マンション生活での相談は、「マンション管理士 香川事務所」へ。

平成25年 管理業務主任者 試験問題 及び 解説

ページ1(問1より問25まで)

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謝辞:問題文の作成にあっては、「中村様」と「じゃが ろこぽん様」の協力を得ています。
テキスト文への変更など、ご助力を心から感謝いたします。

「マンション管理士 香川事務所」より。

ご質問は、 「マンション管理士 香川事務所」へ。


*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。

 また、マンションの管理の適正化に関する指針も、平成28年3月に改正があり、解説においては、未対応ですから、注意してください。


※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。

*試験に臨んで、お節介なアドバイス
  1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
    殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
    そして、各選択肢を読み、○かXをつけます。
    問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。

  2.疑問な問題は、とりあえず飛ばす。
    回答の時間は限られています。
    そこで、回答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
    全部の回答が終わってから、再度戻って決定してください。

  3.複雑な問は、図を描く。
    甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
    この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。
    重要な点が分かってきます。

(出題者からの注意) 1.答えは、各問題とも1つだけです。複数の解答をしたもの、判読が困難なものは、正解としません。
              2.問題中の法令等に関する部分は、平成25年4月1日現在で施行されている規定に基づいて出題されています。


解説者からのコメント:あやふやな出題、適切でない出題もあって、解答ができないのもあります。

※  マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
   マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。

問1

【問1】マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年法律第149号。以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号に規定するものをいう。以下同じ。)の管理組合法人A(以下、本問において「A」という。)が、マンション管理業者(マンション管理適正化法第2条第8号に規定する者をいう。以下同じ。)B(以下、本問において「B」という。)との間で管理委託契約(以下、本問において「本件契約」という。)締結の前に、Bが管理業務主任者(マンション管理適正化法第2条第9号に規定する者をいう。以下同じ。)をして、重要事項の説明をさせ、その後、本件契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法及び建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下「区分所有法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア 本件契約の締結前に開催した契約に関する重要事項についての説明会において、本件契約の内容について説明を行う管理業務主任者は、Bの復代理人である。

X 誤りである。 マンション管理業者は、管理組合法人の代理人ではないため、管理業務主任者も、マンション管理業者の復代理人ではない。
 まず、建物の区分所有等に関する法律(以下、当解説では、「区分所有法」といいます)では、法律用語として「マンション」の定義がありません。しかし、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、当解説では、「マンション管理適正化法」といいます)第2条では、以下のように定義されていますので、マンションの用語を試験で使用する際には設問のような「マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号イに規定するマンションをいう」の表現が使用されます。
 そこで、マンション管理適正化法第2条とは、
 「(定義) 
  第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
     一  マンション 次に掲げるものをいう。
       イ 二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項 に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項 に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設」
 です。これによれば、「マンション」であるための要件は、
    @2人以上の区分所有者 がいて、 
    A人の居住用の専有部分が1つでもあればいい 
 です。マンションの建物には、専有部分と共用部分しかなく、そして、マンションは専有部分と共用部分を含んだ建物と敷地及び附属施設の全体的なものであることに注意してください。


 そこで、設問のマンションの管理組合法人とマンション管理業者が締結する「管理委託契約」は、マンション管理適正化法によりますとマンション管理業者は、管理業務主任者をして契約締結の前に、重要事項の説明をさせなければなりません。(マンション管理適正化法第72条参照)。設問は、その過程を述べています。
 では、選択肢アの検討ですが、マンションの管理組合(法人も含めて)とマンション管理業者が締結する「管理委託契約」の内容ですが、敷地や建物の共用部分の維持・管理を中心としたもので、具体的には、会計業務、清掃や理事会支援業務などがあります。(ここは、国土交通省が作成した、「マンション標準管理委託契約書」がありますから参照してください)
 そこで、管理委託契約は、民法でいえば、仕事の完成を目的とする請負契約(民法第632条以下)と一部には法律行為の委任(または準委任)の性格(民法第643条以下)を持っています。
 この設問では、委任と代理の違いになりますが、委任関係は、多くの場合、代理関係を伴いますが、解釈として委任契約は、当事者間に事務処理をするだけの債務関係を成立させるだけで、代理権の授与契約とは別の物であると捉えられています。
 委任と代理は別の観念であるということです。代理権を与えるには、委任契約とは別の代理権を与える契約が必要ということで、「管理委託契約」には、代理権の授与はありません。
 この考え方により、マンション管理業者Bは、委任を受けてはいますが、マンションの管理組合(法人)の代理人ではないということです。
 そして、復代理人とは、代理人によって選任され、代理人と並んで、代理権の全部または一部を行使する、本人を代理する者です。
 マンション管理業者Bがマンションの管理組合(法人)の代理人ではありませんから、本件契約の内容について説明を行う管理業務主任者も復代理人には該当しませんから、誤りです。


 参照:民法
 「(代理行為の要件及び効果)
 第九十九条  代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。
   2  前項の規定は、第三者が代理人に対してした意思表示について準用する。」
 「(任意代理人による復代理人の選任)
 第百四条  委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。」
 「(請負)
 第六百三十二条  請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」
 「(委任)
 第六百四十三条  委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。 」



イ 本件契約を締結したAを代表する理事Cは、Aの代理人ではない。

○ 正しい。 管理組合法人では、理事は管理組合法人を代表する。代理人ではない。 平成24年 管理業務主任者試験 「問34」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問3」 、平成20年 マンション管理士試験 「問8」 、 平成19年 マンション管理士試験 「問2」 平成19年 管理業務主任者試験 「問36」 。
 今度は、代理と代表の違いです。
 代理と代表はかなり似たような概念で、説明も面倒ですが、まず代表の概念は、法人は自分では意思の決定が出来ませんから、自然人をして、法人の行為を行います。
 その法人の行為をする自然人を法人の代表とか代表者とか、代表機関といいます。代表が行った行為と法人の行為が一体化しています。
 一方、代理とは、本人がいて、その本人とは別の人格の代理人も存在していて、代理人が行った行為は、本人が行わなくてもその効果が本人が行った事になる点で、法人の代表とは異なっています。





 そこで、選択肢イの検討ですが、これには、区分所有法第47条の法人の規定があります。
「(成立等)
 第四十七条  第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる。
   2  前項の規定による法人は、管理組合法人と称する。
   3  この法律に規定するもののほか、管理組合法人の登記に関して必要な事項は、政令で定める。
   4  管理組合法人に関して登記すべき事項は、登記した後でなければ、第三者に対抗することができない。
   5  管理組合法人の成立前の集会の決議、規約及び管理者の職務の範囲内の行為は、管理組合法人につき効力を生ずる。
   6  管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。
   7  管理組合法人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
   8  管理組合法人は、規約又は集会の決議により、その事務(第六項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。
   9  管理組合法人は、前項の規約により原告又は被告となつたときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合においては、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。
   10  一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 (平成十八年法律第四十八号)第四条 及び第七十八条 の規定は管理組合法人に、破産法 (平成十六年法律第七十五号)第十六条第二項 の規定は存立中の管理組合法人に準用する。
   11  第四節及び第三十三条第一項ただし書(第四十二条第五項及び第四十五条第四項において準用する場合を含む。)の規定は、管理組合法人には、適用しない。
   12  管理組合法人について、第三十三条第一項本文(第四十二条第五項及び第四十五条第四項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定を適用する場合には第三十三条第一項本文中「管理者が」とあるのは「理事が管理組合法人の事務所において」と、第三十四条第一項から第三項まで及び第五項、第三十五条第三項、第四十一条並びに第四十三条の規定を適用する場合にはこれらの規定中「管理者」とあるのは「理事」とする。
   13  管理組合法人は、法人税法 (昭和四十年法律第三十四号)その他法人税に関する法令の規定の適用については、同法第二条第六号 に規定する公益法人等とみなす。この場合において、同法第三十七条 の規定を適用する場合には同条第四項 中「公益法人等(」とあるのは「公益法人等(管理組合法人並びに」と、同法第六十六条 の規定を適用する場合には同条第一項 及び第二項 中「普通法人」とあるのは「普通法人(管理組合法人を含む。)」と、同条第三項 中「公益法人等(」とあるのは「公益法人等(管理組合法人及び」とする。
   14  管理組合法人は、消費税法 (昭和六十三年法律第百八号)その他消費税に関する法令の規定の適用については、同法 別表第三に掲げる法人とみなす。」とあり、
  区分所有法第47条6項により、区分所有者を代理するのは、管理組合法人という法人格です。


 また、管理組合法人での理事を規定していますのは、区分所有法第49条
 「(理事)
 第四十九条  管理組合法人には、理事を置かなければならない。
   2  理事が数人ある場合において、規約に別段の定めがないときは、管理組合法人の事務は、理事の過半数で決する。
   3  理事は、管理組合法人を代表する。
   4  理事が数人あるときは、各自管理組合法人を代表する。
   5  前項の規定は、規約若しくは集会の決議によつて、管理組合法人を代表すべき理事を定め、若しくは数人の理事が共同して管理組合法人を代表すべきことを定め、又は規約の定めに基づき理事の互選によつて管理組合法人を代表すべき理事を定めることを妨げない。
   6  理事の任期は、二年とする。ただし、規約で三年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。
   7  理事が欠けた場合又は規約で定めた理事の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した理事は、新たに選任された理事(第四十九条の四第一項の仮理事を含む。)が就任するまで、なおその職務を行う。
   8  第二十五条の規定は、理事に準用する。」とあり、

 第49条3項により、管理組合法人Aを代表する理事Cは、管理組合法人Aを代表しますが、管理組合法人Aの代理人ではありませんから、選択肢イは、正しい。



ウ 本件契約を締結したAを代表する理事Cが本件契約締結後に行為能力を喪失したときは、その後、C以外のAの理事によって本件契約が追認されない限り、本件契約は効力を生じない。

X 誤っている。 行為能力は、行為時にあれば、追認がなくても有効。
 意思表示が詐欺や強迫によれば、(民法第96条参照)取消や追認の問題になりますが、契約締結に正常な行為能力があれば、その契約は有効ですから、契約締結後に行為能力を喪失しても、追認がなくても、その契約は効力をもっていますから、誤りです。

 参考:民法
 「(無効な行為の追認)
 第百十九条  無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない。ただし、当事者がその行為の無効であることを知って追認をしたときは、新たな行為をしたものとみなす。」
 「(取消権者)
 第百二十条  行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
   2  詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。 」



エ 本件契約を締結したAを代表する理事Cが、Bを他のマンション管理業者Dであると誤認して本件契約を締結した場合に、Cが誤認したことについて重大な過失がないときは、Aは錯誤を理由に本件契約を取消し又は解除することができる。

X 誤っている。 重要部分に錯誤があれば、最初から無効。 平成24年 管理業務主任者試験 「問1」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問1」 、平成23年 マンション管理士試験 「問18」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問2」 、 平成17年 管理業務主任者試験 「問2」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「問2」 。
 管理業者を間違えて(誤認)契約をしたとなると、民法第95条
 「(錯誤)
 第九十五条  意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。 」とあり、
 ここでの「法律行為の要素」に、「Bを他のマンション管理業者Dであると誤認」したが該当するかどうかの検討です。
 多くの判例としては、意思表示の相手方を間違え場合には、「要素の錯誤」があったとして、第95条を適用していますから、設問の場合も、第95条に該当し、無効となります。
 無効となるということは、最初から、当然に効果が生じていませんので、管理組合法人Aは錯誤を理由に本件契約を取消し又は解除する必要はありませんから、誤りです。
 でも現実としては、無効を相手方に伝えることはします。



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ 


答え:1 (正しいのは、 イ の1つだけ)  
 この設問は、民法の基本で、易しい出題です。 でも平成25年の管理業務主任者試験では、最初から、文章が長くて、しかも、正解が出しにくい個数問題とは、これからの解説にも時間が掛かりそうです。

 なお、区分所有法の解説としては、「マンション管理士 香川事務所」 が無料で提供しています、「超解説 区分所有法」 のサイトもありますから、ご利用ください。


*2013年12月 5日:平成25年の管理業務主任者試験では、資格校の解答速報で答えが分かれています、「問30」 と 「問35」 を先にやります。
問2

【問2】あるマンション管理業者が、管理組合との間で締結した管理委託契約に基づく業務の一つとして、管理費滞納者に対して管理費(水道光熱費は含まないものとする。)の支払いを督促する業務がある場合において、当該マンション管理業者が督促を行う予定の次の者のうち、管理費債務を負担しないことから、督促の相手方として不適切であるものはいくつあるか。

ア 区分所有者の相続人

○ 適切である。 平成25年 マンション管理士試験 「問4」 、 
 まず、国土交通省が、マンションの管理組合とマンション管理業者との間で締結する管理委託契約の1つの雛形として作成した「マンション標準管理委託契約書(以下、この解説では「標準管理委託契約書」といいます)」があります。この標準管理委託契約書10条によると、以下のように、マンション管理業者は、管理費などの滞納があると、支払いを督促する業務が含まれています。
 標準管理委託契約書10条
 「第10 条 乙(注:マンション管理業者)は、第3条第1号の業務のうち、出納業務を行う場合において、甲(注:管理組合)の組合員に対し別表第1 1(2)Aの督促を行っても、なお当該組合員が支払わないときは、その責めを免れるものとし、その後の収納の請求は甲が行うものとする。
   2 前項の場合において、甲が乙の協力を必要とするときは、甲及び乙は、その協力方法について協議するものとする。」
 設問は、それを述べたものです。

 そこで、出題は、管理費や修繕積立金などの滞納があった場合に、誰に支払い義務があるかということを聞いています。
 根拠となるのは、区分所有法第19条
 「(共用部分の負担及び利益収取)
 第十九条  各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。 」です。
 これにより、まず、区分所有者には、共用部分の維持・管理に必要な管理費や修繕積立金を支払う義務があります。
 そこで、滞納した区分所有者が死亡した場合には、その相続人は、民法896条
 「(相続の一般的効力)
 第八百九十六条  相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。 」により、 
 相続人は相続を放棄しないかぎり、死亡した区分所有者の資産も負債も承継する(引き受ける)ことになりますから、督促の相手として、正しいとなります。
 なお、相続のように、他人の権利義務を一括して承継することを包括承継(一般承継ともいいます。)といい、承継する者を包括承継人といいます。





イ 区分所有者から当該専有部分を賃借している者

X 適切でない。 賃借している者には、滞納管理費などの支払い義務はないので督促できない。 平成24年 管理業務主任者試験 「問11」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問3」 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問11」 、 平成20年 マンション管理士試験 「問2」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問10」 、 平成19年 管理業務主任者試験 「問10」 など 多い。 
 選択肢アでも述べましたように、管理費や修繕積立金など、共用部分の維持・管理に必要な費用の支払い義務は、区分所有者にあり、また賃借人は特定承継人にも該当しませんから、賃借人に対しては、区分所有者に滞納があっても督促はできませんので、適切ではありません。



ウ 区分所有者から当該専有部分の贈与を受けた者

○ 適切である。 贈与を受けた者も特定承継人として支払い義務があるので、督促できる。
 区分所有者から当該専有部分の贈与を受けた者や、当該専有部分を売買により買った人は、他人の権利義務を個別的に取得するので民法では特定承継といい、承継する者を特定承継人といいます。
 通常、民法などの解釈では、一般に、合意による取決めは、その合意の当事者及び相続人等の包括承継人のみを拘束するのが原則であり、売買による譲受人(買主)のような特定承継人を拘束しません。
 そこで、規約などで決められている管理費等の支払い義務は、それが滞納となれば滞納した人に支払い義務があり、あとから買った人など特定承継人には前の区分所有者の滞納までの支払い義務はありません。
 しかし、区分所有法の制定者は、これでは、共同生活をしているマンションでは不都合があると感じて、区分所有法に独特の規定を設けました。それが、区分所有法第8条です。
 「(特定承継人の責任)
 第八条  前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。」
 第8条で引用されています、前条とは、第7条
 「(先取特権)
 第七条  区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。
   2  前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。
   3  民法 (明治二十九年法律第八十九号)第三百十九条 の規定は、第一項の先取特権に準用する。」 とあり、

 滞納された管理費や修繕積立金は、「共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権」に該当しますから、この区分所有法第7条と第8条により、特定承継人である、売買、交換、贈与また、抵当権の実行により競売物件を競落して所有権を取得した競落人(買受人)も特定承継人として、前の区分所有者の滞納した管理費や修繕積立金などの支払いが義務がありますから、督促の相手として適切です。



エ 区分所有者と当該専有部分に同居している2親等内の親族

X 適切でない。 同居している2親等内の親族では、督促の相手にできない。
 選択肢ア及びウで述べましたように、滞納した管理費や修繕積立金等の支払い義務を負っていますのは、@滞納した区分所有者本人、A滞納した区分所有者が死亡した場合には、相続人(包括承継人)、そして、B売買、交換、贈与また、抵当権の実行により競売物件を競落して所有権を取得した競落人(買受人)の特定承継人 ですから、例え、区分所有者と当該専有部分に同居している、2親等内の親族でも、督促の相手にはできませんから、不適切です。


1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え:2 (督促の相手として、不適切なのは、イ と エ) 。
 もう、2問目でも1問目に続いて個数問題です。答えとしては、易しいのですが、解説にも時間がかかります。

問3

【問3】管理費の支払い等に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、本問において管理組合の管理費月額は10,000円であり、毎月月末に当月分を支払う定めがあるものとする。

1 区分所有者が、管理組合に対して、ある期の管理費について、管理費月額を15,000円であると誤認して支払った場合には、その過払分5,000円については、次期の管理費として当然に充当され、管理組合に対して返還請求をすることはできない。

X 誤っている。 錯誤なら返還請求できる。
 毎月月末に当月分を支払う定めがある場合に、いつもの決められた金額より多く支払う行為となると、その過払い金は、期限前の弁済となり、民法第706条
 「(期限前の弁済)
 第七百六条  債務者は、弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、債務者が錯誤によってその給付をしたときは、債権者は、これによって得た利益を返還しなければならない。」とあり、
 過払い分を不当利得(民法第703条参照)として支払った人が返還請求をすることもできなくはないのですが、その金額はまた弁済期がくれば払うものであれば、原則として、もうその分は返還しなくてもいいということにしています。
 しかし、過払い分が、錯誤を理由とすると、「ただし書き」が適用され、当事者間で過払い分については次期分に充当するなどの合意でもないかぎり、返還請求ができますから、誤りです。


2 区分所有者が、管理組合に対して、ある年の5月分の管理費月額10,000円を同年5月1日に支払った場合には、当該区分所有者は、同年5月末日の到来前において、管理組合に対して、その支払額の返還を請求することができる。

X 誤っている。 錯誤でないので返還請求できない。
  約1ヶ月前の支払ですが、これも、選択肢1で引用しました、民法第706条
 「(期限前の弁済)
 第七百六条  債務者は、弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、債務者が錯誤によってその給付をしたときは、債権者は、これによって得た利益を返還しなければならない。」の、
 本文に該当して、支払った区分所有者は、返還請求は出来ませんから、誤りです。



3 区分所有者Aが、他の区分所有者Bの管理費を立て替えて支払った場合に、Aは、Bに対して有する求償権について、Bの区分所有権及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。

○ 正しい。
 ある区分所有者が、他の区分所有者の管理費の立替払いをしたとなると、その債権は今度は区分所有法第7条
 「(先取特権)
 第七条  区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。
   2  前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす
   3  民法 (明治二十九年法律第八十九号)第三百十九条 の規定は、第一項の先取特権に準用する。」とあり、
 第7条1項に該当し、他の区分所有者Bの区分所有権及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有しますから、正しい。



4 区分所有者が、管理組合の理事長に対して、不法なことを行わせる目的で金銭を給付した場合に、当該区分所有者は、当該理事長に対して、上記給付は公序良俗に反し無効であるとして返還を請求することができる。

X 誤っている。 不法が原因では、返還請求できない。 平成15年 管理業務主任者試験 「問2」 。 
 まず、不法なことを行わせる目的で金銭を給付した場合となると、民法第90条
 「(公序良俗)
 第九十条  公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。 」とあり、
 無効な行為なら、給付した金銭を返せと言えそうですが、民法第708条
 「(不法原因給付)
 第七百八条  不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。」とあり、
 給付した区分所有者は、理事長に対して、返還請求ができませんから、誤りです。



答え:3  過去問題にはない、新しい民法の条文からの出題でした。 しかし選択肢3 は区分所有法を勉強していれば、正しいとわかる設問でした。

問4

【問4】マンションの専有部分甲(以下「甲」という。)について区分所有権を有するAが、甲を売買又は賃貸した場合に関する次の記述のうち、民法、借地借家法(平成3年法律第90号)の規定及び最高裁判所の判例に照らして、正しいものはどれか。

1 Aが甲をBに売ったが、その旨の移転登記がなされない限り、Bは、甲についての区分所有権を取得しない。

X 誤っている。 所有権は移転しているが、登記がないと第三者に対抗できないだけ。 平成25年 マンション管理士試験 「問12」 にもある。
  売買契約は、契約した時に成立し、事実上の支配がなくてもその所有権(物権の1つです)は移転していると民法第176条は規定しています。
 「(物権の設定及び移転)
 第百七十六条  物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。 」とあり、
 AがBに区分所有権(専有部分)を売買したことにより、当事者間では、買ったBが区分所有権を取得していますから、誤りです。
  ただ、区分所有権を第三者に対して主張するなら、民法第177条
 「(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
 第百七十七条  不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。 」とあり、
 登記がないと、第三者に対して主張できないというだけです。



2 Aが甲をBに売り、BがそれをCに転売してCがそこに居住している場合に、その後、AがBの代金不払いを理由に売買契約を解除したときには、Aは、Cに対して、Cが甲の移転登記を得ているか否かにかかわらず、甲の明渡しを請求することができる。

X 誤っている。 第三者には、解除の効果は及ばない。
  登場人物が多い時は、図を書きましょう。
 
  AB間の契約が解除された場合に、第三者であるCまで効果が及ぶかという問題です。
 まず、解除の効果は、民法第545条
 「(解除の効果)
 第五百四十五条  当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない
   2  前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
   3  解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。 」とあり、
 第545条1項により、その解除は、第三者Cには及びませんから、Aは、Cに対して、甲の明渡しを請求することができませんから、誤りです。
 また、設問の「Cが甲の移転登記を得ているか否かにかかわらず」ですが、ここも、Cが移転登記を既にしていれば、Aは甲の明渡しを請求することができません(選択肢1で引用しました民法第177条参照)ので、ここも誤りです。



3 Aが甲をBに賃貸し、BがそれをAに無断でCに転貸してCがそこに居住した場合に、Aは、特段の事情がない限り、Bとの賃貸借契約を解除し、Cに対して甲の明渡しを請求することができる。

○ 正しい。 平成24年 マンション管理士試験 「問15」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問43」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問3」 、 平成20年 マンション管理士試験 「問3」 、平成20年 管理業務主任者試験 「問5」 など 出題は多い。

 無断での転貸となると、民法第612条
 「(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
 第六百十二条  賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
   2  賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。 」とあり、
 第612条1項により、賃借人は賃貸人に無断で、転貸はできなくなっています。
 そこで、無断で転貸したとなると2項「第三者に賃借物の使用又は収益をさせたとき」の解釈となるわけですが、設問のような「Cがそこに居住した場合」はこれに該当しますから、AはBとの賃貸借契約を解除し、Cに対して甲の明渡しを請求することができますから、正しい。
 設問が「特段の事情がない限り」としているのは、裁判では転借人の事情も考慮されることがあるためです。



4 Aが甲をBに賃貸し、Bがそこに居住した後に、Aが甲をCに売りその旨の登記をCに移転した場合に、Cは、Bに対して、甲の明渡しを請求することができる。

X 誤っている。 先の引渡しが優先し、後からの明け渡しは請求できない。

 登記と居住の関係となると今度は、借地借家法第31条
 「(建物賃貸借の対抗力等)
 第三十一条  建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。
   2  民法第五百六十六条第一項 及び第三項 の規定は、前項の規定により効力を有する賃貸借の目的である建物が売買の目的物である場合に準用する。
   3  民法第五百三十三条 の規定は、前項の場合に準用する。」とあり、
 借地借家法第31条1項により、借りて引渡し(居住している)があれば、登記をしなくても、その後の建物の所有者に対抗できますから、CはBに対して、専有部分の明け渡しは請求できず、誤りです。


答え:3  問題文は易しいが、選択肢ごとに登場人物の設定が異なっているので、図の作成にも時間がかかる。

問5

【問5】管理組合法人A(以下、本問において「A」という。)は、建設会社B(以下、本問において「B」という。)との間でマンションの共用部分である1階部分の廊下の修繕工事(以下、本問において「本件工事」という。)を内容とする請負契約を締結した。この場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 本件工事に瑕疵があるときは、Aは、Bに対し、その瑕疵について、契約の解除又は損害賠償の請求をすることはできるが、修補を請求することはできない。

X 誤っている。 契約の解除はできない。損害賠償の請求、修補の請求はできる。 平成22年 マンション管理士試験 「問13」 、 平成19年 マンション管理士試験 「問14」 、 平成17年 マンション管理士試験 「問16」 。
 売主の瑕疵担保責任と請負での瑕疵担保責任は違います。
 請負契約での瑕疵担保責任は、民法第634条
 「(請負人の担保責任)
 第六百三十四条  仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。
   2  注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第五百三十三条の規定を準用する。」とあり、

 引用されています、民法第533条は、
 「 (同時履行の抗弁)
 第五百三十三条  双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。 」です。

 まず、契約の解除ですが、これは、民法第635条
 「第六百三十五条  仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。 」とあり、
 ただし書きの意図は、建物その他の土地の工作物には、完成後の契約解除が認められると、請負人は、原状回復義務として、建物を取り壊さなければならないことになり、請負人にとって多額の費用負担となりそれではあまりに請負人にとって過酷ですし、社会経済的にも損失が大きいからと説明されます。
 そこで、完成後は、瑕疵担保責任、すなわち補修するか、補修代金を賠償するかによって解決するしかなくなります。契約の解除が認めらていませんから、誤りです。
 次の損害賠償の請求と修補の請求は、民法第634条2項により可能ですから、これも誤りで、選択肢1は全体として、誤りです。



2 本件工事が完成しない間は、Aは、Bに対し、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。

○ 正しい。
 選択肢1で述べましたように、工事が完成すると、建物や土地の工作物では瑕疵による契約の解除はできませんが、未完成なら、民法第641条
 「(注文者による契約の解除)
 第六百四十一条  請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。」とあり、
 注文主Aからは、請負人Bに対して、いつでも損害を賠償して、契約の解除をすることができますから、正しい。



3 本件工事に瑕疵がある場合に、AがBに対して損害賠償請求をするためには、Aがその瑕疵を知ったときから1年以内にしなければならない。

X 誤っている。 知ったときからではなく、引き渡した時(仕事が終了した時)からが基本になる。
 請負人が負う瑕疵担保の存続期間は、民法第637条
 「 (請負人の担保責任の存続期間)
 第六百三十七条  前三条の規定による瑕疵の修補又は損害賠償の請求及び契約の解除は、仕事の目的物を引き渡した時から一年以内にしなければならない。
   2  仕事の目的物の引渡しを要しない場合には、前項の期間は、仕事が終了した時から起算する。 」とあり、
 第637条1項によれば、仕事の目的物を引き渡した時から一年以内なら、瑕疵担保責任を追及できますから、誤りです。

 また、建物その他の土地の工作物の請負の特則として、民法第638条
 「第六百三十八条  建物その他の土地の工作物の請負人は、その工作物又は地盤の瑕疵について、引渡しの後五年間その担保の責任を負う。ただし、この期間は、石造、土造、れんが造、コンクリート造、金属造その他これらに類する構造の工作物については、十年とする
   2  工作物が前項の瑕疵によって滅失し、又は損傷したときは、注文者は、その滅失又は損傷の時から一年以内に、第六百三十四条の規定による権利を行使しなければならない。」とあり、
 第638条1項によれば、通常引渡し後5年間は、瑕疵担保責任があります。

 なお、知ってから1年の瑕疵担保責任があるのは、売主の瑕疵担保責任です。(民法第566条)
 参考:(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
 第五百六十六条  売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
   2  前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
   3  前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない



4 Aの財産をもって、AのBに対する本件工事代金債務を完済することができない場合に、Bは、当該マンションの各区分所有者に対しては同債務の弁済を請求することはできない。 

X 誤っている。 区分所有者に請求できる。 平成24年 マンション管理士試験 「問8」 、 平成18年 マンション管理士試験 「問30」 。
 管理組合法人が工事代金を完済してくれないと、請負人は困ってしまいます。
 そこで、請負人の救済策が、区分所有法第53条にあります。
 「(区分所有者の責任)
 第五十三条  管理組合法人の財産をもつてその債務を完済することができないときは、区分所有者は、第十四条(注:専有部分の床面積)に定める割合と同一の割合で、その債務の弁済の責めに任ずる。ただし、第二十九条第一項ただし書に規定する負担の割合が定められているときは、その割合による。
   2  管理組合法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかつたときも、前項と同様とする。
   3  前項の規定は、区分所有者が管理組合法人に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、適用しない。」です。
 第53条1項によれば、管理組合法人の財産をもつてその債務を完済することができないときは、各区分所有者に請求できますから、設問は、誤りです。



答え:2  請負からの出題とは目新しい。 今まで出題が多い「売主の瑕疵担保責任」と区別して理解しておくこと。

間6

【問6】マンションにおいて発生した次の各不法行為に関する記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。

ア 管理組合A(以下、本問において「A」という。)とマンション管理業者B(以下、本問において「B」という。)との間で管理委託契約が締結されていたところ、同管理委託契約にかかるBの職務を行うについて、Bの被用者CがAの組合員Dの名誉を毀損した場合に、Dは、損害賠償請求を、Bに対してすることはできるが、Cに対してすることはできない。

X 誤っている。 使用者責任もある。 平成24年 マンション管理士試験 「問3」 、 平成24年 マンション管理士試験 「問16」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問10」 、同 「問16」 同 「問17」 平成21年 マンション管理士試験 「問4」 、同 「問12」 など 過去はマンション管理士試験で不法行為は出題が多い。
 またまた登場人物が多い。

  まず、不法行為とは、民法第709条
 「(不法行為による損害賠償)
 第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。 」とあります。
   意識的にまた、不注意で他人の権利や法律上保護される利益を侵害すると損害賠償をしなければなりません。
 また、名誉毀損も次の民法第710条
 「(財産以外の損害の賠償)
 第七百十条  他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。 」により、
 不法行為であるとされています。
 これらにより、名誉毀損された組合員Dは、損害賠償請求を、不法行為の加害者である、Cに対してできますから、設問は誤りです。

 そこで、被用者Cがその職務を行うためにした行為となると、使用者の責任も追及できます。
 それが、民法第715条
 「(使用者等の責任)
 第七百十五条  ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
   2  使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
   3  前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。 」です。
 第715条1項に該当すれば、名誉毀損された組合員Dは、損害賠償請求をマンション管理業者Bに対してもできます。



イ マンションの敷地にある樹木につき栽植又は支持に瑕疵があったために、当該樹木が倒れて通行人Eが負傷した場合に、Eは、損害賠償請求を、当該マンションの理事長又は管理者に対してすることはできるが、管理組合又は組合員全員に対してすることはできない。

X 誤っている。 平成24年 マンション管理士試験 「問16」 、 平成23年 マンション管理士試験 「問14」 、平成22年 マンション管理士試験 「問16」 など、ここも過去はマンション管理士試験からの出題が多い。

 この設問は、過去から多くの問題点を含んでいるため、なかなか文章がまとまらないので、解説をあとまわしにしたものです。
 というのは、区分所有法では、理事長や管理組合の規定がないため解説が非常に面倒なためです。
 区分所有法では、区分所有者の団体(同法第3条)とあるだけで、マンションの区分所有者の団体(通常は管理組合ですが)は、法的にもかなり位置と解釈が不明確です。
 管理組合は、団体であり所有者ではありませんが、管理においては、所有者に代わって「権利能力なき社団」として扱われることが可能です。

 それらを前提にして、設問の、「マンションの敷地にある樹木につき栽植又は支持に瑕疵があったため」となると、まず、民法第717条
 「(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
 第七百十七条  土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない
   2  前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する
   3  前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。 」とあり、
 第1次として、占有者に損害賠償責任があり、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたのであれば、第2次として、所有者が、無過失にその損害を賠償することになります。

 この民法の規定を受け、マンションでは、区分所有法第9条
 「(建物の設置又は保存の瑕疵に関する推定)
 第九条  建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する。 」としています。
 この区分所有法第9条の規定を設けた主旨は、マンションでは、土地や建物が多くの場合区分所有者の共有関係にあるため、誰が占有者か特定できませんから、とりあえず、建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定することにし、共用部分を管理する責任者に損害賠償の責任を持たせるものです。
 
 なぜ、区分所有法でこのような条文があるかというと、通常の戸建での設置や保存で瑕疵(きず)があり、他人に損害を与えたときは、責任者が、持ち主か、借家であれば借家人などとある程度特定でき、その人が責任を負います(民法第717条1項参照)が、マンションでは、その構造上、専有部分が原因なのか共用部分が原因なのか、特定することが困難な場合がかなりあります。
 例えば、マンションで水漏れがあり、特定の区分所有者が被害をうけたとします。しかし、マンションでは、その原因が、専有部分での漏水か、共用部分とされるメインの排水管の亀裂かなかなか分かりません。被害者としては、専有部分が原因なら、その専有部分の区分所有者に賠償責任を追及する必要がありますし、共用部分が原因なら、区分所有者全員に賠償責任を追及する必要があります。しかし、原因が特定できない場合には、どこへも損害賠償の請求ができないという不都合なことになります。
 そこで、区分所有法では、このような場合には、共用部分の設置又は保存にあるものと推定して、区分所有者全員が共同で責任を負うとしました。また、「推定」ですから、その瑕疵が特定の専有部分にあることが証明できれば、賠償責任は、その特定された区分所有者が負うことになります。なお、損害を受けた人(被害者)が、原因は「マンションの設置又は保存に瑕疵があること」を立証する必要はあります。

 そこで、設問の後半「(被害者)Eは、損害賠償請求を、管理組合又は組合員全員に対してすることはできない」に対しては、管理組合という団体の存在の曖昧さはともかく、「マンションの敷地にある樹木につき栽植又は支持に瑕疵があったために、当該樹木が倒れて通行人Eが負傷した場合」であれば、区分所有法第9条と民法第717条により、通常、マンションの共用部分の占有者と所有者は区分所有者(組合員)ですから、(被害者)Eは、損害賠償請求を、最低、区分所有者である組合員全員に対してすることはできますから、この部分は、誤りです

 そこで、設問の前半「(被害者)Eは、損害賠償請求を、当該マンションの理事長又は管理者に対してすることはできる」かの検討ですが、区分所有法上明確な規定がない理事長(標準管理規約なら理事長は区分所有法での管理者になりますが、この設問では、「民法及び区分所有法の規定によれば」とあるため、今回は検討から除外します。

 まず、区分所有法での管理者の権限は、区分所有法第26条
 「(権限)
 第二十六条  管理者は、共用部分並びに第二十一条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設(次項及び第四十七条第六項において「共用部分等」という。)を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。
   2  管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。
   3  管理者の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
   4  管理者は、規約又は集会の決議により、その職務(第二項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。
   5  管理者は、前項の規約により原告又は被告となつたときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合には、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。」とあり、
 区分所有法第26条1項によれば、 管理者は、「共用部分並びに、当該建物の敷地及び附属施設を保存する権利を有し、義務を負う」とありますから、民法第717条での「占有者」に該当するとの判断もありそうですが、区分所有法での管理者は、通常の保存行為としての管理を行うだけで、土地工作物に瑕疵があったときの責任までも負わせるものではないとの解釈から、私は、「(被害者)Eは、損害賠償請求を、当該マンションの理事長又は管理者に対してすることはできない」として、この部分も、誤りです。そこで、選択肢イは全体として、誤りです。



ウ マンション内で飼育されている犬に噛まれて来訪者Fが怪我をした場合に、Fは、損害賠償請求をその犬の占有者に対してすることはできない。

X 誤っている。 占有者に対して請求できる。 平成20年 マンション管理士試験 「問17」 、平成17年 管理業務主任者試験 「問6」 。
 犬に噛まれれば、民法第718条
 「(動物の占有者等の責任)
 第七百十八条  動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。
   2  占有者に代わって動物を管理する者も、前項の責任を負う。 」とあり、
 第718条1項により、動物の占有者が、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負いますから、怪我をしたFは、損害賠償請求をその犬の占有者に対してすることはできますから、誤りです。



エ 建物の設置又は保存に瑕疵があることによってAの組合員Gに損害を与えた場合、その瑕疵が専有部分に存したときには、Gは、当該専有部分の区分所有者に対して損害賠償請求をすることができるが、管理組合又は組合員全員に対してすることはできない。

○ 正しい。
 瑕疵が専有部分に存したときとなると、これは選択肢イで引用しました、民法第717条により、該当の区分所有者だけの責任ですから、被害者Gは、当該専有部分の区分所有者に対して損害賠償請求をすることはできますが、管理組合又は組合員全員に対してすることはできませんから、正しい。


答え:3 誤っているのは、ア、イ、ウ の3つ。  

 選択肢イ の 民法第717条「土地工作物の瑕疵責任」と区分所有法第9条の関係。また、区分所有者の団体と管理組合との関係は、これからの論議によって、整備が必要な箇所ですから、皆さんも、一度、検討したらいいですよ。

問7

【問7】マンション標準管理委託契約書及びマンション標準管理委託契約書コメント(平成15年4月9日国総動第3号。国土交通省総合政策局長通知。以下「マンション標準管理委託契約書」という。)の定めによれば、最も適切なものはどれか。

1 マンション管理業者は、事務管理業務、管理員業務、清掃業務、建物・設備管理業務の管理事務の全部を第三者に再委託することができる。

X 適切でない。 事務管理業務の全部の再委託は許されない。 平成24年 管理業務主任者試験 「問9」 平成21年 管理業務主任者試験 「問8」 。
 マンションの居住者は多くの場合、建物の管理や維持・修繕のやり方については、知識を欠いています。いいかえると、素人の集団です。
 そこで、素人集団では専門的な知識を必要とするマンションの管理ができないため、管理業者を選んで、管理を委託することになるわけですが、この素人集団の知識のなさを利用して、悪徳の管理業者が横行し、業者に都合のいい契約書を作成する例がかなりあります。
 特に、管理組合からの預り金である管理費や修繕積立金を管理業者の預金口座に入れて、管理会社が倒産したときに、管理組合が銀行預金から自分たちの管理費等を取り戻すことができない事態にもなりました。
 これらを受け、国土交通省が管理委託契約書の雛形として作成したのが、「マンション標準管理委託契約書」とよばれるものです。

 設問は、このマンション標準管理委託契約書(以下、この解説では、「標準管理委託契約書」といいます)の内容を前提としています。
 マンションの管理業者が管理組合から管理委託を受けても、清掃や設備の管理まで全部を自社でやれるとは限りません。
 そこで、標準管理委託契約書3条
 「(管理事務の内容及び実施方法)
 第3条 管理事務の内容は、次のとおりとし、別表第1から第4に定めるところにより実施する。
     一 事務管理業務(別表第1に掲げる業務)(注:会計や滞納者に対する督促など)
     二 管理員業務(別表第2に掲げる業務)
     三 清掃業務(別表第3に掲げる業務)
     四 建物・設備管理業務(別表第4に掲げる業務)」とあり、
 続く、4条
 「(第三者への再委託)
 第4条 乙(注:管理業者)は、前条第1号の管理事務の一部又は同条第2号、第3号若しくは第4号の管理事務の全部若しくは一部を、第三者に再委託することができる
   2 乙が前項の規定に基づき管理事務を第三者に再委託した場合においては、乙は、再委託した管理事務の適正な処理について、甲(注:管理組合)に対して、責任を負う。」とあり、
 4条1項により、3条1号に該当する「事務管理業務」の一部は第三者に再委託できますが、全部の再委託はできませんから、適切ではありません。

 なお、3条2号から4号までなら、全部を第三者に再委託できます。この差は、請け負っている業務の重要度が違っているためです


2 マンションの管理事務の対象部分とは、管理規約により管理組合が管理すべき部分のうち、マンション管理業者が受託して管理する部分をいい、区分所有者が管理すべき部分も含まれる。

X 適切でない。 区分所有者が管理すべき部分は、除かれる。 平成21年 管理業務主任者試験 「問9」 。
 管理事務の対象部分は、標準管理委託契約書2条に記載されています。 
 「(本マンションの表示及び管理対象部分)
 第2条 本マンションの表示及び管理事務(本マンションの管理に関する業務のうち、甲(注:管理組合)が乙(注:管理業者)に委託する業務をいう。以下同じ。)の対象となる部分は、次のとおりである。
     一 名 称
     二 所在地
     三 敷 地  面 積 、権利形態、
     四 建 物  構造等 ○○造地上○階建地下○階建共同住宅、建築面積 u 、延床面積 u 、専有部分 住宅○戸
     五 管理対象部分
       イ 敷 地
       ロ 専有部分に属さない建物の部分(規約共用部分を除く。)
         エントランスホール、廊下、階段、エレベーターホール、共用トイレ、屋上、屋根、塔屋、ポンプ室、自家用電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプスペース、内外壁、床、天井、柱、バルコニー
       ハ 専有部分に属さない建物の附属物エレベーター設備、電気設備、給水設備、排水設備、テレビ共同受信設備、消防・防災設備、避雷設備、各種の配線・配管
       ニ 規約共用部分
         管理事務室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、トランクルーム、倉庫
       ホ 附属施設
         塀、フェンス、駐車場、通路、自転車置場、ゴミ集積所、排水溝、排水口、外灯設備、植栽、掲示板、専用庭、プレイロット」です。

 2条を見るまでもなく、原則として、管理組合が管理の対象としていますのは、共用部分及び敷地で、区分所有者が管理する部分は、区分所有者の責任で管理します。
 管理業者も管理組合からの委託で業務を行いますから、区分所有者が管理する部分は管理対象部分から除いていますから、適切ではありません。

 なお、参考までに、標準管理委託契約書2条に関するコメントもあります。
 2 第2条関係
  @ 本条でいう管理対象部分とは、管理規約により管理組合が管理すべき部分のうち、マンション管理業者が受託して管理する部分をいい、区分所有者が管理すべき部分を含まない。この管理対象部分は、名称を含めて、個々の状況や必要性に応じて適宜加除、修正すべきものである。
  A 専用使用部分(バルコニー、トランクルーム、専用庭等)については、管理組合が行うべき管理業務の範囲内においてマンション管理業者が管理事務を行う。
  B 管理事務の対象となるマンションが以下に掲げるものである場合、又は共用部分の設備等の故障等発信機器やインターネット等の設備等が設置され、当該設備等の維持・管理業務をマンション管理業者に委託するときは、本条を適宜追加、修正をすることが必要である。
     一 単棟で、大多数の区分所有者がマンション外に住所地を有する「リゾートマンション」、専有部分の用途が住居以外の用途(事務所等)が認められている「複合用途型マンション」
     二 数棟のマンションが所在する団地



3 管理委託契約の有効期間が満了する日の3月前までに契約の更新について申出があった場合において、その有効期間が満了する日までに更新に関する協議がととのわないときは、管理組合及びマンション管理業者は、期間を定めて暫定契約を締結することはできないため、契約は終了する。

X 適切でない。 期間を定めて暫定契約を締結することができる。 平成18年 マンション管理士試験 「問33」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問7」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「問8」 
 以前は、管理委託契約には、自動更新される文言があったのですが、これも、管理業者にとって有利な内容での更新であったため、新しい標準管理委託契約書では、契約期間が過ぎたら、更新の手続きをふむようにして、自動更新は認めなくなりました。
 それが、標準管理委託契約書21条
 「(契約の更新)
 第21 条 甲(注:管理組合)又は乙(注:管理業者)は、本契約を更新しようとする場合、本契約の有効期間が満了する日の三月前までに、その相手方に対し、書面をもって、その旨を申し出るものとする。
   2 本契約の更新について申出があった場合において、その有効期間が満了する日までに更新に関する協議がととのう見込みがないときは、甲及び乙は、本契約と同一の条件で、期間を定めて暫定契約を締結することができる。」です。
 21条2項により、「その有効期間が満了する日までに更新に関する協議がととのう見込みがないときは、甲(管理組合)及び乙(管理業者)は、本契約と同一の条件で、期間を定めて暫定契約を締結することができます」から、適切ではありません。



4 マンション管理業者が、書面をもって注意喚起したにもかかわらず、管理組合が承認しなかった事項に起因して、管理組合又は管理組合の組合員等が損害を受けたとき、当該マンション管理業者は、その損害を賠償する責任を負わない。

○ 適切である。 平成20年 管理業務主任者試験 「問8」 、 平成17年 マンション管理士試験 「問33」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「問7」 。
 いくら管理業であっても、仕事内容の限度は必ずあります。
 それが、標準管理委託契約書17条
 「(免責事項)
 第17 条  乙(注:管理業者)は、甲(注:管理組合)又は甲の組合員等が、第8条第1項各号に掲げる災害又は事故等(乙の責めによらない場合に限る。)による損害及び次の各号に掲げる損害を受けたときは、その損害を賠償する責任を負わないものとする。
     一  乙が善良なる管理者の注意をもって管理事務を行ったにもかかわらず生じた管理対象部分の異常又は故障による損害
     二  乙が、書面をもって注意喚起したにもかかわらず、甲が承認しなかった事項に起因する損害
     三  前各号に定めるもののほか、乙の責めに帰することができない事由による損害」です。

 引用されています8条は、
 「(緊急時の業務)
 第8条 乙は、第3条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる災害又は事故等の事由により、甲のために、緊急に行う必要がある業務で、甲の承認を受ける時間的な余裕がないものについては、甲の承認を受けないで実施することができる。この場合において、乙は、速やかに、書面をもって、その業務の内容及びその実施に要した費用の額を甲に通知しなければならない。
     一 地震、台風、突風、集中豪雨、落雷、雪、噴火、ひょう、あられ等
     二 火災、漏水、破裂、爆発、物の飛来若しくは落下又は衝突、犯罪等
   2 甲は、乙が前項の業務を遂行する上でやむを得ず支出した費用については、速やかに、乙に支払わなければならない。ただし、乙の責めによる事故等の場合はこの限りでない。 」です。
 標準管理委託契約書17条2号「乙(注:管理業者)が、書面をもって注意喚起したにもかかわらず、甲(注:管理組合)が承認しなかった事項に起因する損害」は、管理業者が免責されますから、適切です。



答え:4  この出題は、特に問題はないでしょう。 選択肢1はよく読むこと。ひっかからないように。

問8

【問8】宅地建物取引業者(宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第2条第3号に規定する者をいう。以下同じ。)が、マンションの管理組合の組合員から、当該組合員が所有する専有部分の売却の依頼を受け、その媒介等の業務のために、マンション管理業者に情報の提供・開示を求めてきた場合の当該管理組合に代わって行うマンション管理業者の対応に関する次の記述のうち、マンション標準管理委託契約書の定めによれば、最も適切なものはどれか。

1 当該組合員の負担に係る管理費及び修繕積立金等については、月額並びに滞納があるときはその金額を書面をもって開示する。

○ 適切である。 平成25年 マンション管理士試験 「問33」 、平成22年 管理業務主任者試験 「問7」 、平成18年 管理業務主任者試験 「問7」 、平成16年 マンション管理士試験 「問33」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問9」 など。
 まず、標準管理委託契約書14条 を見てみましょう。
 「(管理規約の提供等)
 第14 条 乙(注:管理業者)は、宅地建物取引業者が、甲(注:管理組合)の組合員から、当該組合員が所有する専有部分の売却等の依頼を受け、その媒介等の業務のために管理規約の提供及び次の各号に掲げる事項の開示を求めてきたときは、甲に代わって、当該宅地建物取引業者に対し、管理規約の写しを提供し、及び各号に掲げる事項を書面をもって開示するものとする。
     一 当該組合員の負担に係る管理費及び修繕積立金等の月額並びに滞納があるときはその金額
     二 甲の修繕積立金積立総額並びに管理費及び修繕積立金等に滞納があるときはその金額
     三 本マンション(専有部分を除く。)の修繕の実施状況
     四 本マンションの石綿使用調査結果の記録の有無とその内容
     五 本マンションの耐震診断の記録の有無とその内容(当該マンションが昭和56 年6月1日以降に新築の工事に着手した場合を除く。)
   2 前項の場合において、乙は、当該組合員が管理費及び修繕積立金等を滞納しているときは、甲に代わって、当該宅地建物取引業者に対し、その清算に関する必要な措置を求めることができるものとする。」とあります。

 どうして、こんな、管理費などの滞納金額なんて、かなりプライベートな情報まで、管理業者が、宅地建物取引業者に教えることができるのか、おかしいと思うでしょう。
 そう、通常、そのマンションの管理規約の開示や、特定の区分所有者の管理費の滞納金額の開示なんてことは、管理業者の業務ではなく、管理組合や該当の区分所有者が行うべきことです。
 しかし、ここで、宅地建物取引業法の施行規則第16条の2 などに、以下のように、
 (法第三十五条第一項第六号 の国土交通省令・内閣府令で定める事項)
 第十六条の二  法第三十五条第一項第六号 の国土交通省令・内閣府令で定める事項は、建物の貸借の契約以外の契約にあつては次に掲げるもの、建物の貸借の契約にあつては第三号及び第八号に掲げるものとする。
     一  当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容
     二  建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下この条、第十六条の四の三、第十六条の四の六及び第十九条の二の五において「区分所有法」という。)第二条第四項 に規定する共用部分に関する規約の定め(その案を含む。次号において同じ。)があるときは、その内容
     三  区分所有法第二条第三項 に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容
     四  当該一棟の建物又はその敷地の一部を特定の者にのみ使用を許す旨の規約(これに類するものを含む。次号及び第六号において同じ。)の定め(その案を含む。次号及び第六号において同じ。)があるときは、その内容
     五  当該一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用、通常の管理費用その他の当該建物の所有者が負担しなければならない費用を特定の者にのみ減免する旨の規約の定めがあるときは、その内容
     六  当該一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約の定めがあるときは、その内容及び既に積み立てられている額
     七  当該建物の所有者が負担しなければならない通常の管理費用の額
     八  当該一棟の建物及びその敷地の管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名(法人にあつては、その商号又は名称)及び住所(法人にあつては、その主たる事務所の所在地)
     九  当該一棟の建物の維持修繕の実施状況が記録されているときは、その内容」とあり、

 宅地建物取引業者を管轄する国土交通省としては、同じマンション関係も国土交通省で管轄しているので、この際、本来、管理組合や区分所有者の作業だけど管理業者に特例としてやらせるという方法を採用しました。
 それが、標準管理委託契約書14条となっているわけです。
 設問は、標準管理委託契約書14条1項1号に該当していますから、適切です。



2 マンションの修繕の実施状況については、当該組合員の所有する専有部分に関する修繕の実施状況を含めて、書面をもって開示する。

X 適切ではない。 専有部分の修繕までは、入っていない。
 選択肢1で引用しました、標準管理委託契約書14条1項3号
 「本マンション(専有部分を除く。)の修繕の実施状況」とあり、
 専有部分は、基本的に管理組合の管理対象部分ではないため、標準管理委託契約書でも除かれていますから、適切ではありません。



3 管理費等の改定の予定及び修繕一時金の徴収の予定並びに大規模修繕の実施予定は、開示する情報として含めない。

X 適切でない。 コメントにある。
 標準管理委託契約書は本文のほかに、本文を補う意味でか、また解説的な「コメント」がついています。
 設問は、標準管理委託契約書14条には、見当たらないのですが、コメントをみると、
 「コメント 第14 条関係
   @ 本条は、宅地建物取引業者が、媒介等の業務のために、宅地建物取引業法施行規則第16 条の2等に定める事項について、マンション管理業者に当該事項の確認を求めてきた場合の対応を定めたものである。
 本来宅地建物取引業者への管理規約等の提供・開示は管理組合又は売主たる組合員が行うべきものであるため、これらの事務をマンション管理業者が行う場合には、管理規約等においてその根拠が明確に規定されていることが望ましい。
 また、マンション管理業者が提供・開示できる範囲は、原則として管理委託契約書に定める範囲となる。一般的にマンション内の事件、事故等の情報は、売主又は管理組合に確認するよう求めるべきである。
   A 管理規約が電磁的記録により作成されている場合には、記録された情報の内容を書面に表示して開示することとする。
   B 開示する情報としては、管理費等の改定の予定及び修繕一時金の徴収の予定並びに大規模修繕の実施予定(理事会で改定等が決議されたものを含む。)がある場合にはこれを含むものとする。
   C マンション管理業者が受託した管理事務の実施を通じて知ることができない過去の修繕の実施状況等がある場合には、マンション管理業者は管理組合から情報の提供を受けた範囲でこれらの事項を開示することとなる。
   D 管理規約の提供等に係る費用については、誰が負担するのか(宅地建物取引業者等)、その金額、負担方法等について、別途、明かにしておくことが望ましい。」とあり、

 「B 開示する情報としては、管理費等の改定の予定及び修繕一時金の徴収の予定並びに大規模修繕の実施予定(理事会で改定等が決議されたものを含む。)がある場合にはこれを含むものとする。に該当しますから、適切ではありません。



4 マンション管理業者が提供・開示できる範囲は、常に宅地建物取引業者から求められたすべての範囲である。

X 適切ではない。 提供・開示される範囲は限定される。
 選択肢1でも述べましたように、本来、管理規約や特定の区分所有者の管理費等の滞納金額を宅地建物取引業者に、取引の当事者でない、管理業者が提供したり開示すべきではありません。
 標準管理委託契約書14条の規定は、国土交通省が便宜上付け加えた規定ですから、宅地建物取引業者に管理業者として提供・開示する範囲は標準管理委託契約書14条に規定されている事項に限定すべきです。宅地建物取引業者から求められたすべての範囲ではありませんから、適切ではありません。
 また、選択肢3で引用しました、14条関係のコメントも参照してください。

 
 
答え:1  ここは、宅地建物取引業法もからめて、すこし詳細に標準管理委託契約書について、解説しました。 設問は、基本の内容です。 
 しかし、出題の方法として、コメントなんて補助的な箇所からの出題は、不適切です。 大体、契約自由の日本において、国土交通省が任意に定めた「マンション標準管理委託契約書」の規定が、国家資格の出題の対象になること自体にかなり疑問を感じます。

問9

【問9】マンション標準管理委託契約書における通知義務に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

ア マンション管理業者がマンション管理業の登録の取消しの処分を受けたときは、マンション管理業者は、速やかに、書面をもって、管理組合に通知しなければならない。

○ 適切である。 平成21年 管理業務主任者試験 「問8」 、平成17年 管理業務主任者試験 「問9」 、平成24年管理業務主任者試験 「問8」 、平成23年 管理業務主任者試験 「問7」 。
 法律でもない、国土交通省が任意に定めた「マンション標準管理委託契約書」において、「正しい」とか「過ち」なんて言葉は、使って欲しくないので、ここは、もっとも「適切なもの」とします。
 管理業者が登録の取消しを受けると、標準管理委託契約書12条
 「(通知義務)
 第12 条 甲(注:管理組合)及び乙(注:管理業者)は、本マンションにおいて滅失,き損,瑕疵等の事実を知った場合においては、速やかに、その状況を相手方に通知しなければならない。
   2 甲及び乙は、次の各号に掲げる場合においては、速やかに、書面をもって、相手方に通知しなければならない。
     一 甲の役員又は組合員が変更したとき
     二 甲の組合員がその専有部分を第三者に貸与したとき
     三 乙が商号又は住所を変更したとき
     四 乙が合併又は会社分割したとき
     五 乙がマンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12 年法律第149 号)の規定に基づき処分を受けたとき
     六 乙が第18 条第2項第1号及び第2号に掲げる事項に該当したとき」とあり、
 12条2項5号で引用されています、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律の規定に基づき処分を受けたとき」に該当しますから、適切です。
 参考:マンションの管理の適正化の推進に関する法律の規定 第83条
 「(登録の取消し)
  第八十三条  国土交通大臣は、マンション管理業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消さなければならない。
     一  第四十七条第一号、第三号又は第五号から第八号までのいずれかに該当するに至ったとき。
     二  偽りその他不正の手段により登録を受けたとき。
     三  前条各号のいずれかに該当し情状が特に重いとき、又は同条の規定による業務の停止の命令に違反したとき。 」

  (2014年 2月17日: 引用を標準管理委託契約書12条2項6項から、5項に訂正)


イ マンションの管理組合の組合員がその専有部分を第三者に貸与したときは、管理組合は、書面をもって、マンション管理業者に通知する必要はないが、管理組合の役員又は組合員が変更したときは、管理組合は、速やかに、書面をもって、マンション管理業者に通知しなければならない。

X 適切でない。 賃貸届けがあれば、管理組合は、業者に通知し、管理組合の役員等の変更も、管理業者に知らせる。
 設問の前半「組合員がその専有部分を第三者に貸与したとき」も、後半の「管理組合の役員又は組合員が変更したとき」も、選択肢アで引用しました、標準管理委託契約書12条2項
 「(通知義務)
  2 甲(注:管理組合)及び乙(注:管理業者)は、次の各号に掲げる場合においては、速やかに、書面をもって、相手方に通知しなければならない。
   二 甲の組合員がその専有部分を第三者に貸与したとき」、及び同12条2項1号「一 甲の役員又は組合員が変更したとき」に該当していますから、管理組合は、管理業者に、速やかに、書面をもって通知しなければなりませんから、前半は適切ではありません。なお、後半は適切です。



ウ マンション管理業者が会社更生、民事再生の申立てを受けたときは、書面をもって、管理組合に通知する必要はないが、銀行の取引を停止されたとき、若しくは破産の申立てを受けたときは、速やかに、書面をもって、管理組合に通知をしなければならない。

X 適切でない。 共に速やかに、書面をもって、管理組合に通知をしなければならない。
 設問の前半の「マンション管理業者が会社更生、民事再生の申立てを受けたとき」は、選択肢アで引用しました、標準管理委託契約書18条2項1号「一 乙(注管理業者)が銀行の取引を停止されたとき、若しくは破産、会社更生、民事再生の申立てをしたとき、又は乙(管理業者)が破産、会社更生、民事再生の申立てを受けたとき」に該当し、同12条により、速やかに、書面をもって、相手方(管理組合)に通知しなければなりませんから、適切ではありません。
 後半の「管理業者が、銀行の取引を停止されたとき、若しくは破産の申立てを受けたとき」も標準管理委託契約書18条2項1号に該当するため、速やかに、書面をもって、管理組合に通知しなければなりませんから、後半は適切です。前半が適切ではありません。



エ マンション管理業者が商号又は住所を変更したときは、マンション管理業者は、速やかに、書面をもって、管理組合に通知しなければならず、マンション管理業者が合併又は会社分割をしたときも、同様に通知しなければならない。

○ 適切である
 設問の前半の「マンション管理業者が商号又は住所を変更したとき」は、選択肢アで引用しました、標準管理委託契約書12条2項3号「三 乙(注:管理業者)が商号又は住所を変更したとき」に該当し、後半の「マンション管理業者が合併又は会社分割をしたとき」は、同じく12条2項4号「四 乙(管理業者)が合併又は会社分割したとき」に該当していますから、共にマンション管理業者は、速やかに、書面をもって、管理組合に通知しなければなりませんから、適切です。


1 ア、ウ
2 ア、エ
3 イ、ウ
4 イ、エ


答え:2 適切なのは、 ア と エ 。  また、組み合わせの出題です。 組み合わせといっても、1つの選択肢でも、前半/後半があり、これは、個数の問題と共に、解説にも時間がかかり面倒です。 でも、出題としては、易しい箇所です。

問10

【問10】マンションの管理組合が、区分所有者に対して有する管理費に係る債権の消滅時効の中断に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 滞納している区分所有者が、管理組合あてに滞納している事実を認める書面を提出したときは、時効が中断する。

○ 正しい。 承認として時効は中断する。  時効の中断は、過去から出題は多い。 平成24年 マンション管理士試験 「問13」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問10」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問7」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問13」 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問11」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問11」 など。
 まず、時効制度とは、真実の法律関係と異なった事実であっても、その事実が永く存在していれば、その事実を信じた取引関係が発生し、後から覆させると混乱が生じる現実から、真実の権利関係よりも事実の方を優先して、事実に法律効果を認めようとする仕組みです。本来の法律の目的である正当な権利関係を守る仕組みから外れていることに注意してください。
時効には、一定の期間あることを継続することにより、権利を得る「取得時効」と、逆に一定の期間までに権利を行使しないと権利が無くなる「消滅時効」があります。しかし、この事実関係を覆えす事実が生じているのにもかかわらず、それを無視して時効期間の計算をすることも適切ではありません。そこで、民法では、権利者が真実の権利を主張したり、義務者がその真実の権利を途中で認めると、今まで経過した期間はなかったもの(リセット)として、また新しく時効の開始が始まるという考え方をとり、それらを”時効の中断事由”と呼んで規定しました。


 時効の中断を定めているのは、民法第147条
 「(時効の中断事由)
 第百四十七条  時効は、次に掲げる事由によって中断する
     一  請求
     二  差押え、仮差押え又は仮処分
     三  承認 」です。
 他にも、時効を中断させるのは、支払督促(第150条)、和解及び調停の申立て(第151条)、破産手続参加等(第152条)、催告(第153条)があります。
 滞納している区分所有者が、管理組合あてに滞納している事実を認める書面を提出する行為は、債務の存在を認めたこととなり、第147条3号の「承認」に該当するため、時効は中断しますから、正しい。



2 滞納している区分所有者が、破産手続開始の決定を受けた場合、管理組合がその破産手続において債権の届出をしたときは、時効が中断する。

○ 正しい。 時効は中断する。 
 滞納している区分所有者が、破産手続開始の決定を受けた場合、管理組合がその破産手続において債権の届出をする行為は、管理組合が、破産債権者として、破産手続きに参加することです。  
 すると、民法第152条
 「(破産手続参加等)
 第百五十二条  破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加は、債権者がその届出を取り下げ、又はその届出が却下されたときは、時効の中断の効力を生じない。」とあり、
  債権者がその届出を取り下げ、又はその届出が却下されたとき以外は、時効の中断の効力を生じますから、正しい。



3 滞納している区分所有者が死亡し、相続が開始しても、共同相続人間で遺産分割協議が調わない間は、時効が中断する。

X 誤っている。 こんな規定はない。
 相続と時効については、民法第160条
 「(相続財産に関する時効の停止)
 第百六十条  相続財産に関しては、相続人が確定した時、管理人が選任された時又は破産手続開始の決定があった時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。 」とあり、
 この第160条に該当すれば、時効は、停止(時効の完成を一定期間猶予する)しますが、設問のような、時効を中断(その経過した時効の期間が効力を失う)させる規定はありませんから、誤りです。


4 管理組合が、理事長を管理組合の代表として、滞納している区分所有者に支払請求訴訟を提起したとしても、その訴えを取り下げた場合は、時効が中断しなかったことになる。

○ 正しい。 時効が中断しなかったことになる。
 裁判上の請求も、選択肢1で引用しました、第147条1号「一  請求」に該当して、時効を中断させるのですが、民法第149条
 「(裁判上の請求)
 第百四十九条  裁判上の請求は、訴えの却下又は取下げの場合には、時効の中断の効力を生じない。」とあり、
  支払請求訴訟を提起したとしても、その訴えを取り下げた場合は、時効が中断しなかったことになりますから、正しい。



答え:3  かなり易しい出題でした。 時効はもう出題として定番です。

問11

【問11】マンションの管理費の支払義務に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 管理組合の規約において、各区分所有者は管理費の債務については消滅時効の主張をすることができない旨を定めた場合、滞納区分所有者は、たとえ消滅時効が完成しても時効の主張をすることができない。

X 適切でない。 滞納区分所有者は、消滅時効を主張できる。時効をあらかじめ放棄することはできない。 平成24年 管理業務主任者試験 「問3」選択肢4 。
 契約自由の原則により、あらかじめ、時効にならないと当事者間で定めてもいいのではないかということですが、民法では、この行為は禁じています。それが、民法第146条
 「(時効の利益の放棄)
 第百四十六条  時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。」です。
 この規定の意図は、永続している事実関係を尊重するために、無理して設けた時効制度が成り立たなくなるためということです。
 設問の「管理組合の規約において、各区分所有者は管理費の債務については消滅時効の主張をすることができない旨を定めた場合」は、民法第146条に該当し、無効となりますから、滞納において、消滅時効が完成すれば、滞納区分所有者は、時効を主張できますので、適切ではありません。
 ここは、上の「問10」も参考にしてください。



2 区分所有者が破産手続開始の決定を受けたとしても、当該区分所有者は、破産手続開始決定の日の翌日以降の管理費の支払義務を免れない。

○ 適切である。 免責は、破産手続開始の決定日前まで。 翌日からは、別。 破産については、平成21年 管理業務主任者試験 「問11」選択肢 ウ 、平成19年 管理業務主任者試験 「問11」 選択肢 オ もある。 古くは、平成14年 管理業務主任者試験 「問10」 にもあった。また、滞納者の給料差押えが、平成21年 マンション管理士試験 「問16」 にある。
 破産法での破産債権に、破産手続開始の決定日前の滞納管理費は該当していますが、以後に到来する管理費は該当していません。以後の管理費は支払義務を免れられませんから、正しい。


3 専有部分について賃貸借契約が締結され、当該賃貸借契約において、管理費の支払義務者を賃借人と定めた場合でも、特段の事情がない限り、賃貸人である区分所有者は管理組合に対して、その約定を主張することはできない。

○ 適切である。 管理費の支払義務者は、区分所有者である。 賃借人にはない。 平成25年 管理業務主任者試験 「問2」 にもある。 平成23年 管理業務主任者試験 「問35」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問10」 、平成22年 マンション管理士試験 「問4」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問4」 、 平成14年 管理業務主任者試験 「問42」 、 平成13年 マンション管理士試験 「問10」 、 平成13年 マンション管理士試験 「問36」 。
 管理費等共用部分の負担については、区分所有法第19条
 「(共用部分の負担及び利益収取)
  第十九条  各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。 」 とあり、

 この規定は、区分所有者が管理費等を直接負担することを定めたもので、例え、賃貸に出していて、その賃貸借契約において、管理費の支払いは賃借人が行う旨を定めていた場合であっても、二者間の契約は、第三者である管理組合には及ばず、さらに賃借人は特定承継人にも該当しませんから、滞納管理費等の支払い義務は、賃貸人である区分所有者にあります。そこで、賃貸人である区分所有者は管理組合に対して、その約定を主張することはでませんから、正しい。



4 管理費の支払債務の消滅時効の起算日は、管理費の各支払期日が経過した時である。

○ 適切である。 時効は上の「問10」 にもある。
 時効が完成すると、民法第144条
 「(時効の効力)
 第百四十四条  時効の効力は、その起算日にさかのぼる。」とあり、

 消滅時効の進行は、民法第166条
 「(消滅時効の進行等)
 第百六十六条  消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。
   2  前項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を中断するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。 」とあり、
 第166条1項により、支払債務の消滅時効の起算日は、管理費の各支払期日が経過した時ですから、正しい。

 なお、管理費や修繕積立金の消滅時効は、10年か5年かで争いがあったのですが、5年となりました。(平成16年4月23日:最高裁判決

 判決の趣旨: 「マンション管理組合が組合員である区分所有者に対して有する管理費及び特別修繕費に係る債権が,管理規約の規定に基づいて,区分所有者に対して発生するものであり,その具体的な額は総会の決議によって確定し,月ごとに支払われるものであるときは,当該債権は民法169条所定の債権に当たる。」
 民法第169条「(定期給付債権の短期消滅時効)
 第百六十九条  年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、五年間行使しないときは、消滅する。 」



答え:1  この設問は、過去問題をやっていれば、解答は早い。

問12

【問12】あるマンション管理業者が実施している管理事務(マンション管理適正化法第2条第6号に規定するものをいう。以下同じ。)の報告等に関する次の記述のうち、マンション標準管理委託契約書の定めによれば、適切なものはいくつあるか。

ア マンション管理業者は、管理組合の事業年度終了後、契約で定めた期限内に、管理組合に対して、当該年度における管理事務の処理状況及び管理組合の会計の収支の結果を記載した書面を交付し、管理業務主任者以外の者によって報告を行わせている。

X 適切でない。 年度終了後の管理事務の処理状況及び管理組合の会計の収支の結果の報告は管理業務主任者の仕事。 管理業務主任者以外の者はだめ。 平成24年 管理業務主任者試験 「問7」   
  管理業務主任者は、マンション管理業者において、重要な資格者で、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、この解説では、「マンション管理適正化法」といいます)では、@重要事項の説明(マンション管理適正化法第72条参照)、A書面への記名・押印(マンション管理適正化法第72条5項、同第73条2項参照)、B管理事務の報告(マンション管理適正化法第77条1項・2項) を管理業務主任者の業務として定めています。
 これを受け、管理委託契約書9条 
 「(管理事務の報告等)
 第9条 乙(注:管理業者)は、甲(注:管理組合)の事業年度終了後○月以内に、甲に対し、当該年度における管理事務の処理状況及び甲の会計の収支の結果を記載した書面を交付し、管理業務主任者をして、報告をさせなければならない
   2 乙は、毎月末日までに、甲に対し、前月における甲の会計の収支状況に関する書面を交付しなければならない。
   3 乙は、甲から請求があるときは、管理事務の処理状況及び甲の会計の収支状況について報告を行わなければならない。
   4 前3項の場合において、甲は、乙に対し、管理事務の処理状況及び甲の会計の収支に係る関係書類の提示を求めることができる。」とあり、

 9条1項により、管理組合に対して、当該年度における管理事務の処理状況及び管理組合の会計の収支の結果を記載した書面を交付し、管理業務主任者が報告をすることになっていますから、これを管理業務主任者以外の者によって報告を行わせることは、適切ではありません。



イ マンション管理業者は、毎月末日までに、管理組合に対し、前月における管理組合の会計の収支状況に関する書面を交付し、管理業務主任者以外の者によって報告を行わせている。

○ 適切である。 毎月の報告は、管理業務主任者以外の者でもいい。 平成21年 管理業務主任者試験 「問7」 。
 規定が微妙に異なっていることに注意。
 年度末の報告と異なり、毎月の会計の収支状況なら、これは、選択肢アで引用しました、管理委託契約書9条2項。
 「2 乙は、毎月末日までに、甲に対し、前月における甲の会計の収支状況に関する書面を交付しなければならない。」とあり、
 マンション管理業者は、毎月末日までに、管理組合に対し、前月における管理組合の会計の収支状況に関する書面を交付しますが、この毎月の報告は、管理業務主任者以外の者によってもできますから、適切です。 



ウ マンション管理業者は、管理組合から請求があるときは、管理組合の会計の収支状況について管理業務主任者以外の者によって報告を行わせている。

○ 適切である。 
 選択肢アで引用しました、管理委託契約書9条3項
 「3 乙(注:管理業者)は、甲(注:管理組合)から請求があるときは、管理事務の処理状況及び甲の会計の収支状況について報告を行わなければならない。」とあり、
 管理業者は、管理組合から、管理事務の処理状況及び会計の収支状況について請求があれば、報告をしなければなりませんが、これも、特に管理業務主任者でなくても可能ですから、適切です。


エ 管理組合から管理組合の会計の収支状況に関する報告について請求があった場合には、マンション管理業者は、管理組合の会計の収支に係る関係書類の提示を管理業務主任者以外の者によって行わせている。

○ 適切である。
 選択肢アで引用しました、管理委託契約書9条4項
 「4 前3項の場合において、甲(注:管理組合)は、乙(注:管理業者)に対し、管理事務の処理状況及び甲の会計の収支に係る関係書類の提示を求めることができる。」とあり、
 管理組合から管理組合の会計の収支状況に関する報告について請求があった場合には、マンション管理業者は、管理組合の会計の収支に係る関係書類の提示をしなければなりませんが、この業務も特に管理業務主任者でなくても可能ですから、適切です。
 


1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え:3 適切なのは、 イ 、 ウ 、エ の3つ。  また、個数の出題です。 解説も、時間がかかります。

問13

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。


【問13】管理組合の会計及び承認に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約及びマンション標準管理規約コメント(単棟型)(平成16年1月23日国総動第232号・国住マ第37号、国土交通省総合政策局長・同住宅局長通知。以下「マンション標準管理規約」という。)の定めによれば、不適切なものはいくつあるか。

ア 管理組合は、建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査を行うため、必要な範囲内において借入れをすることができる。

○ 適切である。 なにが修繕積立金から取り崩され、なにが、管理費から充当されるかは、まとめておくこと。  平成24年 管理業務主任者試験 「問12」 。
 まず、借入れは、標準管理規約63条
 「 (借入れ)
 第63条 管理組合は、第28条第1項に定める業務を行うため必要な範囲内において、借入れをすることができる。」とありますから、
 管理組合は、限定的に借入れができます。
 その内容としては、標準管理規約28条1項ということです。

 標準管理規約28条は、
  「(修繕積立金)
 第28条 管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
     一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
     二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
     三 敷地及び共用部分等の変更
     四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査
     五 その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理
   2 前項にかかわらず、区分所有法第62条第1項の建替え決議(以下「建替え決議」という。)又は建替えに関する区分所有者全員の合意の後であっても、マンションの建替えの円滑化等に関する法律(以下本項において「円滑化法」という。)第9条のマンション建替組合(以下「建替組合」という。)の設立の認可又は円滑化法第45条のマンション建替事業の認可までの間において、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、修繕積立金から管理組合の消滅時に建替え不参加者に帰属する修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、修繕積立金を取り崩すことができる。
   3 管理組合は、第1項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、修繕積立金をもってその償還に充てることができる。
   4 修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならない。」です。

 設問の「建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査」は、28条1項4号に該当していますから、適切です。



イ 駐車場使用料等の使用料は、それらの管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てることも可能である。

○ 適切である? 平成24年 管理業務主任者試験 「問35」 、平成23年 管理業務主任者試験 「問12」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問29」 
 標準管理規約では、管理費勘定と修繕積立金勘定は完全に別会計として、管理費が不足すれば、増額し、余っても、その余剰金を修繕積立金に持っていくという融通を認めていない構成になっています。
 そこで、あやふやな勘定として、駐車場等の使用料が余った場合にどうするかという事態があります。
 これに対しては、標準管理規約29条
 「(使用料)
 第29条 駐車場使用料その他の敷地及び共用部分等に係る使用料(以下「使用料」という。)は、それらの管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てる。」として、
 駐車場使用料等は、修繕積立金として積み立てるとしましたから、一応適切です。
 ただし、設問が「修繕積立金として積み立てることも”可能”である」としてあるのが、標準管理規約では、「修繕積立金として”積み立てる”」と微妙に違っていますが、ここは、あまり重要視しない判断です。



ウ 収支決算の結果、管理費に余剰を生じた場合には、その余剰は翌年度の管理費に充当することも修繕積立金に充当することも可能である。

X 適切でない。 管理費に余剰を生じた場合でも、その余剰は翌年度の修繕積立金に充当することは認めていない。 平成24年 管理業務主任者試験 「問13」選択肢4 。 
 選択肢イでも述べましたが、標準管理規約を作成した人の考えでは、管理費勘定と修繕積立金勘定は完全に別会計として扱い、管理費が不足すれば、増額し、余っても、その余剰金を修繕積立金に持っていくという融通を認めていない構成になっています。
 それが、標準管理規約61条1項
 「(管理費等の過不足)
 第61条 収支決算の結果、管理費に余剰を生じた場合には、その余剰は翌年度における管理費に充当する
   2 管理費等に不足を生じた場合には、管理組合は組合員に対して第25条第2項に定める管理費等の負担割合により、その都度必要な金額の負担を求めることができる。」です。
 61条1項により、収支決算の結果、管理費に余剰を生じた場合には、その余剰は翌年度における管理費に充当するだけで、管理費の余剰金を繕積立金に充当することは認めていませんから、適切ではありません

 読者に質問:では、総会で余剰管理費を、修繕積立金勘定に振りかえるという予算案が承認されたらどうなりますか?


エ 管理組合は、管理費等に不足が生じた場合には、総会の決議により、その都度必要な金額の負担を組合員に求めることができる。

○ 適切である。 平成24年 管理業務主任者試験 「問13」選択肢1 。
  管理費等に不足が生じた場合には、標準管理規約61条
 「(管理費等の過不足)
  第61条 収支決算の結果、管理費に余剰を生じた場合には、その余剰は翌年度における管理費に充当する。
    2 管理費等に不足を生じた場合には、管理組合は組合員に対して第25条第2項に定める管理費等の負担割合により、その都度必要な金額の負担を求めることができる。」 とあり、

 61条2項で引用されています、25条は、
 「(管理費等)
  第25条 区分所有者は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、次の費用(以下「管理費等」という。)を管理組合に納入しなければならない。
       一 管理費
       二 修繕積立金
    2 管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとする。」 とあり、
 25条2項により、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出された負担割合で負担します。

 また、管理費の負担割合を決めるのは、総会の決議事項です。
 それは、標準管理規約48条
 「(議決事項)
  第48条 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければなら ない。
       一 収支決算及び事業報告
       二 収支予算及び事業計画
       三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
       四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
       五 長期修繕計画の作成又は変更
       六 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
       七 第28条第2項に定める建物の建替えに係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し
       八 修繕積立金の保管及び運用方法
       九 第21条第2項に定める管理の実施
       十 区分所有法第57条第2項及び前条第3項第三号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任
       十一 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
       十二 区分所有法第62条第1項の場合の建替え
       十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
       十四 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
       十五 その他管理組合の業務に関する重要事項」 とあり、
 48条3号に該当しますから、全部適切です。



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え:1 不適切なのは、ウ の1つ。 選択肢イ の”可能である” が少し、ひっかかるが。 また、個数問題でした。 本当に、個数問題は、正解の精度が落ちます。

問14

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問14】修繕積立金に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約の定めによれば、最も不適切なものはどれか。

1 修繕積立金の保管及び運用方法を決めるには、総会の決議によらなければならない。

○ 適切である。 総会の決議が必要とされる事項と理事会の決議でできる事項もまとめておくこと。 平成24年 マンション管理士試験 「問29」 、平成23年 管理業務主任者試験 「問33」 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問36」 など。
 総会の決議事項は、標準管理規約48条
 「(議決事項)
 第48条 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない
     一 収支決算及び事業報告
     二 収支予算及び事業計画
     三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
     四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
     五 長期修繕計画の作成又は変更
     六 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
     七 第28条第2項に定める建物の建替えに係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し
     八 修繕積立金の保管及び運用方法
     九 第21条第2項に定める管理の実施
     十 区分所有法第57条第2項及び前条第3項第三号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任
     十一 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
     十二 区分所有法第62条第1項の場合の建替え
     十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
     十四 組合管理部分に関する管理委託契約の締結」とあり、
 設問の「修繕積立金の保管及び運用方法」は、48条8号に該当し、総会の決議が必要ですから、適切です。



2 長期修繕計画の作成等のために劣化診断(建物診断)に要する経費については、修繕積立金を取り崩して充当してはならない。

X 適切ではない。 長期修繕計画の作成等のために劣化診断(建物診断)に要する経費については、修繕積立金を取り崩してもいいし、管理費からの充当でもいい。 平成23年 管理業務主任者試験 「問12」 平成23年 管理業務主任者試験 「問27」 平成23年 マンション管理士試験 「問27」 、 平成19年 管理業務主任者試験 「問26」 、平成19年 管理業務主任者試験 「問32」 。
 標準管理規約なんて、国土交通省が作成した単なる雛形のしかも、根拠としてどこまで通用するのかが曖昧なコメントからの出題ですが、一応解説します。
 まず、修繕積立金として取り崩せるのは、標準管理規約28条
 「(修繕積立金)
 第28条 管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
     一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
     二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
     三 敷地及び共用部分等の変更
     四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査
     五 その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理
   2 前項にかかわらず、区分所有法第62条第1項の建替え決議(以下「建替え決議」という。)又は建替えに関する区分所有者全員の合意の後であっても、マンションの建替えの円滑化等に関する法律(以下本項において「円滑化法」という。)第9条のマンション建替組合(以下「建替組合」という。)の設立の認可又は円滑化法第45条のマンション建替事業の認可までの間において、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、修繕積立金から管理組合の消滅時に建替え不参加者に帰属する修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、修繕積立金を取り崩すことができる。
   3 管理組合は、第1項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、修繕積立金をもってその償還に充てることができる。
   4 修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならない。」とあり、
 通常の大規模修繕なら、28条1号に該当しますが、では、まだ工事に入らない状態の「劣化診断」は、修繕積立金から充当するのか、それとも管理費からだすのか、ということです。

 これに対しては、第32条関係のコメント
   @ 建物を長期にわたって良好に維持・管理していくためには、一定の年数の経過ごとに計画的に修繕を行っていくことが必要であり、その対象となる建物の部分、修繕時期、必要となる費用等について、あらかじめ長期修繕計画として定め、区分所有者の間で合意しておくことは、円滑な修繕の実施のために重要である。
   A 長期修繕計画の内容としては次のようなものが最低限必要である。
     1 計画期間が25年程度以上であること。なお、新築時においては、計画期間を30年程度にすると、修繕のために必要な工事をほぼ網羅できることとなる。
     2 計画修繕の対象となる工事として外壁補修、屋上防水、給排水管取替え、窓及び玄関扉等の開口部の改良等が掲げられ、各部位ごとに修繕周期、工事金額等が定められているものであること。
     3 全体の工事金額が定められたものであること。また、長期修繕計画の内容については定期的な(おおむね5年程度ごとに)見直しをすることが必要である。
   B 長期修繕計画の作成又は変更及び修繕工事の実施の前提として、劣化診断(建物診断)を管理組合として併せて行う必要がある。
   C 長期修繕計画の作成又は変更に要する経費及び長期修繕計画の作成等のための劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、管理組合の財産状態等に応じて管理費又は修繕積立金のどちらからでもできる。ただし、修繕工事の前提としての劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、修繕工事の一環としての経費であることから、原則として修繕積立金から取り崩すこととなる。
   D 管理組合が管理すべき設計図書は、適正化法第103条に基づいて宅地建物取引業者から交付される竣工時の付近見取図、配置図、仕様書(仕上げ表を含む。)、各階平面図、2面以上の立面図、断面図又は矩計図、基礎伏図、小屋伏図、構造詳細図及び構造計算書である。ただし、同条は、適正化法の施行(平成13年8月1日)前に建設工事が完了した建物の分譲については適用されてないこととなっており、これに該当するマンションには上述の図書が交付されていない場合もある。他方、建物の修繕に有用な書類としては、上述以外の設計関係書類(数量調書、竣工地積測量図等)、特定行政庁関係書類(建築確認通知書、日影協定書等)、消防関係書類、機械関係設備施設の関係書類、売買契約書関係書類等がある。このような各マンションの実態に応じて、具体的な図書を規約に記載することが望ましい。
   E 修繕等の履歴情報とは、大規模修繕工事、計画修繕工事及び設備改修工事等の修繕の時期、箇所、費用及び工事施工者等や、設備の保守点検、建築基準法第12条第1項及び第2項の特殊建築物等の定期調査報告及び建築設備(昇降機を含む。)の定期検査報告、消防法第8条の2の2の防火対象物定期点検報告等の法定点検など、維持管理の情報であり、整理して後に参照できるよう管理しておくことが今後の修繕等を適切に実施するために有効な情報である。
   F 管理組合が保管する書類等として、第三号に掲げる長期修繕計画書、第五号及びDに掲げる設計図書等、第六号及びEに掲げる修繕等の履歴情報があげられるが、その他に、理事長が保管する書類等としては、第49条第3項で定める総会議事録、第53条第2項の規定に基づき準用される第49条第3項で定める理事会議事録、第64条及び第64条関係コメントに掲げる帳票類、第72条で定める規約原本等があげられる。このうち、総会議事録及び規約原本の保管は、区分所有法により管理者が保管することとされているものであり、この標準管理規約では理事長を管理者としていることから理事長が保管することとしている。
   G 管理組合が保管する長期修繕計画書、設計図書等及び修繕等の履歴情報についても、理事長が保管する書類等と同様に閲覧に関する規定を設置することが望ましい。また、保管方法についても、電磁的方法が利用可能な場合には、同方法によって保管することが考えられる。
   H 建替え等により消滅する管理組合は、管理費や修繕積立金等の残余財産を清算する必要がある。なお、清算の方法については、各マンションの実態に応じて規定を整備しておくことが望ましい。」とあり、

 「C 長期修繕計画の作成又は変更に要する経費及び長期修繕計画の作成等のための劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、管理組合の財産状態等に応じて管理費又は修繕積立金のどちらからでもできる。ただし、修繕工事の前提としての劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、修繕工事の一環としての経費であることから、原則として修繕積立金から取り崩すこととなる。」としていますから、長期修繕計画の作成又は変更に要する経費及び長期修繕計画の作成等のための劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、管理組合の財産状態等に応じて管理費又は修繕積立金のどちらからでもできますから、適切ではありません。



3 管理組合は、共用部分等に係る火災保険料については、修繕積立金を取り崩して充当してはならない。

○ 適切である。  平成20年 管理業務主任者試験 「問14」 。
 修繕積立金から取り崩すことができるのは、選択肢2で引用しました、標準管理規約28条に規定されている事項です。
 設問の「共用部分等に係る火災保険料」は、標準管理規約28条にありません。
 では、管理費から充当できるかを見てみましょう。それは、標準管理規約27条
 「(管理費)
 第27条 管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する
     一 管理員人件費
     二 公租公課
     三 共用設備の保守維持費及び運転費
     四 備品費、通信費その他の事務費
     五 共用部分等に係る火災保険料その他の損害保険料
     六 経常的な補修費
     七 清掃費、消毒費及びごみ処理費
     八 委託業務費
     九 専門的知識を有する者の活用に要する費用
     十 地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成に要する
     十一 管理組合の運営に要する費用
     十二 その他敷地及び共用部分等の通常の管理に要する費用」とあり、
  「共用部分等に係る火災保険料」は、27条5号にありますから、これは、修繕積立金ではなく、管理費から充当しますので、適切です。



4 共用設備の保守、維持及び運転に要する経費については、修繕積立金を取り崩して充当してはならない。

○ 適切である。 
 共用設備の保守、維持及び運転に要する経費も選択肢2で引用しました、修繕積立金からの取り崩しを規定した標準管理規約28条にはなく、選択肢3で引用しました管理費からの充当を規定した標準管理規約27条3号
 「三 共用設備の保守維持費及び運転費」にありますから、これは、修繕積立金からではなく、管理費から充当しますので、適切です。



答え:2  かなり易しい出題でした。

問15

【問15】管理組合の活動における以下の取引に関して、平成25年3月分の仕訳として正しいものは次のうちどれか。ただし、この管理組合の会計年度は、4月1日から翌年3月31日までとし、期中の取引において、企業会計原則に基づき厳格な発生主義によって経理しているものとする。


*発生主義ということ
 毎年の説明で、私の過去問題の解説をやってきている人には、分かり切ったことでしょうが、初めての人もいますので、

 ★マンションの会計処理で
発生主義ということの重要性は、

  全ての費用・収益は、その支出・収入に基づいて計上し、その発生した期間
     *収入については、請求権が生じた月、
     *支出については、支出が労役などの提供又は工事などである場合は、その労役などの提供又は工事等が完了した月、物品の購入なら、その物品が納入された月
    に正しく割り当てるように処理すること。

 これにより、管理費や修繕積立金は該当月に徴収することになっているなら、未収入金(滞納)があっても、全額計上されている。

 この辺りが、企業の会計処理を知っている人には、なかなか理解できない個所です。

*では設問を検討しましょう。
 ●仕訳は3月であること。
   これが、発生主義により、3月に予定通りに完了、納入された事項については、そのまま仕訳をします。
 
 1.そこで、取引を読むと
   ア.(1 )から(4 )は平成25年3月末まで予定通りに完了あるいは納入している

(1 ) 共用非常照明修理工事 75,000円
(2 ) 排水管塗装工事  368,000円
(3 ) 壁補修工事  21,000円
(4 ) 防犯カメラ取替(取付費含む)   670,000円

   イ.しかし「、(1) 及び(2) は同年3月末に普通預金から全額を支払い、(3) 及び(4) は同年4月末日支払いの予定である。」
   これにより、勘定科目を検討します。
   大体、マンションの会計は、管理業者の経理のパソコン・ソフトに依存していますから、勘定科目を決めるのは、問題があるのですが、一応、常識的に、
    (1 ) 共用非常照明修理工事 
    (2 ) 排水管塗装工事  
    (3 ) 壁補修工事  
  は工事なっていますので、修繕費に入れて、費用の発生として借方に仕訳します。
  次の
    (4 ) 防犯カメラ取替(取付費含む) は、
  工事(修繕費)とは別の勘定科目にしてくれと、出題者がいっていますから、これは、什器備品に入れましょう。

{仕訳ー1} すると、「(1 )から(2)は、3月に現金預金から支払った」、により、支払いは現金預金勘定から資産の減少として、貸方に記帳となります。 

借方 貸方
修繕費
現金預金  443, 000円
(1 ) 共用非常照明修理工事 75,000円
(2 ) 排水管塗装工事 368,000円
 443, 000円


{仕訳ー2} 「(3) 及び(4) は同年4月末日支払いの予定」により、もう発生していますから費用と資産の増加として借方へ記帳し、これらは、未払金 となり、未払金は、負債の増加として貸方に記帳します。

借方 貸方
修繕費  未払金  691,000円
(3 ) 壁補修工事 21,000円
什器備品
(4 ) 防犯カメラ取替(取付費含む)   670,000円
 691,000円

  となります。

 2. 「(5 )、(6 )及び(7)は工事費等の一部である2,500,000円を手付金として同年3月末日に普通預金から支払った」、により、これらは、まだ、3月には発生していないため、支払った分を 前払金 としてまとめて、資産の増加として借方へ仕訳けます。支払った現金預金は、資産の減少として貸方に記帳します。なお、前払金に対応する仕訳は、工事が完成した時点で、前払金を適正な勘定科目に振り分けます。

(5 ) 消防設備不備箇所改良工事 580,000円
(6 ) エレベーター改良工事  7,500,000円
(7) エレベーター工事に伴う部品交換 800,000円
全体のうち 2,500,000円 だけ、まとめて前払いした
 
 {仕訳ー3}
借方 貸方
前払金  2,500,000円 現金預金   2,500,000円


● 最後に、{仕訳ー1}、{仕訳ー2}、{仕訳ー3} をまとめると、

借方 貸方
修繕費 443, 000円 現金預金 443, 000円
修繕費 21,000円 未払金 691,000円
什器備品  670,000円
前払金  2,500,000円 現金預金  2,500,000円


 となり、最終的には、
 
 
 です。



答え:1   まったく、細かな出題で、また、会計の借方|貸方の表示は、NETでは金額を揃る必要もありで、実に、作成と整理に時間がかかる。 この仕訳は、もう過去問題でお馴染みですから、面倒なだけで、易しい部類に入る出題です。

問16

【問16】管理組合の活動における以下の取引に関して、平成25年3月分の仕訳として正しいものは次のうちどれか。ただし、この管理組合の会計年度は、4月1日から翌年の3月31日までとし、期中の取引において、企業会計原則に基づき厳格な発生主義によって経理しているものとする。

 

発生主義ということは、前の「問15」を参考にしてください。

●求められているのは、3月の仕訳である。
 では、取引を検討しましょう。
 4月に請求がきても、3月に処理が想定されるのは、
電気料3月分  180,00円
水道料2〜3月分  86,000円

  です。
  あとの、「管理委託費5月分は、4月に前払い」 で、「リース料4月分 は 4月の処理」 ですから、
  3月の仕訳には影響していません。

 そこで、想定される仕訳は、
 電気料 と 水道料 を費用の発生として借方に、対応する科目は、3月ではまだ支払いがないので未払金として、負債の増加として、貸方に記帳します。

 
 


答え:2  ここは、もう簡単に解説しました。 でも、まだ、請求書がきていない、電気料3月分と水道料2〜3月分の金額をどうやって、3月に分かったのでしょうか?

問17

【問17】用語の定義に関する次の記述のうち、建築基準法(昭和25年法律第201号)によれば、誤っているものはどれか。

1 主要構造部に、最下階の床は含まれない。

○ 正しい。 平成24年 管理業務主任者試験 「問18」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問17」 など よく出題がある。
 主要構造部の定義は、建築基準法2条5号
 (用語の定義)
 第二条  この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
     五  主要構造部 壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。 」とあり、
 最下階の床などは、主要構造部から除かれていますから、正しい。
 なお、建築における主要構造部の定義は、防火の観点からされたものです。選択肢2 の「構造耐力上主要な部分」との違いは、明確に理解しておくこと。




2 構造耐力上主要な部分に、屋根版は含まれない。

X 誤っている。 屋根版も含まれる。
 構造耐力上主要な部分とは、建築基準法施行令第1条3号
 「(用語の定義)
 第一条  この政令において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
     三  構造耐力上主要な部分 基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。 」とあり、
 構造耐力上主要な部分には、屋根版も入っていますから、誤りです。

 
 


3 耐水材料に、れんがは含まれる。

○ 正しい。 
 耐水材料とは、建築基準法施行令第1条4号
  「四  耐水材料 れんが、石、人造石、コンクリート、アスファルト、陶磁器、ガラスその他これらに類する耐水性の建築材料をいう。」とあり、
 耐水材料には、れんがも含まれますから、正しい。



4 地階とは、床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの3分の1以上のものをいう。

○ 正しい。  平成21年 管理業務主任者試験 「問17」 、 平成17年 管理業務主任者試験 「問18」 など。
 地階の定義は、建築基準法施行令第1条2号
 「二  地階 床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの三分の一以上のものをいう。」 とあり、
 正しい。
 なお、地盤面とは、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいい、その接する 位置の高低差が3mを超える場合は、その高低差3m以内ごとの平均の高さにおける水平面をいいます(建築基準法第52条第4項)。 この地盤面が、建築物の高さを測る基準です。





答え:2  建築基準法での用語の定義は、過去から出題は多いので注意してください。 


 なお、建築基準法については、「マンション管理士 香川事務所」 が 無料で別途 「要約 建築基準法」 も解説していますので、こちらもご利用ください。
 さらに、マンション管理士・管理業務主任者試験では、建築基準法、都市計画法、水道法、消防法 は出題傾向が高いので、過去問題の下の方にまとめていますから、こちらも参考にしてください。
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問18

【問18】住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備に関する次の記述のうち、消防法(昭和23年法律第186号)によれば、誤っているものはどれか。

1 自動試験機能とは、住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備に係る機能が適正に維持されていることを、自動的に確認することができる装置による試験機能をいう。

○ 正しい。 平成21年 管理業務主任者試験 「問21」 
 まず、全ての戸建住宅や共同住宅(自動火災報知設備が設置されているものを除く)について、住宅用防災機器の設置が必要となりました。




 
 それが、消防法第9条の2
 「第九条の二  住宅の用途に供される防火対象物(その一部が住宅の用途以外の用途に供される防火対象物にあつては、住宅の用途以外の用途に供される部分を除く。以下この条において「住宅」という。)の関係者は、次項の規定による住宅用防災機器(住宅における火災の予防に資する機械器具又は設備であつて政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)の設置及び維持に関する基準に従つて、住宅用防災機器を設置し、及び維持しなければならない
   2  住宅用防災機器の設置及び維持に関する基準その他住宅における火災の予防のために必要な事項は、政令で定める基準に従い市町村条例で定める。 」です。

 そこで、これを受けた政令は、消防法施行令 第5条の7  (昭和三十六年三月二十五日政令第三十七号)最終改正年月日:平成二五年一一月二七日政令第三一九号
 「(住宅用防災機器の設置及び維持に関する条例の基準)
 第五条の七
 住宅用防災機器の設置及び維持に関し住宅における火災の予防のために必要な事項に係る法第九条の二第二項の規定に基づく条例の制定に関する基準は、次のとおりとする。
     一 住宅用防災警報器又は住宅用防災報知設備の感知器は、次に掲げる住宅の部分(ロ又はハに掲げる住宅の部分にあつては、総務省令で定める他の住宅との共用部分を除く。)に設置すること。
        イ 就寝の用に供する居室(建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第四号に規定する居室をいう。ハにおいて同じ。)
        ロ イに掲げる住宅の部分が存する階(避難階を除く。)から直下階に通ずる階段(屋外に設けられたものを除く。)
        ハ イ又はロに掲げるもののほか、居室が存する階において火災の発生を未然に又は早期に、かつ、有効に感知することが住宅における火災予防上特に必要であると認められる住宅の部分として総務省令で定める部分
     二 住宅用防災警報器又は住宅用防災報知設備の感知器は、天井又は壁の屋内に面する部分(天井のない場合にあつては、屋根又は壁の屋内に面する部分)に、火災の発生を未然に又は早期に、かつ、有効に感知することができるように設置すること。
     三 前二号の規定にかかわらず、第一号に掲げる住宅の部分にスプリンクラー設備(総務省令で定める閉鎖型スプリンクラーヘッドを備えているものに限る。)又は自動火災報知設備を、それぞれ第十二条又は第二十一条に定める技術上の基準に従い設置したときその他の当該設備と同等以上の性能を有する設備を設置した場合において総務省令で定めるときは、当該設備の有効範囲内の住宅の部分について住宅用防災警報器又は住宅用防災報知設備を設置しないことができること。
   2 前項に規定するもののほか、住宅用防災機器の設置方法の細目及び点検の方法その他の住宅用防災機器の設置及び維持に関し住宅における火災の予防のために必要な事項に係る法第九条の二第二項の規定に基づく条例の制定に関する基準については、総務省令で定める。」とあります。


 設問に対しては、住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備に係る技術上の規格を定める省令の 第2条 (平成十七年一月二十五日総務省令第十一号)最終改正年月日:平成二五年三月二七日総務省令第二五号
 「(用語の意義)
 第二条
 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
     一 住宅用防災警報器 住宅(消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第九条の二第一項に規定する住宅をいう。以下同じ。)における火災の発生を未然に又は早期に感知し、及び報知する警報器(煙を感知するものに限る。)であつて、感知部、警報部等で構成されたものをいう。
     二 住宅用防災報知設備 住宅における火災の発生を未然に又は早期に感知し、及び報知する火災報知設備(煙を感知するものに限る。)であつて、感知器(火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和五十六年自治省令第十七号)第二条第一号に規定するものをいう。)、中継器(中継器に係る技術上の規格を定める省令(昭和五十六年自治省令第十八号)第二条第六号に規定するものをいう。)、受信機(受信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和五十六年自治省令第十九号)第二条第七号に規定するものをいう。第六号において同じ。)及び補助警報装置で構成されたもの(中継器又は補助警報装置を設けないものにあつては、中継器又は補助警報装置を除く。)をいう。
     三 イオン化式住宅用防災警報器 周囲の空気が一定の濃度以上の煙を含むに至つたときに火災が発生した旨の警報(以下「火災警報」という。)を発する住宅用防災警報器で、一局所の煙によるイオン電流の変化により作動するものをいう。
     四 光電式住宅用防災警報器 周囲の空気が一定の濃度以上の煙を含むに至つたときに火災警報を発する住宅用防災警報器で、一局所の煙による光電素子の受光量の変化により作動するものをいう。
     五 自動試験機能 住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備に係る機能が適正に維持されていることを、自動的に確認することができる装置による試験機能をいう。
     六 補助警報装置 住宅の内部にいる者に対し、有効に火災警報を伝達するために、住宅用防災報知設備の受信機から発せられた火災が発生した旨の信号を受信して、補助的に火災警報を発する装置をいう。」とあり、
 第2条5号に該当していますから、正しい。



2 住宅用防災警報器のうちスイッチの操作により火災警報を停止することのできるものにあっては、当該スイッチの操作により火災警報を停止したとき、15分以内に自動的に適正な監視状態に復旧するものでなければならない。

○ 正しい。
 こんな規定がどこにあるかのか、探すだけでも大変でした。それは、選択肢1でも引用しました、住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備に係る技術上の規格を定める省令  の 第3条12号
 「(構造及び機能)
 第三条
 住宅用防災警報器の構造及び機能は、次に定めるところによらなければならない。
     一 確実に火災警報を発し、かつ、取扱い及び附属部品の取替えが容易にできること。
     二 取付け及び取り外しが容易にできる構造であること。
     三 耐久性を有すること。
     四 通常の使用状態において、温度の変化によりその外箱が変形しないこと。
     五 配線は、十分な電流容量を有し、かつ、接続が的確であること。
     六 部品は、機能に異常を生じないように、的確に、かつ、容易に緩まないように取り付けること。
     七 充電部は、外部から容易に人が触れないように、十分に保護すること。
     八 感知部の受ける気流の方向により住宅用防災警報器に係る機能に著しい変動を生じないこと。
     九 住宅用防災警報器は、その基板面を取付け定位置から四十五度傾斜させた場合、機能に異常を生じないこと。
     十 火災警報は、次によること。
       イ 警報音(音声によるものを含む。以下同じ。)により火災警報を発する住宅用防災警報器における音圧は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める値の電圧において、無響室で警報部の中心から前方一メートル離れた地点で測定した値が、七十デシベル以上であり、かつ、その状態を一分間以上継続できること。
         (イ) 電源に電池を用いる住宅用防災警報器 住宅用防災警報器を有効に作動できる電圧の下限値
         (ロ) 電源に電池以外から供給される電力を用いる住宅用防災警報器 電源の電圧が定格電圧の九十パーセント以上百十パーセント以下の値
       ロ 警報音以外により火災警報を発する住宅用防災警報器にあつては、住宅の内部にいる者に対し、有効に火災の発生を報知できるものであること。
     十一 電源に電池を用いる住宅用防災警報器にあつては、次によること。
       イ 電池の交換が容易にできること。
       ロ 住宅用防災警報器を有効に作動できる電圧の下限値となつたことを七十二時間以上点滅表示等により自動的に表示し、又はその旨を七十二時間以上音響により伝達することができること。
     十二 スイッチの操作により火災警報を停止することのできる住宅用防災警報器にあつては、当該スイッチの操作により火災警報を停止したとき、十五分以内に自動的に適正な監視状態に復旧するものであること。
     十三 光電式住宅用防災警報器の光源は、半導体素子とすること。
     十四 感知部は、目開き一ミリメートル以下の網、円孔板等により虫の侵入防止のための措置を講ずること。
     十五 放射性物質を使用する住宅用防災警報器は、当該放射性物質を密封線源とし、当該線源は、外部から直接触れることができず、かつ、火災の際容易に破壊されないものであること。
     十六 自動試験機能を有する住宅用防災警報器にあつては、機能の異常を七十二時間以上点滅表示等により自動的に表示し、又はその旨を七十二時間以上音響により伝達することができること。
     十七 電源変圧器は、電気用品の技術上の基準を定める省令(昭和三十七年通商産業省令第八十五号)別表第六2に規定するベル用変圧器と同等以上の性能を有するものであり、かつ、その容量は最大使用電流に連続して耐えるものであること。」とあり、
 第3条12号に該当していますから、正しい。



3 住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備の感知器は、天井にあっては壁又ははりから0.6m以上離れた屋内に面する部分、壁にあっては天井から下方0.15m以上0.5m以内の位置にある屋内に面する部分で、かつ、換気口等の空気吹出し口から1.0m以上離れた位置に設置しなければならない。

X 誤っている。 換気口等の空気吹出し口から”1.0m以上”離れた位置ではなく、”1.5m以上”離れた位置。
 まったく、解説者泣かせの箇所からの出題です。 設置場所まで、細かく決められているもので、消防庁は、(余計な?)、すごい役所です。
 この規定は、選択肢1で引用しました、消防法施行令第5条の7 を受けた政令
 住宅用防災機器の設置及び維持に関する条例の制定に関する基準を定める省令 第7条 (平成十六年十一月二十六日総務省令第百三十八号)最終改正年月日:平成二二年八月二六日総務省令第八六号
  「(住宅用防災警報器に関する基準)
 第七条
 令第五条の七第二項の規定により、第三条から前条までに規定するもののほか、住宅用防災警報器の設置及び維持に関し住宅における火災の予防のために必要な事項に係る条例は、次の各号に定めるところにより制定されなければならない。
     一 令第五条の七第一項第一号ロに定める階段にあつては、住宅用防災警報器は、当該階段の上端に設置すること。
     二 住宅用防災警報器は、天井又は壁の屋内に面する部分(天井のない場合にあつては、屋根又は壁の屋内に面する部分。この号において同じ。)の次のいずれかの位置に設けること。
       イ 壁又ははりから〇・六メートル以上離れた天井の屋内に面する部分
       ロ 天井から下方〇・一五メートル以上〇・五メートル以内の位置にある壁の屋内に面する部分
     三 住宅用防災警報器は、換気口等の空気吹出し口から、一・五メートル以上離れた位置に設けること。

     四 住宅用防災警報器は、次の表の上欄に掲げる住宅の部分の区分に応じ、同表の下欄に掲げる種別のものを設けること。

住宅の部分 住宅用防災警報器の種別
令第五条の七第一項第一号イ及びロ並びに第四条第一号、第二号並びに第三号ロ及びハに掲げる住宅の部分 光電式住宅用防災警報器
第四条第三号イに掲げる住宅の部分 イオン化式住宅用防災警報器又は光電式住宅用防災警報器

     五 電源に電池を用いる住宅用防災警報器にあつては、当該住宅用防災警報器を有効に作動できる電圧の下限値となつた旨が表示され、又は音響により伝達された場合は、適切に電池を交換すること。
     六 電源に電池以外から供給される電力を用いる住宅用防災警報器にあつては、正常に電力が供給されていること。
     七 電源に電池以外から供給される電力を用いる住宅用防災警報器の電源は、分電盤との間に開閉器が設けられていない配線からとること。
     八 電源に用いる配線は、電気工作物に係る法令の規定によること。
     九 自動試験機能を有しない住宅用防災警報器にあつては、交換期限が経過しないよう、適切に住宅用防災警報器を交換すること。
     十 自動試験機能を有する住宅用防災警報器にあつては、機能の異常が表示され、又は音響により伝達された場合は、適切に住宅用防災警報器を交換すること。」とあり、

 第7条2号及び3号によれば、「住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備の感知器は、天井にあっては壁又ははりから0.6m以上離れた屋内に面する部分、壁にあっては天井から下方0.15m以上0.5m以内の位置にある屋内に面する部分」は、正しい。
 しかし、「かつ、換気口等の空気吹出し口から1.0m以上離れた位置に設置しなければならない」の「1.0m以上離れた位置」は「1.5m以上離れた位置」であるため、誤っている。





4 共同住宅用スプリンクラー設備、共同住宅用自動火災報知設備又は住戸用自動火災報知設備を、それぞれ省令に定める技術上の基準に従い設置した場合には、住宅用防災警報器又は住宅用防災報知設備の設置は免除される。

○ 正しい。
 設置の免除は、選択肢1、及び選択肢3でも引用しました、消防法施行令第5条の7 1項3号を受けた政令
 住宅用防災機器の設置及び維持に関する条例の制定に関する基準を定める省令 第6条  (平成十六年十一月二十六日総務省令第百三十八号)最終改正年月日:平成二二年八月二六日総務省令第八六号
 「(設置の免除
 第六条 令第五条の七第一項第三号の総務省令で定めるときは、次の各号に掲げるいずれかのときとする。
     一 スプリンクラー設備(前条に定める閉鎖型スプリンクラーヘッドを備えているものに限る。)又は自動火災報知設備を、それぞれ令第十二条又は令第二十一条に定める技術上の基準に従い、又は当該技術上の基準の例により設置したとき。
     二 共同住宅用スプリンクラー設備、共同住宅用自動火災報知設備又は住戸用自動火災報知設備を、それぞれ特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成十七年総務省令第四十号)第三条第三項第二号並びに第三号及び第四号(同令第四条第三項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)に定める技術上の基準に従い、又は当該技術上の基準の例により設置したとき。
    三 複合型居住施設用自動火災報知設備を複合型居住施設における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成二十二年総務省令第七号)第三条第二項に定める技術上の基準に従い、又は当該技術上の基準の例により設置したとき。」とあり、

 第6条2号に該当して、共同住宅用スプリンクラー設備、共同住宅用自動火災報知設備又は住戸用自動火災報知設備を、それぞれ省令に定める技術上の基準に従い設置した場合には、住宅用防災警報器又は住宅用防災報知設備の設置は免除されますから、正しい。



答え:3   まったく、該当の規定を探すのに時間がかかる。

問19

【問19】排水設備に関する用語の説明として、最も不適切なものはどれか。

1 伸頂通気管とは、最上部の排水横枝管が排水立て管に接続した点よりも更に上方へ、その排水立て管を立ち上げて、これを通気管に使用する部分をいう。

○ 適切である。 平成25年 マンション管理士試験 「問43」 
 マンション生活では、汚水や生活雑排水を処理する排水設備は大切な設備ですが、この排水管の気圧と外の気圧に差ができると、排水が逆流したりします。そこで、気圧差を少なくさせるため通気管を設けて排水管の水が円滑に流れるようにします。
 そして、伸頂通気管とは、排水立て管の上の部分(頂部)を延長して、通気管を屋上や最上階の外壁から大気に開口する方式で、適切です。
 通気管は、排水管内の気圧と外気との差をできるだけ生じさせないために設けられます。
 なお、通気のとり方により
  1.各個通気方式
  2.ループ
  3.伸頂通気
  4.特殊継手排水システム(マンションでは多い) があります。





2 通気弁とは、排水通気管の端部に設ける可動弁で、排水通気管内に生じる正圧及び負圧を緩和する弁をいう。

X 適切でない。 通気弁は負圧を緩和するだけ。
 通気弁とは排水立て管、排水横枝管などで気圧調節用に使用されます。排水管内で負圧(マイナスの圧)が発生すると弁が開き、外の大気を吸込んで排水管内の圧力を均等化してトラップの封水を保護します。通気弁は通常時は弁は閉じていて、悪臭の漏れを防ぎます。また、正圧(プラスの圧)に対しては、正圧緩和器が使用され、通気弁と組み合わせて使用されます。
 通気弁は、排水通気管内に生じる負圧だけを緩和しますから適切ではありません。(2014年 2月21日: 変更、追記した。)





3 排水口空間とは、間接排水管の管端と、一般の排水系統に直結している水受け容器又は排水器具のあふれ縁との間の垂直距離をいう。

○ 適切である。 
 排水口空間は、排水が逆流することを防ぎます。
 具体的には、間接排水する機器の排水管の管端と間接排水を受ける器具などのあふれ縁、または排水を受ける床面との間の垂直距離をいいます。排水口空間は間接排水する配管によって異なります。

 それでは、吐水口空間とは?




4 封水強度とは、排水管内に正圧又は負圧が生じたときの排水トラップの封水保持能力をいう。

○ 適切である。
 封水強度とは排水管内に正圧または負圧が生じた時に、排水管から虫や臭いが侵入するのを水で防いでいるトラップの封水保持能力のことをいいます。使用されるトラップの封水深、脚断面積比や封水量などの違いによって、同一の管内圧力変動であっても、封水損失の状況は異なります。
 なお、破封とは、トラップ内の水が減少しトラップとしての機能を失う現象のことです。





答え:2  過去問題だけでは、選択肢2 は浮かばない? 設備に関しては、本当に雑学的な知識が必要です。
 そこで、設備について、合格者は、「マンション維持修繕技術ハンドブック」一般社団法人マンション管理業協会 :編集 という部厚い本を買って勉強しています。


*2013年12月10日:マンション管理士試験の設備問題の解説の流れにのって、設備については、他の解説より先に解説をしています。 

問20

【問20】換気設備に関する次の記述のうち、建築基準法によれば、誤っているものはどれか。

1 居室には、政令で定める技術的基準に従って換気設備を設けた場合を除いて、換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、20分の1以上とすること。

○ 正しい。  平成19年 管理業務主任者試験 「問24」 。
 こんな出題は、記憶にないと思っていたら、平成19年 管理業務主任者試験 「問24」が近い。
 換気設備は、まず、建築基準法第28条
 「(居室の採光及び換気)
 第二十八条
 住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他これらに類する建築物で政令で定めるものの居室(居住のための居室、学校の教室、病院の病室その他これらに類するものとして政令で定めるものに限る。)には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、住宅にあつては七分の一以上、その他の建築物にあつては五分の一から十分の一までの間において政令で定める割合以上としなければならない。ただし、地階若しくは地下工作物内に設ける居室その他これらに類する居室又は温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室については、この限りでない。
   2 居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、二十分の一以上としなければならない。ただし、政令で定める技術的基準に従つて換気設備を設けた場合においては、この限りでない。
   3 別表第一(い)欄(一)項に掲げる用途に供する特殊建築物の居室又は建築物の調理室、浴室その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備若しくは器具を設けたもの(政令で定めるものを除く。)には、政令で定める技術的基準に従つて、換気設備を設けなければならない。
   4 ふすま、障子その他随時開放することができるもので仕切られた二室は、前三項の規定の適用については、一室とみなす。」とあり、
 第28条2項により、正しい



2 換気設備を設けるべき調理室等に煙突、排気フードなどを設けず、排気口又は排気筒に換気扇を設ける場合にあっては、その有効換気量を、(燃料の単位燃焼量当たりの理論廃ガス量)×(火を使用する設備又は器具の実況に応じた燃料消費量)の40倍以上とすること。

○ 正しい。
 これは、建築基準法施行令第20条の3 
 「(火を使用する室に設けなければならない換気設備等)
 第二十条の三  法第二十八条第三項 の規定により政令で定める室は、次に掲げるものとする。
     一  火を使用する設備又は器具で直接屋外から空気を取り入れ、かつ、廃ガスその他の生成物を直接屋外に排出する構造を有するものその他室内の空気を汚染するおそれがないもの(以下この項及び次項において「密閉式燃焼器具等」という。)以外の火を使用する設備又は器具を設けていない室
     二  床面積の合計が百平方メートル以内の住宅又は住戸に設けられた調理室(発熱量の合計(密閉式燃焼器具等又は煙突を設けた設備若しくは器具に係るものを除く。次号において同じ。)が十二キロワット以下の火を使用する設備又は器具を設けたものに限る。)で、当該調理室の床面積の十分の一(〇・八平方メートル未満のときは、〇・八平方メートルとする。)以上の有効開口面積を有する窓その他の開口部を換気上有効に設けたもの
     三  発熱量の合計が六キロワット以下の火を使用する設備又は器具を設けた室(調理室を除く。)で換気上有効な開口部を設けたもの
   2  建築物の調理室、浴室、その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備又は器具を設けたもの(前項に規定するものを除く。以下この項及び第百二十九条の二の六において「換気設備を設けるべき調理室等」という。)に設ける換気設備は、次に定める構造としなければならない。
     一  換気設備の構造は、次のイ又はロのいずれかに適合するものとすること。
       イ 次に掲げる基準に適合すること。
         (1) 給気口は、換気設備を設けるべき調理室等の天井の高さの二分の一以下の高さの位置(煙突を設ける場合又は換気上有効な排気のための換気扇その他これに類するもの(以下この号において「換気扇等」という。)を設ける場合には、適当な位置)に設けること。
         (2) 排気口は、換気設備を設けるべき調理室等の天井又は天井から下方八十センチメートル以内の高さの位置(煙突又は排気フードを有する排気筒を設ける場合には、適当な位置)に設け、かつ、換気扇等を設けて、直接外気に開放し、若しくは排気筒に直結し、又は排気上有効な立上り部分を有する排気筒に直結すること。
         (3) 給気口の有効開口面積又は給気筒の有効断面積は、国土交通大臣が定める数値以上とすること。
         (4) 排気口又は排気筒に換気扇等を設ける場合にあつては、その有効換気量は国土交通大臣が定める数値以上とし、換気扇等を設けない場合にあつては、排気口の有効開口面積又は排気筒の有効断面積は国土交通大臣が定める数値以上とすること。
         (5) ふろがま又は発熱量が十二キロワットを超える火を使用する設備若しくは器具(密閉式燃焼器具等を除く。)を設けた換気設備を設けるべき調理室等には、当該ふろがま又は設備若しくは器具に接続して煙突を設けること。ただし、用途上、構造上その他の理由によりこれによることが著しく困難である場合において、排気フードを有する排気筒を設けたときは、この限りでない。
        (6) 火を使用する設備又は器具に煙突(第百十五条第一項第七号の規定が適用される煙突を除く。)を設ける場合において、煙突に換気扇等を設ける場合にあつてはその有効換気量は国土交通大臣が定める数値以上とし、換気扇等を設けない場合にあつては煙突の有効断面積は国土交通大臣が定める数値以上とすること。
        (7) 火を使用する設備又は器具の近くに排気フードを有する排気筒を設ける場合において、排気筒に換気扇等を設ける場合にあつてはその有効換気量は国土交通大臣が定める数値以上とし、換気扇等を設けない場合にあつては排気筒の有効断面積は国土交通大臣が定める数値以上とすること。
        (8) 直接外気に開放された排気口又は排気筒の頂部は、外気の流れによつて排気が妨げられない構造とすること。
       ロ 火を使用する設備又は器具の通常の使用状態において、異常な燃焼が生じないよう当該室内の酸素の含有率をおおむね二十・五パーセント以上に保つ換気ができるものとして、国土交通大臣の認定を受けたものとすること。
     二  給気口は、火を使用する設備又は器具の燃焼を妨げないように設けること。
     三  排気口及びこれに接続する排気筒並びに煙突の構造は、当該室に廃ガスその他の生成物を逆流させず、かつ、他の室に廃ガスその他の生成物を漏らさないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
     四  火を使用する設備又は器具の近くに排気フードを有する排気筒を設ける場合においては、排気フードは、不燃材料で造ること。」とあり、
 設問は、第20条の3 2項4号に該当します。

  そこで、建設省告示第1826 号
   換気設備の構造方法を定める件 昭和45 年12 月28 日 建設省告示第1826 号 最終改正 平成12 年12 月26 日 建設省告示第2465 号

とあり、
 
効換気量を、(燃料の単位燃焼量当たりの理論廃ガス量)×(火を使用する設備又は器具の実況に応じた燃料消費量)の40倍以上とするのは、正しい。


3 機械換気設備の構造は、換気上有効な給気機及び排気機、換気上有効な給気機及び排気口又は換気上有効な給気口及び排気機を有すること。

○ 正しい。
 これは、建築基準法施行令第129条の2の6 2項
 「(換気設備)
 第百二十九条の二の六
    2 建築物に設ける機械換気設備は、次に定める構造としなければならない。
     一 換気上有効な給気機及び排気機、換気上有効な給気機及び排気口又は換気上有効な給気口及び排気機を有すること。
     二 給気口及び排気口の位置及び構造は、当該居室内の人が通常活動することが想定される空間における空気の分布を均等にし、かつ、著しく局部的な空気の流れを生じないようにすること。
     三 給気機の外気取り入れ口並びに直接外気に開放された給気口及び排気口には、雨水又はねずみ、虫、ほこりその他衛生上有害なものを防ぐための設備をすること。
     四 直接外気に開放された給気口又は排気口に換気扇を設ける場合には、外気の流れによつて著しく換気能力が低下しない構造とすること。
     五 風道は、空気を汚染するおそれのない材料で造ること。」とあり、
 第129条の2の6 2項1号に該当し、正しい。



4 火を使用する設備又は器具の通常の使用状態において、換気設備は、当該室内の酸素の含有率をおおむね15.0%以上に保つことができるものとして、国士交通大臣の認定を受けたものも認められる。

X 誤っている。 室内の酸素の含有率は、おおむね 15.0% ではなく 20.5%。
 詳細は、選択肢2でも引用しました、建築基準法施行令第20条の3 
 「(火を使用する室に設けなければならない換気設備等)
 第二十条の三
 法第二十八条第三項の規定により政令で定める室は、次に掲げるものとする。
     一 火を使用する設備又は器具で直接屋外から空気を取り入れ、かつ、廃ガスその他の生成物を直接屋外に排出する構造を有するものその他室内の空気を汚染するおそれがないもの(以下この項及び次項において「密閉式燃焼器具等」という。)以外の火を使用する設備又は器具を設けていない室
     二 床面積の合計が百平方メートル以内の住宅又は住戸に設けられた調理室(発熱量の合計(密閉式燃焼器具等又は煙突を設けた設備若しくは器具に係るものを除く。次号において同じ。)が十二キロワット以下の火を使用する設備又は器具を設けたものに限る。)で、当該調理室の床面積の十分の一(〇・八平方メートル未満のときは、〇・八平方メートルとする。)以上の有効開口面積を有する窓その他の開口部を換気上有効に設けたもの
     三 発熱量の合計が六キロワット以下の火を使用する設備又は器具を設けた室(調理室を除く。)で換気上有効な開口部を設けたもの
   2 建築物の調理室、浴室、その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備又は器具を設けたもの(前項に規定するものを除く。以下この項及び第百二十九条の二の六において「換気設備を設けるべき調理室等」という。)に設ける換気設備は、次に定める構造としなければならない。
     一 換気設備の構造は、次のイ又はロのいずれかに適合するものとすること。
       イ 次に掲げる基準に適合すること。
        (1) 給気口は、換気設備を設けるべき調理室等の天井の高さの二分の一以下の高さの位置(煙突を設ける場合又は換気上有効な排気のための換気扇その他これに類するもの(以下この号において「換気扇等」という。)を設ける場合には、適当な位置)に設けること。
        (2) 排気口は、換気設備を設けるべき調理室等の天井又は天井から下方八十センチメートル以内の高さの位置(煙突又は排気フードを有する排気筒を設ける場合には、適当な位置)に設け、かつ、換気扇等を設けて、直接外気に開放し、若しくは排気筒に直結し、又は排気上有効な立上り部分を有する排気筒に直結すること。
        (3) 給気口の有効開口面積又は給気筒の有効断面積は、国土交通大臣が定める数値以上とすること。
        (4) 排気口又は排気筒に換気扇等を設ける場合にあつては、その有効換気量は国土交通大臣が定める数値以上とし、換気扇等を設けない場合にあつては、排気口の有効開口面積又は排気筒の有効断面積は国土交通大臣が定める数値以上とすること。
        (5) ふろがま又は発熱量が十二キロワットを超える火を使用する設備若しくは器具(密閉式燃焼器具等を除く。)を設けた換気設備を設けるべき調理室等には、当該ふろがま又は設備若しくは器具に接続して煙突を設けること。ただし、用途上、構造上その他の理由によりこれによることが著しく困難である場合において、排気フードを有する排気筒を設けたときは、この限りでない。
        (6) 火を使用する設備又は器具に煙突(第百十五条第一項第七号の規定が適用される煙突を除く。)を設ける場合において、煙突に換気扇等を設ける場合にあつてはその有効換気量は国土交通大臣が定める数値以上とし、換気扇等を設けない場合にあつては煙突の有効断面積は国土交通大臣が定める数値以上とすること。
        (7) 火を使用する設備又は器具の近くに排気フードを有する排気筒を設ける場合において、排気筒に換気扇等を設ける場合にあつてはその有効換気量は国土交通大臣が定める数値以上とし、換気扇等を設けない場合にあつては排気筒の有効断面積は国土交通大臣が定める数値以上とすること。
        (8) 直接外気に開放された排気口又は排気筒の頂部は、外気の流れによつて排気が妨げられない構造とすること。
      ロ 火を使用する設備又は器具の通常の使用状態において、異常な燃焼が生じないよう当該室内の酸素の含有率をおおむね二十・五パーセント以上に保つ換気ができるものとして、国土交通大臣の認定を受けたものとすること
     二 給気口は、火を使用する設備又は器具の燃焼を妨げないように設けること。
     三 排気口及びこれに接続する排気筒並びに煙突の構造は、当該室に廃ガスその他の生成物を逆流させず、かつ、他の室に廃ガスその他の生成物を漏らさないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
     四 火を使用する設備又は器具の近くに排気フードを有する排気筒を設ける場合においては、排気フードは、不燃材料で造ること。」とあり、

 第20条の3 2項1号ロ によれば、当該室内の酸素の含有率は、おおむね20.5%以上に保つ換気ができないといけませんから、設問の15.0%は、誤りです。



答え:4  根拠を探すのに、時間がかかった。 こんな、選択肢4の ”おおむね”の数字である 15.0% と 20.5% の違いを出題するとは、まったく適切ではありません。

問21

【問21】共同住宅の各種調査、検査、報告の義務に関する次の記述のうち、建築基準法、消防法によれば、正しいものはどれか。

1 建築基準法第12条第1項に掲げる建築物の定期調査及び同条第3項に掲げる昇降機以外の建築設備の定期調査は、一級建築士若しくは二級建築士でなければ行うことができない。


注:建築基準法第12条は、平成28年6月施行で、改正があった。ここは、未対応。


X 誤りである。 一級建築士、二級建築士、又は国土交通大臣が定める資格を有する者もできる。 平成25年 管理業務主任者試験 「問12」 も 建築基準法第12条からの出題。 平成23年 管理業務主任者試験 「問25」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問37」 、 平成18年 管理業務主任者試験 「問18」 など。
 建築物の定期調査、検査、報告を定めている、建築基準法第12条は、
 「(報告、検査等)
 第十二条  第六条第一項第一号に掲げる建築物その他政令で定める建築物(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物を除く。)で特定行政庁が指定するものの所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、当該建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者にその状況の調査(当該建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、当該建築物の建築設備についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
   2  国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物(第六条第一項第一号に掲げる建築物その他前項の政令で定める建築物に限る。)の管理者である国、都道府県若しくは市町村の機関の長又はその委任を受けた者(以下この章において「国の機関の長等」という。)は、当該建築物の敷地及び構造について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は同項の資格を有する者に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検をさせなければならない。
   3  昇降機及び第六条第一項第一号に掲げる建築物その他第一項の政令で定める建築物の昇降機以外の建築設備(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物に設けるものを除く。)で特定行政庁が指定するものの所有者は、当該建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者に検査(当該建築設備についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
   4  国の機関の長等は、国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物の昇降機及び国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物(第六条第一項第一号に掲げる建築物その他第一項の政令で定める建築物に限る。)の昇降機以外の建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は前項の資格を有する者に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検をさせなければならない。
   5  特定行政庁、建築主事又は建築監視員は、次に掲げる者に対して、建築物の敷地、構造、建築設備若しくは用途又は建築物に関する工事の計画若しくは施工の状況に関する報告を求めることができる。
     一  建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、工事監理者又は工事施工者
     二  第一項の調査、第二項若しくは前項の点検又は第三項の検査をした一級建築士若しくは二級建築士又は第一項若しくは第三項の資格を有する者
     三  第七十七条の二十一第一項の指定確認検査機関
     四  第七十七条の三十五の五第一項の指定構造計算適合性判定機関
   6  建築主事又は特定行政庁の命令若しくは建築主事の委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の職員にあつては第六条第四項、第六条の二第十一項、第七条第四項、第七条の三第四項、第九条第一項、第十項若しくは第十三項、第十条第一項から第三項まで、前条第一項又は第九十条の二第一項の規定の施行に必要な限度において、建築監視員にあつては第九条第十項の規定の施行に必要な限度において、当該建築物、建築物の敷地又は建築工事場に立ち入り、建築物、建築物の敷地、建築設備、建築材料、設計図書その他建築物に関する工事に関係がある物件を検査し、若しくは試験し、又は建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、工事監理者若しくは工事施工者に対し必要な事項について質問することができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。
   7  特定行政庁は、確認その他の建築基準法令の規定による処分並びに第一項及び第三項の規定による報告に係る建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する台帳を整備し、かつ、当該台帳(当該処分及び当該報告に関する書類で国土交通省令で定めるものを含む。)を保存しなければならない。
   8  前項の台帳の記載事項その他その整備に関し必要な事項及び当該台帳(同項の国土交通省令で定める書類を含む。)の保存期間その他その保存に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。
とあり、

 第12条1項によれば、 「一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者」であるので、@一級建築士、A二級建築士 以外にも B国土交通大臣が定める資格を有する者 も行うことができるため、誤りです。
 ここでは、昇降機と昇降機を除く建築設備は別扱いになっていることにも注意してください。

 なお、★特定行政庁とは...建築基準法第2条33号
 「三十三  特定行政庁 建築主事を置く市町村の区域については当該市町村の長をいい、その他の市町村の区域については都道府県知事をいう。ただし、第九十七条の二第一項又は第九十七条の三第一項の規定により建築主事を置く市町村の区域内の政令で定める建築物については、都道府県知事とする。 」とあり、その市町村に建築主事が置かれていれば、その市町村の長であるし、その市町村に建築主事が置かれていなければ、都道府県知事のこと。

 


2 建築基準法第12条第1項に掲げる特殊建築物の定期調査は、5年に1回実施しなければならない。

X 誤っている。 定期調査の時期は、6ヶ月から3年までの間で特定行政庁が定める。
 建築基準法第12条第1項に掲げる特殊建築物の定期調査は、建築基準法施行規則第5条 (昭和25年建設省令第40号)
 「(建築物の定期報告)
 第5条 法第12条第1項(法第88条第1項又は第3項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による報告の時期は、建築物の用途、構造、延べ面積等に応じて、おおむね六月から三年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期(法第12条第1項の規定による指定があつた日以後の新築又は改築(一部の改築を除く。)に係る建築物について、建築主が法第7条第5項(法第87条の2又は法第88条第1項において準用する場合を含む。第6条第1項において同じ。)又は法第7条の2第5項(法第87条の2又は法第88条第1項において準用する場合を含む。第6条第1項において同じ。)の規定による検査済証の交付を受けた場合においては、その直後の時期を除く。)とする。」とあり、
 おおむね6カ月から3年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期に行いますから、5年に1回実施しなければならないは、誤りです。



3 建築基準法第12条第3項に掲げる昇降機の定期検査は、3年に1回実施しなければならない。

X 誤っている。 昇降機の定期検査は、おおむね6ケ月から1年までの間で特定行政庁が定める時期に行う。 平成19年 マンション管理士試験 「問20」 、 平成19年 管理業務主任者試験 「問19」 。
 昇降機の定期検査は、建築基準法施行規則第6条 (昭和25年建設省令第40号)
 「(建築設備等の定期報告)
 第6条 法第12条第3項(法第88条第1項又は第3項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による報告の時期は、建築設備、法第66条に規定する工作物(高さ四メートルを超えるものに限る。)又は法第88条第1項に規定する昇降機等(以下「建築設備等」という。)の種類、用途、構造等に応じて、おおむね六月から一年まで(ただし、国土交通大臣が定める検査の項目については、一年から三年まで)の間隔をおいて特定行政庁が定める時期(法第12条第3項の規定による指定があつた日以後の設置又は築造に係る建築設備等について、設置者又は築造主が法第7条第5項又は法第7条の2第5項の規定による検査済証の交付を受けた場合においては、その直後の時期を除く。)とする。」とあり、

 おおむね6ケ月から1年までの間で特定行政庁が定める時期に行いますから、3年に1回実施しなければならないは、誤りです。
 なお、建築基準法に基づく「定期調査・検査報告制度」は、選択肢4の役所の管轄が異なる消防法に基づく消防用設備等の点検とは異なる制度ですから注意してください。



4 消防用設備等の点検の結果についての報告は、3年に1回実施しなければならない。

○ 正しい。 機器点検は6ヶ月に一度、総合点検は1年に1回行うが、報告は3年に1回でいい。 平成24年 マンション管理士試験 「問24」 選択肢3 、 平成20年 マンション管理士試験 「問36」選択肢2 、 平成19年 マンション管理士試験 「問44」選択肢4 、 平成13年 マンション管理士試験 「問24」 。
 まず、消防用設備等の点検は、消防法第17条の3の3 
 「第十七条の三の三  第十七条第一項の防火対象物(政令で定めるものを除く。)の関係者は、当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等(第八条の二の二第一項の防火対象物にあつては、消防用設備等又は特殊消防用設備等の機能)について、総務省令で定めるところにより、定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。」とあり、

 総務省令で定める政令は、消防法施行規則第31条の6 
 「(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)
 第三十一条の六  法第十七条の三の三 の規定による消防用設備等の点検は、種類及び点検内容に応じて、一年以内で消防庁長官が定める期間ごとに行うものとする
   2  法第十七条の三の三 の規定による特殊消防用設備等の点検は、第三十一条の三の二第六号の設備等設置維持計画に定める点検の期間ごとに行うものとする。
   3  防火対象物の関係者は、前二項の規定により点検を行つた結果を、維持台帳(第三十一条の三第一項及び第三十三条の十八の届出に係る書類の写し、第三十一条の三第四項の検査済証、次項の報告書の写し、消防用設備等又は特殊消防用設備等の工事、整備等の経過一覧表その他消防用設備等又は特殊消防用設備等の維持管理に必要な書類を編冊したものをいう。)に記録するとともに、次の各号に掲げる防火対象物の区分に従い、当該各号に定める期間ごとに消防長又は消防署長に報告しなければならない。ただし、特殊消防用設備等にあつては、第三十一条の三の二第六号の設備等設置維持計画に定める点検の結果についての報告の期間ごとに報告するものとする。
     一  令別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物 一年に一回
     二  令別表第一(五)項ロ、(七)項、(八)項、(九)項ロ、(十)項から(十五)項まで、(十六)項ロ、(十七)項及び(十八)項までに掲げる防火対象物 三年に一回
 (以下、略)」とあり、
 共同住宅は、別表第一(五)項ロ に該当しますから、機器点検は6ヶ月ごと、総合点検は、1年ごとですが、報告は3項2号により、3年に1回ですから、正しい。


 参考



答え:4  点検・報告は、建築基準法、消防法、水道法、電気事業法などで異なっていますから、まとめておくといいでしょう。

問22

【問22】マンションの遮音に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 音の伝わり方には、固体伝搬音と空気伝搬音がある。

○ 適切である。 平成25年 マンション管理士試験 「問40」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問18」 、平成15年 マンション管理士試験 「問40」 。
 マンションの生活では、音への対応は重要です。 音には、建物の床や壁から振動によって伝わる固体伝搬音と、話し声のように空気中を伝わる空気伝搬音とがありますから、適切です。



2 床衝撃音の遮音性能を評価する衝撃源として重量衝撃源と軽量衝撃源があり、子供の椅子からの飛び降りは、軽量衝撃源に分類される。

X 適切でない。 子供の椅子からの飛び降りは、重量衝撃源に分類される。
 固体伝搬音である床の衝撃音は、足音や軽いものが落ちたときなどを発生源とする軽量床衝撃音と、子供が飛び跳ねたときのような音を発生源とする重量床衝撃音に分けられますから、適切ではありません。
 軽量床衝撃音に対しては、カーペットを敷くことは効果があります。また、重量床衝撃音の対策としては、床を厚くしたり小梁を設けて床スラブの剛性を高めると、遮音性能も高くなります。二重床にするとさらに重量床衝撃音に対する遮音性能が向上します。



3 界壁の遮音等級D値は、その値が大きいほど遮音性能が高い。

○ 適切である。 遮音等級D値は、その値が大きいほど遮音性能が高い。 平成21年 マンション管理士試験 「問42」 。
 界壁の遮音は、主に壁の密度と厚さによって左右されます。
 界壁の遮音性能を測定する方法としては、界壁を隔てた隣の住戸にノイズの発生源を設置して、2つの室での音圧(デシベル)差を測定します。これを基準周波曲線にあてはめて等級をD値(Differrence of Sound Level=音圧レベル差)で表します。
 そこで、たとえば、D−55 は D−20 より遮音性能が高くなっています。界壁の遮音等級D値は、その値が大きいほど遮音性能が高いは、適切です。





4 床衝撃音の遮音等級L値は、その値が大きいほど遮音性能が低い。

○ 適切である。 遮音等級L値は、その値が大きいほど遮音性能が低い。
 床衝撃音では、子供が飛び跳ねたときのような重量床衝撃音を想定して重量床衝撃音発生装置(バング・マシン)で上の階の床をゆらします。
 また、軽い足音の軽量床衝撃音を想定して軽量床衝撃音発生装置(タッピング・マシン)で上の階の床をゆらします。これらを、下の階で音圧レベルで計り、床衝撃音の遮音等級 L値(floor impact sound Level) として評価します。
 重量床衝撃音は、Lh (h=Heavy)で表し、 軽量床衝撃音は、Ll (l=Light)で表します。
  そこで、Lー50 と L−80 を比べますと、L−50 の方が L−80 より遮音性能が高くなっています。 L値 は、その値が大きいほど遮音性能が低い(逆に、L値が小さいほど、遮音性能が高い)ので、適切です。上の表も参照してください。



答え:2  ここは、過去問題をやっていれば、易しい。

問23

【問23】マンションの住戸における電気の配線に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 単相3線式で200ボルトの電気器具を使用する場合においては、3本の電気配線のうち中性線と他の電圧線を利用する。

X 適切でない。 電圧線と他の電圧線を結ぶと 200ボルト になる。 平成22年 管理業務主任者試験 「問21」 。
  単相3線式とは、交流の電力を3本の電線で供給します。従来の電圧100ボルト対応の家庭用電気機器の使用ができるだけでなく、ルーム・エアコンやIH調理器などの200ボルト対応の高電圧機器の使用にも対応しています。
 配線は、電圧線が2本と1本の中性線の計3本で構成されます。電圧線ともう一本の電圧線を結ぶと200ボルトの電圧が得られ、電圧線と中性線を結ぶと100ボルトの電圧が得れますから、適切ではありません。
 なお、単相3線式で家庭内に受電するには、分電盤も単相3線式にします。
 そこで、選択肢2の出題があります。





2 単相3線式で引込んでいる住戸においては、漏電遮断器は中性線欠相保護機能付のものとするのが望ましい。

○ 適切である。 
 電気を単相3線式で家庭内で使用するには、分電盤や漏電遮断器も単相3線式にします。この単相3線式では、100ボルトの負荷が2本の電圧線に均等にかかっていないと、中性線が断線(欠相です)して、100ボルトで使用している電気機器に200ボルトの電圧がかかってその機器が燃え出したという事故が相次ぎ、そこで、設問の「中性線欠相保護機能付」の漏電遮断器が開発されていますから、適切です。




3 エアコン用のコンセントは、専用回路とするのが望ましい。

○ 適切である。
 特に法律的な規定はないようですが、エアコンや電子レンジ、IH調理器などは電気の消費量が大きいため、1つのコンセントから複数の電気機器につなぐと(たこあし配線)配線が燃える危険性がありますので、エアコン用のコンセントは、専用回路とするのが望ましいため、適切です。


4 3路スイッチ等を使用することにより、複数の箇所から照明器具のスイッチのオン、オフが可能となる。

○ 適切である。
 3路スイッチとは、異なった2箇所から1つの照明器具などをオン・オフできるスイッチのことですから、適切です。
 例えば、玄関と居間の間の廊下灯や階段の上下などで使用されています。なお、3箇所なら4路スイッチを使用します。




答え:1  ここも、過去問題をやっているとかなり易しい。

問24

【問24】消防法第1条(目的)の次の記述のうち(ア)(イ)(ウ)に入る用語の組合せとして、正しいものはどれか。

この法律は、火災を予防し、警戒し及び(ア)し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、火災又は(イ)等の災害による被害を軽減するほか、災害等による傷病者の搬送を適切に行い、もって安寧秩序を保持し、(ウ)に資することを目的とする。

*平成15年 管理業務主任者試験 「問21」
 消防法第1条の規定は、以下の内容です。 
 「第一条  この法律は、火災を予防し、警戒し及び (ア)鎮圧 し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、火災又は (イ)地震 等の災害による被害を軽減するほか、災害等による傷病者の搬送を適切に行い、もつて安寧秩序を保持し、 (ウ)社会公共の福祉の増進 に資することを目的とする。 」
 そこで、 (ア)は鎮圧、 (イ)は地震、 (ウ)は社会公共の福祉の増進 となり、 1 が正しい。



答え:1  ここは、もう解説までもありません。

問25

【問25】コンクリートに関する次の記述のうち、建築工事標準仕様書・同解説(JASS5)によれば、最も適切なものはどれか。

1 コンクリートの計画供用期間とは、建築物の計画時又は設計時に、建築主又は設計者が設定する、建築物の予定供用期間であり、3つの級が設定されている。

X 適切でない。 級は4つ、@短期、A標準、B長期、C超長期がある。
  建築工事標準仕様書・同解説(JASS5)とは、またマニアックな箇所からの出題で、根拠を探しきれませんが、コンクリートの適切な材料選択や調合方法、施行基準を定めている日本建築学会の建築工事標準仕様書・同解説(JASS5)は、ほぼ10年ごとに改正されています。
 そこで、2009年版のJASS 5 によると、設問の前半 、「コンクリートの計画供用期間とは、建築物の計画時又は設計時に、建築主又は設計者が設定する、建築物の予定供用期間であり」は適切のようです。
 住宅の品質・耐久性の向上に対する社会的要求の高まりから、計画共用期間の級が、以前は3つの級であったのが改定され、現在は、30年程度は改修が不要な級から200年程度は改修が不要な、1.短期、2.標準、3.長期、4.超長期の4つになりましたから、後半が適切ではありません。


  


2 空気量とは、硬化後のコンクリートに含まれる空気(骨材内部の空気は含まない)の容積のコンクリート容積に対する百分率をいう。

X 適切でない。 生コンクリート中のセメント・ペースト又はモルタル部分に含まれる空気泡の容積の、コンクリート全容積に対する百分率。ただし、骨材内部の空気は含まない。
 コンクリートは、セメント、水、細骨材(砂)、粗骨材(砂利)および適切な混和材(剤)を適当な割合で混合し、練り混ぜたものです。
 全容積の3%〜6%程度の微細気泡(空気)が混入しています。コンクリート中の空気量が多くなるほど強度は低下します。
 そこで、空気量とは、フレッシュ(生)コンクリートで、セメントと水を練ったセメント・ペーストまたはモルタル(セメント、細骨材、水および必要に応じて混和材料を構成材料とし、これらを練り混ぜたもの)部分に含まれる空気の容積のコンクリート全容積に対する百分率で表したもの(ただし、骨材内部の空気は含まない)ですから、硬化後のコンクリートは適切ではありません。
 主にコンクリートを調合する際に計られます。




3 運搬とは、フレッシュコンクリートを工事現場の荷卸し地点から打込み地点まで運ぶことをいう。

X 適切でない。 運搬とは工場から工事現場の荷卸し地点までのこと。
  フレッシュコンクリート(生コン)は、軟らかい生の状態でコンクリート工場でつくられます。
 そこで、運搬とは、製造工場から、工場現場での荷卸地点までのことをいうようです。
 出荷から荷卸までは90分以内と決められているとか。



4 品質基準強度とは、構造体の要求性能を得るために必要とされるコンクリートの圧縮強度であり、通常、設計基準強度と耐久設計基準強度を確保するために、コンクリートの品質の基準として定める強度である。

○ 適切である。
 まったく専門用語ばかりで、よくわからないけど、そうらしい。
 少し別の言い方をすると、
 品質基準強度とは、構造物及び部材の要求品質を得るために必要とされるコンクリートの圧縮強度で、通常、設計基準強度と耐久設計基準強度を確保するために、コンクリートの品質の基準として定めた強度をいいます。
 そして、設計基準強度とは、構造物の構造計算において基準としたコンクリートの圧縮強度をいいます。日本建築学会(JASS 5)標準仕様書では、設計基準強度は、18,21,24,27,30,33および36N/mm2を標準にすると規定しています。
 さらに、耐久設計基準強度とは、構造物及び部材の供用期間に応ずる耐久性を確保するために必要とされる圧縮強度をいいます。日本建築学会が定めた耐久年数の水準は、耐久性の期間を30年間とした場合の耐久設計強度は18N/mm2、65年間では、24N/mm2、100年間では耐久設計強度を30N/mm2としています。選択肢1も参考にしてください。


答え:4  まったく新しい箇所からの出題で、根拠の「建築工事標準仕様書・同解説(JASS5)」なんて、どこで入手するのか? 「マンション管理の知識」の最新版にはあるのか?
 「マンション 維持修繕技術 ハンドブック 第3版 (平成25年 8月 1日発行) オーム社」も読んだが、まったくわからない。(ハンドブックといいながら、かなり部厚い本で、手に持っていると疲れますが。)
 非常に、出題方法として、問題があります。


*2013年12月11日:次は、設備の流れから、「問28」 を他の解説より先に解説します。

ここまで、問25


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2018年 3月17日:建築基準法第12条の改正を入れた。
2014年 2月21日:再検討し、「問19」選択肢2を訂正した。
2014年 2月17日:「問9」選択肢アに引用を訂正した。
2014年 2月 9日:再検討し、リンクを入れた。
2014年 1月29日:再度見直しの続きとして、「問14」から「問25」までの長文に改行、「問18」の解説文と答えとの違いの訂正、
「問18」、「問22」など大きな図の縮小などを行った。
2014年 1月27日:再度見直して、「問1」から「問14」までに、長文に改行などを入れた。
2014年 1月13日:解説が纏まらなかった、「問6」 選択肢イ の解説を加えた。
2014年 1月 3日:「問1」から「問25」まで、解説を終えた。
2013年12月10日〜12月11日 解説開始:設備関係、「問19」 、「問22」 、「問23」、「問25」 を先に解説した。
問題文UP:2013年12月 5日

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