平成29年(2017年) マンション管理士 試験問題 及び 解説
ページ2(問26より問50まで)
建物の区分所有等に関する法律(以下、当解説では、「区分所有法」といいます)では、法律用語として「マンション」の定義がありません。しかし、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、当解説では、「マンション管理適正化法」といいます)第2条では、以下のように定義されていますので、マンションの用語を試験で使用する際にはこのような「マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号イに規定するマンションをいう」の表現が使用されます。
そこで、マンション管理適正化法第2条とは、
「(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
一 マンション 次に掲げるものをいう。
イ 二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項 に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項 に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設」
です。マンション管理適正化法第2条1号イによれば、「マンション」であるための要件は、
①2人以上の区分所有者 がいて、
②人の居住用の専有部分が1つでもあればいい
です。マンションの建物には、専有部分と共用部分しかなく、そして、マンションは専有部分と共用部分を含んだ建物と敷地及び附属施設の全体的なものであることに注意してください。
・「管理組合」…………………… 「区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体」 をいう。
☆マンション管理士 香川より; この定義の仕方には問題があります。
まず、区分所有法第3条とは、
「(区分所有者の団体)
第三条 区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。
」
です。
このマンション管理士試験では、区分所有法第3条前半に規定される「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体」を”即=管理組合”に置き換えていますが、区分所有法では、法人化された場合には、「管理組合法人」の規定はありますが、管理組合だけの規定は1つも存在しません。
法律で定義がされていない管理組合を国家試験として、直ちに「区分所有法第 3条に規定する区分所有者の団体をいう」は、適切ではありません。
※ ・マンション標準管理委託契約書は、平成30年3月9日付で24条に「反社会勢力の排除」などの改正があり、平成30年度の試験から出題適用となるので注意のこと。
・マンション標準管理規約は、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があり、平成30年度の試験から出題適用となるので注意のこと。
・マンションの管理の適正化に関する指針(国土交通省告示第490号)及びマンション標準管理規約は、平成28年3月14日付で大幅な改正があった。
・マンション標準管理委託契約書は、平成28年7月に改正があり、平成29年度の試験から出題適用となるので注意のこと。
・マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
・マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。
注:標準管理規約(単棟型」)は以下、当解説では、「単棟型」を略して、「標準管理規約」といいます。 〔問 26〕 役員の選任等に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切でないものはいくつあるか。 *理事長職の解任について |
問27 |
〔問 27〕 理事会において、次期通常総会に提出する役員選任の議案書作成に当たり、役員の選任要件について意見を求められたマンション管理士が行った次の助言のうち、標準管理規約によれば、適切でないものはどれか。 |
〔問 29〕 理事会運営に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。 |
問30 |
〔問 30〕 管理組合の書類の保管及び閲覧等に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。ただし、電磁的方法が利用可能ではない場合とする。 |
注:・マンション標準管理委託契約書は、平成30年3月9日付で24条に「反社会勢力の排除」などの改正があり、平成30年度の試験から出題適用となるので注意のこと。 〔問 32〕 甲管理組合と乙管理会社との間の管理委託契約に関する次の記述のうち、「マンション標準管理委託契約書及びマンション標準管理委託契約書コメント」(平成28年7月29日国土交通省土地・建設産業局長通達)によれば、適切なものはどれか。 また、平成30年3月9日付で、24条等の追加等 があるので、注意の事。 |
〔問 33〕 手続上、総会決議を経ることなく、理事会の決議又は承認により行うことができる事項は、標準管理規約によれば、次のうちどれか。 |
〔問 34〕 平成29年3月25日に、甲マンション管理組合の普通預金口座に、組合員Aから、管理費450,000 円(月額30,000 円)が入金された。450,000
円の内訳は、平成28 年2月分から平成29 年4月分までの15ヵ月分であった。平成29 年3月に管理組合が行うべき仕訳として適切なものは次のうちどれか。ただし、会計処理は毎月次において発生主義の原則によるものとし、会計年度は平成28
年4月1日から平成29 年3月31 日までとする。 *私の過去問題の解説を読んでいる人には、度々の重なる説明で恐縮ですが、マンションの管理組合では、明確な会計基準がありません。 会計処理は、以下の原則があります。
これを前提に、設問を見ていきましょう。 *平成29年3月25日(まだ平成28年度中です)に、普通預金口座に ①管理費...¥450,000 の入金があった。 → これにより、「現金預金」勘定の借方(資産の増加)に ¥450,000が仕訳される。
*¥450,000の内訳は、平成28年2月から平成29年4月までの、15ヵ月分だった。 ここで、発生主義が意味を持ちます。 現在行っている仕訳は、平成29年3月25日ということは、 ② 平成28年2月から平成29年2月までの 13ヵ月分 ¥30,000/月 x 13ヵ月 = ¥390,000 は、既に過去の該当の月の仕訳で、 管理費の「未収金」勘定として処理がなされたとなります。 そこで、この ¥390,000は 貸方(未収金の減少)に仕訳けられます。
③入金の15ヵ月分のうち 1ヵ月分の ¥30,000 は 当月(3月)の管理費の収入ですから、これは、「管理費収入」勘定の発生として、貸方に仕訳けます。
④そして、入金 ¥450,000 での残り、¥30,000 は、平成29年4月分(次年度分)とのことですから、これは、3月度においては、まだ未発生ということで、「前受金」勘定の増加として、貸方に仕訳けます。
ということで、正解は、2 となります。 答え:2 仕訳の基本を押さえていれば、易しい。 《タグ》 会計 仕訳 発生主義 現金預金 未収金 前受金 |
〔問 35〕 甲マンション管理組合の平成26年度から平成28年度までの3年間の管理費会計比較収支報告書(会計年度は4月から翌年3月まで)は下表のとおりである。これに関し、会計担当理事が理事会で行った次の説明のうち、適切なものはどれか。ただし、会計処理は発生主義の原則によるものとし、資金の範囲は、現金預金、未収金、未払金、前受金及び前払金とする。(表中の×××は、金額を表す。) |
〔問 36〕 マンションの建物の調査機器と調査方法に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。 |
〔問 37〕 マンションの建物の維持保全に関する法令の規定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 |
〔問 38〕 マンションの外壁の補修工事に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。 |
〔問 39〕 大規模修繕工事、長期修繕計画及び修繕積立金に関する次の記述のうち、「長期修繕計画作成ガイドライン及び同コメント」(平成20 年6月国土交通省公表)及び「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(平成23
年4月国土交通省公表)によれば、適切でないものはどれか。 |
〔問 40〕 マンションの建物に用いられる構造形式に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。 |
〔問 41〕 マンションの室内環境に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。 |
〔問 42〕 建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(平成27 年法律第53 号)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 |
〔問 43〕 マンションの給水設備に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。 |
〔問 44〕 マンションの設備に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。 |
〔問 45〕 マンションの設備の清掃及び保守点検に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。 |
*注:問46から問50までは、マンション管理士試験か管理業務主任者試験の合格者には免除される部分です。また、この問46から問50は、「マンション管理適正化法」と「同指針」からの出題と決まっていますので、出題は例年似たような内容となります。過去問題はやっておくと楽です。 〔問 46〕 「マンションの管理の適正化に関する指針」(平成13年国土交通省告示第1288号)において定められている「マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本的事項」に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。 |
〔問 47〕 マンション管理士に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものはどれか。 |
〔問 48〕 マンション管理業者の業務に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。 |
〔問 49〕 「マンション管理適正化推進センター」が行うマンション管理適正化法第92 条に規定された業務として、正しいものはいくつあるか。ただし、記述の中で「管理者等」とあるのは、同法第2条の規定によるものとする。 |
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ここまで、問50 |
2018年 3月 8日:再度見直した。
2018年 1月30日:どうやら、「問50」 まで終わった。
これで、平成28年の管理業務主任者試験の解説に移る。
まったく、トラブルもあって、時間がかかり、解説とは、大変な作業だ。
2018年 1月27日:「問42」を解説中に、またファイルが壊れて、再度やり直している。
まったく、参る。
2018年 1月12日:解説に着手。
問題文Up:2017年12月 1日