平成17年 マンション管理士 試験問題 及び 解説
ページ1(問1より問25まで)
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ご質問は、 「マンション管理士 香川事務所」へ。
*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。
また、マンションの管理の適正化に関する指針も、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。
※ 出題当時以後の法令等の改正には一部は対応していません。
*試験に臨んで、お節介なアドバイス
1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
そして、各選択肢を読み、○かXをつけます。
問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。
2.疑問な問題は、飛ばす。
回答の時間は限られています。
そこで、回答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
全部の回答が終わってから、再度戻って決定してください。
3.複雑な問は、図を描く。
甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。
重要な点が分かってきます。
※ マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。
問1
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〔問 1〕 一部共用部分に関する次の記述のうち、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 一部共用部分は、実際には一部共用部分であるかどうかが明らかでないものがあるので、規約で、その旨を明記する必要がある。
→× 誤っている。 一部共用部分については、平成23年 マンション管理士試験 「問1」、平成22年 マンション管理士試験 「問2」 、平成15年マンション管理士試験 「問5」 でも出た。
先ず、一部共用部分とは、下が店舗で上が住居などの複合建物をイメージしてください。
そして、店舗なら店舗部だけで利用される出入口やエスカレーターなど専有部分以外の共用部分があります。また、住居なら住居部だけに通じる出入口、エレベーターなどの専有部分以外の共用部分があります。この場合店舗だけで使う共用部分や、居住者だけで使う共用部分を一部共用部分といいます。
設問の場合、区分所有法第3条「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。」
により、一部共用部分であるためには構造上一部の区分所有者のみの共用に供されることが「明らかである」必要があります。明らかでないものは、一部共用部分には該当しません。また、全ての一部共用部分について、規約で、その旨を明記する規定はありません。(ただし、これは、条文上であって、実際には、共用部分が一部共用部分か全体の共用部分か「明らかでなくて」争いがあります。)
2 一部共用部分は、区分所有法上当然に共用部分とされる部分と規約により共用部分とされるものがあり、そのどちらにも、床面積を有するものと床面積を有しないものがある。
→○ 正しい。 建物全体での共用部分と、一部共用部分の考え方、法定共用部分(廊下・階段室など)と規約共用部分(専有部分等を規約で共用部分にしたもの)の概念は排斥関係になくどの組み合わせもあり得る。そこで、一部共用部分であっても、法定共用部分と規約共用部分はあり得る。また、建物の共用部分であることは建物の一部であれば足り、床面積を有することは要件ではない。例えば、複合用途型の建物で住宅用の共用応接室等を規約共用部分にするに当り、その専用設備・配管関係を当該一部共用部分と規約に定めること等。また、掲示板・支柱など床面積を有しないものも可能。
3 一部共用部分は、規約で定めれば、特定の区分所有者、区分所有者全員または管理者が所有して管理するものとすることができる。
→○ 正しい。 原則として、共用部分(一部共用部分を含めて)は、
区分所有法第11条「1項 共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。
2項 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。ただし、第二十七条第一項の場合を除いて、区分所有者以外の者を共用部分の所有者と定めることはできない。」
とあり、同法第27条「管理者は、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有することができる。 」とあり、
規約があれば、所有できない共用部分だけど、例外として、区分所有者のほかにも管理者が共用部分の所有者となれる。この形態は「管理所有」と呼ばれる。管理所有については、出題傾向が高いので、注意のこと。
4 一部共用部分は、その管理を区分所有者全員で行う旨を規約で定めるにあたり、その管理事項のうち特定の事項は当該一部共用部分を共有する区分所有者のみで行うと定めることができる。
→○ 正しい。 区分所有法第30条「1項 建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。
2項 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めがある場合を除いて、これを共用すべき区分所有者の規約で定めることができる。」
とあり、2項により、全員の利害に関係しない事項につき、一部共有者のみで定めることが可能。
答え:1 なお、区分所有法の解説は、別途、マンション管理士 香川 が作成した、「超解説 区分所有法」がありますので、こちらも参考にしてください。
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問2
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〔問 2〕 区分所有者の共有に属する建物の敷地に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 一筆の土地の上に建物が数棟ある場合には、その土地全体が、法律上当然に各建物の敷地である。
→○ 正しい。 まず、初めての人は、「法律上当然」という表現に戸惑うかも知れません。これは、法律の条文に記載されていて、特別な行為をしなくても認められることを指しています。このマンション管理士・管理業務主任者試験では、良く出てきますので、慣れておきましょう。平成21年マンション管理士試験 「問1」、平成18年マンション管理士試験 「問1」など。
区分所有法での建物の敷地とは、区分所有法第2条5項「 この法律において「建物の敷地」とは、建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により建物の敷地とされた土地をいう。 」とあり、
その土地の上に建物があれば、法律上当然に建物の敷地となる。1筆の土地(底地)の上に数棟の区分所有建物があれば、その土地が各建物の敷地であるし、また、数筆の土地にまたがって1棟の区分所有建物があれば、その数筆の土地が建物の所在する敷地となる。このことが法律で定められているので、法律上当然に各建物の敷地となる。土地の上にある建物の数には影響されない。
なお、区分所有法第2条5項の後半の「第五条第一項の規定により建物の敷地とされた土地」は規約敷地と呼ばれ、この規約敷地は「法律上当然には、建物の敷地とならないことに注意。
2 規約で定めても、区分所有者以外の第三者に対して、建物の敷地の空地に排他的に使用収益をする権利を設定することはできない。
→× 誤っている。 原則として、マンションの敷地は、区分所有者だけが使用するが、集会の決議なり、規約があれば、区分所有者以外の第三者の使用が許されている。つまり、建物の共用部分または敷地に対する利用権の設定は、処分または管理行為として区分所有法第17条「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。」
または同法第18条(第17条と同一議決要件の規約でも可)により可能。例えば、敷地の空地を駐車場として外部の第三者に賃貸することは可能。(参照:平成20年 マンション管理士 試験 「問3」)
3 建物の敷地の空地に特定の区分所有者に対して特に有利な条件で排他的に使用収益をする権利を規約で設定する場合には、その集会の決議に当たり、他の区分所有者全員の承諾を得なければならない。
→○?正しい。 これは、共有関係で、区分所有法の適用か、民法の適用かが問題となる。
敷地に特定の区分所有者に排他的な使用収益を与える行為は、区分所有法(第17条参照)で定める特別多数決でできる変更行為から外れ、共有物の処分(共有物の譲渡、抵当権の設定と同じ行為)となり、民法の適用となる。民法第251条「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。
」
の規定により、他の区分所有者全員の同意(承諾)が必要となる。
注:この区分所有法の適用範囲内か、それとも民法に該当するかの基準として、「共有物の処分行為」が上げられているが、それでは、多数決を採用した民法の特別法としての区分所有法の存在価値がなくなるとの反対の論拠もある。(参考:平成16年 管理業務主任者 試験 「35」)
→○?正しい。 別の捉え方:「特定の区分所有者に対して特に有利な条件で排他的に使用収益をする権利(これを専用使用権とよびます)を規約で設定する場合」は、区分所有法第31条「規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によってする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。
」に該当するため、専用使用権の設定を受ける区分所有者を除いた他の区分所有者全員の承諾を得なければならない。
4 建物の敷地の各共有者の持分は、共有者間で別段の定めがない限り、相等しいものと推定される。
→○ 正しい。 敷地の各共有者の持分については、通常マンションの分譲契約時に(敷地権xxx分yyyなど)決まる。しかし、その際に持分を決めていないときは、区分所有法に規定がなく民法第250条の適用となり、「各共有者の持分は、相等しいものと推定する。」になる。建物の「共用部分」と土地の関係を明確にしておくこと。(参照:平成20年 マンション管理士 試験 「問1」 選択肢3 、平成22年 マンション管理士試験 「問4」 選択肢2 )
答え:2 (選択肢3は、共有での民法の適用と区分所有法の適用の中間点からの出題は、解釈も曖昧なので注意のこと。出題の本質を捉えられない。)
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問3
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〔問 3〕 不動産業者が建設し、分譲したマンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律第2条第1号イのマンションをいう。以下同じ。)の共用部分及び専有部分に、施工時の瑕疵による損害が発生した。この場合において、当該マンションの管理組合(区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体をいう。以下同じ。)の管理者等が行う不動産業者に対する損害賠償の請求に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 管理者は、共用部分に発生した損害について、区分所有者を代理して、損害賠償を請求することができる。
→○ 正しい。 ここは、管理者の権限を聞いている。
区分所有法第26条2項「管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。」により、管理者に代理権があり、損害賠償の請求ができる。
2 管理者は、専有部分に発生した損害について区分所有者を代理して、損害賠償を請求することは、当然にはできない。
→○ 正しい。引っかけに注意。「専有部分に発生した損害」である。
選択肢1でも述べたように、管理者は、共用部分の管理は出来るが、建物の専有部分は、区分所有者の区分所有権の目的となるため、当然には損害を受けた区分所有者自身が損害賠償請求をするべきで、当然には管理人には代理権がない。別途集会の決議や区分所有者からの代理権の授与を受ける必要がある。当然にはできない。
3 管理組合は、共用部分に発生した損害について、当然にその名において損害賠償を請求することができる。
→× 誤っている。 またまた、引っかけに注意。「管理組合」であり「管理組合法人」でない。
損害賠償の請求権は各区分所有者の持分に応じて分割されるため(可分債権)、区分所有者全員に総有的に帰属せず、組合は当事者にはならない。(判例)
また、区分所有法での法人格のない管理組合(権利能力なき社団)では、管理者がいれば、区分所有法第26条4項「管理者は、規約又は集会の決議により、その職務(第二項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。
」とあり、管理者が原告・被告となるが、法人でない管理組合では、当然にはできない。法人との違いに注意のこと。
4 集会において指定された区分所有者は、共用部分に発生した損害について、区分所有者全員を代理して、損害賠償を請求することができない。
→○ 正しい。 代理権の授権行為が集会の決議で発生するのか。
選択肢1でも述べたように、区分所有法第26条2項により「管理者なら、区分所有者を代理する」が、管理者でない者が代理するには個別に区分所有者全員から代理権を授与される必要があり、集会の決議(多数決)では足りない。(民法第99条)。単に訴訟の当事者となれるだけである。
なお、義務違反者に対する訴訟の場合は、区分所有法第57条3項「管理者又は集会において指定された区分所有者は、集会の決議により、第一項の他の区分所有者の全員のために、前項に規定する訴訟を提起することができる。」が、これは、共用部分に発生した損害賠償とは、違うので注意のこと。
答え:3 (引っかけがあり選択肢4は、難問である。区分所有法で区分所有者の代理の関係にあるのは、管理者と管理組合法人であることが分かると楽?)
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問4
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〔問 4〕 甲マンションの区分所有者Aの管理費及び修繕積立金(以下「管理費等」という。)の滞納が極めて長期間にわたり、かつ、多額に達し、今後生ずる管理費等についても支払う意思がみられない。この場合における次の記述のうち、区分所有法、民法及び民事執行法の規定によれば、正しいのはどれか。
1 Aの管理費等の滞納が原因で、建物の修繕に重大な支障が生ずるような状況に至っている場合は、こ の滞納は、建物の管理に関し区分所有者の共同の利益に反する行為に当たる。
→○ 正しい。 管理費など負担義務は、区分所有法第19条「各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。」と定められている。
そして、管理費などの滞納が、建物の修繕に重大な支障が生ずるような状況は共同の利益に反すると判例では認めている。(区分所有法第6条1項:区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
)(参考:東京地裁:平成19年11月14日、大阪地裁:平成13年9月5日など)
2 Aの滞納管理費等を回収する為の先取特権は、共益費用の先取特権とみなされ、Aの総財産の上に行使することができる。
→× 誤っている。 区分所有法第7条1項「区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。
2項 前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。 」
により、Aの滞納管理費等を回収する為の先取特権は、共益費用の先取特権とみなされる。前半は正しいが、Aの総財産ではなく、区分所有権および建物に備え付けた「動産の上」に対して行使する。 民法第306条:では「債務者の総財産の上に先取特権を有す」とあるが。この、先取特権は不動産及び動産に対する特別先取特権にあたる。民法第335条により、まず不動産以外の財産の先取特権から実行する。
3 Aの滞納管理費等を回収するため、区分所有法第59条の規定により区分所有権及び敷地利用権の競売を請求する為には、これに先立って、Aの専有部分の使用禁止の請求をしなければならない。
→× 誤っている。 区分所有法第59条「第五十七条第一項に規定する場合において、第六条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができる。
」とあり、
同法第58条の「使用禁止の提訴」が前提の権利ではなく、直ちに競売請求ができる。*この傾向の設問は良く出ているので注意のこと*
4 区分所有法第59条の規定による強制競売は、Aの区分所有権及び敷地利用権の最低売却価額で滞納管理費等を回収できる見込みがない場合は、することができない。
→× 誤っている。 区分所有法第59条の競売は、問題を起こしている区分所有者のマンションからの排斥を目的とし、滞納管理費などの金銭回収を目的としないから最低競売価格の制
限はない。(民事執行法第63条)
注:しかし、平成18年11月1日:東京高裁の判決では、無剰余(やっても回収できない場合)としている。
答え:1 (古い過去問題は、その後の判例にも注意が必要です。私も出来る限り、解説で変更・追加の記述は入れますが、注意してください。)
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問5
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〔問 5〕 甲マンション管理組合における区分所有者の共有に属する敷地及び共用部分の管理等に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。
1 甲が敷地の一部にある樹木を伐採し、駐車場として隣接するマンションに賃貸する場合は、区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数による集会の決議(以下特別決議という。)を得なければならない
。
→○ 正しい。 ここは、区分所有法の限界、民法の共有を聞いている。
植栽を駐車場にするのは、区分所有法第17条「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。」
で規定する、「形状・効用の著しい変更」に該当し、特別決議が必要。この規定は、区分所有法第21条により、敷地でも準用があり、民法での規定でなく、区分所有法の規定内で可能。
2 甲が集会所として使用するため隣接する土地及び建物を購入しようとする場合は、購入について、特別決議を得なければならない。
→× 誤っている。 新規の不動産購入は、土地の共有持分等に変更が生じるため、区分所有法の変更行為を超えた行為となり、民法の共有物の変更の適用で全員の合意が必要とされる。(民法第251条:各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。 )
3 甲が建物の外壁にひび割れに係る補修工事を行う場合は、特別決議を得なければならない
→× 誤っている。 建物の外壁にひび割れに係る補修工事は原状回復を目的とする管理(保存)行為であり、区分所有法第18条「共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。」により、
通常決議(区分所有者および議決権の過半数)で足りる。特別決議はいらない。
4 甲が悪質な敷地内駐車を繰り返す区分所有者に対して、駐車違反の停止を請求する場合は、あらかじめ当該区分所有に弁明の機会を与えるとともに、特別決議を得なければならない。
→× 誤っている。 これは、区分所有法第6条「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
」に該当する共同の利益に反する行為であり、
区分所有法第57条「区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。」
により、裁判にしなくても(裁判外でも)行為の停止を求められる。訴訟を提起するときは、区分所有法第57条の請求となるが、規定では弁明の機会を与える必要もなく、また過半数の通常決議となる。(ただし、同法第58条の使用禁止や区分所有権の競売では、弁明の機会をあたえること。)
答え:1
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問6
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〔問 6〕 区分所有法第7条に規定する先取特権によって担保される債権に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 特定の区分所有者が、他の区分所有者の負担すべき共用部分に関する費用の立替払をした場合におい て、当該他の区分所有者に対して有する立替金償還債権
→○ 正しい。 先取特権については、平成21年マンション管理士試験 「問3」、平成19年マンション管理士試験 「問4」や、同じく平成19年管理業務主任者試験 「問4」もある。
区分所有法第7条は「区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。
」と規定する。
立替金償還債権自体は被担保債権とはいえないが、立替金償還債権の行使は民法第499条により弁済による代位で被担保債権である共用部分に関する費用請求権を行使することになる。
2 規約により各区分所有者が共用部分に係る管理費を各自の共有持分に対して有する管理費の請求に係 る債権
→○ 正しい。 選択肢1で述べたように、区分所有法第7条により、規約により他の区分所有者に対する債権である。
3 管理者が、その職務を行うにつき必要な費用について、各区分所有者に対して共有持分に応じて分割 的に有する費用償還債権。
→○ 正しい。 これも、選択肢1で述べたように、管理者が業務を行うにつき有する債権である。
4 管理者が、管理組合との間に報酬を受ける特約がある場合において、管理組合に対して有する報酬債権。
→× 誤っている。 報酬債権は組合に対する業務実施の対価であり、区分所有法第7条で規定する、業務を行うにつき組合員に対して有する(費用 )債権に該当しない(なお、組合がこれを管理費の一部として組合員に転嫁するものは該当する)。
答え:4
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問7
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〔問 7〕 甲マンション(管理組合乙)において、区分所有者Aが201号室を住宅としてBに賃貸したところ、Bが201号室のベランダと202号室のベランダにはみ出して大型の宣伝用の看板を取付けたので、Aがその撤去を再三にわたり請求したが、Bはこれに応じない。この場合におけるBの行為が区分所有法第6条の建物の使用に関し区分所有者の共同の利益に反するものであるとして訴訟等を行う場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、規約において、専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならないとされているものとする。
1 Aは自ら看板を撤去することができる。
→× 誤っている。 日本の法律体系では、他人のものを勝手に処分するのは自力救済として強度の緊急性、必要性がなければ許されない。(民法第414条参照:「債務者が任意に債務の履行をしないときは、債権者は、その強制履行を裁判所に請求することができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。」
)。看板を撤去したければ、裁判所に訴えなければならない。
2 区分所有者の全員は規約で定めれば、集会の決議によらなくても看板の撤去を請求する訴訟を提起することができる。
→× 誤っている。 共同の利益に反する行為として看板の撤去は、区分所有法第57条4項および3項により訴訟の提起ができ、これは集会の普通決議による。この決議は、個々の事案ごとに個別的にする必要があり、規約で別段の定めをすることができない。
3 乙の管理者は、集会の決議によらなければ看板の撤去を請求する訴訟を提起することができない。
→○ 正しい。 管理者は区分所有法第57条3項「管理者又は集会において指定された区分所有者は、集会の決議により、第一項の他の区分所有者の全員のために、前項に規定する訴訟を提起することができる。」により、訴訟を提起できるが、同2項「前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。」とあり、
必ず集会の決議により提訴する。
4 202号室の区分所有者は、集会の決議によらなければ、看板の撤去を請求する訴訟を提起することができない。
→× 誤っている。 201号室のBの行為は、区分所有法での共同の利益違反行為であると同時に、民法での202号室の区分所有者の区分建物に対する「所有権の侵害行為」に当るので、202号室の区分所有者は自己の所有権に基づきBに対し侵害排除の請求をすることができる。(民法第198条:「占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。
)
答え:3
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問8
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〔問 8〕 マンションの駐車場が区分所有者の共有に属する敷地上にあり、その駐車場の一部が分譲時の契約等で特定の区分所有者の専用とされている場合、駐車場の使用方法等を定めている規約を変更する集会の決議に当たって、当該特定の区分所有者の承諾を必要とするものは、区分所有法の規定及び判例によれば、次のうちどれか。
1 すべての駐車場について、区分所有者の公平な利用を確保するため、特定の区分所有者の駐車場を専用使用する権利を廃止する旨を定める場合。
→○ 特定の区分所有者の承諾が必要。 参考:平成20年 マンション管理士 試験 「問27」 選択肢 3 。
マンションの分譲時に特定の区分所有者に分譲された専用駐車場については、その後の居住者の不公平感や分譲業者への返還請求などで、博多や高島平など各地で裁判になっている。そして、判決がでた。
ここは、なにが特定の区分所有者に影響を及ぼす行為かを聞いている。
区分所有法第31条1項「規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によってする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。」とあり、後段によれば、規約変更が一部の区分所有者に特別の影響を及ぼす場合にはその承諾が必要であるが、その場合の特別な影響とは、達成される目的との関係で規制の程度、方法等が通常の受忍の範囲を超えることをいい、分譲条件の専用使用権の剥奪は通常受忍の限度を超える。(判例:最高裁:平成10年11月20日))
2 特定の区分所有者が無償で使用している駐車場について、集会の決議で有償化すること及びその額を決定することができる旨を定める場合。
→× 不要:合理的な負担を求めることは妥当性があり、一般に受忍の範囲内である。(判例:最高裁:平成10年11月20日)
)
3 特定の区分所有者が分譲時の契約で専用使用することとされている駐車場の低廉な使用料について、社会通念上相当な額にする旨を定める場合。
→× 不要:同上。これは、「特別の影響」にあたらない。(判例:最高裁:平成10年10月30日)
4 すべての駐車場について、共用部分の維持管理上特段の事由がある場合は、一定期間、管理者がその使用を制限することができる旨を定める場合。
→× 不要:維持管理上特段の事由がある場合に一般的に公平に制約が及ぶことは、一般に受忍の範囲内である。
答え:1 (駐車場をめぐる裁判は、分譲会社を巻き込んでいてトラブルが多い。マンション管理士としても出番があるかも。裁判はマンション管理士ではタッチできないけど、相談にはのれます。)
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問9
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〔問 9〕 集会に関して電磁的方法を利用する場合におけるその種類及び内容について、区分所有者全員の承諾を必要とするものは、区分所有法の規定によれば、次のうちどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。
1 集会の招集手続きの省略に係る区分所有者の同意を電磁的方法により得ようとする場合。
→× 不要: 電磁的方法の出題は、平成20年 管理業務主任者 試験 「問32」 、平成16年 マンション管理士 試験 「問8」 、平成15年 マンション管理士 試験 「問7」 、平成15年 管理業務主任者 試験 「問32」 など。
設問が入り組んでいる。マンションでは集会の招集については原則として手続きが必要であるが、(区分所有法第34条や第35条など)、区分所有法第36条「集会は、区分所有者全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで開くことができる。」とあり、区分所有者全員が同意すれば、招集手続きが省略できる。その同意の取得方法には特に制限規定がない。
2 集会において、書面による議決権行使に代えて、電磁的方法によって議決権を行使しようとする場合。
→× 不要:区分所有法第39条3項「区分所有者は、規約又は集会の決議により、前項の規定による書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)によつて議決権を行使することができる。」とあり、
規約または集会での決議(普通決議)があれば議決権の行使は、区分所有者全員の承諾がなくても、電磁的方法によって行使できる。
3 集会において、決議をすべき場合において、集会を開催しないで、電磁的方法による決議をする場合。
→○ 必要:区分所有法第45条1項「この法律又は規約により集会において決議をすべき場合において、区分所有者全員の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議をすることができる。ただし、電磁的方法による決議に係る区分所有者の承諾については、法務省令で定めるところによらなければならない。」とあり
マンション生活での基本を討議する場である集会を開催しないで、書面や電磁的方法での普通決議や特別決議もできるが、その場合には、全員の承諾が必要としている。なお、集会で、決議をすべき場合とは、規約の設定・変更・廃止(区分所有法第31条)、や共用部分の重大変更(区分所有法第17条)、建替え決議(区分所有法第62条)などです。
4 集会において決議すべきものとされた事項について、区分所有者全員の電磁的方法による合意を得る場合。
→× 不要:ここは、区分所有法第45条2項「2 この法律又は規約により集会において決議すべきものとされた事項については、区分所有者全員の書面又は電磁的方法による合意があつたときは、書面又は電磁的方法による決議があつたものとみなす。」に関係しています。
区分所有者全員の書面又は電磁的方法での合意(全員一致)があれば、「書面又は電磁的方法による決議があったものとして、集会の決議と同一の効果を認めたものです。その手続きである合意の取得方法には決まりがない。
答え:3 (引っ掛け問題で、良くない。)
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問10
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〔問 10〕 管理組合法人の理事に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。
(注:平成20年12月に「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことをうけ、区分所有法の法人に関する条文が改正された。それに伴い解説も変更した。)
1 理事は、その職務に関して区分所有者を代理する。
→× 誤っている。 混同しやすいが、理事は管理組合法人の代表であり、代理ではないことを明確にしておくこと。参考;平成20年 管理業務主任者 試験 「問36」 、平成18年 マンション管理士 試験 「問31」 など。
区分所有法第47条6項「管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。
」とあり、区分所有者を代理するのは管理組合法人。なお、法人化されていないときは、管理者が代理する。(区分所有法第26条2項)
2 理事については、民法の法人の理事に関する規定は準用されない。
→× 誤っている。 この出題は、区分所有法改正により、適切でなくなった。(平成21年2月28日)
旧区分所有法第49条7項で準用されていた、民法第52条2項以下は、民法から削除されたため、区分所有法第49条2項や第49条の2〜 が追加されています。
旧の解説:民法の法人規定は全ての社団・財団組織の通則であり、区分所有法第49条7項「第二十五条、民法第五十二条第二項 及び第五十四条 から第五十六条 まで並びに非訟事件手続法
(明治三十一年法律第十四号)第三十五条第一項 の規定は、理事に準用する。 」とあり
民法の法人の理事の規定(第52条2項及び第54条から第56条まで)の準用がある。
3 理事は、規約で定めれば、共用部分を所有することができる。
→× 誤っている。 登記もできない共用部分を所有することは管理所有と呼ばれ、管理者であれば区分所有法第27条により可能だが、法人には適用がない。(区分所有法第47条11項により、第4節=第25条から第29条まで、は管理組合法人に適用がない。)問1も参照のこと。
4 理事の代理権に加えた制限は、規約で定めても、善意の第三者に対抗することができない。
→○ 正しい。 区分所有法:新:第49条の2「理事の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。」によれば、善意の(その存在を知らない)第三者に制限があることを対抗できない。規約は内部規定であり、区分所有者以外の人には分からないため。(平成21年2月28日:区分所有法改正に伴い変更。改正前は、準用された民法第54条にあったもの。)
答え:4
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問11
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〔問 11〕 甲マンション(管理組合乙)の101号室の区分所有者Aは、レストランを経営するにあたり、乙に無断で外壁にネオンを設置し、2年を経過したところ、最近になって、201号室の居住者からネオンについて苦情が寄せられたので、乙は、ネオンの撤去及び外壁の原状回復を図ることとした。この場合における次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、101号室は、1年前にAからBに譲渡され、Bがレストランを経営しているものとする。
1 ネオンを設置したのはAであるから、その撤去については、Aに対して請求する必要がある。
→× 誤っている。 まず、甲、乙、A,Bなど複数の対象がでてきたときは、問題用紙に図を描いて整理しましょう。例えば、下のようなものです。
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民法第87条「物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。
2項 従物は、主物の処分に従う。 」とあり、
2項によれば、従物は主物の処分に従うから、レストラン施設の従たる施設であるネオンは特段の事由がない限りレストランと共にBに移転している。そうすると撤去請求を受けるのは現時点の所有者Bとなる。
そして、区分所有法第57条1項「区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。」により、現在の区分所有者である譲渡されたBに対して行う。前の区分所有者Aではありません。
2 Aが無断でネオンを設置したとはいえ、既に2年を経過しているのであるから、その撤去及び原状回復の為の費用は、乙が負担する必要がある。
→× 誤っている。 区分所有法第57条1項に該当。所有権に基づく撤去請求権は時効にかからないから2年後でも侵害者Bの負担での撤去を請求できる。乙(管理組合)は負担しない。
3 Bから、営業上重大な支障が生じるとしてネオンに代えて看板の設置の要望があった場合、その設置については、集会において決議する必要がある。
→○ 正しい。 看板設置は外壁の使用方法の一種で、共用部分の変更となり、「形状又は効用の著しい変更を伴わない変更」に当たり、区分所有法第18条1項「(共用部分の管理)
第十八条 共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。 」
により集会の決議が必要である。
4 ネオンを外壁に設置したことは、区分所有者の共同の利益に反する行為であるからAとBの両方に原状回復を求めることができる。
→× 誤っている。 区分所有法第57条「区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。
」とあり、共同の利益に反する行為の原状回復は、区分所有者に対して行う。
撤去請求を受けるのは現時点で共同の利益に反している所有者Bとなる。なお、管理費の滞納なら、譲渡人のAにも、また譲受人のBにも請求が出来る。
答え:3
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問12
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〔問 12〕 一団地内に甲、乙及び丙の3棟の建物があり、甲及び乙は専有部分のある建物で、丙はAが所有する専有部分のない建物で全室が賃貸されている。この場合におけるこの団地内の建物の建替えに関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、甲、乙及び丙の3棟が所在する土地は、団地建物所有者の共有に属しており、その共有者全員で団地管理組合(区分所有法第65条に規定する団体をいう。以下この問いについて同じ。)を構成しているものとする。
1 甲、乙及び丙の一括建替えについては、団地管理組合の集会において、団地建物所有者及び議決権の各4/5以上の多数で、一括建替え決議を行うことができる。
→× 誤っている。 このような設問、甲、乙、A、Bなど複数の対象がでてきたときは、問題用紙に図を描いて整理しましょう。例えば、下のようなものです。分かりやすくなります。
団地の一括建替えは、区分所有法第70条「団地内建物の全部が専有部分のある建物であり、かつ、当該団地内建物の敷地(団地内建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により団地内建物の敷地とされた土地をいい、これに関する権利を含む。以下この項及び次項において同じ。)が当該団地内建物の区分所有者の共有に属する場合において、当該団地内建物について第六十八条第一項(第一号を除く。)の規定により第六十六条において準用する第三十条第一項の規約が定められているときは、第六十二条第一項の規定にかかわらず、当該団地内建物の敷地の共有者である当該団地内建物の区分所有者で構成される第六十五条に規定する団体又は団地管理組合法人の集会において、当該団地内建物の区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、当該団地内建物につき一括して、その全部を取り壊し、かつ、当該団地内建物の敷地(これに関する権利を除く。以下この項において同じ。)若しくはその一部の土地又は当該団地内建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地(第三項第一号においてこれらの土地を「再建団地内敷地」という。)に新たに建物を建築する旨の決議(以下この条において「一括建替え決議」という。)をすることができる。ただし、当該集会において、当該各団地内建物ごとに、それぞれその区分所有者の三分の二以上の者であつて第三十八条に規定する議決権の合計の三分の二以上の議決権を有するものがその一括建替え決議に賛成した場合でなければならない。」とあり、
一括建替えは全部の建物が区分建物(専有部分のある建物)を含む建物でなければならず、丙建物が専有部分のない建物であるので、団地管理組合の集会では一括建て替え決議はできない。なお、区分所有法第69条の建替えでは区分建物の組合毎に建替え決議、単独所有建物では所有者の承諾が必要。
2 甲の建替えについては、甲の集会において建替え決議を得た上で、団地管理組合の集会において、議決権の3/4以上の多数による建替え承認決議を得なければならない。
→○ 正しい。 団地内の一部の棟の建替えは、区分所有法第69条1項「一団地内にある数棟の建物(以下この条及び次条において「団地内建物」という。)の全部又は一部が専有部分のある建物であり、かつ、その団地内の特定の建物(以下この条において「特定建物」という。)の所在する土地(これに関する権利を含む。)が当該団地内建物の第六十五条に規定する団地建物所有者(以下この条において単に「団地建物所有者」という。)の共有に属する場合においては、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める要件に該当する場合であつて当該土地(これに関する権利を含む。)の共有者である当該団地内建物の団地建物所有者で構成される同条に規定する団体又は団地管理組合法人の集会において議決権の四分の三以上の多数による承認の決議(以下「建替え承認決議」という。)を得たときは、当該特定建物の団地建物所有者は、当該特定建物を取り壊し、かつ、当該土地又はこれと一体として管理若しくは使用をする団地内の土地(当該団地内建物の団地建物所有者の共有に属するものに限る。)に新たに建物を建築することができる。
一 当該特定建物が専有部分のある建物である場合 その建替え決議又はその区分所有者の全員の同意があること。
二 当該特定建物が専有部分のある建物以外の建物である場合 その所有者の同意があること。」とあり、
1号のとおり。
3 甲及び乙の建替えについては、甲及び乙のそれぞれの建替えを会議の目的とする各集会において、区分所有者及びその議決権の各4/5以上の多数で甲及び乙を一括して建替え承認決議に付する旨の決議をすることができる。
→○ 正しい。 区分所有法第69条6項「第一項の場合において、当該特定建物が二以上あるときは、当該二以上の特定建物の団地建物所有者は、各特定建物の団地建物所有者の合意により、当該二以上の特定建物の建替えについて一括して建替え承認決議に付することができる。
」とあり、
同7項「前項の場合において、当該特定建物が専有部分のある建物であるときは、当該特定建物の建替えを会議の目的とする第六十二条第一項の集会において、当該特定建物の区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、当該二以上の特定建物の建替えについて一括して建替え承認決議に付する旨の決議をすることができる。この場合において、その決議があつたときは、当該特定建物の団地建物所有者(区分所有者に限る。)の前項に規定する合意があつたものとみなす。
」とあり、
2棟以上の区分建物は一括建替え承認決議ができる。
4 甲の建替えが乙の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、団地管理組合の甲に係る建替え承認決議において、乙の区分所有者全員の議決権の各3/4以上の議決権を有する者の賛成を得なければならない。
→○ 正しい。 区分所有法第69条5項「第一項の場合において、建替え承認決議に係る建替えが当該特定建物以外の建物(以下この項において「当該他の建物」という。)の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める者が当該建替え承認決議に賛成しているときに限り、当該特定建物の建替えをすることができる。
一 当該他の建物が専有部分のある建物である場合 第一項の集会において当該他の建物の区分所有者全員の議決権の四分の三以上の議決権を有する区分所有者
二 当該他の建物が専有部分のある建物以外の建物である場合 当該他の建物の所有者 」
1号のとおり。
答え:1
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問13
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〔問 13〕 Aは、認知症となり判断能力を欠く常況にある父親Bから何らの代理権を付与されていないのに、Bの代理人と称してB所有のマンションの一室をCに売却する売買契約を締結した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 正常な判断能力を有するBの妻が当該売買契約を追認すれば、当該売買契約は、有効となる。
→× 誤っている。 平成26年管理業務主任者試験 「問2」。
代理人についての設問です。
まず、図を描いて対象を整理すると分かりやすい。
子Aの行為は、何らかの代理権がないため、民法で定める無権代理となる。するとその追認は、民法第113条「代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。」
とあり、追認は本人(またはその権限の授与された代理人)が行う必要があり、本人の妻では代理人ではないため、無効である。
2 Aについて表見代理の要件が満たされたとしても、Cは、Aに対して、無権代理人の責任を追及することができる。
→○ 正しい。 表見代理とは、無権代理のうち、本人と無権代理人との間に特殊の関係があるために無権代理人を代理人と誤信した相手方を保護するため、無権代理行為を有効な代理行為として扱い、相手方を保護する制度をいう。
民法第117条「他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明することができず、かつ、本人の追認を得ることができなかったときは、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
」
とあり、判例では、表見代理の効果を主張するか、無権代理の効果を主張するかは相手方の選択による。具体的には、無権代理人Aに対して、Cは契約の履行、または損害賠償の請求ができます。
3 CがBに対して相当の期間を定めてその期間中に当該売買契約を追認するか否かを確答せよと内容証明郵便で催告した場合、その期間内にBが確答しないときは、Bは、当該売買契約を追認したものとみなされる。
→× 誤っている。 相手方 C の催告権の問題です。
民法第114条「前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。 」
とあり、追認を拒絶とみなされる。内容証明郵便などの方法は考慮されません。*制限行為能力者に対する催告では確答がないと「追認したもの」とみなされるのに注意(民法第20条参照)*
4 Aが、当該売買契約の締結後、Bの推定相続人全員の了解を取って、Bの実印を押したAに対する委任状を作成したときは、当該売買契約は有効となる。
→× 誤っている。 民法第113条1項「代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。」
、により本人以外の推定相続人は追認権のある代理人ではないため、当該契約は有効でない。
答え:2
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問14
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〔問 14〕 Aが、契約期間3年間、店舗経営とする約定でBに賃貸している甲マンションの店舗部分(101号室)を解約し、又はCに売却する場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。ただし、AB間の賃貸借契約には、解約に関する特約はないものとする。
1 Aは、契約期間内に、Bに対して101号室の明渡しを求める為には、相当の立退料を提供し、かつ、解約の申し入れに正当な理由が無ければならない。
→× 誤っている。 平成23年 管理業務主任者試験 「問3」 。
期間の定めがある賃貸借契約では、借地借家法第26条「建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。」とあり、
3年の契約期間があるので、満了の1年前から6ヶ月の間までに更新しない通知を出すことが必要で、契約期間中に解約明け渡しは求められない。*注:期間の定めがなければ、解約の申し入れと正当事由があれば、可能(参照:借地借家法第28条)。
2 101号室の賃貸借契約の期間の満了後Bが同室の使用を継続している場合に、Aがこれを知りながら異議を述べなかったときは、Aは、契約期間の満了後3年を経過していなくても、Bに対して当該賃貸借契約の解約の申し入れをすることができる。
→○ 正しい。 選択肢1で述べたように、借地借家法第26条1項によれば、契約期間が満了した契約は同一条件で法定更新されるが、期間の定めはないとされ、いつでも正当な事由があれば解約の申し入れができる。そして、その解約の申し入れ日から6ヶ月を経過すると終了する。(第27条1項、第28条)
3 AがCと101号室の売買契約を締結していた場合に、同室をCに売却することについて事前にBの承諾を得ていないときは、Bは、Aに対して貸主としての債務不履行による損害賠償を請求できる。
→× 誤っている。 借地借家法第31条1項によれば、借主Bは新貸主Cに対して借家権を対抗でき、損害はないので元の貸主Aには請求できない。また賃貸人が賃貸借契約の目的物を第三者に譲渡する場合には賃借人の承諾は不要。(判例)
4 AがCに対して101号室を売却した場合は、BはAに対して同室につき支出した有益費の償還を請求することができる。
→× 誤っている。 民法第608条「1項 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
2項 賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第百九十六条第二項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。」とあり、2項によれば、有益費は契約終了時にその賃貸人に対して請求するので元の貸主Aには請求できない。なお、最高裁 昭和46年2月19日:特段の事情のない限り、新賃貸人がその有益費の返還義務を承継し、旧賃貸人はその返還義務を負わない。
答え:2 (少し難問。)
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問15
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〔問 15〕 甲マンションの管理者Aは、平成17年5月1日に、201号室の所有者Bに対して滞納している管理費等の請求を行った。この場合におけるBの消滅時効の援用に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。ただし、滞納期間は、平成11年4月1日から平成17年3月31日までとし、Bは、平成17年4月1日に、201号室の当初の購入者である前区分所有者Cから同室の譲渡を受けたものとする。
1 平成17年4月1日にCが滞納管理費等を自分で支払う旨をBに約束していた場合でも、Bは、その滞納管理費等のうち時効が完成している分に付き時効を援用することができる。
→○ 正しい。 平成23年 管理業務主任者試験 「問11」 。
このような設問に対しても、図を描いて整理しましょう。
譲渡を受けたBは特定承継人です。また、管理費などの債権の時効は裁判上でも争いがありましたが、定期給付債権の短期消滅時効(民法第169条)に該当すると判決され現在”5年”となっています。
時効の援用とは、時効によって利益を受けるものがその利益を受ける意思を表示することです。(民法第145条参照)
まず、管理費など支払債務について、区分所有法第8条「前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。
」により、Bは特定承継人として元の所有者Cと共に支払い義務を負うが(連帯債務)、この滞納管理費の時効は5年(判例)であるので、平成11年4月1日から平成17年3月31日までの6年間のうち債務の一部に消滅時効が完成している。また、平成17年4月1日に元の所有者Cが自分で支払うと行っても、時効が完成している部分の債務には該当しない。独自に時効の援用ができる。
2 平成17年5月1日にBがAに対してCの滞納管理費等の支払の猶予を求めた場合でも、Bは、その滞納管理費等のうち時効が完成している分に付き時効を援用することができる。
→× 誤っている。 支払の猶予は、債務の承認となり、「時効完成後に債務者が債務の承認をした以上、時効完成の事実を知らなかったときでも、以後、その債務について時効を援用することはできない(最高裁:昭和41・4.20)。」により、時効完成部分にも、時効の援用はできない。
3 甲マンションの入居時に区分所有者全員で管理費等の滞納が発生したとしても時効を援用しない旨の合意をしていた場合は、Bは、Cの滞納管理費等のうち時効が完成している分に付き時効を援用することができない。
→× 誤っている。 民法第146条「時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。」により、時効の利益を時効完成前に放棄することは無効である。この場合Bは時効を援用できる。
4 Bは、平成17年6月1日にCの滞納管理費等をAに支払った場合に、時効の完成を知らなかったときは、時効を援用し、Aに対し,既に支払った滞納管理費等のうち時効が完成していた分の返還を請求することができる。
→× 誤っている。 選択肢2でも述べたように、滞納管理費の支払は、債務の承認となり、債務者が、消滅時効の完成後に、その支払をした時は、時効完成を知らなくても、その援用はできない。(判例)。
答え:1 (判例に注意が必要。)
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問16
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〔問 16〕 Aは、その所有する甲マンション(管理組合乙)の店舗部分(102号室)において喫茶店を経営しており、その内装改修のため、工事業者Bに内装工事を発注した。この場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定並びに判例によれば、誤っているのはどれか。
1 乙の規約で専有部分の修繕等を行う場合にはあらかじめ書面による乙の承認を受けるべき旨が定め られているにもかかわらず、Aが乙の承認を受けないで工事契約を締結した場合であっても、その契約
は、当然には無効とはならない。
→○ 正しい。 まず、契約は自由に行っていい。そして、この契約が民法第90条「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」の公序良俗違反となれば同条により無効となるが、Aの管理組合の承認がないという行為はマンション内の規約の手続違反に過ぎず無効とするほどの違法性があるとはいえない。当然には無効にならない。
2 内装工事で設置された照明器具が工事契約で特にデザインにつき約定されていた場合に、メーカーが同じで、照度、消費電力等の照明器具としての性能は同等であるもののデザインが全く異なるものであったときは、AはBに対して、相当の期間を定めてその瑕疵の修補を請求することができる。
→○ 正しい。 工事業者Bの行為は契約に定めたデザインが違う以上、債務の不完全履行であり瑕疵がある。(判例)。請負契約における瑕疵担保責任には債務不履行責任も包含されるから民法第634条1項「仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。」
に基づき修補請求ができる。
3 工事契約で工期の遅延に付き特別の合意をしていない場合に、Bの資材の調達の手違いにより内装工事の完成が約定工期より遅れ、喫茶店の開店が遅れたときは、Aは、Bに対して、開店が遅れたことによる営業上の損害につき損害賠償を請求することができる。
→○ 正しい。 工事業者Bの行為は履行遅延であり、過失の帰責事由も認められるのでその債務不履行と相当因果関係にある損害の賠償責任がある。開店が遅れるとその間の営業損失は通常発生するものであり、民法第416条1項「債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
」
に基づいた範囲でその賠償を請求できる。(参考:民法第415条:債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。」
)
4 Aは、Bの塗料の選定が不適切であったため、施行後の塗装の乾燥が十分でないことを知らずに開店 したところ、来客が衣服を汚損した場合、被害者に支払った損害賠償金損害額を工事の瑕疵による損害賠償としてBに請求するには、Bの塗料の選定に過失があったことを証明しなければならない。
→× 誤っている。 請負の瑕疵担保責任(民法第634条2項:注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第五百三十三条の規定を準用する。
)は過失のある場合も含むが、瑕疵担保責任の本来の姿は無過失責任であるから過失の証明は不要である。
答え:4
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問17
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〔問 17〕 甲マンションの隣地の居住者Aは、甲マンションの一階で営業しているカラオケ店から漏れる音がうるさいので、店主に対して再三その改善の申入れをしたものの一向に改善されなかったため、知人のB、C及びD(18歳)をそそのかして、Bが見張りをしている間に、C及びDをしてカラオケ店の外壁に広範囲にわたりペンキで落書きをさせて甲マンションの区分所有者に損害を与えた。この場合のAないしDの当該区分所有者に対する不法行為責任に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、A、B及びCは、成年とする。
1 Aは、騒音被害を受けていたとしても、Cと同様の損害賠償責任を負う。
→○ 正しい。 この場合は、共同不法行為に該当する。
AはBCDに共同不法行為を教唆したため、民法第719条「1項 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
2項 行為者を教唆した者及び幇助した者は、共同行為者とみなして、前項の規定を適用する。」の規定により、Aは、Cと共同不法行為で連帯債務を負う。
2 Bは、Cの損害賠償責任より軽減される。
→× 誤っている。 見張りをしたBも、選択肢1で引用した民法第719条1項の共同不法行為で連帯債務を負い、責任軽減の事由は見当たらない。
3 Cは、落書きをした範囲を問わず、損害の全額に付き損害賠償を負う。
→○ 正しい。 選択肢1で引用した民法第719条1項の共同不法行為で全損害について連帯債務を負う。
4 Dは、Cと同様の損害賠償責任を負う。
→○ 正しい。 Dは18歳の未成年者であっても、その行為の責任を弁識するに足りると解される。(民法第712条参照)。民法では、未成年者の責任能力の最低限度を刑法第41条のように、一律14歳と決めていないが、判例では、大体12歳が年齢の最低限度のようである。(民法第712条:未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。)。民法第719条の共同不法行為で連帯債務を負い、不法行為の責任能力は18歳では成年と変わりがな い。
答え:2
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問18
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〔問 18〕 Aが甲マンション(管理組合乙)の201号室を購入し、管理費等を滞納したまま死亡した場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。ただし、Aの相続人として妻Bと成人の子Cがいるものとする。
1 B及びCは、単純承認をすれば、滞納管理費等については、それぞれ法定相続分に応じて承継する。
→○ 正しい。 まず、相続には、@単純承認、A限定承認、B放棄 があることは理解しておくこと。これと似たような出題が、平成19年マンション管理士試験 問17 にある。また、平成21年マンション管理士試験 「問14」 にもある。
民法第899条「各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。」
により、各相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を相続する。判例によれば、管理費債務は金銭債務であり可分なので、相続の開始と同時に法定相続分に応じて分割された額を相続 する。
2 Cが乙に対して限定承認をした旨の通知をした場合でも、Bが限定承認をしていないときは、乙は、B に対して、滞納管理費等の全額を請求しなければならない。
→× 誤っている。 民法第923条「相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。」により、限定承認は相続人全員で行う必要があり、妻Bが限定承認をしていないので、子Cの限定承認は認められない。その結果、BとCはその相続分(1/2づつ)に応じて、滞納管理費等の債務を継承する。(民法第899条、第900条1号)。よって管理組合乙は、Bに全額請求できない。
3 B及びCは、Aの包括承継人であり、滞納管理費等につき連帯して負担する義務があるから、乙は、B又はCに対して、その全額を請求することができる。
→× 誤っている。 選択肢1、2と同じで、相続は相続分(各1/2)に応じて支払義務を承継するので、各々に対して全額の請求はできない。
4 BがCに対して滞納管理費等の全額を支払うことを約した場合には、Cは、乙に対して、滞納管理費等に係る債務を負うことはない。
→× 誤っている。 妻Bが子Cに対して、全額支払を約束しても、BのCの債務の引受は、債権者乙(管理組合)の承諾が必要であり当然にはCの債務を消滅させない。
答え:1
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問19
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〔問 19〕 A不動産会社が複数の敷地権付き区分建物からなる1棟の建物を建築した場合の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Aが区分建物の一つをBに売却した場合、Bは、自らを表題部所有者とする区分建物の表題登記を申請することができる。
→× 誤っている。 不動産登記法は、平成16年に大幅に改正された。登記済証とか区分所有建物の扱いなど変更点を纏めておくといい。
不動産登記法第48条(区分建物についての建物の表題登記の申請方法) 「1項 区分建物が属する一棟の建物が新築された場合又は表題登記がない建物に接続して区分建物が新築されて一棟の建物となった場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該新築された一棟の建物又は当該区分建物が属することとなった一棟の建物に属する他の区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない。
2項 前項の場合において、当該区分建物の所有者は、他の区分建物の所有者に代わって、当該他の区分建物についての表題登記を申請することができる。」
により、不動産業者のAが一括して表示申請を行う。新規の購入者Bではない。
2 建物が所在する土地の登記記録にAのために地上権設定の登記がされている場合において、区分建物の登記記録の表題部に敷地権に関する登記がされたときは、当該土地の登記記録の権利部の乙区に敷地権である旨の登記がされる。
→○ 正しい。 区分建物の表題部に敷地権の登記(不動産登記法第44条1項9号参照)がなされたら、地上権の登記記録は、不動産登記規則4条4項「権利部は、甲区及び乙区に区分し、甲区には所有権に関する登記の登記事項を記録するものとし、乙区には所有権以外の権利に関する登記の登記事項を記録するものとする。」
とあり、地上権は所有権以外の権利のため乙区に登記され、敷地利用権が地上権のときは当該地上権に敷地権設定の登記がなされる。
3 Aを表題部所有者とする表示登記がされた場合において、区分建物の一つをBに売却したときは、Bの所有権の保存の登記の申請の際に、登記原因であるAB間の売買契約を証する情報を提供することを要しない。
→× 誤っている。 まず、所有権保存の登記とは、所有権の登記がされていない不動産について、初めて登記される所有権のことで、登記記録の権利部の甲区に記録される。ここから、権利に関する登記が始まる。
区分建物の場合その申請では、@登記の目的(所有権保存)、A原因(年月日 売買)、B申請人(購入者住所・氏名)、C添付書類(ア.登記原因証明情報=売買契約書、イ.住所証明書、ウ.承諾書=表題部所有者の分譲会社の承諾書、エ.代理権限証書)、D根拠法条文の記載(法第74条2項の規定による申請)、E代理人(住所、氏名、連絡先の電話)、F課税価額(建物、敷地権)、G登録免許税(建物、敷地権、合計)、H不動産の表示(ア.一棟の建物の表示、イ.区分建物の表示、ウ.敷地権の表示)となる。
不動産登記令3条6号「六 登記原因及びその日付(所有権の保存の登記を申請する場合にあっては、法第七十四条第二項 の規定により敷地権付き区分建物について申請するときに限る。)」により、登記原因である売買契約書や登記名義人(分譲会社)の承諾も登記の申請情報として必要。(通常の登記と異なり、登記済証や印鑑証明は不要)
4 公正証書による規約により共用部分とされた集会所がある場合は、Aを表題部の所有者とする表題登記をした上で、区分所有者全員を所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記をしなければならない
。
→× 誤っている。 不動産登記法第58条2項「共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記は、当該共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記をする建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。
」により、Aが申請し、同法第44条6号「建物が共用部分又は団地共用部分であるときは、その旨」が建物の表題部に記載され、同法第58条4項「登記官は、共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記をするときは、職権で、当該建物について表題部所有者の登記又は権利に関する登記を抹消しなければならない。」で、 表題部にその旨記載され甲区、乙区の登記は抹消される。規約共用部分では、所有権者がいなくなる。
答え:2
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問20
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〔問 20〕 被災区分所有建物の再建に関する次の記述のうち、被災区分所有建物の再建等に関する持別措置法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 再建の集会における敷地共有者等の議決権の定数は、その全員の合意によっても、敷地共有者等の議決権の3/4とすることはできない。
→○ 正しい。 被災区分所有建物の再建等に関する持別措置法は「大規模な火災、震災その他の災害により滅失した区分所有建物の再建等を容易にし、もって被災地の健全な復興に資することを目的とする。」法律です。条文も6条しかないので、一度目をとおしておくこと。
同法第3条1項「再建の集会においては、敷地共有者等の議決権の五分の四以上の多数で、滅失した区分所有建物に係る区分所有法第二条第五項 に規定する建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に建物を建築する旨の決議(以下「再建の決議」という。)をすることができる。
」とあり、4/5以上とされている。
4/5以上は、区分所有法第62条の建替えでの「区分所有者及び議決権の各4/5以上の多数」とも関係している。民法での共有関係での「全員の合意」を緩めている。
2 再建の決議においては、再建建物の設計の概要、建築費用の概算額及びその分担に関する事項並びに再建建物の区分所有権の帰属に関する事項を定めなければならない
→○ 正しい。 被災区分所有建物の再建等に関する持別措置法第3条2項「再建の決議においては、次の事項を定めなければならない。
一 新たに建築する建物(以下「再建建物」という。)の設計の概要
二 再建建物の建築に要する費用の概算額
三 前号に規定する費用の分担に関する事項
四 再建建物の区分所有権の帰属に関する事項 」
のとおり。
3 区分所有建物の再建は、迅速な再建を図るため、災害を指定する政令の施行の日から起算して3年以内に、再建に関する工事に着手する必要がある。
→× 誤っている。 被災区分所有建物の再建等に関する持別措置法第3条5項「再建の決議は、その区分所有建物の滅失に係る災害を定める前条第一項の政令の施行の日から起算して三年以内にしなければならない。」
により3年以内に決議すればよい。再建工事の着手は規定がない。
4 再建の集会における敷地共有者等の議決権は、区分所有者の定数に係る要件はなく、敷地共有持分等の価格の割合によって決まる。
→○ 正しい。 被災区分所有建物の再建等に関する持別措置法第2条2項「前項の規定による集会(以下「再建の集会」という。)における敷地共有持分等を有する者(以下「敷地共有者等」という。)の各自の議決権は、敷地共有持分等の価格の割合による。 」
により価格割合による。これは、建物の専有部分が存在しないため民法第252条による。
答え:3
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問21
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〔問 21〕 マンション建替組合(以下「建替組合」という。)に関する次の記述のうち、マンションの建替えの円滑化等に関する法律の規定によれば、正しいものはどれか。
1 区分所有法に基づく建替え決議に賛成しなかった区分所有者であって、区分所有法第63条第1項の規定による催告に対して、建替えに参加しない旨を回答した者は、建替組合の組合員となることはできない。
→× 誤っている。 マンションの建替えの円滑化等に関する法律は「マンション建替組合の設立、権利変換手続による関係権利の変換、危険又は有害な状況にあるマンションの建替えの促進のための特別の措置等マンションの建替えの円滑化等に関する措置を講ずることにより、マンションにおける良好な居住環境の確保を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」ものです。
区分所有法では、建替えの決議までは定めていますが、それから先が規定されていません。そこで、この マンションの建替えの円滑化等に関する法律が制定されました。
同法第9条1項「区分所有法第六十四条 の規定により区分所有法第六十二条第一項 に規定する建替え決議(以下単に「建替え決議」という。)の内容によりマンションの建替えを行う旨の合意をしたものとみなされた者(マンションの区分所有権又は敷地利用権を有する者であってその後に当該建替え決議の内容により当該マンションの建替えを行う旨の同意をしたものを含む。以下「建替え合意者」という。)は、五人以上共同して、定款及び事業計画を定め、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事の認可を受けて組合を設立することができる。」
により不参加の意見を撤回して参加した者も建替え合意者となり、同法第9条1項により組合員となる。
2 建替組合は、名称、定款及び事業計画を定め、設立総会において組合員の3/4以上の多数の決議により承認される。
2 建替組合は、名称、定款及び事業計画を定め、設立総会において組合員の3/4以上の多数の決議により設立される。
→○ 正しい。 ? 設問の「承認される」が「設立される」の転記ミスでの解説。
同法第9条1項、同2項により組合員(建替合意者?)の3/4以上の定款(名称も含む)及び事業計画の承認により認可申請される。
→× 誤っている。 同法第9条1項「 区分所有法第六十四条 の規定により区分所有法第六十二条第一項 に規定する建替え決議(以下単に「建替え決議」という。)の内容によりマンションの建替えを行う旨の合意をしたものとみなされた者(マンションの区分所有権又は敷地利用権を有する者であってその後に当該建替え決議の内容により当該マンションの建替えを行う旨の同意をしたものを含む。以下「建替え合意者」という。)は、五人以上共同して、定款及び事業計画を定め、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事の認可を受けて組合を設立することができる。」とあり、また同条2項、
「2項 前項の規定による認可を申請しようとする建替え合意者は、組合の設立について、建替え合意者の四分の三以上の同意(同意した者の区分所有法第三十八条 の議決権の合計が、建替え合意者の同条 の議決権の合計の四分の三以上となる場合に限る。)を得なければならない。」
により、建替え合意者が5人以上が共同して、都道府県知事の認可を受けて組合を設立できる。3/4以上の同意を得ていればよく、決議は不要。 また、都道府県知事の認可が無ければ、設立できない。
3 建替組合は、事業の完成が不能となったことにより解散しようとする場合は都道府県知事又は指定都市等の長の認可を受けなければならない。
→○ 正しい。 建替組合は、同法第38条1項「組合は、次に掲げる理由により解散する。
一 設立についての認可の取消し
二 総会の議決
三 事業の完成又はその完成の不能 」で解散する。
そして、同条4項「組合は、第一項第二号又は第三号に掲げる理由により解散しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事の認可を受けなければならない。」とあり、
同法第128条により「この法律中都道府県知事の権限に属する事務は、地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項 の指定都市(以下この条において「指定都市」という。)、同法第二百五十二条の二十二第一項
の中核市(以下この条において「中核市」という。)及び同法第二百五十二条の二十六の三第一項 の特例市(以下この条において「特例市」という。)においては、政令で定めるところにより、指定都市、中核市又は特例市(以下この条において「指定都市等」という。)の長が行うものとする。この場合においては、この法律中都道府県知事に関する規定は、指定都市等の長に関する規定として指定都市等の長に適用があるものとする。 」とあり、
指定都市等の長の認可」も入る。
4 建替組合が設立された際には、その法人登記を行わなければ、第三者に対抗することができない。
→× 誤っている。 建替組合は、知事または指定都市等の長の認可で(同法第9条1項)成立して(同法第13条:組合は、第九条第一項の規定による認可により成立する。」、
法人格を有する。(同法第6条1項:組合は、法人とする。)。そして、同法第14条2項「組合は、前項の公告があるまでは、組合の成立又は定款若しくは事業計画をもって、組合員その他の第三者に対抗することができない。
」
とあり、第三者への対抗要件は都道府県知事の公告である。登記はなくても公告で第三者に対抗できる。民法第45条2項は建替組合には準用されていない。(同法第6条2項)
答え: 3が正式解答 (選択肢2の設問が曖昧である。2011年2月13日:選択肢2 は転記ミスだった。))
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問22
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〔問22〕建築基準法第52条第5項に規定する建築物である共同住宅のア〜エの共用部分のうち、建築物 の容積率の算定の基礎となる延べ面積に床面積を算入しなくてもよいものの組合せは、同法の規定によれば、次のうちどれか。
ア 中央管理室
イ 廊下
ウ 階段
エ エレベーター機械室
1 アとイ
2 イとウ
3 ウとエ
4 エとア
建築基準法第52条第6項によれば、「第一項・・・に規定する建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、共同住宅の共用の廊下又は階段の用に供する部分の床面積は、算入しないものとする。 」
とされ、イ(廊下)とウ(階段)が対象外。共同住宅(マンション)での廊下と階段は、道路と同じと考えていい。
答え:2 (イ、ウ)
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問23
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[問23〕準防火地城にある共同住宅に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、誤っている ものはどれか。
1 地階を除く階数が4以上であるもの又は延べ面構が1,500uを超えるものは、耐火建築物としなければ ならない。
→○ 正しい。 準防火地域であることに注意。
建築基準法第62条1項によれば、「準防火地域内においては、地階を除く階数が四以上である建築物又は延べ面積が千五百平方メートルを超える建築物は耐火建築物としなければならない。」とあり正しい。
2 当該共同住宅の外壁の開口部で延焼のおそれのある部分には、一定の防火設備を設けなければならない。
→○ 正しい。 建築基準法第64条によれば、「防火地域又は準防火地域内にある建築物は、その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備を設けなければならない。」とあり正しい。
3 延べ面積が500uを越え、1,500u以下のものは、耐火建築物又は準耐火建築物にしなければならない 。
→○ 正しい。 建築基準法第62条1項によれば、「準防火地域内においては、延べ面積が五百平方メートルを超え千五百平方メートル以下の建築物は耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない。」とあり正しい。
4 当該共同住宅が防火地域及び準防火地域にわたる場合においては、準防火地域の建築物に関する規定は適用されることはない。
→× 誤っている。 建築基準法第67条2項によれば、「建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合においては、その全部について防火地域内の建築物に関する規定を適用する。ただし、建築物が防火地域外において防火壁で区画されている場合においては、その防火壁外の部分については、準防火地域内の建築物に関する規定を適用する。」とあり、例外がある。
答え:4
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問24
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[問24〕都市計画に建築物の建ぺい率を定める必要のない用途地域は、都市計画法の規定によれば、次のうちどれか。
1 第一種中高層住宅専用地域
2 準工業地域
3 準住居地域
4 商業地域
都市計画法第8条3項ハ号によれば、「第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域、工業地域又は工業専用地域では、建築基準法第五十三条第一項第一号 から第三号 まで又は第五号 に規定する建築物の建ぺい率を都市計画に定めるものとする。」とあり、商業地域が除かれている。
商業地域内の建築物は、建ぺい率が8/10と法定されているので、都市計画に定める必要がない。参考:平成21年マンション管理士試験 「問21」 選択肢3
答え:4
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問25
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〔問25〕延べ面積1,000u以上で消防長又は消防署長が火災予防上必要があると認めて指定している共同住宅(以下「甲住宅」という。)及ぴ延べ面積1,000u未満の共同住宅(以下「乙住宅」という。)における消防用設備等の点検に関する次の記述のうち、消防法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 甲住宅にあっては、その防火管理者に点検させ、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。
→ × 誤っている。 消防法第17条の3の3「第十七条第一項の防火対象物(政令で定めるものを除く。)の関係者は、当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等(第八条の二の二第一項の防火対象物にあつては、消防用設備等又は特殊消防用設備等の機能)について、総務省令で定めるところにより、定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。」とあり、
政令 消防法施行令第36条2項「法第十七条の三の三の消防用設備等又は特殊消防用設備等について消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検をさせなければならない防火対象物は、次に掲げる防火対象物とする。
一 別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が千平方メートル以上のもの
二 別表第一(五)項ロ、(七)項、(八)項、(九)項ロ、(十)項から(十五)項まで、(十六)項ロ、(十七)項及び(十八)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が千平方メートル以上のもののうち、消防長又は消防署長が火災予防上必要があると認めて指定するもの」とあり、 共同住宅は、別表第一(五)項ロ に該当する。
甲共同住宅は延べ面積が1,000u以上のため、点検は防火管理者ではなく、消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検をさせなければならない」。
延べ面積が 1,000u以上では、防火管理者では資格がなく、点検できない。
2 乙住宅にあっては、消防設備士免状の交付を受けているものに点検させ、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。
→× 誤っている。 選択肢1で述べたように、乙住宅は、延べ面積が1,000u未満であるので、その他のものとなり、建物の関係者や防火管理者が自ら行うことができる。
3 甲住宅にあっては、その居住者に点検させ、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。
→× 誤っている。 選択肢1で述べたように、甲共同住宅は延べ面積が1,000u以上のため、消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させなければならない。
4 乙住宅にあっては、その関係者が自ら点検すれば足り、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。
→○ 正しい。 選択肢1で述べたように、乙住宅は、延べ面積が1,000u未満であるので、建物の関係者や防火管理者が自ら行うことができる。
答え:4
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最終更新日:
2018年 8月20日:リンク先を「higuchi」へ変更
2012年 4月29日:正解肢をピンク・太字に統一。
2011年 3月10日:「問11」参照条文入れ替え。
2011年 2月13日:「問21」転記ミスで訂正。
2010年5月8日、ちょろちょろと
2009年2月28日
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