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平成28年(2016年) 管理業務主任者 試験問題 及び 解説

ページ2(問26より問50まで)

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謝辞:問題文の作成には、 たむたむさまの協力を得ています。

※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。

*試験に臨んで、お節介なアドバイス
  1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
    殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
    そして、各選択肢を読み、○かXをつけます。
    問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。

  2.疑問な問題は、とりあえず飛ばす。
    解答の時間は限られています。
    そこで、解答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
    全部の解答が終わってから、再度戻って決定してください。

  3.複雑な問は、図を描く。
    甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
    この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。
    重要な点が分かってきます。

(出題者からの注意) 1.答えは、各問題とも1つだけです。2つ以上の解答をしたもの、判読が困難なものは、正解としません。
              2.問題中法令に関する部分は、平成28年4月1日現在施行中の規定に基づいて出題されています。


解説者(マンション管理士 香川)からのコメント:あやふやな出題、適切でない出題もあって、解答ができないのもあります。

※  ・マンションの管理の適正化に関する指針(国土交通省告示第490号)及びマンション標準管理規約は、平成28年3月に改正があったので注意のこと。
   ・マンション標準管理委託契約書は、平成28年7月に改正があり、平成29年度の試験から出題適用となるので注意のこと。
   
   マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
   マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。

問26

[問 26] 消防法第8条の規定内容に関する次の記述の( ア )、( イ )に入る語句の組み合せとして、正しいものはどれか。  

  共同住宅で居住者の数が( ア )人以上の場合、管理についての権原を有する者は、防火管理者を定め、( イ )を作成させ、当該計画に基づく消火・避難訓練の実施、消防設備・施設の点検整備などのほか、防火管理上必要な業務を行わせなければならない。  

 

 平成27年 マンション管理士試験 「問23」 、平成26年マンション管理士試験 「問23」 、平成25年マンション管理士試験 「問23」、 平成24年マンション管理士試験 「問23」平成19年マンション管理士試験 「問24」。
 
 消防法と政令の組み合わせ問題。


 まず、消防法第8条1項
 「第八条  学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店(これに準ずるものとして政令で定める大規模な小売店舗を含む。以下同じ。)、複合用途防火対象物(防火対象物で政令で定める二以上の用途に供されるものをいう。以下同じ。)その他多数の者が出入し、勤務し、又は居住する防火対象物で政令で定めるものの
管理について権原を有する者は、政令で定める資格を有する者のうちから防火管理者を定め、政令で定めるところにより、当該防火対象物について”消防計画”の作成、当該消防計画に基づく消火、通報及び避難の訓練の実施、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備、火気の使用又は取扱いに関する監督、避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理並びに収容人員の管理その他防火管理上必要な業務を行わせなければならない
 (以下、略)」
 とあり、

 (イ)は、消防計画 となります。
 では、これを受けた政令、消防法施行令第1条の2 3項1号ハ

 「(防火管理者を定めなければならない防火対象物等)
 第一条の二 3項1号
 ハ 
別表第一(五)項ロ、(七)項、(八)項、(九)項ロ、(十)項から(十五)項まで、(十六)項ロ及び(十七)項に掲げる防火対象物で、収容人員が”五十人以上”のもの 」 
 
とあり、
 消防法では、マンションは、「
寄宿舎、下宿又は共同住宅」として、別表第一(五)項ロ」に該当しますから、収容人員が50人以上では、防火管理者を定めて、防火管理者は、防火対象物について消防計画の作成、当該消防計画に基づく消火、通報及び避難の訓練の実施、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備、火気の使用又は取扱いに関する監督、避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理並びに収容人員の管理その他防火管理上必要な業務を行わなければなりません。

 よって、答えは
 ア.50 (人)
 イ.消防計画 (の作成)



答え:3

《タグ》消防法。防火管理者。

 易しい問題です。

問27

[問 27] 排水設備に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。  

1 排水槽には、汚水槽、雑排水槽、湧水槽、雨水槽がある。

〇 適切である。
 平成28年 マンション管理士試験 「問44」 
 
 排水槽は、建物内や敷地内の不要な排水を集め、ポンプなどによって下水道や河川等に流すために設ける槽のことです。
 そこで、種類としては、
 ・大小便を貯める汚水槽、
 ・台所等の生活排水を貯める雑排水槽、
 ・湧き水を貯める湧水槽、そして、
 ・雨水を貯める雨水槽がありますから、適切です。


 
2 屋外排水枡の清掃においては、ゴミ堆積物は引き上げ、汚泥は下水道などに流して処理をする。  

X 適切ではない。 ゴミ堆積物は引き上げ、汚泥は吸収する。
 平成25年 マンション管理士試験 「問43」 

  屋外排水枡にたまったゴミ堆積物の清掃は、高圧洗浄車、汚泥吸収車、補給水タンク車で実地し、ゴミ・堆積物は各々の排水枡で引き上げ、汚泥もそのまま下水道に流さず、吸い取りますから、適切ではありません。汚泥だからといって、下水道に流してはだめです。詰まる原因になります。




3 排水ポンプは運転用と予備用の2台を設置し、予備用のポンプについては常時休止させておき、非常時以外は使用しない。  

X 適切ではない。 交互に運転する。

  通常、排水ポンプは水中ポンプが使用されます。
  排水ポンプは、平時の最大排水量を十分に排水できる機能の運転用と予備用の2台を設置し、点検も兼ねて時々は、交互に運転させますから、適切ではありません。
 予備用を長期間使用しないと、ポンプやモーターのシャフトが錆びて、通常使用のポンプが故障した時に、使えなくなります。

 また、排水量が多くなった時には、2台同時に運転させることも必要です。

 


4 雑排水と雨水は、各階で同じ排水立て管に接続してよい。

X 適切ではない。 雑排水と雨水は、各階で同じ排水立て管に接続しない。
 
平成14年 マンション管理士試験 「問44」
 
 マンションの排水は、
  @汚水...大・小便器等からの汚水
  A雑排水...・・・洗面。洗濯・浴室・台所等からの雑排水
  B雨水...屋上・バルコニー・敷地等からの雨水
 に分けられます。
 建物内の排水通気設備は、一般には、
  @汚水系統
  A雑排水系統
  B雨水系統 となります。
 汚水系統と雑排水系統は一緒に排水することもあります(合流式)が、雨水系統は、別系統にしますから、雑排水と雨水は、各階で同じ排水立て管に接続してよいは、適切ではありません。

  雨水管と各階の雑排水の通気管を連結すると、通気管の機能を阻害し、排水管内の汚水の円滑な流れを妨 げたり、トラップの封水を破るおそれがあるので、雨水管は各階での雑排水の通気管と連結しません。
  また、雨水管と雑排水管を接続すると、雨水が室内の器具に溢れたり、トラップの封水を破るおそれがあるので、雨水管は雑排水管(排水立て管)には接続しません。


 また、昭和50年建設省告示第1597号 (平成12年5月30日 建設省告示第1406号)
 「第二 排水のための配管設備の構造は、次に定めるところによらなければならない。
   
ハ 雨水排水立て管は、汚水排水管若しくは通気管と兼用し、又はこれらの管に連結しないこと。」
 ともあります。 


 


答え:1

《タグ》排水槽。屋外排水枡の清掃。排水ポンプ。排水立て管。

問28

[問 28] 窓サッシの改修工法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。  

1 カバー工法、持出し工法は、既存サッシ枠を残して、その上に新規のサッシ枠を取り付けるので、開口寸法は既存のものよりも小さくなる工法である。

〇 適切である? 最近の持出し工法だと、小さくならないようだが。
 平成21年 管理業務主任者試験 「問27」 、 平成20年マンション管理士試験 「問40」 、 平成19年マンション管理士試験 「問39」 、 平成16年 マンション管理士試験 「問38」

 現在多くのマンションでは、窓サッシにはアルミ材が使われていますが、アルミも経年劣化して、改装が必要となります。
 そこで、窓サッシの改修方法としては、
  @元の枠を利用して取り替える「かぶせ工法(カバー工法)」 と、 
  A元の枠を取り去る「撤去工法」 の2種があります。
 かぶせ工法は撤去工法に比べて、工事がシンプルで工期が短いため、一般に多く用いられ、現在も主流になっています。
 カバー工法(かぶせ工法ともいう) は、既存サッシ枠を残し新規枠をその上にかぶせて取付ける工法です。そのため、開口寸法は、前と同じではありません。通常、
巾も高さも小さくなりますから、適切です。
 また、持出し工法もかぶせ工法の1種です。
 持出し工法は、新規サッシを既存サッシ枠の外部に持出して取り付ける外付け方式ですので、既存開口面積が最大限に生かせ、開口部改装の欠点である開口面積の狭小化を防ぐ、画期的な改装方法です。

 設問だと、カバー工法、持出し工法とも、開口寸法は既存のものよりも小さくなる工法とありますが、持出し工法では、以前と変わらない開口面積もとれるようですが、一応全体として、適切にします。

 


2 ノンシール工法は、比較的大型の窓サッシに採用され、既存躯体との間には、タイト材を使用するので、外部側のシーリング充填作業が省略できる工法である。

X 適切でない。 ノンシール工法は、風呂場や台所などの小窓に採用される。大型の窓サッシではない。

 ノンシール工法もかぶせ工法の1種です。 
 ノンシール工法は、古い窓枠の上に新しい窓枠を取付ける工法です。室内から工事が可能で、外部からのシール(防水)工事を必要としないのでノンシール工法という名称がつけられました。内部から止水シール処理を行います。
風呂場や台所などの小窓(すべり出し窓、内倒し窓)の改修に用いられます。等圧原理を応用した、省メンテナンスの工法です。具体的には、補助部材と既存スチール枠とが、タイト材(ゴムやスポンジでできた水密・気密材)によって気密壁をつくり、漏水を防ぎます。また、万一の場合、水の浸入やスチール枠の漏水も、たて枠か、たて枠補助部材をつたって外部に排水しますので、躯体を傷めず安心です。
 そこで、設問の前半「ノンシール工法は、比較的大型の窓サッシに採用され」が、適切ではありません。


 

 
3 はつり工法は、既存サッシ枠回りの躯体をはつり取り、新規のサッシ枠を取り付けるので、振動、粉じんが多く周囲への影響が大きい工法である。  

〇 適切である。

 はつり工法は撤去工法の1種です。
 はつり工法は、躯体を「はつる」事によって、既存の旧サッシを取り除き新しいアルミサッシを既存鉄骨に溶接して取り付ける工法です。
 このはつり工法のメリットは、
  1.旧サッシが残らない。
  2.開口面積が変わらない。
  3.大幅な改装が可能 で、
 
デメリットは
  1.施工中の騒音が大きい。
  2.粉塵・産業廃棄物が多く出る。
  3.工事期間が長くかかる。
  4.モルタル充填時クラック可能性有。
  5.防水処理を伴い漏水の危険性有。
  6.他業種を必要とし工事費がかさむ。
  7.テラスがない場合、足場が必要。
  ですから、振動、粉じんが多く周囲への影響が大きい工法であるは、適切です。



4 引抜き工法は、既存サッシ枠を油圧工具又はジャッキ等で撤去するので、はつり工法に比較して、騒音が発生しにくい工法である。

〇 適切である。

 引抜き工法も、撤去工法の1種です。
 引抜き工法とは、油圧工具又はジャッキ等の工具を使い、既存のサッシを枠ごと撤去して新しいサッシと交換する撤去工法です。既存枠が残らないためカバー工法に比べ広い開口が得られます。ただし、工事の期間は長くかかります。
 引抜き工法のメリットは、
  1.旧サッシが残らない。
  
2.はつり工法に比べ騒音が少ない
  3.カバー工法に比べ開口面積が多少広くとれる で
 デメリットは、
  1.工事期間が長くかかる。
  2.溶接使用の為、充分な注意が必要
  3.モルタル充填の為その部分よりクラック発生の恐れがある。他ははつり工法同様

 ですから、はつり工法に比較して、騒音が発生しにくい工法である。は、適切です。


答え:2

《タグ》窓サッシの改修工法。 カバー工法。持ち出し工法。ノンシール工法。はつり工法。引抜き工法。

 選択肢2はぼんやりと読むと、ミスをする。

問29

*当問題の解説は、高井憲彦様によるものです。高井様、ご協力ありがとうございます。

  以下に、「標準管理規約によれば・・・」と条件を示した設問(問29〜問35)につき解説します。
 今回(平成28年3月)の改正で変更、追加された箇所は
緑字で表示します。
 今回(平成28年3月)の改正は大幅であるため、設問に関係する規約やコメントの該当する箇所のみを掲載します。

 当サイトの「改正標準管理規約(単棟型)」や国交省の該当コーナー「マンション管理について」の全文をプリントしたり、別ウインドウで参照したりして全体を確認してください。


[問 29] 専用使用部分の損傷等に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、最も不適切なものはどれか。  

1 区分所有者の不注意により損傷した窓ガラスを、区分所有者の希望により、窓枠等の変更を必要としない範囲で、強度の高いものに取り換える場合には、理事会の承認を得たうえ、区分所有者がその責任と負担で行う。  

〇 適切である。 強度の高いガラスに換えるなら、区分所有者が行える。

 標準管理規約第21条((敷地及び共用部分等の管理)第1項のただし書きで
 「バルコニー等の保存行為のうち、通常の使用に伴うもの(バルコニーの清掃や窓ガラスが割れた時の入れ替え等)については、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない」
 と規定されている。
 設問の「区分所有者の不注意により損傷した窓ガラスの入れ替え」は通常の使用に伴うものとみなされます。
 また、第22条(窓ガラス等の改良)のコメントDで
 「当該開口部の改良工事についても
問題のないものについては、専有部分の修繕等における手続と同様の手続(理事会の承認)により各区分所有者の責任と負担において実施することを可能とする」
 旨のコメントがあり設問は適切です。
 なお、第21条第1項は今回(平成28年3月)の改正に関係しませんが、第22条のコメントDは今回(平成28年3月)の改正で追加された事項です。


 香川コメント:
 まず、窓ガラスは、標準管理規約7条
 「(専有部分の範囲)
 第7条  対象物件のうち区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付した住戸とする。
 2  前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおりとする。
     一  天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。
     二  玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。
     
三  窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。
 3  第1項又は前項の専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にある部分以外のものは、専有部分とする。」
 とあり、

 標準管理規約7条2項3号により、窓枠及び窓ガラスは専有部分ではなく、共用部分となりますが、標準管理規約14条1項
 「(
バルコニー等の専用使用権
 第14条  区分所有者は、別表第4に掲げる
バルコニー、玄関扉、窓枠、窓ガラス、一階に面する庭及び屋上テラス(以下この条、第21条第1項及び別表第4において「バルコニー等」という。)について、同表に掲げるとおり、専用使用権を有することを承認する。
 (以下、略)」
 により、区分所有者は窓枠、窓ガラス等を専用使用できます。
 そして、標準管理規約21条
 「(敷地及び共用部分等の管理)
 第21条 
敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。ただし、バルコニー等の保存行為(区分所有法第18条第1項ただし書の「保存行為」をいう。以下同じ。)のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない
 2  専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。
 
3  区分所有者は、第1項ただし書の場合又はあらかじめ理事長に申請して書面による承認を受けた場合を除き、敷地及び共用部分等の保存行為を行うことができない。ただし、専有部分の使用に支障が生じている場合に、当該専有部分を所有する区分所有者が行う保存行為の実施が、緊急を要するものであるときは、この限りでない。
 4  前項の申請及び承認の手続については、第17条第2項、第3項、第5項及び第6項の規定を準用する。ただし、同条第5項中「修繕等」とあるのは「保存行為」と、同条第6項中「第1項の承認を受けた修繕等の工事後に、当該工事」とあるのは「第21条第3項の承認を受けた保存行為後に、当該保存行為」と読み替えるものとする。
 5  第3項の規定に違反して保存行為を行った場合には、当該保存行為に要した費用は、当該保存行為を行った区分所有者が負担する。
 6  理事長は、災害等の緊急時においては、総会又は理事会の決議によらずに、敷地及び共用部分等の必要な保存行為を行うことができる。

 とあり、
 標準管理規約21条1項によれば、バルコニー、玄関扉、窓枠、窓ガラス、一階に面する庭及び屋上テラスなどであれば、その保存行為で、通常の使用に伴うものなら専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行います。


 これを前提に、設問の「区分所有者の不注意により損傷した窓ガラスを、区分所有者の希望により、窓枠等の変更を必要としない範囲で、強度の高いものに取り換える場合」であれば、窓ガラスの仕様が強度の高いものにするだけなら、これは、区分所有者が行える「保存行為」内と解釈できますから、
 標準管理規約21条1項及び3項の規定により、区分所有者の不注意により損傷した窓ガラスを、区分所有者の希望により、窓枠等の変更を必要としない範囲で、強度の高いものに取り換える場合には、理事会の承認を得たうえ、区分所有者がその責任と負担で行うは、適切です。


 2017年 2月23日追記:
 また、標準管理規約22条
 「(窓ガラス等の改良)
 第22条  共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開口部に係る改良工事であって、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の向上等に資するものについては、管理組合がその責任と負担において、計画修繕としてこれを実施するものとする。
2  区分所有者は、管理組合が 、前項の工事を速やかに実施できない場合には、
あらかじめ理事長に申請して書面による承認を受けることにより、当該工事を当該区分所有者の責任と負担において実施することができる。
3  前項の申請及び承認の手続については、第17条第2項、第3項、第5項及び第6項の規定を準用する。ただし、同条第5項中「修繕等」とあるのは「第22条第2項の工事」と、同条第6項中「第1項の承認を受けた修繕等の工事」とあるのは「第22条第2項の承認を受けた工事」と読み替えるものとする。」
 ともあり、
 こちらの規定(標準管理規約22条1項及び2項)において
改良工事として、区分所有者の不注意により損傷した窓ガラスを、区分所有者の希望により、窓枠等の変更を必要としない範囲で、強度の高いものに取り換える場合には、理事会の承認を得たうえ、区分所有者がその責任と負担で行うは、適切と言えます。


2 通常の使用に伴い損傷した網戸の補修は、区分所有者がその責任と負担で行う。  

〇 適切である。 網戸も専用使用権がある共用部分で補修は、区分所有者が行う。

 網戸は標準管理規約第7条 コメントCで窓ガラスと同様に専用部分に含まれないとされる。従って、選択肢1のとおり「区分所有者がその責任と負担で行う」との設問は適切です。今回(平成28年3月)の改正に関係しません。

 香川コメント:
 マンションに雨戸や
網戸が付いていると、
 標準管理規約 コメント 第7条関係
 「C 雨戸又は網戸がある場合は、第2項第三号に追加する。」
 とあり、
 標準管理規約7条「三  窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。」は
 「
三 窓枠、窓がラス、雨戸及び網戸は、専有部分に含まれないものとする。」へと追加・変更されますから、
 選択肢1で説明しました、標準管理規約21条
 「(敷地及び共用部分等の管理)
 第21条  敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。
ただし、バルコニー等の保存行為(区分所有法第18条第1項ただし書の「保存行為」をいう。以下同じ。)のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない
 (以下、略」
 により、
  但し書きに該当し、通常の使用に伴い損傷した網戸の補修は、区分所有者の保存行為となり、区分所有者がその責任と負担で行いますから、適切です。


3 第三者による犯罪行為により損傷した面格子の補修をする場合には、管理組合がその責任と負担で行う。  

〇 適切である。 犯罪行為が原因での共用部分の補修は、管理組合が負担する。

 第三者による犯罪行為により損傷した面格子の補修をする場合なら、標準管理規約第21条((敷地及び共用部分等の管理)のコメントEに「バルコニー等の破損が第三者による犯罪行為等によることが明らかである場合の保存行為の実施については、通常の使用に伴わないものであるため管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする」とのコメントがあり設問は適切です。
 今回(平成28年3月)の改正で追加された事項です。なお、面格子(ルーパー)は専用使用権がある共用部分でありバルコニーと同じ扱いです。


 香川コメント:
 まず、面格子とは、窓における防犯対策の一つで、窓の屋外側に金属で格子状の面を作り、外部からの侵入者を防ぐものです。


 

 面格子は、窓枠に取り付けますから、選択肢1で説明しましたように共用部分であっても区分所有者に専用使用権があります。
 そこで、標準管理規約21条
 「(敷地及び共用部分等の管理)
 第21条 
敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。ただし、バルコニー等の保存行為(区分所有法第18条第1項ただし書の「保存行為」をいう。以下同じ。)のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。
 (以下、略」」
 とあり、
 設問では壊れた理由が、第三者による犯罪行為ということですから、これは、通常の使用に伴うものに該当せず、敷地及び
共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとするにより、第三者による犯罪行為により損傷した面格子の補修をする場合には、管理組合がその責任と負担で行うは、適切です。

 なお、コメント 第21条関係 E
 「E バルコニー等の破損が
第三者による犯罪行為等によることが明らかである場合の保存行為の実施については、通常の使用に伴わないものであるため、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。ただし、同居人や賃借人等による破損については、「通常の使用に伴う」ものとして、当該バルコニー等の専用使用権を有する者がその責任と負担において保存行為を行うものとする。 」
 もあります。


4 専有部分の賃借人の不注意により損傷した玄関扉の補修については、賃貸人である区分所有者はその責任と負担を負わない。  

X 適切でない。 賃借人の不注意で損傷した玄関扉の補修は、区分所有者が行う。

 本問の選択肢1で解説した通り標準管理規約第21条で「バルコニー等の保存行為のうち、通常の使用に伴うもの(バルコニーの清掃や窓ガラスが割れた時の入れ替え等)については、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない」と規定されています。玄関扉は共用部分であり不注意など通常の使用により損傷した補修については専用使用権を有する区分所有者が責任を負います。賃借人が責任を負うわけではないので設問は不適切です。今回(平成28年3月)の改正に関係しません。

 香川コメント:
 まず、玄関扉は、選択肢1で引用しました、標準管理規約7条
 「(専有部分の範囲)
 第7条  対象物件のうち区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付した住戸とする。
 2  前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおりとする。
     一  天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。
     
二  玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。
     三  窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。
 3  第1項又は前項の専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にある部分以外のものは、専有部分とする。」
 とあり、

 標準管理規約7条2項2号により、玄関扉は、錠及び内部塗装部分は専有部分で、錠を除いた外部は専用使用権がある共用部分となります。
 そこで、標準管理規約21条
 「(敷地及び共用部分等の管理)
 第21条  敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。
ただし、バルコニー等の保存行為(区分所有法第18条第1項ただし書の「保存行為」をいう。以下同じ。)のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない
 (以下、略」」
 とあり、
 設問のような「専有部分の賃借人の不注意により損傷した玄関扉の補修」となると、賃借人の過失が原因となりますから、管理組合は、その責任がなく、賃貸人である区分所有者が責任と負担を負いますから、適切ではありません。


 なお、コメント 第21条関係 E
 「E バルコニー等の破損が第三者による犯罪行為等によることが明らかである場合の保存行為の実施については、通常の使用に伴わないものであるため、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。
ただし、同居人や賃借人等による破損については、「通常の使用に伴う」ものとして、当該バルコニー等の専用使用権を有する者がその責任と負担において保存行為を行うものとする。 」
 もあります。



答え:4

《タグ》標準管理規約。 専用使用部分の損傷。 保存行為。窓ガラス。網戸。面格子。賃借人。


 高井様コメント:本問記載の網戸や面格子(ルーパー)などは標準管理規約の別添2に専有部分か共用部分に属するかの区分けが部位ごとに明記されているので一度、参照されることをお勧めします。

 香川コメント:標準管理規約のメインの文章にない、網戸、面格子、賃借人などを絡めていますが、コメントなども読んでいれば、易しい。

問30

*当問題の解説は、高井憲彦様によるものです。高井様、ご協力ありがとうございます。


[問 30] 管理組合の役員の職務に関する次の記述のうち、標準管理規約の定めによれば、最も適切なものはどれか。  

1 理事長と管理組合との利益が相反する事項については、理事長は、管理組合が承認した場合を除いて、代表権を有しない。  

X 適切でない。 理事長と管理組合との利益が相反する事項については理事長は、常に代表権を有しない。 この場合、代表権は、監事又は他の理事にある。

 標準管理規約第38条(理事長)第6項では「管理組合と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合においては、監事又は理事長以外の理事が管理組合を代表する」 と規定されており「管理組合が承認した場合を除いて」とのただし書きはないので設問は不適切です。今回(平成28年3月)の改正で追加された事項です

 香川コメント:
 通常、ある団体の代表者と取引をする相手方が同一であると、団体の利益が害される恐れがあるため、これは、自己契約・双方代理として原則として禁止されています。それが、民法 第108条、
 「(自己契約及び双方代理)
 第百八条  
同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
 です。
 この規定を受け、標準管理規約でも38条に
 「(理事長)
 第38条  理事長は、管理組合を代表し、その業務を統括するほか、次の各号に掲げる業務を遂行する。
     一  規約、使用細則等又は総会若しくは理事会の決議により、理事長の職務として定められた事項
     二  理事会の承認を得て、職員を採用し、又は解雇すること。
 2  理事長は、区分所有法に定める管理者とする。
 3  理事長は、通常総会において、組合員に対し、前会計年度における管理組合の業務の執行に関する報告をしなければならない。
 
4  理事長は、○か月に1回以上、職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない。
 5  理事長は、理事会の承認を受けて、他の理事に、その職務の一部を委任することができる。
 
6  管理組合と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合においては、監事又は理事長以外の理事が管理組合を代表する。」
 とあり、
 標準管理規約38条6項によれば、理組合と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。
この場合においては、監事又は理事長以外の理事が管理組合を代表するため、理事長は、管理組合が承認した場合を除いて、代表権を有しないは、適切ではありません。
 なお、民法での但し書き「ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない」 も記憶しておいてください。



2 監事は、理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。  

〇 適切である。

 標準管理規約第41条(監事)4項では「監事は、理事会に出席して、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない」と規定されており、かつ、同条コメントAでは「監事の理事会への出席義務を課す」とのコメントが追加されており設問は適切です。今回(平成28年3月)の改正で追加された事項です。
なお、監事に関してはその職務が全面的に改正されているので第41条(監事)と同条コメントの全文を掲載します。

 第41条  監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない。
 2  監事は、いつでも、理事及び第38条第1項第二号に規定する職員に対して業務の報告を求め、又は業務及び財産の状況の調査をすることができる。
 3  監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。
 4  監事は、理事会に出席して、
必要があると認めるときは、意見を述べなければならない
 
5  監事は、理事が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令、規約、使用細則等、総会の決議若しくは理事会の決議に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を理事会に報告しなければならない。
 
6  監事は、前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、理事長に対し、理事会の招集を請求することができる。
 7  前項の規定による請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合は、その請求をした監事は、理事会を招集することができる。


 コメント 第41条関係
 @ 第1項では、監事の基本的な職務内容について定める。これには、理事が総会に提出しようとする議案を調査し、その調査の結果、法令又は規約に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときの総会への報告が含まれる。また、第2項は、第1項の規定を受けて、具体的な報告請求権と調査権について定めるものである。
 A 第4項は、従来「できる規定」として定めていたものであるが、監事による監査機能の強化のため、理事会への出席義務を課すとともに、必要があるときは、意見を述べなければならないとしたものである。ただし、理事会は第52条に規定する招集手続を経た上で、第53条第1項の要件を満たせば開くことが可能であり、監事が出席しなかったことは、理事会における決議等の有効性には影響しない。
 B 第5項により監事から理事会への報告が行われた場合には、理事会は、当該事実について検討することが必要である。第5項に定める報告義務を履行するために必要な場合には、監事は、理事長に対し、理事会の招集を請求することができる旨を定めたのが、第6項である。さらに、第7項で、理事会の確実な開催を確保することとしている。


 香川コメント:
 平成28年3月の標準管理規約41条の改正で、該当の監事の規定が以下のようになりました。
 「
:3 監事は、理事会に出席して、意見を述べることができる
  新:
4 監事は、理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。」
  これにより、
 監事は、理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならないは、適切です。



3 理事は、管理組合に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときは、直ちに、その事実を理事長に報告しなければならない。  

X 適切でない。 報告は、理事長ではなく、監事にすること。

 標準管理規約第40条(理事)2項では「理事は、管理組合に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときは、直ちに、当該事実を監事に報告しなければならない」と規定されており、かつ、同条コメントでは「理事が、管理組合に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見した場合、その事実を監事に報告する義務を課すことで、監事による監査の実施を容易にするために規定したものである」とのコメントが追加されており設問は不適切です。報告先が理事長でないことに注意してください。今回(平成28年3月)の改正で追加された事項です。

 香川コメント:
 理事の業務としては、標準管理規約40条
 「(理事)
 第40条  理事は、理事会を構成し、理事会の定めるところに従い、管理組合の業務を担当する。
 
2 理事は、管理組合に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときは、直ちに、当該事実を監事に報告しなければならない。
 3 会計担当理事は、管理費等の収納、保管、運用、支出等の会計業務を行う。」
 とあり、
 標準管理規約40条2項によれば、
 理事は、管理組合に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときは、直ちに、当該事実を”
監事”に報告しなければならないため、直ちに、その事実を”理事長”に報告しなければならないは、適切ではありません。


4 監事は、会計担当理事に不正行為があると認めたときは、直ちに理事会を招集しなければならない。  

X 適切でない。 こんな規定はない。

 本問選択肢2で記載した標準管理規約第41条(監事)第5項に「監事は、理事が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、(中略)遅滞なく、その旨を理事会に報告しなければならない」と、また、第6項に「監事は、前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、理事長に対し、理事会の招集を請求することができる」と規定されており、設問にある「直ちに理事会を招集しなければならない」とまでは規定されておらず設問は不適切です。今回(平成28年3月)の改正で追加された事項です。
なお、同条第7項には「
前項の規定による請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合は、その請求をした監事は、理事会を招集することができる」と規定されており監事の理事会招集権が担保されています。

 香川コメント:
 監事がある理事の不正行為を認めた時は、選択肢2でも引用しています、標準管理規約41条5項、6項及び7項、
 「(監事)
 第41条
 
5  監事は、理事が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令、規約、使用細則等、総会の決議若しくは理事会の決議に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、”遅滞なく、その旨を理事会”に報告しなければならない
 6  監事は、前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、”理事長に対し、理事会の招集を請求することができる”。
 7  前項の規定による請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を理事会の日とする”理事会の招集の通知が発せられない場合は、その請求をした監事は、理事会を招集することができる”。

 とあり、
 設問の、監事は、会計担当理事に不正行為があると認めたときなら、標準管理規約41条5項により、
遅滞なく、その旨を理事会に報告しなければなりませんが、直ちに理事会を招集しなければならないの規定はなく、適切ではありません。
 また、標準管理規約41条6項にも「必要があると認めるときは、理事長に対し、理事会の招集を請求することが
できる」とあるだけで、監事が直ちに理事会を招集しなければならないの規定はなく、標準管理規約41条7項によっても、「理事会の招集の通知が発せられない場合は、その請求をした監事は、理事会を招集することができる」とあるだけで、直ちに理事会を招集しなければならないは、適切ではありません。


答え:2

《タグ》標準管理規約。 改正点(平成28年3月)。利益相反。 監事の業務。 理事の業務。

 高井様コメント:今回(平成28年3月)の標準管理規約の改正では監事の職務や権限につき全面的な変更、追加があるので第43条を十分理解しておく必要があります。

*ある受験生の感想:選択肢2は、香川さんが単棟型改正部分をワードにまとめておいてくれてたので述べることができる→述べなければならないという改正点は出そうだなあと思っていたので助かりました。

 香川コメント:平成28年3月に標準管理規約の改正があり、以前から、改正点は出題されやすいと、指摘していたが、その通りだった。

問31

*当問題の解説は、高井憲彦様によるものです。高井様、ご協力ありがとうございます。


[問 31] 次のうち、標準管理規約によれば、理事長が、組合員又は利害関係人の閲覧請求に応じる必要のないものはどれか。  

1 理由を付さない書面で、管理規約原本の閲覧請求があった場合  

○ 応じる必要がある。 規約の閲覧には、理由はいらない。

 標準管理規約第72条(規約原本等)第2項 に「規約原本は、理事長が保管し、区分所有者又は利害関係人の書面による請求があったときは、規約原本の閲覧をさせなければならない」 と規定されており、理由を付した書面での閲覧請求を求めていないので閲覧請求に応じる必要があります。今回(平成28年3月)の改正に関係しません。
なお、管理規約原本の閲覧請求はよく出題されるので以下に第72条(規約原本等)及び同条コメントを掲載します。
緑字の部分が今回(平成28年3月)の改正で追加された箇所です。

 「第72条  この規約を証するため、区分所有者全員が書面に記名押印又は電磁的記録に電子署名した規約を1通作成し、これを規約原本とする。
 2  規約原本は、理事長が保管し、区分所有者又は利害関係人の書面又は電磁的方法による請求があったときは、規約原本の閲覧をさせなければならない。
 3  規約が規約原本の内容から総会決議により変更されているときは、理事長は、1通の書面又は電磁的記録に、現に有効な規約の内容と、その内容が規約原本及び規約変更を決議した総会の議事録の内容と相違ないことを記載又は記録し、署名押印又は電子署名した上で、この書面又は電磁的記録を保管する。
 4  区分所有者又は利害関係人の書面又は電磁的方法による請求があったときは、理事長は、規約原本、規約変更を決議した総会の議事録及び現に有効な規約の内容を記載した書面又は記録した電磁的記録(以下「規約原本等」という。)
並びに現に有効な第18条に基づく使用細則及び第70条に基づく細則その他の細則の内容を記載した書面又は記録した電磁的記録(以下「使用細則等」という。)の閲覧をさせなければならない。
 5  第2項及び前項の場合において、理事長は、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
 6  理事長は、所定の掲示場所に、規約原本等
及び使用細則等の保管場所を掲示しなければならない。
 7  電磁的記録により作成された規約原本等
及び使用細則等の閲覧については、第49条第5項に定める議事録の閲覧に関する規定を準用する。」

コメント 第72条関係
 @ 区分所有者全員が記名押印した規約がない場合には、分譲時の規約案及び分譲時の区分所有者全員の規約案に対する同意を証する書面又は初めて規約を設定した際の総会の議事録が、規約原本の機能を果たすこととなる。
 
A 第4項では、第18条に基づく使用細則及び第70条に基づく細則その他の細則についても、規約原本等と同じ手続で閲覧を認めることを明確に定めた。

 香川コメント:
 規約の保管と閲覧は、区分所有法第33条
 「(規約の保管及び閲覧)
 第三十三条  
規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。
 2  前項の規定により
規約を保管する者は、利害関係人の請求があつたときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧(規約が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの当該規約の保管場所における閲覧)を拒んではならない
 3  規約の保管場所は、建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。

 とあり、
 これを受けて、標準管理規約72条2項
 「(規約原本等)
 第72条
 2 
規約原本は、理事長が保管し、区分所有者又は利害関係人の書面による請求があったときは、規約原本の閲覧をさせなければならない。」
 とあり、
 規約なら、区分所有者又は利害関係人が閲覧を希望する際には、単に書面による請求だけでよく、
理由は不要としていますから、理事長は、組合員又は利害関係人の閲覧請求に応じる必要があります。


2 理由を付した書面で、会計帳簿と出金に関する請求書及び領収書の閲覧請求があった場合  

○ 応じる必要がある。 理由があれば、請求書なども閲覧できる。

 標準管理規約第64条(帳票類等の作成、保管)第1項 に「理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を、書面又は電磁的記録により作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面又は電磁的方法による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。」 と規定されており、また、同条コメントに「作成、保管すべき帳票類としては、第64条第1項に規定するものの他、領収書や請求書、管理委託契約書、修繕工事請負契約書、駐車場使用契約書、保険証券などがある」とコメントされており閲覧請求に応じる必要があります。今回(平成28年3月)の改正で追加された事項です。

 香川コメント:
 規約であれば、選択肢1で引用しました区分所有法第33条の規定がありますが、会計帳簿や下の選択肢3の長期修繕計画書などとなると、どう対応するかは、もう標準管理規約だけの世界です。
 そこで、標準管理規約64条
 「(帳票類
の作成、保管)
 第64条 
理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
 2  理事長は、第32条第三号の長期修繕計画書、同条第五号の設計図書及び同条第六号の修繕等の履歴情報を保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
 3  理事長は、第49条第3項(第53条第4項において準用される場合を含む。)、本条第1項及び第2項並びに第72条第2項及び第4項の規定により閲覧の対象とされる管理組合の財務・管理に関する情報については、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求に基づき、当該請求をした者が求める情報を記入した書面を交付することができる。この場合において、理事長は、交付の相手方にその費用を負担させることができる。

 とあり、
 設問の「会計帳簿と
出金に関する請求書及び領収書の閲覧請求」となると、コメント 第64条関係
 「A  
作成、保管すべき帳票類としては、第64条第1項に規定するものの他、領収書や請求書、管理委託契約書、修繕工事請負契約書、駐車場使用契約書、保険証券などがある。」
 によれば、
 組合員又は利害関係人は、会計帳簿と出金に関する請求書及び領収書の閲覧請求も可能です。
 その際には、理由を付した書面による請求が必要ですから、理事長は閲覧請求に応じる必要があります。



3 理由を付した書面で、長期修繕計画書の閲覧請求があった場合  

○ 応じる必要がある。 長期修繕計画書も理由があれば、閲覧できる。

 標準管理規約第64条(帳票類等の作成、保管)第2項 に「理事長は、第32条第三号の長期修繕計画書、同条第五号の設計図書及び同条第六号の修繕等の履歴情報を保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない」と規定されており閲覧請求に応じる必要があります。今回(平成28年3月)の改正で追加された事項です。

 香川コメント:
 選択肢2でも引用しました、標準管理規約64条2項
 「(帳票類
の作成、保管)
 第64条 

 2  理事長は、第32条第三号の”長期修繕計画書”、同条第五号の設計図書及び同条第六号の修繕等の履歴情報を保管し、組合員又は利害関係人の”理由を付した書面”による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。」
 
によれば、
 理由を付した書面で、長期修繕計画書の閲覧請求があった場合には、理事長が、組合員又は利害関係人の閲覧請求に応じる必要があります。



4 理由を付した書面で、各組合員の総会における議決権行使書及び委任状の閲覧請求があった場合  

× 応じる必要がない(正解)。 ここまでは、閲覧請求できない。

 設問に関して標準管理規約第64条に規定はないので閲覧請求に応じる必要はありません。各組合員の議決権行使書及び委任状は区分所有者名が記載されている書面であり、個人情報保護の観点からも第三者に公開すべきものではありません。今回(平成28年3月)の改正に関係しません。

 香川コメント:
 いくら理由があっても、各組合員の総会における議決権行使書及び委任状までは、閲覧させる必要はないと判断します。
 これをうけ、標準管理規約にも該当の規定はありません。
 なお、総会の議事録には、議決権行使書による賛成・反対、委任状の数が記載される議案もあります。



答え:4

《タグ》標準管理規約。閲覧と理由の有無。 規約。会計帳簿。長期修繕計画書。議決権行使書。委任状。

 高井様コメント:管理規約や理事長の保管する議事録等帳票類等の作成、保管、閲覧請求に関して詳細な手続きまでよく出題されますのでよく理解しておいてください。

問32

*当問題の解説は、高井憲彦様によるものです。高井様、ご協力ありがとうございます。


[問 32] 次のうち、標準管理規約によれば、専有部分であるものはいくつあるか。  

ア 各住戸のメーターボックス内にある給湯器ボイラー  

〇  専有部分である。
 

 平成25年 管理業務主任者試験 「問32」 

 標準管理規約の別表2(共用部分の範囲)に「メーターボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く)」と記載されており専有部分となります。


 香川コメント:
 何が専有部分で何が共用部分であるかの区分は裁判でも判断が難しく、一応、標準管理規約にある共用部分の範囲は理解しておくこと。なお、出題者としては、”除く”とか”含む”等の文章は大好きです。
 そこで、標準管理規約別表第2
 「共用部分の範囲
   1  エントランスホール、廊下、階段、エレベーターホール、エレベーター室、共用トイレ、屋上、 屋根、塔屋、ポンプ室、自家用電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、
パイプスペースメーターボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く。)、内外壁、界壁、床スラブ、床、天井、柱、基礎部分、バルコニー等専有部分に属さない「建物の部分」
   2  エレベーター設備、電気設備、給水設備、排水設備、消防・防災設備、インターネット通信設備、テレビ共同受信設備、オートロック設備、宅配ボックス、避雷設備、集合郵便受箱、
各種の配線配管(給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については、配管継手及び立て管)等専有部分に属さない「建物の附属物」
   3  管理事務室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、トランクルーム、倉庫及びそれらの附属物」
 とあり、
 給湯器ボイラーは、共用部分の範囲から除かれていますから、専有部分です。


 


イ パイプスペース  

X 共用部分である。
 
 標準管理規約の別表2(共用部分の範囲)に共用部分とされています。


ウ 各住戸の水道メーター  

X 共用部分である。

 標準管理規約の別表2(共用部分の範囲)に「給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分」は共用部分とされています。


エ 各住戸の玄関扉の錠  

〇  専有部分である。

 標準管理規約第7条第2項 に「二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする」と規定されており専有部分となります。

 香川コメント:
 錠を区分所有者が自由に交換できないと、防犯上も問題があります。
 では、玄関扉の外側と、玄関扉の内側は、どっち?



    1 一つ  
    2 二つ  
    3 三つ
    4 四つ  

答え:2  専有部分であるものは上記の ア と エ の二つとなります。


《タグ》標準管理規約。 共用部分の範囲。 給湯器ボイラー(専有部分)。水道のメーター(共用部分)。玄関扉の錠(専有部分)。

 高井様コメント:ここはマンションに住んでいる方なら常識的判断で答えらえるでしょうが標準管理規約の別表2に詳細が記載されておりますので一度、目を通されることをお勧めします。 

*ある受験生の感想:選択肢1に関してはサイトによってボイラーは専有部分と書いてるところもあればボックス内のものはすべて共用部分と書いてるサイトもあり試験中も迷った。

 香川コメント:個数問題は、難しい。 給湯器ボイラー(専有部分)の判断は難問。

問33

*当問題の解説は、高井憲彦様によるものです。高井様、ご協力ありがとうございます。


[問 33] 次のうち、区分所有法によれば、規約に定めることのできないものはどれか。  

1 規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者の過半数及び議決権の4分の3以上で決する。  

× 規約に定めることができない(正解)。 規約の重要性から、別段の定めを認めない。
 平成27年 管理業務主任者試験 「問29」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問35」 、平成26年 マンション管理士試験 「問10」 、平成26年 マンション管理士試験 「問5」 、平成25年 管理業務主任者試験 「問35」、 など 多い。
  
 香川解説:
 区分所有法において、規約で別段の定めができるかどうかは、よく出題される。

 規約の設定、変更又は廃止は、区分所有法第31条
 「(規約の設定、変更及び廃止)
第三十一条  
規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。
2  前条第二項に規定する事項についての区分所有者全員の規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の四分の一を超える者又はその議決権の四分の一を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない。

 とあり、
 区分所有法第31条1項によれば、規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてするとあり、
規約による別段の定めを認めていません
 これは、規約の重要性を考えれば、理解できます


 

 高井様解説:標準管理規約第47条(総会の会議及び議事)第3項で「規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者の過半数及び議決権の4分の3以上で決する」と規定されており規約で定めることはできません。今回(平成28年3月)の改正に関係しません。


2 総会の議長は、総会に出席した区分所有者のうちから選任する。  

○ 規約に定めることができる。
 平成25年 マンション管理士試験 「問7」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問37」 、平成16年 管理業務主任者試験 「問30」 、平成14年 管理業務主任者試験 「問33」  
 
 香川解説:
 総会の議長は、区分所有法第41条
 「(議長)
 第四十一条  
集会においては、規約に別段の定めがある場合及び別段の決議をした場合を除いて、管理者又は集会を招集した区分所有者の一人が議長となる。
 とあり、
 集会(総会)の議長は、原則:規約や集会の決議が優先するように規定されていますから、総会の議長は、総会に出席した区分所有者のうちから選任する規約の定めは、有効です。
 
 

 高井様解説:標準管理規約第42条(総会)の第5項 で「総会の議長は、理事長が務める」と規定されているが、同条コメント「総会において、議長を選任する旨の定めをすることもできる」とコメントされており総会に出席した区分所有者のうちから選任することがコメントされており規約に定めることができます。今回(平成28年3月)の改正に関係しません。


3 敷地及び共用部分等の変更は、その形状又は効用の著しい変更を伴わないものであっても、区分所有者及び議決権の各4分の3以上で決する。  

○ 規約に定めることができる。 軽微な変更でも、要件を厳しくできる。 
 平成27年 マンション管理士試験 「問25」 、  平成26年 管理業務主任者試験 「問38」 、 平成25年 マンション管理士試験 「問5」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問35」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問32」 

 香川解説:
 共用部分等の変更は、区分所有法第17条
 「(共用部分の変更)
 第十七条  共用部分の変更(
その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
 2  前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。

 とあり、
 区分所有法第17条1項は変なかっこ書きがあるため分かり難いのですが、共用部分の変更は、
その形状又は効用の著しい変更を伴う(重大変更)なら、原則;区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決しますが、但し、規約があれば、議決権の四分の三以上の多数は変更できませんが、区分所有者の定数の方だけ、四分の三以上を過半数にまで減少できるという規定です。

 

 そこで、設問は、「その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの」となっていますから、これは、区分所有法第18条
 「(共用部分の管理)
 第十八条  
共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
 
2  前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない
 3  前条第二項の規定は、第一項本文の場合に準用する。
 4  共用部分につき損害保険契約をすることは、共用部分の管理に関する事項とみなす。

 により、
  「その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの」は、区分所有法第18条1項に規定する「共用部分の
管理に関する事項=軽微の変更」に該当しますから、通常の集会の決議(普通決議)(区分所有法第38条参照)で可能です。
 すると、区分所有法第18条2項により
 「2  前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。」
 とありますから、規約で、設問のように、「共用部分の変更は、その形状又は効用の著しい変更を伴わないものであっても、区分所有者及び議決権の各4分の3以上で決する」と、重大変更と同じように厳しい規定も可能です。

 
 そして、設問にある、敷地も検討しましょう。区分所有法第21条
 「(共用部分に関する規定の準用)
第二十一条  
建物の敷地又は共用部分以外の附属施設(これらに関する権利を含む。)が区分所有者の共有に属する場合には、第十七条から第十九条までの規定は、その敷地又は附属施設に準用する。
 とあり、
 建物の敷地が区分所有者の共有に属する場合には、上で説明しました、区分所有法第17条から第19条までの共用部分の規定が準用されますから、
 敷地及び共用部分等の変更は、その形状又は効用の著しい変更を伴わないものであっても、区分所有者及び議決権の各4分の3以上で決すると、規約で定めることは可能です


 

 なお、これを受け高井様の解説にあるように、標準管理規約のコメントもあります。


 高井様解説:標準管理規約第47条(総会の会議及び議事)第三項コメントに「二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第2項に基づく認定を受けた建物の耐震改修を除く)で「組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する」と規定されておりますが、同条コメントBでは「区分所有法では、共用部分の変更に関し、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議(特別多数決議)で決することを原則としつつ、その形状又は効用の著しい変更を伴わない共用部分の変更については区分所有者及び議決権の各過半数によることとしている」とコメントされており、その形状又は効用の著しい変更を伴わないものであっても規約では厳しく「特別多数決議で決する」と定めても差し支えありません。従って、規約に定めることができます。


4 管理組合の理事長を区分所有者から選任し、区分所有法に定める管理者を区分所有者以外の第三者から選任する。

○ 規約に定めることができる。 区分所有法では、管理者の資格を定めていない。
 平成26年 マンション管理士試験 「問4」 、 平成25年 マンション管理士試験 「問5」 、 平成24年 マンション管理士試験 「問7」 、 平成23年 マンション管理士試験 「問30」 
 
 管理者の選任は、区分所有法第25条
 「(選任及び解任)
 第二十五条  
区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる。
2  管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。

 とあり、
 区分所有法では、管理者選任の規定はありますが、法人でない管理組合の理事や理事長については規定がありません。
 また、区分所有法では、管理者となる資格も制限がありませんから、設問のように、管理組合の理事長を区分所有者から選任し、区分所有法に定める管理者を区分所有者以外の第三者から選任する規約も可能です。



 高井様解説:区分所有法では管理者の資格は制限されていないので区分所有者以外の第三者から選任することはできます。また、改正前の標準管理規約第35条第2項では「理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する」と規定されていましたが、今回(平成28年3月)の改正で外部専門家を役員として選任することができるようにしたため「組合員のうちから」が削除されております。しかしながら、外部専門家を役員として選任しない場合は従前通り「組合員のうちから」を削除しない規約のままでも差し支えありません。従って、「理事長を区分所有者から選任し・・・」を規約に定める事はできます。なお、これは今回(平成28年3月)の改正で関連した事項です。


答え:1

《タグ》区分所有法。 規約による別段の定めができるもの。規約の設定、変更、廃止。議長の選任。 共用部分の重大変更。管理者の選任。
 
  香川コメント:規約での別段の定めができるものは纏めること。受験生が各自で。

          過去問題をやっていれば、解答は易しい。

問34

*当問題の解説は、高井憲彦様によるものです。高井様、ご協力ありがとうございます。


[問 34] マンションの専有部分及び専用使用権に関する次の記述のうち、区分所有法、標準管理規約及び判例によれば、最も不適切なものはどれか。  

1 専有部分とは、一棟の建物に構造上区分され、かつ、住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に独立して供することができるように利用上区分された、区分所有権の目的である建物の部分である。  

〇 適切である。
  平成25年 管理業務主任者試験 「問39」 、 平成25年 マンション管理士試験 「問1」 、平成22年 マンション管理士試験 「問2」 、平成19年 マンション管理士試験 「問1」 など。

 高井様解説:区分所有法第1条及び第2条に上記の設問に関する事項が規定されており設問は適切です。今回(平成28年3月)の改正に関係しません。

 香川コメント:区分所有法第1条、第2条の解説を入れればいいでしょう。


 高井様の追加解説;
  区分所有法第1条:一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。

 区分所有法第2条:
 「この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。
 2  この法律において「区分所有者」とは、区分所有権を有する者をいう。
 3  この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。
 4  この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。
 5  この法律において「建物の敷地」とは、建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により建物の敷地とされた土地をいう。
 6  この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。


 なお、専有部分については当サイトの 「超解説 区分所有法 第1条及び第2条 」 に詳しく解説してありますので参照ください。


 香川の解説:
 まず、区分所有法での専有部分とは、区分所有法第2条
 「(定義)
 第二条  この法律において
「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。
 2  この法律において「区分所有者」とは、区分所有権を有する者をいう。
 3  この法律において
「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう
 4  この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。
 5  この法律において「建物の敷地」とは、建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により建物の敷地とされた土地をいう。
 6  この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。

 とあり、
  区分所有法第2条3項によれば、「専有部分とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう」です。
 では、「区分所有権の目的たる建物の部分」での、「区分所有権」とは、これは、同じく区分所有法第2条1項
 「「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう」となり、
 引用されています、前条は、区分所有法第1条

 「(建物の区分所有)
 第一条  
一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる
 となります。
 区分所有法の構成で、専有部分とは、条文上遡らないと分からないようになっています。
 これらを纏めますと、
 ・専有部分=区分所有権の目的たる建物の部分(ただし共用部分=廊下、階段室などは除く)
 ・建物の部分=@構造上区分された数個の部分...
構造上の独立性という
           A独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるもの...
利用上の独立性という
 となります。

 そこで、設問の
 専有部分とは、一棟の建物に構造上区分され、かつ、住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に独立して供することができるように利用上区分された、区分所有権の目的である建物の部分であるは、適切です。
 

 


2 地下に設けられた駐車場部分は、必ずしも周囲すべてが完全に遮蔽されていなくても、構造上、利用上の独立性を備えている場合には、専有部分として登記して分譲することができる。  

〇 適切である。 専有部分は、@構造上の独立性 と A 利用上の独立性 があればいい。

 高井様解説:区分所有法第1条及び第2条に上記の設問に関する事項が規定されており、また、標準管理規約のコメント第7条関係では「専有部分として倉庫又は車庫を設けるときは、「倉庫番号を付した倉庫」又は「車庫番号を付した車庫」を加える。」とコメントされており設問は適切です。
 今回(平成28年3月)の改正に関係しません。
 
 香川コメント:判例から。標準管理規約は、区分所有法や判例に基づいて規定されていますから、最高裁の判例を引用したらいいでしょう。

 高井様の追加解説;
  専有部分は 昭和56年6月18日付最高裁判決 で専有部分は「構造上他の部分と区分された建物部分とは、建物の構造部分である隔壁、階層等により独立した物的支配に適する程度に他の部分と遮断され、その範囲が明確であることをもって足り、必ずしも周囲すべてが完全に遮蔽されていることを要しないものとすると解するのが相当である」とされており、専有部分として登記して分譲することができるので設問は適切です。

 香川の解説:
 選択肢1で説明しましたが、専有部分と共用部分の区切りは実に難しくて、裁判でも争いがあります。
 基本的には、@構造上の独立性 と A利用上の独立性 を備えていれば、専有部分となり、専有部分であれば、登記ができ、分譲ができるとなります。
 そこで、高井様も引用されています、昭和56年6月18日付最高裁判決
 では、
 「
建物の区分所有等に関する法律一条にいう構造上区分された建物部分とは、建物の構成部分である隔壁、階層等により独立した物的支配に適する程度に他の部分と遮断されており、その範囲が明確な建物部分をいい、必ずしも周囲すべてが完全に遮蔽されていることを要しない。」
 として、建物の専有部分として区分所有権の目的となりうるものと解するのが相当であるとしていますから、
 地下に設けられた駐車場部分は、必ずしも周囲すべてが完全に遮蔽されていなくても、構造上、利用上の独立性を備えている場合には、専有部分として登記して分譲することができるは、適切です。


3 専用使用権とは、敷地及び共用部分等の一部について、特定の区分所有者が排他的に使用できる権利であり、専用使用権の対象となっている当該部分を専用使用部分という。  

〇 適切である。

 高井様解説:標準管理規約第2条(定義)で専用使用権及び専用使用部分が定義されており上記設問は適切です。今回(平成28年3月)の改正に関係しません。

 香川コメント:判例から。標準管理規約は、区分所有法や判例を採用したものですから、基本となった判例を引用するといいでしょう。


 高井様の追加解説;
 第2条  この規約において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
     一  区分所有権   建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下「区分所有法」という。)第2条第1項の区分所有権をいう。
     二  区分所有者   区分所有法第2条第2項の区分所有者をいう。
     三  占有者      区分所有法第6条第3項の占有者をいう。
     四  専有部分    区分所有法第2条第3項の専有部分をいう。
     五  共用部分    区分所有法第2条第4項の共用部分をいう。
     六  敷地       区分所有法第2条第5項の建物の敷地をいう。
     七  共用部分等   共用部分及び附属施設をいう。
     八 
専用使用権   敷地及び共用部分等の一部について、特定の区分所有者が排他的に使用できる権利をいう。
     九 
専用使用部分   専用使用権の対象となっている敷地及び共用部分等の部分をいう。

 専用使用権は区分所有法には規定されておりませんが、標準管理規約には上記のように定義されております。なお、専用使用権は 昭和10年10月30日付最高裁 で「駐車場専用使用権分譲は有効である」との判決があります。
 当サイトの 「超解説 区分所有法 第4条」 を参照してください。
  高井様コメント:問題はただ単に標準管理規約での定義を知っているかを聞いているようなので判決まで遡らずにこの程度のコメントでよいと思いますが。


 香川の解説:
 標準管理規約の位置付けとしては、まず、民法や区分所有法などマンション生活での基本的な法令が存在し、法令でも明確でない部分に関しては判例があり、これらを拾い集めて国土交通省の役人がマンションの居住者の”
参考ルール”として標準管理規約に纏めたもので、特に法的な強制力はないということを理解してください。

 正しいとか、誤っているとか、適正であるとか、適正でないの判断をする順序としては、標準管理規約に記載されている定義が先行するのではなく、民法や区分所有法、判例などを基本として判断します。ただし、標準管理規約もそのマンションにおいて規約として承認されると、その規定は、かなりの拘束力を持ちます。
 
 そこで、区分所有法や民法では定義のない「
専用使用権」とは、何かとなると、参考になるのは、もう判例や法学者の解釈となります。
 判例を調べましたが、該当の定義付けは探しだすことができませんでした。
 そこで、法学者の解釈は、例えば、「コンメンタール マンション区分所有法(稲本洋之助、鎌野邦樹 著)」によれば、「
建物の共用部分または敷地を特定の区分所有者または特定の第三者が排他的に使用する権利である。」
 とされ、
 「マンションの法律 (玉田弘毅 著)」によれば、「
区分所有者の共有に属する建物共用部分及び敷地について、特定の区分所有者又は第三者がこれを排他的に使用できる権限のことをいう」
 
とあり、
 これらも参考にすると、「専用使用権とは、敷地及び共用部分等の一部について、特定の区分所有者が排他的に使用できる権利であり、専用使用権の対象となっている当該部分を専用使用部分という」は、適切です。



4 敷地に、特定の区分所有者に対して無償の駐車場専用使用権が規約に基づいて設けられていた場合、後に、当該駐車場部分の使用を有償化する決議をするには、必ず当該専用使用権者の承諾を得なければならない。  

X 不適切である(正解)。 無償の駐車場使用料を有償化するのは、特別の影響に該当せず、一部の区分所有者の承諾は、不要。
 平成27年 管理業務主任者試験 「問29」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問35」 、平成26年 マンション管理士試験 「問10」 、平成25年 マンション管理士試験 「問5」 など 多い。

 高井様解説:平成13年1月13日付東京高裁で「無料であった駐車場の使用料を有料化する決議については専用使用権者に特別の影響を及ぶものではない。社会通念上相当な使用料を認定する」との判決があり、設問にある「必ず当該専用使用権者の承諾を得なければならない」は不適切です。今回(平成28年3月)の改正に関係しません。

 香川コメント@:ここは、最高裁の判決を持ってきた方がいいでしょう。


 高井様の追加解説;
 平成10年10月30日付東京高裁(?最高裁)で「無料であった駐車場の使用料を有料化する決議については専用使用権者に特別の影響を及ぶものではない。社会通念上相当な使用料を認定する」との判決があり、設問にある「必ず当該専用使用権者の承諾を得なければならない」は不適切です。


 香川コメントA:ここは、区分所有法第31条1項での「一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきとき」とは具体的には何かについて、最高裁の判断基準も述べられてはどうでしょうか。

 香川の解説:
 敷地に、特定の区分所有者に対して無償の駐車場専用使用権が規約に基づいて設けられていた場合で、後に、当該駐車場部分の使用を有償化する決議をするとなると、これは、区分所有法第31条
 「(規約の設定、変更及び廃止)
 第三十一条  規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする。
この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。
 2  前条第二項に規定する事項についての区分所有者全員の規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の四分の一を超える者又はその議決権の四分の一を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない。

 とあり、
  区分所有法第31条1項によれば、規約の変更が一部の区分所有者の権利に
特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならないとありますから、設問の場合の無償の駐車場専用使用権者がこれに該当するか、どうかということです。

 

 しかし、「特別の影響をおよぼすべきとき」とは、曖昧な表現ですね。そこで、設問については、平成10年11月20日の高島平マンション事件 として、最高裁判所の判決 があります。
 判決の要旨としては、
 @駐車場の
専用使用権を消滅させる決議(消滅決議)は、使用者の専用使用権に特別の影響を与えるので無効。
 A駐車場の
専用使用料を有償化する決議(有償化決議)は、一般的に専用使用権者に不利益を及ぼすものであるが、有償化の必要性及び合理性が認められ、かつ、設定された使用料が当該区分所有関係において社会通念上相当な額であると認められる場合には、専用使用権者は専用使用権の有償化を受忍すべきであり、そのような有償化決議は専用使用権者の権利に「特別の影響」を及ぼすものではないというべきである
 としていますから、
 敷地に、特定の区分所有者に対して無償の駐車場専用使用権が規約に基づいて設けられていた場合、後に、当該駐車場部分の使用を有償化する決議をするには、「特別の影響を及ぼす」には該当しないため、”必ず当該専用使用権者の承諾を得なければならない”は、適切ではありません。



答え:4

《タグ》区分所有法。判例。専有部分とは。 専用使用権とは。 特別の影響とは。

  高井様コメント:選択肢1〜3は区分所有法等マンション管理の基本を理解していれば容易に回答できるものです。なお、選択肢4は駐車場のトラブルに関して判例を知っているかを問うているものであり、過去の重要な判例をチェックしておく必要があります。


 香川コメント:ここは、区分所有法と判例、解釈が絡んだ設問でした。 
         過去問題をやっていれば、易しい。

問35

*当問題の解説は、高井憲彦様によるものです。高井様、ご協力ありがとうございます。


[問 35] 管理者の専有部分等への立入りに関する次の記述のうち、標準管理規約の定めによれば、最も不適切なものはどれか。  

1 敷地及び共用部分等の管理の必要性がある場合に、管理を行う者は、管理を行うために必要な範囲内において、他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入りを請求することができる。  

○ 適切である。
 平成24年 マンション管理士試験 「問28」 、平成21 マンション管理士試験 「問30」 、平成21年 管理業務主任者試験 「問29」 

 標準管理規約第23条(必要箇所への立ち入り)第1項に「前2条(敷地及び共用部分等の管理等)により管理を行う者は、管理を行うために必要な範囲内において、他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入りを請求することができる」と規定されており設問は適切です。今回(平成28年3月)の改正に関係しません。
なお、第23条及び同条コメントの全文を掲載します。


 「第23条  前2条により管理を行う者は、管理を行うために必要な範囲内において、他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入りを請求することができる。
 2  前項により立入りを請求された者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
 3  前項の場合において、正当な理由なく立入りを拒否した者は、その結果生じた損害を賠償しなければならない。
 
4  前3項の規定にかかわらず、理事長は、災害、事故等が発生した場合であって、緊急に立ち入らないと共用部分等又は他の専有部分に対して物理的に又は機能上重大な影響を与えるおそれがあるときは、専有部分又は専用使用部分に自ら立ち入り、又は委任した者に立ち入らせることができる。
 5  立入りをした者は、速やかに立入りをした箇所を原状に復さなければならない。」

 コメント 第23条関係 (第4項関係)
 
「@ 第4項の緊急の立入りが認められるのは、災害時等における共用部分に係る緊急的な工事に伴い必要な場合や、専有部分における大規模な水漏れ等、そのまま放置すれば、他の専有部分や共用部分に対して物理的に又は機能上重大な影響を与えるおそれがある場合に限られるものである。
 A 第4項の規定の実効性を高めるため、管理組合が各住戸の合い鍵を預かっておくことを定めることも考えられるが、プライバシーの問題等があることから、各マンションの個別の事情を踏まえて検討する必要がある。



2 敷地及び共用部分等の管理の必要性がある場合に、管理を行う者から、専有部分への立入りを請求された区分所有者は、正当な理由なく立入りを拒否したときは、その結果生じた損害を賠償しなければならない。

○ 適切である。

 標準管理規約第23条(必要箇所への立ち入り)第2項に「前項により立入りを請求された者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない」及び同条第2項に「前項の場合において、正当な理由なく立入りを拒否した者は、その結果生じた損害を賠償しなければならない」と規定されており設問は適切です。今回(平成28年3月)の改正に関係しません。

 
3 災害、事故等が発生した場合であって、緊急に立ち入らないと共用部分等又は他の専有部分に対して物理的に又は機能上重大な影響を与えるおそれがあるときは、理事長は、当該専有部分の区分所有者の承諾がなくても、自ら立ち入り、又は委任した者に立ち入らせることができる。  

○ 適切である。

 標準管理規約第23条(必要箇所への立ち入り)第4項に「前3項の規定にかかわらず、理事長は、災害、事故等が発生した場合であって、緊急に立ち入らないと共用部分等又は他の専有部分に対して物理的に又は機能上重大な影響を与えるおそれがあるときは、専有部分又は専用使用部分に自ら立ち入り、又は委任した者に立ち入らせることができる。」と規定されており設問は適切です。
 なお、設問の「
当該専有部分の区分所有者の承諾がなくても」は第23条第4項には規定されておりませんが「災害、事故等が発生した場合であって、緊急に立ち入らないと共用部分等又は他の専有部分に対して物理的に又は機能上重大な影響を与えるおそれがあるとき」との条件が設定されており当然専有部分の区分所有者の承諾がなくても立ち入ることができると解釈できます。今回(平成28年3月)の改正で追加された事項です。


4 立入りをした者は、緊急性に基づかない立入りの場合には、速やかに立入りをした箇所を原状に復さなければならないが、緊急性に基づく立入りの場合には、そのような義務はない。  

× 不適切である(正解)。 原状回復義務は、緊急で立ち入ってもある。

 標準管理規約第23条(必要箇所への立ち入り)第5項に「立入りをした者は、速やかに立入りをした箇所を原状に復さなければならない」と規定されており設問は不適切です。
なお、設問の「緊急性に基づく立入りの場合にはそのような義務はない」とあるが、このような規定は標準管理規約になく理由の如何にかかわらず回復義務はあると解釈される。今回(平成28年3月)の改正に関係しません。



答え:4

《タグ》標準管理規約。平成28年3月の改正点。専有部分への立入り。損害賠償。原状回復義務。

 高井様コメント:この設問は標準管理規約第23条に関して問われているものであり同条を理解すれば容易に回答できます。

 香川コメント:専有部分への立入りは、過去問題(平成24年 管理業務主任者業務試験 「問28」 選択肢4 )で述べたことがある。

問36

[問 36] 区分所有者の団体に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。  

1 区分所有法第3条に規定される団体は、建物並びにその敷地及び附属施設を管理するための団体であり、区分所有者の合意によって設立されるものではない。  

〇 正しい。 区分所有者の団体は、合意によるものではなく、区分所有法上”当然”に成立する。
  平成28年 マンション管理士試験 「問2」 、 平成23年 マンション管理士試験 「問1」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問2」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問1」 、平成21年 マンション管理士試験 「問2」 、 平成18年 マンション管理士試験 「問2」 、平成17年 マンション管理士試験 「問1」 、平成14年 管理業務主任者試験 「問38」 など。

 区分所有法第3条は、
 「(区分所有者の団体)
 第三条  
区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。
 とあり、
  この規定は、「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し」で切れて、後半の「・・・ができる」にはかからないとされています。
 そして、この解釈として、区分所有者は任意に団体を構成するのではなく、区分所有関係が成立したら、当然に区分所有者の団体が、法律的に擬制される構成になっていますから、区分所有者の合意によって設立されるものではないは、正しい。 



2 一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するものは、区分所有者全員で構成する区分所有法第3条に規定する団体が、その管理を行う。  

〇 正しい。
 平成27年 マンション管理士試験 「問1」 、平成26年 管理業務主任者試験 「問36」 、平成26年 マンション管理士試験 「問9」 、平成24年 管理業務主任者試験 「問38」 など。
 
 一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(一部共用部分)の管理とは、選択肢1で引用しました区分所有法第3条後半
 「
一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。」
 とあり、
 文章上、一部共用部分とは何か分かり難く、必ずしも「明らか」ではありませんが、
 これは、具体的には、1棟のマンションで下が店舗、上が住居用の構造となっており、店舗部分には従業員専用入り口やお客を対象にした出入口があり、住居部に対しては住居部専用の出入口や居住階専用のエレベーターがある場合を考えてください。
 この状況で店舗用の共用部分である従業員専用出入り口や店内にある廊下などの部分は、店舗部だけの「一部共用部分」となりますし、また、住居部専用の出入口や住居部だけが使用する廊下、居住階専用のエレベーターなどがあればその共用部分は、住居部だけの「一部共用部分」となります。
 この場合「一部共用部分」を管理する各々の団体が当然に構成されます。
そして、その「一部共用部分」を管理する各々の団体においても、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができるとしています。

 
 

 そして、その一部共用部分の管理となると、区分所有法第16条
 「(一部共用部分の管理)
 第十六条  
一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するもの又は第三十一条第二項の規約に定めがあるものは区分所有者全員で、その他のものはこれを共用すべき区分所有者のみで行う。
 とあり、
 「区分所有者”全員の利害に関係するもの”」は一部共用部分であっても当然に全体の管理への強制移管とし、その他のものは、一部共用部分であって全体の利害に関係しなくても、全体の管理に移管してもよいと、任意移管を規定しています。


 

 そこで、一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するものは、区分所有者全員で構成する区分所有法第3条に規定する団体が、その管理を行うは、正しい。


3 区分所有法第3条に規定される団体は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数によって管理組合法人となる旨を決議し、一般社団法人の設立に必要な定款作成や設立登記等の一連の事務手続きが終了することにより、管理組合法人となる。

X 誤っている。 管理組合法人は、一般社団法人の設立と異なり、定款は不要。
  平成28年 マンション管理士試験 「問8」 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問1」 、平成21年 管理業務主任者試験 「問33」 、平成19年 管理業務主任者試験 「問36」 

  区分所有法第3条に規定される団体が管理組合法人となるには、区分所有法第47条
 「(成立等)
 第四十七条  
第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる。
 2  前項の規定による法人は、管理組合法人と称する。
 
3  この法律に規定するもののほか、管理組合法人の登記に関して必要な事項は、政令で定める。
 (以下、略)」
 とあり、
 
区分所有法第47条1項によれば、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で、@名称 と A事務所を決め、そのうえで、事務所を管轄する登記所に行って B所定の登記をすれば法人となれます。
 では、同条3項の「この法律に規定するもののほか、管理組合法人の登記に関して必要な事項は、政令で定める」の内容ですが、
 まず、この法律(区分所有法)に規定するものとは、
  1.名称を決める
  2.事務所を定める
 で、登記に関して必要な事項を定める政令とは、具体的には、「組合等登記令」です。
  組合等登記令で必要なのは、組合等登記令第2条
 「(設立の登記)
 第二条  組合等の設立の登記は、その
主たる事務所の所在地において、設立の認可、出資の払込みその他設立に必要な手続が終了した日から二週間以内にしなければならない
 
2  前項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない
     
一  目的及び業務
     二  名称
     三  事務所の所在場所
     四  代表権を有する者の氏名、住所及び資格
     五  存続期間又は解散の事由を定めたときは、その期間又は事由
     六  別表の登記事項の欄に掲げる事項
 
  で、別表とは、管理組合法人に関した部分を抜き出すと、
 「別表 (第一条、第二条、第六条、第七条の二、第八条、第十七条、第二十条、第二十一条の三関係)

名称  根拠法  登記事項 
 管理組合法人
団地管理組合法人
 建物の区分所有等に関する法律  共同代表の定めがあるときは、その定め

 です。
 そして、設立の時の申請では、組合等登記令第16条
 「(設立の登記の申請)
 第十六条  設立の登記は、組合等を代表すべき者の申請によつてする。
 
2  設立の登記の申請書には、定款又は寄附行為及び組合等を代表すべき者の資格を証する書面を添付しなければならない
 3  第二条第二項第六号に掲げる事項を登記すべき組合等の設立の登記の申請書には、その事項を証する書面を添付しなければならない。

 とあり、
 組合等登記令第16条2項によれば、設問のような”定款”も必要となっていますが、これには例外規定として、組合等登記令第26条11項
 「(特則)
 第二十六条  (前半、省略)
 11  
管理組合法人又は団地管理組合法人の設立の登記の申請書には、第十六条第二項の規定にかかわらず、次の書面を添付しなければならない。
     一  法人となる旨並びにその名称及び事務所を定めた集会の議事録
     二  第二条第二項第一号に掲げる事項を証する書面
     三  管理組合法人又は団地管理組合法人を代表すべき者の資格を証する書面

 (以下、略)」
 とあり、
 組合等登記令第16条2項の規定が排除されていますから、
定款は不要で、設問の前半「区分所有法第3条に規定される団体は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数によって管理組合法人となる旨を決議」は、正しいのですが、設問の後半「一般社団法人の設立に必要な定款作成や設立登記等の一連の事務手続きが終了することにより、管理組合法人となる」は、誤りで、全体として、誤りです。


4 建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあっては、その共用部分)の全部が滅失した場合には、管理組合法人は解散する。  

〇 正しい。
  平成28年 マンション管理士試験 「問9」 、平成27年 管理業務主任者試験 「問30」 、 平成26年 マンション管理士試験 「問3」 、平成23年 マンション管理士試験 「問7」 、 平成19年 マンション管理士試験 「問11」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「問35」 

 管理組合法人の解散は、区分所有法第55条
 「(解散)
 第五十五条  
管理組合法人は、次の事由によつて解散する。
     
一  建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあつては、その共用部分)の全部の滅失
     二  建物に専有部分がなくなつたこと。
     三  集会の決議
 2  前項第三号の決議は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数でする。

 とあり、
 区分所有法第55条1項1号により、建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあっては、その共用部分)の全部が滅失した場合には、管理組合法人は解散するは、正しい。


 


答え:3

《タグ》区分所有法。 団体。法人化。設立。解散。

    組合登記令など、細かく説明しましたが、答えは易しい。

問37

 [問 37] 管理者でない区分所有者Aが、単独で行使できる裁判上の請求に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法によれば、請求が認められないものの組み合せはどれか。ただし、規約又は集会の決議による請求権者や請求方法についての定めはないものとする。  

ア 区分所有者Bが、自らが所有する住戸の共用廊下側の窓を改造して出入口を作っていたところ、管理者が黙認し、放置状態にあるので、共用部分の共有持分権に基づく保存行為として、同改造部分の原状回復を請求すること  

〇 保存行為として、管理者でない区分所有者Aの単独での請求が認められる。
 平成28年 マンション管理士試験 「問12」 、 平成26年 マンション管理士試験 「問4」 、 平成24年マンション管理士試験 「問5」、 平成23年マンション管理士試験 「問8」、 平成19年マンション管理士試験 「問5」

 まず、保存行為とは、民法第103条
 「(権限の定めのない代理人の権限)
 第百三条  権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
     一  
保存行為
     二  代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

 にあるように、
 
保存行為とは、財産の現状を維持する法律行為と解されています

 そして、共有関係での管理は、民法第251条及び同法第251条
 「(共有物の変更)
 第二百五十一条  各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。

 
 「(共有物の管理)
 第二百五十二条  共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。
ただし、保存行為は、各共有者がすることができる
 とあり、
 設問の、区分所有者Bが、自らが所有する”
住戸の共用廊下側の窓”(これは、共用部分であり、区分所有者全員の共有となっています)を改造して出入口を作る行為は、 共有物の変更行為となり、単独ではできません。
 そこで、通常であれば、区分所有者を代理して管理者から、原状回復請求を行いますが(区分所有法第26条2項参照)、管理者が行動しなければ、区分所有者Aが、共用部分の共有持分権に基づく保存行為として、同改造部分の原状回復を単独で裁判上の請求をすることは、できます。

  
 なお、区分所有法第18条も参考にしてください。
 「(共用部分の管理)
 第十八条  共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。
ただし、保存行為は、各共有者がすることができる
 2  前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。
 3  前条第二項の規定は、第一項本文の場合に準用する。
 4  共用部分につき損害保険契約をすることは、共用部分の管理に関する事項とみなす。



イ マンション管理業者がずさんな管理を続けているところ、管理者が黙認し、放置状態にあるので、管理委託契約の準共有持分権に基づく保存行為として、当該管理業者との契約の解除を請求すること  

X 管理委託契約となると、管理者でない区分所有者Aの単独での請求は認められない。

 マンションの管理組合と管理業者が取り交わす管理委託契約の性質は、民法での委任契約と解されています。
 また、準共有とは、民法第264条
 「(準共有)
 第二百六十四条  この節の規定は、
数人で所有権以外の財産権を有する場合について準用する。ただし、法令に特別の定めがあるときは、この限りでない。
 とあります。


  そこで、区分所有法第3条でいう区分所有者の団体が法人格をもたない場合おいて、対外的な管理業者との訴訟となると、法的には、マンションの管理組合は、「権利能力なき社団」になることに注意してください。(このあたりの詳細は、「マンション管理士 香川事務所」が、無料で提供しています、「超解説 区分所有法」 の第3条 を読んでください。)
 
 すると、民事訴訟法第29条
 「(法人でない社団等の当事者能力)
 第二十九条  
法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる
 とあり、
  法人でないマンションの管理組合となると、管理業者と交わした管理委託の解除は、管理組合の管理人でなければ、裁判にできないため、管理人でない区分所有者Aは、単独では、裁判上の請求は認められません。

 また、設問の、管理委託契約の
準共有持分権に基づく保存行為についてですが、管理組合などに対する構成員(区分所有者)が有する共有の権利・義務は、総有的に構成員全員に属するという理論( 最高裁判所、昭和32年11月14日 判決 )により、
 「構成員は、当然には、右財産に関し、
共有の持分権又は分割請求権を有するものではないと解するのが相当である
 により、管理委託契約の準共有持分権に基づく保存行為は、単独には持分権として行使できませんから、管理者でない区分所有者Aは、単独では、裁判を起こせません。



ウ 管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるので、管理者の解任を請求すること  

〇 管理者の解任請求は、区分所有者Aの単独での請求が認められる。
 平成27年 マンション管理士試験 「問6」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問34」 、平成16年 管理業務主任者試験 「問33」   

 管理者の解任請求なら、区分所有法第25条
 「(選任及び解任)
 第二十五条  区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる。
 
2  管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる
 とあり、
 区分所有法第25条2項により、管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるので、管理者の解任を請求することは、区分所有者Aの単独での請求が認められます。



エ 区分所有者Cが、自ら専有部分を暴力団事務所として利用し、他の方法によってはその障害を除去することが困難であるため、当該専有部分の競売を請求すること  

X 競売請求となると、管理者でない区分所有者Aの単独での請求は認められない。 
 平成26年 マンション管理士試験 「問8」 、平成24年 マンション管理士試験 「問9」 、平成23年 マンション管理士試験 「問32」 

 区分所有者Cが、自ら専有部分を暴力団事務所として利用し、他の方法によってはその障害を除去することが困難であるため、当該専有部分の競売を請求することとなると、区分所有法第59条
 「(区分所有権の競売の請求)
 第五十九条  第五十七条第一項に規定する場合において、第六条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、
他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができる。
 2  第五十七条第三項の規定は前項の訴えの提起に、前条第二項及び第三項の規定は前項の決議に準用する。
 3  第一項の規定による判決に基づく競売の申立ては、その判決が確定した日から六月を経過したときは、することができない。
 4  前項の競売においては、競売を申し立てられた区分所有者又はその者の計算において買い受けようとする者は、買受けの申出をすることができない。

 とあり、
 区分所有法第59条1項により、専有部分の競売の裁判上の請求ができるのは、対象者を除いた区分所有者の全員(又は管理組合の管理者や指定された区分所有者)、法人となっていれば管理組合法人となっていますから、管理者でない区分所有者Aの単独での請求は認められません。 


 

    1 ア・イ
    2 ア・ウ
    3 イ・エ
    4 ウ・エ

答え:3 管理者でない区分所有者の単独、裁判請求が認められないのは、イ と エ 。

《タグ》民法。区分所有法。保存行為。単独請求。管理委託契約の性格。 

 少し難しい。
 選択肢イ はいい出題。共有関係での、合有や総有とも絡むので、暇な方は追及してください。

 選択肢イ の解説で、時間がかかった。

問38

[問 38] 次の記述のうち、区分所有法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。  

 1 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者(以下、本問において「占有者」という。)は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができるが、この占有者に区分所有者の同居の親族は含まれない。  

〇 正しい。 占有者とは、賃借人や使用借人のこと。 区分所有者の同居の親族は含まれない。
 平成28年 マンション管理士試験 「問10」 でも出ている。平成27年 管理業務主任者試験 「問33」 、平成26年 マンション管理士試験 「問30」  平成26年 マンション管理士試験 「問25」 、平成23年 管理業務主任者試験 「問31」 、平成20年 管理業務主任者試験 「問35」 、平成19年 マンション管理士試験 「問8」 、平成17年 管理業務主任者試験 「問29」  

 集会で議案について利害を有する占有者の意見陳述となると、区分所有法第44条
 「(占有者の意見陳述権)
 第四十四条  
区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができる
 2  前項に規定する場合には、集会を招集する者は、第三十五条の規定により招集の通知を発した後遅滞なく、集会の日時、場所及び会議の目的たる事項を建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。

 とあり、
  区分所有法第44条1項によれば、区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者で、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができます。
 では、その占有者の範囲ですが、それは占有権原をもった、
 ・
正当な賃借人とか使用借人
 で、区分所有者と同居する親族は含まれませんから、正しい。



2 会議の目的たる事項につき利害関係を有する占有者がいる場合には、集会を招集する者は、各区分所有者へ招集の通知を発した後遅滞なく、集会の日時、場所及び会議の目的たる事項を建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。  

〇 正しい。

 選択肢1で引用しました、区分所有法第44条2項
 「2  
前項に規定する場合には、集会を招集する者は、第三十五条の規定により招集の通知を発した後遅滞なく、集会の日時、場所及び会議の目的たる事項を建物内の見やすい場所に掲示しなければならない
 とあり、
 引用されています、区分所有法第35条の規定は、
 「(招集の通知)
 第三十五条  集会の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に、
会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる。
 2  専有部分が数人の共有に属するときは、前項の通知は、第四十条の規定により定められた議決権を行使すべき者(その者がないときは、共有者の一人)にすれば足りる。
 3  第一項の通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に、これを通知しなかつたときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。この場合には、同項の通知は、通常それが到達すべき時に到達したものとみなす。
 4  建物内に住所を有する区分所有者又は前項の通知を受けるべき場所を通知しない区分所有者に対する第一項の通知は、規約に特別の定めがあるときは、建物内の見やすい場所に掲示してすることができる。この場合には、同項の通知は、その掲示をした時に到達したものとみなす。
 5  第一項の通知をする場合において、会議の目的たる事項が第十七条第一項、第三十一条第一項、第六十一条第五項、第六十二条第一項、第六十八条第一項又は第六十九条第七項に規定する決議事項であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。

 ですから、
  会議の目的たる事項につき利害関係を有する占有者がいる場合には、集会を招集する者は、各区分所有者へ招集の通知を発した後遅滞なく、集会の日時、場所及び会議の目的たる事項を建物内の見やすい場所に掲示しなければならないは、正しい。



3 専有部分の占有者が、区分所有法第6条第1項に規定する建物の保存に有害な行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、当該専有部分の区分所有者以外の区分所有者の全員又は管理組合法人は、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。  

〇 正しい。
 平成26年 マンション管理士試験 「問8」 、 平成25年 マンション管理士試験 「問3」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問34」 、平成24年 マンション管理士試験 「問3」 、平成23年 管理業務主任者試験 「問37」 、平成19年 マンション管理士試験 「問10」 など 多い。


 専有部分の占有者が、共同の利益に反する行為をするなら、区分所有法第57条
 「(共同の利益に反する行為の停止等の請求)  
 第五十七条  
区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。
 2  前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。
 3  管理者又は集会において指定された区分所有者は、集会の決議により、第一項の他の区分所有者の全員のために、前項に規定する訴訟を提起することができる。
 
4  前三項の規定は、占有者が第六条第三項において準用する同条第一項に規定する行為をした場合及びその行為をするおそれがある場合に準用する
 とあり、
 区分所有法第57条4項により、専有部分の占有者が、区分所有法第6条第1項に規定する建物の保存に有害な行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、当該専有部分の区分所有者以外の区分所有者の全員又は管理組合法人は、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができるは、正しい。



4 区分所有法第60条に基づく、占有者に対する引渡し請求をする場合には、当該占有者が占有する専有部分の貸主である区分所有者と借主である占有者の双方に、あらかじめ集会で弁明する機会を与えなければならない。  

X 誤っている。 占有者に対し引渡し請求をする場合なら、借主である占有者だけに集会で弁明する機会を与えればいい。 貸主には、弁明の機会は与えなくていい。

 平成28年 マンション管理士試験 「問19」 、平成25年  管理業務主任者試験 「問39」 、 平成24年 マンション管理士試験 「問26」  平成22年 管理業務主任者試験 「問30」 、 平成14年 マンション管理士試験 「問5」 。

 区分所有法第60条は、
 「(占有者に対する引渡し請求)
 第六十条  第五十七条第四項に規定する場合において、第六条第三項において準用する同条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る
占有者が占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約の解除及びその専有部分の引渡しを請求することができる
 
2  第五十七条第三項の規定は前項の訴えの提起に、第五十八条第二項及び第三項の規定は前項の決議に準用する。
 3  第一項の規定による判決に基づき専有部分の引渡しを受けた者は、遅滞なく、その専有部分を占有する権原を有する者にこれを引き渡さなければならない。

 とあり、
 設問の「弁明の機会」は、 区分所有法第60条2項で準用しています、区分所有法第58条3項の規定
 「(使用禁止の請求)
 第五十八条
 
3  第一項の決議をするには、あらかじめ、当該区分所有者に対し、弁明する機会を与えなければならない
 とあり
 区分所有法第58条3項が、”当該
区分所有者に対し、弁明する機会を与える”となっているために、設問のように、専有部分の貸主である区分所有者と借主である占有者の双方に、あらかじめ集会で弁明する機会を与えなければならないのではないかという疑問が湧くわけです。
 そこで、最高裁判所 昭和62年7月17日の判決 によれば
 「区分所有者の全員又は管理組合法人が建物の区分所有等に関する法律六〇条一項に基づき、占有者が占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約の解除及びその専有部分の引渡しを請求する訴えを提起する前提として、集会の決議をするには、同条二項によつて準用される同法五八条三項により
あらかじめ当該占有者に対して弁明する機会を与えれば足り、当該占有者に対し右契約に基づき右専有部分の使用、収益をさせている区分所有者に対して弁明する機会を与えることを要しないというべきである。 」 
 と述べていますから、占有者である「借主」だけに、弁明の機会を与えればよく、専有部分の貸主である区分所有者と借主である占有者の双方に、あらかじめ集会で弁明する機会を与えなければならないは、誤りです。



答え:1

《タグ》区分所有法。 占有者とは。 集会での陳述。共同の利益違反。 引渡しの弁明。

   ここは、易しい。 

問39

[問 39] 以下のア〜ウの記述は、最高裁判所の判決又は決定の一部に若干の修正をしたものであるが、(  a   ) 〜 (  c   )に入る用語の組み合せとして、正しいものは、次の1〜4のうちどれか。  

ア 区分所有法第59条第1項の競売の請求は、特定の区分所有者が、(  a   )に反する行為をし、又はその行為をするおそれがあることを原因として認められるものである。  

a 区分所有者の共同の利益
 
 上の、「問37」 も参考に。 平成26年 マンション管理士試験 「問8」 、平成24年 マンション管理士試験 「問9」 、平成23年 マンション管理士試験 「問32」 

 まず、基本となっている、区分所有法第59条1項とは、
 「(区分所有権の競売の請求)
 第五十九条  第五十七条第一項に規定する場合において、第六条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができる。

 (以下、略)」
  です。
 これを前提に、平成23年10月11日;最高裁判所の判決
 「建物の区分所有等に関する法律59条1項の競売の請求は,特定の区分所有者が,
区分所有者の共同の利益 に反する行為をし,又はその行為をするおそれがあることを原因として認められるものであるから,同項に基づく訴訟の口頭弁論終結後に被告であった区分所有者がその区分所有権及び敷地利用権を譲渡した場合に,その譲受人に対し同訴訟の判に基づいて競売を申し立てることはできないと解すべきである。」
 とあり、
 a 区分所有者の共同の利益 (に反する行為) が入ります。


イ 区分所有法第31条第1項の「( b  )を及ぼすべきとき」とは、規約の設定、変更等の必要性及び合理性とこれによって一部の区分所有者が受ける不利益とを比較衡量し、当該区分所有関係の実態に照らして、その不利益が区分所有者の受忍すべき限度を超えると認められる場合をいうものと解される。  

b 特別の影響 
 前の 「問33」 も参考に。 

 まず、区分所有法第31条とは
 「(規約の設定、変更及び廃止)
 第三十一条  規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に
特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。
 2  前条第二項に規定する事項についての区分所有者全員の規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の四分の一を超える者又はその議決権の四分の一を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない。

 ですから、

 判例を探すまでもないのですが、この「特別の影響を及ぼすべきとき」の判定基準として、平成10年10月30日;最高裁判所の判決
 は、大変重要ですから、記憶しておいてください。
 「
「特別の影響 を及ぼすべきとき」とは、規約の設定、変更等の必要性及び合理性とこれによって一部の区分所有者が受ける不利益とを比較衡量し、当該区分所有関係の実態に照らして、その不利益が区分所有者の受忍すべき限度を超えると認められる場合をいうものと解される。
 です。
 b 特別の影響 (を及ぼすべきとき) が入ります。



ウ 本件専有部分にある排水管は、その構造及び設置場所に照らし、専有部分に属しない(  c   )に当たり、かつ、区分所有者全員の共用部分に当たると解するのが相当である。  

c 建物の附属物
 平成26年 管理業務主任者試験 「問39」 

 この設問から、解答肢をみると、専有部分にある排水管は、「専用使用部分」か「建物の附属物」かを聞いています。
 そこで、平成12年3月21日;最高裁判所の判決
 「本件排水管は、その構造及び設置場所に照らし、建物の区分所有等に関する法律二条四項にいう
専有部分に属しない 建物の附属物 に当たり、かつ、区分所有者全員の共用部分に当たると解するのが相当である。」
 とあり、
 設問の「本件
専有部分にある排水管」の部分の説明としては、
 「1 本件建物のa号室の台所、洗面所、風呂、便所から出る汚水については、同室の床下にあるいわゆる躯体部分であるコンクリートスラブを貫通してその階下にあるb号室の天井裏に配された枝管を通じて、共用部分である本管(縦管)に流される構造となっているところ、本件排水管は、右枝管のうち、右コンクリートスラブとb号室の天井板との間の空間に配された部分である。
 2 本件排水管には、本管に合流する直前でc号室の便所から出る汚水を流す枝管が接続されており、a号室及びc号室以外の部屋からの汚水は流れ込んでいない。
 3 本件排水管は、右コンクリートスラブの下にあるため、a号室及びc号室から本件排水管の点検、修理を行うことは不可能であり、b号室からその天井板の裏に入ってこれを実施するほか方法はない」
 とあり、専有部分にある排水管と認識していいでしょう。
 そこで、

 c 建物の附属物 が入ります。


 

答え:2  a 区分所有者の共同の利益、 b 特別の影響、 c 建物の附属物

《タグ》判例。 共同の利益に反する行為。特別の影響を及ぼすべきとき。 建物の附属物。

   選択肢ウ の専有部分の排水管が建物の附属物の判例は知らなくても、他の選択肢から、a と b は選べる。 易しい。

問40

 [問 40] 複合用途型の甲マンションにおいて、Aが区分所有する居住用の専有部分をBに、Cが区分所有する事務所用の専有部分をDに、それぞれが賃貸する契約を締結する場合に関する次の記述のうち、民法、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、いずれの賃貸借契約も、定期建物賃貸借契約ではないものとする。  

1 AB間の賃貸借契約において、一定期間賃料を増額しない旨の特約は有効である。  

〇 正しい。
  借地借家法からも、1問は出題される。
  平成27年 管理業務主任者試験 「問44」 平成26年 マンション管理士試験 「問12」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問43」 、 平成25年 管理業務主任者試験 「問42」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問43」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問44」 、  平成22年 管理業務主任者試験 「問44」 、平成21年 管理業務主任者試験 「問45」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問43」 など。
 
 まず、複合用途型マンションとは、「問36」 選択肢2 のように、1棟のマンションにおいて、一部が居住用で一部が事務所用になっているマンションです。

 
 

 ところで、民法と借地借家法の関係ですが、民法でも賃貸借(第7節 第601条から第622条まで)の規定があります。
 しかし、借地と借家においての賃貸借関係が民法だけでは規定できなくなったため、民法の規定に優先する
特別法として、借地借家法ができました。
 借地借家法に規定があれば、その規定が民法に優先して適用され、借地借家法に規定がなければ、民法に戻るということです。

 この特別法の関係は、民法の特別法である区分所有法との関係でも同様です。

 
 そこで、賃貸借契約で一定期間賃料を増額しない旨の特約は、借地借家法第32条
 「(借賃増減請求権)
 第三十二条  建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。
ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う
 2  建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
3  建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。

 とあり、
 借地借家法第32条1項但し書きにより、AB間の賃貸借契約において、一定期間賃料を増額しない旨の特約は有効であるは、正しい。



2 AB間で賃貸借契約を締結し、Bが入居した後にAが当該専有部分を第三者であるEに譲渡する場合は、Bの同意を得なければ、賃貸人の地位はEに移転しない。  

X 誤っている。 賃貸人の地位は、賃借人の同意がなくても移転する。
  平成28年 マンション管理士試験 「14」 も参考に。

 
 
 似たような規定は、民法第612条
 「(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
 第六百十二条  賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
 2  賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

 とありますが、
 設問のような 当該専有部分を第三者であるEに譲渡する場合は、賃借人Bの同意を得なければ、賃貸人の地位はEに移転しないの規定はありませんから、賃貸人は、賃借人の同意なくて、第三者に譲渡できますので、誤りです。
 また、これは、土地についてですが、最高裁判所 判決:昭和46年4月23日
 「土地の賃貸借契約における賃貸人の地位の譲渡は、賃貸人の義務の移転を伴なうものではあるけれども、
賃貸人の義務は賃貸人が何ぴとであるかによつて履行方法が特に異なるわけのものではなく、また、土地所有権の移転があつたときに新所有者にその義務の承継を認めることがむしろ賃借人にとつて有利であるというのを妨げないから、一般の債務の引受の場合と異なり、特段の事情のある場合を除き、新所有者が旧所有者の賃貸人としての権利義務を承継するには、賃借人の承諾を必要とせず、旧所有者と新所有者間の契約をもつてこれをなすことができると解するのが相当である。」
 ともあり、
  原則:所有権移動に伴っての、賃借人の同意は不要と解されています。


3 AB間の賃貸借契約において、解約の申入れは、Aから解約日の6月前までに、Bからは解約日の1月前までに行えば、相互に正当の事由の有無を問わず解約できる旨の特約は有効である。

X 誤っている。 賃貸人からの解約の申入れには、正当の事由が必要。これは特約できない。

 賃貸借契約の解約は、原則;民法第617条
 「(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)
 第六百十七条  当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
     一  土地の賃貸借 一年
     
二  建物の賃貸借 三箇月
     三  動産及び貸席の賃貸借 一日
 2  収穫の季節がある土地の賃貸借については、その季節の後次の耕作に着手する前に、解約の申入れをしなければならない。

 とあり、

 民法第617条1項2号により、建物の賃貸借なら、当事者から、3ヵ月前に申入れがあれば、解約ができますが、賃貸人からの解約の申し入れは、民法に優先する特別法として借地借家法第27条
 「(解約による建物賃貸借の終了)
 第二十七条  
建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する
 2  前条第二項及び第三項の規定は、建物の賃貸借が解約の申入れによって終了した場合に準用する。

 とあり、

 賃貸人からの賃貸借の解約の申入れは、民法の3ヵ月前から変更されて”6ヵ月前”となります
  さらに、賃貸人には、借地借家法第28条
 「(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
 第二十八条  
建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない
 とあり、
 引用されている借地借家法第26条
 「(建物賃貸借契約の更新等)
 第二十六条  建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
 2  前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。  3  建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。

 です。

  借地借家法第28条1項により、建物の賃貸人からの賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、
正当の事由があると認められる場合でなければ、することができません。
 
 そこで、特約は、借地借家法第30条
 「(強行規定)
 第三十条  
この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする
 とあり、
 設問の「賃借人Bからは解約日の1月前までに行えば」の特約は、民法での3ヵ月前より賃借人に不利ではないので有効ですが、「
相互に正当の事由の有無を問わず解約できる旨」の特約は、借地借家法により賃借人に不利なものとして無効です。正当の事由は必要ですから、誤りです。
 
 なお、正当の事由とは、

  1.賃貸人が建物を必要とする事情
  更新を拒絶する賃貸人がその建物を自ら使う必要性がどの程度あるのか、または、賃借人がほかに使用できる建物があるかどうか。
 2.賃貸借に関する事前の経緯
  賃貸借にすることにした経緯や、権利金などの支払いの有無、その金額、契約上の義務の履行など。
 3.建物の利用状況
  賃借人がその建物をどのような状況で利用しているか。
 4.建物の現況
  建物の老朽化により大規模な修繕あるいは建て替えが必要になっていることや、建物敷地を利用する権利の喪失によって建物の利用が困難になるなど。
 5.賃貸人による財産上の給付の申し出(補完的事由)
  いわゆる立退料の提供です。ただし、立退料の提供だけで正当事由を満たしていると判断されるわけではなく、他の事情が備わり、立退料の提供もあるときに、正当事由の1つとして判断されます。
 つまり、賃貸人がどうしてもそこに住まなくてはならない格段の理由があることや、建物が著しく老朽化して居住するには危険であることなどを証明しなければ裁判所は
正当事由があるとは判断しません。


4 CD間の賃貸借契約には、借地借家法は適用されない。  

X 誤っている。 事務所でも借地借家法は適用される。

 建物であれば、居住用に限らず、事務所の賃貸借契約でも借地借家法は適用されますから、誤りです。
 参考:借地借家法第1条
 「(趣旨)
 第一条  この法律は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等並びに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。


 また、借地借家法第40条
 「(一時使用目的の建物の賃貸借)
 第四十条  この章(注:第三章 借家)の規定は、一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合には、適用しない。 」

 とあり、
 一時使用貸借でなければ、借地借家法は適用されます。



答え:1

《タグ》賃貸借。 民法。借地借家法。特約。解約。

  折角、設問の複合用途型マンションは、図まで作ったのに、全然答えには関係していない!

  解説は詳細にしたが、易しい。

問41

[問 41] 宅地建物取引業者(宅地建物取引業法第2条第3号に規定する者をいう、以下同じ。)である売主A(以下、本問において「A」という。)が、宅地建物取引業者でない買主B(以下、本問において「B」という。)にマンションの一住戸甲(以下、本問において「甲」という。)を売却した場合におけるAの瑕疵担保責任に関する次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。  

1 甲の売買契約の特約で、Aが瑕疵担保責任を負うべき期間について、引渡しの日から1年間と定めたとしても、Bは瑕疵を知った日から1年間、Aに対し瑕疵担保責任を追及することができる。  

〇 正しい。 売主(宅地建物取引業者)の瑕疵担保責任の特約は、引渡しの日から2年以上でないと無効。
 平成27年 管理業務主任者試験 「問40」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問17」、  平成26年 管理業務主任者試験 「問40」 、 平成26年マンション管理士試験 「問17」平成25年マンション管理士試験 「問17」 、平成25年管理業務主任者試験 「問40」、 平成24年マンション管理士試験 「問14」 、平成24年管理業務主任者試験 「問40」、 平成23年 マンション管理士試験 「問12」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問41」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問13」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問42」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問4」 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問41」 「問42」 、平成20年 マンション管理士試験 「問16」 、平成20年 管理業務主任者試験 「問41」 など。
 例年、瑕疵担保責任は、民法 プラス 宅地建物取引業法 さらに 時々は、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)も絡めて出題がありますので、「マンション管理士 香川事務所」が纏めて、 別サイト 「瑕疵担保責任のまとめ」 を作っていますから、参考にしてください。

 まず、民法での瑕疵担保責任とは、売買の対象物に通常の注意を払っても発見できない品質や性能の不備(瑕疵です)があれば、買主が支払った金額は公平でありません。そこで、民法では売主に対して、故意や過失がなく(無過失)ても、契約の解除や損害賠償などの責任を負わせることにしています。
 それが、民法で定める「売主の瑕疵担保責任」といわれています。
 具体的には、民法第570条 → 第566条

  「(売主の瑕疵担保責任)
 第五百七十条  
売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。 」 
とあり、
 準用されています、民法第566条は、

 「(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
 第五百六十六条  売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、
買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる
 2  前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
 3  前二項の場合において、
契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。 」 です。
 
 そこで、売主の瑕疵担保責任では、買主は事実を知った時(瑕疵を発見した時)から一年以内(除斥期間)に、
  @契約の解除
  A解約ができないときには、損害賠償請求   そして、
  B解除により損害が発生していれば、その損害賠償請求 ができます。
 しかし、
民法では、”修補の請求は認めていません”。ここが、民法での注意点です。
 また、任意の特約もできます。


  また、土地・建物の売買を扱う宅地建物取引業者(マンションの分譲会社)は、民法に従っているのですが、買主の無知に付け込み、民法で許されている、売買の際に自分たち宅地建物取引業者に都合のいい”特約”を結んでいて、買主とトラブルが多く発生していました。
 そこで、宅地建物取引業者の特約を規制するため、 宅地建物取引業法第40条

 「(瑕疵担保責任についての特約の制限)
 第四十条  
宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、民法 (明治二十九年法律第八十九号)第五百七十条 において準用する同法第五百六十六条第三項 に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条 に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
 2  
前項の規定に反する特約は、無効とする
 とあり、
  宅地建物取引業者であれば、瑕疵担保責任を負う期間を「目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合」なら、有効ですが、その他の買主にとって不利となる特約は無効としています。
 つまり、
 *引渡しから2年以上の特約なら有効。
   他は無効。無効の場合は、民法の適用となる。
 *無効の例:
  引渡しの日から1年に限り瑕疵担保責任を負う。
  ”売買契約締結の日”から2年間は瑕疵担保責任を負う。
 
 
 

  では、設問に戻り、 甲の売買契約の特約で、宅地建物取引業者であるAが瑕疵担保責任を負うべき期間について、”引渡しの日から1年間”と定めることは、これは、宅地建物取引業法第40条で定める”引渡しの日から2年以上”より買主にとって不利な期間となり、この特約は無効となります。
 無効となった場合には、民法の規定が適用されますから、民法第570条 → 第566条1項及び同条3項により、
 「契約の解除又は損害賠償の請求は、
買主が事実を知った時(瑕疵を知った日)から一年以内にしなければならない
 とありますから、甲の売買契約の特約で、売主Aが瑕疵担保責任を負うべき期間について、引渡しの日から1年間と定めたとしても、買主Bは瑕疵を知った日から1年間、Aに対し瑕疵担保責任を追及することができるは、正しい。



2 甲の売買契約締結時に、Bのみが知っていた甲の瑕疵についても、BはAに対し瑕疵担保責任を追及することができる。  

X 誤っている。 買主が知っていると「隠れた瑕疵」に該当しないので、瑕疵担保責任は追及できない。
 
 選択肢1で引用しました民法第570条
 「(売主の瑕疵担保責任)
 第五百七十条  
売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。」
 とあり、
 「隠れた瑕疵があったとき」とは、対象物に買主が気が付かない物質的または法律的な障害があることです。この場合には、買主は売主に対して瑕疵担保責任を追及できますが、買主Bのみが知っていた甲の瑕疵となると、「隠れた瑕疵」には該当せず、買主Bは売主Aに対し瑕疵担保責任を追及することができませんから、誤りです。

 また、民法第566条1項の「買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。 」
 も参考に。



3 甲の隠れた瑕疵の原因について、Aに故意も過失もないときは、BはAに対し瑕疵担保責任を追及することができない。

X 誤っている。 売主の瑕疵担保責任は、売主に故意・過失がなくても責任がある、無過失責任である。

 民法で規定する売主の瑕疵担保責任は、売買契約の締結時に、対象物件に隠れた瑕疵があると、売買代金に不公平があるため、売主に故意・過失がなくても責任を負わせるもの(無過失責任)ですから、甲の隠れた瑕疵の原因について、売主Aに故意も過失もないときでも、買主Bは売主Aに対し瑕疵担保責任を追及することができますから、誤りです。


4 甲の売買契約の特約において、Aは、瑕疵を原因とする損害賠償責任を負わない代わりに、甲の引渡しの日から5年間、瑕疵の修補を行う旨の定めは有効である。

X 誤っている。 損害賠償責任を負わないは買主に不利な特約で、無効。

 選択肢1で説明しましたように、宅地建物取引業者Aが特約としてできるのは、
 *引渡しから2年以上の特約なら有効。
   他は無効。無効の場合は、民法の適用となる。
 *無効の例:
  引渡しの日から1年に限り瑕疵担保責任を負う。
  ”売買契約締結の日”から2年間は瑕疵担保責任を負う。
 です。
 そこで、設問の後半「甲の引渡しの日から5年間、瑕疵の修補を行う旨の定め」は、引渡しから2年以上で、かつ民法が定める
  @契約の解除
  A解約ができないときには、
損害賠償請求   そして、
  B解除により損害が発生していれば、その損害賠償請求 の内、
 民法では、認めていない
”修補の請求”が入っていますから、この「甲の引渡しの日から5年間、瑕疵の修補を行う旨の定めは」の箇所は、買主にとって不利ではないため有効です。
 しかし、設問の前半「瑕疵を原因とする損害賠償責任を負わない代わり」となると、民法で定める買主から「損害賠償請求権」を奪うことになり、これは、買主にとって不利ですから、全体として、誤りです。


答え:

《タグ》民法 +宅地建物取引業法。売主の瑕疵担保責任。特約。引渡しの日から2年以上。隠れたる瑕疵。無過失責任。修補。

 例年、瑕疵担保責任は1問はでます。 別サイト、「瑕疵担保責任のまとめ」 も作っていいます。
 正しく、「目指せ! マンション管理士・管理業務主任者」 のサイトは、至れりつくせりです。 (「マンション管理士 香川事務所」の自画自賛でした。)

 問題としては、易しい。

問42

[問 42] 次の文章は、消費者契約法第1条(目的)の規定であるが、文中の( ア )〜( エ )に入る語句の組み合せとして、正しいものはどれか。  

  この法律は、消費者と事業者との間の( ア )並びに交渉力の格差にかんがみ、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の( イ )を免除する条項その他の消費者の利益を不当の害することとなる条項の全部又は一部を無効とするほか、消費者の被害の発生又は拡大を防止するため( ウ )が事業者等に対し( エ )をすることができることとすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。  

 

 よく読めばわかる?
 消費者契約法からは、時々出題がある。
 平成26年 管理業務主任者試験 「問44」 、 平成23年管理業務主任者試験 「問43」 、 平成18年管理業務主任者試験 「問43」 、 平成17年管理業務主任者試験 「問44」 など。



 消費者契約法第1条は、以下のように規定されています。キーワードは、ウ=適格消費者団体かな。行政:国(地方自治体)が直接、やらないのが特徴。
 「(目的)
 第一条  この法律は、消費者と事業者との間の ”
情報の質及び量 =ア” 並びに交渉力の格差にかんがみ、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の ”損害賠償の責任 =イ” を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とするほか、消費者の被害の発生又は拡大を防止するため ”適格消費者団体 =ウ” が事業者等に対し ”差止請求 =エ” をすることができることとすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。


答え: 1 ア=情報の質及び量、イ=損害賠償の責任、 ウ=適格消費者団体、 エ=差止請求

《タグ》消費者契約法。 適格消費者団体。

  なお、「適格消費者団体」とは、不特定かつ多数の消費者の利益のためにこの法律の規定による差止請求権を行使するのに必要な適格性を有する法人である消費者団体として内閣総理大臣の認定を受けた者をいう。

問43

[問 43] 不動産登記法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。  

1 登記記録のうち、建物の表題部には、所在地、家屋番号、種類、構造、床面積及び固定資産税評価額が記載される。

X 誤っている。 登記記録には、建物の固定資産税評価額は記載されない。
 平成25年 管理業務主任者試験 「問43」 、  平成23年 管理業務主任者試験 「問45」 、 平成21年マンション管理士試験 「問18」 、 平成21年管理業務主任者試験 「問43」 、 平成19年マンション管理士試験 「問18」 、平成18年管理業務主任者試験 「問45」 など。

 まず、登記記録での記載事項は、不動産登記規則第4条
 「(登記記録の編成)
 第四条  土地の登記記録の表題部は、別表一の第一欄に掲げる欄に区分し、同表の第一欄に掲げる欄に同表の第二欄に掲げる事項を記録するものとする。
 
2  建物(次項の建物を除く。)の登記記録の表題部は、別表二の第一欄に掲げる欄に区分し、同表の第一欄に掲げる欄に同表の第二欄に掲げる事項を記録するものとする
 3  区分建物である建物の登記記録の表題部は、別表三の第一欄に掲げる欄に区分し、同表の第一欄に掲げる欄に同表の第二欄に掲げる事項を記録するものとする。
 4  権利部は、甲区及び乙区に区分し、甲区には所有権に関する登記の登記事項を記録するものとし、乙区には所有権以外の権利に関する登記の登記事項を記録するものとする。

 とあり、
 設問では、特に区分建物としていませんので、不動産登記規則第4条2項の別表二 
 別表二 (第四条第二項関係)区分建物でない建物の登記記録

第一欄 第二欄
所在図番号欄 建物所在図の番号
主である建物の表示欄 不動産番号欄 不動産番号
所在欄 所在(附属建物の所在を含む。)
建物の名称があるときは、その名称
家屋番号欄 家屋番号
種類欄 種類
構造欄 構造
床面積欄 床面積
原因及びその日付欄 登記原因及びその日付
建物を新築する場合の不動産工事の先取特権の保存の登記における建物の種類、構造及び床面積が設計書による旨
閉鎖の事由
登記の日付欄 登記の年月日
閉鎖の年月日
附属建物の表示欄 符号欄 附属建物の符号
種類欄 附属建物の種類
構造欄 附属建物の構造
附属建物が区分建物である場合における当該附属建物が属する一棟の建物の所在、構造、床面積及び名称
附属建物が区分建物である場合における敷地権の内容
床面積欄 附属建物の床面積
原因及びその日付欄 附属建物に係る登記の登記原因及びその日付
附属建物を新築する場合の不動産工事の先取特権の保存の登記における建物の種類、構造及び床面積が設計書による旨
登記の日付欄 附属建物に係る登記の年月日
所有者欄 所有者及びその持分

 とあり、
 設問の、建物の表題部には、所在地、家屋番号、種類、構造、床面積は記載されていますが、
固定資産税評価額は記載されていませんので、誤りです。
 なお、固定資産税評価額は、地方税法に基づく土地、家屋などの評価額で、市町村長(都区部は知事)が個別に物件を調査して決定し、これが固定資産税の課税標準となります。
 不動産登記法とは、その対象が異なると分かれば、易しい。
 
 参考までに、下が具体的な、区分建物登記簿の例です。
 表題部が2つあり一棟の建物の表示や敷地権等があることが、区分建物の登記の特徴です。


 


2 登記記録は、表題部と権利部に区分して作成され、権利部は甲区と乙区に区分され、所有権移転の仮登記は乙区に記録される。

X 誤っている。 所有権移転の仮登記も乙区ではなく甲区に記録される。

  まず、登記記録とは、不動産登記法第2条
 定義)
 第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
     一  不動産 土地又は建物をいう。
     二  不動産の表示 不動産についての第二十七条第一号、第三号若しくは第四号、第三十四条第一項各号、第四十三条第一項、第四十四条第一項各号又は第五十八条第一項各号に規定する登記事項をいう。
     三  表示に関する登記 不動産の表示に関する登記をいう。
     四  権利に関する登記 不動産についての次条各号に掲げる権利に関する登記をいう。
     
五  登記記録 表示に関する登記又は権利に関する登記について、一筆の土地又は一個の建物ごとに第十二条の規定により作成される電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)をいう。
     六  登記事項 この法律の規定により登記記録として登記すべき事項をいう。
     
七  表題部 登記記録のうち、表示に関する登記が記録される部分をいう。
     
八  権利部 登記記録のうち、権利に関する登記が記録される部分をいう。
     九  登記簿 登記記録が記録される帳簿であって、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。以下同じ。)をもって調製するものをいう。
     十  表題部所有者 所有権の登記がない不動産の登記記録の表題部に、所有者として記録されている者をいう。
     十一  登記名義人 登記記録の権利部に、次条各号に掲げる権利について権利者として記録されている者をいう。
     十二  登記権利者 権利に関する登記をすることにより、登記上、直接に利益を受ける者をいい、間接に利益を受ける者を除く。
     十三  登記義務者 権利に関する登記をすることにより、登記上、直接に不利益を受ける登記名義人をいい、間接に不利益を受ける登記名義人を除く。
     十四  登記識別情報 第二十二条本文の規定により登記名義人が登記を申請する場合において、当該登記名義人自らが当該登記を申請していることを確認するために用いられる符号その他の情報であって、登記名義人を識別することができるものをいう。
     十五  変更の登記 登記事項に変更があった場合に当該登記事項を変更する登記をいう。
     十六  更正の登記 登記事項に錯誤又は遺漏があった場合に当該登記事項を訂正する登記をいう。
     十七  地番 第三十五条の規定により一筆の土地ごとに付す番号をいう。
     十八  地目 土地の用途による分類であって、第三十四条第二項の法務省令で定めるものをいう。
     十九  地積 一筆の土地の面積であって、第三十四条第二項の法務省令で定めるものをいう。
     二十  表題登記 表示に関する登記のうち、当該不動産について表題部に最初にされる登記をいう。
     二十一  家屋番号 第四十五条の規定により一個の建物ごとに付す番号をいう。
     
二十二  区分建物 一棟の建物の構造上区分された部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものであって、建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第三項 に規定する専有部分であるもの(区分所有法第四条第二項 の規定により共用部分とされたものを含む。)をいう。
     二十三  附属建物 表題登記がある建物に附属する建物であって、当該表題登記がある建物と一体のものとして一個の建物として登記されるものをいう。
     二十四  抵当証券 抵当証券法 (昭和六年法律第十五号)第一条第一項 に規定する抵当証券をいう。

 とあり、
 登記記録は、不動産登記法第12条
 「
(登記記録の作成)
  第十二条 
登記記録は、表題部及び権利部に区分して作成する

 とありますから
 前半の「登記記録は、表題部と権利部に区分して作成され」は、正しい。
 
 そして、権利部は、選択肢1で引用しました不動産登記規則第4条4項
 「(登記記録の編成)
 
4  権利部は、甲区及び乙区に区分し、甲区には所有権に関する登記の登記事項を記録するものとし、乙区には所有権以外の権利に関する登記の登記事項を記録するものとする
 
とありますから、
 設問の「権利部は甲区と乙区に区分され」は、正しいのですが、「所有権移転の”仮登記”は乙区に記録される」は、 「所有権移転の仮登記」であっても、これは、所有権に関する登記として、乙区ではなく、甲区に記載されますから、誤りです。

 なお仮登記とは、登記申請に必要な情報などの不備により、本登記をすることができないときに、仮登記をすることができます。仮登記は、本登記になればその順位が採用されますが、本登記と異なり第三者に対する対抗力が認められません。この仮登記をしても、後から本登記のできる要件を具備した人が現れれば、その人に所有権移転の本登記がなされます。
 
 参考までに、纏めました。
 権利部
   @甲区...所有権に関する事項は、この甲区に記録されていく。
     ◎所有権保存の登記...所有権の登記のない不動産について初めてされる所有権の登記でここからその不動産に関する様々な権利の登記が始まる。
     ◎所有権に関する登記(所有権の移転・仮登記・買戻し特約など)は、権利部の甲区に記録される。
    A乙区...所有権以外の権利に関する事項、例えば抵当権・地上権・賃借権・先取特権設定など、はこの乙区に記録されていく。



3 区分建物が属する一棟の建物が新築された場合における表題登記の申請は、新築された一棟の建物に属する他の区分建物の全部について併せて申請しなければならない。  

〇 正しい。

 まず、表題登記とは、新しく建物が建てられた場合には必ずしなければいけない、人間で言えば、出生届けのようなものです。新築の建物は、登記の記録がありませんから、この表題登記によって、今後の権利関係などが登記されます。
 なお区分建物では、各専有部分が1個の建物として扱われ、専有部分ごとに登記記録が作成されます。


 そこで、不動産登記法第48条
 「(区分建物についての建物の表題登記の申請方法)
 第四十八条  
区分建物が属する一棟の建物が新築された場合又は表題登記がない建物に接続して区分建物が新築されて一棟の建物となった場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該新築された一棟の建物又は当該区分建物が属することとなった一棟の建物に属する他の区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない
 2  前項の場合において、当該区分建物の所有者は、他の区分建物の所有者に代わって、当該他の区分建物についての表題登記を申請することができる。
 3  表題登記がある建物(区分建物を除く。)に接続して区分建物が新築された場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該表題登記がある建物についての表題部の変更の登記の申請と併せてしなければならない。
 4  前項の場合において、当該区分建物の所有者は、当該表題登記がある建物の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの者の相続人その他の一般承継人に代わって、当該表題登記がある建物についての表題部の変更の登記を申請することができる。

 とあり、
  不動産登記法第48条1項によれば、区分建物が属する一棟の建物が新築された場合における表題登記の申請は、新築された一棟の建物に属する他の区分建物の全部について併せて申請しなければならないは、正しい。
 これは、新築されたマンションのような区分建物であれば、表題登記の申請は分譲業者など所有者が全部の専有部分について、混乱を防ぐため、一括して申請しなさいということです。



4 区分建物の表示に関する登記における区分建物の床面積は、各階ごとに壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積により算出する。

X 誤っている。 床面積は区分建物(専有部分)だけ例外で、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積(内法計算)による。


 建物の床面積は、不動産登記規則第115条
 「(建物の床面積)
 第百十五条  建物の床面積は、各階ごとに壁その他の区画の中心線(
区分建物にあっては、壁その他の区画の内側線)で囲まれた部分の水平投影面積により、平方メートルを単位として定め、一平方メートルの百分の一未満の端数は、切り捨てるものとする。
 とあり、
 普通の建物であれば、床面積は、各階ごとに壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積ですが、かっこ書きがあり、区分建物(専有部分)にあっては、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積ですから、誤りです。

 参考:区分所有法第14条3項
 「(共用部分の持分の割合)
 第十四条
 3  前二項(専有部分)の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による
。」

 平成28年 マンション管理士試験 「問1」 選択肢3

 


答え:3 

《タグ》不動産登記法。 登記記録。表題部の記載事項。権利部の甲区と乙区。表題登記の申請。床面積。

 不動産登記法についても、出題は多いので、 「超解説 区分所有法」  の中で、解説をしていますから、ご利用ください。

 *ある受験生の感想:選択肢4も超解説のまとめのほうで解説があったのでたすかった。内のり面積の場合と壁芯面積の場合を区別して覚えていないと解けなかった。

問44

[ 問 44] 各種の法令に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。  

1 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律において、特定建築物とは、学校、病院、劇場その他多数の者が利用する政令で定める建築物をいい、共同住宅はこれに含まれない。  

X 誤っている。 共同住宅も特定建築物に含まれる。
 平成28年 マンション管理士試験 「問41」  、平成25年 管理業務主任者試験 「問44」 、 平成24年 マンション管理士試験 「問40」  、 平成21年 管理業務主任者試験 「問44」 、 平成20年管理業務主任者試験 「問23」
 
 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律において、特定建築物とは、同法第2条16号
 「(定義)
 第二条  この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 (前半、略)
     十六  
特定建築物 学校、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、ホテル、事務所、共同住宅、老人ホームその他の多数の者が利用する政令で定める建築物又はその部分をいい、これらに附属する建築物特定施設を含むものとする。
 とあり、
  高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第2条16号によれば、特定建築物とは、学校、病院、劇場その他多数の者が利用する政令で定める建築物をいい、共同住宅(マンション)も含まれていますから、誤りです。



2 自動車の保管場所の確保等に関する法律によれば、自動者の保有者が確保しなければならない当該自動車の保管場所は、自動車の使用の本拠の位置との間の距離が、2kmを超えないものでなければならない。  

〇 正しい。 自動車の保管場所は、本拠との距離が、2kmを超えてはいけない。
 平成25年 管理業務主任者試験 「問44」 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問44」  、 平成20年管理業務主任者試験 「問45」 選択肢3 もある。また、自動車の保管場所と使用の本拠との距離、2kmを超えないは、平成13年マンション管理士試験 「問23」 でも出た。

 自動車の保管場所は、自動車の保管場所の確保等に関する法律第3条
 「(保管場所の確保)
 第三条  自動車の保有者は、道路上の場所以外の場所において、当該自動車の保管場所(自動車の使用の本拠の位置との間の距離その他の事項について
政令で定める要件を備えるものに限る。第十一条第一項を除き、以下同じ。)を確保しなければならない。 」
 とあり、

 これを受けた政令は、自動車の保管場所の確保等に関する法律施行令第1条
 「(保管場所の要件)
 第一条  自動車の保管場所の確保等に関する法律 (以下「法」という。)第三条 の政令で定める要件は、次の各号のすべてに該当することとする。
     一  
当該自動車の使用の本拠の位置との間の距離が、二キロメートル(法第十三条第二項 の運送事業用自動車である自動車にあつては、国土交通大臣が運送事業(同条第一項 の自動車運送事業又は第二種貨物利用運送事業をいう。)に関し土地の利用状況等を勘案して定める地域に当該自動車の使用の本拠の位置が在るときは、当該地域につき国土交通大臣が定める距離)を超えないものであること。
     二  当該自動車が法令の規定により通行することができないこととされる道路以外の道路から当該自動車を支障なく出入させ、かつ、その全体を収容することができるものであること。
     三  当該自動車の保有者が当該自動車の保管場所として使用する権原を有するものであること。

 とあり、
 自動車の保管場所の確保等に関する法律施行令第1条1号によれば、自動者の保有者が確保しなければならない当該自動車の保管場所は、自動車の使用の本拠の位置との間の距離が、2kmを超えないものでなければならないは、正しい。



3 警備業法によれば、18歳未満の者は、警備員となってはならない。  

〇 正しい。 
  平成25年 管理業務主任者試験 「問44」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問45」 、平成19年 マンション管理士 試験 「問23」 、 平成14年 マンション管理士 試験 「問25」 
 
 警備員の年齢は、警備業法第14条
 「(警備員の制限)
 第十四条  
十八歳未満の者又は第三条第一号から第七号までのいずれかに該当する者は、警備員となつてはならない
 2  警備業者は、前項に規定する者を警備業務に従事させてはならない。 」

 とあり、
 警備業法第14条1項によれば、18歳未満の者は、警備員となってはならないは、正しい。



4 身体障害者補助犬法によれば、住宅を管理する者(国等を除く。)は、その管理する住宅に居住する身体障害者が当該住宅において身体障害者補助犬を使用することを拒まないよう努めなければならない。  

〇 正しい。
  参考: 平成20年管理業務主任者試験 「問45」 選択肢4
 
 住宅の身体障害者補助犬なら、身体障害者補助犬法第11条
 「住宅における身体障害者補助犬の使用)
 第十一条  
住宅を管理する者(国等を除く。)は、その管理する住宅に居住する身体障害者が当該住宅において身体障害者補助犬を使用することを拒まないよう努めなければならない。」
 とあり、
 身体障害者補助犬法第11条により、住宅を管理する者(国等を除く。)は、その管理する住宅に居住する身体障害者が当該住宅において身体障害者補助犬を使用することを
拒まないよう努めなければならないは、正しい。
 注:こういった雑学的な法律から次の出題があるときは、”義務がある”で正誤を聞いてきますから、法の目的も理解のこと。


答え:1


《タグ》高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律。特定建築物には共同住宅が含まれる。
    自動車の保管場所の確保等に関する法律。保管場所は、2kmを超えないこと。
    警備業法。18歳未満は、警備員になれない。
    身体障害者補助犬法。

 こんな、各種の法令からの出題なんて、もう出題範囲をまもるだけの出題方法は、適切なやり方ではない。
 やめるべき。代わりにもっと高邁な出題をすべき。

問45

注:宅地建物取引業法第35条の重要事項説明について、これまでは相手方等が宅地建物取引業者であっても「宅地建物取引士による説明」が必要とされていましたが、平成29年4月1日施行の改正により、宅地建物取引業者が宅地又は建物の取得者又は借主となる場合における重要事項説明については、説明は不要で書面交付のみで足りるものとされました(第35条第6項・第7項の新設)。ここの設問は、改正前のままです。


[問 45] マンションの一住戸の売買の際に、宅地建物取引業者が、宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項の説明を行う場合において、説明しなければならない事項として定められていないものは、次のうちどれか。  

1 中古マンションの売買の媒介において、当該マンションの維持修繕の実施状況が記録されている場合は、その内容  

〇 定められている。 売買ならマンションの維持修繕の実施状況が記録されている場合は、その内容 も説明すること。
 管理業務主任者試験においては、宅地建物取引業法からの1問の出題は、必ずあります。
 多くは、地建物取引業法第35条の重要事項説明からです。重要事項説明は、変更も良くあるので、長いけど必ず読んでおくこと。

 平成27年 管理業務主任者試験 「問45」 平成26年 管理業務主任者試験 「問45」 、平成25年 管理業務主任者試験 「問45」 、平成24年 管理業務主任者試験 「問45」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問40」 、平成22年管理業務主任者試験 「問40」 、平成21年管理業務主任者試験 「問40」 、 平成20年管理業務主任者試験 「問40」 など。


 私の過去問題の解説を読んでいる人には、同じ解説となりますが、宅地建物取引業者(不動産屋)がマンションを売ったり、賃貸物件を仲介する場合には、相手方が素人であると、国土交通省の役人が判断して、その契約の前に、宅地建物取引のエキスパートである国家資格を有する宅地建物取引士が素人である相手方に、親切にまた分かりやすく、契約の対象物件の説明をしなさいと云っています。それが、宅地建物取引業法第35条
「(重要事項の説明等)
 第三十五条  
宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない
     一  当該宅地又は建物の上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人又は登記簿の表題部に記録された所有者の氏名(法人にあつては、その名称)
     二  都市計画法 、建築基準法 その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。以下この条において同じ。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要
     三  当該契約が建物の貸借の契約以外のものであるときは、私道に関する負担に関する事項
     四  飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況(これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項)
     五  当該宅地又は建物が宅地の造成又は建築に関する工事の完了前のものであるときは、その完了時における形状、構造その他国土交通省令・内閣府令で定める事項
     
六  当該建物が建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号)第二条第一項 に規定する区分所有権の目的であるものであるときは、当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容、同条第四項 に規定する共用部分に関する規約の定めその他の一棟の建物又はその敷地(一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又はこれに関する権利がそれらの建物の所有者の共有に属する場合には、その土地を含む。)に関する権利及びこれらの管理又は使用に関する事項で契約内容の別に応じて国土交通省令・内閣府令で定めるもの
     七  代金、交換差金及び借賃以外に授受される金銭の額及び当該金銭の授受の目的
     八  契約の解除に関する事項
     九  損害賠償額の予定又は違約金に関する事項
     十  第四十一条第一項に規定する手付金等を受領しようとする場合における同条又は第四十一条の二の規定による措置の概要
     十一  支払金又は預り金(宅地建物取引業者の相手方等からその取引の対象となる宅地又は建物に関し受領する代金、交換差金、借賃その他の金銭(第四十一条第一項又は第四十一条の二第一項の規定により保全の措置が講ぜられている手付金等を除く。)であつて国土交通省令・内閣府令で定めるものをいう。以下同じ。)を受領しようとする場合において、第六十四条の三第二項の規定による保証の措置その他国土交通省令・内閣府令で定める保全措置を講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要
     十二  代金又は交換差金に関する金銭の貸借のあつせんの内容及び当該あつせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置
     十三  当該宅地又は建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結その他の措置で国土交通省令・内閣府令で定めるものを講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要
     
十四  その他宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護の必要性及び契約内容の別を勘案して、次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める命令で定める事項
       イ 事業を営む場合以外の場合において宅地又は建物を買い、又は借りようとする個人である宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に資する事項を定める場合 国土交通省令・内閣府令
       ロ イに規定する事項以外の事項を定める場合 国土交通省令
 2  宅地建物取引業者は、宅地又は建物の割賦販売(代金の全部又は一部について、目的物の引渡し後一年以上の期間にわたり、かつ、二回以上に分割して受領することを条件として販売することをいう。以下同じ。)の相手方に対して、その者が取得しようとする宅地又は建物に関し、その割賦販売の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。
     一  現金販売価格(宅地又は建物の引渡しまでにその代金の全額を受領する場合の価格をいう。)
     二  割賦販売価格(割賦販売の方法により販売する場合の価格をいう。)
     三  宅地又は建物の引渡しまでに支払う金銭の額及び賦払金(割賦販売の契約に基づく各回ごとの代金の支払分で目的物の引渡し後のものをいう。第四十二条第一項において同じ。)の額並びにその支払の時期及び方法
 3  宅地建物取引業者は、宅地又は建物に係る信託(当該宅地建物取引業者を委託者とするものに限る。)の受益権の売主となる場合における売買の相手方に対して、その者が取得しようとしている信託の受益権に係る信託財産である宅地又は建物に関し、その売買の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。ただし、その売買の相手方の利益の保護のため支障を生ずることがない場合として国土交通省令で定める場合は、この限りでない。
      一  当該信託財産である宅地又は建物の上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人又は登記簿の表題部に記録された所有者の氏名(法人にあつては、その名称)
     二  当該信託財産である宅地又は建物に係る都市計画法 、建築基準法 その他の法令に基づく制限で政令で定めるものに関する事項の概要
     三  当該信託財産である宅地又は建物に係る私道に関する負担に関する事項
     四  当該信託財産である宅地又は建物に係る飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況(これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項)
     五  当該信託財産である宅地又は建物が宅地の造成又は建築に関する工事の完了前のものであるときは、その完了時における形状、構造その他国土交通省令で定める事項
     六  当該信託財産である建物が建物の区分所有等に関する法律第二条第一項 に規定する区分所有権の目的であるものであるときは、当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容、同条第四項 に規定する共用部分に関する規約の定めその他の一棟の建物又はその敷地(一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又はこれに関する権利がそれらの建物の所有者の共有に属する場合には、その土地を含む。)に関する権利及びこれらの管理又は使用に関する事項で国土交通省令で定めるもの
     七  その他当該信託の受益権の売買の相手方の利益の保護の必要性を勘案して国土交通省令で定める事項
 
4  宅地建物取引士は、前三項の説明をするときは、説明の相手方に対し、宅地建物取引士証を提示しなければならない
 
5  第一項から第三項までの書面の交付に当たつては、宅地建物取引士は、当該書面に記名押印しなければならない
  とあり、

 区分所有建物(マンション)であると、宅地建物取引業法第35条1項6号の規定を受けた、宅地建物取引業法施行規則第16条の2
 「(法第三十五条第一項第六号 の国土交通省令・内閣府令で定める事項)
 第十六条の二  法第三十五条第一項第六号 の国土交通省令・内閣府令で定める事項は、
建物の貸借の契約以外の契約にあつては次に掲げるもの建物の貸借の契約にあつては第三号及び第八号に掲げるものとする。
     一  当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容
     二  建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下この条、第十六条の四の三、第十六条の四の六及び第十九条の二の五において「区分所有法」という。)第二条第四項 に規定する共用部分に関する規約の定め(その案を含む。次号において同じ。)があるときは、その内容
     三  区分所有法第二条第三項 に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容
     四  当該一棟の建物又はその敷地の一部を特定の者にのみ使用を許す旨の規約(これに類するものを含む。次号及び第六号において同じ。)の定め(その案を含む。次号及び第六号において同じ。)があるときは、その内容
     五  当該一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用、通常の管理費用その他の当該建物の所有者が負担しなければならない費用を特定の者にのみ減免する旨の規約の定めがあるときは、その内容
     六  当該一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約の定めがあるときは、その内容及び既に積み立てられている額
     七  当該建物の所有者が負担しなければならない通常の管理費用の額
     八  当該一棟の建物及びその敷地の管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名(法人にあつては、その商号又は名称)及び住所(法人にあつては、その主たる事務所の所在地)
     
九  当該一棟の建物の維持修繕の実施状況が記録されているときは、その内容
  とあり、
 賃貸でない、マンションの一住戸の中古の売買の媒介なら、宅地建物取引業法施行規則第16条の2 9号により、当該マンションの維持修繕の実施状況が記録されている場合は、その内容を重要事項として説明します。



2 新築マンションの売買において、当該マンションの瑕疵を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結措置を講じる場合は、その概要

〇 定められている。

 新築マンションの売買において、当該マンションの瑕疵を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結措置を講じる場合は、選択肢1で引用しました、宅地建物取引業法第35条1項13号
 「
十三  当該宅地又は建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結その他の措置で国土交通省令・内閣府令で定めるものを講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要
 とあり
 定められています。

 なお、宅地又は建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関する保証保険契約とは、新築住宅において不動産業者が倒産して補修などが行えないと困るため、不動産業者と保険業者が「保証保険契約」を締結し、これに基づく保険証書またはこれに代るべき書面 を買主に交付します。この保証保険契約により、不動産業者が倒産しても、買主は瑕疵があれば、保険業者に、請求できます。
 
なお、保証保険契約の締結は、任意です。(訂正:2017年 7月14日)
 新築住宅の請負人や売主に、資力確保措置(保険への加入または保証金の供託)が義務付けられます。


3 新築マンションの売買においては、所有権の保存登記の申請の時期、中古マンションの売買の媒介においては、所有権の移転登記の申請の時期  

X 定められていない。 
 
 宅地建物取引業法第35条においては、新築マンションの売買においては、所有権の保存登記の申請の時期、中古マンションの売買の媒介においては、所有権の移転登記の申請の時期は、定められていません。
 なお、設問は、宅地建物取引業法第37条1項で交付する書面の記載事項ではあります。
 参考:宅地建物取引業法第37条
 「(書面の交付)
 第三十七条  宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関し、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、
遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない
     一  当事者の氏名(法人にあつては、その名称)及び住所
     二  当該宅地の所在、地番その他当該宅地を特定するために必要な表示又は当該建物の所在、種類、構造その他当該建物を特定するために必要な表示
     三  代金又は交換差金の額並びにその支払の時期及び方法
     四  宅地又は建物の引渡しの時期
     
五  移転登記の申請の時期
     六  代金及び交換差金以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的
     七  契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
     八  損害賠償額の予定又は違約金に関する定めがあるときは、その内容
     九  代金又は交換差金についての金銭の貸借のあつせんに関する定めがある場合においては、当該あつせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置
     十  天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容
     十一  当該宅地若しくは建物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置についての定めがあるときは、その内容
     十二  当該宅地又は建物に係る租税その他の公課の負担に関する定めがあるときは、その内容
 2  宅地建物取引業者は、宅地又は建物の貸借に関し、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
     一  前項第一号、第二号、第四号、第七号、第八号及び第十号に掲げる事項
     二  借賃の額並びにその支払の時期及び方法
     三  借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的
 
3  宅地建物取引業者は、前二項の規定により交付すべき書面を作成したときは、宅地建物取引士をして、当該書面に記名押印させなければならない


4 中古マンションの売買の媒介において、当該マンションについて、石綿の使用がない旨の調査結果が記録されているときは、その内容  

〇 定められている。
 
 石綿の使用の調査結果は、選択肢1で引用しました、宅地建物取引業法第35条1項14号
 「十四  その他宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護の必要性及び契約内容の別を勘案して、次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該
イ又はロに定める命令で定める事項
     イ 事業を営む場合以外の場合において宅地又は建物を買い、又は借りようとする個人である宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に資する事項を定める場合 国土交通省令・内閣府令
     ロ イに規定する事項以外の事項を定める場合 国土交通省令

 とあり、
 これを受けた政令は、宅地建物取引業法施行規則第16条の4の3
 「(法第三十五条第一項第十四号 イの国土交通省令・内閣府令及び同号 ロの国土交通省令で定める事項)
 第十六条の四の三  法第三十五条第一項第十四号 イの国土交通省令・内閣府令及び同号 ロの国土交通省令で定める事項は、宅地の売買又は交換の契約にあつては第一号から第三号までに掲げるもの、
建物の売買又は交換の契約にあつては第一号から第六号までに掲げるもの、宅地の貸借の契約にあつては第一号から第三号まで及び第八号から第十三号までに掲げるもの、建物の貸借の契約にあつては第一号から第五号まで及び第七号から第十二号までに掲げるものとする。
     一  当該宅地又は建物が宅地造成等規制法 (昭和三十六年法律第百九十一号)第二十条第一項 により指定された造成宅地防災区域内にあるときは、その旨
     二  当該宅地又は建物が土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律 (平成十二年法律第五十七号)第七条第一項 により指定された土砂災害警戒区域内にあるときは、その旨
     三  当該宅地又は建物が津波防災地域づくりに関する法律 (平成二十三年法律第百二十三号)第五十三条第一項 により指定された津波災害警戒区域内にあるときは、その旨
     
四  当該建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは、その内容
     五  当該建物(昭和五十六年六月一日以降に新築の工事に着手したものを除く。)が建築物の耐震改修の促進に関する法律 (平成七年法律第百二十三号)第四条第一項 に規定する基本方針のうち同条第二項第三号 の技術上の指針となるべき事項に基づいて次に掲げる者が行う耐震診断を受けたものであるときは、その内容
       イ 建築基準法 (昭和二十五年法律第二百一号)第七十七条の二十一第一項 に規定する指定確認検査機関
       ロ 建築士法 (昭和二十五年法律第二百二号)第二条第一項 に規定する建築士
       ハ 住宅の品質確保の促進等に関する法律 (平成十一年法律第八十一号)第五条第一項 に規定する登録住宅性能評価機関
       ニ 地方公共団体
     六  当該建物が住宅の品質確保の促進等に関する法律第五条第一項 に規定する住宅性能評価を受けた新築住宅であるときは、その旨
     七  台所、浴室、便所その他の当該建物の設備の整備の状況
     八  契約期間及び契約の更新に関する事項
     九  借地借家法 (平成三年法律第九十号)第二条第一号 に規定する借地権で同法第二十二条 の規定の適用を受けるものを設定しようとするとき、又は建物の賃貸借で同法第三十八条第一項 若しくは高齢者の居住の安定確保に関する法律 (平成十三年法律第二十六号)第五十二条 の規定の適用を受けるものをしようとするときは、その旨
     十  当該宅地又は建物の用途その他の利用に係る制限に関する事項(当該建物が区分所有法第二条第一項 に規定する区分所有権の目的であるときにあつては、第十六条の二第三号に掲げる事項を除く。)
     十一  敷金その他いかなる名義をもつて授受されるかを問わず、契約終了時において精算することとされている金銭の精算に関する事項
     十二  当該宅地又は建物(当該建物が区分所有法第二条第一項 に規定する区分所有権の目的であるものを除く。)の管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名(法人にあつては、その商号又は名称)及び住所(法人にあつては、その主たる事務所の所在地)
     十三  契約終了時における当該宅地の上の建物の取壊しに関する事項を定めようとするときは、その内容

 とあり、

  石綿の使用の調査結果は、宅地建物取引業法施行規則第16条の4の3 4号により、中古マンションの売買の媒介において、当該マンションについて、石綿の使用がない旨の調査結果が記録されているときは、その内容として、定められています。
 なお、石綿(アスベスト)が、重要事項説明に追加されたのは、石綿(アスベスト)が肺がんなどの発生原因であるためです。



答え:3 

《タグ》宅地建物取引業法。第35条。重要事項説明の内容。 宅地建物取引業法施行規則。 維持修繕の記録。瑕疵担保での保証保険締結。石綿。

 宅地建物取引業法も宅地建物取引業法施行規則も改正がありで、該当の事項を探すのが大変。
 問題としては易しい。

問46


 *注:問46から問50までは、マンション管理士試験か管理業務主任者試験の合格者には免除される部分です。また、この問46から問50は、「マンション管理適正化法」と同指針からの出題と決まっていますので、出題は似たような内容となります。過去問題はやっておくと楽です。

 *マンションの管理の適正化に関する指針(国土交通省告示第490号)は、平成28年3月に改正があったので、注意のこと。


[問 46] 次の記述のうち、マンションの管理の適正化に関する指針(平成13年国土交通省告示第1288号)に定められていないものはどれか。  

1 管理組合を構成するマンションの区分所有者等は、管理組合の一員としての役割を十分認識して、管理組合の運営に関心を持ち、積極的に参加する等、その役割を適切に果たすよう努める必要がある。  

〇 定められている。
 平成19年 管理業務主任者試験 「問46」 、 平成13年 管理業務主任者試験 「問47」 

  該当の箇所は、
  マンションの管理の適正化に関する指針
   一 マンションの管理の適正化の基本的方向 2 
 にあります。



2 マンションの状況によっては、外部の専門家が、管理組合の管理者等又は役員に就任することも考えられるが、その場合には、マンションの区分所有者等が当該管理者等又は役員の選任や業務の監視等を適正に行うとともに、監視・監督の強化のための措置等を講じることにより適正な業務運営を担保することが重要である。  

〇 定められている。
 平成28年 マンション管理士試験 「問50」

 平成28年3月の改正(追加)点で、外部の専門家が、管理組合の管理者等又は役員に就任することも考えられることが追加された。

 該当の箇所は、
 マンションの管理の適正化に関する指針
  一 マンションの管理の適正化の基本的方向 4 
 にあります。



3 マンションの管理は、専門的な知識を必要とすることが多いため、マンション管理業者は、問題に応じ、マンション管理業者の団体の支援を得ながら、主体性をもって適切な対応をするよう心がけることが重要である。  

X 定められていない。 マンション管理の主体は、管理業者ではなく、管理組合である。

 該当の箇所は、
 マンションの管理の適正化に関する指針
  一 マンションの管理の適正化の基本的方向 3
 「3 マンションの管理は、専門的な知識を必要とすることが多いため、
管理組合は、問題に応じ、マンション管理士等専門的知識を有する者の支援を得ながら、主体性をもって適切な対応をするよう心がけることが重要である。」
 とあり、
 「・・・・
マンション管理業者は、問題に応じ、・・・」ではなく「管理組合」と定められています。


4 マンションにおけるコミュニティ形成については、自治会及び町内会等(以下「自治会」という。)は管理組合と異なり、各居住者が各自の判断で加入するものであることに留意するとともに、特に管理費の使途については、マンションの管理と自治会活動の範囲・相互関係を整理し、管理費と自治会費の徴収、支出を分けて適切に運用することが必要である。  

〇 定められている。
 平成28年 マンション管理士試験 「問46」
 
 該当の箇所も、
平成28年3月の改正(追加)点で、コミュニティが整理されました。
 
 マンションの管理の適正化に関する指針
  二 マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本的事項
  7 良好な居住環境の維持及び向上  
 にあります。



答え:3

《タグ》マンションの管理の適正化に関する指針。平成28年の改正点。 

  改正点は必ず出題されます。易しい。

問47

[問 47] マンション管理業者A(以下、本問において「A」という。)は、管理組合B(以下、本問において「B」という。)と管理委託契約を締結し、Bの管理事務を行っているが、この業務に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法に違反するものはどれか。  

 1 Aは、Bとの管理委託契約の有効期間中に、マンション管理業(マンション管理適正化法第2条第7号に規定するものをいう。)を廃止し、その旨を国土交通大臣に届け出たが、Bとの管理委託契約の期間が満了する日まで、当該管理委託に係る管理事務を結了する目的の範囲内における業務を行った。  

〇 違反しない。 業者でなくなっても、契約期間満了までは、業務ができる。というより、業務を完了しなければいけない。

 
 
 初めての出題?

 マンションの管理業を営むには、国土交通省に登録が必要です(マンション管理適正化法第44条1項)。そこで、登録を受けた管理業者が国土交通省大臣に届け出て廃止すると、契約内容履行の義務は、マンション管理適正化法第89条
 「(登録の失効に伴う業務の結了)
 第八十九条  
マンション管理業者の登録がその効力を失った場合には、当該マンション管理業者であった者又はその一般承継人は、当該マンション管理業者の管理組合からの委託に係る管理事務を結了する目的の範囲内においては、なおマンション管理業者とみなす
 とあり、
 マンション管理業者であった者Aは、管理組合Bとの関係においては、管理委託契約の期間が満了する日までは、当該管理委託に係る管理事務を結了する目的の範囲内における業務については、なおマンション管理業者とみなされますから、業務を行っても、マンション管理適正化法に違反しません。



2 Aは、Bから委託を受けた管理事務について、帳簿を作成し、その事務所に備え置いていたが、事務所に備え置いてから3年を経過したことから、当該帳簿を処分した。  

X 違反する。 帳簿の保存期間は5年。 3年ではない。
 平成27年 管理業務主任者試験 「問49」 、  平成24年 管理業務主任者試験 「問49」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問48」 、 平成23年 マンション管理士試験 「問49」  

 帳簿の作成と保存は、マンション管理適正化法第75条
 「(帳簿の作成等)
 第七十五条  マンション管理業者は、管理組合から委託を受けた管理事務について、国土交通省令で定めるところにより、帳簿を作成し、これを保存しなければならない。

 とあり、
 これを受けた政令は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則第86条
 「(帳簿の記載事項等)
 第八十六条  
マンション管理業者は、管理受託契約を締結したつど、法第七十五条 の帳簿に次に掲げる事項を記載し、その事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備えなければならない
     一  管理受託契約を締結した年月日
     二  管理受託契約を締結した管理組合の名称
     三  契約の対象となるマンションの所在地及び管理事務の対象となるマンションの部分に関する事項
     四  受託した管理事務の内容
     五  管理事務に係る受託料の額
     六  管理受託契約における特約その他参考となる事項
 2  前項各号に掲げる事項が、電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等に記録され、必要に応じ当該事務所において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該記録をもって法第七十五条 に規定する帳簿への記載に代えることができる。
 
3  マンション管理業者は、法第七十五条 に規定する帳簿(前項の規定による記録が行われた同項のファイル又は磁気ディスク等を含む。)を各事業年度の末日をもって閉鎖するものとし、閉鎖後五年間当該帳簿を保存しなければならない。
 とあり、
  マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則第86条1項により、設問の前半「業者Aは、管理組合Bから委託を受けた管理事務について、帳簿を作成し、その事務所に備え置いていた」は違反しませんが、設問の後半「
3年を経過したことから、当該帳簿を処分した」は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則第86条3項では、帳簿は「閉鎖後5年間当該帳簿を保存しなければならない」により、3年は違反しますので、全体として、違反します。
 なお、閲覧で、事務所に据え置く期間は、3年です。整理しておくこと。(施行規則第90条4項参照)


3 Aは、その業務及び財産の状況を記載した書類をその事務所に備え置いていたが、Bの組合員から当該書類の閲覧を求められたため、これを閲覧させた。  

〇 違反しない。

 平成27年 管理業務主任者試験 「問50」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問49」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問49」 、 平成23年 マンション管理士試験 「問49」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問49」 など。 
 
 書類の閲覧は、マンション管理適正化法第79条
 「(書類の閲覧)
 第七十九条  
マンション管理業者は、国土交通省令で定めるところにより、当該マンション管理業者の業務及び財産の状況を記載した書類をその事務所ごとに備え置き、その業務に係る関係者の求めに応じ、これを閲覧させなければならない。
 
とあり、
 業者Aは、その業務及び財産の状況を記載した書類をその事務所に備え置いていたが、業務の関係者である管理組合Bの組合員から当該書類の閲覧を求められたため、これを閲覧させたは、適正ですから、違反しません。



4 Bから管理事務の委託を受けたAの事務所の成年者である専任の管理業務主任者(マンション管理適正化法第2条第9号に規定する者をいう。以下同じ。)はCのみであったが、Bとの管理委託契約の有効期間中に、Cが急に退職したため、Cが退職した日の10日後に、Aは、成年者である専任の管理業務主任者を新たに設置した。  

〇 違反しない。 2週間以内なら、いい。
 平成22年 マンション管理士試験 「問48」

 管理業務主任者の設置は、マンション管理適正化法第56条
 「(管理業務主任者の設置)
 第五十六条  マンション管理業者は、その事務所ごとに、事務所の規模を考慮して国土交通省令で定める数の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならない。ただし、人の居住の用に供する独立部分(区分所有法第一条 に規定する建物の部分をいう。以下同じ。)が国土交通省令で定める数以上である第二条第一号イに掲げる建物の区分所有者を構成員に含む管理組合から委託を受けて行う管理事務を、その業務としない事務所については、この限りでない。
 2  前項の場合において、マンション管理業者(法人である場合においては、その役員)が管理業務主任者であるときは、その者が自ら主として業務に従事する事務所については、その者は、その事務所に置かれる成年者である専任の管理業務主任者とみなす。
 
3  マンション管理業者は、第一項の規定に抵触する事務所を開設してはならず、既存の事務所が同項の規定に抵触するに至ったときは、二週間以内に、同項の規定に適合させるため必要な措置をとらなければならない
 とあり、
 設問のように、専任の管理業務主任者が退職となると、マンション管理適正化法第56条3項に該当しますから、 2週間(14日)以内に、同項の規定に適合させるため必要な措置をとらなければなりませんが、Cが退職した日の
10日後に、業者Aは、成年者である専任の管理業務主任者を新たに設置すれば、2週間以内での措置となりますから、違反しません。
 なお、変更の届け出は、その日から30日以内です。(同法第48条1項参照)


答え:2 

《タグ》マンション管理適正化法。 業務の廃止。帳簿の保存期間は5年。書類の閲覧。専任の管理業務主任者が欠けた場合。


 数字関係は、少し難しいか?

問48

[問 48] マンション管理業者A(以下、本問において「A」という。)が、管理受託契約を締結している管理組合B(以下、本問において「B」という。)に、マンション管理適正化法第77条の規定に基づく管理事務の報告を行う場合に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法及び民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律によれば、最も適切なものはどれか。  

1 Aは、Bの事業年度終了後、遅滞なく、管理事務報告書を作成し、Bの管理者の承諾を得た上で、当該報告書を電磁的方法により当該管理者に交付した。  

X 適切でない。 管理事務報告書は電磁的方法で管理者への交付は認められていない。

 平成23年 管理業務主任者試験 「問50」 、 平成23年 マンション管理士試験 「問50」 、 平成20 管理業務主任者試験 「問50」 など。

 

 マンション管理適正化法と同施行規則の関係は、必ず並行して記憶すること。参考書も並列(対照表のように)で書いてあるのがいい。

 管理事務の報告は、マンション管理適正化法第77条
 「(管理事務の報告)
 第七十七条  
マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれているときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。
 2  マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれていないときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。
 3  管理業務主任者は、前二項の説明をするときは、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければならない。

 とあり、

 管理組合に「管理者がいる場合」と「管理者がいない場合」では、明確にその対応が異なっている点を纏めておいてください。

 管理者が置かれている場合には、これを受けた政令は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則(以下、本解説では、長いので「施行規則」といいます)第88条
 「(管理事務の報告)
 第八十八条  
マンション管理業者は、法第七十七条第一項 の規定により管理事務に関する報告を行うときは、管理事務を委託した管理組合の事業年度終了後、遅滞なく、当該期間における管理受託契約に係るマンションの管理の状況について次に掲げる事項を記載した管理事務報告書を作成し、管理業務主任者をして、これを管理者等に交付して説明をさせなければならない
     一  報告の対象となる期間
     二  管理組合の会計の収入及び支出の状況
     三  前二号に掲げるもののほか、管理受託契約の内容に関する事項

 とあり、
  施行規則第88条によれば、設問の前半「業者Aは、管理組合Bの事業年度終了後、遅滞なく、管理事務報告書を作成し」は、いいのですが、後半の「管理組合Bの管理者の承諾を得た上で、当該報告書を電磁的方法により当該管理者に交付した」は、管理組合Bの管理者の承諾を得た上であっても、施行規則第88条では、当該報告書を電磁的方法により当該管理者に交付することは、認めていませんから、適切ではありません。
 また、説明も必要です。


 追記:民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律 と 国土交通省の所管する法令に係る民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則 では、施行規則第87条5項の「会計の収入及び支出の状況に関する書面を作成し、翌月末日までに、当該書面 を当該管理組合の管理者等に交付」は、相手方が承諾すれば、電磁的記録による交付も認められていますが、施行規則第88条は、該当していません。

 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律第6条
 「(電磁的記録による交付等)
 第六条  民間事業者等は、交付等のうち当該交付等に関する他の法令の規定により書面により行わなければならないとされているもの(当該交付等に係る書面又はその原本、謄本、抄本若しくは写しが法令の規定により保存をしなければならないとされているものであって、主務省令で定めるものに限る。)については、当該他の法令の規定にかかわらず、
政令で定めるところにより、当該交付等の相手方の承諾を得て、書面の交付等に代えて電磁的方法であって主務省令で定めるものにより当該書面に係る電磁的記録に記録されている事項の交付等を行うことができる。
 2  前項の規定により行われた交付等については、当該交付等を書面により行わなければならないとした交付等に関する法令の規定に規定する
書面により行われたものとみなして、当該交付等に関する法令の規定を適用する。
 とあり、
 これを受けた、国土交通省の所管する法令に係る民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則 (平成十七年三月二十九日国土交通省令第二十六号) 最終改正:平成二八年八月三一日国土交通省令第六三号
 「(法第六条第一項 の主務省令で定める交付等)
 第十条  法第六条第一項 の主務省令で定める
交付等は、別表第四の上欄に掲げる法令の同表の下欄に掲げる規定に基づく書面の交付等とする。
 とあり、

 別表第四 (第十条及び第十一条関係)
 (:関係していない項目は、省略しています)
マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則 第八十七条第五項 

 です。
 施行規則第88条は該当していませんから、管理組合Bの管理者の承諾を得た上で、当該報告書を電磁的方法により当該管理者に交付したは、適切ではありません。

 なお、施行規則第87条5項については、下の、選択肢3を参照してください。 


2 Aは、Bに管理者が置かれていないため、管理事務の報告のための説明会の開催に代えて、管理事務報告書をAの事務所に備え置き、Bの区分所有者等の求めに応じてこれを閲覧させた。

X 適切でない。 説明会は開くこと。
 平成23年 管理業務主任者試験 「問50」 、平成23年 マンション管理士試験 「問50」 

 設問のように今度は、「管理組合に管理者等が置かれていないとき」は、選択肢1で引用しましたマンション管理適正化法第77条2項
 「(管理事務の報告)
 2  マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に
管理者等が置かれていないときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。 」
 とあり、
 これを受けた政令は、施行規則第89条
 「第八十九条  マンション管理業者は、法第七十七条第二項 の規定により管理事務に関する報告を行うときは、
管理事務を委託した管理組合の事業年度の終了後、遅滞なく、当該期間における管理受託契約に係るマンションの管理の状況について前条各号に掲げる事項を記載した管理事務報告書を作成し、法第七十七条第二項 に規定する説明会を開催し、管理業務主任者をして、これを当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に交付して説明をさせなければならない。
 2  前項の説明会は、できる限り説明会に参加する者の参集の便を考慮して開催の日時及び場所を定め、管理事務の委託を受けた管理組合ごとに開催するものとする。
 3  マンション管理業者は、前項の説明会の開催日の一週間前までに説明会の開催の日時及び場所について、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等の見やすい場所に掲示しなければならない。

 とあり、
 施行規則第89条1項によれば、管理者が置かれていないときは、管理事務報告の説明会の開催は必要で、「管理事務の報告のための説明会の開催に代えて、管理事務報告書を業者Aの事務所に備え置き、管理組合Bの区分所有者等の求めに応じてこれを閲覧させた」は、適切ではありません。



3 Aは、毎月、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則(以下、「マンション管理適正化法施行規則」という。)第87条第5項に規定するBのその月の会計の収入及び支出の状況に関する書面を作成し、Bの管理者に交付していたことから、Bの事業年度に係る会計の収入及び支出の状況については管理事務の報告を行わなかった。  

X 適切でない。 毎月の交付と事業年度の報告は別。
 平成27年 管理業務主任者試験 「問48」選択肢4  、 平成24年 マンション管理士試験 「問48」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問49」 

 まず、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則(施行規則)第87条
 「(財産の分別管理)
 第八十七条  法第七十六条 の国土交通省令で定める財産は、管理組合又はマンションの区分所有者等から受領した管理費用に充当する金銭又は有価証券とする。
 2  法第七十六条 に規定する国土交通省令で定める方法は、次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該各号に定める方法とする。
     一  修繕積立金等が金銭である場合 次のいずれかの方法
       イ マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を収納口座に預入し、毎月、その月分として徴収された修繕積立金等金銭から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換え、当該保管口座において預貯金として管理する方法
       ロ マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金(金銭に限る。以下この条において同じ。)を保管口座に預入し、当該保管口座において預貯金として管理するとともに、マンションの区分所有者等から徴収された前項に規定する財産(金銭に限る。以下この条において同じ。)を収納口座に預入し、毎月、その月分として徴収された前項に規定する財産から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換え、当該保管口座において預貯金として管理する方法
       ハ マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を収納・保管口座に預入し、当該収納・保管口座において預貯金として管理する方法
       二  修繕積立金等が有価証券である場合 金融機関又は証券会社に、当該有価証券(以下この号において「受託有価証券」という。)の保管場所を自己の固有財産及び他の管理組合の財産である有価証券の保管場所と明確に区分させ、かつ、当該受託有価証券が受託契約を締結した管理組合の有価証券であることを判別できる状態で管理させる方法
 3  マンション管理業者は、前項第一号イ又はロに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、マンションの区分所有者等から徴収される一月分の修繕積立金等金銭又は第一項に規定する財産の合計額以上の額につき有効な保証契約を締結していなければならない。ただし、次のいずれにも該当する場合は、この限りでない。
     一  修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産がマンションの区分所有者等からマンション管理業者が受託契約を締結した管理組合若しくはその管理者等(以下この条において「管理組合等」という。)を名義人とする収納口座に直接預入される場合又はマンション管理業者若しくはマンション管理業者から委託を受けた者がマンションの区分所有者等から修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産を徴収しない場合
     二  マンション管理業者が、管理組合等を名義人とする収納口座に係る当該管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理しない場合
 4  マンション管理業者は、第二項第一号イからハまでに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、保管口座又は収納・保管口座に係る管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理してはならない。ただし、管理組合に管理者等が置かれていない場合において、管理者等が選任されるまでの比較的短い期間に限り保管する場合は、この限りでない。
 
5  マンション管理業者は、毎月、管理事務の委託を受けた管理組合のその月(以下この項において「対象月」という。)における会計の収入及び支出の状況に関する書面を作成し、翌月末日までに、当該書面を当該管理組合の管理者等に交付しなければならない。この場合において、当該管理組合に管理者等が置かれていないときは、当該書面の交付に代えて、対象月の属する当該管理組合の事業年度の終了の日から二月を経過する日までの間、当該書面をその事務所ごとに備え置き、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等の求めに応じ、当該マンション管理業者の業務時間内において、これを閲覧させなければならない。
 6  この条において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
     一  収納口座 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭又は第一項に規定する財産を預入し、一時的に預貯金として管理するための口座をいう。
     二  保管口座 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金を預入し、又は修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産の残額(第二項第一号イ若しくはロに規定するものをいう。)を収納口座から移し換え、これらを預貯金として管理するための口座であって、管理組合等を名義人とするものをいう。
     三  収納・保管口座 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を預入し、預貯金として管理するための口座であって、管理組合等を名義人とするものをいう。

 です。

 そこで、設問の「施行規則第87条第5項に規定するBのその月の会計の収入及び支出の状況に関する書面を作成し、Bの管理者に交付していたことから、Bの事業年度に係る会計の収入及び支出の状況については管理事務の報告を行わなかった。」ですが、
 施行規則第87条第5項は、毎月の会計の収入及び支出の状況に関する書面の作成を規定しているだけで、事業年度の事務の報告は、管理者がいる場合となると、選択肢1で引用しました、施行規則第88条
 (管理事務の報告)
 第八十八条  
マンション管理業者は、法第七十七条第一項 の規定により管理事務に関する報告を行うときは、管理事務を委託した管理組合の事業年度終了後、遅滞なく、当該期間における管理受託契約に係るマンションの管理の状況について次に掲げる事項を記載した管理事務報告書を作成し、管理業務主任者をして、これを管理者等に交付して説明をさせなければならない
     一  報告の対象となる期間
     二  管理組合の会計の収入及び支出の状況
     三  前二号に掲げるもののほか、管理受託契約の内容に関する事項

 の規定とは、別ですから、 管理組合Bの事業年度に係る会計の収入及び支出の状況については管理事務の報告を行わなかったは、適切ではありません。



4 Aの従業者である管理業務主任者Cは、管理事務の報告を行う際に、Bの管理者から提示を求められなかったが、携帯していた管理業務主任者証を提示した。  

〇 適切である。 管理業務主任者証は、提示が求められなくても、提示すること。
 平成16年 マンション管理士試験 「問50」

 管理事務の報告での、管理業務主任者証の提示は、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法第77条3項
 「(管理事務の報告)
 3  
管理業務主任者は、前二項の説明をするときは、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければならない
 とあり、
 業者Aの従業者である管理業務主任者Cは、管理事務の報告を行う際に、管理組合Bの管理者から提示を”
求められなかった”が、携帯していた管理業務主任者証を提示したは、適切です。


答え:4 

《タグ》マンション管理適正化法 + 同施行規則。 事務報告。 事業年度。管理業務主任者証の提示。

 マンション管理適正化法と同施行規則の関係は、必ず並行して記憶すること。参考書も並列(対照表のように)で書いてあるのがいい。

 ここは、易しい。


 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律 と 国土交通省の所管する法令に係る民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則 が抜けていたので、追記した。

問49

[問 49] マンション管理業者A(以下、本問において「A」という。)が、管理組合法人B(以下、本問において「B」という。)から委託を受けて、Bの修繕積立金等金銭の管理を行う場合に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法に違反するものはいくつあるか。  

ア Bを名義人とする収納口座と保管口座がある場合において、Aは、当該収納口座に係るBの印鑑を管理しつつ、マンション管理適正化法施行規則第87条第2項第1号イに定める方法により修繕積立金等金銭の管理を行っているが、Bの区分所有者等から徴収される1月分の修繕積立金等金銭の合計額以上の額につき保証契約を締結していない。  

X 違反する。 イ の方法では、収納口座名義が管理組合でも、管理組合の印鑑を管理すると、保証契約の締結が必要。
 平成24年 管理業務主任者試験 「問48」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問50」 、平成22年 管理業務主任者試験 「問13」 

 マンション管理適正化法施行規則第87条は前 「問48」 も参考にしてください。

 マンションの管理費や修繕積立金の管理を管理業者が行う場合については、マンション管理適正化法第76条
 「(財産の分別管理)
  第七十六条  マンション管理業者は、管理組合から委託を受けて管理する修繕積立金その他国土交通省令で定める財産については、
整然と管理する方法として国土交通省令で定める方法により、自己の固有財産及び他の管理組合の財産と分別して管理しなければならない
 とあり、
 これを受けて、マンション管理適正化法施行規則(以下、簡単に「施行規則」といいます)第87条(財産の分別管理)があります。
 この施行規則第87条の規定は、マンション管理業者が管理組合から預かった金銭を横領した事件が多発したことを受け、国土交通省がマンション管理業者に自社の財産と管理組合の財産を明確に分けて管理しなさいと指導するために、大幅に改正され、平成22年5月1日からの施行となっています。(この施行が5月と遅かったことを受け、平成22年のマンション管理士・管理業務主任者試験では、出題が「問題中法令に関する部分は、平成22年5月1日現在施行中の規定に基づいて出題されています」と例年なら4月1日なのに変更されていました。)


 では、施行規則第87条
 「(財産の分別管理)
 第八十七条  法第七十六条 の国土交通省令で定める財産は、管理組合又はマンションの区分所有者等から受領した管理費用に充当する金銭又は有価証券とする。
 2  法第七十六条 に規定する国土交通省令で定める方法は、次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該各号に定める方法とする。
     一  
修繕積立金等が金銭である場合 次のいずれかの方法
       
イ マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を収納口座に預入し、毎月、その月分として徴収された修繕積立金等金銭から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換え、当該保管口座において預貯金として管理する方法
       ロ マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金(金銭に限る。以下この条において同じ。)を保管口座に預入し、当該保管口座において預貯金として管理するとともに、マンションの区分所有者等から徴収された前項に規定する財産(金銭に限る。以下この条において同じ。)を収納口座に預入し、毎月、その月分として徴収された前項に規定する財産から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換え、当該保管口座において預貯金として管理する方法
       ハ マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を収納・保管口座に預入し、当該収納・保管口座において預貯金として管理する方法

     二  修繕積立金等が有価証券である場合 金融機関又は証券会社に、当該有価証券(以下この号において「受託有価証券」という。)の保管場所を自己の固有財産及び他の管理組合の財産である有価証券の保管場所と明確に区分させ、かつ、当該受託有価証券が受託契約を締結した管理組合の有価証券であることを判別できる状態で管理させる方法
 
3  マンション管理業者は、前項第一号イ又はロに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、マンションの区分所有者等から徴収される一月分の修繕積立金等金銭又は第一項に規定する財産の合計額以上の額につき有効な保証契約を締結していなければならない。ただし、次のいずれにも該当する場合は、この限りでない。
     一  修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産がマンションの区分所有者等からマンション管理業者が受託契約を締結した管理組合若しくはその管理者等(以下この条において「管理組合等」という。)を名義人とする収納口座に直接預入される場合又はマンション管理業者若しくはマンション管理業者から委託を受けた者がマンションの区分所有者等から修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産を徴収しない場合
     二  マンション管理業者が、管理組合等を名義人とする収納口座に係る当該管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理しない場合
 
4  マンション管理業者は、第二項第一号イからハまでに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、保管口座又は収納・保管口座に係る管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理してはならない。ただし、管理組合に管理者等が置かれていない場合において、管理者等が選任されるまでの比較的短い期間に限り保管する場合は、この限りでない。
 5  マンション管理業者は、毎月、管理事務の委託を受けた管理組合のその月(以下この項において「対象月」という。)における会計の収入及び支出の状況に関する書面を作成し、翌月末日までに、当該書面を当該管理組合の管理者等に交付しなければならない。この場合において、当該管理組合に管理者等が置かれていないときは、当該書面の交付に代えて、対象月の属する当該管理組合の事業年度の終了の日から二月を経過する日までの間、当該書面をその事務所ごとに備え置き、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等の求めに応じ、当該マンション管理業者の業務時間内において、これを閲覧させなければならない。
 6  この条において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
     一  
収納口座 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭又は第一項に規定する財産を預入し、一時的に預貯金として管理するための口座をいう。
     二  
保管口座 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金を預入し、又は修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産の残額(第二項第一号イ若しくはロに規定するものをいう。)を収納口座から移し換え、これらを預貯金として管理するための口座であって、管理組合等を名義人とするものをいう。
     三  
収納・保管口座 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を預入し、預貯金として管理するための口座であって、管理組合等を名義人とするものをいう。
 とあり、
 設問は、施行規則第87条2項に規定される(イ)、(ロ)、(ハ)に関する問題ですが、その前に、施行規則第87条6項にあります、@収納口座、 A保管口座、 B収納・保管口座 とは何かを理解する必要があります。
 各口座の内容は、上の条文がありますが、解説します。

 

 @収納口座とは...マンションの区分所有者等から集める「管理費」や「修繕積立金」が一時的に預けられる口座。この収納口座の名義は管理組合でも管理業者でもいい
 A保管口座とは...マンションの区分所有者等から集める「修繕積立金」だけが預けられる口座。
   ・直接、区分所有者から振り込まれる場合 と
   ・収納口座から、管理事務費用を除いて、保管口座に移される場合 がある。
    
保管口座の名義は、絶対に、管理組合であること
    管理業者名義では、安心できない。
 B収納・保管口座とは...
管理組合名義の口座で、マンションの区分所有者等から直接、「管理費」と「修繕積立金」が預けられる口座
 です。


 そして、設問の、マンション管理適正化法施行規則第87条第2項第1号イ に定める方法とは、
 「イ マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を収納口座に預入し、毎月、その月分として徴収された修繕積立金等金銭から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換え、当該保管口座において預貯金として管理する方法
です。


 

 この施行規則第87条第2項第1号イ(または ロ 方法も) 方法による場合では、収納口座の名義が管理業者名義でも可能となっています。
 それでは、管理業者が倒産した場合に、収納口座にある金銭全てが管理業者の物として、差押えられて、本当は管理組合の金銭であっても回収できない事態が起こりました。
 この事態に対応する規定が、
保証契約の締結として、施行規則第87条3項にあります。
 「3  
マンション管理業者は、前項第一号イ又はロに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、マンションの区分所有者等から徴収される一月分の修繕積立金等金銭又は第一項に規定する財産の合計額以上の額につき有効な保証契約を締結していなければならない。ただし、次のいずれにも該当する場合は、この限りでない。
     一  修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産がマンションの区分所有者等からマンション管理業者が受託契約を締結した管理組合若しくはその管理者等(以下この条において「管理組合等」という。)を名義人とする収納口座に直接預入される場合又はマンション管理業者若しくはマンション管理業者から委託を受けた者がマンションの区分所有者等から修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産を徴収しない場合
     二  マンション管理業者が、管理組合等を名義人とする収納口座に係る当該管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理しない場合

 です。


 

  原則として、イ 又は ロ の方法で管理費や修繕積立金の管理をする場合、管理業者はマンションの区分所有者等から徴収される一月分の修繕積立金等金銭又は第一項に規定する財産(管理費用に充当する金)の合計額以上の額につき有効な保証契約を締結することが義務付けられていますが、保証契約が不要な場合もあります。
 それは、
  @収納口座の名義が管理組合名義の場合 又は 管理業者が管理費や修繕積立金を徴収しない場合
  A収納口座の名義が管理組合名義で、管理組合の印鑑やキャシュ・カードなどを管理していない場合
 の@Aの両方に該当する場合なら保証契約を締結しなくても構いません。1つだけでは、保証契約を締結しなければなりません。

 そこで、設問は、収納口座の名義人は管理組合ですが、管理業者Aは、当該収納口座に係る管理組合Bの印鑑を管理しているとなると、これは、保証契約を締結しなければなりませんから、違反します。



イ Bを名義人とする収納口座と保管口座がある場合において、Aは、当該収納口座に係るBの印鑑を管理しつつ、マンション管理適正化法施行規則第87条第2項第1号ロに定める方法により修繕積立金等金銭の管理を行っているが、Bの承諾を得て、Bの収納口座に預入された管理費用に充当する金銭のうち、その月分として徴収されたものから当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、保管口座に移し換えずに、そのまま3月間当該収納口座で管理している。

X 違反する。 収納口座から保管口座への移し換えは、翌月末日までに行うこと。
 
 マンション管理適正化法施行規則第87条第2項第1号ロに定める方法とは、選択肢アで引用しています
ロ マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金(金銭に限る。以下この条において同じ。)を保管口座に預入し、当該保管口座において預貯金として管理するとともに、マンションの区分所有者等から徴収された前項に規定する財産(金銭に限る。以下この条において同じ。)を収納口座に預入し、毎月、その月分として徴収された前項に規定する財産から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、
翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換え、当該保管口座において預貯金として管理する方法
 です。


 

 ロに定める方法なら、収納口座から管理事務に要した費用を控除した残額は、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換えなければなりませんから、例え、管理組合Bの承諾を得ていても、保管口座に移し換えずに、そのまま"3月間当該収納口座で管理している"は、違反します。


ウ Bを名義人とする収納・保管口座がある場合において、Aは、マンション管理適正化法施行規則第87条第2項第1号ハに定める方法により修繕積立金等金銭の管理を行っているが、Bの依頼を受けて、当該収納・保管口座の通帳を管理している。

〇 違反しない。 通帳だけでは、お金はおろせない。

 平成27年 マンション管理士試験 「問48」 、平成24年 管理業務主任者試験 「問48」 、平成24年 マンション管理士試験 「問48」 
 

 マンション管理適正化法施行規則第87条第2項第1号ハに定める方法とは、選択肢アで引用しています
 「ハ マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を収納・保管口座に預入し、当該収納・保管口座において預貯金として管理する方法

  です。


 ハの方法では、収納・保管口座は、管理組合の名義でなければなりません。
 そこで、設問の「収納・保管口座の通帳を管理業者が管理している」は、施行規則第87条4項
 「4  マンション管理業者は、第二項第一号イからハまでに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、保管口座又は収納・保管口座に係る管理組合等の
印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理してはならない。ただし、管理組合に管理者等が置かれていない場合において、管理者等が選任されるまでの比較的短い期間に限り保管する場合は、この限りでない。
 とあり、

 
 
 ハの方法なら、「収納・保管口座に係る管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理してはならない」とありますが、これは、管理業者が管理組合の預貯金を自らの裁量で払い出すことを禁止することが目的です。そこで、設問の「管理組合Bの依頼を受けて、当該収納・保管口座の通帳を管理している」は、通帳だけでは、預金は引き出すことができませんから、違反しません。


エ Aが、Bの修繕積立金等金銭を一時的に預貯金として管理するために、Aを名義人とする収納口座がある場合において、Aは、Bの区分所有者等から徴収される2月分の修繕積立金等金銭の合計額につき保証契約を締結し、当該収納口座に係る印鑑及び預貯金の引出用カードを管理している。  

〇 違反しない。 保証契約があれば、印鑑及び預貯金の引出用カードを管理できる。

 管理費や修繕積立金を管理業者Aの口座名義とする収納口座で一時的に預貯金として管理するなら、選択肢ア 及び 選択肢ウ でも説明しました、施行規則第87条4項
 「4  マンション管理業者は、第二項第一号イからハまでに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、保管口座又は収納・保管口座に係る管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理してはならない。ただし、管理組合に管理者等が置かれていない場合において、管理者等が選任されるまでの比較的短い期間に限り保管する場合は、この限りでない。
 とあり、
 保管口座又は収納・保管口座であれば、管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理してはなりませんが、管理業者Aが名義人の収納口座で、施行規則第87条3項の保証契約の締結があれば、当該収納口座に係る印鑑及び預貯金の引出用カードを管理することは違反しません。




 参考:施行規則第87条3項
 「3  マンション管理業者は、前項第一号イ又はロに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、マンションの区分所有者等から徴収される一月分の修繕積立金等金銭又は第一項に規定する財産の合計額以上の額につき有効な保証契約を締結していなければならない。ただし、次のいずれにも該当する場合は、この限りでない。
 (以下、略)」


    1 一つ  
    2 二つ  
    3 三つ  
    4 四つ

答え:2 違反するものは、ア と イ の2つ。

《タグ》マンション管理適正化法。 マンション管理適正化法施行規則第87条。分別管理。 収納口座。保管口座。収納・保管口座。

*ある受験生の感想:問46から問50の5問免除問題に関しては1問は難しめのものがでるので今回は問49がそれかなと感じた。他の4問は易しいのでとりこぼすと厳しいと思った。
 
 香川コメント:確かに、この出題内容で、しかも、個数問題とは、正解が難しい。
         かなり詳細に解説をしたので、5時間以上かかった。 

問50

[問 50] マンション管理業者A(以下、本問において「A」という。)が、管理組合から管理事務を受託する際に、マンション管理適正化法第72条の規定に基づく重要事項の説明を行う場合に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定に違反するものはどれか。  
 
1 Aは、人の居住の用に供する独立部分(区分所有法第1条に規定する建物の部分をいう。)の数が5戸であるマンションの管理組合Bと管理受託契約を新たに締結しようとするときに、重要事項の説明会を開催したが、管理業務主任者ではないAの事務所の代表者をして重要事項について説明をさせた。

〇 違反しない。 居住部分が5以下のマンションなら、管理業務主任者に代えて、他の人が事務を行える。
 重要事項説明からの出題は、 平成28年 マンション管理士試験 「問49」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問49」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問47」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問49」 、平成20年 管理業務主任者試験 「問49」 、 平成17年 管理業務主任者試験 「問48」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「問49」  など 多い。 

 まず、管理業務主任者が行う重要事項の説明は、マンション管理適正化法第72条
 「(重要事項の説明等)
 第七十二条  マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約(新たに建設されたマンションの当該建設工事の完了の日から国土交通省令で定める期間を経過する日までの間に契約期間が満了するものを除く。以下「管理受託契約」という。)を締結しようとするとき(次項に規定するときを除く。)は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等に対し、管理業務主任者をして、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるもの(以下「重要事項」という。)について説明をさせなければならない。この場合において、マンション管理業者は、当該説明会の日の一週間前までに、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に対し、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を交付しなければならない。
 2  マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、あらかじめ、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面を交付しなければならない。
 3  前項の場合において当該管理組合に管理者等が置かれているときは、マンション管理業者は、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、重要事項について、これを記載した書面を交付して説明をさせなければならない。
 4  管理業務主任者は、第一項又は前項の説明をするときは、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければならない。
 5  マンション管理業者は、第一項から第三項までの規定により交付すべき書面を作成するときは、管理業務主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない。

 です。
 マンション管理適正化法第72条1項によれば、マンションの管理業者と管理組合が管理受託契約を締結する際には、その契約内容が複雑なので、トラブルを防ぐために、管理業者は事前にマンションの区分所有者や理事長に対して重要と思われる事項について、管理業務主任者から説明をさせることになっています。


 では、管理業務主任者の設置は、同法第56条
 「(管理業務主任者の設置)
 第五十六条  
マンション管理業者は、その事務所ごとに、事務所の規模を考慮して国土交通省令で定める数の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならないただし、人の居住の用に供する独立部分(区分所有法第一条 に規定する建物の部分をいう。以下同じ。)が国土交通省令で定める数以上である第二条第一号イに掲げる建物の区分所有者を構成員に含む管理組合から委託を受けて行う管理事務を、その業務としない事務所については、この限りでない
 2  前項の場合において、マンション管理業者(法人である場合においては、その役員)が管理業務主任者であるときは、その者が自ら主として業務に従事する事務所については、その者は、その事務所に置かれる成年者である専任の管理業務主任者とみなす。
 3  マンション管理業者は、第一項の規定に抵触する事務所を開設してはならず、既存の事務所が同項の規定に抵触するに至ったときは、二週間以内に、同項の規定に適合させるため必要な措置をとらなければならない。

 とあり、
 これを受けた政令は、施行規則第61条及び第62条
 「(法第五十六条第一項 の国土交通省令で定める管理業務主任者の数)
  第六十一条  法第五十六条第一項 の国土交通省令で定める管理業務主任者の数は、マンション管理業者が管理事務の委託を受けた
管理組合の数を三十で除したもの(一未満の端数は切り上げる。)以上とする。
 「(法第五十六条第一項 の国土交通省令で定める人の居住の用に供する独立部分の数)
  第六十二条  
法第五十六条第一項 の国土交通省令で定める人の居住の用に供する独立部分の数は、六とする
 とあり、
 管理業者として、設置が必要な「成年者である専任の管理業務主任者の数」は、
 @管理事務の委託を受けた
管理組合数 30組合 につき 1人以上
 A
ただし、委託を受けた管理組合で、人の居住の用に供する独立部分(専有部分)が5以下なら、除く
 となります。

 
 これらより、設問の「人の居住の用に供する独立部分(区分所有法第1条に規定する建物の部分をいう。)の数が5戸であるマンションの管理組合Bと管理受託契約を新たに締結しようとするときに、重要事項の説明会を開催した」は、違反しません。
 その際に、「
管理業務主任者ではないAの事務所の代表者をして重要事項について説明をさせた」も、人の居住の用に供する独立部分が5戸なら、施行規則第62条により、管理業務主任者の設置も不要ですから、違反しません。

   2022年 7月25日:追記:マンション管理の適正化の推進に関する法律第78条
 「(管理業務主任者としてすべき事務の特例)
  第七十八条 マンション管理業者は、第五十六条第一項ただし書に規定する管理事務以外の管理事務については、管理業務主任者に代えて、当該事務所を代表する者又はこれに準ずる地位にある者をして、管理業務主任者としてすべき事務を行わせることができる。

 により、該当の場合、管理業務主任者がいないので、特例として「当該事務所を代表する者又はこれに準ずる地位にある者」が重要事項の説明を行うことができるので、違反しない。


2 Aは、管理受託契約の更新について、管理者の置かれていない管理組合Cに申し出たが、当該管理受託契約の有効期間が満了する日までに更新に関する協議がととのう見込みがなかったため、当該管理受託契約と契約内容が同一で契約期間を3月間に短縮した暫定契約を締結することとしたが、区分所有者の全員に対し重要事項を記載した書面を交付したのみで、重要事項の説明会を開催しなかった。

〇 違反しない。 従前の管理受託契約と同一の条件なら、全員への交付でよく、説明会は不要。


 管理受託契約と契約内容が同一なら、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法第72条2項
 「2  
マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、あらかじめ、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面を交付しなければならない
 とあり、
 従前の管理受託契約と同一の条件で、管理受託契約を更新しようとするときは、管理者の置かれていない場合には、区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面を交付すればよく、説明会の開催は不要です。
 では、従前の管理受託契約と同一の条件とは、何でしょうか。曖昧ですね。
 そこで、国土交通省から、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律第72条 に規定する重要事項の説明等について」 
      国総動第309号 平成14年2月28日 国土交通省総合政策局不動産業課長 発 が出ています。

 それによると、
  「5 「従前の管理受託契約と同一の条件」について
    法第72条第2項に規定する「同一の条件」には、施行通達第二3(1)ハの「マン ション管理業者の商号又は名称、登録年月日及び登録番号」の変更に加え、以下に関しての契約内容の軽微な変更も含むものであること。
   (1)従前の管理受託契約と管理事務の内容及び実施方法(法第76条の規定により 管理する財産の管理の方法を含む。以下同じ)を同一とし、管理事務に要する費用の額を減額しようとする場合
   (2)従前の管理受託契約に比して管理事務の内容及び実施方法の範囲を拡大し、管理事務に要する費用の額を同一とし又は減額しようとする場合
   (3)従前の管理受託契約に比して管理事務に要する費用の支払いの時期を後に変更 (前払いを当月払い若しくは後払い、又は当月払いを後払い)しようとする場合
   
(4)従前の管理受託契約に比して更新後の契約期間を短縮しようとする場合
   (5)管理事務の対象となるマンションの所在地の名称が変更される場合」
 とあり、

 設問の「当該管理受託契約と契約内容が同一で契約期間を3月間に短縮した暫定契約」は、従前の管理受託契約と同一の条件に該当します。
 そこで、設問の場合、区分所有者の全員に対し重要事項を記載した書面を交付したのみで、重要事項の説明会を開催しなかったは、違反しません。



3 Aは、契約期間を3月間とする暫定契約を、管理者の置かれている管理組合Dと締結していたが、その後、当該暫定契約の有効期間が満了する日までに管理組合Dとの協議をととのえ、あらためて当該暫定契約前の契約と、契約内容及び契約期間1年間を同一とする管理受託契約を締結することとしたが、区分所有者及び管理者の全員に対し重要事項を記載した書面を交付したのみで、重要事項の説明会を開催しなかった。

X 違反する? この場合の暫定契約は、管理受託契約と同一ではない。

 設問が下手で、どうも内容が把握できませんが、多分、
  ・新築のマンションなので、期間3カ月の管理事務を受託する”暫定契約”を、管理業者は管理者の置かれている管理組合Dと締結した。
  ・新築なら、まだ、そのマンションには、売れていない空き部屋や引っ越しのない部屋もありますから、マンション管理適正化法第72条1項かっこ書きにより、建設工事の完了の日から”
1年”までを経過する日までに契約期間が満了する管理事務の委託を受ける契約なら、重要事項の説明会などは、不要です。(”1年”は、施行規則第82条参照)
  ・そこで、その暫定契約の契約期間が終了する前に、内容を検討したが、暫定契約のまま、契約期間を1年とする管理受託契約を締結することにした。
 ということでしょう。
 この場合の暫定契約が、マンション管理適正化法第72条2項の「
従前と同一の条件での契約の更新」に該当するか、どうかを聞いているようです。

 それでは、マンション管理適正化法第72条を検討しましょう。
 「
(重要事項の説明等)
 第七十二条  マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約(
新たに建設されたマンションの当該建設工事の完了の日から国土交通省令で定める期間を経過する日までの間に契約期間が満了するものを除く。以下「管理受託契約」という。)を締結しようとするとき(次項に規定するときを除く。)は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等に対し、管理業務主任者をして、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるもの(以下「重要事項」という。)について説明をさせなければならない。この場合において、マンション管理業者は、当該説明会の日の一週間前までに、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に対し、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を交付しなければならない。

 とありますから、
 当初の暫定契約は、マンション管理適正化法第72条1項で規定する”管理受託契約”から除かれていますので、当然に、設問の「あらためて当該暫定契約前の契約と、契約内容及び契約期間1年間を同一とする管理受託契約を締結すること」は、マンション管理適正化法第72条2項で規定する、「従前と同一の条件での契約の更新」には該当せず、
新規の管理受託契約と同じ扱いになります
 そこで、新規の管理受託契約と同じ扱いなら、区分所有者及び管理者の全員に対して、重要事項を記載した書面を交付し、説明会を開催し、管理業務主任者が、重要事項の説明をしなけばならず、重要事項の説明会を開催しなかったは、違反します。



4 Aは、管理受託契約の更新について、管理組合法人Eに申し出て、従前の管理受託契約と同一の条件で契約を更新することとなったが、区分所有者及び理事の全員に対し重要事項を記載した書面を交付する際に、専任ではない管理業務主任者をして当該書面に記名押印をさせた。

〇 違反しない。 重要事項を記載した書面の記名押印者は、管理業務主任者であればよく、特に”専任”でなくてもいい。

 従前の管理受託契約と同一の条件で契約を更新することとなったは、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法第72条2項及び同3項
 「2  マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、あらかじめ、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面を交付しなければならない。
 3  前項の場合において当該管理組合に管理者等が置かれているときは、マンション管理業者は、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、重要事項について、これを記載した書面を交付して説明をさせなければならない。

 とあり、

 設問の前半、「区分所有者及び管理組合法人Eの理事の全員に対し重要事項を記載した書面を交付」
 は違反しません。
 では、「重要事項を記載した書面」の記名押印は、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法第72条5項
 「(重要事項の説明等)
 第七十二条
  5  
マンション管理業者は、第一項から第三項までの規定により交付すべき書面を作成するときは、管理業務主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない
 とあり、
 重要事項を記載した書面の記名押印者は、管理業務主任者であればよく、特に”専任”でなくてもできますから、違反しません。



答え:3 まったく、設問が拙いが。

《タグ》 マンション管理適正化法第72条。 重要事項の説明会。管理業務主任者の業務。 従前と同一の条件。 記名押印。

 香川コメント:ここも、選択肢3の設問が酷くて、解説に時間がかかった。


 *2017年 2月24日:再考して、リンクや体裁もチェックした。


 *2017年 2月 6日:どうやら、これで、平成28年度の「マンション管理士・管理業務主任者試験」の解説が一応終わった。

 これから、再度、マンション管理士試験解説を見直し、リンクなど入れて行きます。

 校正ミスなど、お気づきの点があれば、 「マンション管理士 香川事務所」 まで、お気軽に連絡ください。

ここまで、問50


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2022年 7月25日:問50 選択肢1に追記した。
2017年 7月14日:問45 選択肢2「任意」を訂正した。
2017年 2月24日:再考終わった。
2017年 2月 6日:第1稿終了。
解説に1ヵ月もかかっている!
解説開始:2017年 1月 7日〜
問題文Up:2016年12月12日

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