平成27年(2015年) 管理業務主任者 試験問題 及び 解説
ページ1(問1より問25まで)
謝辞:当問題の作成にあたっては、ミスミ様、大石様、青木様のご協力を戴いております。
テキスト文への変更など、ご助力を心から感謝いたします。
「マンション管理士 香川事務所」 より。
*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。 (2016年 8月29日:改正に対応した。)
また、「マンションの管理の適正化に関する指針」も平成28年3月に改正がありましたので、注意してください。
※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。
*試験に臨んで、お節介なアドバイス
1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
そして、各選択肢を読み、○かXをつけます。
問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。
2.疑問な問題は、とりあえず飛ばす。
回答の時間は限られています。
そこで、回答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
全部の回答が終わってから、再度戻って決定してください。
3.複雑な問は、図を描く。
甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。
重要な点が分かってきます。
(出題者からの注意) 1.答えは、各問題とも1つだけです。2つ以上の解答をしたもの、判読が困難なものは、正解としません。
2.問題中法令に関する部分は、平成27年4月1日現在施行中の規定に基づいて出題されています。
解説者からのコメント:あやふやな出題、適切でない出題もあって、解答ができないのもあります。
※ マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。
【問 1】 マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年法律第149号。以下、本試験問題において「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号に規定するものをいう。以下、本試験問題において同じ。)の管理組合A(以下、本問において「A」という。)の管理者B(以下、本問において「B」という。)が、その職務に関し、C会社(以下、本問において「C」という。)との間で取引行為をした場合に関する次の記述のうち、民法(明治29年法律第89号)、建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下、本試験問題において「区分所有法」という。)の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。 |
問2 |
【問 2】 区分所有者A(以下、本問において「A」という。)が、マンションの管理組合法人B(以下、本問において「B」という。)に対して管理費等を滞納している場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。 |
問3 |
【問 3】 マンションの管理組合法人A(以下、本問において「A」という。)が、区分所有者B(以下、本問において「B」という。)に対する管理費債権(以下、本問において「本件被保全債権」という。)を保全するため、Bの債務者C(以下、本問において「C」という。)に対する金銭債権(以下、本問において「本件代位債権」という。)を代位行使する場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。 |
【問 4】 マンションの区分所有者A(以下、本問において「A」という。)が、その専有部分をBに賃貸している場合に、Bの賃料の支払いに関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。 |
問5 |
【問 5】 マンションの専有部分甲(以下、本問において「甲」という。)を所有するAが、Aの友人であるBに甲を贈与する場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。 |
問6 |
【問 6】 Aが所有するマンションの専有部分甲(以下、本問において「甲」という。)を賃貸するBが、第三者であるCに、当該賃借権を譲渡又は甲を転貸した場合に関する次の記述のうち、民法、借地借家法(平成3年法律第90号)の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。 |
【問 7】 マンション標準管理委託契約書及びマンション標準管理委託契約書コメント(平成15年4月9日国総動第3号。国土交通省総合政策局長通知。以下、本試験問題において「マンション標準管理委託契約書」という。)の定めによれば、管理事務(マンション管理適正化法第2条第6号に規定するものをいう。以下、本試験問題において同じ。)に要する費用の負担及び支払方法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 |
【問 8】 宅地建物取引業者(宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第2条第3号に規定する者をいう。以下、本試験問題において同じ。)が、管理組合の組合員から、当該組合員が所有する専有部分の売却の以来を受け、その媒介等の業務のために、マンション管理業者に確認を求めてきた場合の当該管理組合に代わって行うマンション管理業者の対応に関する次の記述のうち、マンション標準管理委託契約書の定めによれば、最も不適切なものはどれか。 |
【問 9】 マンション標準管理委託契約書における出納業務及び会計業務に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 |
【問 10】 マンション管理費の支払債務の消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。 |
【問 11】 民事訴訟法(平成8年法律第109号)の「少額訴訟に関する特則」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 |
【問 12】 管理組合の会計等に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約及びマンション標準管理規約コメント(単棟型)(平成16年1月23日国総動第232号・国住マ第37号。国土交通省総合政策局長・同住宅局長通知。以下、本試験問題において「マンション標準管理規約」という。)の定めによれば、適切なものはいくつあるか。 *注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、対応した。(2016年 8月28日) ア 機械式駐車場を有する場合、駐車場使用料は、管理費及び修繕積立金とは区分して経理することもできる。 「(議決事項) |
【問 13】 管理組合の会計及び役員に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約の定めによれば、最も不適切なものはどれか。 *注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、対応した。(2016年 8月28日) 1 管理組合の役員には、管理費等の収納、保管、運用、支出等の会計業務を行うために会計担当理事を置くこととしており、その選任は理事の互選による。 「(理事) 「(収支予算の作成及び変更) 第58条関係 (平成28年3月版) |
【問 14】 管理組合における以下の取引に関して、平成27年3月分の仕訳として最も適切なものは次のうちどれか。ただし、この管理組合の会計年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までとし、期中の取引において、企業会計原則に基づき厳格な発生主義によって経理しているものとする。
B工事は、3月に完了したが、支払は4月に、残金3,200、000円を振り込む。 ここが、発生主義の重要な点です。 まだ支払がないのですが、発生主義では、完了した3月で、全額 4,000,000円 を計上します。 全額費用 4,000、000円 の内、800,000円 は、既に2月に前払金として計上していることに注意してください。 また、全額費用 4,000、000円 を計上しても、実際に振り込むのは、4月ですから、このときの相手勘定は「未払金」となります。 そこで、仕訳は、次のようになります。
これで、建物附属設備の仕訳は終わりです。 次に、 C4月に予定の外壁塗装補修工事 全額 3,000、000円 の 一部 1,000,000円 を3月に普通預金から支払った。 出題としては、上のBまでで終わらすと、答えが簡単になるため、必ずこのCのような取引も加えてきますから注意してください。 3月時点では、発生主義では、外壁塗装補修工事の一部 1,000,000円 は、単に 前払金となります。 そこで、仕訳は、次のようになります。
これらを纏めると以下のようになります。
よって答えは、 答え:4 かなり発生主義について細かな解説をしましたので、時間がかかった。 《タグ》会計、仕訳、発生主義、前払金、未払金 |
【問 15】 管理組合における以下の取引に関して、平成27年3月分の仕訳として最も適切なものは次のうちどれか。ただし、この管理組合の会計年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までとし、期中の取引において、企業会計原則に基づき厳格な発生主義によって経理しているものとする。 *発生主義の重要性については、前の「問14」を参考にしてください。 *3月の仕訳で、各取引を見ていきましょう。 @まず管理費関係は、次のようになります。 管理費関係の入金 借方 1,240,000円の内訳は、 ア.2月以前の未収入金の 100,000円。 これは、2月以前に既に管理費として処理がされている分ですから、入金によって貸方に計上します。 イ.3月分の振込みは 220,000円ですが、未収入が 他に 80,000円ある。 管理費の発生主義による 合計は 220,000円 + 80,000円 = 300、000円です。 そこで、管理費収入としては、全額の 300,000円を貸方に計上しますが、未収があるため、借方に未収金 80,000円も計上します。 ウ.4月分 92,000円まで 振り込んできている。 3月では貸方に前受金として、計上します。 そこで、管理費関係は、次のようになります。
A次に修繕積立金関係は、以下のようになります。 修繕積立金関係の入金 借方 620,000円の内訳は、 ア.2月以前の未収入金の 50,000円。 これは、2月以前に既に修繕積立金として処理がされている分ですから、入金によって貸方に計上します。 イ.3月分の振込みは 110,000円ですが、未収入が 他に 40,000円ある。 修繕積立金の発生主義による 合計は 110,000円 + 40,000円 = 150、000円です。 そこで、管修繕積立金収入としては、全額の 150,000円を貸方に計上しますが、未収があるため、借方に未収金 40,000円も計上します。 ウ.4月分 460,000円まで 振り込んできている。 3月では貸方に前受金として、計上します。 そこで、修繕積立金関係は、次のようになります。
そこで、管理費と修繕積立金を纏めると、以下のようになります。
答え:1 |
【問 16】 管理組合の税務の取扱いに関する次の記述のうち、法人税法(昭和40年法律第34号)及び消費税法(昭和63年法律第108号)によれば、最も適切なものはどれか。 |
【問 17】 鉄筋コンクリート造に関する次の記述のうち、建築基準法(昭和25年法律第201号)によれば、誤っているものはどれか。 具体的には、もっとも多く使われている水セメント比60〜65%程度のコンクリートの中性化年数はかぶり厚さ30mmの場合で約45年程度ですが、水セメント比を55%に変えるだけで、中性化年数は70年近くに達します。 で、設問は、建築基準法施行令第79条 「(鉄筋のかぶり厚さ) 第七十九条 鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、耐力壁以外の壁又は床にあつては二センチメートル以上、耐力壁、柱又ははりにあつては三センチメートル以上、直接土に接する壁、柱、床若しくははり又は布基礎の立上り部分にあつては四センチメートル以上、基礎(布基礎の立上り部分を除く。)にあつては捨コンクリートの部分を除いて六センチメートル以上としなければならない。 2 前項の規定は、水、空気、酸又は塩による鉄筋の腐食を防止し、かつ、鉄筋とコンクリートとを有効に付着させることにより、同項に規定するかぶり厚さとした場合と同等以上の耐久性及び強度を有するものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる部材及び国土交通大臣の認定を受けた部材については、適用しない。 」 あり、 布基礎の立上り部分を除いた基礎においては、鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、捨コンクリートの部分を除き、6cm以上としなければならないは、正しい。 答え:1 知らない言葉が多く出ている。かなりの難問。解説だけで、何んと総時間が、4時間を越えてしまった。 だけど、この出題者は、管理業務主任者に必要な内容としては、実に不適切な出題をしている。 管理業務主任者において建築での、鉄筋の継手の長さや、腹筋梁などの知識が必要とは思われない。 この出題は、大いに糾弾します。 《タグ》建築基準法 建築基準法施行令。 鉄筋の継手、コンクリートの養生、 腹筋梁、あばら筋、臥梁(がりょう)、まぐさ、かぶり厚さ *2016年 1月19日: こんな、建築のマニアックな出題の解説をやっていると、時間がかかる。もう、この1問だけで3時間以上も時間がかかっている。 今までは、出題順に解説をやってきたが、平成27年度の建築基準法からの出題は、この「問17」を始めとして、「問24」や「問27」など、実に全体として、管理業務主任者レベルに求められる知識の範囲を大いに逸脱した出題だ。 まったく、出題として不適切だ。 建築基準法関係は、解説に時間がかかるので、全部飛ばして、後日解説に戻ります。 次は、「問29」 区分所有法 に飛びます。 *2016年 1月24日:一応、ページ2の「問26」から「問50」が終わったので、「問17」に戻って来ました。 |
【問 18】 建築基準法による用語の定義及び面積、高さ等の算定方法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 |
【問 19】 建築基準法に基づく石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 |
【問 20】 マンションの給排水設備に関する用語の説明として、最も不適切なものはどれか。 |
【問 21】 マンションの受水槽に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 答え:4 選択肢1の水位は新しい出題だけど、受水槽の有効容量の1日予想給水量の1/2程度は、過去問題から分かる。 《タグ》受水槽。 定水位弁、6面点検、ポンプ直送方式、受水槽の有効容量 |
【問 22】 マンションの電気設備に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 |
【問 23】 非常用照明装置及び誘導灯に関する次の記述のうち、建築基準法及び消防法(昭和23年法律第186号)によれば、最も適切なものはどれか。
防法施行規則第28条の3では、カンデラ(光源そのものの明るさを測る単位)だけが規定されていますから、光源の種類としては白熱灯と蛍光灯に限られておらず、、LEDランプでも可能ですから、適切ではありません。 なお、カンデラに関係して、「ルクス」は照らされた面の明るさの単位です。 間違えないように。 また、参考:平成22年4月9日付:消防予第177号 を見ても、 「光源となる照明器具の種類:蛍光灯・白熱電球・LED・その他 」 とあり、光源となる照明器具から、特にLEDランプを除外していませんから、適切ではありません。 3 非常用照明装置については、直接照明、間接照明を問わず、床面から1mの高さにおいて1ルクス以上の照度を確保しなければならない。 X 適切ではない。 建築基準法では、直接照明で、床面において、1ルクス以上の照度とあり、間接照明は認めず、また床面から1mの高さではない。 平成19年 管理業務主任者試験 「問21」 非常用照明装置については、今度は、建築基準法が定めています。 非常用の照明装置は、不特定多数の人々が利用する特殊建築物および一定規模以上の建築物の居室、採光上の無窓の居室などとその避難経路に設けるもので、劇場、映画館、病院、ホテル、共同住宅、学校、百貨店などに設置することが義務づけられています。(建築基準法施行令、第126条の4参照) 火災時等による断線や停電などの非常時には自動的に非常電源に切替わり、室内や通路を明るく照らします。 そして、建築基準法施行令第126条の5 「(構造) 第百二十六条の五 前条の非常用の照明装置は、次の各号のいずれかに定める構造としなければならない。 一 次に定める構造とすること。 イ 照明は、直接照明とし、床面において一ルクス以上の照度を確保することができるものとすること。 ロ 照明器具の構造は、火災時において温度が上昇した場合であつても著しく光度が低下しないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。 ハ 予備電源を設けること。 ニ イからハまでに定めるもののほか、非常の場合の照明を確保するために必要があるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。 二 火災時において、停電した場合に自動的に点灯し、かつ、避難するまでの間に、当該建築物の室内の温度が上昇した場合にあつても床面において一ルクス以上の照度を確保することができるものとして、国土交通大臣の認定を受けたものとすること。 」 とあり、 建築基準法施行令第126条の5 1号イ によれば、照明は、”直接照明”とし、床面において一ルクス以上の照度を確保することができるものとすることですから、非常用照明装置については、直接照明、間接照明を問わず、床面から1mの高さにおいて1ルクス以上の照度を確保しなければならないは、適切ではありません。 なお、建築基準法においてLEDランプの使用は、非常用照明装置として以前は認められていませんでしたが、国土交通大臣の認定制度を利用して最近は、LEDランプも非常用照明装置として認められています。 なお、蛍光灯や”国土交通大臣認定LEDランプ”を使用する場合では、2ルクス以上のようです。 これは、白熱灯は周囲温度の変化による光束の変化を全く受けませんが、蛍光灯は周囲温度の上昇とともに光束が低下し、140℃程度の雰囲気では常温時の約半分に光束が低下しますので常温2ルクスとして計算します。 参考: (昭和45年12月28日建設省告示第1830号) 最終改正。平成12年5月30日建設省告示第1405号 「 非常用の照明装置の構造方法を定める件」 第4 その他 一 非常用の照明装置は、常温下で床面において水平面照度で1ルクス(蛍光灯を用いる場合にあつては、2ルクス)以上を確保することができるものとしなればならない。 二 前号の水平面照度は、十分に補正された低照度測定用照度計を用いた物理測定方法によつて測定されたものとする。」 4 非常用照明装置については、停電時の予備電源として蓄電池を用いる場合は、充電を行うことなく30分間継続して点灯するものでなければならない。 ○ 適切である。 平成26年 管理業務主任者試験 「問20」 、平成21年 管理業務主任者試験 「問24」 建築基準法が規定する、非常用の照明装置の予備電源は、建築基準法施行令126条の4 「(設置) 「第百二十六条の四 法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物の居室、階数が三以上で延べ面積が五百平方メートルを超える建築物の居室、第百十六条の二第一項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が千平方メートルを超える建築物の居室及びこれらの居室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路(採光上有効に直接外気に開放された通路を除く。)並びにこれらに類する建築物の部分で照明装置の設置を通常要する部分には、非常用の照明装置を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。 一 一戸建の住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸 二 病院の病室、下宿の宿泊室又は寄宿舎の寝室その他これらに類する居室 三 学校等 四 避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないものその他これらに類するものとして国土交通大臣が定めるもの」 とあり これを受けた、 「(昭和45年12月28日建設省告示第1830号) 最終改正 平成12年5月30日建設省告示第1405号 「 非常用の照明装置の構造方法を定める件」第三 第三電源 一常用の電源は、蓄電池又は交流低圧屋内幹線によるものとし、その開閉器には非常用の照明装置用である旨を表示しなければならない。 二予備電源は、常用の電源が断たれた場合に自動的に切り替えられて接続され、かつ、常用の電源が復旧した場合に自動的に切り替えられて復帰するものとしなければならない。 三予備電源は、自動充電装置時限充電装置を有する蓄電池(開放型のものにあつては、予備電源室その他これに類する場所に定置されたもので、かつ、減液警報装置を有するものに限る。以下この号において同じ。)又は蓄電池と自家用発電装置を組み合わせたもの(常用の電源が断たれた場合に直ちに蓄電池により非常用の照明装置を点灯させるものに限る。)で充電を行うことなく三十分間継続して非常用の照明装置を点灯させることができるものその他これに類するものによるものとし、その開閉器には非常用の照明装置用である旨を表示しなければならない。」 とあり、 非常用照明装置については、停電時の予備電源として蓄電池を用いる場合は、充電を行うことなく30分間継続して点灯するものでなければならないは、適切です。 答え:4 ここも、かなり時間をさいて、解説しました。 国土交通省(建築基準法)関係では、非常用照明装置にLEDランプを除外していましたが、国土交通大臣認定で、LEDランプも認められるようになりました。 過去問題をやっていれば、選択肢4は、早く選べたようです。 難しくはありません。 《タグ》建築基準法 + 消防法。 非常用照明装置、誘導灯、光源の種類、LEDランプ、照度、予備電源 |
【問 24】 エレベーターに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
建築基準法施行令第129条の5 2項によれば、 乗用エレベーターのかごの @床面積が1.5u以下なら、床面積 1uにつき 3,600ニュートン A床面積が1.5u超3u以下なら、床面積 1uにつき 4,900ニュートン + 5,400ニュートン A床面積が3uを超えるなら、床面積 1uにつき 5,900ニュートン + 13,000ニュートン とありますから、かごの面積が大きいほど、単位面積当たりの積載荷重が大きい値になりますから、単位面積当たりの積載荷重が小さい値になるよう、建築基準法施行令で定められているは、適切ではありません。 2 乗用のトラクション方式ロープ式で機械室がないエレベーターでは、定格速度が毎分600m以上の高速なものが既に普及している。 X 適切ではない。 まだ、定格速度が毎分600m以上のものは、普及段階にない? トラクション(Traction)とは、通常、トラクターなどの牽引とか、引っ張ることですが、ここでは、滑車を使用した昔の井戸水をかい出した「つるべ」と考えると分かり易い。 まず、エレベーターの主な駆動方式として、@ロープ式と A油圧式があります。 @ロープ式...昇降路の直上や昇降路内に設置された巻上機の駆動力を用い、ロープで接続されたかご(利用者・荷物が乗る部分)と釣り合いをとるおもり(つり合い重り)を、かごのレール、つり合い重りのガイドレールに沿って上下させるトラクション式(つるべ)が主流です。 つり合いおもりを使用している為、電動機容量が小さく省エネです。 他には、巻胴(ドラム)にロープを巻き付ける「巻胴式」もあります。 近年では、機械室に設置されていた各種の機器を、昇降路内に組み込んだ機械室なし(マシーン・ルームレス)エレベーターが主流となっています。 A油圧式... 油圧ポンプを駆動させ、油圧シリンダー(又は油圧ジャッキ)に作動油を送り込んで、直接または間接でかごを持ち上げる方式です。油圧シリンダー(又は油圧ジャッキ)の油をタンクに戻すことによってかごを下降させています。 ロープ(つるべ)式よりも大きな構造となり、消費電力も大きくなります。油圧式は機械室なし(マシーン・ルームレス)エレベーターの登場により、乗用の需要は減っています。 そこで、乗用のトラクション方式ロープ式の設置状況を調べました。 しかし、エレベーターの設置台数とか、速度での集計は見つかりませんでした。 それで、推定ですが、分速:600mというのは、かなりの高速で、またこの速度を要求される超高層ビルは、池袋にあるサンシャイン60や東京スカイツリー程度のようで、まだまだ普及までは至っていないようですので、適切ではありません。 現在は、480m/分程度が中心のようです。 なお、エレベーターの定員を測る重さでは、人間1人は、65Kg として、定員を計算しますから注意してください。 3 近年の地震による閉じ込め事故の多発が契機となり、エレベーターの構造等に関する建築基準法施行令等の改正により、新築建物のエレベーターには地震時管制運転装置を設けなければならないこととなった。 ○ 適切である。 新築建物のエレベーターには”地震時管制運転装置”を設けなければならない。 確かに、東日本大震災だけでなく、それ以前の平成17年7月の千葉県北西部地震において発生したエレベーターの閉じ込め事故、平成18年6月の港区シティハイツ竹芝のシンドラー社製エレベーターの戸開走行事故等を受け、国土交通省も動き出し、建築基準法施行令を改正して、平成21年(2009年)9月28日以降に設置されるエレベーターには、地震時管制運転装置の設置義務を規定しています。 それが、 建築基準法施行令第129条の10 「(エレベーターの安全装置) 第百二十九条の十 エレベーターには、制動装置を設けなければならない。 2 前項のエレベーターの制動装置の構造は、次に掲げる基準に適合するものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。 一 かごが昇降路の頂部又は底部に衝突するおそれがある場合に、自動的かつ段階的に作動し、これにより、かごに生ずる垂直方向の加速度が九・八メートル毎秒毎秒を、水平方向の加速度が五・〇メートル毎秒毎秒を超えることなく安全にかごを制止させることができるものであること。 二 保守点検をかごの上に人が乗り行うエレベーターにあつては、点検を行う者が昇降路の頂部とかごの間に挟まれることのないよう自動的にかごを制止させることができるものであること。 3 エレベーターには、前項に定める制動装置のほか、次に掲げる安全装置を設けなければならない。 一 次に掲げる場合に自動的にかごを制止する装置 イ 駆動装置又は制御器に故障が生じ、かごの停止位置が著しく移動した場合 ロ 駆動装置又は制御器に故障が生じ、かご及び昇降路のすべての出入口の戸が閉じる前にかごが昇降した場合 二 地震その他の衝撃により生じた国土交通大臣が定める加速度を検知し、自動的に、かごを昇降路の出入口の戸の位置に停止させ、かつ、当該かごの出入口の戸及び昇降路の出入口の戸を開き、又はかご内の人がこれらの戸を開くことができることとする装置 三 停電等の非常の場合においてかご内からかご外に連絡することができる装置 四 乗用エレベーター又は寝台用エレベーターにあつては、次に掲げる安全装置 イ 積載荷重に一・一を乗じて得た数値を超えた荷重が作用した場合において警報を発し、かつ、出入口の戸の閉鎖を自動的に制止する装置 ロ 停電の場合においても、床面で一ルクス以上の照度を確保することができる照明装置 4 前項第一号及び第二号に掲げる装置の構造は、それぞれ、その機能を確保することができるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。 」 です。 建築基準法施行令第129条の10 3項1号では、戸開走行保護装置の設置義務付けをし、 同3項2号では、地震時管制運転装置の設置義務付けをしています。 地震時管制運転装置とは、エレベーターについて、地震等の加速度を検知して、自動的にかごを昇降路の出入口の戸の位置に停止させ、かつ、当該かごの出入口の戸及び昇降路の出入口の戸を開くことなどができることとする安全装置で、これの設置を義務付けたものです。 地震時管制運転装置に関しては、「地震その他の衝撃により生じた国土交通大臣が定める加速度並びに当該加速度を検知し、自動的に、かごを昇降路の出入口の戸の位置に停止させ、かつ、当該かごの出入口の戸及び昇降路の出入口の戸を開き、又はかご内の人がこれらの戸を開くことができることとする装置の構造方法を定める件(平成20年12月26日国土交通省告示第1536号 」 もありますから参考にしてください。ここで、「出入口の戸及び昇降路の出入口の戸を開き、又はかご内の人がこれらの戸を開くことができることとする装置(以下「地震時等管制運転装置」という。)」の定義があります。 具体的には、地震時管制運転装置は一定の強さの揺れを感知したら、最寄り階で着床し、閉じ込めを抑止します。 その仕組みは、まず、地震動には初期微動(P波=Primary wave)と大きな地震波である主要動(S波=Secondary wave(第二波))があります。 それぞれに地震加速度の設定値(加速度の単位:ガル Gal=1cm/秒)が定められており、さらに建物の高さ等により設定値は異なります。 標準型エレベーターの場合、初期微動のP波感知器は2.5Gal、主要動のS波感知器は80Gal(およそ震度5弱以上の揺れ)で設定しており、これを感知すると地震時管制運転に移行します。 地震はまず、初期微動であるP波から伝わり、その後、破壊力のある本震(S波)が到達します。このP波をいち早くキャッチすることで、大きな揺れが到達する前に、利用者を最寄階へと避難させることができます。 4 エレベーターの保守契約にはFM(フルメンテナンス)契約とPOG(パーツ・オイル・グリース)契約があるが、マンション標準管理委託契約書では、FM契約によることとされている。 X 適切でない。 マンション標準管理委託契約書では、エレベーターの保守契約を特に決めていない。 平成21年 マンション管理士試験 「問45」 まず、エレベーターの保守契約にはFM(フルメンテナンス)契約とPOG(パーツ・オイル・グリース)契約があるは、適切です。 そこで、 @POG(パーツ・オイル・グリース)とは、その名の通り、電球類などの消耗部品(パーツ)・潤滑油(オイル・グリース)の取り替え及び補給のみを保証範囲とする保守契約で、主要部品の取り替えは、個別に別途、必要に応じて有償にて取り替えを発注することになります。 AFM(フルメンテナンス)とは、上のPOG契約に加えて、意匠部品以外の主要部品も保証範囲としている保守契約です。上のPOG契約では個別の有償対応となる主要部品の取り替えを、保守会社側の立案する保全計画に基づいて定期的に取替えを実施することにより、各機器の状態の悪化を抑えられるというメリットがありますが、POG契約に比べて、高くなります。 そして、マンション標準管理委託契約書 コメント 「別表第4関係 A エレベーター設備の保守管理方式については、一般的にフルメンテナンス方式とPOG方式の2種類があるため、両方式のいずれかを選択する。」 とあり、 FM契約によることとされていませんから、適切ではありません。 答え:3 過去問題をやっていれば、易しい出題でした。 でも、初めての人用に、図を入れたりして、かなり詳細に解説をしたので、4時間あまりかかっている。 《タグ》建築基準法施行令 + マンション標準管理委託契約書。 エレベーター、単位面積当たりの積載荷重、エレベーターの主な駆動方式として、@ロープ式と A油圧式、、地震時管制運転装置、レベーターの保守契約のFM(フルメンテナンス)契約とPOG(パーツ・オイル・グリース)契約 |
【問 25】 エネルギーの使用の合理化等に関する法律(昭和54年法律第49号)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 |
ここまで、問25 |
2016年 8月28日:標準管理規約の改正に合わせた。問12、問13。
2016年 3月15日;再度見直した。
2016年 3月 3日;設備のリンクを入れた。
2016年 2月29日;民法の過去問題とのリンクを入れた。
2016年 2月26日;区分所有法の過去問題とのリンクを入れた。
2016年 2月 7日;第2稿終了。「問7」選択肢4の管理委託契約の条文変更。
解説の第1稿終了:2016年 1月28日
解説開始:2015年12月26日