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平成20年 管理業務主任者 試験問題 及び 解説

ページ1(問1より問25まで)

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ご質問は、 「マンション管理士 香川事務所」へ。


*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。
また、マンションの管理の適正化に関する指針も、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。

※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。

*試験に臨んで、お節介なアドバイス
  1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
    殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
    そして、各選択肢を読み、○かXをつけます。
    問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。

  2.疑問な問題は、飛ばす。
    回答の時間は限られています。
    そこで、回答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
    全部の回答が終わってから、再度戻って決定してください。

  3.複雑な問は、図を描く。
    甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
    この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。
    重要な点が分かってきます。

※  マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
   マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。

問1

【問 1】 次のアからエの各債務について、下記AからDに掲げた「多数当事者の債務関係」に該当するものを選択した場合に、最も適切な組合せはどれか。なお、アからエの各債務については、当事者間において別段の意思表示はないものとする。

ア 各区分所有者が、管理組合に対して支払う管理費の支払債務
イ 管理組合が、管理会社に対して支払うべき管理委託契約に基づく委託業務費の支払債務
ウ 2人が、共有する1つの専有部分を賃貸する場合における当該専有部分の引渡債務
エ 1つの専有部分を2人で賃借する場合における賃料債務

A 分割債務
B 不可分債務
C 連帯債務
D 保証債務


1 アとC
2 イとA
3 ウとB
4 エとD

*出だしから、平成20年の管理業務主任者の試験は、マンション管理士試験と違って、過去の傾向と異なり目新しい。
 まず、A〜Dの方から見ていく。
  A 分割債務とは...民法第427条 (分割債権及び分割債務)
  「第四百二十七条  数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。」とあり、債務者が3人いれば、各自1/3ずつの独立の負担をする債務である。各債務者は自分の債務だけを単独で弁済すれば、いい。
 
B 不可分債務とは...民法第428条(不可分債権)
  「第四百二十八条  債権の目的がその性質上又は当事者の意思表示によって不可分である場合において、数人の債権者があるときは、各債権者はすべての債権者のために履行を請求し、債務者はすべての債権者のために各債権者に対して履行をすることができる。」 以下の規定があり、債権の目的が、例えば、車1台を渡す場合では、ある人には、ハンドルを渡し、ある人には、タイヤを渡しては、その目的が達せられないような、分割できない(不可分)場合での債務関係である。次の連帯債務の効果も含んでいる。(参考:民法第430条)。共同で借りている家の家賃支払債務もここに該当する。
  C 連帯債務とは...民法第432条(履行の請求)
  「第四百三十二条  数人が連帯債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。」以下に規定され、数人の債務者が、同一の給付について、各自独立に全部の弁済をする債務を負担し、その内の1人が弁済すれば、他の債務者も、全員が債務を免れる。次の保証債務との違いは、各債務者の債務が独立していて主従の差がないことである。
  D 保証債務とは...民法第446条1項 (保証人の責任等)
  「第四百四十六条  保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。」以下に規定され、主たる債務を担保する債務で、債権者に対しては2次的な地位にあり、主たる債務者が履行しないときに、はじめて履行する。(主従の関係がある。)

 これらを踏まえ、ア〜エを読んでいくと、
   ア 各区分所有者が、管理組合に対して支払う管理費の支払債務...これは、各区分所有者が共用部分の共有持分に応じて支払う分割債務でC連帯債務ではない。
  イ 管理組合が、管理会社に対して支払うべき管理委託契約に基づく委託業務費の支払債務...これは、団体としての不可分債務でA分割債務ではない。
  
ウ 2人が、共有する1つの専有部分を賃貸する場合における当該専有部分の引渡債務...これは、B不可分債務である。
  エ 1つの専有部分を2人で賃借する場合における賃料債務...これも、不可分債務であり、D保証債務ではない。

  参照:不可分債務・債権は、平成20年 マンション管理士 試験 「問15」 選択肢3 にあった。

答え:3 (適切な組み合わせは、ウとB)  (2009年3月3日:解説変更した。)

問2

【問 2】 マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年法律第149号。以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号に規定するものをいう。以下同じ。)のA管理組合(以下本問において「A」という。)とBマンション管理業者(以下本問において「B」という。)との間で管理委託契約が締結された場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 契約の要素に錯誤があった場合には、Aは、過失があったときでも、重過失がない限り、Bに対して、契約の無効を主張することができる。

○ 正しい。 無効と取り消しは、 平成17年 管理業務主任者 試験 「問2」 や、 平成15年 管理業務主任者 試験 「問2」 でも出ている。 平成22年 管理業務主任者 試験 「問6」、  平成23年 管理業務主任者試験 「問1」
   契約が錯誤によると、民法第95条 (錯誤)
  「第九十五条  意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。 」とあり、法律行為に不可欠な重要な部分で表意者の内心の意思と、表示したことが不一致と知らない場合で、著しい不注意(重過失)がなければ、AはBに契約の無効を主張できる。

2 管理委託契約が、AとBとの通謀虚偽表示であった場合でも、そのために契約の効力は妨げられない。

○ 正しい。 契約が相手方と通じてなされると、民法第94条 (虚偽表示)
  「第九十四条  相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
   2  前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。」とあり、この解釈として、
虚偽表示行為は当事者間で無効であっても、契約自由の原則により、契約の法的効果は認められる。その結果、2項の規定により、善意(通謀の虚偽表示を知らない)第三者が保護される。(これは、隠匿契約または仮装契約の効力と呼ばれる。)

3 管理委託契約が、第三者CのAに対する詐欺によってなされた場合には、Bは、契約を取り消すことができる。

○ 正しい? 契約が、詐欺または強迫によると、民法第96条(詐欺又は強迫)
  「第九十六条  詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
   2  相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
   3  前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。 」とあり、原則として、契約を取り消しできるのは、表意者であるAであるが、
2項により第三者が行った場合には、相手方であるBも取り消せる。(厳密には、相手方がその事実を知っていたときに限るが。)

4 Bが管理委託業務を履行期に履行しない場合には、Aは、直ちに契約を解除することができる。

X 誤っている。 ここは、平成19年 管理業務主任者 試験 「問1」 選択肢3、 や 平成16年 管理業務主任者 試験 「問5」 選択肢2 でも出ている。
  これは、前の無効とか取り消しの設問とは関係なく、履行遅滞となる。
   すると、民法第541条 (履行遅滞等による解除権)
  「第五百四十一条  当事者の一方がその債務を履行しない場合において、
相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。 」とあり、契約の解除は「直ちに」ではなく、「相当の期間を定めてその履行の催告をして、それでも履行のないとき」に、契約の解除ができる。

答え:1、2、3 (ここは、設問が「正しい」ではなく、「誤っている」の間違いではないか? 何度も設問を読み直した。出題機関の高層住宅管理協会としては、条文の1項だけで出したようだが、不適切な出題だ。)
(社)高層住宅管理協会の正解:1
 ここは、KZさんの掲示板:http://bbs.infoseek.co.jp/Board02?user=nakadeinfoseek も参照。しかし、残念ながら、ここは、閉鎖されました。)

問3

【問 3】 契約の解除に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 解除の意思表示は、撤回することができない。

○ 正しい。 平成25年 マンション管理士試験 「問14」 
民法第540条 (解除権の行使)
  「第五百四十条  契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。
   2  
前項の意思表示は、撤回することができない。 」とあり、解除の意思表示は、撤回できない。これは、自由に撤回を認めると相手方の立場が不利になるためである。

2 債務が履行不能になった場合に、履行不能について債務者の責めに帰する事由がないときには、債権者は解除することができない。

○ 正しい。 民法第543条 (履行不能による解除権)
  「第五百四十三条  履行の全部又は一部が不能となったときは、債権者は、契約の解除をすることができる。
ただし、その債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。 」とあり、履行不能について債務者の責めに帰する事由がないときには、債権者は解除することができない。

3 解除権の行使により、当事者の一方が金銭を返還するときには、受領した時からの利息を付す必要はなく、受領した額を返還すれば足りる。

X 誤っている。 民法第545条 (解除の効果)
  「第五百四十五条  当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
   2  前項本文の場合において、
金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない
   3  解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。 」とあり、2項により、受領の時から利息を付さなければならない。

4 債務者が数人ある場合に、債権者が契約の解除をするときには、債務者の全員に対してしなければならない。

○ 正しい。 民法第544条 (解除権の不可分性)
  「第五百四十四条  
当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができる
   2  前項の場合において、解除権が当事者のうちの一人について消滅したときは、他の者についても消滅する。」とあり、 債務者の全員に対してしなければならない

答え:3 (ここは、少し難しいか。)

問4

【問 4】 マンションの一住戸には、A・B夫婦と、その子C及びAの母Dが居住しており、同住戸は、AとCの2人の共有である場合、AとCの死亡に伴う同住戸の相続に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、A、Cの死亡時には、両者のうちで生存していた者を除くと、B、D以外の親族はいないものとする。

1 Aの死亡後にCが死亡した場合には、その住戸は、BとDが相続する。

X 誤っている。 面倒な設問である。相続と同時死亡などが絡められている。
  図にすると以下のようになる。

  まず、相続人の順位については、民法第889条と同法第890条により、@位...被相続人(死亡者)の子、 A位...子がいない時は、父母(直系尊属)となり、B位...子も直系尊属もいない時は、兄弟姉妹 の順であるが、被相続人の配偶者は常に、各順位の相続人と同じ順位となり、これらの者がいない時には、単独で相続人となる。
  そこで、設問は、2段階の相続関係が発生している。 1番目は、Aの死亡により、Aの子のCと配偶者であるBが相続する。
  次に、子Cが死亡した時には、Cには子も配偶者もいないため、直系尊属であるBが相続し、最終的にが、Bが相続する。Aの母Dは相続しない。

2 Cの死亡後にAが死亡した場合には、その住戸は、Bのみが相続する。

X 誤っている。 ここも、2段階の相続関係となる。1番目の子Cの死亡により、選択肢1で説明した順位により、Cには子も配偶者もいないため、直系尊属である両親のAとBが相続する。
   次に、Aの死亡では、もう子が死亡しているため、直系尊属のAの母Dと配偶者であるBが相続する。Bのみではない。

3 AとCがガス漏れ事故により同時に死亡した場合には、その住戸は、BとDが相続する。

○ 正しい。 相続では死亡の前後(先あと)が相続の順位や相続分に絡むため大切な要素である。そこで、同時に死亡すると、民法第32条の2 
  「第三十二条の二  数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。」として、相続時のトラブルを防ごうとしている。
  これにより、AとCが同時に死亡したとなり、AC間では相続の関係は発生しない。まず、選択肢1で述べた順位により、Aの相続関係では、子がいないことになり、直系尊属であるAの母DとAの配偶者であるBが相続する。次にCには子も配偶者もいないため、直系尊属であるBが相続する。よって、DとBが相続する。

4 Aが病死した日にCは海外で事故死したが、AとCの死亡の前後が明らかでない場合には、その住戸は、Bのみが相続する。

X 誤っている。 選択肢3で引用した、民法第32条の2 の「同時死亡の推定」の適用は、元々戦場や船での遭難など、同一の危難を想定していたが、解釈として、設問のような、Aが病死した日にCは海外で事故死したが、AとCの死亡の前後が明らかでない場合にも適当される。この場合には、選択肢3で述べたように、BとDが相続する。

答え:3  (解説としては、設問の「共有」は関係ない。)

問5

【問 5】 Aマンションの区分所有者が、全員で土地所有者Bとの間で同マンションの敷地(以下本問において「本件敷地」という。)について賃借権の設定を受けている場合に関する次の記述のうち、民法、借地借家法(平成3年法律第90号)及び建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下「区分所有法」という。)の規定によれば、誤っているものはどれか。なお、同賃貸借は、借地借家法第22条の定める定期借地権及び同法第24条の建物譲渡特約付借地権の設定に係るものではない。

1 本件敷地の賃貸借の存続期間を契約で定める場合には、30年より短い期間を定めることはできず、30年以上の期間としなければならない。

○ 正しい。 設問の場合の土地(敷地)の賃借権は、借地借家法第2条 (定義)
  「第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
   一  借地権      建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。
   二  借地権者    借地権を有する者をいう。
   三  借地権設定者 借地権者に対して借地権を設定している者をいう。
   四  転借地権    建物の所有を目的とする土地の賃借権で借地権者が設定しているものをいう。
   五  転借地権者 転借地権を有する者をいう。」の1号に該当し、借地借家法では、「借地権」として扱われる。
  借地権となると、その存続期間は、同法第3条 (借地権の存続期間)
  「第三条  
借地権の存続期間は、三十年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。 」とあり、最低30年以上の期間となる。

2 本件敷地の賃貸借の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、Aマンションの区分所有者は、Bに対し、当該マンションを時価で買い取るべきことを請求することができる。

○ 正しい。 この場合には、借地借家法第13条 (建物買取請求権)
  「第十三条  
借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる
   2  前項の場合において、建物が借地権の存続期間が満了する前に借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべきものとして新たに築造されたものであるときは、裁判所は、借地権設定者の請求により、代金の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる。
   3  前二項の規定は、借地権の存続期間が満了した場合における転借地権者と借地権設定者との間について準用する。」の1項により、区分所有者はB(地主)にそのマンションの買い取りを請求できる。

3 Aマンションの区分所有者は、規約に別段の定めがあるときを除き、その有する専有部分とその専有部分に係る賃借権とを分離して処分することができない。

○ 正しい。 今度は区分所有法の適用となる。
   設問の場合の土地(敷地)の賃借権は、区分所有法第2条6項
  「6  この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。」とあり、区分所有法での「敷地利用権」となる。敷地利用権は、所有権(共有)であることが殆どであるが、設問のような賃借権(準共有)の場合もあります。
  敷地利用権となると、区分所有法第22条 (分離処分の禁止)
  「第二十二条  
敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない
   2  前項本文の場合において、区分所有者が数個の専有部分を所有するときは、各専有部分に係る敷地利用権の割合は、第十四条第一項から第三項までに定める割合による。ただし、規約でこの割合と異なる割合が定められているときは、その割合による。
   3  前二項の規定は、建物の専有部分の全部を所有する者の敷地利用権が単独で有する所有権その他の権利である場合に準用する。 」とあり、1項により、規約で別段の定めがなければ、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権である賃借権とを分離して処分することができない。

4 Aマンションの区分所有者は、規約に別段の定めがあるときを除き、その有する専有部分に係る賃借権をBの承諾を得ることなく譲渡することができる。

X 誤っている。 ここは、民法第612条の問題で、平成19年 管理業務主任者 試験 「問6」 や、 平成18年 マンション管理士 試験 「問5」 など多く出ている。平成20年 マンション管理士 試験 「問3」も。
  まず、民法の特別法である区分所有法による「規約に別段の定めがあるとき」の検討であるが、区分所有法では、選択肢3で引用したように賃借権(敷地利用権)と専有部分との分離処分の禁止だけを定めており、設問のような「専有部分に係る賃借権をB(地主)の承諾を得ることなく譲渡すること」は定めていないため、この場合には、民法に戻る。
  すると、民法第612条 (賃借権の譲渡及び転貸の制限)
  「第六百十二条  
賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない
   2  賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。」とあり、1項により、賃借権の譲渡には、賃貸人(地主)の承諾が必要となる。(別の話:土地が賃借の場合、買取(所有)よりも土地の代金が安くなるメリットがあるため、最近のマンションでは、定期借地権(何と72年間とか)での安い建築物件も出てきてます。)
 

答え:4 なお、区分所有法の解説は、別途「超解説 区分所有法」がありますので、こちらも参考にしてください。

問6

【問 6】 Aが区分所有しているマンションの501号室(以下本問において「本件専有部分」という。)に、債権者Bのために抵当権が設定されている場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Bが、自己の抵当権を本件専有部分の賃借人や譲受人に対抗するためには、抵当権の登記をしなければならない。

○ 正しい。 平成26年管理業務主任者試験 「問1」
  不動産についての物権(所有権、地上権、抵当権など)の取得・変更は、民法第177条 (不動産に関する物権の変動の対抗要件)
  「第百七十七条  不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」とあり、不動産に関する物権の1つである抵当権も登記をしないと、第三者である専有部分の賃借人や譲受人に対抗(その権利の主張)ができない。

2 Bの抵当権の効力は、本件専有部分と共に、当該マンションの共用部分のAの共有持分にも及ぶが、規約に別段の定めがあるときには、その効力は及ばない。

X 誤っている。 まず、マンションでの専有部分は、区分所有法第2条3項と1項により、民法での「所有権」に似た「区分所有権」を与えられるが、マンションの建物の共用部分(廊下、階段等)は、区分所有者の全員の共有関係(区分所有法第11条参照)にはあるが、区分所有権の目的にならず、(区分所有法第4条1項参照)、登記ができなくなっている。ここが、民法の共有関係と大きく異なっていることに注意。
  そこで、抵当権の効力の及ぶ範囲であるが、専有部分は権利の目的となる「区分所有権」を有しているから抵当権が及ぶ。また、マンションの専有部分は廊下や階段等の共用部分がなければその存在価値がない。これは、専有部分が主物で共用部分は従物の関係になり、抵当権が民法第87条2項(選択肢4を参照)での従物にもその効果を及ぼすため前半は正しい
 次に後半の「規約に別段の...」であるが、抵当権の効力については、規約に別段の定めを区分所有法で認める規定はないので、規約の有無に拘わらず、共用部分の持分にも抵当権は及ぶ。
  設問は、後半が誤っている。
  なお、参考:区分所有法第15条 (共用部分の持分の処分)
  「第十五条  共有者の持分は、その有する専有部分の処分に従う。
   2  共有者は、
この法律に別段の定めがある場合を除いて、その有する専有部分と分離して持分を処分することができない。」とある2項の「別段の定めとは、@管理所有と A各共有者の共用部分の持分の割合の変更」 を認めているだけで、抵当権の効力を除外するものではありません。

3 Aが本件専有部分を賃貸した場合に、Bは、Aの有する本件専有部分の賃借人に対する賃料債権に対して、抵当権を行使することはできない。

X 誤っている。 抵当権は、民法第372条 (留置権等の規定の準用)
  「第三百七十二条  第二百九十六条、第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用する。」 により、民法第304条の先取特権の規定 (物上代位)
  「第三百四条  先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
   2  債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。」も準用される。これによれば、専有部分が賃貸されれば、その賃料に対しても担保物権の効力は及ぶ。(物上代位性)。ただし、この場合には、抵当権者は、その賃料が担保権に属することを明確にするため、債務者に払渡しまたは引渡し前に差し押さえが必要である。差し押さえをしないと、金銭は債務者の一般財産に紛れ込んで、担保権によるものかどうかの区別ができなくたるため。

4 Bの抵当権の効力は、その設定時に、本件専有部分内にAによって備え付けられていた家具や家電製品などの独立の動産に及ぶ。

X 誤っている? 主物と従物のとらえ方である。抵当権の効力の範囲は、民法第370条 (抵当権の効力の及ぶ範囲)
  「第三百七十条  抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び第四百二十四条の規定により債権者が債務者の行為を取り消すことができる場合は、この限りでない。」とあり、建物の抵当権なら原則、抵当権が設定された時既に家にある従物(造作、畳、障子など)にも及ぶ。(判例:大審院 大正8年3月15日)。その根拠として、民法第87条2項の規定 
(主物及び従物)
  「第八十七条  物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。
   2  従物は、主物の処分に従う。」によるとしている。
 そこで、設問の「その設定時に、本件専有部分内にAによって備え付けられていた家具や家電製品などの独立の動産」が従物に該当するかどうかである。従物の要件は、
  @ 従物が主物の常用に供されていること
  A 従物と主物が同一の所有者に属していること
  B 従物も主物も独立別個の物であること
  C 従物が主物に付属する程度の場所的関係にあること である、とここまでは、少し勉強すれば到達できる。
 しかし、判例が古い。そこで、最近の状況を調べてみましたが、ガソリンスタンドの例ぐらいしかなく、民法のテキスト(我妻、有泉、内田先生等)を読みましたが、この従物の概念が明確になっていない!
 ある説では、抵当権設定後でも入るとか、同じテレビでも居宅なら入らないが、旅館にある時は入るといいその時での、裁判所での判断に委ねるほかないようです。
  で設問ですが、マンションでの場合、動産といっても、家具はかなりの耐久性が考えられ、古くなってもその財産価値が増加する品物(骨董品を考えてください)もあることを考慮すると、一概には抵当権が及ばないとは言えません。
  次に、家電製品ですが、これは壊れたり、新製品が出たりするので、通常抵当権は及ばないと考えていいでしょう。
  もっと、設問を判例にしてくれると答えやすい!

  余談:この主物-従物を読んでいたら、マンションの敷地の賃借権は、建物を所有するために必要な所有権に付随しているため、建物に設定された抵当権は敷地の賃借権にも及ぶとある。

答え:1 (設問がまずいけど) 
 解説に時間がかかる! ○X(まるばつ)の判断は、早くできたが、問2やこの問6のように、設問を追及していくと、簡単には解説できない。 図書館や本屋で立ち読みの毎日です。

問7

【問 7】 管理事務の内容及び実施方法に関する次のアからエまでの記述のうち、マンション標準管理委託契約書及びマンション標準管理委託契約書コメント(平成15年4月9日国総動第1号〜第4号。国土交通省総合政策局長通達。以下「マンション標準管理委託契約書」という。)の定めによれば、適切なものはいくつあるか。


(注)マンション標準委託契約書は、平成22年(2010年)5月1日施行で、改正があったので、注意のこと。ここは、改正に合わせた。本旨は変わりない。


ア マンション管理業者が行う管理事務の内容として、事務管理業務、管理員業務、清掃業務及び建物・設備管理業務があるが、消防法(昭和23年法律第186号)に定める防火管理者が行う業務は、管理事務に含まれない。

○ 適切である。 平成20年の管理業務主任者試験も、マンション管理士試験と同様に、出題者が代わったようだ。今までは、マンション標準管理委託契約書コメントからの出題はあったが、設問での明示は無かった? ここは、平成21年管理業務主任者試験 「問7」 も参照。
 それは、さておき、管理業務の内容は、マンション標準管理委託契約書(以下「管理委託契約書」という)3条 (管理事務の内容及び実施方法)
  「第三条 管理事務の内容は、次のとおりとし、別表第一から第四に定めるところにより実施する。
    一 事務管理業務(別表第一に掲げる業務)
    二 管理員業務(別表第二に掲げる業務)
    三 清掃業務(別表第三に掲げる業務)
    四 建物・設備管理業務(別表第四に掲げる業務) 」
  とあり、防火管理者が行う業務は、管理事務に含まれない。

  なお、(マンション標準管理委託契約書コメント(以下「コメント」という)1 全般
  「B この契約では、適正化法第二条第六号に定める管理事務をマンション管理業者に委託する場合を想定しており、警備業法に定める警備業務、消防法に定める防火管理者が行う業務は、管理事務に含まれない。」とあり、
防火管理者の業務だけでなく警備業務も入っていないことに注意のこと。
 (くだけた言い方をすると、マンション管理業者は、国土交通省の管轄下にあるが、警備や消防は、組織上国土交通省の管轄に無いので、入れたくても、入れられないということです。)

イ マンション管理業者は、建築基準法(昭和25年法律第201号)第12条に規定する特殊建築物定期調査及び建築設備定期検査を行うと共に、その報告等に係る補助を行うものとする。

○ 適切である。  
 選択肢アでも引用した、「管理委託契約書」3条 (管理事務の内容及び実施方法)
  「第三条 管理事務の内容は、次のとおりとし、別表第一から第四に定めるところにより実施する。
    一 事務管理業務(別表第一に掲げる業務)
    二 管理員業務(別表第二に掲げる業務)
    三 清掃業務(別表第三に掲げる業務)
    四 建物・設備管理業務(別表第四に掲げる業務)
  とあり、4号の別表第四「建物・設備管理業務」
  1 建物点検、検査
   
(2) 建築基準法第12条第1項に規定する特殊建築物定期調査
   (3) 建築基準法第12条第3項 に規定する特殊建築物の建築設備定期検査

 とあり、建築基準法第12条に規定する特殊建築物定期調査と特殊建築物の建築設備定期検査をマンション管理業者は行うので、前半は適切である。
 後半の「報告等に係る補助」については、「管理委託契約書」3条1号により、
 「別表第一事務管理業務
  2 基幹事務以外の事務管理業務
   (3) その他
     A
新: 甲(管理組合)の各種検査等の報告、届出の補助 
       
一 甲に代わって、消防計画の届出、消防用設備等点検報告、特殊建築物定期調査又は建築設備定期検査の報告等に係る補助を行う。
       二 甲の指示に基づく甲の口座の変更に必要な事務を行う。
       三 諸官庁からの各種通知を、甲及び甲の組合員に通知する。」
 とあり、一 に該当し、適切である。よって、選択肢イは全体として適切である。

ウ マンション管理業者は、管理対象部分に係る各種の点検、検査等を実施した場合、その結果を管理組合に報告すると共に、改善等の必要がある事項については、文書又は口頭で、具体的な方策を管理組合に助言するものとする。

X 適切でない。 管理委託契約書 
 「別表第1 事務管理業務
  2 基幹事務以外の事務管理業務
   (3) その他
      @ 各種点検、検査等に基づく助言等
        管理対象部分に係る各種の点検、検査等の結果を甲(管理組合)に報告すると共に、改善等の必要がある事項については、
文書をもって、具体的な方策を甲に助言する。 」とあり、文書でおこなうこと。口頭では適切でない。(文書とか口頭は、よく出題されるパターン。)
  (参考::@ 各種点検、検査等に基づく助言等
           管理対象部分に係る各種の点検、検査等の結果を甲に報告すると共に、改善等の必要がある事項については、具体的な方策を甲に助言する。
           この報告及び助言は、書面をもって行う。

エ マンション管理業者は、管理規約の原本、総会議事録、総会議案書等を、マンション管理業者の事務所で保管するものとする。

X 適切でない。 管理委託契約書 
 「別表第1 事務管理業務
  2 基幹事務以外の事務管理業務
   (3) その他
      B 図書等の保管
        一 乙(マンション管理業者)は、本マンションに係る設計図書を、
甲(管理組合)の事務所で保管する
        二 乙は、甲の管理規約の原本、総会議事録、総会議案書等を、甲の事務所で保管する。 」 とあり、保管は甲(管理組合)の事務所である。乙(マンション管理業者)の事務所ではない。(この、管理組合の事務所とマンション管理業者の事務所の違いもよく出題される。参考:平成16年 管理業務主任者 試験 「問28」 選択肢4 )

  (参考::B 図書等の保管等
        一 乙は、本マンションに係る設計図書を、甲の事務所で保管する。
        二 乙は、甲の管理規約の原本、総会議事録、総会議案書等を、甲の事務所で保管する。
        三 乙は、解約等により本契約が終了した場合には、乙が保管する前2号の図書等、本表2(1)@で整備する組合員等の名簿及び出納事務のため乙が預っている甲の口座の通帳、印鑑等を遅滞なく、甲に引き渡す。

1一つ
2二つ
3三つ
4四つ

答え:2 (2つ。適切なのは、アとイ)

問8

【問 8】 管理事務に関する次の記述のうち、マンション標準管理委託契約書の定めによれば、最も不適切なものはどれか。


(注)マンション標準委託契約書は、平成22年(2010年)5月1日施行で、改正があったので、注意のこと。ここは、改正に合わせた。本旨は変わりない。


1 マンション管理業者は、災害又は事故等の事由により、管理組合のために、緊急に行う必要がある業務で、管理組合の承認を受ける時間的な余裕がないものについては、承認を受けないで実施することができる。

○ 適切である。 平成23年 管理業務主任者試験 「問9」 。
  管理委託契約書8条 (緊急時の業務)
  「
新:第八条 乙(マンション管理業者)は、第三条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる災害又は事故等の事由により、甲(管理組合)のために、緊急に行う必要がある業務で、甲の承認を受ける時間的な余裕がないものについては、甲の承認を受けないで実施することができる。この場合において、乙は、速やかに、書面をもって、その業務の内容及びその実施に要した費用の額を甲に通知しなければならない。
    一 地震、台風、突風、集中豪雨、落雷、雪、噴火、ひょう、あられ等
    二 火災、漏水、破裂、爆発、物の飛来若しくは落下又は衝突、犯罪等
  2 甲は、乙が前項の業務を遂行する上でやむを得ず支出した費用については、速やかに、乙に支払わなければならない。ただし、乙の責めによる事故等の場合はこの限りでない。」とある。

2 マンション管理業者は、災害又は事故等による損害について、その損害額が一定額を超えるときは、その一定額を超える損害額については、賠償する責任を負わないものとする。

X 適切でない。 賠償の免責事項は、管理委託契約書17条 (免責事項)
  「第十七条 乙(マンション管理業者)は、甲(管理組合)又は甲の組合員等が、第八条第一項各号に掲げる災害又は事故等(乙の責めによらない場合に限る)による損害及び次の各号に掲げる損害を受けたときは、その損害を賠償する責任を負わないものとする。
    一 乙が善良なる管理者の注意をもって管理事務を行ったにもかかわらず生じた管理対象部分の異常又は故障による損害
    二 乙が、書面をもって注意喚起したにもかかわらず、甲が承認しなかった事項に起因する損害
    三 前各号に定めるもののほか、乙の責めに帰することができない事由による損害 」とあり、「その損害額が一定額を超えるときは、その一定額を超える損害額について、賠償する責任を負わないものとする」の規定は存在しない。

3 マンション管理業者は、管理事務を行うため必要なときは、管理組合の組合員及びその所有する専有部分の占有者に対し、管理組合に代わって、建物の保存に有害な行為の中止を求めることができるが、マンション管理業者が中止を求めても、なおその行為を中止しないときは、マンション管理業者はその責めを免れるものとする。

○ 適切である。 ここは、平成17年 管理業務主任者 試験 「問8」 選択肢2 でも出た。
   管理委託契約書11条 (有害行為の中止要求)
   「第十一条 乙(マンション管理業者)は、管理事務を行うため必要なときは、甲(管理組合)の
組合員及びその所有する専有部分の占有者(以下「組合員等」という。)に対し、甲に代わって、次の各号に掲げる行為の中止を求めることができる。
    一 法令、管理規約又は使用細則に違反する行為
    二 建物の保存に有害な行為
    三 所轄官庁の指示事項等に違反する行為又は所轄官庁の改善命令を受けるとみられる違法若しくは著しく不当な行為
    四 管理事務の適正な遂行に著しく有害な行為
    五 組合員の共同の利益に反する行為
    六 前各号に掲げるもののほか、共同生活秩序を乱す行為
   2 乙が、前項の規定により中止を求めても、なお甲の組合員等がその行為を中止しないときは、乙はその責めを免れるものとし、その後の中止等の要求は甲が行うものとする。 」とある。

4 マンション管理業者は、災害又は事故等の事由により、管理組合のために緊急に業務を行う必要がある場合、管理組合の組合員及びその所有する専有部分の占有者に対して、立入りの請求をすることなく、専有部分に立ち入ることができる。

○ 適切である。 まず、管理委託契約書13条 (専有部分等への立入り)
  「第十三条 乙(マンション管理業者)は、管理事務を行うため必要があるときは、甲(管理組合)の組合員等に対して、その専有部分又は専用使用部分(以下「専有部分等」という。)への立入りを請求することができる。
   2 前項の場合において、乙は、甲の組合員等がその専有部分等への立入りを拒否したときは、その旨を甲に通知しなければならない。
   3 第一項の規定にかかわらず、乙は、第八条第一項各号に掲げる災害又は事故等の事由により、甲のために緊急に行う必要がある場合、専有部分等に立ち入ることができる。この場合において、乙は、甲及び乙が立ち入った専有部分等に係る組合員等に対し、事後速やかに、報告をしなければならない。 」とあり、組合員の専有部分に立ち入りができる。
  そして、占有者に対しては、管理委託契約書11条 (有害行為の中止要求)
  「第十一条 乙は、管理事務を行うため必要なときは、甲の組合員及びその所有する専有部分の占有者(以下「組合員等」という。)に対し、甲に代わって、次の各号に掲げる行為の中止を求めることができる。」とあり、 組合員等として、入っている。

答え:2 

問9

【問 9】 マンション管理委託契約の解除等に関する次の記述のうち、マンション標準管理委託契約書の定めによれば、最も適切なものはどれか。


(注)マンション標準委託契約書は、平成22年(2010年)5月1日施行で、改正があったので、注意のこと。ここは、改正に合わせた。本旨は変わりない。


1 管理組合及びマンション管理業者は、その相手方が、契約に定められた義務の履行を怠った場合は、相当の期間を定めてその履行を催告し、相手方が当該期間内に、その義務を履行しないときは、契約を解除することができる。

○ 適切である。 似たような出題は、平成18年 マンション管理士 試験 「問33」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問7」 にある。
   管理組合及びマンション管理業者の双方からできる契約の解除条件は、管理委託契約書18条1項 (契約の解除)
  「第十八条 甲(管理組合)及び乙(マンション管理業者)は、
その相手方が、本契約に定められた義務の履行を怠った場合は、相当の期間を定めてその履行を催告し、相手方が当該期間内に、その義務を履行しないときは、本契約を解除することができる。この場合、甲又は乙は、その相手方に対し、損害賠償を請求することができる。」とある。
   関連付けて覚える:これは、民法第541条 (履行遅滞等による解除権)
  「第五百四十一条  当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。 」と、民法第545条3項 (解除の効果)
  「3  解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。」 を受けている。

2 管理組合は、マンション管理業者がマンション管理適正化法に基づく業務の停止命令の処分を受けたときは、管理委託契約を解除することができる。

X 適切でない。 管理組合の方からできる契約の解除条件は、管理委託契約書18条2項 
  「
:2 甲(管理組合)は、乙(マンション管理業者)が次の各号のいずれかに該当するときは、本契約を解除することができる。
    一 乙が銀行の取引を停止されたとき、若しくは破産、会社更生、会社整理、民事再生の申立てをしたとき、又は乙が破産、会社更生、民事再生の申立てを受けたとき
    二 乙が合併又は破産以外の事由により解散したとき
    三 乙がマンション管理業の登録の取消しの処分を受けたとき」とあり、3号によると「登録の取り消し」の場合であり、 「業務の停止命令の処分を受けたとき」はまだ契約の解除はできない。

3 管理組合及びマンション管理業者は、その相手方に対し、少なくとも1月前に書面で解約の申入れを行うことにより、管理委託契約を終了させることができる。

X 適切でない。 契約の解約の申し入れの場合には、管理委託契約書19条 (解約の申入れ)
  「第十九条 前条の規定にかかわらず、甲(管理組合)及び乙(マンション管理業者)は、その相手方に対し、
少なくとも三月前に書面で解約の申入れを行うことにより、本契約を終了させることができる。」とあり、3ヶ月前に必ず書面での申し入れが必要とされる。1ヶ月前では足りない。

4 管理組合又はマンション管理業者は、管理委託契約を更新しようとする場合、当該契約の有効期間が満了する日の3月前までに、その相手方に対し、口頭でその旨を申し出るものとする。

X 適切でない。 契約の更新では、管理委託契約書21条 (契約の更新)
  「第二十一条 甲(管理組合)又は乙(マンション管理業者)は、本契約を更新しようとする場合、本契約の有効期間が満了する日の三月前までに、その相手方に対し、
書面をもって、その旨を申し出るものとする。
   
新:2 本契約の更新について申出があった場合において、その有効期間が満了する日までに更新に関する協議がととのう見込みがないときは、甲及び乙は、本契約と同一の条件で、期間を定めて暫定契約を締結することができる。」とあり、当然ながら「口頭」での申し入れはダメ。
  どうして、「口頭」がよく出題されるのか? 契約は当事者の意思表示が合致すれば成立し特に書面を必要としていないためです。

答え:1 (2が悩むかも。)

問10

【問 10】 マンションの管理費の滞納に対する対策に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1 管理費の滞納者に対し、文書で催告する場合、普通郵便でも法律上は効力を有するが、内容証明郵便にすることが望ましい。

○ 適切である。 滞納と回収方法については、出題は多い。 平成17年管理業務主任者試験 「問11」 平成21年管理業務主任者試験 「問10」 など。
  滞納者に対して、支払えと催告するのは、口頭でも文書でも法律上は効力を有しているが、後に争いとなった場合の証拠として、口頭では、相手が聞いてないと主張したり、また普通郵便では相手が受け取っていないと主張すると、立証が難しい。そこで郵便制度では第三者が出した郵便物の内容を証明してくれる方法がある。それが「内容証明郵便」である。これにより、文書を出した証拠として、また日付も確定できるため、後の争いで使える。

2 管理費の滞納者を被告として訴えを提起する場合、その滞納者が当該マンション以外の場所に住所を有するときでも、マンションの区分所有権に係る専有部分を被告の住所地としなければならない。

X 適切でない。 これは、管轄といわれ、訴訟を起こす時には、民事訴訟法第4条1項 (普通裁判籍による管轄)
  「第四条  
訴えは、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する。」とあり、被告の住所を管轄する裁判所に対して起こす。被告がマンション以外に住んでいれば、そこを管轄する裁判所となる。

3 通常の売買ではなく、競売によりマンションの区分所有権を買い受けた者は、前区分所有者の滞納管理費の支払義務を承継しない。

X 適切でない。 特定承継人は、平成20年 マンション管理士 試験 「問2」 など 出題傾向は高い。 
  通常なら、滞納管理費の支払いは、滞納した者(この場合前の区分所有者)の責任で売買や競売など後から区分所有権を引き継いだ者(
特定承継人と呼ばれる)に支払の義務はない。しかし、管理費はマンションという共同の管理に必要な経費であるため、区分所有法第8条 (特定承継人の責任)
  「第八条  前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。 」とあり、 前条の同区分所有法第7条1項 (先取特権)
  「第七条  区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。 」とあり、滞納管理費(修繕積立金も含めて)は、区分所有者全員が共同で有する債権として、特定承継人にも滞納管理費の支払い義務を認めている。

4 管理費の滞納者に対し、訴訟を提起する場合、遅延損害金のほかに弁護士費用その他の訴訟に要する費用を請求できる旨を規約に定めることはできない。

▲ 適切でない? これについては、疑問がある。 平成17年 マンション管理士 試験 「問28」 選択肢4 、 平成19年 管理業務主任者 試験 「問29」 を参照。
  
過去問題でも指摘したが、遅延損害金は、多くの場合加算していいが、「弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用」については、加算できないという説もある。.
これを、相変わらず出題する態度は問題である。
  一応、標準管理規約(単棟型)67条4項は
  「4 前項の訴えを提起する場合、理事長は、請求の相手方に対し、違約金としての弁護士費用及び差止め等の諸費用を請求することができる。」とあり、規約で定めてはいる。 

答え:1 (選択肢4 は依然として問題があるが。) 

問11

【問 11】 マンションの管理費の消滅時効の中断に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 管理費を滞納している区分所有者が、破産手続開始の決定を受けた場合には、もはや管理費債権について時効を中断する方法はない。

X 誤っている。 時効の中断の出題は多い。 平成18年 管理業務主任者 試験 「問10」 、 平成17年 管理業務主任者 試験 「問10」平成16年 管理業務主任者 試験 「問4」 など。 
  時効の中断事由として、民法第147条 (時効の中断事由)
  「第百四十七条  時効は、次に掲げる事由によって中断する。
    一  請求
    二  差押え、仮差押え又は仮処分
    三  承認」とある。
  そして、破産手続きは裁判上の請求、支払督促、和解の呼び出し、催告などと同じ請求の1つとしてとらえられ、破産手続開始の決定により、破産手続きに参加、つまり債権者が配当を申し出ることによって、時効は中断する。ただし、その申し出が却下されれば時効は中断しない。
  参考:民法第152条 (破産手続参加等)
  「第百五十二条  破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加は、債権者がその届出を取り下げ、又はその届出が却下されたときは、時効の中断の効力を生じない。」

2 管理費を滞納している区分所有者が、管理組合に対し、滞納管理費の額と滞納している事実を認める承諾書を提出した場合、管理費債権の時効は中断する。

○ 正しい。 ここは、平成19年 管理業務主任者 試験 「問10」 選択肢2 の変形。
  滞納者が「滞納管理費の額と滞納している事実を認める承諾書を提出した場合」には、選択肢1で引用した、民法第147条3号のまさしく「承認」となり時効は中断する。
  なお、他に承認と解されるのは、一部弁済、分割払い、利息の支払い、代金減額の交渉、支払延期の懇願など。また、代理人が承認しても中断となる。

3 管理費を滞納している区分所有者が、専有部分の区分所有権を第三者に売却した場合は、管理費債権の時効が中断する。

X 誤っている。 時効が中断するのは、選択肢1で引用した事由に該当する場合だけである。マンションの専有部分を売却しても滞納管理費には時効の中断はない。なお、マンションの場合、滞納管理費(修繕積立金も含めて)は、買った第三者(特定承継人)にも請求ができる。(区分所有法第8条参照。問10の選択肢3も参照。)

4 民事訴訟法(平成8年法律第109号)の定める通常の訴訟でなく、同法の「少額訴訟に関する特則」に基づく訴えを提起しただけでは、管理費債権の時効は中断しない。

X 誤っている。 選択肢1で引用した民法第147条1号「請求」に裁判上の訴えの提起は入る。
  そして、民事訴訟法での少額訴訟の訴えの提起も、裁判上の請求でないという規定もなく、管理費債権の時効は中断する。なお、この場合にも、その訴えが却下されたり取り下げると、時効は中断しない。
  参考:民法第149条 (裁判上の請求)
  「第百四十九条  裁判上の請求は、訴えの却下又は取下げの場合には、時効の中断の効力を生じない。」
  なお、少額訴訟については、平成18年 管理業務主任者 試験 「問11」 がある。

答え:2

問12

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問 12】 区分所有者が納入する修繕積立金の取崩しに関する次の記述のうち、マンション標準管理規約及びマンション標準管理規約コメント(単棟型)(平成16年1月23日国総動第232号・国住マ第37号。国土交通省総合政策局長・同住宅局長通知。以下「マンション標準管理規約」という。)の定めによれば、最も適切なものはどれか。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 管理組合は、再建マンションの設計概要等、管理組合が行う建物の建替え検討のための調査に係る経費は、建物の建替えに係る区分所有者の合意形成の後でなければ、修繕積立金を取り崩して支払うことができない。

X 適切でない。 どの項目が管理費から支出され、どの項目が修繕積立金から出ていくのかは、必ず出題されるので、記憶しておくこと。平成19年 管理業務主任者 試験「問32」 、平成18年 マンション管理士 試験 「問27」 など。
 修繕積立金からの取り崩しは、マンション標準管理規約(以下「標準管理規約」という。)28条 (修繕積立金)
  「第28条 管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
      一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
      二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
      三 敷地及び共用部分等の変更
      四 
建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査
      五 その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理
   2 前項にかかわらず、区分所有法第62条 第1項の建替え決議(以下「建替え決議」という。)又は建替えに関する区分所有者全員の合意の後であっても、マンションの建替えの円滑化等に関する法律(以下本項において「円滑化法」という。)第9条 のマンション建替組合(以下「建替組合」という。)の設立の認可又は円滑化法第45条 のマンション建替事業の認可までの間において、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、修繕積立金から管理組合の消滅時に建替え不参加者に帰属する修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、修繕積立金を取り崩すことができる。
   3 管理組合は、第1項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、修繕積立金をもってその償還に充てることができる。
   4 修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならない。」とあり、設問は1項4号に該当し、建替えの合意を得る前の段階でも、建替えの調査にかかる費用は修繕積立金から取り崩せる。

2 管理組合は、専門的知識を有する者の活用に要する費用の支出に充てるため、修繕積立金を取り崩して支払うことができる。

X 適切でない。 設問の内容は、選択肢1で引用した修繕積立金からの取り崩し項目に入っていない。(専門的知識を有する者の活用に要する費用の支出は管理費からの支出項目である。)

3 管理組合は、敷地及び共用部分等の変更のための経費に充てるために借入金をした場合、修繕積立金を取り崩して、その借入金の償還に充てることができる。

○ 適切である。 選択肢1で引用した、修繕積立金からの取り崩し項目1項3号に該当し、同3項に該当する。

4 管理組合は、敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために通常必要となる管理に要する経費に充てるため、修繕積立金を取り崩して支払うことができる。

X 適切でない。 設問の内容は、選択肢1で引用した修繕積立金からの取り崩し項目に入っていない。(この「敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために通常必要となる管理に要する経費」は管理費から出す。大体、「通常必要」なら管理費の対象とわかる。)

答え:3 (少し易しい?) 

問13

【問 13】 管理組合の管理事務に要する費用の負担及び支払い方法に関する次の記述のうち、マンション標準管理委託契約書の定めによれば、最も不適切なものはどれか。


(注)マンション標準委託契約書は、平成22年(2010年)5月1日施行で、改正があったので、注意のこと。改正に合わせた。本旨は変わりない。


1 管理事務の範囲・内容と定額委託業務費の関係を明確にするため、見積書等でその内訳を明示し、当事者間で合意をしている場合を除いて、管理委託契約に定額委託業務費の内訳を明示しなければならない。

○ 適切である。 費用の負担は、平成23年 管理業務主任者試験 「問8」 平成20年 マンション管理士試験 「問33」 平成19年 管理業務主任者試験 「問8」 、平成16年 管理業務主任者試験 「問13」 。
  管理委託契約書6条 (管理事務に要する費用の負担及び支払方法)
  「第六条 甲(管理組合)は、管理事務として乙(管理業者)に委託する事務(別表第一から別表第四までに定める事務)のため、乙に委託業務費を支払うものとする。
   2 甲は、前項の委託業務費のうち、その負担方法が定額でかつ精算を要しない費用(以下「定額委託業務費」という。)を、乙に対し、毎月、次のとおり支払うものとする。
     一 定額委託業務費の額
        月額○○円(消費税額及び地方消費税額(以下、本契約において「消費税額等」という。)を含む。)
        内訳は、別紙一のとおりとする。
     二 支払期日及び支払方法
        毎月○日までにその○月分を、乙が指定する口座に振り込む方法により支払う。
     三 日割計算
         期間が一月に満たない場合は一月を○日として日割計算を行う。
   3 第一項の委託業務費のうち、定額委託業務費以外の費用の額(消費税額等を含む。)は別紙二のとおりとし、甲は、各業務終了後に、甲及び乙が別に定める方法により精
算の上、乙が指定する口座に振り込む方法により支払うものとする。
   4 甲は、第一項の委託業務費のほか、乙が管理事務を実施するのに伴い必要となる水道光熱費、通信費、消耗品費等の諸費用を負担するものとする。 」とあり、
  これのコメント6 第六条関係
  「@ 第二項で定額委託業務費の内訳を明示することにより、第三条に規定する管理事務の範囲・内容と定額委託業務費の関係を明確化することとしたものである。
   ただし、適正化法第七十二条に基づき管理委託契約締結前に行う重要事項説明等の際に、マンション管理業者が管理組合に対して見積書等であらかじめ定額委託業務費の内訳を明示している場合であって、
当事者間で合意しているときは、管理委託契約に定額委託業務費の内訳を記載しないことができる。 」とある。
 (参考::(管理事務に要する費用の負担及び支払方法)
   第6条 甲は、管理事務として乙に委託する事務(別表第1から別表第4までに定める事務)のため、乙に委託業務費を支払うものとする。
    2 甲は、前項の委託業務費のうち、その負担方法が定額でかつ精算を要しない費用(以下「定額委託業務費」という。)を、乙に対し、毎月、次のとおり支払うものとする。
      一 定額委託業務費の額
        合計 月額   ○○円
        消費税及び地方消費税抜き価格    ○○円
        消費税額及び地方消費税額(以下、本契約において「消費税額等」という。)    ○○円
        内訳は、別紙1のとおりとする。
      二 支払期日及び支払方法
        毎月○日までにその○月分を、乙が指定する口座に振り込む方法により支払う。
      三 日割計算
        期間が一月に満たない場合は当該月の暦日数によって日割計算を行う。(1円未満は四捨五入とする。)
    3 第1項の委託業務費のうち、定額委託業務費以外の費用の額(消費税額等を含む。)は別紙2のとおりとし、甲は、各業務終了後に、甲及び乙が別に定める方法により精算の上、乙が指定する口座に振り込む方法により支払うものとする。
    4 甲は、第1項の委託業務費のほか、乙が管理事務を実施するのに伴い必要となる水道光熱費、通信費、消耗品費等の諸費用を負担するものとする。

2 管理組合は、管理事務として委託する事務(マンション標準管理委託契約書別表第1から第4までに定める事務)のためにマンション管理業者に支払われる委託業務費のほか、マンション管理業者が管理事務を実施するのに必要となる共用部分の水道光熱費、通信費、消耗品費等の諸費用も負担する。

○ 適切である。 マンション管理業者が管理事務を実施するのに必要なのは、管理委託契約書6条4項
  「4 甲(管理組合)は、第一項の委託業務費のほか、乙(管理業者)が管理事務を実施するのに伴い必要となる水道光熱費、通信費、消耗品費等の諸費用を負担するものとする。」とある。この、管理事務を実施するのに必要なものと、下の選択肢3での、管理員が事務を行う場所(管理人室)での費用の違いはよく読むこと。

3 管理員室の使用に係る諸費用(水道光熱費、通信費、備品、消耗品費等)は、管理組合がマンション管理業者に管理事務を行わせるために不可欠であるので、管理組合が負担する。

X 適切でない。 今度は、管理員室の使用に係る諸費用となると、管理委託契約書7条 (管理員室:管理事務室 になっている:等の使用)
  「第七条 甲(管理組合)は、乙(管理業者)に管理事務を行わせるために不可欠な管理員室、管理用倉庫、清掃員控室、器具、備品等(次項において「管理員室等」という。)を無償で使用させるものとする。
   2 乙の管理員室等の使用に係る費用の負担は、次のとおりとする。
    一 ○○○○費 甲(又は乙)の負担とする。
    二 ○○○○費 甲(又は乙)の負担とする。
    三 ○○○○費 甲(又は乙)の負担とする。
    四 ○○○○費 甲(又は乙)の負担とする。 」とあり、コメント7 第七条関係
  「@ 管理員室等は、通常、管理組合がマンション管理業者にマンションの管理事務を行わせるのに不可欠であるため、無償で使用させるものとしている。
   A 第二項は、管理員室等の使用に係る諸費用(水道光熱費、通信費、備品、消耗品費等)の負担区分について、その内容を規定するものとする。
   B 管理員室等の資本的支出が必要となった場合の負担については、別途、管理組合及びマンション管理業者が協議して決定することとなる。 」とあり、
管理員室は無償で使えるが、使用に伴い必要な水道光熱費などの負担は、管理組合と管理業者の取り決めによる。必ず管理組合が負担するものではない。でもほとんどの場合、管理組合の負担です。

4 マンション管理業者は、事前にその発生を予測することが極めて困難な天災地変による災害、漏水又は火災等の偶発的な事故等の事由により、緊急に行う必要がある業務で、管理組合の承認を受ける時間的余裕がないものについては、管理組合の承認を受けないで実施することができ、管理組合は、マンション管理業者の責めによる事故等の場合を除いて、当該業務の遂行上やむを得ず支出した費用については、マンション管理業者に速やかに支払わなければならない。

○ 適切である。 ここは、「問8」でもでている。
   管理委託契約書8条 (緊急時の業務)
  「
:第八条 乙(管理業者)は、第三条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる災害又は事故等の事由により、甲(管理組合)のために、緊急に行う必要がある業務で、甲の承認を受ける時間的な余裕がないものについては、甲の承認を受けないで実施することができる。この場合において、乙は、速やかに、書面をもって、その業務の内容及びその実施に要した費用の額を甲に通知しなければならない。
    一 地震、台風、突風、集中豪雨、落雷、雪、噴火、ひょう、あられ等
    二 火災、漏水、破裂、爆発、物の飛来若しくは落下又は衝突、犯罪等
   2 甲は、
乙が前項の業務を遂行する上でやむを得ず支出した費用については、速やかに、乙に支払わなければならない。ただし、乙の責めによる事故等の場合はこの限りでない。 」のとおり。

答え:3 

問14

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問 14】 区分所有者が納入する管理費に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約の定めによれば、最も不適切なものはどれか。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 管理費の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分及び使用頻度等を勘案して算出する。

X 適切でない。 前の「問12」でも述べたように、管理費からの支出項目、修繕積立金からの取り崩し項目は出題が多い。ここは、平成17年 マンション管理士 試験 「問28」 選択肢2 のまま。
   標準管理規約25条 (管理費等)
  「第25条 区分所有者は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、次の費用(以下「管理費等」という。)を管理組合に納入しなければならない。
    一 管理費
    二 修繕積立金
   2 管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとする。」とあり管理費と修繕積立金の額は「各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出する」ので、前半は正しい。では「使用頻度」は、同コメント第25条 関係
  「@
管理費等の負担割合を定めるに当たっては、使用頻度等は勘案しない
   A管理費のうち、管理組合の運営に要する費用については、組合費として管理費とは分離して徴収することもできる。」とある。これは、1階の居住者がエレベーターを使用しないといっても、管理費を割り引かないことを指す。後半の「使用頻度等を勘案して」が適切でない。

2 役員活動費は管理組合の運営に要する費用として、通常の管理に要する経費に含まれる。

○ 適切である。 管理費からの支出項目は、標準管理規約27条(管理費)
  「第27条 管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する。
     一 管理員人件費
     二 公租公課
     三 共用設備の保守維持費及び運転費
     四 備品費、通信費その他の事務費
     五 共用部分等に係る火災保険料その他の損害保険料
     六 経常的な補修費
     七 清掃費、消毒費及びごみ処理費
     八 委託業務費
     九 専門的知識を有する者の活用に要する費用
     十 地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成に要する費用
     十一 
管理組合の運営に要する費用
     十二 その他敷地及び共用部分等の通常の管理に要する費用」とあり、同コメント第27条 関係
   「@管理組合の運営に要する費用には役員活動費も含まれ、これについては一般の人件費等を勘案して定めるものとするが、役員は区分所有者全員の利益のために活動することにかんがみ、適正な水準に設定することとする。
    Aコミュニティ形成は、日常的なトラブルの未然防止や大規模修繕工事等の円滑な実施などに資するものであり、マンションの適正管理を主体的に実施する管理組合にとって、必要な業務である。
     管理費からの支出が認められるのは、管理組合が居住者間のコミュニティ形成のために実施する催事の開催費用等居住者間のコミュニティ形成や、管理組合役員が地域の町内会に出席する際に支出する経費等の地域コミュニティにも配慮した管理組合活動である。
     他方、各居住者が各自の判断で自治会、町内会等に加入する場合に支払うこととなる自治会費、町内会費等は地域コミュニティの維持・育成のため居住者が任意に負担するものであり、マンションという共有財産を維持・管理していくための費用である管理費等とは別のものである。」とあり、@にあるように、役員活動費は管理組合の運営に要する費用として、通常の管理に要する経費として管理費から支出される。

3 各居住者が、各自の判断で自治会、町内会等に加入する場合に支払う自治会費、町内会費等の支払いについては、管理費からの支出は認められない。

○ 適切である。 選択肢2で引用したコメントAにあるように、各居住者が、各自の判断で自治会、町内会等に加入する場合に支払う自治会費、町内会費等の支払いについては、管理費からの支出は認められない。
 余談:個人加入なら、管理費とは別であるが、入居当時から地元の町会に加入が義務つけられているマンションもある。この場合には、管理費とは別に自治会費(町会費)として管理費と共に納入が義務づけられている。その時、自治会費を区分所有者は払わないと拒否できるか。暇なときに考えてください。

4 管理費のうち、管理組合の運営に要する費用については、組合費として管理費とは分離して徴収することもできる。

○ 適切である。 選択肢1で引用したコメントAに「管理費のうち、管理組合の運営に要する費用については、組合費として管理費とは分離して徴収することもできる。」とある。

答え:1 (1を知っていれば、すぐに次の問題に移れる。)

問15

【問 15】 管理組合の活動における以下の取引に関して、平成20年3月分の仕訳として正しいものは次のうちどれか。ただし、この管理組合の会計年度は、4月1日から翌年3月31日までとし、期中の取引において、企業会計原則に基づき厳格な発生主義によって経理しているものとする。

(取 引)
平成20年3月1日に、損害保険会社と以下の内容の保険契約を締結し、同日に5年分の保険料5,280,000円を一括して普通預金から支払った。損害保険会社から提示された保険の内容は以下のとおりである。

損害保険の内容
保険期間   5年間(平成20年3月1日から平成25年2月28日まで)
保険料内訳
   積立保険料(修繕積立部分)    3,600,000円
         (月当たり保険料        60,000円)
   危険保険料(危険保険部分)      1,680,0円
         (月当たり保険料        28,000円)
   合 計(保険料一括支払額)     5,280,000円
         (月当たり保険料       88,000円)


発生主義による...この言葉の重要性は、毎年説明していますが、初めての人もいるでしょうから、また説明します。

  全ての費用・収益は、その支出・収入に基づいて計上し、その発生した期間
     *収入については、請求権が生じた月、
     *支出については、支出が労役などの提供又は工事などである場合は、その労役などの提供又は工事等が完了した月、物品の購入なら、その物品が納入された月に正しく割り当てるように処理すること。

   これにより、管理費や修繕積立金は該当月に徴収することになっているなら、未収入金(滞納)があっても、全額計上されている。
   収支報告書では、滞納金も含めて、請求金額が全部入金されたものとして、作成されているので組合員にも注意してあげること。

*ここは、平成17年 管理業務主任者 試験 「問15」 のまま。

*仕訳:このポイントは、保険の期間が5年間であること。
  まず、
  @普通預金からの一括支払につき、 
    資産の減少    (貸方) 普通預金    ¥5,280,000

  そして、対応するのは、
  A積立保険料(満期には戻ってくる)は全額、
    資産の増加    (借方) 積立保険料  ¥3,600,000

  B危険保険(掛け捨て部分)の支払は5年分。その内、当月分の保険料の支払額は、
    資産の増加で  (借方) 支払保険料 ¥1,680,000÷(12ヶ月x5年)=¥28,000

  C危険保険の来月以降分の損害保険料の支払額は、当月分を差し引き、前払いとなる、
    資産の増加で  (借方) 前払保険料 ¥1,680,00-¥28,000=¥1,652,000

  参考:なお、次月からは、毎月「前払保険料」の1カ月分(¥28,000)を「支払保険料」へ振り替える仕訳をする。
      支払保険料  ¥28,000 | 前払金 ¥28,000
   
      そして、積立保険料の満期の月には、¥3,600,000 を貸方に入れる。
      普通預金 ¥3,600,000 | 積立保険料 ¥3,600,000

これをまとめると、


    (借方)            |   (貸方)  (単位 円)
  ------------------------------------------------
  積立保険料   3、600,000 | 普通預金 5,280,000
  支払保険料      28,000 |  
  前払保険料    1,652,000 | 
   

答え:4 (ここは、過去の平成17年の問題をやっていると、すぐに解答できた? 参照:マンション管理の知識 平成20年版 ページ597)

問16

【問 16】 管理組合の活動における以下の取引に関して、平成20年3月分の仕訳として正しいものは次のうちどれか。ただし、この管理組合の会計年度は、4月1日から翌年3月31日までとし、期中の取引において、企業会計原則に基づき厳格な発生主義によって経理しているものとする。

(取 引)

平成20年1月、非常階段に大きく錆が発生していることが判明し、通常のメンテナンスとして5年に1度定期的に行う塗装は、本来、次年度の4月に行う予定であったが、前倒しを行い、業者に依頼し本年3月から4月にかけて非常階段の塗装を行った。塗装工事費用の全体は1,000,000円であるが、支払い条件は着手金として500,000円、完了時に残金を支払う約束である。この支払い条件に従って、本年3月10日に500,000円を普通預金から業者に振り込んだ。なお、この塗装工事は、本年4月25日に完了した。

*仕訳:前期、当期と二期にまたがった場合での一部支払の会計処理である。面倒だ。
  まず、発生主義ということに注意。これは、前「問15」を参照。
  
  @当期の4月25日に普通預金から支払ったのであるから、 貸方に 普通預金 ¥500,000 を持ってくる。
  Aこのときに、全体で ¥1,000,000 の残金の ¥500,000 をどう処理するかどうかであるが、完了していれば、残金を「未払」とするが、着手金を支払った3月10日(前期)では完了していないので、「未払」は発生していないと考える。
  Bでは、次に相手方の勘定科目として何が妥当かを検討する。
    建物...新しい家や工場を収得したときにかかった費用
    修繕費...直した費用   
    よって、非常階段の塗装は勘定科目”修繕費”に該当する。

  Cしかし、以上の考えに該当する下のような答えがない。
     修繕費 ¥500,000 | 普通預金 ¥500,000

   ここで、発生主義の出番。前期の3月10日に支払った着手金の ¥500,000 はまだ完成していないため「前払い」として仕訳をするのが、妥当ということか。


   最終的には、修繕費としての費用勘定になるが、3月10日では、「厳格な発生主義」により、塗装工事が完成していないために、「前払金」として処理をする。
  そこで、3月10日の仕訳は、

   前払金 500,000 | 普通預金 500,000

  となり、4月25日に完成したら、ここで初めて修繕費勘定が現れ、3月10日の処理は、

  修繕費 1,000,000 | 普通預金 500,000
                  | 前払金   500,000

  となる。(2011年 6月16日:追記)

  
答は、3
---------------------------------------------

 *2024年9月9日再追記:2024年9月8日付で以下のメールも来ましたので、参考にしてください。

 工事を発注しているので、民法の請負契約に該当します。請負契約は、完成時に支払い債務が発生します。
(完成しないと料金は請求できません:同時履行)

故に、完成していない3月に「未払い」は発生しません。

着手金を払っていない場合の仕訳は
4/25 修繕費 100万 | 普通預金 100万 です。


手付金を払った時点では支払い義務は生じていないので
3/10 前払金 50万 | 普通預金 50万 となり

4/25 修繕費 100万 | 普通預金 50万
              | 前払金  50万 となります。

これで、前払金は相殺されるので、着手金なしの仕訳と同じ結果になります。

簿記に曖昧な処理はありません。最もやってはいけないことなので。

 *raitiさん、有難うございます。

答え:3?  (マンション管理士試験と同じように、会計の処理は、難しいというより曖昧だ。) (勘定科目:建物、修繕費については、平成16年 管理業務主任者 試験 「問14」 がある。)
  ここを正確に解答できる方は、https://plaza.rakuten.co.jp/honki4982/ に連絡ください。または、マンション管理士・管理業務主任者専用;http://tk4982.at.webry.info/ へ。


(社)高層住宅管理協会の正解:3

問17

【問 17】 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条の用語の定義に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 建築設備とは、建築物に設ける電気、ガス、給水、排水などの設備及び煙突、昇降機、避雷針をいい、建築物に含まれるものと、含まれないものに分けられる。

X 誤っている。 建築基準法については、別途、マンション管理士・管理業務主任者試験用にまとめた、「超解説 建築基準法」も参照。
  用語の定義は、平成14年 管理業務主任者 試験 「問17にもある。
  建築設備とは、建築基準法第2条3号
  「三  建築設備(とは) 建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針をいう。 」とあり前半は正しい。
  では、建築物とは建築基準法第2条1号
  「一  建築物(とは) 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。 」とあり、建築物には建築設備も全部含まれている。これは、建築確認などをまとめてやるためと考えるといい。

2 主要構造部とは、壁、柱、床などであり、同法施行令第1条で定義される「構造耐力上主要な部分」と同じものである。

X 誤っている。 この設問は、宅地建物取引主任者試験などでお馴染み。
  建築基準法第2条5号
  「五  主要構造部(とは) 壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。」とあり、基礎や最下階の床などが入っていない。ここは、防火上での主要構造部を規定する。そして、同条施行令1条3号
  「三  構造耐力上主要な部分(とは) 基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。 」とあり、基礎なども入っている。
主要構造部と構造耐力上主要な部分は異なっている

3 建築とは、建築物を新築し、増築し、又は改築することをいい、移転は含まれない。

X 誤っている。 建築の定義は、建築基準法第2条13号
  「十三  建築(とは) 建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転することをいう。」とあり移転も入っている。

4 大規模の修繕とは、建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕をいう。

○ 正しい。 建築基準法第2条14号
  「十四  大規模の修繕(とは) 建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕をいう。 」とある。(注:ここでは、「主要構造部」です。「構造耐力上主要な部分」ではありませんよ。)

答え:4 (ここは易しい。)

★なお、建築基準法、都市計画法、水道法、消防法からの出題も多いので、これらだけをまとめた解説を、私の「目指せ! マンション管理士・管理業務主任者」の「過去問題の下」に作りましたから、これも、ご利用ください。

問18

【問 18】 共同住宅の避難施設等に関する次の記述のうち、建築基準法によれば、誤っているものはどれか。なお、主要構造部は耐火構造であり、避難階は1階とし、階避難安全検証法、全館避難安全検証法及び国土交通大臣の認定については考慮しないものとする。

1 該当階の住戸の床面積の合計が100uを超える場合、両側に居室のある共用廊下の幅は、1.6m以上としなければならない。

○ 正しい。 避難階については、今年(平成20年) マンション管理士 試験 「問20」 でも出た。
   全く細かな設問で閉口する。該当の条文を探すだけでもえらく時間がかかる。
  建築基準法施行令にある。同119条 (廊下の幅)
  「第百十九条  廊下の幅は、それぞれ次の表に掲げる数値以上としなければならない。

 廊下の配置 両側に居室がある廊下における場合(単位 メートル) その他の廊下における場合(単位 メートル)   その他の廊下における場合(単位 メートル)
 廊下の用途
 小学校、中学校、高等学校又は中等教育学校における児童用又は生徒用のもの  二・三  一・八
 病院における患者用のもの、共同住宅の住戸若しくは住室の床面積の合計が百平方メートルをこえる階における共用のもの又は三室以下の専用のものを除き居室の床面積の合計が二百平方メートル(地階にあつては、百平方メートル)をこえる階におけるもの  一・六  一・二

2 避難階又は地上に通ずる直通階段までの歩行距離に関する制限については、住戸内の歩行距離を無視してよい。

X 誤りである。 言葉の意味が分かっていないと設問の意味がつかめない。
  まず、避難階とは、直接地上に出られる階で、斜面などに建っている建物では通常の1階の他2階、3階などもある。
  直通階段とは、その避難階に他の階の階段を経由しなくてもいける1つの階段のこと。
  そして、歩行距離とは、直通階段に到達するまでの長さで通常、廊下の長さと居室(住戸)内の一番奥(出入り口から一番遠い隅)から計る。
  その歩行距離は、主要構造部の構造と居室の種類によって異なる。(30m〜50m)。(建築基準法施行令120条参照)また、直通階段が2つ以上あれば、別の計算(重複距離)となる。(建築基準法施行令121条参照)
  階避難安全検証法での避難安全性能が確かめられれば除かれる。(建築基準法施行令129条の2参照)
 ということで、設問の「歩行距離に関する制限については、住戸内の歩行距離を無視してよい」の規定はないため、誤り。

3 6階の居室の床面積の合計が200uを超える場合は、2以上の直通階段を設けなければならない。

○ 正しい。 建築基準法施行令121条6号(二以上の直通階段を設ける場合)
  「第百二十一条  建築物の避難階以外の階が次の各号のいずれかに該当する場合においては、その階から避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設けなければならない。
  六  前各号に掲げる階以外の階で次のイ又はロに該当するもの
    イ 六階以上の階でその階に居室を有するもの(第一号から第四号までに掲げる用途に供する階以外の階で、その階の居室の床面積の合計が百平方メートルを超えず、かつ、その階に避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するもの及びその階から避難階又は地上に通ずる直通階段で第百二十三条第二項又は第三項の規定に適合するものが設けられているものを除く。)
    ロ 五階以下の階でその階における居室の床面積の合計が避難階の直上階にあつては二百平方メートルを、その他の階にあつては百平方メートルを超えるもの」とあり、6階で居室の床面積の合計が100uを超えると、2つ以上の直通階段が必要となる。

4 屋外に設ける避難階段及び避難階における屋外への出口から道又は公園、広場、その他の空地に通ずる敷地内の通路の幅員は、1.5m以上でなければならない。

○ 正しい。 これは、平成20年 マンション管理士 試験 「問20」 選択肢4 でも出ている。早めにマンション管理士試験をチェックした人は、この管理業務主任者試験に正解ができたかも。
  建築基準法施行令128条 (敷地内の通路)
  「第百二十八条  敷地内には、第百二十三条第二項の
屋外に設ける避難階段及び第百二十五条第一項の出口から道又は公園、広場その他の空地に通ずる幅員が一・五メートル以上の通路を設けなければならない。」とあり、1.5m以上である。

答え:2 (またまた、細かなところからの出題だ。基本的に分かる人は少ない。2 とした人は運がいい。
これも該当の条文を探すのにすごい時間がかかった。選択肢2は、一級建築士の試験で出ていた。)

問19

【問 19】 建築物に作用する積載荷重及び外力に関する次の記述のうち、建築基準法によれば、誤っているものはどれか。

1 床の単位面積当たりの積載荷重は、構造計算の対象により異なり、その数値を大きい順に並べると、[床の構造計算をする場合]、[地震力を計算する場合]、[大ばり、柱又は基礎の構造計算をする場合]である。

X 誤っている。 平成25年 マンション管理士試験 「問42」 。
 前問に続き、知る分けないってところからの出題。解説者泣かせの問題。
  まず、建物には、風や雪、地震などの外からの力(ちから)がかり、また部屋の内部では家具や冷蔵庫などの積載荷重がかかることは分かる。
  これを受け、建築基準法第20条(構造耐力)
  「第二十条  建築物は、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める基準に適合するものでなければならない。」とあり、この政令として、積載荷重については、建築基準法施行令85条(積載荷重)
  「第八十五条  建築物の各部の積載荷重は、当該建築物の実況に応じて計算しなければならない。ただし、次の表に掲げる室の床の積載荷重については、それぞれ同表の(い)、(ろ)又は(は)の欄に定める数値に床面積を乗じて計算することができる。

構造計算の対象   (い)  (ろ)  (は)
 室の種類  床の構造計算をする場合
(単位 一平方メートルにつきニュートン)
大ばり、柱又は基礎の構造計算をする場合
(単位 一平方メートルにつきニュートン) 
地震力を計算する場合
(単位 一平方メートルにつきニュートン) 
 (一) 住宅の居室、住宅以外の建築物における寝室又は病室   一、八〇〇  一、三〇〇  六〇〇
 (二)  事務室  二、九〇〇  一、八〇〇  八〇〇
 (三)  教室  二、三〇〇  二、一〇〇  一、一〇〇
 (四)  百貨店又は店舗の売場  二、九〇〇  二、四〇〇  一、三〇〇
 (五)  劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これらに類する用途に供する建築物の客席又は集会室 固定席の場合 固定席の場合    二、九〇〇  二、六〇〇  一、六〇〇
その他の場合   三、五〇〇  三、二〇〇  二、一〇〇
 (六)  自動車車庫及び自動車通路  五、四〇〇  三、九〇〇  二、〇〇〇
 (七)  廊下、玄関又は階段 (三)から(五)までに掲げる室に連絡するものにあつては、(五)の「その他の場合」の数値による。 
 (八)  屋上広場又はバルコニー  (一)の数値による。ただし、学校又は百貨店の用途に供する建築物にあつては、(四)の数値による。

  とあり、この表によると、大き順に並べると、@床の構造計算をする場合 > A大ばり、柱又は基礎の構造計算をする場合 > B地震力を計算する場合 である。順序が誤っている。

2 積雪荷重は、[積雪の単位荷重]×[屋根の水平投影面積]×[その地方における垂直積雪量]として求めるが、積雪の単位荷重は積雪量1cmごとに20ニュートン/u以上としなければならない。なお、特定行政庁が規則で特段の定めをしていないものとする。

○ 正しい。今度は、積雪荷重の計算式である。これは、建築基準法施行令86条 (積雪荷重)
  「第八十六条  積雪荷重は、積雪の単位荷重に屋根の水平投影面積及びその地方における垂直積雪量を乗じて計算しなければならない。
   2  前項に規定する積雪の単位荷重は、積雪量一センチメートルごとに一平方メートルにつき二十ニュートン以上としなければならない。ただし、特定行政庁は、規則で、国土交通大臣が定める基準に基づいて多雪区域を指定し、その区域につきこれと異なる定めをすることができる。 」とある。

3 風圧力は、[速度圧]×[風力係数]として計算しなければならない。

○ 正しい。 風圧力の計算式は、建築基準法施行令87条1項 (風圧力)
  「第八十七条  風圧力は、速度圧に風力係数を乗じて計算しなければならない。」とある。

4 地上部分の地震力は、[当該部分の固定荷重と積載荷重の和]×[当該高さにおける地震層せん断力係数]として計算するが、特定行政庁が指定する多雪区域においては、固定荷重と積載荷重の和に更に積雪荷重を加えるものとする。

○ 正しい。 地上部分の地震力は、建築基準法施行令88条1項 (地震力)
  「第八十八条  建築物の地上部分の地震力については、当該建築物の各部分の高さに応じ、当該高さの部分が支える部分に作用する全体の地震力として計算するものとし、その数値は、当該部分の固定荷重と積載荷重との和(第八十六条第二項ただし書の規定により特定行政庁が指定する多雪区域においては、更に積雪荷重を加えるものとする。)に当該高さにおける地震層せん断力係数を乗じて計算しなければならない。(以下略)...」とある。

答え:1 (ここも、1と解答した人は、運がいい。こんなの普通のマンション管理士・管理業務主任者試験を受ける人は勉強していない。ここまで必要とされる資格か? 出題者の頭を疑う。)

問20

【問 20】 排水管及び通気管の管径に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 排水管の管径は、トラップの口径以上で、かつ30mm以上とし、地中又は地階の床下に埋設される排水管の管径は、50mm以上とする。

○ 適切である? 該当の規定が探せない。多分、建設省の告示だろうと思って、本屋やネットで探すが、適切な文章がない。
   平成17年 管理業務主任者 試験 「問23」 に似たようなのがあった。
   排水管の管径がトラップの口径よりも細いと詰まりの原因となる。また、管径は最小洗面器などで30mm以上とするのはどこかで読んだことがある。地中又は地階の床下に埋設される排水管の管径は、50mm以上とするのも適切だろう。(追記:川崎市の川崎市排水設備技術基準にある。)

  
  *根拠としては、「給排水設備技術基準」があるようだ。これは、ネットで探したが、ネット上ではみつからなかった。

2 排水管は、立て管・横管のいずれの場合でも、排水の流下方向の管径を縮小してはならない。

○ 適切である。 これは、常識で考えても、管の下側で狭くなれば、詰まるのは分かる。 

3 排水立て管は、どの階においても最下部の最も大きな排水負荷を負担する部分の管径と同一とする。

○ 適切である。 これも、階ごとに管径が変わると、物が詰まる原因となり易い。

4 伸頂通気管の管径は、排水立て管の管径より大きくしてはならない。

X 適切でない? 通気管の役目は、排水管内の空気が排水管の各所に自由に流通できるようにして、排水によって管内に圧力差を生じないようにするもので、伸頂通気管は、最上部の排水横管が排水立て管に接続した点よりも、さらに上方へその排水立て管を立ち上げ、これを通気管に使用する部分です。空気をとりいれるのだから、排水立て管の管径より大きくしても問題はなさそうである。専門的には、かなり高度な説明があるようですが、結論としては、「伸頂通気管の管径は、排水立て管の管径より小さくしないこと。」とあり、排水立て管の管径と同じかそれ以上とするそうです。そこで「大きくする」のは適切です。(2009年12月:服島様より)

答え:4 ? (根拠の分かる方は、連絡;https://plaza.rakuten.co.jp/honki4982/  ください。)  または、マンション管理士・管理業務主任者専用;http://tk4982.at.webry.info/ へ。
(社)高層住宅管理協会の正解:4

問21

【問 21】 避雷設備に関する次の記述のうち、建築基準法によれば、誤っているものはどれか。

1 建築面積の8分の1以内の階段室を除いた高さが20mを超える建築物には、原則として避雷設備を設けなければならない。

X 誤っている。 避雷設備は、過去もよく出題がある。 平成16年 管理業務主任者 試験 「問25」,、 平成18年 マンション管理士 試験 「問21」 選択肢4 など。
  避雷設備については、建築基準法第33条 (避雷設備)
  「第三十三条  高さ二十メートルをこえる建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない。ただし、周囲の状況によつて安全上支障がない場合においては、この限りでない。」とあり、単純に高さ20mを超える建築物で、建築面積は関係がない。避雷の主旨から考えれば、高さだけが絡む。

2 避雷設備の構造方法を規定する日本工業規格が2003年に改正され、それに伴い建設省告示も改正されたが、それ以前の1992年の日本工業規格に適合するものは、現在の国土交通省告示に適合するものとみなされる。

○ 適切である。 建築基準法施行令129条の15 (構造)
  「第百二十九条の十五  前条の避雷設備の構造は、次に掲げる基準に適合するものとしなければならない。
     一  雷撃によつて生ずる電流を建築物に被害を及ぼすことなく安全に地中に流すことができるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものであること。
     二  避雷設備の雨水等により腐食のおそれのある部分にあつては、腐食しにくい材料を用いるか、又は有効な腐食防止のための措置を講じたものであること。」とあり、
  平成12年建設省告示第1425号 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第129条の15第一号の規定に基づき、雷撃によって生ずる電流を建築物に被害を及ぼすことなく安全に地中に流すことができる避雷設備の構造方法を次のように定める。
  「雷撃によって生ずる電流を建築物に被害を及ぼすことなく安全に地中に流すことができる避雷設備の構造方法は、日本工業規格A4201(建築物等の避雷設備(避雷針))―1992に適合する構造とすることとする。」とあり、これが改正され、(平成17年国土交通省告示第650号)
  平成12年建設省告示第1425号(雷撃によって生ずる電流を建築物に被害を及ぼすことなく安全に地中に流すことができる避雷設備の構造方法を定める件)の一部を改正する件
  「建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百二十九条の十五第一号
の規定に基づき、雷撃によって生ずる電流を建築物に被害を及ぼすことなく安全に地中に流すことができる避雷設備の構造方法を次のように定める。
  「雷撃によって生ずる電流を建築物に被害を及ぼすことなく安全に地中に流すことができる避雷設備の構造方法は、日本工業規格 四二〇一(建築物等の雷保護)―二〇〇三に規定する外部雷保護システムに適合する構造とすることとする。」とあり、附則2に
  「2
改正後の平成十二年建設省告示第千四百二十五号の規定の適用については、日本工業規格 A 四二〇一(建築物等の避雷設備(避雷針))―一九九二に適合する構造の避雷設備は、日本工業規格 A 四二〇一(建築物等の雷保護)―二〇〇三に規定する外部雷保護システムに適合するものとみなす。」とあり、旧(JIS A 4201ー1992)での適合も、新(JIS A 4201−2003)の適合とみなされている。

3 建物の雷撃に対する保護レベルは、TからWに区分されている。

○ 適切である。 以前はなかった雷保護の効率として、保護レベルをTからWで分けている。ちなみに保護レベルTは保護効率98%で100回の落雷に対して98回は効果的に電撃を受け止める。保護レベルWは保護効率80%である。

4 定期的な検査を行うことを基本的条件として求めているが、その頻度については示されていない。

○ 適切である? 検査の項目として、建設中や雷保護システムの施工完了後には検査を行うとあるが、保守の項目で、雷保護システムの信頼性を保つためには、定期的な検査を行うことが基本的条件である。不備が確認された場合には遅滞なく修理を行わなければならない、とあるだけで、その頻度の明示はないようだ。

答え:1 (JISの内容まで踏み込むとは、適切な出題ではない。これも、根拠を探すのに、時間がかかる! 参考:マンション管理の知識 平成20年版 ページ747〜)

問22

【問 22】 建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法律第123号。以下同じ。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 床面積の合計が1,000u以上の共同住宅は、すべて特定建築物に含まれる。

X 誤っている。 建築物の耐震改修の促進に関する法律は平成18年に改正があり、出題は、平成14年 管理業務主任者 試験 「問24」 から途絶えていた。また、本年度の 「問28」 でもでている。平成23年 管理業務主任者試験 「問21」 にもある。
  特定建築物については、同法第6条 (特定建築物の所有者の努力)
  「第六条  次に掲げる建築物のうち、地震に対する安全性に係る建築基準法 又はこれに基づく命令若しくは条例の規定(第八条において「耐震関係規定」という。)に適合しない建築物で同法第三条第二項 の規定の適用を受けているもの(以下「特定建築物」という。)の所有者は、当該特定建築物について耐震診断を行い、必要に応じ、当該特定建築物について耐震改修を行うよう努めなければならない。
    一  学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、老人ホームその他多数の者が利用する建築物で政令で定めるものであって政令で定める規模以上のもの
    二  火薬類、石油類その他政令で定める危険物であって政令で定める数量以上のものの貯蔵場又は処理場の用途に供する建築物
    三  地震によって倒壊した場合においてその敷地に接する道路の通行を妨げ、多数の者の円滑な避難を困難とするおそれがあるものとして政令で定める建築物であって、その敷地が前条第三項第一号の規定により都道府県耐震改修促進計画に記載された道路に接するもの」とあり、これを受けた同施行令2条 (多数の者が利用する特定建築物の要件)
  「第二条  法第六条第一号 の政令で定める建築物は、次に掲げるものとする。
     一  ボーリング場、スケート場、水泳場その他これらに類する運動施設
     二  診療所
     三  映画館又は演芸場
     四  公会堂
     五  卸売市場又はマーケットその他の物品販売業を営む店舗
     六  ホテル又は旅館
     七  賃貸住宅(共同住宅に限る。)、寄宿舎又は下宿
     八  老人短期入所施設、保育所、福祉ホームその他これらに類するもの
     九  老人福祉センター、児童厚生施設、身体障害者福祉センターその他これらに類するもの
     十  博物館、美術館又は図書館
     十一  遊技場
     十二  公衆浴場
     十三  飲食店、キャバレー、料理店、ナイトクラブ、ダンスホールその他これらに類するもの
     十四  理髪店、質屋、貸衣装屋、銀行その他これらに類するサービス業を営む店舗
     十五  工場
     十六  車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場を構成する建築物で旅客の乗降又は待合いの用に供するもの
     十七  自動車車庫その他の自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設
     十八  保健所、税務署その他これらに類する公益上必要な建築物
   2  法第六条第一号 の政令で定める規模は、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるものとする。
     一  幼稚園又は保育所 階数が二で、かつ、床面積の合計が五百平方メートルのもの
     二  小学校、中学校、中等教育学校の前期課程若しくは特別支援学校(以下「小学校等」という。)、老人ホーム又は前項第八号若しくは第九号に掲げる建築物(保育所を除く。) 階数が二で、かつ、床面積の合計が千平方メートルのもの
     三  学校(幼稚園及び小学校等を除く。)、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所又は前項第一号から第七号まで若しくは第十号から第十八号までに掲げる建築物 階数が三で、かつ、床面積の合計が千平方メートルのもの
     四  体育館 床面積の合計が千平方メートルのもの」とあり、第2条1項7号で
賃貸の共同住宅は該当するが、分譲された共同住宅(マンション)は該当していない。

2 所管行政庁は、特定建築物の耐震診断及び耐震改修について必要な指導及び助言ができる。

○ 正しい。 同法第7条1項 (指導及び助言並びに指示等)
  「第七条  所管行政庁は、特定建築物の耐震診断及び耐震改修の適確な実施を確保するため必要があると認めるときは、特定建築物の所有者に対し、基本方針のうち第四条第二項第三号の技術上の指針となるべき事項を勘案して、特定建築物の耐震診断及び耐震改修について必要な指導及び助言をすることができる。 」とある。

3 耐震改修を行おうとした者が、耐震改修の計画の認定を申請できるのは、特定建築物に限られる。

X 誤っている。 特に特定建築物に限らずできる。同法第8条1項(計画の認定)
  「第八条  建築物の耐震改修をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、建築物の耐震改修の計画を作成し、所管行政庁の認定を申請することができる。」とあり、建築物の耐震改修の計画を作成して申請できる。特定建築物に限らない。

4 所管行政庁が、耐震改修の計画の認定をした場合でも、建築基準法に基づく建築確認を受ける必要がある。

X 誤っている。 ここは、平成22年 マンション管理士試験 「問42」 選択肢4 でも出ている。また、平成20年 管理業務主任者試験 「問28」 も参考に。
  通常、建築基準法第6条により「建築確認」が必要であるが、建築物の耐震改修の促進に関する法律第8条8項
  「8  第一項の申請に係る建築物の耐震改修の計画が建築基準法第六条第一項 の規定による確認又は同法第十八条第二項 の規定による通知を要するものである場合において、所管行政庁が計画の認定をしたときは、同法第六条第一項 又は第十八条第三項 の規定による確認済証の交付があったものとみなす。この場合において、所管行政庁は、その旨を建築主事に通知するものとする。」とあり、所管行政庁が計画の認定をしたときは、建築基準法での建築基準法確認済証の交付があったものとみなされる。建築基準法に基づく建築確認を受ける必要はない

答え:2 (ここは、建築物の耐震改修の促進に関する法律を知らなくても、2 を選ぶことはできたようだ。参考 :マンション管理の知識 平成20年版 ページ492〜)

問23

【問 23】 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)による移動等円滑化経路を構成するエレベーター及びその乗降ロビーに関する次の文中の( ア )から( ウ )の中に入る数値の組合せとして、最も適切なものはどれか。なお、国土交通大臣が定める特殊な構造又は使用形態のエレベーターは考慮しないものとする。

かご及び昇降路の出入口の幅は( ア )cm以上、かごの奥行きは( イ )cm以上、乗降ロビーの幅及び奥行きは( ウ )cm以上としなければならない。

  (ア)  (イ)   (ウ) 
 1   75 120  135 
 2  80 120  150 
 3  80 135  150 
 4  90 150  180 

*何と細かい部分からの出題だ。
  高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律はバリアフリー新法とも言われ平成18年に旧のハートビル法などから改正されたもの。
  旧法については、平成16年 マンション管理士 試験 「問41」 や 平成15年 管理業務主任者 試験 「問26」 でも出ている。また、平成21年管理業務主任者試験 「問44」 選択肢1 でも出ている。
  そろそろ出題されるとの予想はしていたが、このような形式で出題されるとは、難しい。
   エレベーター及びその乗降ロビーに関しては、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令18条2項5号
  「五  当該移動等円滑化経路を構成するエレベーター(次号に規定するものを除く。以下この号において同じ。)及びその乗降ロビーは、次に掲げるものであること。
     イ かご(人を乗せ昇降する部分をいう。以下この号において同じ。)は、利用居室、車いす使用者用便房又は車いす使用者用駐車施設がある階及び地上階に停止すること。
     ロ 
かご及び昇降路の出入口の幅は、八十センチメートル以上とすること
     ハ 
かごの奥行きは、百三十五センチメートル以上とすること。
     ニ 
乗降ロビーは、高低差がないものとし、その幅及び奥行きは、百五十センチメートル以上とすること。
     ホ かご内及び乗降ロビーには、車いす使用者が利用しやすい位置に制御装置を設けること。
     ヘ かご内に、かごが停止する予定の階及びかごの現在位置を表示する装置を設けること。
     ト 乗降ロビーに、到着するかごの昇降方向を表示する装置を設けること。
     チ 不特定かつ多数の者が利用する建築物(床面積の合計が二千平方メートル以上の建築物に限る。)の移動等円滑化経路を構成するエレベーターにあっては、イからハまで、ホ及びヘに定めるもののほか、次に掲げるものであること。
      (1) かごの幅は、百四十センチメートル以上とすること。
      (2) かごは、車いすの転回に支障がない構造とすること。
     リ 不特定かつ多数の者が利用し、又は主として視覚障害者が利用するエレベーター及び乗降ロビーにあっては、イからチまでに定めるもののほか、次に掲げるものであること。ただし、視覚障害者の利用上支障がないものとして国土交通大臣が定める場合は、この限りでない。
      (1) かご内に、かごが到着する階並びにかご及び昇降路の出入口の戸の閉鎖を音声により知らせる装置を設けること。
      (2) かご内及び乗降ロビーに設ける制御装置(車いす使用者が利用しやすい位置及びその他の位置に制御装置を設ける場合にあっては、当該その他の位置に設けるものに限る。)は、点字その他国土交通大臣が定める方法により視覚障害者が円滑に操作することができる構造とすること。
      (3) かご内又は乗降ロビーに、到着するかごの昇降方向を音声により知らせる装置を設けること。」とあり、
  (ア)かご及び昇降路の出入口の幅は、80cm以上
  (イ)かごの奥行きは、135cm以上
  (ウ)乗降ロビーは、高低差がないものとし、その幅及び奥行きは、150cm以上 で 「3」 となる。



答え:3  (これも、3 と解答できたら、運の強い人だ。 このような出題は適切でない例として適切だ。あんまり参考にならないけど、マンション管理の知識 平成20年版 ページ669〜)

問24

【問 24】 給湯に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1 湯によるやけどは、湯温と湯に接触する時間に関係し、接触時間を10秒とするとやけどをしない湯温の限界は70℃程度である。

X 適切でない? こんなの知らない。またやけどの湯温の限度を知ってどうするのか。
  でも、それでは解説にならないので、図書館で調べてみました。
  熱湯によるやけどは、湯の温度(湯温)と湯に接している時間が長いほど重症になるので前半は正しい。しかし、人間の皮膚は45℃以上の温度で熱傷になる。45℃の場合1時間、70℃の場合1秒で組織の破壊が始まる。70℃では10秒も持たない。

2 水に対する気体の溶解度は、水温が高くなるほど小さくなるため、水中に溶け込んでいた溶存気体は水を加熱するに従って分離する。

○ 適切だろう。 溶存気体とは液体中に溶解している気体で、水中に溶けている気体は、熱すれば分離するのは、化学の実験でもやったことがある。普通、液体を加熱したり減圧して溶存気体の溶解度を下げたり、超音波振動を与えて分子振動で溶存気体を追い出したりすることができる。 

3 サーモスタット式混合栓を用いる場合、混合栓での設定温度と混合栓に供給される湯温の差が小さいほど安定した出湯温度が得られる。

X 適切でない。 まず、サーモスタット式混合栓とは...自動温度調節機能付の水栓で温度表示目盛りにハンドルを合わせるだけで、希望の温度の湯が得られる湯水混合栓。湯温の変化に応じてエレメントが伸縮し、湯水のバルブを動かして湯と水の量を調節する(サーモスタット機能)ので、給水・給湯の圧力、及び温度が変化しても吐水温度はほとんど変化しない。混合栓での設定温度と混合栓に供給される湯温の差に影響されないのが特徴。

4 貯湯式給湯機の場合、水道用減圧弁を介して給湯機に給水すれば、出口側に逃がし弁(機体内の圧力を減圧する安全弁)の設置は不要である。

X 適切でない。 これは、平成17年 管理業務主任者 試験 「問25」 選択肢2 からの出題。
  まず、貯湯式給湯機の仕組み。貯湯タンクにいったん水を溜めてから、ゆっくり加熱して沸かしあげます。電気温水器のほとんどが、このタイプですが、タンクのお湯がなくなる湯切れやお湯があまる湯余りなどが発生します。そして、水道用減圧弁は、水道から給水するとき、水圧を一定の圧力に保持し貯湯式給湯機への過剰給水圧力を防止し、安全を保つために取り付けられており、圧力調整機構,逆止め機構,負圧作動機構,ストレーナを内蔵するものがある。さらに、出口側では、熱膨張による圧力の逃しや減圧弁二次側の逃し弁が必要である。

答え:2 (難問というか、ヤケドの温度はマンション管理士や管理業務主任者にとって必要な知識か。実に不適切な出題である。)

問25

【問 25】 平成5年に(財)日本昇降機安全センター(現(財)日本建築設備・昇降機センター)が策定した「昇降機の維持及び運行の管理に関する指針」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 昇降機の所有者又は管理者は、昇降機の運行に関して十分な知識を有する運行管理者を原則として建物ごとに選任するものとしている。

○ 適切である。 昇降機(エレベーター)についての出題は多い。 平成15年 管理業務主任者 試験 「問20」 、平成14年 管理業務主任者 試験 「問18」 など。
  まず、建築基準法では、昇降機の運行・管理についての規定がなく、団体が決めた物を利用していることに注意。しかし、シンドラー社等のエレベーター事故が多発しているので、なんでも決めたがる国土交通省が規制をかけようと、現在動いている。
  「昇降機の維持及び運行の管理に関する指針」なんてものは、読む機会もないでしょうからこの際、全文を載せます。今後の参考にしてください。

昇降機の維持及び運行の管理に関する指針

第1 目的
 この指針は、建築基準法(以下「法」という。)第8条による昇降機の維持及び運行の管理に関して必要な事項を定め、昇降機の安全を確保することを目的とする
第2 用語の定義
 この指針において、用語の定義は、次のとおりとする。
   一 所有者等 昇降機の所有者又は管理者をいう。
   二 運行管理者 直接、昇降機の運行業務を管理する者をいう。
   三 運行管理者等 運行管理者、運転者その他昇降機の運行又は管理に係る業務に従事する者をいう。
   四 専門技術者 昇降機の保守・点検を専門に行う者をいう。
   五 運転者 直接、昇降機を運転する者をいう。
第3 運行管理者の選任
 
所有者等は、昇降機の運行を直接管理させるために、昇降機の運行に関して十分な知識を有する運行管理者を原則として建物ごとに選任するものとする。ただし、昇降機の用途、構造及び設置台数その他の状況により管理上支障がない場合は、複数の建物に1人とすることができる。
第4 運転者の選任
 所有者等は、昇降機の運行に当たり、操作方式その他構造上運転者を必要とする場合又は昇降機の用途及び利用者の利用状況その他の理由により専任の運転者が必要と判断される場合は、運行管理者の意見を聞いて、次の要件を満す者を迎転者として選任するものとする。
   一 満18才以上の者
   二 昇降機の運転について必要な知識を有する者
第5 運行管理者等の教育
 所有者等は、運行管理者等に対して、当該業務の遂行上必要な、次の教育を行うものとする。
   一 昇降機に関する一般知識
   二 昇降機に関する法令等の知識
   三 昇降機の運行及び取扱いに関する知識
   四 火災発生時又は地震発生時に講ずべき措置
   五 故障時又は停電時に講ずべき措置
   六 人身事故発生時に講ずべき応急措置
   七 その他昇降機の安全な運行に必要な事項
第6 運行管理規程の作成及び遵守
 所有者等は、運行管理者等が運行の安全確保のために守るべき、次の事項について、運行管理規程を定め遵守するものとする。
   一 日常の運行管理に関する事項
   二 運行管理日誌の作成及び保存に関する事項
   三 定期点検・整備及び修理に関する事項
   四 法第12条第2項の規定に基づく定期検査に関する事項
   五 事故・故障発生時の措置及び報告に関する事項
   六 教育に関する事項
第7 救急体制
 所有者等は、昇降機に係る人身事故が発生した場合、これに適切に対処するため、あらかじめ次の措置を講じ、運行管理者等に熟知させる必要がある。
   一 医薬品、担架、梯子等の救急用具を常備し、定置場所を明示すること。
   二 救急のための医療機関との連携方法を定めること。
   三 専門技術者への連絡方法を定めること。
第8 人身事故発生時の措置
 1  所有者等は、昇降機に係る人身事故等が発生したときは、速やかに次の措置を講じる必要がある。
   一 応急手当等必要な措置
   二 消防署及び医療機関への連絡
   三 被害者の家族への連絡
   四 専門技術者への連絡
   五 特定行政庁その他関係官公署への連絡
 2  所有者等は、前項の事故が発生した場合においては、次のとおり特定行政庁に別記様式により報告するものとする。
   一
昇降機事故速報 事故が発生した時から24時間以内
   二 昇降機事故詳報 事故処理が解決した日から起算して7日以内
第9 定期検査及び報告
 1 法第12条第2項の規定に基づき指定された昇降機の所有者等は、1年に1回以上、定期に、 建設大臣の定める資格を有する者(以下「昇降機検査資格者」という。) 等に当該昇降機の検査を行わせ、その結果を、昇降機定期検査報告書に作成し、 昇降機に関する地域法人等を経由して特定行政庁に報告するものとする。
 2  所有者等は、前項の昇降機定期検査報告書の写しを3年以上保存するものとする。
第10 定期検査報告済証の掲示
 所有者等は、昇降機ごとに、第9の定期検査の報告を証明する「定期検査報告済証」を、エレベーターにあっては、かご内の見やすい位置に、 エスカレーター又は小荷物専用昇降機にあっては、見やすい適切な位置に掲示するものとする。
第11 標識の掲示等
 所有者等は、昇降機ごとの見やすい適切な位置に、必要な次の標識の掲示等を行うものとする。
  一  一般エレベーター
    (イ) 用途、積載荷重、定員及び禁煙
    (ロ) 利用方法及び非常連絡装置の使用方法
    (ハ) 荷物専用のものにあっては、荷扱い者以外の人の搭乗禁止
  二  非常用エレベーター
    (イ) 用途(非常用)、積載荷重、定員及び禁煙
    (ロ) 利用方法及び非常連絡装置の使用方法
    (ハ) 避難階における避難経路その他必要な事項
  三  エスカレーター
    (イ) 正しい乗り方
    (ロ) 必要に応じ、利用者に注意を促す放送等
  四  小荷物専用昇降機
    (イ) 人の搭乗禁止
    (ロ) 積載荷重
第12 定期点検・整備等
  一
 所有者等は、昇降機の維持及び運行の安全を確保するため、使用頻度等に応じて専門技術者に、おおむね1月以内ごとに、点検その他必要な整備又は補修を行わせるものとする
  二  所有者等は、前項の点検等を行った場合は、その記録を3年以上保存すること。
第13 防火管理
 所有者等は、危険物の規制に関する政令等に準拠し、油圧エレベーターに関し防火管理上必要な事項を定めるとともに防火管理の万全を期すものとする。
  一 所有者等は、昇降機の維持及び運行の安全を確保するため、使用頻度等に応じて専門技術者に、おおむね1月以内ごとに、点検その他必要な整備又は補修を行わせるものとする。
  二 所有者等は、前項の点検等を行った場合は、その記録を3年以上保存すること。
第14 巡回管理
  一 運行管理者は、昇降機の運行中随時巡回し、運行に支障が無いことを確認するものとする。
  二
運行管理者は、前項において昇降機の運行に支障があると認めたときは、直ちに運行を中止して所有者等に報告し、専門技術者に整備させるものとする。
第15 災害発生時又は停電時の措置
 運行管理者は、災害発生時又は停電時には、次の措置を講じるものとする。
  一 地震又は火災が発生したときは、直ちにかご内の人を誘導避難させ、その後電源を切り、運行を中止すること。ただし、非常用エレベーターで非常用として使用する場合はこの限りでない。
  二 前号により運行を中止した昇降機については、専門技術者に連絡し運行再開前に点検及び試運転を行うこと。
  三 運行管理者は、利用者がエレベーターのかご内に閉じ込められたときは、かごを移動することなく戸を開くことにより、安全に救出できる場合を除き、専門技術者に救出させること。ただし、火災等の緊急時はこの限りでない。
第16 鍵等の管理
  一 運行管理者は、昇降機の機械室、操作盤等の鍵及び乗場の戸の非常解錠用鍵を関係者以外の者に使用又は管理させないこと。
  二 前項の鍵の他、モーターハンドル、ブレーキ開放レバー等の非常用器具は、保管場所を定めて厳重に保管し、非常時の使用に支障のないようにすること。
第17 運転者の心得
 運転者は、昇降機の運転をする場合においては、運行管理規程を遵守するものとする。」 とあり、
  第3 運行管理者の選任
 所有者等は、昇降機の運行を直接管理させるために、昇降機の運行に関して十分な知識を有する運行管理者を原則として建物ごとに選任するものとする。ただし、昇降機の用途、構造及び設置台数その他の状況により管理上支障がない場合は、複数の建物に1人とすることができる。」
  第3により、適切である。

2 昇降機の所有者又は管理者は、昇降機に係る人身事故等が発生した場合には、事故が発生した時から24時間以内に、特定行政庁に所定の様式による昇降機事故速報を提出するものとしている。

○ 適切である。 人身事故等の場合は、第8 2 一 に、「 昇降機事故速報 事故が発生した時から24時間以内」を提出とある。

3 昇降機の所有者又は管理者は、建築基準法第12条第3項に基づく定期検査に加え、使用頻度に応じて専門技術者に、おおむね3月以内ごとに、点検その他必要な整備又は補修を行わせ、その記録を2年以上保存することとしている。

X 適切でない。  第12 定期点検・整備等
  一  所有者等は、昇降機の維持及び運行の安全を確保するため、使用頻度等に応じて専門技術者に、おおむね1月以内ごとに、点検その他必要な整備又は補修を行わせるものとする。
  二  所有者等は、前項の点検等を行った場合は、その記録を3年以上保存すること。」とあり、おおむね1ヶ月以内ごとの点検などを行い、記録は3年間保存である。点検は3ヶ月以内ではなく、記録の保存も2年以上ではない。

4 運行管理者は、昇降機の運行中随時巡回し、昇降機の運行に支障があると認めたときは、直ちに運行を中止して昇降機の所有者又は管理者に報告し、専門技術者に整備させるものとしている。

○ 適切である。  第14 巡回管理
  一 運行管理者は、昇降機の運行中随時巡回し、運行に支障が無いことを確認するものとする。
  二 運行管理者は、前項において昇降機の運行に支障があると認めたときは、直ちに運行を中止して所有者等に報告し、専門技術者に整備させるものとする。」とある。まあ、当然の処置ですけど。

答え:3 (ここは、過去問題をやっていれば、なんとなく正解は、定期検査の月数とはわかる。)

ここまで、問25


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最終更新日:
2024年 9月 9日:「問16」仕訳に追記。
2014年10月30日:「問7」選択肢イに追記した。
2012年 5月11日:正解肢をピンク・太字で統一。「問12」及び「問14」に平成23年7月の標準管理規約の改正入。
2011年 6月16日「問16」に追記。
2011年 2月10日:「問23」バリアフリー新法のエレベーター図入。
2011年 2月 9日:標準管理委託契約書の改正を入。「問7」、「問8」、「問9」、「問13」
2009年12月6日

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