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令和1年(2019年) 管理業務主任者 試験問題 及び 解説

ページ1(問1より問25まで)

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謝辞:問題文の作成には、 高井さまの協力を得ています。

※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。

*試験に臨んで、お節介なアドバイス
  1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
    殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
    そして、各選択肢を読み、○かXをつけます。
    問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。

  2.疑問な問題は、とりあえず飛ばす。
    回答の時間は限られています。
    そこで、回答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
    全部の回答が終わってから、再度戻って決定してください。

  3.複雑な問は、図を描く。
    甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
    この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。
    重要な点が分かってきます。


出題者からの注意

令和元年(2019年)度 管理業務主任者試験  問題
 実施:令和元年12月 1日

次の注意事項をよく読んでから、始めてください。

1. これは試験問題です。問題は、1ページから32ページまで50問です。
2. 試験の開始の合図と同時に、問題のページ数を確認してください。もし落丁や乱丁があった場合は、直ちに試験監督員に申し出てください。
3. 解答は、別紙の解答用紙に記入してください。
4. 正解は、各問題とも1つだけです。複数の解答をしたもの、判読が困難なものは、正解としません。
   解答は、解答用紙の注意事項をよく読み、所定の要領で記入してください。
5. 問題中の法令等に関する部分は、平成31年4月1日現在で施行されている規定に基づいて出題されています。


本試験問題では、以下の法律等について、それぞれ右欄に記載の略称を使用しています。




解説者(マンション管理士 香川)からのコメント:あやふやな出題、適切でない出題もあって、解答ができないのもあります。

※主な法改正など。
  ・令和2年(2020年)4月1日施行で、民法が大幅に改正されるので、留意のこと。

  ・マンション標準管理委託契約書は、平成30年3月9日付で24条に「反社会勢力の排除」などの改正があり、平成30年度の試験から出題適用となるので注意のこと。

  ・マンション標準管理規約は、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があり、平成30年度の試験から出題適用となるので注意のこと。

  ・マンションの管理の適正化に関する指針(国土交通省告示第490号)及びマンション標準管理規約は、平成28年3月14日付で大幅な改正があった。
  
  ・マンション標準管理委託契約書は、平成28年7月に改正があり、平成29年度の試験から出題適用となるので注意のこと。
   
  ・マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
 ・マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。

問1

【問1】 相続に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 未成年者が法定代理人の同意を得ずに相続を放棄した場合において、当該未成年者及びその法定代理人は、制限行為能力を理由に、相続の放棄の意思表示を取り消すことができない。

X 誤っている。 未成年者が法定代理人の同意を得ない法律行為は、取り消せる。
  平成23年 管理業務主任者試験 「問5」 
 
 民法第919条からは、過去出題がない?

 まず、相続の放棄は、民法第919条、
(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)
 第九百十九条 相続の承認及び放棄は、第九百十五条第一項の期間内でも、撤回することができない。
2 前項の規定は、第一編(総則)及び前編(親族)の規定により相続の承認又は放棄の取消しをすることを妨げない。
3 前項の取消権は、追認をすることができる時から六箇月間行使しないときは、時効によって消滅する。相続の承認又は放棄の時から十年を経過したときも、同様とする。
4 第二項の規定により限定承認又は相続の放棄の取消しをしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

 とあります。

 民法第919条1項で引用されています第915条は、
(相続の承認又は放棄をすべき期間)
 第九百十五条 
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

  とあり、
  1項は「相続開始を知った時から3ヵ月以内に、相続を @単純承認、A限定承認 そして、B放棄  をしなさいという規定です。

 相続人は、相続の開始があったことを知った時から三箇月以内(熟慮期間)に、
  @単純承認...無限に相続する。民法第920条
  A限定承認...相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をする。民法第922条
  B放棄......相続に関して、最初から相続人でなくなる。民法第938条
  をすることができます。


 そこで、設問は、未成年者の取り消しということで、民法第919条2項に戻り「2 前項の規定は、第一編(総則)及び前編(親族)の規定により相続の承認又は放棄の取消しをすることを妨げない。」
 の検討です。

 未成年者の取り消しは、民法第一編 総則(第1条〜第174条の2)に該当する民法第5条
(未成年者の法律行為)
 第五条 
未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。

3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

 にあります。

 で、設問の「未成年者が法定代理人の
同意を得ずに相続を放棄した場合」に戻りますと、相続の承認や放棄は法律行為であり、民法第5条1項及び同条2項に該当し、法定代理人の同意が必要で、同意がなければ、これは、取り消せますから、設問は、誤りです。


2 相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。

〇 正しい。 限定承認は、共同相続人の全員が共同して行うこと。
  平成17年 マンション管理士試験 「問18」 、

 まず、相続には、@単純承認、A限定承認、B放棄 があることは、選択肢1で、理解しておくこと。
 そこで、限定承認は、民法第923条
「(共同相続人の限定承認)
 第九百二十三条 
相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。」
 とあり、
 限定承認は相続人全員で行う必要がありますから、設問の「相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる」は、正しい。

 どうして、共同相続人全員でなければ、限定承認は出来ないのでしょうか。考えてください。


3 相続の放棄は、相続の開始があった時から3箇月以内にしなければならない。

X 誤っている。 相続の開始があったことを”
知った時から三箇月以内”で、”相続の開始があった時から”ではない。
  平成28年 マンション管理士試験 「問17」  、平成24年 マンション管理士試験 「問17」 、 

 相続の放棄は、民法第915条
(相続の承認又は放棄をすべき期間)
 第九百十五条 
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

 とあり、
 民法第915条1項によれば、相続では、@単純承認、 A限定承認、 また B放棄 ができるのは、「相続の開始があったことを”
知った時から三箇月以内”」であり、設問の「”相続の開始が”あった時から3箇月以内”にしなければならない」は、誤りです。


4 被相続人Aの子Bが相続の放棄をした場合において、Bの子CがAの直系卑属であるときは、CがBを代襲する。

X 誤っている。 代襲相続ができるのは、相続人が、死亡、欠格、廃除のとき。 放棄したら代襲相続はできない
  平成26年 マンション管理士試験 「問16」 、 平成25年 マンション管理士試験 「問15」 、

 このような時は、図を書きましょう。

 

 代襲相続は、民法第887条、
(子及びその代襲者等の相続権)
 第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

 とあり、
 民法第887条2項で引用されています民法第891条は、
相続人の欠格事由
 第八百九十一条 次に掲げる者は、相続人となることができない。
   一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
   二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
   三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
   四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
   五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

 です。
 つまり、民法第887条と第891条により、相続人が、
  @相続開始前に死亡
  A欠格事由に該当、
  B廃除 になると、
  その子(被相続人の孫)が、代襲して相続できるということです。


 なお、直系尊属とか直系卑属とは、父母から子孫へと垂直につながる血族を直系血族といい、そのうち、自分よりも前の世代に属する者、父母、祖父母、曽祖父母などを「直系尊属」といい、自分よりも後の世代に属する者、子、孫、曾孫などを「直系卑属」といいます。
 兄弟姉妹の系列は、傍系尊属・傍系卑属となり、傍系血族であり、直系血族ではありませんから、相続順位においても、直系卑属に劣ります。

 また、廃除の規定は、民法第892条及び第893条にあります。
(推定相続人の廃除)
 第八百九十二条 遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる
「(遺言による推定相続人の廃除)
 第八百九十三条 被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。

 です。

 よって、民法第887条2項により、設問の「被相続人Aの子Bが”相続の放棄”をした場合」は、代襲相続は出来ないため、「Bの子CがAの直系卑属であるときは、CがBを代襲する」は、誤りです。

 これは、相続放棄をした者は、民法第939条、
「(相続の放棄の効力)
 第九百三十九条 
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」 
 により、
 相続放棄となると、その子でも、相続する地位からいなくなるためです。



答え: 2

 民法の相続ということで、かなり詳細に解説しました。
 問題としては、過去問題をやっていれば、選択肢2は、選べた?

《タグ》民法 未成年者の取り消し 相続放棄 共同相続人の限定承認 相続の承認又は放棄をすべき期間 代襲相続 


*2020年 1月31日:バラバラと解説をしてきたが、「問1」 に戻って来た。
問2

【問2】 Aは、自己の所有するマンション(マンション管理適正化法第2条第1号に規定するものをいう。以下同じ。)の一住戸甲(以下、本問において「甲」という。)をBに贈与する契約を締結した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 贈与契約は無償契約であるから、AB間の贈与契約締結後、Bへの引渡し前に、Aが甲に瑕疵(かし)があることを知っていた場合であっても、Aは瑕疵担保責任を負わない。

X 誤っている。 贈与なら、贈与者は、原則、瑕疵担保責任は負わないが、瑕疵を知っていると、瑕疵担保責任がある。
  平成27年 管理業務主任者試験 「問5」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問12」 、

 贈与契約は、民法第551条、
(贈与者の担保責任)
 第五百五十一条 贈与者は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在について、その責任を負わない。
ただし、贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りでない
2 負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。

 とあり、
 民法第551条1項によると、原則として、贈与者は、瑕疵担保責任は負わないのですが、但し書き「ただし、贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りでない」により、設問の「AB間の贈与契約締結後、Bへの引渡し前に、Aが甲に瑕疵(かし)があることを”
知っていた場合”」なら、瑕疵担保責任を負いますから、「Aは瑕疵担保責任を負わない」は、誤りです。

 なお、設問の前半「贈与契約は無償契約(対価なしに財産を与える契約)である」は、適切です。

 無償契約...当事者のなすべき給付が対価的意義を有しない契約。契約によって一方の当事者だけが債務を負担するもの。例えば、贈与契約。
 有償契約...当事者双方が互いに対価的意義を有する給付をなす契約。例えば、売買,賃貸借,利息付き消費貸借,雇用,請負,有償委任など。



2 AB間の贈与契約が書面でなされた場合において、その贈与契約の効力がAの死亡によって生じるものとされていたときは、遺贈の規定が準用されるから、Aはいつでもこの贈与契約を書面で撤回することができる。

X 誤っている。 最近の判例では、撤回(取消し)を認めていない。
  平成27年 管理業務主任者試験 「問5」 、 平成15年 マンション管理士試験 「問15」 、

 書面での贈与契約は、直接の規定ではないのですが、民法第550条
(書面によらない贈与の撤回)
 第五百五十条 
書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。
 とあり、
 民法第550条では、口頭での贈与なら、原則、各当事者は、撤回できます。
 この民法第550条の反対解釈として、「
書面で贈与契約をすると、撤回は出来ない」のですが、これが設問のよう、「贈与契約の効力がAの死亡によって生じるものとされていたとき」となると、「死因贈与」となり、扱い方が別になります。

 それが、民法第554条
(死因贈与)
 第五百五十四条 
贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する
 となり、
 死因贈与契約は、契約であり、贈与者と受贈者、双方の合意が必要となってきます。契約自体は口頭による口約束でも成立します。
 そこで、単独行為である”遺言の方式は適用されない”のですが、「
遺贈(遺言での贈与)に関する規定」が準用されるとなっています。
 死因贈与契約では、相続財産を、相続人以外にも贈与することができます。

  書面による死因贈与については、遺贈の規定を準用するといっても、単独行為の、@能力、 A方式、 B承諾・放棄 などは準用がありません。
 @遺言の効力、 A遺言の執行 などの規定は、準用されます。

 では、遺贈での撤回は、民法第1022条
(遺言の撤回)
 第千二十二条 遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、
その遺言の全部又は一部を撤回(注:2004年の改正で”取り消し”から”撤回”になった)することができる
 とあり、
、この民法第1022条を死因贈与でも、適用があるかというと、争いがあります。

 例えば、最高裁判所 判決:昭和47年5月25日
 「
死因贈与の取消については、民法一〇二二条がその方式に関する部分を除いて準用されると解すべきである
  死因贈与については、遺言の取消に関する民法一〇二二条がその方式に関する部分を除いて準用されると解すべきである。
 けだし、死因贈与は贈与者の死亡によつて贈与の効力が生ずるものであるが、かかる贈与者の死後の財産に関する処分については、遺贈と同様、贈与者の最終意思を尊重し、これによつて決するのを相当とするからである。
 そして、贈与者のかかる死因贈与の取消権と贈与が配偶者に対してなされた場合における贈与者の有する夫婦間の契約取消権とは、別個独立の権利であるから、これらのうち一つの取消権行使の効力が否定される場合であつても、他の取消権行使の効力を認めうることはいうまでもない」
 として、死因贈与で、取消し(撤回)を認めています。

 しかし、最高裁判所 判決:昭和57年4月30日
 「負担の履行期が贈与者の生前と定められた負担付死因贈与の受贈者が負担の全部又はこれに類する程度の履行をした場合と民法一〇二二条、一〇二三条の規定の準用の有無
  負担の履行期が贈与者の生前と定められた負担付死因贈与の受贈者が負担の全部又はこれに類する程度の履行をした場合には、右契約締結の動機、負担の価値と贈与財産の価値との相関関係、契約上の利害関係者間の身分関係その他の生活関係等に照らし右契約の全部又は一部を取り消すことがやむをえないと認められる
特段の事情がない限り、民法一〇二二条、一〇二三条の各規定は準用されない。
 として、特段の事情がなければ、取消し(撤回)が出来ないとしています。

 また、最高裁判所 判決:昭和58年1月24日
 「死因贈与の取消ができないとされた事例
  土地の登記簿上の所有名義人である甲が、右土地を占有耕作する乙に対してその引渡を求めた訴訟の第一審で敗訴し、その第二審で成立した裁判上の和解において、乙から登記名義どおりの所有権の承認を受ける代わりに、乙及びその子孫に対して右土地を無償で耕作する権利を与え、しかも、右権利を失わせるような一切の処分をしないことを約定するとともに、甲が死亡したときは右土地を乙及びその相続人に贈与することを約したなど、
判示の事実関係のもとでは、右死因贈与は、甲において自由には取り消すことができない。
 として、死因贈与では、取消し(撤回)が出来ないとしています。

 そこで、設問に戻り、設問の前半「AB間の贈与契約が書面でなされた場合において、その贈与契約の効力がAの死亡によって生じるものとされていたときは、遺贈の規定が準用される」は、適切です。

 しかし、設問の後半「Aはいつでもこの贈与契約を書面で撤回することができる」は、判例でも争いがあるので、正しいには、疑問符がつく、不適切な出題です。

 マンション管理士 香川の判断としては、最近の判例の流れのように、書面による死因贈与では、撤回ができないを支持して、この選択肢2は、「誤っている」にします。


3 AB間の贈与契約が口頭でなされた場合において、甲をBに引き渡した後は、Bに所有権移転登記をする前であっても、Aは、贈与契約を撤回することができない。

〇 正しい。 書面によらない贈与でも、履行が終わったら、撤回できない。
  令和01年 マンション管理士試験 「問12」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問12」 、 平成27年 管理業務主任者試験 「問5」 

 書面によらない贈与は、選択肢2でも引用しました、民法第550条
(書面によらない贈与の撤回)
 第五百五十条 書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。
ただし、履行の終わった部分については、この限りでない
 とあり、
 民法第550条によれば、書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができますが、但し書きがあり、「履行の終わった部分」については、この限りではありません。

 そこで、履行の終わった部分の解釈が問題となり、判例があります。
 大審院 大正9年6月17日:
 「
動産は勿論、不動産も目的物を引き渡すときは、登記がなくても、履行を終わったとする。」
 とあり、
 この判例によれば、設問の「AB間の贈与契約が口頭でなされた場合において、甲をBに引き渡した後は、Bに所有権移転登記をする前であっても、Aは、贈与契約を撤回することができない」は、正しい。


 また、最高裁判所 判決:昭和40年3月26日
 「不動産の贈与契約に基づく所有権移転登記と贈与の履行の終了。
  不動産の贈与契約にもとづいて該不動産の所有権移転登記がなされたときは、その引渡の有無をとわず、民法第五五〇条にいう履行が終つたものと解すべきである。 」
 もあります。

 なお、民法第550条は、2020年4月1日施行の改正の対象です。
 改正後の民法第550条は、
 「(書面によらない贈与の解除)
  第550条
 書面によらない贈与は、各当事者が
解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。」

 旧は”撤回”が、”解除”になった。用語を統一したとのこと。
 ・撤回...意思表示の効力を消滅させる行為
 ・解除...契約の効力を消滅させる行為



4 AB間の贈与契約が書面でなされた場合において、AB間の贈与契約の内容に、BがAを扶養する旨の負担が付いていたときは、Bが契約で定められた扶養を始めない限り、Aは、甲の引渡しを拒むことができる。

〇 正しい。 負担付き贈与では、”扶養の開始”と”マンションの引渡し”は同時履行となる。
   平成27年 マンション管理士試験 「問12」 

 設問の贈与契約の内容に、「BがAを扶養する旨の負担が付いていたとき」なら、これは、負担付き贈与と呼ばれます。
 負担付き贈与とは、受贈者に一定の給付をなす債務を負担させる贈与契約です。

 すると、民法第553条
(負担付贈与)
 第五百五十三条 負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、
双務契約に関する規定を準用する
 とあります。

 準用されている”双務契約”で主要なのは、”同時履行の抗弁権(民法第533条)”と”危険負担(民法第534条〜536条)”です。

 そこで、同時履行の規定、民法第533条、
(同時履行の抗弁)
 第五百三十三条 
双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。
 によれば、
 設問のように「Bが契約で定められた扶養を始めない限り、Aは、甲の引渡しを拒むことができる」は、正しい。

 双務契約の規定が準用されるのは、両債務が対価関係にあるから妥当という発想です。



答え:1 及び 2 (試験元の、一般社団法人 マンション管理業協会 は、 1 だけとしている。

  選択肢2 の死因贈与で撤回ができるを単純に 正しいとする、マンション管理業協会 の判断は、不適切だ。
  ここは、過去から学説でも、判例でも争点があり、出題として、糾弾されるものだ。

 この問題も、かなり詳細に解説したので、5時間もかかった。

《タグ》民法 贈与契約 瑕疵担保責任 死因贈与 撤回(取り消し) 判例 書面によらない贈与 履行の終わった部分 負担付き贈与 同時履行

問3

【問3】 不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 債権が不法行為によって生じたときは、被害者は、加害者の反対債権が金銭債権の場合であっても、相殺をもってその加害者に対抗することができない。

X 誤っている。 不法行為での相殺は、被害者からならできる。

  平成30年 マンション管理士試験 「問14」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問11」 、

 まず、相殺の規定は、民法第505条
 「(相殺の要件等)
 第五百五条 二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
 2 前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。

 とあります。
 相殺する側の債権を自働債権(じどうさいけん)、相殺される側の債権を受動債権(じゅどうさいけん)といいいます。
 必要なのは、
  @互いに金銭なら金銭の同種の債務であり
  A2つの債権が弁済期にあること
  です。


 そして、不法行為と相殺なら、民法第509条
(不法行為により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止)
 第五百九条 
債務が不法行為によって生じたときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない
 とあります。
 
 この規定に対して、最高裁判所 判決:昭和42年11月30日 は、
 「不法行為に基づく損害賠償債権を自働債権(相殺をする側)とし不法行為以外の原因による債権を受働債権(相殺がされる側)とする相殺の許否 として、
 民法第五〇九条は、不法行為の被害者をして現実の弁済により損害の填補をうけしめるとともに、不法行為の誘発を防止することを目的とするものであり、不法行為に基づく損害賠償債権を自働債権とし、不法行為による損害賠償債権以外の債権を受働債権として相殺をすることまでも禁止するものではないと解するのが相当である。 」
 として、受働債権(相殺がされる側)が不法行為債権でない場合には、
”不法行為から生じた債権を自働債権(相殺をする側)とする相殺は許される”としていますから、設問の「債権が不法行為によって生じたときは、被害者は、加害者の反対債権が金銭債権の場合であっても、相殺をもってその加害者に対抗することが”できない”」は、誤りです。

 なお、民法第509条は、上の判例などを取り入れて、2020年4月1日施行で、改正されます。
「(不法行為等により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止)
 第509条 次に掲げる債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。ただし、その債権者がその債務に係る債権を他人から譲り受けたときは、この限りでない。
   
一 悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務
   二 人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務(前号に掲げるものを除く。
)」

 悪意とは...損害を与える意図です。

 また、上で引用しています、民法第505条も改正されます。
「(相殺の要件等)
 第505条 二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 前項の規定にかかわらず、当事者が相殺を禁止し、又は制限する旨の意思表示をした場合には、その意思表示は、第三者がこれを知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り、その第三者に対抗することができる。」



2 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があり、それによって他人に損害を生じた場合において、当該工作物の占有者及び所有者は、その損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、その損害を賠償する責任を負わない。

X 誤っている。 占有者は免責されることがあるが、所有者には免責の規定がない。
  平成30年 管理業務主任者試験 「問6」 、  平成27年 管理業務主任者試験 「問37」 、 平成25年管理業務主任者試験 〔問6」 、平成24年マンション管理士試験 「問16」 、 平成23年マンション管理士試験 「問2」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問16」 など

 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があるなら、工作物責任で、民法第717条
(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
 第七百十七条 
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3 前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。

 とあり、
 民法第717条1項では、建物の設置や保存に瑕疵があり、他人に損害を与えたときは、
  @第一次としてその建物の占有者が、必要な注意をしていないと、占有者が
  A占有者が必要な注意をしていれば、第二次として所有者が、無過失でも
  損害賠償責任を負うことになっています。


 そこで、設問の「当該工作物の占有者”及び所有者”は、その損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、その損害を賠償する責任を負わない」のうち、「占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたとき」ならば、占有者は免責されますが、占有者が免責されると「所有者がその損害を賠償しなければならない」により、「及び所有者が」誤っています。

 所有者に免責の規定は、ありません。

 では、マンションならどうなりますか? 参考:区分所有法第9条



3 被害者に対する加害行為とその加害行為の前から存在した当該被害者の疾患がともに原因となり損害が発生した場合において、加害者にその損害の全部を賠償させるのが公平を失するときは、裁判所は、その加害行為の前から存在した当該被害者の疾患を考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

〇 正しい? 加害行為以前の疾患と加害行為が併存した場合には、裁判所の判断で、減額できる?
  平成26年 マンション管理士試験 「問14」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問16」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問12」 、

 こんな難しい設問を一読して、内容が「過失相殺」かなと把握できた人は、もう民法の権威者です。


 基本となっているのは、民法第722条
(損害賠償の方法及び過失相殺)
 第七百二十二条 第四百十七条の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。
2 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる
 です。

 引用されています 民法第417条は、
(損害賠償の方法)
 第四百十七条 損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める
。」
 とあり、
 不法行為での損害賠償も、原則、金銭によるということです。

 設問のように内容が面倒な文章では、答えは判例にあります。で、この設問に一致するのは、 最高裁判所 判決:平成4年6月25日 です。
 「損害賠償額の算定に当たって加害行為前から存在した被害者の疾患をしんしゃくすることの可否
 
被害者に対する加害行為と加害行為前から存在した被害者の疾患とがともに原因となって損害が発生した場合において、当該疾患の態様、程度などに照らし、加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失するときは、裁判所は、損害賠償の額を定めるに当たり、民法七二二条二項の規定を類推適用して、被害者の疾患をしんしゃくすることができる
 けだし、このような場合においてもなお、被害者に生じた損害の全部を加害者に賠償させるのは、損害の公平な分担を図る損害賠償法の理念に反するものといわなければならないからである。」
 とあり、
  この事件では、複雑な前提がありますので、それを、まとめますと、


 

 上記、平成4年6月25日の最高裁判所の判決では、「しんしゃく」して、被害者の損害額全部は賠償しなくていいと、50%少なくしてます。

 しかし、最高裁判所 判決:平成8年10月29日
 「一 不法行為により傷害を被ったことに基づく損害賠償の額を定めるに当たり被害者の身体的特徴をしんしゃくすることの可否
  二 交通事故により傷害を被ったことに基づく損害賠償の額を定めるに当たり首が長いという被害者の身体的特徴をしんしゃくすることはできないとされた事例
   一 不法行為により傷害を被った被害者が平均的な体格ないし通常の体質と異なる身体的特徴を有しており、これが、加害行為と競合して傷害を発生させ、又は損害の拡大に寄与したとしても、右身体的特徴が疾患に当たらないときは、特段の事情がない限り、これを損害賠償の額を定めるに当たりしんしゃくすることはできない。
二 交通事故により傷害を被った被害者に”首が長く”これに伴う多少の頸椎不安定症があるという身体的特徴があり、これが、交通事故と競合して被害者の頸椎捻挫等の傷害を発生させ、又は損害の拡大に寄与したとしても、これを損害賠償の額を定めるに当たりしんしゃくすることはできない。 」
 もあり、損害賠償額では、「しんしゃく」しない(相殺しない)ともなっています。

 設問は、最高裁判所の平成4年6月25日の判決によれば、正しいとしますが、その後の判例も”しんしゃく”すると、かなり議論のある出題です。


4 不法行為により被害者が死亡した場合において、当該被害者の父母は、非財産的損害については、加害者に対して、賠償請求をすることができない。

X 誤っている。 被害者が死亡した場合は、一定の親族も損害賠償請求ができる。

 民法第711条からは、過去出題がない?

 設問は、民法第711条、
(近親者に対する損害の賠償)
 第七百十一条 
他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない
 とあり、
 民法第711条によれば、設問の「不法行為により被害者が死亡した場合において、当該被害者の父母は、非財産的損害については、加害者に対して、賠償請求をすることが”
できる”」ため、「できない」は、誤りです。

 なお、非財産的損害とは、精神的な損害賠償(慰謝料)で、この損害賠償請求も可能です。
 また、財産的損害とは、財産、経済的な不利益や損害をいいます。



答え: 3 ?

 選択肢3は、なんという難解な出題だ。関連の判決を探していたら、いろいろと問題があることが分かり、解説に時間がかかる。
 難問である。

 相殺の改正点も入れた。民法第505条、民法第509条

《タグ》民法 不法行為と相殺 原因が併存する場合 死亡した被害者以外 

問4

【問4】 留置権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 AB間で建物甲(以下、本問において「甲」という。)につき売買契約が締結されたが、買主Bが代金を支払わずに甲をCに転売し、Cへの登記を済ませた場合においては、Aは、Cからの甲の所有権に基づく引渡請求に対し、甲について留置権を主張することができる。

〇 正しい。 
この場合、元の売主Aは、未払代金請求権により、直接関係のないCに対しても留置権を主張できる。
  平成18年 管理業務主任者試験 「問4」 、

  留置権からの出題は、珍しい? と探したら、平成18年にあった。 借家関係だけど。


  

   まず、あまり出題の無い「留置権」とは...他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまで、その物を留置して、債務者の弁済を間接的に強制する担保物権を言います。
 簡単にいうと、売買契約で、支払いなどがなければ、支払いを受けるまで、その物を自分の手元においていいという権利です。つまり、手元にある物を返さなくていいという権利です。

 留置権の特徴は、先取特権と同じ法定担保物権に属しますが、先取特権に認められる”物上代位性”や制度上の優先弁済の効力は留置権にはありません。それは、留置権はその目的物を自分の手元に留置しているということに由来します。
 留置権には、
  @附従性...債権がなければ成立しない
  A随伴性...その債権が譲渡されれば、原則として、留置権も移転する
  B不可分性...債権の全部の弁済を受けるまで、目的物の全部について、その権利を行うことができる
  があります。

  また、留置権は、債権関係の双務契約での”同時履行の抗弁権”(民法第533条)と似たような機能をもちますが、物権(一定の物を直接に支配して利益をうける排他的な権利)として、目的物を占有していることで、登記がなくても(留置権は登記できない)第三者に対抗できます。

 そこで、設問に戻ると、留置権は、民法第295条、
(留置権の内容)
 第二百九十五条 
他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。
2 前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない

 とあり、
 設問での「買主B」がまだ代金を支払っていないのに、どうして、「次の買主C」が登記までできたのか、追及したいのは置いといて(これは、留置権ではありません)、留置権の要件を検討しましょう。
  ・他人の物を占有している...もうCが登記をしたために、Aは、他人の物を占有していることになる
  ・Aの代金が未払い...Aは、甲建物について生じた債権を有している
  ・債権は、弁済期にある
  ・占有は、正当な売買行為による...不法行為に始まっていない
 よって、Aは、民法第295条1項及び同条2項により、留置権を主張できますから、設問「AB間で建物甲(以下、本問において「甲」という。)につき売買契約が締結されたが、買主Bが代金を支払わずに甲をCに転売し、Cへの登記を済ませた場合においては、Aは、Cからの甲の所有権に基づく引渡請求に対し、甲について留置権を主張することができる」は、正しい。

 追記:なお、判例を探したら、最高裁判所 判決:昭和47年11月16日 があった。
 「一、甲所有の物を買受けた乙が売買代金を支払わないままこれを丙に譲渡した場合における丙の甲に対する物の引渡請求と甲の留置権の抗弁
二、物の引渡請求に対する留置権の抗弁を認容する場合においてその被担保債権の支払義務者が第三者であるときの判決主文
  一、甲所有の物を買受けた乙が、売買代金を支払わないままこれを丙に譲渡した場合には、甲は、丙からの物の引渡請求に対して、未払代金債権を被担保債権とする留置権の抗弁権を主張することができる。
二、物の引渡請求に対する留置権の抗弁を認容する場合において、その物に関して生じた債務の支払義務を負う者が、原告ではなく第三者であるときは、被告に対し、その第三者から右債務の支払を受けるのと引換えに物の引渡をすることを命ずるべきである。 」
 とあり、この判決文の詳細は、ためになりますよ。



2 AB間で甲につき売買契約が締結され、売主Aが買主Bへの登記を済ませたが、代金の支払いがなされていなかった場合において、Bへの引渡し前に甲が火災により焼失したときは、Aは、売買代金を確保するため、Bが取得する火災保険金請求権に対し、留置権に基づく物上代位をすることができる。

X 誤っている。 留置権には、物上代位性がない。

    


 目的物が売却、賃貸、滅失などによって、「代金」「賃料」「保険金」などに価値を換えた場合、その価値に対しても担保物権の効力が及ぶ性質を「物上代位性」と言います。
 これは、選択肢1でも少し説明しましたが、先取特権、質権、抵当権には認められています。(例:民法第304条)
 「(物上代位)
 第三百四条 
先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
2 債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。

 しかし、留置権は、選択肢1で説明しましたように、弁済を受けるまでその物を占有(留置)できる権利で、留置物の価値を代える金銭等には、及びません。
 つまり、留置権には、「物上代位性」は無いということです。

 そこで、設問の「まだ、建物の代金を支払っていない人が、どうして、火災保険に入っているのか」とか、危険負担のことは、追及をおいといて、留置権では、この「物上代位性」は、認められていませんから、設問の「AB間で甲につき売買契約が締結され、売主Aが買主Bへの登記を済ませたが、代金の支払いがなされていなかった場合において、Bへの引渡し前に甲が火災により焼失したときは、Aは、売買代金を確保するため、Bが取得する火災保険金請求権に対し、留置権に基づく物上代位をすることが”できる”」は、誤りです。


3 Aが、Bに甲を譲渡し、その後、Cにも甲を譲渡した場合において、CがBより先に登記を備えたときは、Bは、Aに対する履行不能に基づく填補賠償請求権を保全するため、甲について留置権を主張することができる。

X 誤っている。 二重譲渡では、物に関して生じた債権と言えないので、留置権は使えない。

    


  保全とか、設問の意図が、分かりますか?
  こんな、面倒な話を解決するには、判例しかない。

 それは、 最高裁判所 判決:昭和43年11月21日 
 「不動産の二重売買の場合の履行不能を理由とする損害賠償債権をもつてする留置権の主張の許否
  
不動産の二重売買において、第二の買主のため所有権移転登記がされた場合、第一の買主は、第二の買主の右不動産の所有権に基づく明渡請求に対し、売買契約不履行に基づく損害賠償債権をもつて、留置権を主張することは許されない。
 とのことで、この判決によれば、設問の「Aが、Bに甲を譲渡し、その後、Cにも甲を譲渡した場合において、CがBより先に登記を備えたときは、Bは、Aに対する履行不能に基づく填補賠償請求権を保全するため、甲について留置権を主張することが”
できる”」は、”主張できない”ため、誤りです。

 この最高裁判所の判決文では、詳細がわからないので、大阪高等裁判所 判決:昭和43年3月21日 を調べたが、無かった。



4 AB間における甲の賃貸借契約が終了し、賃借人Bが賃貸人Aに対して造作買取請求権を行使した場合においては、Bは、その造作代金債権を保全するため、甲について留置権を主張することができる。

X 誤っている。 造作買取請求権は建物に付加した債権で、建物に関して生じた債権でないため、建物の留置権は認められない。

 今度は、建物の賃貸借契約だ。

   

 基本となるのは、借地借家法第33条
(造作買取請求権)
 第三十三条 建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。建物の賃貸人から買い受けた造作についても、同様とする。
2 前項の規定は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了する場合における建物の転借人と賃貸人との間について準用する。

 これも、最高裁判所 判決:昭和29年1月14日
 「借家法第五条による造作買取代金債権は建物に関して生じた債権か
   借家法第五条(注:旧法)による
造作買取代金債権は、造作に関して生じた債権であつて、建物に関して生じた債権ではない。 」
 とのことで、これも、該当の判決文では、詳細が分かりませんが、造作については、留置権を認めていますが、建物については留置権を認めていないため、設問の「AB間における甲の賃貸借契約が終了し、賃借人Bが賃貸人Aに対して造作買取請求権を行使した場合においては、Bは、その造作代金債権を保全するため、甲について留置権を主張することが”
できる”」は、誤りです


答え: 1  

 留置権とは、から始まったので、解説に時間がかかる。 図も作った。 解説が進まない。
 判例探しも大変だ。

 解説も大変だったが、ここは、難問だ。

 また、「留置権」は、 下の 「問6」 「同時履行」とも絡むので、勉強のこと。

《タグ》民法 留置権  物上代位性はない 二重売買 留置権は使えない 造作買取請求と留置権 保全と留置権

問5

【問5】 Aが、Bに対するCの債務を保証するためBとの間で保証契約を締結する場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 AがCの委託を受けて保証人となり、保証債務を弁済した場合において、BがC所有の不動産に抵当権の設定を受けていたときは、Aは、Bの同意を得なければ、Bに代位して当該抵当権を実行することができない。

X 誤っている。 保証人が弁済すると、法定代位となり、債権者の同意がなくても、債権者に代わって抵当権を実行できる。
  保証は、 令和01年 マンション管理士試験 「問14」 、  平成29年 管理業務主任者試験 「問5」 、 平成28年 マンション管理士試験 「問13」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問5」 、平成20年 管理業務主任者試験 「問1」 、平成18年 管理業務主任者試験 「問6」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問6」

  この出題は、平成18年 マンション管理士試験 「問12」 が近いか。

 出題文の、「抵当権の設定を”受けていた”」が分かり難い。ここは、「抵当権者になった」と解する。

 

 まず、他人が支払わない時には、その人の債務を代わって弁済するという保証契約の基本は、民法第446条、
(保証人の責任等)
 第四百四十六条 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
」 
 です。

 保証契約は、保証人と債権者との契約であり、主たる債務者との契約ではありません。 

 また、保証契約では、
  @保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合(民法第459条〜第461条) と
  A委託を受けないで保証をした場合(民法第462条) 
 に別れています。

 これらを元に、設問に戻ると、保証人が弁済した場合に、法定代位の規定、民法第500条、
(法定代位)
 第五百条 
弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位する。
 を適用できるかということです。
 ここでの「弁済をするについて正当な利益を有する者」には、物上保証人、担保目的物の第三取得者などが入ります。

 では、設問の保証人は”当然(法定:何もしなくても)”に「弁済をするについて正当な利益を有する者」に入るのかというと、大審院 昭和9年11月24日 によれば、「保証人は、自分の負担する保証債務を弁済するものであるが、実質的には他人の債務の弁済であるから代位の利益を与えるべきことは”当然”である」とあり、保証人にも「法定代位」が認められています。

 そこで、法定代位となると、債権者の意思に関係なく代位するため、設問の「AがCの委託を受けて保証人となり、保証債務を弁済した場合において、BがC所有の不動産に抵当権の設定を受けていたときは、Aは、Bの同意を得なければ、Bに代位して当該抵当権を実行することができない」は、「できるため」、誤りです。


*民法446条は、2020年4月1日施行で一部、改正される。(1項2項は、同じ。3項が一部削除で、変わる。)
「(保証人の責任等)
 第446条
 <改正前446条1項及び2項の通り>
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。」



2 AがCの委託を受けずに保証人となったが、それがCの意思に反する場合において、AがCに代わり弁済をしたときは、Aは、弁済の当時にCが利益を受けた限度で求償することができる。

X 誤っている。 委託を受けない保証人が勝手に弁済すると、”弁済の当時(免責時)利益を受けた限度”でなく、”現に(求償の当時)利益を受けている限度”で求償する。
  平成28年 マンション管理士試験 「問13」 

 保証は、債権者と保証人間での契約ですから、債務者が知らなくても、保証契約が成立します。
 そこで、保証人が主たる債務者の代りに弁済しても、主たる債務者から頼まれた(委託)場合には”委任”に準じ、頼まれていない場合には”事務管理に準じ、請求(求償)できる範囲に差がつきます。

 委託を受けた保証人が弁済したときは、民法第459条、
(委託を受けた保証人の求償権)
 第四百五十九条 
保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受け、又は主たる債務者に代わって弁済をし、その他自己の財産をもって債務を消滅させるべき行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対して求償権を有する。
2 第四百四十二条第二項の規定は、前項の場合について準用する。

 とあり、
 この場合、求償の範囲は、@弁済額、A免責以後の法定利息(初日算入)、Bかかった費用(通信費、交通費など)、 C損害賠償 まで求償できます。

 しかし、主たる債務者から委託を受けない保証人が、また、債務者の意思に反して、弁済すると、民法第462条、
(委託を受けない保証人の求償権)
 第四百六十二条 
主たる債務者の委託を受けないで保証をした者が弁済をし、その他自己の財産をもって主たる債務者にその債務を免れさせたときは、主たる債務者は、その当時利益を受けた限度において償還をしなければならない
2 主たる債務者の意思に反して保証をした者は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有する。この場合において、主たる債務者が求償の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。

 とあり、
 民法第462条2項によれば、保証人が求償できるのは、求償請求をした時点で「主たる債務者が現に利益を受けている限度」となり、具体的には、利息や損害賠償は求償できません。
もしも、現時点で、主たる債務者に利益が残っていないなら、もう求償できないことになります。

 そこで設問の「AがCの委託を受けずに保証人となったが、それがCの意思に反する場合において、AがCに代わり弁済をしたときは、Aは、”弁済の当時にCが利益を受けた限度”で求償することができる」は、「現に利益を受けている限度」ですから、誤りです。


*民法459条1項は、2020年4月1日施行で、改正される。また、第459条の2 ができる。
 【改正後民法】
「(委託を受けた保証人の求償権)
 第459条 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者に代わって弁済その他自己の財産をもって債務を消滅させる行為(以下「債務の消滅行為」という。)をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、そのために支出した財産の額(その財産の額がその債務の消滅行為によって消滅した主たる債務の額を超える場合にあっては、その消滅した額)の求償権を有する。
2 第442条第2項の規定は、前項の場合について準用する。」

 【改正後民法】新設
「(委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合の求償権)
 第459条の2  保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、主たる債務者がその当時利益を受けた限度において求償権を有する。この場合において、主たる債務者が債務の消滅行為の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
2 前項の規定による求償は、主たる債務の弁済期以後の法定利息及びその弁済期以後に債務の消滅行為をしたとしても避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する。
3 第一項の求償権は、主たる債務の弁済期以後でなければ、これを行使することができない。」



3 BC間で特定物の売買を内容とする契約が締結され、売主Cの目的物引渡債務についてAが保証人となった場合において、Aは、Cの債務不履行により契約が解除されたときの代金返還債務については、特に保証する旨の意思表示のない限り、責任を負わない。

X 誤っている。 売主の保証人は、債務不履行で契約が解除されたら、買主に代金を返す、原状回復義務がある。


  設問だけ、出題の意味がとれたら、素晴らしい!
 契約解除で、売主の保証人の責任範囲を訊いている。
 

 

 基本となっているのは、保証債務の範囲、民法第447条
(保証債務の範囲)
 第四百四十七条 保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。
2 保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。

 です。

 そこで、設問については、 最高裁判所 判決:昭和40年6月30日
 「売買契約解除による原状回復義務と保証人の責任。
  特定物の売買契約における売主のための保証人は、特に反対の意思表示のないかぎり、売主の債務不履行により契約が解除された場合における
原状回復義務についても、保証の責に任ずるものと解するのが相当である。

  判決文の内容:
 売買契約の解除のように遡及効を生ずる場合には、その契約の解除による原状回復義務は本来の債務が契約解除によつて消滅した結果生ずる別個独立の債務であつて、本来の債務に従たるものでもないから、右契約当事者のための保証人は、特約のないかぎり、これが履行の責に任ずべきではないとする判例がある。
 しかしながら、特定物の売買における売主のための保証においては、通常、その契約から直接に生ずる売主の債務につき保証人が自ら履行の責に任ずるというよりも、むしろ、”
売主の債務不履行に基因して売主が買主に対し負担することあるべき債務につき責に任ずる趣旨でなされるものと解するのが相当”であるから、保証人は、債務不履行により売主が買主に対し負担する損害賠償義務についてはもちろん、特に反対の意思表示のないかぎり、売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務についても保証の責に任ずるものと認めるのを相当とする
 売買契約の解除による原状回復義務については保証しない旨の特約がなされた事実が明らかにされないかぎり、
売主の買主に対する右代金返還の義務につき保証の責に任ずべきものと認むべき
 とあり、
 特定物の売買契約での売主における保証人には、契約の解除がされたら、原状回復の義務(代金を返還する)についても保証責任があるとのことで、設問の「BC間で特定物の売買を内容とする契約が締結され、売主Cの目的物引渡債務についてAが保証人となった場合において、Aは、Cの債務不履行により契約が解除されたときの代金返還債務については、特に保証する旨の意思表示のない限り、責任を負わない」は、「
責任を負うため」誤っています。


4 AがCの委託を受けずに保証人となった場合において、Aは、Cに対し、事前の求償権を行使することはできない。

〇 正しい。 委託を受けない保証人には、事前の求償権はない。
 
 設問の保証人の事前の求償の基本は、民法第460条
(委託を受けた保証人の事前の求償権)
第四百六十条 
保証人は、主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、次に掲げるときは、主たる債務者に対して、あらかじめ、求償権を行使することができる
   一 主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないとき。
   二 債務が弁済期にあるとき。ただし、保証契約の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は、保証人に対抗することができない。
   三 債務の弁済期が不確定で、かつ、その最長期をも確定することができない場合において、保証契約の後十年を経過したとき。

 とあり、
 保証人が、主たる債務者の委託を受けてなった場合には、委任契約のように、費用の前払を認めていますが、設問のような「AがCの委託を受けずに保証人となった場合において、Aは、Cに対し、事前の求償権を行使することはできない」ため、正しい。



答え: 4

 解説に時間がかかる!
 難問!

 2020年4月1日施行の民法改正も入れたので、利用してください。
 第446条、第459条、第459条の2 (新設) 

《タグ》民法 保証人 法定代位 主たる債務者から委託を受けない保証人の求償 保証の範囲 原状回復義務も含む 事前求償権

問6

【問6】 同時履行の抗弁権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 AB間の売買契約を、売主Aが、買主Bの詐欺を理由として取り消した場合においては、Aの原状回復義務とBの原状回復義務とは同時履行の関係に立たない。

X 誤っている。 詐欺での取り消しに基づく、買主・売主、両当事者の原状回復義務は、同時履行の関係に立つ。
  平成25年 管理業務主任者試験 「問5」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問12」 、

 まず、詐欺や強迫は、取り消すことができ、取り消しされた行為は、初めから無効と見なされます。民法第96条及び121条、
(詐欺又は強迫)
 第九十六条 
詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる


民法第121条
(取消しの効果)
 第百二十一条 
取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。ただし、制限行為能力者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。

 また、同時履行の関係は、民法第533条、
(同時履行の抗弁)
 第五百三十三条 
双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。
 とあり、
 双務契約においては、契約での公平の理念から、両当事者において、一方がその契約での債務の履行を、相手方もその債務の履行をするまで互いに履行しないことができるものです。
 これは、通常、「同時履行の抗弁権」とよばれますが、何がどのような事態なら、同時履行の関係に該当するのか、それは、判断の難しいことで、裁判で決着がつけられます。

 設問の「詐欺」の取り消しなら、最高裁判所 判決: 昭和47年9月7日、
「売買契約が詐欺を理由として取り消された場合における当事者双方の原状回復義務と同時履行
 
売買契約が詐欺を理由として取り消された場合における当事者双方の原状回復義務は、同時履行の関係にあると解するのが相当である
  理由:該当の売買契約は、Dの詐欺を理由とする上告人の取消の意思表示により有効に取り消されたのであるから、原状に回復するため、被上告人は、上告人に対し、本件(一)の土地について右仮登記の抹消登記手続を、本件(二)の土地について上告人へ所有権移転登記手続をそれぞれなすべき義務があり、また、上告人は、被上告人に対し、右一〇〇万円の返還義務を負うものであるところ、
上告人、被上告人の右各義務は、民法五三三条の類推適用により同時履行の関係にあると解すべきであつて、被上告人は、上告人から一〇〇万円の支払を受けるのと引き換えに右各登記手続をなすべき義務があるとした原審の判断は、正当としてこれを是認することができる。」
 とあり、
 不動産取引で、詐欺が理由で取り消されたなら、
 ・買主の登記の抹消登記手続き と 売主への所有権移転登記手続き の義務(原状回復義務) と
 ・売主が受け取った金銭を買主に変換する義務(原状回復義務) は
 同時履行の関係にあると類推適用するとのことで、
 設問の「AB間の売買契約を、売主Aが、買主Bの詐欺を理由として取り消した場合においては、Aの原状回復義務とBの原状回復義務とは”
同時履行の関係に立たない”」は、「同時履行の関係が立つため」誤りです。


2 AB間の建物の賃貸借契約が期間の満了により終了する場合において、それに伴う賃貸人Aの敷金返還債務と賃借人Bの建物明渡債務とは、特別の約定のない限り、同時履行の関係に立たない。

〇 正しい。 賃貸借契約が満了した場合には、賃借人の建物明渡義務の方が、賃貸人の敷金返還義務に先に履行される。

  平成22年 マンション管理士試験 「問12」 のまま。

 設問は、最高裁判所 判決:昭和49年9月2日
 「賃借家屋明渡債務と敷金返還債務との間の同時履行関係の有無
 
家屋の賃貸借終了に伴う賃借人の家屋明渡債務と賃貸人の敷金返還債務とは、特別の約定のないかぎり、同時履行の関係に立たない
  賃貸借における敷金は、賃貸借の終了後家屋明渡義務の履行までに生ずる賃料相当額の損害金債権その他賃貸借契約により賃貸人が賃借人に対して取得することのある一切の債権を担保するものであり、賃貸人は、賃貸借の終了後家屋の明渡がされた時においてそれまでに生じた右被担保債権を控除してなお残額がある場合に、その残額につき返還義務を負担するものと解すべきものである。
  そして、敷金契約は、このようにして賃貸人が賃借人に対して取得することのある債権を担保するために締結されるものであつて、賃貸借契約に附随するものではあるが、賃貸借契約そのものではないから、賃貸借の終了に伴う賃借人の家屋明渡債務と賃貸人の敷金返還債務とは、
一個の双務契約によつて生じた対価的債務の関係にあるものとすることはできず、また、両債務の間には著しい価値の差が存しうることからしても、両債務を相対立させてその間に同時履行の関係を認めることは、必ずしも公平の原則に合致するものとはいいがたいのである。
 一般に家屋の賃貸借関係において、賃借人の保護が要請されるのは本来その利用関係についてであるが、当面の問題は賃貸借終了後の敷金関係に関することであるから、賃借人保護の要請を強調することは相当でなく、また、両債務間に同時履行の関係を肯定することは、右のように家屋の明渡までに賃貸人が取得することのある一切の債権を担保することを目的とする敷金の性質にも適合するとはいえないのである。
 このような観点からすると、賃貸人は、特別の約定のないかぎり、賃借人から家屋明渡を受けた後に前記の敷金残額を返還すれば足りるものと解すべく、したがつて、家屋明渡債務と敷金返還債務とは同時履行の関係にたつものではないと解するのが相当であり、このことは、賃貸借の終了原因が解除(解約)による場合であつても異なるところはないと解すべきである。
  そして、このように賃借人の家屋明渡債務が賃貸人の敷金返還債務に対し先履行の関係に立つと解すべき場合にあつては、賃借人は賃貸人に対し敷金返還請求権をもつて家屋につき留置権を取得する余地はないというべきである。」
 ということで、
 この判例によると、この場合には、「賃借人の家屋明渡債務が賃貸人の敷金返還債務に対し先履行の関係に立つと解すべき」とのことで、同時履行の関係には
立たないため、設問の「AB間の建物の賃貸借契約が期間の満了により終了する場合において、それに伴う賃貸人Aの敷金返還債務と賃借人Bの建物明渡債務とは、特別の約定のない限り、同時履行の関係に立たない」は、正しい。


3 AB間の借地契約の終了に伴い、賃貸人Aに対して賃借人Bの建物買取請求権が行使された場合においては、その土地の賃貸人Aの建物代金債務と賃借人Bの建物土地明渡債務とは、同時履行の関係に立つ。

〇 正しい。 借地契約の終了なら、賃借人の建物代金債務と賃貸人の建物土地明渡債務とは、同時履行の関係に立つ。

 まず、建物買取請求権は、借地借家法13条、
(建物買取請求権)
 第十三条 借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
2 前項の場合において、建物が借地権の存続期間が満了する前に借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべきものとして新たに築造されたものであるときは、裁判所は、借地権設定者の請求により、代金の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる。
3 前二項の規定は、借地権の存続期間が満了した場合における転借地権者と借地権設定者との間について準用する。

 とあり、
 借地借家法13条1項によれば、
 借地権の存続期間が満了したときに、契約更新をしない場合、借地人から地主に対して建物の買取を請求できる権利(
建物買取請求権)があります。
 この建物買取請求権が認められる背景には、本来、借地人は、借地契約が満了したとき、土地を”更地”にして返還する必要があります。
 しかし、これは、「まだ使える建物を取り壊さなければならない」ことを意味し、借地人にとっても、社会経済的にとっても大きな損失となります。このことを考慮して、地主が借地人が建てた建物を買い取る”建物買取請求権”の仕組みが整えられました。

 建物買取請求権は、買取請求がなされた時点で、地主の意思にかかわらず、売買契約が成立したとみなされます。このような権利者の一方だけの意思表示で成立する権利を”
形成権”と呼びます。なお、買取価格は、時価(建物が現存するままの状態)です。

 そこで、これは、古いので、判例検索には、該当がないのですが、大審院 判決:昭和7年1月26日、
 「借地借家法によって認められる「建物買取請求権」「造作買取請求権」が行使された場合には、
厳密には双務契約とはいえないが、効果としては、売買契約とまったく同じといってよい。目的物移転と代金支払いの両債務が成立するので、この間に同時履行の関係を認めてよいことは自明の理であろう
 とのことで、
 設問の「 AB間の借地契約の終了に伴い、賃貸人Aに対して賃借人Bの建物買取請求権が行使された場合においては、その土地の賃貸人Aの建物代金債務(代金支払い債務)と賃借人Bの建物土地明渡債務(目的物移転債務)とは、同時履行の関係に立つ」は、正しい。



4 AB間の金銭消費貸借契約にかかる担保のために、債権者Aに対して債務者Bが、自己所有の土地に抵当権を設定した場合においては、Aの抵当権設定登記の抹消義務とBの債務の弁済とは、同時履行の関係に立たない。


〇 正しい。 一般的な判例では、被担保債務の弁済が抵当権設定登記の抹消義務より先に履行される。

  
 実務を知っていると、難しい設問です。

 これは、最高裁判所 判決:昭和57年1月19日
 「抵当債務の弁済と抵当権設定登記の抹消登記手続との同時履行関係の有無
  
抵当債務は、抵当権設定登記の抹消登記手続より先に履行すべきもので、後者とは同時履行の関係に立たない
  債務の弁済と該債務担保のために経由された抵当権設定登記の抹消登記手続とは、前者が後者に対し先履行の関係にあるものであつて、同時履行の関係に立つものではないと解すべきである」
 とあり、
 まず、債務の弁済の方が、抵当権設定登記の抹消登記手続に先履行すると判決では、言っていますから、設問の「AB間の金銭消費貸借契約にかかる担保のために、債権者Aに対して債務者Bが、自己所有の土地に抵当権を設定した場合においては、Aの抵当権設定登記の抹消義務とBの債務の弁済とは、同時履行の関係に立たない」は、正しい。

 しかし、実務では、この両債務は、同時履行されています。



答え: 1

  同時履行については、判例が絡んで、難しい。解説に、半日(5時間)以上かかった。

 また、同時履行は、 「問4」 の「留置権の行使」にも絡むので、併せて、勉強のこと。

 なお、民法第533条も2020年4月1日施行により、以下のように改正されます。
*「【改正後民法】
 (同時履行の抗弁)
 第533条
 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。」


《タグ》 民法 同時履行の抗弁権 詐欺での取り消し 敷金返還債務と建物明渡債務 建物代金債務と建物土地明渡債務 抵当権設定登記の抹消義務と債務の弁済

*2020年 2月 5日:どうやら、民法の解説が終わったので、次は、区分所有法の 「問10」へ、行きます。
問7

【問7】 次のア〜エの記述のうち、標準管理委託契約書によれば、適切なものはいくつあるか。


*この解説においては、「マンション標準管理委託契約書」は、「標準管理委託契約書」といい、同契約書内において、「甲」は、「管理組合」を指し、「乙」は、「マンション管理業者」を指します。


ア マンション管理業者(マンション管理適正化法第2条第8号に規定する者をいう。以下同じ。)が行う管理事務(マンション管理適正化法第2条第6号に規定するものをいう。以下同じ。)の対象となる部分は、管理規約により管理組合が管理すべき部分のうち、マンション管理業者が受託して管理する部分であり、オートロック設備や宅配ボックスも管理事務の対象に含まれる。

〇 適切である。 改正で、オートロック設備や宅配ボックスも管理事務の対象に入った。
 

 管理対象部分は、平成30年3月9日の改正があった、標準管理委託契約書2条
「(本マンションの表示及び管理対象部分)
 第2条 本マンションの表示及び管理事務(本マンションの管理に関する業務のうち、 甲が乙に委託する業務をいう。以下同じ。)の対象となる部分は、次のとおりである。
   一 名 称
   二 所在地
   三 敷 地 面 積 権利形態
   四 建 物 構造等 ○○造地上○階建地下○階建共同住宅 建築面積 u 延床面積 u 専有部分 住宅○戸
   五 管理対象部分
     イ 敷 地
     ロ 専有部分に属さない建物の部分(規約共用部分を除く。)
       エントランスホール、廊下、階段、エレベーターホール、共用トイレ、屋上、 屋根、塔屋、ポンプ室、自家用電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプ スペース、内外壁、床、天井、柱、バルコニー、風除室
     ハ 専有部分に属さない建物の附属物 エレベーター設備、電気設備、給水設備、排水設備、テレビ共同受信設備、消 防・防災設備、避雷設備、各種の配線・配管、
オートロック設備、宅配ボックス
     ニ 規約共用部分 管理事務室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、トランクルーム、倉庫
     ホ 附属施設 塀、フェンス、駐車場、通路、自転車置場、ゴミ集積所、排水溝、排水口、外 灯設備、植栽、掲示板、専用庭、プレイロット 」
 とあり、
 標準管理委託契約書2条5号 ハ によれば、管理事務での管理対象部分に「管理規約により管理組合が管理すべき部分のうち、マンション管理業者が受託して管理する部分であり、オートロック設備や宅配ボックスも管理事務の対象に含まれる」は、適切です。
  
  時代の変化により、オートロック設備や宅配ボックスが追加されています。



イ マンション管理業者が行う管理事務の内容として、事務管理業務、管理員業務、清掃業務、建物・設備管理業務及び警備業法に定める警備業務がある。

X 適切でない。 警備業法に定める警備業務は、マンション管理業者が行う管理事務には、入っていない。
 平成28年 管理業務主任者試験 「問8」 平成21年 管理業務主任者試験 「問7」 、

 まず、設問の管理事務の内容は、標準管理委託契約書3条
「(管理事務の内容及び実施方法)
 第3条 管理事務の内容は、次のとおりとし、別表第1から別表第4に定めるところに より実施する。
   一 事務管理業務(別表第1に掲げる業務)
   二 管理員業務(別表第2に掲げる業務)
   三 清掃業務(別表第3に掲げる業務)
   四 建物・設備管理業務(別表第4に掲げる業務) 」
 です。
 
 そこで、設問の内、
 @事務管理業務、A管理員業務、B清掃業務、C建物・設備管理業務は、ありますが、「警備業法に定める警備業務」は、入っていませんから、「マンション管理業者が行う管理事務の内容として、事務管理業務、管理員業務、清掃業務、建物・設備管理業務及び警備業法に定める警備業務がある」は、適切ではありません。

なお、コメント 1 全般関係
「B この契約では、適正化法第2条第6号に定める管理事務をマンション管理業者に委託する場合を想定しており、警備業法に定める警備業務、消防法に定める防火管理者が行う業務は、管理事務に含まれない。」
 もあります。

 どうして、警備業務や防火管理者が行う業務が、含まれないかというと、これらは、国土交通省が管轄していないためです。
このような設問は、その法律の主管省庁まで分かると解答の一助になります。
 では、
 @警備業法の主管省庁は、警察庁
 A消防法の主管省庁は、総務省消防庁
 B浄化槽法の主管省庁は、建築基準法に関する部分は国土交通省、他は環境省又は国土交通省と環境省
 です。
 そこで、この標準管理委託契約書を作成したのは...国土交通省です。
 役所間の縄張りとして、警備業法や消防法のように完全に他の省庁に関係した内容にまで、国土交通省としては、口をはさむことはできません。
 でも、浄化槽法のように点検・検査なら国土交通省は干渉できます。



ウ マンション管理業者は、建築基準法第12条第1項に規定する特定建築物定期調査及び同条第3項に規定する特定建築物の建築設備等定期検査を行うとともに、その報告等に係る補助を行うものとする。

〇 適切である。 マンション管理業者は、特定建築物定期調査や定期検査も行う。

 設問の特定建築物定期調査等は、選択肢イで引用しました、標準管理委託契約書3条4号
「(管理事務の内容及び実施方法)
 第3条 管理事務の内容は、次のとおりとし、別表第1から別表第4に定めるところに より実施する。
    四 建物・設備管理業務(別表第4に掲げる業務)」
 とあり、
 引用されています、 (別表第4に掲げる業務)」には、
 「別表第4 建物・設備管理業務
   
(2) 建築基準法第12条第1項に規定する特定建築物定期調査 (1回/6月〜3年)
   
(3) 建築基準法第12条第3項に規定する特定建築物の建築設備等定期検査 (1回/6月〜1年)」
 もありますから、「マンション管理業者は、建築基準法第12条第1項に規定する特定建築物定期調査及び同条第3項に規定する特定建築物の建築設備等定期検査を行うとともに、その報告等に係る補助を行うものとする」は、適切です。

 注:3年に1回の定期調査の費用も、毎月の委託業務費に、分散して、入っていますよ。



エ マンション管理業者は、受託した管理事務の内容にかかわらず、災害又は事故等の事由により、管理組合のために、緊急に行う必要がある業務で、管理組合の承認を受ける時間的な余裕がないものについては、管理組合の承認を受けないで実施することができる。

〇 適切である。 緊急なら、管理組合の承認がなくても、やる。
 平成29年 管理業務主任者試験 「問7」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問7」 、

 緊急時は、標準管理委託契約書8条1項
「(緊急時の業務)
 第8条
乙は、第3条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる災害又は事故等の事由により、甲のために、緊急に行う必要がある業務で、甲の承認を受ける時間的な余裕が ないものについては、甲の承認を受けないで実施することができる。この場合におい て、乙は、速やかに、書面をもって、その業務の内容及びその実施に要した費用の額 を甲に通知しなければならない。
   一 地震、台風、突風、集中豪雨、落雷、雪、噴火、ひょう、あられ等
   二 火災、漏水、破裂、爆発、物の飛来若しくは落下又は衝突、犯罪等
2 甲は、乙が前項の業務を遂行する上でやむを得ず支出した費用については、速やか に、乙に支払わなければならない。ただし、乙の責めによる事故等の場合はこの限り でない。 」
 とあり、
 標準管理委託契約書8条1項によれば、「マンション管理業者は、受託した管理事務の内容にかかわらず、災害又は事故等の事由により、管理組合のために、緊急に行う必要がある業務で、管理組合の承認を受ける時間的な余裕がないものについては、管理組合の承認を受けないで実施することができる」は、適切です。



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え: 3 (適切なものは、 ア、ウ、エ の3つ。)

 個数問題だけど、それほど、難しくはない。 だけど、どうして、個数問題にするのか、出題官に、聞きたい。

《タグ》標準管理委託契約書 管理の対象 警備業務 特定建築物定期調査 緊急時対応


*2020年 1月 5日:マンション管理士試験の「問33」から、気分転換で、この管理業務主任者試験の「問7」に移動してきた。
問8

【問8】 次の記述のうち、標準管理委託契約書によれば、最も不適切なものはどれか。

1 マンション管理業者が、管理委託契約の有効期間内に、自ら又は第三者を利用して、相手方に対する脅迫的な言動又は暴力を用いる行為をしないことの確約に反する行為をした場合には、管理組合は、相当の期間を定めて催告しなければ、当該契約を解除することができない。

X 適切でない。 この場合、催告なしに、契約の解除ができる。
 令和01年 マンション管理士試験 「問33」 、 平成30年 管理業務主任者試験 「問7」 、

  ここも、平成30年3月9日の改正があった、標準管理委託契約書24条
「(反社会的勢力の排除)
 第 24 条
乙は、甲に対し、次の各号の事項を確約する。
   一 自らが、暴力団、暴力団関係企業、総会屋若しくはこれらに準ずる者又はその構成員(以下これらを総称して「反社会的勢力」という。)ではないこと。
   二 自らの役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。) が反社会的勢力ではないこと。
   三 反社会的勢力に自己の名義を利用させ、本契約を締結するものではないこと。
   四
本契約の有効期間内に、自ら又は第三者を利用して、次の行為をしないこと。
     イ 相手方に対する脅迫的な言動又は暴力を用いる行為

     ロ 偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害し、又は信用を棄損する行為
2 乙について、本契約の有効期間内に、次の各号のいずれかに該当した場合には、
甲は何らの催告を要せずして、本契約を解除することができる
   一 前項第 1 号又は前項第 2 号の確約に反する申告をしたことが判明した場合
   二 前項第 3 号の確約に反し契約をしたことが判明した場合
   
三 前項第 4 号の確約に反する行為をした場合
 とあり、
 標準管理委託契約書24条1項4号イ及び同条2項3号によれば、設問の場合「管理組合は、”
何らの催告を要せずして、本契約を解除することができる”」ため、「マンション管理業者が、管理委託契約の有効期間内に、自ら又は第三者を利用して、相手方に対する脅迫的な言動又は暴力を用いる行為をしないことの確約に反する行為をした場合には、管理組合は、”相当の期間を定めて催告しなければ、当該契約を解除することができない”」は、適切では、ありません。


2 マンション管理業者が、管理委託契約に従い、組合員に対し管理費等の督促を行っても、なお当該組合員が支払わないときは、その責めを免れるものとし、その後の収納の請求は管理組合が行うものとする。

〇 適切である。 滞納者問題は、管理組合が中心になって、解決すべき。
 平成26年 管理業務主任者試験 「問7」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問33」 、

 滞納者は、標準管理委託契約書10条
「(管理費等滞納者に対する督促)
 第 10 条
乙は、第3条第1号の業務のうち、出納業務を行う場合において、甲の組合員に対し別表第1 1(2)Aによる管理費、修繕積立金、使用料その他の金銭(以下「管理費等」という。)の督促を行っても、なお当該組合員が支払わないときは、 その責めを免れるものとし、その後の収納の請求は甲が行うものとする。
2 前項の場合において、甲が乙の協力を必要とするときは、甲及び乙は、その協力方 法について協議するものとする。」
 とあり、
 標準管理委託契約書10条1項によれば、「マンション管理業者が、管理委託契約に従い、組合員に対し管理費等の督促を行っても、なお当該組合員が支払わないときは、その責めを免れるものとし、その後の収納の請求は管理組合が行うものとする」は、適切です。



3 消費税法等の税制の制定又は改廃により、税率等の改定があった場合には、委託業務費のうちの消費税額等は、その改定に基づく額に変更するものとする。

〇 適切である。 消費税の税率アップには、ちゃんと対応する。
 平成16年 管理業務主任者試験 「問9」 

 消費税の税率が上がったら、当然ながら、標準管理委託契約書22条、
「(法令改正に伴う契約の変更)
 第 22 条 甲及び乙は、本契約締結後の法令改正に伴い管理事務又は委託業務費を変更 する必要が生じたときは、協議の上、本契約を変更することができる。 ただし、
消費税法等の税制の制定又は改廃により、税率等の改定があった場合には、 委託業務費のうちの消費税額等は、その改定に基づく額に変更する。 」
 とあり、
 標準管理委託契約書22条によれば、「消費税法等の税制の制定又は改廃により、税率等の改定があった場合には、委託業務費のうちの消費税額等は、その改定に基づく額に変更するものとする」は、適切です。



4 マンション管理業者が、専有部分内を対象とする業務を実施しようとする場合においては、費用負担をめぐってトラブルにならないよう、基本的に便益を受ける者が費用を負担することに留意した契約方法とする必要がある。

〇 適切である。 金銭をめぐるトラブルは、事前に決めておくこと。

  平成30年 管理業務主任者試験 「問7」 、
 
 ここも、平成30年3月9日の改正があった標準管理委託契約書3条(管理事務の内容及び実施方法)のコメントB
「B マンション管理業者が各区分所有者から専有部分内の設備の修繕等で対応を求められるケースがある。
 基本的にマンション管理業者の管理対象部分は敷地及び共用部分等であるが、専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分(配管、配線等)は共用部分と一体で管理を行う必要があるため、管理組合が管理を行うとされている場合において、管理組合から依頼があるときに本契約に含めることも可能である。
 また、こうした業務以外にも
マンション管理業者によって専有部分内を対象とする業務が想定されるが、費用負担をめぐってトラブルにならないよう、基本的に便益を受ける者が費用を負担することに留意した契約方法とする必要がある。
 とあり、
 標準管理委託契約書3条(管理事務の内容及び実施方法)のコメントBによれば、設問の「マンション管理業者が、専有部分内を対象とする業務を実施しようとする場合においては、費用負担をめぐってトラブルにならないよう、基本的に便益を受ける者が費用を負担することに留意した契約方法とする必要がある」は、適切です。



答え: 1 

 平成30年の改正箇所からも出題されているが、特に難しくはない。

《タグ》標準管理委託契約書 反社会的勢力 督促 消費税Up 費用負担

問9

【問9】 次の記述のうち、標準管理委託契約書によれば、最も不適切なものはどれか。

1 管理組合及びマンション管理業者は、その相手方が、管理委託契約に定められた義務の履行を怠った場合は、相当の期間を定めてその履行を催告し、相手方が当該期間内に、その義務を履行しないときは、当該契約を解除することができる。

〇 適切である。 契約が履行遅滞では、「催告解除」が原則。

 平成28年 管理業務主任者試験 「問8」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問8」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問8」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問7」 

 上の「問8」 選択肢1でも、とり上げられています契約での「催告」が、またこの、「問9」でも出てきましたので、2020年4月1日施行の改正民法も触れましょう。

 2020年4月1日施行の改正民法の第541条
(催告による解除)
 第541条 
当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。
 となり、 
 過去の判例を採用して、「ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない」が、追加されていることに、注意してください。

 また、改正民法第542条では、全部が履行不能の場合などでは、無催告による契約の解除もあります。
(催告によらない解除)
 第542条 次に掲げる場合には、
債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる
   一 債務の全部の履行が不能であるとき。
   二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
   三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
   四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
   五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。
2 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。
   一 債務の一部の履行が不能であるとき。
   二 債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。


 そこで、設問は、標準管理委託契約書18条
「(契約の解除)
 第 18 条
甲及び乙は、その相手方が、本契約に定められた義務の履行を怠った場合は、 相当の期間を定めてその履行を催告し、相手方が当該期間内に、その義務を履行しな いときは、本契約を解除することができる。この場合、甲又は乙は、その相手方に対 し、損害賠償を請求することができる。
2 甲は、乙が次の各号のいずれかに該当するときは、本契約を解除することができる。
   一 乙が銀行の取引を停止されたとき、若しくは破産、会社更生、民事再生の申立て をしたとき、又は乙が破産、会社更生、民事再生の申立てを受けたとき
   二 乙が合併又は破産以外の事由により解散したとき
   三 乙がマンション管理業の登録の取消しの処分を受けたとき」
 とあり、
 標準管理委託契約書18条1項によれば、設問の「管理組合及びマンション管理業者は、その相手方が、管理委託契約に定められた義務の履行を怠った場合は、相当の期間を定めてその履行を催告し、相手方が当該期間内に、その義務を履行しないときは、当該契約を解除することができる」は、適切です。



2 管理事務を受託する管理組合のマンションにおけるマンション管理業者の免責事項については、排水設備の能力以上に機械式駐車場内に雨水流入があったときの車両に対する損害等、必要に応じて具体的な内容を記載することができる。

〇 適切である。 最近の予期せぬ災害に対応すること。

 ここも、平成30年の改正で、追加されたコメント
 基本は、標準管理委託契約書17条
「(免責事項)
 第 17 条 乙は、甲又は甲の組合員等が、第8条第1項各号に掲げる災害又は事故等(乙 の責めによらない場合に限る。)による損害及び次の各号に掲げる損害を受けたとき は、その損害を賠償する責任を負わないものとする。
    一 乙が善良なる管理者の注意をもって管理事務を行ったにもかかわらず生じた管 理対象部分の異常又は故障による損害
   二 乙が、書面をもって注意喚起したにもかかわらず、甲が承認しなかった事項に起 因する損害
   三 前各号に定めるもののほか、乙の責めに帰することができない事由による損害 」
 とあり、
 そのコメント、第17 条関係
「マンション管理業者の免責事項について、
 
昨今のマンションを取り巻く環境の変化、特に予期できない自然災害等が増えてきていることから、当該マンションの地域性、設備の状況等に応じて、甲及び乙の協議の上、各号に加えて、例えば、「排水設備の能力以上に機械式駐車場内に雨水流入があったときの車両に対する損害」等、必要に応じて具体的な内容を記載することも考えられる。」
 とあり、
 第17 条関係のコメントによれば、設問の「管理事務を受託する管理組合のマンションにおけるマンション管理業者の免責事項については、排水設備の能力以上に機械式駐車場内に雨水流入があったときの車両に対する損害等、必要に応じて具体的な内容を記載することができる」は、適切です。


3 マンション管理業者は、管理事務を受託する管理組合のマンションにおいて滅失、き損、瑕疵等の事実を知った場合においては、書面をもって、当該管理組合に通知しなければならない。

X 適切でない。
 この場合は、速さが要求されているので、単に「通知」でいい。
 平成30年 マンション管理士試験 「問33」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問7」

 設問は、標準管理委託契約書12条
「(通知義務)
  第 12 条
甲及び乙は、本マンションにおいて滅失、き損、瑕疵等の事実を知った場合 においては、速やかに、その状況を相手方に通知しなければならない
2 甲及び乙は、次の各号に掲げる場合においては、速やかに、書面をもって、相手方 に通知しなければならない。
   一 甲の役員又は組合員が変更したとき
   二 甲の組合員がその専有部分を第三者に貸与したとき
   三 乙が商号又は住所を変更したとき
   四 乙が合併又は会社分割したとき
   五 乙がマンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成 12 年法律第 149 号)の規定に 基づき処分を受けたとき
    六 乙が第 18 条第2項第1号及び第2号に掲げる事項に該当したとき 」
 とあり、
 標準管理委託契約書12条1項によれば、通知は、特に「書面をもって」までは、要求されていないため、設問の「マンション管理業者は、管理事務を受託する管理組合のマンションにおいて滅失、き損、瑕疵等の事実を知った場合においては、”
書面をもって”、当該管理組合に通知しなければならない」は、適切でありません。

 実際には、滅失、き損、瑕疵等の事実を知れば、後のために「書面」で通知しますが。



4 マンション管理業者は、マンション管理適正化法の規定に基づく処分を受けたときには、管理事務を受託する管理組合に対して、速やかに、書面をもって、通知しなければならない。

〇 適切である。 この場合には、速やかに、書面で通知する。
  平成24年 管理業務主任者試験 「問7」 、

 設問は、選択肢3で引用しましした標準管理委託契約書12条2項、
「2
甲及び乙は、次の各号に掲げる場合においては、速やかに、書面をもって、相手方 に通知しなければならない
   一 甲の役員又は組合員が変更したとき
   二 甲の組合員がその専有部分を第三者に貸与したとき
   三 乙が商号又は住所を変更したとき
   四 乙が合併又は会社分割したとき
   
五 乙がマンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成 12 年法律第 149 号)の規定に 基づき処分を受けたとき
   六 乙が第 18 条第2項第1号及び第2号に掲げる事項に該当したとき 」
 とあり、
 標準管理委託契約書12条2項5号によれば、設問の「マンション管理業者は、マンション管理適正化法の規定に基づく処分を受けたときには、管理事務を受託する管理組合に対して、
速やかに、書面をもって、通知しなければならない」は、適切です。


答え: 3

 選択肢3 と 選択肢4 は、しっかりと区別していないと、悩むか。

《タグ》標準管理委託契約書 履行遅滞 催告解除 改正民法 免責事項 通知 


*2020年 1月 7日:次は、「問13」が、標準管理委託契約なので、「問13」 を先に、解説します。

問10

【問 10】 マンションの管理費又はその滞納に関する次の記述のうち、民法、民事訴訟法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 競売によって区分所有権を買い受けた者は、通常の売買の場合と異なり、前区分所有者の滞納管理費の支払債務を承継しない。

X 誤っている。 区分所有法では、特定承継人(競売で区分所有権を買い受けた人など)も、前区分所有者の滞納管理費の支払債務を承継する。

 令和01年 マンション管理士試験 「問8」 、平成30年 管理業務主任者試験 「問34」 、 平成30年 管理業務主任者試験 「問10」 、など多。

 設問は、マンションの管理費や修繕積立金は、当然に、区分所有者は支払う義務がありますが、管理費等を滞納したまま、専有部分(室)を他の人に譲渡したり、融資が払えず競売になったときに、それら譲受人や競売の落札者(特定承継人といいます)にも前の区分所有者が行った滞納を支払う義務があるかということです。

 まず、承継人には、@包括承継人 と A特定承継人 の2つの場合があります。
 1. 包括承継人(一般承継人)とは
   他人の権利義務を一括して承継することを包括承継(一般承継ともいいます。)といい、承継する者を包括承継人といいます。
   例えば、相続により被相続人の権利義務を承継する相続人がその例です。
   包括承継の場合はその人の年金等一身専属的な権利を除きその人の権利義務の一切(包括的地位)を包括的に承継します。
 2. 特定承継人とは
   他人の権利義務を個別的に取得することを特定承継といい、承継する者を特定承継人といいます。
   売買、交換、贈与などによる普通の権利の承継は、みな特定承継で、売買契約の譲受人(買主)などが特定承継人の典型例です。
   また、抵当権の実行により競売物件を競落して所有権を取得した競落人(買受人)も、特定承継人に該当します。

 そこで、特定人の責任は、区分所有法第8条、
(特定承継人の責任)
 第八条 
前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる
 とあり、
 第8条で引用されています債権の前条:第7条は、
(先取特権)
 第七条 
区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。
2 前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。
3 民法(明治二十九年法律第八十九号)第三百十九条の規定は、第一項の先取特権に準用する。

 とあり、
 区分所有法第7条1項の債権の内容は、
  @区分所有者が、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権、
  A規約又は集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権です。
 言い換えますと、
 @の債権は保存行為等で個人の区分所有者が立替えた現在の債権をいい、
 Aの債権は
管理費・修繕積立金・義務違反者の違約金等団体としての区分所有者の全員が共同して(または管理組合が)有する債権をいうとするのが一般です。

  通常の民法の解釈では、合意による取決めは、その合意の当事者及び相続人等の”包括承継人”のみを拘束するのが原則であり、売買による譲受人(買主)のような”特定承継人”を拘束しません
 しかし、区分所有法では、管理費は建物の保守・維持・修繕や清掃などに使われこの費用は、区分所有権の価値に組み込まれ、修繕積立金はまだ使ってはいなくても区分所有者の団体の共同財産を構成しているために、区分所有法の立法者は特定承継人にも弁済の義務を課しても妥当性があると判断したとのことです。 

 ただし、区分所有建物の賃借人などの占有者は、区分所有法での特定承継人には該当しませんから、占有者に対して、滞納管理費等の支払い請求はできませんので注意してください。

 そこで、設問に戻り「競売によって区分所有権を買い受けた者は、通常の売買の場合と異なり、前区分所有者の滞納管理費の支払債務を承継しない」は、区分所有法第8条により、「競売によって区分所有権を買い受けた者」は、特定承継人ですから、「前区分所有者の滞納管理費の支払債務を承継」しますから、誤りです。


2 区分所有者は、自己の所有する住戸を賃貸し、そこに賃借人が居住するときでも、管理費の支払債務を負う。

〇 正しい。 管理費等の支払義務は、各区分所有者にある。  賃借人ではない。
  平成30年 管理業務主任者試験 「問33」 、 平成28年管理業務主任者試験 「問10」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問36」 、平成23年 管理業務主任者試験 「問10」 、 同「問35」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問4」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問4」 、 同「問5」 、 平成14年 管理業務主任者試験 「問42」 、 平成13年 マンション管理士試験 「問10」 、 同「問36」

 マンションを賃貸に出していても、管理費や修繕積立金の支払い義務は、区分所有者にあります。
 それが、区分所有法第19条
(共用部分の負担及び利益収取)
 第十九条 
各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する
 です。
 ここでの、各共有者とは、マンションの区分所有者で、共用部分の負担とは、玄関や廊下など共用部分の清掃費・照明代・動力費・管理員人件費・エレベーターその他機器の保守・点検費等からなる管理費と、大規模・計画修繕費からなる修繕積立金のように共用部分を維持・保全・修繕・改良するための費用および共用部分に起因する不法行為の賠償金その他共用部分に関して発生する一切の責任をいいます。
  そこで、原則:管理費等の支払い義務は、各共有者(各区分所有者)にありますから、設問の「区分所有者は、自己の所有する住戸を賃貸し、そこに賃借人が居住するときでも、管理費の支払債務を負う」は、正しい。

 賃借人などの占有者は、区分所有者ではないので、管理費などの請求は当然できません。


3 管理者が病気で長期入院した場合においては、その期間の滞納管理費の消滅時効は、完成しない。

X 誤っている。 停止事由にも中断事由にも該当しないので、消滅時効が完成しうる。

  平成27年 管理業務主任者試験 「問10」 、  平成26年 管理業務主任者試験 「問11」 、 平成17年 マンション管理士試験 「問17」 、 平成18年 マンション管理士試験 「問14」 等多い。
  
 管理者が病気で長期入院した場合なんて、意味がよく分からないけど、出題が、区分所有法から変わって、今度は、以前は、よく出題があった民法の時効です。

 まず、”時効”とは、ある出来事から一定の期間が経過したことにより、現在の事実状態が法律上の根拠を有するものか否かを問わず、その事実状態に適合する権利を取得し、または、権利を失う制度です。
 時効を認めるのは、時の経過により、過去の事実を証明できないことが多いので、過去の事実よりも現状を承認するのもありという考えです。また、権利の上に眠っている者は保護しないという、難しい理由付けもあります。

 また、時効には、
  @取得時効...所有の意思をもって他人の物を占有した状態が、一定期間継続することによって、権利取得の効果が生じる(民法第162条〜第165条) 
  A消滅時効...行使しうる権利を一定期間行使しなかった場合、その権利を消滅させる(民法第166条〜第174条)
   があります。

 そこで、設問の「管理者が病気で長期入院した場合においては、その期間の滞納管理費の消滅時効は、完成しない」ですが、「管理者が病気で長期入院した場合」では、消滅時効の成立を阻止する、
  @中断事由(承認、請求など。民法第147条〜第157条)
  A停止事由(制限行為能力者、天災など。民法第158条〜第161条)
  にも該当せず、「
消滅時効」は完成しますから、設問は誤りです。

 なお、時効の中断事由は、民法第147条
(時効の中断事由)
 第百四十七条 時効は、次に掲げる事由によって中断する。
   一 請求
   二 差押え、仮差押え又は仮処分
   三 承認

 です。
 時効の中断事由に該当すると、今まであった時効の進行が無くなり、新しく、そこから時効が開始されることになります。
時間のカウンターがリセットされ”ゼロに戻る”わけです。

 また、時効は、下の 「問11」 でも、出題されていますので、しっかり理解してください。


4 管理者は、滞納管理費に対する支払請求訴訟を提起するためには、管理費の滞納者に対し、あらかじめ書面により滞納管理費に対する支払督促をしておかなければならない。

X 誤っている。 支払請求訴訟を提起前に、あらかじめ書面により滞納管理費に対する支払督促をしておかなければならないなんて、規定はない。 

 今度は、裁判か。 この「問10」の出題では、範囲が広い。 

 裁判所に支払請求訴訟を起こしたいなら、民事訴訟法第133条、 
(訴え提起の方式)
 第百三十三条 訴えの提起は、訴状を裁判所に提出してしなければならない。
2 訴状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
   一 当事者及び法定代理人
   二 請求の趣旨及び原因

 とあり、
 設問の「管理者は、滞納管理費に対する支払請求訴訟を提起するためには、管理費の滞納者に対し、あらかじめ書面により滞納管理費に対する支払督促をしておかなければならない」のような、「支払督促を前もってする必要はない」ため、設問は、誤りです。



答え: 2

 解答は、選択肢2であることは、すぐ分かるが、区分所有法についての第一問目ということで、初めて「区分所有法」に接する人もいるかと思い、かなり詳細に解説したので、時間がかかった。

 また、民法の時効についても、詳細に解説した。

 ◎ 区分所有法について: 「マンション管理士 香川事務所」 が、無料で、条文ごとに解説しています、 別途、「超解説 区分所有法」 を参考にしてください。

 ◎ 民法について:民法の時効は、2020年4月1日施行から、用語を、完成猶予(停止)とか、更新(中断)に変更したり、期間の変更、また新しい規定の制定等が大幅にあり、出題が考えられますから、対応してください。


《タグ》区分所有法 特定承継人とは 管理費の負担者 賃借人 民法 時効制度 停止(完成猶予)・中断(更新) 裁判 

問11

【問 11】 マンションの管理費の支払債務の時効の中断に関する次のア〜エの記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア 管理費の滞納者が死亡した場合においては、時効は中断する。

X 誤っている。 債務者の死亡は、時効の中断事由にない。
  時効の中断からの出題は、マンション管理士・管理業務主任者試験とも多い。

 平成30年 管理業務主任者試験 「問11」 、 平成29年 管理業務主任者試験 「問11」 、平成29年 マンション管理士試験 「問12」 、 平成25年 管理業務主任者試験 「問10」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問13」 、  平成18年 管理業務主任者試験 「問10」 、、平成24年 マンション管理士試験 「問13」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問7」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問13」 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問11」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問11」

 時効については、上の 「問10」 でも、解説しましたが、重要なので、再度説明します。
 
時効”とは、ある出来事から一定の期間が経過したことにより、現在の事実状態が法律上の根拠を有するものか否かを問わず、その事実状態に適合する権利を取得し、または、権利を失う制度です。
 時効を認めるのは、時の経過により、過去の事実を証明できないことが多いので、過去の事実よりも現状を承認するのもありという考えです。また、権利の上に眠っている者は保護しないという、難しい理由付けもあります。

 また、時効には、
  @取得時効...所有の意思をもって他人の物を占有した状態が、一定期間継続することによって、権利取得の効果が生じる(民法第162条〜第165条) 
  A消滅時効...行使しうる権利を一定期間行使しなかった場合、その権利を消滅させる(民法第166条〜第174条)
   があります。

 そして、出題の「時効の中断」とは、民法第147条にあり、
(時効の中断事由)
 第百四十七条 
時効は、次に掲げる事由によって中断する。
   一 請求
   二 差押え、仮差押え又は仮処分
   三 承認

  です。
 時効の中断事由に該当すると、今まで進行してきた時効時間の進行が無くなり、新しく、そこから時効の開始時間が始まることになります。
 時効経過時間のカウンターがリセットされ”ゼロに戻る”わけです。

 そこで、設問の「管理費の滞納者(債務者)が死亡した場合」ですが、民法第147条によれば、これは時効の中断事由には該当しないため、設問は誤りです。


イ 管理費の滞納者が破産手続開始の決定を受けた場合においては、その破産手続開始決定の時に時効が中断する。

X 誤っている。 債務者が破産手続開始の決定では、時効の中断事由ではない。 債権者として、破産手続に参加しなければ、時効は中断しない。

  平成27年 管理業務主任者試験 「問10」 、

 時効の中断事由は、選択肢アで引用しました、民法第147条の
 @請求 
 A差押え、仮差押え又は仮処分
 B承認
 です。
 これ以外には、ありませんから設問の「管理費の滞納者が破産手続開始の決定を受けた場合においては、その破産手続開始決定の時に時効が中断する」は、時効の中断事由に該当しないため、時効は中断せず、誤りです。

 なお、債務者が破産の場合に、時効を中断させたければ、債権者として「@請求」として、民法第152条に規定される、
破産手続参加等)
 第百五十二条 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加は、債権者がその届出を取り下げ、又はその届出が却下されたときは、時効の中断の効力を生じない。

 を利用して、「破産手続参加(破産の債権者として、債権の届け出」をします。



ウ 管理費の滞納者に対して内容証明郵便による催告をしても、催告後 6月以内に裁判上の請求など一定の時効中断手続をとらないと、時効の中断の効力は失われる。

〇 正しい。 催告は、6ヵ月以内に裁判上の請求などをしないと、時効を中断させない。
 平成30年 管理業務主任者試験 「問11」 

 催告は、債務者に対して履行を請求しますが、これだけでは、時効は中断しません。それが、民法第153条
「(催告)
 第百五十三条 
催告は、六箇月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、民事調停法若しくは家事事件手続法による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断の効力を生じない
 とあり、
 民法第153条によれば、設問の「管理費の滞納者に対して内容証明郵便による催告をしても、催告後 6月以内に裁判上の請求など一定の時効中断手続をとらないと、時効の中断の効力は失われる」の「失われる」は、もともと時効中断の効力が生じていないのに「失う」は、変ですが、まあ、正しい。



エ 管理費の滞納者が、滞納している事実を認める旨の承認書を管理組合に提出した場合においては、その承認書が公正証書によるものでなくても、時効が中断する。

〇 正しい。 承認の方式には特別な規定がない。

 設問の「管理費の滞納者が、滞納している事実を認める旨の承認書を管理組合に提出した場合」は、選択肢アで説明しました時効の中断事由の1つである「B承認」に該当します。

 この「承認」では、形式は特に規定されていませんから、口頭でも、その承認書が公正証書以外の文章でも構わず、また一部を弁済しても全部の承認となり、時効は中断しますから、設問は、正しい。


1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え: 2 (正しいものは、ウ と エ の2つ)

 解説は、細かいが、問題は易しい。

 ◎ 民法について:民法の時効は、2020年4月1日施行から、用語を、完成猶予(停止)とか、更新(中断)に変更したり、期間の変更、また新しい規定の制定等が大幅にあり、出題が考えられますから、対応してください。

  改正民法第147条及び第148条
 「(裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新)
 第147条 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
   一 裁判上の請求
   二 支払督促
   三 民事訴訟法第二百七十五条第一項の和解又は民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)若しくは家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)による調停 四 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加
2 前項の場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。」

 「(強制執行等による時効の完成猶予及び更新)
 第148条 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
   一 強制執行
   二 担保権の実行
   三 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百九十五条に規定する担保権の実行としての競売の例による競売
   四 民事執行法第百九十六条に規定する財産開示手続
2 前項の場合には、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。ただし、申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合は、この限りでない。」

 他にも「時効」の規定は、大幅に改正(新設)されていますから、しっかり、対応してください。


《タグ》民法 時効の中断 債務者の死亡 破産 催告 承認の方式


*2020年 2月 6日:解説済。 次は、「問17」 へ。
問12

【問 12】 区分所有者が負担する管理費及び修繕積立金に関する次の記述のうち、標準管理規約(単棟型)によれば、最も不適切なものはどれか。

1 管理組合は、官公署との渉外業務に要する経費を負担してはならない。

X 適切でない。 官公署との渉外業務に要する経費は、管理組合も負担できる。
  平成21年 管理業務主任者試験 「問31」 、

 管理組合の業務は、よく変更があるが、最新の標準管理規約(単棟型)32条、
「(業務)
 第32条 管理組合は、建物並びにその敷地及び附属施設の管理のため、次 の各号に掲げる業務を行う。
   一 管理組合が管理する敷地及び共用部分等(以下本条及び第48条にお いて「組合管理部分」という。)の保安、保全、保守、清掃、消毒及びごみ処理
   二 組合管理部分の修繕
   三 長期修繕計画の作成又は変更に関する業務及び長期修繕計画書の管理
   四 建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査に関する業務
   五 適正化法第103条第1項に定める、宅地建物取引業者から交付を受 けた設計図書の管理
   六 修繕等の履歴情報の整理及び管理等
   七 共用部分等に係る火災保険、地震保険その他の損害保険に関する業務
   八 区分所有者が管理する専用使用部分について管理組合が行うことが適 当であると認められる管理行為
   九 敷地及び共用部分等の変更及び運営
   十 修繕積立金の運用
   
十一 官公署、町内会等との渉外業務
   十二 マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住 環境の維持及び向上に関する業務
   十三 広報及び連絡業務
   十四 管理組合の消滅時における残余財産の清算
   十五 その他建物並びにその敷地及び附属施設の管理に関する業務 」
 とあり、
 標準管理規約(単棟型)32条11号によれば、「官公署との渉外業務」も管理組合の業務であるため、その経費も管理組合の負担となりますから、設問の「管理組合は、官公署との渉外業務に要する経費を”負担してはならない”」は、適切ではありません。



2 管理組合は、共用部分等に係る火災保険料、地震保険料その他の損害保険料を支払うため、修繕積立金を取り崩して充当してはならない。

〇 適切である。 共用部分等に係る火災保険料、地震保険料その他の損害保険料は、管理費勘定から支払う。修繕積立金からは、取り崩さない。

  
 ここも、「地震保険料」で、改正があった箇所。
 何が、管理費から充当されるかは、標準管理規約(単棟型)27条5号
「(管理費)
 第27条
管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する
   一 管理員人件費
   二 公租公課
   三 共用設備の保守維持費及び運転費
   四 備品費、通信費その他の事務費
  
 五 共用部分等に係る火災保険料、地震保険料その他の損害保険料
   六 経常的な補修費
   七 清掃費、消毒費及びごみ処理費
   八 委託業務費
   九 専門的知識を有する者の活用に要する費用
   十 管理組合の運営に要する費用 十一 その他第32条に定める業務に要する費用(次条に規定する経費を 除く。)」
 とあり、
  標準管理規約(単棟型)27条5号によれば、共用部分等に係る火災保険料、地震保険料その他の損害保険料は、管理費から充当するため、設問の「管理組合は、共用部分等に係る火災保険料、地震保険料その他の損害保険料を支払うため、修繕積立金を取り崩して充当してはならない」は、適切です。



3 管理組合は、マンション管理業者に対する管理委託業務費を支払うため、修繕積立金を取り崩して充当してはならない。

〇 適切である。 管理委託業務費も管理費から充当する。

 マンション管理業者に対する管理委託業務費も、選択肢1で引用しました標準管理規約(単棟型)27条8号、
「(管理費)
 第27条 管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する。
  
 八 委託業務費
 とあり、
 標準管理規約(単棟型)27条8号によれば、マンション管理業者に対する管理委託業務費は、管理費から充当するため、設問の「管理組合は、マンション管理業者に対する管理委託業務費を支払うため、修繕積立金を取り崩して充当してはならない」は、適切です。



4 管理組合は、一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕に関する経費を金融機関からの借入金で賄った場合においては、当該借入金の償還に充てるため、修繕積立金を取り崩すことができる。

〇 適切である。 計画修繕は、修繕積立金からだす。

  令和1年 マンション管理士試験 「問26」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問30」 、

 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕なら、標準管理規約(単棟型)28条1項4号
「(修繕積立金) 第
 28条 管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるも のとし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する 経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
   
一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
   二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
   三 敷地及び共用部分等の変更
   四 建物の建替え及びマンション敷地売却(以下「建替え等」という。) に係る合意形成に必要となる事項の調査
   五 その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のた めに特別に必要となる管理
2 前項にかかわらず、区分所有法第62条第1項の建替え決議(以下「建 替え決議」という。)又は建替えに関する区分所有者全員の合意の後であ っても、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(平成14年法律第 78号。以下「円滑化法」という。)第9条のマンション建替組合の設立の認可又は円滑化法第45条のマンション建替事業の認可までの間におい て、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、修繕積立金から管理組合の消滅時に建替え不参加者に帰属する修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、修繕積立金を取り崩すことができる。
3 第1項にかかわらず、円滑化法第108条第1項のマンション敷地売却 決議(以下「マンション敷地売却決議」という。)の後であっても、円滑化法第120条のマンション敷地売却組合の設立の認可までの間において、 マンション敷地売却に係る計画等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、修繕積立金から管理組合の消滅時にマンション敷地売却不参加者に帰属する修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、 修繕積立金を取り崩すことができる。
4 管理組合は、第1項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、修繕積立金をもってその償還に充てることができる。
5 修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならない。」
 とあり、
 標準管理規約(単棟型)28条1項4号に該当し、また同条4項により、設問の「管理組合は、一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕に関する経費を金融機関からの借入金で賄った場合においては、当該借入金の償還に充てるため、修繕積立金を取り崩すことができる」は、適切です。



答え: 1

 何が管理費から支出され、何が修繕積立金から取り崩されるかは、区分して、記憶すること。
 難しくはない。

《タグ》標準管理規約(単棟型) 管理費 地震保険料 委託業務費 計画修繕 修繕積立金

問13

【問 13】 マンション管理業者が行う管理組合への管理事務の報告等に関する次の記述のうち、標準管理委託契約書によれば、適切なものの組み合わせはどれか。

ア  マンション管理業者は、管理組合の事業年度終了後、管理組合と合意した期限内に、当該年度における管理事務の処理状況及び管理組合の会計の収支の結果を記載した書面を管理組合に交付し、管理業務主任者をして、報告をさせなければならない。

〇 適切である。 事業年度後の報告は、管理業務主任者の仕事。
 平成27年 管理業務主任者試験 「問9」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問7」 、

 組合せ問題か。 

 設問は、標準管理委託契約書9条、
「(管理事務の報告等)
 第9条
乙は、甲の事業年度終了後○月以内に、甲に対し、当該年度における管理事務 の処理状況及び甲の会計の収支の結果を記載した書面を交付し、管理業務主任者をし て、報告をさせなければならない
2 乙は、毎月末日までに、甲に対し、前月における甲の会計の収支状況に関する書面 を交付しなければならない。
3 乙は、甲から請求があるときは、管理事務の処理状況及び甲の会計の収支状況につ いて報告を行わなければならない。
4 前3項の場合において、甲は、乙に対し、管理事務の処理状況及び甲の会計の収支 に係る関係書類の提示を求めることができる。 」
 とあり、
 標準管理委託契約書9条1項によれば、「マンション管理業者は、管理組合の事業年度終了後、管理組合と合意した期限内に、当該年度における管理事務の処理状況及び管理組合の会計の収支の結果を記載した書面を管理組合に交付し、管理業務主任者をして、報告をさせなければならない」は、適切です。



イ  マンション管理業者は、毎月末日までに、前月における管理組合の会計の収支状況に関する書面を管理組合に交付し、管理業務主任者をして、報告をさせなければならない。

X 適切でない。 月次の会計収支の書面交付は、特に”管理業務主任者”でなくても、いい。
 平成21年 管理業務主任者試験 「問7」 

 設問は、選択肢アで引用しました、標準管理委託契約書9条2項
「2
乙は、毎月末日までに、甲に対し、前月における甲の会計の収支状況に関する書面 を交付しなければならない。」
 とあり、
 標準管理委託契約書9条2項によれば、この月次の会計の収支は、特に”管理業務主任者”でなくても交付できますから、「マンション管理業者は、毎月末日までに、前月における管理組合の会計の収支状況に関する書面を管理組合に交付し、”
管理業務主任者をして”、報告をさせなければならない」は、適切ではありません。


ウ  マンション管理業者は、管理組合から請求があるときは、管理事務の処理状況及び管理組合の会計の収支状況についての書面を管理組合に交付し、管理業務主任者をして、報告をさせなければならない。

X 適切でない。 この場合も、特に”管理業務主任者”でなくても、いい。


 設問は、選択肢アで引用しました、標準管理委託契約書9条3項、
「3
乙は、甲から請求があるときは、管理事務の処理状況及び甲の会計の収支状況につ いて報告を行わなければならない。」
 とあり、
 標準管理委託契約書9条3項によれば、この場合の報告も、特に”管理業務主任者”でなくても、いいとなっていますから、「マンション管理業者は、管理組合から請求があるときは、管理事務の処理状況及び管理組合の会計の収支状況についての書面を管理組合に交付し、”
管理業務主任者をして”、報告をさせなければならない」は、適切ではありません。


エ  マンション管理業者は、管理組合の会計の収支状況に関する書面について、あらかじめ管理組合が当該書面の交付に代えて電磁的方法による交付を承諾した場合には、当該方法による交付を行うことができる。

〇 適切である。
 電磁的方法も、管理組合が承諾すれば、使える。
  平成17年 管理業務主任者試験 「問13」 、
 
 設問は、標準管理委託契約書の別表第1.1(1)B
「別表第1 事務管理業務
 1 基幹事務
  (1) 管理組合の会計の収入及 び支出の調定
    B 収支状況の報告
      
乙は、毎月末日までに、前月における甲の会計 の収支状況に関する書面の交付を行うほか、甲の請求があったときは、甲の会計の収支状況に関する報告を行う。なお、あらかじめ甲が当該書面の交付に代えて電磁的方法による交付を承諾した 場合には、乙は、当該方法による交付を行うこと ができる。 」
 とあり、
 標準管理委託契約書の別表第1.1(1)B によれば、「マンション管理業者は、管理組合の会計の収支状況に関する書面について、あらかじめ管理組合が当該書面の交付に代えて電磁的方法による交付を承諾した場合には、当該方法による交付を行うことができる」は、適切です。



1 ア・イ
2 ア・エ
3 イ・ウ
4 ウ・エ


答え: 2 (適切なのは、 ア と エ )

 
組合せ問題だ。
 選択肢エ の電磁的方法は、目新しいが、他は、過去問題をやっていれば、易しい。

《タグ》標準管理委託契約書 管理業務主任者の業務 年度末 月次 電磁的方法


*2020年 1月 7日:これで、標準管理委託契約書関係の出題の解説は、終わったので、次は、標準管理規約の解説で、 「問12」 へ行きます。
問14

【問 14】 管理組合の監事が行う業務に関する次の記述のうち、標準管理規約(単棟型)の定めによれば、最も不適切なものはどれか。

1 監事は、理事が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるときは、遅滞なく、その旨を理事会に報告しなければならない。

〇 適切である。 監事の職務である。

  平成29年 管理業務主任者試験 「問13」 、

 監事の規定は、標準管理規約(単棟型)41条
「(監事)
 第41条 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない。
2 監事は、いつでも、理事及び第38条第1項第二号に規定する職員に対 して業務の報告を求め、又は業務及び財産の状況の調査をすることができる。
3 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。
4 監事は、理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。
5 監事は、理事が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令、規約、使用細則等、総会の決議若しくは理事会 の決議に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、 遅滞なく、その旨を理事会に報告しなければならない。
6 監事は、前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、理事長に対し、理事会の招集を請求することができる。
7 前項の規定による請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられな い場合は、その請求をした監事は、理事会を招集することができる。」
 とあり、
  標準管理規約(単棟型)41条5項によれば、設問の「監事は、理事が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるときは、遅滞なく、その旨を理事会に報告しなければならない」は、適切です。



2 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について特段の意見がない場合であっても、理事会に出席しなければならない。

〇 適切である。 監事は、理事会に出席することに改正された。

 令和01年 マンション管理士試験 「30」 、 平成29年 管理業務主任者試験 「問13」 

 設問は、選択肢1で引用しました、標準管理規約(単棟型)41条4項
4 監事は、理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなけ ればならない。」
 とあり、
 以前の標準管理規約(単棟型)では、監事の理事会への出席は、「できる」であったのが、「出席し」と、必ず出席になったため、設問の「監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について特段の意見がない場合であっても、理事会に出席しなければならない」は、今は、適切です。



3 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、直ちに、理事会を招集することができる。

X 適切でない。
 管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めたら、臨時総会を開くこと。理事会ではない。
  平成27年 管理業務主任者試験 「問13」 

 設問は、選択肢1で引用しました、標準管理規約(単棟型)41条3項、
3 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。」
 とあり、
 標準管理規約(単棟型)41条3項によれば、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときなら、臨時総会を招集すべきで、設問の「直ちに、理事会を招集することができる」は、適切ではありません。


 なお、標準管理規約41条6項、同7項もあります。
「 6 監事は、前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、理事長に対し、理事会の招集を請求することができる。
7 前項の規定による請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられな い場合は、その請求をした監事は、理事会を招集することができる。」


4 監事は、いつでも、理事に対して業務の報告を求め、又は業務及び財産の状況の調査をすることができる。

〇 適切である。 監事は業務を調査できる。
 
 設問は、選択肢1で引用しました、標準管理規約(単棟型)41条2項
「2 監事は、いつでも、理事及び第38条第1項第二号に規定する職員に対 して業務の報告を求め、又は業務及び財産の状況の調査をすることができる。」
 とあり、
 標準管理規約(単棟型)41条2項によれば、設問の「監事は、いつでも、理事に対して業務の報告を求め、又は業務及び財産の状況の調査をすることができるは、適切です。



答え: 3

 かなり、易しい。

《タグ》標準管理規約(単棟型) 監事の職務 理事会への出席 臨時総会の招集 業務調査


*2020年 1月 7日:次の解説は、標準管理規約繋がりで、 「問26」 を先に解説します。
問15

【問 15】 管理組合の活動における以下のア〜エの取引に関し、平成31年3月分のア〜エそれぞれの仕訳として、最も適切なものは、次の 1〜4のうちのどれか。なお、この管理組合の会計は、企業会計の原則に基づき、毎月厳格な発生主義によって経理しているものとする。


 *私の過去問題の解説を読んでいる人には、度々の重なる説明で恐縮ですが、マンションの管理組合では、明確な会計基準がありません。
 でも、営利を目的とした企業活動ではないことは明らかです。そこで、非営利団体と似ている「公益法人の会計方法」を基にしています。
 その会計の最大の特徴が、あまり耳慣れない「
発生主義」の採用です。
 
 ★マンションの会計処理で発生主義ということの重要性は、
   まず、発生主義とは、全ての費用・収益は、その支出・収入に基づいて計上し、その発生した期間
     *収入については、請求権が生じた月、
     *支出については、支出が労役などの提供又は工事などである場合は、その労役などの提供又は工事等が完了した月、物品の購入なら、その物品が納入された月に正しく割り当てるように処理すること 
  です。

 この発生主義により、管理費や修繕積立金は該当月に徴収することになっているなら、未収入金(滞納)があっても、全額計上されている。

 この辺りが、企業の会計処理を知っている人には、なかなか理解できない個所です。
 
 また、「資金の範囲は、現金預金、未収金、未払金、前受金及び前払金とする」も、重要な前提です。資金の範囲同士の取引は、「収支計算書」には、反映されません。
 収支決算書に反映されるのは、収入の発生と費用の発生です。

 会計処理は、以下の原則があります。
 

仕訳での記帳の仕方    
 勘定科目など 借方   貸方
 資産勘定     現金預金 増加  減少 
未収金 
前払金
損害保険の積立部分
 負債勘定  未払金  減少 増加
前受金など
 費用の発生   管理業務費 支払有     
修繕費
保険料 など
 収入の発生   管理費収入   収入有  
修繕積立金収入
駐車場使用料など


 これを踏まえて、設問では分かり難いので、以下のように分解しました

1 アの取引

 
 

X 適切でない。 3月の仕訳では、普通預金の相手勘定は、未払金となる。 もう、修繕費の仕訳は、2月に終わっている。

 アの仕訳は、平成31年3月の発生主義では、以下の様になります。
 @平成31年2月1日 発注した...まだ、手付など払っていませんから、仕訳はありません。
 A平成31年2月28日 に完成した...発生主義では、完成すると、金額が発生します。
   しかし、まだ、実際には、支払がありませんから、2月には、未払金勘定の増加(負債の増加)で貸方に仕訳けます。
   この時の科目が修繕費でいいかどうかは、おいといて。  
 借方 貸方 
 修繕費 560,000  未払金 560,000
 B平成31年3月20日 普通預金にて支払った...資産の減少で貸方に仕訳けます。
  相手勘定は、2月で仕訳けた、未払金となります。
 借方 貸方 
 未払金 560,000  普通預金 560,000

 という訳で、設問は、適切ではありません。


2 イの取引




X 適切でない。 防犯カメラの取替えは、備品勘定となる。 修繕費勘定ではない。


 イの仕訳は、平成31年3月の発生主義では、以下の様になります。
 @防犯カメラの取付を、平成31年3月1日に発注した...まだ、金額が発生していませんから、仕訳はしません。
 A平成31年3月15日 取付を完了し、同3月20日に支払った...普通預金が 450,000 減少で、貸方記帳(資産の減少)となります。
  そこで、相手勘定ですが、新しく防犯カメラを取り替えたようですから、修繕費勘定は、適切ではなく、また、10万円以上なら、勘定科目としてどうなっているかは難しいのですが、通常、備品(資産の増加)が、適切です。
 そこで、仕訳は、 
 借方 貸方 
 備品 450,000  普通預金 450,000

 となり、
 設問の「修繕費勘定」は、適切では、ありません。

 注:この「防犯カメラの取替え」の勘定科目としては、「建物附属設備」とする説もある。


3 ウの取引

 

〇 適切である。 支払いが翌月なら、未払金で処理する。

 ウの仕訳は、平成31年3月の発生主義では、以下の様になります。
 @平成31年3月1日 発注した...まだ、金額が発生していませんから、仕訳はしません。
 A平成31年3月21日 清掃を完了した...ここで、発生主義により、仕訳けます。費用の発生で「清掃費」を、借方に記帳します。
 B支払いは、平成31年4月20日 の予定...現実には、支払がありませんから、相手勘定は「未払金」(負債の増加)で処理します。
 
 そこで、仕訳は、
 借方 貸方 
 清掃費 100、000  未払金 100,000

 よって、設問は、適切です。


4 エの取引




X 適切でない。 まだ、完成していないなら、前払金 だけでいい。

  エの仕訳は、平成31年3月の発生主義では、以下の様になります。
 @平成31年3月1日 発注し、前払金として、3、000,000 を普通預金から支払った...これにより、仕訳が生じます。資産の減少として、貸方に記帳です。
   相手勘定は、「前払金」とのことです。
 A平成3月10日 工事に着手した...これは、仕訳の対象ではありません。
 B平成31年4月30日 完成の予定...3月の仕訳には、関係ありません。
 C令和元年5月20日 普通預金から残金を払う予定...これも、3月の仕訳には、関係ありません。
 そこで、3月度の仕訳は、前払金として、3、000,000 を普通預金から支払った、が対象となり、
 借方 貸方 
 前払金 3,000、000  普通預金 3,000,000
 ですから、設問は、適切ではありません。


答え: 3
 
 例年仕訳は、出題されるので、かなり、詳細に解説しました。

 勘定科目の設定の問題はあるが、基本が分かっていれば、選択肢3 は選べる。

《タグ》 会計 仕訳 発生主義 勘定科目 未払金 前払金 

*2020年 1月10日:会計繋がりで、マンション管理士試験の解説から、この「問15」 の解説をやる。
問16

【問 16】 管理組合の活動における以下のア〜エの入金状況に関し、平成31年3月分のア〜エを合わせた仕訳として、最も適切なものは、次の1〜4のうちのどれか。なお、この管理組合の会計は、企業会計の原則に基づき、毎月厳格な発生主義によって経理しているものとする。

 

*発生主義などは、前の 「問15」 を参考のこと。

 設問が、実に分かり難い。アからエまでの事例を、1つづつ、3月度の処理とすると、以下のようになります。

 *アの入金

 
 アの場合、2月の仕訳では、3月分は発生がないため、全額の 1,950,000円は、前受金として下の様になります。普通預金(資産の増加)で、借方に記帳です。

借方  貸方 
 普通預金 1,950,000  前受金 1,950,000 

 これが、3月度には、前受金を取り崩して、下の様になります。 (対象-1

借方  貸方 
 前受金 1,950,000   管理費収入    1,300,000
 修繕積立金収入   650,000


 *イの入金
 
 イの場合、
  @平成31年2月以前分 150,000円 は、管理費の未収金の入金です。未収金を取り崩します。
  A平成31年3月分の 200,000円 は、3月度の管理費収入の処理となります。
  B平成31年4月分 1,200,000円 は、まだ、発生していませんから、(管理費の)前受金の処理となります。
 これらを、明細に纏めると、下の様になります。(
対象-2

借方  貸方 
 普通預金   150,000 未収金       150,000
 普通預金   200,000 管理費収入    200,000
 普通預金 1,200,000 前受金     1,200,000


 *ウの入金

 ウの場合、
  @平成31年2月以前分 70,000円 は、既に修繕積立金として処理した未収金の入金です。未収金を取り崩します。
  A平成31年3月分 100,000円 は、3月度の修繕積立金収入の処理となります。
  B平成31年4月分 600,000円 は、まだ、発生していませんから、(修繕積立金の)前受金の処理となります。
 これらを、明細に纏めると、下の様になります。(
対象-3

借方  貸方 
 普通預金  70,000 未収金        70,000
 普通預金 100,000 修繕積立金収入 100,000
 普通預金 600,000 前受金       600,000


 *エの入金

 エの場合、
  @平成31年3月に入金がないということは、全額 90,000円が未収金となります。
 これらを、明細に纏めると、下の様になります。(
対象-4

借方  貸方 
未収金  60,000 管理費収入    60,000
未収金  30,000 修繕積立金収入 30,000


 *そこで、3月度の対象となっています、対象1〜4を 纏めますと以下の様になります。

 借方   貸方   設問
 前受金    1,950,000  管理費収入    1,300,000  ア 
 修繕積立金収入   650,000
 普通預金    150,000  未収金         150,000  イ  
 普通預金    200,000  管理費収入      200,000
 普通預金  1,200,000  前受金       1,200,000
 普通預金     70,000  未収金          70,000  ウ  
 普通預金    100,000  修繕積立金収入   100,000
 普通預金    600,000  前受金         600,000
 未収金       60,000  管理費収入       60,000  エ 
 未収金       30,000  修繕積立金収入    30,000

 これを、さらに纏めると、以下の様になります。

 借方   貸方 
 前受金    1,950,000  管理費収入   1,560,000
 普通預金  2,320,000  修繕積立金収入  780,000
 未収金       90,000  前受金      1、800,000
   未収金        220,000

 よって、適正なのは、4 です。




答え: 4
 
 かなり、詳細に解説したので、時間がかかった。
 難問である。設問だけを読んで、ここまで仕訳がすぐにできるなら、会計のプロだ。

 受験会場では、こんな、j時間がかかる面倒な問題は、後回しにして、また、時間があれば、戻ってくればいい。

 速攻の鍵は、このような設問では、管理費や修繕積立金の収入が、訂正でもない限り、借方にないということか。

《タグ》会計 仕訳 前受金 未収金 


*2020年 1月10日:これで、管理業務主任者試験での、会計がおわったので、また、マンション管理士試験の解説 「37」 へ戻ります。
問17

【問 17】 直上階の居室の床面積の合計が200uを超える地上階における共同住宅の共用階段に関する次の記述のうち、( a )〜( d )に入る数値の組み合わせとして、建築基準法によれば、正しいものはどれか。ただし、この階段は、屋外階段ではないものとする。

  階段の踊場は、高さ( a )m以内ごとに設けなければならない。その踊場と階段の幅は( b )p以上、蹴上げの寸法は( c )p以下、踏面の寸法は( d )p以上でなければならない。

 こんな細かい、蹴上げ(けあげ)とか踏面(ふみづら)が、チャンと読めれば、過去問題をやっている証拠。
 平成28年 管理業務主任者試験 「問18」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「問16」

 蹴上げ(けあげ)とは、階段の1段の高さです。
 そして、踏面(ふみづら)とは、階段の踏板の上面です。

 直上階とは、その名のとおり、2階を中心にするなら、真上の階の3階のことです。3階の居室の床面積が、200u を超えるときは、2階に設ける屋内階段・踊場には、相応の法律の適用があるということです。

 

 階段や踊場の幅、蹴上げ、踏みづらなどの寸法は、建物の用途、床面積によって、建築基準法施行令で細かく決められています。

 設問とは順序が違いますが、法律の構成から、設問の「その踊場と階段の幅は( b )p以上、蹴上げの寸法は( c )p以下、踏面の寸法は( d )p以上でなければならない」は、建築基準法施行令第23条、
階段及びその踊場の幅並びに階段の蹴上げ及び踏面の寸法)
 第二十三条 
階段及びその踊場の幅並びに階段の蹴上げ及び踏面の寸法は、次の表によらなければならない。ただし、屋外階段の幅は、第百二十条又は第百二十一条の規定による直通階段にあつては九十センチメートル以上、その他のものにあつては六十センチメートル以上、住宅の階段(共同住宅の共用の階段を除く。)の蹴上げは二十三センチメートル以下、踏面は十五センチメートル以上とすることができる。


 
 
2 回り階段の部分における踏面の寸法は、踏面の狭い方の端から三十センチメートルの位置において測るものとする。
3 階段及びその踊場に手すり及び階段の昇降を安全に行うための設備でその高さが五十センチメートル以下のもの(以下この項において「手すり等」という。)が設けられた場合における第一項の階段及びその踊場の幅は、手すり等の幅が十センチメートルを限度として、ないものとみなして算定する。
4 第一項の規定は、同項の規定に適合する階段と同等以上に昇降を安全に行うことができるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いる階段については、適用しない。

 とあり、
 建築法施行令第23条によれば、設問の「直上階の居室の床面積の合計が200uを超える地上階における共同住宅の共用階段で、屋外階段でなけれ」ば、表の(三)に該当し、
  b.その踊場と階段の幅は( b )p以上は...
120cm以上
  c.蹴上げの寸法は( c )p以下は...
20cm以下(以上ではありません。以下ですよ。)
  d.踏面の寸法は( d )p以上は...
24cm以上 となります。

 次に設問の「階段の踊場は、高さ( a )m以内ごとに設けなければならない」は、建築基準法施行令第24条、
(踊場の位置及び踏幅)
 第二十四条 前条第一項の表の(一)又は(二)に該当する階段でその高さが三メートルをこえるものにあつては高さ三メートル以内ごとに、
その他の階段でその高さが四メートルをこえるものにあつては高さ四メートル以内ごとに踊場を設けなければならない
2 前項の規定によつて設ける直階段の踊場の踏幅は、一・二メートル以上としなければならない。

 とあり、
 建築基準法施行令第24条1項で、設問は、「直上階の居室の床面積の合計が200uを超える」とあるため、前条(建築基準法施行令第23条)の表では、「その他の階段でその高さが四メートルをこえるものにあつては高さ四メートル以内ごとに踊場を設けなければならない」に該当しますから、
  a.階段の踊場は、高さ( a )m以内ごとに設ける...
4m以内
 となり、正解は、

 a 踊場を設ける  b 階段・踊場の幅 c 蹴上げ  d ふみづら 
高さ  4m以内  120cm以上  20cm以下 24cm以上 


答え: 1

  こんな複雑で、細かな数字が、管理業務主任者に求められてはいない。
  実に、不適切な出題。

  難問だ。
  解説にも、時間がかかる。


《タグ》建築基準法施行令 踊場を設ける=4m以内 階段踊り場の幅=120cm以上 蹴上げ=20cm以下 踏みづら=24cm以上
問18

【問 18】 用途地域内の建築制限に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、特定行政庁の許可は受けないものとし、用途地域以外の地域、地区等は考慮しないものとする。

1 共同住宅は、工業地域に建築することができる。

〇 正しい。 共同住宅は、工業専用地域を除く用途地域内で、特定行政庁の許可がなくても建築できる。

  こんな設問は、宅地建物取引主任士試験から、流れてきた人は、得意かも。

 用途地域は、都市計画法の地域地区のひとつで、用途の混在を防ぐことを目的として、住居、商業、工業など市街地の大枠としての土地利用を定めるもので、第一種低層住居専用地域など13種類があります。
 用途地域として、指定されると、
  1.建物の種類
  2.建ぺい率
  3.容積率
  4.高さ制限(第一種・第二種低層住居専用地域・田園住居地域)
  5.前面道路幅員別容積率制限(道路幅員に乗ずる数値)
  6.道路斜線制限
  7.隣地斜線制限
  8.日影規制
  などが決められます。

 具体的には、建築基準法第48条、
「(用途地域等)
 第四十八条 第一種低層住居専用地域内においては、別表第二(い)項に掲げる建築物以外の建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が第一種低層住居専用地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
2 第二種低層住居専用地域内においては、別表第二(ろ)項に掲げる建築物以外の建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が第二種低層住居専用地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
3 第一種中高層住居専用地域内においては、別表第二(は)項に掲げる建築物以外の建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が第一種中高層住居専用地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
4 第二種中高層住居専用地域内においては、別表第二(に)項に掲げる建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が第二種中高層住居専用地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
5 第一種住居地域内においては、別表第二(ほ)項に掲げる建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が第一種住居地域における住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
6 第二種住居地域内においては、別表第二(へ)項に掲げる建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が第二種住居地域における住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
7 準住居地域内においては、別表第二(と)項に掲げる建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が準住居地域における住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
8 
田園住居地域内においては、別表第二(ち)項に掲げる建築物以外の建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が農業の利便及び田園住居地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
9 近隣商業地域内においては、別表第二(り)項に掲げる建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業その他の業務の利便及び当該住宅地の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
10 商業地域内においては、別表第二(ぬ)項に掲げる建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が商業の利便を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
11 準工業地域内においては、別表第二(る)項に掲げる建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が安全上若しくは防火上の危険の度若しくは衛生上の有害の度が低いと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
12 工業地域内においては、別表第二(を)項に掲げる建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が工業の利便上又は公益上必要と認めて許可した場合においては、この限りでない。
13 工業専用地域内においては、別表第二(わ)項に掲げる建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が工業の利便を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
14 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、田園住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域又は工業専用地域(以下「用途地域」と総称する。)の指定のない区域(都市計画法第七条第一項に規定する市街化調整区域を除く。)内においては、別表第二(か)項に掲げる建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が当該区域における適正かつ合理的な土地利用及び環境の保全を図る上で支障がないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
15 特定行政庁は、前各項のただし書の規定による許可(次項において「特例許可」という。)をする場合においては、あらかじめ、その許可に利害関係を有する者の出頭を求めて公開により意見を聴取し、かつ、建築審査会の同意を得なければならない。
16 前項の規定にかかわらず、特定行政庁は、第一号に該当する場合においては同項の規定による意見の聴取及び同意の取得を要せず、第二号に該当する場合においては同項の規定による同意の取得を要しない。
   一 特例許可を受けた建築物の増築、改築又は移転(これらのうち、政令で定める場合に限る。)について特例許可をする場合
   二 日常生活に必要な政令で定める建築物で、騒音又は振動の発生その他の事象による住居の環境の悪化を防止するために必要な国土交通省令で定める措置が講じられているものの建築について特例許可(第一項から第七項までの規定のただし書の規定によるものに限る。)をする場合
17 特定行政庁は、第十五項の規定により意見を聴取する場合においては、その許可しようとする建築物の建築の計画並びに意見の聴取の期日及び場所を期日の三日前までに公告しなければならない。

 とあり、
 引用されています、別表第二は、以下のものです。 

 建築基準法 第48条関係 別表第二
(い) 第一種低層住居専用地域内に建築することができる建築物 一 住宅
二 住宅で事務所、店舗その他これらに類する用途を兼ねるもののうち政令で定めるもの
三 共同住宅、寄宿舎又は下宿
四 学校(大学、高等専門学校、専修学校及び各種学校を除く。)、図書館その他これらに類するもの
五 神社、寺院、教会その他これらに類するもの
六 老人ホーム、保育所、身体障害者福祉ホームその他これらに類するもの
七 公衆浴場(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二条第六項第一号に該当する営業(以下この表において「個室付浴場業」という。)に係るものを除く。)
八 診療所
九 巡査派出所、公衆電話所その他これらに類する政令で定める公益上必要な建築物
十 前各号の建築物に附属するもの(政令で定めるものを除く。)
(ろ) 第二種低層住居専用地域内に建築することができる建築物 一 (い)項第一号から第九号までに掲げるもの
二 店舗、飲食店その他これらに類する用途に供するもののうち政令で定めるものでその用途に供する部分の床面積の合計が百五十平方メートル以内のもの(三階以上の部分をその用途に供するものを除く。)
三 前二号の建築物に附属するもの(政令で定めるものを除く。)
(は) 第一種中高層住居専用地域内に建築することができる建築物 一 (い)項第一号から第九号までに掲げるもの
二 大学、高等専門学校、専修学校その他これらに類するもの
三 病院
四 老人福祉センター、児童厚生施設その他これらに類するもの
五 店舗、飲食店その他これらに類する用途に供するもののうち政令で定めるものでその用途に供する部分の床面積の合計が五百平方メートル以内のもの(三階以上の部分をその用途に供するものを除く。)
六 自動車車庫で床面積の合計が三百平方メートル以内のもの又は都市計画として決定されたもの(三階以上の部分をその用途に供するものを除く。)
七 公益上必要な建築物で政令で定めるもの
八 前各号の建築物に附属するもの(政令で定めるものを除く。)
(に) 第二種中高層住居専用地域内に建築してはならない建築物 一 (ほ)項第二号及び第三号、(へ)項第三号から第五号まで、(と)項第四号並びに(り)項第二号及び第三号に掲げるもの
二 工場(政令で定めるものを除く。)
三 ボーリング場、スケート場、水泳場その他これらに類する政令で定める運動施設
四 ホテル又は旅館
五 自動車教習所
六 政令で定める規模の畜舎
七 三階以上の部分を(は)項に掲げる建築物以外の建築物の用途に供するもの(政令で定めるものを除く。)
八 (は)項に掲げる建築物以外の建築物の用途に供するものでその用途に供する部分の床面積の合計が千五百平方メートルを超えるもの(政令で定めるものを除く。)
(ほ) 第一種住居地域内に建築してはならない建築物 一 (へ)項第一号から第五号までに掲げるもの
二 マージャン屋、ぱちんこ屋、射的場、勝馬投票券発売所、場外車券売場その他これらに類するもの
三 カラオケボックスその他これに類するもの
四 (は)項に掲げる建築物以外の建築物の用途に供するものでその用途に供する部分の床面積の合計が三千平方メートルを超えるもの(政令で定めるものを除く。)
(へ) 第二種住居地域内に建築してはならない建築物 一 (と)項第三号及び第四号並びに(り)項に掲げるもの
二 原動機を使用する工場で作業場の床面積の合計が五十平方メートルを超えるもの
三 劇場、映画館、演芸場又は観覧場
四 自動車車庫で床面積の合計が三百平方メートルを超えるもの又は三階以上の部分にあるもの(建築物に附属するもので政令で定めるもの又は都市計画として決定されたものを除く。)
五 倉庫業を営む倉庫
六 店舗、飲食店、展示場、遊技場、勝馬投票券発売所、場外車券売場その他これらに類する用途で政令で定めるものに供する建築物でその用途に供する部分の床面積の合計が一万平方メートルを超えるもの
(と) 準住居地域内に建築してはならない建築物 一 (り)項に掲げるもの
二 原動機を使用する工場で作業場の床面積の合計が五十平方メートルを超えるもの(作業場の床面積の合計が百五十平方メートルを超えない自動車修理工場を除く。)
三 次に掲げる事業(特殊の機械の使用その他の特殊の方法による事業であつて住居の環境を害するおそれがないものとして政令で定めるものを除く。)を営む工場
 (一) 容量十リツトル以上三十リツトル以下のアセチレンガス発生器を用いる金属の工作
 (一の二) 印刷用インキの製造
 (ニ) 出力の合計が〇・七五キロワツト以下の原動機を使用する塗料の吹付
 (二の二) 原動機を使用する魚肉の練製品の製造
 (三) 原動機を使用する二台以下の研磨機による金属の乾燥研磨(工具研磨を除く。)
 (四) コルク、エボナイト若しくは合成樹脂の粉砕若しくは乾燥研磨又は木材の粉砕で原動機を使用するもの
 (四の二) 厚さ〇・五ミリメートル以上の金属板のつち打加工(金属工芸品の製造を目的とするものを除く。)又は原動機を使用する金属のプレス(液圧プレスのうち矯正プレスを使用するものを除く。)若しくはせん断
 (四の三) 印刷用平版の研磨
 (四の四) 糖衣機を使用する製品の製造
 (四の五) 原動機を使用するセメント製品の製造
 (四の六) ワイヤーフォーミングマシンを使用する金属線の加工で出力の合計が〇・七五キロワットを超える原動機を使用するもの
 (五) 木材の引割若しくはかんな削り、裁縫、機織、撚糸、組ひも、編物、製袋又はやすりの目立で出力の合計が〇・七五キロワツトをこえる原動機を使用するもの
 (六) 製針又は石材の引割で出力の合計が一・五キロワツトをこえる原動機を使用するもの
 (七) 出力の合計が二・五キロワツトをこえる原動機を使用する製粉
 (八) 合成樹脂の射出成形加工
 (九) 出力の合計が十キロワツトをこえる原動機を使用する金属の切削
 (十) めつき
 (十一) 原動機の出力の合計が一・五キロワツトをこえる空気圧縮機を使用する作業
 (十二) 原動機を使用する印刷
 (十三) ベンディングマシン(ロール式のものに限る。)を使用する金属の加工
 (十四) タンブラーを使用する金属の加工
 (十五) ゴム練用又は合成樹脂練用のロール機(カレンダーロール機を除く。)を使用する作業
 (十六) (一)から(十五)までに掲げるもののほか、安全上若しくは防火上の危険の度又は衛生上若しくは健康上の有害の度が高いことにより、住居の環境を保護する上で支障があるものとして政令で定める事業
四 (る)項第一号(一)から(三)まで、(十一)又は(十二)の物品((ぬ)項第四号及び(ぬ)項第二号において「危険物」という。)の貯蔵又は処理に供するもので政令で定めるもの
五 劇場、映画館、演芸場又は観覧場のうち客席の部分の床面積の合計が二百平方メートル以上のもの
六 前号に掲げるもののほか、劇場、映画館、演芸場若しくは観覧場又は店舗、飲食店、展示場、遊技場、勝馬投票券発売所、場外車券売場その他これらに類する用途で政令で定めるものに供する建築物でその用途に供する部分(劇場、映画館、演芸場又は観覧場の用途に供する部分にあつては、客席の部分に限る。)の床面積の合計が一万平方メートルを超えるもの
(ち) 田園住居地域内に建築することができる建築物
(注:新設)
一 (い)項第一号から第九号までに掲げるもの
二 農産物の生産、集荷、処理又は貯蔵に供するもの(政令で定めるものを除く。)
三 農業の生産資材の貯蔵に供するもの
四 地域で生産された農産物の販売を主たる目的とする店舗その他の農業の利便を増進するために必要な店舗、飲食店その他これらに類する用途に供するもののうち政令で定めるものでその用途に供する部分の床面積の合計が五百平方メートル以内のもの(三階以上の部分をその用途に供するものを除く。)
五 前号に掲げるもののほか、店舗、飲食店その他これらに類する用途に供するもののうち政令で定めるものでその用途に供する部分の床面積の合計が百五十平方メートル以内のもの(三階以上の部分をその用途に供するものを除く。)
六 前各号の建築物に附属するもの(政令で定めるものを除く。)
(り) 近隣商業地域内に建築してはならない建築物 一 (ぬ)項に掲げるもの
二 キャバレー、料理店、ナイトクラブ、ダンスホールその他これらに類するもの
三 個室付浴場業に係る公衆浴場その他これに類する政令で定めるもの
(ぬ) 商業地域内に建築してはならない建築物 一 (る)項第一号及び第二号に掲げるもの
二 原動機を使用する工場で作業場の床面積の合計が百五十平方メートルを超えるもの(日刊新聞の印刷所及び作業場の床面積の合計が三百平方メートルを超えない自動車修理工場を除く。)
三 次に掲げる事業(特殊の機械の使用その他の特殊の方法による事業であつて商業その他の業務の利便を害するおそれがないものとして政令で定めるものを除く。)を営む工場
 (一)玩具煙火の製造
 (二)アセチレンガスを用いる金属の工作(アセチレンガス発生器の容量三十リツトル以下のもの又は溶解アセチレンガスを用いるものを除く。)
 (三) 引火性溶剤を用いるドライクリーニング、ドライダイイング又は塗料の加熱乾燥若しくは焼付(赤外線を用いるものを除く。)
 (四) セルロイドの加熱加工又は機械のこぎりを使用する加工
 (五) 絵具又は水性塗料の製造
 (六) 出力の合計が〇・七五キロワツトをこえる原動機を使用する塗料の吹付
 (七) 亜硫酸ガスを用いる物品の漂白
 (八) 骨炭その他動物質炭の製造
 (八の二) せつけんの製造
 (八の三) 魚粉、フェザーミール、肉骨粉、肉粉若しくは血粉又はこれらを原料とする飼料の製造
 (八の四) 手すき紙の製造
 (九) 羽又は毛の洗浄、染色又は漂白
 (十) ぼろ、くず綿、くず紙、くず糸、くず毛その他これらに類するものの消毒、選別、洗浄又は漂白
 (十一) 製綿、古綿の再製、起毛、せん毛、反毛又はフェルトの製造で原動機を使用するもの
 (十二) 骨、角、牙、ひづめ若しくは貝がらの引割若しくは乾燥研磨又は三台以上の研磨機による金属の乾燥研磨で原動機を使用するもの
 (十三) 鉱物、岩石、土砂、コンクリート、アスファルト・コンクリート、硫黄、金属、ガラス、れんが、陶磁器、骨又は貝殻の粉砕で原動機を使用するもの
 (十三の二) レデイーミクストコンクリートの製造又はセメントの袋詰で出力の合計が二・五キロワツトをこえる原動機を使用するもの
 (十四) 墨、懐炉灰又はれん炭の製造
 (十五) 活字若しくは金属工芸品の鋳造又は金属の溶融で容量の合計が五十リツトルをこえないるつぼ又はかまを使用するもの(印刷所における活字の鋳造を除く。)
 (十六) 瓦、れんが、土器、陶磁器、人造砥石、るつぼ又はほうろう鉄器の製造
 (十七) ガラス製造又は砂吹
 (十七の二) 金属の溶射又は砂吹
 (十七の三) 鉄板の波付加工
 (十七の四) ドラム缶の洗浄又は再生
 (十八) スプリングハンマーを使用する金属の鍛造
 (十九) 伸線、伸管又はロールを用い金属の圧延で出力の合計が四キロワツト以下の原動機を使用するもの
 (二十) (一)から(十九)までに掲げるもののほか、安全上若しくは防火上の危険の度又は衛生上若しくは健康上の有害の度が高いことにより、商業その他の業務の利便を増進する上で支障があるものとして政令で定める事業
四 危険物の貯蔵又は処理に供するもので政令で定めるもの
(る) 準工業地域内に建築してはならない建築物 一 次に掲げる事業(特殊の機械の使用その他の特殊の方法による事業であつて環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を害するおそれがないものとして政令で定めるものを除く。)を営む工場
 (一) 火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)の火薬類(玩具煙火を除く。)の製造
 (二) 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第二条第七項に規定する危険物の製造(政令で定めるものを除く。)
 (三) マツチの製造
 (四) ニトロセルロース製品の製造
 (五) ビスコース製品、アセテート又は銅アンモニアレーヨンの製造
 (六) 合成染料若しくはその中間物、顔料又は塗料の製造(漆又は水性塗料の製造を除く。)
 (七) 引火性溶剤を用いるゴム製品又は芳香油の製造
 (八) 乾燥油又は引火性溶剤を用いる擬革紙布又は防水紙布の製造
 (九) 木材を原料とする活性炭の製造(水蒸気法によるものを除く。)
 (十) 石炭ガス類又はコークスの製造
 (十一) 可燃性ガスの製造(政令で定めるものを除く。)
 (十二) 圧縮ガス又は液化ガスの製造(製氷又は冷凍を目的とするものを除く。)
 (十三) 塩素、臭素、ヨード、硫黄、塩化硫黄、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、苛性カリ、苛性ソーダ、アンモニア水、炭酸カリ、洗濯ソーダ、ソーダ灰、さらし粉、次硝酸蒼鉛、亜硫酸塩類、チオ硫酸塩類、砒素化合物、鉛化合物、バリウム化合物、銅化合物、水銀化合物、シアン化合物、クロールズルホン酸、クロロホルム、四塩化炭素、ホルマリン、ズルホナール、グリセリン、イヒチオールズルホン酸アンモン、酢酸、石炭酸、安息香酸、タンニン酸、アセトアニリド、アスピリン又はグアヤコールの製造
 (十四) たんぱく質の加水分解による製品の製造
 (十五) 油脂の採取、硬化又は加熱加工(化粧品の製造を除く。)
 (十六) ファクチス、合成樹脂、合成ゴム又は合成繊維の製造
 (十七) 肥料の製造
 (十八) 製紙(手すき紙の製造を除く。)又はパルプの製造
 (十九) 製革、にかわの製造又は毛皮若しくは骨の精製
 (二十) アスフアルトの精製
 (二十一) アスファルト、コールタール、木タール、石油蒸溜産物又はその残りかすを原料とする製造
 (二十二) セメント、石膏、消石灰、生石灰又はカーバイドの製造
 (二十三) 金属の溶融又は精練(容量の合計が五十リツトルをこえないるつぼ若しくはかまを使用するもの又は活字若しくは金属工芸品の製造を目的とするものを除く。)
 (二十四) 炭素粉を原料とする炭素製品若しくは黒鉛製品の製造又は黒鉛の粉砕
 (二十五) 金属厚板又は形鋼の工作で原動機を使用するはつり作業(グラインダーを用いるものを除く。)、びよう打作業又は孔埋作業を伴うもの
 (二十六) 鉄釘類又は鋼球の製造
 (二十七) 伸線、伸管又はロールを用いる金属の圧延で出力の合計が四キロワツトをこえる原動機を使用するもの
 (二十八) 鍛造機(スプリングハンマーを除く。)を使用する金属の鍛造
 (二十九) 動物の臓器又は排せつ物を原料とする医薬品の製造
 (三十) 石綿を含有する製品の製造又は粉砕
 (三十一) (一)から(三十)までに掲げるもののほか、安全上若しくは防火上の危険の度又は衛生上若しくは健康上の有害の度が高いことにより、環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進する上で支障があるものとして政令で定める事業
二 危険物の貯蔵又は処理に供するもので政令で定めるもの
三 個室付浴場業に係る公衆浴場その他これに類する政令で定めるもの
(を) 工業地域内に建築してはならない建築物 一 (る)項第三号に揚げるもの
ニ ホテル又は旅館
三 キャバレー、料理店、ナイトクラブ、ダンスホールその他これらに類するもの
四 劇場、映画館、演芸場又は観覧場
五 学校 
六 病院
七 店舗、飲食店、展示場、遊技場、勝馬投票券発売所、場外車券売場その他これらに類する用途で政令で定めるものに供する建築物でその用途に供する部分の床面積の合計が一万平方メートルを超えるもの
(わ) 工業専用地域内に建築してはならない建築物 一 (を)項に揚げるもの
ニ 住宅
三 共同住宅、寄宿舎又は下宿
四 老人ホーム、身体障害者福祉ホームその他これらに類するもの 
五 物品販売業を営む店舗又は飲食店
六 図書館、博物館その他これらに類するもの
七 ボーリング場、スケート場、水泳場その他これらに類する政令で定める運動施設
八 マージャン屋、ぱちんこ屋、射的場、勝馬投票券発売所、場外車券売場その他これらに類するもの 
(か) 用途地域の指定のない区域(都市計画法第七条第一項に規定する市街化調整区域を除く。)内に建築してはならない建築物 劇場、映画館、演芸場若しくは観覧場又は店舗、飲食店、展示場、遊技場、勝馬投票券発売所、場外車券売場その他これらに類する用途で政令で定めるものに供する建築物でその用途に供する部分(劇場、映画館、演芸場又は観覧場の用途に供する部分にあつては、客席の部分に限る。)の床面積の合計が一万平方メートルを超えるもの
 
 そこで、設問に戻り、「共同住宅は、工業地域に建築することができる」は、建築基準法第48条12項、
12 工業地域内においては、別表第二(を)項に掲げる建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が工業の利便上又は公益上必要と認めて許可した場合においては、この限りでない。」
 とあり、 別表第ニ (を)項 は、
 (を)  工業地域内に建築してはならない建築物 一 (る)項第三号に揚げるもの
ニ ホテル又は旅館
三 キャバレー、料理店、ナイトクラブ、ダンスホールその他これらに類するもの
四 劇場、映画館、演芸場又は観覧場
五 学校 
六 病院
七 店舗、飲食店、展示場、遊技場、勝馬投票券発売所、場外車券売場その他これらに類する用途で政令で定めるものに供する建築物でその用途に供する部分の床面積の合計が一万平方メートルを超えるもの 
 とあり、
 引用されています、 「一 (る)項第三号に揚げるもの...三 個室付浴場業に係る公衆浴場その他これに類する政令で定めるもの」にも、共同住宅は該当しないため、共同住宅は、工業地域内にできますから、設問は、正しい。



2 倉庫業を営む倉庫は、第一種中高層住居専用地域に建築することができる。

X 誤っている。 倉庫業を営む倉庫は、第一種中高層住居専用地域に建築することができない。 住居系の用途地域で、倉庫業を営む倉庫は、準住居地域だけ。


 設問の「第一種中高層住居専用地域に建築することができる」のは、選択肢1で引用しました、建築基準法第48条3項、
3 
第一種中高層住居専用地域内においては、別表第二(は)項に掲げる建築物以外の建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が第一種中高層住居専用地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。」
 とあり、
 別表第二 (は)項は、

 (は)  第一種中高層住居専用地域内に建築することができる建築物 一 (い)項第一号から第九号までに掲げるもの
二 大学、高等専門学校、専修学校その他これらに類するもの
三 病院
四 老人福祉センター、児童厚生施設その他これらに類するもの
五 店舗、飲食店その他これらに類する用途に供するもののうち政令で定めるものでその用途に供する部分の床面積の合計が五百平方メートル以内のもの(三階以上の部分をその用途に供するものを除く。)
六 自動車車庫で床面積の合計が三百平方メートル以内のもの又は都市計画として決定されたもの(三階以上の部分をその用途に供するものを除く。)
七 公益上必要な建築物で政令で定めるもの
八 前各号の建築物に附属するもの(政令で定めるものを除く。)

 引用されています「一(い)項第一号から第9号」は、
一 住宅
二 住宅で事務所、店舗その他これらに類する用途を兼ねるもののうち政令で定めるもの
三 共同住宅、寄宿舎又は下宿
四 学校(大学、高等専門学校、専修学校及び各種学校を除く。)、図書館その他これらに類するもの
五 神社、寺院、教会その他これらに類するもの
六 老人ホーム、保育所、身体障害者福祉ホームその他これらに類するもの
七 公衆浴場(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二条第六項第一号に該当する営業(以下この表において「個室付浴場業」という。)に係るものを除く。)
八 診療所
九 巡査派出所、公衆電話所その他これらに類する政令で定める公益上必要な建築物 
 です。

 これらによれば、設問の「倉庫業を営む倉庫」は、第一種中高層住居専用地域内に建築することができる」に入っていないため、設問は、誤りです。


3 旅館は、第二種中高層住居専用地域に建築することができる。

X 誤っている。 旅館は、第二種中高層住居専用地域に建築することができない。 

 設問の「第二種中高層住居専用地域に建築することができる」は、選択肢1で引用しました、建築基準法第48条4項、
4 
第二種中高層住居専用地域内においては、別表第二(に)項に掲げる建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が第二種中高層住居専用地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
 とあり、
 別表第二(に)項は、

 (に)  第二種中高層住居専用地域内に建築してはならない建築物 一 (ほ)項第二号及び第三号、(へ)項第三号から第五号まで、(と)項第四号並びに(り)項第二号及び第三号に掲げるもの
二 工場(政令で定めるものを除く。)
三 ボーリング場、スケート場、水泳場その他これらに類する政令で定める運動施設
四 ホテル又は旅館
五 自動車教習所
六 政令で定める規模の畜舎
七 三階以上の部分を(は)項に掲げる建築物以外の建築物の用途に供するもの(政令で定めるものを除く。)
八 (は)項に掲げる建築物以外の建築物の用途に供するものでその用途に供する部分の床面積の合計が千五百平方メートルを超えるもの(政令で定めるものを除く。)
 
 で、1号で引用されています、「一 (ほ)項第二号及び第三号、(へ)項第三号から第五号まで、(と)項第四号並びに(り)項第二号及び第三号に掲げるもの」は、
 ・(ほ)項第二号及び第三号
   二 マージャン屋、ぱちんこ屋、射的場、勝馬投票券発売所、場外車券売場その他これらに類するもの
   三 カラオケボックスその他これに類するもの
 ・(へ)項第三号から第五号まで
   三 劇場、映画館、演芸場又は観覧場
   四 自動車車庫で床面積の合計が三百平方メートルを超えるもの又は三階以上の部分にあるもの(建築物に附属するもので政令で定めるもの又は都市計画として決定されたものを除く。)
   五 倉庫業を営む倉庫
 ・(と)項第四号
   四 (る)項第一号(一)から(三)まで、(十一)又は(十二)の物品((ぬ)項第四号及び(ぬ)項第二号において「危険物」という。)の貯蔵又は処理に供するもので政令で定めるもの
    で、(る)項第一号(一)から(三)までは、
       一 次に掲げる事業(特殊の機械の使用その他の特殊の方法による事業であつて環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を害するおそれがないものとして政令で定めるものを除く。)を営む工場
         (一) 火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)の火薬類(玩具煙火を除く。)の製造
         (二) 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第二条第七項に規定する危険物の製造(政令で定めるものを除く。)
         (三) マツチの製造
       で、(ぬ)などは、旅館とは、関係がないもですから、省略です。
 ・(り)項第二号及び第三号に掲げるもの
      二 キャバレー、料理店、ナイトクラブ、ダンスホールその他これらに類するもの
     」三 個室付浴場業に係る公衆浴場その他これに類する政令で定めるもの」
  ですから、
 別表第二(に)項4号によれば、設問の「旅館は、第二種中高層住居専用地域に建築することができる」は、「できない」ため、誤りです。



4 病院は、田園住居地域に建築することができる。

X 誤っている。 病院は、田園住居地域に建築することができない。

 設問の、「田園住居地域に建築することができる」のは、選択肢1で引用しました、建築基準法第48条8項、
8 
田園住居地域内においては、別表第二(ち)項に掲げる建築物以外の建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が農業の利便及び田園住居地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。」
 とあり、  別表第二(ち)項は、

(ち) 田園住居地域内に建築することができる建築物  一 (い)項第一号から第九号までに掲げるもの
二 農産物の生産、集荷、処理又は貯蔵に供するもの(政令で定めるものを除く。)
三 農業の生産資材の貯蔵に供するもの
四 地域で生産された農産物の販売を主たる目的とする店舗その他の農業の利便を増進するために必要な店舗、飲食店その他これらに類する用途に供するもののうち政令で定めるものでその用途に供する部分の床面積の合計が五百平方メートル以内のもの(三階以上の部分をその用途に供するものを除く。)
五 前号に掲げるもののほか、店舗、飲食店その他これらに類する用途に供するもののうち政令で定めるものでその用途に供する部分の床面積の合計が百五十平方メートル以内のもの(三階以上の部分をその用途に供するものを除く。)
六 前各号の建築物に附属するもの(政令で定めるものを除く。)
 
 で、1号で引用されています「一 (い)項第一号から第九号までに掲げるもの」は、
 「一 住宅
  二 住宅で事務所、店舗その他これらに類する用途を兼ねるもののうち政令で定めるもの
  三 共同住宅、寄宿舎又は下宿
  四 学校(大学、高等専門学校、専修学校及び各種学校を除く。)、図書館その他これらに類するもの
  五 神社、寺院、教会その他これらに類するもの
  六 老人ホーム、保育所、身体障害者福祉ホームその他これらに類するもの
  七 公衆浴場(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二条第六項第一号に該当する営業(以下この表において「個室付浴場業」という。)に係るものを除く。)
  八 診療所
  九 巡査派出所、公衆電話所その他これらに類する政令で定める公益上必要な建築物」
 です。

  これらにより、設問の「病院は、田園住居地域に建築することができる」に入っておらず、「できない」ため、誤りです。

 なお、病院と診療所は違います。
 ・病院...病床数20床以上の入院施設のある医療機関
 ・診療所...無床もしくは病床数19床以下の入院施設のある医療機関

 病院は、第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、田園住居地域、工業地域、工業専用地域には、建築できない。



答え: 1

  まったく、細かな出題で、管理業務主任者試験として、不適切な出題だ。出題官として、問題がある。
  表を入れたので、解説も時間がかかる。

  なお、別途、「建築基準法の解説」 もありますので、ご利用ください。

  また、建築基準法からは、過去出題が多い為、「過去問題の解説においても、 「建築基準法の出題」 を取りだしていますから、こちらも、ご利用ください。

《タグ》 建築基準法 用途地域内 共同住宅 倉庫業の倉庫 旅館 病院 
問19

【問 19】 建築物の容積率に関する次の記述のうち、建築基準法によれば、最も適切なものはどれか。

1 容積率の限度が前面道路の幅員によって定まる場合において、当該前面道路が2 以上あるときは、それらの幅員のうち最小のものが、容積率の算定の基礎となる数値として採用される。

X 誤っている。 前面道路が2つ以上あるときは、”幅員の最大”のものが採用される。”最小のもの”ではない。
  平成28年 管理業務主任者試験 「問17」 、

  どうして、法律からの出題なのに、「最も適切なものはどれか」と聞くのだろうか。他の出題のように、「誤っているのはどれか」でいいだろう。

 まず、基本の容積率とは、1階、2階など各階の床面積を合計した”建築物の延べ面積”の”敷地面積”に対する割合です。

 

 容積率=建築物の延べ面積/敷地面積 x 100 (%)  (これが規定の限度を超えてはいけない)
 となります。

 具体的には、建築基準法第52条2項
容積率
 第五十二条 
建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合(以下「容積率」という。)は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値以下でなければならない。ただし、当該建築物が第五号に掲げる建築物である場合において、第三項の規定により建築物の延べ面積の算定に当たりその床面積が当該建築物の延べ面積に算入されない部分を有するときは、当該部分の床面積を含む当該建築物の容積率は、当該建築物がある第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域に関する都市計画において定められた第二号に定める数値の一・五倍以下でなければならない。
   一 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内の建築物(第六号に掲げる建築物を除く。) 十分の五、十分の六、十分の八、十分の十、十分の十五又は十分の二十のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの
   二 第一種中高層住居専用地域若しくは第二種中高層住居専用地域内の建築物(第六号に掲げる建築物を除く。)又は第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域若しくは準工業地域内の建築物(第五号及び第六号に掲げる建築物を除く。) 十分の十、十分の十五、十分の二十、十分の三十、十分の四十又は十分の五十のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの
   三 商業地域内の建築物(第六号に掲げる建築物を除く。) 十分の二十、十分の三十、十分の四十、十分の五十、十分の六十、十分の七十、十分の八十、十分の九十、十分の百、十分の百十、十分の百二十又は十分の百三十のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの
   四 工業地域内の建築物(第六号に掲げる建築物を除く。)又は工業専用地域内の建築物 十分の十、十分の十五、十分の二十、十分の三十又は十分の四十のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの
四 工業地域内の建築物(第六号に掲げる建築物を除く。)又は工業専用地域内の建築物 十分の十、十分の十五、十分の二十、十分の三十又は十分の四十のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの
   五 高層住居誘導地区内の建築物(第六号に掲げる建築物を除く。)であつて、その住宅の用途に供する部分の床面積の合計がその延べ面積の三分の二以上であるもの(当該高層住居誘導地区に関する都市計画において建築物の敷地面積の最低限度が定められたときは、その敷地面積が当該最低限度以上のものに限る。) 当該建築物がある第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域に関する都市計画において定められた第二号に定める数値から、その一・五倍以下で当該建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計のその延べ面積に対する割合に応じて政令で定める方法により算出した数値までの範囲内で、当該高層住居誘導地区に関する都市計画において定められたもの
   六 特定用途誘導地区内の建築物であつて、その全部又は一部を当該特定用途誘導地区に関する都市計画において定められた誘導すべき用途に供するもの 当該特定用途誘導地区に関する都市計画において定められた数値
   七 用途地域の指定のない区域内の建築物 十分の五、十分の八、十分の十、十分の二十、十分の三十又は十分の四十のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定めるもの
2 前項に定めるもののほか、前面道路(前面道路が二以上あるときは、その幅員の最大のもの。以下この項及び第十二項において同じ。)の幅員が十二メートル未満である建築物の容積率は、当該前面道路の幅員のメートルの数値に、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値を乗じたもの以下でなければならない。
   一 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内の建築物 十分の四
   二 第一種中高層住居専用地域若しくは第二種中高層住居専用地域内の建築物又は第一種住居地域、第二種住居地域若しくは準住居地域内の建築物(高層住居誘導地区内の建築物であつて、その住宅の用途に供する部分の床面積の合計がその延べ面積の三分の二以上であるもの(当該高層住居誘導地区に関する都市計画において建築物の敷地面積の最低限度が定められたときは、その敷地面積が当該最低限度以上のものに限る。第五十六条第一項第二号ハ及び別表第三の四の項において同じ。)を除く。) 十分の四(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内の建築物にあつては、十分の六)
   三 その他の建築物 十分の六(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内の建築物にあつては、十分の四又は十分の八のうち特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て定めるもの)
3 第一項(ただし書を除く。)、前項、第七項、第十二項及び第十四項、第五十七条の二第三項第二号、第五十七条の三第二項、第五十九条第一項及び第三項、第五十九条の二第一項、第六十条第一項、第六十条の二第一項及び第四項、第六十八条の三第一項、第六十八条の四、第六十八条の五(第二号イを除く。第六項において同じ。)、第六十八条の五の二(第二号イを除く。第六項において同じ。)、第六十八条の五の三第一項(第一号ロを除く。第六項において同じ。)、第六十八条の五の四(ただし書及び第一号ロを除く。)、第六十八条の五の五第一項第一号ロ、第六十八条の八、第六十八条の九第一項、第八十六条第三項及び第四項、第八十六条の二第二項及び第三項、第八十六条の五第三項並びに第八十六条の六第一項に規定する建築物の容積率(第五十九条第一項、第六十条の二第一項及び第六十八条の九第一項に規定するものについては、建築物の容積率の最高限度に係る場合に限る。第六項において同じ。)の算定の基礎となる延べ面積には、建築物の地階でその天井が地盤面からの高さ一メートル以下にあるものの住宅又は老人ホーム、福祉ホームその他これらに類するもの(以下この項及び第六項において「老人ホーム等」という。)の用途に供する部分(第六項の政令で定める昇降機の昇降路の部分又は共同住宅若しくは老人ホーム等の共用の廊下若しくは階段の用に供する部分を除く。以下この項において同じ。)の床面積(当該床面積が当該建築物の住宅及び老人ホーム等の用途に供する部分の床面積の合計の三分の一を超える場合においては、当該建築物の住宅及び老人ホーム等の用途に供する部分の床面積の合計の三分の一)は、算入しないものとする。
4 前項の地盤面とは、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいい、その接する位置の高低差が三メートルを超える場合においては、その高低差三メートル以内ごとの平均の高さにおける水平面をいう。
5 地方公共団体は、土地の状況等により必要と認める場合においては、前項の規定にかかわらず、政令で定める基準に従い、条例で、区域を限り、第三項の地盤面を別に定めることができる。
6 第一項、第二項、次項、第十二項及び第十四項、第五十七条の二第三項第二号、第五十七条の三第二項、第五十九条第一項及び第三項、第五十九条の二第一項、第六十条第一項、第六十条の二第一項及び第四項、第六十八条の三第一項、第六十八条の四、第六十八条の五、第六十八条の五の二、第六十八条の五の三第一項、第六十八条の五の四(第一号ロを除く。)、第六十八条の五の五第一項第一号ロ、第六十八条の八、第六十八条の九第一項、第八十六条第三項及び第四項、第八十六条の二第二項及び第三項、第八十六条の五第三項並びに第八十六条の六第一項に規定する建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、政令で定める昇降機の昇降路の部分又は共同住宅若しくは老人ホーム等の共用の廊下若しくは階段の用に供する部分の床面積は、算入しないものとする。
7 建築物の敷地が第一項及び第二項の規定による建築物の容積率に関する制限を受ける地域、地区又は区域の二以上にわたる場合においては、当該建築物の容積率は、第一項及び第二項の規定による当該各地域、地区又は区域内の建築物の容積率の限度にその敷地の当該地域、地区又は区域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計以下でなければならない。

8 その全部又は一部を住宅の用途に供する建築物(特定用途誘導地区内の建築物であつて、その一部を当該特定用途誘導地区に関する都市計画において定められた誘導すべき用途に供するものを除く。)であつて次に掲げる条件に該当するものについては、当該建築物がある地域に関する都市計画において定められた第一項第二号又は第三号に定める数値の一・五倍以下で当該建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計のその延べ面積に対する割合に応じて政令で定める方法により算出した数値(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内にあつては、当該都市計画において定められた数値から当該算出した数値までの範囲内で特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て別に定めた数値)を同項第二号又は第三号に定める数値とみなして、同項及び第三項から前項までの規定を適用する。ただし、当該建築物が第三項の規定により建築物の延べ面積の算定に当たりその床面積が当該建築物の延べ面積に算入されない部分を有するときは、当該部分の床面積を含む当該建築物の容積率は、当該建築物がある地域に関する都市計画において定められた第一項第二号又は第三号に定める数値の一・五倍以下でなければならない。
   一 第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域若しくは準工業地域(高層住居誘導地区及び特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域を除く。)又は商業地域(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域を除く。)内にあること。
   二 その敷地内に政令で定める規模以上の空地(道路に接して有効な部分が政令で定める規模以上であるものに限る。)を有し、かつ、その敷地面積が政令で定める規模以上であること。
9 建築物の敷地が、幅員十五メートル以上の道路(以下この項において「特定道路」という。)に接続する幅員六メートル以上十二メートル未満の前面道路のうち当該特定道路からの延長が七十メートル以内の部分において接する場合における当該建築物に対する第二項から第七項までの規定の適用については、第二項中「幅員」とあるのは、「幅員(第九項の特定道路に接続する同項の前面道路のうち当該特定道路からの延長が七十メートル以内の部分にあつては、その幅員に、当該特定道路から当該建築物の敷地が接する当該前面道路の部分までの延長に応じて政令で定める数値を加えたもの)」とする。
10 建築物の敷地が都市計画において定められた計画道路(第四十二条第一項第四号に該当するものを除くものとし、以下この項において「計画道路」という。)に接する場合又は当該敷地内に計画道路がある場合において、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可した建築物については、当該計画道路を第二項の前面道路とみなして、同項から第七項まで及び前項の規定を適用するものとする。この場合においては、当該敷地のうち計画道路に係る部分の面積は、敷地面積又は敷地の部分の面積に算入しないものとする。
11 前面道路の境界線又はその反対側の境界線からそれぞれ後退して壁面線の指定がある場合において、特定行政庁が次に掲げる基準に適合すると認めて許可した建築物については、当該前面道路の境界線又はその反対側の境界線は、それぞれ当該壁面線にあるものとみなして、第二項から第七項まで及び第九項の規定を適用するものとする。この場合においては、当該建築物の敷地のうち前面道路と壁面線との間の部分の面積は、敷地面積又は敷地の部分の面積に算入しないものとする。
   一 当該建築物がある街区内における土地利用の状況等からみて、その街区内において、前面道路と壁面線との間の敷地の部分が当該前面道路と一体的かつ連続的に有効な空地として確保されており、又は確保されることが確実と見込まれること。
   二 交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないこと。
12 第二項各号の規定により前面道路の幅員のメートルの数値に乗ずる数値が十分の四とされている建築物で、前面道路の境界線から後退して壁面線の指定がある場合又は第六十八条の二第一項の規定に基づく条例で定める壁面の位置の制限(道路に面する建築物の壁又はこれに代わる柱の位置及び道路に面する高さ二メートルを超える門又は塀の位置を制限するものに限る。)がある場合において当該壁面線又は当該壁面の位置の制限として定められた限度の線(以下この項及び次項において「壁面線等」という。)を越えないもの(ひさしその他の建築物の部分で政令で定めるものを除く。)については、当該前面道路の境界線は、当該壁面線等にあるものとみなして、第二項から第七項まで及び第九項の規定を適用することができる。ただし、建築物の容積率は、当該前面道路の幅員のメートルの数値に十分の六を乗じたもの以下でなければならない。
13 前項の場合においては、当該建築物の敷地のうち前面道路と壁面線等との間の部分の面積は、敷地面積又は敷地の部分の面積に算入しないものとする。
14 次の各号のいずれかに該当する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの容積率は、第一項から第九項までの規定にかかわらず、その許可の範囲内において、これらの規定による限度を超えるものとすることができる。
   一 同一敷地内の建築物の機械室その他これに類する部分の床面積の合計の建築物の延べ面積に対する割合が著しく大きい場合におけるその敷地内の建築物
   二 その敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地を有する建築物
15 第四十四条第二項の規定は、第十項、第十一項又は前項の規定による許可をする場合に準用する。

 とあり、
 もう全部を読んで理解するには、大変です。

 設問の「容積率の限度が前面道路の幅員によって定まる場合において、当該前面道路が2 以上あるときは、それらの幅員のうち”最小のもの”が、容積率の算定の基礎となる数値として採用される」
  については、建築基準法第52条2項、
 「2 前項に定めるもののほか、前面道路(前面道路が二以上あるときは、その幅員の”
最大のもの”」。以下この項及び第十二項において同じ。)の幅員が十二メートル未満である建築物の容積率は、当該前面道路の幅員のメートルの数値に、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値を乗じたもの以下でなければならない。
 (以下、略)」
 とあり、これは、以下のような場合です。


     
  
 細かな計算や説明は、別途、 「要約 建築基準法」 で、勉強してください。
 そこで、設問の「容積率の限度が前面道路の幅員によって定まる場合において、当該前面道路が2 以上あるときは、それらの幅員のうち最小のものが、容積率の算定の基礎となる数値として採用される」は、建築基準法第52条2によれば、「前面道路(前面道路が二以上あるときは、その幅員の”
最大のもの”」であり、「最小のもの」は、誤りです。


2 容積率を算定する場合において、宅配ボックス設置部分の床面積は、その敷地内の全ての建築物の各階の床面積の合計に100分の1を乗じて得た面積を限度として、延べ面積には算入されない。

〇 正しい。  
宅配ボックスの設置部分の床面積は、各階の床面積合計に1/100を限度として、容積率に入れない。

 改正点。平成30年9月25日施行での改正点からの出題。

 ・宅配ボックス(配達された物品(荷受人が不在その他の事由により受け取ることができ ないものに限る。)の一時保管のための荷受箱をいう。

 
 
 最近は宅配便が多用される時代ですが、届に行っても居住者の不在が多くて、再配達の頻度が高くなり、労働問題ともなっています。そこで、国土交通省は宅配ボックスを積極的に設置するように、建築基準法施行令を、平成30年9月25日施行で改正し、マンション(共同住宅)だけでなく、オフイスや商業施設でも宅配ボックスの設置を進めています。
 具体的には、
容積率算定のもとになる 建築物の延面積 に 1/100 までを限度として入れないとしています

 法的根拠は、建築基準法施行令第2条1項4号 ヘ
(面積、高さ等の算定方法)
 第二条 次の各号に掲げる面積、高さ及び階数の算定方法は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
   一 敷地面積 敷地の水平投影面積による。ただし、建築基準法(以下「法」という。)第四十二条第二項、第三項又は第五項の規定によつて道路の境界線とみなされる線と道との間の部分の敷地は、算入しない。
   二 建築面積 建築物(地階で地盤面上一メートル以下にある部分を除く。以下この号において同じ。)の外壁又はこれに代わる柱の中心線(軒、ひさし、はね出し縁その他これらに類するもので当該中心線から水平距離一メートル以上突き出たものがある場合においては、その端から水平距離一メートル後退した線)で囲まれた部分の水平投影面積による。ただし、国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物又はその部分については、その端から水平距離一メートル以内の部分の水平投影面積は、当該建築物の建築面積に算入しない。
   三 床面積 建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による。
   四 延べ面積 建築物の各階の床面積の合計による。ただし、法第五十二条第一項に規定する延べ面積(建築物の容積率の最低限度に関する規制に係る当該容積率の算定の基礎となる延べ面積を除く。)には、次に掲げる建築物の部分の床面積を算入しない。
     イ 自動車車庫その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設(誘導車路、操車場所及び乗降場を含む。)の用途に供する部分(第三項第一号及び第百三十七条の八において「自動車車庫等部分」という。)
     ロ 専ら防災のために設ける備蓄倉庫の用途に供する部分(第三項第二号及び第百三十七条の八において「備蓄倉庫部分」という。)
     ハ 蓄電池(床に据え付けるものに限る。)を設ける部分(第三項第三号及び第百三十七条の八において「蓄電池設置部分」という。)
     ニ 自家発電設備を設ける部分(第三項第四号及び第百三十七条の八において「自家発電設備設置部分」という。)
     ホ 貯水槽を設ける部分(第三項第五号及び第百三十七条の八において「貯水槽設置部分」という。)
    
 ヘ 宅配ボックス(配達された物品(荷受人が不在その他の事由により受け取ることができないものに限る。)の一時保管のための荷受箱をいう。)を設ける部分(第三項第六号及び第百三十七条の八において「宅配ボックス設置部分」という。)
(以下、略)」
  とあり、

 建築基準法施行令第2条1項4号 ヘ では、これなら、宅配ボックスの設置部分は、100% 建築物の延べ面積から除外されのかと思うと、それは違うのです。
 他に建築基準法施行令第3項6号
3 
第一項第四号ただし書の規定は、次の各号に掲げる建築物の部分の区分に応じ、当該敷地内の建築物の各階の床面積の合計(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、それらの建築物の各階の床面積の合計の和)に当該各号に定める割合を乗じて得た面積を限度として適用するものとする
   一 自動車車庫等部分 五分の一
   二 備蓄倉庫部分 五十分の一
   三 蓄電池設置部分 五十分の一
   四 自家発電設備設置部分 百分の一
   五 貯水槽設置部分 百分の一
  
 六 宅配ボックス設置部分 百分の一
 とあり、
 建築基準法施行令第3項6号によれば、「宅配ボックス設置部分は、百分の一」を限度としますから、設問の「容積率を算定する場合において、宅配ボックス設置部分の床面積は、その敷地内の全ての建築物の各階の床面積の合計に100分の1を乗じて得た面積を限度として、延べ面積には算入されない」は、正しい。

 また、建築基準法施行令第137条の8 もあります。
(容積率関係)
 第百三十七条の八 法第三条第二項の規定により法第五十二条第一項、第二項若しくは第七項又は法第六十条第一項(建築物の高さに係る部分を除く。)の規定の適用を受けない建築物について法第八十六条の七第一項の規定により政令で定める範囲は、増築及び改築については、次に定めるところによる。
   一 増築又は改築に係る部分が増築又は改築後においてエレベーターの昇降路の部分(当該エレベーターの設置に付随して設けられる共同住宅又は老人ホーム等(法第五十二条第三項に規定する老人ホーム等をいう。次号において同じ。)の共用の廊下又は階段の用に供する部分を含む。)、自動車車庫等部分、備蓄倉庫部分、蓄電池設置部分、自家発電設備設置部分、貯水槽設置部分又は宅配ボックス設置部分となること。
   二 増築前におけるエレベーターの昇降路の部分、共同住宅又は老人ホーム等の共用の廊下又は階段の用に供する部分、自動車車庫等部分、備蓄倉庫部分、蓄電池設置部分、自家発電設備設置部分、貯水槽設置部分及び
宅配ボックス設置部分以外の部分の床面積の合計が基準時における当該部分の床面積の合計を超えないものであること。
   三 増築又は改築後における自動車車庫等部分の床面積の合計、備蓄倉庫部分の床面積の合計、蓄電池設置部分の床面積の合計、自家発電設備設置部分の床面積の合計、貯水槽設置部分の床面積の合計又は
宅配ボックス設置部分の床面積の合計(以下この号において「対象部分の床面積の合計」という。)が、第二条第三項各号に掲げる建築物の部分の区分に応じ、増築又は改築後における当該建築物の床面積の合計に当該各号に定める割合を乗じて得た面積(改築の場合において、基準時における対象部分の床面積の合計が同項各号に掲げる建築物の部分の区分に応じ基準時における当該建築物の床面積の合計に当該各号に定める割合を乗じて得た面積を超えているときは、基準時における対象部分の床面積の合計)を超えないものであること。


3 エレベーターの昇降路の部分の床面積は、容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入される。

X 誤っている。  エレベーターの昇降路の部分の床面積は、容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入しない。

  エレベーターの昇降路の部分の床面積を、容積率に算入しないは、建築基準法第52条6項が平成26年7月1日施行での改正点。

 改正の理由は;
 既存の5階程度の共同住宅などでは、エレベーターが設置されていないことが多く、高齢者は、階段の上り下りに難儀しています。
 そこで、バリアフリーの観点から設置等を促進する必要がある一方で、同時に使用される床面積はかご数分に限られ、エレベーターの昇降路の部分全体を容積率不算入としても、インフラに与える影響が軽微であると考えられるためです。
 なお、エスカレーターは、エレベーターとは異なり、各部分を同時に利用するものであるため、容積率規制の趣旨を踏まえ、容積率不算入の対象とはしていません。
 また、小荷物専用昇降機は、バリアフリーの観点から設置等を促進する必要があるとは考えられないため、容積率不算入の対象とはしていません。

 
 具体的な法の根拠は、選択肢1でも引用しました、建築基準法第52条6項、
6 第一項、第二項、次項、第十二項及び第十四項、第五十七条の二第三項第二号、第五十七条の三第二項、第五十九条第一項及び第三項、第五十九条の二第一項、第六十条第一項、第六十条の二第一項及び第四項、第六十八条の三第一項、第六十八条の四、第六十八条の五、第六十八条の五の二、第六十八条の五の三第一項、第六十八条の五の四(第一号ロを除く。)、第六十八条の五の五第一項第一号ロ、第六十八条の八、第六十八条の九第一項、第八十六条第三項及び第四項、第八十六条の二第二項及び第三項、第八十六条の五第三項並びに第八十六条の六第一項に規定する
建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、政令で定める昇降機の昇降路の部分又は共同住宅若しくは老人ホーム等の共用の廊下若しくは階段の用に供する部分の床面積は、算入しないものとする
 とあり、
 このうちの「政令で定める昇降機」は、何かというと、建築基準法施行令第135条の16
(容積率の算定の基礎となる延べ面積に昇降路の部分の床面積を算入しない昇降機)
 第百三十五条の十六 
法第五十二条第六項の政令で定める昇降機は、エレベーターとする
 とあり、
 容積率の算定の基礎となる延べ面積から外される「昇降機」は、エレベーターで、エスカレーターは入っていませんので注意してください。
 そこで、設問の「エレベーターの昇降路の部分の床面積は、容積率の算定の基礎となる延べ面積に”
算入される”」は、「エレベーターの昇降路の部分の床面積は、容積率の算定の基礎となる延べ面積には”算入されない”ため、誤りです。

 なお、エレベーターの昇降路の部分の床面積については、上の宅配ボックスの設置のような限度はありません。


4 容積率に関する制限を受ける地域、地区又は区域が2以上にわたる場合において、その敷地面積の過半を占める地域、地区又は区域の限度が適用される。

X 誤っている。 地区などがまたがると各部分の面積の敷地面積に対する割合で按分する。 過半のを適用しない。


 設問は、選択肢1で引用しました、建築基準法第52条7項、
7 建築物の敷地が第一項及び第二項の規定による建築物の容積率に関する制限を受ける地域、地区又は区域の二以上にわたる場合においては、当該建築物の容積率は、第一項及び第二項の規定による当該各地域、地区又は区域内の建築物の容積率の限度にその敷地の当該地域、地区又は区域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計以下でなければならない。
 とあり、
 建築基準法第52条7項によれば、容積率が設問の「容積率に関する制限を受ける地域、地区又は区域が2以上にわたる場合」であれば、各地域、地区などの容積率の限度にその敷地の当該地域、地区又は区域内にある”
各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計以下”でなければならない」ため、設問の「その敷地面積の”過半を占める”地域、地区又は区域の限度が適用される」は、誤りです。

 具体的には、1つの敷地が、近隣商業地域と第2種住居地域などにわたっている場合には、それぞれの地域の容積率に、その地域に属する敷地部分の敷地全体に対する面積の割合を乗じた数値を合計 (加重平均)したものが、敷地全体に適用される容積率の最高限度になります。

 

 ここの詳細な計算式は、 別途 、 「要約 建築基準法」 で、勉強してください。

答え: 2

 ここは、選択肢2の法改正で、「宅配ボックス」が、容積率に入らなくなったと記憶していれば、正解は早い。

 しかし、受験生は、あまり建築基準法を勉強していないと思い、老婆心ながら、解説は図も入れたので、時間がかかる。

 上の「問17」での階段のcm、「問18」での用途地域内で建築できる建物、またこの「問19」での容積率など、管理業務主任者に求められている知識とは、到底思えない。

 出題者は、管理業務主任者の職務を、多大に勘違いしている。

 もっと、管理業務主任者とは、何をする人か、を考えた出題が、望まれる。


《タグ》建築基準法 容積率 宅配ボックス エレベーターの昇降路 敷地が2以上の地域などにまたがる場合

問20

【問 20】 「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 この法律は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」で定められた瑕疵担保責任の履行を確保するために制定された。

〇 正しい。 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律は、住宅の品質確保の促進等に関する法律で定められた瑕疵担保責任の履行を確保するために制定された。

  令和01年 管理業務主任者試験 「問40」 も参考に。

 法律からの出題なのに、「最も不適切なものはどれか」はないだろう。他の出題と同様に「誤っているものはどれか」でいい。 でも、設問文が、つたないので、不適切がいいか。

 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(以下、略称、「住宅瑕疵担保履行法」という)制定の背景が分かれば、正解は早い。

 背景:新築住宅については、平成12年4月に施行された「住宅の品質確保の推進等に関する法律(住宅品質確保法)」に基づき、「売り主」及び「請負人」に対し
  @構造耐力上主要な部分 と 
  A雨水の浸入を防止する部分 について
  10年間の瑕疵担保責任を負うことが義務付けられています。
 しかし、平成17年11月に、姉歯元一級建築士による「構造計算書の偽装問題」が発覚し、「ヒューザー社」が建築したマンションなど耐震基準を満たさない建物が複数建築されていることが分かり裁判にもなりましたが、売主であるヒューザー社が倒産したために、民法で定める「売主の瑕疵担保責任」や住宅品質確保法で定める「10年間の瑕疵担保責任」が、売主の資力が無くなったため、被害者は瑕疵担保責任の追及ができなくなりました。

 そこで、住宅品質確保法で定められた「10年間の瑕疵担保責任の履行」を裏付ける資力を確保するため、「特定住宅瑕疵担保責任の履行確保に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)」が新しく制定され、平成21年10月1日から施行されました。
 この住宅瑕疵担保履行法の制定により、平成21年10月1日以降に引き渡す新築住宅について、
  @発注者に新築住宅を引き渡す建築業者(請負人) 及び
  A所有者となる買主に新築住宅を引き渡す宅建業者(売主) に、
   ア.
保険の加入(国土交通大臣が指定する保険法人) 又は
   イ.
保証金の供託(法務省の供託所へ供託する)
  と瑕疵担保責任を履行する資力の確保が義務付けられました。

  これにより、売主や請負人が倒産しても、買主や発注者は、補修などに必要な金額を確保できるようになります。

 ここでの、新築住宅とは...新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。)をいう、です。

 また、「新築住宅」には、戸建てやマンションの他、賃貸住宅も入りますが、事務所、倉庫、物置、車庫は「住宅」でないため、対象となりません。また、一時使用目的の住宅(仮設住宅等)も対象外です。

 

   1.構造耐力上主要な部分とは...住宅の基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、当該住宅の自重若しくは積載荷重、積雪、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものとする。(住宅の品質確保の促進等に関する法律施行令第5条1項)
   2.雨水の侵入を防止する部分とは...
     一 住宅の屋根若しくは外壁又はこれらの開口部に設ける戸、わくその他の建具
     二 雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、当該住宅の屋根若しくは外壁の内部又は屋内にある部分(住宅の品質確保の促進等に関する法律施行令第5条2項)

 

 これらを踏まえ、設問に戻りますと、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)第1条
(目的)
 第一条 この法律は、国民の健康で文化的な生活にとって不可欠な基盤である住宅の備えるべき安全性その他の品質又は性能を確保するためには、住宅の瑕疵(かし)の発生の防止が図られるとともに、
住宅に瑕疵があった場合においてはその瑕疵担保責任が履行されることが重要であることにかんがみ、建設業者による住宅建設瑕疵担保保証金の供託、宅地建物取引業者による住宅販売瑕疵担保保証金の供託、住宅瑕疵担保責任保険法人の指定及び住宅瑕疵担保責任保険契約に係る新築住宅に関する紛争の処理体制等について定めることにより、住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成十一年法律第八十一号。以下「住宅品質確保法」という。)と相まって、住宅を新築する建設工事の発注者及び新築住宅の買主の利益の保護並びに円滑な住宅の供給を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする
 とあり、
 住宅瑕疵担保履行法第1条によれば、設問の「この法律は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」で定められた瑕疵担保責任の履行を確保するために制定された」は、正しい。



2 この法律が適用される住宅には、新築住宅であれば、賃貸住宅も含まれる。

〇 正しい。 住宅瑕疵担保履行法の「新築住宅」には、人が居住する戸建て、マンション、賃貸住宅も該当する。

 選択肢1でも説明しましたが、「住宅」とは、まず、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律第2条、
(定義)
 第二条 
この法律において「住宅」とは住宅品質確保法第二条第一項に規定する住宅をいい、「新築住宅」とは同条第二項に規定する新築住宅をいう。
2 この法律において「建設業者」とは、建設業法(昭和二十四年法律第百号)第二条第三項に規定する建設業者をいう。
3 この法律において「宅地建物取引業者」とは、宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)第二条第三号に規定する宅地建物取引業者をいい、信託会社又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関であって、宅地建物取引業法第二条第二号に規定する宅地建物取引業を営むもの(第十二条第一項において「信託会社等」という。)を含むものとする。
4 この法律において「特定住宅瑕疵担保責任」とは、住宅品質確保法第九十四条第一項又は第九十五条第一項の規定による担保の責任をいう。
5 この法律において「住宅建設瑕疵担保責任保険契約」とは、次に掲げる要件に適合する保険契約をいう。
   一 建設業者が保険料を支払うことを約するものであること。
   二 その引受けを行う者が次に掲げる事項を約して保険料を収受するものであること。
     イ 住宅品質確保法第九十四条第一項の規定による担保の責任(以下「特定住宅建設瑕疵担保責任」という。)に係る新築住宅に同項に規定する瑕疵がある場合において、建設業者が当該特定住宅建設瑕疵担保責任を履行したときに、当該建設業者の請求に基づき、その履行によって生じた当該建設業者の損害をてん補すること。
     ロ 特定住宅建設瑕疵担保責任に係る新築住宅に住宅品質確保法第九十四条第一項に規定する瑕疵がある場合において、建設業者が相当の期間を経過してもなお当該特定住宅建設瑕疵担保責任を履行しないときに、当該住宅を新築する建設工事の発注者(建設業法第二条第五項に規定する発注者をいい、宅地建物取引業者であるものを除く。以下同じ。)の請求に基づき、その瑕疵によって生じた当該発注者の損害をてん補すること。
   三 前号イ及びロの損害をてん補するための保険金額が二千万円以上であること。
   四 住宅を新築する建設工事の発注者が当該建設工事の請負人である建設業者から当該建設工事に係る新築住宅の引渡しを受けた時から十年以上の期間にわたって有効であること。
   五 国土交通大臣の承認を受けた場合を除き、変更又は解除をすることができないこと。
   六 前各号に掲げるもののほか、その内容が第二号イに規定する建設業者及び同号ロに規定する発注者の利益の保護のため必要なものとして国土交通省令で定める基準に適合すること。
6 この法律において「住宅販売瑕疵担保責任保険契約」とは、次に掲げる要件に適合する保険契約をいう。
   一 宅地建物取引業者が保険料を支払うことを約するものであること。
   二 その引受けを行う者が次に掲げる事項を約して保険料を収受するものであること。
     イ 住宅品質確保法第九十五条第一項の規定による担保の責任(以下「特定住宅販売瑕疵担保責任」という。)に係る新築住宅に同項に規定する隠れた瑕疵がある場合において、宅地建物取引業者が当該特定住宅販売瑕疵担保責任を履行したときに、当該宅地建物取引業者の請求に基づき、その履行によって生じた当該宅地建物取引業者の損害をてん補すること。
     ロ 特定住宅販売瑕疵担保責任に係る新築住宅に住宅品質確保法第九十五条第一項に規定する隠れた瑕疵がある場合において、宅地建物取引業者が相当の期間を経過してもなお当該特定住宅販売瑕疵担保責任を履行しないときに、当該新築住宅の買主(宅地建物取引業者であるものを除く。第十九条第二号を除き、以下同じ。)の請求に基づき、その隠れた瑕疵によって生じた当該買主の損害をてん補すること。
   三 前号イ及びロの損害をてん補するための保険金額が二千万円以上であること。
   四 新築住宅の買主が当該新築住宅の売主である宅地建物取引業者から当該新築住宅の引渡しを受けた時から十年以上の期間にわたって有効であること。
   五 国土交通大臣の承認を受けた場合を除き、変更又は解除をすることができないこと。
   六 前各号に掲げるもののほか、その内容が第二号イに規定する宅地建物取引業者及び同号ロに規定する買主の利益の保護のため必要なものとして国土交通省令で定める基準に適合すること。」

 とあり、

 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律第2条1項で引用されています、住宅の品質確保の促進等に関する法律第2条とは、
(定義)
 第二条 この法律において
「住宅」とは、人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分(人の居住の用以外の用に供する家屋の部分との共用に供する部分を含む。)をいう
2 この法律において
「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。)をいう。
3 この法律において「日本住宅性能表示基準」とは、住宅の性能に関し表示すべき事項及びその表示の方法の基準であって、次条の規定により定められたものをいう。
4 この法律において「住宅購入者等」とは、住宅の購入若しくは住宅の建設工事の注文をし、若しくはしようとする者又は購入され、若しくは建設された住宅に居住をし、若しくはしようとする者をいう
。」

 ですから、
 住宅の品質確保の促進等に関する法律第2条1項及び同条2項によれば、「「住宅」とは、人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分」であり、「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの」が対象であるため、設問の「この法律が適用される住宅には、新築住宅であれば、戸建て、マンションは勿論のこと、賃貸住宅も含まれる」は、正しい。

 


3 建設業者は、注文住宅について、住宅建設瑕疵担保保証金の供託又は住宅建設瑕疵担保責任保険契約を締結しなければならない。

〇 正しい。 建設業者は、注文住宅について、住宅”建設”瑕疵担保保証金の供託又は住宅”建設”瑕疵担保責任保険契約を締結しなければならない。

 選択肢1でも説明しましたように、新築住宅の請負人である建築業者及び売主の宅建業者には、
 ア.保険に加入 又は
 イ.供託 
 をして、瑕疵担保責任の履行のための資力確保が必要です。

 なお、建設業者がする供託金は「住宅”建設”瑕疵担保保証金」で、販売の売主がする供託金は「住宅”販売”瑕疵担保保証金」のように区別されています。

 そこで、建設業者には、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律第3条1項、2項、同2条5項
(住宅建設瑕疵担保保証金の供託等)
 第三条 
建設業者は各基準日(毎年三月三十一日及び九月三十日をいう。以下同じ。)において、当該基準日前十年間に住宅を新築する建設工事の請負契約に基づき発注者に引き渡した新築住宅について、当該発注者に対する特定住宅建設瑕疵担保責任の履行を確保するため、住宅建設瑕疵担保保証金の供託をしていなければならない。
2 前項の住宅建設瑕疵担保保証金の額は、当該基準日における同項の新築住宅(当該建設業者が第十七条第一項に規定する住宅瑕疵担保責任保険法人(以下この章及び次章において単に「住宅瑕疵担保責任保険法人」という。)と
住宅建設瑕疵担保責任保険契約を締結し、保険証券又はこれに代わるべき書面を発注者に交付した場合における当該住宅建設瑕疵担保責任保険契約に係る新築住宅を除く。以下この条において「建設新築住宅」という。)の合計戸数の別表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる金額の範囲内で、建設新築住宅の合計戸数を基礎として、新築住宅に住宅品質確保法第九十四条第一項に規定する瑕疵があった場合に生ずる損害の状況を勘案して政令で定めるところにより算定する額(以下この章において「基準額」という。)以上の額とする。
3 前項の建設新築住宅の合計戸数の算定に当たっては、建設新築住宅のうち、その床面積の合計が政令で定める面積以下のものは、その二戸をもって一戸とする。
4 前項に定めるもののほか、住宅を新築する建設工事の発注者と二以上の建設業者との間で締結された請負契約であって、建設業法第十九条第一項の規定により特定住宅建設瑕疵担保責任の履行に係る当該建設業者それぞれの負担の割合が記載された書面が相互に交付されたものに係る建設新築住宅その他の政令で定める建設新築住宅については、政令で、第二項の建設新築住宅の合計戸数の算定の特例を定めることができる。
5 第一項の住宅建設瑕疵担保保証金は、国土交通省令で定めるところにより、国債証券、地方債証券その他の国土交通省令で定める有価証券(社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第二百七十八条第一項に規定する振替債を含む。以下同じ。)をもって、これに充てることができる。
6 第一項の規定による住宅建設瑕疵担保保証金の供託は、当該建設業者の主たる事務所の最寄りの供託所にするものとする。

 とあり、
 住宅瑕疵担保履行法第1項によれば、設問の前半「建設業者は、注文住宅について、住宅”建設”瑕疵担保保証金の供託をしなければならない」は、正しい。

 設問の後半、建設業者は、注文住宅について、「住宅”建設”瑕疵担保責任保険契約を締結しなければならない」は、選択肢2で引用しました、住宅瑕疵担保履行法第2条5項1号、
5 この法律において「
住宅建設瑕疵担保責任保険契約」とは、次に掲げる要件に適合する保険契約をいう。
   一 
建設業者が保険料を支払うことを約するものであること
   (以下、略)」
 とあり、
 設問は、全体として、正しい。



4 建設業者は、宅地建物取引業者が自ら売主となって買主に引き渡す新築の分譲住宅について、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約を締結しなければならない。

X 誤っている。 宅地建物取引業者が自ら売主となって買主に引き渡す新築の分譲住宅なら、宅建業者が、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約を締結をする。 建設業者ではない。

 今度は、宅地建物取引業者が、自ら売主となると、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律第11条、
(住宅販売瑕疵担保保証金の供託等)
 第十一条 
宅地建物取引業者は、各基準日において、当該基準日前十年間に自ら売主となる売買契約に基づき買主に引き渡した新築住宅について、当該買主に対する特定住宅販売瑕疵担保責任の履行を確保するため、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしていなければならない。
2 前項の住宅販売瑕疵担保保証金の額は、当該基準日における同項の新築住宅(当該宅地建物取引業者が住宅瑕疵担保責任保険法人と住宅販売瑕疵担保責任保険契約を締結し、保険証券又はこれに代わるべき書面を買主に交付した場合における当該住宅販売瑕疵担保責任保険契約に係る新築住宅を除く。以下この条において「販売新築住宅」という。)の合計戸数の別表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる金額の範囲内で、販売新築住宅の合計戸数を基礎として、新築住宅に住宅品質確保法第九十五条第一項に規定する隠れた瑕疵があった場合に生ずる損害の状況を勘案して政令で定めるところにより算定する額(第十三条において「基準額」という。)以上の額とする。
3 前項の販売新築住宅の合計戸数の算定に当たっては、販売新築住宅のうち、その床面積の合計が政令で定める面積以下のものは、その二戸をもって一戸とする。
4 前項に定めるもののほか、新築住宅の買主と二以上の自ら売主となる宅地建物取引業者との間で締結された売買契約であって、宅地建物取引業法第三十七条第一項の規定により当該宅地建物取引業者が特定住宅販売瑕疵担保責任の履行に係る当該宅地建物取引業者それぞれの負担の割合が記載された書面を当該新築住宅の買主に交付したものに係る販売新築住宅その他の政令で定める販売新築住宅については、政令で、第二項の販売新築住宅の合計戸数の算定の特例を定めることができる。
5 第一項の住宅販売瑕疵担保保証金は、国土交通省令で定めるところにより、国債証券、地方債証券その他の国土交通省令で定める有価証券をもって、これに充てることができる。
6 第一項の規定による住宅販売瑕疵担保保証金の供託は、当該宅地建物取引業者の主たる事務所の最寄りの供託所にするものとする。

 とあり、
 住宅瑕疵担保履行法第11条1項によれば、設問の前半「宅地建物取引業者が自ら売主となって買主に引き渡す新築の分譲住宅について、住宅”
販売”瑕疵担保保証金の供託」は、「宅地建物取引業者」が行いますから、設問の「建設業者は、宅地建物取引業者が自ら売主となって買主に引き渡す新築の分譲住宅について、住宅”販売”瑕疵担保保証金の供託をしなければならない」は、誤りです。

 また、設問の後半「住宅”販売”瑕疵担保責任保険契約を締結しなければならない」は、選択肢1で引用しました、住宅瑕疵担保履行法第2条6項、
6 この法律において「住宅販売瑕疵担保責任保険契約」とは、次に掲げる要件に適合する保険契約をいう。
   一 宅地建物取引業者が保険料を支払うことを約するものであること

     (以下、略)」
 とあり、
 住宅瑕疵担保履行法第2条6項によれば、住宅”
販売”瑕疵担保責任保険契約も、宅地建物取引業者が行いますから、この部分も誤っています。

 そこで、選択肢4は、全体として誤りです。



答え: 4 


  こんな、住宅瑕疵担保履行法の条文まで、読んでいないと思い、解説は、図を入れたりして細かく載せた。

  解説に、無茶苦茶、時間がかかる!

  保険と保証金の供託で、建設業者と宅建業者で言葉に違いがあるとは、気がつきにくい。

《タグ》特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律 住宅の品質確保の促進等に関する法律 10年間の瑕疵担保責任 保険又は供託 住宅”建設”瑕疵担保保証金の供託 住宅”販売”瑕疵担保保証金の供託 違い

問21

【問 21】 マンションの構造・部材に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1 建築基準法に定める「主要構造部」には、最下階の床は含まれない。

〇 適切である。  建築基準法に定める「主要構造部」は、壁、柱、床、はり、屋根又は階段で、”最下階の床は含まれない”。
  平成30年 マンション管理士試験 「問40」 、 平成25年 管理業務主任者試験 「問17」

 「問19」、「問20」そして、この「問21」といい、この一連の出題を受け持った出題官は、出題文に自信がないようで、法律を根拠としているにも関わらず、他の出題では「正しいものはどれか」と聞くのが、通常だが、「最も適切なものはどれか」と聞くのが、特徴だ。

 で、建築基準法での「主要構造部」とは、建築基準法第2条5号
「(用語の定義)
 第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
   
五 主要構造部 壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする
 とあり、
 建築基準法第2条5号によれば、「最下階の床」などは、除か
れていますから、設問の「建築基準法に定める「主要構造部」には、最下階の床は含まれない」は、正しい。
    

  主要構造部からは、最下階の床などは、除かれています。

 
  なお、建築における主要構造部の定義は、防火の観点からされたものです。「構造耐力上主要な部分」との違いは、明確に理解しておくこと。

  参考:構造耐力上主要な部分(建築基準法施行令第1条3号)
 「三  構造耐力上主要な部分 基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。 」

 
  


2 鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さが同じ場合において、鉄骨鉄筋コンクリート造は、鉄筋コンクリート造に比べ、耐火性が劣る。

X 適切でない? コンクリートのかぶり厚さが同じなら、鉄骨鉄筋コンクリート造の方が、鉄筋コンクリート造より、耐火性がある?

  令和01年 マンション管理士試験 「問41」 、  平成29年 マンション管理士試験 「問40」 、平成29年 管理業務主任者試験 「問19」 、平成27年 管理業務主任者試験 「問17」 、 平成26年 マンション管理士試験 「問40」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問19」 平成23年 マンション管理士試験 「問41」 、 平成13年 管理業務主任者試験 「問26」 、平成16年 管理業務主任者試験 「問19」 

 なるほど、ここは、法律からの出題ではないので、設問の文章を「最も適切なものはどれか」にしたのか。

 まず、鉄骨(S=Steel)造は、柱と梁等の骨組みを、形鋼、鋼管、鋼板などの鋼材を用いて造ります。軽量で高層建築や大スパン(柱と柱の間、梁と梁の距離)構造が可能ですが、火に弱い欠点があります。

 そして、鉄筋コンクリート(RC=Reinforced Concrete 補強されたコンクリート)造は、鉄筋とコンクリートを組み合せることにより、
  ・
鉄筋...引張力(引っ張る力)には強いが、熱に弱く錆びやすい
  ・
コンクリート...熱に強いが、引張力(引っ張る力)に弱い
  の互いの長所を活かし、短所を補う構造です。
  熱に弱い鉄筋をコンクリートで覆い、熱から鉄筋を守って酸化(錆び)を防ぎます。
 コンクリートは上から押さえつける「圧縮」に対する抵抗力はあるものの、「引張力の弱さ」があります。
 そのため、コンクリートを引張力に優れた鉄筋で補強します。
 
  そこで、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC=Steel Reinforced Concrete)造は、力学的には、鉄骨造と鉄筋コンクリート(RC=Reinforced Concrete)造のそれぞれの長所を生かした構造です。
 その構造は、あらかじめ鉄骨で骨組みを作りその周りに鉄筋を配置してコンクリ―トを打ち込んでいきます。
 鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造のメリットとしては鉄筋コンクリート(RC)造と比べて鉄骨を多く配置するので柱の断面を細くする事が可能な一方で二つを組み合わせる事で変形に強くなり耐震性は高くなります。


 


 そして、「鉄骨のかぶり厚さ」とか、「鉄筋のかぶり厚さ」とは、鉄骨や鉄筋を覆う”コンクリートの厚さ”のことです。
 鉄骨や鉄筋はそれだけでは、錆びやすいため、それらが錆びないように回りを、コンクリートで覆います。
 かぶり厚さは、コンクリート表面と中に入っている鉄筋の表面までの最短距離を指します。
 かぶり厚さが厚いほど、耐久性は高くなりますし、耐火性も高くなります。

  
 かぶり厚さについては、建築基準法施行令第79条、及び同法第79条の3 などに壁、床などで細かく規定があります。

 では設問にもどり、「鉄筋に対する”
コンクリートのかぶり厚さが同じ場合”において、鉄骨鉄筋コンクリート造は、鉄筋コンクリート造に比べ、”耐火性が劣る”」ですが、「コンクリートのかぶり厚さが同じなら」、耐火性は同じではないかと思いますが、調べてもはっきりした根拠はないのですが、どうも「鉄骨鉄筋コンクリート造」の方が、「鉄筋コンクリート造」に比べて”耐火性に優れているようなので、適切でないとします。

 ここでの、明確な根拠を持っている人がいたら、 「マンション管理士 香川事務所」 まで、連絡ください。



3 1つの建築物で高さが部分的に異なる場合において、原則として、各部分の高さに応じて異なる構造方法による基礎を併用しなければならない。

X 誤っている。 1つの建物では、異なる構造方法による基礎を併用してはいけない。


 まず、建物の基礎構造とは、建物を沈下や地震から支えることです。
 そこで、こんな面倒な出題に対する規定もあります。
 それは、建築基準法施行令第38条、
(基礎)
 第三十八条 建築物の基礎は、建築物に作用する荷重及び外力を安全に地盤に伝え、かつ、地盤の沈下又は変形に対して構造耐力上安全なものとしなければならない。
2 建築物には、異なる構造方法による基礎を併用してはならない。
3 建築物の基礎の構造は、建築物の構造、形態及び地盤の状況を考慮して国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとしなければならない。この場合において、高さ十三メートル又は延べ面積三千平方メートルを超える建築物で、当該建築物に作用する荷重が最下階の床面積一平方メートルにつき百キロニュートンを超えるものにあつては、基礎の底部(基礎ぐいを使用する場合にあつては、当該基礎ぐいの先端)を良好な地盤に達することとしなければならない。
4 前二項の規定は、建築物の基礎について国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、適用しない。
5 打撃、圧力又は振動により設けられる基礎ぐいは、それを設ける際に作用する打撃力その他の外力に対して構造耐力上安全なものでなければならない。
6 建築物の基礎に木ぐいを使用する場合においては、その木ぐいは、平家建の木造の建築物に使用する場合を除き、常水面下にあるようにしなければならない。

 とあり、
 建築基準法施行令第38条2項によれば、設問の「1つの建築物で高さが部分的に異なる場合において、原則として、各部分の高さに応じて異なる構造方法による基礎を”
併用しなければならない”」は、「異なる構造方法による基礎を”併用してはならない”」により、誤りです。

 これは、1つの建物で異なる構造方式による基礎を併用すると、建物の不同沈下の原因となったり、コンクリートのひび割れをもたらすこともあるためです。



4 全ての地域において、平成29年4月1日以降に申請する性能評価に基づく大臣認定によって新築される地上4階建て以上の免震建築物については、長周期地震動による影響を検討する必要はない。

X 適切でない?  新築の地上地上4階建て以上の免震建築物については、長周期地震動による影響を検討する必要がある?

 まず、超高層(高さ60m超)建築物や免震建築物では、「長周期地震動」により大きく影響を受けます。
 そこで、長周期地震動とは、
 地震が起きると様々な周期を持つ揺れ(地震動)が発生します。ここでいう「周期」とは、揺れが1往復するのにかかる時間のことです。南海トラフ地震のような規模の大きい地震が発生すると、周期の長いゆっくりとした大きな揺れ(地震動)が生じます。
 このような地震動のことを「長周期地震動」といいます。
 建物には固有の揺れやすい周期(固有周期)があります。地震波の周期と建物の固有周期が一致すると共振して、建物が大きく揺れます。
 高層ビルの固有周期は低い建物の周期に比べると長いため、長周期の波と「共振」しやすく、共振すると高層ビルは長時間にわたり大きく揺れます。
また、高層階の方がより大きく揺れる傾向があります。
 長周期地震動により高層ビルが大きく長く揺れることで、室内の家具や什器が転倒・移動したり、エレベーターが故障することがあります。

 

  平成23年3月11日に発生した東日本大震災(マグニチュード9.0)では、首都圏などの高層建物が長周期地震動により大きく長く揺れました。
 東京にある新宿センタービルなどの超高層ビルが最長13分間、最大1.08 mほど揺れていたことが判明しています。

 これらを受け、今後発生が予測される巨大地震(東海地震、南海地震、東南海地震、関東地震)などで、超高層建築物等への長周期地震動が与える影響を懸念しています。

 構造で、基本となっているのは、建築基準法第20条
(構造耐力)
 第二十条 
建築物は、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める基準に適合するものでなければならない。
   一 高さが六十メートルを超える建築物 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。この場合において、その構造方法は、荷重及び外力によつて建築物の各部分に連続的に生ずる力及び変形を把握することその他の政令で定める基準に従つた構造計算によつて安全性が確かめられたものとして国土交通大臣の認定を受けたものであること。
   二 高さが六十メートル以下の建築物のうち、第六条第一項第二号に掲げる建築物(高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超えるものに限る。)又は同項第三号に掲げる建築物(地階を除く階数が四以上である鉄骨造の建築物、高さが二十メートルを超える鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物その他これらの建築物に準ずるものとして政令で定める建築物に限る。) 次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。
     イ 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。この場合において、その構造方法は、地震力によつて建築物の地上部分の各階に生ずる水平方向の変形を把握することその他の政令で定める基準に従つた構造計算で、国土交通大臣が定めた方法によるもの又は国土交通大臣の認定を受けたプログラムによるものによつて確かめられる安全性を有すること。
     ロ 前号に定める基準に適合すること。
   三 高さが六十メートル以下の建築物のうち、第六条第一項第二号又は第三号に掲げる建築物その他その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)を石造、れんが造、コンクリートブロック造、無筋コンクリート造その他これらに類する構造とした建築物で高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超えるもの(前号に掲げる建築物を除く。) 次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。
   四 前三号に掲げる建築物以外の建築物 次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。
     イ 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。
     ロ 前三号に定める基準のいずれかに適合すること。
2 前項に規定する基準の適用上一の建築物であつても別の建築物とみなすことができる部分として政令で定める部分が二以上ある建築物の当該建築物の部分は、同項の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。

 です。

 そこで、設問の「全ての地域において、平成29年4月1日以降に申請する性能評価に基づく大臣認定によって新築される地上4階建て以上の免震建築物については、長周期地震動による影響を検討する必要はない」ですが、この根拠となるものは、内閣府の災害関係の資料や 国土交通省告示第1461号 平成28年6月1日  でもピッタリ・フィットするものがなかったのですが、過去の動きから、「全ての地域において」は、疑問がありますが、多分、適切でしょう。

  ここも、明確な根拠を持っている人がいたら、 「マンション管理士 香川事務所」 まで、連絡ください。

 高さ60 mを超える建築物では、動的計算にあたる「時刻歴応答解析」を行うべきことが定められている。
 時刻歴応答解析は、過去の大地震の地震波を数値化した設計地震動を設計モデルに与えた時の構造部の挙動を解析するもので、高度な技術を要する、
 のは、分かりましたが、余りにも専門的で、よく分かりません!



答え: 1 

 
選択肢1が、正解は、過去問題から分かるが、選択肢2 の「かぶり厚さが同じなら」とか、選択肢4 の「長周期地震動による影響」になると、全く根拠が分からない!

 解説も、6時間かかったが、根拠を入手できないとは、出題として、不適切だ。
 出題官には、再考を求める。

《タグ》建築基準法 主要構造部とは コンクリートのかぶり厚さ 同じ 基礎構造 長周期地震動 

問22

【問 22】 次の記述のうち、建築士法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 「設計図書」とは、建築物の建築工事の実施のために必要な現寸図を含む図面をいい、仕様書は含まれない。

X 誤っている。 「設計図書」で、現寸図は除かれるが、仕様書は含まれる。

  平成26年 管理業務主任者試験 「問23」 、

 まったく、管理業務主任者試験とは、無関係の「建築士法」からの出題だ。

  建築士法からこの内容の出題は、管理業務主任者の試験には、不適切。知らない! まあ、それでも、管理業務主任者試験の受験者の為に解説はしますが。

 設問は、建築士法第2条、
「(定義)
 第二条 この法律で「建築士」とは、一級建築士、二級建築士及び木造建築士をいう。
2 この法律で「一級建築士」とは、国土交通大臣の免許を受け、一級建築士の名称を用いて、建築物に関し、設計、工事監理その他の業務を行う者をいう。
3 この法律で「二級建築士」とは、都道府県知事の免許を受け、二級建築士の名称を用いて、建築物に関し、設計、工事監理その他の業務を行う者をいう。
4 この法律で「木造建築士」とは、都道府県知事の免許を受け、木造建築士の名称を用いて、木造の建築物に関し、設計、工事監理その他の業務を行う者をいう。
5 この法律で「建築設備士」とは、建築設備に関する知識及び技能につき国土交通大臣が定める資格を有する者をいう。
6 この法律で「設計図書」とは建築物の建築工事の実施のために必要な図面(現寸図その他これに類するものを除く。)及び仕様書を、「設計」とはその者の責任において設計図書を作成することをいう。
7 この法律で「構造設計」とは基礎伏図、構造計算書その他の建築物の構造に関する設計図書で国土交通省令で定めるもの(以下「構造設計図書」という。)の設計を、「設備設計」とは建築設備(建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第三号に規定する建築設備をいう。以下同じ。)の各階平面図及び構造詳細図その他の建築設備に関する設計図書で国土交通省令で定めるもの(以下「設備設計図書」という。)の設計をいう。
8 この法律で「工事監理」とは、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう。
9 この法律で「大規模の修繕」又は「大規模の模様替」とは、それぞれ建築基準法第二条第十四号又は第十五号に規定するものをいう。
10 この法律で「延べ面積」、「高さ」、「軒の高さ」又は「階数」とは、それぞれ建築基準法第九十二条の規定により定められた算定方法によるものをいう。」 

 とあり、
 建築士法第2条6項前半によれば、「設計図書」には、「建築物の建築工事の実施のために必要な図面(
”現寸図その他これに類するものを除く”。)及び仕様書」とありますから、設問の「”現寸図を含む”図面をいい」は、「含まれず」また、「仕様書は含まれない」は、「含まれれる」ため、誤りです。


2 「構造設計」とは、建築設備の各階平面図及び構造詳細図その他の建築設備に関する設計図書で国土交通省令で定めるものの設計をいう。

X 誤っている。 「構造設計」とは基礎伏図、構造計算書その他の建築物の構造に関する設計図書で国土交通省令で定めるもの(以下「構造設計図書」という。)の設計をいう。 この説明は「設備設計」のこと。

 設問は、選択肢1で引用しました、建築士法第2条7項、
7 この法律で「構造設計」とは基礎伏図、構造計算書その他の建築物の構造に関する設計図書で国土交通省令で定めるもの(以下「構造設計図書」という。)の設計を、「設備設計」とは建築設備(建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第三号に規定する建築設備をいう。以下同じ。)の各階平面図及び構造詳細図その他の建築設備に関する設計図書で国土交通省令で定めるもの(以下「設備設計図書」という。)の設計をいう。」
 とあり、
 建築士法第2条7項の前半「「構造設計」とは基礎伏図、構造計算書その他の”建築物の構造に関する設計図書”で国土交通省令で定めるもの(以下「構造設計図書」という。)の設計」を、いいますから、設問の「「構造設計」とは、建築設備の各階平面図及び構造詳細図その他の建築設備に関する設計図書で国土交通省令で定めるものの設計をいう」は、誤りです。

 この設問は、「設備設計」を示しています。



3 「工事監理」とは、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、当該工事が設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう。

〇 正しい。 「工事監理」とは、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、当該工事が設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう。

 設問は、選択肢1で引用しました、建築士法第2条8項、
8 この法律で「工事監理」とは、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう。」
 とあり、
 設問の「「工事監理」とは、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、当該工事が設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう」は、正しい。



4 建築士事務所に属する一級建築士は、 2年ごとに、登録講習機関が行う講習を受けなければならない。

X 誤っている。 建築士事務所に属する一級建築士は、3年ごとの講習を受ける。 2年ではない。

 以前は、建築士に定期講習を受ける規定はありませんでした。
 しかし、上の 「問20」 で説明しましたように、平成17年に姉歯元一級建築士による構造計算の偽造があってから、建築士への信頼が薄れ、平成20年11月28日施行の建築基準法の改正で、定期講習の規定が設けられたのです。

 それが、建築士法第22条の2 、
(定期講習)
 第二十二条の二 
次の各号に掲げる建築士は、三年以上五年以内において国土交通省令で定める期間ごとに、次条第一項の規定及び同条第二項において準用する第十条の二十三から第十条の二十五までの規定の定めるところにより国土交通大臣の登録を受けた者(次条において「登録講習機関」という。)が行う当該各号に定める講習を受けなければならない。
   一 一級建築士(第二十三条第一項の建築士事務所に属するものに限る。) 別表第二(一)の項講習の欄に掲げる講習
   二 二級建築士(第二十三条第一項の建築士事務所に属するものに限る。) 別表第二(二)の項講習の欄に掲げる講習
   三 木造建築士(第二十三条第一項の建築士事務所に属するものに限る。) 別表第二(三)の項講習の欄に掲げる講習
   四 構造設計一級建築士 別表第二(四)の項講習の欄に掲げる講習
   五 設備設計一級建築士 別表第二(五)の項講習の欄に掲げる講習」

 とあり、
 建築士法第22条の2 1号「国土交通省令で定める期間ごと」を受けた建築士法施行規則第17条の36
(定期講習の受講期間)
 第十七条の三十六 法第二十二条の二の国土交通省令で定める期間は、法第二十二条の二各号に掲げる建築士が同条各号に規定する講習のうち直近のものを受けた日の属する年度の翌年度の開始の日から起算して
三年とする。」
 とあり、
 建築士法施行規則第17条の36 によれば、建築事務所に属する建築士(業としている)が受けなければならない「定期講習」の期間は、「
3年ごと」ですから、設問の「”2年ごと”に、登録講習機関が行う講習を受けなければならない」は、誤りです。


答え: 3

 まったく、知る訳ないっという建築士に関する出題! 
 建築士の定期講習が、5年ごとか、3年ごとかを管理業務主任者が知って、どうするの!
 この出題内容では、管理業務主任者試験とは、関係性がない。酷い出題です。不適切極まりない。

 平成26年でも、叱ったが、試験元の「管理業協会」は、「なんでも出題できる」と誤解しているようで、この姿勢は、糾弾する。

 真に管理業務主任者にとって必要な出題かどうかを、もっと吟味して出題することだ。

《タグ》建築士法 設計図書 構造設計 工事監理 定期講習の期間 3年ごと

問23

【問 23】 雨水排水設備に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 雨水排水管径の算定に用いる降水量は、各地域ごとの平均降水量を採用する。

X 適切でない。 降雨量は、各地域で異なるし、平均降水量ではだめ。 最大降水量を採用する。

  ここは、過去問題がないが、常識的にも適切ではない。 雨水排水管径を平均降水量に合わせてははだめ。最大降水量だろう。 

 雨水たて管については、以下の計算式もある。
 雨水たて管の管径は許容最大屋根面積を算出し、特定の表に基づき管径を決定する。
 当該地域の最大雨量も表がある。

 許容最大屋根面積(u)=屋根面積(u)× 当該地域の最大雨量(mm/h)/100mm/h



2 雨水排水ますは、敷地雨水管の起点や合流箇所、方向を変える箇所、配管距離が長い箇所などの継手の代わりに設置し、敷地雨水管の掃除口の役目を果たすものである。

〇 適切である。  雨水排水ますは、敷地雨水管の起点や合流箇所、方向を変える箇所、配管距離が長い箇所などの継手の代わりに設置し、敷地雨水管の掃除口の役目を果たすものである。

  平成29年 管理業務主任者試験 「問22」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問19」 、 平成23年 マンション管理士試験 「問44」、 なお、排水設備は、平成16年 管理業務主任者試験 「問23」も参考に。

 雨水マスは、雨水管の会合点、中間点又は屈曲する箇所に取り付けるマスで、下水道施設へ土砂が流入することを防止するため、マス底部に泥溜めを設けたマスをいいます。
 で、排水マスはなぜ必要かというと、建物の中で生じた汚水排水や雑排水、屋根に落ちた雨水排水を行う場合、排水管を通して敷地外へ流す場合、管にゴミや汚泥が流れることにより管が詰まることがあります。
 その場合、その都度、管を掘り出して交換したり、管内の清掃や点検をすることは事実上困難です。
そこで、そうした管の詰まりが起き易い要所に点検や清掃のためのマスを設置します。マスから管のメンテナンスを行うわけです。また、設置したマスは管を通過するゴミや汚泥を沈殿、分離させ、これらを定期的に清掃する事で、管の中の詰まりを防ぐ役割を持っています。

 そこで、設問の「雨水排水ますは、敷地雨水管の起点や合流箇所、方向を変える箇所、配管距離が長い箇所などの継手の代わりに設置し、敷地雨水管の掃除口の役目を果たすものである」は、適切です。

 

 また、以下の記述もあります。
 ますの設置箇所は下記のとおりとし,浸水等のない場所とする。
   ア排水管の起点,会合点,屈曲点及び管径の異なる箇所
   イ直線部において排水管の距離が長くなる箇所直線部において,管径の120 倍を超えない範囲内に設ける。ただし,器具配管及び排水横枝管等の分岐がなく維持管理に支障がない場合,管径の150 倍を超えない範囲に設けることができる。
   ウ排水管の勾配の変化する箇所


3 雨水排水ますには、雨水中に混在する泥などが排水管に流れ込まないようにするために、150o以上の泥だまりを設ける。

〇 適切である。 雨水排水ますには、雨水中に混在する泥などが排水管に流れ込まないようにするために、150o以上の泥だまりを設ける。
  平成30年 マンション管理士試験 「問44」 、 平成29年 管理業務主任者試験 「問22」 

 雨水排水ますの図は、上の選択肢2を参照。

 川崎市のホーム・ページ 「第2章 第5節 排水施設」 ページ:126 によると
 「雨水ます
  (イ)
雨水ますの底部には、深さ15p(150mm)以上の泥だめを設け、雨水と一緒に流れ込む砂礫等を沈澱させて、排水管の損傷を防ぐこと。
 とあり、
 敷地雨水管の起点や合流箇所、方向を変える箇所などに設置する雨水ますに設ける泥だまりは、深さ”15p(150mm)以上”の泥だめを設けますから、設問の「雨水排水ますには、雨水中に混在する泥などが排水管に流れ込まないようにするために、150o以上の泥だまりを設ける」は、適切です。


4 雨水排水管を一般排水系統の敷地排水管と接続させる場合においては、排水管や下水道からの臭気の侵入を防ぐため、雨水排水系統にトラップますを設置する。

〇 適切である。 家庭などの汚水や臭気が雨水に侵入しないように、雨水の排水系統に”トラップます”を設置する。
 そう、これは、令和元年のマンション管理士試験でもでた。 「問44」選択肢3 だ。

 ますは,汚水の流入管や雨水を取りまとめて円滑に下流管等に誘導する役目と,清掃を目的とするもので、また、臭気が雨水系統へ逆流しないように、雨水排水管に、トラップ機能のある排水ますを設置しますから、設問の「雨水排水管を一般排水系統の敷地排水管と接続させる場合においては、排水管や下水道からの臭気の侵入を防ぐため、雨水排水系統にトラップますを設置する」は、適切です。

 


答え: 1

  選択肢1の「平均降水量」が、何となくでも、おかしいと気がつけば、正解はできる。

  選択肢4に見るように、令和01年のマンション管理士試験問題を、試験後すぐに見てれば、翌週の令和01年の管理業務主任者試験にも対応ができる。

《タグ》排水施設 雨水 最大降水量 雨水排水ますの設置場所 泥だまり 150mm トラップます

問24

【問 24】 次の消防用設備等のうち、消防法によれば、「消火活動上必要な施設」に該当するものはどれか。

1 屋外消火栓設備

X 屋外消火栓設備は、「消火活動上必要な施設」に該当しない。 屋外消火栓設備は、消火設備である。

 平成25年 マンション管理士試験 「問23」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問23」 、 

 防火対象物に設置及び維持すべき”消防用設備等”には、
  ・消防の用に供する設備として
   @消火設備
   A警報設備
   B避難設備
  他に、
  C消防用水
  D消火活動上必要な施設
  があります。

 多くの設備等はマンション(共同住宅)に求められていますが、全ての設備がマンションに求められている訳ではありませんから、注意してください。

 根拠としては、消防法第17条、
第十七条 学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館、飲食店、地下街、複合用途防火対象物その他の防火対象物で政令で定めるものの関係者は、政令で定める消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設(以下「
消防用設備等」という。)について消火、避難その他の消防の活動のために必要とされる性能を有するように、政令で定める技術上の基準に従つて、設置し、及び維持しなければならない。
○2 市町村は、その地方の気候又は風土の特殊性により、前項の消防用設備等の技術上の基準に関する政令又はこれに基づく命令の規定のみによつては防火の目的を充分に達し難いと認めるときは、条例で、同項の消防用設備等の技術上の基準に関して、当該政令又はこれに基づく命令の規定と異なる規定を設けることができる。
○3 第一項の防火対象物の関係者が、同項の政令若しくはこれに基づく命令又は前項の規定に基づく条例で定める技術上の基準に従つて設置し、及び維持しなければならない消防用設備等に代えて、特殊の消防用設備等その他の設備等(以下「特殊消防用設備等」という。)であつて、当該消防用設備等と同等以上の性能を有し、かつ、当該関係者が総務省令で定めるところにより作成する特殊消防用設備等の設置及び維持に関する計画(以下「設備等設置維持計画」という。)に従つて設置し、及び維持するものとして、総務大臣の認定を受けたものを用いる場合には、当該消防用設備等(それに代えて当該認定を受けた特殊消防用設備等が用いられるものに限る。)については、前二項の規定は、適用しない。

 です。

 消防法第17条1項を受けた政令は、消防法施行令第7条、
(消防用設備等の種類)
 第七条 法第十七条第一項の政令で定める消防の用に供する設備は、消火設備、警報設備及び避難設備とする。
2 前項の
消火設備は、水その他消火剤を使用して消火を行う機械器具又は設備であつて、次に掲げるものとする。
   一 消火器及び次に掲げる簡易消火用具
     イ 水バケツ
     ロ 水槽そう
     ハ 乾燥砂
     ニ 膨張ひる石又は膨張真珠岩
   二 屋内消火栓せん 設備
   三 スプリンクラー設備
   四 水噴霧消火設備
   五  泡あわ 消火設備
   六 不活性ガス消火設備
   七 ハロゲン化物消火設備
   八 粉末消火設備
   九 屋外消火栓せん 設備
   十 動力消防ポンプ設備
3 第一項の
警報設備は、火災の発生を報知する機械器具又は設備であつて、次に掲げるものとする。
   一 自動火災報知設備
   一の二 ガス漏れ火災警報設備(液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(昭和四十二年法律第百四十九号)第二条第三項に規定する液化石油ガス販売事業によりその販売がされる液化石油ガスの漏れを検知するためのものを除く。以下同じ。)
   二 漏電火災警報器
   三 消防機関へ通報する火災報知設備
   四 警鐘、携帯用拡声器、手動式サイレンその他の非常警報器具及び次に掲げる非常警報設備
     イ 非常ベル
     ロ 自動式サイレン
     ハ 放送設備
4 第一項の
避難設備は、火災が発生した場合において避難するために用いる機械器具又は設備であつて、次に掲げるものとする。
   一 すべり台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋その他の避難器具
   二 誘導灯及び誘導標識
5 法第十七条第一項の政令で定める
消防用水は、防火水槽そう 又はこれに代わる貯水池その他の用水とする。
6 法第十七条第一項の政令で定める
消火活動上必要な施設は、排煙設備、連結散水設備、連結送水管、非常コンセント設備及び無線通信補助設備とする
7 第一項及び前二項に規定するもののほか、第二十九条の四第一項に規定する必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等は、法第十七条第一項に規定する政令で定める消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設とする。

 です。

 そこで、設問の「消火活動上必要な施設」は、消防法施行令第7条6項「6 法第十七条第一項の政令で定める消火活動上必要な施設は、
   @排煙設備、
   A連結散水設備、
   B連結送水管、
   C非常コンセント設備 及び
   D無線通信補助設備 とする。
  ですから、設問の「屋外消火栓設備」は、「消火活動上必要な施設」には、該当しません。

 「屋外消火栓設備」は、「消火設備」に該当します。



2 非常コンセント設備

〇 非常コンセント設備は、「消火活動上必要な施設」に該当する。


 選択肢1で引用しました、消防法施行令第7条6項「6 法第十七条第一項の政令で定める消火活動上必要な施設」に、「非常コンセント設備」は、あります。


3 非常警報設備

X 非常警報設備は、「消火活動上必要な施設」に該当しない。 非常警報設備は、警報設備。 

 選択肢1で引用しました、消防法施行令第7条6項「6 法第十七条第一項の政令で定める消火活動上必要な施設」に、「非常警報設備」は、ありません。

 非常警報設備は、警報設備です。



4 誘導灯

X 「誘導灯」は、「消火活動上必要な施設」に該当しない。 誘導灯は、避難設備。

 選択肢1で引用しました、消防法施行令第7条6項「6 法第十七条第一項の政令で定める消火活動上必要な施設」に、「誘導灯」は、ありません。

 誘導灯と誘導標識は、避難設備です。



答え: 2 

 これまた、細かな出題。

 消防用設備がどのように区分されているかを知らないと、まったく、正解にたどりつけない。

 消防法 についても、過去から出題が多いので、過去問題から 取り出していますから、参考にしてください。

《タグ》消防法 消防用設備等の内訳 消火設備 警報設備 避難設備 消防用水 消火活動上必要な施設 

問25

【問 25】 LEDランプ(エル・イー・ディー・ランプ)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 LEDランプは、同じ光束の場合において、白熱灯や蛍光灯よりも発熱量が少ない。

〇 適切である。 同じ光束なら、LEDランプのほうが、白熱灯や蛍光灯よりも発熱量が少ない。

 平成30年 マンション管理士試験 「問45」 、  平成29年 管理業務主任者試験 「問24」 

 LEDランプとは、発光ダイオード(LED = Light Emitting Diode)を使用した照明器具です。LEDを使用しているため、低消費電力で長寿命といった特徴があります。
 LEDでは、白色を出すためには、2色以上の光を混ぜる必要があり、
  @青色LEDにより、黄色蛍光体を光らせる
  A光の3原色のLED(赤色・緑色・青色)を組み合わせる
  B近紫外線または紫色LEDにより、赤色・緑色・青色の蛍光体を光らせる
 の3方式があります。




 そこで、光束とは、ある面を通過する光の明るさを表す物理量で、単位は「ル―メン(lm)」で表されます。
 ルーメン(光束)は「照明器具そのものの明るさ」を示す単位でもありますから、一般的に、照明器具の明るさを比べる場合、ルーメンの数値で比較します。
 なお、ルクス(照度)は「光に照らされた面の明るさ」を示す単位です。

 

 そこで、設問に戻り「LEDランプは、同じ光束の場合において、白熱灯や蛍光灯よりも発熱量が少ない」ですが、フィラメントを加熱して発光させる白熱電球や、放電によって発光を実現する蛍光ランプに比べ、原理的に電気を直接光に変換するLEDは、エネルギー効率が格段に高く、より低い電力で発光させることができますので、適切です。

 また、誘導灯の点灯時間を1日平均12時間とした場合、蛍光灯はおよそ1年で取り替えが必要ですが、LED電球などのLED照明は9年以上も取り替える必要がありません、との記述もあった。


2 LEDランプは、電気用品安全法の規制の対象外となっている。

X 適切でない。 LEDランプも取付事故があり、電気用品安全法の規制の対象となっている。
  平成29年 管理業務主任者試験 「問24」 、

 既設の蛍光灯の器具に、直管型LEDランプを取り付けると、火災事故が発生した例が、かなりあります。


  例えば、
 事故例: 平成28年(2016年)7月
  火災発生:問題点:使用者がネット購入し、取付けを実施。既設ランプがラピッドスタート形であったことから、既設安定器もラピッド式と勘違いし、ラピッド器具専用の直管LEDランプを購入し、誤使用に至ったと想定される。
 既設安定器が半導体式であることに気付くには、天井に取付けられた既設器具の銘板を判読する必要があり一般消費者には容易ではない。以上のように、今回の誤使用は十分に想定されるケースとも考えられ、ランプメーカとしては、これを想定して最悪でも重大事故に繋がらない設計配慮が不可欠と思われる。

 そこで、電気用品の製造、輸入、販売等を規制するとともに、電気用品の安全性の確保につき民間事業者の自主的な活動を促進することにより、電気用品による危険及び障害の発生を防止する、「電気用品安全法」(平成13年改正施行)で、
「構造又は使用方法その他の使用状況からみて特に危険又は障害の発生するおそれが多い
電気用品」=特定電気用品(電気用品安全法第2条2項)に、「エル・イー・ディー・ランプ」と「エル・イー・ディー・電灯器具」が追加の「電気用品」として政令指定されました(平成23年7月6日政令第213号。平成24年7月1日施行)。 

 具体的には、電気用品安全法施行令 別表2九(10)で、
「九 光源及び光源応用機械器具であつて、次に掲げるもの(定格電圧が一〇〇ボルト以上三〇〇ボルト以下及び定格周波数が五〇ヘルツ又は六〇ヘルツのものであつて、交流の電路に使用するものに限る。)
   (一) 写真焼付器
   (二) マイクロフィルムリーダー(スクリーンの長幅が五〇〇ミリメートル以下のものに限り、自動検索装置又は自動連続焼付装置を有するものを除く。)
   (三) スライド映写機及びオーバーヘッド映写機(テレビジョン用のもの及び光源としてキセノンアーク式ランプハウスを使用するものを除く。)
   (四) 反射投影機(定格消費電力が二キロワット以下のものに限り、テレビジョン用のもの及び光源としてキセノンアーク式ランプハウスを使用するものを除く。)
   (五) ビューワー
   (六) エレクトロニックフラッシュ(定格蓄積電力量が一・五キロワット秒以下の可搬型のものに限り、顕微鏡用のもの、医療用機械器具用のものその他の特殊な構造のものを除く。)
   (七) 写真引伸機及び写真引伸機用ランプハウス(原板挟みの開口の長幅が一二五ミリメートル以下及び短幅が一〇〇ミリメートル以下のものに限り、写真引伸機にあつては、自動露光装置又は印画紙の自動送り装置を有するものを除く。)
   (八) 白熱電球(一般照明用電球であつて、口金の外径が二六・〇三ミリメートル以上二六・三四ミリメートル以下のものに限る。)
   (九) 蛍光ランプ(定格消費電力が四〇ワット以下のものに限る。)
   
(一〇) エル・イー・ディー・ランプ(定格消費電力が一ワット以上のものであつて、一の口金を有するものに限る。)
   (一一) 電気スタンド、家庭用つり下げ型蛍光灯器具、ハンドランプ、庭園灯器具、装飾用電灯器具(口金のない電球又は受金の内径が一五・五ミリメートル以下のソケットを有するものに限る。)その他の白熱電灯器具及び放電灯器具(防爆型のものを除く。)
   
(一二) エル・イー・ディー・電灯器具(定格消費電力が一ワット以上のものに限り、防爆型のものを除く。
   (一三) 広告灯
   (一四) 検卵器
   (一五) 電気消毒器(殺菌灯を有するものに限る。)
   (一六) 家庭用光線治療器
   (一七) 充電式携帯電灯
   (一八) 複写機(光源の定格出力が一・二キロワット以下のものに限る。)」
 とあり、
 LEDランプは、電気用品安全法施行令 別表2九(10)にありますから、設問の「LEDランプは、電気用品安全法の”
規制の対象外”となっている」は、「規制の対象」ですから、誤りです。


3 LEDランプは、消防法により設置が義務付けられる避難口誘導灯の光源に用いることができる。

〇 適切である。 LEDランプも、消防法での避難口誘導灯の光源に用いることができる。

  平成29年 管理業務主任者試験 「問27」 、 平成27年 管理業務主任者試験 「問23」 、 

 映画館などでおなじみの火災時などで使われる、消防法での「誘導灯」及び「誘導標識」は、 上の 「問24」 での、「避難設備」に入り、
  @避難口誘導灯 と
  A通路誘導灯 が
  あります。
 誘導灯は、地階、無窓階及び11階以上の階なら設置が必要です。


 

 似たような、「非常用照明装置」については、建築基準法が定め「誘導灯」については、消防法が定めていることに、注意が必要です。
 建築基準法での、非常用照明装置については、下の 選択肢4 を参照してください。

 で、設問にもどりますと、法的な根拠は、消防法施行規則第28条の3 
(誘導灯及び誘導標識に関する基準の細目)
 第二十八条の三 避難口誘導灯及び通路誘導灯(階段又は傾斜路に設けるものを除く。次項及び第三項において同じ。)は、次の表の上欄に掲げる区分に応じ、同表の中欄に掲げる表示面の縦寸法及び同表の下欄に掲げる表示面の明るさ(常用電源により点灯しているときの表示面の平均輝度と表示面の面積の積をいう。第四項第二号及び第三号において同じ。)を有するものとしなければならない。

 区分   表示面の縦寸法(メートル)  表示面の明るさ(カンデラ)
 避難口誘導灯    A級  〇・四以上  五十以上
 B級  〇・二以上〇・四未満  十以上
 C級  〇・一以上〇・二未満  一・五以上
 通路誘導灯    A級  〇・四以上  六十以上
 B級  〇・二以上〇・四未満  十三以上
 C級  〇・一以上〇・二未満  五以上
 
 とあり、
 消防法施行規則第28条の3 では、カンデラ(光源そのものの明るさを測る単位)だけが規定されていますから、光源の種類としては白熱灯と蛍光灯に限られておらず、LEDランプでも可能ですから、設問の「LEDランプは、消防法により設置が義務付けられる避難口誘導灯の光源に用いることができる」は、適切です。

 また、参考:平成22年4月9日付:消防予第177号 を見ても、
 「光源となる照明器具の種類:蛍光灯・白熱電球・LED・その他 」 とあり、光源となる照明器具から、特にLEDランプを除外していません。


 また、消防法施行令第26条2項、
誘導灯及び誘導標識に関する基準)
 第二十六条
2 前項に規定するもののほか、誘導灯及び誘導標識の設置及び維持に関する技術上の基準は、次のとおりとする。
   一 
避難口誘導灯は、避難口である旨を表示した緑色の灯火とし、防火対象物又はその部分の避難口に、避難上有効なものとなるように設けること。
   二 
通路誘導灯は、避難の方向を明示した緑色の灯火とし、防火対象物又はその部分の廊下、階段、通路その他避難上の設備がある場所に、避難上有効なものとなるように設けること。ただし、階段に設けるものにあつては、避難の方向を明示したものとすることを要しない。
   三 客席誘導灯は、客席に、総務省令で定めるところにより計つた客席の照度が〇・二ルクス以上となるように設けること。
   四 誘導灯には、非常電源を附置すること。
   五 誘導標識は、避難口である旨又は避難の方向を明示した緑色の標識とし、多数の者の目に触れやすい箇所に、避難上有効なものとなるように設けること

 もあります。



4 LEDランプを、建築基準法により設置が義務付けられる非常用の照明装置の光源に用いる場合は、常温下で床面において水平面照度で2ルクス以上を確保することができるものとしなければならない。

〇 適切である。 蛍光灯やLEDランプを非常用の照明装置の光源に用いる場合は、常温下で床面において水平面照度で2ルクス以上を確保すること。
 平成29年 管理業務主任者試験 「問27」 

 こんどは、消防法ではなく、建築基準法が定める「非常用の照明装置」です。

 非常用の照明装置は、不特定多数の人々が利用する特殊建築物および一定規模以上の建築物の居室、採光上の無窓の居室などとその”避難経路に設ける”もので、劇場、映画館、病院、ホテル、共同住宅、学校、百貨店などに設置することが義務づけられています。(建築基準法施行令、第126条の4参照)
 火災時等による断線や停電などの非常時には自動的に非常電源に切替わり、室内や通路を明るく照らします。 


 そこで、LEDランプが、非常用の照明装置に使用できるかの根拠は、「非常用の照明装置の構造方法を定める件 昭和45年12月28日 建設省告示1830号 改正(平成29年6月2日)」
[第四 その他
 一
非常用の照明装置は、常温下で床面において水平面照度で一ルクス(蛍光灯又はLEDランプを用いる場合にあつては、二ルクス)以上を確保することができるものと しなければならない
 とあり、
 設問の「LEDランプを、建築基準法により設置が義務付けられる非常用の照明装置の光源に用いる場合は、常温下で床面において水平面照度で2ルクス以上を確保することができるものとしなければならない」は、適切です。

 この明るさ(ルクス)は、防犯とは異なり、かなり低めですから、混同しないようにしてください。



答え: 2 

 選択肢2 のLEDランプの事故などは、私の過去問題の解説を読んでいれば、正解は早い。

 ここは、かなり詳細に解説したので、6時間もかかっている。

《タグ》LEDランプ 発熱量 ルーメン 電気用品安全法 避難口誘導灯 非常用の照明装置 蛍光灯・LEDランプなら床面で2ルクス


*2020年 2月11日:やっと、「問25」まで、解説が終わった。
ここまで、問25  (問26からは、次へ)

次へ次へ

2020年 2月26日:再度、見直した。
解説再開始:2020年 1月31日〜2月11日
条文の記載開始:2020年 1月 4日 〜
解説開始:2019年12月13日
問題 Up 開始:2019年12月 8日

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