平成26年 管理業務主任者 試験問題 及び 解説
ページ2(問26より問50まで)
*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。
→ 2017年 4月11日:平成28年3月改正の標準管理規約に対応した。
また、マンションの管理の適正化に関する指針も、平成28年3月に改正があり、解説においては、未対応ですから、注意してください。
次の注意事項をよく読んでから、始めてください。
(注意)
1 これは試験問題です。問題は、1ページから34ページまで50問です。
2 試験の開始の合図と同時に、問題のページ数を確認してください。もし落丁や乱丁があった場合は、ただちに試験監督員に申し出てください。
3 解答は、別紙の解答用紙に記入してください。
4 正解は、各問題とも1つだけです。複数の解答をしたもの、判読が困難なものは、正解としません。
解答は、解答用紙の注意事項をよく読み、所定の要領で記入してください。
5 問題中の法令等に関する部分は、平成26年4月1日現在で施行されている規定に基づいて出題されています。
※ マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。
【問 26】 排水管の洗浄方法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 |
問27 |
【問 27】 国土交通省による「長期修繕計画作成ガイドライン」(平成20年6月17日公表)に示されている「長期修繕計画の作成の考え方」及び「修繕積立金の額の設定の考え方」の内容として、最も不適切なものはどれか。
1 推定修繕工事は、建物及び設備の性能・機能を工事時点における新築物件と同等の水準に維持、回復する修繕工事を基本とする。
○ 適切である。 平成26年マンション管理士試験 「問38」 、平成23年マンション管理士試験 「問38」、平成21年マンション管理士試験 「問36」。 推定修繕工事とは、長期修繕計画作成ガイドライン の 「定義 十三 推定修繕工事 長期修繕計画において、 計画期間内に見込まれる修繕工事 (補修工事 (経常的に行う補修工事を除く。) を含む。 以下同じ。) 及び改修工事をいいます。」 とあり、 具体的には、 「第2章 長期修繕計画の作成の基本的な考え方 第ー節 長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の目的等 2 基本的な考え方 二 長期修繕計画の作成の前提条件 長期修繕計画の作成に当たっては、 次に掲げる事項を前提条件と します。 ①推定修繕工事は、 建物及び設備の性能 ・ 機能を新築時と同等水準に維持、 回復させる修繕工事を基本とする。」 とあり、 適切です。 2 推定修繕工事費用には、長期修繕計画の見直しの費用は含まない。 X 適切でない。見直し費用は入っている。 推定修繕工事費用とは、推定修繕工事に要する概算の費用です。(長期修繕計画作成ガイドライン 4 用語の定義参照) 長期修繕計画作成ガイドライン の (様式第3-1号)長期修繕計画の作成・修繕積立金の額の設定の考え方 1長期修繕計画の作成の考え方 (2)計画の前提等 したがって、長期修繕計画は次に掲げる事項のとおり、 将来実施する計画修繕工事の内容、 時期、 費用等を確定するものではありません。 また、 一定期間ごとに見直していくことを前提としています。」 とあり、 (4)推定修繕工事項目の設定 {新築マンションの場合} ・長期修繕計画の見直し、大規模修繕工事のための調査・診断、修繕設計及び工事監督の費用を含んでいます。」 とあり、 推定修繕工事費用には、長期修繕計画の見直しの費用が含まれますから、適切ではありません。 3 現場管理費及び一般管理費は、見込まれる推定修繕工事ごとの総額に応じた比率の額を単価に含める。 ○ 適切である。 長期修繕計画作成ガイドライン 第3章 長期修繕計画の作成の方法 第1節 長期修繕計画の作成の方法 8 推定修繕工事費の算定 二 単価の設定の考え方 なお、現場管理費及び一般管理費は、見込まれる推定修繕工事ごとの総額に応じた比率の額を単価に含めて設定します。」 とあり、 適切です。 4 修繕積立金の積立ては、長期修繕計画の作成時点において、計画期間に積み立てる修繕積立金の額を均等にする積立方式を基本とする。 ○ 適切である。 長期修繕計画作成ガイドライン 第3章 長期修繕計画の作成の方法 第2節 修繕積立金の額の積立方式 1 修繕積立金の額の積立方式 修繕積立金の積立ては、長期修繕計画の作成時点において、計画期間に積み立てる修繕積立金の額を均等にする積立方式(以下均等積立方式という。)を基本とします。」 とあり、 適切です。 答え:2 こんな常識みたいな「長期修繕計画作成ガイドライン」では、根拠を探す方が時間がかかる。 過去は、マンション管理士試験での出題がメインだったが、管理業務主任者試験でもでるようになった。それで、資格校では、正解が分かれたのかな? 《タグ》長期修繕計画作成ガイドライン。推定修繕工事、均等積立方式。 |
問28 |
【問 28】 建築用板ガラスに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1 合わせガラスは、2枚のガラスをスペーサーで一定の間隔に保ち、その周囲を封着材で密閉し、内部に乾燥空気を満たしたガラスである。
X 適切でない。 内部に乾燥空気を満たしたのは、複層ガラス。 ガラスは過去問題ある。 平成21年マンション管理士試験 「問24」。 合わせガラス(あわせガラス、英語:laminated glass)とは、複数の板ガラスの間に樹脂などの中間膜を挟み、接着したガラスのこと。 対貫通性・耐衝撃性に優れ、また割れた際の飛散も起きにくいため、自動車のフロントガラスや路線バスの前面行先表示器ガラス、情報機器のモニター用ガラス、防犯ガラスとして用いられる。 合わせガラスとは、その名のとおりガラスをくっつけて作られたガラスです。2枚以上のガラスを強靭な樹脂膜で接着して一体化します。樹脂膜の力で、割れてもガラスの破片が飛び散りません。一般的なガラスよりも安全性能が格段に向上しています。 そこで、設問は、適切ではありません。 なお、この設問内容は、選択肢3の複層ガラスのことで、選択肢3の設問内容は、この選択肢1の合わせガラスの説明で、逆になっています。 2 強化ガラスは、ガラスを加熱したのち、急冷して、耐風圧強度を高めたガラスである。 ○ 適切である。 強化ガラス(きょうかガラス、英語:toughened glass)とは、一般的なフロート板ガラスに比べ3~5倍程度の強度を持つガラスである。 破損しても粒状になり比較的安全なため、車両や学校などで利用されているが、防犯性能は低い。 通常のガラスは、高い弾性率、剛性率をもちながら透明で有用な素材であるが、脆いため衝撃を受けると割れてしまうという致命的な欠点が存在する。 そこで、ガラスが容易に割れないようにするために、表面を圧縮して破壊に対する抵抗性を高める方法が考案され、強化ガラスになった。 その強化ガラスの製法は、板ガラスを約700度まで加熱した後、ガラス表面に空気を吹きつけ、均一に急冷し、表面に圧縮層を持たせますので、適切です。 3 複層ガラスは、2枚以上のガラスを特殊な合成樹脂フィルムで接着したガラスである。 X 適切でない。 この説明は、合わせガラス。 複層ガラス(ふくそうガラス)とは、スペーサーと呼ばれる金属部材で、2枚のガラスの間に中空層を持たせたガラスです。2枚の板ガラスの間に乾燥空気やアルゴンガス等が封入された(または真空状態にした)中間層を設ける形になっています。 空気は熱の逃げ道を防ぐのに効果的で、複層ガラスもダウンジャケットと同様に中空層の中にある空気によって断熱しています。中空層は通常6mmと12mmの厚さがあり、12mmのほうが断熱性能に優れていますが、それ以上の厚さになると空気の対流が生じるため断熱性能は変わらなくなります。また、遮熱の性能値は中空層の厚さの違いによる差はほとんどありません。 ということで、設問は適切ではありません。この設問の内容は、選択肢1の合わせガラスのことで、選択肢1と選択肢3の設問内容は、逆になっています。 4 フロート板ガラスは、熱の通しやすさに関しては複層ガラスと同等である。 X 適切でない。 複層ガラスと同等ではない。 フロートガラス (float glass) は、金属を融解した上に融解したガラスを薄く浮かべることで製造した板状のガラスです。 厚さが均一で表面が極めて平坦なガラスを製造することができ、窓ガラスの多くはフロートガラスです。 また、板ガラスとは文字通り板状のガラスで、一般的に厚みの大きなガラスに総称されます。 フロート板ガラスは、熱の通しやすさに関しては、選択肢3で説明しました、断熱効果が大きい複層ガラスと異なっていますから、適切ではありません。 答え:2 このあたりとなると、新しい分野からの出題でかなり難しい。 {ある受験者の感想…選択肢1から4までまったく知らなかった。なんとなく2か3かとは思ったが、3にして間違えた} 《タグ》板ガラス。 合わせガラス、強化ガラス、層ガラス、フロート板ガラス。 |
*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
【問 29】 修繕積立金に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約によれば、不適切なものはいくつあるか。 ア 積み立てた修繕積立金がかなり潤沢になったので、総会の決議により、その一部を取り崩して各区分所有者に配分した。
X 適切でない。 余っても各区分所有者に配分するまでは認めていない。 平成25年管理業務主任者試験 「問13」、平成25年マンション管理士試験 「問26」、 平成24年管理業務主任者試験 「問13」。 あくまでも、国土交通省の役人が作成した、ガイドラインである標準管理規約上での話ですが、標準管理規約では、設問のような、「積み立てた修繕積立金がかなり潤沢になったので、総会の決議により、その一部を取り崩して各区分所有者に配分した」ような内容を規定するものはありません。 参考になるのは、標準管理規約60条5項 「(管理費等の徴収) 第60条 管理組合は、第25条に定める管理費等及び第29条に定める使用料について、組合員が各自開設する預金口座から自動振替の方法により第62条に定める口座に受け入れることとし、当月分は前月の○日まで一括して徴収する。ただし、臨時に要する費用として特別に徴収する場合には、別に定めるところによる。 2 組合員が前項の期日までに納付すべき金額を納付しない場合には、管理組合は、その未払金額について、年利○%の遅延損害金と、違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に対して請求することができる。 3 理事長は、未納の管理費等及び使用料の請求に関して、理事会の決議により、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる。 4 第2項に基づき請求した遅延損害金、弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用に相当する収納金は、第27条に定める費用に充当する。 5 組合員は、納付した管理費等及び使用料について、その返還請求又は分割請求をすることができない。」 の 5項「組合員は、納付した管理費等及び使用料について、その返還請求又は分割請求をすることができない」の規定です。 ここでの管理費等には、管理費と修繕積立金が入っています。 そこで修繕積立金の性格を考えて見ましょう。修繕積立金は、将来における修繕や不測の事故などで必要な修繕等のために積み立てているものです。(標準管理規約28条参照) そのような将来に必要な費用を今、潤沢になったからといって、区分所有者に配分すると、将来起こる不測の事態に対応できなくなりますから、不適切です。 修繕積立金や管理費が充分にあるなら、金額を総会で減額して対応してください。 それでも、総会で、しかも、区分所有者及び議決権総数の4/5以上の大多数で、可決されたらどうしますか? *標準管理規約 60条は、平成28年3月の標準管理規約の改正で追加等があったが、5項(新6項へ)は変更がありません。 イ 大規模修繕工事を間近に控えて、積み立てた修繕積立金が不足することがわかったので、総会の決議により、毎月徴収する修繕積立金月額を、各区分所有者の共用部分の共有持分にかかわらず、各戸同額の値上げを行った。 X 適切でない。 各戸同額ではなく、共用部分の共有持分に応じて算出する。 まず、管理費や修繕積立金が不足すれば、金額を上げることはできます。それは、標準管理規約61条 「(管理費等の過不足) 第61条 収支決算の結果、管理費に余剰を生じた場合には、その余剰は翌年度における管理費に充当する。 2 管理費等に不足を生じた場合には、管理組合は組合員に対して第25条第2項に定める管理費等の負担割合により、その都度必要な金額の負担を求めることができる。」 とあり、 2項に該当します。 そして、その管理費や修繕積立金の基本となっているのは、標準管理規約25条、 「(管理費等) 第25条 区分所有者は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、次の費用(以下「管理費等」という。)を管理組合に納入しなければならない。 一 管理費 二 修繕積立金 2 管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとする。」 とあり、 2項によれば、「各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するもの」 ですから、「各区分所有者の共用部分の共有持分にかかわらず、各戸同額の値上げを行った」は適切ではありません。 しかし、各区分所有者の共用部分の共有持分がほぼ同じ時には、どうしますか? *標準管理規約 61条は、平成28年3月の標準管理規約の改正で変更がありません。 ウ 給水管取替え工事につき、総会の決議により、専有部分に係る工事費用を、積み立てた修繕積立金を取り崩して支払った。 X 適切でない。 専有部分の工事費は、各区分所有者の負担。 給水管取替え工事の詳細が分かりませんが、これは、修繕積立金から取り崩せる内容とするのでしょう。 それは、標準管理規約28条 「(修繕積立金) 第28条 管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。 一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕 二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕 三 敷地及び共用部分等の変更 四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査 五 その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理 2 前項にかかわらず、区分所有法第62条第1項の建替え決議(以下「建替え決議」という。)又は建替えに関する区分所有者全員の合意の後であっても、マンションの建替えの円滑化等に関する法律(以下本項において「円滑化法」という。)第9条のマンション建替組合(以下「建替組合」 という。)の設立の認可又は円滑化法第45条のマンション建替事業の認可までの間において、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場 合には、その経費に充当するため、管理組合は、修繕積立金から管理組合 の消滅時に建替え不参加者に帰属する修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、修繕積立金を取り崩すことができる。 3 管理組合は、第1項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、修繕積立金をもってその償還に充てることができる。 4 修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならない。」 とあります。 そこで、工事費の負担ですが、標準管理規約21条のコメント⑤ 「⑤ 配管の清掃等に要する貹用については、第27条第三号の「共用設備の保守維持貹」として管理貹を充当することが可能であるが、配管の取替え等に要する費用のうち専有部分に係るものについては、各区分所有者が実費に応じて負担すべきものである。」 によれば、配管の取り換えで、専有部分に係るものは、各区分所有者が実費で支払うことになっていますから、適切ではありません。 しかし、総会で、専有部分の費用も、修繕積立金から取り崩すと決議されたら、どうしますか? *標準管理規約 28条は、平成28年3月の標準管理規約の改正で追加等があったが、21条のコメント⑤(新⑧)は変更がありません。 エ 駐車場使用料につき、駐車場の管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てた。 ○ 適切である。 余った駐車場使用料の行方は、 標準管理規約29条 「(使用料) 第29条 駐車場使用料その他の敷地及び共用部分等に係る使用料(以下「使用料」という。)は、それらの管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てる。」 とあり、 適切です。 *標準管理規約 29条は、平成28年3月の標準管理規約の改正では変更がありません。 1 一つ 2 二つ 3 三つ 4 四つ 答え:3 適切でないものは、ア、イ、ウ の3つ。 《タグ》標準管理規約。 修繕積立金の取り崩し、 修繕積立金の不足、駐車場使用料。 |
問30 |
*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
【問 30】 共用部分の工事に関する次の記述のうち、区分所有法及びマンション標準管理規約によれば、総会の普通決議でできないものはどれか。 1 バリアフリー工事に関し、建物の基本的構造部分を取り壊す等の加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事 ○ 総会の普通決議でできる。 過去多数あり。 平成26年マンション管理士試験 「問5」、 平成25年管理業務主任者試験 「問38」、平成24年マンション管理士試験 「問25」 など。 まず、設問の総会の普通決議がどのような定足数なのか定義されていないのが気になりますが、共用部分の工事となると、区分所有法第17条 「(共用部分の変更) 第十七条 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。 2 前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。」 の規定があります。 この区分所有法第17条の規定を受けた、標準管理規約47条 「(総会の会議及び議事) 第47条 総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。 2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。 3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。 一 規約の制定、変更又は廃止 二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。) 三 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起 四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧 五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項 4 建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行う。 〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕 (ア)電磁的方法が利用可能ではない場合 5 前4項の場合において、書面又は代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす。 (イ)電磁的方法が利用可能な場合 5 前4項の場合において、書面、電磁的方法又は代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす。 6 第3項第一号において、規約の制定、変更又は廃止が一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。 7 第3項第二号において、敷地及び共用部分等の変更が、専有部分又は専用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分を所有する組合員又はその専用使用部分の専用使用を認められている組合員の承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。 8 第3項第三号に掲げる事項の決議を行うには、あらかじめ当該組合員又は占有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。 9 総会においては、第43条第1項によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができる。」 とあり、 2項でいう「総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する」が、総会の「普通決議」と考えていいでしょう。 設問で該当していますのが、3項2号の「敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)」にどの工事が該当するかの判断です。 そこで、1つの判断資料として、コメント第47条関係⑤があります。 「⑤ このような規定の下で、各工事に必要な総会の決議に関しては、例えば次のように考えられる。ただし、基本的には各工事の具体的内容に基づく個別の判断によることとなる。 ア)バリアフリー化の工事に関し、建物の基本的構造部分を取り壊す等の加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事は普通決議により、階段室部分を改造したり、建物の外壁に新たに外付けしたりして、エレベーターを新たに設置する工事は特別多数決議により実施可能と考えられる。 イ)耐震改修工事に関し、柱やはりに炭素繊維シートや鉄板を巻き付けて補修する工事や、構造躯体に壁や筋かいなどの耐震部材を設置する工事で基本的構造部分への加工が小さいものは普通決議により実施可能と考えられる。 ウ)防犯化工事に関し、オートロック設備を設置する際、配線を、空き管路内に通したり、建物の外周に敷設したりするなど共用部分の加工の程度が小さい場合の工事や、防犯カメラ、防犯灯の設置工事は普通決議により、実施可能と考えられる。 エ)IT化工事に関し、光ファイバー・ケーブルの敷設工事を実施する場合、その工事が既存のパイプスペースを利用するなど共用部分の形状に変更を加えることなく実施できる場合や、新たに光ファイバー・ケーブルを通すために、外壁、耐力壁等に工事を加え、その形状を変更するような場合でも、建物の躯体部分に相当程度の加工を要するものではなく、外観を見苦しくない状態に復元するのであれば、普通決議により実施可能と考えられる。 オ)計画修繕工事に関し、鉄部塗装工事、外壁補修工事、屋上等防水工事、給水管更生・更新工事、照明設備、共聴設備、消防用設備、エレベーター設備の更新工事は普通決議で実施可能と考えられる。 カ)その他、集会室、駐車場、駐輪場の増改築工事などで、大規模なものや著しい加工を伴うものは特別多数決議により、窓枠、窓ガラス、玄関扉等の一斉交換工事、既に不要となったダストボックスや高置水槽等の撤去工事は普通決議により、実施可能と考えられる。」 このコメントによれば、設問の「バリアフリー工事に関し、建物の基本的構造部分を取り壊す等の加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事」は、ア) に該当し、「普通決議」で可能です。 *標準管理規約 47条は、平成28年3月の標準管理規約の改正で、追加があり、コメントも追加がありましたが、⑤は変更がありません。 2 耐震性が不足するため、柱やはりに炭素繊維シートや鉄板を巻き付けて補修する工事 ○ 総会の普通決議でできる。 選択肢1で引用しました、コメント第47条関係⑤によれば、設問は、 イ)耐震改修工事に関し、柱やはりに炭素繊維シートや鉄板を巻き付けて補修する工事や、構造躯体に壁や筋かいなどの耐震部材を設置する工事で基本的構造部分への加工が小さいものは普通決議により実施可能と考えられる。」 に該当し、普通決議で可能です。 3 IT化工事に関し、既存のパイプスペースを利用して光ファイバー・ケーブルを敷設する工事 ○ 総会の普通決議でできる。 選択肢1で引用しました、コメント第47条関係⑤によれば、設問は、 エ)IT化工事に関し、光ファイバー・ケーブルの敷設工事を実施する場合、その工事が既存のパイプスペースを利用するなど共用部分の形状に変更を加えることなく実施できる場合や、新たに光ファイバー・ケーブルを通すために、外壁、耐力壁等に工事を加え、その形状を変更するような場合でも、建物の躯体部分に相当程度の加工を要するものではなく、外観を見苦しくない状態に復元するのであれば、普通決議により実施可能と考えられる。」 に該当し、普通決議で可能です。 4 太陽光発電のため、屋上全面に太陽光パネルを設置する工事 X 総会の普通決議でできない。 特別多数決議が必要。 太陽光発電のため、屋上全面に太陽光パネルを設置する工事となると、この工事は、共用部分である屋上全面の”その形状又は効用の著しい変更”をもたらしますから、普通決議ではできず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上の決議を必要とします。 答え:4 過去からよく出題されている個所です。 易しい。 《タグ》共用部分の変更行為、普通決議、特別多数決議。 標準管理規約 + 区分所有法 |
問31 |
【問 31】 期間に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 集会(建替え決議を会議の目的とするものを除く。)の招集通知は、会日の少なくとも1週間前に会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならないが、この期間は、規約により伸長も短縮もできる。 ○ 正しい。 通常の集会の招集通知なら、規約で伸ばしたり短縮ができる。 平成26年マンション管理士試験 「問30」、 平成24年管理業務主任者試験 「問36」、 平成24年マンション管理士試験 「問25」 など多い。 集会の招集通知は、区分所有法第35条 「(招集の通知) 第三十五条 集会の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる。 2 専有部分が数人の共有に属するときは、前項の通知は、第四十条の規定により定められた議決権を行使すべき者(その者がないときは、共有者の一人)にすれば足りる。 3 第一項の通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に、これを通知しなかつたときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。この場合には、同項の通知は、通常それが到達すべき時に到達したものとみなす。 4 建物内に住所を有する区分所有者又は前項の通知を受けるべき場所を通知しない区分所有者に対する第一項の通知は、規約に特別の定めがあるときは、建物内の見やすい場所に掲示してすることができる。この場合には、同項の通知は、その掲示をした時に到達したものとみなす。 5 第一項の通知をする場合において、会議の目的たる事項が第十七条第一項、第三十一条第一項、第六十一条第五項、第六十二条第一項、第六十八条第一項又は第六十九条第七項に規定する決議事項であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。 」 とあり、 1項によれば、原則:会日よりも少なくても1週間前にするのですが、規約で伸縮(プラス、マイナス)もできますので、正しい。 2 区分所有法第59条に基づく競売の申立ては、その判決が確定した日から6月を経過したときは、することができず、この期間は、規約により伸長することができない。 ○ 正しい。 規約で伸ばせない。 この区分所有法第59条からの出題は珍しい。 平成26年マンション管理士試験 [問5」。 設問は、区分所有法第59条 「(区分所有権の競売の請求) 第五十九条 第五十七条第一項に規定する場合において、第六条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができる。 2 第五十七条第三項の規定は前項の訴えの提起に、前条第二項及び第三項の規定は前項の決議に準用する。 3 第一項の規定による判決に基づく競売の申立ては、その判決が確定した日から六月を経過したときは、することができない。 4 前項の競売においては、競売を申し立てられた区分所有者又はその者の計算において買い受けようとする者は、買受けの申出をすることができない。」 とあり、 3項によれば、 「第一項の規定による判決に基づく競売の申立ては、その判決が確定した日から六月を経過したときは、することができない」とあるだけで、規約による別段の定めは規定されていませんから、正しい。 これは、通常、確定判決での時効は10年の筈です(民法第174条の2)が、あまり長い間被告を不安定な状態に置いておくことは不当であることと競売の申立てが可能になってから6ヶ月間もの間共同生活内に置いている状況では共同生活からの放逐の必要性が消滅したものとみなし得るという理由によるものと思われます。 3 建替え決議を会議の目的とする集会を招集するときは、その招集通知は、会日より少なくとも2月前に発しなければならないが、この期間は、規約により伸長することができる。 ○ 正しい。 建替えの集会の通知は、2カ月前にだすこと。 その重要性から、短くはできないが、伸ばすことだけはできる。 平成20年マンション管理士試験 「問10」、 平成15年管理業務主任者試験 「問38」。 建替えの集会の招集通知は、区分所有法第62条、 「(建替え決議) 第六十二条 集会においては、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。 2 建替え決議においては、次の事項を定めなければならない。 一 新たに建築する建物(以下この項において「再建建物」という。)の設計の概要 二 建物の取壊し及び再建建物の建築に要する費用の概算額 三 前号に規定する費用の分担に関する事項 四 再建建物の区分所有権の帰属に関する事項 3 前項第三号及び第四号の事項は、各区分所有者の衡平を害しないように定めなければならない。 4 第一項に規定する決議事項を会議の目的とする集会を招集するときは、第三十五条第一項の通知は、同項の規定にかかわらず、当該集会の会日より少なくとも二月前に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸長することができる。 5 前項に規定する場合において、第三十五条第一項の通知をするときは、同条第五項に規定する議案の要領のほか、次の事項をも通知しなければならない。 一 建替えを必要とする理由 二 建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持又は回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額及びその内訳 三 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容 四 建物につき修繕積立金として積み立てられている金額 6 第四項の集会を招集した者は、当該集会の会日より少なくとも一月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について区分所有者に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。 7 第三十五条第一項から第四項まで及び第三十六条の規定は、前項の説明会の開催について準用する。この場合において、第三十五条第一項ただし書中「伸縮する」とあるのは、「伸長する」と読み替えるものとする。 8 前条第六項の規定は、建替え決議をした集会の議事録について準用する。」 とあり、 4項によれば、原則: 少なくても2か月前にだすが、規約で伸ばすことだけは認めていますから、正しい。 通常の集会と異なって建替え集会ではどうして、伸ばすことだけを許したのかを考えると、記憶も楽です。 4 管理組合法人の理事及び監事の任期は2年であり、この期間は、規約により伸長も短縮もできない。 X 誤っている。 理事・監事の任期は、”三年以内なら”、伸ばすことも短くすることもできる。 平成23年マンション管理士試験 「問6」、 平成22年マンション管理士試験 「問6」。 まず、管理組合法人の理事の任期は、 区分所有法第49条 「(理事) 第四十九条 管理組合法人には、理事を置かなければならない。 2 理事が数人ある場合において、規約に別段の定めがないときは、管理組合法人の事務は、理事の過半数で決する。 3 理事は、管理組合法人を代表する。 4 理事が数人あるときは、各自管理組合法人を代表する。 5 前項の規定は、規約若しくは集会の決議によつて、管理組合法人を代表すべき理事を定め、若しくは数人の理事が共同して管理組合法人を代表すべきことを定め、又は規約の定めに基づき理事の互選によつて管理組合法人を代表すべき理事を定めることを妨げない。 6 理事の任期は、二年とする。ただし、規約で三年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。 7 理事が欠けた場合又は規約で定めた理事の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した理事は、新たに選任された理事(第四十九条の四第一項の仮理事を含む。)が就任するまで、なおその職務を行う。 8 第二十五条の規定は、理事に準用する。」 とあり、 6項によれば、 理事の任期は、原則:2年ですが、3年を限度として、規約で別段の定めができますから、設問の理事に関する個所は、誤りです。 次に、監事の任期ですが、これは、区分所有法第50条2項 「(監事) 第五十条 管理組合法人には、監事を置かなければならない。 2 監事は、理事又は管理組合法人の使用人と兼ねてはならない。 3 監事の職務は、次のとおりとする。 一 管理組合法人の財産の状況を監査すること。 二 理事の業務の執行の状況を監査すること。 三 財産の状況又は業務の執行について、法令若しくは規約に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、集会に報告をすること。 四 前号の報告をするため必要があるときは、集会を招集すること。 4 第二十五条、第四十九条第六項及び第七項並びに前条の規定は、監事に準用する。 」 とあり、 理事の任期に関する、第49条6項が準用されていますから、監事の任期も、原則:2年ですが、3年を限度として、規約で別段の定めができますから、設問の監事に関する個所も誤りで、この選択肢4は全体として誤りです。 でも、この出題だと、規約があれば、無制限に任期を伸ばしたり、短くすることができるようにも捉えられますね。 答え:4 規約で別段の定めができるものと、できないものは、よく出題されますから、まとめておくことです。 区分所有法第59条の競売からの期間からの出題は珍しい。 《タグ》集会の通知、競売の申し立て、建替えの招集通知、 理事・監事の任期。 区分所有法 |
【問 32】 管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア 管理組合法人は、区分所有者名簿を備え置き、区分所有者の変更があるごとに必要な変更を加えなければならない。 ○ 正しい。 平成26年マンション管理士試験 「問3」、 平成22年管理業務主任者試験 「問29」。 管理組合法人の区分所有者名簿は、区分所有法第48条の2 「(財産目録及び区分所有者名簿) 第四十八条の二 管理組合法人は、設立の時及び毎年一月から三月までの間に財産目録を作成し、常にこれをその主たる事務所に備え置かなければならない。ただし、特に事業年度を設けるものは、設立の時及び毎事業年度の終了の時に財産目録を作成しなければならない。 2 管理組合法人は、区分所有者名簿を備え置き、区分所有者の変更があるごとに必要な変更を加えなければならない。」 とあり、 2項に該当し、正しい。 イ 理事は、損害保険契約に基づく保険金額の請求及び受領のほか、共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領について、区分所有者を代理する。 X 誤っている。 管理組合法人が、区分所有者を代理している。理事ではない。理事は、法人の代表。 平成25年管理業務主任者試験 「問36」、 平成24年管理業務主任者試験 「問34」 など多い。 設問の管理組合法人は、区分所有法第47条 「(成立等) 第四十七条 第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる。 2 前項の規定による法人は、管理組合法人と称する。 3 この法律に規定するもののほか、管理組合法人の登記に関して必要な事項は、政令で定める。 4 管理組合法人に関して登記すべき事項は、登記した後でなければ、第三者に対抗することができない。 5 管理組合法人の成立前の集会の決議、規約及び管理者の職務の範囲内の行為は、管理組合法人につき効力を生ずる。 6 管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。 7 管理組合法人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。 8 管理組合法人は、規約又は集会の決議により、その事務(第六項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。 9 管理組合法人は、前項の規約により原告又は被告となつたときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合においては、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。 10 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 (平成十八年法律第四十八号)第四条 及び第七十八条 の規定は管理組合法人に、破産法 (平成十六年法律第七十五号)第十六条第二項 の規定は存立中の管理組合法人に準用する。 11 第四節及び第三十三条第一項ただし書(第四十二条第五項及び第四十五条第四項において準用する場合を含む。)の規定は、管理組合法人には、適用しない。 12 管理組合法人について、第三十三条第一項本文(第四十二条第五項及び第四十五条第四項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定を適用する場合には第三十三条第一項本文中「管理者が」とあるのは「理事が管理組合法人の事務所において」と、第三十四条第一項から第三項まで及び第五項、第三十五条第三項、第四十一条並びに第四十三条の規定を適用する場合にはこれらの規定中「管理者」とあるのは「理事」とする。 13 管理組合法人は、法人税法 (昭和四十年法律第三十四号)その他法人税に関する法令の規定の適用については、同法第二条第六号 に規定する公益法人等とみなす。この場合において、同法第三十七条 の規定を適用する場合には同条第四項 中「公益法人等(」とあるのは「公益法人等(管理組合法人並びに」と、同法第六十六条 の規定を適用する場合には同条第一項 及び第二項 中「普通法人」とあるのは「普通法人(管理組合法人を含む。)」と、同条第三項 中「公益法人等(」とあるのは「公益法人等(管理組合法人及び」とする。 14 管理組合法人は、消費税法 (昭和六十三年法律第百八号)その他消費税に関する法令の規定の適用については、同法 別表第三に掲げる法人とみなす。」 とあり、 6項の「管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする」 によれば、区分所有者を代理しているのは、管理組合法人であって、理事ではないので、誤りです。 ウ 管理組合法人と理事との利益が相反する事項については、監事が管理組合法人を代表する。 ○ 正しい。法人での利益相反事項は、理事に代わって監事が法人の代表になる。 平成26年マンション管理士試験 「問3」、 平成25年マンション管理士試験 「問8」 など。 管理組合法人と理事との利益が相反する事項については、区分所有法第51条 「(監事の代表権) 第五十一条 管理組合法人と理事との利益が相反する事項については、監事が管理組合法人を代表する。」 とあり、 これに該当し、正しい。 エ 理事は、集会の決議により、管理組合法人の事務に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができるが、この場合には、遅滞なく、原告又は被告となった旨を区分所有者に通知しなければならない。 X 誤っている。 理事ではなく、管理組合法人が、原告・被告となる。また、集会の決議なら、通知は不要。 設問は、選択肢イで引用しました、区分所有法第47条8項及び9項 「8 管理組合法人は、規約又は集会の決議により、その事務(第六項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。 9 管理組合法人は、前項の規約により原告又は被告となつたときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合においては、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。」 とあり、 8項によれば、区分所有者のために、原告・被告になるのは、理事ではなく、管理組合法人ですから、誤りです。 また、9項によれば、区分所有者の通知が必要なのは、規約によって原告・被告になったときだけで、集会を開いて原告・被告になったのなら、もう区分所有者は知っていますから、この場合には、通知は不要で、ここも誤りです。 1 一つ 2 二つ 3 三つ 4 四つ 答え:2 正しいのは、 ア と ウ の2つ。 また、いくつあるかの問題です。 でも平成26年は、昨年(平成25年)は個数問題が多すぎると非難したせいで、かなり個数問題は少なくなりました。 理事と法人の違いは、もう常識です。 代表や代理の違いも理解しておいてください。 《タグ》管理組合法人、区分所有者名簿、理事と法人の違い。 原告・被告。 区分所有法 |
*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。 |
【問 34】 敷地に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 建物の敷地とは、建物が所在する土地(以下、本問において「法定敷地」という。)及び区分所有法第5条第1項の規定により、規約で敷地と定めた土地(以下、本問において「規約敷地」という。)を指す。 ○ 正しい。 平成25年マンション管理士試験 「問1」、平成21年マンション管理士試験 「問1」。 建物の敷地とは、区分所有法第2条5項及び第5条 「(定義) 第二条 この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。 2 この法律において「区分所有者」とは、区分所有権を有する者をいう。 3 この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。 4 この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。 5 この法律において「建物の敷地」とは、建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により建物の敷地とされた土地をいう。 6 この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。 」 とあり、 5項で引用されています、区分所有法第5条は、 「(規約による建物の敷地) 第五条 区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地は、規約により建物の敷地とすることができる。 2 建物が所在する土地が建物の一部の滅失により建物が所在する土地以外の土地となつたときは、その土地は、前項の規定により規約で建物の敷地と定められたものとみなす。建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となつたときも、同様とする。 」 です。 第2条5項で規定されます「建物が所在する土地」とは、実際にその土地の上にマンションが建っている土地(1筆でも数筆にまたがっていてもかまいません)で、これは、法定敷地と呼ばれます。 次に引用されています第5条1項は、実際にはその土地の上にはマンションは建っていませんが、そのマンションの付近にある駐車場や遊園地をマンションと一緒に管理するなら、規約があれば、もうそのマンションの敷地として管理を簡単にしようとするものです。この土地は「規約敷地」と呼ばれます。 正しい。 2 法定敷地は、数筆の土地であっても構わず、また、同土地は同一の者に帰属することを要しない。 ○ 正しい。 選択肢1でも説明しましたように、区分所有法第2条5項 「 5 この法律において「建物の敷地」とは、建物が所在する土地」 (法定敷地)とあり、この要件としましては、ただ、土地の上に建物(マンション)があるだけですから、実際には、1筆(土地は筆でよばれます)の土地の上でもよく、また、数筆の土地の上に、1棟の建物が建っていてもかまいません。また、複数の土地にまたがっている場合に、地主が、単一の人でなくてももかまいませんから、正しい。 3 規約敷地は、区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用する庭、通路その他の土地を指すが、建物が所在する土地の隣接地でなくともよい。 ○ 正しい。 規約敷地は、選択肢1でも説明しましたように、区分所有法第5条1項 「第五条 区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地は、規約により建物の敷地とすることができる。」 とあり、 要件としましては、「区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地」だけで、その土地が特に、建物と隣接していなくてはならないとはありませんから、正しい。 しかし、いくら建物に隣接しなくてもいいといっても、東京にあるマンションが北海道の土地を規約でそのマンションの敷地とするのは、かなり問題があります。 4 法定敷地である甲乙二筆の土地にまたがって建っている建物のうち、甲地に所在する建物(建物の価格の2分の1以下に相当する)部分が全部滅失してしまった場合、甲地に所在した当該建物部分を復旧するためには、区分所有者の団体は、まず集会を開いて甲地を規約敷地にしなければならない。 X 誤っている。 もうすでに、規約がなくても規約敷地になっている。 平成26年マンション管理士試験 「問26」、平成24年マンション管理士試験 「問10」。 選択肢1でも引用しました、区分所有法第5条2項 「2 建物が所在する土地が建物の一部の滅失により建物が所在する土地以外の土地となつたときは、その土地は、前項の規定により規約で建物の敷地と定められたものとみなす。建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となつたときも、同様とする。 」 があります。 この規約は、まさに設問のように、法定敷地である甲乙二筆の土地にまたがって建っている建物のうち、甲地に所在する建物部分が全部滅失してしまった場合のような状態を想定しています。 この場合、もう既に建物の部分がなくっている甲地であっても、実際の規約がなくても、「みなし規約敷地」として建物の敷地の扱いを受けますから、復旧にあたって、集会を開いて甲地を規約敷地にする必要はありませんから、誤りです。 このまま、滅失した建物部分の復旧の決議ができます。 答え:4 それほど難しくはない出題です。 《タグ》敷地、法定敷地、規約敷地、みなし規約敷地。 区分所有法 |
【問 35】 マンションの駐車場に関する次の記述のうち、民法、区分所有法及び判例によれば、最も不適切なものはどれか。
1 分譲業者が、敷地に区画された駐車場部分に排他的利用を可能とする専用使用権を設定して、区分所有権とは別に分譲・販売することは、民法第90条の公序良俗に反し無効な契約であり、分譲業者は受け取った対価を管理組合に返還しなければならない。 X 適切でない。 公序良俗には反しない。 判例。 詳細は、平成25年のマンション管理士試験 「問6」。 通常の人間の判断なら、マンションの管理組合の共有関係にある敷地を勝手に分譲会社が自社のために、別に売ってしまうなんてことは、いくらなんでも、おかしいと思うのですが、最高裁判所の判断は違っています。 元の判決は、最高裁判所:昭和56年1月30日:に「 土地付分譲マンション付属の駐車場専用使用権分譲特約が公序良俗違反として無効とはいえないとされた事例 」として、 「本件マンシヨン購入者と訴外D興発株式会社との間の駐車場専用使用権の設定に関する約定が公序良俗に違反するものとは認められないとした原審の判断は、正当として是認することができる」 とあり 短い判決ですが、論点は、 「 マンシヨン分譲業者がマンシヨンの敷地の持分と右敷地内の付属の駐車場専用使用権とを別個に譲渡することが同一土地から二重に利益を得ることになるものと速断することはできず、マンシヨン購入者の全員において、駐車場専用使用権を土地付マンシヨン本体の分譲とは別個に購入者に対して分譲する権利が分譲業者に留保されていること並びに右専用使用権の分譲を受けた者及びその譲受人が右駐車場を専用使用することを容認・承諾して、分譲業者とマンシヨン分譲契約を締結したことなど原審認定の事情のもとにおいては、右駐車場専用利用権の設定に関する約定が公序良俗に反するものとはいえない。 」 です。 これを受け、最高裁判所:平成10年10月22日:ミリオンコーポラス高峰館 では、以下のような判決文があります。 ”売買契約書、重要事項説明書、管理規約案の記載に照らすと、本件駐車場の専用使用権は、本件マンションの分譲に伴い、上告人(分譲会社)が特定の区分所有者に分譲したものであるところ、右専用使用権を取得した特定の区分所有者は右駐車場を専用使用し得ることを、右専用使用権を取得しなかった区分所有者は右専用使用を承認すべきことをそれぞれ認識し理解していたことが明らかであり、分譲業者である上告人が、購入者の無思慮に乗じて専用使用権分譲代金の名の下に暴利を得たなど、専用使用権の分譲契約が公序良俗に反すると認めるべき事情も存しない。 なお、本件のように、マンションの分譲に際し分譲業者が専用使用権を分譲して対価を取得する取引形態は、好ましいものとはいえないが、このことのゆえに右契約の私法上の効力を否定することはできない。” とあり、不本意ですが、判例によるなら、駐車場の専用使用権を分譲する売買契約は公序良俗に反するものと認められませんから、無効ではないため、適切ではありません。 なお、公序良俗とは、民法第90条 「(公序良俗) 第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」 です。 この最高裁判所の判例は、もう変更されるべきです。 2 建物内の構造上、利用上の独立性が認められる駐車場部分を、専有部分として登記して、住戸部分とは別に分譲・販売することができる。 ○ 正しい。 平成25年管理業務主任者試験 「問39」、 平成25年マンション管理士試験 「問1」。 まず、建物内の構造上、利用上の独立性となると、区分所有法第1条、 「(建物の区分所有) 第一条 一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。」 とあり、 設問の「建物内の構造上、利用上の独立性が認められる駐車場部分」となると、駐車場であっても、区分所有権の目的になれます。 すると、区分所有法第2条 「(定義) 第二条 この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。 2 この法律において「区分所有者」とは、区分所有権を有する者をいう。 3 この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。 4 この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。 5 この法律において「建物の敷地」とは、建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により建物の敷地とされた土地をいう。 6 この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。 」 とあり、 3項により、区分所有権の目的たる建物として、専有部分になり、専有部分は登記ができますから、住戸部分とは別に分譲・販売することができるので、正しい。 *でも、追求していくと、駐車場などは、共用部分か専有部分かの区分が難しくて、よく裁判で争いになります。 3 敷地上の駐車場使用契約が使用貸借契約である場合には、契約の相手方である駐車場使用者との契約更改がない限り、集会決議によって有償化することはできない。 ○ 適切である。 マンションでは、多くのことは、集会の決議で決められます。 それが、区分所有法第39条 「(議事) 第三十九条 集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する。 2 議決権は、書面で、又は代理人によつて行使することができる。 3 区分所有者は、規約又は集会の決議により、前項の規定による書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)によつて議決権を行使することができる。」 です。 しかし、使用貸借契約とは、無償で貸していることです。これを、有償化(有料)にするには、基本となっています契約そのものを変更(更改)することが必要です。 この場合、区分所有法の適用がありません。(なお、有償化すれば、集会で、金額の増減などは決められます。) 参考:民法第513条 「(更改) 第五百十三条 当事者が債務の要素を変更する契約をしたときは、その債務は、更改によって消滅する。 2 条件付債務を無条件債務としたとき、無条件債務に条件を付したとき、又は債務の条件を変更したときは、いずれも債務の要素を変更したものとみなす。 」 4 敷地に区画された駐車場について、無償で利用している一部の区分所有者等の専用使用権を消滅させるには、その変更に必要性、合理性、相当性が認められない限り、集会の決議のほかにその者の承諾が必要である。 ○ 適切である。 この裁判は、高島平マンション事件で、最高裁判所:平成10年11月20日 が該当します。 判決では、①専用使用権の消滅 と ②専用使用権を有償化する件 が争われました、ここでは ①区分所有者の有するマンション駐車場の一部の専用使用権を消滅させる集会決議が無効とされた事例 として、 「区分所有者の有するマンション駐車場の一部の専用使用権を消滅させるとの集会決議が右区分所有者の承諾のないままされた場合において、右区分所有者が、分譲当初からマンションの一階店舗部分においてサウナ、理髪店等を営業しており、来客用及び自家用のために駐車場の専用使用権を取得したものであって、残った駐車場だけではその営業活動を継続するのに支障を生ずる可能性がないではなく、他の区分所有者は、同人らのための駐車場及び自転車置場がないことを前提としてマンションを購入したものであるなど判示の事実関係の下においては、右集会決議は、建物の区分所有等に関する法律三一条一項後段の規定の類推適用により、効力を有しない。」 として、 専用使用権を消滅させる集会決議が無効と判断されています。 なお、区分所有法第31条1項後段の規定は、 「(規約の設定、変更及び廃止) 第三十一条 規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。 2 前条第二項に規定する事項についての区分所有者全員の規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の四分の一を超える者又はその議決権の四分の一を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない。 」 で、 この規定を類推適用しました。 また、区分所有法第31条1項での「特別の影響を及ぼすべきとき」は、最高裁判所:平成10年10月30日の判例 によりますと、 「建物の区分所有等に関する法律三一条一項後段にいう「規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきとき」とは、規約の設定、変更等の必要性及び合理性とこれによって一部の区分所有者が受ける不利益とを比較衡量し、当該区分所有関係の実態に照らして、その不利益が右区分所有者の受忍すべき限度を超えると認められる場合をいう。」 ですから、適切です。 答え:1 判例からも出題されますから、マンションに関する判例は、読んでおいてください。 選択肢1や選択肢4はよく出題されています。 ここは、平成25年のマンション管理士試験を勉強していれば、答えは早い。 {ある受験者の感想…選択肢1の判例は知っていた。しかし、選択肢3などは単独で出されたら、Xにしてしまうかも} 《タグ》敷地内の分譲会社の駐車場、集会決議。 区分所有法 + 判例 |
【問 36】 共用部分の管理に関する次の記述のうち、区分所有法によれば最も不適切なものはどれか。
1 共用部分のうち、一部の区分所有者のみに供されることが明らかな部分(以下、本問において「一部共用部分」という。)は、それらの者の管理に服する。 ○ やや適切である? 設問が不適切だが。 平成26年マンション管理士試験 「問9」、 平成24年管理業務主任者試験 「問38」、 平成23年マンション管理士試験 「問1」。 一部共用部分とは、区分所有法第3条、 「(区分所有者の団体) 第三条 区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。 」 とあり、 「一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分」です。 その管理は、区分所有法第16条、 「(一部共用部分の管理) 第十六条 一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するもの又は第三十一条第二項の規約に定めがあるものは区分所有者全員で、その他のものはこれを共用すべき区分所有者のみで行う。 」 とあり、 一部共用部分であっても、 ①区分所有者全員の利害に関係するもの ②規約に定めがあるもの は 区分所有者全員で管理し、 それ以外であれば、管理は一部共用部分を共用すべき区分所有者のみで行うため、設問のように、「共用部分のうち、一部の区分所有者のみに供されることが明らかな部分」であっても、規約で区分所有者全員の管理とすることもできますから、完全に適切ではありません。 2 一部共用部分に関する事項であっても、当該部分が区分所有者全員の利害に関係する部分である場合には、規約にその定めがなくても区分所有者全員で管理する。 ○ 適切である。 -部共用部分に関する事項であっても、当該部分が区分所有者全員の利害に関係する部分である場合には、選択肢1でも説明しましたように、区分所有法第16条 「(一部共用部分の管理) 第十六条 一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するもの又は第三十一条第二項の規約に定めがあるものは区分所有者全員で、その他のものはこれを共用すべき区分所有者のみで行う。 」 により、 規約にその定めがなくても区分所有者全員で管理しますから、適切です。 3 一部共用部分に関する事項で、区分所有者全員の利害に関係しないものは、これを共用すべき区分所有者の規約によって管理することができるが、区分所有者全員の規約に別段の定めをすれば、区分所有者全員で管理できる。 ○ 適切である。 一部共用部分に関する事項で、区分所有者全員の利害に関係しないものは、選択肢1でも説明しました、区分所有法第16条 「(一部共用部分の管理) 第十六条 一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するもの又は第三十一条第二項の規約に定めがあるものは区分所有者全員で、その他のものはこれを共用すべき区分所有者のみで行う。」 により、 区分所有者全員の規約に別段の定めをすれば、区分所有者全員で管理できますし、区分所有者全員の規約に定めなければ、-部共用部分を共用すべき区分所有者の規約によって管理することができますので、適切です。 4 1棟の建物に設置された1基のエレベーターの管理を区分所有者全員で管理することはできるが、その旨を規約で定めておかなければならず、費用負担に階差を設けなければならない。 X 最も適切でない。 1棟の建物に設置された1基のエレベーターとなると、これは、明らかに一部共用部分ではなく、全体の共用部分となりますから、管理を区分所有者全員で管理することになり、この場合、原則:規約は必要ありません。 区分所有法第18条 「(共用部分の管理) 第十八条 共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。 2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。 3 前条第二項の規定は、第一項本文の場合に準用する。 4 共用部分につき損害保険契約をすることは、共用部分の管理に関する事項とみなす。 」 また、エレベーターの使用費で、1階の住民はエレベーターを使用しないなどで、階による差を設けることは、理論的には可能のようにみえますが、現実的には、上層階でも階段を利用するとか、訪問者がエレベーターを利用したらだれが費用を負担するのか、使用回数をどのように計るのかなどの面から、現在の判断では、費用負担に階差を設けることは、適切ではありません。 参考:標準管理規約、コメント25条関係 「①管理費等の負担割合を定めるに当たっては、使用頻度等は勘案しない。」 ともあります。 答え:4 選択肢1は設問として曖昧ですが、特に難しくはないでしょう。 《タグ》一部共用部分、管理、規約、、使用頻度での差。 区分所有法 |
*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。 |
【問 38】 管理者、理事又は清算人の義務違反行為に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、過料に処せられないものはどれか。
なお、聞きなれない、”過料”については、「マンション管理士 香川事務所」 が無料で提供しています、「超解説 区分所有法」 の第71条にその手続きなども詳細に載せていますから、参考にしてください。 *一般社団法人マンション管理業協会からの文 (平成27年 1月23日付) **ここは、問題文:選択肢4 の校正ミスで、本来「管理組合”法人”」とすべきところを、「管理組合」として「法人」が抜けてしまったせいのようだ。 |
【問 39】 次の記述のうち、最高裁判所の判例によれば、最も適切なものはどれか。
1 特定の専有部分の汚水を排水本管に流す排水管は、その構造及び設置場所にかかわらず、専有部分に属する建物の附属物であるから、区分所有者全員の共用部分と解することはできない。 X 適切でない。 構造及び設置場所 が絡む と共用部分にもなる。 平成25年管理業務主任者試験 「問39」、 平成25年マンション管理士試験 「問1」。 まず、参考として、専有部分と共用部分とは、区分所有法第2条 「(定義) 第二条 この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。 2 この法律において「区分所有者」とは、区分所有権を有する者をいう。 3 この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。 4 この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。 5 この法律において「建物の敷地」とは、建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により建物の敷地とされた土地をいう。 6 この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。 」 を前提にしています。 専有部分であれば、個人的な権利の対象にできますが、共用部分となると、区分所有者の共有となりますから、その区分は明確にしなければなりません。しかし、建物の構造上からこの専有部分と共用部分の区分は大変難しく、度々裁判になっています。 そこで、設問は、最高裁判所:平成12年3月21日の判決。 マンションの特定の専有部分からの汚水が流れる排水管の枝管が建物の区分所有等に関する法律にいう共有部分に当たるとされた事例 「 マンションの専有部分である甲室の床下コンクリートスラブと階下にある乙室の天井板との間の空間に配された排水管の枝管を通じて甲室の汚水が本管に流される構造となっている場合において、甲室から右枝管の点検、修理を行うことは不可能であり、乙室からその天井裏に入ってこれを実施するほか方法はないなど判示の事実関係の下においては、右枝管は、建物の区分所有等に関する法律二条四項にいう「専有部分に属しない建物の付属物」であり、区分所有者全員の共有部分に当たる。 」 とあり、 特定の専有部分の汚水を排水本管に流す排水管でも、その構造及び設置場所により、専有部分に属しない建物の付属物となり、区分所有者全員の共用部分となる、により、適切ではありません。 2 マンションの専有部分を駐車場以外に変更することができない旨の制限条項を、分譲業者とその買受人である区分所有者との間で設けた場合には、同制限条項は規約で定めた場合と同様に、当該区分所有者の特定承継人に対しても効力を有する。 X 適切でない。 分譲業者とその買受け人である区分所有者間の制限事項は、規約とは異なり、当該区分所有者の特定承継人に対しては効力を有しない。 設問が込み入っていますが、これは、最高裁判所の平成9年3月27日の判決: マンションの専有部分の区分所有者の特定承継人が分譲業者と建築当初の取得者間の専有部分の用途制限に係る合意に拘束されないとされた事例 「マンションの分譲業者とその専有部分を建築当初に取得した者が、右専有部分を屋内駐車場として使用し、他の区分所有者の承諾なしに駐車場以外の用途に変更しない旨の合意をした場合に、右専有部分は、屋内駐車場として設計、宣伝され、建築当時においてはその用途を駐車場以外に変更することは建築基準法上許されなかったなどの事情があったとしても、原始規約には右専有部分の用途を駐車場に限定する旨を定めた規定がないなど判示の事実関係の下においては、右専有部分の区分所有権を売買により取得した者は、専有部分の用途制限に係る右合意に拘束されない。 」 とあり、 制限条項を、分譲業者とその買受人である区分所有者との間で設けた場合には、同制限条項は規約で定めた場合とは異なり、当該区分所有者の特定承継人に対しては効力を有しませんから、適切ではありません。 参考:区分所有法第30条 及び第46条 「(規約事項) 第三十条 建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。 2 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めがある場合を除いて、これを共用すべき区分所有者の規約で定めることができる。 3 前二項に規定する規約は、専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施設(建物の敷地又は附属施設に関する権利を含む。)につき、これらの形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払つた対価その他の事情を総合的に考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならない。 4 第一項及び第二項の場合には、区分所有者以外の者の権利を害することができない。 5 規約は、書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)により、これを作成しなければならない。 」 区分所有法第46条 「(規約及び集会の決議の効力) 第四十六条 規約及び集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても、その効力を生ずる。 2 占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。 」 3 マンションにおける専有部分に接するバルコニーについては、管理組合の管理する共用部分であり、規約等によりその改築を禁止することができるにしても、管理組合は、規約等に違反してバルコニーの改築工事を終えた区分所有者に対しては、同改築部分を撤去して復旧すべき旨の請求をすることはできない。 X 適切でない。 管理組合は、工事を終えていても、改築部分を撤去し、復旧させることができる。 これは、最高裁判所の昭和50年4月10日の判決 : 旧住宅公団分譲住宅の、バルコニーを温室とする工事が分譲住宅の買受人全員を組合員とする団地住宅管理組合のバルコニー改築禁止の建築協定に違反するとされた事例 「公団分譲住宅を買受けた者が、その所有の住宅部分に接続するバルコニーの手すり用障壁の上に木製及びアルミサッシ製のわくを付設し、これにガラス戸をはめ込んで窓を設置し、隣との境の仕切板の左右のすき間をベニヤ板でふさぎ、その上部に回転窓を取りつけ、壁面と天井の全面に発泡スチロールを張りつめて、バルコニーを温室とした工事は、分譲住宅の買受人全員を組合員とする団地住宅管理組合のバルコニー改築禁止の建築協定に違反する。 」 として、違反者に対して、その加えた工事部分を撤去して復旧すべき義務があるとしましたから、適切ではありません。 4 マンションの建設が近接する地域の景観に影響を与える場合でも、近隣の居住者に、良好な景観の恵沢を享受する利益を超えて、私法上の権利といい得るような明確な実体を有する「景観権」を認めることはできない。 ○ 適切である。 これは、東京の一橋大学がある国立市であった、14階建てのマンションの建設を巡る有名な判決です。具体的には、最高裁判所の平成18年3月30日の判決: この裁判では「景観権」が争われました。 「1 良好な景観の恵沢を享受する利益は法律上保護されるか 2 良好な景観の恵沢を享受する利益に対する違法な侵害に当たるといえるために必要な条件 3 直線状に延びた公道の街路樹と周囲の建物とが高さにおいて連続性を有し調和がとれた良好な景観を呈している地域において地上14階建ての建物を建築することが良好な景観の恵沢を享受する利益を違法に侵害する行為に当たるとはいえないとされた事例 」 です。 そこで、判決文は長いのですが、その要旨は、 「1 良好な景観に近接する地域内に居住する者が有するその景観の恵沢を享受する利益は,法律上保護に値するものと解するのが相当である。 2 ある行為が良好な景観の恵沢を享受する利益に対する違法な侵害に当たるといえるためには,少なくとも,その侵害行為が,刑罰法規や行政法規の規制に違反するものであったり,公序良俗違反や権利の濫用に該当するものであるなど,侵害行為の態様や程度の面において社会的に容認された行為としての相当性を欠くことが求められる。 3 南北約1.2kmにわたり直線状に延びた「大学通り」と称される幅員の広い公道に沿って,約750mの範囲で街路樹と周囲の建物とが高さにおいて連続性を有し,調和がとれた良好な景観を呈している地域の南端にあって,建築基準法(平成14年法律第85号による改正前のもの)68条の2に基づく条例により建築物の高さが20m以下に制限されている地区内に地上14階建て(最高地点の高さ43.65m)の建物を建築する場合において, (1)上記建物は,同条例施行時には既に根切り工事をしている段階にあって,同法3条2項に規定する「現に建築の工事中の建築物」に当たり,上記条例による高さ制限の規制が及ばないこと, (2)その外観に周囲の景観の調和を乱すような点があるとは認め難いこと, (3)その他,その建築が,当時の刑罰法規や行政法規の規制に違反したり,公序良俗違反や権利の濫用に該当するなどの事情はうかがわれないことなど判示の事情の下では,上記建物の建築は,行為の態様その他の面において社会的に容認された行為としての相当性を欠くものではなく,上記の良好な景観に近接する地域内に居住する者が有するその景観の恵沢を享受する利益を違法に侵害する行為に当たるとはいえない。 」 としています。 設問に関しては、「景観利益の内容は,景観の性質,態様等によって異なり得るものであるし,社会の変化に伴って変化する可能性のあるものでもあるところ,現時点においては,私法上の権利といい得るような明確な実体を有するものとは認められず,景観利益を超えて「景観権」という権利性を有するものを認めることはできない」 としていますから、適切です。 答え:4。 基本をやっていない人には、少し難しいか。 例年「問39」は、必ず判例から出ますから、有名な判決は注意しておいてください。 なお、有名な判決は、裁判所の 「裁判例情報」 で見られますから、判決文まで眼を通しておいてください。 《タグ》判例、専有部分と共用部分の区分、 規約の変更と承継人、景観権。 |
【問 40】 ともに宅地建物取引業者(宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第2条第3号に規定する者をいう。以下同じ。)でない売主Aと買主Bが締結したマンションの売買契約における売主の瑕疵担保責任に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 マンションの引渡しの時から10年を経過したときは、消滅時効によりBはAに対し瑕疵担保に基づく損害賠償請求権の行使ができない。 ○ 正しい。 売主の瑕疵担保責任は、10年の消滅時効がある。 平成26年マンション管理士試験 「問17」、平成25年マンション管理士試験 「問17」 、平成25年管理業務主任者試験 「問40」、 平成24年マンション管理士試験 「問14」 、平成24年管理業務主任者試験 「問40」、 平成23年 マンション管理士試験 「問12」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問41」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問13」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問42」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問4」 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問41」 「問42」 、平成20年 マンション管理士試験 「問16」 、平成20年 管理業務主任者試験 「問41」 など。 売主の瑕疵担保責任も例年必ず出題されます。そこで。別サイト 「瑕疵担保責任のまとめ」 も作成していますから、利用してください。 売主の瑕疵担保責任は、民法第570条、 「(売主の瑕疵担保責任) 第五百七十条 売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。」 とあり、 準用されています、民法566条は、 「(地上権等がある場合等における売主の担保責任) 第五百六十六条 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。 2 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。 3 前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。」 です。 そこで、設問の消滅時効は、民法第167条 「(債権等の消滅時効) 第百六十七条 債権は、十年間行使しないときは、消滅する。 2 債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する。」 です。 そして、最高裁判所の平成13年11月27日の判決 「瑕疵担保による損害賠償請求権には消滅時効の規定の適用があり,この消滅時効は,買主が売買の目的物の引渡しを受けた時から進行すると解するのが相当である。」 とあり、 民法第570条の「売主の瑕疵担保責任」は、買主が引き渡しを受けて10年間行使しないと消滅するとしていますので、「マンションの引渡しの時から10年を経過したときは、消滅時効により買主Bは売主Aに対し瑕疵担保に基づく損害賠償請求権の行使ができませんから、正しい。 2 AB間の売買契約の目的物であるマンションに隠れた瑕疵があり、Bがこれを知らずに購入し、そのために契約をした目的を達することができない場合に、Bが売買契約を解除したときは、BはAに損害賠償の請求をすることができなくなる。 X 誤りである。 契約の解除と損害賠償請求ができる。 選択肢1で引用しました、民法第570条 → 第566条1項 「第五百六十六条 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。」 とあり、 売主の瑕疵担保責任には、買主による ①契約の解除 ②解約ができないときには、損害賠償請求 そして、③解除により損害が発生していれば、その損害賠償請求 ができますから、誤りです。 3 Bは、Aに対し当該瑕疵の修補の請求しかできず、損害賠償請求はできない旨の特約は有効である。 ○ 正しい。 ともに宅地建物取引業者でなければ、特約は有効。 平成24年マンション管理士試験 「問14」、 平成23年管理業務主任者試験 「問42」。 よく出題される、混同問題です。 設問のように、売主・買主がともに宅地建物取引業者でなければ、民法第572条 「(担保責任を負わない旨の特約) 第五百七十二条 売主は、第五百六十条から前条までの規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。」 とあり、 原則: 担保の責任を負わない旨の特約は有効ですから、正しい。 4 Bは、売買契約締結当時に通常の注意をすれば知ることができた瑕疵については、Aに対し瑕疵担保責任を追及することができない。 ○ 正しい。 選択肢1でも引用しました、民法第570条 「(売主の瑕疵担保責任) 第五百七十条 売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。」 とあり 売主の瑕疵担保責任を追及できるのは、目的物に「隠れた瑕疵」があることです。それは、買主が取引上必要な普通の注意をしても発見できないことです。そこで、通常の注意をすれば知ることができた瑕疵となると、隠れた瑕疵には該当しないと判断されますから、買主Bは、売主Aに対して瑕疵担保責任を追及することができず、正しい。 答え:2。 易しい問題です。 《タグ》売主の瑕疵担保責任、時効は10年、 特約の有効性、隠れたる瑕疵、 請求内容。 民法 |
【問 41】 住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成11年法律第81号。以下、本問において「品確法」という。)に規定される瑕疵担保責任の特例に関する次の文中の(ア)から(ウ)の中に入る用語の組合せとして、最も適切なものはどれか。 |
*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。 |
【問 43】 区分所有者が、自己所有のマンションの専有部分を賃貸しようとする場合に、管理業務主任者が当該区分所有者に説明した内容についての次の記述のうち、借地借家法(平成3年法律第90号)の規定によれば、誤っているものはどれか。 |
【問 44】 消費者契約法(平成12年法律第61号)の規定によれば、次の記述のうち、誤っているものはどれか。 |
【問 45】 宅地建物取引業者A(以下、本問において「A」という。)が、あるマンションの一住戸の所有者B(以下、本問において「B」という。)からその住戸の売却の媒介依頼を受け、Bと専任媒介契約(以下、本問において「媒介契約」という。)を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法によれば、正しいものはどれか。 |
*注:問46から問50までは、マンション管理士試験か管理業務主任者試験の合格者には免除される部分です。また、この問46から問50は、「マンション管理適正化法」と同指針からの出題と決まっていますので、出題は毎年似たような内容となります。過去問題はやっておくと楽です。 【問 46】 マンションの管理の適正化に関する指針(平成13年国土交通省告示第1288号)によれば、次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1 管理組合がマンションの維持修繕を円滑かつ適切に実施するため、マンション管理業者は、設計に関する図書等を保管することが重要であり、この図書等について、マンションの区分所有者等の求めに応じ、適時閲覧できるように配慮することが望ましい。 X 適切でない。 設計に関する図書等の保管は、マンション管理業者でなく、”管理組合”が行う。 平成17年管理業務主任者試験 「問46」。 文をよく読むこと。設問の個所は、 「マンションの管理の適正化に関する指針 二 マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本的事項 5 管理組合は、維持修繕を円滑かつ適切に実施するため、設計に関する図書等を保管することが重要である。また、この図書等について、マンションの区分所有者等の求めに応じ、適時閲覧できるように配慮することが望ましい。」 とあり、 設計に関する図書等を保管するのは、管理組合であるので、設問の「マンション管理業者は、設計に関する図書等を保管する」とあるのは、適切でない。 2 マンションの管理の主体は、マンションの区分所有者等で構成される管理組合であり、管理組合は、マンションの区分所有者等の意見が十分に反映されるよう、適正な運営を行うことが重要である。 ○ 適切である。 平成19年管理業務主任者試験 「問46」、 平成13年管理業務主任者試験 「問47」。 設問は、マンションの管理の適正化に関する指針 「一 マンションの管理の適正化の基本的方向 1 マンションの管理の主体は、マンションの区分所有者等で構成される管理組合であり、管理組合は、マンションの区分所有者等の意見が十分に反映されるよ う、また、長期的な見通しを持って、適正な運営を行うことが重要である。特に、その経理は、健全な会計を確保するよう、十分な配慮がなされる必要がある。 また、第三者に管理事務を委託する場合は、その内容を十分に検討して契約を締結する必要がある。」 とあり、 適切です。 3 管理組合の経理において、管理組合の管理者等は、必要な帳票類を作成してこれを保管するとともに、マンションの区分所有者等の請求があった時は、これを速やかに開示することにより、経理の透明性を確保する必要がある。 ○ 適切である。 平成21年管理業務主任者試験 「問46」。 設問は、マンションの管理の適正化に関する指針 「二 マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本的事項 4 管理組合の経理 管理組合がその機能を発揮するためには、その経済的基盤が確立されていることが重要である。このため、管理費及び特別修繕費等について必要な費用を徴収するとともに、これらの費目を明確に区分して経理を行い、適正に管理する必要がある。 また、管理組合の管理者等は、必要な帳票類を作成してこれを保管するとともに、マンションの区分所有者等の請求があった時は、これを速やかに開示することにより、経理の透明性を確保する必要がある。」 とあり、 適切です。 4 管理規約又は使用細則等に違反する行為があった場合、管理組合の管理者等は、その是正のため、必要な勧告、指示等を行うとともに、法令等に則り、その是正又は排除を求める措置をとることが重要である。 ○ 適切である。 平成24年管理業務主任者試験 「問46」、 平成13年マンション管理士試験 「問50」。 設問は、マンションの管理の適正化に関する指針 「二 マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本的事項 2 管理規約 管理規約又は使用細則等に違反する行為があった場合、管理組合の管理者等は、その是正のため、必要な勧告、指示等を行うとともに、法令等に則り、その是正又は排除を求める措置をとることが重要である。」 とあり、 適切です。 答え:1。 易しい問題です。 《タグ》マンションの管理の適正化に関する指針。 |
【問 47】 マンションの定義に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法によれば、誤っているものはどれか。
1 2人以上の区分所有者が居住している専有部分のある建物及びその敷地のほかに、駐車場、ごみ集積所等の附属施設もマンションに含まれる。 ○ 正しい。 平成26年マンション管理士試験 「問47」、 平成22年マンション管理士試験 「問47」、 平成16年管理業務主任者試験 「問46」 など。 マンション管理適正化法でのマンションとは、同法第2条 「(定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。 一 マンション 次に掲げるものをいう。 イ 二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項 に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項 に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設 ロ 一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内にあるイに掲げる建物を含む数棟の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地及び附属施設 二 マンションの区分所有者等 前号イに掲げる建物の区分所有者並びに同号ロに掲げる土地及び附属施設の同号ロの所有者をいう。 三 管理組合 マンションの管理を行う区分所有法第三条 若しくは第六十五条 に規定する団体又は区分所有法第四十七条第一項 (区分所有法第六十六条 において準用する場合を含む。)に規定する法人をいう。 四 管理者等 区分所有法第二十五条第一項 (区分所有法第六十六条 において準用する場合を含む。)の規定により選任された管理者又は区分所有法第四十九条第一項 (区分所有法第六十六条 において準用する場合を含む。)の規定により置かれた理事をいう。 五 マンション管理士 第三十条第一項の登録を受け、マンション管理士の名称を用いて、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されているものを除く。)とする者をいう。 六 管理事務 マンションの管理に関する事務であって、基幹事務(管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納並びにマンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整をいう。以下同じ。)を含むものをいう。 七 マンション管理業 管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為で業として行うもの(マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものを除く。)をいう。 八 マンション管理業者 第四十四条の登録を受けてマンション管理業を営む者をいう。 九 管理業務主任者 第六十条第一項に規定する管理業務主任者証の交付を受けた者をいう。」 とあり、 1号イ によれば、 ①二以上の区分所有者がいて、 ②人の居住の用に供する専有部分があり、 ③並びにその敷地及び附属施設 ですから、「2人以上の区分所有者が居住している専有部分のある建物及びその敷地のほかに、駐車場、ごみ集積所等の附属施設もマンションに含まれる」は、正しい。 2 2人以上の区分所有者が存在し、複数の事務所及び店舗等と1の住居がある建物は、マンションに含まれる。 ○ 正しい。 選択肢1で説明しましたように、マンション管理適正化法第2条1号イ によれば、マンションとは、 ①二以上の区分所有者がいて、 ②人の居住の用に供する専有部分があり、 ③並びにその敷地及び附属施設 ですから、「2人以上の区分所有者が存在し、複数の事務所及び店舗等と1の住居がある建物」でも、居住用の専有部分が1つありますので、マンションで、正しい。 3 2人以上の賃借人が居住し、1人の所有に属する建物及びその敷地は、マンションに含まれる。 X 誤りである。 2人以上の区分所有者がいない。 選択肢1で説明しましたように、マンション管理適正化法第2条1号イ によれば、マンションとは、 ①二以上の区分所有者がいて、 ②人の居住の用に供する専有部分があり、 ③並びにその敷地及び附属施設 ですから、2人以上の賃借人が居住していても、区分所有者が1人では、マンションではなく、誤りです。 4 1団地内において、2人以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分のあるものを含む、数棟の建物の所有者の共有に属する土地は、マンションに含まれる。 ○ 正しい。 団地なら、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法第2条1号ロ 「ロ 一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内にあるイに掲げる建物を含む数棟の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地及び附属施設」 とあり、 イ に掲げる建物とは、 「①二以上の区分所有者がいて、 ②人の居住の用に供する専有部分があり、 ③並びにその敷地及び附属施設」 ですから、正しい。 答え:3。 よく、出題文を読むことです。 易しい。 《タグ》マンションとは、 団地。 マンション管理適正化法 |
【問 48】 株式会社甲は、A及びBの2つの事務所(マンション管理適正化法第45条第1項第2号に規定する事務所をいう。以下、本問において同じ。)を有するマンション管理業者である。A事務所は、人の居住の用に供する独立部分(区分所有法第1条に規定する建物の部分をいう。以下、本問において「独立部分」という。)の数が全て6以上の150の管理組合、B事務所は、独立部分が全て5以下の30の管理組合からそれぞれ管理事務の委託を受けている。専任の管理業務主任者に関する次のアからエまでの記述のうち、マンション管理適正化法によれば、正しいものはいくつあるか。
ア A事務所において、5人の成年者である管理業務主任者がいる場合に、その中の1人が退職したときは、1月以内に新たに専任の管理業務主任者を1人置かなければならない。 X 誤っている。 1か月以内ではなく、2週間以内。 平成24年マンション管理士試験 「問48」、 平成24年管理業務主任者試験 「問50」、平成22年マンション管理士試験 「問48」、 平成20年マンション管理士試験 「問50」 など。 まず、専任(その事務所に常時勤務して、マンション管理の業務を行う)の管理業務主任者の設置を定めているのは、マンション管理適正化法第56条 「(管理業務主任者の設置) 第五十六条 マンション管理業者は、その事務所ごとに、事務所の規模を考慮して国土交通省令で定める数の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならない。ただし、人の居住の用に供する独立部分(区分所有法第一条 に規定する建物の部分をいう。以下同じ。)が国土交通省令で定める数以上である第二条第一号イに掲げる建物の区分所有者を構成員に含む管理組合から委託を受けて行う管理事務を、その業務としない事務所については、この限りでない。 2 前項の場合において、マンション管理業者(法人である場合においては、その役員)が管理業務主任者であるときは、その者が自ら主として業務に従事する事務所については、その者は、その事務所に置かれる成年者である専任の管理業務主任者とみなす。 3 マンション管理業者は、第一項の規定に抵触する事務所を開設してはならず、既存の事務所が同項の規定に抵触するに至ったときは、二週間以内に、同項の規定に適合させるため必要な措置をとらなければならない。」 とあり、 これを受けた、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則第61条及び第62条 「(法第五十六条第一項 の国土交通省令で定める管理業務主任者の数) 第六十一条 法第五十六条第一項 の国土交通省令で定める管理業務主任者の数は、マンション管理業者が管理事務の委託を受けた管理組合の数を三十で除したもの(一未満の端数は切り上げる。)以上とする。」 「(法第五十六条第一項 の国土交通省令で定める人の居住の用に供する独立部分の数) 第六十二条 法第五十六条第一項 の国土交通省令で定める人の居住の用に供する独立部分の数は、六とする。」 です。 そこで、A事務所は、 人の居住の用に供する独立部分の数が全て6以上の150の管理組合なら、 必要な専任の管理業務主任者の数は、 150組合 ÷ 30 = 5 人 です。 設問のように、5人の管理業務主任者のうち1人が退職すれば、また、1人補充が必要です。 そこで、管理業務主任者が足りなくなった時には、、マンション管理適正化法第56条3項によれば、「既存の事務所が同項の規定に抵触するに至ったときは、二週間以内に、同項の規定に適合させるため必要な措置をとらなければならない。」により、必要な措置は「2週間以内」にとるようになっていますから、設問の「1か月以内」は、誤りです。 (おっと、人数の計算に気を取られて、日数の方を見落としてしまうところだった。) イ B事務所においては、成年者である専任の管理業務主任者を1人も設置する必要がない。 ○ 正しい。 B事務所は、独立部分が全て5以下の30の管理組合からそれぞれ管理事務の委託を受けていますから、選択肢アで引用しました、マンション管理適正化法第56条1項 「マンション管理業者は、その事務所ごとに、事務所の規模を考慮して国土交通省令で定める数の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならない。」 と マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則第61条及び第62条により、 独立部分が全て5以下の事務所であれば、成年者である専任の管理業務主任者を1人も設置する必要がなく、正しい。 ウ B事務所において、新たに独立部分が6以上ある1の管理組合から管理事務の委託を受けることになった場合には、成年者である専任の管理業務主任者を1人設置しなければならない。 ○ 正しい。 選択肢イでも説明しましたように、独立部分が5以下なら、成年者である専任の管理業務主任者の設置は不要ですが、新たに独立部分が6以上ある1の管理組合から管理事務の委託を受けることになった場合となると、選択肢アでも引用しました、マンション管理適正化法第56条1項、と マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則第61条及び第62条により、成年者である専任の管理業務主任者を1人設置しなければなりませんから、正しい。 エ A事務所において、専任の管理業務主任者となっている者は、専任の取引主任者(宅地建物取引業法第15条第1項に規定する者をいう。)を兼務することができる。 X 誤っている。 ”専任”の管理業務主任者と”専任”の宅地建物取引主任者は兼任できない。 これは、管理業務主任者と宅地建物取引主任者をともに管轄しています、国土交通省の通達があります。 平成14年2月28日:国総動309号 「2 「専任の管理業務主任者」は、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第15条第1項に規定する「専任の取引主任者」を兼務できないこと。ただし「専任でない管理業務主任者」が「専任の取引主任者」を兼務すること及び「専任の管理業務主任者」が「専任でない取引主任者」を兼務することは差し支えないこと。 また、マンション管理業の事務所が建築士事務所、建設業の営業所等を兼ね、当該事務所における管理業務主任者が建築士法、建設業法等の法令により専任を要する業務に従事しようとする場合、及び個人のマンション管理業者が管理業務主任者となっているマンション管理業の事務所において、当該個人が同一の場所において土地家屋調査士、行政書士等の業務をあわせて行おうとする場合等については、他の業種の業務量等を斟酌のうえ専任と認められるものを除き、専任の管理業務主任者とは認められないこと」 とあり、 専任の管理業務主任者となっている者は、専任の宅地建物取引主任者との兼務はできませんから、誤りです。 1 一つ 2 二つ 3 三つ 4 四つ 答え:2. 正しいものは、 イ と ウ の2つ。 危うく選択肢ア のひっかけにはまるところだった。 《タグ》専任の管理業務主任者の数、宅地建物取引主任者との兼任。 マンション管理適正化法 + 規則。 |
【問 49】 マンション管理業者が行う重要事項の説明に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法によれば、誤っているものはどれか。
1 マンション管理業者は、管理組合と管理受託契約を締結するにあたって、新たに建設されたマンションの建設工事の完了の日から1年を経過するまでの間に契約期間が満了するものについては、重要事項説明をしなくても契約を締結できる。 ○ 正しい。 よく出題される。 平成24年管理業務主任者試験 「問47」、 平成23年管理業務主任者試験 「問47」、平成22年マンション管理士試験 「問49」、 平成20年管理業務主任者試験 「問49」 など 管理受託契約を締結する際の重要事項説明は、マンション管理適正化法第72条 「(重要事項の説明等) 第七十二条 マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約(新たに建設されたマンションの当該建設工事の完了の日から国土交通省令で定める期間を経過する日までの間に契約期間が満了するものを除く。以下「管理受託契約」という。)を締結しようとするとき(次項に規定するときを除く。)は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等に対し、管理業務主任者をして、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるもの(以下「重要事項」という。)について説明をさせなければならない。この場合において、マンション管理業者は、当該説明会の日の一週間前までに、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に対し、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を交付しなければならない。 2 マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、あらかじめ、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面を交付しなければならない。 3 前項の場合において当該管理組合に管理者等が置かれているときは、マンション管理業者は、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、重要事項について、これを記載した書面を交付して説明をさせなければならない。 4 管理業務主任者は、第一項又は前項の説明をするときは、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければならない。 5 マンション管理業者は、第一項から第三項までの規定により交付すべき書面を作成するときは、管理業務主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない。 」 とあり、 1項によれば、マンション管理業者は管理受託契約について、説明会を開催し、管理業務主任者がその重要事項を説明することになっていますが、例外が規定されています。 それが、「新たに建設されたマンションの当該建設工事の完了の日から国土交通省令で定める期間を経過する日までの間に契約期間が満了するものを除く。」です。 これを受けた国土交通省令は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則第82条 「(法第七十二条第一項 の国土交通省令で定める期間) 第八十二条 法第七十二条第一項 の国土交通省令で定める期間は、一年とする。」 とあり、 設問の「マンション管理業者は、管理組合と管理受託契約を締結するにあたって、新たに建設されたマンションの建設工事の完了の日から1年を経過するまでの間に契約期間が満了するものについては、重要事項説明をしなくても契約を締結できる」は、正しい。 2 マンション管理業者は、管理受託契約を更新しようとする場合において、従前の管理受託契約に比して、管理事務の内容及び実施方法の範囲を縮小し、管理事務に要する費用の額を減額する変更を行い、その他の契約内容を同一とするときは、あらかじめ、重要事項説明会を開催する必要はない。 X 誤っている。 前の管理受託契約より縮小し、費用の額を減額するなら、あらかじめ、重要事項説明会を開催する必要がある。 重要事項の説明は、選択肢1でも引用しました、マンション管理適正化法第72条2項、 「2 マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、あらかじめ、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面を交付しなければならない。」 とあり、 従前の管理受託契約と同一の条件なら、重要事項書面を交付するだけで、説明会の開催が省略できます。 そこで、この「従前の管理受託契約と同一の条件」とは、何かについて、国土交通省からの通達がでています。 それが、平成14年2月28日 国総動通達 309号 「従前の管理受託契約と同一の条件」について 法第72条第2項に規定する「同一の条件」には、施行通達第二3(1)ハの「マンション管理業者の商号又は名称、登録年月日及び登録番号」の変更に加え、以下に関しての契約内容の軽微な変更も含むものであること。 (1)従前の管理受託契約と管理事務の内容及び実施方法(法第76条の規定により管理する財産の管理の方法を含む。以下同じ)を同一とし、管理事務に要する費用の額を減額しようとする場合 (2)従前の管理受託契約に比して管理事務の内容及び実施方法の範囲を拡大し、管理事務に要する費用の額を同一とし又は減額しようとする場合 (3)従前の管理受託契約に比して管理事務に要する費用の支払いの時期を後に変更(前払いを当月払い若しくは後払い、又は当月払いを後払い)しようとする場合 (4)従前の管理受託契約に比して更新後の契約期間を短縮しようとする場合 (5)管理事務の対象となるマンションの所在地の名称が変更される場合」 です。 これらによると、従前の管理受託契約に比して、管理組合に不利でなければ、契約内容の軽微な変更も「同一の条件」に含めていいということです。 そこで、設問の「従前の管理受託契約に比して、管理事務の内容及び実施方法の範囲を縮小し、管理事務に要する費用の額を減額する変更」が、国土交通省の通達内に該当するかどうかの検討ですが、これは、「管理事務の内容及び実施方法の範囲は同一とし、管理事務に要する費用の額を減額」なら、通達の(1)に該当していますが、「管理事務の内容及び実施方法の範囲を縮小し、管理事務に要する費用の額を減額」では、国土交通省の通達から外れているようですので、契約内容の軽微な変更とはならず、誤りと、出題元はさせたいようです。 3 マンション管理業者は、管理受託契約を更新しようとする場合において、従前の管理受託契約に比して、契約期間を短縮し、その他の契約内容を同一とするときは、あらかじめ、重要事項説明会を開催する必要はない。 ○ 正しい。 設問は、選択肢2で引用しました、マンション管理適正化法第72条2項、及び平成14年2月28日 国総動通達 309号 (4) 「(4)従前の管理受託契約に比して更新後の契約期間を短縮しようとする場合」 に該当していますから、従前の管理受託契約内容の軽微な変更として、あらかじめ、重要事項説明会を開催する必要はなく、正しい。 4 マンション管理業者は、従前の契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとする場合において、当該管理組合に管理者等が置かれているときは、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、重要事項について、これを記載した書面を交付して説明をさせなければならない。 ○ 正しい。 設問は、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法第72条2項及び3項、 「2 マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、あらかじめ、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面を交付しなければならない。 3 前項の場合において当該管理組合に管理者等が置かれているときは、マンション管理業者は、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、重要事項について、これを記載した書面を交付して説明をさせなければならない。 」 とあり、 正しい。 答え:2 。 この従前の契約と同一の条件と軽微な変更も、それほど、難しくはない。 《タグ》従前の契約と同一の条件、軽微な内容の変更。 マンション管理適正化法 |
【問 50】 管理業務主任者に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法によれば、正しいものはどれか。 |
ここまで、問50 |
最終更新日:
2017年 4月11日:平成28年3月の標準管理規約の改正に対応した。
2015年 2月27日:第2稿 チェック済み。
2015年 2月15日:リンクを入れた。
2015年 2月 1日:一応第1稿 Up済み。
2015年 1月24日:本格的な解説開始。
問題文Up:2014年12月13日
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