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平成26年 管理業務主任者 試験問題 及び 解説

ページ1(問1より問25まで)

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謝辞:問題文の作成には、水流様のご協力を得ています。
テキスト文への変更など、ご助力を心から感謝いたします。
     −「マンション管理士 香川事務所」より。


*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。
      → 2017年 4月11日:平成28年3月改正の標準管理規約に対応した。
 また、マンションの管理の適正化に関する指針も、平成28年3月に改正があり、解説においては、未対応ですから、注意してください。


※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。


*試験に臨んで、お節介なアドバイス
  1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
    殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
    そして、各選択肢を読み、○かXをつけます。
    問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。

  2.疑問な問題は、とりあえず飛ばす。
    回答の時間は限られています。
    そこで、回答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
    全部の回答が終わってから、再度戻って決定してください。

  3.複雑な問は、図を描く。
    甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
    この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。
    重要な点が分かってきます。

(出題者からの注意) 次の注意事項をよく読んでから、始めてください。
(注意)
1 これは試験問題です。問題は、1ページから34ページまで50問です。
2 試験の開始の合図と同時に、問題のページ数を確認してください。もし落丁や乱丁があった場合は、ただちに試験監督員に申し出てください。
3 解答は、別紙の解答用紙に記入してください。
4 正解は、各問題とも1つだけです。複数の解答をしたもの、判読が困難なものは、正解としません。
 解答は、解答用紙の注意事項をよく読み、所定の要領で記入してください。
5 問題中の法令等に関する部分は、平成26年4月1日現在で施行されている規定に基づいて出題されています。


解説者からのコメント:あやふやな出題、適切でない出題もあって、解答ができないのもあります。

※  マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
   マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。

問1

【問 1】 甲建物を所有するAが、同建物をBに売却する旨のAB間の契約(以下、本問において「本件契約」という。)を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 本件契約の締結後に、Aが、Cに甲建物を売却する旨の契約を締結し、Cに移転登記がなされた場合に、Cが、Aとの契約の締結時に本件契約があったことについて知っていたか、過失により知らなかったときには、Cは、甲建物の所有権の取得をBに主張することはできない。

X 誤っている。登記が優先する。 平成25年マンション管理士試験 「問12」平成25年 管理業務主任者試験 「問4」  平成20年管理業務主任者試験 「問6」、 平成20年マンション管理士試験 「問14」 など。
 まず、登場人物が多い時には、回答用紙の空いているところに、図を書いて確認してください。
 こんな感じです。


 

 AがB及びCと不動産の二重取引をして、後に取引をしたCが先に登記をした場合のC立場の問題です。
 民法では、1つの物を買ってしまった後の人たちの権利をどう処理するのかに苦労してきています。
 まず、売買契約は、契約した時に成立し、事実上の支配がなくてもその所有権(物権の1つです)は移転していると民法第176条は規定しています。
 「(物権の設定及び移転)
 第百七十六条  物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。

 しかし、この規定によりますと、設問のように1つの不動産が二重に売買されると、1つの物にも係わらず同じ権利を持つ者が2人もいるという事態になり、民法が原則としています、1つの物には、同じ内容の権利は1つしか成立しないという一物一権主義に反しておかしな状況となります。

 それでは2つある権利をどちらか1つだけを有効にするには何らかの形で優先順位を付けたらどうかという発想から、「先に登記をした方に権利を認めよう」としたのが、民法第177条です。
 
「(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
 第百七十七条  不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

 この民法第177条の規定により、二重譲渡は有効ですが、その権利を第三者に対して主張する(対抗するです)なら、登記がないとだめですよとしました。
 そこで、後から購入したCが既にAB間に売却の契約を知っていた、とか過失で知らなかったときにですが、不動産の取引においては、登記を優先して、その場合には、いろいろな状況を知っていたとか(悪意といいます)、過失で知らなかったとかは、問題にしないと解釈されています。
 そこで、先に登記を済ませたCは、甲建物の所有権の取得をBに主張することができますから、誤りです。



2 本件契約がAB間の通謀虚偽表示により締結され、移転登記がされた後に、Bが、Cに甲建物を売却する旨の契約をCとの間で締結し、移転登記がされた場合に、Cが、Bとの契約の締結時に、本件契約が通謀虚偽表示によることを知っていたときでも、Aは、本件契約の無効をCに主張することはできない。

X 誤っている。 通謀虚偽表示なら、知っている第三者には、主張できる。 平成22年管理業務主任者試験 「問6」、 平成20年管理業務主任者試験 「問2」平成17年管理業務主任者試験 「問2」 など。

 
 
 通謀虚偽表示(相手方と通じてした虚偽の意思表示)により締結され契約となると、民法第94条
 「(虚偽表示)
 第九十四条  相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
   2  前項の規定による意思表示の無効は、
善意の第三者に対抗することができない。 」 とあり、
 1項により、相手方と通謀して行った嘘の意思表示は無効です。
 しかし、その嘘の意思表示であっても、その後の取引をする人の保護も考える必要もありますから、2項で、「善意の第三者に対抗することができない」として、
最初に通謀して行った嘘の意思表示でも、それを知らない(善意といいます)人には、その無効を主張できない(対抗できない)としています。
 設問では、後から買ったCは、元々の契約が通謀して行った嘘の意思表示であることを知っていますから、2項の保護をうけず、AはCに対して、無効を主張できますから、誤りです。



3 本件契約がCのAに対する詐欺によって締結された場合に、Bが、本件契約の締結時にその詐欺の事実を知っていたときは、Aは、本件契約を取り消すことができる。

○ 正しい。詐欺での取り消しは、原則:善意の第三者に対抗することができないが、相手方が知っていれば、取消せる。 平成25年管理業務主任者試験 「問1」、 平成23年管理業務主任者試験 「問1」、 平成20年管理業務主任者試験 「問2」 など出題は多い。

 
 
 詐欺による取引となると、民法第96条
 「(詐欺又は強迫)
 第九十六条  
詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる
   2  
相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
   3  前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。」 
とあり、
 1項により、詐欺による意思表示は、取り消すことができますが、原則:詐欺があったことを知らない人には、取消してもその主張はできません。取引での保護です。それが3項に規定されています。 しかし、すべての人が保護されるわけではありません。その例外が2項にあります。つまり第三者が介在していて、その人の詐欺によって、本人と相手方とで契約を結んだときなどで、その相手方も詐欺があることを知っていれば、これは保護をすべきではありませんから、その場合には、2項によって、取消しができます。
 そこで、設問では、第三者であるCが詐欺をして、AB間の契約があり、相手方であるBがこの詐欺を知っていたとのことですから、民法第96条2項に該当し、正しい。



4 本件契約を締結するに当たり、Bが、甲建物を乙建物であると誤認して買い受けた場合には、Bは、自らが甲建物を乙建物であると思ったことについて重大な過失があるときでも、Bに移転登記がなされていない限り、本件契約の無効を主張することができる。

X 誤っている。 重要な部分に錯誤があれば無効を主張できるが、重大な過失があれば、無効を主張できない。 平成25年管理業務主任者試験 「問1」、 平成24年管理業務主任者試験 「問1」、 平成23年管理業務主任者試験 「問1」 など。
 Bが、甲建物を乙建物であると誤認して買い受けた場合は、錯誤の問題として、民法第95条
 「(錯誤)
 第九十五条  
意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。 」 とあり、
 甲建物を乙建物であると誤認したことは、法律行為の重要な部分(要素)での錯誤として、無効になるのですが、「ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない」とあるため、Bに移転登記がなされていなくても、Bは本件契約の無効を主張することができないため、誤りです。



答え:3  管理業務主任者試験での民法の基本です。でも、問題が複雑で図を描くだけでも時間がかかる。
       実際の試験場では、回答の時間は2時間と限られています。時間がかかりそうだと読み飛ばして、次の問題に移った方がいいでしょう。

《タグ》二重取引、登記、 通謀虚偽表示、詐欺、錯誤、 善意、 悪意。  民法

問2

【問 2】 マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年法律第149号。以下、「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号に規定するものをいう。以下同じ。)の管理組合A(以下、本問において「A」という。)が、マンション管理業者(マンション管理適正化法第2条第8号に規定する者をいう。以下同じ。)B(以下、本問において「B」という。)の代理人と称するCとの間で管理委託契約(以下、本問において「本件契約」という。)を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。なお、CはBから代理権を与えられていなかったものとする。

1 Bが、本件契約について、Cに対して追認したときは、Cは、当然に本件契約をAに対抗することができる。

X 誤っている。 追認は、契約の相手方にしないと、対抗できない。 平成17年マンション管理士試験 「問13」、 平成16年管理業務主任者試験 「問1」。
 
 

 代理権がないのに代理人としてなされた行為は、無権代理行為です。
 その無権代理人に対して最初から代理権があったとする追認は、民法第113条
 「(無権代理)
 第百十三条  代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
   2  
追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。 」 とあり、
 2項によると、原則:無権代理人Cが行った契約を追認して効力を生じさせるには、本人(マンション管理業者B)が契約の相手方(管理組合A)に対してしなければならないとあり、また、契約の相手方(管理組合A)が、追認の事実を知れば、契約の効力が生じますが、何れにせよ、単に、マンション管理業者Bが、本件契約について、無権代理人Cに対して追認しても、相手方に対して効力を持つには条件があり”当然”には、この契約が効力を持つとは、主張できませんから、誤りです。



2 Aは、Bに対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができるが、この場合において、Bがその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。

○ 正しい。 平成25年管理業務主任者試験 「問11」
 
無権代理人の行為は、選択肢1で説明しましたように、本人であるマンション管理業者Bが追認をすることで効力を生じますが、無権代理と知った相手方から、本人に対して、催告をして、追認するかどうか聞くことができます。それが、民法第114条
 「(無権代理の相手方の催告権)
 第百十四条  前条(注:第113条、選択肢1を参照)の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。
この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。 」 です。
 この民法第114条によると、管理組合Aは、本人であるマンション管理業者Bに対して、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができ、その期間内にマンション管理業者Bが確たる答えをしないと、追認は拒絶したものとみなされますから、正しい。



3 Aは、本件契約の締結の時においてCが代理権を有しないことを知らなかったときは、Bの追認がない間は、本件契約を取り消すことができる。

○ 正しい。 
 
代理権のない者がした契約は、民法第115条
 「(無権代理の相手方の取消権)
 第百十五条  
代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる。ただし、契約の時において代理権を有しないことを相手方が知っていたときは、この限りでない。」 とあり、
  管理組合Aは、本件契約の締結の時において代理人Cが代理権を有しないことを知らなかった(善意)ので、マンション管理業者Bの追認がない間は、本件契約を取り消すことができるので、正しい。



4 Bの追認は、別段の意思表示がないときは、第三者の権利を害さない範囲で本件契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。

○ 正しい。 
 
追認の効果は、民法第116条
 「(無権代理行為の追認)
 第百十六条  
追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。」 とあり、
 
マンション管理業者Bの追認は、別段の意思表示がないときは、第三者の権利を害さない範囲で本件契約の時にさかのぼってその効力を生じますから、正しい。


答え:1  この出題も民法の基本です。 「問1」よりは、設問も簡単です。

        {ある受験者の感想…追認についての理解不足}
《タグ》無権代理、追認。  民法

問3

【問 3】 A、B、Cは、甲マンション内の一住戸(以下、本問において「本件専有部分」という。)を共同所有しており、その持分は、Aが2分の1、BとCがそれぞれ4分の1である。この場合に関する次のアからエの記述のうち、民法の規定によれば、誤っているもののみの組合せはどれか。

ア A、B、Cは、それぞれ自己の持分の多寡とは関係なく、本件専有部分の全部について等しく使用することができる。

X 誤っている。 持分に応じて使用できる。 平成25年マンション管理士試験 「問15」、 平成14年管理業務主任者試験 「問3」、 平成13年マンション管理士試験 「問1」
 民法の共有関係と、区分所有法での共有関係の違いは、まとめておいてください。
 民法で、共有物を使用するなら、
民法第249条
 「(共有物の使用)
 第二百四十九条  
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。 」 とあり、
 各共有者は、そのその持分に応じた使用しかできず、設問の「A、B、Cは、それぞれ自己の持分の多寡とは関係なく、本件専有部分の全部について等しく使用することができる」は、誤りです。


 参考;区分所有法 第13条 
 「(共用部分の使用)
 第十三条  各共有者は、共用部分をその用方に従つて使用することができる。」



イ Aが、本件専有部分を第三者に売却するためには、B又はCの同意を得なければならない。

X 誤っている。 B”又は”Cの同意では足りない。 全員の同意が必要。 平成26年マンション管理士試験 「問26」平成24年マンション管理士試験 「問10」、 平成21年管理業務主任者試験 「問4」 など多い。
  問題文を注意して読むこと。
  Aが、本件専有部分を第三者に売却する行為は、民法では処分行為として捉えられ、この処分行為は、共有物の変更となります。
 すると、
民法第251条
 「(共有物の変更)
 第二百五十一条  各共有者は、
他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。」 により、
  Aが、本件専有部分を第三者に売却するためには、B又はC、片方の同意だけでは足りず、B及びCの同意を得なければなりませんから、誤りです。



ウ Bが、本件専有部分について自己の持分を放棄したときは、その持分はBの推定相続人に帰属する。

X 誤っている。 自己の持分を放棄したときは、他の共有者に帰属する。  平成20年マンション管理士試験 「問3」、 平成19年マンション管理士試験 「問6」 など。
 
共有の持分を放棄すると、民法第255条
 「(持分の放棄及び共有者の死亡)
 第二百五十五条  
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。 とあり、
  Bが、本件専有部分について自己の持分を放棄したときは、その持分は、他の共有者(A及びC)のものになりますから、Bの推定相続人に帰属することはなく、誤りです。



エ Cは、本件専有部分の保存行為を単独ですることができる。

○ 正しい。 共有でも保存行為は、単独でできる。 平成24年マンション管理士試験 「問12」、 平成20年マンション管理士試験 「問15」 など。
 共有物の保存行為(現状を維持する行為)は、民法第252条
 「(共有物の管理)
 第二百五十二条  共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。
ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。 とあり、
 保存行為は、各共有者がすることができますから、正しい。

 なお、管理行為は、持分の過半数の同意が必要で、変更(処分)行為は、全員の同意が必要です。


1 ア・イ・ウ 
2 ア・イ・エ 
3 ア・ウ・エ 
4 イ・ウ・エ


答え:1 誤っているのは、ア、イ、ウ  この出題も、民法の基礎で、かなり易しい。

《タグ》共有関係、 変更行為、保存行為。 民法  (区分所有法での共有との違いは、まとめておくこと。)

問4

【問 4】 マンションの管理組合A(以下、本問において「A」という。)は、B会社(以下、本問において「B」という。)との間で、Bが、当該マンションの屋上に広告塔を設置して使用し、その対価として毎月5万円の賃料(以下、本問において「本件賃料」という。)をAに支払う旨の契約(以下、本問において「本件契約」という。)を締結した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているもののみの組合せはどれか。

ア 本件契約は、土地や建物内の住戸の使用を目的とするものではなく、建物の一部である屋上部分の使用を目的とするものであるので、使用貸借である。

X 誤っている。 有償(対価)では、使用貸借ではない。賃貸借となる。 平成19年管理業務主任者試験 「問3」、 平成16年管理業務主任者試験 「問3」
 
使用貸借とは、民法第593条
 「(使用貸借)
 第五百九十三条  使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び収益をした後に返還をすることを約して相手方からある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。」 
とあり、
 使用貸借であるためには、借主は使用しても、その対価を支払いません。しかし、設問では、借主は、月5万円の賃料を支払っていますから、「土地や建物内の住戸の使用を目的とするものではなく、建物の一部である屋上部分の使用を目的とするもの」であっても、使用貸借では、ありませんから、誤りです。
 この事例は、賃貸借となります。
 参考:民法第601条
 
「(賃貸借)
 第六百一条  賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。 」



イ 本件賃料を第三者Cが支払う旨の契約は、AとCの間のみで締結することはできず、A・B・Cの三者間において締結されなければならない。

X 誤っている。 代位弁済は、債権者と支払い人との間で締結できる。 平成23年管理業務主任者試験 「問11」、 平成23年マンション管理士試験 「問16」、 平成21年マンション管理士試験 「問17」
 
契約の当事者でない第三者であっても、債務者に代わって支払うことができます。
 これは、代位弁済と呼ばれています。
 例えば、民法第474条
 「(第三者の弁済)
 第四百七十四条  
債務の弁済は、第三者もすることができる。ただし、その債務の性質がこれを許さないとき、又は当事者が反対の意思を表示したときは、この限りでない。
   2  利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。 」
 

  設問では第三者Cの立場がはっきりしませんが、契約は債権者であるAと引受人Cとの間で締結が可能ですから、 「A・B・Cの三者間において締結されなければならない」は、誤りです。



ウ 本件賃料を第三者Cも重畳的に負担する旨の契約は、Bの意思に反しても、AとCの間のみの契約で締結することができる。

○ 正しい。 重畳的債務引受けなら、債権者と引受人の間でできる。
 まず、債務引受けには、@重畳(ちょうじょう)的債務引受け と A免責的債務引受け があると解されています。
 @重畳(ちょうじょう)的債務引受けとは、元の債務者が依然として債務を負担しており、新しい債務を引き受ける人が、元の債務者と並存して、同一の債務を負担します。
   一種の連帯債務とも考えられます。
   
債権者と引受人との間で、このような引受けを契約するのに際し、債務者の意思に反してもできると解されています。それは、引受人がまるで保証人となるのと同じだという発想です。
 A免責的債務引受けとは、元の債務者を免責にして、新しい引受人だけが債務者となるものです。債務が移転するものです。
  この、免責的債務引受けでは、債権者・債務者・引受人の3者間で契約できますし、また、債権者と引受人だけでも契約をすることもできるとされています。

 そこで、設問の「本件賃料を第三者Cも重畳的に負担する旨の契約は、Bの意思に反しても、AとCの間のみの契約で締結することができる」は、正しい。


 参考:民法第446条
 
「(保証人の責任等)
 第四百四十六条  保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
   2  保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
   3  保証契約がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。 」
 


エ AのBに対する本件賃料債権は、5年間行使しないときは、時効によって消滅する。

○ 正しい。 月払いの金銭債権の消滅時効は、5年。 平成24年マンション管理士試験 「問13」、  平成22年マンション管理士試験 「問7」、 平成21年管理業務主任者試験 「問39」 など多い。
 B会社がA管理組合に支払う賃料は、毎月5万円です。すると、これは、民法第169条
 「(定期給付債権の短期消滅時効)
 第百六十九条  
年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、五年間行使しないときは、消滅する。」 
 の定期給付債権に該当し、 AのBに対する本件賃料債権は、5年間行使しないときは、時効によって消滅しますから、正しい。

 なお、マンションの管理費や修繕積立金の消滅時効も5年ですから、注意してください。


1 ア・イ
2 ア・エ
3 イ・ウ
4 ウ・エ


答え:1 誤っているのは、ア と イ。  ここは、真剣に考えると、かなり難しいが、 解答の選択肢の方から、 アの誤りは、すぐに分かり、エが正しいのも分かるの で、消去法で、1 が選べる。
  なお、債務引受けでは、平成26年マンション管理士試験 「問15」 もある。

《タグ》使用貸借、賃借、第三者(代位)弁済、消滅時効。  民法

問5

【問 5】 マンション管理業者A(以下、本問において「A」という。)が、Aの顧問弁護士B(以下、本問において「B」という。)との間で委任契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 Aは、Bが委任事務を処理するについて費用を要するときは、Bの請求により、その前払をしなければならない。

○ 正しい。 平成26年マンション管理士試験 「問4」、 平成24年管理業務主任者試験 「問4」、 平成16年管理業務主任者試験 「問2」
 委任契約なら、民法第649条
 「(受任者による費用の前払請求)
 第六百四十九条  
委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。」 とあり、
  委任者であるマンション管理業者Aは、受任者の弁護士Bの請求があれば、前払いをしなければなりませんから、正しい。



2 Bは、Aの請求があるときでも、遅滞なく委任事務の処理の状況を報告する必要はなく、委任が終了した後に、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。

X 誤っている。 請求があれば、「遅滞なくで」はなく、「いつでも」。 平成13年管理業務主任者試験 「問3」
 委任者から事務報告を求められると、民法第645条
 「(受任者による報告)
 第六百四十五条  
受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。」 とあり、
  受任者Bは、委任者Aの請求があるときは、
”いつでも”委任事務の処理の状況を報告する必要がありますから、誤りです。
 なお、後半の
「委任が終了した後に、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない」は、正しい。


3 Aが破産手続開始の決定を受けたとき、又はBが死亡したときは、当該委任契約は終了する。

○ 正しい。 
 委任が終わるのは、民法第653条
 「(委任の終了事由)
 第六百五十三条  委任は、次に掲げる事由によって終了する。
     
一  委任者又は受任者の死亡
     
二  委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
     三  受任者が後見開始の審判を受けたこと。 」
 とあり、
 2号によれば、委任者であるAが破産手続開始の決定を受けたときは、委任契約が終了し、受任者であるBが死亡すれば、1号により、当該委任契約は終了しますから、選択肢3は全体として、正しい。



4 Bは、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

○ 正しい。 平成24年管理業務主任者試験 「問6」、 平成23年管理業務主任者試験 「問1」、 平成19年管理業務主任者試験 「問2」 など多い。
 
受任者Bの事務の処理は、民法第644条
 「(受任者の注意義務)
 第六百四十四条  
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。」 とあり、
 正しい。
 なお、原則:無償である委任でも、「自己のためにするのと同一の注意」よりも重い、「善良な管理者の注意」とあるのは、委任が当事者の信頼関係にあるためです。


答え:2    委任の基本で、かなり易しい。
         ここの出題は、弁護士でなく、管理組合が「マンション管理士 香川事務所」と顧問契約をした、にして欲しい設問です。

《タグ》委任、費用の前払い、終了事由、善管注意義務。  民法

問6

【問 6】 マンションの管理組合A(以下、本問において「A」という。)がマンション管理業者B(以下、本問において「B」という。)との間で管理委託契約を締結した事情の下での不法行為に関する次の各場合のうち、民法の規定によれば、Bが不法行為責任を負わないものはどれか。


1 Bの従業員が、Bの事業の執行について、Aの理事長と共に、Aの組合員(区分所有者)の名誉をき損した場合。

X 負う。 使用者責任として、マンション管理業者Bは不法行為責任を負う。 不法行為からの出題も定番。 平成26年マンション管理士試験 「問14」、 平成25年管理業務主任者試験 「問6」、 平成24年マンション管理士試験 「問3」平成22年マンション管理士試験 「問10」、 平成21年管理業務主任者試験 「問3」平成19年マンション管理士試験 「問15」、 平成17年マンション管理士試験 「問17」など。
 マンション管理業者Bとその従業員が侵した時の責任は、民法第715条
 「使用者等の責任)
 第七百十五条  
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
   2  使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
   3  前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。 」
 とあり、
 1項によれば、「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」とあり、設問の、「Bの従業員が、Bの事業の執行について、Aの理事長と共に、Aの組合員(区分所有者)の名誉をき損した場合」はこれに該当し、Bは、使用者責任として不法行為責任を負います。



2 Bの従業員が、Bの事業の執行について、Aの組合員(区分所有者)以外の第三者に損害を与えた場合。

X 負う。 使用者責任として、マンション管理業者Bは不法行為責任を負う。 
 この設問も選択肢1で引用しました、民法第715条1項
 
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う により、
 Bは、使用者責任として不法行為責任を負います。


3 Bから再委託を受けた清掃業者の従業員が、Bの事業の執行について、Aの組合員(区分所有者)に損害を与えた場合。

X 負う。 再委託であっても使用者責任として、マンション管理業者Bは不法行為責任を負う。
 再委託を受けた従業員となると選択肢1で引用しました民法第715条で言う「使用者と被用者」との関係にあるのか、どうかの問題となります。
 
通常、使用関係にあるということは、雇用、委任その他の契約に基づくものであることが多いのですが、民法第715条の解釈ではかなり広く捉えられ、使用者と被用者の間に実質的な指揮・監督関係があればよいと考えられているのです。
 例えば、 大阪高等裁判所:平成13年12月25日
 「民法715条は,「或ル事業ノ為メニ他人ヲ使用スル者」は被用者が事業の執行につき第三者に加えた損害について賠償の責任を負うとしているから,控訴人(宇治市)がその事業のために不法行為者Tを使用する関係にあることが必要である。そして,
使用者と被用者の関係があるかどうかについては,実質的な指揮・監督関係の有無によって決するのが相当と解される。」 として、
 再委託先の従業員が与えた損害について、使用者に実質的な指揮・監督関係があったと認めています。
 これらにより、「マンション管理業者Bから再委託を受けた清掃業者の従業員が、Bの事業の執行について、Aの組合員(区分所有者)に損害を与えた場合」にも、
マンション管理業者Bは不法行為責任を負います。


4 Bがその従業員の選任及びその事業の監督について相当の注意をしていたにもかかわらず、当該従業員が、Bの事業の執行について、Aの組合員(区分所有者)に損害を与えた場合。

○ 使用者責任として、マンション管理業者Bは不法行為責任を負わない。
 選択肢1でも引用しました民法第715条1項
 
ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。  とあります。
 最近の判例では、この免責事項の存在を簡単には認めない傾向にありますが、この設問では、そんなところまで追求していないと考えて、
マンション管理業者Bがその従業員の選任及びその事業の監督について相当の注意をしていれば」、使用者責任として、マンション管理業者Bは不法行為責任を負わないと判断します。


答え:4  この出題も表面だけの判断なら、易しい。

《タグ》不法行為、 使用者責任、再委託。  民法

問7

【問 7】 マンション標準管理委託契約書及びマンション標準管理委託契約書コメント(平成15年4月9日国総動第3号。国土交通省総合政策局長通知。以下、「マンション標準管理委託契約書」という。)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 管理組合及びマンション管理業者は、マンションにおいて滅失、き損、瑕疵等の事実を知った場合においては、速やかに、その状況を相手方に通知しなければならない。

○ 適切である。 平成25年管理業務主任者試験 「問9」平成24年管理業務主任者試験 「問7」平成21年管理業務主任者試験 「問8」、 平成17年管理業務主任者試験 「問9」。 
 何かあった時に通知するのは、マンション標準管理委託契約書(以下、この解説においては、「標準管理委託契約書」といいます)12条
 「(通知義務)
 第十二条
甲(注:管理組合、以下同じ)及び乙(注:管理業者。以下同じ)は、本マンションにおいて滅失,き損,瑕疵等の事実を知った場合においては、速やかに、その状況を相手方に通知しなければならない。
   2 甲及び乙は、次の各号に掲げる場合においては、速やかに、書面をもって、相手方に通知しなければならない。
     一 甲の役員又は組合員が変更したとき
     二 甲の組合員がその専有部分を第三者に貸与したとき
     三 乙が商号又は住所を変更したとき
     四 乙が合併又は会社分割したとき
     五 乙がマンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成十二年法律第百四十九号)の規定に基づき処分を受けたとき
     六 乙が第十八条第二項第一号及び第二号に掲げる事項に該当したとき」
 とあり、
 1項により、適切です。


2 マンション管理業者が管理組合の組合員に対し、管理委託契約の定めに従った管理費等の督促を行っても、なお当該組合員が支払わないときは、その後の収納の請求は管理組合が行うものとし、管理組合がマンション管理業者の協力を必要とするときは、管理組合及びマンション管理業者は、その協力方法について協議するものとする。

○ 適切である。
 平成25年管理業務主任者試験 「問2」平成21年マンション管理士試験 「問33」、 平成17年マンション管理士試験 「問33」
 滞納者の督促関係は、標準管理委託契約書10条
 「(管理費等滞納者に対する督促)
 第十条
乙は、第三条第一号の業務のうち、出納業務を行う場合において、甲の組合員に対し別表第一1(2)Aの督促を行っても、なお当該組合員が支払わないときは、その責めを免れるものとし、その後の収納の請求は甲が行うものとする。
   2 前項の場合において、
甲が乙の協力を必要とするときは、甲及び乙は、その協力方法について協議するものとする。」 とあり、
 10条に該当し、適切です。



3 マンション管理業者は、災害又は事故等の事由により、管理組合のために、緊急に行う必要がある業務で、管理組合の承認を受ける時間的な余裕がないものについては、管理組合の承認を受けないで実施することができる。

○ 適切である。 平成25年管理業務主任者試験 「問7」平成23年管理業務主任者試験 「問8」、 平成20年管理業務主任者試験 「問8」、 平成18年管理業務主任者試験 「問8」
 緊急時の対応は、標準管理委託契約書8条
 「(緊急時の業務)
 第八条 乙は、第三条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる
災害又は事故等の事由により、甲のために、緊急に行う必要がある業務で、甲の承認を受ける時間的な余裕がないものについては、甲の承認を受けないで実施することができる。この場合において、乙は、速やかに、書面をもって、その業務の内容及びその実施に要した費用の額を甲に通知しなければならない。
     一 地震、台風、突風、集中豪雨、落雷、雪、噴火、ひょう、あられ等
     二 火災、破裂、爆発、物の飛来若しくは落下又は衝突、犯罪等
   2 甲は、乙が前項の業務を遂行する上でやむを得ず支出した費用については、速やかに、乙に支払わなければならない。ただし、乙の責めによる事故等の場合はこの限りでない。」 
とあり、
 1項に該当し、適切です。


4 マンション管理業者は、管理事務を行うために不可欠な管理事務室の使用料及び管理事務室の使用に係る諸費用(水道光熱費、通信費、備品、消耗品費等)を負担する義務を負う。

X 適切でない。 管理事務室の使用に係る諸費用は、協議して負担を決める。   平成20年管理業務主任者試験 「問13」、 平成19年管理業務主任者試験 「問8」平成18年管理業務主任者試験 「問8」

 管理事務室の使用料などは、標準管理委託契約書7条
 「(管理員室等の使用)
 第七条 甲は、乙に管理事務を行わせるために不可欠な管理員室、管理用倉庫、清掃員控室、器具、備品等(次項において「管理員室等」という。)を無償で使用させるものとする。
   2 乙の管理員室等の使用に係る費用の負担は、次のとおりとする。
     一 ○○○○費 甲(又は乙)の負担とする。
     二 ○○○○費 甲(又は乙)の負担とする。
     三 ○○○○費 甲(又は乙)の負担とする。
     四 ○○○○費 甲(又は乙)の負担とする。 」 
とあり、
 1項によれば、「管理事務を行うために不可欠な管理事務室の使用料」は、管理組合が無償で、管理業者に使用させますが、「管理事務室の使用に係る諸費用(水道光熱費、通信費、備品、消耗品費等)を負担する」のは、2項によれば、内容によって、管理組合か管理業者かは、契約内容によりますから、適切ではありません。


 参考:コメント:第7条関係
   @ 管理事務室等は、通常、管理組合がマンション管理業者にマンションの管理事務を行わせるのに不可欠であるため、無償で使用させるものとしている。
   
A 第2項は、管理事務室等の使用に係る諸費用(水道光熱費、通信費、備品、消耗品費等)の負担区分について、その内容を規定するものとする。
   B 管理事務室等の資本的支出が必要となった場合の負担については、別途、管理組合及びマンション管理業者が協議して決定することとなる。



答え:4  よく出る問題です。 易しい。

《タグ》通知、滞納金の督促、緊急時の対応、事務室の負担。  標準管理委託契約書

問8

【問 8】 マンション標準管理委託契約書における契約(以下、本問において「本契約」という。)の解除及び更新の定めに関する次のアからエまでの記述のうち、適切なものはいくつあるか。

ア 管理組合及びマンション管理業者は、その相手方が、本契約に定められた義務の履行を怠った場合は、相当の期間を定めてその履行を催告することはできるが、本契約を解除することまではできない。

X 適切でない。 契約を解除できる。 平成25年管理業務主任者試験 「問9」、 平成24年管理業務主任者試験 「問8」、 平成23年管理業務主任者試験 「問7」平成15年管理業務主任者試験 「問8」 など。
 契約の解除は、標準管理委託契約書18条
 「(契約の解除)
 第十八条
甲及び乙は、その相手方が、本契約に定められた義務の履行を怠った場合は、相当の期間を定めてその履行を催告し、相手方が当該期間内に、その義務を履行しないときは、本契約を解除することができる。この場合、甲又は乙は、その相手方に対し、損害賠償を請求することができる。
   2 甲は、乙が次の各号のいずれかに該当するときは、本契約を解除することができる。
     一 乙が銀行の取引を停止されたとき、若しくは破産、会社更生、会社整理、民事再生の申立てをしたとき、又は乙が破産、会社更生、会社整理の申立てを受けたとき
     二 乙が合併又は破産以外の事由により解散したとき
     三 乙がマンション管理業の登録の取消しの処分を受けたとき」
 とあり、
 1項によれば、「その相手方が、本契約に定められた義務の履行を怠った場合は、相当の期間を定めてその履行を催告し、相手方が当該期間内に、その義務を履行しないときは、本契約を解除することができる」とあり、適切ではありません。



イ 管理組合は、マンション管理業者がマンション管理業の登録の取消しの処分を受けたときは、本契約を解除することができる。

○ 適切である。
 マンション管理業者がマンション管理業の登録の取消しの処分を受けたときは、選択肢1で引用しました、標準管理委託契約書18条2項3号
 「2 甲は、乙が次の各号のいずれかに該当するときは、本契約を解除することができる。
   
三 乙がマンション管理業の登録の取消しの処分を受けたとき とあり、
  適切です。



ウ 管理組合又はマンション管理業者は、本契約を更新しようとする場合、本契約の有効期間が満了する日までに、その相手方に対し、書面をもって、その旨を申し出る必要がある。

X 適切でない。 満了の3ヶ月前に申し出る。 平成25年管理業務主任者試験 「問7」平成23年管理業務主任者試験 「問7」、 平成20年管理業務主任者試験 「問9」、 平成18年マンション管理士試験 「問33」 など。
 契約の更新は、標準管理委託契約書21条1項
 「(契約の更新)
 第二十一条
甲又は乙は、本契約を更新しようとする場合、本契約の有効期間が満了する日の三月前までに、その相手方に対し、書面をもって、その旨を申し出るものとする
   2 本契約の更新について申出があった場合において、その有効期間が満了する日までに更新に関する協議がととのう見込みがないときは、甲及び乙は、本契約と同一の条件で、期間を○月間とする暫定契約を締結することができる。」
 とあり、
 1項によれば、「本契約を更新しようとする場合、
本契約の有効期間が満了する日の三月前までに、その相手方に対し、書面をもって、その旨を申し出るものとする」ので、「本契約の有効期間が満了する日までに、その相手方に対し、書面をもって、その旨を申し出る必要がある」は適切ではありません。


エ 管理組合及びマンション管理業者は、相手方から本契約の更新について申出があった場合において、その有効期間が満了する日までに更新に関する協議がととのう見込みがないときは、本契約と同一の条件で、期間を定めて暫定契約を締結することができる。

○ 適切である。  平成25年管理業務主任者試験 「問7」平成23年管理業務主任者試験 「問7」、 平成20年管理業務主任者試験 「問9」、 平成18年マンション管理士試験 「問33」 など。
 契約更新で、条件が折り合わないときは、選択肢ウで引用しました、標準管理委託契約書21条2項
 「2
本契約の更新について申出があった場合において、その有効期間が満了する日までに更新に関する協議がととのう見込みがないときは、甲及び乙は、本契約と同一の条件で、期間を○月間とする暫定契約を締結することができる。」 とあり、
 適切です。



1 一つ 
2 二つ 
3 三つ 
4 四つ


答え:2 適切なのは、イ と エ。  ここも、個数問題ですが、易しい。

《タグ》契約の解除、 契約の更新。  標準委託契約書

問9

【問 9】 マンション管理業者の管理事務の対象となる部分に関する次の記述のうち、マンション標準管理委託契約書の定めによれば、最も不適切なものはどれか。

1 専用使用部分(バルコニー、トランクルーム、専用庭等)については、管理組合が行うべき管理業務の範囲内においてマンション管理業者が管理事務を行う。

○ 適切である。 平成25年管理業務主任者試験 「問7」平成24年管理業務主任者試験 「問7」
 管理事務の対象となる部分は、標準管理委託契約書2条
 「(本マンションの表示及び管理対象部分)
 第二条 本マンションの表示及び管理事務(本マンションの管理に関する業務のうち、甲が乙に委託する業務をいう。以下同じ。)の対象となる部分は、次のとおりである。
     一 名 称
     二 所在地
     三 敷 地 面 積 権利形態
     四 建 物 構造等 ○○造地上○階建地下○階建共同住宅 建築面積 u 延床面積 u 専有部分 住宅○戸
     五 管理対象部分
       イ 敷 地
       ロ 専有部分に属さない建物の部分(規約共用部分を除く。)
         玄関ホール、廊下、階段、屋外階段、屋上、エレベーターホール、共用トイレ、湯沸室、エレベーター室、ポンプ室、電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプスペース、内外壁、界壁、床スラブ、柱、基礎部分、塔屋、バルコニー、ベランダ
       ハ 専有部分に属さない建物の附属物
         エレベーター設備、電気設備、給排水衛生設備、テレビ共聴視設備、消防・防災設備、各種の配線配管
       ニ 規約共用部分
         管理員室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、トランクルーム、倉庫
       ホ 附属施設
         塀、フェンス、掲示板、駐車場、自転車置場、花壇、庭木、散水栓、外灯設備、水道引込管、排水施設、ゴミ集積所、消火栓、専用庭」
 とあり、
  そして、 第2条関係 コメント
  「
A 専用使用部分(バルコニー、トランクルーム、専用庭等)については、管理組合が行うべき管理業務の範囲内においてマンション管理業者が管理事務を行う。  により、
 適切です。



2 附属施設である塀及びフェンスは、管理対象部分に含まれない。

X 適切でない。 塀及びフェンスも、管理対象部分です。 平成21年管理業務主任者試験 「問9」
 選択肢1で引用しました、標準管理委託契約書2条五号ホ
 「ホ
附属施設
   
塀、フェンス、掲示板、駐車場、自転車置場、花壇、庭木、散水栓、外灯設備、水道引込管、排水施設、ゴミ集積所、消火栓、専用庭」 とあり、
 附属施設である塀及びフェンスも、管理対象部分に含まれますから、適切ではありません。



3 大多数の区分所有者がマンション外に住所地を有するリゾートマンションを管理事務の対象とする場合には、管理事務の対象となる部分に係るマンション標準管理委託契約書の定めを適宜追加、修正をすることが必要である。

○適切である。 平成21年管理業務主任者試験 「問9」
  標準管理委託契約書は基本として、居住専用の単棟型を例にしています。そこで、標準管理委託契約書コメント2条B
  「B 管理事務の対象となるマンションが以下に掲げるものである場合、又は共用部分の設備等の故障等発信機器やインターネット等の設備等が設置され、当該設備等の維持・管理業務をマンション管理業者に委託するときは、
本条を適宜追加、修正をすることが必要である。
     一 単棟で、大多数の区分所有者がマンション外に住所地を有する「
リゾートマンション」、専有部分の用途が住居以外の用途(事務所等)が認められている「複合用途型マンション」
     二 数棟のマンションが所在する団地 」
 とあり、
 適切です。



4 共用部分の設備等の故障等発信機器やインターネット等の設備等が設置され、当該設備等の維持・管理業務をマンション管理業者に委託するときは、管理事務の対象となる部分に係るマンション標準管理委託契約書の定めを適宜追加、修正をすることが必要である。

○ 適切である。 
 これも、選択肢3で引用しました、標準管理委託契約書コメント2条
 
共用部分の設備等の故障等発信機器やインターネット等の設備等が設置され、当該設備等の維持・管理業務をマンション管理業者に委託するときは、本条を適宜追加、修正をすることが必要である」 とあり、
 適切です。

答え:2  ここも、標準管理委託契約書のコメントは、読んでいるでしょうから、易しい問題でした。

《タグ》管理対象、標準管理委託契約書は住居専用タイプ。 他のタイプでは、変更すること。 標準管理委託契約書

問10

【問 10】 マンションの管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法及び建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下、「区分所有法」という。)の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 区分所有者が管理費を支払うべき期日に支払わなかった場合、規約に遅延損害金に関する定めがなくても、当該区分所有者に対し、年5分の割合による遅延損害金を請求することができる。

○ 正しい。
 平成26年マンション管理士試験 「問14」選択肢4 、平成25年マンション管理士試験 「問4」平成24年マンション管理士試験 「問13」平成14年管理業務主任者試験 「問4」、 
 区分所有者が管理費を支払うべき期日に支払わなかった場合とは、民法では金銭債務の履行遅滞となります。
 すると、民法第420条
 「(履行期と履行遅滞)
 第四百十二条  
債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う。
   2  債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来したことを知った時から遅滞の責任を負う。
   3  債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。」 
とあり、
 遅延損害金は、民法第419条
 「(金銭債務の特則)
 第四百十九条  
金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
   2  前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
   3  第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。」
  です。
 そこで、法定利率は、民法第404条
 「(法定利率)
 第四百四条  
利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分とする。」 です。
 これらから、 区分所有者が管理費を支払うべき期日に支払わなかった場合、規約に遅延損害金に関する定めがなくても、当該区分所有者に対し、年5分の割合による遅延損害金を請求することができますから、正しい。



2 管理費を滞納している区分所有者から、マンションの専有部分を購入した者が、売買契約に際して、当該滞納者から「管理費の滞納分はない」旨を告げられ、それを信ずるについて過失がない場合でも、滞納管理費の支払義務を負う。

○ 正しい。特別承継人の無過失責任。 平成25年マンション管理士試験 「問4」、 平成25年管理業務主任者試験 「問2」、 平成24年管理業務主任者試験 「問11」平成21年管理業務主任者試験 「問11」
 通常の民法によれば、購入したマンションにおける前の区分所有者が滞納した管理費等については、後から購入した人にはその支払い責任はないのですが、これが、区分所有法では、後から購入した人にも、前の区分所有者の未払の管理費等の請求ができると定めています。
 それが、区分所有法第8条
 「 (特定承継人の責任)
 第八条  前条第一項に規定する債権は、
債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。 」  です。
 ここで引用されています前条1項は第7条
 「(先取特権)
 第七条  区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。
   2  前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。
   3  民法 (明治二十九年法律第八十九号)第三百十九条 の規定は、第一項の先取特権に準用する。 」 
です。
 第7条は、管理費等は、区分所有関係によって生じた区分所有者間の債権で、登記なしに一般債権者に優先して債権を回収することができると規定しています。
 そこで、買った人・貰った人は、その債権の存在を知らなくても、前の区分所有者の債務を引継ぎ、また、滞納している管理費などは売主が払うという約束があっても、管理者や管理組合等は買主にも売主にも請求できるとなっていますから、正しい。



3 管理費を滞納している区分所有者が死亡した場合、共同相続人のうち当該滞納者の区分所有権を相続する者が確定するまでは、管理組合は滞納管理費の請求をすることができない。


X 誤っている。 判例によれば、共同相続人は、法定相続分に応じて権利を承継しているので、管理組合は滞納管理費の請求をすることができる。 平成26年マンション管理士試験 「問16」、 平成25年管理業務主任者試験 「問2」平成25年マンション管理士試験 「問15」平成23年 マンション管理士試験 「問16」 選択肢3、 平成21年マンション管理士試験 「問14」、 平成17年マンション管理士試験 「問18」
 遺産の相続となると、民法第896条
 「(相続の一般的効力)
 第八百九十六条  
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」 とあり、
 最高裁の昭和30年5月31日 などの判例によると、「共同相続人は相続時に個々の遺産について、相続分に応じた持分を有しており、可分できるなら、相続分に応じて遺産は、分割される。」 と判断しています。
 いいかえると、被相続人の債権者は、共同相続人に対して、各々その相続分で請求できるということですから、共同相続人のうち当該滞納者の区分所有権を相続する者が確定しなくても、管理組合は滞納管理費の請求をすることができますので、誤りです。
 しかし、それでは、遺産分割協議で、法定相続分の変更があったり、遺産放棄があれば、管理組合の請求はどうなるのでしょうか?



4 管理費を滞納している区分所有者に対して内容証明郵便による催告を行い、その催告後6箇月以内に再び内容証明郵便による催告を行ったとしても、時効中断の効力を維持することはできない。

○ 正しい。催告は6ヶ月以内に裁判上の請求等をしないと時効の中断の効力が生じない。 平成24年管理業務主任者試験 「問3」平成24年マンション管理士試験 「問13」、 平成23年管理業務主任者試験 「問10」、 平成22年管理業務主任者試験 「問10」 など多い。 
 催告を証拠を残すために内容証明郵便でしてもその効果は、民法第153条
 「(催告)
 第百五十三条  
催告は、六箇月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、民事調停法 若しくは家事事件手続法 による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断の効力を生じない。 」 とあり、
 催告後6ヶ月以内に裁判上の請求などをしないと時効は中断しなかったことになりますので、その催告後6箇月以内に再び内容証明郵便による催告を行ったとしても、時効中断の効力を維持することはできませんから、正しい。



答え:3  この問題の選択肢3の解説は、余り深く追求しないのが前提です。 詳細は、平成26年のマンション管理士試験 「問16」 などを参考にして下さい。

《タグ》滞納管理費等、 特定承継人、相続人、時効。 民法 + 区分所有法

問11

【問 11】 マンションの管理費の滞納に関して、管理業務主任者(マンション管理適正化法第2条第9号に規定するものをいう。以下同じ。)が管理者等(マンション管理適正化法第2条第4号に規定するものをいう。以下同じ。)に対して説明した次のアからオの記述のうち、適切なもののみの組合せはどれか。

ア 管理費を滞納している区分所有者が、支払不能に陥って自己破産の申立てをした場合は、滞納管理費の請求はできません。

X 適切でない。 自己破産では、免責が確定するまで請求はできる。 滞納者の給料差押えが、平成21年マンション管理士試験 「問16」。 破産については、平成21年管理業務主任者試験 「問11」平成19年管理業務主任者試験 「問11」 選択肢 オ 、平成14年管理業務主任者試験 「問10」 。
  裁判所に対して行う自己破産の申立ては、一定の書式で可能です。この申立てにより裁判所が免責について審問し、免責許可の決定があれば、債務の支払いが免除されるという流れにあります。
 そこで、管理費を滞納している区分所有者が、支払不能に陥って自己破産の申立てをした場合では、まだ、免責許可の決定がされるかどうかも分かりませんから、滞納管理費の請求は可能で、請求できないは、適切ではありません。



イ 管理費を滞納している区分所有者が、所有する専有部分について賃貸借契約を締結している場合、規約に別段の定めがなくても、その賃借人に滞納管理費を請求することができます。

X 適切でない。 滞納管理費等の支払い義務は、区分所有者にあり、賃借人にはない。 平成25年管理業務主任者試験 「問1」、 同「問11」、 平成25年マンション管理士試験 「問4」平成24年管理業務主任者試験 「問3」、 同「問11」平成24年マンション管理士試験 「問13」 など多い。
 管理費の支払いは、区分所有法の第19条
 「(共用部分の負担及び利益収取)
 第十九条  
各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。」 とあり、
 管理費や修繕積立金など共用部分の経費を負担するのは、共有者である区分所有者であると規定されています。
 そこで、賃借人などの占有者は、区分所有者ではないので、管理費などの請求は出来ません。また、規約でこの区分所有法第19条と異なった負担割合は決めてもいいのですが、負担義務者はあくまでも区分所有者であって、区分所有者以外の賃借人などと規約で定めても無効となりますから、設問は適切ではありません。



ウ 管理費を滞納している区分所有者が、管理組合あてに滞納の事実を認める書面を提出し、滞納している管理費の一部であることを明示して滞納管理費を支払った場合、滞納額全額について消滅時効が中断します。

○ 適切である。 平成25年管理業務主任者試験 「問10」、 平成24年マンション管理士試験 「問13」平成23年管理業務主任者試験 「問10」、 平成22年マンション管理士試験 「問7」平成21年管理業務主任者試験 「問11」 など、多い。
 滞納金の一部を支払うと、時効の中断として民法第147条
 「(時効の中断事由)
 第百四十七条  
時効は、次に掲げる事由によって中断する
     一  請求
     二  差押え、仮差押え又は仮処分
     
三  承認 」 とあり、
  3号の「承認」には、利息の支払い、支払の猶予の申し込、そして、一部の弁済も該当します。 一部の弁済は、一部だと認めて支払うと、全部についての承認となり、消滅時効は中断します。(大判大正8・12・26)。設問は、適切です。



エ 管理費を滞納している区分所有者が、行方不明であっても、裁判所に滞納管理費を請求する訴えを提起することができます。

○ 適切である。 平成22年 管理業務主任者試験 「問10」、 平成21年管理業務主任者試験 「問10」平成17年管理業務主任者試験 「問11」平成14年管理業務主任者試験 「問9」
  通常、裁判の提起は、相手方にも訴えの内容を知らせることが必要ですから、訴訟上の書類を当事者や利害人などに送ります。これを送達と呼んでいます。
 送達は、原則として送達を受けるべき者の住所、居所、営業所又は事務所にしますが、これでも送達出来ないときには、
公示送達という方法が、民事ではあります。訴訟の相手方が行方不明であっても、訴えの提起ができます。それが、公示送達という制度です。
 まず、民法第98条
 「(公示による意思表示)
 第九十八条  
意思表示は、表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、公示の方法によってすることができる。
   2  前項の公示は、公示送達に関する民事訴訟法 (平成八年法律第百九号)の規定に従い、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、その掲示があったことを官報に少なくとも一回掲載して行う。ただし、裁判所は、相当と認めるときは、官報への掲載に代えて、市役所、区役所、町村役場又はこれらに準ずる施設の掲示場に掲示すべきことを命ずることができる。
   3  公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から二週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない。
   4  公示に関する手続は、相手方を知ることができない場合には表意者の住所地の、相手方の所在を知ることができない場合には相手方の最後の住所地の簡易裁判所の管轄に属する。
   5  裁判所は、表意者に、公示に関する費用を予納させなければならない。 」
 とあり、
 これを受けた、民事訴訟法第110条
 「(公示送達の要件)
 第百十条
 次に掲げる場合には、裁判所書記官は、申立てにより、公示送達をすることができる。
    
一 当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合
    二 第百七条第一項の規定により送達をすることができない場合
    三 外国においてすべき送達について、第百八条の規定によることができず、又はこれによっても送達をすることができないと認めるべき場合
    四 第百八条の規定により外国の管轄官庁に嘱託を発した後六月を経過してもその送達を証する書面の送付がない場合
  2 前項の場合において、裁判所は、訴訟の遅滞を避けるため必要があると認めるときは、申立てがないときであっても、裁判所書記官に公示送達をすべきことを命ずることができる。
  3 同一の当事者に対する二回目以降の公示送達は、職権でする。ただし、第一項第四号に掲げる場合は、この限りでない。」
 とあり、
 設問の行方不明は、1号に該当し、この公示送達により、民事の訴訟はできますので、設問は、適切です。



オ 管理費を滞納している区分所有者が、滞納している債務の時効完成前に、区分所有権等を売却した場合、買主がその区分所有権等を取得した日から改めて時効期間を起算することになります。

X 適切でない。 特定承継人は、時効期間も承継する。 平成19年マンション管理士試験 「問17」、 平成18年マンション管理士試験 「問14」 など。
 まず、区分所有法第8条
 「(特定承継人の責任)
 第八条  前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。 」
 とあります。
 この規定により、元の区分所有者からの債務を引き受けることになった、後から買った区分所有者(特定承継人)は、時効中断の効力も承継すると考える方が妥当です。(参考:大阪地裁、平成21年7月24日判決など)
  そこで、設問の時効の起算日については「買主がその区分所有権等を取得した日から改めて時効期間を起算」ではなく、前の区分所有者が滞納した時からの起算となりますので、適切ではありません。
 参考:民法第166条
 「(消滅時効の進行等)
 第百六十六条  消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。
   2  前項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を中断するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。」
 民法第144条
 「(時効の効力)
 第百四十四条  
時効の効力は、その起算日にさかのぼる。 」
 民法第148条
 「(時効の中断の効力が及ぶ者の範囲)
 第百四十八条  前条の規定による時効の中断は、その中断の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する。 」



1 ア・ウ
2 イ・エ
3 ウ・エ
4 エ・オ


答え:3 適切なのは、 ウ と エ。  ここは、ウが適切であることを中心に消していけば、それほど難しくはない? ほとんどが、過去問題から出題されている範囲です。

《タグ》滞納、自己破産、時効の中断、公示送達、特定承継人。  民法 + 区分所有法、

問12

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。

【問 12】 管理組合の会計等に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約及びマンション標準管理規約コメント(単棟型)(平成16年1月23日国総動第232号・国住マ第37号。国土交通省総合政策局長・同住宅局長通知。以下、「マンション標準管理規約」という。)の定めによれば、最も適切なものはどれか。

1 管理組合の会計年度の開始後、通常総会において収支予算の承認を得るまでの間に、通常の管理に要する経費のうち、経常的であり、かつ、通常総会において収支予算の承認を得る前に支出することがやむを得ないものについては、理事長はその権限によって支出することができる。

X 適切でない。 理事長の権限ではない。理事会の承認が必要。 平成25年管理業務主任者試験 「問34」
 設問は、マンション標準管理規約(以下、この解説では、「標準管理規約」といいます)58条
 「(収支予算の作成及び変更)
 第58条 理事長は、毎会計年度の収支予算案を通常総会に提出し、その承 認を得なければならない。
   2 収支予算を変更しようとするときは、理事長は、その案を臨時総会に提 出し、その承認を得なければならない。
   3
理事長は、第56条(注:会計年度)に定める会計年度の開始後、第1項に定める承認を 得るまでの間に、以下の各号に掲げる経費の支出が必要となった場合には、理事会の承認を得てその支出を行うことができる。
     一 第27条(注:管理費)に定める通常の管理に要する経費のうち、経常的であり、か つ、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるもの

     二 総会の承認を得て実施している長期の施工期間を要する工事に係る経 費であって、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認 められるもの
   4 理事長は、前項に定める支出を行ったときは、第1項に定める収支予算 案の承認を得るために開催された通常総会において、その内容を報告しな ければならない。この場合において、当該支出は、その他の収支予算とと もに承認されたものとみなす。」
  とあり、
 3項1号によれば、「管理組合の会計年度の開始後、通常総会において収支予算の承認を得るまでの間に、通常の管理に要する経費のうち、経常的であり、かつ、通常総会において収支予算の承認を得る前に支出することがやむを得ないものについては」、理事長は
理事会の承認を得てから、支出ができますので、「理事長はその権限によって支出することができる」は適切ではありません。
 
*標準管理規約 58条は、平成28年3月の標準管理規約の改正で追加等があったが、3項は変更がありません。


2 管理組合は、通常の管理に要する経費の支払いに不足が生じた場合であっても、借入れをすることができない。

○ 適切である。 原則:管理費や修繕積立金が不足すると値上げすること。 しかし、修繕積立金が不足する時は、借入れができる。 平成25年管理業務主任者試験 「問13」平成25年マンション管理士試験 「問26」平成24年管理業務主任者試験 「問13」、 平成21年管理業務主任者試験 「問36」、 平成21年管理業務主任者試験 「問13」、 平成20年管理業務主任者試験 「問37」
 標準管理規約においては、管理費と修繕積立金の勘定は、完全に分けて管理しなさいといっています。
 そこで、標準管理規約61条2項
 「(管理費等の過不足)
 第61条 収支決算の結果、管理費に余剰を生じた場合には、その余剰は翌年度における管理費に充当する。
   
2 管理費等に不足を生じた場合には、管理組合は組合員に対して第25条第2項に定める管理費等の負担割合により、その都度必要な金額の負担を求めることができる。」 とあり、
  管理費や修繕積立金が不足したら、値上げをしなさいといっています。
 そこで、借入れですが、これは、標準管理規約48条
 「(議決事項)
 第48条 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければなら ない。
     一 収支決算及び事業報告
     二 収支予算及び事業計画
     三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
     四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
     五 長期修繕計画の作成又は変更
     
六 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための 資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
     七 第28条第2項に定める建物の建替えに係る計画又は設計等の経費の ための修繕積立金の取崩し
     八 修繕積立金の保管及び運用方法
     九 第21条第2項に定める管理の実施
     十 区分所有法第57条第2項及び前条第3項第三号の訴えの提起並び にこれらの訴えを提起すべき者の選任
     十一 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧  
     十二 区分所有法第62条第1項の場合の建替え
     十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
     十四 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
     十五 その他管理組合の業務に関する重要事項」
 とあり、
 6号で引用されています、28条は、「修繕積立金」です。 管理費については、借入れを認めていませんので、適切です。
 
*標準管理規約 48条は、平成28年3月の標準管理規約の改正で追加等があったが、6号は変更がありません。


3 会計処理に関する規約の変更は、総会の決議を経なければならないが、その使用細則の変更は、理事会の決議だけで足りる。

X 適切でない。 規約の変更も、使用細則の変更も総会の決議事項。 平成24年管理業務主任者試験 「問35」、 平成24年管理業務主任者試験 「問13」、 平成24年マンション管理士試験 「問29」 など多い。
 総会の決議事項は、標準管理規約48条4号
 「(議決事項)
 第48条 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければなら ない。
     一 収支決算及び事業報告
     二 収支予算及び事業計画
     三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
     
四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
     五 長期修繕計画の作成又は変更
     六 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための 資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
     七 第28条第2項に定める建物の建替えに係る計画又は設計等の経費の ための修繕積立金の取崩し
     八 修繕積立金の保管及び運用方法
     九 第21条第2項に定める管理の実施
     十 区分所有法第57条第2項及び前条第3項第三号の訴えの提起並び にこれらの訴えを提起すべき者の選任
     十一 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
     十二 区分所有法第62条第1項の場合の建替え
    十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
    十四 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
    十五 その他管理組合の業務に関する重要事項」
 とあり、
 4号によれば、設問の規約の変更と使用細則の変更も、共に総会の決議事項で、「使用細則の変更は、理事会の決議だけ」で足りませんので、適切ではありません。
 *標準管理規約 48条は、平成28年3月の標準管理規約の改正で追加等があったが、4号は変更がありません。


4 収支予算及び事業計画は、総会の決議を経なければならないが、収支決算及び事業報告は、理事会の決議だけで足りる。

X 適切でない。共に総会の決議事項。
 総会の決議事項は、選択肢3及び4で引用しました、標準管理規約48条1号及び2号
 
一 収支決算及び事業報告
  二 収支予算及び事業計画
 とあり、
  共に、総会の決議事項ですから、収支決算及び事業報告は、理事会の決議だけで足りるは、適切ではありません。
 *標準管理規約 48条は、平成28年3月の標準管理規約の改正で追加等があったが、1号、2号は変更がありません。



答え:2  設問をよく読むことです。 ここも、過去問題をやっていれば、易しい?

《タグ》会計、理事会の決議事項、 総会の決議事項。 標準管理規約

問13

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。

【問 13】 管理組合の監事の監査に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約の定めによれば、最も不適切なものはどれか。

1 管理組合の監事は、監査を実施するにあたって、理事から必要な証憑書類等を提出させるとともに、理事会に出席しなければならない。

X 適切でない。 監事の理事会への出席は義務ではない。 平成25年管理業務主任者試験 「問34」、 平成25年マンション管理士試験 「問25」
 監事の業務内容は、標準管理規約41条
 「(監事)
 第41条 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない。
   2  監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。
   
3 監事は、理事会に出席して意見を述べることができる。」 
とあり、
 1項により、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査のために、前半の「理事から必要な証憑書類等を提出させること」は、適切ですが、後半の「理事会に出席しなければならない」は、3項によれば、「監事は、理事会に出席して意見を述べることができる」だけで常に監事は、理事会への出席を義務付けられているわけではありませんので、適切ではありません。

  でも、監事として業務を監査するには、毎回理事会への出席はした方がいいでしょう。ただし、監事は理事会での議決権はありません。
 *私の意見を取り入れて、標準管理規約 41条は、平成28年3月の標準管理規約の改正で大幅に追加等があり、3項は、4項となり、
 「4 監事は、理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなけ ればならない。」と監事の理事会への出席が義務化されたので、この解答は、「適切である」になります。


2 管理組合の監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない。

○ 適切である。
 選択肢1で引用しました、標準管理規約41条1項
 「
監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない。」 に該当し、適切です。
 *標準管理規約 41条は、平成28年3月の標準管理規約の改正で大幅に追加等がありましたが、1項は変更がありません。


3 管理組合の理事長は、毎会計年度の収支決算案を監事の会計監査を経て、通常総会に報告し、その承認を得なければならない。

○ 適切である。
 理事長の職務として、標準管理規約59条
 「(会計報告)
 第59条
理事長は、毎会計年度の収支決算案を監事の会計監査を経て、通常総会に報告し、その承認を得なければならない。」 とあり、
 適切です。

 *標準管理規約 59条は、平成28年3月の標準管理規約の改正でも変更がありません。


4 管理組合の監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について、不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。

○ 適切である。
 監事の職務は、これも選択肢1で引用しました、標準管理規約41条2項
 「2  
監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。 とあり、適切です。
 *標準管理規約 41条は、平成28年3月の標準管理規約の改正で大幅に追加等がありましたが、2項(新3項に)は変更がありません。



答え:1  監事の職務の基本です。 易しい。

《タグ》監事、 理事長の会計報告。 標準管理規約

問14

【問 14】 管理組合の活動における以下の取引に関して、平成26年3月分の仕訳として正しいものは次のうちどれか。ただし、この管理組合の会計年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までとし、期中の取引において、企業会計原則に基づき厳格な発生主義によって経理しているものとする。


*私の過去問題の解説を読んでいる人には、度々の重なる説明で恐縮ですが、マンションの管理組合では、明確な会計基準がありません。
 でも、営利を目的とした企業活動ではないことは明らかです。そこで、非営利団体と似ている公益法人の会計方法を基にしています。
 その最大の特徴が、発生主義の採用です。
 
 ★マンションの会計処理で
発生主義ということの重要性は、

  全ての費用・収益は、その支出・収入に基づいて計上し、その発生した期間
     *収入については、請求権が生じた月、
     *支出については、支出が労役などの提供又は工事などである場合は、その労役などの提供又は工事等が完了した月、物品の購入なら、その物品が納入された月
    に正しく割り当てるように処理すること。

 これにより、管理費や修繕積立金は該当月に徴収することになっているなら、未収入金(滞納)があっても、全額計上されている。

 この辺りが、企業の会計処理を知っている人には、なかなか理解できない個所です。


*これらを前提に、仕訳は、
 1.勘定科目の選定
  非常階段の錆の塗装なら、修繕費から出していいでしょう。
 2.仕訳が求められているのは、いつか?
   問題文をよく読むことです。
  平成26年3月の仕訳です。
  
  ア.1月29日に着手金として、1,000,000円を支払った
    これにより、発生主義では、普通預金から資産の減少として貸方に、まだ、修繕は完了していませんから、勘定科目は前払い金として処理します。
    前払い金は資産の増加として借方で処理します。

   
借方 貸方
前払い金 1,000,000 普通預金 1,000,000

 イ.2月末に、中間金として、1,000,000円を支払った
   これも、(ア)と同様に、普通預金から、前払い金として処理します。
借方 貸方
前払い金 1,000,000 普通預金 1,000,000

 ウ.3月末に工事は完了したが、支払いは、4月25日の予定。
  ということは、発生主義では、もう工事完了のため、実際の支払いはまだですが、3月には仕訳をします。
  そこで、修繕費勘定の総額 3,000,000円は完了として費用の発生で借方に計上し、その内 2,000,000円は、既に前払い金として支払っていますから、これは、資産の減少として貸方になります。
  残る、1,000,000円は、4月に支払いますから、未払金として負債の増加として、これも、貸方になります。
借方 貸方
修繕費 3,000,000 前払い金 2,000,000
未払金 1,000,000

 で正解は、4 になります。
 
 なお、4月の該当の仕訳は、
 
借方 貸方
未払金 1,000,000 普通預金 1,000,000
 
 となります。



答え:4  かなり、詳細に解説しました。 易しい出題です。
       {ある受験者の感想…修繕費については、金額が大きいので、一瞬2にするか、迷った}


《タグ》会計、仕訳、発生主義、修繕費、前払い、未払。 

問15

【問 15】 管理組合の活動における以下の取引に関して、平成26年3月分の仕訳として正しいものは次のうちどれか。ただし、この管理組合の会計年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までとし、期中の取引において、企業会計原則に基づき厳格な発生主義によって経理しており、支払保険料についても毎月初めに当月発生額を費用計上しているものとする。



「発生主義」 ということの重要性は、前の 「問14」 を参考にしてください。  平成20年管理業務主任者試験 「問15」、 平成17年管理業務主任者試験 「問15」 。
  修繕積立保険の処理は、平成26年マンション管理士試験 「問35」  でも出ている。


 積立金の処理は、大変に面倒です。どんな会計処理の規則が該当しているのか分かりませんが、設問から推察して解説すると、
  条件の内、1.危険保険料(危険保険部分) 年額 900,000円は、満期には戻って来ません。掛け捨て部分です。
           この部分は、この設問の例によると、聞いたことがない、前払いとして、「危険保険料」 という勘定科目で処理されています。
         2.積立保険料(修繕積立部分) 年額 900,000円は、満期には戻ってきます。
           この部分は、1年後には戻ってきますから、そのまま保険積立金勘定科目で処理されているようです。

 それでは、条件を追っていきましょう。
 1.平成25年6月30日に、平成25年7月1日から平成26年6月末までの1年分の保険料 1,800,000円を普通預金から支払った。
   6月に7月以降の支払いをしたということは、全部前払いです。そこで、設問の勘定科目を使うなら、

借方 貸方
前払保険料 900,000 普通預金 1,800,000
前払保険積立金 900,000

 2.翌月(7月)以降は、年で一括前払いされた掛け捨ての危険保険金を、月ごとに分けて、取り崩していく必要があるため、反対の仕訳をして計上していくことになります。
   そこで、危険保険料 年払い 900,000 ÷ 12ヶ月 = 75,000 
   また、戻ってくる積立保険料(修繕積立部分)が、計上されます。
  7月の仕訳は、
 

借方 貸方
支払危険保険料 75,000 前払保険料 75,000
保険積立金 900,000 前払保険積立金 900,000

 以降、各月は、掛け捨て分を取り崩していきます。
    例えば、3月の該当の繕積立保険の処理は、 

借方 貸方
支払危険保険料 75,000 前払保険料 75,000

 となり、正解は、2 です。


答え:2  しかし、支払危険保険料など勘定科目の名称といい、このような会計処理を出題するとは、適切でない。 
       平成26年マンション管理士試験 「問35」 と この 「問15」 を比較すれば分かるように、マンションの管理組合では、決められた会計ルールがないことに注意してください。

《タグ》会計、 仕訳、積立型保険。  

問16

【問 16】 管理組合の活動に係る消費税に関する次の記述のうち、消費税法(昭和63年法律第108号)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 管理組合が大規模修繕を行う際に、銀行からその費用の一部を借り入れたが、その弁済金の元金部分には消費税は課税されないが、その支払利息部分には消費税は課税される。

X 誤っている。 元金にも利息にも消費税は課税されない。 平成23年管理業務主任者試験 「問16」、 平成22年管理業務主任者試験 「問16」平成18年管理業務主任者試験 「問16」平成16年管理業務主任者試験 「問16」。
 消費税が課税されるかどうかは、判断が難しいので、具体的には、税務署の判断基準があります。
  https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6221.htm

 それによると、
 「消費税は、財貨やサービスの流れを通して消費に負担を求める税です。したがって、消費税の課税の対象になじまない資金の流れに関する取引などは非課税とされています。
 
具体的には、次のものを対価とする金融取引などが非課税とされています
  
1 預貯金や貸付金の利子 とあり、
 利息には、消費税は課税されませんから、誤りです。

  なお、弁済金の元金部分は、不課税取引に該当して消費税は課税されません。


2 消費税法上、管理組合が納税義務者かどうかを判断する場合の、基準期間における課税売上高には、組合員から収受する駐車場収入が含まれる。

X 誤っている。 課税売り上げ高には、組合員から収受する駐車場収入は含まれない。
 以前から、マンションの組合員から収受する駐車場収入は、消費税の課税売り上げ高には含まれないと判断されていましたが、国土交通省が正式に税務署に質問状を出しています。
 それが、
  https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shohi/02/26.htm

  それによると、
 「マンション管理組合は、その居住者である区分所有者を構成員とする組合であり、その組合員との間で行う取引は営業に該当しません。
  したがって、マンション管理組合が収受する金銭に対する消費税の課税関係は次のとおりとなります。
   
イ 駐車場の貸付け………組合員である区分所有者に対する貸付けに係るものは不課税となりますが、組合員以外の者に対する貸付けに係るものは消費税の課税対象となります。
   ロ 管理費等の収受………不課税となります。」
 とあり、
 イ によれば、駐車場の賃料で、組合員である区分所有者に対する貸付けに係るものは不課税ですから、含まれず、誤りです。
   ただし、組合員以外の外部の人にマンションの駐車場を貸して、収入があれば、消費税の課税対象となりますよ。


 


3 消費税法上、非法人の管理組合は納税義務者とはならないが、管理組合法人は納税義務者となる。

X 誤っている。 法人、非法人に係わらず、管理組合は、納税義務者とはなる。
 まず、管理組合が法人化されていると、区分所有法第47条14項
 「14  管理組合法人は、消費税法 (昭和六十三年法律第百八号)その他消費税に関する法令の規定の適用については、同法 別表第三に掲げる
法人とみなす。 」 とあり、
 法人として消費税法の納税義務者となります。
 
 また、法人化されていない管理組合でも、消費税法第2条1項7号
 「七  
人格のない社団等 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。 」 とあり、
 この人格のない社団等にマンションの管理組合が該当します。
 すると、消費税法第3条
 「(人格のない社団等に対するこの法律の適用)
 第三条  
人格のない社団等は、法人とみなして、この法律(第十二条の二及び別表第三を除く。)の規定を適用する。 」 とあり、
 法人とみなされていますから、マンションの管理組合は、非法人・法人に係わらず、消費税法の納税義務者となりますから、誤りです。



4 管理組合の支出のうち、火災保険料等の損害保険料は非課税であるので、消費税の課税対象とはならない。

○ 正しい。保険金は、消費税の課税対象とはならない。
 この判断は、
 https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6157.htm
 それによりますと、
 「消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡や貸付け、役務の提供が課税の対象となります。 
したがって、次のような取引は、課税の対象となりません
   (1) 給与・賃金・・・・雇用契約に基づく労働の対価であり、「事業」として行う資産の譲渡等の対価に当たらないからです。
   (2) 寄附金、祝金、見舞金、補助金等・・・・一般的に対価として支払われるものではないからです。
   (3) 無償による試供品や見本品の提供・・・・対価の支払いがないからです。
   
(4) 保険金や共済金・・・・資産の譲渡等の対価といえないからです
   (5) 株式の配当金やその他の出資分配金・・・・株主や出資者の地位に基づいて支払われるものであるからです。
   (6) 資産について廃棄をしたり、盗難や滅失があった場合・・・・資産の譲渡等に当たらないからです。
   (7) 心身又は資産について加えられた損害の発生に伴い受ける損害賠償金・・・・対価として支払われるものではないからです。
 しかし、損害賠償金でも、例えば次のような場合は対価性がありますので、課税の対象となります。
   イ 損害を受けた棚卸資産である製品が加害者に引き渡される場合で、その資産がそのままで使用できる場合や、軽微な修理をすれば使用できる場合
   ロ 無体財産権の侵害を受けたために受け取る損害賠償金が権利の使用料に相当する場合
   ハ 事務所の明渡しが期限より遅れたために受け取る損害賠償金が賃貸料に相当する場合」
  とあり、
 (4)によれば、 「保険金や共済金・・・・資産の譲渡等の対価といえないから」 課税対象ではなく、正しい。



答え:4  ここは、過去問題をやっていれば、易しい。

《タグ》消費税、 支払利息の非課税、 駐車場収入、法人化されていなくても納税義務者、保険の非課税。

問17

【問 17】 特殊建築物等の内装に関する制限(以下、本問において「内装制限」という。)に関する次の記述のうち、建築基準法(昭和25年法律第201号)によれば、正しいものはどれか。

1 国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものである不燃材料・準不燃材料・難燃材料において、不燃性能に関して難燃材料は不燃材料に含まれる。

X 誤っている。 難燃材料の性能は、不燃材料の性能より劣る。
 まず、内装制限とは、建物内部で火災が発生した際に、内装が激しく燃えて火災が拡大したり、有害なガスを発生したりして、内部にいる人間の避難を妨げることがないよう規定されるものです。
 そして、特殊建築物等の内装に関する制限は、建築基準法第35条の2
 「(特殊建築物等の内装)
 第三十五条の二  別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物、階数が三以上である建築物、政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物、延べ面積が千平方メートルをこえる建築物又は建築物の調理室、浴室その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備若しくは器具を設けたものは、政令で定めるものを除き、
政令で定める技術的基準に従つて、その壁及び天井(天井のない場合においては、屋根)の室内に面する部分の仕上げを防火上支障がないようにしなければならない。 とあります。
  つまり、 @特殊建築物(劇場類、ホテル、共同住宅類、百貨店類等)
        A階数が3階以上、延べ1,000uをこえる建築物
        B政令で定める窓その他の開口部の無い居室を有する建築物。
        C調理室、浴室その他火を使用する設備を設けたもの。
  が様々な制限を受けることになります。


 
 そして設問の、不燃材料は、建築基準法第2条9号
 「九  不燃材料 建築材料のうち、不燃性能(通常の火災時における火熱により燃焼しないことその他の政令で定める性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。 」 に従っています。
 そこで使用される材料には、以下の不燃性能が求められます。 
  @不燃材料.... 加熱開始後 20分間満たしている建築材料 (建築基準法施行令108条の2)
  A準不燃材料...加熱開始後 10分間満たしている建築材料 (建築基準法施行令1条5号)
  B難燃材料.... 加熱開始後 5分間満たしている建築材料 (建築基準法施行令1条6号)
  となっています。
 そこで、設問の「難燃材料」の不燃性能は、「加熱開始後 5分間満たしている建築材料」で、一方「不燃材料」の不燃性能は、「熱開始後 20分間満たしている建築材料」とあり、難燃材料は不燃材料に含まれていませんから、誤りです。
 なお、不燃材料は、難燃材料といえます。

 

   


2 内装制限を受けるのは、床・壁・天井であり、床に対する基準が最も厳しいものとなっている。

X 誤っている。 内装制限を受けるのは、壁及び天井であり、床は、火災では制限の基準は厳しくない。
 これは、火は上に昇る、と考えればいい。具体的には、選択肢1でも引用しました、建築基準法第35条の2
 「(特殊建築物等の内装)
 第三十五条の二  別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物、階数が三以上である建築物、政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物、延べ面積が千平方メートルをこえる建築物又は建築物の調理室、浴室その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備若しくは器具を設けたものは、政令で定めるものを除き、政令で定める技術的基準に従つて、
その壁及び天井(天井のない場合においては、屋根)の室内に面する部分の仕上げを防火上支障がないようにしなければならない。 」 とあるように、
 防火上重要なのは、壁及び天井であって、床に対する内装制限の基準は、最も厳しいは、誤りです。


 


3 耐火建築物の共同住宅で、400u以内ごとに準耐火構造の床、壁又は建築基準法第2条第9号の2ロに規定する防火設備で区画されている住戸にある居室には、内装制限が適用されない。

X 誤っている。 耐火建築物の共同住宅では、”400u以内”ではなく”200u以内ごと”に、準耐火構造の床、壁や防火設備で区画されていれば、内装制限が適用されない。
 設問は、建築基準法施行令129条、
 「第百二十九条  前条第一項第一号に掲げる特殊建築物は、当該各用途に供する居室(法別表第一(い)欄(二)項に掲げる用途に供する特殊建築物が耐火建築物又は法第二条第九号の三 イに該当する準耐火建築物である場合にあつては、当該用途に供する特殊建築物の部分で床面積の合計百平方メートル(
共同住宅の住戸にあつては、二百平方メートル)以内ごとに準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備で区画されている部分の居室を除く。)の壁(床面からの高さが一・二メートル以下の部分を除く。第四項において同じ。)及び天井(天井のない場合においては、屋根。以下この条において同じ。)の室内に面する部分(回り縁、窓台その他これらに類する部分を除く。以下この条において同じ。)の仕上げを第一号に掲げる仕上げと、当該各用途に供する居室から地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを第二号に掲げる仕上げとしなければならない。 」 とあり、
 かなり注意して読まないと分かりにくいのですが、「共同住宅の住戸にあつては、二百平方メートル)以内ごとに準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備で区画されている部分の居室を除く」 により、
 設問の「400u以内ごと」は、「200u以内ごと」で、適切ではありません。



4 屋内避難階段及び特別避難階段の階段室の天井及び壁の室内に面する部分は、不燃材料で仕上げをし、かつ、その下地も不燃材料で造らなければならない。

○ 正しい。 平成24年マンション管理士試験 「問41」選択肢4。
 設問は、建築基準法施行令第123条
 「(避難階段及び特別避難階段の構造)
 第百二十三条  
屋内に設ける避難階段は、次に定める構造としなければならない。
     一  階段室は、第四号の開口部、第五号の窓又は第六号の出入口の部分を除き、耐火構造の壁で囲むこと。
     
二  階段室の天井(天井のない場合にあつては、屋根。第三項第三号において同じ。)及び壁の室内に面する部分は、仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造ること。
     三  階段室には、窓その他の採光上有効な開口部又は予備電源を有する照明設備を設けること。
     四  階段室の屋外に面する壁に設ける開口部(開口面積が各々一平方メートル以内で、法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。)は、階段室以外の当該建築物の部分に設けた開口部並びに階段室以外の当該建築物の壁及び屋根(耐火構造の壁及び屋根を除く。)から九十センチメートル以上の距離に設けること。ただし、第百十二条第十項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
     五  階段室の屋内に面する壁に窓を設ける場合においては、その面積は、各々一平方メートル以内とし、かつ、法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものを設けること。
     六  階段に通ずる出入口には、法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備で第百十二条第十四項第二号 に規定する構造であるものを設けること。この場合において、直接手で開くことができ、かつ、自動的に閉鎖する戸又は戸の部分は、避難の方向に開くことができるものとすること。
     七  階段は、耐火構造とし、避難階まで直通すること。
   2  屋外に設ける避難階段は、次に定める構造としなければならない。
     一  階段は、その階段に通ずる出入口以外の開口部(開口面積が各々一平方メートル以内で、法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。)から二メートル以上の距離に設けること。
     二  屋内から階段に通ずる出入口には、前項第六号の防火設備を設けること。
     三  階段は、耐火構造とし、地上まで直通すること。
   3  
特別避難階段は、次に定める構造としなければならない。
     一  屋内と階段室とは、バルコニー又は外気に向かつて開くことができる窓若しくは排煙設備(国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものに限る。)を有する付室を通じて連絡すること。
     二  階段室、バルコニー及び付室は、第五号の開口部、第七号の窓又は第九号の出入口の部分(第百二十九条の十三の三第三項に規定する非常用エレベーターの乗降ロビーの用に供するバルコニー又は付室にあつては、当該エレベーターの昇降路の出入口の部分を含む。)を除き、耐火構造の壁で囲むこと。
     
三  階段室及び付室の天井及び壁の室内に面する部分は、仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造ること。
     四  階段室には、付室に面する窓その他の採光上有効な開口部又は予備電源を有する照明設備を設けること。
     五  階段室、バルコニー又は付室の屋外に面する壁に設ける開口部(開口面積が各々一平方メートル以内で、法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。)は、階段室、バルコニー又は付室以外の当該建築物の部分に設けた開口部並びに階段室、バルコニー又は付室以外の当該建築物の部分の壁及び屋根(耐火構造の壁及び屋根を除く。)から九十センチメートル以上の距離にある部分で、延焼のおそれのある部分以外の部分に設けること。ただし、第百十二条第十項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
     六  階段室には、バルコニー及び付室に面する部分以外に屋内に面して開口部を設けないこと。
     七  階段室のバルコニー又は付室に面する部分に窓を設ける場合においては、はめごろし戸を設けること。
     八  バルコニー及び付室には、階段室以外の屋内に面する壁に出入口以外の開口部を設けないこと。
     九  屋内からバルコニー又は付室に通ずる出入口には第一項第六号の特定防火設備を、バルコニー又は付室から階段室に通ずる出入口には同号の防火設備を設けること。
     十  階段は、耐火構造とし、避難階まで直通すること。
     十一  建築物の十五階以上の階又は地下三階以下の階に通ずる特別避難階段の十五階以上の各階又は地下三階以下の各階における階段室及びこれと屋内とを連絡するバルコニー又は付室の床面積(バルコニーで床面積がないものにあつては、床部分の面積)の合計は、当該階に設ける各居室の床面積に、法別表第一(い)欄(一)項又は(四)項に掲げる用途に供する居室にあつては百分の八、その他の居室にあつては百分の三を乗じたものの合計以上とすること。」
 とあり、
 屋内避難階段の階段室は1項2号に該当し、特別避難階段室の階段室は3項3号に該当し、共に、正しい。



答え:4  かなり、詳細に解説したので、時間がかかった。選択肢4以外は知らなくても、正解ができたかも。
      {ある受験者の感想…「内装制限」は初めてきいた}
《タグ》 内装制限、 避難階段。  建築基準法 参考:「マンション管理士 香川事務所」が無償で提供しています、 「超解説 建築基準法」

問18

【問 18】 コンクリートの特徴に関する次のアからカの記述のうち、不適切なもののみの組合せはどれか。

ア 引張強度が大きい。
イ 剛性が高い。
ウ 自由な成形ができる。
エ ひび割れが生じにくい。
オ 乾燥収縮が大きい。
カ 耐火性が劣る。

まず、コンクリートの長所は、以下の内容です。
    @圧縮強度が高い
    A剛性が高い
    B成形性がよい
    C経済性に優れる
    D材料を得やすい
    E水により間単に硬化する
    F耐火性がある
    G鋼材との相性がいい

 そして、コンクリートの短所は、以下の内容です。
    @引張強度がが小さい
    Aひび割れが生じやすい
    B重量が大きい
    C解体・廃棄が困難
    Dまだ固まらない状態の性質が施工性に大きく影響する
   これらの長所を活かし、鉄筋の発錆、熱による強度の低下などの短所を補ったものが、鉄筋コンクリートです。

 そこで、設問の不適切なものは、
  ア 引張強度が大きい → 引張強度が小さい。 圧縮には強い
  エ ひび割れが生じにくい → 生じやすい 
  カ 耐火性が劣る → 耐火性がある

 となり、正解は、2 です。



1 ア・イ・ウ
2 ア・エ・カ
3 イ・ウ・オ
4 エ・オ・カ


答え:2  不適切なのは、ア、エ、カ  過去問題をやっていれば、組合せでも難しくない。

《タグ》コンクリート、長所、短所。

問19

【問 19】 住戸セントラル給湯方式用熱源機器に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 自然冷媒ヒートポンプ給湯機とは、冷媒にフロンなどを使用せずに、二酸化炭素を利用したヒートポンプ給湯機である。

○ 適切である。 過去問題あり。 平成22年マンション管理士試験 「問44」平成18年マンション管理士試験 「問45」。
 まず、冷媒に使用されていたフロンですが、正式にはフルオロカーボンといい、炭素とフッ素の化合物です。無毒性、不燃性、化学的安定性といった優れた性質をもっており、それによって空調機器や冷凍庫・冷蔵庫・自動車の冷房などの冷媒として広く一般的に使用されています。
 しかし、このフロンが大気中に放出されますと、有害紫外線から私たちを守ってくれている地球を覆っているオゾン層を破壊することが問題となってきました。そこで、生産の規制も始まりましたが、現在使用されているものも多く、回収はこれからというのが実情です。


 そこで、新しい技術として、ヒート・ポンプが開発されました。
 ヒートポンプ技術(Heat Pump)とは、外部からのエネルギーを与えて、低い温度の部分から温度の高い部分へ熱を移動させる装置とその技術の事を指す。冷房ならびに暖房としての技術として使われておりエアコンなどがその代表的な技術といえる。近年ではヒートポンプ技術を活用した電気温水器である「エコキュート」が登場し普及している。
 ヒートポンプ技術の仕組みは熱交換という仕組みであり、二酸化炭素(CO2)などの冷媒を圧縮することで熱を作りだし、拡張させることで熱を放出させるという原理に基づき冷・暖房を行う。

 そこで、自然冷媒ヒートポンプ給湯機とは...冷媒としてフロンではなく、自然冷媒・二酸化炭素(CO2)を用いた熱交換式の電気給湯器で「エコキュート」と呼ばれている。構造は大気の熱を冷媒に移し、その熱で湯を沸かすので、適切です。
 

 


2 潜熱回収型ガス給湯機とは、従来のガス給湯機の燃焼ガス排気部に給水管を導き、燃焼時に熱交換して昇温してから、これまでと同様に燃焼部へ水を送り再加熱するものである。

○ 適切である。
 潜熱回収型ガス給湯器とは...従来のガス給湯器の熱効率がおよそ80%であったのに対し、約15%高い95%の熱効率を実現させた新型のガス給湯器。

 基本的なガス給湯器器の仕組みは、水が通る熱交換器をガスの燃焼によって生じた高温ガスに当てることで、ガスから熱を回収し温水を得る作りになっています。
 このとき従来型の給湯器機器では熱交換後の排気ガスは200℃程度であり、燃料エネルギーのおよそ80%しか回収できていませんでした。
 そこで、潜熱回収型ガス給湯器では、従来利用しないで排出していた(一次)熱交換後の燃焼ガスを二次熱交換機に当てて給水を予熱します。
 二次熱交換機で排気温度を水の沸点以下の60℃程度まで下げることで排気ガス中に含まれる水蒸気を液体の水とし、潜熱(凝縮熱)を回収できるようにしていますから、設問は適切です。
 この潜熱(凝縮熱)を回収によって全体として95%程度の熱効率を実現し、液体の水となった水蒸気の分だけ排気量も少なくなります。
 


 



3 電力を利用した自然冷媒ヒートポンプ給湯機の加熱効率(COP)(加熱量[kWh]/ヒートポンプ入力電力量[kWh])は年間平均でほぼ1である。

X 適切でない? 年間平均 COPは、ほぼ1ではなく、3 以上?
 まず、聞いたことのない、COP(Coefficient Of Performance)とはエネルギー消費効率とも呼ばれる冷暖房器具のエネルギー消費効率をチェックするための係数のことです。
 消費電力1kWに対しての冷却能力、暖房(加熱)能力を示す値のことで、省エネルギー法にも採用されている概念です。

 このCOPは、冷・暖房機器の性能を示す指標として広く利用されており、機器やカタログなどにもCOPがどの程度かが記載されています。
 家庭におけるCOPが関係する製品としては「エアコン(冷暖房)」「冷蔵庫」「エコキュート(給湯器)」などが代表的。
  冷房COP = 冷房能力(kW) ÷ 冷房消費電力(kW)
  暖房COP = 暖房能力(kW) ÷ 暖房消費電力(kW)
  冷・暖房兼用のものは両者の平均値 (冷房COP+暖房COP) ÷ 2 で表されます。
、COPは使ったエネルギーに対してその何倍の冷・暖房としての能力を発揮したのか、ということになります。
 例えば、暖房の場合、電気を使ってヒーターで暖める場合、電気を熱に変える場合、1kW の電気を使うことで得られる熱量は 860kcal になるので、電熱ヒーターによる発熱は1kWあたり860kcalにしかならないということになる。(エネルギー保存の法則)

 一方でヒートポンプ技術を利用すれば、空気を直接暖める(冷やす)のではなく、熱交換により冷暖房を行うため効率的な発熱(冷房)が可能です。
 例えばCOPが5という場合は、1kW の電気消費で 860kcal×5=4300kcal の熱量を生み出すことができます。
 COPが高い製品ほど、効率的(省エネルギー)で熱を作り出すことができるということになります。

 そこで、電力を利用した自然冷媒ヒートポンプ給湯機(エコキュート)の場合、ヒートポンプ技術を使って「空気の熱」を利用してお湯を沸かしますが、エネルギー消費効率がこれまでより3倍程度と高い(APF※=3.0以上。圧縮機への電気入力1に対し、大気熱を効率よくくみ上げることで
3以上の出力が得られる)ため、従来の給湯器に比べ3分の1のエネルギーでお湯を沸かすことができます、とあり、電力を利用した自然冷媒ヒートポンプ給湯機(エコキュート)では、加熱効率(COP)は、1ではなく、3 のようで、適切ではありません。

 APF:Annual Performance Factor of hot water supply(通年エネルギー消費効率)1年間を通じて、ある一定条件のもとにヒートポンプ給湯器を運転したときの単位消費電力量あたりの給湯熱量を示したもの





4 東日本大震災で貯湯式の給湯設備に被害が多かったことから告示改正が行われ、人が危害を受けるおそれのない場合等を除き、設置場所、満水時の質量、アスペクト比ごとに、建築物の部分等に固定するアンカーボルトの種類・本数などが規定された。

○ 適切である。
 平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、住宅に設置されていた電気給湯器がアンカーボルトにより緊結されていない等の原因で、給湯設備の転倒・移動による被害が多数発生しました。
 そこで、これら被害の再発防止等を図るため、『建築設備の構造耐力上安全な構造方法を定める件(平成12年建設省告示第1388号)』の一部が改正され、平成25年4月1日から施行されました。(平成24年12月12日国土交通省告示第1447号)
 この根拠は、官報
  http://www.jraia.or.jp/product/heatpump/notice1447.pdf
  また、国土交通省告示代1447号。  
  http://www.jgka.or.jp/information/2013/2013_03_29_tentouboushi_manual_ippan_130423shuusei.pdf

  適切です。

答え:3  まったく、選択肢3の加熱効率(COP)なんて、知る訳がない箇所からの出題だ。
       このように、管理業務主任者試験では、過去問題ではでていない箇所からの出題がありますから、それらの対応が必要です。
       でも、他の選択肢は、過去に出題されていますから、正解の推定はできます。

        {ある受験者の感想…選択肢3はまったく知らなかったが、他の3つが、適切のようなので、選択肢3にした}

《タグ》自然冷媒ヒートポンプ給湯機 潜熱回収型ガス給湯機、自然冷媒ヒートポンプ給湯機の加熱効率(COP)、給湯設備。

問20

【問 20】 防災設備に必要とされる非常用電源に関する次の記述のうち、建築基準法及び消防法(昭和23年法律第186号)によれば、誤っているものはどれか。

1 非常用の照明装置の予備電源は、常用の電源が断たれた場合に自動的に切り替えられて接続され、かつ、常用の電源が復旧した場合に自動的に切り替えられて復帰するものとしなければならない。

○ 正しい。 平成19年管理業務主任者試験 「問21」
 非常用の照明装置の予備電源は、建築基準法施行令126条の4
 「(設置)
 「第百二十六条の四  法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物の居室、階数が三以上で延べ面積が五百平方メートルを超える建築物の居室、第百十六条の二第一項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が千平方メートルを超える建築物の居室及びこれらの居室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路(採光上有効に直接外気に開放された通路を除く。)並びにこれらに類する建築物の部分で照明装置の設置を通常要する部分には、
非常用の照明装置を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。
     一  一戸建の住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸
     二  病院の病室、下宿の宿泊室又は寄宿舎の寝室その他これらに類する居室
     三  学校等
     四  避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないものその他これらに類するものとして国土交通大臣が定めるもの」
 とあり
 これを受けた、
 「(昭和45年12月28日建設省告示第1830号) 最終改正 平成12年5月30日建設省告示第1405号
 「 非常用の照明装置の構造方法を定める件」第三
 第三電源
   一常用の電源は、蓄電池又は交流低圧屋内幹線によるものとし、その開閉器には非常用の照明装置用である旨を表示しなければならない。
   
二予備電源は、常用の電源が断たれた場合に自動的に切り替えられて接続され、かつ、常用の電源が復旧した場合に自動的に切り替えられて復帰するものとしなければならない。
   三予備電源は、自動充電装置時限充電装置を有する蓄電池(開放型のものにあつては、予備電源室その他これに類する場所に定置されたもので、かつ、減液警報装置を有するものに限る。以下この号において同じ。)又は蓄電池と自家用発電装置を組み合わせたもの(常用の電源が断たれた場合に直ちに蓄電池により非常用の照明装置を点灯させるものに限る。)で充電を行うことなく三十分間継続して非常用の照明装置を点灯させることができるものその他これに類するものによるものとし、その開閉器には非常用の照明装置用である旨を表示しなければならない。」
 とあり、
 正しい。



2 停電時の予備電源として蓄電池を用いる非常用の照明装置にあっては、充電を行うことなく60分間以上継続して点灯できなければならない。

X 誤っている。 60分ではなく、30分でいい。
 選択肢1で引用しました、平成12年5月30日建設省告示第1405号 三によれば、
 「三予備電源は、自動充電装置時限充電装置を有する蓄電池(開放型のものにあつては、予備電源室その他これに類する場所に定置されたもので、かつ、減液警報装置を有するものに限る。以下この号において同じ。)又は蓄電池と自家用発電装置を組み合わせたもの(常用の電源が断たれた場合に直ちに蓄電池により非常用の照明装置を点灯させるものに限る。)で
充電を行うことなく三十分間継続して非常用の照明装置を点灯させることができるものその他これに類するものによるものとし、その開閉器には非常用の照明装置用である旨を表示しなければならない。」 とあり、
 充電を行うことなく30分間継続して非常用の照明装置を点灯させることができるもので、60分以上は、正しくない。



3 停電時の非常電源として自家発電設備を用いる屋内消火栓設備は、有効に30分間以上作動できるものでなければならない。

○ 正しい。
  建築物での火災の被害等を最小限度に止めるため、消防用設備等の設置が義務付けらており、このうち電源を必要とする屋内消火栓設備、スプリンクラー設備等には、常用電源が停電した場合に備え、非常電源の設置が義務付けらいます。その一つが自家発電設備です。
 法的には、停電時の非常電源として自家発電設備を用いる屋内消火栓設備は、消防法施行規則第12条にあり、該当の箇所は、
 「四  
屋内消火栓設備の非常電源は、非常電源専用受電設備、自家発電設備、蓄電池設備又は燃料電池設備(法第十七条の二の五第二項第四号 に規定する特定防火対象物(以下「特定防火対象物」という。)で、延べ面積が千平方メートル以上のものにあつては、自家発電設備、蓄電池設備又は燃料電池設備)によるものとし、次のイからホまでに定めるところによること。
  (以下、略)
   ロ 自家発電設備は、イ((ホ)及び(ト)を除く。)の規定の例によるほか、次の(イ)から(ニ)までに定めるところによること。
       
(イ) 容量は、屋内消火栓設備を有効に三十分間以上作動できるものであること。
       (ロ) 常用電源が停電したときは、自動的に常用電源から非常電源に切り替えられるものであること。
       (ハ) キュービクル式以外の自家発電設備にあつては、次の(1)から(3)までに定めるところによること。
           (1) 自家発電装置(発電機と原動機とを連結したものをいう。以下同じ。)の周囲には、〇・六メートル以上の幅の空地を有するものであること。
           (2) 燃料タンクと原動機との間隔は、予熱する方式の原動機にあつては二メートル以上、その他の方式の原動機にあつては〇・六メートル以上とすること。ただし、燃料タンクと原動機との間に不燃材料で造つた防火上有効な遮へい物を設けた場合は、この限りでない。
          (3) 運転制御装置、保護装置、励磁装置その他これらに類する装置を収納する操作盤(自家発電装置に組み込まれたものを除く。)は、鋼板製の箱に収納するとともに、当該箱の前面に一メートル以上の幅の空地を有すること。
       (ニ) 消防庁長官が定める基準に適合するものであること。
  (以下、略)」
 などありますが、
  これを受けた、
  自家発電設備の基準 ( 昭和四十八年二月十日 消防庁告示第一号 改正:昭和五〇年五月消防庁告示第五号、五七年四月第四号、平成一二年五月第八号、一三年三月第二六号、一八年三月第六号) によると、
 非常電源(消防法施行規則第12条、昭和48年消防庁告示第1号及び2号、昭和50年告示第7号、昭和56年告示第10号、平成9年告示第10号及び11号関係)
 「1 非常電源の設置
  非常電源は、消防用設備等の種別に応じ、第3-1表により設置するものとする。」
 とあり、
  
屋内消火栓設備は、作動時間30分間以上 とあり、正しい

 


4 停電時の非常電源として蓄電池を用いる自動火災報知設備は、有効に10分間以上作動できるものでなければならない。

○ 正しい。
 選択肢3でも引用しました、自家発電設備の基準 によれば、改正が多くて分かり難いのですが、
 停電時の非常電源として蓄電池を用いる自動火災報知設備は、
有効に10分間以上作動できるもの」 でなければりませんから、正しい。


答え:2  消防法の根拠が改正が多くて調べるのに、時間がかかった。
        {ある受験者の感想…選択肢2か、4かは迷ったが、2を選んだ}

《タグ》非常用電源、停電時の予備電源、非常用の照明装置、自家発電設備を用いる屋内消火栓設備、自動火災報知設備。 建築基準法 + 消防法

問21

【問 21】 熱環境等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 温熱要素とは、人体の体感に影響を及ぼす気温・湿度・気流・放射の総称である。

○ 適切である。
 温熱環境要素は、@気温(室温)、A相対湿度、B気流、C放射温度、の4つの物理的要素と、部屋にいる人の、着衣量と活動量の、2つの要素が関係しますので、適切です。
 なお、人間が感じる快適な温度は、夏 25℃〜28℃、冬 18℃〜22℃といわれています。



2 熱貫流には、熱伝導と熱伝達の2つの要素があり、熱伝導とは、周囲流体から固体表面、又は固体表面から周囲流体に熱が移動する現象であり、熱伝達とは、熱が物体の高温部から低温部へ移る現象である。

X 適切でない。 熱伝導と熱伝達が逆の説明になっている。 平成26年マンション管理士試験 「問41」。
 熱の伝わり方には、伝導、対流、放射の3つがあります。
 熱貫流とは、床、壁、屋根などを通して、熱が逃げたり、逆に入ってきたりすることで、1つの方向からみた熱の貫流(とおり貫け)をいいます。
 熱貫流は、空気から壁の表面に熱を伝える「熱伝達」と壁の内部で熱を移動させる「熱伝導」の2つの要素で構成されます。
 
熱伝導というのは、壁の内部で、熱エネルギーが温度の高い部分から低い部分に伝わる現象です。
 一方、
熱伝達とは、周囲の空気から固体である壁の表面に空気の熱が伝わる(移動する)、または、固体である壁の表面から、周囲の空気に熱が伝わる(移動する)現象です。
 設問は、熱伝導と熱伝達が逆の説明になっていて、適切ではありません。


  


3 コールドドラフトとは、冬期に室内に低温の気流が流れ込むか、又はガラスなどの冷壁面で冷された冷風が下降する現象である。

○ 適切である。
 また、過去問題ではでていない、コールド・ドラフトなんて言葉が出題されています。
 
コールド・ドラフト(Cold Draft 冷たい隙間風)...空調関係で使用される用語です。ドラフトとは、一般的には空気が流れることをいい、コールドにより人体に不快感を与える気流の意味をもつ。冷たい空気の流れで、不快な冷感を与える気流をいう。
 例えば、冬期の特に夜間では、室外の冷たい空気に冷やされて、室内側の窓ガラスの表面が冷たくなります。このため、窓ガラス付近の室内空気も冷やされて、下降気流が生じます。気流は人体の局所的な冷却を引き起こします。このような気流がコールド・ドラフトと呼ばれていますから、適切です。
 コールド・ドラフトによる不快感は、気温が低いほど、また気流が大きいほど増大しますから、室内の温熱環境を快適なものにするには、断熱性能の高い窓ガラスを用いることで、窓付近の気温を下げず、また下降気流の発生を抑えることが重要です。 室内に温度差が生じるため空間の快適性を損なうばかりか、脳溢血や冷え性が悪化するなど身体的にも悪影響を及ぼすと言われています。



4 露点温度とは、空気の温度が下がっていくとき空気中の水蒸気の圧力が飽和水蒸気圧に達する温度をいい、それ以下になったとき壁などの表面で結露する。

○ 適切である。
 
露点温度とは...、大気中(空気)には水蒸気が含まれています。そこで、一定量の水蒸気を含む空気を冷却したとき、ある温度になると水蒸気は飽和状態になり凝結が始まり、水滴になります。この水蒸気が飽和状態になった温度のことを露点温度といいます。露点温度以下になると、壁などの表面で結露が生じますから、適切です。
 空気中に含まれる水蒸気の量によって露点温度は異なります。単位はセルシウス度℃(アメリカではファーレンハイト度°F)やケルビンKが用いられます。露点温度が高いということは空気が湿っており(湿度が高い)、逆に点温度が低いということは空気が乾燥している(湿度が低い)ということを意味します。



答え:2  温熱要素とか、コールド・ドラフトとは新しい用語です。
       ここも、過去問題から、消去していけば、正解にたどり着ける?
        {ある受験者の感想…選択肢1,3,4は知らなかったが、2だけは、説明が逆になっているように感じた}

《タグ》熱環境、 温熱要素、熱貫流、熱伝導、熱伝達、コールド・ドラフト、露点温度。

問22

【問 22】 建築基準法における面積・高さなどの算定方法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 がけ地、川、線路敷地等に沿う道路のうち特定行政庁が指定する幅員4m未満の道路において、当該がけ地等の境界線から道の側に4mまでの部分は、敷地面積に算入されない。

○ 正しい。
  まず、建築基準法において、道路は車がすれ違えるために最低幅員が4m以上あることになっています。そして、建物の敷地は幅員4m以上の道路に2m以上は接していなければなりません。そこで、幅員が4m未満の道路に接しているとなると、道路の中心線から水平距離2mずつ両側に後退した線が道路境界線となり、この区域内には建物が建てられません。これが、敷地面積に算入されないとかセットバックとよばれています。

 

 しかし、建築基準法が制定される前から、建物はありますから、新築・増改築する際には、この原則:建物の敷地は幅員4m以上の道路に2m以上は接すること、を適用させるために、特定行政庁の指定により幅員が4m未満の道路でも、「道路とみなす」ことによって道路の幅員4m以上を確保しようとしています。これが、建築基準法で「2項道路」とか、「みなし道路」と呼ばれています。
  そこで、設問のような、向かい側が「がけ地、川、線路敷地等に沿う道路」となると、4m未満道路の中心線からセットバックをとっても、幅員4mを確保できないこともあるため、この場合には、当該がけ地等の境界線から道の側に4mまでの部分を敷地面積には入れることができず、正しい。
 根拠は、建築基準法42条2項と建築基準法施行令第2条1項1号です。


 建築基準法42条、
 「(道路の定義)
  第四十二条  この章の規定において「道路」とは、次の各号の一に該当する幅員四メートル(特定行政庁がその地方の気候若しくは風土の特殊性又は土地の状況により必要と認めて都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内においては、六メートル。次項及び第三項において同じ。)以上のもの(地下におけるものを除く。)をいう。
     一  道路法 (昭和二十七年法律第百八十号)による道路
     二  都市計画法 、土地区画整理法 (昭和二十九年法律第百十九号)、旧住宅地造成事業に関する法律(昭和三十九年法律第百六十号)、都市再開発法 (昭和四十四年法律第三十八号)、新都市基盤整備法 (昭和四十七年法律第八十六号)、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法 (昭和五十年法律第六十七号)又は密集市街地整備法 (第六章に限る。以下この項において同じ。)による道路
     三  この章の規定が適用されるに至つた際現に存在する道
     四  道路法 、都市計画法 、土地区画整理法 、都市再開発法 、新都市基盤整備法 、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法 又は密集市街地整備法 による新設又は変更の事業計画のある道路で、二年以内にその事業が執行される予定のものとして特定行政庁が指定したもの
     五  土地を建築物の敷地として利用するため、道路法 、都市計画法 、土地区画整理法 、都市再開発法 、新都市基盤整備法 、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法 又は密集市街地整備法 によらないで築造する政令で定める基準に適合する道で、これを築造しようとする者が特定行政庁からその位置の指定を受けたもの
   
2  この章の規定が適用されるに至つた際現に建築物が立ち並んでいる幅員四メートル未満の道で、特定行政庁の指定したものは、前項の規定にかかわらず、同項の道路とみなし、その中心線からの水平距離二メートル(前項の規定により指定された区域内においては、三メートル(特定行政庁が周囲の状況により避難及び通行の安全上支障がないと認める場合は、二メートル)。以下この項及び次項において同じ。)の線をその道路の境界線とみなす。ただし、当該道がその中心線からの水平距離二メートル未満でがけ地、川、線路敷地その他これらに類するものに沿う場合においては、当該がけ地等の道の側の境界線及びその境界線から道の側に水平距離四メートルの線をその道路の境界線とみなす。
   3  特定行政庁は、土地の状況に因りやむを得ない場合においては、前項の規定にかかわらず、同項に規定する中心線からの水平距離については二メートル未満一・三五メートル以上の範囲内において、同項に規定するがけ地等の境界線からの水平距離については四メートル未満二・七メートル以上の範囲内において、別にその水平距離を指定することができる。
   4  第一項の区域内の幅員六メートル未満の道(第一号又は第二号に該当する道にあつては、幅員四メートル以上のものに限る。)で、特定行政庁が次の各号の一に該当すると認めて指定したものは、同項の規定にかかわらず、同項の道路とみなす。
     一  周囲の状況により避難及び通行の安全上支障がないと認められる道
     二  地区計画等に定められた道の配置及び規模又はその区域に即して築造される道
     三  第一項の区域が指定された際現に道路とされていた道
   5  前項第三号に該当すると認めて特定行政庁が指定した幅員四メートル未満の道については、第二項の規定にかかわらず、第一項の区域が指定された際道路の境界線とみなされていた線をその道路の境界線とみなす。
   6  特定行政庁は、第二項の規定により幅員一・八メートル未満の道を指定する場合又は第三項の規定により別に水平距離を指定する場合においては、あらかじめ、建築審査会の同意を得なければならない。 」

 
 建築基準法施行令第2条
 「
(面積、高さ等の算定方法)
 第二条  次の各号に掲げる面積、高さ及び階数の算定方法は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
    
 一  敷地面積 敷地の水平投影面積による。ただし、建築基準法 (以下「法」という。)第四十二条第二項 、第三項又は第五項の規定によつて道路の境界線とみなされる線と道との間の部分の敷地は、算入しない。
     二  建築面積 建築物(地階で地盤面上一メートル以下にある部分を除く。以下この号において同じ。)の外壁又はこれに代わる柱の中心線(軒、ひさし、はね出し縁その他これらに類するもので当該中心線から水平距離一メートル以上突き出たものがある場合においては、その端から水平距離一メートル後退した線)で囲まれた部分の水平投影面積による。ただし、国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物又はその部分については、その端から水平距離一メートル以内の部分の水平投影面積は、当該建築物の建築面積に算入しない。
     三  床面積 建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による。
     四  延べ面積 建築物の各階の床面積の合計による。ただし、法第五十二条第一項 に規定する延べ面積(建築物の容積率の最低限度に関する規制に係る当該容積率の算定の基礎となる延べ面積を除く。)には、次に掲げる建築物の部分の床面積を算入しない。
       イ 自動車車庫その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設(誘導車路、操車場所及び乗降場を含む。)の用途に供する部分(第三項第一号及び第百三十七条の八において「自動車車庫等部分」という。)
       ロ 専ら防災のために設ける備蓄倉庫の用途に供する部分(第三項第二号及び第百三十七条の八において「備蓄倉庫部分」という。)
       ハ 蓄電池(床に据え付けるものに限る。)を設ける部分(第三項第三号及び第百三十七条の八において「蓄電池設置部分」という。)
       ニ 自家発電設備を設ける部分(第三項第四号及び第百三十七条の八において「自家発電設備設置部分」という。)
       ホ 貯水槽を設ける部分(第三項第五号及び第百三十七条の八において「貯水槽設置部分」という。)
     五  築造面積 工作物の水平投影面積による。ただし、国土交通大臣が別に算定方法を定めた工作物については、その算定方法による。
     六  建築物の高さ 地盤面からの高さによる。ただし、次のイ、ロ又はハのいずれかに該当する場合においては、それぞれイ、ロ又はハに定めるところによる。
       イ 法第五十六条第一項第一号 の規定並びに第百三十条の十二 及び第百三十五条の十九 の規定による高さの算定については、前面道路の路面の中心からの高さによる。
       ロ 法第三十三条 及び法第五十六条第一項第三号 に規定する高さ並びに法第五十七条の四第一項 、法第五十八条 及び法第六十条の三第一項 に規定する高さ(北側の前面道路又は隣地との関係についての建築物の各部分の高さの最高限度が定められている場合におけるその高さに限る。)を算定する場合を除き、階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分の水平投影面積の合計が当該建築物の建築面積の八分の一以内の場合においては、その部分の高さは、十二メートル(法第五十五条第一項 及び第二項 、法第五十六条の二第四項 、法第五十九条の二第一項 (法第五十五条第一項 に係る部分に限る。)並びに法別表第四(ろ)欄二の項、三の項及び四の項ロの場合には、五メートル)までは、当該建築物の高さに算入しない。
       ハ 棟飾、防火壁の屋上突出部その他これらに類する屋上突出物は、当該建築物の高さに算入しない。
     七  軒の高さ 地盤面(第百三十条の十二第一号イの場合には、前面道路の路面の中心)から建築物の小屋組又はこれに代わる横架材を支持する壁、敷桁又は柱の上端までの高さによる。
     八  階数 昇降機塔、装飾塔、物見塔その他これらに類する建築物の屋上部分又は地階の倉庫、機械室その他これらに類する建築物の部分で、水平投影面積の合計がそれぞれ当該建築物の建築面積の八分の一以下のものは、当該建築物の階数に算入しない。また、建築物の一部が吹抜きとなつている場合、建築物の敷地が斜面又は段地である場合その他建築物の部分によつて階数を異にする場合においては、これらの階数のうち最大なものによる。
   2  前項第二号、第六号又は第七号の「地盤面」とは、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいい、その接する位置の高低差が三メートルを超える場合においては、その高低差三メートル以内ごとの平均の高さにおける水平面をいう。
   3  第一項第四号ただし書の規定は、次の各号に掲げる建築物の部分の区分に応じ、当該敷地内の建築物の各階の床面積の合計(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、それらの建築物の各階の床面積の合計の和)に当該各号に定める割合を乗じて得た面積を限度として適用するものとする。
     一  自動車車庫等部分 五分の一
     二  備蓄倉庫部分 五十分の一
     三  蓄電池設置部分 五十分の一
     四  自家発電設備設置部分 百分の一
     五  貯水槽設置部分 百分の一
   4  第一項第六号ロ又は第八号の場合における水平投影面積の算定方法は、同項第二号の建築面積の算定方法によるものとする。 」
 


2 自動車車庫の床面積は、当該敷地内の建築物の各階の床面積の合計(同一敷地内に2以上の建築物がある場合においては、それらの建築物の各階の床面積の合計の和)に5分の1を乗じて得た面積を限度として、延べ面積には算入されない。

○ 正しい。
 基本的には、自動車車庫の床面積は、延べ面積には算入されません。それが、選択肢1で引用しました、建築基準法施行令第2条1項4号イ
 「(面積、高さ等の算定方法)
 第二条
  四  延べ面積 建築物の各階の床面積の合計による。ただし、法第五十二条第一項 に規定する延べ面積(建築物の容積率の最低限度に関する規制に係る当該容積率の算定の基礎となる延べ面積を除く。)には、
次に掲げる建築物の部分の床面積を算入しない
       イ 
自動車車庫その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設(誘導車路、操車場所及び乗降場を含む。)の用途に供する部分(第三項第一号及び第百三十七条の八において「自動車車庫等部分」という。)」 
 
とあるのですが、特例として同3項に
 「3  第一項第四号ただし書の規定は、次の各号に掲げる建築物の部分の区分に応じ、当該敷地内の建築物の各階の床面積の合計(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、それらの建築物の各階の床面積の合計の和)に
当該各号に定める割合を乗じて得た面積を限度として適用するものとする
     
一  自動車車庫等部分 五分の一
     二  備蓄倉庫部分 五十分の一
     三  蓄電池設置部分 五十分の一
     四  自家発電設備設置部分 百分の一
     五  貯水槽設置部分 百分の一 」
  とあり、
 3項1号により、正しい。



3 地階で、地盤面上1.5m以下にある部分は、建築面積に算入されない。

X 誤っている。 地盤面上 1.5m以下ではなく、地盤面上1.0m以下が建築面積に算入されない。
 地階の建築面積は、選択肢1で引用しました、建築基準法施行令第2条1項ニ
 「(面積、高さ等の算定方法)
 第二条
  二  建築面積 建築物(
地階で地盤面上一メートル以下にある部分を除く。以下この号において同じ。)の外壁又はこれに代わる柱の中心線(軒、ひさし、はね出し縁その他これらに類するもので当該中心線から水平距離一メートル以上突き出たものがある場合においては、その端から水平距離一メートル後退した線)で囲まれた部分の水平投影面積による。ただし、国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物又はその部分については、その端から水平距離一メートル以内の部分の水平投影面積は、当該建築物の建築面積に算入しない。」  とあり、
  「地階で地盤面上一メートル以下にある部分を除く」 のため、地盤面上 1.5m以下ではなく、地盤面上1.0m以下が建築面積に算入されず、誤りです。

 なお、容積率でも同じような規定がありますので、参考にしてください。

 


4 階段室、昇降機塔などの建築物の屋上部分の水平投影面積の合計が、当該建築物の建築面積の8分の1以内の場合、その部分の高さは、建築物の高さに算入されないことがある。

○ 正しい。
  階段室、昇降機塔などの建築物の屋上部分の水平投影面積となると、選択肢1で引用しました、建築基準法施行令第2条1項六
 「(面積、高さ等の算定方法)
 第二条
   六  建築物の高さ 地盤面からの高さによる。ただし、次のイ、ロ又はハのいずれかに該当する場合においては、それぞれイ、ロ又はハに定めるところによる。
       イ 法第五十六条第一項第一号 の規定並びに第百三十条の十二 及び第百三十五条の十九 の規定による高さの算定については、前面道路の路面の中心からの高さによる。
       ロ 法第三十三条 及び法第五十六条第一項第三号 に規定する高さ並びに法第五十七条の四第一項 、法第五十八条 及び法第六十条の三第一項 に規定する高さ(北側の前面道路又は隣地との関係についての建築物の各部分の高さの最高限度が定められている場合におけるその高さに限る。)を
算定する場合を除き、階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分の水平投影面積の合計が当該建築物の建築面積の八分の一以内の場合においては、その部分の高さは、十二メートル(法第五十五条第一項 及び第二項 、法第五十六条の二第四項 、法第五十九条の二第一項 (法第五十五条第一項 に係る部分に限る。)並びに法別表第四(ろ)欄二の項、三の項及び四の項ロの場合には、五メートル)までは、当該建築物の高さに算入しない
       ハ 棟飾、防火壁の屋上突出部その他これらに類する屋上突出物は、当該建築物の高さに算入しない。」
 とあり、
 ロ によれば、
    条件によっては、「階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分の水平投影面積の合計が当該建築物の建築面積の八分の一以内の場合においては、その部分の高さは、十二メートルまでは、当該建築物の高さに算入しない」 こともありますから、正しい。



答え:3  かなり宅地建物取引主任者の出題のようで、細かい。
 

《タグ》敷地面積、延べ面積、地階、屋上部分。 建築基準法

問23

【問 23】 建築士法(昭和25年法律第202号)により、設備設計一級建築士が設備設計を行うか、又は設備設計一級建築士に設備関係規定に適合するかどうかの確認を求めなければならないとされている建築物に関する次の記述の(ア)及び(イ)の中に入る数値の組合せとして、正しいものはどれか。

*設問の、設備設計一級建築士が設備設計を行うとは、建築士法第20条の3、
 「(設備設計に関する特例)
 第二十条の三  
設備設計一級建築士は、階数が三以上で床面積の合計が五千平方メートルを超える建築物の設備設計を行つた場合においては、第二十条第一項の規定によるほか、その設備設計図書に設備設計一級建築士である旨の表示をしなければならない。設備設計図書の一部を変更した場合も同様とする。
   2  設備設計一級建築士以外の一級建築士は、前項の建築物の設備設計を行つた場合においては、国土交通省令で定めるところにより、設備設計一級建築士に当該設備設計に係る建築物が建築基準法第二十八条第三項 、第二十八条の二第三号(換気設備に係る部分に限る。)、第三十二条から第三十四条まで、第三十五条(消火栓、スプリンクラー、貯水槽その他の消火設備、排煙設備及び非常用の照明装置に係る部分に限る。)及び第三十六条(消火設備、避雷設備及び給水、排水その他の配管設備の設置及び構造並びに煙突及び昇降機の構造に係る部分に限る。)の規定並びにこれらに基づく命令の規定(以下「設備関係規定」という。)に
適合するかどうかの確認を求めなければならない。設備設計図書の一部を変更した場合も同様とする。
   3  設備設計一級建築士は、前項の規定により確認を求められた場合において、当該建築物が設備関係規定に適合することを確認したとき又は適合することを確認できないときは、当該設備設計図書にその旨を記載するとともに、設備設計一級建築士である旨の表示をして記名及び押印をしなければならない。
   4  設備設計一級建築士は、第二項の規定により確認を求めた一級建築士から請求があつたときは、設備設計一級建築士証を提示しなければならない。」
 とあり、
 1項によれば、 「階数が
 (ア)三 以上で 床面積の合計が (イ)五千平方メートル を超える建築物 となりますから、正解は、2 です。
 

答え:2  アは3 (階以上)、イは5,000 (uを超える)。  建築士法の、これまた、細かな箇所からの出題で、実に不適切な箇所からの出題です。
      {ある受験者の感想…選択肢1か2か3で迷った。ここの知識はゼロだった}


《タグ》建築士法

問24

【問 24】 国土交通省住宅局が示した「共同住宅に係る防犯上の留意事項」及び「防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針」(平成13年3月23日公表)において、共用部分の床面又は地面に必要な平均水平面照度に関する次の記述のうち、(ア)から(ウ)の中に入る数値の組合せとして適切なものはどれか。

・10m先の人の顔、行動が明確に識別でき、誰であるか明確にわかる程度以上の照度は、概ね(ア)ルクス以上。

(ア) 50ルクス。 平成24年マンション管理士試験 「問24」
 「共同住宅に係る防犯上の留意事項」 www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/07/070420/01.pdf の ページ3 の下にある注意書きは、以下のようになっています。

 (注1)「
人の顔、行動を明確に識別できる程度以上の照度」とは、10メートル先の人の顔、行動が明確に識別でき、誰であるか明確にわかる程度以上の照度をいい、平均水平面照度(床面又は地面における平均照度。以下同じ。)が概ね50ルクス以上のものをいう。
 (注2)「
人の顔、行動を識別できる程度以上の照度」とは、10メートル先の人の顔、行動が識別でき、誰であるかわかる程度以上の照度をいい、平均水平面照度が概ね20ルクス以上のものをいう。
 (注3)「
人の行動を視認できる程度以上の照度」とは、4 メートル先の人の挙動、姿勢等が識別できる程度以上の照度をいい、平均水平面照度が概ね3ルクス以上のものをいう。
 これによれば、10m先の人の顔、行動が明確に識別でき、誰であるか明確にわかる程度以上の照度は、概ね(ア=50) ルクス以上。

・10m先の人の顔、行動が識別でき、誰であるかわかる程度以上の照度は、概ね(イ)ルクス以上。

(イ) 20ルクス。
 上で引用しました、 「共同住宅に係る防犯上の留意事項」によると、20ルクスです。



・4m先の人の挙動、姿勢等が識別できる程度以上の照度は、概ね(ウ)ルクス以上。

(ウ) 3ルクス。
 上で引用しました、 「共同住宅に係る防犯上の留意事項」によると、3ルクスです。


 よって正解は、3 です。




答え:3 アは 50 ルクス、 イは 20 ルクス、 3は 3 ルクス。  答えの方を先に見ると、1ルクスは暗すぎ。100ルクスは明るすぎとは分かる。
        {ある受験者の感想…過去問題にあったのは、分かったが、細かな数字までは覚えていなくて、間違えた}


《タグ》共同住宅に係る防犯上の留意事項、ルクス。

問25

【問 25】 区分所有建築物に関する次の記述のうち、建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法律第123号)及び区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 既存耐震不適格建築物である区分所有建築物の所有者は、耐震改修を行なわなければならない。

X 誤っている。 努力目標である。  平成26年マンション管理士試験 「問42」、 平成23年管理業務主任者試験 「問21」
 設問は、建築物の耐震改修の促進に関する法律第16条
 「(一定の既存耐震不適格建築物の所有者の努力等)
 第十六条  要安全確認計画記載建築物及び特定既存耐震不適格建築物以外の
既存耐震不適格建築物の所有者は、当該既存耐震不適格建築物について耐震診断を行い、必要に応じ、当該既存耐震不適格建築物について耐震改修を行うよう努めなければならない
   2  所管行政庁は、前項の既存耐震不適格建築物の耐震診断及び耐震改修の適確な実施を確保するため必要があると認めるときは、当該既存耐震不適格建築物の所有者に対し、技術指針事項を勘案して、当該既存耐震不適格建築物の耐震診断及び耐震改修について必要な指導及び助言をすることができる。」
 とあり、
 1項によれば、「既存耐震不適格建築物である区分所有建築物の所有者は、耐震改修を行うよう努めなければならない」 であって、「行なわなければならない」は誤りです。


 


2 所管行政庁が耐震改修の計画を認定した場合においては、容積率又は建ぺい率の特例が認められる場合がある。

○ 正しい。
 所管行政庁が耐震改修の計画を認定した場合の容積率又は建ぺい率の特例は、建築物の耐震改修の促進に関する法律第17条
 「(計画の認定)
 第十七条  建築物の耐震改修をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、建築物の耐震改修の計画を作成し、所管行政庁の認定を申請することができる。
   2  前項の計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
     一  建築物の位置
     二  建築物の階数、延べ面積、構造方法及び用途
     三  建築物の耐震改修の事業の内容
     四  建築物の耐震改修の事業に関する資金計画
     五  その他国土交通省令で定める事項
  
 3  所管行政庁は、第一項の申請があった場合において、建築物の耐震改修の計画が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、その旨の認定(以下この章において「計画の認定」という。)をすることができる。
     一  建築物の耐震改修の事業の内容が耐震関係規定又は地震に対する安全上これに準ずるものとして国土交通大臣が定める基準に適合していること。
     二  前項第四号の資金計画が建築物の耐震改修の事業を確実に遂行するため適切なものであること。
     三  第一項の申請に係る建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分が耐震関係規定及び耐震関係規定以外の建築基準法 又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に適合せず、かつ、同法第三条第二項 の規定の適用を受けているものである場合において、当該建築物又は建築物の部分の増築、改築、大規模の修繕(同法第二条第十四号 に規定する大規模の修繕をいう。)又は大規模の模様替(同条第十五号 に規定する大規模の模様替をいう。)をしようとするものであり、かつ、当該工事後も、引き続き、当該建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分が耐震関係規定以外の同法 又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に適合しないこととなるものであるときは、前二号に掲げる基準のほか、次に掲げる基準に適合していること。
       イ 当該工事が地震に対する安全性の向上を図るため必要と認められるものであり、かつ、当該工事後も、引き続き、当該建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分が耐震関係規定以外の建築基準法 又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に適合しないこととなることがやむを得ないと認められるものであること。
       ロ 工事の計画(二以上の工事に分けて耐震改修の工事を行う場合にあっては、それぞれの工事の計画。第五号ロ及び第六号ロにおいて同じ。)に係る建築物及び建築物の敷地について、交通上の支障の度、安全上、防火上及び避難上の危険の度並びに衛生上及び市街地の環境の保全上の有害の度が高くならないものであること。
     四  第一項の申請に係る建築物が既存耐震不適格建築物である耐火建築物(建築基準法第二条第九号の二 に規定する耐火建築物をいう。)である場合において、当該建築物について柱若しくは壁を設け、又は柱若しくははりの模様替をすることにより当該建築物が同法第二十七条第一項 、第六十一条又は第六十二条第一項の規定に適合しないこととなるものであるときは、第一号及び第二号に掲げる基準のほか、次に掲げる基準に適合していること。
       イ 当該工事が地震に対する安全性の向上を図るため必要と認められるものであり、かつ、当該工事により、当該建築物が建築基準法第二十七条第一項 、第六十一条又は第六十二条第一項の規定に適合しないこととなることがやむを得ないと認められるものであること。
       ロ 次に掲げる基準に適合し、防火上及び避難上支障がないと認められるものであること。
         (1) 工事の計画に係る柱、壁又ははりの構造が国土交通省令で定める防火上の基準に適合していること。
         (2) 工事の計画に係る柱、壁又ははりに係る火災が発生した場合の通報の方法が国土交通省令で定める防火上の基準に適合していること。
     五  第一項の申請に係る建築物が既存耐震不適格建築物である場合において、当該建築物について増築をすることにより当該建築物が建築物の容積率(延べ面積の敷地面積に対する割合をいう。)に係る建築基準法 又はこれに基づく命令若しくは条例の規定(イ及び第八項において「容積率関係規定」という。)に適合しないこととなるものであるときは、第一号及び第二号に掲げる基準のほか、次に掲げる基準に適合していること。
       イ 当該工事が地震に対する安全性の向上を図るため必要と認められるものであり、かつ、当該工事により、当該建築物が容積率関係規定に適合しないこととなることがやむを得ないと認められるものであること。
       ロ 工事の計画に係る建築物について、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認められるものであること。
     六  第一項の申請に係る建築物が既存耐震不適格建築物である場合において、当該建築物について増築をすることにより当該建築物が建築物の建ぺい率(建築面積の敷地面積に対する割合をいう。)に係る建築基準法 又はこれに基づく命令若しくは条例の規定(イ及び第九項において「建ぺい率関係規定」という。)に適合しないこととなるものであるときは、第一号及び第二号に掲げる基準のほか、次に掲げる基準に適合していること。
       イ 当該工事が地震に対する安全性の向上を図るため必要と認められるものであり、かつ、当該工事により、当該建築物が建ぺい率関係規定に適合しないこととなることがやむを得ないと認められるものであること。
       ロ 工事の計画に係る建築物について、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認められるものであること。
   4  第一項の申請に係る建築物の耐震改修の計画が建築基準法第六条第一項 の規定による確認又は同法第十八条第二項 の規定による通知を要するものである場合において、計画の認定をしようとするときは、所管行政庁は、あらかじめ、建築主事の同意を得なければならない。
   5  建築基準法第九十三条 の規定は所管行政庁が同法第六条第一項 の規定による確認又は同法第十八条第二項 の規定による通知を要する建築物の耐震改修の計画について計画の認定をしようとする場合について、同法第九十三条の二 の規定は所管行政庁が同法第六条第一項 の規定による確認を要する建築物の耐震改修の計画について計画の認定をしようとする場合について準用する。
   6  所管行政庁が計画の認定をしたときは、次に掲げる建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分(以下この項において「建築物等」という。)については、建築基準法第三条第三項第三号 及び第四号 の規定にかかわらず、同条第二項 の規定を適用する。
     一  耐震関係規定に適合せず、かつ、建築基準法第三条第二項 の規定の適用を受けている建築物等であって、第三項第一号の国土交通大臣が定める基準に適合しているものとして計画の認定を受けたもの
     二  計画の認定に係る第三項第三号の建築物等
   7  所管行政庁が計画の認定をしたときは、計画の認定に係る第三項第四号の建築物については、建築基準法第二十七条第一項 、第六十一条又は第六十二条第一項の規定は、適用しない。
   
8  所管行政庁が計画の認定をしたときは、計画の認定に係る第三項第五号の建築物については、容積率関係規定は、適用しない。
   
9  所管行政庁が計画の認定をしたときは、計画の認定に係る第三項第六号の建築物については、建ぺい率関係規定は、適用しない。
   10  第一項の申請に係る建築物の耐震改修の計画が建築基準法第六条第一項 の規定による確認又は同法第十八条第二項 の規定による通知を要するものである場合において、所管行政庁が計画の認定をしたときは、同法第六条第一項 又は第十八条第三項 の規定による確認済証の交付があったものとみなす。この場合において、所管行政庁は、その旨を建築主事に通知するものとする。 」
 とあり、
 所管行政庁が計画の認定をしたときは、8項「容積率関係規定は、適用しない」と、同9項「建ぺい率関係規定は、適用しない」により、容積率又は建ぺい率の特例が認められる場合があるので、正しい。



3 所管行政庁から耐震改修が必要である旨の認定を受けた区分所有建築物については、規約に別段の定めのない限り、区分所有者及び議決権の各過半数による集会の決議を経て耐震改修を行うことができる。

○ 正しい。改正点。
 多くの場合、マンションの耐震改修は、区分所有法第17条1項で規定する、
 「(共用部分の変更)
 第十七条  
共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。(ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。」 の
 共用部分の重大変更に該当し、耐震改修を行うには、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議がないとできません。
 しかし、それでは、容易に耐震改修ができないと、法の草案者が考えて、建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条
 「(区分所有建築物の耐震改修の必要性に係る認定)
 第二十五条
 耐震診断が行われた区分所有建築物(二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)第二条第二項に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建築物をいう。以下同じ。)の管理者等(同法第二十五条第一項の規定により選任された管理者(管理者がないときは、同法第三十四条の規定による集会において指定された区分所有者)又は同法第四十九条第一項の規定により置かれた理事をいう。)は、国土交通省令で定めるところにより、所管行政庁に対し、当該区分所有建築物について耐震改修を行う必要がある旨の認定を申請することができる。
   2 所管行政庁は、前項の申請があった場合において、当該申請に係る区分所有建築物が地震に対する安全上耐震関係規定に準ずるものとして国土交通大臣が定める基準に適合していないと認めるときは、その旨の認定をすることができる。
   
3 前項の認定を受けた区分所有建築物(以下「要耐震改修認定建築物」という。)の耐震改修が建物の区分所有等に関する法律第十七条第一項に規定する共用部分の変更に該当する場合における同項の規定の適用については、同項中「区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議」とあるのは「集会の決議」とし、同項ただし書の規定は、適用しない。 とあり、
 マンションでも、耐震診断を受け、一定の耐震基準に適していなくて耐震改修が必要と認定されると、集会の決議が、区分所有法第17条1項の「その形状又は効用の著しい変更」に該当しても、
建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条3項で、区分所有法第17条の規定が、
 「第十七条  共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、(区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議)(読み替え → 
集会の決議)で決する。(ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。)(→ 適用しない)」 となりますので、正しい。


4 地震に対する安全性に係る基準に適合していると認定を受けた建築物についてその旨を表示できる制度は、区分所有建物を含む全ての建築物が対象である。

○ 正しい。
 耐震性を有していることが認められた場合の、耐震診断・耐震改修マークの表示(耐震診断・耐震改修マーク表示制度)は、建築物の耐震改修の促進に関する法律第22条、
 「(建築物の地震に対する安全性に係る認定)
 第二十二条  建築物の所有者は、国土交通省令で定めるところにより、所管行政庁に対し、当該建築物について地震に対する安全性に係る基準に適合している旨の認定を申請することができる。
   2  所管行政庁は、前項の申請があった場合において、当該申請に係る建築物が耐震関係規定又は地震に対する安全上これに準ずるものとして国土交通大臣が定める基準に適合していると認めるときは、その旨の認定をすることができる。
   
3  前項の認定を受けた者は、同項の認定を受けた建築物(以下「基準適合認定建築物」という。)、その敷地又はその利用に関する広告その他の国土交通省令で定めるもの(次項において「広告等」という。)に、国土交通省令で定めるところにより、当該基準適合認定建築物が前項の認定を受けている旨の表示を付することができる
   4  何人も、前項の規定による場合を除くほか、建築物、その敷地又はその利用に関する広告等に、同項の表示又はこれと紛らわしい表示を付してはならない。」
 とあり、
 3項によれば、 耐震診断又は耐震改修により、耐震性を有していることが認められた場合の表示は、区分所有建物を除くという規定はありませんから、正しい。

 
 


答え:1  法律が改正されると、出題者は、過去問題にとらわれずに、問題を作れますから、必ず改正点が出題されます。
       マンション管理士の平成26年 「問42」 と比べると、易しい。
        {ある受験者の感想…選択肢4は「全ての」とあるので、なんとなく、4をXにした。建築物の耐震改修の促進に関する法律は出題されると予想したが、細かなところまではみていなかった。}

《タグ》建築物の耐震改修の促進に関する法律。 区分所有法の共用部分の重大変更。表示制度、容積率、建蔽率、特例。

ここまで、問25


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最終更新日:
2017年 4月11日:平成28年3月改正の標準管理規約に対応した。
2015年 2月23日:再考した。
2015年 2月15日:リンクを入れた。
2015年 1月24日:「問25」まで、一応終わった。 
2015年 1月14日:本格的な解説開始
解説開始:2014年12月13日

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