平成29年(2017年) マンション管理士 試験問題 及び 解説
ページ1(問1より問25まで)
建物の区分所有等に関する法律(以下、当解説では、「区分所有法」といいます)では、法律用語として「マンション」の定義がありません。しかし、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、当解説では、「マンション管理適正化法」といいます)第2条では、以下のように定義されていますので、マンションの用語を試験で使用する際にはこのような「マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号イに規定するマンションをいう」の表現が使用されます。
そこで、マンション管理適正化法第2条とは、
「(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
一 マンション 次に掲げるものをいう。
イ 二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項 に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項 に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設」
です。マンション管理適正化法第2条1号イによれば、「マンション」であるための要件は、
@2人以上の区分所有者 がいて、
A人の居住用の専有部分が1つでもあればいい
です。マンションの建物には、専有部分と共用部分しかなく、そして、マンションは専有部分と共用部分を含んだ建物と敷地及び附属施設の全体的なものであることに注意してください。
※ ・マンション標準管理委託契約書は、平成30年3月9日付で24条に「反社会勢力の排除」などの改正があり、平成30年度の試験から出題適用となるので注意のこと。
・マンション標準管理規約は、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があり、平成30年度の試験から出題適用となるので注意のこと。
・マンションの管理の適正化に関する指針(国土交通省告示第490号)及びマンション標準管理規約は、平成28年3月14日付で大幅な改正があった。
・マンション標準管理委託契約書は、平成28年7月に改正があり、平成29年度の試験から出題適用となるので注意のこと。
・マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
・マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。
〔問 1〕 区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体(この問いにおいて「3条の団体」という。)に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。 |
問2 |
〔問 2〕 甲マンション101 号室の所有権がAからBに移転した場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び標準管理規約によれば、正しいものはどれか。 このような設問では、問題用紙に下のような図を書くといいでしょう。 |
問3 |
〔問 3〕 Aは、その所有する甲マンションの2階202 号室について、上階の排水管から発生した水漏れによって被害を受けたことを理由に、損害賠償を請求することにした。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法(明治29年法律第89
号)の規定によれば、誤っているものはどれか。 |
〔問 4〕 管理者の職務に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。 |
問5 |
〔問 5〕 集会の招集に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものの組合せはどれか。 |
問6 |
〔問 6〕 甲マンション301 号室の区分所有者Aが、専有部分をBに賃貸している場合の次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。 ア 規約を変更し専有部分を居住目的以外には使用禁止とすることについて集会で決議する場合、301号室を事務所として使用しているBは、利害関係を有するとして集会に出席して当該規約変更に関する意見を述べることはできない。 X 誤っている。 事務所使用を居住専用とするのは利害関係があるので、賃借人は集会で意見を述べられる。 平成29年 管理業務主任者試験 「問29」 、 平成28年 管理業務主任者試験 「問38」、 平成26年 マンション管理士試験 「問30」、 平成25年 マンション管理士試験 「問3」 など。 正当な占有者である賃借人Bであれば、集会の会議の目的が今まで事務所として使用していた部屋が、規約の変更で、これからは住居専用へとなると使用できなくなり、多いに気になります。 そのような場合は、救済策として区分所有法第44条1項 「(占有者の意見陳述権) 第44条 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができる。 2 前項に規定する場合には、集会を招集する者は、第35条の規定により招集の通知を発した後遅滞なく、集会の日時、場所及び会議の目的たる事項を建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。」 とあります。 そこで、区分所有法第44条1項での”利害関係を有する場合”とはなにかです。 区分所有法第33条2項の規約閲覧でも同様の規定がありますが、この区分所有法第44条での利害関係も建物の利用方法などの法律上の利害関係を意味し、事実上の利害関係は含みません。 従って、当該議案が可決される場合にのみ、自己の権利を制限または義務を発生・増大することになる占有者に集会の出席権と意見陳述権が認められることになりますから、専有部分の使用方法の変更、例えば、事務所として使用できたのが住宅専用になる場合や、ペットの飼育の禁止・承認などが利害関係を有する場合に該当しますが、具体的には個々に判断されることになります。 ということで、規約を変更し専有部分を居住目的以外には使用禁止とすることについて集会で決議する場合、301号室を事務所として使用している賃借人Bは、利害関係を有するとして集会に出席して当該規約変更に関する意見を述べることができますから、誤りです。 イ 共用部分に係る大規模修繕工事の負担金増額について集会で決議する場合、Bは利害関係を有するとして集会に出席して当該決議に関する意見を述べることはできない。 〇 正しい。 負担金の増額は、賃借人には利害関係がないので、出席できず、意見を述べられない。 選択肢アで説明しましたように、区分所有法第44条1項での「利害関係を有する場合」の解釈ですが、管理費の増額や大規模な修繕・修理の決定などについては、賃料値上げの可能性はありますが、それは、賃貸人(大家)との関係を挟むため間接的な影響であり、賃借人には利害関係がないと判断されていますので、賃借人Bは集会に出席して当該決議に関する意見を述べることはできませんから、正しい。 ウ 規約を変更し毎月の管理費を増額することについて集会で決議する場合、管理費相当分を負担しているBは、利害関係を有するとして集会に出席して当該規約変更に関する意見を述べることができる。 X 誤っている。 例え賃借人が管理費を負担していても、利害関係はない。 選択肢イでも述べましたが、管理費が値上げされれば、賃貸借契約上の賃料増額の1つの原因となりえますが、これは経済的な因果関係で、本来は賃貸人(大家)である区分所有者との協議が間に挟むためその影響も間接的という理由で、この場合には利害関係が認められませんから、賃借人Bは、利害関係を有するとして集会に出席して当該規約変更に関する意見を述べることができず、誤りです。 エ 規約を変更しペットの飼育を禁止することについて集会で決議する場合、301 号室でペットを飼育しているBは、利害関係を有するとして集会に出席して当該規約変更に関する意見を述べることができる。 〇 正しい。 ペットの飼育禁止なら、賃借人も利害関係がある。 選択肢アで説明しましたように、今までペットの飼育が認められたのが、禁止となるとこれは、賃借人にとっても多いに利害関係がありますから、ペットを飼育している賃借人Bは、利害関係を有するとして集会に出席して当該規約変更に関する意見を述べることができますから、正しい。 1 一つ 2 二つ 3 三つ 4 四つ 答え:2 正しいのは イ と エ の2つ。 前問の個数問題といい、いくつあるかとは、適切な出題方法でない! かなり易しい問題ですが。 《タグ》区分所有法 集会、占有者、利害関係、意見陳述 |
〔問 7〕 管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。 |
〔問 8〕 集会の決議及び規約の定めに関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。 |
〔問 9〕 議決権及び共用部分の持分割合が等しいA、B、C及びDの区分所有者からなる甲マンションにおいて、地震によって建物価格の2分の1を超える部分が滅失したために、集会で滅失した共用部分の復旧が議案とされ、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議がなされた(決議では、A、B及びCは決議に賛成し、Dは決議に賛成しなかった)。この場合の区分所有者の買取請求権行使に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、その決議の日から2週間以内に買取指定者の指定がなされなかったものとする。 |
〔問 10〕 一団地内に下図のとおり、専有部分のある建物であるA棟、B棟及び附属施設である集会所が存在し、A棟及びB棟の団地建物所有者が土地及び附属施設である集会所を共有している。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。 |
〔問 11〕 大規模な火災、震災その他の災害で政令で定めるものにより区分所有建物の全部が滅失した場合における被災区分所有建物の敷地に関する次の記述のうち、民法及び被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(平成7年法律第43
号)の規定によれば、誤っているものはどれか。 5分の1を超える議決権者が、再建にも敷地売却にも反対していれば、再建決議も敷地売却決議(5分の4以上の賛成要。4条、9条参照)も成立できないため、もう共有物分割を禁止する意味がありません。 |
〔問 12〕 甲マンションの区分所有者Aが、管理組合(管理者B)に対し、管理費を滞納している場合における管理費債権の消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。 *解説者 香川の嘆き: 2018年 1月 3日にマンション管理士試験の「問25」まで終了し、サイトを確認したら、何と「問12」から下の部分が無くなっていた。 どこかで、HTMLの「TABLE」コマンドの操作ミスをして、「問12」以下が削除されたようだ。 そこで、また、2018年 1月 5日から、再び「問12」から解説を始めたが、民法での詳細な解説や出題ミスがあった建築基準法の「問21」の改正理由、「問22」の水道法の歴史など、以前と同じテンションでやることに、かなり疲れています。 誰か、今後、私の「過去問題の解説」のサイトを引き継いでくれまませんか? 後継者を募集しています! 是非、「マンション管理士 香川事務所」 まで連絡ください! |
〔問 13〕 Aがその所有する甲マンションの101 号室をBに賃貸した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。 |
〔問 14〕 AとBとの間で、甲マンション707号室を代金2,000万円でAがBに売却する旨の契約(以下「本件売買契約」という。)が結ばれた。その後、Bは代金全額をAに支払ったが、Aは履行期を過ぎても同室をBに引き渡していない。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。 |
〔問 15〕 Aが所有する甲マンションの301号室に隠れた瑕疵(排水管の腐食)があった場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。 |
〔問 16〕 Aは、甲マンション206 号室を購入する際にB銀行から購入資金を借り受け、これを担保する目的で同室にBのための抵当権を設定し、その旨の登記がなされた。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。 |
〔問 17〕 甲マンションの102 号室を所有するAが死亡し、Aの配偶者がB、Aの子がCのみ、Cの子がDのみである場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。 |
〔問 18〕 敷地権付き区分建物の登記等に関する次の記述のうち、不動産登記法(平成16 年法律第123号)、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。 |
〔問 19〕 マンション敷地売却組合(この問いにおいて「組合」という。)が施行するマンション敷地売却事業に関する次の記述のうち、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(平成14年法律第78号)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。 |
〔問 20〕 地域地区に関する次の記述のうち、都市計画法(昭和43 年法律第100号)の規定によれば、正しいものはどれか。 2018年 3月8日:追加情報: 都市計画法・建築基準法等 の改正 があり、平成30年4月1日施行で、「田園住居地域」という住居系の用途地域が創設され13番目に追加されます。(都市計画法第8条、第9条,、建築基準法第2条21号、第48条8項、別表第二など) 《タグ》都市計画法 特定用途制限地域 特定街区 高度利用地区 準都市計画区域 |
注:平成29年12月26日:試験を請け負っている 公益財団法人 マンション管理センターから 訂正文がでて、ここは、誤っているのが2つある。 〔問 21〕 建築基準法(昭和25 年法律第201号)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 *「問21」の出題ミスについて 追記: 2018年 1月15日: |
〔問 22〕 貯水槽水道に関する次の記述のうち、水道法(昭和32 年法律第177号)の規定によれば、誤っているものはどれか。 |
〔問 23〕 延べ面積1,000 m2以上で消防長(消防本部を置かない市町村においては、市町村長。以下同じ。)又は消防署長が火災予防上必要があると認めて指定している共同住宅(以下「甲住宅」という。)及び延べ面積1,000
m2未満の共同住宅(以下「乙住宅」という。)において、共同住宅の関係者(所有者、管理者又は占有者をいう。以下同じ。)が行う消防用設備等の点検等に関する次の記述のうち、消防法(昭和23
年法律第186号)の規定によれば、誤っているものはどれか。 |
〔問 24〕 マンションの照明設備における、防犯上の設計に関する次の記述のうち、「共同住宅に係る防犯上の留意事項及び防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針について」(平成13
年3月国土交通省通達)によれば、適切でないものはどれか。 |
注:標準管理規約(単棟型」)は以下、当解説では、「単棟型」を略して、「標準管理規約」といいます。 〔問 25〕 甲マンションの302号室の区分所有者Aが、断熱性の向上のために窓ガラスの改良を行いたい旨の工事申請書を管理組合の理事長に提出した。この場合の理事長の各々の対応に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。 |
ここまで、問25 |
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2018年 3月 8日;再度、見直し、「問17」など図も入れなおした。
2018年 3月 8日:都市計画法での、「田園住居地域」という住居系の用途地域も創設を「問20」に追加した。
2018年 1月12日:再度、第1稿Upした。
まったく、時間がかかる!
2018年 1月 4日:「問12」以降が無くっており、再作成に着手。
再び同じ内容でやるには、もううんざりだけど。
2018年 1月 3日:第1稿 作成
解説開始:2017年12月 3日