必要。だけど、規約で定めれば、議決権の数の3/4(75%)以上は変えられないが、区分所有者の数の方は、3/4以上を、過半数まで減らすことができる」ということです。
 そこで、設問の、「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者の4分の3以上の多数で」は、適切ですが、「かつ議決権の3分の2(66.6%)以上の多数による集会の決議で決する」は、議決権の数の3/4(75%)以上を満たさないため、この規約は、効力が認められません。


 どうして、こんな面倒な規定になったのかは、「マンション管理士 香川事務所」が、無料で提供しています、「超解説 区分所有法」の第17条の解説を読んでください




1 アとイ
2 イとウ
3 ウとエ
4 エとア


答え:4 (規約が有効でないのは、一応 エ と ア) にしますが、ア は、議論のある出題で、不適切です。

 過去の出題傾向を変えて、「問1」から、解答に時間のかかる組合せ問題にするとは、かなり疑問のあるやり方で、感心しない。
 
 区分所有法の解説は、マンション管理士 香川 が無料で提供しています「超解説 区分所有法」のサイトを参考にしてください。また、リンクされている過去問題の解説も参考に、勉強してください。

《タグ》区分所有法 規約で別段 専有部分 共用部分 管理組合法人 理事の任期 重大変更の議決権

問2

〔問 2〕 規約により建物の敷地とされた土地に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア 規約により建物の敷地とすることができる土地には、区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路、駐車場等の土地も含む。

〇 正しい。 建物の敷地(法定敷地)だけでなく、規約で、庭、通路、駐車場等の土地(規約敷地)も、建物の敷地にできる。
 平成29年 管理業務主任者試験 「問34」 、 平成28年 マンション管理士試験 「問7」

 また、1問目が組合せで、2問目で個数問題か!

 設問は、区分所有法第5条
「(規約による建物の敷地)
 第五条 
区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地は、規約により建物の敷地とすることができる。
2 建物が所在する土地が建物の一部の滅失により建物が所在する土地以外の土地となつたときは、その土地は、前項の規定により規約で建物の敷地と定められたものとみなす。建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となつたときも、同様とする。」

 とあります。
 通常、マンションの敷地となるのは、その土地の上に建物がある土地(敷地)は、当然に、そのマンションの敷地(法定敷地)となりますが、ここで、区分所有法第2条5項
 「(定義)
 第二条
 5 この法律において「建物の敷地」とは、建物が所在する土地
及び第五条第一項の規定により建物の敷地とされた土地をいう。」
 があり、
 「建物の敷地」には、法定敷地のほかに、第5条1項で、「区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地」ならば、規約で「建物の敷地」にして、権利関係を一にし、纏めて管理することができます。(これは、「規約敷地」とよばれます。)
 そこで、「規約により建物の敷地とすることができる土地には、区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路、駐車場等の土地も含む」は、正しい。

 なお、規約敷地でも、 区分所有法独自の規定として、そのマンションの土地(敷地)として規定すると、法定敷地と規約敷地の区別なく「建物の敷地」となり、建物の専有部分と敷地利用権の分離処分の禁止の適用を受け、もう勝手にその土地だけの処分ができず、建物の権利と共に移動すという制限を受けることになります。





イ 規約により建物の敷地とされた土地の管理は、民法(明治 29 年法律第 89 号)の定めるところによるのであり、区分所有法の定めるところによるのではない。

X 誤っている。 規約敷地も、建物の敷地として、区分所有法独自の定めに入る。民法は除外されることもある。
 平成28年 マンション管理士試験 「問5」 、 平成28年 管理業務主任者試験 「問33」

 かなり設問が、大まかで、共有関係をどうするのかなどの条件が捉えにくいのですが、選択肢アでも説明しましたが、例え規約によって、建物の敷地とされた土地であっても、区分所有法では、その管理は、法定敷地と規約敷地の区別なく「建物の敷地」となり、区分所有法第21条の規定の対象となります。
 
「(共用部分に関する規定の準用)
 
第二十一条 建物の敷地又は共用部分以外の附属施設(これらに関する権利を含む。)が区分所有者の共有に属する場合には、第十七条から第十九条までの規定は、その敷地又は附属施設に準用する。
 です。具体的には、
  第17条(共用部分=重大変更 の変更)、
  第18条(共用部分の管理)、
  第19条(共用部分の負担及び利益収取) です。

  当初の区分所有法では、建物の敷地や、共用部分以外の附属施設が、区分所有者の共有(または準共有)である場合には、規定がなかったために、これらの管理には、規約があれば規約に従い、それ以外の場合には民法の規定が適用されていました。
 しかし、区分所有者の団体(第3条参照)が存在する以上、特に、建物の敷地と共用部分以外の附属施設を、建物の共用部分と異なった管理と区別する必要がないため、第21条として、共用部分の規定を準用すると規定されました。

 多分、設問の「規約により建物の敷地とされた土地の管理は、民法(明治 29 年法律第 89 号)の定めるところによるのであり、区分所有法の定めるところによるのではない」は、この部分をとり上げたと捉えて、規約敷地であっても、建物の敷地となり、土地の管理は、区分所有法の定めるところによりますから、設問は、誤りです。





ウ 建物の所在する土地が建物の一部の滅失により建物が所在する土地以外の土地となったときは、その土地は、規約で建物の敷地と定められたものとみなされる。

〇 正しい。 みなし規約敷地となる。
 平成29年 管理業務主任者試験 「問34」 、 平成26年 マンション管理士試験 「問26」 、

 設問は、選択肢アで引用しました、区分所有法第5条2項
 「(規約による建物の敷地)
 第五条
 2 
建物が所在する土地が建物の一部の滅失により建物が所在する土地以外の土地となつたときは、その土地は、前項の規定により規約で建物の敷地と定められたものとみなす。建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となつたときも、同様とする。」
 です。

 この文章も分かり難いですね。
 言い直すと、
 「以前建物があれば(区分所有法第2条5項の「法定敷地」です)、地震や災害で建物の一部が破壊されてその建物の部分がなくなっても、その土地はもとのマンションの敷地と”みなす”。
 また、建物が土地の上に無くて空いていた土地を分割しても、マンションの敷地と”みなす”。」とでもなりますか。
 この規定は、災害などで土地の上に建物がなくなると、区分所有法で定める法定の敷地でなくなります。すると、第三者からはマンションの敷地でないと認識されてトラブルが発生するかもしれないので、それに準じた規約敷地と”みなし”て対応するのが目的です。
 また、以前は建物があった1筆の敷地が登記簿上で新しく分割(分筆ともいいます)され、マンションが建っていなくなっても、これも当然に規約で敷地にしたと”みなす”ものです。
 これにより、土地の分割後に専有部分を購入した区分所有者も元の区分所有者と同じように全部の土地を共有できるようにしてトラブルを防ぎます。
 この規定は、「みなし規約敷地」とも呼ばれ、一部滅失後に、特に新しく規約を設定して敷地と規定しなくても敷地として扱うことにしたものですから、「建物の所在する土地が建物の一部の滅失により建物が所在する土地以外の土地となったときは、その土地は、規約で建物の敷地と定められたものとみなされる」は、正しい。

 なお、この規定により、法定敷地であった一部を分割して処分しようとするときには、区分所有法第31条1項(規約の廃止)に該当するため、この「みなされた規約」を区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による特別決議により廃止する必要があります。




 参考:*みなす...Aは本来Bではないが、法律的に同一とする。法律上当然になる。この「みなす」により、いかなる反論もできない。
     *推定する...当事者が反証できれば効果がなくなる。



エ 建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となったときは、その土地は、改めて規約で定めなければ建物の敷地とすることができない。

X 誤っている。 一部分割で建物がなくても、「みなし規約敷地」となり、改めて規約を定めなくていい。

 選択肢ウで説明しましたように、「建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となったときは」区分所有法第5条2項後段
  「(規約による建物の敷地)
 第五条
 2 建物が所在する土地が建物の一部の滅失により建物が所在する土地以外の土地となつたときは、その土地は、前項の規定により規約で建物の敷地と定められたものとみなす。
建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となつたときも、同様とする」 
 により、
 規約を新しく設定しなくても、つまり、何もしなくても、「規約で建物の敷地と定められたものと”みなされます”」から、「建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となったときは、その土地は、改めて規約で定めなければ建物の敷地とすることができない」は、誤りです。



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え:2 (正しいものは、ア と ウ)

  「問1」の組合せの出題といい、この「問2」の個数問題といい、令和元年のマンション管理士試験は、例年とかなり出題傾向を変えてきた。  
  
  設問としては、「マンション管理士 香川事務所」が提供している、「超解説 区分所有法」で、基本の条文を理解していれば、それほど、難しくはない。
 
《タグ》区分所有法 規約敷地 民法の適用外 みなし規約敷地 一部滅失 分筆

問3

〔問 3〕 区分所有法第7条の先取特権に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 区分所有者が有する区分所有法第7条の先取特権の被担保債権は、共用部分、建物の敷地又は共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権に限られる。

X 誤っている。 規約若しくは集会の決議での債権も入っている。
 平成30年 管理業務主任者試験 「問34」 、 平成29年 管理業務主任者試験 「問35」 、 平成28年 マンション管理士試験 「問3」 、

 まず、先取(さきどり)特権とは...民法で定められた、物権の一つ。抵当権と同様に担保物の価値で債権(財産権の1つ)を担保する方法の一つで、担保される債務の履行がないときに担保権を実行(民事執行法に基づく競売)して債権を他の債権者より優先的に回収することができます。他の債権者よりも先に債務を支払ってもらえることが特権たる所以です。

 
 そこで、設問の区分所有法第7条は、
「(先取特権)
 第七条 
区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。
2 前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。
3 民法(明治二十九年法律第八十九号)第三百十九条の規定は、第一項の先取特権に準用する。」

 とあり、
 区分所有法第7条1項によれば、先取特権の被担保債権は、
  @共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権 又は
  
A規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権
  であるため、「区分所有者が有する区分所有法第7条の先取特権の被担保債権は、共用部分、建物の敷地又は共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権に限られる」は、誤りです。

  区分所有関係では、共用部分の管理等に必要で支出した費用は、一般の債権よりも強い保護が必要との発想で、この先取特権の規定が設けられています。



2 管理者が、管理組合との間に報酬を受ける特約がある場合において、管理組合に対して有する報酬債権は、区分所有法第7条の先取特権の対象となる。

X 誤っている。 管理者の報酬債権は、区分所有法第7条の先取特権の対象とならない。
 平成28年 マンション管理士試験 「問3」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問3」

 区分所有法第7条の先取特権の具体的な対象としては、
 *該当する債権の例:
  {例−1} 規約により各区分所有者が共用部分に係る管理費を各自の共有持分に対して有する管理費の請求に係 る債権
 {例ー2}管理者が、その職務を行うにつき必要な費用について、各区分所有者に対して共有持分に応じて分割的に有する費用償還債権。

 *該当しない債権の例:
 管理者が、管理組合との間に報酬を受ける特約がある場合において、管理組合に対して有する報酬債権。
 報酬債権は組合に対する業務実施の対価であり、業務を行うにつき組合員に対して有する(費用 )債権に該当しない(なお、組合がこれを管理費の一部として組合員に転嫁するものは該当する)。
 と考えられていて、「管理者が、管理組合との間に報酬を受ける特約がある場合において、管理組合に対して有する報酬債権は、区分所有法第7条の先取特権の対象となる」は、対象にはならないため、誤りです。



3 区分所有法第7条の先取特権は、債務者が専有部分を賃貸しているときは、民法第 304 条の物上代位により賃料に対して行使できる。

〇 正しい。 先取特権は、物上代位により、賃料にも行使できる。
 平成19年 マンション管理士試験 「問4」 、 

 民法第304条 物上代位 とは、
「(物上代位)
 第三百四条 
先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
2 債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。」

 とあり、
 民法第304条1項によれば「、区分所有法第7条の先取特権は、債務者が専有部分を賃貸しているときは、民法第 304 条の物上代位により賃料に対して行使できる」ため、正しい。


 ただし、引渡しの前に差押えが必要です。それは、債権を特定するためです。


4 区分所有法第7条の先取特権の目的物は、債務者の区分所有権に限らず、債務者の全ての財産である。

X 誤っている。 全ての財産ではない。

 選択肢1で引用しました区分所有法第7条1項
「第七条 区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、
債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。」
 とあり、
 先取特権の目的物は、債務者の
 @区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)=不動産=区分所有権、敷地利用権 及び
 A建物に備え付けた動産=金銭、有価証券、衣服、宝石など
 であり、
 「債務者の全ての財産」ではないため、誤りです。



答え: 3 

 先取特権は、過去にも出題があるので、過去問題をやっていれば、正解は、早い。

《タグ》区分所有法 先取特権 管理者の報酬債権 民法 物上代位 賃料 全財産

問4

〔問 4〕 Aは、Bの所有する専有部分について、Bから賃借し、敷金を差し入れた上で、引渡しを受けてその使用を始めたが、Bが敷地利用権を有していなかったことから、専有部分の収去を請求する権利を有するCが、Bに区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求する通知(この問いにおいて「本件通知」という。)を行った。この場合における次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。


1 本件通知の後に、AがCの承諾を得てDに対して賃借権を譲渡したときには、敷金に関するAの権利義務関係はDに承継される。

X 誤っている。 賃貸人の承諾で、賃借人が交代した時は、敷金の権利義務は、特段の事情がない限り新賃借人には、承継されない。
 平成30年 管理業務主任者試験 「問5」 、平成25年 マンション管理士試験 「問7」 、平成18年管理業務主任者試験 「問38」 

 こんな、複雑に登場人物が多い時は、解答用紙の空白に図をかくこと。


 

 まず、本来なら、平成14年(2002年)に改正された区分所有法第22条により、建物の専有部分の区分所有権と土地の敷地利用権が一体化されているので、敷地利用権のない区分所有者はいないはずですが、専有部分と敷地利用権の分離処分を禁止していなかった昭和37年(1962年)までに分離処分された場合や、昭和58年(1983年)の大改正でもみなし規約によって専有部分と敷地利用権の分離処分が許された場合とか、現在でも規約によって専有部分と敷地利用権との分離処分が認められている場合(区分所有法第22条1項)等のほか、敷地利用権が賃借権であって、賃料の不払いなどにより賃貸借契約が解除され、敷地利用権が無くなることもあり得ます。
 また、古くからあるタウンハウス(棟割長屋ともいう)のように、建物は1棟として連なっていますが、敷地を各専有部分ごとに分筆し、各区分所有者がその敷地を単独に所有している場合には、土地と建物は分離して処分できます。この場合の土地は、分有と呼ばれています。
このタウンハウスの形式は、旧住宅公団などの分譲住宅で、現在も存在しています。

 そこで、専有部分の区分所有者Bが、敷地利用権を有していないと、区分所有法第10条
「(区分所有権売渡請求権)

 第十条 敷地利用権を有しない区分所有者があるときは、その専有部分の収去を請求する権利を有する者は、その区分所有者に対し、区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。」

 とあり、
 専有部分の収去を請求する権利を有するCは、Bに対して区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求することができます。
 すると、Cの売渡請求権は、通常の売買契約と異なり申込みと相手の承諾という当事者間の意思の合致は必要ではなく、土地権利者からの一方的な「売り渡せ」という意思表示により売買が成立します。相手がその申し出を拒んでも、「売り渡せ」という申し出は成立します。
 このような権利を民法では「
形成権」とよびます。
 民法の法文に形成権という概念が示されているわけではありませんが、講学上、法律行為の分類として用いられています。
 という訳で、専有部分の収去を請求する権利を有するCからBへの区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求する通知だけで、CがBに代わって、専有部分の区分所有者となります。


 それでは、賃貸人が新しくCになり、また新しく賃借人となったDに対して、元の賃借人であったAが、元の賃貸人であったBに入れた敷金は、どうなるのでしょうというのが、設問です。

 転貸借については、民法第612条
「(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
 第六百十二条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。
 とあります。

 これらからは、敷金の帰属までは、分かりませんが、土地の賃借ですが、最高裁判所 昭和53年12月22日 の判決があります。
 その判決によれば、
 「
土地賃借権が賃貸人の承諾を得て旧賃借人から新賃借人に移転された場合であつても、敷金に関する敷金交付者の権利義務関係は、敷金交付者において賃貸人との間で敷金をもつて新賃借人の債務の担保とすることを約し又は新賃借人に対して敷金返還請求権を譲渡するなど特段の事情のない限り、新賃借人に承継されない。
 とあり、
 敷金返還請求権は、特段の事情がない限り、新賃借人Dには、承継されませんから、「本件通知の後に、賃借人Aが新賃貸人Cの承諾を得て転借人Dに対して賃借権を譲渡したときには、敷金に関する賃借人Aの権利義務関係は転借人Dに承継される」は、誤りです。

 また、敷金はその定義や扱い方が明確でなかったため、2020年4月1日施行の改正民法では、新しく 第4款 敷金 (第622条の2)が設けられています。

 それによると、敷金とは、「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう」と定義されました。
 その上で、判例に従い、賃貸借契約が終了して賃借物が返還された時点で敷金返還債務が生じること、その額は受領した敷金の額からそれまでに生じた金銭債務の額を控除 した残額であることなどのルールを明確化しています。



2 本件通知前にAがBに対して賃料を支払っていなかった場合、BのAに対する未払いの賃料債権は、債権譲渡がなされなければ、BからCに移転しない。

〇 正しい。 所有者が変更前なら、未払賃料債権は、元の賃貸人にある。
 
 これは、判例検索システムでは、該当しなかったのですが、大審院昭和12年5月7日判決に、
 「
旧所有者のもとで既に発生していた賃借人に対する未払賃料債権については、当然には承継されず、これも承継・請求するには、別途,旧所有者(旧賃貸人)・新所有者(新賃貸人)間で債権譲渡契約を締結し、旧所有者(旧賃貸人)から賃借人に債権譲渡通知(民法467条1項)をする必要があります
 があり、
 「本件通知前(所有者がまだ変更していない時)に賃借人Aが元の所有者Bに対して賃料を支払っていなかった場合、元の所有者Bの賃借人Aに対する未払いの賃料債権は、債権譲渡がなされなければ、元の所有者Bから新賃貸人Cに移転しない」は、正しい。



3 賃貸人の地位がBからCに移転したとしても、Cは、所有権の移転登記を経なければ、Aに対して、賃料請求をすることはできない

〇 正しい。
 不動産の承継人がその賃貸人の地位を主張するには、対抗要件(移転登記)が必要。

 設問に対しては、最高裁判所 昭和49年3月19日 の判決、
 「
賃貸中の宅地を譲り受けた者は、その所有権の移転につき登記を経由しないかぎり、賃貸人たる地位の取得を賃借人に対抗することができない。
 とあり、
 「貸人の地位がBからCに移転したとしても、Cは、所有権の移転登記を経なければ、Aに対して、賃料請求をすることはできない」は、正しい。



4 本件通知がBに到達することによって、Bの承諾がなくても、BとCの間に専有部分及び共用部分の持分を売買対象とした売買契約成立の効果が生じることとなる。

〇 正しい。 区分所有法第10条の区分所有権売渡請求権は、”形成権”(相手の承諾は不要。)

 選択肢1でも説明しましたように、区分所有法第10条
「(区分所有権売渡請求権)
 第十条 敷地利用権を有しない区分所有者があるときは、その専有部分の収去を請求する権利を有する者は、その区分所有者に対し、区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。」

とあり、
 この区分所有権売渡請求権は、”
形成権”と解され、通常の売買契約と異なり申込みと相手の承諾という当事者間の意思の合致は必要ではなく、土地権利者からの一方的な「売り渡せ」という意思表示により売買が成立します。相手がその申し出を拒んでも、「売り渡せ」という申し出は成立します。
 また、売渡の対象となっています区分所有権には、区分所有法第2条3項
 「(定義)
 第二条
 3 この法律において「
専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう」

 により、
 建物部分たる専有部分が該当しますが、同じく区分所有法第15条
(共用部分の持分の処分)
 第十五条 
共有者の持分は、その有する専有部分の処分に従う
2 共有者は、この法律に別段の定めがある場合を除いて、その有する専有部分と分離して持分を処分することができない。」

 とあり、
 区分所有法第15条1項により、専有部分の処分には、共用部分の持分も従いますから、「本件通知が区分所有者Bに到達することによって、区分所有者Bの承諾がなくても、区分所有者Bと専有部分の収去を請求する権利を有するCの間に専有部分及び共用部分の持分を売買対象とした売買契約成立の効果が生じることとなる」は、正しい。



答え: 1

  実に解説に時間のかかる出題だ。 区分所有法と民法、また過去の判例を探し出すのに、苦労した。

  2019年12月15日:選択肢1を「転貸借」と捉えていたので「譲渡」に変更した。

《タグ》区分所有法 売渡請求権 形成権 民法 転貸借 敷金 賃料請求 移転登記

問5

〔問 5〕 一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(この問いにおいて「一部共用部分」という。)の管理に関する次のマンション管理士の説明のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。


1 一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するものは、一部共用部分を共用する一部の区分所有者だけで行うことはできません。

〇 正しい。 一部共用部分でも、区分所有者全員の利害に関係すると、全体の管理に入り、一部共用部分を共用する一部の区分所有者だけで行うことはできない。
 最近、一部共用部分は、よく出題されている。 
 平成30年 マンション管理士試験 「問1」 、  平成29年 マンション管理士試験 「問1」 、 平成28年 管理業務主任者試験 「問36」、  平成27年 マンション管理士試験 「問1平成26年 管理業務主任者試験 「問36」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問38」、 平成15年 管理業務主任者試験 「問37」

  まず、一部共用部分ですが、一部共用部分とはなにかの定義は、区分所有法第3条にあります。
「(区分所有者の団体)
 第三条 区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。
一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。

 とあり、 
 区分所有法第3条によれば、「一部共用部分」とは、一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが”明らかな”共用部分です。
 
 具体的には、1棟のマンションで下が店舗、上が住居用の構造となっており、店舗部分には従業員専用入り口やお客を対象にした出入口があり、住居部に対しては住居部専用の出入口や居住階専用のエレベーターがある場合を考えてください。
 この状況で店舗用の共用部分である従業員専用出入り口や店内にある廊下などの部分は、
店舗部だけの「一部共用部分」となりますし、また、住居部専用の出入口や住居部だけが使用する廊下、居住階専用のエレベーターなどがあればその共用部分は、住居部だけの「一部共用部分」となります。
 この場合「一部共用部分」を管理する各々の団体が当然に構成されます。
そして、その「一部共用部分」を管理する各々の団体においても、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができるとしています。




 そして、一部共用部分の管理は、区分所有法第16条
「(一部共用部分の管理)
 第十六条 
一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するもの又は第三十一条第二項の規約に定めがあるものは区分所有者全員で、その他のものはこれを共用すべき区分所有者のみで行う。」

 とあり、
 区分所有法第30条2項は、
「(規約事項)
 
2 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めがある場合を除いて、これを共用すべき区分所有者の規約で定めることができる。

 です。
 これらにより、一部共用部分の管理は、
   @区分所有者”全員の利害に関係するもの”は一部共用部分であっても当然に全体の管理への強制移管とし、
   Aその他のものは、一部共用部分であって全体の利害に関係しなくても、”規約で定めて全体の管理に移管してもよい”ということです。
   逆に捉えると、一部共用部分で、
   @区分所有者全員の利害に関係しないもの
   Aまた、全体の規約で定めていないもの
   として、残された一部共用部分だけが、一部共用部分を共用する区分所有者の団体で管理することになります。




 という訳で、「一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するものは、一部共用部分を共用する一部の区分所有者だけで行うことはできません」は、正しい。


2 一部共用部分の管理は、区分所有者全員の規約に定めがあるものを除き、これを共用すべき区分所有者のみで行うことになります。

X 誤っている。 規約だけでなく、全員の利害に関するものも、一部共用部分の管理から除かれる。

 一部共用部分の管理は、選択肢1で説明しましたように、区分所有法第16条によれば、
「(一部共用部分の管理)
 第十六条 
一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するもの又は第三十一条第二項の規約に定めがあるものは区分所有者全員で、その他のものはこれを共用すべき区分所有者のみで行う。」

 とあり、
  @区分所有者”全員の利害に関係するもの”は一部共用部分であっても当然に全体の管理への強制移管とし、
  Aその他のものは、一部共用部分であって全体の利害に関係しなくても、”規約で定めて全体の管理に移管してもよい”ということでですから、
  A「区分所有者全員の規約に定めがあるもの」の他に、@「区分所有者”全員の利害に関係するもの」も、除かれますから、
 「一部共用部分の管理は、区分所有者全員の規約に定めがあるものを除き、これを共用すべき区分所有者のみで行うことになります」では、誤りです。



3 すべての一部共用部分について、その管理のすべてを区分所有者全員で行う場合には、一部の区分所有者のみで構成される区分所有法第3条に規定される区分所有者の団体は存在しないことになります。

〇 正しい。 すべての一部共用部分を、全員で管理するなら、一部の区分所有者のみで構成される団体は不要(存在しない)

 設問の区分所有法第3条は、
「(区分所有者の団体)
 第三条 
区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。
 です。
 区分所有法第3条によれば、区分所有建物となれば、区分所有者は当然に団体を構成すること、そして、その団体は、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うため、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができるということです。
 そして、一部共用部分がある場合に、一部共用部分の区分所有者の団体が存在するのは、一部共用部分を、一部共用部分の区分所有者が管理するときだけです。
 設問は、「すべての一部共用部分について、その管理のすべてを区分所有者全員で行う場合」となっていて、一部共用部分があっても、その管理は、一部共用部分の区分所有者はしませんから、「一部の区分所有者のみで構成される区分所有法第3条に規定される区分所有者の団体は存在しない」ことになり、、正しい。



4 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものについての区分所有者全員の規約の設定は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の4分の1を超える者又はその議決権の4分の1を超える議決権を有する者が反対したときは、することができません。

〇 正しい。 一部共用部分に関する規約の設定・変更・廃止では、一部共用部分の1/4超が反対するとできない。
 平成28年 マンション管理士試験 「問6」 、 平成23年 マンション管理士試験 「問1」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問2」 、

 設問の規約の設定・変更・廃止は、区分所有法第31条2項
[「(規約の設定、変更及び廃止)
 第三十一条 規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。
2 前条第二項に規定する事項についての区分所有者全員の規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の四分の一を超える者又はその議決権の四分の一を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない。

 とあり、
 前条2項とは、区分所有法第30条
「(規約事項)
 第三十条 建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。
2 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めがある場合を除いて、これを共用すべき区分所有者の規約で定めることができる。
3 前二項に規定する規約は、専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施設(建物の敷地又は附属施設に関する権利を含む。)につき、これらの形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払つた対価その他の事情を総合的に考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならない。
4 第一項及び第二項の場合には、区分所有者以外の者の権利を害することができない。
5 規約は、書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)により、これを作成しなければならない。」

 です。
 区分所有法第31条2項によれば、「一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものについての区分所有者全員の規約の設定は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の4分の1を超える者又はその議決権の4分の1を超える議決権を有する者が反対したときは、することができません」は、正しい。



答え: 2
 
 
ここは、過去問題をやっていれば、正解は、早い。 解説は、詳細にしたので、時間がかかったが。

《タグ》区分所有法 一部共用部分 管理 全体 規約の設定・変更・廃止

問6

〔問 6〕 集会招集手続きに関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。


ア 区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものが、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求した。

〇 正しい。 集会は管理者以外にも招集できる。
 平成29年 マンション管理士試験 「問5」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問7」 、

 また、また、個数問題とは! 本当に、マンション管理士の試験問題の作成者の、この出題方法は、適正さを欠くやり方だ。

 集会の招集手続は、区分所有法第34条
「(集会の招集)
 第三十四条 集会は、管理者が招集する。
2 管理者は、少なくとも毎年一回集会を招集しなければならない。
3 区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。
4 前項の規定による請求がされた場合において、二週間以内にその請求の日から四週間以内の日を会日とする集会の招集の通知が発せられなかつたときは、その請求をした区分所有者は、集会を招集することができる。
5 管理者がないときは、区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、集会を招集することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。」

 とあり、
 区分所有法第34条1項にありますように、集会は通常管理者(理事長)が招集しますが、管理者のいない場合や、管理者に集会の招集を請求したが、管理者が開かないときなどに対応した規定が、同条3項や、5項にあります。
 そこで、区分所有法第34条3項によれば、規約がなければ「区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものが、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求した」は、正しい。





イ 区分所有者が法所定の手続きに従い管理者に対して集会の招集を請求したにもかかわらず、管理者が2週間経過しても集会の招集の通知を発しなかったため、その請求をした区分所有者が集会を招集した。

〇 正しい。

 選択肢アで引用しました、区分所有法第34条3項及び4項、
 「3 区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。
4 前項の規定による請求がされた場合において、二週間以内にその請求の日から四週間以内の日を会日とする集会の招集の通知が発せられなかつたときは、その請求をした区分所有者は、集会を招集することができる。
5 管理者がないときは、区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、集会を招集することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。」

 とあり、
区分所有法第34条3項及び4項によれば、「区分所有者が法所定の手続きに従い管理者に対して集会の招集を請求したにもかかわらず、管理者が2週間経過しても集会の招集の通知を発しなかったため、その請求をした区分所有者が集会を招集した」は、正しい。





ウ 専有部分が二人の共有に属する場合、議決権を行使すべき者が定められていなかったときは、管理者は、集会の招集の通知を共有者の双方に発しなければならない。

X 誤っている。 共有なら、議決権行使者は一人に決めなければいけないので、どちらか一人あてでいい。
 平成28年 管理業務主任者試験 「問4」 、平成26年 マンション管理士試験 「問6」 、平成24年 管理業務主任者試験 「問29」

 まず、専有部分が二人の共有に属する場合の議決権は、区分所有法第40条
「(議決権行使者の指定)
 第四十条 
専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない。

 とあり、
 区分所有法では、共有でも、どちらか1人にしか議決権を認めていません。


 

 すると、集会の招集通知は、区分所有法第35条
「(招集の通知)
 第三十五条 集会の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる。
2 専有部分が数人の共有に属するときは、前項の通知は、第四十条の規定により定められた議決権を行使すべき者(その者がないときは、共有者の一人)にすれば足りる。
3 第一項の通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に、これを通知しなかつたときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。この場合には、同項の通知は、通常それが到達すべき時に到達したものとみなす。
4 建物内に住所を有する区分所有者又は前項の通知を受けるべき場所を通知しない区分所有者に対する第一項の通知は、規約に特別の定めがあるときは、建物内の見やすい場所に掲示してすることができる。この場合には、同項の通知は、その掲示をした時に到達したものとみなす。
5 第一項の通知をする場合において、会議の目的たる事項が第十七条第一項、第三十一条第一項、第六十一条第五項、第六十二条第一項、第六十八条第一項又は第六十九条第七項に規定する決議事項であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。」

 とあり、
 区分所有法第35条2項によれば、集会の通知は、「専有部分が数人の共有に属するときは、前項の通知は、第四十条の規定により定められた議決権を行使すべき者(
その者がないときは、共有者の一人)にすれば足りる」ため、設問の「専有部分が二人の共有に属する場合、議決権を行使すべき者が定められていなかったときは、管理者は、集会の招集の通知を共有者の双方に発しなければならない」の必要はなく、「共有者の一人」に発すればいいので、誤りです。


エ 管理者がないときに、区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものが、集会の招集をした。

〇 正しい。 管理者がいないと、区分所有者が集まって、集会を招集する。

 管理者がないときに、集会が必要となれば、選択肢アで引用しました、区分所有法第34条5項
「5 管理者がないときは、区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、集会を招集することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。」
 とあり、
 規約がなければ、「管理者がないときに、区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものが、集会の招集をした」は、正しい。



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え: 3 (正しいのは、ア、イ、エ の3つ)

  ここは、易しい。

《タグ》区分所有法 集会の招集 共有の場合 管理者がいないとき

問7

〔問 7〕 団地管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。


1 団地管理組合法人は、団地共用部分に係る損害保険契約に基づく保険金額の請求及び受領について、団地建物所有者を代理する。

〇 正しい。 団地管理組合法人は、団地共用部分の損害保険関係で、団地建物所有者を代理する。
 平成29年 管理業務主任者試験 「問38」 、 平成29年 管理業務主任者試験 「問30」 、平成28年 マンション管理士試験 「問8」 、

 団地と法人を一つにするとは、一ひねりした出題。 しかし、解説には、時間がかかる。

 まず、問題の前提としての区分所有法第65条で定める「団地関係」から解説すると、話が長くなりますので、こちらは、「マンション管理士 香川事務所」 が無料で提供しています、「超解説 区分所有法」をみて下さい。そこで、区分所有法での「団地関係」は、適法に成立していることにします。


 分かり難い区分所有法第66条での準用関係で問題のどこから手を付けるかが、解説として大変に面倒ですが、元になっている規定から、遡ってみましょう。
 @団地共用部分に係る損害保険契約に基づく保険金額の請求及び受領について、団地建物所有者を代理する
 から、解説しますと、これの元になっているのは、管理組合が法人化された、区分所有法第47条
「(成立等)
 第四十七条 第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる。
2 前項の規定による法人は、管理組合法人と称する。
3 この法律に規定するもののほか、管理組合法人の登記に関して必要な事項は、政令で定める。
4 管理組合法人に関して登記すべき事項は、登記した後でなければ、第三者に対抗することができない。
5 管理組合法人の成立前の集会の決議、規約及び管理者の職務の範囲内の行為は、管理組合法人につき効力を生ずる。
6 管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。
7 管理組合法人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
8 管理組合法人は、規約又は集会の決議により、その事務(第六項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。
9 管理組合法人は、前項の規約により原告又は被告となつたときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合においては、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。
10 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第四条及び第七十八条の規定は管理組合法人に、破産法(平成十六年法律第七十五号)第十六条第二項の規定は存立中の管理組合法人に準用する。
11 第四節及び第三十三条第一項ただし書(第四十二条第五項及び第四十五条第四項において準用する場合を含む。)の規定は、管理組合法人には、適用しない。
12 管理組合法人について、第三十三条第一項本文(第四十二条第五項及び第四十五条第四項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定を適用する場合には第三十三条第一項本文中「管理者が」とあるのは「理事が管理組合法人の事務所において」と、第三十四条第一項から第三項まで及び第五項、第三十五条第三項、第四十一条並びに第四十三条の規定を適用する場合にはこれらの規定中「管理者」とあるのは「理事」とする。
13 管理組合法人は、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)その他法人税に関する法令の規定の適用については、同法第二条第六号に規定する公益法人等とみなす。この場合において、同法第三十七条の規定を適用する場合には同条第四項中「公益法人等(」とあるのは「公益法人等(管理組合法人並びに」と、同法第六十六条の規定を適用する場合には同条第一項及び第二項中「普通法人」とあるのは「普通法人(管理組合法人を含む。)」と、同条第三項中「公益法人等(」とあるのは「公益法人等(管理組合法人及び」とする。
14 管理組合法人は、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)その他消費税に関する法令の規定の適用については、同法別表第三に掲げる法人とみなす。」

 とあり、
 管理組合法人は、区分所有法第47条6項により、
「6 管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。」
 です。


 この規定は、団地の規定、区分所有法第66条
「(建物の区分所有に関する規定の準用)
第六十六条 第七条、第八条、第十七条から第十九条まで、第二十五条、第二十六条、第二十八条、第二十九条、第三十条第一項及び第三項から第五項まで、第三十一条第一項並びに
第三十三条から第五十六条の七までの規定は、前条の場合について準用する。
 この場合において、これらの規定(第五十五条第一項第一号を除く。)中
「区分所有者」とあるのは「第六十五条に規定する団地建物所有者」と、「管理組合法人」とあるのは「団地管理組合法人」と、第七条第一項中「共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設」とあるのは「第六十五条に規定する場合における当該土地若しくは附属施設(以下「土地等」という。)」と、「区分所有権」とあるのは「土地等に関する権利、建物又は区分所有権」と、第十七条、第十八条第一項及び第四項並びに第十九条中「共用部分」とあり、第二十六条第一項中「共用部分並びに第二十一条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設」とあり、並びに第二十九条第一項中「建物並びにその敷地及び附属施設」とあるのは「土地等並びに第六十八条の規定による規約により管理すべきものと定められた同条第一項第一号に掲げる土地及び附属施設並びに同項第二号に掲げる建物の共用部分」と、第十七条第二項、第三十五条第二項及び第三項、第四十条並びに第四十四条第一項中「専有部分」とあるのは「建物又は専有部分」と、第二十九条第一項、第三十八条、第五十三条第一項及び第五十六条中「第十四条に定める」とあるのは「土地等(これらに関する権利を含む。)の持分の」と、第三十条第一項及び第四十六条第二項中「建物又はその敷地若しくは附属施設」とあるのは「土地等又は第六十八条第一項各号に掲げる物」と、第三十条第三項中「専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施設(建物の敷地又は附属施設に関する権利を含む。)」とあるのは「建物若しくは専有部分若しくは土地等(土地等に関する権利を含む。)又は第六十八条の規定による規約により管理すべきものと定められた同条第一項第一号に掲げる土地若しくは附属施設(これらに関する権利を含む。)若しくは同項第二号に掲げる建物の共用部分」と、第三十三条第三項、第三十五条第四項及び第四十四条第二項中「建物内」とあるのは「団地内」と、第三十五条第五項中「第六十一条第五項、第六十二条第一項、第六十八条第一項又は第六十九条第七項」とあるのは「第六十九条第一項又は第七十条第一項」と、第四十六条第二項中「占有者」とあるのは「建物又は専有部分を占有する者で第六十五条に規定する団地建物所有者でないもの」と、第四十七条第一項中「第三条」とあるのは「第六十五条」と、第五十五条第一項第一号中「建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあつては、その共用部分)」とあるのは「土地等(これらに関する権利を含む。)」と、同項第二号中「建物に専有部分が」とあるのは「土地等(これらに関する権利を含む。)が第六十五条に規定する団地建物所有者の共有で」と読み替えるものとする。

 とあり、
 丁寧に、よく読むと、区分所有法第66条により、区分所有法第47条が準用され、「区分所有者」は、「第六十五条に規定する団地建物所有者」と、そして、「管理組合法人」とあるのは「団地管理組合法人」と、読み替えられ、最終的に区分所有法第47条6項は、
 「6 団地管理組合法人は、その事務に関し、第六十五条に規定する団地建物区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。」
 となりますから、
 「団地管理組合法人は、団地共用部分に係る損害保険契約に基づく保険金額の請求及び受領について、団地建物所有者を代理する」は、正しい。


 なお、引用されています、区分所有法第18条4項とは、
「(共用部分の管理)
第十八条 共用部分(読み替え → 「土地等並びに第六十八条の規定による規約により管理すべきものと定められた同条第一項第一号に掲げる土地及び附属施設並びに同項第二号に掲げる建物の共用部分」)の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。
3 前条第二項の規定は、第一項本文の場合に準用する。
4 共用部分(読み替え → 「土地等並びに第六十八条の規定による規約により管理すべきものと定められた同条第一項第一号に掲げる土地及び附属施設並びに同項第二号に掲げる建物の共用部分」)につき損害保険契約をすることは、共用部分(読み替え → 「土地等並びに第六十八条の規定による規約により管理すべきものと定められた同条第一項第一号に掲げる土地及び附属施設並びに同項第二号に掲げる建物の共用部分」)の管理に関する事項とみなす。」

 です。



2 団地管理組合法人の理事は、特定の行為の代理を他人に委任することを、規約又は集会の決議によって禁止されることはない。

X 誤っている。 理事は、規約又は集会の決議によつて禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。規約又は集会の決議によって禁止されることがある。

 元になっているのは、区分所有法第49条の3
「(理事の代理行為の委任)
第四十九条の三 
理事は、規約又は集会の決議によつて禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。」

 とあり、
 この区分所有法第49条の3 も選択肢1で引用しました、区分所有法第66条により、団地管理組合法人にも準用され、団地管理組合法人の理事は、特定の行為の代理を他人に委任することを、”規約又は集会の決議によって禁止されること”がありますから、誤りです。



3 団地管理組合法人の監事は、財産の状況又は業務の執行について、法令若しくは規約に違反し、又は著しく不当な事項があると認め、これを報告するために必要があるときは、集会を招集することができる。

〇 正しい。 監事の職務である。
 平成26年 管理業務主任者試験 「問37」 、

 元になっている管理組合法人の監事の職務は、区分所有法第50条
「(監事)
 第五十条 管理組合法人には、監事を置かなければならない。
2 監事は、理事又は管理組合法人の使用人と兼ねてはならない。
3 監事の職務は、次のとおりとする。
  一 管理組合法人の財産の状況を監査すること。
  二 理事の業務の執行の状況を監査すること。
  
三 財産の状況又は業務の執行について、法令若しくは規約に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、集会に報告をすること。
  四 前号の報告をするため必要があるときは、集会を招集すること。

4 第二十五条、第四十九条第六項及び第七項並びに前条の規定は、監事に準用する。」

 とあり、
 区分所有法第50条3項3号及び4号によれば、
 「管理組合法人の監事は、財産の状況又は業務の執行について、法令若しくは規約に違反し、又は著しく不当な事項があると認め、これを報告するために必要があるときは、集会を招集することができ」ます。

 この、区分所有法第50条も選択肢1で引用しました、区分所有法第66条で、団地管理組合法人にも準用がありますから、正しい。



4 団地管理組合法人は、団地建物所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によって解散することができる。

〇 正しい。 法人の解散事由の1つ。
 平成29年 マンション管理士試験 「問8」

 元になっているのは、区分所有法第55条
「(解散)
 第五十五条 管理組合法人は、次の事由によつて解散する。
  一 建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあつては、その共用部分)の全部の滅失
  二 建物に専有部分がなくなつたこと。
  
三 集会の決議
2 前項第三号の決議は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数でする。」

 とあり、
 区分所有法第55条1項3号及び同法2項により、管理組合法人は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数の集会の決議で解散できます。
 この区分所有法第55条も、選択肢1で引用しました、区分所有法第66条によって、読み替えの準用があり、
「第五十五条 団地管理組合法人は、次の事由によつて解散する。
  一 建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあつては、その共用部分)の全部の滅失
    読み替え → 土地等(これらに関する権利を含む)の全部の滅失
  二 建物に専有部分(読み替え → 土地等(これらに関する権利を含む)が第六十五条に規定する団地建物所有者の共有で)なくなつたこと。
  三 集会の決議
2 前項第三号の決議は、区分所有者(読み替え →第六十五条に規定する団地建物所有者) 及び議決権の各四分の三以上の多数でする。」
 となり、
 「団地管理組合法人は、団地建物所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によって解散することができる」は、正しい。




答え: 2

 過去問題では、管理業務主任者試験からの出題が多い設問だった。
 解説では、読み替えも入れたので、時間がかかる。

 設問としては、基本で易しい。


《タグ》団地 管理組合法人 準用 損害保険契約 代理 理事 委任 監事 集会 解散事由 

問8

〔問 8〕 甲マンションの管理組合Aの組合員Bは、101 号室の区分所有権の購入に際して、C銀行から融資を受けてCのために抵当権を設定し登記を行い、また、現在は同室をDに賃貸して賃料収入を得ている。Bは極めて長期間管理費等を滞納しており、滞納額も多額となったため、Aが再三にわたり督促をしているが、Bは一切無視し続けている。この場合における次の記述のうち、区分所有法、民法、不動産登記法(平成 16 年法律第 123 号)及び民事執行法(昭和 54 年法律第4号)の規定によれば、誤っているものはどれか。


1 B及びDは、101 号室について、Cの承諾を得なくても賃借権の登記をすることができる。

〇 正しい。 賃借権の登記は、所有者と賃借人でできる。抵当権設定者の承諾は不要。
 平成20年 マンション管理士試験 「問14」 



 まず、登記できる権利は、不動産登記法第3条
「(登記することができる権利等)
 第三条 登記は、不動産の表示又は不動産についての次に掲げる権利の保存等(保存、設定、移転、変更、処分の制限又は消滅をいう。次条第二項及び第百五条第一号において同じ。)についてする。
  一 所有権
  二 地上権
  三 永小作権
  四 地役権
  五 先取特権
  六 質権
  七 抵当権
  
八 賃借権
  九 採石権(採石法(昭和二十五年法律第二百九十一号)に規定する採石権をいう。第五十条及び第八十二条において同じ。)」

 とあり、
 登記することができる権利は、殆どが、所有権や地上権のように「物権」と呼ばれる「一定の物を直接に支配して利益を受ける排他的な権利」ですが、この中に、物権ほどの力がなく、債務者の行為を必要とする「債権」である「賃借権」も入っています。これは、不動産の取引において、賃借人を保護する必要性から、賃借権を物権並みに扱い、第三者への対抗力を強化したものです。

 そこで、民法第605条
「(不動産賃貸借の対抗力)
 第六百五条 不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を生ずる。」

 との規定があります。
 登記された賃借権は、排他性を有し、それ以降、目的物に物権的な変動があっても、賃借人の地位は、変わらないとなります。

 では、設問の抵当権者の承諾が無くても賃借権は、登記できるか、ですが、賃借権の登記で必要なのは、不動産登記法第60条
「(共同申請)
 第六十条 
権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。」
 とあり、
 また、賃借権の登記は、不動産登記法第81条
(賃借権の登記等の登記事項)
第八十一条 
賃借権の登記又は賃借物の転貸の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
 
 一 賃料
  二 存続期間又は賃料の支払時期の定めがあるときは、その定め
  三 賃借権の譲渡又は賃借物の転貸を許す旨の定めがあるときは、その定め
  四 敷金があるときは、その旨
  五 賃貸人が財産の処分につき行為能力の制限を受けた者又は財産の処分の権限を有しない者であるときは、その旨
  六 土地の賃借権設定の目的が建物の所有であるときは、その旨
  七 前号に規定する場合において建物が借地借家法第二十三条第一項又は第二項に規定する建物であるときは、その旨
  八 借地借家法第二十二条前段、第二十三条第一項、第三十八条第一項前段若しくは第三十九条第一項、高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成十三年法律第二十六号)第五十二条又は大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法第七条第一項の定めがあるときは、その定め」

 とあり、
 引用されています不動産登記法第59条は、
「(権利に関する登記の登記事項)
 第五十九条 権利に関する登記の登記事項は、次のとおりとする。
  一 登記の目的
  二 申請の受付の年月日及び受付番号
  三 登記原因及びその日付
  四 登記に係る権利の権利者の氏名又は名称及び住所並びに登記名義人が二人以上であるときは当該権利の登記名義人ごとの持分
  五 登記の目的である権利の消滅に関する定めがあるときは、その定め
  六 共有物分割禁止の定め(共有物若しくは所有権以外の財産権について民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百五十六条第一項ただし書(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)の規定により分割をしない旨の契約をした場合若しくは同法第九百八条の規定により被相続人が遺言で共有物若しくは所有権以外の財産権について分割を禁止した場合における共有物若しくは所有権以外の財産権の分割を禁止する定め又は同法第九百七条第三項の規定により家庭裁判所が遺産である共有物若しくは所有権以外の財産権についてした分割を禁止する審判をいう。第六十五条において同じ。)があるときは、その定め
  七 民法第四百二十三条その他の法令の規定により他人に代わって登記を申請した者(以下「代位者」という。)があるときは、当該代位者の氏名又は名称及び住所並びに代位原因
  八 第二号に掲げるもののほか、権利の順位を明らかにするために必要な事項として法務省令で定めるもの」

 です。

 
 そこで、賃借権の登記においては、「登記権利者(権利に関する登記をすることにより、登記上、直接に利益を受ける者をいい、間接に利益を受ける者を除く。不動産登記法第2条12号)」である、賃借人Dと、「登記義務者(権利に関する登記をすることにより、登記上、直接に不利益を受ける登記名義人をいい、間接に不利益を受ける登記名義人を除く。不動産登記法第2条13号)」である組合員(区分所有者)Bの共同申請でできるため、抵当権者である銀行Cの承諾を得なくても賃借権の登記をすることができますから、「組合員B及び賃借人Dは、101 号室について、抵当権者Cの承諾を得なくても賃借権の登記をすることができる」は、正しい。
 2019年12月24日:登記権利者、登記義務者を訂正した。


2 Bの管理費等の滞納が原因で、建物の修繕に重大な支障が生じるような状況に至っている場合は、Bの滞納は、建物の管理に関し区分所有者の共同の利益に反する行為に該当する。

〇 正しい。 滞納は、「区分所有者の共同の利益に反する行為」に該当する。
 平成27年 マンション管理士試験 「問9」 、 平成26年 マンション管理士試験 「問4」 、

 まず、「区分所有者の共同の利益に反する行為」とは、区分所有法第6条、
「(区分所有者の権利義務等)
 第六条 
区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
2 区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。
3 第一項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者(以下「占有者」という。)に準用する。」

 とあり、

 組合員の管理費等の滞納が、区分所有法第6条で規定される「共同の利益違反」に該当するかどうかの判断ですが、共同の利益とは、
  ・各区分所有者が共同に持っている利益とは、所有物(資産価値、使用価値と交換価値の双方を含みます。)を維持し、これを自由に使用・収益・処分できることと考えることができます。
 それには、
 @所有物たる建物(専有部分を含む。)を毀損しその価値を減少させる行為の例としては、壁を壊すなど建物を物理的に毀損したり汚損する行為、看板を出すなど美観を毀損する行為等により建物の交換価値や使用価値を減少させる行為です。
 A他人の所有権の行使を妨害する行為の例は、ピアノやステレオの騒音、振動等により他人の専有部分の円滑な使用を妨害したり、廊下など共用部分に物品を廃棄・放置する等により他人の使用を妨害する行為等がこれにあたります。
 B区分所有者として負担する諸義務の履行を怠る行為の例は、
管理費・修繕積立金等の負担の支払義務、決められた用方違反、その他管理規約や使用細則に定められた義務の違反行為が広くこれに該当すると思われます。
 また、最近の傾向として、上記以外の、騒音・振動・悪臭やプライバシー(名誉棄損など人格権)の侵害を、独立した範疇に分け、ニューサンス(生活妨害)・プライバシー侵害として、積極的に、第6条に規定する「共同の利益に反する行為」に取り込む動きがあります。

 そこで、組合員の管理費等の滞納は、区分所有法第6条1項での、「建物の管理に関し区分所有者の共同の利益に反する行為に該当する」は、正しい。



3 Bの区分所有権及び敷地利用権の最低売却価額で滞納管理費等を回収できる見込みがない場合でも、Aは区分所有法第 59 条の規定による競売を請求することができる。

〇? 正しい。 競売での滞納管理費等を回収できる見込みがない場合となると判断が分かれるという、疑問はあるが?

 平成30年 マンション管理士試験 「問5」 、 平成28年 管理業務主任者業務試験 「問39」 、

 まず、区分所有法第59条
「(区分所有権の競売の請求)
 第五十九条 第五十七条第一項に規定する場合において、
第六条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができる
2 第五十七条第三項の規定は前項の訴えの提起に、前条第二項及び第三項の規定は前項の決議に準用する。
3 第一項の規定による判決に基づく競売の申立ては、その判決が確定した日から六月を経過したときは、することができない。
4 前項の競売においては、競売を申し立てられた区分所有者又はその者の計算において買い受けようとする者は、買受けの申出をすることができない。」

 とあり、
 マンションでは、共同生活をおくる上で、著しい障害をあたえる区分所有者がいれば、共同生活の維持のためにその人の個人財産である部屋(専有部分)を第三者が競売にできるという、恐ろしい規定があります。


 

 実際に競売を認めた判例としては、札幌地方裁判所 昭和61年2月18日の判決、
 「暴力団の組長及びその配下の組合員が他の区分所有者の共同の利益に反する行為をなし、共同生活の著しい障害となっている。
使用禁止等の方法では他の区分所有者らの平穏な共同生活の回復、維持ができないので管理組合の競売請求を認める。」
 のように、暴力団の事務所が、該当していました。
 それでは、滞納管理費等との関係において、「管理費等の滞納があり」は、区分所有法第6条の「共同の利益違反」に該当しています。ここまでは、争いはありませんが、競売にかけようとする専有部分が古くて余り市場価値が無かったり、また担保もついている専有部分を強制的に競売しても該当滞納額の回収の見込みがなく(無剰余)でも提訴していいかどうかは、判例でも争いがある箇所です。(民事執行法第63条参照)


*競売の要件を満たしていない例
 {判例} 先取特権に言及している。
 区分所有者が100万円以上の管理費等を滞納していた。これは「共同の利益に反する行為」であるが、金銭債権の確保を図るために民事執行法の例外となる区分所有法59条の「競売」を適用できるのは、先取特権の実行や財産一般に対する強制執行をしても回収できない場合であるとして、認められなかった。(東京高裁:平成18年11月1日:判例検索にはない。)  
  *補助の説明:「差し押さえられた物件には3000万円の抵当権が設定されており、管理組合には配当が行かず、
無剰余として取り消しとなることも想定される
 抵当権の3000万円は、現時点では相当程度減少して(支払われて)いる可能性があるにもかかわらず、管理組合は現時点の抵当権の債権額について何ら主張・立証しない。対象となった住戸の“時価”も主張・立証していない」と判断し、管理組合は敗訴しました。
 
剰余主義とは、競売しても差し押さえ債権者(管理組合)に配当される余剰がない場合は、配当が来ない債権者の競売申立は無益な競売として認めないと云うものです。(民事執行法第63条2項)   

 *しかし、滞納費を回収できるお金がない以上競売しても無駄という考え方と、一応競売で該当者を追い出すことはできるという考え方もあります。
 マンション管理士 香川としては、競売で滞納費が回収できなくても、一応、滞納者をそのマンションから排除することができれば、また、承継人にも滞納費を請求できる可能性もあるため、ここは、「滞納者Bの区分所有権及び敷地利用権の最低売却価額で滞納管理費等を回収できる見込みがない場合でも、管理組合Aは区分所有法第 59 条の規定による競売を請求することができる」は、正しいとします。

 なお、この競売は、民事執行法195条
「(留置権による競売及び民法、商法その他の法律の規定による換価のための競売)
 第百九十五条 留置権による競売及び民法、商法
その他の法律の規定による換価のための競売については、担保権の実行としての競売の例による。

 により、
 担保権の実行としての競売になります。



4 Cが抵当権の実行として 101 号室を競売し、Eが当該競売における手続きを経て買受人となった場合には、Aは、Eに対して、滞納管理費等を請求することはできない。

X 誤っている。 滞納管理費等は、元の区分所有者にも、またその特定承継人にも請求できる。
 平成30年 管理業務主任者試験 「問34」 、 平成30年 管理業務主任者試験 「問10」 、

 まず、承継人には、@包括承継人 と A特定承継人 の2つの場合があります。
 1. 包括承継人(一般承継人)とは
 他人の権利義務を一括して承継することを包括承継(一般承継ともいいます。)といい、承継する者を包括承継人といいます。
例えば、相続により被相続人の権利義務を承継する相続人がその例です。
 包括承継の場合はその人の年金等一身専属的な権利を除きその人の権利義務の一切(包括的地位)を包括的に承継します。
 2. 
特定承継人とは
  他人の権利義務を個別的に取得することを特定承継といい、承継する者を特定承継人といいます。
 売買、交換、贈与などによる普通の権利の承継は、みな特定承継で、売買契約の譲受人(買主)などが特定承継人の典型例です。
 また、
抵当権の実行により競売物件を競落して所有権を取得した競落人(買受人)も、特定承継人に該当します



 すると、特定承継人については、区分所有法第8条
第八条 前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。」
 とあり、
 前条1項は、「問3」で引用しました区分所有法第7条(先取特権)です。
 区分所有法第7条1項での区分所有者に対する債権(管理費など)は、区分所有法第8条により、競売で買受人となった、特定承継人のEにも、管理組合Aは、滞納管理費等を請求することはできますから、「抵当権の実行として 101 号室を競売し、Eが当該競売における手続きを経て買受人となった場合には、Aは、Eに対して、滞納管理費等を請求することはできない」は、誤りです。




答え: 4

 選択肢1の賃借権の登記は、かなり難しい。 また、選択肢3の無剰余競売は、まだ、議論が必要な判断で、現在の設問としては、不適切だ。

 全体としては、選択肢4が誤っているのは、すぐに分かるが、解説に時間がかかった。約5時間。


《タグ》民法 賃借権 不動産登記法 共同申請 区分所有法 共同の利益違反 滞納 競売 特定承継人

問9

〔問 9〕 マンションの一部が滅失した場合のマンションの復旧又は建替えに関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。


1 マンションの滅失が建物の価格の2分の1以下に相当する部分の滅失であるときは、各区分所有者が滅失した共用部分を復旧することができるが、復旧の工事に着手するまでに集会において復旧又は建替えの決議があった場合はこの限りでない。

〇 正しい。 共用部分は、
復旧工事に着手する前に、集会で復旧や建替えの決議があれば、単独では復旧できない。
 平成30年 管理業務主任者試験 「問36」 、 

  マンションで建物の一部が滅失した場合は、区分所有法第61条
「(建物の一部が滅失した場合の復旧等)
 第六十一条 建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。ただし、共用部分については、復旧の工事に着手するまでに第三項、次条第一項又は第七十条第一項の決議があつたときは、この限りでない。

2 前項の規定により共用部分を復旧した者は、他の区分所有者に対し、復旧に要した金額を第十四条に定める割合に応じて償還すべきことを請求することができる。
3 第一項本文に規定する場合には、集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。
4 前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。
5 第一項本文に規定する場合を除いて、建物の一部が滅失したときは、集会において、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。
6 前項の決議をした集会の議事録には、その決議についての各区分所有者の賛否をも記載し、又は記録しなければならない。

7 第五項の決議があつた場合において、その決議の日から二週間を経過したときは、次項の場合を除き、その決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。以下この条において「決議賛成者」という。)以外の区分所有者は、決議賛成者の全部又は一部に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。この場合において、その請求を受けた決議賛成者は、その請求の日から二月以内に、他の決議賛成者の全部又は一部に対し、決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した第十四条に定める割合に応じて当該建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。
8 第五項の決議の日から二週間以内に、決議賛成者がその全員の合意により建物及びその敷地に関する権利を買い取ることができる者を指定し、かつ、その指定された者(以下この条において「買取指定者」という。)がその旨を決議賛成者以外の区分所有者に対して書面で通知したときは、その通知を受けた区分所有者は、買取指定者に対してのみ、前項前段に規定する請求をすることができる。
9 買取指定者が第七項前段に規定する請求に基づく売買の代金に係る債務の全部又は一部の弁済をしないときは、決議賛成者(買取指定者となつたものを除く。以下この項及び第十三項において同じ。)は、連帯してその債務の全部又は一部の弁済の責めに任ずる。ただし、決議賛成者が買取指定者に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、この限りでない。
10 第五項の集会を招集した者(買取指定者の指定がされているときは、当該買取指定者)は、決議賛成者以外の区分所有者に対し、四月以上の期間を定めて、第七項前段に規定する請求をするか否かを確答すべき旨を書面で催告することができる。
11 前項に規定する催告を受けた区分所有者は、前項の規定により定められた期間を経過したときは、第七項前段に規定する請求をすることができない。
12 第五項に規定する場合において、建物の一部が滅失した日から六月以内に同項、次条第一項又は第七十条第一項の決議がないときは、各区分所有者は、他の区分所有者に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。
13 第二項、第七項、第八項及び前項の場合には、裁判所は、償還若しくは買取りの請求を受けた区分所有者、買取りの請求を受けた買取指定者又は第九項本文に規定する債務について履行の請求を受けた決議賛成者の請求により、償還金又は代金の支払につき相当の期限を許与することができる。」

 とあり、

 これも、長い規定が続いて難解ですが、滅失が建物価格の1/2以下(小規模滅失)か1/2超(大規模滅失)かで、共用部分の復旧をするか、建替えるかなど規定が異なっています。



 区分所有法第61条の流れを纏めますと、以下のようになります。



 そこで、設問の「マンションの滅失が建物の価格の2分の1以下に相当する部分の滅失であるときは、各区分所有者が滅失した共用部分を復旧することができるが、復旧の工事に着手するまでに集会において復旧又は建替えの決議があった場合はこの限りでない。」
 に戻りますと、これは、区分所有法第65条1項
「第六十一条 建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。ただし、共用部分については、復旧の工事に着手するまでに第三項、次条第一項又は第七十条第一項の決議があつたときは、この限りでない。」
 によれば、正しい。



2 マンションの滅失が建物の価格の2分の1を超えるときは、復旧の決議をした集会の議事録には、その決議についての各区分所有者の賛否をも記載し、又は記録しなければならない。

〇 正しい。 滅失が、建物価格の1/2超で、復旧の決議をしたなら、議事録に各区分所有者の賛否を明確にすること。
 
 建物の滅失で価格の2分の1を超えるとき(大規模滅失)となると、選択肢1で引用しました区分所有法第61条5項
「5 第一項本文に規定する場合を除いて、建物の一部が滅失したときは、集会において、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。」
 とあり、
 「第一項本文に規定する場合」を除いてとは、第一項本文は、「建物価格の1/2以下」を指していますから、区分所有法第61条5項からは、「建物価格の1/2超」の場合となります。
 そこでは、「集会において、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができ」、続く同条6項に、
「6 前項の決議をした集会の議事録には、その決議についての各区分所有者の賛否をも記載し、又は記録しなければならない。」
 とあるので、
 「マンションの滅失が建物の価格の2分の1を超えるときは、復旧の決議をした集会の議事録には、その決議についての各区分所有者の賛否をも記載し、又は記録しなければならない」は、正しい。

 どうして、各区分所有者の賛否を記録するのかといいますと、大規模滅失(建物価格の1/2超の滅失)での共用部分の復旧に「賛成・反対」は非常に重要で、金銭負担と、あとで出てくる(7項)買取請求などで使用するので、必ず議事録に記載または記録が必要としました。



3 建替え決議をするときは、決議事項の一つとして、建物の取壊し及び再建建物の建築に要する費用の概算額を定めなければならないが、併せて、その費用の分担に関する事項についても定める必要がある。

〇 正しい。 建替え決議では、必要。

 平成18年 マンション管理士試験 「問6」 、

 今度は、建替え決議です。これは、区分所有法第62条
「(建替え決議)
 第六十二条 集会においては、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。
2 建替え決議においては、次の事項を定めなければならない。
  一 新たに建築する建物(以下この項において「再建建物」という。)の設計の概要
  二 建物の取壊し及び再建建物の建築に要する費用の概算額
  三 前号に規定する費用の分担に関する事項
  四 再建建物の区分所有権の帰属に関する事項

3 前項第三号及び第四号の事項は、各区分所有者の衡平を害しないように定めなければならない。
4 第一項に規定する決議事項を会議の目的とする集会を招集するときは、第三十五条第一項の通知は、同項の規定にかかわらず、当該集会の会日より少なくとも二月前に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸長することができる。
5 前項に規定する場合において、第三十五条第一項の通知をするときは、同条第五項に規定する議案の要領のほか、次の事項をも通知しなければならない。
  一 建替えを必要とする理由
  二 建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持又は回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額及びその内訳
  三 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容
  四 建物につき修繕積立金として積み立てられている金額
6 第四項の集会を招集した者は、当該集会の会日より少なくとも一月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について区分所有者に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。
7 第三十五条第一項から第四項まで及び第三十六条の規定は、前項の説明会の開催について準用する。この場合において、第三十五条第一項ただし書中「伸縮する」とあるのは、「伸長する」と読み替えるものとする。
8 前条第六項の規定は、建替え決議をした集会の議事録について準用する。」

 とあり、
 建替え決議においては、区分所有法第62条2項
 「2 建替え決議においては、次の事項を定めなければならない。
  一 新たに建築する建物(以下この項において「再建建物」という。)の設計の概要
  二 建物の取壊し及び再建建物の建築に要する費用の概算額
  三 前号に規定する費用の分担に関する事項
  四 再建建物の区分所有権の帰属に関する事項」
 となっていますから、
 設問の「建替え決議をするときは、決議事項の一つとして、建物の取壊し及び再建建物の建築に要する費用の概算額を定めなければならないが、併せて、その費用の分担に関する事項についても定める必要がある」は、正しい。


 


4 建替え決議を会議の目的とする集会を招集した者は、区分所有者からの要請がなければ、当該招集の際に通知すべき事項についての説明会を開催する必要はない。

X 誤っている。 建替えでは、要請がなくても、説明会は必ず開くこと。
 平成20年 マンション管理士試験 「問10」 、

 建替えの決議をする集会では、その前に、必ず説明会は、開いて、周知が必要です。
 それは、選択肢1で引用しました区分所有法第62条6項
「6 第四項の集会を招集した者は、当該集会の会日より少なくとも一月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について区分所有者に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。」
 とあり、
 建替えの説明会は大変に重要ですから、区分所有者の要請がなくても、開催が義務付けられていますので、「建替え決議を会議の目的とする集会を招集した者は、
区分所有者からの要請がなければ、当該招集の際に通知すべき事項についての説明会を開催する必要はない」は、誤りです。

 


答え: 4

  ここは、基本で、かなり易しい。 解説は、一部滅失で時間がかかったが。

《タグ》区分所有法 一部滅失 復旧 建替え 説明会

問10

〔問 10〕 A棟、B棟(いずれも分譲マンションで区分所有建物)及びC棟(賃貸マンションで単独所有建物)の三棟が所在する土地がこれらの建物の所有者の共有に属しており、その共有者全員で団地管理組合を構成している。この場合におけるA棟の建替え承認決議に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。なお、既にA棟の区分所有者の集会において、A棟の建替えが議決されているものとする。


1 団地管理組合の集会において、A棟の建替え承認決議を得るためには、議決権の4分の3以上の多数の賛成が必要であり、各団地建物所有者の議決権は、その有する建物又は専有部分の床面積の割合による。

X 誤っている。 団地で特定の棟の建替え承認決議の議決権は、土地の持分の割合による。専有部分の床面積の割合ではない。
 平成25年 マンション管理士試験 「9」 

 

 団地の建替え承認は、区分所有法第69条
「(団地内の建物の建替え承認決議)
 第六十九条 一団地内にある数棟の建物(以下この条及び次条において「団地内建物」という。)の全部又は一部が専有部分のある建物であり、かつ、その団地内の特定の建物(以下この条において「特定建物」という。)の所在する土地(これに関する権利を含む。)が当該団地内建物の第六十五条に規定する団地建物所有者(以下この条において単に「団地建物所有者」という。)の共有に属する場合においては、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める要件に該当する場合であつて当該土地(これに関する権利を含む。)の共有者である当該団地内建物の団地建物所有者で構成される同条に規定する団体又は団地管理組合法人の
集会において議決権の四分の三以上の多数による承認の決議(以下「建替え承認決議」という。)を得たときは、当該特定建物の団地建物所有者は、当該特定建物を取り壊し、かつ、当該土地又はこれと一体として管理若しくは使用をする団地内の土地(当該団地内建物の団地建物所有者の共有に属するものに限る。)に新たに建物を建築することができる
  一 当該特定建物が専有部分のある建物である場合 その建替え決議又はその区分所有者の全員の同意があること。
  二 当該特定建物が専有部分のある建物以外の建物である場合 その所有者の同意があること。
2 前項の集会における各団地建物所有者の議決権は、第六十六条において準用する第三十八条の規定にかかわらず、第六十六条において準用する第三十条第一項の規約に別段の定めがある場合であつても、当該特定建物の所在する土地(これに関する権利を含む。)の持分の割合によるものとする。
3 第一項各号に定める要件に該当する場合における当該特定建物の団地建物所有者は、建替え承認決議においては、いずれも
これに賛成する旨の議決権の行使をしたものとみなす。ただし、同項第一号に規定する場合において、当該特定建物の区分所有者が団地内建物のうち当該特定建物以外の建物の敷地利用権に基づいて有する議決権の行使については、この限りでない。
4 第一項の集会を招集するときは、第六十六条において準用する第三十五条第一項の通知は、同項の規定にかかわらず、当該集会の会日より少なくとも二月前に、同条第五項に規定する議案の要領のほか、新たに建築する建物の設計の概要(当該建物の当該団地内における位置を含む。)をも示して発しなければならない。ただし、この期間は、第六十六条において準用する第三十条第一項の規約で伸長することができる。
5 第一項の場合において、建替え承認決議に係る建替えが当該特定建物以外の建物(以下この項において「当該他の建物」という。)の建替えに
特別の影響を及ぼすべきときは、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める者が当該建替え承認決議に賛成しているときに限り、当該特定建物の建替えをすることができる。
  一 当該他の建物が専有部分のある建物である場合 第一項の集会において当該他の建物の区分所有者全員の議決権の四分の三以上の議決権を有する区分所有者
  二 当該他の建物が専有部分のある建物以外の建物である場合 当該他の建物の所有者
6 第一項の場合において、当該特定建物が二以上あるときは、当該二以上の特定建物の団地建物所有者は、各特定建物の団地建物所有者の合意により、当該二以上の特定建物の建替えについて一括して建替え承認決議に付することができる。
7 前項の場合において、当該特定建物が専有部分のある建物であるときは、当該特定建物の建替えを会議の目的とする第六十二条第一項の集会において、当該特定建物の区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、当該二以上の特定建物の建替えについて一括して建替え承認決議に付する旨の決議をすることができる。この場合において、その決議があつたときは、当該特定建物の団地建物所有者(区分所有者に限る。)の前項に規定する合意があつたものとみなす。」

 とあります。
 本当に、この条文も分かり難い文章です。


 区分所有法第69条を纏めますと
 ★敷地や附属の施設が共有の関係にある団地では、団地全体の管理ができます。(第65条)
  そして、団地内での建替えには、「土地が共有」であれば、第69条と次の第70条によって3のパターンが区分所有法では規定されています。
  1.一つの棟(特定建物という)だけの建替え(区分所有法第69条1項〜5項)
  2.複数の棟(特定建物)の建替え(区分所有法第69条6項、7項)
  3.団地内の全部の棟の建替え(一括建替え 区分所有法第70条1項〜4項)
 ということです。

 なお、団地関係ではC棟のような賃貸だけの棟があっても、可能です。


  そこで、設問の「団地管理組合の集会において、A棟の建替え承認決議を得るためには、議決権の4分の3以上の多数の賛成が必要であり、各団地建物所有者の議決権は、その有する建物又は専有部分の床面積の割合による」ですが、これは、一つの棟の建替え承認決議ですから、その議決権は、区分所有法第69条2項
「2 
前項の集会における各団地建物所有者の議決権は、第六十六条において準用する第三十八条の規定にかかわらず、第六十六条において準用する第三十条第一項の規約に別段の定めがある場合であつても、当該特定建物の所在する土地(これに関する権利を含む。)の持分の割合によるものとする。」
 とあり、
 区分所有法第69条1項及び2項によれば、「集会において議決権の四分の三以上の多数による承認」が必要で、その議決権の割合は、一般の議決方法と異なり規約での別段を認めず、「土地の持分割合」になりますから、「各団地建物所有者の議決権は、その有する建物又は専有部分の床面積の割合による」は、誤りです。

 なお、区分所有者の数は、必要とされていないことに、注意してください。






2 A棟の区分所有者は、A棟の区分所有者の集会において建替え決議に賛成しなかった場合でも、団地管理組合の集会におけるA棟の建替え承認決議では、全員が賛成したものとみなされる。

〇 正しい。 全員が賛成したと”みなさないと”、話が先に進められない
 平成22年 マンション管理士試験 「問11」 、
 
 設問は、選択肢1で引用しました区分所有法第69条3項
「3 第一項各号に定める要件に該当する場合における当該特定建物の団地建物所有者は、建替え承認決議においては、いずれもこれに賛成する旨の議決権の行使をしたものとみなす。ただし、同項第一号に規定する場合において、当該特定建物の区分所有者が団地内建物のうち当該特定建物以外の建物の敷地利用権に基づいて有する議決権の行使については、この限りでない。」
 とあり、
 区分所有法第69条3項によれば、A棟の区分所有者は、A棟の区分所有者の集会において建替え決議に賛成しなかった場合でも、団地管理組合の集会におけるA棟の建替え承認決議では、
全員が賛成したものと”みなされる”」は、正しい。

 では、どうして、みなす規定が必要なのでしょうか。
 これは、建替えを希望する棟での建替え決議に反対や無回答の人が、再度、団地での集会で反対をすることができるとすると、決着がつかない。また建替えしようとする棟から反対票がでるのはおかしいという趣旨で、建替え反対者も売渡請求権の行使等によりやがていなくなるというのもその理由の一つでしよう。

 似たような規定は、一棟での建替えに関する合意(区分所有法第64条)も参考にしてください。


3 建替え承認決議に係るA棟の建替えがB棟の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、A棟の建替えは、団地管理組合の建替え承認決議に係る集会において、B棟の区分所有者全員の議決権の4分の3以上の議決権を有する区分所有者の賛成を得なければ行うことができない。

〇 正しい。 他の棟にも特別の影響があるなら、保護しなければならない。

 平成22年 マンション管理士試験 「問11」 、

 設問は、選択肢1で引用しました区分所有法第69条5項
「5 第一項の場合において、建替え承認決議に係る建替えが当該特定建物以外の建物(以下この項において「当該他の建物」という。)の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める者が当該建替え承認決議に賛成しているときに限り、当該特定建物の建替えをすることができる。
  
一 当該他の建物が専有部分のある建物である場合 第一項の集会において当該他の建物の区分所有者全員の議決権の四分の三以上の議決権を有する区分所有者
  二 当該他の建物が専有部分のある建物以外の建物である場合 当該他の建物の所有者」

 とあり、
 B棟は、専有部分のある建物ですから、区分所有法第69条5項1号により、「建替え承認決議に係るA棟の建替えがB棟の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、A棟の建替えは、団地管理組合の建替え承認決議に係る集会において、B棟の区分所有者全員の議決権の4分の3以上の議決権を有する区分所有者の賛成を得なければ行うことができない」は、正しい。

 なお、何が特別の影響」に該当するかは、マンション管理士 香川事務所 が無料で提供しています「超解説 区分所有法」で補強してください。



4 建替え承認決議に係るA棟の建替えがC棟の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、A棟の建替えは、C棟の所有者の賛成を得なければ行うことができない。

〇 正しい。 単独所有の棟に特別の影響を及ぼすなら、その棟の所有者が賛成しなければならない。

 設問は、選択肢3でも引用しました、区分所有法第69条5項2号
「5 第一項の場合において、建替え承認決議に係る建替えが当該特定建物以外の建物(以下この項において「当該他の建物」という。)の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める者が当該建替え承認決議に賛成しているときに限り、当該特定建物の建替えをすることができる。
  一 当該他の建物が専有部分のある建物である場合 第一項の集会において当該他の建物の区分所有者全員の議決権の四分の三以上の議決権を有する区分所有者
 
 二 当該他の建物が専有部分のある建物以外の建物である場合 当該他の建物の所有者」

 とあり、
 C棟は、賃貸マンションで単独所有建物とのことですから、区分所有法第69条5項2号により、「建替え承認決議に係るA棟の建替えがC棟の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、A棟の建替えは、C棟の所有者の賛成を得なければ行うことができない」は、正しい。



答え: 1

  ここは、団地は、土地の共有で成立していることが、分かれば、正解は、早い。

《タグ》区分所有法 団地 一棟の建替え 議決権 みなす 特別の影響

問11

〔問 11〕 大規模な火災、震災その他の災害で政令で定めるものにより区分所有建物の一部が滅失した場合において、当該政令の施行の日から起算して1年を経過する日までの間に、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(平成7年法律第 43 号)及び区分所有法の定めるところにより開催される区分所有法第 34 条の規定による集会(この問いにおいて「区分所有者集会」という。)に関する次の記述のうち、これらの法律の規定によれば、正しいものはどれか。


1 区分所有者集会の招集の通知は、区分所有者が災害前に管理者に対して通知を受けるべき場所を届け出ていた場合には、その場所に宛ててすることができる。

X 誤っている。 紛らわしいが、”災害発生後”に通知を受ける場所で、”災害前”ではない。

 平成30年 マンション管理士試験 「問11」 、 平成29年 マンション管理士試験 「問11」  、平成26年 マンション管理士試験 「問11」 、 平成23年マンション管理士試験 「問10」

  まず、マンションの建物が、一部滅失した場合の復旧手続きなどは、区分所有法に定めがありますが、大規模な災害や震災などで建物の全部が滅失すると、建物を中心にした区分所有法の範疇では無くなります。建物が無くなれば、あとに残るのは土地(瓦礫もありますが)の権利だけとなり、民法の共有の規定に戻ります。

 しかし、民法第251条の共有物の変更
 
「(共有物の変更)
 第二百五十一条 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。」

 とあり、マンションのように、多数の共有者(区分所有者)がいれば、全員の同意をとることは、不可能に近く、何もできないと同じで、再建ができません。
 そこで、区分所有法と同様に敷地共有者の多数決で先に進めるようにしたのが、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法です。


 設問の区分所有者集会の招集の通知は、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法第8条
「(区分所有建物の一部が滅失した場合における区分所有者集会の招集の通知に関する特例)
 第八条 前条に規定する場合において、第二条の政令の施行の日から起算して一年以内の日を会日とする区分所有者集会を招集するときは、区分所有法第三十五条第一項の通知については、同条第三項及び第四項の規定は、適用しない。
2 前項の通知は、区分所有者が第二条の政令で定める災害が発生した時以後に管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときは、その場所に宛ててすれば足りる。この場合には、同項の通知は、通常それが到達すべき時に到達したものとみなす。
3 区分所有者集会を招集する者が区分所有者(前項の規定により通知を受けるべき場所を通知したものを除く。)の所在を知ることができないときは、第一項の通知は、当該区分所有建物又はその敷地内の見やすい場所に掲示してすることができる。
4 前項の場合には、当該通知は、同項の規定による掲示をした時に到達したものとみなす。ただし、区分所有者集会を招集する者が当該区分所有者の所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない。
5 区分所有法第三十五条第一項の通知をする場合において、会議の目的たる事項が次条第一項、第十条第一項又は第十一条第一項に規定する決議事項であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。」

 とあり、
 被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法第8条2項によれば、
 「2 前項の通知は、区分所有者が第二条の政令で定める”
災害が発生した時以後”に管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときは、その場所に宛ててすれば足りる」となっており、設問の「区分所有者が”災害前”に管理者に対して通知を受けるべき場所を届け出ていた場合には、その場所に宛ててすることができる」は、誤りです

 一部滅失は、上の「問9」を参照。

 参考:区分所有者集会の招集の通知。区分所有法第35条
「(招集の通知)
 第三十五条 集会の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる。
2 専有部分が数人の共有に属するときは、前項の通知は、第四十条の規定により定められた議決権を行使すべき者(その者がないときは、共有者の一人)にすれば足りる。
3 第一項の通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に、これを通知しなかつたときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。この場合には、同項の通知は、通常それが到達すべき時に到達したものとみなす。
4 建物内に住所を有する区分所有者又は前項の通知を受けるべき場所を通知しない区分所有者に対する第一項の通知は、規約に特別の定めがあるときは、建物内の見やすい場所に掲示してすることができる。この場合には、同項の通知は、その掲示をした時に到達したものとみなす。
5 第一項の通知をする場合において、会議の目的たる事項が第十七条第一項、第三十一条第一項、第六十一条第五項、第六十二条第一項、第六十八条第一項又は第六十九条第七項に規定する決議事項であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。」



2 区分所有者集会の招集の通知は、当該集会を招集する者が区分所有者の所在を知っていたときであっても、区分所有建物又はその敷地内の見やすい場所に掲示してすることができる。

 誤っている。 知っていれば(通知を受けていれば)、通知場所へ通知する。
 平成29年 マンション管理士試験 「問11」 

 設問は、選択肢1で引用しました、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法第8条3項
「3 区分所有者集会を招集する者が区分所有者(前項の規定により通知を受けるべき場所を通知したものを除く。)の所在を知ることができないときは、第一項の通知は、当該区分所有建物又はその敷地内の見やすい場所に掲示してすることができる。」
 とあり、集会の招集者が、区分所有者の所在知っている(通知を受けている)場合には、通知は、その場所にしますから、「区分所有者集会の招集の通知は、当該集会を招集する者が区分所有者の
所在を知っていたときであっても、区分所有建物又はその敷地内の見やすい場所に掲示してすることができる」は、誤りです。


3 区分所有建物に係る敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利であるときは、区分所有者集会において、区分所有者、議決権及び当該敷地利用権の持分の価格の各4分の3以上の多数で、当該区分所有建物及びその敷地を売却する旨の決議をすることができる。

X 誤っている。 建物と敷地の売却となると、4/5以上要。3/4以上では、足りない。

 区分所有建物及びその敷地を売却する旨の決議は、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法第9条
(建物敷地売却決議等)
 第九条 
第七条に規定する場合において、当該区分所有建物に係る敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利であるときは、区分所有者集会において、区分所有者、議決権及び当該敷地利用権の持分の価格の各五分の四以上の多数で、当該区分所有建物及びその敷地(これに関する権利を含む。)を売却する旨の決議(以下「建物敷地売却決議」という。)をすることができる
2 建物敷地売却決議においては、次の事項を定めなければならない。
  一 売却の相手方となるべき者の氏名又は名称
  二 売却による代金の見込額
  三 売却によって各区分所有者が取得することができる金銭の額の算定方法に関する事項
3 前項第三号の事項は、各区分所有者の衡平を害しないように定めなければならない。
4 第一項に規定する決議事項を会議の目的とする区分所有者集会を招集するときは、区分所有法第三十五条第一項の通知は、同項の規定にかかわらず、当該区分所有者集会の会日より少なくとも二月前に発しなければならない。
5 前項に規定する場合において、区分所有法第三十五条第一項の通知をするときは、前条第五項に規定する議案の要領のほか、次の事項をも通知しなければならない。
  一 売却を必要とする理由
  二 復旧又は建替えをしない理由
  三 復旧に要する費用の概算額
6 第四項の区分所有者集会を招集した者は、当該区分所有者集会の会日より少なくとも一月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について区分所有者に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。
7 前項の説明会の招集の通知その他の説明会の開催については、区分所有法第三十五条第一項本文及び第二項並びに第三十六条並びに前条第二項から第四項までの規定を準用する。
8 建物敷地売却決議をした区分所有者集会の議事録には、その決議についての各区分所有者の賛否をも記載し、又は記録しなければならない。」

 とあり、
 引用されています、第7条は、
「(区分所有者集会の特例)
 第七条 第二条の政令で定める災害により
区分所有建物の一部が滅失した場合においては、区分所有者は、その政令の施行の日から起算して一年を経過する日までの間は、この法律及び区分所有法の定めるところにより、区分所有法第三十四条の規定による集会(以下「区分所有者集会」という。)を開くことができる。」

 です。


 被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法第9条1項によれば、「当該区分所有建物及びその敷地を売却する決議には、区分所有者、議決権及び当該敷地利用権の持分の価格の各五分の四以上の多数が必要」となっていますから、設問の「区分所有建物に係る敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利であるときは、区分所有者集会において、区分所有者、議決権及び当該敷地利用権の持分の価格の各4分の3以上の多数で、当該区分所有建物及びその敷地を売却する旨の決議をすることができる」は、誤りです。


4 区分所有建物の滅失が建物の価格の2分の1を超える場合には、区分所有者集会において、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の区分所有法に基づく措置を決議することができる。

〇 正しい。 大規模滅失では、区分所有者集会において、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の区分所有法に基づく措置を決議することができる。

 設問が、単純に区分所有法によるのか、それとも被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法によるのか紛らわしいのですが、区分所有建物の滅失が建物の価格の2分の1を超える場合とは、上の「問9」にありますように、区分所有法第61条5項以下で規定される「大規模滅失」となります。
 その、区分所有法第61条5項は、
 「5 第一項本文に規定する場合を除いて、建物の一部が滅失したときは、集会において、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。」
 とあり、
 「区分所有建物の滅失が建物の価格の2分の1を超える場合には、区分所有者集会において、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の区分所有法に基づく措置を決議することができる」は、正しい。

 なお、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法第12条で、
「(建物の一部が滅失した場合の復旧等に関する特例)
 第十二条 第二条の政令で定める災害により
区分所有建物の一部が滅失した場合についての区分所有法第六十一条第十二項の規定の適用については、同項中「建物の一部が滅失した日から六月以内に」とあるのは「その滅失に係る災害を定める被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(平成七年法律第四十三号)第二条の政令の施行の日から起算して一年以内に」と、「又は第七十条第一項」とあるのは「若しくは第七十条第一項又は同法第九条第一項、第十条第一項、第十一条第一項若しくは第十八条第一項」とする。」

 とあり、
 その区分所有法第61条12項
「12 第五項に規定する場合において、建物の一部が滅失した日から六月以内に同項、次条第一項又は第七十条第一項の決議がないときは、各区分所有者は、他の区分所有者に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。」
 とあり、
 区分所有法での、「建物の一部が滅失した日から
六月以内」が、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法により「その滅失に係る災害を定める被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(平成七年法律第四十三号)第二条の政令の施行の日から起算して一年以内」となりますから、注意してください。


答え: 4 

 選択肢1は、かなり引っ掛け的な出題で、良くない。
 問題全体としては、難しいか。


《タグ》被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法 招集通知 建物と敷地の売却 4/5以上 大規模滅失の復旧 3/4以上

問12

〔問 12〕 Aがその所有する甲マンションの 101 号室をBに賃貸した場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法(平成3年法律第 90 号)の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。


1 AとBとの間で、期間を3年として賃貸借契約を締結する場合に、契約の更新がないこととする旨を定めようとするときには、公正証書によって契約をしなければ、その旨の定めは無効となる。

X 誤っている。 定期賃貸借契約は、書面によることが要件だが、特に公正証書に限らない。
  借地借地家法からの出題は、平成30年 マンション管理士試験 「問15」 、 平成28年 管理業務主任者試験 「問40」 、 平成27年 管理業務主任者試験 「問44」 平成26年 マンション管理士試験 「問12」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問43」 、 平成25年 管理業務主任者試験 「問42」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問43」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問44」 、  平成22年 管理業務主任者試験 「問44」 、平成21年 管理業務主任者試験 「問45」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問43」 など。

 定期借家契約は、もう鉄板。


 建物の賃貸借契約では、契約の更新については、解約の通知をするとか、正当な事由が必要とか、借家人を保護した規定がありますが、これはでは、余りにも借家人の保護に行きすぎという大家サイドの意見から、平成12年(2000年)3月から借地借家法の改正で、「定期建物賃貸借」という制度が創設されました。

 その「定期建物賃貸借」では、
 @期間は、何か月から何年でもいいが、必ず期間を定めること
 A契約期間が満了すれば、更新はない
 
Bただし、その契約は、「公正証書などの書面によること」
 Cその契約の内容(更新がないこと)を、書面を交付して、賃貸人が借家人に説明すること
 D契約期間の満了前の一年から6ヵ月前に、契約終了の通知をすること
 が、求められます。


 そこで、期間を3年として、契約の更新がない、賃貸借契約を締結する場合なら、借地借家法第38条
「(定期建物賃貸借)
 第三十八条 
期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない
2 前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
3 建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
4 第一項の規定による建物の賃貸借において、期間が一年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の一年前から六月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から六月を経過した後は、この限りでない。
5 第一項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が二百平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する。
6 前二項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
7 第三十二条の規定は、第一項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない。」

 とあり、
 借地借家法第38条1項によれば、定期建物賃貸借契約をするには、「
公正証書による等書面」であればよく、特に「公正証書に限る」ではないため、「AとBとの間で、期間を3年として賃貸借契約を締結する場合に、契約の更新がないこととする旨を定めようとするときには、公正証書によって契約をしなければ、その旨の定めは無効とならない」ので、設問は、誤りです。


2 Aが、Cに対し、101 号室を書面によらずに贈与することとして、その所有権をCに移転し、登記したときは、AはCに対する贈与を撤回できない。

〇 正しい。 書面によらない贈与は、撤回(解除)できるが、履行の終わった部分は、撤回(解除)できない。

 平成27年 マンション管理士試験 「問12」 、 平成27年 管理業務主任者試験 「問5」 
 
 今度は、単純に民法の設問。これも、よくで出る。

 書面によらない贈与は、民法第550条
「(書面によらない贈与の撤回)
 第五百五十条 
書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。

 とあり、
 民法第550条によれば、書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができますが、但し書きがあり、「履行の終わった部分」については、この限りではありません。
 そこで、「履行の終わった部分」の解釈として、最高裁判所、昭和40年3月26日 の判決、
 「不動産の贈与契約に基づく所有権移転登記と贈与の履行の終了。
  
不動産の贈与契約にもとづいて該不動産の所有権移転登記がなされたときは、その引渡の有無をとわず、民法第五五〇条にいう履行が終つたものと解すべきである。
 によれば、
 「その所有権をCに移転し、登記したときは、AはCに対する贈与を撤回できない」は、履行の終わったものとなりますから、撤回できず、正しい。

 なお、民法第550条での「撤回」は、2020年4月1日から施行の改正で、「撤回」から、意思表示の効力を消滅させる意味から「解除」へ、変更になります。



3 Bは、Aの書面による承諾を得ていなくても、口頭による承諾を得ている場合は、Dに対し、101 号室を転貸することができる。

〇 正しい。 この場合の承諾は、口頭でもいい。

 平成30年 管理業務主任者試験 「問5」 、 平成29年 マンション管理士試験 「問13」 、


 

 転貸借は、基本的に、賃貸人の承諾がないと、また貸し(転貸)は、できません。
 それが、民法第612条
「(
賃借権の譲渡及び転貸の制限)
 第六百十二条 
賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。」

 です。
 そこで、設問の、賃貸人の承諾が、「口頭」の場合ですが、契約は、申込者と承諾者の意思の合致によって成立します。
これは、諾成契約と呼ばれ、売買・贈与・賃貸借・請負・委任などが、その例です。

 したがって、書面でなくても、原則として、口頭による合意によっても転貸契約は有効に成立することになりますので、
「賃借人Bは、賃貸人Aの書面による承諾を得ていなくても、口頭による承諾を得ている場合は、Dに対し、101 号室を転貸することができる」は、正しい。

参考:要物契約・・・契約の成立に、当事者の合意だけでなく目的物の引き渡しなどの給付を必要とする契約。消費貸借・使用貸借・寄託など。



4 Eが、Aに対し、Bの賃料債務を保証する場合には、書面又はその内容を記録した電磁的記録によってしなければ保証契約は効力を生じない。

〇 正しい。 保証契約は、書面が必要。 電磁的記録でも可。
 平成29年 管理業務主任者試験 「問5」 、 平成28年 マンション管理士試験 「問13」 、 

 また、「問14」 も。

 保証契約は、民法第446条
「(保証人の責任等)
 第四百四十六条 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。」

 とあり、
 民法第446条2項によれば、「書面」が必要です。
 そこで、設問の「その内容を記録した電磁的記録」ですが、同条3項により、これは「書面」とみなされていますから、「 Eが、Aに対し、Bの賃料債務を保証する場合には、書面又はその内容を記録した電磁的記録によってしなければ保証契約は効力を生じない」は、正しい。

 民法第446条の2項及び3項は、平成17年(2005年)4月1日施行で、追加されたものです。
 なお、2020年4月1日施行の改正民法では、第446条3項は、
 「3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録
(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。」
 となり、
 定義の部分は、民法第446条3項から削除され、この部分は、新しく設定された民法第151条4項に
 「4 第1項の合意が
その内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理に用に供されるものをいう。以下同じ。)によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前3項の規定を適用する。」
 となっています。



答え: 

 ここの正解は、超易しい。
 しかし、解説は、かなり細かくし、2020年の改正や図まで入れたので、時間がかかる。

《タグ》借地借家法 定期借家契約 公正証書など 民法 転貸借 承諾 口頭 保証 書面 電磁的記録 

問13

〔問 13〕 甲マンションの 102 号室を所有するAが遺言することなく死亡し、Aの相続人であるBとCがAの遺産全てをBが相続する旨の遺産分割をした場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。


1 AがDに対して、Aの死亡前に、102 号室を譲渡したときは、Dは所有権移転登記なくしてBに対して 102 号室の所有権を主張できる。

〇 正しい。 譲渡契約では、成立時に所有権が移転している。 相続人(包括承継人)には、登記が無くても主張できる。


 何故か、出題者は、複雑な相関図が好きです。

 

 出題の意図が、相続を中心にするのか、民法第177条の対抗者の第三者に包括承継人が入るのかが、捉えにくくて、解説の主題が面倒。

 ここは、
 売買契約が成立なら、民法第555条
「(売買)
 第五百五十五条 売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」

 とあり、
 売買契約成立の時点で、不動産でもその所有権は、買主に移転し、売主は、該当の不動産の所有権移転登記に協力する義務があります。

 しかし、その売主が死亡したが、まだ、所有権の移転登記が終わっていない場合なら、まず相続で、民法第896条
「(相続の一般的効力)
 第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」

 とあり、
 元の所有者で亡くなったAが行った権利義務は、相続人B及びCに承継されます。
 そこで、死亡したAが、遺言をしていないとのことで、B、Cは遺産分割協議をして、遺産の分割をします。
 それは、民法第907条
「(遺産の分割の協議又は審判等)
 第九百七条 共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
2 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。
3 前項本文の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。」

 です。

 遺産分割協議の結果、BがAの全ての遺産相続人となったのであれば、死亡したAの102号室の譲渡における権利義務はBが承継しますから、「AがDに対して、Aの死亡前に、102 号室を譲渡したときは、Dは所有権移転登記なくしてBに対して 102 号室の所有権を主張できる」は、正しい。

 なお、民法第177条
「(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
 第百七十七条 
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」

 の、「第三者」とは、「当事者及び包括承継人」以外で、「不動産物権変動の登記の欠缺(けんけつ)を主張する正当な利益を有する者」と考えられている(大審院 明治41年12月15日があるらしい)ので、譲受人は、登記がなくても、第三者でない包括承継人であるBに、所有権移転登記なくして、 102 号室の所有権を主張できるので、正しい、とするか。



2 AがEに対して、Aの死亡前に、102 号室を譲渡し、BC 間の遺産分割後に、BがFに対して 102 号室を譲渡したときは、Eは所有権移転登記なくしてFに対して 102 号室の所有権を主張できない。

〇 正しい。 不動産の二重譲渡では、登記がないと、所有権は主張できない。

 平成26年 管理業務主任者試験 「問1」 、 平成25年マンション管理士試験 「問12」平成25年 管理業務主任者試験 「問4」 、 平成20年管理業務主任者試験 「問6」、 平成20年マンション管理士試験 「問14」 など。


 この二重譲渡の出題で意図が、はっきりしてきた。選択肢1も、単純に民法第177条関係なんだろう。

 

 
 選択肢1で引用しました民法第177条
「(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
 第百七十七条 
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」

 とあり、
 不動産の売買では不動産登記をしますが、この登記は物権変動を第三者に対抗するための対抗要件です。
 そこで、この対抗要件:登記を備えないと、たとえば「二重譲渡」により別の買主が現れた場合に、自分が売主だと主張して裁判で勝つことができません。
 二重譲渡は有効ですが、その権利を第三者に対して主張する(対抗するです)なら、登記がないとだめですよとしています。

 設問のように1つの不動産が二重に売買されると、1つの物にも係わらず同じ権利を持つ者が2人もいるという事態になり、民法が原則としています、1つの物には、同じ内容の権利は1つしか成立しないという「一物一権主義」に反しておかしな状況となります。
 そこで、2つある権利をどちらか1つだけを有効にするには何らかの形で優先順位を付けたらどうかという発想から、「先に登記をした方に権利を認めよう」としたのが、民法第177条です。

 設問の場合、民法第177条での、当事者には、「死亡したAとその包括承継人Bそして、Aからの譲渡人Eが該当」し、その後、譲渡されたFは、「第三者」に該当します。
 そこで、先に譲渡されたEであっても、Eは所有権移転登記なくしてFに対して 102 号室の所有権を主張できないため、正しい。

 なお、判例、最高裁判所 昭和33年10月14日の判決 もある。
「被相続人の不動産の譲渡と民法第一七七条の第三者。
 被相続人が不動産の譲渡をなした場合、その相続人から同一不動産の譲渡を受けた者は、民法第一七七条にいう第三者に該当するものと解すべきである。」



3 BC 間の遺産分割協議前に、CがGに対してCの法定相続分に当たる 102 号室の持分を譲渡し、Gが所有権移転登記をしたときであっても、BはGに対して 102 号室全部の所有権を主張できる。

X 誤っている。 第三者の移転登記があれば、それが優先する。 後から全部の所有権は主張できない。

 

 
 遺産分割協議をする前の相続関係は、民法第898条及び第899条、
「(共同相続の効力)
 第八百九十八条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
 第八百九十九条 各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。」

 とあり、
 共同相続人であるBとCは、相続分を承継していますから、共有者としてCがその法定相続分に当たる 102 号室の持分をGに譲渡することは、一応、有効です。
 譲渡後に、遺産分割協議がなされて、Bが全ての遺産相続をした場合は、民法第909条
「(遺産の分割の効力)
 第九百九条
 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。」

 とあり、
 遺産分割協議がなされれば、その効力は、相続時にさかのぼって有効ですが、そこで、但し書き「第三者の権利を害することはできない」がありますから、Gが所有権移転登記をしたときなら、第三者であるGの権利は害することができませんので「BC 間の遺産分割協議前に、CがGに対してCの法定相続分に当たる 102 号室の持分を譲渡し、Gが所有権移転登記をしたときであっても、BはGに対して 102 号室全部の所有権を主張できる」は、誤りです。



4 BC 間の遺産分割協議後に、CがHに対してCの法定相続分に当たる 102 号室の持分を譲渡したときは、Bは遺産分割に基づく所有権移転登記なくしてHに対して 102 号室に係るCの法定相続分の権利の取得を対抗できない。

〇 正しい。 遺産分割により、相続分と異なる権利を取得した相続人は、分割後に権利を取得した第三者に、自己の権利の取得を対抗できない。


 

  まあ、こんな入り組んだ設問は、判例によると考えていい。
 
 具体的には、最高裁判所 昭和46年1月26日 の判決。
 「遺産分割と登記
  
相続財産中の不動産につき、遺産分割により権利を取得した相続人は、登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、法定相続分をこえる権利の取得を対抗することができない。 」
 とあり、
 「遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼつてその効力を生ずるものではあるが、第三者に対する関係においては、相続人が相続によりいつたん取得した権利につき分割時に新たな変更を生ずるのと実質上異ならないものであるから、不動産に対する相続人の共有持分の遺産分割による得喪変更については、民法一七七条の適用があり、分割により相続分と異なる権利を取得した相続人は、その旨の登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、自己の権利の取得を対抗することができないものと解するのが相当である。」 
 ということで、
 「BC 間の遺産分割協議後に、CがHに対してCの法定相続分に当たる 102 号室の持分を譲渡したときは、Bは遺産分割に基づく所有権移転登記なくしてHに対して 102 号室に係るCの法定相続分の権利の取得を対抗できない」は、正しい。



答え: 3

 設問が複雑で、解説に時間がかかる。何と、判例や、民法第177条と第三者、相続の遡及効まで、さまざまな参考書を読んだ。解説と、正誤は、簡単だけど、この設問の裏には明治時代の家長制度と、戦後の民主主義もあり、法学者や判例でも争いが随分とある。

 民法第177条での登記した第三者を優先するのか、相続での問題をどう解決するのか、また、遺産分割の遡及効とも絡み、この出題は、解説に時間がかかったが、面白い。

《タグ》民法 第177条 登記の第三者 遺産分割 前・後

問14

〔問 14〕 Aがその所有する甲マンションの 301 号室をBに対して期間を3年と定めて賃貸し、CがBのためにAとの間で保証契約を締結した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。


1 AとBとの間で賃貸借契約が合意更新された場合、Cは更新後も保証を継続する旨の意思表示をしない限り更新後の賃料債務については保証債務を負わない。

X 誤っている。 特段の事情がない限り、保証債務は、更新された賃貸借債務に継続している。 債務を負う。

 平成29年 管理業務主任者試験 「問5」 、 平成28年 マンション管理士試験 「問13」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問5」 、平成20年 管理業務主任者試験 「問1」 、平成18年 管理業務主任者試験 「問6」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問6」


 

 まず、保証契約は、上の [「問12」 選択肢4 でも出ていますが、民法第446条
「(保証人の責任等)
 第四百四十六条 
保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。」

 です。
 保証契約は、保証人Cと債権者Aとの契約であり、設問の場合Bとの契約ではありません。

 そこで、期間の定めのある賃貸借契約が、更新された場合の、その保証債務は、最高裁判所 平成9年11月13日の判決
 「期間の定めのある建物賃貸借契約の更新と保証人の責任
  
期間の定めのある建物の賃貸借においで、賃借人のために保証人が賃貸人と保証契約を締結した場合には、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを負う趣旨で合意がされたものと解すべきである。」
 とあり、
 「建物の賃貸借は、一時使用のための賃貸借等の場合を除き、期間の定めの有無にかかわらず、本来相当の長期間にわたる存続が予定された継続的な契約関係であり、期間の定めのある建物の賃貸借においても、賃貸人は、自ら建物を使用する必要があるなどの正当事由を具備しなければ、更新を拒絶することができず、賃借人が望む限り、更新により賃貸借関係を継続するのが通常であって、賃借人のために保証人となろうとする者にとっても、右のような賃貸借関係の継続は当然予測できるところであり、また、保証における主たる債務が定期的かつ金額の確定した賃料債務を中心とするものであって、保証人の予期しないような保証責任が一挙に発生することはないのが一般であることなどからすれば、賃貸借の期間が満了した後における保証責任について格別の定めがされていない場合であっても、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、更新後の賃貸借から生ずる債務についても保証の責めを負う趣旨で保証契約をしたものと解するのが、当事者の通常の合理的意思に合致するというべきである」
 ということで、
 「賃貸人Aと賃借人Bとの間で賃貸借契約が合意更新された場合、保証人Cは更新後も保証を継続する旨の意思表示をしなくても更新後の賃料債務については保証債務をします」から、設問は誤りです。



2 Bの賃料不払により賃貸借契約が解除された場合、Cは未納賃料のみならず、Bが 301 号室を契約に基づき返還すべきところ返還しないことによってAが被った損害の賠償債務についても保証債務を負う。

〇 正しい。 保証人は、返還しないことによって発生する損害も賠償しなければいけない。
 平成16年 管理業務主任者試験 「問6」、

 保証債務の範囲は、民法第447条
「(保証債務の範囲)
 第四百四十七条 
保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する
2 保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。」

 とあり、
 判例も、大審院 昭和13年1月31日 (検索システムに該当なし)で、
 「賃貸借契約のように、解除によって契約関係が将来に向かってだけ、消滅する場合は、保証人の責任は当然に損害賠償義務にも及ぶ」
 とのことで、
 民法第447条1項によれば、「賃借人Bの賃料不払により賃貸借契約が解除された場合、保証人Cは未納賃料のみならず、Bが 301 号室を契約に基づき返還すべきところ返還しないことによって賃貸人Aが被った損害の賠償債務についても保証債務を負う」のは、正しい。


3 CがBと連帯して保証する旨の特約があり、Bの賃料不払によりAがCに対して保証債務の履行を請求した場合、CはAに対し、まずBに対して履行の催告をするように請求することができる。

X 誤っている。 連帯保証では、催告の抗弁と検索の抗弁は、ない。
 
 
 
  Cが通常の保証人であれば、民法第452条
「(催告の抗弁)
 第四百五十二条 債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。」

 とあり、
 保証人Cは、まずB(主たる債務者)に対して履行の催告をするように請求することができるのですが、これが、連帯保証となると、民法第454条
「連帯保証の場合の特則)
 第四百五十四条 
保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。

 とあり、
 前2条とは、上の民法第452条(催告の抗弁)と、民法第453条
「検索の抗弁)
 第四百五十三条 債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。」

 ですから、
 「保証人Cが主たる債務者Bと連帯して保証する旨の特約があり、Bの賃料不払によりAがCに対して保証債務の履行を請求した場合、CはAに対し、まずBに対して履行の催告をするように請求することができず」設問は、誤りです。



4 Bの賃料債務が時効により消滅した場合であっても、Cが保証債務の存在を承認したときには、Cは保証債務を免れない。

X 誤っている。 主たる債務が時効で消滅すれば、保証債務も消滅する。保証人が債務の承認をしても、免れる。


 まず、主たる債務に起こった事情は保証債務に影響を及ぼすという、保証債務の付従性から、主たる債務が時効で消滅すれば、保証債務も消滅すると解釈されています。また、保証人が債務の承認や債務の一部弁済をしても、主たる債務の時効の中断事由にはならないため、(大審院 昭和5年9月17日)、「B(主たる債務者)の賃料債務が時効により消滅した場合は、C(保証人)が保証債務の存在を承認したときでも、Cは保証債務を免れます」から、設問は、誤りです。

 参考:保証債務は、
  @主たる債務に付従する(付従性)、
  A債権譲渡の際には主たる債務とともに移転する(随伴性)、
  B二次的な債務である(補充性)
  という性質を有する。



答え: 2  

 解説は、詳細にしたが、正解は易しい?

《タグ》民法 保証 期間での更新 催告の抗弁 主たる債務 付従性 

問15

〔問 15〕 Aは、Bとの間で、甲マンション 401 号室を代金 1,500 万円でBに売却する旨の売買契約(この問いにおいて「本件契約」という。)を締結したが、同室はCの所有するものであった。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。


 *注:以下の民法第560条〜は、2020年4月1日施行の改正民法で、かなり、削除、変更があるので、注意のこと。


1 本件契約は、AがCから 401 号室の所有権を取得した時に、条件が成就して成立する。

X 誤っている。 他人物売買であっても、契約は、売買契約の成立時に成立する。 後の条件成就時ではない。

 平成14年 管理業務主任者試験 「問5」 

 他人物売買は、過去に出題がない?

 
 


 まず、売買なら、自分が持っている物を売るのが妥当ですが、民法では、自分の物以外にも、他人の物でも、売ることができます。それが、民法第560条
「(他人の権利の売買における売主の義務)
 第五百六十条 
他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。」

 です。
 自分の物ではないので、売主は、元の持主から、買うなりして、権利を取得することが必要です。


 そこで、設問の売買契約の成立時期ですが、これは、民法第555条
「(売買)
 第五百五十五条 
売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」

 とあり、
 民法第555条によれば、売買契約は、売主Aが、401号室を売ることを約束して、買主Bが、代金を支払うことを約束した時点で成立していますから、設問の「本件契約は、売主Aが元の持主Cから 401 号室の所有権を取得した時に、条件が成就して成立する」は、誤りです。

 なお、2020年4月1日施行からの改正民法では、これまでの民法第560条は削除され、改正民法第561条として、以下のようになります。
「(他人の権利の売買における売主の義務)
 第561条 他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。」



2 Bは、本件契約の時に、401 号室の所有権がAに属しないことを知っていた。この場合において、AがCから同室の所有権を取得してBに移転することができないときであっても、Bは、本件契約を解除することはできない。

X 誤っている。 買主は、他人物であることを知っていても、移転できなければ、契約の解除はできる。


 他人物売買では、選択肢1で引用しました民法第560条の続きとして、民法第561条
(他人の権利の売買における売主の担保責任)
 第五百六十一条 
前条の場合において、売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の時においてその権利が売主に属しないことを知っていたときは、損害賠償の請求をすることができない。

 とあり、
 民法第561条によれば、「買主Bは、本件契約の時に、401 号室の所有権が売主Aに属しないことを知っていた。この場合において、売主Aが元の持主Cから同室の所有権を取得して買主Bに移転することができないとき」は、契約の解除は、できますから、設問は、誤りです。

 この場合、契約の解除には、買主の、知っている/知らない(悪意・善意)は、問わないと解釈されます。
 ただし、買主は契約の解除はできても、知っていると、損害賠償の請求までは、できません(民法第561条但し書き)。



3 Aは、本件契約の時に、401 号室の所有権が自己に属しないことを知らなかった。この場合において、Aは、Cから同室の所有権を取得してBに移転することができないときには、Bに対して損害を賠償して本件契約を解除することができる。

〇 正しい。 売主が、他人物と知らず、移転できなければ、損害賠償して、契約の解除ができる。

 こんどは、売主が知らなかったときで、これは、民法第562条
「(他人の権利の売買における善意の売主の解除権)
 第五百六十二条 
売主が契約の時においてその売却した権利が自己に属しないことを知らなかった場合において、その権利を取得して買主に移転することができないときは、売主は、損害を賠償して、契約の解除をすることができる
2 前項の場合において、買主が契約の時においてその買い受けた権利が売主に属しないことを知っていたときは、売主は、買主に対し、単にその売却した権利を移転することができない旨を通知して、契約の解除をすることができる。」

 とあり、
 民法第562条1項によれば、「売主Aは、本件契約の時に、401 号室の所有権が自己に属しないことを知らなかった場合において、売主Aは、元の持主Cから同室の所有権を取得して買主Bに移転することができないときには、買主Bに対して損害を賠償して本件契約を解除することができる」ので、正しい。



4 本件契約の締結後にAが死亡し、CがAを単独で相続した場合には、Cは、Bに対し、本件契約上の売主としての履行義務を拒むことができない。

X 誤っている。 他人物売買の売主の地位を相続しても、元の持主として、権利の移転を諾否できる。

 

 他人物売買で、売主Aが死亡して、元の持主のCが、売主Cの地位を相続したらどうなるかということで、これは、もう判例しかない。

  基本は、選択肢1で引用した民法第560条
「(他人の権利の売買における売主の義務)
 第五百六十条 他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。」

 です。

 そこで、 最高裁判所 昭和49年9月4日 の判決 は、
 「他人の権利の売主をその権利者が相続した場合と売主としての履行義務
 
他人の権利の売主をその権利者が相続し売主としての履行義務を承継した場合でも、権利者は、信義則に反すると認められるような特別の事情のないかぎり、右履行義務を拒否することができる。」
 その判決の全文は、
 「他人の権利の売主が死亡し、その権利者において売主を相続した場合には、権利者は相続により売主の売買契約上の義務ないし地位を承継するが、そのために権利者自身が売買契約を締結したことになるものでないことはもちろん、これによつて売買の目的とされた権利が当然に買主に移転するものと解すべき根拠もない。また、権利者は、その権利により、相続人として承継した売主の履行義務を直ちに履行することができるが、他面において、
権利者としてその権利の移転につき諾否の自由を保有しているのであつて、それが相続による売主の義務の承継という偶然の事由によつて左右されるべき理由はなく、また権利者がその権利の移転を拒否したからといつて買主が不測の不利益を受けるというわけでもない。
 それゆえ、権利者は、相続によつて売主の義務ないし地位を承継しても、相続前と同様その権利の移転につき諾否の自由を保有し、信義則に反すると認められるような特別の事情のないかぎり、右売買契約上の売主としての履行義務を拒否することができるものと解するのが、相当である。」
 とあり、
 この判例によれば、「本件契約の締結後に売主Aが死亡し、元の持主Cが売主Aを単独で相続した場合には、元の持主C(権利者)は、買主Bに対し、本件契約上の売主としての履行義務を拒むことができる」ため、設問の「売主としての履行義務を拒むことができない」は、誤りです。


 参考:相続:民法第896条
「(相続の一般的効力)
 第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」

 との関係で、難しい判例だ。



答え: 3

 他人物売買からは、過去出題がなかったので、戸惑う。 特に選択肢4の判例からは、正誤が難しい。

 また、ここで引用している民法第560条は、2020年4月1日施行の改正民法では、削除され、第561条に変更とか、それ以降の条文も変わっているので、2020年からのマンション管理士・管理業務主任者の受験生は、注意のこと。

《タグ》民法 他人物売買 善意/悪意 相続

問16

〔問 16〕 甲マンションの 305 号室を所有するAは、同室のキッチンの設備が老朽化したことから、業者Bとの間で、その設備を報酬 100 万円でリニューアルする旨の請負契約を締結した。この場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。


*注:2020年4月1日施行の改正民法により、この請負も大幅に削除、変更があるので注意のこと。


1 AB 間での請負契約に係る別段の特約のない限り、Aは、Bがリニューアルの工事に着手するのと同時に、報酬 100 万円をBに支払わなければならない。
 
X 誤っている。 請負契約では、報酬は、特約がない限り、後払い。着工時ではない。
 平成24年 管理業務主任者試験 「問6」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「問1」 、

  

 請負契約での報酬は、民法第633条
「(報酬の支払時期)
 第六百三十三条 
報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、第六百二十四条第一項の規定を準用する。」

 とあり、
 準用の、民法第624条
(報酬の支払時期)
 第六百二十四条 
労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。
2 期間によって定めた報酬は、その期間を経過した後に、請求することができる。」

 とあり、
 請負では、仕事の完成と報酬の支払とが対価関係にあることです。
 そこで、設問の「AB 間での請負契約に係る別段の特約のない限り、注文者Aは、請負人Bがリニューアルの工事に着手するのと同時に、報酬 100 万円を請負人Bに支払わなければならない」は、誤りです。支払いは着工時では、ありません。完成時です。



2 Bは、リニューアルの工事を完成させるまでの間であれば、いつでもAに生じた損害を賠償して請負契約を解除することができる。

X 誤っている。 工事が完成前なら、注文者の方からなら、いつでも、損害賠償をして、契約の解除ができる。請負人からではない。

 これも、出題としては、鉄板。 
 平成28年 管理業務主任者 「問5」 、 平成25年 管理業務主任者試験 「問5」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問6」 、平成22年 マンション管理士試験 「問15」 、平成21年 管理業務主任者試験 「問2」 、平成15年 管理業務主任者試験 「問1」 

 仕事の完成前の契約の解除は、民法第641条
(注文者による契約の解除)
 第六百四十一条 
請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。
 とあり、
 民法第641条によれば、「リニューアルの工事を完成させるまでの間であれば、いつでも損害を賠償して請負契約を解除することができる」のは、注文者Aであるため、設問の「請負人B」ではないため、誤りです。

 請負でこのような特殊な規定があるのは、もう不要となった請負作業は、完成させても無駄だからです。



3 Bがリニューアルの工事を完成させるまでの間にAが破産手続開始の決定を受けた場合であっても、Bは、請負契約を解除することができない。

X 誤っている。 注文者が破産したら、請負人からも、請負契約の解除はできる。
 平成15年 管理業務主任者試験 「問1」 

 注文主の破産となると、請負人の報酬を守るために、民法第642条
「(注文者についての破産手続の開始による解除)
 第六百四十二条
 注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。この場合において、請負人は、既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用について、破産財団の配当に加入することができる。
2 前項の場合には、契約の解除によって生じた損害の賠償は、破産管財人が契約の解除をした場合における請負人に限り、請求することができる。この場合において、請負人は、その損害賠償について、破産財団の配当に加入する。」

 とあり、
 民法第642条1項によれば、工事が完成する前でも、注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人は、契約の解除をすることができますから、「請負人Bがリニューアルの工事を完成させるまでの間に注文者Aが破産手続開始の決定を受けた場合であっても、請負人Bは、請負契約を解除することができない」は、誤りです。


*注:2020年4月1日施行の改正民法により、第642条も変更があります。


4 Bはリニューアルの工事を完成させたがその工事の目的物に瑕疵があったときに、この瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、AはBに対し修補を請求することができない。

〇 正しい。 重要でない瑕疵で、過分の費用がかかるなら、修補以外の損害賠償を求める。
 平成22年 マンション管理士試験 「問14」 、平成19年 マンション管理士試験 「問14」 、

 瑕疵での請負人の担保責任は、民法第634条
「(請負人の担保責任)
 第六百三十四条 
仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない
2 注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第五百三十三条の規定を準用する。」

 とあり、
 民法第634条1項によれば、「その工事の目的物に瑕疵があったときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができます」が、但し書き「ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない」とあるため、「請負人Bはリニューアルの工事を完成させたがその工事の目的物に瑕疵があったときに、この瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、注文者Aは請負人Bに対し修補を請求することができない」は、正しい。


*注:請負の条文も、2020年4月1日施行の改正民法により、この第634条は、削除となり、別の規定が新しく設けられています。


答え: 4 

 それほど、難しくはない出題。

 注:請負関係の条文も、2020年4月1日施行の改正民法で、削除や大幅な改正があるので、注意のこと。

《タグ》民法 請負 報酬の後払い 契約解除 注文者の破産 瑕疵担保

問17

 〔問 17〕 甲マンションの 201 号室の区分所有者Aが死亡し、その配偶者Bと未成年の子Cが同室の所有権を相続し、BとCが各2分の1の共有持分を有し、その旨の登記がなされている場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 Bが金融機関から自己を債務者として融資を受けるに当たり、201 号室の区分所有権全部について抵当権を設定しようとする場合に、Cの持分に係る抵当権の設定については、BはCのために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

〇 正しい。 親権者が、子の持分まで抵当にいれるなら、利益相反行為に該当するので、特別代理人の選任となる。
 
 特別代理人の選任なんて、初めての出題だ。

 

 まず、特別代理人とは、民法第826条
「(利益相反行為)
 第八百二十六条 
親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。」

 とあります。

 通常、未成年者が財産について法律行為をする場合には、親(親権者)が未成年者の「法定代理人」(本人の意思によらない、法律に基づく代理人)になりますが、親権を行う父または母とその子と利益が相反する行為なら、子の利益を保護する必要性から、親権を行う者には、子を代理する権利も、子に同意を与える権利もないということにしています。

 そこで、家庭裁判所が、その子の為に、親に代わって「特別代理人」を選任して、その特別代理人が、子を代理し、また、子に同意を与えます。
 
 では、何が親と未成年の子での「利益相反行為」に該当するのでしょうか。

 判例(最高裁判所 昭和37年2月27日 判決、 また、最高裁判所 昭和42年4月18日 判決) によれば、利益相反かどうかは、
 ・法定代理人と本人との利益相反の有無は、もつぱら、その行為自体を観察して判断すべきであつて、当該借入金の用途が何であるかというような当該契約に至つた縁由を考慮して判断すべきではない。
 ・親権者が自らおよび子の法定代理人として約束手形を共同で振り出した場合において利益相反関係を生じないとされた事例
 ですが、まだ、分かり難い。
 具体的に特別代理人の選任が必要とされるのは、
  1.夫が死亡し,妻と未成年者で遺産分割協議をする行為
  2.複数の未成年者の法定代理人として遺産分割協議をする行為
  
3.親権者の債務の担保のため未成年者の所有する不動産に抵当権を設定する行為
  4.相続人である母(又は父)が未成年者についてのみ相続放棄の申述をする行為
  5.同一の親権に服する未成年者の一部の者だけ相続放棄の申述をする行為
  6.後見人が15歳未満の被後見人と養子縁組する行為
 などが該当すると考えられています。

 そこで、設問は、親権者が自分の持分のほか、未成年の子の相続分も含めての不動産に抵当権を設定しようとする行為で、これは、上の例示「3.親権者の債務の担保のため未成年者の所有する不動産に抵当権を設定する行為」に該当するため、特別代理人を選任する必要があり、「配偶者B(親権者)は子Cのために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない」は、正しい。



2 Bが、Cに区分所有権全部を所有させるため、自己の持分を無償で譲渡する場合でも、BはCのために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

X 誤っている。 親が子への無償譲渡なら、不利益ではない。特別代理人の選任は、不要。

 選択肢1で説明しました、反対の例として、”特別代理人の選任が不要”とされるのは、
  
1.親が所有する不動産を子に贈与
  2.親権者を債務者として抵当権の設定がされている親権者所有の不動産を子に贈与すること
  3.親権者と子が共有する不動産を、親権者が子を代理して第三者に売却すること
  3.親権者が代表取締役を務める会社の債務を担保するために、子の所有する不動産に抵当権を設定すること
  4.親権者と子の共有名義の不動産について、「錯誤」を原因として親権者の単独所有名義に更正登記をすること
  5.親権者と子が共同相続人である場合に、親権者と子の両方について相続放棄の申述をすること
 などがあります。

 そこで、設問は、親から子への不動産の無償譲渡であるため、これには、特別代理人の選任は不要ですから、誤りです。
 
 大審院 昭和6年11月24日の判決があるらしい。(判例検索システムでは、該当しない。)



3 201 号室の区分所有権全部を第三者に売却する場合、Cの持分の売却について、BはCのために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

X 誤っている。 親権を行う親は、外部からみれば、単純な代理行為を行っているだけ。利益相反行為に該当しない。


 選択肢1や選択肢2で説明しましたように、親と未成年の子の関係で利益相反行為になるかどうかの判断基準については、「行為の外形から客観的に利益が相反しているか否か」で判断します。
 そこで、「親Bが区分所有権全部を第三者に売却する場合、未成年の子Cの持分の売却をしても、その行為は、外部からみて、親が利益を受け、子が不利益を受ける」にはなりませんから、特別代理人を選任する必要はなく、誤りです。

 外形としては、親は、手続きの代理人にしか過ぎません。



4 201 号室に係る固定資産税等の公租公課について、未成年者であるCが支払うに当たって、BはCのために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

X 誤っている。 単純な親の代理行為。 利益相反行為に該当しない

 選択肢1や選択肢2で説明しましたように、未成年の子が201号室全体の固定資産税を払うのは、外形的にみて、子に不利益を与えるものではなく、親権者と子の利益相反行為に該当しませんから、「201 号室に係る固定資産税等の公租公課について、未成年者であるCが支払うに当たって、親Bは子Cのために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない」は、誤っています。


答え: 1

 親権者と未成年の子の利益相反からの出題とは、まったく、新しい。 解説に時間がかかる。
 判例があるかと探したが、いろいろと探したがヒットしなかった。

 出題としては、初めてだけど、子の利益から考えると、選択肢1 は、選べるか。
 民法の親族からの出題は、平成30年の遺言といい、出題傾向を変えてきている?

《タグ》民法 親権 特別代理人の選任 利益相反行為 

問18

〔問 18〕 敷地権付き区分建物に関する登記等に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 敷地権付き区分建物について、敷地権の登記をする前に登記された抵当権設定の登記は、登記の目的等(登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付をいう。以下同じ。)が当該敷地権となった土地についてされた抵当権設定の登記の目的等と同一であっても、敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有しない。

X 誤っている。 敷地権として登記前の抵当権でも、同一目的なら、敷地権である旨の登記をした土地の敷地権となる。

 不動産登記法からの出題も多い。
 平成30年 マンション管理士試験 「問18」 、  平成28年 管理業務主任者試験 「問43」 、 平成25年 管理業務主任者試験 「問43」 、  平成23年 管理業務主任者試験 「問45」 、 平成21年マンション管理士試験 「問18」 、 平成21年管理業務主任者試験 「問43」 、 平成19年マンション管理士試験 「問18」 、平成18年管理業務主任者試験 「問45」 など。

 ここは、平成25年 マンション管理士試験 「問18」 、


 設問が、ややこしいので、注意のこと。
 また、区分所有法での敷地利用権なら建物の権利と土地の権利との分離処分ができないとか(区分所有法第22条)、登記された敷地権の違いとか、区分建物(マンション)などの基本は、別途勉強がすんでいること。


 

 今までの不動産の登記簿では、民法の原則により土地の権利と建物の権利が別々に記載されていたのですが、区分建物でこの方式を採用すると、権利移動が激しくて登記簿が分かり難いという弊害が目立ってきました。
 そこで、区分所有法の建物と土地(敷地)の分離処分の禁止を受け、不動産登記法を改正し、区分建物においては、土地と建物の権利関係を1つにし、土地においては、登記簿に「敷地権」の登記がなされると、たとえ権利の変動があっても土地(敷地)への登記はしないという簡略な扱いをして、権利関係が、単純化され分かりやすくなりました。
 具体的には、登記簿に「敷地権」と登記されると、土地の登記簿は閉鎖された状態になり、今後の権利の変動は、建物(専有部分)の登記簿だけに記載されます。
 なお、区分所有法での”敷地利用権”は、登記されると”敷地権”となります。

 不動産登記法の規定を受け、登記記録(登記簿)の様式は、不動産登記規則第4条により具体的に決められています。
 敷地権が付いた区分建物には、表題部が2つあります。
 まず、
  @1棟の建物の所在地や敷地権が記載された「1棟の建物の表題部」 があり、次に、
  A各専有部分の部屋番号や敷地権の持分などが記載された「専有部分の表題部」 ができます。
  この表題部が2つあるのが、区分建物の登記での特徴です。


 

 そこで、設問に戻ると、不動産登記法での、マンション(区分建物)で、敷地権の登記は、不動産登記法第73条、
「(敷地権付き区分建物に関する登記等)
 第七十三条 
敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権(一般の先取特権、質権又は抵当権をいう。以下この条において同じ。)に係る権利に関する登記は、第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する。ただし、次に掲げる登記は、この限りでない。
  一 敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をする前に登記されたもの(
担保権に係る権利に関する登記にあっては、当該登記の目的等(登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付をいう。以下この号において同じ。)が当該敷地権となった土地の権利についてされた担保権に係る権利に関する登記の目的等と同一であるものを除く。)
  二 敷地権付き区分建物についての所有権に係る仮登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたもの
  三 敷地権付き区分建物についての質権又は抵当権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたもの
  四 敷地権付き区分建物についての所有権又は質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生じた後に生じたもの(区分所有法第二十二条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない場合(以下この条において「分離処分禁止の場合」という。)を除く。)
2 第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地には、敷地権の移転の登記又は敷地権を目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。ただし、当該土地が敷地権の目的となった後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く。)又は敷地権についての仮登記若しくは質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該土地が敷地権の目的となる前にその登記原因が生じたものは、この限りでない。
3 敷地権付き区分建物には、当該建物のみの所有権の移転を登記原因とする所有権の登記又は当該建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。ただし、当該建物の敷地権が生じた後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く。)又は当該建物のみの所有権についての仮登記若しくは当該建物のみを目的とする質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該建物の敷地権が生ずる前にその登記原因が生じたものは、この限りでない。」

 とあります。
 引用されています不動産登記法第46条は、
「(敷地権である旨の登記)
 第四十六条 登記官は、表示に関する登記のうち、区分建物に関する敷地権について表題部に最初に登記をするときは、当該敷地権の目的である土地の登記記録について、
職権で、当該登記記録中の所有権、地上権その他の権利が敷地権である旨の登記をしなければならない。」

 です。


 

 通常、区分所有法の「建物と土地の敷地利用権の分離処分の禁止」の規定(区分所有法第22条)を受け、不動産登記法第73条2項のように”原則として” 「敷地権である旨の登記をした土地には、敷地権の移転の登記又は敷地権を目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない
 のですが、
 不動産取引においては、区分所有法ができる前の状況もあり、また登記は強制されないため、マンションでも、敷地権の登記がない場合もあります。

 これらを元に、設問に戻りますと、不動産登記法第73条1項と1号をよく読むと、
 「敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権(一般の先取特権、質権又は抵当権をいう。以下この条において同じ。)に係る権利に関する登記は、第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する。
ただし、次に掲げる登記は、この限りでない。
  一 敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する
敷地権の登記をする前に登記されたもの(担保権に係る権利に関する登記にあっては、当該登記の目的等(登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付をいう。以下この号において同じ。)が当該敷地権となった土地の権利についてされた担保権に係る権利に関する登記の目的等と同一であるものを除く。)
 とあり、
 敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権は、敷地権の登記をすれば、”土地と建物の分離処分ができなくなる”という効力が与えられますが、但し書きがあり、「
ただし、次に掲げる登記は、この限りでない」ということで、除外される事項が1号から4号まであります。
  1号は、敷地権の”登記前”になされた登記ですから、これは、建物についてのみ効力を発揮します。
  2号から4号までは、敷地権として登記された後でもあっても、建物についてのみ効力を有します。
逆にいえば、これらは、敷地権の効力がない、つまり、土地と建物の権利が”分離処分できる”となります。

 設問の「敷地権付き区分建物について、敷地権の登記をする前に登記された抵当権設定の登記は、登記の目的等(登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付をいう。以下同じ。)が当該敷地権となった土地についてされた抵当権設定の登記の目的等と同一である」ならば、1号に該当し、「限りでない」から、「除かれ」ます。

 除いた理由は、例え、敷地権の登記をする”前”の区分建物に登記された登記であっても、登記の原因や受付番号等が同一の担保権(抵当権、質権等)として、敷地権に対してもなされているなら、もうこれは、登記簿で敷地権としても扱ってもいいとの判断です。

 文章上、「限りでない」から、「除かれる」ため、最終的に、「敷地権付き区分建物について、敷地権の登記をする前に登記された抵当権設定の登記は、登記の目的等(登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付をいう。以下同じ。)が当該敷地権となった土地についてされた抵当権設定の登記の目的等と同一ならば、敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有します」から、設問は、誤りです。

 文章に惑わされずに、「敷地権となった土地の権利についてされた担保権に係る権利に関する登記の目的等と同一」なら、敷地権にしてもいいと考えれば、いいか。



2 敷地権付き区分建物について、敷地権の登記をした後に登記された所有権についての仮登記であって、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたものは、敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する。

X 誤っている。 建物の登記原因が、敷地権が生じる前の仮登記なら、本登記しても敷地権の効力はない。 建物のみについて効力を有する。


 まず、仮登記とは、手続き上あるいは実体法上の要件が完備していない場合に、将来の本登記の順位を確保するためになされる予備的な登記を、仮登記といいます。
 例えば、本登記のための関係書類がまだ準備できていないとか、契約が予約の段階で止まっている場合などです。
 仮登記には対抗力(第三者に権利を主張する効力)はありませんが、後日、本登記がなされた場合は、仮登記の順位が本登記の順位になるという、順位保全効力を持っています。

 

 選択肢1で引用しました、不動産登記法第73条1項 2号
「(敷地権付き区分建物に関する登記等)
 第七十三条 敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権(一般の先取特権、質権又は抵当権をいう。以下この条において同じ。)に係る権利に関する登記は、第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する。ただし、次に掲げる登記は、
この限りでない
  二 敷地権付き区分建物についての所有権に係る
仮登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたもの

 とあり、
 不動産登記法第73条1項 2号によれば、「敷地権付き区分建物について、敷地権の登記をした後に登記された所有権についての仮登記であって、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたものは、敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有しない」ため、設問は、誤りです。

 敷地権が生じる前の”建物についての仮登記”が、本登記によって”建物の所有権”が移転するということは、土地と建物の分離処分を認めないと、建物についての権利移動が、その敷地に及ぶことになり、この場合、建物についてのみ、効力が有する例外としないと、処理ができないためです。


3 敷地権付き区分建物について、当該建物の敷地権が生ずる前に登記原因が生じた質権又は抵当権に係る権利に関する登記は、当該建物のみを目的としてすることができる。

〇 正しい。 登記原因が、敷地権が生じる前なら、建物だけを目的とする質権、抵当権には、敷地権は及ばない。

 まったく、話が、難しい。

 

 設問については、選択肢1で引用しました、不動産登記法第73条3項
「(敷地権付き区分建物に関する登記等)
 3 敷地権付き区分建物には、当該建物のみの所有権の移転を登記原因とする所有権の登記又は当該建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。
ただし、当該建物の敷地権が生じた後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く。)又は当該建物のみの所有権についての仮登記若しくは当該建物のみを目的とする質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該建物の敷地権が生ずる前にその登記原因が生じたものは、この限りでない。」

 とあり、
 敷地権付き区分建物なら、区分所有法第22条の「建物と土地の敷地利用権の分離処分の禁止」が原則としてあり、建物だけを目的として担保権に係る権利の登記はできません。
 しかし、但し書きがあり、これも、分かり難いのですが、以下の場合には、敷地権付き区分建物であっても、建物のみについて、所有権の移転と担保権に関する登記を、例外として認めています。
  @建物の敷地権が生じた後に登記原因が生じたが、
分離処分禁止に該当しない場合
  A敷地権が生じる前に、建物のみの所有権についての仮登記、または建物のみの質権・抵当権の登記原因が、敷地権が生じる前に、生じている場合
 です。
 Aについては、上の選択肢2の解説と同様に、この場合、建物だけの効力を認めないと、敷地までに効力が及んでしまうためです。
 
 そこで、不動産登記法第73条3項により、
「敷地権付き区分建物について、当該建物の敷地権が生ずる前に登記原因が生じた質権又は抵当権に係る権利に関する登記は、当該建物のみを目的としてすることができる」ため、正しい。

 なお、質権とは、担保物権の一つで、例えば、借金を受ける際の担保として、債権者が債務者または第三者から受け取った担保(物品や権利書など)を債務の返済がされるまで”
保管・占有”し、返済できない場合は、それら担保を売却等して優先的に弁済を受けることができる権利のことです。


4 敷地権付き区分建物の敷地について、敷地権である旨の登記をした土地には、当該土地が敷地権の目的となった後に登記原因が生じた敷地権についての仮登記をすることができる。

X 誤っている。 敷地権の登記がなされたら土地だけの権利の登記はできない。

 
 
 設問は、選択肢1で引用しました、不動産登記法第73条2項
「2 第四十六条の規定により
敷地権である旨の登記をした土地には、敷地権の移転の登記又は敷地権を目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。ただし、当該土地が敷地権の目的となった後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く。)又は敷地権についての仮登記若しくは質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該土地が敷地権の目的となる前にその登記原因が生じたものは、この限りでない
 とあり、
 敷地権が登記された後は、建物の権利と土地の権利は、原則として、分離処分が禁止されており、「敷地権付き区分建物の敷地について、敷地権である旨の登記をした土地には、当該土地が敷地権の目的となった
後に登記原因が生じた敷地権についての仮登記をすることができず」、設問は、誤りです。

 なお、敷地権の目的となる前に、その登記原因が生じたならば、仮登記もできます。(但し書き)。


答え: 3

 設問が、入り組んでいるので、図を入れや解説もこまかくしたので、無茶苦茶時間がかかった。
 基本としては、敷地権設定の前と後で、どのような違いがあるかだ。

 でも、不動産登記の専門家の司法書士でも、敷地権で、ここまで、解答ができるとは思えない。マンション管理士試験には、不適切な出題だ。

 なお、不動産登記法についても、マンション管理士 香川 が無料で提供しています、「超解説 区分所有法」内 にありますから、参考にして下さい。


《タグ》区分所有法 建物と敷地利用権の分離処分の禁止 不動産登記法 敷地権 設定の前後  

問19

〔問 19〕 マンション建替組合(この問いにおいて「組合」という。)が施行するマンション建替事業に関する次の記述のうち、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(平成 14 年法律第 78 号)の規定によれば、誤っているものはどれか。


1 理事及び監事は、特別の事情があるときは、組合員以外の者のうちから総会で選任することができる。

〇 正しい。 特別の事情があれば、役員は、組合員以外からも、選任できる。

 マンションの建替え等の円滑化に関する法律からも、例年1問は出る。 
 平成30年 マンション管理士試験 「問19」 、 平成29年 マンション管理士試験 「問19」 、平成29年 管理業務主任者試験 「問42」、 平成28年 マンション管理士試験 「問19」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問19」 

 役員の選任規定は、マンションの建替え等の円滑化に関する法律第21条
「(役員の資格、選挙及び選任)
 第二十一条 
理事及び監事は、組合員(法人にあっては、その役員)のうちから総会で選挙する。ただし、特別の事情があるときは、組合員以外の者のうちから総会で選任することができる。
2 前項本文の規定により選挙された理事若しくは監事が組合員でなくなったとき、又はその理事若しくは監事が組合員である法人の役員である場合において、その法人が組合員でなくなったとき、若しくはその理事若しくは監事がその法人の役員でなくなったときは、その理事又は監事は、その地位を失う。」

 とあり、
 マンションの建替え等の円滑化に関する法律第21条1項の但し書きによれば、「理事及び監事は、特別の事情があるときは、組合員以外の者のうちから総会で選任することができる」は、正しい。



2 総会の決議事項のうち、権利変換計画及びその変更、組合の解散については、組合員の議決権及び持分割合の各5分の4以上の多数による決議が必要である。

X 誤っている。 権利変換計画及びその変更は、組合員の議決権及び持分割合の各5分の4以上の多数による決議だが、組合の解散は、各4分の3以上でいい。

 よく出る。でも、少し変えた出題。
 まず、総会の決議事項は、マンションの建替え等の円滑化に関する法律第27条
「(総会の決議事項)
 第二十七条 次に掲げる事項は、総会の議決を経なければならない。
  一 定款の変更
  二 事業計画の変更
  三 借入金の借入れ及びその方法並びに借入金の利率及び償還方法
  四 経費の収支予算
  五 予算をもって定めるものを除くほか、組合の負担となるべき契約
  六 賦課金の額及び賦課徴収の方法
  
七 権利変換計画及びその変更
  八 第九十四条第一項又は第三項の管理規約
  
九 組合の解散
  十 その他定款で定める事項」

 とあり、
 「権利変換計画及びその変更」は、7号に該当し、「組合の解散」は、9号に該当しますから、総会の議決が必要です。

 その場合の議決権と持分割合は、マンションの建替え等の円滑化に関する法律第30条
「特別の議決)
 第三十条 第二十七条第一号及び第二号に掲げる事項のうち政令で定める重要な事項並びに同条第八号及び
第九号に掲げる事項は、組合員の議決権及び持分割合(組合の専有部分が存しないものとして算定した施行マンションについての区分所有法第十四条に定める割合(一括建替え合意者のみにより設立された組合にあっては、組合の持分が存しないものとして算定した施行マンションの敷地(これに関する権利を含む。)の持分の割合)をいう。第三項において同じ。)の各四分の三以上で決する。
2 権利変換期日以後における前項の規定の適用については、同項中「組合の」とあるのは「組合及び参加組合員の」と、「施行マンション」とあるのは「施行再建マンション」とする。
3 第二十七条第七号に掲げる事項は、組合員の議決権及び持分割合の各五分の四以上で決する。

 とあり、
 マンションの建替え等の円滑化に関する法律第30条1項によれば、組合の解散(第九号に掲げる事項)は、組合員の議決権及び持分割合の各四分の三以上ですから、「各5分の4以上の多数による決議が必要」の部分は誤りです。
 しかし、権利変換計画及びその変更(第7号)になると、その重要性から、同第30条3項によれば、組合員の議決権及び持分割合の各五分の四以上で決しますから、この部分の設問は、正しい。

 そこで、設問は、全体として、誤りです。



3 組合は、権利変換計画の認可の申請に当たり、あらかじめ総会の議決を経るとともに、施行マンション又はその敷地について権利を有する者(組合員を除く。)及び隣接施行敷地がある場合における当該隣接施行敷地について権利を有する者の同意を得なければならない。

〇 正しい。 権利変換計画の認可の申請では、総会の決議とともに権利者の同意は必要。

 設問は、マンションの建替え等の円滑化に関する法律第57条
(権利変換計画の決定及び認可)
 第五十七条 施行者は、前条の規定による手続に必要な期間の経過後、遅滞なく、権利変換計画を定めなければならない。この場合においては、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事等の認可を受けなければならない。
2 
施行者は、前項後段の規定による認可を申請しようとするときは、権利変換計画について、あらかじめ、組合にあっては総会の議決を経るとともに施行マンション又はその敷地について権利を有する者(組合員を除く。)及び隣接施行敷地がある場合における当該隣接施行敷地について権利を有する者の同意を得、個人施行者にあっては施行マンション又はその敷地(隣接施行敷地を含む。)について権利を有する者の同意を得なければならない。ただし、次に掲げる者については、この限りでない。
  一 区分所有法第六十九条の規定により同条第一項に規定する特定建物である施行マンションの建替えを行うことができるときは、当該施行マンションの所在する土地(これに関する権利を含む。)の共有者である団地内建物の区分所有法第六十五条に規定する団地建物所有者(第九十四条第三項において単に「団地建物所有者」という。)
  二 その権利をもって施行者に対抗することができない者
3 前項の場合において、区分所有権等以外の権利を有する者から同意を得られないときは、その同意を得られない理由及び同意を得られない者の権利に関し損害を与えないようにするための措置を記載した書面を添えて、第一項後段の規定による認可を申請することができる。
4 第二項の場合において、区分所有権等以外の権利を有する者を確知することができないときは、その確知することができない理由を記載した書面を添えて、第一項後段の規定による認可を申請することができる。」

 とあり、
 マンションの建替え等の円滑化に関する法律第57条2項本文によれば、「組合は、権利変換計画の認可の申請に当たり、あらかじめ総会の議決を経るとともに、施行マンション又はその敷地について権利を有する者(組合員を除く。)及び隣接施行敷地がある場合における当該隣接施行敷地について権利を有する者の同意を得なければならない」は、正しい。



4 組合は、権利変換期日後マンション建替事業に係る工事のため必要があるときは、施行マンション又はその敷地(隣接施行敷地を含む。)を占有している者に対し、明渡しの請求をした日の翌日から起算して 30 日を経過した後の日を期限として、その明渡しを求めることができる。

〇 正しい。 

 明け渡しは、マンションの建替え等の円滑化に関する法律第80条
「(施行マンション等の明渡し)
 第八十条 
施行者は、権利変換期日後マンション建替事業に係る工事のため必要があるときは、施行マンション又はその敷地(隣接施行敷地を含む。)を占有している者に対し、期限を定めて、その明渡しを求めることができる
2 前項の規定による明渡しの期限は、同項の請求をした日の翌日から起算して三十日を経過した後の日でなければならない。
3 第五十八条第三項の規定は、同項の相当の期限を許与された区分所有者に対する第一項の規定による明渡しの期限について準用する。
4 第一項の規定による明渡しの請求があった者は、明渡しの期限までに、施行者に明け渡さなければならない。ただし、第七十五条の補償金の支払を受けるべき者について同条の規定による支払若しくは第七十六条の規定による供託がないとき、第十五条第一項(第三十四条第四項において準用する場合を含む。)若しくは第六十四条第一項(第六十六条において準用する場合を含む。)若しくは区分所有法第六十三条第四項(区分所有法第七十条第四項において準用する場合を含む。)の規定による請求を受けた者について当該請求を行った者による代金の支払若しくは提供がないとき、又は第六十四条第三項(第六十六条において準用する場合を含む。)の規定による請求を行った者について当該請求を受けた者による代金の支払若しくは提供がないときは、この限りでない。」

 とあり、
 マンションの建替え等の円滑化に関する法律第80条1項及び2項によれば、「組合は、権利変換期日後マンション建替事業に係る工事のため必要があるときは、施行マンション又はその敷地(隣接施行敷地を含む。)を占有している者に対し、明渡しの請求をした日の翌日から起算して 30 日を経過した後の日を期限として、その明渡しを求めることができる」は、正しい。



答え: 2

 選択肢2が、今までの出題の混合となっているが、それほど難しくはない。

 マンションの建替え等の円滑化に関する法律の解説もありますから、参考にしてください。https://mezase-mansion.jp/enkatu/enkatu-ho.htm

《タグ》マンションの建替え等の円滑化に関する法律 役員の選任 総会の決議 権利変換計画及びその変更 組合の解散 権利者の同意 明渡し

問20

〔問 20〕 地域地区に関する次の記述のうち、都市計画法(昭和 43 年法律第 100 号)の規定によれば、誤っているものはどれか。


1 市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとされている。

〇 正しい。 市街化区域については、少なくとも用途地域を定め、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めない。


 都市計画法も例年1問はでる。多くは、地域地区から。  参考:出題分析。  
 平成30年 マンション管理士試験 「問20」 、 平成29年 マンション管理士試験 「問20」 、 平成28年 マンション管理士試験 「問20」 、  平成27年 マンション管理士試験 「問21」 平成26年マンション管理士試験 「問21」、 平成25年マンション管理士試験 「問21」平成24年マンション管理士試験 「問21」平成23年マンション管理士試験 「問21」、など。

 都市計画法の概要は、以下のようになっています。
 

 

 もう、古典的な出題。  平成27年 マンション管理士試験 「問21」
 設問は、都市計画基準にある、都市計画法第13条1項7号
(都市計画基準)
 第十三条 都市計画区域について定められる都市計画(区域外都市施設に関するものを含む。次項において同じ。)は、国土形成計画、首都圏整備計画、近畿圏整備計画、中部圏開発整備計画、北海道総合開発計画、沖縄振興計画その他の国土計画又は地方計画に関する法律に基づく計画(当該都市について公害防止計画が定められているときは、当該公害防止計画を含む。第三項において同じ。)及び道路、河川、鉄道、港湾、空港等の施設に関する国の計画に適合するとともに、当該都市の特質を考慮して、次に掲げるところに従つて、土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する事項で当該都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため必要なものを、一体的かつ総合的に定めなければならない。この場合においては、当該都市における自然的環境の整備又は保全に配慮しなければならない。
  一 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針は、当該都市の発展の動向、当該都市計画区域における人口及び産業の現状及び将来の見通し等を勘案して、当該都市計画区域を一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全することを目途として、当該方針に即して都市計画が適切に定められることとなるように定めること。
  二 区域区分は、当該都市の発展の動向、当該都市計画区域における人口及び産業の将来の見通し等を勘案して、産業活動の利便と居住環境の保全との調和を図りつつ、国土の合理的利用を確保し、効率的な公共投資を行うことができるように定めること。
  三 都市再開発の方針は、市街化区域内において、計画的な再開発が必要な市街地について定めること。
  四 住宅市街地の開発整備の方針は、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法第四条第一項に規定する都市計画区域について、良好な住宅市街地の開発整備が図られるように定めること。
  五 拠点業務市街地の開発整備の方針は、地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律第八条第一項の同意基本計画において定められた同法第二条第二項の拠点地区に係る市街化区域について、当該同意基本計画の達成に資するように定めること。
  六 防災街区整備方針は、市街化区域内において、密集市街地整備法第二条第一号の密集市街地内の各街区について同条第二号の防災街区としての整備が図られるように定めること。
  
七 地域地区は、土地の自然的条件及び土地利用の動向を勘案して、住居、商業、工業その他の用途を適正に配分することにより、都市機能を維持増進し、かつ、住居の環境を保護し、商業、工業等の利便を増進し、良好な景観を形成し、風致を維持し、公害を防止する等適正な都市環境を保持するように定めること。この場合において、市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとする。
  八 促進区域は、市街化区域又は区域区分が定められていない都市計画区域内において、主として関係権利者による市街地の計画的な整備又は開発を促進する必要があると認められる土地の区域について定めること。
  九 遊休土地転換利用促進地区は、主として関係権利者による有効かつ適切な利用を促進する必要があると認められる土地の区域について定めること。
  十 被災市街地復興推進地域は、大規模な火災、震災その他の災害により相当数の建築物が滅失した市街地の計画的な整備改善を推進して、その緊急かつ健全な復興を図る必要があると認められる土地の区域について定めること。
  十一 都市施設は、土地利用、交通等の現状及び将来の見通しを勘案して、適切な規模で必要な位置に配置することにより、円滑な都市活動を確保し、良好な都市環境を保持するように定めること。この場合において、市街化区域及び区域区分が定められていない都市計画区域については、少なくとも道路、公園及び下水道を定めるものとし、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域及び田園住居地域については、義務教育施設をも定めるものとする。
  十二 市街地開発事業は、市街化区域又は区域区分が定められていない都市計画区域内において、一体的に開発し、又は整備する必要がある土地の区域について定めること。
  十三 市街地開発事業等予定区域は、市街地開発事業に係るものにあつては市街化区域又は区域区分が定められていない都市計画区域内において、一体的に開発し、又は整備する必要がある土地の区域について、都市施設に係るものにあつては当該都市施設が第十一号前段の基準に合致することとなるような土地の区域について定めること。
  十四 地区計画は、公共施設の整備、建築物の建築その他の土地利用の現状及び将来の見通しを勘案し、当該区域の各街区における防災、安全、衛生等に関する機能が確保され、かつ、その良好な環境の形成又は保持のためその区域の特性に応じて合理的な土地利用が行われることを目途として、当該計画に従つて秩序ある開発行為、建築又は施設の整備が行われることとなるように定めること。この場合において、次のイからハまでに掲げる地区計画については、当該イからハまでに定めるところによること。
     イ 市街化調整区域における地区計画 市街化区域における市街化の状況等を勘案して、地区計画の区域の周辺における市街化を促進することがない等当該都市計画区域における計画的な市街化を図る上で支障がないように定めること。
     ロ 再開発等促進区を定める地区計画 土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の増進とが図られることを目途として、一体的かつ総合的な市街地の再開発又は開発整備が実施されることとなるように定めること。この場合において、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域及び田園住居地域については、再開発等促進区の周辺の低層住宅に係る良好な住居の環境の保護に支障がないように定めること。
     ハ 開発整備促進区を定める地区計画 特定大規模建築物の整備による商業その他の業務の利便の増進が図られることを目途として、一体的かつ総合的な市街地の開発整備が実施されることとなるように定めること。この場合において、第二種住居地域及び準住居地域については、開発整備促進区の周辺の住宅に係る住居の環境の保護に支障がないように定めること。
  十五 防災街区整備地区計画は、当該区域の各街区が火事又は地震が発生した場合の延焼防止上及び避難上確保されるべき機能を備えるとともに、土地の合理的かつ健全な利用が図られることを目途として、一体的かつ総合的な市街地の整備が行われることとなるように定めること。
  十六 歴史的風致維持向上地区計画は、地域におけるその固有の歴史及び伝統を反映した人々の活動とその活動が行われる歴史上価値の高い建造物及びその周辺の市街地とが一体となつて形成してきた良好な市街地の環境の維持及び向上並びに土地の合理的かつ健全な利用が図られるように定めること。
  十七 沿道地区計画は、道路交通騒音により生ずる障害を防止するとともに、適正かつ合理的な土地利用が図られるように定めること。この場合において、沿道再開発等促進区(幹線道路の沿道の整備に関する法律第九条第三項の規定による沿道再開発等促進区をいう。以下同じ。)を定める沿道地区計画については、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の増進とが図られることを目途として、一体的かつ総合的な市街地の再開発又は開発整備が実施されることとなるように定めることとし、そのうち第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域及び田園住居地域におけるものについては、沿道再開発等促進区の周辺の低層住宅に係る良好な住居の環境の保護に支障がないように定めること。
  十八 集落地区計画は、営農条件と調和のとれた居住環境を整備するとともに、適正な土地利用が図られるように定めること。
  十九 前各号の基準を適用するについては、第六条第一項の規定による都市計画に関する基礎調査の結果に基づき、かつ、政府が法律に基づき行う人口、産業、住宅、建築、交通、工場立地その他の調査の結果について配慮すること。
2 都市計画区域について定められる都市計画は、当該都市の住民が健康で文化的な都市生活を享受することができるように、住宅の建設及び居住環境の整備に関する計画を定めなければならない。
3 準都市計画区域について定められる都市計画は、第一項に規定する国土計画若しくは地方計画又は施設に関する国の計画に適合するとともに、地域の特質を考慮して、次に掲げるところに従つて、土地利用の整序又は環境の保全を図るため必要な事項を定めなければならない。この場合においては、当該地域における自然的環境の整備又は保全及び農林漁業の生産条件の整備に配慮しなければならない。
  一 地域地区は、土地の自然的条件及び土地利用の動向を勘案して、住居の環境を保護し、良好な景観を形成し、風致を維持し、公害を防止する等地域の環境を適正に保持するように定めること。
  二 前号の基準を適用するについては、第六条第二項の規定による都市計画に関する基礎調査の結果に基づくこと。
4 都市再開発方針等、第八条第一項第四号の二、第五号の二、第六号、第八号及び第十号から第十六号までに掲げる地域地区、促進区域、被災市街地復興推進地域、流通業務団地、一団地の津波防災拠点市街地形成施設、一団地の復興再生拠点市街地形成施設、一団地の復興拠点市街地形成施設、市街地開発事業、市街地開発事業等予定区域(第十二条の二第一項第四号及び第五号に掲げるものを除く。)、防災街区整備地区計画、歴史的風致維持向上地区計画、沿道地区計画並びに集落地区計画に関する都市計画の策定に関し必要な基準は、前三項に定めるもののほか、別に法律で定める。
5 地区計画を都市計画に定めるについて必要な基準は、第一項及び第二項に定めるもののほか、政令で定める。
6 都市計画の策定に関し必要な技術的基準は、政令で定める。

 とあり、
 都市計画法第13条1項7号によれば、「七 地域地区は、土地の自然的条件及び土地利用の動向を勘案して、住居、商業、工業その他の用途を適正に配分することにより、都市機能を維持増進し、かつ、住居の環境を保護し、商業、工業等の利便を増進し、良好な景観を形成し、風致を維持し、公害を防止する等適正な都市環境を保持するように定めること。この場合において、市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとする」ので、「市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとされている」は、正しい。

 なお、市街化区域と市街化調整区域の違いは、
 都市計画法第7条2項及び3項
 
「(区域区分)
 第七条
 2 
市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とする。
 3 
市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする。」 

 です。
 市街化区域なら、用途地域が定められており、自治体による道路、公園、下水道などの都市施設の整備も重点的に実施されます。また、土地区画整理事業や市街地再開発事業などによる整備が積極的に進められる区域です。

 
 
 市街化調整区域は、市街化を「抑制すべき区域」であり、「禁止する区域」ではありませんので、注意してください。


2 特定街区については、市街地の整備改善を図るため街区の整備又は造成が行われる地区について、その街区内における建築物の容積率並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限を定めるものとされている。

〇 正しい。 特定街区では、容積率、高さの最高限度、壁面の位置の制限を定める。

 まず、特定街区とは、1961年(昭和36年)に創設された制度で、”超高層ビル”を建設するための手法の一つです。
 街区の整備または造成が行われる地区において、良好な街区レベルでの建築計画について一般的な形態制限を緩和する一方で、一定以上の市街地環境基準を設置して公的融資の融資対象や開発権移転の対象にもなるなど、個々のプロジェクトごとに土地の有効利用を誘導する都市開発手法となっています。

 

 そこで、都市計画法第9条20項
「第九条
20 
特定街区は、市街地の整備改善を図るため街区の整備又は造成が行われる地区について、その街区内における建築物の容積率並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限を定める街区とする。」

 とあり、
 都市計画法第9条20項によれば、特定街区については、市街地の整備改善を図るため街区の整備又は造成が行われる地区について、その街区内における建築物の容積率並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限を定めるものとされている」は、正しい。

 また、都市計画法第8条3項 リ 
「(地域地区)
第八条 
3 地域地区については、都市計画に、第一号及び第二号に掲げる事項を定めるものとするとともに、第三号に掲げる事項を定めるよう努めるものとする。
    リ 特定街区 建築物の容積率並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限」

 もあります。



3 第一種中高層住居専用地域においては、都市計画に、高層住居誘導地区を定めることができない。

正しい。 できない。 高層住居誘導地区では、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域において、都市計画において建築物の容積率が十分の四十又は十分の五十と定められたものの区域内で定める。

 まず、第一種中高層住居専用地域とは、都市計画法第9条3項、
「第九条
 3 第一種中高層住居専用地域は、中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域とする。」

 です。
 そして、高層住居誘導地区は、都市計画法第9条17項、
「17 高層住居誘導地区は、住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するため、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域でこれらの地域に関する都市計画において建築基準法第五十二条第一項第二号に規定する建築物の容積率が十分の四十又は十分の五十と定められたものの内において、建築物の容積率の最高限度、建築物の建蔽率の最高限度及び建築物の敷地面積の最低限度を定める地区とする。」
 です。

 なお、用途地域は、以下のようになっています。


 


4 準都市計画区域については、都市計画に、高度地区を定めることができない。

X 誤っている。 準都市計画区域については、都市計画に、高度地区を定めることができる。

 まず、準都市計画区域とは、都市計画区域が、一体の都市として総合的に整備・開発・保全する必要がある区域を指定するのに対し、準都市計画区域とは、都市計画区域外であっても乱開発などで将来の土地利用や環境悪化を防ぐため規制をする目的で、市町村が指定する区域です。
例えば、交通の利便性が高い高速道路のインターチェンジの周辺、幹線道路の沿道などです。

 この準都市計画区域では、積極的には市街地としての整備は行いません。
 
 平成18年の法改正により、都道府県の決定事項となりました。


 

 そこで、設問は、都市計画法第8条
「(地域地区)
 第八条 都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる地域、地区又は街区を定めることができる。
   一 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、田園住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域又は工業専用地域(以下「用途地域」と総称する。)
   二 特別用途地区
   二の二 特定用途制限地域
   二の三 特例容積率適用地区
   二の四 高層住居誘導地区
   三 高度地区又は高度利用地区
   四 特定街区
   四の二 都市再生特別措置法(平成十四年法律第二十二号)第三十六条第一項の規定による都市再生特別地区、同法第八十九条の規定による居住調整地域又は同法第百九条第一項の規定による特定用途誘導地区
   五 防火地域又は準防火地域
   五の二 密集市街地整備法第三十一条第一項の規定による特定防災街区整備地区
   六 景観法(平成十六年法律第百十号)第六十一条第一項の規定による景観地区
   七 風致地区
   八 駐車場法(昭和三十二年法律第百六号)第三条第一項の規定による駐車場整備地区
   九 臨港地区
   十 古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(昭和四十一年法律第一号)第六条第一項の規定による歴史的風土特別保存地区
   十一 明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法(昭和五十五年法律第六十号)第三条第一項の規定による第一種歴史的風土保存地区又は第二種歴史的風土保存地区
   十二 都市緑地法(昭和四十八年法律第七十二号)第五条の規定による緑地保全地域、同法第十二条の規定による特別緑地保全地区又は同法第三十四条第一項の規定による緑化地域
   十三 流通業務市街地の整備に関する法律(昭和四十一年法律第百十号)第四条第一項の規定による流通業務地区
   十四 生産緑地法(昭和四十九年法律第六十八号)第三条第一項の規定による生産緑地地区
   十五 文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第百四十三条第一項の規定による伝統的建造物群保存地区
   十六 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法(昭和五十三年法律第二十六号)第四条第一項の規定による航空機騒音障害防止地区又は航空機騒音障害防止特別地区
2 準都市計画区域については、都市計画に、前項第一号から第二号の二まで、第三号(高度地区に係る部分に限る。)、第六号、第七号、第十二号(都市緑地法第五条の規定による緑地保全地域に係る部分に限る。)又は第十五号に掲げる地域又は地区を定めることができる
(以下、略)」

 とあり、
 都市計画法第8条2項によれば、準都市計画区域には、
   @一号 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、田園住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域又は工業専用地域(以下「用途地域」と総称する。)
   A二号 特別用途地区
   B二の二号 特定用途制限地域
   C三号 高度地区又は高度利用地区
(高度地区に係る部分に限る。)
   D六号 景観法(平成十六年法律第百十号)第六十一条第一項の規定による景観地区
   E七号 風致地区
   F十二号 都市緑地法(昭和四十八年法律第七十二号)第五条の規定による緑地保全地域、同法第十二条の規定による特別緑地保全地区又は同法第三十四条第一項の規定による緑化地域(都市緑地法第五条の規定による緑地保全地域に係る部分に限る。)
   G十五号 文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第百四十三条第一項の規定による伝統的建造物群保存地区
 は、定めることができますから、「準都市計画区域については、都市計画に、高度地区を定めるができる」ため、「都市計画区域については、都市計画に、高度地区を定めることができない」は、誤りです。


 なお、高度地区とは、都市計画法第8条3項2号 ト
「(地域地区)
 第八条 
3 地域地区については、都市計画に、第一号及び第二号に掲げる事項を定めるものとするとともに、第三号に掲げる事項を定めるよう努めるものとする。
  二 次に掲げる地域地区については、それぞれ次に定める事項
     ト
 高度地区 建築物の高さの最高限度又は最低限度(準都市計画区域内にあつては、建築物の高さの最高限度。次条第十八項において同じ。)」

 です。
  都市計画法第9条に定める「用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区」です。
  用途地域の指定があるところに重ねて指定され、用途地域の指定を補完します。
  環境維持のために建築物の高さを制限したり、高度利用のために低さを制限したりする地区に定められる。高度地区内においては、建築物の高さは、都市計画で定められた内容に適合するものでなければなりません。
  高度地区の導入の有無・制限の内容とも各自治体ごとの任意です。


答え: 4 

 地域地区は、似たような文章で、紛らわしいので、必ず、まとめを作って、違いを理解すること。 

 都市計画法も、必ず1問は出るので、 「目指せ! マンション管理士・管理業務主任者」の過去問題解説 において、下の方に 「都市計画法」 だけを取り出していますので、参考にしてください。


《タグ》都市計画法 市街化区域 市街化調整区域 用途地域 特定街区 高層住居誘導地域 準都市計画区域

問21

〔問 21〕 建築基準法(昭和 25 年法律第 201 号)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


1 延べ面積が 1,000 uを超える耐火建築物は、防火上有効な構造の防火壁によって有効に区画し、かつ、各区画の床面積の合計をそれぞれ 1,000 u 以内としなければならない。

X 誤っている。 耐火建築物又は準耐火建築物なら、適用されない。
 建築基準法からも、例年、2,3問が出題される。
 平成30年 マンション管理士試験 「問21」 、 平成30年 マンション管理士試験 「問36」 

 設問は、平成30年の改正点。
 
 まず、耐火建築物とは、建築基準法第2条1項 9の2号
「用語の定義)
 第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
  九の二 
耐火建築物 次に掲げる基準に適合する建築物をいう。
     イ その主要構造部が(1)又は(2)のいずれかに該当すること。
       (1) 耐火構造であること。
       (2) 次に掲げる性能(外壁以外の主要構造部にあつては、(i)に掲げる性能に限る。)に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。
         (i) 当該建築物の構造、建築設備及び用途に応じて屋内において発生が予測される火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。
         (ii) 当該建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。
     ロ その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能(通常の火災時における火炎を有効に遮るために防火設備に必要とされる性能をいう。第二十七条第一項において同じ。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を有すること。」

 です。


 耐火建築物といえる建築物は、
  1.主要構造部が、耐火構造であること(または、耐火性能検証法等で火災が終了するまで耐えられることが確認されたもの)
  2.外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火設備を設けること
 です。
 つまり、耐火建築物は、火災にあっても、崩れ落ちたりすることがなく、また火が燃え広がることのない性能を持っている建築物です。
 それには火災をくい止めるために必要な、防火設備など(鉄製とか網入りガラスとか)もついていなくてはいけませんし、主要である構造の部分において耐火構造であることも上げられます。
  これらの規定を備えることにより、従来より火災に対して耐えることができる建築物であるといえます。またその外壁においても火に対して強くなくてはいけません。

 そこで、設問は、建築基準法第26条
(防火壁等)
 第二十六条 延べ面積が千平方メートルを超える建築物は、防火上有効な構造の防火壁又は防火床によつて有効に区画し、かつ、各区画の床面積の合計をそれぞれ千平方メートル以内としなければならない。
ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物については、この限りでない。
  一 耐火建築物又は準耐火建築物

  二 卸売市場の上家、機械製作工場その他これらと同等以上に火災の発生のおそれが少ない用途に供する建築物で、次のイ又はロのいずれかに該当するもの
    イ 主要構造部が不燃材料で造られたものその他これに類する構造のもの
    ロ 構造方法、主要構造部の防火の措置その他の事項について防火上必要な政令で定める技術的基準に適合するもの
  三 畜舎その他の政令で定める用途に供する建築物で、その周辺地域が農業上の利用に供され、又はこれと同様の状況にあつて、その構造及び用途並びに周囲の状況に関し避難上及び延焼防止上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合するもの」

 とあり、
 建築基準法第26条によれば、「延べ面積が千平方メートルを超える建築物は、防火上有効な構造の防火壁又は防火床によつて有効に区画し、かつ、各区画の床面積の合計をそれぞれ千平方メートル以内としなければならない」のですが、但し書きにより、1号の「耐火建築物又は準耐火建築物」であれば、この限りでないため、設問は誤りです。




 延べ面積が1,000uを超える建築物で、耐火建築物又は準耐火建築物でない建築物(多くの場合木造が該当する)は、床面積を1,000u以内ごとに区画する防火壁又は防火床をつけることです。

 


2 1階及び2階が事務所で3階から5階までが共同住宅である建築物は、事務所の部分と共同住宅の部分とを1時間準耐火基準に適合する準耐火構造とした床若しくは壁又は特定防火設備で区画しなければならない。

〇 正しい。 3階以上が共同住宅なら、他の部分と区画すること。

 まず、1階及び2階が事務所で3階から5階までが共同住宅である建築物となると、特殊建築物として、建築基準法第27条
「(耐火建築物等としなければならない特殊建築物)
 第二十七条 次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、その主要構造部を当該特殊建築物に存する者の全てが当該特殊建築物から地上までの避難を終了するまでの間通常の火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために主要構造部に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとし、かつ、その外壁の開口部であつて建築物の他の部分から当該開口部へ延焼するおそれがあるものとして政令で定めるものに、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を設けなければならない。
  一 別表第一(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供するもの(階数が三で延べ面積が二百平方メートル未満のもの(同表(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(二)項に掲げる用途で政令で定めるものに供するものにあつては、政令で定める技術的基準に従つて警報設備を設けたものに限る。)を除く。)
  二 別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供するもので、その用途に供する部分(同表(一)項の場合にあつては客席、同表(二)項及び(四)項の場合にあつては二階の部分に限り、かつ、病院及び診療所についてはその部分に患者の収容施設がある場合に限る。)の床面積の合計が同表(は)欄の当該各項に該当するもの
  三 別表第一(い)欄(四)項に掲げる用途に供するもので、その用途に供する部分の床面積の合計が三千平方メートル以上のもの
  四 劇場、映画館又は演芸場の用途に供するもので、主階が一階にないもの(階数が三以下で延べ面積が二百平方メートル未満のものを除く。)
2 次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、耐火建築物としなければならない。
  一 別表第一(い)欄(五)項に掲げる用途に供するもので、その用途に供する三階以上の部分の床面積の合計が同表(は)欄(五)項に該当するもの
  二 別表第一(ろ)欄(六)項に掲げる階を同表(い)欄(六)項に掲げる用途に供するもの
3 次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、耐火建築物又は準耐火建築物(別表第一(い)欄(六)項に掲げる用途に供するものにあつては、第二条第九号の三ロに該当する準耐火建築物のうち政令で定めるものを除く。)としなければならない。
  一 別表第一(い)欄(五)項又は(六)項に掲げる用途に供するもので、その用途に供する部分の床面積の合計が同表(に)欄の当該各項に該当するもの
  二 別表第二(と)項第四号に規定する危険物(安全上及び防火上支障がないものとして政令で定めるものを除く。以下この号において同じ。)の貯蔵場又は処理場の用途に供するもの(貯蔵又は処理に係る危険物の数量が政令で定める限度を超えないものを除く。)」

 とあり、
 別表が出てきて、それが、まるでパズルの組み合わせで、分かり難いのですが、共同住宅は、別表第一では、(ニ)にあります。その部分だけを取り出しました。

別表第一 耐火建築物等としなければならない特殊建築物(第六条、第二十一条、第二十七条、第二十八条、第三十五条―第三十五条の三、第九十条の三関係)  
   (い)  (ろ)  (は)   (に) 
用途     (い)欄の用途に供する階  (い)欄の用途に供する部分((一)項の場合にあつては客席、(五)項の場合にあつては三階以上の部分に限る。)の床面積の合計  (い)欄の用途に供する部分((二)項及び(四)項の場合にあつては二階の部分に限り、かつ病院及び診療所についてはその部分に患者の収容施設がある場合に限る。)の床面積の合計
  (二)  病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎その他これらに類するもので政令で定めるもの  三階以上の階  三百平方メートル以上  

 になります。

 この表を元に、建築基準法第27条1項1号の「一 別表第一(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供するもの(階数が三で延べ面積が二百平方メートル未満のもの(同表(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(二)項に掲げる用途で政令で定めるものに供するものにあつては、政令で定める技術的基準に従つて警報設備を設けたものに限る。)を除く。)」
 を解きますと、
 「別表第一(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供するもの」は、
 ”
3階以上の階(ろ欄)を共同住宅の用途(い欄の用途 (ニ))”にするなら、特殊建築物として
 「その主要構造部を当該特殊建築物に存する者の全てが当該特殊建築物から地上までの避難を終了するまでの間通常の火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために主要構造部に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとし、かつ、その外壁の開口部であつて建築物の他の部分から当該開口部へ延焼するおそれがあるものとして政令で定めるものに、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を設けなければならない。」
 となり、
 設問では、建築基準法第27条1項1号に該当します。


 これを受けた政令は、建築基準法施行令第112条17項
(防火区画)
 第百十二条
 
17 建築物の一部が法第二十七条第一項各号、第二項各号又は第三項各号のいずれかに該当する場合においては、その部分とその他の部分とを一時間準耐火基準に適合する準耐火構造とした床若しくは壁又は特定防火設備で区画しなければならない。」

 とあり、
 設問の「1階及び2階が事務所で3階から5階までが共同住宅である建築物は、事務所の部分と共同住宅の部分とを1時間準耐火基準に適合する準耐火構造とした床若しくは壁又は特定防火設備で区画しなければならない。」は、正しい。

 一定以上の階を問題とするのは、火災が下階から上階に燃え広がる傾向があること、上階にいる人は避難が困難であることなどが理由です。
 例えば共同住宅の場合、2階建までは耐火建築物とすることを要しないが、3階建であれば、規模に関係なく耐火建築物とします。



3 建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合において、当該建築物が防火地域外において防火壁で区画されているときは、その防火壁外の部分については、準防火地域内の建築物に関する規定を適用する。

〇 正しい。 建築物が防火地域外において防火壁で区画されているときに、防火壁があれば、その防火壁外の部分については、準防火地域内の建築物に関する規定を適用する。

 平成28年 マンション管理士試験 「問21」 平成25年 マンション管理士試験 「問20」 、平成17年 マンション管理士試験 「問23」 。
 平成30年の改正前は、建築基準法第67条だったが、改正で第65条になった。


 建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合は、建築基準法第65条
(建築物が防火地域又は準防火地域の内外にわたる場合の措置)
 第六十五条 建築物が防火地域又は準防火地域とこれらの地域として指定されていない区域にわたる場合においては、その全部についてそれぞれ防火地域又は準防火地域内の建築物に関する規定を適用する。ただし、その建築物が防火地域又は準防火地域外において防火壁で区画されている場合においては、その防火壁外の部分については、この限りでない。
2 建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合においては、その全部について防火地域内の建築物に関する規定を適用する。ただし、建築物が防火地域外において防火壁で区画されている場合においては、その防火壁外の部分については、準防火地域内の建築物に関する規定を適用する。

 とあり、
 建築基準法第65条2項但し書きによると、「建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合において、当該建築物が防火地域外において防火壁で区画されているときは、その防火壁外の部分については、準防火地域内の建築物に関する規定を適用する」は、正しい。

 


4 延べ面積が 700 uである共同住宅の階段の部分には、排煙設備を設ける必要はない。

〇 正しい。 階段の部分、昇降機の昇降路の部分なら、排煙設備を設ける必要はない。

 排煙設備は、建築基準法施行令第126条の2、
「(設置)
 第百二十六条の二 法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物で延べ面積が五百平方メートルを超えるもの、階数が三以上で延べ面積が五百平方メートルを超える建築物(建築物の高さが三十一メートル以下の部分にある居室で、床面積百平方メートル以内ごとに、間仕切壁、天井面から五十センチメートル以上下方に突出した垂れ壁その他これらと同等以上に煙の流動を妨げる効力のあるもので不燃材料で造り、又は覆われたもの(以下「防煙壁」という。)によつて区画されたものを除く。)、第百十六条の二第一項第二号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が千平方メートルを超える建築物の居室で、その床面積が二百平方メートルを超えるもの(建築物の高さが三十一メートル以下の部分にある居室で、床面積百平方メートル以内ごとに防煙壁で区画されたものを除く。)には、
排煙設備を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。
  一 法別表第一(い)欄(二)項に掲げる用途に供する特殊建築物のうち、準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画された部分で、その床面積が百平方メートル(共同住宅の住戸にあつては、二百平方メートル)以内のもの
  二 学校(幼保連携型認定こども園を除く。)、体育館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場(以下「学校等」という。)
  
三 階段の部分、昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)その他これらに類する建築物の部分
  四 機械製作工場、不燃性の物品を保管する倉庫その他これらに類する用途に供する建築物で主要構造部が不燃材料で造られたものその他これらと同等以上に火災の発生のおそれの少ない構造のもの
  五 火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分として、天井の高さ、壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類等を考慮して国土交通大臣が定めるもの
2 建築物が開口部のない準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備でその構造が第百十二条第十八項第一号イ及びロ並びに第二号ロに掲げる要件を満たすものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたもので区画されている場合においては、その区画された部分は、この節の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。」

 とあり、
 選択肢2でも使用しました、別表第一が問題で、このパズルを解くことになりますが、パスして、設問は、建築基準法施行令第126条の2 1項の但し書き
 「ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。」での
 3号
 「三 階段の部分、昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)その他これらに類する建築物の部分」
 に該当しますから、「延べ面積が 700 uである共同住宅の階段の部分には、排煙設備を設ける必要はない」は、正しい。



答え: 1 

  平成30年の改正点からの出題。 選択肢2、選択肢4 は、難しい。
  該当の条文を探し、解説にも、時間がかかった。

 建築基準法 については、別途  「要約 建築基準法」  もありますから、ご利用ください。
 ここで、主要構造部とか、耐火構造・準耐火構造、不燃材料などを勉強してください。
 また、過去問題の解説でも、 建築基準法  だけを取り出していますから、こちらも、参考にしてください。

《タグ》建築基準法 防火壁又は防火床 3階以上の共同住宅 耐火建築物 区画 防火地域と準防火地域にわたる場合 排煙設備 階段と昇降機の昇降路の部分

問22

〔問 22〕 水道法(昭和 32 年法律第 177 号)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 水道事業の用に供する水道及び専用水道以外の水道であって、水道事業の用に供する水道から供給される水のみを水源とする水道は、水槽の有効容量を問わず、貯水槽水道である。

〇 正しい。 貯水槽水道には、水槽の有効容量を問わず、簡易専用水道と小規模貯水槽水道もはいる。

  水道法からも、例年1問の出題があります。 
 平成30年 マンション管理士試験 「問22」 、 平成30年 管理業務主任者試験 「問21」 、 平成29年 マンション管理士試験 「問22」 、平成28年 マンション管理士試験 「問22」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問22」、 平成26年 マンション管理士試験 「問22」 、平成23年 マンション管理士試験 「問22」 、平成21年 マンション管理士試験 「問22」 、 平成16年 マンション管理士試験 「問23」 など。

 どうして、いつも水道法では、「貯水槽水道」とか「簡易専用水道」がよく出題されるのかといいますと、マンションやビルでは、受水槽(給水タンクとも)にいったん水道水を貯めてから、ポンプや高置水槽を使用し、各蛇口へ給水している場合があります。
この受水槽から各蛇口までの施設全体を「貯水槽水道」と呼びます。


 そこで、 「貯水槽水道」に関する規定は、ビル、マンション等の貯水槽水道の管理について、その設置者(建物所有者や分譲マンションでは管理組合等)の責任を水道事業者が定める供給規定上明確にし、その管理の徹底を図るために平成13年の改正水道法で設けられました。

 具体的には、 水道法第14条
「(供給規程)
 第十四条 水道事業者は、料金、給水装置工事の費用の負担区分その他の供給条件について、供給規程を定めなければならない。
2 前項の供給規程は、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
  一 料金が、能率的な経営の下における適正な原価に照らし、健全な経営を確保することができる公正妥当なものであること。
  二 料金が、定率又は定額をもつて明確に定められていること。
  三 水道事業者及び水道の需要者の責任に関する事項並びに給水装置工事の費用の負担区分及びその額の算出方法が、適正かつ明確に定められていること。
  四 特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと。
  
五 貯水槽水道(水道事業の用に供する水道及び専用水道以外の水道であつて、水道事業の用に供する水道から供給を受ける水のみを水源とするものをいう。以下この号において同じ。)が設置される場合においては、貯水槽水道に関し、水道事業者及び当該貯水槽水道の設置者の責任に関する事項が、適正かつ明確に定められていること。
3 前項各号に規定する基準を適用するについて必要な技術的細目は、厚生労働省令で定める。
4 水道事業者は、供給規程を、その実施の日までに一般に周知させる措置をとらなければならない。
5 水道事業者が地方公共団体である場合にあつては、供給規程に定められた事項のうち料金を変更したときは、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
6 水道事業者が地方公共団体以外の者である場合にあつては、供給規程に定められた供給条件を変更しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
7 厚生労働大臣は、前項の認可の申請が第二項各号に掲げる要件に適合していると認めるときは、その認可を与えなければならない。」

 とあり、
 道法第14条2項5号によれば、「五 貯水槽水道(水道事業の用に供する水道及び専用水道以外の水道であつて、水道事業の用に供する水道から供給を受ける水のみを水源とするものをいう」とのことですから、「水槽の有効容量を問わず」「道事業の用に供する水道及び専用水道以外の水道であって、水道事業の用に供する水道から供給される水のみを水源とする水道は、貯水槽水道である」は、正しい。


   


 平成13年の法改正により、今までありました、簡易専用水道も貯水槽水道に含まれますが、簡易専用水道には、水槽の有効容量の合計が 10m3 以下のものは適用除外になっています。
 それは、水道法3条7項
 「(用語の定義)
 第三条 この法律において「水道」とは、導管及びその他の工作物により、水を人の飲用に適する水として供給する施設の総体をいう。ただし、臨時に施設されたものを除く。
 7 この法律において「簡易専用水道」とは、水道事業の用に供する水道及び専用水道以外の水道であつて、水道事業の用に供する水道から供給を受ける水のみを水源とするものをいう。
ただし、その用に供する施設の規模が政令で定める基準以下のものを除く。」

 とあり、
 政令は、水道法施行令
 「第二条 法第三条第七項ただし書に規定する政令で定める基準は、水道事業の用に供する水道から水の供給を受けるために設けられる水槽の有効容量の合計が十立方メートルであることとする。」
 です。

 よって、貯水槽水道は、受水槽の有効容量(10m3)によって次の2種類に分類されます。
  @簡易専用水道...受水槽の有効容量が10m3 を超えるもの。水道法での管理が義務付けられる。
  A小規模貯水槽水道...受水槽の有効容量が10m3 以下のもの。水道法の適用はなく、地方公共団体が定める条例により、設置者の自主管理に任せるが、ほぼ、水道法と同じ管理になっている。 

   貯水槽水道は、水道局からのみ給水(上水道)を受ける受水槽式の水道であり、水槽内で井戸水等と混合されて使用される施設は該当しません。
 また、工場に設置しているなど、全く飲み水として使用しない場合も、簡易専用水道には該当しません。

 受水槽に入るまでの水質は『水道局』が管理していますが、受水槽及びそれ以降の 水質は『設置者又は設置者から委託された管理者』が管理することになっています。



2 水道事業者は、供給規程に基づき、貯水槽水道の設置者に対して指導、助言及び勧告をすることができる。

〇 正しい。 水道事業者は、供給規程に基づき、貯水槽水道の設置者に対して指導、助言及び勧告をすることができる。

 貯水槽水道の衛生管理は、貯水槽の容量に関係なく、設置者(管理組合など)が自主的に行うのが原則ですが、水の供給者である水道事業者(市など)においても、安全な水を供給する責任があるという立場から、必要があると認めたときは、貯水槽水道の設置者に対し指導、助言及び勧告を行うこと、また利用者(マンションの住民等)に対しては情報提供を行うこと、が新たに定められました。

 具体的には、選択肢1で引用しました、水道法第14条(供給規程)の規定をうけた、水道法施行規則第12条の4、

「第十二条の四 法第十四条第三項に規定する技術的細目のうち、同条第二項第五号に関するものは、次に掲げるものとする。
  一 水道事業者の責任に関する事項として、必要に応じて、次に掲げる事項が定められていること。
    
イ 貯水槽水道の設置者に対する指導、助言及び勧告
    ロ 貯水槽水道の利用者に対する情報提供
  二 貯水槽水道の設置者の責任に関する事項として、必要に応じて、次に掲げる事項が定められていること。
    イ 貯水槽水道の管理責任及び管理の基準
    ロ 貯水槽水道の管理の状況に関する検査」

 とあり、
 水道法施行規則第12条の4 1号 イ によれば、「水道事業者は、供給規程に基づき、貯水槽水道の設置者に対して指導、助言及び勧告をすることができる」は、正しい。


3 簡易専用水道の設置者は、給水栓における水質について、定期に、都道府県知事(市又は特別区の区域においては市長又は区長。この問いにおいて同じ。)の登録を受けた者の検査を受けなくてはならない。

X 誤っている。 都道府県知事の登録ではなく、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者の検査。

 まず、簡易専用水道とは、都や市町村などの水道から供給される水だけを水源として、その水をいったん受水槽 にためてから給水する水道のうち、受水槽の有効容量の合計が 10m3を超えるものを「簡易専用水道」といいます。
 ただし、工場に設置しているなど、全く飲み水として使用しな い場合は、簡易専用水道には該当しません。


 

 その簡易専用水道の設置者は、水道法第34条の2
「第六章 簡易専用水道
 第三十四条の二 簡易専用水道の設置者は、厚生労働省令で定める基準に従い、その水道を管理しなければならない。
2 
簡易専用水道の設置者は、当該簡易専用水道の管理について、厚生労働省令の定めるところにより、定期に、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者の検査を受けなければならない。」

 とあり、
 水道法第34条の2 2項によれば、簡易専用水道の検査をするのは、「地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者」であり、「都道府県知事(市又は特別区の区域においては市長又は区長。この問いにおいて同じ。)の登録を受けた者」では、ないため、設問は誤りです。

 水道の水質検査などを行う業者は、@厚生労働大臣の指定した者(指定検査機関)か、 A地方公共団体の機関(都道府県又は市町村の衛生部局、保健所、研究所、試験所等のほか水道部局など)に登録が必要です。
 登録業者の現状としては、地方公共団体の機関での登録は殆どなく、厚生労働大臣の指定検査機関が、大部分の簡易専用水道の水質検査をしているとのことです。

 ただし、水道法では、都道府県知事等による、管理基準に適合しないとき の清掃その他の措置をとるべき旨の改善指示、必要な場合の給水停止命令、管理につ いての報告徴収や立入検査について規定しています。

 なお、給水栓における水質は、水道法施行規則第55条
「第四章 簡易専用水道
 (管理基準)
 第五十五条 法第三十四条の二第一項に規定する厚生労働省令で定める基準は、次の各号に掲げるものとする。
  一 水槽の掃除を一年以内ごとに一回、定期に、行うこと。
  二 水槽の点検等有害物、汚水等によつて水が汚染されるのを防止するために必要な措置を講ずること。
  
三 給水栓における水の色、濁り、臭い、味その他の状態により供給する水に異常を認めたときは、水質基準に関する省令の表の上欄に掲げる事項のうち必要なものについて検査を行うこと。
  四 供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知つたときは、直ちに給水を停止し、かつ、その水を使用することが危険である旨を関係者に周知させる措置を講ずること。」
 であり、
 検査は、水道法施行規則第56条1項
「(検査)
 第五十六条 法第三十四条の二第二項の規定による
検査は、一年以内ごとに一回とする
2 検査の方法その他必要な事項については、厚生労働大臣が定めるところによるものとする。」
 です。



4 都道府県知事は、簡易専用水道の管理の適正を確保するために必要があると認めるときは、簡易専用水道の設置者から簡易専用水道の管理について必要な報告を徴することができる。

〇 正しい。 簡易専用水道の管理の適正のため、都道府県知事が、設置者に報告を求めることができる。

 設問は、水道法第39条、
「(報告の徴収及び立入検査)
 第三十九条 厚生労働大臣は、水道(水道事業等の用に供するものに限る。以下この項において同じ。)の布設若しくは管理又は水道事業若しくは水道用水供給事業の適正を確保するために必要があると認めるときは、水道事業者若しくは水道用水供給事業者から工事の施行状況若しくは事業の実施状況について必要な報告を徴し、又は当該職員をして水道の工事現場、事務所若しくは水道施設のある場所に立ち入らせ、工事の施行状況、水道施設、水質、水圧、水量若しくは必要な帳簿書類(その作成又は保存に代えて電磁的記録の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。次項及び第四十条第八項において同じ。)を検査させることができる。
2 都道府県知事は、水道(水道事業等の用に供するものを除く。以下この項において同じ。)の布設又は管理の適正を確保するために必要があると認めるときは、専用水道の設置者から工事の施行状況若しくは専用水道の管理について必要な報告を徴し、又は当該職員をして水道の工事現場、事務所若しくは水道施設のある場所に立ち入らせ、工事の施行状況、水道施設、水質、水圧、水量若しくは必要な帳簿書類を検査させることができる。
3 都道府県知事は、簡易専用水道の管理の適正を確保するために必要があると認めるときは、簡易専用水道の設置者から簡易専用水道の管理について必要な報告を徴し、又は当該職員をして簡易専用水道の用に供する施設の在る場所若しくは設置者の事務所に立ち入らせ、その施設、水質若しくは必要な帳簿書類を検査させることができる。
4 前三項の規定により立入検査を行う場合には、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
5 第一項、第二項又は第三項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。」

 とあり、
 水道法第39条3項によれば、「都道府県知事は、簡易専用水道の管理の適正を確保するために必要があると認めるときは、簡易専用水道の設置者から簡易専用水道の管理について必要な報告を徴することができる」は、正しい。



答え: 3 

  選択肢1の「水槽の有効容量を問わず」は、しっかりと勉強していないと、間違える。
  選択肢3も、条文を整理していないと、迷うか。

 水道法も例年1問の出題がありますので、 水道法 についても、 過去問題から 取り出していますから、参考にしてください。

《タグ》水道法 貯水槽水道 事業者の勧告 水道検査機関 簡易専用水道 都道府県知事の役目

問23

〔問 23〕 共同住宅における消防用設備等に関する次の記述のうち、消防法(昭和 23 年法律第 186 号)の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、いずれも地階、無窓階はないものとし、危険物又は指定可燃物の貯蔵又は取扱いはないものとする。


1 地上2階建、延べ面積 400 u の共同住宅には、消火器又は簡易消火用具を、階ごとに、当該共同住宅の各部分からの歩行距離が 20m以下となるよう設置しなければならない。

〇 正しい。 共同住宅で延べ面積が150u以上なら、消火器具は、階ごとに歩行距離が20m以内で設置すること。


 消防法からも、例年1問はでます。 
 平成30年 マンション管理士試験 「問23」 、 平成30年、管理業務主任者試験 「問23」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問23」 、 平成24年マンション管理士試験 「問23」 、平成24年 管理業務主任者試験 「問19」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問23」 、 平成20年 マンション管理士試験 「問24」 、平成17年 マンション管理士試験 「問25」 、平成15年 マンション管理士試験 「問24」 、平成14年マンション管理士 試験 「問24」 、 平成13年 管理業務主任者 試験 「問19」


 まず、基本として、消防法での共同住宅は、別表第一(五)項ロ   

別表第一 
(五)  ロ 寄宿舎、下宿又は共同住宅 

 に該当することを記憶しておいてください。

 ここは、平成28年 マンション管理士試験 「問23」 選択肢2
 消火器具の配置は、まず、消防法施行令第10条、
 「消火器具に関する基準)
 第十条  消火器又は簡易消火用具(以下「消火器具」という。)は、次に掲げる防火対象物又はその部分に設置するものとする。
   一  別表第一(一)項イ、(二)項、(六)項イ(1)から(3)まで及びロ、(十六の二)項、(十六の三)項、(十七)項並びに(二十)項に掲げる防火対象物
   
二  別表第一(一)項ロ、(三)項から(五)項まで、(六)項イ(4)、ハ及びニ、(九)項並びに(十二)項から(十四)項までに掲げる防火対象物で、延べ面積が百五十平方メートル以上のもの
   三  別表第一(七)項、(八)項、(十)項、(十一)項及び(十五)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が三百平方メートル以上のもの
   四  前三号に掲げるもののほか、別表第一に掲げる建築物その他の工作物で、少量危険物(危険物のうち、危険物の規制に関する政令 (昭和三十四年政令第三百六号)第一条の十一 に規定する指定数量の五分の一以上で指定数量未満のものをいう。)又は指定可燃物(同令 別表第四の品名欄に掲げる物品で、同表の数量欄に定める数量以上のものをいう。以下同じ。)を貯蔵し、又は取り扱うもの
   五  前各号に掲げる防火対象物以外の別表第一に掲げる建築物の地階(地下建築物にあつては、その各階をいう。以下同じ。)、無窓階(建築物の地上階のうち、総務省令で定める避難上又は消火活動上有効な開口部を有しない階をいう。以下同じ。)又は三階以上の階で、床面積が五十平方メートル以上のもの

 (以下、略)」
 とあり、
 共同住宅は、「別表第一(五)項ロ 寄宿舎、下宿又は共同住宅」 に該当しますので、消火器具の設置が必要なものは、消防法施行令第10条1項二号の「延べ面積が150u以上のもの」となります。

 すると、その消火器具の配置は、消防法施行規則第6条6項
「(大型消火器以外の消火器具の設置)
 第六条
 6 前五項の規定により設ける
消火器具は、防火対象物の階ごとに、第一項及び第五項に規定するものにあつては防火対象物の各部分から、第三項に規定するものにあつては危険物又は指定可燃物を貯蔵し、又は取り扱う場所の各部分から、第四項に規定するものにあつては電気設備のある場所の各部分から、それぞれ一の消火器具に至る歩行距離が二十メートル以下となるように配置しなければならない。」

 とあり、
 消防法施行令第10条1項二号及び消防法施行規則第6条6項によれば、「地上2階建、延べ面積 400 u の共同住宅には、消火器又は簡易消火用具を、階ごとに、当該共同住宅の各部分からの歩行距離が 20m以下となるよう設置しなければならない」は、正しい。





 参考:消防用設備等の特例基準に関する規程 平成9年6月12日 消防本部規程第2号 (平成15年3月26日施行)
   消火器具は、消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号。以下「規則」という。)第6条の規定の例により設置するものとする。
 ただし、次によることができるものとする。
  (ア) 住戸、共用室及び管理人室に次により消火器を設置した場合にあっては、当該住戸、共用室及び管理人室が直接面する廊下及び階段室等に消火器具を設置しないことができること。
    a 住戸、共用室及び管理人室ごとに設置するものであること。
    b 住戸、共用室及び管理人室内に設置する消火器は、住宅用消火器とすること。
  (イ) 階ごとの共用部分(消火器が設置された住戸、共用室及び管理人室が直接面する廊下及び階段室等を除く。)及び住戸等(住戸、共用室及び管理人室を除く。)の部分にあっては、当該部分の各部分から一の消火器具に至る歩行距離が20メートル以下となるように消火器具を設置すること。



2 地上5階建、延べ面積 3,000 uの共同住宅には、避難が容易であると認められるもので総務省令で定めるものを除き、全ての階に非常電源を附置した誘導灯を設置しなければならない。

X 誤っている。 誘導灯の設置は、全ての階ではない。 共同住宅なら、地階、無窓階、11階以上でいい。

 まず、誘導灯とは,火災時,防火対象物にいる者を屋外に避難させるため,避難口の位置や避難の方向を明示し,又は避難上有効な照度を与える照明器具をいい,
  @避難口誘導灯
  A通路誘導灯 及び
  B客席誘導灯 に区分されます。
 そこで、劇場や映画館、病院、百貨店など、不特定多数が出入りする建物には、誘導灯の設置義務があり、全階に渡って誘導灯を設置しなければなりません。
しかし、共同住宅や工場など、不特定ではなく特定の人のみが使用する建物の場合、誘導灯の設置基準が緩和されており、
  
1.避難困難になりやすい「地階」、
  2.消防隊が容易に進入できない「無窓階」、
  3.はしご車などでの活動も困難となりやすい「11階以上」の階で、
  誘導灯を設置しなければならないとされています。


 誘導灯は設置対象となる防火対象物の用途によって、必要になる面積基準が変わります。
不特定多数の人員を収容する百貨店や店舗等は設置基準が厳しくなっていたり、逆に事務所などは百貨店等と比べて基準が緩いなど、建物用途による違いがあります。

 誘導灯は、火災・停電などによって電源が遮断されても、避難が完了するまでの間は点灯していなければいけません。
 誘導灯本体内部には蓄電池が内蔵されており、20分間以上の点灯を継続できるようになっています。
 誘導灯を設置する建物が大規模施設の場合には、避難に時間が掛かるため、60分以上の点灯を継続できる長時間型誘導灯が設置されます。

 コンパクト形誘導灯は従来、冷陰極管というランプが使用されていました。
 現在は冷陰極管の代替として、LED照明による誘導灯が普及しました。
 LEDは冷陰極管と同等以上の寿命を持ち、かつ冷陰極管よりも消費電力が小さいため、CO2の削減など、省エネルギーに貢献できることが注目されています。


 

 具体的には、消防法施行令第26条、
「(誘導灯及び誘導標識に関する基準)
 第二十六条 誘導灯及び誘導標識は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める防火対象物又はその部分に設置するものとする。ただし、避難が容易であると認められるもので総務省令で定めるものについては、この限りでない。
  一 
避難口誘導灯 別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項、(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物並びに同表(五)項ロ、(七)項、(八)項、(十)項から(十五)項まで及び(十六)項ロに掲げる防火対象物の地階、無窓階及び十一階以上の部分
  二 
通路誘導灯 別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項、(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物並びに同表(五)項ロ、(七)項、(八)項、(十)項から(十五)項まで及び(十六)項ロに掲げる防火対象物の地階、無窓階及び十一階以上の部分
  三 客席誘導灯 別表第一(一)項に掲げる防火対象物並びに同表(十六)項イ及び(十六の二)項に掲げる防火対象物の部分で、同表(一)項に掲げる防火対象物の用途に供されるもの
  四 誘導標識 別表第一(一)項から(十六)項までに掲げる防火対象物
2 前項に規定するもののほか、誘導灯及び誘導標識の設置及び維持に関する技術上の基準は、次のとおりとする。
  一 避難口誘導灯は、避難口である旨を表示した緑色の灯火とし、防火対象物又はその部分の避難口に、避難上有効なものとなるように設けること。
  二 通路誘導灯は、避難の方向を明示した緑色の灯火とし、防火対象物又はその部分の廊下、階段、通路その他避難上の設備がある場所に、避難上有効なものとなるように設けること。ただし、階段に設けるものにあつては、避難の方向を明示したものとすることを要しない。
  三 客席誘導灯は、客席に、総務省令で定めるところにより計つた客席の照度が〇・二ルクス以上となるように設けること。
  四 誘導灯には、非常電源を附置すること。
  五 誘導標識は、避難口である旨又は避難の方向を明示した緑色の標識とし、多数の者の目に触れやすい箇所に、避難上有効なものとなるように設けること。
3 第一項第四号に掲げる防火対象物又はその部分に避難口誘導灯又は通路誘導灯を前項に定める技術上の基準に従い、又は当該技術上の基準の例により設置したときは、第一項の規定にかかわらず、これらの誘導灯の有効範囲内の部分について誘導標識を設置しないことができる。」

 とあり、
 選択肢1でも説明しましたように、共同住宅は、「別表第一(五)項ロ 寄宿舎、下宿又は共同住宅」 に該当しますから、
 @避難口誘導灯は、消防法施行令第26条1項1号の「
防火対象物の地階、無窓階及び十一階以上の部分
 A通路誘導灯は、消防法施行令第26条1項2号の「
防火対象物の地階、無窓階及び十一階以上の部分」ですから、
 設問の「地上5階建、延べ面積 3,000 uの共同住宅には、避難が容易であると認められるもので総務省令で定めるものを除き、全ての階に非常電源を附置した誘導灯を設置しなければならない」は、誤りです。



3 地上 11 階建の共同住宅においてスプリンクラー設備の設置義務があるのは、11 階のみである。

〇 正しい。 共同住宅で、スプリンクラー設備の設置義務があるのは、11階以上。

 平成25年 マンション管理士試験 「問23」 、

 スプリンクラーの設置は、消防法施行令第12条1項12号
「(スプリンクラー設備に関する基準)
 第十二条 スプリンクラー設備は、次に掲げる防火対象物又はその部分に設置するものとする。
  一 次に掲げる防火対象物(第三号及び第四号に掲げるものを除く。)で、火災発生時の延焼を抑制する機能を備える構造として総務省令で定める構造を有するもの以外のもの
    イ 別表第一(六)項イ(1)及び(2)に掲げる防火対象物
    ロ 別表第一(六)項ロ(1)及び(3)に掲げる防火対象物
    ハ 別表第一(六)項ロ(2)、(4)及び(5)に掲げる防火対象物(介助がなければ避難できない者として総務省令で定める者を主として入所させるもの以外のものにあつては、延べ面積が二百七十五平方メートル以上のものに限る。)
  二 別表第一(一)項に掲げる防火対象物(次号及び第四号に掲げるものを除く。)で、舞台部(舞台並びにこれに接続して設けられた大道具室及び小道具室をいう。以下同じ。)の床面積が、当該舞台が、地階、無窓階又は四階以上の階にあるものにあつては三百平方メートル以上、その他の階にあるものにあつては五百平方メートル以上のもの
  三 別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ及び(十六)項イに掲げる防火対象物で、地階を除く階数が十一以上のもの(総務省令で定める部分を除く。)
  四 別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項及び(九)項イに掲げる防火対象物(前号に掲げるものを除く。)のうち、平屋建以外の防火対象物で、総務省令で定める部分以外の部分の床面積の合計が、同表(四)項及び(六)項イ(1)から(3)までに掲げる防火対象物にあつては三千平方メートル以上、その他の防火対象物にあつては六千平方メートル以上のもの
  五 別表第一(十四)項に掲げる防火対象物のうち、天井(天井のない場合にあつては、屋根の下面。次項において同じ。)の高さが十メートルを超え、かつ、延べ面積が七百平方メートル以上のラック式倉庫(棚又はこれに類するものを設け、昇降機により収納物の搬送を行う装置を備えた倉庫をいう。)
  六 別表第一(十六の二)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が千平方メートル以上のもの
  七 別表第一(十六の三)項に掲げる防火対象物のうち、延べ面積が千平方メートル以上で、かつ、同表(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分の床面積の合計が五百平方メートル以上のもの
  八 前各号に掲げるもののほか、別表第一に掲げる建築物その他の工作物で、指定可燃物(可燃性液体類に係るものを除く。)を危険物の規制に関する政令別表第四で定める数量の千倍以上貯蔵し、又は取り扱うもの
  九 別表第一(十六の二)項に掲げる防火対象物(第六号に掲げるものを除く。)の部分のうち、同表(六)項イ(1)若しくは(2)又はロに掲げる防火対象物の用途に供されるもの(火災発生時の延焼を抑制する機能を備える構造として総務省令で定める構造を有するものを除く。)
  十 別表第一(十六)項イに掲げる防火対象物(第三号に掲げるものを除く。)で、同表(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分(総務省令で定める部分を除く。)の床面積の合計が三千平方メートル以上のものの階のうち、当該部分が存する階
  十一 前各号に掲げる防火対象物又はその部分以外の別表第一に掲げる防火対象物の地階、無窓階又は四階以上十階以下の階(総務省令で定める部分を除く。)で、次に掲げるもの
    イ 別表第一(一)項、(三)項、(五)項イ、(六)項及び(九)項イに掲げる防火対象物の階で、その床面積が、地階又は無窓階にあつては千平方メートル以上、四階以上十階以下の階にあつては千五百平方メートル以上のもの
    ロ 別表第一(二)項及び(四)項に掲げる防火対象物の階で、その床面積が千平方メートル以上のもの
    ハ 別表第一(十六)項イに掲げる防火対象物の階のうち、同表(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分が存する階で、当該部分の床面積が、地階又は無窓階にあつては千平方メートル以上、四階以上十階以下の階にあつては千五百平方メートル(同表(二)項又は(四)項に掲げる防火対象物の用途に供される部分が存する階にあつては、千平方メートル)以上のもの
  
十二 前各号に掲げる防火対象物又はその部分以外の別表第一に掲げる防火対象物の十一階以上の階(総務省令で定める部分を除く。)
2 前項に規定するもののほか、スプリンクラー設備の設置及び維持に関する技術上の基準は、次のとおりとする。
(以下、略)」

 とあり、
 共同住宅は、選択肢1でも説明しましたように、「別表第一(五)項ロ 寄宿舎、下宿又は共同住宅」 に該当します。
 そこで、「別表第一(五)項ロ」は、消防法施行令第12条1項をよく読むと、1号から11号には該当せず、結局 12号「十二 前各号に掲げる防火対象物又はその部分以外の別表第一に掲げる防火対象物の十一階以上の階(総務省令で定める部分を除く。)」
 が該当します。


 これを受けた、「特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成30年6月1日公布、総務省令第40号)の該当条文を摘出すると、
「(必要とされる初期拡大抑制性能を有する消防の用に供する設備等に関する基準)
 第三条3項2号
 3 前二項に規定するもののほか、特定共同住宅等における必要とされる初期拡大抑制性能を主として有する消防の用に供する設備等の設置及び維持に関する技術上の基準は、次のとおりとする。
  二 
共同住宅用スプリンクラー設備は、次のイからチまでに定めるところによること。
     イ 次の(イ)から(ハ)に掲げる階又は部分に設置すること。
       (イ) 
特定共同住宅等の十一階以上の階及び特定住戸利用施設(十階以下の階に存するものに限る。)
       (ロ) 特定共同住宅等で、住戸利用施設の床面積の合計が三千平方メートル以上のものの階のうち、当該部分が存する階((イ)に掲げる階及び部分を除く。)
       (ハ) 特定共同住宅等で、住戸利用施設の床面積の合計が三千平方メートル未満のものの階のうち、当該部分が存する階で、当該部分の床面積が、地階又は無窓階にあっては千平方メートル以上、四階以上十階以下の階にあっては千五百平方メートル以上のもの((イ)に掲げる階及び部分を除く。)」
 とあり、
 ここでの
「特定共同住宅等」とは、同法第2条の定義によると、
 「
令別表第一(五)項ロに掲げる防火対象物及び同表(十六)項イに掲げる防火対象物(同表(五)項イ及びロ並びに(六)項ロ及びハに掲げる防火対象物(同表(六)項ロ及びハに掲げる防火対象物にあっては、有料老人ホーム、福祉ホーム、老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第五条の二第六項に規定する認知症対応型老人共同生活援助事業を行う施設又は障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第五条第十七項に規定する共同生活援助を行う施設に限る。以下同じ。)の用途以外の用途に供される部分が存せず、かつ、同表(五)項イ並びに(六)項ロ及びハに掲げる防火対象物の用途に供する各独立部分(構造上区分された数個の部分の各部分で独立して当該用途に供されることができるものをいう。以下同じ。)の床面積がいずれも百平方メートル以下であって、同表(五)項ロに掲げる防火対象物の用途に供される部分の床面積の合計が、当該防火対象物の延べ面積の二分の一以上のものに限る。)であって、火災の発生又は延焼のおそれが少ないものとして、その位置、構造及び設備について消防庁長官が定める基準に適合するものをいう。」
 とあり、「別表第一(五)項ロ 寄宿舎、下宿又は共同住宅」が、「特定共同住宅等」に該当します。
 これらから、共同住宅での設置義務は11階以上ですから、「地上 11 階建の共同住宅においてスプリンクラー設備の設置義務があるのは、11 階のみである」は、正しい。



4 高さ 31mを超える共同住宅においては、階数にかかわらず、全ての住戸で使用されるカーテンは、政令で定める基準以上の防炎性能を有するものでなければならない。

〇 正しい。 高さが31mを超える高層建築物なら、火災予防のため、居住している階数に関係なく、カーテン、じゅうたんを使用する場合は、防炎性能のあるものを使わなければならない。
 平成26年 マンション管理士試験 「23」 、 平成25年マンション管理士試験 「問23」、 平成24年マンション管理士試験 「問23」平成19年マンション管理士試験 「問24」。

 高層マンション(建物の高さが31メートル(大体11階建)を超えるもの)は、避難に時間を要すること、火災拡大時の人命危険が大きいことから、消防法が改正されて、居住している階に関係なく、使用するカーテンやじゅうたん等火が広がるもととなるものを、防炎(燃えにくい)物品にしなければならないとの規制ができました。
 カーテンやじゅたんなど燃えやすい繊維製品を燃えにくくすることによって、これらが「もえぐさ」となって発生する火災を予防します。また、燃えにくくすることによって初期消火や避難など、貴重な時間を稼ぐことができます。そこで、防炎(燃えにくさ)処理又は防炎加工された防炎対象物品は、法で定められた試験に適合することが必要です。


 まず、、高さ31mを超える建築物は、消防法第8条の2 1項
 「第八条の二  
高層建築物(高さ三十一メートルを超える建築物をいう。第八条の三第一項において同じ。)その他政令で定める防火対象物で、その管理について権原が分かれているもの又は地下街(地下の工作物内に設けられた店舗、事務所その他これらに類する施設で、連続して地下道に面して設けられたものと当該地下道とを合わせたものをいう。以下同じ。)でその管理について権原が分かれているもののうち消防長若しくは消防署長が指定するものの管理について権原を有する者は、政令で定める資格を有する者のうちからこれらの防火対象物の全体について防火管理上必要な業務を統括する防火管理者(以下この条において「統括防火管理者」という。)を協議して定め、政令で定めるところにより、当該防火対象物の全体についての消防計画の作成、当該消防計画に基づく消火、通報及び避難の訓練の実施、当該防火対象物の廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設の管理その他当該防火対象物の全体についての防火管理上必要な業務を行わせなければならない。
 (以下、略)」 

 です。


 すると、高層建築物に対しては、消防法第8条の3 、
「第八条の三 高層建築物若しくは地下街又は劇場、キャバレー、旅館、病院その他の政令で定める防火対象物において使用する防炎対象物品(どん帳、カーテン、展示用合板その他これらに類する物品で政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)は、政令で定める基準以上の防炎性能を有するものでなければならない。
○2 防炎対象物品又はその材料で前項の防炎性能を有するもの(第四項において「防炎物品」という。)には、総務省令で定めるところにより、前項の防炎性能を有するものである旨の表示を付することができる。
○3 何人も、防炎対象物品又はその材料に、前項の規定により表示を付する場合及び産業標準化法(昭和二十四年法律第百八十五号)その他政令で定める法律の規定により防炎対象物品又はその材料の防炎性能に関する表示で総務省令で定めるもの(次項及び第五項において「指定表示」という。)を付する場合を除くほか、前項の表示又はこれと紛らわしい表示を付してはならない。
○4 防炎対象物品又はその材料は、第二項の表示又は指定表示が付されているものでなければ、防炎物品として販売し、又は販売のために陳列してはならない。
○5 第一項の防火対象物の関係者は、当該防火対象物において使用する防炎対象物品について、当該防炎対象物品若しくはその材料に同項の防炎性能を与えるための処理をさせ、又は第二項の表示若しくは指定表示が付されている生地その他の材料からカーテンその他の防炎対象物品を作製させたときは、総務省令で定めるところにより、その旨を明らかにしておかなければならない。」

 とあり、
 31mを超える共同住宅は、消防法第8条の3 1項に該当して「政令で定める基準以上の防炎性能を有する防炎対象物品(どん帳、カーテン、布製のブラインド、暗幕、じゅうたん、もうせんなど)」を、階数に関係なく使用することになりますから、「高さ 31mを超える共同住宅においては、階数にかかわらず、全ての住戸で使用されるカーテンは、政令で定める基準以上の防炎性能を有するものでなければならない」は、正しい。

 なお、防炎対象物品には、寝具は入っていないことに、注意してください。


 
 参考までに、消防法施行令第4条の3
(防炎防火対象物の指定等)
 第四条の三 法第八条の三第一項の政令で定める防火対象物は、別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十二)項ロ及び(十六の三)項に掲げる防火対象物(次項において「防炎防火対象物」という。)並びに工事中の建築物その他の工作物(総務省令で定めるものを除く。)とする。
2 別表第一(十六)項に掲げる防火対象物の部分で前項の防炎防火対象物の用途のいずれかに該当する用途に供されるものは、同項の規定の適用については、当該用途に供される一の防炎防火対象物とみなす。
3 法第八条の三第一項の政令で定める物品は、カーテン、布製のブラインド、暗幕、じゆうたん等(じゆうたん、毛せんその他の床敷物で総務省令で定めるものをいう。次項において同じ。)、展示用の合板、どん帳その他舞台において使用する幕及び舞台において使用する大道具用の合板並びに工事用シートとする。
4 法第八条の三第一項の政令で定める防炎性能の基準は、炎を接した場合に溶融する性状の物品(じゆうたん等を除く。)にあつては次の各号、じゆうたん等にあつては第一号及び第四号、その他の物品にあつては第一号から第三号までに定めるところによる。
  一 物品の残炎時間(着炎後バーナーを取り去つてから炎を上げて燃える状態がやむまでの経過時間をいう。)が、二十秒を超えない範囲内において総務省令で定める時間以内であること。
  二 物品の残じん時間(着炎後バーナーを取り去つてから炎を上げずに燃える状態がやむまでの経過時間をいう。)が、三十秒を超えない範囲内において総務省令で定める時間以内であること。
  三 物品の炭化面積(着炎後燃える状態がやむまでの時間内において炭化する面積をいう。)が、五十平方センチメートルを超えない範囲内において総務省令で定める面積以下であること。
  四 物品の炭化長(着炎後燃える状態がやむまでの時間内において炭化する長さをいう。)の最大値が、二十センチメートルを超えない範囲内において総務省令で定める長さ以下であること。
  五 物品の接炎回数(溶融し尽くすまでに必要な炎を接する回数をいう。)が、三回以上の回数で総務省令で定める回数以上であること。
5 前項に規定する防炎性能の測定に関する技術上の基準は、総務省令で定める。」



答え: 2

 ここは、過去問題をやっていれば、消去法で、選択肢2 は、選べたか。
 解説は、詳細にしたので、ここも時間がかかった。

 消防法 からの過去の出題については、マンション管理士 香川 が無料で提供しています、「目指せ! マンション管理士・管理業務主任者」 の過去問題 の解説の下の方に纏めていますから、これも利用して下さい。

《タグ》消防法 消火器具の設置 誘導灯の設置 スプリンクラーの設置 防災対象物品の使用

問24

〔問 24〕 甲マンションの管理組合から、改修計画において、防犯に配慮した設計とする上で留意すべきことの相談を受けたマンション管理士の次の発言のうち、「共同住宅に係る防犯上の留意事項及び防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針について」(最終改正平成 18 年4月 20 日 国住生第 19 号)によれば、適切なものはいくつあるか。


ア 甲マンションには、管理員室が設置されていることから、住戸内と管理員室の間で通話が可能な機能を有するインターホンを設置することが望ましいので、検討してください。

〇 適切である。 管理員室と各室と交信ができれば、それは、いい。

 「共同住宅に係る防犯上の留意事項及び防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針について」からも、時々、出題があるが、まあ、常識で解答はできる。
 
 「共同住宅に係る防犯上の留意事項及び防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針について」
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/press/h12/130323-3.htm

 「(2) インターホン
  ア 住戸玄関外側との通話等
   ・住戸内には、住戸玄関の外側との間で通話が可能な機能等を有するインターホン又はドアホンを設置することが望ましい。
  イ 管理人室等との通話等
   ・
インターホンは、管理人室を設置する場合にあっては、住戸内と管理人室との間で通話が可能な機能等を有するものとすることが望ましい。また、オートロックシステムを導入する場合には、住戸内と共用玄関の外側との間で通話が可能な機能及び共用玄関扉の電気錠を住戸内から解錠する機能を有するものとすることが望ましい。」
 とあり、
 適切です。



イ エレベーターのかご内には、防犯カメラを設置するようにしてください。

〇 適切である。 エレベーターのかご内では、案外、性犯罪なども起きる。

「(5) エレベーター
  ア エレベーターの防犯カメラ
   ・
エレベーターのかご内には、防犯カメラ等の設備を設置することが望ましい
  イ エレベーターの連絡及び警報装置  
   ・エレベーターは、非常時において押しボタン、インターホン等によりかご内から外部に連絡又は吹鳴する装置が設置されたものとする。
  ウ エレベーターの扉
   ・エレベーターのかご及び昇降路の出入口の扉は、エレベーターホールからかご内を見通せる構造の窓が設置されたものとする。
  エ エレベーターの照明設備
   ・エレベーターのかご内の照明設備は、床面において概ね50ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとする。」
 とあり、
 適切です。



ウ 接地階の住戸のバルコニーの外側等の住戸周りは、住戸のプライバシー確保及び防犯上の観点から、周囲から見通されないように配慮してください。

X 適切でない? 防犯かプライバシー重視かで判断が難しいが、防犯から、周囲からの見通しを確保したものとすることが望ましいらしい。

「(4) バルコニー
  ア バルコニーの配置
   ・住戸のバルコニーは、縦樋、階段の手摺り等を利用した侵入が困難な位置に配置する。やむを得ず縦樋又は階段の手摺り等がバルコニーに接近する場合には、面格子の設置等バルコニーへの侵入防止に有効な措置を講じたものとする。
  イ バルコニーの手摺り等
   ・住戸のバルコニーの手摺り等は、プライバシーの確保、転落防止及び構造上支障のない範囲において、周囲の道路等、共用廊下、居室の窓等からの見通しが確保された構造のものとすることが望ましい。
  ウ 接地階のバルコニー
   ・
接地階の住戸のバルコニーの外側等の住戸周りは、住戸のプライバシーの確保に配慮しつつ、周囲からの見通しを確保したものとすることが望ましい。なお、領域性等に配慮し、専用庭を配置する場合には、その周囲に設置する柵又は垣は、侵入の防止に有効な構造とする。」
 あり、
 あくまでも、 「共同住宅に係る防犯上の留意事項及び防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針について」からなら、「接地階の住戸のバルコニーの外側等の住戸周りは、住戸のプライバシー確保及び防犯上の観点から、周囲から見通されないように配慮」は、「周囲からの見通しを確保したものとすることが望ましい」」とのことで、「周囲から見通されないように配慮」は、適切でない。



エ 居住者の意向による改修は、所有形態、管理体制等による制約条件を整理するとともに、計画修繕に併せて改修すべきものと緊急に改修すべきものとに分けて検討するようにしてください。

〇 適切である。 まあ、そうだろう。

「第4  既存住宅改修の設計指針 
 1 既存住宅改修の計画
  (1) 既存住宅改修の計画・設計の進め方
    ア 防犯性の向上に配慮した改修計画の検討
      ・既存住宅の改修に当たっては、建物、敷地及び周辺地域の状況等を把握し、基本原則を踏まえた上で、建物の入居者属性、管理体制等を勘案しつつ、改修計画を検討する。
    イ 計画修繕等に併せた改修の進め方
      ・計画修繕等に併せた改修は、防犯上の必要性、計画修繕内容との関わりを適切に把握した上で、居住性等の住宅に必要な他の性能とのバランス、費用対効果等を総合的に判断した上で改修計画・設計を行う。
    ウ 犯罪発生を契機とする改修の進め方
      ・犯罪発生を契機とする改修は、犯罪の発生状況を踏まえて再発防止の観点から、改修の必要性・効果的な改修方法・内容を検討し、必要に応じて速やかに改修を実施する。
    エ 居住者の意向による改修の進め方
      ・
居住者の意向による改修は、所有形態、管理体制等による制約条件を整理するとともに、計画修繕等に併せて改修すべきものと緊急に改修すべきものとに分けて検討する
 とあり、
 適切です。



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え: 3 (適切なものは、ア、イ、エ の3つ)

 選択肢ウの判断が、悩ましいが、特に、難しくはない。

《タグ》共同住宅に係る防犯上の留意事項及び防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針について インターホン エレベーター内の防犯カメラ 設置階の防犯 改修

問25

〔問 25〕 区分所有者が専有部分の修繕等を行おうとする場合における次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切でないものはどれか。


1 共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれがない専有部分の修繕等を行おうとする場合には、理事長の承認を受けなくても実施することができる。

〇 適切である。 共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれがない専有部分の修繕等であれば、それは、理事長の承認は不要。

 平成29年 マンション管理士試験 「問25」 、 平成29年 管理業務主任者試験 「問32」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問30」 、平成21年 管理業務主任者試験 「問37」 

 専有部分の修繕は、標準管理規約17条
「(専有部分の修繕等)
 第17条
区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)であって共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長(第35条に定める理事長をいう。以下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。
2 前項の場合において、区分所有者は、設計図、仕様書及び工程表を添付した申請書を理事長に提出しなければならない。
3 理事長は、第1項の規定による申請について、理事会(第51条に定める理事会をいう。以下同じ。)の決議により、その承認又は不承認を決定しなければならない。
4 第1項の承認があったときは、区分所有者は、承認の範囲内において、専有部分の修繕等に係る共用部分の工事を行うことができる。
5 理事長又はその指定を受けた者は、本条の施行に必要な範囲内において、修繕等の箇所に立ち入り、必要な調査を行うことができる。この場合において、区分所有者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
6 第1項の承認を受けた修繕等の工事後に、当該工事により共用部分又は他の専有部分に影響が生じた場合は、当該工事を発注した区分所有者の責任と負担により必要な措置をとらなければならない。
7 区分所有者は、第1項の承認を要しない修繕等のうち、工事業者の立入り、工事の資機材の搬入、工事の騒音、振動、臭気等工事の実施中における共用部分又は他の専有部分への影響について管理組合が事前に把握する必要があるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長にその旨を届け出なければならない。」
 とあり、
 標準管理規約17条1項によれば、専有部分の修繕において、あらかじめ理事長に申請や承認が必要なのは、共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものを行おうとするときであって、「共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれがない専有部分の修繕等を行おうとする場合には、理事長の承認を受けなくても実施することができる」ため、適切です。



2 専有部分の間取りを変更しようとする場合には、理事長への承認の申請書に、設計図、仕様書及び工程表を添付する必要がある。

〇 適切である。 コメントによれば、専有部分の間取りの変更は、共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものらしい。


 標準管理規約17条のコメントA
 「A 修繕等のうち、第1項の承認を必要とするものは、「
共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのある」ものである。具体例としては、床のフローリング、ユニットバスの設置、主要構造部に直接取り付けるエアコンの設置、配管(配線)の枝管(枝線)の取付け・取替え、間取りの変更等がある。その範囲、承認を必要とする理由及び審査すべき点については、別添2に考え方を示している。」
 によれば、
 専有部分の間取りを変更しようとする場合は、共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるに該当する。
 すると、選択肢1で引用しました、標準管理規約17条
 「第17条 区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)であって共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長(第35条に定める理事長をいう。以下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。
2 前項の場合において、区分所有者は、設計図、仕様書及び工程表を添付した申請書を理事長に提出しなければならない。
 の標準管理規約17条2項により、「専有部分の間取りを変更しようとする場合には、理事長への承認の申請書に、設計図、仕様書及び工程表を添付する必要がある」は、適切です。



3 主要構造部にエアコンを直接取り付けようとする場合には、あらかじめ、理事長にその旨を届け出ることにより、実施することができる。

X 適切でない。 届出て、なお書面での承認がなければ、実施できない。

 主要構造部にエアコンを直接取り付けようとする場合は、選択肢2で引用しました、標準管理規約17条のコメントA
「A 修繕等のうち、第1項の承認を必要とするものは、「共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのある」ものである。具体例としては、床のフローリング、ユニットバスの設置、
主要構造部に直接取り付けるエアコンの設置、配管(配線)の枝管(枝線)の取付け・取替え、間取りの変更等がある。その範囲、承認を必要とする理由及び審査すべき点については、別添2に考え方を示している。」
 に該当し、
 標準管理規約17条1項
「第17条
区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)であって共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長(第35条に定める理事長をいう。以下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。」
 により、
 「あらかじめ、理事長(第35条に定める理事長をいう。以下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない」ため、「あらかじめ、理事長にその旨を届け出ることにより、実施することができる」は、適切ではありません。



4 専有部分の床をフローリング仕様に変更しようとして理事長への承認の申請をする場合、承認の判断に際して調査等により特別な費用がかかるときは、申請者に負担させることが適当である。

〇 適切である。 費用がかかれば、それは、申請者に負担させる。

 専有部分の床をフローリング仕様に変更は、標準管理規約17条5項のコメントD、E
「D 承認を行うに当たっては、専門的な判断が必要となる場合も考えられることから、専門的知識を有する者(建築士、建築設備の専門家等)の意見を聴く等により専門家の協力を得ることを考慮する。
特に、フローリング工事の場合には、構造、工事の仕様、材料等により影響が異なるので、専門家への確認が必要である。
E
承認の判断に際して、調査等により特別な費用がかかる場合には、申請者に負担させることが適当である。」
 とあり、
 標準管理規約17条5項のコメントD、Eによれば、「専有部分の床をフローリング仕様に変更しようとして理事長への承認の申請をする場合、承認の判断に際して調査等により特別な費用がかかるときは、申請者に負担させることが適当である」は、適切です。



答え: 3

  標準管理規約は、コメントまで読み込んでおくこと。
  難しくは、ないが。

《タグ》標準管理規約 専有部分の修繕 理事長の承認 間取りの変更 主要構造部にエアコンを直接取り付けようとする場合 専有部分の床をフローリング仕様に変更 申請者負担

ここまで、問25 (問26からは、次へ)

次へ次へ

2020年 9月26日;過去出題で、リンクが無かったところに、リンクを入れた。
2019年12月31日:問25まで、解説終わる。問25までの解説に、約1ヵ月かかった。
解説開始:2019年12月 7日:法の条文、規約、根拠など入れた。次は、文章を纏めて行く。
2019年11月28日〜
問題文 Up:2019年11月25日〜27日

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