平成22年 マンション管理士 試験問題 及び 解説
ページ1(問1より問25まで)
謝辞:問題文の作成には、松本さまの協力を得ています。
ご質問は、 「マンション管理士 香川事務所」へ。
*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。
また、マンションの管理の適正化に関する指針も、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。
※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。
*試験に臨んで、お節介なアドバイス
1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
そして、各選択肢を読み、○かXをつけます。
問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。
2.疑問な問題は、飛ばす。
回答の時間は限られています。
そこで、回答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
全部の回答が終わってから、再度戻って決定してください。
3.複雑な問は、図を描く。
甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。
重要な点が分かってきます。
(出題者からの注意) 1.答えは、各問題とも1つだけです。2つ以上の解答をしたもの、判読が困難なものは、正解としません。
2.問題中法令に関する部分は、平成22年5月1日現在施行中の規定に基づいて出題されています。
解説者からのコメント:あやふやな出題、適切でない出題もあって、解答ができないのもあります。
※ マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。
〔問 1〕マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号イに規定するマンションをい
う。以下同じ。)の専有部分等に関する次の記述のうち、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)によれば、正しいものはどれか。 X 誤っている。 まず、区分所有法では、条文で「マンション」という用語が使用されていないことに注意してください。そこで、マンション管理士・管理業務主任者試験では、「マンション」という用語を使用する際には、定義として「マンション管理適正化法」第2条1号イ を使用することになります。 ▲ 誤っている? この設問は、曖昧で問題があると、平成21年 マンション管理士試験 「問5」選択肢2 でも指摘した箇所です。 というのは、区分所有法第15条 「第十五条 共有者の持分は、その有する専有部分の処分に従う。 2 共有者は、この法律に別段の定めがある場合を除いて、その有する専有部分と分離して持分を処分することができない。 」とあり、 区分所有法では原則として、専有部分と共用部分の持分は分離処分ができませんが、2項での別段の定めが2つあります。 その1番目は、規約によって他の区分所有者又は管理者を共用部分の所有者とする場合(区分所有法第11条2項、第27条1項参照)で、2番目は、規約の設定・変更によって共有持分の変更をする場合(同法第14条4項参照)です。 1番目の場合には、実質的な処分とみなされないこともありますが、2番目の場合には、共有者の間で共用部分の持分の処分が規約により専有部分と分離してなされたことになります。 2年も続けて、曖昧な設問を出すとは、出題元として「財団法人 マンション管理センター」は適切かな? 3 専有部分以外のマンションの建物の部分は、すべて共用部分であり、それ以外の部分はない。 ○ 正しい。 区分所有法第2条4項 「4 この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。 」とあり、 区分所有法での建物の部分は、専有部分とそれ以外である「共用部分」に分けられています。 4 区分所有者は、区分所有権の目的である専有部分を自由に使用、収益及び処分することができ、規約によっても、制限されない。 X 誤っている。 平成21年 マンション管理士 試験 「問4」 ア の逆の出題。 ここが、マンション生活での1つの特徴となります。 戸建であれば、自己の「所有権」に基づいて、家を喫茶店にしようが、事務所にしようが、自由に使うことが許されますが、マンションでの生活では、壁や床を隔てて複数の人々が住んでいるというその構造上、共同の管理が必要となり、そのために区分所有者達が守るべき規則(ルール)が必要とされます。これを、区分所有法では、「規約」とよんでいます。この規約については、同法第30条1項 「(規約事項) 第三十条 建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。」とあり、多くの事柄を規約で定めることを許しています。 その「管理又は使用に関する事項」には、共用部分の補修、管理費などの他に専有部分の使用方法を「住居に限る」等の制限もできると解釈されています。規約で専有部分の自由な使用が制限されることがあります。 答え:3 なお、区分所有法の詳細な解説は、私の別途「超解説 区分所有法」での各条文の解説文も参考にしてください。 |
問2 |
〔問 2〕一部共用部分についての規約の定めに関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。 X 誤っている。 一部共用部分は、平成23年 マンション管理士試験 「問1」、平成17年 マンション管理士試験 「問1」、平成15年マンション管理士試験 「問5」 もある。 X 誤っている。 前半の「一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属し」は、区分所有法第11条1項ただし書きにより正しい。 X 誤っている。 分かり難い設問です。これは、選択肢1で説明した逆の解釈です。 |
問3 |
〔問 3〕マンションの設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときに関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。 ○ 正しい。 過失がなくても責任を追及できる(無過失責任)かどうかをきいている。 ○ 正しい。 選択肢1で述べたように、他人に生じた損害が専有部分の瑕疵によるものか、共用部分の瑕疵によるものか、不明な場合は、区分所有法第9条の適用になりますが、被害者が、原因は「マンションの設置又は保存に瑕疵があること」を立証する必要はあります。 ○ 正しい。 選択肢1で述べたように、区分所有法第9条の規定は、 X 誤っている。 選択肢1で述べた区分所有法第9条 答え:4 (この問題は、「問17」も参考にしてください。) |
〔問 4〕規約で、その割合を定めることができないものは、区分所有法及び民法の規定によれば、次のうちどれか。 ○ 規約で割合を定めることができる。 先ず、法律構成上の基本として、民法が存在し、区分所有法は、特別法であることは、理解してください。 X 規約でもその割合を定めることはできない。 ○ 規約で割合を定めることができる。 4 各区分所有者の議決権割合 ○ 規約で割合を定めることができる。 答え:2 (ここは、かなり易しい設問。) |
問6 |
〔問 6〕次のア〜エについて、管理組合(区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体をいう。以下同じ。)の管理者にのみ該当し、管理組合法人の理事には該当しないものの組合せとして正しいものは、区分所有法の規定によれば、次のうちどれか。 管理者のみに該当する。
答え:1 (管理者のみに該当は、ア と イ ) (この設問も易しい) |
〔問 7〕滞納管理費の消滅時効に係る次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。 X 誤っている。 時効についての出題は、必ずある。平成21年 マンション管理士試験 「問13」 など。平成22年 管理業務主任者試験 「問10」 も。 X 誤っている。 これは、過去何度も出題されている。平成21年 管理業務主任者 試験 「問39」は内容が詳しい。 X 誤っている。 「従前と同様5年の消滅時効」とは、選択肢2の「10年」が明らかに間違いとなるので、これは配慮が足りない出題だ。 ○ 正しい。 特定承継人・包括(一般)承継人の区別は理解しておくこと。 答え:4 (ここも、易しい) |
〔問 8〕管理組合の集会に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。 ○ 正しい。 マンションでは、多くのことが集会(=総会とも)で決まりますから、その集会での内容を記録した「議事録」は、重要な意味をもっています。そして、その記録内容としては、区分所有法第42条2項
○ 正しい。 原則、管理者(理事長)がいれば、その人が集会を招集しますが、管理者がいない場合でも、区分所有者は集会を招集できます。 ○ 正しい。 専有部分を3人が共同で相続した場合には、専有部分は3人の共有となります。 答え:3 (他の選択肢から正解3は分かる。) |
〔問 9〕建物の一部が滅失した場合の復旧及び建替えに関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。 X 誤っている。 区分所有法では、建物の一部が滅失した場合、その滅失した建物の価格が1/2以下(小規模滅失といいます)か、1/2超(大規模滅失といいます)か(この判断の難しさはありますが)により、復旧費用の負担に差があると判断して、復旧のやり方を変えて規定しています。建替えとは別の規定ですが、建替えも考慮することができます。 ○ 正しい。 選択肢1で引用しました、区分所有法第61条3項 ○ 正しい。 今度は、建物の価格が1/2超(大規模滅失)の場合です。大規模滅失については、区分所有法第61条5項以降が関係の条文です。 ○ 正しい。 今度は、建替えです。 建替えでの買取指定者については、区分所有法第63条4項 答え:1 (ここは、単に条文を知っているかどうかで、ひねりのない出題です。条文の詳細解説は、私の「超解説 区分所有法」を読んで、特に、建替えの要件や期間を確認しておいてください。 ) |
*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。 (注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。 1 管理組合は、BがAと同居しているか否かを問わず、Bに対し、損害賠償を請求することができる。 ○ 正しい? 不法行為についての出題も殆ど毎年出ている。平成21年 マンション管理士試験 「問12」など。 ○ 正しい? ここは、直接の加害者でない区分所有者が同居人の行為に対して責任を負うかをきいています。 ○ 正しい。 ここは、賃借人である加害者は、オーナー(賃貸人)である区分所有者に対して現状回復をするのか、それとも共用部分であるドアの管理をしている管理組合に対して現状回復をするのかの問題です。 X 誤っている。 ここは、共有者であれば、加害者との関係で、共同不法行為 答え:4 (設問を「飲酒で錯乱」なんて凝った物にしてくれたために、解説に時間がかかった!) |
〔問 11〕一団地内にA、B及びCの三棟のマンションがある場合の区分所有法第65条の団地建物所有者の団体(この問いにおいて「団地管理組合」とい
う。)における区分所有法第69条の建替え承認決議に関する次の記述のうち区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。 ○ 正しい。 団地での建替えの出題です。このような設問では、図をかいてみましょう。
○ 正しい。 これは、選択肢1で引用した区分所有法第69条5項 X 誤っている。 ある棟で「建替え決議」がなされると、選択肢1で引用した、区分所有法第69条3項
答え:3 (これも、条文のままとは、ひねりがない。団地も、一般の規定で準用されているもの、いないもの。建替えなどは、私の「超解説 区分所有法」で詳細を確認しておいてください。) |
〔問 12〕甲管理組合は、規約共用部分である101号室をAに事務所として賃貸していたが、賃貸借期間が満了したので、Aは原状回復のうえ明け渡し、甲は敷金を返還することとなった。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。ただし、原状回復の範囲及び費用負担については、契約に当たって十分な説明が行われていたものとする。 ○ 正しい。 敷金が、分からない人は、おいていきますので悪しからず。 ○ 正しい。 ここは、原状回復の範囲が最近の判例では、厳密になってきていますので、少し、疑問のある出題です。 X 誤っている。 選択肢2の延長線上にある設問です。
答え:3 (ウヘッ! まったく、こんな判例は、探すのに時間がかかる! 宅地建物取引主任者試験から流れてきた人は、正解率が高い?) |
〔問 13〕マンション業者Aが建設業者Bに請け負わせて、完成させたマンションの10階の1室(1001号室)をCに売却した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
○ 正しい。 これは、最高裁:平成17年9月16日の判決。設問では、大やけどを負ったとなっていますが、実例は、死亡で、相続人が訴えたものです。
X 誤っている。 購入時に説明されていなかった防音性がなければ、これは、選択肢1で引用した民法第570条で規定する「売買の目的物に不完全な点があり、買主が予期した効果を得られない(隠れた瑕疵)」に該当します。
X 誤っている。 これは、例の姉歯元一級建築士の事件としてあったもの。平成18年 マンション管理士試験 「問13」にもある。 答え:2 (ここは、選択肢2 の判例を知っていると、選択肢3 の「修補」を知らなくてもできた。) ここは、別途のまとめ「瑕疵担保責任」も参照のこと。 |
〔問 14〕甲管理組合は、工務店Aに対して、マンションの敷地にある別棟の集会所の建替え工事を発注し、工事完了後、Aから当該集会所の引渡しを受けた。この場合における工事の瑕疵に関わる修補の請求又は損害賠償の請求に係る次の記述について、民法の規定によれば、正しいものはどれか。 |
〔問 15〕甲マンション管理組合(管理者A)が、敷地内の樹木の伐採及び剪定(せんてい)について、造園業者Bと請負契約をした場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び、判例によれば、正しいものはどれか。 *判例があった。最高裁:昭和60年5月17日: 請負において、仕事が完成に至らないまま契約関係が終了した場合に、請負人が施工ずみの部分に相当する報酬に限つてその支払を請求することができるときには、注文者は、右契約関係の終了が請負人の責に帰すべき事由によるものであり、請負人において債務不履行責任を負う場合であつても、注文者が残工事の施工に要した費用については、請負代金中未施工部分の報酬に相当する金額を超えるときに限り、その超過額の賠償を請求することができるにすぎないものというべきである。 |
〔問 16〕甲管理組合が看板製作業者Aに対して、マンションの屋上に設置されている甲所有の看板を撤去し新しい看板に取り替える請負工事を発注したとこ
ろ、工事中にAの従業員の過失により落下事故が発生した。この件に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。ただし、甲に
おいて、注文又は指図について過失はなかったものとする。 別の解説:落下した看板によってマンションの屋上に損傷を与えた場合は、上で引用した民法第637条に該当しない。 |
〔問 17〕マンション(管理組合甲)のA所有の301号室をBが賃借し居住している場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。 答え:なし? (全部、誤っている。おかしな出題です。) (同様に、あやふやな出題が、平成16年 マンション管理士試験 「問17」 にある。 実に似たような、出題だ。マンション管理センターは、またミスをやったようだ。) (また、この問題は、平成22年 マンション管理士 「問3」 も参考にしてください。) *当解説に対して、以下の様な質問がきましたので紹介します。 設問では「民法及び区分所有法の規定」による、「301号室の賃借人で『占有者』であるBの責任」を問うています。 と、いうことは、占有外の存在である外壁タイルについてBの責任の追求は、ここでの設問には該当しません。 Bは「ベランダ」を占有しているだけであって、「その外壁」にまでは占有権は及ばず、解説文中、赤字で書かれた民法717条「その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。」の「占有者」にBは該当しませんよね? もちろん、おっしゃるように危険を予知していながら放置するような行為は、何らかの義務違反等に該当するかも知れませんし、その責任の所在を問われるかも知れませんが、それはBの個人的な責任であり、必ずしも「占有者」という立場に居る者が問われる責任とは、少し種類が違うと思います。 また、設問ではBが危険を予見していたとの記述は無く、民法や区分所有法で何らかの責任を問われるケースではないと思いますが・・・。 また、ベランダには落下防止の柵などが為されていて、容易に「外壁タイル」を確認できません(少なくとも我が家の場合)ベランダの柵から身を乗り出して目視したとしても、経年劣化の確認は困難だと思われますし。 (テストハンマーや建研式接着力試験器の出番?) この設問が「窓ガラス」であり、「ひび割れを放置していて落下させ、通行人が怪我をした」という設問なら、通常の注意で窓ガラスのひび割れも発見できるでしょうし、占有者の責任を問うのも理解できるのですが。 *他の読者は、どう思われますか? 占有者、共用部分、必要な注意、など、他の方も、疑問点や質問点があると思われます。 ここだけでなく、ご意見をお寄せください。 宛先は、http://tk4982.at.webry.info/ へどうぞ。 *質問に対する追記の解説: 大変にいい疑問です。 この質問をまとめますと、 ●マンションにおいて、占有者(賃借人)が、建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、占有者はどこまで、責任を負うのか になると思います。 そして、その責任の範囲としては、 ア.専有部分(借りている室)だけ イ.専有部分と共用部分の内、専用使用が認められているベランダ(バルコニー)だけ ウ.専有部分と共用部分の全て に分類できるでしょう。 まず、建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)第9条 「建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する。」とあり、 *建物の設置又は保存に瑕疵があるとは? 建物が通常備えていなければいけない性状や設備が不完全であり、安全性が欠けている状態です。 建物の建築時から存在することもあり、その後の維持管理によって発生することもあります。過失の有無を問いません。 区分所有法第9条は、その原因が、特定の専有部分にあることが立証されない限り、共用部分を全体で管理する区分所有者全員の共同責任としています。 また、この区分所有法第9条の前提として、区分所有建物以外の戸建などで適用される、民法民法第717条1項 「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。」があります。 ここは、第一次として、占有者が賠償責任を負い、その占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、第二次として、所有者に損害賠償責任を負わしています。 そこで、占有者の責任範囲に戻りましょう。 ア.専有部分(借りている室) については、民法第717条1項の占有者として、責任を負う、は問題がなさそうです。 それでは、専有部分は除いて、共用部分の内 イ.専用使用が認められているベランダ(バルコニー)だけ ウ.共用部分の全て を検討します。 イ.占有者は、マンションの管理には直接参加できないので、共用部分の内専用使用をしているベランダや玄関ポーチなどしか、責任を負わない、と考えるか(質問者の立場) ロ.マンションの外壁は、ベランダと同じように専有部分でなく共用部分ですから、ベランダを管理しているなら、外壁も管理の対象に入るという、考え方もあります。 また、日常の共用部分の管理は誰がするのか(誰がしているのか)。この観点から、占有者しか共用部分の管理ができないのだから、責任を問うという考え方もあります。 法律は、多くの部分が具体的な事柄に合わせて考え方(解釈)によって適用・運用されてされていることは、ご承知の通りです。法の規制を受ける国民として、自分の考えを主張することは、非常に大切な行為です。 特に区分所有法は立法されてからの期間がまだ短いため、明確でない箇所が多い法律ですから、互いの主張を述べて行きましょう。 なお、当件に関しては、私は、区分所有者が住んでいないために日常の管理ができないため、占有者が所有者を代理した関係で、共用部分を管理する責任を負うと、判断しています。 |
〔問 18〕マンションの登記に関する次の記述のうち、不動産登記法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。 ○ 正しい。 不動産登記法についても、例年1問は出題されます。そこで、不動産登記法の解説も、私のホームぺージ「目指せ! マンション管理士・管理業務主任者」の中の、「超解説 区分所有法」にありますので、参考にしてください。
X 誤っている。 敷地権付き区分建物として登記があり、所有権の移転があると、不動産登記法第73条1項
○ 正しい。 これは、過去も出ている? 当然です。
不動産登記法第44条1項9号 「(建物の表示に関する登記の登記事項) 第四十四条 建物の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。 九 建物又は附属建物が区分建物である場合において、当該区分建物について区分所有法第二条第六項 に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有法第二十二条第一項 本文(同条第三項 において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」という。)があるときは、その敷地権 」 これは、建物の表題部の変更を伴いますから、不動産登記法第51条1項 「(建物の表題部の変更の登記) 第五十一条 第四十四条第一項各号(第二号及び第六号を除く。)に掲げる登記事項について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、当該変更があった日から一月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならない。」とりますから、 正しい。 答え:2 |
〔問 19〕マンション建替組合(この問いにおいて「建替組合」という。)が施行するマンション建替事業に関する次の記述のうち、マンションの建替えの円滑化等に関する法律の規定によれば、正しいものはどれか。 X 誤っている。 マンションの建替えの円滑化等に関する法律からも、毎年1問は出題されます。 そこで、この「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」(以下「マンション建替え法」という)の概要も、別途まとめていますので、ご利用ください。 X 誤っている。 権利変換計画の認可を申請に当たっては、マンション建替え法第57条
X 誤っている。 権利変換手続開始の登記申請は、マンション建替え法第55条1項 ○ 正しい。 権利変換を希望しないで、お金でもらうこともできます。 答え:4 (ここは、他は自信がなくても、何となく選択肢4 は分かる?) |
〔問 20〕建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 ○ 正しい。 建築基準法についても、出題は必ずある。 そこで、私のホームページでも「超解説 建築基準法」としてまとめましたので、ご利用ください。 また、過去問題の中でも、「建築基準法」として、取りだしていますので、これも、ご利用ください。
X 誤っている。 こんな、細かいものまでもでる。 でも、ここは、平成15年 管理業務主任者試験 「問16」 で出ている。 ○ 正しい。 ここも、よくでる問題。 平成17年 管理業務主任者試験 「問17」 など。
○ 正しい。 共同住宅の1階を、カフェーへの用途変更は、建築基準法第87条1項 |
〔問 21〕市街化区域及び市街化調整区域に関する次の記述のうち、都市計画法の規定によれば、誤っているものはどれか。 X 誤っている。 都市計画法も必ず1問はでる。 そこで、過去問題の中でも、「都市計画法」として、取りだしていますので、これも、ご利用ください。 2 市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とされている。 ○ 正しい。 これも、お馴染みの出題。都市計画法第7条2項 「2 市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とする。 」とあり、正しい。 3 市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とされている。
答え:1 (かなり、易しい。) |
〔問 22〕貯水槽水道に関する次の記述のうち、水道法の規定によれば、誤っているものはどれか。 特に、この箇所の、貯水槽水道とは、平成14年の改正で新しくできた概念で法律の条文が分かり難いため、出題者が好んで出題しますので、注意してください。 まず、ビルやマンションなどの建築物で、水道管から供給された水をいったん受水槽に貯め、これをポンプで屋上などにある高架水槽にくみ上げてから各家庭の皆さんに給水します。この受水槽と高架水槽を合わせた設備を一般的に貯水槽といいます。この貯水槽水道には、水槽の有効容量が10立方m以下(小規模貯水槽水道)と水槽の有効容量が10立方m超(簡易専用水道)も含んでいます。 根拠は、水道法第14条2項 「(供給規程) 第十四条 水道事業者は、料金、給水装置工事の費用の負担区分その他の供給条件について、供給規程を定めなければならない。 2 前項の供給規程は、次の各号に掲げる要件に適合するものでなければならない。 一 料金が、能率的な経営の下における適正な原価に照らし公正妥当なものであること。 二 料金が、定率又は定額をもつて明確に定められていること。 三 水道事業者及び水道の需要者の責任に関する事項並びに給水装置工事の費用の負担区分及びその額の算出方法が、適正かつ明確に定められていること。 四 特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと。 五 貯水槽水道(水道事業の用に供する水道及び専用水道以外の水道であつて、水道事業の用に供する水道から供給を受ける水のみを水源とするものをいう。以下この号において同じ。)が設置される場合においては、貯水槽水道に関し、水道事業者及び当該貯水槽水道の設置者の責任に関する事項が、適正かつ明確に定められていること。」とあり、 5号では、水槽の有効容量は触れていない。でも、この条文を理解できるかな?
○ 正しい。 水槽の有効容量の合計が10立方mを超える貯水槽水道は、選択肢1で説明しましたように、「簡易専用水道」となります。 すると、水道法第34条の2 ○ 正しい。 水槽の有効容量の合計が10立方mを超える貯水槽水道も選択肢2同様に、「簡易専用水道」ですから、水道法第34条の2 に該当し、検査は、同条2項
答え:1 (ここは、簡易専用水道と貯水槽水槽を明確に理解していると楽。 ここらの勉強は「マンション管理の知識」が基本書です。) |
〔問 23〕マンション(居住者50人)の管理について権原を有する者(この問いにおいて「管理権原者」という。)及び防火管理者に関する次の記述のうち、消防法の規定によれば、誤っているものはどれか。 ○ 正しい。 消防法からの出題も、毎年、マンション管理士試験・管理業務主任者試験において、必ずある。そこで、これも、これも、私の「目指せ! マンション管理士・管理業務主任者」の過去問題から、「消防法」だけをまとめていますから、利用ください。
X 誤っている。 この設問は曖昧で不適切です。防火管理者の講習には、甲種(2日間コース)と乙種(1日コース)があります。 収容人員が50人以上では、防火管理者の選任が必要ですが、別の条件として、延べ面積が、500u以上なら甲種防火管理講習を修了した者等からの選任となりますが、延べ面積が500u未満だと、乙種防火講習の修了者からも選任できます。 3 管理権原者は、防火管理者を選任する場合、管理組合の役員又は組合員から選任するものとされ、管理業務を委託している管理会社等からは選任することができない。 X 誤っている。 防火管理者の選任にあたっては、必要な講習課程の修了者の規定はありますが、このような、居住地の制限などの規定は、消防法にはありません。(参照:消防法第8条、消防法施行令第4条など)
○ 正しい。 前半の防火権原者の部分は、選択肢1で引用した消防法第8条と消防法施行規則第3条1項 答え:2 及び 3 (選択肢2 は、出題にあたって、延べ面積の500uがどこかで、抜けたのか?) |
〔問 24〕マンションの照明設備に係る防犯上確保すべき床面における平均水平面照度に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。 ○ 適切である。 防犯設備についての出題も多い。 平成21年 マンション管理士試験 「問24」 、 平成18年 マンション管理士試験 「問41」 など。
答え:3 (50ルクスとか20ルクスとかが、どの程度の明るさかは、自分で勉強してください。) |
〔問 25〕標準管理規約を採用している管理組合の業務について、当該規約を改正しなければ行うことのできないものは、次のうちどれか。 (注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。 1 空きがでてきた駐車場を専有部分の賃借人に賃貸することができるようにすること。 規約の改正は不要。 屋上は共用部分です。そこに、第三者が広告塔をつけるなら、 規約の改正は不要。 これは、標準管理規約第21条 答え:1 (ここは、易しい?) |
ここまで、問25 |
最終更新日:
2012年 6月22日:「問10」に平成23年の標準管理規約の改正入れた。
2011年6月17日:「問2」 選択肢1の解説を訂正。
2011年:「問19」選択肢3を追記
2011年 2月19日:「問16」を追記
2011年 1月24日:再見直し。
2011年 1月15日:マンション管理センターの正解を入。
2011年 1月 8日
2010年12月13日
開始:2010年12月 1日