マンション生活での相談は、「マンション管理士 香川事務所」へ。

平成23年 管理業務主任者 試験問題 及び 解説

ページ1 (問1より問25まで)

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 謝辞:問題文の作成にあたっては、田辺様の協力を頂いています。

ご質問は、 「マンション管理士 香川事務所」へ。


*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。

※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。

*試験に臨んで、お節介なアドバイス
  1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
    殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
    そして、各選択肢を読み、○かXをつけます。
    問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。

  2.疑問な問題は、とりあえず飛ばす。
    回答の時間は限られています。
    そこで、回答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
    全部の回答が終わってから、再度戻って決定してください。

  3.複雑な問は、図を描く。
    甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
    この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。
    重要な点が分かってきます。

(出題者からの注意) 
  1 答は、各問題とも1つだけです。2つ以上の解答をしたもの、判読が困難なものは、正解としません。
    解答は、解答用紙の注意事項をよく読み、所定の要領で記入してください。
  2 問題中の法令等に関する部分は、平成23年4月1日現在で施行されている規定に基づいて出題されています。

解説者からのコメント:あやふやな出題、適切でない出題もあって、解答ができないのもあります。

一部の解説は、別途、解説者として募集した方からの、解説が入っていますので、幅広く活用してください。

※  マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
   マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。

問1

【問 1】 マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年法律第149号。以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号に規定する ものをいう。以下同じ。)の管理組合A(以下本問において「A」という。)の管理者B(以下本問において「B」という。)とマンション管理業者(マンショ ン管理適正化法第2条第8号に規定する者をいう。以下同じ。)C(以下本問において「C」という。)との間で管理委託契約(以下本問において「本件契約」 という。)が締結された場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 本件契約の締結に当たって契約書面が作成されたが、当該契約書面の押印につきBが実印を用いていない場合でも、本件契約の効力は妨げられない。

○ 正しい。 まず、私の過去のマンション管理士試験などの解説を既に読んだ人は、重複しますが、重要なので、 
  区分所有法では、法律用語として「マンション」の定義がありません。しかし、「マンション管理適正化法」第2条では、以下のように定義されていますので、マンションの用語を試験で使用する際には設問のような「マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号イに規定するマンションをいう」の表現が使用されます。
 そこで、マンション管理適正化法第2条とは、
 「(定義) 
  第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
     一  
マンション 次に掲げるものをいう。
       イ 二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項 に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項 に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設
       ロ 一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内にあるイに掲げる建物を含む数棟の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地及び附属施設」
 です。これによれば、「マンション」であるための要件は、
    @2人以上の区分所有者 がいて、 
    A人の居住用の専有部分が1つでもあればいい 
    です。
 また、設問のようなA,B,Cがでてきたら、出題では、省略されて、誰が誰だかわからなくなりますから、下のような図を、問題用紙の空白に書いておくといいでしょう。



  Nさんの解説...当該契約自体は書面を用いなくとも有効であり、当該契約書面に押印を用いなくても契約自体は有効であり、まして、当該契約書面にBが実印を用いなくても契約自体は有効である。当然、Aが実印を用いなくても当該契約自体は有効です。(ちなみに、保証契約は書面による契約をしなければならない。民法第446条2項。宅建試験受験経験有りの方なら馴染みと思われます。)

○ 正しい。
  香川の解説:マンションの管理組合と管理業者が締結する国土交通省推薦の定型的な「マンション標準管理委託契約書」の内容は、民法での請負契約と委任契約(準委任契約)と考えられる内容です。すると、請負契約としての民法第632条以下と委任契約としての民法第643条以下の適用になります。そこで、民法での契約のとらえ方ですが、契約は「原則として申込をする人と承諾をする人との意思が合えば成立します(諾成契約)。その方式は自由(契約自由の原則)ですから、口約束でも成立します。契約内容を書面にするのは、契約の存在や内容に争いがあった場合に、証明がし易いために用いられます。書面でなくても、別の方法で挙証できれば、特に書面にすることは求められていません。そこで、設問のような、「当該契約書面の押印につきBが実印を用いていない場合」でも、契約の効力は妨げられません。

 参考:民法
 (請負):第六百三十二条  請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
 (委任):第六百四十三条  委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
 (準委任):第六百五十六条  この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。



2 Bが、Cの代理人である場合には、Aは、本件契約が効力を生じないことを主張できる。

○ 正しい。
  Nさんの解説...この場合、Bは双方代理にあたり、契約が有効である為には、AとCの許諾が必要。(民法第108条。あとは、管理委託契約は委任契約又は準委任契約であり、当該契約が債務の履行にあたるかですが、通常、委任契約(当然、準委任契約も)はこれにあたらないとされています。例として、不動産登記の代理申請が債務の履行にあたるとの法務省の回答があります。大正14年9月18日法務省民事局8559号回答)

○ 正しい。 平成22年 管理業務主任者試験 「問4」 。
  香川の解説:管理者Bは、建物の区分所有等に関する法律(以下:区分所有法という)によりますと、通常その職務に関して、区分所有者を代理しています。
 区分所有法第26条2項
 「(権限)
  第二十六条
  2  管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。」とあり、
管理者は、管理委託契約を締結する場合に、管理組合(区分所有者の団体)の方の当事者となります。
 そして、設問では、管理者Bは、管理業者Cの代理人となっていますから、この管理委託契約締結においては、もう一方の当事者である管理業者も代理しています。すると、民法第108条
 「(自己契約及び双方代理)
  第百八条  同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。 」とあり、
対立する両当事者の代理人を兼ねること(双方代理)は、禁止されていますから、管理組合Aは、本件契約が効力を生じないことを主張できます。この規定の趣旨は、対立する両当事者の代理人を兼ねると本人にとって不利な状況が生じる可能性が強いためです。



3 本件契約が第三者からのBに対する強迫に基づいて締結された場合、Aは、強迫を理由に本件契約を取り消すことができる。

○ 正しい。 
  Nさんの解説...強迫に基づく契約は、相手が当事者であれ第三者であれAもBも本件契約を取り消すことができる。(民法第96条1項。詐欺と脅迫の違いに注意。)

○ 正しい。平成20年 管理業務主任者試験 「問2」 、 平成17年 管理業務主任者試験 「問2」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「問2」 。
  香川の解説:契約が、第三者から代理人のBに対する強迫に基づいて締結された場合には、民法第101条
 「(代理行為の瑕疵)
  第百一条  意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
   2  特定の法律行為をすることを委託された場合において、代理人が本人の指図に従ってその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。 」とあり、
1項により、事実の有無は代理人について判断をします。そして、その行為が強迫であれば、民法第96条
 「(詐欺又は強迫)
  第九十六条  詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
   2  相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
   3  前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。」とあり、
1項により、代理人Bへの強迫の場合には、法律効果の帰属を受ける本人Aが取消権を持っていますから、取り消せます。この場合代理人も取り消せるかは、代理人が代理を受けた範囲に取消権が入っていれば、代理人も取り消せます
(最高裁:平成10年5月26日。)詐欺の場合、第三者の詐欺では、取り消すことができないこともあります。ここは、民法のテキストを読んでください。(2012年 3月 9日:追記)



4 本件契約がBの動機の錯誤に基づいて締結された場合には、BがCに対してその動機を表示していないときでも、Bは、要素の錯誤を理由に本件契約の無効を主張することができる。 

X 誤っている。
  Nさんの解説...意思表示(本件契約)の動機に錯誤があっても、その動機が相手方に表示されなかったときは、法律行為(本件契約)の要素に錯誤があったものとはいえない。(最高裁判例昭和29年11月26日)この場合、民法第95条は適用できません。

X 誤っている。 平成22年 管理業務主任者試験 「問6」 、平成17年 管理業務主任者試験 「問2」 選択肢3 、平成15年 管理業務主任者試験 「問2」 。
  香川の解説:表示された内容と、内心の意思が一致していない勘違い・思い違い(錯誤)での契約となると、民法第95条
 「(錯誤)
  第九十五条  意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。 」とあり、
この要素の錯誤の解釈において、最終的な意思の表示は、表示された内容と一致していますが、その意思を決定した過程(意思形成をする動機)で発生した勘違い・思い違いをどう判断するかで争いがありました。そこで、最高裁:昭和29年11月26日の判決で、「意思表示をするに至った動機において錯誤が存在した場合に、その動機が意思表示の内容として表示されていれば、意思表示の内容の錯誤となり、民法第95条が適用されるとなっています。設問では、動機が相手方に表示されなかったときとありますから、契約の無効は主張できません。


答え:4 (ここは、Nさんからの、解説がありましたので、併記しました。 Nさん有難うございます。今年の管理業務主任者試験での民法は、扱う分野が新しい?)
問2

【問 2】 マンションの管理組合A(以下本問において「A」という。)とマンション管理業者B(以下本問において「B」という。)との間で管理委託契約が締結されていた状況の下で、Bが使用を許されていたA所有のパソコン(以下本問において「本件パソコン」という。)が盗難に遭った場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Bは、本件パソコンの管理につき善良なる管理者の注意を尽くしていたとしても、 Aに対して損害賠償責任を負わなければならない。

X 誤っている。
  Nさんの解説...問題文によると、「Aとの間で管理委託契約が締結されていた状況の下で、Bが使用を許されていた」とあります。本件パソコン使用は、委任の本旨に従い使用されていると推測され、選択文より、善良なる管理者の注意を尽くしていたとあります。このことから、本件パソコンの盗難に関して、Bに帰責事由はありません。つまり、無過失です。加えて、Bは管理委託契約を本旨に従って履行(委任事務又は準委任事務を処理)出来ないときは、Aに対して損害賠償請求もできます。(民法第650条3項。例、パソコンが使えず、仕事ができなった時等。)

X 誤っている。 平成16年 管理業務主任者試験 「問2」 、 平成13年 管理業務主任者試験 「問4」 。
  香川の解説:マンションの管理組合と管理業者が取り交わす管理委託契約は、通常、委任契約・請負契約と解されます。そこで、多くの事柄は、民法の委任の規定(民法第643条以下)が適用となります。
設問のような、管理組合から使用を許されていたパソコンが盗難にあった場合には、民法第644条
 「(受任者の注意義務)
  第六百四十四条  
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。」とあり、
業者(受任者)に必要とされる注意義務は、「善良な管理者の注意(その人の職業・社会的地位・能力からみて一般的に要求される注意)義務」です。設問では、 管理につき善良なる管理者の注意を尽くしていたとありますから、管理業者に賠償責任は追求できません。
 なお、民法のこの規定をうけ、マンション標準管理委託契約書5条
 「(善管注意義務)
  第五条 乙(管理業者)は、善良なる管理者の注意をもって管理事務を行うものとする。」と、規定されています。



2 Aは、本件パソコンの盗人に対して、盗難のあった時から1年を経過した時には、その返還を請求することはできない。

X 誤っている。
  Nさんの解説...選択文の1年が2年となります。(民法第193条。この場合、盗難は取引行為にあたらず即時取得は成立しませんが、民法第193条の類推適用となります。)

X 誤っている。

  香川の解説:盗品の返還請求は、民法第193条及び引用されている同法第192条が参考になります。
 民法第193条
 「(盗品又は遺失物の回復)
  第百九十三条  前条の場合において、
占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。 」とあり、
 前条の民法第192条は、
 「(即時取得)
  第百九十二条  取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。」です。
 盗品や遺失物が、第192条に規定される「取引行為」ではないため、第193条の「前条」の解釈をめぐっては、争いがありますが、第193条により、盗品の返還請求は、
盗難にあった時から、1年ではなく、2年間できます


3 盗人が、本件パソコンを当該マンションの敷地内に放置していた場合において、Aは、本件パソコンを平穏かつ公然及び善意かつ無過失で拾得した者に対して、その返還を請求することができる。

○ 正しい。
  Nさんの解説...この場合即時取得にあたらず、選択肢2と同様の考えとなります。選択文が盗難にあたるか、遺失物にあたるか迷うかも知れませんが、どちらにしても、民法第193条から解答を導けます。

○ 正しい。
  香川の解説:分かり難い設定文ですが、今度は、遺失物を拾った人に対しての返還請求ができるかです。
 これも、選択肢2で引用しました、民法第193条
 「(盗品又は遺失物の回復)
  第百九十三条  前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。 」とあり、
設問の「平穏かつ公然及び善意かつ無過失で拾得した者」は、民法法第192条
 「(即時取得)
  第百九十二条  取引行為によって、
平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。 」との混同を狙ったものと思われますが、第192条では、「取引行為」が要件で、盗品や遺失物の場合には該当しません。被害者または落とした人(遺失者)は、平穏かつ公然及び善意かつ無過失で拾得した者にも、返還請求ができます。


4 Aは、本件パソコンを盗人から平穏かつ公然及び善意かつ無過失で買い受けた者に対して、その者が盗人に支払った代価を弁償すれば、いつでもその返還を請求することができる。

X 誤っている。
  Nさんの解説...盗難物を買い受けたものが法的に保護されるには売買に要件が入ります。「占有者が、盗品又は遺失物を、競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができない。」とあります(民法第194条)。Aは本件パソコンを無償で返還請求できます(民法第193条)。話はそれますが、選択文によると、盗人から本件パソコンを買い受けたものが、本件パソコンを即時取得したと言えるかは疑問が残ります(民法第192条)。しかしながら、即時取得で無いにしても民法第193条により、Aは本件パソコン返還請求できます。

X 誤っている? 
  香川の解説:盗品を買った場合には、民法第194条
 「第百九十四条  占有者が、盗品又は遺失物を、競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができない。」とあり、
被害者は、占有者が払った金額を弁償すれば、もとの物を返還請求できます。その際の、買受人の条件は「善意」だけで、「平穏かつ公然及び善意かつ無過失」までは、求められていません。
 また、設問の「いつでもその返還を請求することができる」についても、選択肢2で引用しました、民法第193条
 「(盗品又は遺失物の回復)
  第百九十三条  前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、
盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。 」とあり、
代価を弁償すれば、「いつでも」返還請求できるものではなく、「盗難又は遺失の時から二年間」にしなければ、ダメです。(2012年 2月18日:追記)
参考:最高裁判決:平成12年6月27日:
   一 盗品又は遺失物の占有者は、民法一九四条に基づき右盗品等の引渡しを拒むことができる場合には、代価の弁償の提供があるまで右盗品等の使用収益権を有する。
   二 盗品の占有者が民法一九四条に基づき盗品の引渡しを拒むことができる場合において、被害者が代価を弁償して盗品を回復することを選択してその引渡しを受けたときには、占有者は、盗品の返還後、同条に基づき被害者に対して代価の弁償を請求することができる。



答え:3  (ここも、Nさんからの、解説がありましたので、併記しました。 Nさん有難うございます。 しかし選択肢4は、「善意」の解釈で、ここまで厳密に想定しているのか設問として、曖昧さがある。”盗人”が出るとは、出題者も苦労している?)

問3

【問 3】 マンションの専有部分を所有するAが、当該専有部分をBに賃貸した場合に関する次の記述のうち、民法、借地借家法(平成3年法律第90号)及び建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下「区分所有法」という。)の規定によれば、正しいもののみの組合せはどれか。

ア Bが当該専有部分の引渡しを受けた場合には、その引渡後に当該専有部分の所有権がAからCに譲渡されたときでも、Bは、自己の賃借権をCに対し対抗できる。

○ 正しい。 対抗できます。 平成17年 マンション管理士試験 「問14」 。
  正解がいくつあるかを問う個数問題です。平成23年は、管理業務主任者試験で最近の傾向である個数問題が、もう出ている。
  賃借人が建物の引き渡しを受けると、その後、大家(賃貸人)が変更しても、賃借人は、賃借権をその変更した大家に対して対抗できます。それは、借地借家法第31条
 「(建物賃貸借の対抗力等)
  第三十一条
 建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。
   2  民法第五百六十六条第一項 及び第三項 の規定は、前項の規定により効力を有する賃貸借の目的である建物が売買の目的物である場合に準用する。
   3  民法第五百三十三条 の規定は、前項の場合に準用する。」とあり、
1項に該当しています。



イ Bが当該専有部分について支出した費用のうち、Aは、必要費については直ちにBに償還する義務を負うが、有益費については賃貸借終了時に償還すればよい。

○ 正しい。 平成18年 管理業務主任者試験 「問4」 、平成15年 管理業務主任者試験 「問4」 、平成13年 マンション管理士試験 「問14」 。
賃借人Bが賃借物に対して、大家(賃貸人)Aの負担すべき費用を支出すると、民法第608条1項、2項
 「(賃借人による費用の償還請求)
  第六百八条  賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
   2  賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第百九十六条第二項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。」とあり、
必要費(目的物の保存・管理・維持に必要とされる費用)は、大家Aに対してすぐ償還請求ができます(1項)、しかし、有益費(目的物の価値の増加のために支出された費用)の場合には、大家Aは、賃貸借終了時に償還すればいい(2項)となります。
 参考:民法第196条2項:(占有者による費用の償還請求)「 2  占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。」



ウ Bが当該専有部分をAに無断でDに転貸した場合には、BD間の賃貸借(転貸借)は無効であるから、Bは、Dに対して賃料を請求することはできない。

X 誤っている。 平成19年管理業務主任者試験 「問6」 や 平成18年マンション管理士 試験 「「問5」 、平成20年マンション管理士試験 「問3」 など。
  無断での転貸借の問題です。その場合は、通常、民法第612条
 「(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
  第六百十二条  賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
   2  賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。」とありますが、
解釈上、賃貸人の承諾を得ない賃借権の譲渡、または転貸借は、全然無効ではなく、賃借人と譲渡人または転借人との間では有効であり、ただ、賃貸人に対抗できないとされています。賃借人Aと転借人Cの転貸借契約は有効で、賃借人Bは、転貸人Dに対して、賃料の支払いを請求することができます。(大審院 明治40・5・27)



エ Bが当該専有部分を規約に定める用途に違反して使用している場合でも、AB間の賃貸借契約に違反しないときには、Bは、現状のままでの使用が認められる。

X 誤っている。 マンションにおいては、賃借人は占有者として、オーナー(区分所有者)と同じように、建物等の使用方法を守ることが定められています。それが、区分所有法第46条2項です。
 「(規約及び集会の決議の効力)
  第四十六条  規約及び集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても、その効力を生ずる。
   
2  占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。」
この規定により、賃借人Bは、規約に定められた用方に従ってその専有部分を使用しなければなりません。また、占有者として守ることは、区分所有法第6条3項にもあります。
 「(区分所有者の権利義務等)
  第六条  区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
   2  区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。
   
3  第一項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者(以下「占有者」という。)に準用する。」


1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・ウ
4 イ・エ


答え:1 (正しいのは、ア と イ )

問4

【問 4】 マンションの管理組合A(以下本問において「A」という。)とマンション管理業者B(以下本問において「B」という。)との間で管理委託契約(以下本問に おいて「本件契約」という。)が締結されたが、同契約において、Bに管理事務を行わせるためAに帰属する管理事務室(以下本問において「本件管理事務室」 という。)を無償で使用させる旨が定められている場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 本件管理事務室の使用は無償であるため、Aは、Bに対して、いつでも本件管理事務室の返還を請求することができる。

X 誤っている。 使用貸借は、管理業務主任者試験では、よく出る。 平成19年管理業務主任者試験 「問3」 、 平成16年管理業務主任者試験 「問3」 など。
  管理事務室の使用が無償でその返還は、となると、使用貸借として、民法第597条
 「(借用物の返還の時期)
  第五百九十七条  
借主は、契約に定めた時期に、借用物の返還をしなければならない
   2  当事者が返還の時期を定めなかったときは、借主は、契約に定めた目的に従い使用及び収益を終わった時に、返還をしなければならない。ただし、その使用及び収益を終わる前であっても、使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、貸主は、直ちに返還を請求することができる。
   3  当事者が返還の時期並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも返還を請求することができる。」とあり、
1項により借主である管理業者Bは、管理委託契約では、通常、契約の有効期間が定められている筈ですから、その契約での終了時期に返還します。 管理組合Aは、管理業者Bに対して、「いつでも」本件管理事務室の返還を請求することはできません。(民法第597条からの出題としては、かなり、強引な感じがする。



2 本件管理事務室の使用期間を1年未満と定めることはできず、1年未満の期間の定めをしたときは、期間の定めのないものとみなされる。

X 誤っている。 無償で管理事務室の使用が定められていれば、民法での使用貸借となり、設問のような規定はありません。選択肢1参照。1年未満の使用期間の定めがあれば、それも有効です。


3 本件契約に別段の定めがない限り、本件管理事務室の通常の必要費については、Aが負担する。

X 誤っている。 使用貸借での費用負担は、民法第595条
 「(借用物の費用の負担)
  第五百九十五条  
借主は、借用物の通常の必要費を負担する
   2  第五百八十三条第二項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する。」とあり、
引用されています民法第583条は、
 「(買戻しの実行)
  第五百八十三条  売主は、第五百八十条に規定する期間内に代金及び契約の費用を提供しなければ、買戻しをすることができない。
   2  買主又は転得者が不動産について費用を支出したときは、売主は、第百九十六条の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、有益費については、裁判所は、売主の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。」です。
民法第595条1項によりますと、「通常の必要費(応急的な小修繕程度)の負担」は、借主である管理業者Bが負担します。管理組合Aではありません。(無料で借りている以上、まあ当然でしょう。)



4 Aは、本件契約の本旨に反する本件管理事務室の使用によって損害が生じた場合、 Bに対し、その賠償請求をすることができるが、本件管理事務室の返還を受けたときには、その時から1年以内に請求しなければならない。

○ 正しい。 使用貸借で、契約の本旨に反する管理事務室の使用によって損害が生じた場合には、民法第600条
 「(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)
  第六百条  
契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない。 」とあり、
貸主の管理組合Aは、管理業者Bに対し、その賠償請求をすることができますが、いつまでも損害賠償請求はできず、管理事務室の返還を受けた時には、その時から1年以内に請求しなければなりません。



答え:4 (使用貸借のこの条文からの出題は、新しい。 民法の条文を全部読んでいないと 選択肢3 が迷うかも。)

問5

【問 5】 制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいも のはどれか。

1 成年被後見人が、成年後見人の同意を得て行ったマンションの賃貸借契約は、取り消すことができない。

X 誤っている。 まず、精神上の障害により、事理を弁識する能力を欠く常況にある人は後見開始の審判を受けると、成年被後見人となり、成年被後見人を保護する人として、成年後見人がつきます。(民法第7条、同第8条参照)
 そこで、成年被後見人の法律行為については民法第9条
 「(成年被後見人の法律行為)
  第九条  成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。 」とあり、
日用品の購入その他日常生活に関する行為については、取り消しができませんが、その他の法律行為(マンションの賃貸借契約など)は、たとえ、成年後見人の同意を得ていても取り消しができます。成年被後見人は、通常、理解・判断能力を欠いているので、例え、成年後見人が同意を与えても、その内容を理解して法律行為を行っているとは考え難いための規定です.。なお、民法第859条の3 も参照のこと。
 「(成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可)
  第八百五十九条の三  成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。」



2 成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が所有する居住の用に供するマンションの専有部分について抵当権を設定する場合には、家庭裁判所の許可を得なければならない。

○ 正しい。 平成17年 管理業務主任者試験 「問1」 。
  先走って選択肢1で参照にしましたが、設問の場合、民法第859条の3
 「(成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可)
  第八百五十九条の三  成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。」とあり、
該当しています。



3 未成年者が、マンションの専有部分をその区分所有者から賃借した場合は、法定代理人の同意を得ているか否かにかかわらず、当該賃貸借契約を取り消すことができる。

X 誤っている。 今度は、未成年者(年齢20歳未満の者)の法律行為となると、民法第5条
 「(未成年者の法律行為)
  第五条  未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
   2  前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
   3  第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。」とあり、
1項及び2項により、 法定代理人(親など)の同意を得れば、その法律行為は、有効ですから、賃貸借契約を取り消すことができません。



4 被保佐人が、自己の所有するマンションの専有部分につき大修繕のための請負契約を締結する場合には、保佐人の同意を得る必要はない。

X 誤っている。 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者は、保佐開始の審判を受けると、被保佐人なり、その被保佐人には、保護をする保佐人が付きます。(民法第11条、同法第12条。) そして、被保佐人となると、成年被後見人ほどではありませんが、行為について、保佐人の同意が求められます。それが、民法第13条
 「(保佐人の同意を要する行為等)
  第十三条  被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書(注:日用品の購入その他日常生活に関する行為)に規定する行為については、この限りでない。
     一  元本を領収し、又は利用すること。
     二  借財又は保証をすること。
     三  不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
     四  訴訟行為をすること。
     五  贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法 (平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項 に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
     六  相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
     七  贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
     
八  新築、改築、増築又は大修繕をすること。
     九  第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。
   2  家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
   3  保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。
   4  保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。 」とあり、
設問の「マンションの専有部分につき大修繕のための請負契約 を締結する場合」は1項8号に該当し、保佐人の同意が必要です。


答え:2 (ここらは、基本です。)

問6

【問 6】 甲マンションと乙マンションの各敷地が隣接している場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 甲マンションの管理組合は、乙マンションの敷地との境界又はその付近において、 甲マンションを修繕するため必要な範囲内で、乙マンションの敷地の使用を請求することができる。

○ 正しい。 この設問は、突き詰めていくと、区分所有法第3条で規定される、区分所有者の団体の存在と管理組合の権限などで不適切ですが、単純に「所有者=管理組合」と判断して、解説します。(参考:平成23年 マンション管理士試験 「問14」 )
   土地や建物の所有権の近隣との関係(限界)を規定しているのは、民法第209条以下があります。ここは、「相隣関係」と呼ばれます。
   設問の隣地の使用請求は民法第209条
 「(隣地の使用請求)
  第二百九条  
土地の所有者は、境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求することができる。ただし、隣人の承諾がなければ、その住家に立ち入ることはできない。
   2  前項の場合において、隣人が損害を受けたときは、その償金を請求することができる。」とあり、
建物を修繕するため必要な範囲内で、乙マンションの敷地の使用を請求することができます。では、請求しても、相手が承諾しないとどうなりますか?(参考:民法第414条但し書き)


2 境界線上に設けられた障壁は、甲マンションの管理組合と乙マンションの管理組合の共有に属するものと推定される。

○ 正しい。 障壁とは、隣接した土地の間に設けられた壁などです。これは、民法第229条
 「(境界標等の共有の推定)
  第二百二十九条  境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する。」とあり、
特に決めていない場合には、甲マンションの管理組合と乙マンションの管理組合の共有に属するものと推定されます。(”
推定”です。”みなす”との違いに注意のこと。)


3 甲マンションの管理組合は、乙マンションの管理組合と共同の費用で、境界標を設けることができる。

○ 正しい。 境界標を設けたければ、民法第223条
 「(境界標の設置)
  第二百二十三条  
土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。」とあり、
費用を共同にして、設けられます。



4 甲マンションの管理組合は、乙マンションの敷地の樹木(乙マンションの管理組合の所有)の枝が境界線を越えるときは、その枝を自ら切除することができる。

X 誤っている。 昔から民法の問題で出る初歩的な箇所。隣地から伸びてきた根と枝の関係は、民法第233条
 「(竹木の枝の切除及び根の切取り)
  第二百三十三条  隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
   2  隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。」とあり、
1項によると、隣地の木や竹の枝が境界線を越えてきても、勝手に切ってはいけません。一応、隣地の所有者に話して、切ってもらうことになっています。(じゃあ、根が侵入したら? その木が柿の木で、実が熟して、落ちてきたら、勝手に食べていい?)



答え:4 (またまた、新しい民法の条文からの出題だ。ここは、厳密には管理組合=所有者とすることには問題がありますが。単純に、とらえれば、いい?)

問7

【問 7】 マンションの管理委託契約の更新等に関する次の記述のうち、マンション標準管理委託契約書及びマンション標準管理委託契約書コメント(平成21年10月2 日国総動指第30号。国土交通省建設流通政策審議官通知。以下「マンション標準管理委託契約書」という。)の定めによれば、適切なものはいくつあるか。

ア 契約に関する有効期間を定め、その上で、有効期間が満了する日の3月前までに、管理組合と管理業者の合意があれば自動更新される。

X 適切でない。 平成20年 管理業務主任者試験 「問9」 、 平成18年 マンション管理士試験 「問33」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問7」 、平成15年管理業務主任者試験 「問8」 。
  いくつあるかときく、個数問題です。
  契約ですから、一応有効期限を定めます。それは、マンション標準管理委託契約書(以下「標準管理委託契約書」という)20条。 
 「(本契約の有効期間)
  第20条 本契約の有効期間は、○○年○月○日から○○年○月○日までとする。」です。
この契約の更新については、標準管理委託契約書21条
 「(契約の更新)
  第21条 甲(マンション管理組合をいう。以下同じ)又は乙(管理業者をいう。以下同じ)は、本契約を更新しようとする場合、本契約の有効期間が満了する日の三月前までに、その相手方に対し、書面をもって、その旨を申し出るものとする。
   2 本契約の更新について申出があった場合において、その有効期間が満了する日までに更新に関する協議がととのう見込みがないときは、甲及び乙は、本契約と同一の条件で、期間を定めて暫定契約を締結することができる。」とあり、
1項によると、「有効期間が満了する日の三月前までに、その相手方に対し、書面をもって、その旨を申し出る」ことになっていて、それから先の「自動更新」は認めていません。以前は、標準管理委託契約書でも「自動更新」を認めていましたが、いつの間にか解約内容が不明になるなどの弊害があってやめました。次の選択肢2のように、期間を限定して暫定契約を結ぶことはできますが、基本として、契約は更新されても、その際に、重要事項の説明は必要です。



イ 有効期間が満了する日の3月前までに更新の申出があった場合において、更新に関する協議がととのう見込みがないときは、管理組合及び管理業者は、本契約と同一の条件で、期間を定めて暫定契約を締結することができる。

○ 適切である。 これは、選択肢アで引用しました標準管理委託契約書21条2項。
 「2 本契約の更新について申出があった場合において、その有効期間が満了する日までに更新に関する協議がととのう見込みがないときは、甲及び乙は、本契約と同一の条件で、期間を定めて暫定契約を締結することができる。」とあり、
適切です。



ウ 管理組合又は管理業者は、契約を更新しようとする場合、有効期間が満了する日の3月前までに、その相手方に対し、書面をもって、その旨を申し出るものとする。

○ 適切である。 ここも、選択肢アで引用しました、標準管理委託契約書21条1項
 「(契約の更新)
  第21条 甲又は乙は、本契約を更新しようとする場合、本契約の有効期間が満了する日の三月前までに、その相手方に対し、書面をもって、その旨を申し出るものとする。」とあり、
適切です。



エ 管理業者は、管理組合の債務不履行を理由に管理委託契約を解除する場合を除いて、有効期間満了の日まで契約を解約することはできない。

X 適切でない。 通常、契約は締結も解除も、制限があることもありますが、契約の双方からできます。
 まず、前半の「管理組合の債務不履行を理由に管理委託契約を解除する場合」は、標準管理委託契約書18条
 「(契約の解除)
 第18条 甲及び乙は、その相手方が、本契約に定められた義務の履行を怠った場合は、相当の期間を定めてその履行を催告し、相手方が当該期間内に、その義務を履行しないときは、本契約を解除することができる。この場合、甲又は乙は、その相手方に対し、損害賠償を請求することができる。
  2 甲は、乙が次の各号のいずれかに該当するときは、本契約を解除することができる。
    一 乙が銀行の取引を停止されたとき、若しくは破産、会社更生、民事再生の申立てをしたとき、又は乙が破産、会社更生、民事再生の申立てを受けたとき
    二 乙が合併又は破産以外の事由により解散したとき
    三 乙がマンション管理業の登録の取消しの処分を受けたとき」とあり、
1項により、契約が不履行なら、管理業者も管理組合も、互いに相当の期間を定めてその履行を催告し、相手方が当該期間内に、その義務を履行しないときは、契約期間中でも本契約を解除することができます。
そして、標準管理委託契約書19条
 「(解約の申入れ)
  第19条 前条の規定にかかわらず、甲及び乙は、その相手方に対し、少なくとも三月前に書面で解約の申入れを行うことにより、本契約を終了させることができる。」とあり、
 管理業者からも管理会社からも、互いに、少なくとも3か月前に書面で解約の申入れを行うことにより、本契約を契約期間が満了しなくても終了させることができますから適切ではありません。(2012年3月7日:訂正・追記)



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ 


答え:2 (適切なものは、イ と ウ の2つ。)  (ここは、易しいが、いつの頃からか、管理業務主任者試験では、このような個数問題が当然のように多数出てくるようになったが、この個数問題は、4択よりも正解の確率が悪くなるので、出題方法としては、適切ではない。)

問8

【問 8】 マンション管理業者が行う管理事務に要する費用に関する次の記述のうち、マンション標準管理委託契約書の定めによれば、最も不適切なものはどれか。

1 マンション管理業者が管理事務を実施するため必要となる水道光熱費、通信費、消耗品費等の諸費用は、マンション管理業者が負担する。

X 不適切である。 平成20年 マンション管理士試験 「問33」 、平成20年 管理業務主任者試験 「問13」 、平成19年 管理業務主任者試験 「問8」 平成16年 管理業務主任者試験 「問13」平成15年 管理業務主任者試験 「問12」 。
このような費用は管理組合負担。 標準管理委託契約書6条4項。
 「(管理事務に要する費用の負担及び支払方法)
  第6条 甲(管理組合)は、管理事務として乙(管理業者)に委託する事務(別表第1から別表第4までに定める事務)のため、乙に委託業務費を支払うものとする。
   2 甲は、前項の委託業務費のうち、その負担方法が定額でかつ精算を要しない費用(以下「定額委託業務費」という。)を、乙に対し、毎月、次のとおり支払うものとする。
     一 定額委託業務費の額  合計月額○○円  消費税及び地方消費税抜き価格 ○○円  消費税額及び地方消費税額(以下、本契約において「消費税額等」という。)○○円
       内訳は、別紙1のとおりとする。
     二 支払期日及び支払方法
       毎月○日までにその○月分を、乙が指定する口座に振り込む方法により支払う。
     三 日割計算
       期間が一月に満たない場合は当該月の暦日数によって日割計算を行う。(1円未満は四捨五入とする。)
   3 第1項の委託業務費のうち、定額委託業務費以外の費用の額(消費税額等を含む。)は別紙2のとおりとし、甲は、各業務終了後に、甲及び乙が別に定める方法により精算の上、乙が指定する口座に振り込む方法により支払うものとする。
   
4 甲は、第1項の委託業務費のほか、乙が管理事務を実施するのに伴い必要となる水道光熱費、通信費、消耗品費等の諸費用を負担するものとする。」とあり、
4項に該当します。管理事務を行うために不可欠だと、標準管理委託契約書の作成者が判断したようです。



2 定額委託業務費とは、委託業務費のうち、その負担方法が定額でかつ精算を要しない費用のことをいう。

○ 適切である。 定額委託業務費とは選択肢1で引用しました、標準管理委託契約書6条2項
 「委託業務費のうち、その負担方法が定額でかつ精算を要しない費用(以下「定額委託業務費」という。」とあります。


3 定額委託業務費以外の業務費については、マンション管理業者が指定する口座に振り込む方法により支払う。

○ 適切である。 平成21年 管理業務主任者試験 「問7」 。
   選択肢1で引用しました、標準管理委託契約書6条3項
 「3 第1項の委託業務費のうち、定額委託業務費以外の費用の額(消費税額等を含む。)は別紙2のとおりとし、甲(管理組合)は、各業務終了後に、甲及び乙(管理業者)が別に定める方法により精算の上、乙が指定する口座に振り込む方法により支払うものとする。」とあります。乙は管理業者です。



4 マンション管理業者は緊急に行う必要がある業務で、管理組合の承認を受ける時間的余裕がないものについては、管理組合の承認を受けないで実施することができるが、この場合において、マンション管理業者は、速やかに、書面をもって、その業務の内容及び実施に要した費用の額を管理組合に通知しなければならない。

○ 適切である。 平成18年 管理業務主任者試験 「問8」 。
  設問のような場合は、標準管理委託契約書8条
 「(緊急時の業務)
  第8条 乙(管理業者)は、第3条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる災害又は事故等の事由により、甲のために、緊急に行う必要がある業務で、甲の承認を受ける時間的な余裕がないものについては、甲の承認を受けないで実施することができる。この場合において、乙は、速やかに、書面をもって、その業務の内容及びその実施に要した費用の額を甲に通知しなければならない。
     一 地震、台風、突風、集中豪雨、落雷、雪、噴火、ひょう、あられ等
     二 火災、漏水、破裂、爆発、物の飛来若しくは落下又は衝突、犯罪等
   2 甲は、乙が前項の業務を遂行する上でやむを得ず支出した費用については、速やかに、乙に支払わなければならない。ただし、乙の責めによる事故等の場合はこの限りでない。」とあり、
1項に該当しています。



答え:1 (ここは、標準管理委託契約書の各条文のままで、コメントのしようがない。)

問9

【問 9】 緊急時における管理事務に関する次の記述のうち、マンション標準管理委託契約書の定めによれば、不適切なものはいくつあるか。

ア 地震により共用部分の給水管から漏水が発生しているが、マンション管理業者が受託している給水設備の管理業務の内容は、水道法(昭和32年法律第177 号)に規定された水質検査や塩素等の測定、受水槽、給水管などの外観目視点検であることから、止水の作業を行うことはできない。

X 不適切である。 また、個数問題です。
   まず、給水設備が、標準管理委託契約書に入っているかの確認。
 「別表第4 建物・設備管理業務 3 給水設備 (1) 専用水道
   @水道法施行規則に規定する水質検査 回/年
   A水道法施行規則に規定する色度・濁度・残留塩素測定 回/日
   B水道施設の外観目視点検」とあり、
(2) 簡易専用水道でも同じような項目は入っています。
すると、緊急時対応として、標準管理委託契約書8条
 「(緊急時の業務)
  第8条 乙(管理業者)は、第3条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる災害又は事故等の事由により、甲(管理組合)の ために、緊急に行う必要がある業務で、甲の承認を受ける時間的な余裕がないものについ ては、甲の承認を受けないで実施することができる。この場合において、乙は、速やかに、 書面をもって、その業務の内容及びその実施に要した費用の額を甲に通知しなければなら ない。
     一 地震、台風、突風、集中豪雨、落雷、雪、噴火、ひょう、あられ等
     二 火災、漏水、破裂、爆発、物の飛来若しくは落下又は衝突、犯罪等
   2 甲は、乙が前項の業務を遂行する上でやむを得ず支出した費用については、速やかに、乙 に支払わなければならない。ただし、乙の責めによる事故等の場合はこの限りでない。」とあり、
地震により共用部分の給水管から漏水していれば、止水の作業ができます。(というより、常識として、このような、緊急時に、給水管からの止水作業ができないと決めることの方がおかしいですが。)


イ 地震により漏水が発生していることについて、マンション管理業者に通報があり、通報者の上階に位置する者の専有部分を調査する必要があるため、専有部分へ立ち入る場合には、その専有部分を所有する組合員に対し立入りの請求を行い、その承諾を得た後でなければ立ち入ることはできない。

X 不適切である。 平成20年 管理業務主任者試験 「問8」  。
  緊急時に専有部分に立ち入れなければ困ります。そこで、標準管理委託契約書13条3項、
 「(専有部分等への立入り)
  第13条 乙(管理業者)は、管理事務を行うため必要があるときは、甲(管理組合)の組合員等に対して、その専有部分又は専用使用部分(以下「専有部分等」という。)への立入りを請求することができる。
   2 前項の場合において、乙は、甲の組合員等がその専有部分等への立入りを拒否したときは、その旨を甲に通知しなければならない。
   3 第1項の規定にかかわらず、乙は、第8条第1項各号に掲げる災害又は事故等の事由により、
甲のために緊急に行う必要がある場合、専有部分等に立ち入ることができる。この場合において、乙は、甲及び乙が立ち入った専有部分等に係る組合員等に対し、事後速やかに、報告をしなければならない。」とあり、
3項により、選択肢アで引用しました、「緊急時の業務」として「その専有部分を所有する組合員に対し立入りの請求を行い、その承諾を得た後」でなくても立ち入れます
(しかし、その専有部分のオーナーが、鍵をかけて、室内に入れなかったらどうします?)


ウ マンション管理業者が、緊急時に管理組合の承認を得ることなく、やむを得ず行った業務については、承認を得ていないものであるから、管理組合は、当該業務に要した費用を支払う必要はない。

X 不適切である。 緊急時に管理業者が行った業務で費用が請求できなくては、業者は作業しません。そこで、選択肢イで引用しました、標準管理委託契約書8条2項
 「2 甲(管理組合)は、乙(管理業者)が前項の業務を遂行する上でやむを得ず支出した費用については、速やかに、乙に支払わなければならない。ただし、乙の責めによる事故等の場合はこの限りでない。」とあり、
管理組合に支払ってもらえます。


エ 地震発生後、被害状況の調査を行ったところ、エントランスホール入り口部分の天井が剥がれ、落下の可能性がある危険な状態にあるため、緊急に補修工事を行う必要がある場合でも、マンション管理業者は、管理組合の承認を受けなければ、当該工事の発注をすることはできない。

X 不適切である。 もう、常識でも、緊急時の対応として、補修工事を行う必要がある場合に管理組合の承認を得ることができなくても、当該工事の発注をすることはできます。具体的には、既に選択肢アなどで引用しました、標準管理委託契約書8条1項
 「(緊急時の業務)
  第8条 乙(管理業者)は、第3条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる災害又は事故等の事由により、甲(管理組合)のために、緊急に行う必要がある業務で、甲の承認を受ける時間的な余裕がないものについては、甲の承認を受けないで実施することができる。この場合において、乙は、速やかに、書面をもって、その業務の内容及びその実施に要した費用の額を甲に通知しなければならない。
     一 地震、台風、突風、集中豪雨、落雷、雪、噴火、ひょう、あられ等
     二 火災、漏水、破裂、爆発、物の飛来若しくは落下又は衝突、犯罪等」とあります。
なお、エントランスホールは管理対象部分です(標準管理委託契約書2条)。



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え:4 (不適切なものは、ア、イ、ウ、エ つまり全部。) (常識的な出題ですが、ここも個数問題で、他の出題のように1問だけに絞れないため、適当に読み流すことができず、検討に時間がかかるでしょう。)

問10

【問 10】 マンションの管理費の滞納に対する対策及びその法的手続について管理業務主任者(マンション管理適正化法 第2条 第9号に規定する者をいう。以下同 じ。)が管理者等に対して行った次の説明のうち、正しいものはどれか。

1 管理費の滞納額の全額でなくても、滞納者が一部の支払いであることを明示して、 一部の額を支払ったときは、その残額についても時効が中断します。

○ 正しい。 滞納と時効の中断はよく出る。 平成22年マンション管理士試験 「問7」 、平成22年管理業務主任者試験 「問10」 、 平成21年マンション管理士試験 「問13」 、平成21年管理業務主任者試験 「問10」 など。
   そこで、おさらいです。まず、時効制度とは、真実の法律関係と異なった事実であっても、その事実が永く存在していれば、その事実を信じた取引関係が発生し、後から覆させると混乱が生じる現実から、真実の権利関係よりも事実の方を優先して、事実に法律効果を認めようとする仕組みです。本来の法律の目的である正当な権利関係を守る仕組みから外れていることに注意してください。
時効には、一定の期間あることを継続することにより、権利を得る「取得時効」と、逆に一定の期間までに権利を行使しないと権利が無くなる「消滅時効」があります。しかし、この事実関係を覆えす事実が生じているのにもかかわらず、それを無視して時効期間の計算をすることも適切ではありません。そこで、民法では、権利者が真実の権利を主張したり、義務者がその真実の権利を途中で認めると、今まで経過した期間はなかったもの(リセット)として、また新しく時効の開始が始まるという考え方をとり、それらを”時効の中断事由”と呼んで規定しました。
 そこで、設問に戻りますと、「管理費の滞納額の全額でなくても、滞納者が一部の支払いであることを明示して、 一部の額を支払ったとき」には、判例:大審院 大正8年12月26日により、残額についての
承認となります。すると、民法第147条
 「(時効の中断事由)
  第百四十七条  時効は、次に掲げる事由によって中断する。
     一  請求
     二  差押え、仮差押え又は仮処分
    
 三  承認」とあり、
3号に該当し、時効は中断します。



2 滞納管理費を裁判外において書面で請求する場合、内容証明郵便により、6箇月ごとの催告を継続すれば、そのつど管理費債権の消滅時効が中断します。

X 誤っている。 滞納管理費を”裁判外”において書面で請求することは、選択肢1で引用しました、民法第147条1号の「請求」に該当しますが、この中断の効力は弱く、これだけでは結局中断の効力が生じないと解釈されています。それは、民法第153条があるためです。
 「(催告)
  第百五十三条  
催告は、六箇月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、民事調停法 若しくは家事審判法 による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断の効力を生じない。」とあり、
ここでの「催告」とは、債務者に履行を請求する行為で、例えば、管理費の滞納者に対して内容証明郵便をだすことはその1つですが、これは、何度繰り返しても、それだけでは、時効の中断事由にはなりません。催告をして、6か月以内に民法第153条に規定されています、 裁判上の請求(訴訟を起こす)等をしなければ、管理費債権の消滅時効は中断しないと解されています。



3 専有部分について賃貸借契約が締結され、その旨の通知が管理組合に対してなされた場合、滞納管理費の請求の訴えは、賃借人を被告としなければなりません。

X 誤っている。 今度は、時効の中断ではなく、マンションでの滞納管理費等の負担は、誰がするのかです。 
  これは、区分所有法第19条
 「(共用部分の負担及び利益収取)
  第十九条  各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。」とあり、
例え、専有部分が賃貸に出されていても、管理費や修繕積立金等は、共用部分の共有者である、区分所有者が負担しますから、滞納管理費の請求の訴えは、オーナー(賃貸人=区分所有者)を被告とします。賃借人ではありません。



4 滞納管理費を請求する場合、管理費の滞納額が60万円以下のときは、民事訴訟法(平成8年法律第109号)の「少額訴訟」の手続によらなければなりません。

X 誤っている。 少額訴訟は、平成16年 管理業務主任者試験 「問10」 にも。
  滞納管理費等の債権を回収する法的手段として民事訴訟法の「少額訴訟」の手続も1つの選択肢として選べるというだけです。
  では、少額訴訟制度とは、民事訴訟法第368条以下に設けられた制度で、この目的は、少額(訴額が60万円以下)の争いは、簡単に解決しようとするものです。その概要は、簡易裁判所で、相手方(被告)が異議を申し立てないと一回の審理で終了し、確定判決として、強制執行ができます。手数料も訴額の約1%と低額です。
 しかし、滞納額が、60万円以下といっても、必ずしも、少額訴訟制度によることを強制される規定ではありません。例えば、明らかに滞納者が異議を申しだてることが分かっていれば、「通常の訴訟」を起こすことになります。
 参考:民事訴訟法第368条以下
 「(少額訴訟の要件等)
  第三百六十八条  簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、
少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。ただし、同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数(注:年10回)を超えてこれを求めることができない。
   2  少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない。
   3  前項の申述をするには、当該訴えを提起する簡易裁判所においてその年に少額訴訟による審理及び裁判を求めた回数を届け出なければならない。」


答え:1 (ここは、過去問題をやっていれば、易しい。でも、今回は、解説を細かくした。)

問11

【問 11】 マンションの管理組合A(以下本問において「A」という。)とマンション管理業者B(以下本問において「B」という。)との間で管理委託契約が締結されたが、同契約では、Bが管理費等の滞納者(以下本問において「滞納組合員」という。)に対する同契約所定の督促を行っても、当該滞納組合員が支払わないときは、Bは責めを免れ、その後の収納の請求はAが行うものとされている場合に関し、Aが検討している次の方策のうち、民法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。

ア 滞納組合員に対して、連帯保証人を選任してもらい、以後は、滞納組合員と連帯保証人との間の保証委託契約を、もっぱら根拠として、滞納分について連帯保証人に対して請求したい。

X 誤っている。 紛らわしい設問で、サラット読むと、出題の意図が分からない。平成16年 管理業務主任者試験 「問6」 。
  滞納組合員(債務者)に対して、債務者と連帯して債務を保証してくれる連帯保証人を選任してもらうことは、勧められます。連帯保証人となると、民法第454条
 「(連帯保証の場合の特則)
  第四百五十四条  保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。 」とあり、
前2条とは、民法第452条と同第453条
 「(催告の抗弁)
  第四百五十二条  債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。」
 「(検索の抗弁)
  第四百五十三条  債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。」とあり、
単なる保証人と違って「催告の抗弁権(民法第452条)と検索の抗弁権(民法第453条)」を有しないため、債権者は、強力にその連帯保証人に対して支払いを請求できます。
 そこで、設問の「滞納組合員と連帯保証人との間の保証委託契約を、もっぱら根拠とする」ですが、連帯保証においては、単に滞納組合員と保証人が締結する「保証委託契約」ではなくて、債権者である管理組合とその連帯保証人との間において「特に連帯である旨」の契約が必要と考えられています。この契約でないため、誤っています。(2012年2月13日:一部追加)



イ 滞納組合員に対して、管理費等の債務が時効により消滅するのを防ぐために、時効完成前に、時効の利益を放棄する旨の文書を提出させておきたい。

X 誤っている。 平成17年 マンション管理士試験 「問15」 。
  時効は完成後なら放棄できますが、事前には放棄できないとなっています。それが、民法第146条。
 「(時効の利益の放棄)
  第百四十六条  時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。 」です。

この規定の目的は、設問のように、債権者があらかじめ時効を放棄させると、時効制度を設けた趣旨が損なわれるためです。


ウ 滞納組合員が、Aに対して金銭債権(不法行為を理由とする以外の債権)を有しているときは、滞納額と同債権にかかる債権額とを対等額にて相殺したい。

○ 正しい。 相殺は、平成22年 マンション管理士試験 「問12」 、平成22年 マンション管理士試験 「問15」 、平成16年 マンション管理士試験 「問16」 選択肢4 。
相殺の要件としては、民法第505条
 「(相殺の要件等)
  第五百五条  二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
   2  前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。 」とあり、
設問の場合相殺ができます。設問で、「不法行為を理由とする以外の債権」とあるのは、相殺で民法第509条
 「(不法行為により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止)
  第五百九条  債務が不法行為によって生じたときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。 」とあるためです。


エ Aの収納請求の事務上の負担を軽減するために、滞納組合員に対して、以後は、管理費等を供託所に供託させることにしたい。

X 誤っている。 これは、供託の制度と異なった利用方法ですから誤っています。
  供託とは。民法第494条
 「(供託)
  第四百九十四条  債権者が弁済の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、弁済をすることができる者(以下この目において「弁済者」という。)は、債権者のために弁済の目的物を供託してその債務を免れることができる。弁済者が過失なく債権者を確知することができないときも、同様とする。 」とあり、
設問では、債権者(管理組合)が@弁済の受領を拒み とか、 A受領することができないとき でもありません から、供託には馴染みません。
供託が認められるのは、法令(例えば、民法、商法、民事訴訟法、民事執行法等)の規定によって、供託が義務付けられている場合または供託をすることが許容されている場合に限られています。


1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え:3 (誤っているのは、 ア、イ、エ の3つ) (選択肢ア の解説は、面倒だった。エ の供託とは、新しい出題だ。)

問12

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問 12】 区分所有者が納入する修繕積立金に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約及びマンション標準管理規約コメント(単棟型)平成16年1月23日国総 動第232号・国住マ第37号。国土交通省総合政策局長・同住宅局長通知。(以下「マンション標準管理規約」という。)の定めによれば、最も適切なものはどれか。


注:標準管理規約は、平成23年(2011年) 7月27日付けで、単棟型、団地型、複合型とも一部、役員の資格や委任状のコメントなど改正があったので、平成24年の受験生は、改正後の標準管理規約を入手して、勉強してください。
 改正点は、出題傾向が高いですよ。


1 長期修繕計画の作成又は変更に要する経費は、修繕積立金を取り崩して支払わなければならない。

X 適切でない。 ここは、過去からよく出題がある。平成21年管理業務主任者試験 「問26」 、 平成19年管理業務主任者試験 「問32」 など。 平成23年 マンション管理士試験 「問26」 肢4 。
  まず、長期修繕計画の作成又は変更の業務は、管理組合の業務としてマンション標準管理規約(以下「標準管理規約」という)32条
 「(業務)
  第32条 管理組合は、次の各号に掲げる業務を行う。
     一 管理組合が管理する敷地及び共用部分等(以下本条 及び第48条 において「組合管理部分」という。)の保安、保全、保守、清掃、消毒及びごみ処理
     二 組合管理部分の修繕
     
三 長期修繕計画の作成又は変更に関する業務
     四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査に関する業務
     五 適正化法第103条 に定める、宅地建物取引業者から交付を受けた設計図書の管理
     六 修繕等の履歴情報の整理及び管理等
     七 共用部分等に係る火災保険その他の損害保険に関する業務
     八 区分所有者が管理する専用使用部分について管理組合が行うことが適当であると認められる管理行為
     九 敷地及び共用部分等の変更及び運営
     十 修繕積立金の運用
   十一 官公署、町内会等との渉外業務
   十二 風紀、秩序及び安全の維持に関する業務
   十三 防災に関する業務
   十四 広報及び連絡業務
   十五 地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成
   十六 管理組合の消滅時における残余財産の清算
   十七 その他組合員の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保するために必要な業務」とあり、
3号に規定されていて、その長期修繕計画の作成又は変更に要する経費は、管理費から出すのか、修繕積立金から出すのかが、同コメント
 「第32条 関係
  @建物を長期にわたって良好に維持・管理していくためには、一定の年数の経過ごとに計画的に修繕を行っていくことが必要であり、その対象となる建物の部分、修繕時期、必要となる費用等について、あらかじめ長期修繕計画として定め、区分所有者の間で合意しておくことは、円滑な修繕の実施のために重要である。
  A長期修繕計画の内容としては次のようなものが最低限必要である。
    1 計画期間が25年程度以上であること。なお、新築時においては、計画期間を30年程度にすると、修繕のために必要な工事をほぼ網羅できることとなる。
    2 計画修繕の対象となる工事として外壁補修、屋上防水、給排水管取替え、窓及び玄関扉等の開口部の改良等が掲げられ、各部位ごとに修繕周期、工事金額等が定められているものであること。
    3 全体の工事金額が定められたものであること。
    また、長期修繕計画の内容については定期的な(おおむね5年程度ごとに)見直しをすることが必要である。
  B長期修繕計画の作成又は変更及び修繕工事の実施の前提として、劣化診断(建物診断)を管理組合として併せて行う必要がある。
  
C長期修繕計画の作成又は変更に要する経費及び長期修繕計画の作成等のための劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、管理組合の財産状態等に応じて管理費又は修繕積立金のどちらからでもできる。
   ただし、修繕工事の前提としての劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、修繕工事の一環としての経費であることから、原則として修繕積立金から取り崩すこととなる。
  D管理組合が管理すべき設計図書は、適正化法第103条 に基づいて宅地建物取引業者から交付される竣工時の付近見取図、配置図、仕様書(仕上げ表を含む。)、各階平面図、2面以上の立面図、断面図又は矩計図、基礎伏図、小屋伏図、構造詳細図及び構造計算書である。ただし、同条 は、適正化法の施行(平成13年8月1日)前に建設工事が完了した建物の分譲については適用されてないこととなっており、これに該当するマンションには上述の図書が交付されていない場合もある。
   他方、建物の修繕に有用な書類としては、上述以外の設計関係書類(数量調書、竣工地積測量図等)、特定行政庁関係書類(建築確認通知書、日影協定書等)、消防関係書類、機械関係設備施設の関係書類、売買契約書関係書類等がある。
   このような各マンションの実態に応じて、具体的な図書を規約に記載することが望ましい。
  E修繕等の履歴情報とは、大規模修繕工事、計画修繕工事及び設備改修工事等の修繕の時期、箇所、費用及び工事施工者等や、設備の保守点検、建築基準法第12条 第1項及び第2項の特殊建築物等の定期調査報告及び建築設備(昇降機を含む。)の定期検査報告、消防法第8条 の2の2の防火対象物定期点検報告等の法定点検など、維持管理の情報であり、整理して後に参照できるよう管理しておくことが今後の修繕等を適切に実施するために有効な情報である。
  F建替え等により消滅する管理組合は、管理費や修繕積立金等の残余財産を清算する必要がある。なお、清算の方法については、各マンションの実態に応じて規定を整備しておくことが望ましい。」とあり関係コメントC長期修繕計画の作成又は変更に要する経費及び長期修繕計画の作成等のための劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、管理組合の財産状態等に応じて管理費又は修繕積立金のどちらからでもできる。」とあり、
 C長期修繕計画の作成又は変更に要する経費及び長期修繕計画の作成等のための劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、管理組合の財産状態等に応じて管理費又は修繕積立金のどちらからでもできる、により、長期修繕計画の作成又は変更に要する経費は、管理組合の財産状態等に応じて管理費又は修繕積立金のどちらからでもできます。



2 修繕工事の前提としての劣化診断(建物診断)に要する経費は、原則として修繕積立金を取り崩して支払わなければならない。

○ 適切である。 選択肢1は、長期修繕計画の作成又は変更に要する経費でしたが、今度は、「修繕工事の前提としての劣化診断(建物診断)に要する経費」です。これは、選択肢1で引用しました、標準管理規約32条関係コメントCただしがき
 「第32条 関係
  C長期修繕計画の作成又は変更に要する経費及び長期修繕計画の作成等のための劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、管理組合の財産状態等に応じて管理費又は修繕積立金のどちらからでもできる。
   
ただし、修繕工事の前提としての劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、修繕工事の一環としての経費であることから、原則として修繕積立金から取り崩すこととなる。」とあり、標準管理規約の作成者は、「修繕工事の一環としての経費であることから、原則として修繕積立金から取り崩す」としています。


3 駐車場使用料は、その全額を修繕積立金として積み立てなければならない。

X 適切でない。 駐車場使用料は、標準管理規約29条
 「(使用料)
  第29条 駐車場使用料その他の敷地及び共用部分等に係る使用料(以下「使用料」という。)は、それらの管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てる。」とあり、
まず、当然ながら、管理にかかった費用に充当されます。そして、あまれば、管理費勘定に入れず、修繕積立金勘定に入れて、将来に備えます。なお、機械式駐車場は、平置き駐車場に比べてその維持管理にかなりの費用を必要としますから、別途、独立した、経理区分を採用して、収支を明らかにした方がいいでしょう。
参考:標準管理規約
 「(管理費等)
  第25条 区分所有者は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、次の費用(以下「管理費等」という。)を管理組合に納入しなければならない。
       一 管理費
       二 修繕積立金
   2 管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとする。
 第29条 関係コメント
 「機械式駐車場を有する場合は、その維持及び修繕に多額の費用を要することから、管理費及び修繕積立金とは区分して経理することもできる。」


4 修繕積立金を取り崩して充当することができる特別の管理に要する経費に充てるため借入れをしたときは、修繕積立金をもってその償還に充てることができない。

X 適切でない。 修繕積立金を取り崩して充当することができる特別の管理に要する経費に充てるため借入れをしたときとは、分かり難い設問ですが、これは、標準管理規約28条3項。
 「(修繕積立金)
  第28条 管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
     一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
     二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
     三 敷地及び共用部分等の変更
     四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査
     五 その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理
  2 前項にかかわらず、区分所有法第62条 第1項の建替え決議(以下「建替え決議」という。)又は建替えに関する区分所有者全員の合意の後であっても、マンションの建替えの円滑化等に関する法律(以下本項において「円滑化法」という。)第9条 のマンション建替組合(以下「建替組合」という。)の設立の認可又は円滑化法第45条 のマンション建替事業の認可までの間において、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、修繕積立金から管理組合の消滅時に建替え不参加者に帰属する修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、修繕積立金を取り崩すことができる。
  
3 管理組合は、第1項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、修繕積立金をもってその償還に充てることができる。
  4 修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならない。」とあり、
3項に該当し、借入れをしたときは、修繕積立金をもってその償還に充てることができます。


答え:2  (選択肢2 は注意が必要です。)


出題の順序でやっていくと、特定の問題の下調べで時間がかかり、全部解説に相当な時間がかかりそうなので、ここからは、気が向いた問からやっていきますので、よろしく。 
解説文が
「ブルー」になっている箇所が、解説済です。 条文や解説用の資料が「黒」字のままは、まだ、未完成です。

問13

【問 13】 マンション標準管理委託契約書別表第1の(2)出納によれば、管理業者による管理組合の経費の支払いに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 保証契約を締結して管理組合の収納口座と管理組合の保管口座を設ける場合、管理組合の経費の支払いに関して、管理業者は、管理組合の収支予算に基づき、管理組合の経費を、管理組合の承認を得て、管理組合の収納口座又は管理組合の保管口座から支払う。

○ 適切である? 
  今後、マンション管理士・管理業務主任者試験を目指す人にも知っておいて欲しいのですが、マンションの管理組合の管理費等が、集金されて管理業者名義の預金口座に入っているため、その管理業者が倒産した時に、管理組合からの預り金か倒産した業者のお金か区別がされず、あちらこちらの銀行と管理組合との間で争いが多発したことを受け、国土交通省も施行規則で、財産の分別管理の方式を考えたのですが、それでも、管理業者によるマンション管理組合から預かったお金の無断使用が後を絶ちませんでした。それで、平成21年6月(施行は平成22年5月1日から)、再度、適正化法第76条に関係した施行規則第87条を改正したのが、標準管理委託契約書の変更となって、設問ができています。(でも、平成23年11月においても、マンションの管理会社の従業員が、委託先のマンション管理組合の管理費など、合計6億2千万円を使い込んで告訴されたとのことです。基本的には、管理組合が自己のマンションの管理や会計に関心がないのが、原因ですが。)
 まず、前提として、収納口座・保管口座、そして、保証契約については、参考書で理解しておいてください。また、ここは、改正後の施行規則第87条2項1号の分別管理方式(イ)(ロ)(ハ)と同法第87条3項の保証契約とが入り組んでいて、分かり難い条文です。さらに、改正された標準管理委託契約書が4つのパターンで施行規則とは別のまとめ方をしているので、なお、面倒な箇所です。
設問の保証契約を締結して管理組合の収納口座と管理組合の保管口座を設ける場合、これは、一時的に管理費や修繕積立金を収納口座に入れ、そこから、管理費用をマイナスして、残った金額を管理組合名義の保管口座に移し換えるやり方です。

 標準管理委託契約書では最初のパターン(1番目)に該当しています。標準管理委託契約書 別表第1の(2)出納によれば、
 (2) 出納(保証契約を締結して甲(管理組合)の収納口座と甲の保管口座を設ける場合)
   @ 甲の組合員が甲に納入する管理費、修繕積立金、専用使用料その他の金銭(以下「管理費等」 という。)の収納
     一 甲の管理規約等の定め若しくは総会決議、組合員名簿若しくは組合員異動届又は専用使用 契約書に基づき、組合員別の一月当たりの管理費等の負担額の一覧表(以下「組合員別管 理費等負担額一覧表」という。)を甲に提出する。
     二 組合員別管理費等負担額一覧表に基づき、毎月次号に定める預金口座振替日の○営業日前までに、預金口座振替請求金額通知書を、○○銀行に提出する。
     三 甲の組合員の管理費等の収納は、甲の管理規約第○条に定める預金口座振替の方法によるものとし、毎月○日(当該日が金融機関の休業日に当たる場合はその翌営業日。)に、甲の組合員の口座から甲の収納口座に振り替えし、
Cの事務を行った後その残額を、当該管理費等を充当する月の翌月末日までに、甲の保管口座に移し換える
       収納口座 ○○銀行○○支店   保管口座 ○○銀行○○支店」とあり、
引用されていますCの事務とは、
 「
C 甲の経費の支払い  乙(管理業者)は、甲の収支予算に基づき、甲の経費を、甲の承認の下に甲の収納口座から、又は甲の承認を得て甲の保管口座から支払う。」です。
この文章で気になるのが、「甲(管理組合)の経費を、甲の”承認の下”に甲の収納口座から、又は甲の”承認を得て”甲の保管口座から支払う」とあるのに対して設問は、共に、「管理組合の経費を、管理組合の承認を得て、管理組合の収納口座又は管理組合の保管口座から支払う」箇所です。このままであれば適切となります。
しかし、不思議なコメントLがありました。
 「コメントL 乙の収納口座と甲の保管口座を設ける場合における乙の収納口座からの支払、
保証契約を締結して甲の収納口座と甲の保管口座を設ける場合における甲の収納口座からの支払については、乙は甲からの支払委託により包括的に承認を受けていると考えられる。なお、甲の保管口座から支払う場合及び保証契約を締結していないときの甲の収納口座から支払う場合は、甲の収納・保管口座を設ける場合と同様、個別に甲の承認を得て支払うことが必要となる。」があります。
 コメントでは、保証契約があれば、管理組合からの包括的な承認があるので、Cの個別の承認は不要といってるようで、矛盾しています。出題は、このコメントを批判した、”見事な問題”です。


2 保証契約を締結する必要がないときに管理組合の収納口座と管理組合の保管口座を設ける場合、管理組合の経費の支払いに関して、管理業者は、管理組合の収支予算に基づき、管理組合の経費を、管理組合の承認を得て、管理組合の収納口座又は管理組合の保管口座から支払う。

○ 適切である。 これは、選択肢1と異なり、「保証契約を締結しなくてもいい」場合です。標準管理委託契約書での3番目のパターンに該当しています。
標準管理委託契約書 別表第1の(2)出納
 「(2) 出納(保証契約を締結する必要がないときに甲(管理組合)の収納口座と甲の保管口座を設ける場合)
   @ 甲の組合員が甲に納入する管理費、修繕積立金、専用使用料その他の金銭(以下「管理費等」 という。)の収納
     一 甲の管理規約等の定め若しくは総会決議、組合員名簿若しくは組合員異動届又は専用使用 契約書に基づき、組合員別の一月当たりの管理費等の負担額の一覧表(以下「組合員別管 理費等負担額一覧表」という。)を甲に提出する。
     二 組合員別管理費等負担額一覧表に基づき、毎月次号に定める預金口座振替日の○営業日前 までに、預金口座振替請求金額通知書を、○○銀行に提出する。
     三 甲の組合員の管理費等の収納は、甲の管理規約第○条に定める預金口座振替の方法による ものとし、毎月○日(当該日が金融機関の休業日に当たる場合はその翌営業日。)に、甲 の組合員の口座から甲の収納口座に振り替えし、
Cの事務を行った後その残額を、当該管 理費等を充当する月の翌月末日までに、甲の保管口座に移し換える
        収納口座 ○○銀行○○支店    保管口座 ○○銀行○○支店」とあり、
引用されています、Cは、
 「
C 甲の経費の支払い  乙は、甲の収支予算に基づき、甲の経費を、甲の承認を得て、甲の収納口座又は甲の保管口座から支払う。」とあり、
ここでのコメントI
 「I 乙の収納口座と甲の保管口座を設ける場合における乙の収納口座からの支払、保証契約を締結して甲の収納口座と甲の保管口座を設ける場合における甲の収納口座からの支払については、乙は甲からの支払委託により包括的に承認を受けていると考えられる。なお、甲の保管口座から支払う場合及び保証契約を締結していないときの甲の収納口座から支払う場合は、甲の収納・保管口座を設ける場合と同様、個別に甲の承認を得て支払うことが必要となる。」とありますから、この場合は適切です。



3 管理組合の収納・保管口座を設ける場合、管理組合の経費の支払いに関して、管理業者は、管理組合の収支予算に基づき、管理組合の経費を、管理組合の承認を得て、管理組合の収納・保管口座から支払う。

○ 適切である。 収納口座と保管口座が、1つになった場合です。
これは、標準管理委託契約書での最後(4番目)のパターンに該当しています。


標準管理委託契約書 別表第1の(2)出納
 「(2) 出納(甲(管理組合)の収納・保管口座を設ける場合)
   @ 甲の組合員が甲に納入する管理費、修繕積立金、専用使用料その他の金銭(以下「管理費等」 という。)の収納
     一 甲の管理規約等の定め若しくは総会決議、組合員名簿若しくは組合員異動届又は専用使用契 約書に基づき、組合員別の一月当たりの管理費等の負担額の一覧表(以下「組合員別管理費 等負担額一 覧表」という。)を甲に提出する。
     二 組合員別管理費等負担額一覧表に基づき、毎月次号に定める預金口座振替日の○営業日前ま でに、預金口座振替請求金額通知書を、○○銀行に提出する。
     
三 甲の組合員の管理費等の収納は、甲の管理規約第○条に定める預金口座振替の方法によるも のとし、毎月○日(当該日が金融機関の休業日に当たる場合はその翌営業日。)に、甲の組合員の口座 から甲の収納・保管口座に振り替える。
       収納・保管口座 ○○銀行○○支店」とあり、
この場合、単純に経費の支払いは、選択肢1や2のように、”Cの事務を行った後”の文章がありません。
 「C 甲の経費の支払い  乙は、甲の収支予算に基づき、甲の経費を、甲の承認を得て、甲の収納・保管口座から支払 う。」とありますから適切です。
参考:「コメントG 乙の収納口座と甲の保管口座を設ける場合における乙の収納口座からの支払、保証契約を締結して甲の収納口座と甲の保管口座を設ける場合における甲の収納口座からの支払については、乙は甲からの支払委託により包括的に承認を受けていると考えられる。なお、甲の保管口座から支払う場合及び保証契約を締結していないときの甲の収納口座から支払う場合は、甲の収納・保管口座を設ける場合と同様、個別に甲の承認を得て支払うことが必要となる。」



4 管理業者の収納口座と管理組合の保管口座を設ける場合、管理組合の経費の支払いに関して、管理業者は、管理組合の収支予算に基づき、管理組合の経費を、管理組合の承認の下に管理業者の収納口座から、又は管理組合の承認を得て、管理組合の保管口座から支払う。

○ 適切である。 選択肢1と異なり、今度は、収納口座の名義は管理組合ではなく、管理業者の名義です。
  この場合、標準管理委託契約書での2番目のパターンに該当しています
標準管理委託契約書 別表第1の(2)出納、
 「(2) 出納(乙(管理業者)の収納口座と甲(管理組合)の保管口座を設ける場合)
   @ 甲の組合員が甲に納入する管理費、修繕積立金、専用使用料その他の金銭(以下「管理費等」という。)の収納
     一 甲の管理規約等の定め若しくは総会決議、組合員名簿若しくは組合員異動届又は専用使用契約書に基づき、組合員別の一月当たりの管理費等の負担額の一覧表(以下「組合員別管理費等負担額一覧表」という。)を甲に提出する。
     二 組合員別管理費等負担額一覧表に基づき、毎月次号に定める預金口座振替日の○営業日前までに、預金口座振替請求金額通知書を、○○銀行に提出する。
     三 甲の組合員の管理費等の収納は、甲の管理規約第○条に定める預金口座振替の方法によるものとし、毎月○日(当該日が金融機関の休業日に当たる場合はその翌営業日。)に、甲の組合員の口座から乙の収納口座に収納し、
Cの事務を行った後その残額を、当該管理費等を充当する月の翌月末日までに、甲の保管口座に移し換える。この場合、甲の保管口座に移し換えるまでの管理費等については、利息を付さない。
       収納口座  ○○銀行○○支店   保管口座  ○○銀行○○支店
     四 乙は、以下の保証契約を締結する。
        イ 保証する第三者の名称  ○○○○
        ロ 保証契約の名称     ○○○○
        ハ 保証契約の内容
           a 保証契約の額及び範囲     ○○○○
           b 保証契約の期間     ○○○○
           c 更新に関する事項     ○○○○
           d 解除に関する事項     ○○○○
           e 免責に関する事項     ○○○○
           f 保証額の支払に関する事項     ○○○○」とあり、
引用されています、Cは、
 「
C 甲の経費の支払い  乙は、甲の収支予算に基づき、甲の経費を、甲の承認の下に甲の収納口座から、又は甲の承認を得て甲の保管口座から支払う。」とありますから、
適切です。なお、コメントIもあります。
 「コメントI 乙の収納口座と甲の保管口座を設ける場合における乙の収納口座からの支払、保証契約を締結して甲の収納口座と甲の保管口座を設ける場合における甲の収納口座からの支払については、乙は甲からの支払委託により包括的に承認を受けていると考えられる。なお、甲の保管口座から支払う場合及び保証契約を締結していないときの甲の収納口座から支払う場合は、甲の収納・保管口座を設ける場合と同様、個別に甲の承認を得て支払うことが必要となる。」



答え:1 (選択肢1に対するコメントのあり方、”承認の下”と”承認を得て”がおかしいが、ここは、収納口座と管理組合の承認の必要性と考えると、 1 となる。しかし、主題ではない、コメントが重要な判断のキーとなるような国家資格の出題方法は大いに疑問があります。)
 (ここは、図を入れたり、改正された「標準管理委託契約書」をテキスト文に変換などの作業が必要で、実に時間がかった!)

問14

【問 14】 管理組合の活動における以下の取引に関して、平成23年3月分の仕訳として正しいものは次のうちどれか。ただし、この管理組合の会計年度は、4月1日から 翌年3月31日までとし、期中の取引において、企業会計原則に基づき厳格な発生主義によって経理しているものとする。



*発生主義ということ
 毎年の説明で、過去問題をやってきている人には、分かり切ったことでしょうが、初めての人もいますので、

 ★マンションの会計処理で
発生主義ということの重要性は、

  全ての費用・収益は、その支出・収入に基づいて計上し、その発生した期間
     *収入については、請求権が生じた月、
     *支出については、支出が労役などの提供又は工事などである場合は、その労役などの提供又は工事等が完了した月、物品の購入なら、その物品が納入された月
    に正しく割り当てるように処理すること。

 これにより、管理費や修繕積立金は該当月に徴収することになっているなら、未収入金(滞納)があっても、全額計上されている。

 この辺りが、企業の会計処理を知っている人には、なかなか理解できない個所です。

*そこで、管理費の入金、修繕積立金の入金、専用庭使用料の入金を見ていきましょう。
 これらは、全部収入ですから、資産の増加として、借方は普通預金とします。では、貸方は、

 3月度の仕訳ですから、発生主義により、2月分は、既に未収入金として、管理費、修繕積立金の勘定で仕訳されています。
  ア.2月分は、
    管理費の     ¥50,000
    修繕積立金の  ¥40,000
    --------------------------
     小計       ¥90,000

  イ.次に、当月(3月)分は、該当の勘定科目で仕訳ます。
    管理費の     ¥140,000
    修繕積立金の  ¥120,000
   
  ウ.次に、4月分は、まだ発生していないので、まとめて前受金として仕訳をします。
    管理費の    ¥1,220,000
    修繕積立金の   ¥980,000
    専用庭使用料の  ¥20,000
   -----------------------------
     小計      ¥2,220,000
   (なお、この前受金は、4月には、各管理費、修繕積立金などで収入仕訳をします。)

 よって 正しいのは


答え:3  (ここは、発生主義が分かれば、答は早い。)

問15

【問 15】 管理組合の活動における以下の取引に関して、平成23年3月分の仕訳として正しいものは次のうちどれか。ただし、この管理組合の会計年度は、4月1日から 翌年3月31日までとし、期中の取引において、企業会計原則に基づき厳格な発生主義によって経理しているものとする。


発生主義の重要性については、前の「問15」を参照のこと。

*設問の3月に取付け工事を行い、請求書が4月に来たのでは、3月にここまで、正確な金額が把握できていたか、どうかでかなり疑問がある出題です。
 ここは、平成22年管理業務主任者試験 「問14」 のような設問であるべきです。
  選択肢から、「工事を行い」が完了を意味し、その際に、請求金額は明確に分かっていたとの前提で、すすめます。

 3月の仕訳で、5月に支払うのなら、負債の増加として、貸方に合計 ¥3,490,000 を 未払金 として持ってきます。
 そこで、借方の相手勘定科目をどう見るかです。
   1.自動ドア修理   ¥50,000
   2.3階温水器修理  ¥30,000
   3.外部排水管塗装 ¥210,000
  ---------------------------------
    小計         ¥290,000
  は、まとめて、 修繕費勘定

   4.直結増圧ポンプ取付工事 ¥3,200、000 は、修繕費勘定ではなく、別途、建物附属設備 にした と言いたいのでしょう。


答え:2  (大体、マンションの会計については、明確な勘定科目設定の統一したルールがありません。公益法人の会計を基礎にしましょうという程度のものです。多くは、管理業者がパソコンで会計処理をしていますので、管理業者によっては、勘定科目の設定は異なっています。)
 また、平成22年管理業務主任者試験 「問15」 での勘定科目の疑問も参考にしてください。

問16

【問 16】 管理組合の税務に関する次の記述のうち、消費税法(昭和63年法律第108号)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 管理組合が、マンション敷地内の駐車場を当該管理組合の組合員以外の第三者に使用させ、当該第三者から毎年150万円の駐車場収入があり、他に消費税課税対象収入がない場合でも、第三者に対する駐車場収入は消費税の課税対象であるので、事業者として消費税の納税義務者となる。

X 誤っている。 マンションの管理組合と税も出題は、1問は出る。 平成22年管理業務主任者試験 「問16」 、平成19年管理業務主任者試験 「問16」 、 平成18年管理業務主任者試験 「問16」 、平成17年管理業務主任者試験 「問16」など。 ここ「問16」 はもう消費税法の指定席?
  マンションの管理組合は法人化されていれば、明確に区分所有法第47条14項
 「14  管理組合法人は、消費税法 (昭和六十三年法律第百八号)その他消費税に関する法令の規定の適用については、同法 別表第三に掲げる法人とみなす。 」とありますが、特に法人化されていなくても、一般に法律上
「人格のない社団」として扱われることを理解して下さい。
 消費税法第3条
 「(人格のない社団等に対するこの法律の適用)
  第三条  人格のない社団等は、法人とみなして、この法律(第十二条の二及び別表第三を除く。)の規定を適用する。」
 そして、消費税は、事業として対価を得て行われる取引に課税されますが、マンション敷地内の駐車場を当該管理組合の組合員が使用して使用料を払っていても、消費税は課税されないと解されています(不課税。通達)。しかし、組合員以外の第三者に使用させることによる駐車場収入は、消費税の課税対象となります(消費税法第4条)から注意してください。
参考:国税庁のQ&Aより、(消費税法第2条第1項第8号)
 「マンション管理組合は、その居住者である区分所有者を構成員とする組合であり、その組合員との間で行う取引は営業に該当しません。
 したがって、マンション管理組合が収受する金銭に対する消費税の課税関係は次のとおりとなります。
  イ 駐車場の貸付け………組合員である区分所有者に対する貸付けに係る対価は不課税となりますが、組合員以外の者に対する貸付けに係る対価は消費税の課税対象となります。
  ロ 管理費等の収受………不課税となります。」
 設問の場合、駐車場の第三者使用は、課税対象ですが、消費税法第9条1項
 「(小規模事業者に係る納税義務の免除)
  第九条  事業者のうち、
その課税期間に係る基準期間における課税売上高が千万円以下である者については、第五条第一項の規定にかかわらず、その課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等につき、消費税を納める義務を免除する。ただし、この法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」とあり、
課税期間の基準期間とは、通常前々年の売上高で、設問の場合、150万円だけですから、前々年 1,000万円以下は免除で、消費税の納税義務者となりません。




2 管理組合の基準年度における課税売上高が1,000万円を超えている場合でも、当該管理組合の組合員からの専用庭使用料については、消費税は課税されない。

○ 正しい。 選択肢1で引用しましたように、「専用庭使用料」も組合員からの管理費に該当すると考えられますから、消費税の課税はありません。


3 管理組合が管理組合法人である場合、管理費収入については、消費税が課税される。

X 誤っている。 されない。 管理組合が法人化されていれば、選択肢1で引用しました区分所有法第47条14項に該当しますが、管理費収入については、これも選択肢1で説明しています、国税庁のQ&Aの「ロ 管理費等の収受………不課税となります」に該当して、消費税は課税されません。


4 管理組合の基準年度における課税売上高が1,000万円未満である場合、当該管理組合が支払う管理委託費、小修繕の工事費、備品費は、消費税の課税対象とはならない。

X 誤っている。 売上高と支払高は、当然ながら異なっています。課税売上高とは、個人事業者の場合は原則として前々年の課税売上高のことをいい、法人の場合は原則として前々事業年度の課税売上高のことをいいます。課税売上高は、輸出などの免税取引を含め、返品、値引き、割戻しをした対価の返還等の金額を差し引いた額(税抜き)です。管理組合が支払う管理委託費、小修繕の工事費、備品費は、消費税の課税対象です。消費税法第4条1項
 「(課税の対象)
  第四条  国内において事業者が行つた資産の譲渡等には、この法律により、消費税を課する。」

答え:2  (ここは、過去問題をやっていれば、易しい。)

問17

【問 17】 建築基準法(昭和25年法律第201号)及び同法施行令(昭和25年政令第338号)に規定される面積の算定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 特定行政庁が指定する幅員4m未満の道路の中心線からの水平距離が2mまでの部分は、敷地面積に算入しない。

○ 正しい。  ここは、平成21年 管理業務主任者試験 「問17」 、や 平成19年 管理業務主任者試験 「問18」 も参考に。
敷地面積とは、敷地の水平投影面積のことです。(建築基準法施行令2条1項1号)
  都市計画区域で建築物を建てる際に、敷地は幅員が4m(または6m)以上ある道路に2m以上接していなければなりません。
道路の幅員が4mに満たない場合には、道路の中心線から2mまでの部分(後退部分=セットバック)は、自分の敷地であっても建築基準法では「敷地面積」として扱われません。また、建物も建築できません。この部分は、除外されますので、注意してください。(建築基準法施行令2条1項1号-->建築基準法第42条に規定される道路の境界線とみなされる線と道との間の部分)


参考 :建築基準法施行令第2条1項1号
 「(面積、高さ等の算定方法)
  第二条  次の各号に掲げる面積、高さ及び階数の算定方法は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
   一  
敷地面積 敷地の水平投影面積による。ただし、建築基準法 (以下「法」という。)第四十二条第二項 、第三項又は第五項の規定によつて道路の境界線とみなされる線と道との間の部分の敷地は、算入しない。
そして、引用されています、建築基準法第42条(道路の定義)
 「第四十二条  この章の規定において「道路」とは、次の各号の一に該当する幅員四メートル(特定行政庁がその地方の気候若しくは風土の特殊性又は土地の状況により必要と認めて都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内においては、六メートル。次項及び第三項において同じ。)以上のもの(地下におけるものを除く。)をいう。
     一  道路法 (昭和二十七年法律第百八十号)による道路
     二  都市計画法 、土地区画整理法 (昭和二十九年法律第百十九号)、旧住宅地造成事業に関する法律(昭和三十九年法律第百六十号)、都市再開発法 (昭和四十四年法律第三十八号)、新都市基盤整備法 (昭和四十七年法律第八十六号)、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法 (昭和五十年法律第六十七号)又は密集市街地整備法 (第六章に限る。以下この項において同じ。)による道路
     三  この章の規定が適用されるに至つた際現に存在する道
     四  道路法 、都市計画法 、土地区画整理法 、都市再開発法 、新都市基盤整備法 、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法 又は密集市街地整備法 による新設又は変更の事業計画のある道路で、二年以内にその事業が執行される予定のものとして特定行政庁が指定したもの
     五  土地を建築物の敷地として利用するため、道路法 、都市計画法 、土地区画整理法 、都市再開発法 、新都市基盤整備法 、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法 又は密集市街地整備法 によらないで築造する政令で定める基準に適合する道で、これを築造しようとする者が特定行政庁からその位置の指定を受けたもの
   2  この章の規定が適用されるに至つた際現に建築物が立ち並んでいる幅員四メートル未満の道で、特定行政庁の指定したものは、前項の規定にかかわらず、同項の道路とみなし、その中心線からの水平距離二メートル(前項の規定により指定された区域内においては、三メートル(特定行政庁が周囲の状況により避難及び通行の安全上支障がないと認める場合は、二メートル)。以下この項及び次項において同じ。)の線をその道路の境界線とみなす。ただし、当該道がその中心線からの水平距離二メートル未満でがけ地、川、線路敷地その他これらに類するものに沿う場合においては、当該がけ地等の道の側の境界線及びその境界線から道の側に水平距離四メートルの線をその道路の境界線とみなす。
   3  特定行政庁は、土地の状況に因りやむを得ない場合においては、前項の規定にかかわらず、同項に規定する中心線からの水平距離については二メートル未満一・三五メートル以上の範囲内において、同項に規定するがけ地等の境界線からの水平距離については四メートル未満二・七メートル以上の範囲内において、別にその水平距離を指定することができる。
   4  第一項の区域内の幅員六メートル未満の道(第一号又は第二号に該当する道にあつては、幅員四メートル以上のものに限る。)で、特定行政庁が次の各号の一に該当すると認めて指定したものは、同項の規定にかかわらず、同項の道路とみなす。
     一  周囲の状況により避難及び通行の安全上支障がないと認められる道
     二  地区計画等に定められた道の配置及び規模又はその区域に即して築造される道
     三  第一項の区域が指定された際現に道路とされていた道
   5  前項第三号に該当すると認めて特定行政庁が指定した幅員四メートル未満の道については、第二項の規定にかかわらず、第一項の区域が指定された際道路の境界線とみなされていた線をその道路の境界線とみなす。
   6  特定行政庁は、第二項の規定により幅員一・八メートル未満の道を指定する場合又は第三項の規定により別に水平距離を指定する場合においては、あらかじめ、建築審査会の同意を得なければならない。」


2 建築物の外壁又はこれに代わる柱の中心線から水平距離1m 以上突き出た軒、ひさ しなどの部分は、その先端から水平距離1m 後退した線から建物側を建築面積に算入する。

○ 正しい。 建築面積とは...建築物の外壁・柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積です。ただし、軒、ひさし、バルコニー等でこの中心線より1m以上突き出た所があるときは、先端より1m後退した部分までは建築面積に算入されます。
建築基準法施行令2条1項2号
 「(面積、高さ等の算定方法)
 「第二条  次の各号に掲げる面積、高さ及び階数の算定方法は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
     二  建築面積 建築物(地階で地盤面上一メートル以下にある部分を除く。以下この号において同じ。)の外壁又はこれに代わる柱の中心線(軒、ひさし、はね出し縁その他これらに類するもので当該中心線から水平距離一メートル以上突き出たものがある場合においては、その端から水平距離一メートル後退した線)で囲まれた部分の水平投影面積による。ただし、国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物又はその部分については、その端から水平距離一メートル以内の部分の水平投影面積は、当該建築物の建築面積に算入しない。 」



3 床面積は、建築物の各階又はその一部で、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による。

○ 正しい。 床面積とは、建築基準法施行令2条1項3号
 「(面積、高さ等の算定方法)
  第二条  次の各号に掲げる面積、高さ及び階数の算定方法は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
     三  
床面積 建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による。」とあります。


4 延べ面積は、建築物の各階の床面積の合計であり、共同住宅の容積率の算定においても、共用の廊下及び階段の用に供する部分の面積を含む。

X 誤っている。 含まない。  共同住宅の共用廊下・階段部分の全部不算入...共同住宅(マンションなど)の共用の廊下又は階段の用に供する部分の床面積は、全部算入されません。 (建築基準法52条6項)
 これは、公共の道路と同じとみて、限度がなく全てが算入されません。ただし、エレベーター室は除外されていないため、算入されます。
 具体的には、延べ面積とは、建築基準法施行令第2条4号
 「(面積、高さ等の算定方法)
  第二条  次の各号に掲げる面積、高さ及び階数の算定方法は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
     四  
延べ面積 建築物の各階の床面積の合計による。
  ただし、法第五十二条第一項 に規定する延べ面積(建築物の容積率の最低限度に関する規制に係る当該容積率の算定の基礎となる延べ面積を除く。)には、自動車車庫その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設(誘導車路、操車場所及び乗降場を含む。)の用途に供する部分の床面積を算入しない。」とあり、
引用されています、建築基準法第52条1項6号
 「6  第一項、第二項、次項、第十二項及び第十四項、第五十七条の二第三項第二号、第五十七条の三第二項、第五十九条第一項及び第三項、第五十九条の二第一項、第六十条第一項、第六十条の二第一項及び第四項、第六十八条の三第一項、第六十八条の四、第六十八条の五、第六十八条の五の二、第六十八条の五の三第一項、第六十八条の五の四(第一号ロを除く。)、第六十八条の五の五第一項第一号ロ、第六十八条の八、第六十八条の九第一項、第八十六条第三項及び第四項、第八十六条の二第二項及び第三項、第八十六条の五第三項並びに第八十六条の六第一項に規定する
建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、共同住宅の共用の廊下又は階段の用に供する部分の床面積は、算入しないものとする。


答え:4 (ここも、過去問題をやっていれば、易しい? なお、別途 「要約 建築基準法」 も作成していますから、このあたりは参考にしてください。)

問18

【問 18】 建築基準法第28条の2(石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 著しく衛生上有害なものとして建築材料に添加してはならない物質としては、石綿のみが指定されている。

○ 正しい。 似たような出題は、 平成16年 管理業務主任者試験 「問24」 や 平成15年 管理業務主任者試験 「問24」 。
  まず、建築基準法第28条の2
 「(石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置)
  第二十八条の二  建築物は、石綿その他の物質の建築材料からの飛散又は発散による衛生上の支障がないよう、次に掲げる基準に適合するものとしなければならない。
     一  建築材料に石綿その他の著しく衛生上有害なものとして政令で定める物質(次号及び第三号において「石綿等」という。)を添加しないこと。
     二  石綿等をあらかじめ添加した建築材料(石綿等を飛散又は発散させるおそれがないものとして国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものを除く。)を使用しないこと。
     三  居室を有する建築物にあつては、前二号に定めるもののほか、石綿等以外の物質でその居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがあるものとして政令で定める物質の区分に応じ、建築材料及び換気設備について政令で定める技術的基準に適合すること。」とあり、
政令は建築基準法施行令20条の4
 「(著しく衛生上有害な物質)
  第二十条の四  法第二十八条の二第一号 (法第八十八条第一項 において準用する場合を含む。)の
政令で定める物質は、石綿とする。 」とあり、
「石綿や著しく衛生上有害なものとは」これは現在のところ「石綿」だけです。
 なお、石綿はアスベストともよばれ、天然に存在する繊維状の鉱物です。 素材としては「強い・安い・軟らかい」そして耐熱・耐磨耗性にすぐれているため、以前より建材以外にも広く利用されていました。しかし、その細かい繊維(髪の毛の5000分の1程度)が肺に突き刺さったりすると、数十年の長い潜伏期間を経て、肺がんや中皮腫の原因になることが明らかになりました。



2 石綿以外の物質で、居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがある物質として指定されているのは、ホルムアルデヒドのみである。

X 誤っている。 建築基準法施行令第25条の5
 「(居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがある物質)
  第二十条の五  法第二十八条の二第三号 の政令で定める物質は、
クロルピリホス及びホルムアルデヒドとする。」とあり、
クロルピリホスとホルムアルデヒドです。



3 吹付けロックウールで、その含有する石綿の重量が当該建築材料の重量の1%以下のものは、建築材料として使用することができる。

X 誤っている。 まず、ロックウールとは、工場で製造された人造の鉱物繊維 で一方、アスベストは、天然に産出する鉱物繊維 の違いがあります。
吹き付けロックウールは、ロックウールをセメント、アスベストなどと混合し、機械で噴出させ天井などに付着させたものです。
ここで、危険な石綿が使われていますので、国土交通省告示 第1172号 平成18 年9月29日より、
 「石綿等をあらかじめ添加した建築材料で石綿等を飛散又は発散させるおそれがないものを定める件では、
  「吹付け石綿」と「吹付けロックウールで石綿の重量含有率が0.1%を超えるもの」以外の石綿等を予め添加した建築材料 となっています。
1%ではだめです。石綿の重量含有率が0.1%以下です。



4 第3種ホルムアルデヒド発散建築材料は、第1種ホルムアルデヒド発散建築材料より夏季においてホルムアルデヒドの毎時の発散量が多い。

X 誤っている。 ここは、過去も出ている。
 建築基準法施行令
 「(居室を有する建築物の建築材料についてのホルムアルデヒドに関する技術的基準)
   第二十条の七  建築材料についてのホルムアルデヒドに関する法第二十八条の二第三号 の政令で定める技術的基準は、次のとおりとする。
     一  居室(常時開放された開口部を通じてこれと相互に通気が確保される廊下その他の建築物の部分を含む。以下この節において同じ。)の壁、床及び天井(天井のない場合においては、屋根)並びにこれらの開口部に設ける戸その他の建具の室内に面する部分(回り縁、窓台その他これらに類する部分を除く。以下この条において「内装」という。)の仕上げには、夏季においてその表面積一平方メートルにつき毎時〇・一二ミリグラムを超える量のホルムアルデヒドを発散させるものとして国土交通大臣が定める建築材料(以下この条において「
第一種ホルムアルデヒド発散建築材料」という。)を使用しないこと。
     二  居室の内装の仕上げに、夏季においてその表面積一平方メートルにつき毎時〇・〇二ミリグラムを超え〇・一二ミリグラム以下の量のホルムアルデヒドを発散させるものとして国土交通大臣が定める建築材料(以下この条において「
第二種ホルムアルデヒド発散建築材料」という。)又は夏季においてその表面積一平方メートルにつき毎時〇・〇〇五ミリグラムを超え〇・〇二ミリグラム以下の量のホルムアルデヒドを発散させるものとして国土交通大臣が定める建築材料(以下この条において「第三種ホルムアルデヒド発散建築材料」という。)を使用するときは、それぞれ、第二種ホルムアルデヒド発散建築材料を使用する内装の仕上げの部分の面積に次の表(一)の項に定める数値を乗じて得た面積又は第三種ホルムアルデヒド発散建築材料を使用する内装の仕上げの部分の面積に同表(二)の項に定める数値を乗じて得た面積(居室の内装の仕上げに第二種ホルムアルデヒド発散建築材料及び第三種ホルムアルデヒド発散建築材料を使用するときは、これらの面積の合計)が、当該居室の床面積を超えないこと。」とあり、
第一種ホルムアルデヒド発散建築材料の発散量は、毎時〇・一二ミリグラムを超える量
第二種ホルムアルデヒド発散建築材料の発散量は、毎時〇・〇二ミリグラムを超え〇・一二ミリグラム以下の量
第三種ホルムアルデヒド発散建築材料の発散量は、毎時〇・〇〇五ミリグラムを超え〇・〇二ミリグラム以下の量
で、第三種ホルムアルデヒド発散建築材料の発散量の方が、第一種ホルムアルデヒド発散建築材料の発散量よりも少ない。
なお、第一種ホルムアルデヒド発散建築材料は使用できないと覚えればいいでしょう。



答え:1 (選択肢3 は、まったく知らなかった。 国土交通省の告示とは! 調べるのに時間がかかった! なお、石綿については、別途 「要約 建築基準法」 の第28条の2 を参考のこと。)

問19

【問 19】 雨水排水設備に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1 雨水排水立て管には、し尿を含まない排水を流す管を接続してよい。

X 適切でない。 常識的? 最新版の「マンション管理の知識」にでもあるのか? 「給排水衛生設備基準」にあるのか? またまた、マニアックな出題だ。 平成23年マンション管理士試験 「問44」 と同じ出題者か? そこで、本屋で調べました。これは、平成23年版「マンション管理の知識」 P.745〜 にあった。
  排水の種類は、
  1.汚水...大小便
  2.雑排水...台所、浴室
  3.雨水...屋根、ベランダなど
 に分けられ、系統として、1.汚水 と 2.雑排水 は公共下水道では、1つにできますが、 3.雨水 は 屋外で合流させる です。
 なお、「建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備の構造方法を定める件」(昭和50年12月20日建設省告示第1597号)最終改正 平成12年5月30日建設省告示第1406号
 「第2 排水のための配管設備の構造は、次に定めるところによらなければならない。
    一 排水管
     イ 掃除口を設ける等保守点検を容易に行うことができる構造とすること。
     ロ 次に掲げる管に直接連結しないこと。
      (1) 冷蔵庫、水飲器その他これらに類する機器の排水管
      (2) 滅菌器、消毒器その他これらに類する機器の排水管
      (3) 給水ポンプ、空気調和機その他これらに類する機器の排水管
      (4) 給水タンク等の水抜管及びオーバーフロー管
    
ハ 雨水排水立て管は、汚水排水管若しくは通気管と兼用し、又はこれらの管に連結しないこと。」とはあるが。


2 敷地雨水管の合流箇所、方向を変える箇所などに用いる雨水排水ますに設けなければならない泥だまりの深さは、100mm以上でなければならない。

X 適切でない。 根拠は? 泥だまりの深さの、100mmが間違いで、正解は150mm(15cm)以上のようだ。
  雨水マスは、雨水管の会合点、中間点又は屈曲する箇所に取り付けるマスで、下水道施設へ土砂が流入することを防止するため、マス底部に泥溜めを設けたマスをいう。




3 敷地雨水管を一般排水系統の敷地排水管に合流させる場合、トラップますを介して行う。

○ 適切である? 根拠は? これは、本当に探すのに苦労しました。
  どうにか、「問24」 に絡んで調べていて、オーム社が出している、「マンション維持修繕技術 ハンドブック(何と、この管理業務主任者試験の出題元と同じ、社団法人 高層住宅管理業協会 編 )」 価格 ¥10,000− P.425 に 図が ありました。
 汚水と雑排水を敷地内で合流させ、それに、雨水はトラップますを経て、会所ますで合流させます。

 トラップマスは、衛生器具には原則として器具トラップを設けることとされているが、既設の衛生器具等においてトラップの取付が困難な場合、食堂・生鮮食料品取扱所で残済物が排水に混入し、公共下水道に支障をきたす恐れのある場合、合流式下水道において雨水排水系統からの臭気の発散を阻止する場合等に設けるトラップを有するマスをいう。




4 壁面に吹き付ける雨水が下部の屋根面などに合流する場合の管径決定においては、壁面面積の25%を下部の屋根面などの面積に加算した上で降水量を算定する。

X 適切でない。 根拠は? だれか、解説して。 ここは、平成23年版「マンション管理の知識」にもなかった。 また、選択肢3での「マンション維持修繕技術 ハンドブック」にもなかった。
 2012年 1月30日:追記。この場合、通常壁面積の
50%を下部の屋根面などの面積に加算して、降水量を算定するようです。25%ではありません。(「給排水衛生設備規準(空気調和・衛生工学会)」にあるのかも。
 25%が間違いとは! こんな、枝葉末節な設問は、まったく、不適切な出題です。


答え:3  高層住宅管理業協会の発表:

 (何という出題方法! 根拠を探すために、図書館へ行き、「給排水衛生設備規準(空気調和・衛生工学会)」を 探しましたが、この本はおいていませんでした。そこで、本屋に行き、「給排水衛生設備規準(空気調和・衛生工学会)」を探しましたが、この本は高いよう で、これまたありませんでした。しかし、あきらめずに、平成23年版「マンション管理の知識」を、立ち読みしたら、ここや、平成23年マンション管理士試験 「問44 の 雨水排水設備 は、 平成23年版「マンション管理の知識」に出ていました。

しかし、このような特定の本からの出題は、一般的な判断ができないため、良くない出題方法です。

問20

【問 20】 エレベーターに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1 昇降行程が20m 以下で、かつ、かごの床面積が1.3u 以下の共同住宅のエレベータ ーについては、国土交通省(旧建設省)の告示により、積載荷重の下限値が定められている。

○ 適切である?  これもまた、知るわけないって箇所からの出題だ。 国土交通省(旧建設省)の告示とは! 4 の住宅に共同住宅も入る?
 
用途が特殊なエレベーター及び当該エレベーターのかごの積載荷重を定める件(平成12年5月31日 建設省告示第1415号、改正 平成14年5月31日 国土交通省告示 第479号、改正 平成21年8月4日国土交通省告示第859号附則による改正)
 「建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第129条の5第2項の規定に基づき、用途が特殊なエレベーター及び当該エレベーターのかごの積載荷重を次のように定める。
  建築基準法施行令(以下「令」という。)第129条の5第2項に規定する用途が特殊なエレベーターは、次の各号に掲げるエレベーターとし、同項に規定する当該用途に応じたかごの積載荷重は、それぞれ当該各号に定める数値とする。
   一 次に掲げる基準に適合するトランクを設けたエレベーター エレベーターのかごの面積をトランクの面積を除いた面積として、令第129条の5第2項の表に基づき算定した数値
      イ 床面から天井までの高さが1.2m以下であること。
      ロ かごの他の部分とトランクの床面の段差が10p以下であること。
      ハ 施錠装置を有する扉を設けること。
      ニ かごの奥行き(トランク部分の奥行きを含む。以下同じ。)が2.2m以下であり、かつ、トランク部分の奥行きがかごの奥行きの1/2以下であること。
   二 フォークリフトその他のかごに荷物を積み込む機械(以下「フォークリフト等」という。)がかごへの荷物の積込み時にかごに荷重をかける乗用及び寝台用エレベーター以外のエレベーター 次に掲げる数値のうち大きいもの
      イ 実況に応じ算定した昇降させる人又は物の荷重に、フォークリフト等の荷重(荷物の積み込み時にかごにかかる荷重に限る。)を加えたものを1.5で除した数値
      ロ 令第129条の5第2項の表に基づき算定した数値
   三 昇降行程が10m以下で、かつ、かごの床面積が1.1u以下のエレベーター 床面積1uにつき1,800として計算した数値で、かつ、1,300以上の数値
   
四 昇降行程が20m以下で、かつ、かごの床面積が1.3u以下の住宅、下宿又は寄宿舎に設けるエレベーター 床面積1uにつき2,500として計算した数値で、かつ、1,300以上の数値
   五 平成12年建設省告示第1413号第1第九号に掲げるエレベーター 次に定める床面積及び種類に応じた次に定める数値
      イ かごの床面積が1u以下で住戸内に設置されるもの。床面積1uにつき1,800として計算した数値で、かつ1,300以上の数値
      ロ かごの床面積が2u以下のもの「(イに掲げるものを除く。)」 1,800
      ハ かごの床面積が2uを超え2.25u以下のもの 2,400
   六 平成12年建設省告示第1413号第1第十号に掲げるエレベーター 900」とあり、
「四 昇降行程が20m以下で、かつ、かごの床面積が1.3u以下の住宅、下宿又は寄宿舎に設けるエレベーター 床面積1uにつき2,500として計算した数値で、かつ、1,300以上の数値」とあり、下限値ととして、「かつ、1,300以上の数値」が定められている。



2 乗用エレベーターの最大定員の算定においては、重力加速度を9.8m /s2として、1人当たりの体重を60kg として計算しなければならない。

X 適切でない。 一人当たりの体重は65kg。 ここは、過去問題あり。平成19年管理業務主任者試験 「問20」 、 平成16年管理業務主任者試験 「問20」
 建築基準法施行令第129条の6 5項
 「(エレベーターのかごの構造)
  第百二十九条の六  エレベーターのかごは、次に定める構造としなければならない。
     一  各部は、かご内の人又は物による衝撃に対して安全なものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
     二  構造上軽微な部分を除き、難燃材料で造り、又は覆うこと。ただし、地階又は三階以上の階に居室を有さない建築物に設けるエレベーターのかごその他防火上支障のないものとして国土交通大臣が定めるエレベーターのかごにあつては、この限りでない。
     三  かご内の人又は物が釣合おもり、昇降路の壁その他のかご外の物に触れるおそれのないものとして国土交通大臣が定める基準に適合する壁又は囲い及び出入口の戸を設けること。
     四  非常の場合においてかご内の人を安全にかご外に救出することができる開口部をかごの天井部に設けること。
     五  用途及び積載量(キログラムで表した重量とする。以下同じ。)並びに乗用エレベーター及び寝台用エレベーターにあつては最大定員(積載荷重を前条第二項の表に定める数値とし、重力加速度を九・八メートル毎秒毎秒と、
一人当たりの体重を六十五キログラムとして計算した定員をいう。第百二十九条の十三の三第三項第九号において同じ。)を明示した標識をかご内の見やすい場所に掲示すること」とあり、
「五 一人当たりの体重を六十五キログラムとして計算した定員をいう」で、
一人当たりの体重は、65kg です。60kgではありません


3 火災時などの災害時に消防隊が人の救助活動及び消火活動に利用するための非常用エレベーターは、高さ60m を超える建築物に設置が義務付けられている。

X 適切でない。 ここは、平成18年マンション管理士試験 「問21」 など。
  非常用エレベーターの設置は、高さ
  建築基準法34条2項
 「
高さ三十一メートルをこえる建築物(政令で定めるものを除く。)には、非常用の昇降機を設けなければならない。」とあり、
高さ31mを超える建築物には設置しなければなりません。60mではありません。
 昇降機には、エレベーターやエスカレーターもありますが、建築基準法施行令129条の13の3により、
   「(非常用の昇降機の設置及び構造)
   第百二十九条の十三の三  法第三十四条第二項 の規定による非常用の昇降機は、エレベーターとし、その設置及び構造は、第百二十九条の四から第百二十九条の十までの規定によるほか、この条に定めるところによらなければならない。」
とあり、非常用の昇降機は「エレベーター」と定められています。
なお、除かれる場合として、
  建築基準法施行令129条の13の2、「法第三十四条第二項 の規定により政令で定める建築物(非常用の昇降機が不要な建築物)は、次の各号のいずれかに該当するものとする。
   一  高さ三十一メートルを超える部分を階段室、昇降機その他の建築設備の機械室、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する用途に供する建築物
   二  高さ三十一メートルを超える部分の各階の床面積の合計が五百平方メートル以下の建築物
   三  高さ三十一メートルを超える部分の階数が四以下の主要構造部を耐火構造とした建築物で、当該部分が床面積の合計百平方メートル以内ごとに耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備でその構造が第百十二条第十四項第一号イ、ロ及びニに掲げる要件を満たすものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたもの(廊下に面する窓で開口面積が一平方メートル以内のものに設けられる法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備を含む。)で区画されているもの
   四  高さ三十一メートルを超える部分を機械製作工場、不燃性の物品を保管する倉庫その他これらに類する用途に供する建築物で主要構造部が不燃材料で造られたものその他これと同等以上に火災の発生のおそれの少ない構造のもの 」
 も、記憶しておくこと。
★どうして、31mを越えると非常用エレベーターが必要か?
  31mは昔の尺貫法の約100尺(33m)に該当します。以前の高さ制限でもあります。
  消防用の避難はしご車もその高さにあわせて31mまでは、届きますがそれ以上は届きません。
  そこで、消防隊も消火活動に使える非常用エレベーターが必要とされます。
 




4 機械室不要の、いわゆる機械室レスエレベーターは、すべてリニアモーターエレベーターである。

X 適切でない。 平成21年マンション管理士試験 「問45」 、 平成16年マンション管理士試験 「問38」 
  機械室(マシンルーム)レス(不要)エレベーターは、
すべてリニアモーターエレベーターではありません。
  機械室レスエレベーター:マシンルームレス型エレベーターは、エレベーターの巻上機を昇降路のピットに、制御盤を乗場または塔内に配置することで従来の「ロープ式」「油圧式」に不可欠だった機械室を無くした、次世代型のエレベーターです。機械室を無くすことにより、省スペース、省エネルギー、建築コストの削減はもちろんのこと、昇降路の位置を自由に設計できるので建築物の屋根や、外観など意匠設計の自由度が向上します。また、運転性能の向上、走行騒音の低下、廃油処理が必要なくなることにより地球環境に優しい移動環境を構築します。このような特性を持つマシンルームレスエレベーターは建物設計の段階から様々な発想を生み、私たちの生活を、より快適なものへと進化させていきます。これからエレベーターは、徐々にマシンルームレスエレベーターへ移行し、次世代エレベーターの本流となっていきます。
 そして、リニアモーターエレベーターとは、回転運動を直線運動に置き換えるリニアモーターを利用したエレベーターです。一次側をつり合いおもりに内蔵し、二次側を昇降路の全長に伸ばすことで、巻上機を設置する必要がなくなりました。
現在のリニアモーター式は「究極の機械室なしタイプ」ですが、次世代のリニアモーター式エレベーターとして、つり合いおもりに内蔵されている一次側を、かごに内蔵する研究が進められています。この方式が実現すれば、昇降路内に伸ばした二次側にそって一次側の「かご」が移動することになりますから、ロープが不要になるほか、水平・垂直・カーブなど、かごの移動方向も制約がなくなり、エレベーターの概念が根底から覆ることになります。という訳で、まだ研究の段階です。費用がかかるのと、モーターの小型化で、採用が遅れているようです。





答え:1 高層住宅管理業協会の発表:
(ここは、消去法で、選択肢1 が分かる?)

問21

【問 21】 建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法律第123号)に関する 次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 階数が3以上で、かつ、床面積の合計が1,000u以上の賃貸共同住宅(既存不適格建築物であるものに限る。)の所有者は、耐震診断を行い、必要に応じ、耐震改修を行うよう努めなければならない。

○ 正しい。 建築物の耐震改修の促進に関する法律からは、平成20年管理業務主任者試験 「問22」 や、同 「問28 」 もある。
 平成23年3月11日に発生した「東北地方太平洋沖地震」もあったので、少し補足説明を入れました。

 ご承知のように地震大国:日本では、地震による家屋の倒壊等の被害は大きく、貴重な生命・財産が奪われています。そこで、平成7年(1995年)に発生した阪神・淡路大震災を教訓にした建築物の耐震改修の促進に関する法律があるのですが、平成18年にこの法律の改正があり、関係する建築基準法も震度6強から7程度までの耐震基準となっています。
  設問の、
既存不適格建築物とは、建築した時点では、建築基準法や都市計画法などの法令に適合して建築された建物ですが、建築基準法や都市計画法などの法令は改正されます。すると、その改正された内容(例:接道幅)に適合しなくなった建築物のことです。そのままで使用はできますが、改築や建替えとなると、改正後の法令に合わせたものにしなければなりません。建築の最初から、建築基準法や都市計画法など関係の法令に違反して建てられた「違法建築物」ではありませんから、注意してください。あくまでも、「既存不適格建築物」です。
 建築物の耐震改修の促進に関する法律第6条での「多数の者が利用する建築物」には、
分譲のマンションは、含まれていませんが、同法第5条により、都道府県耐震改修促進計画で、地震で倒壊した建物が道路の通行の妨げになるような場合には、該当します。
 これを踏まえ、設問に戻りますと、建築物の耐震改修の促進に関する法律第6条
 「第六条  次に掲げる建築物のうち、地震に対する安全性に係る建築基準法 又はこれに基づく命令若しくは条例の規定(第八条において「耐震関係規定」という。)に適合しない建築物で同法第三条第二項 の規定の適用を受けているもの(以下「特定建築物」という。)の所有者は、当該特定建築物について耐震診断を行い、必要に応じ、当該特定建築物について耐震改修を行うよう努めなければならない。
     
一  学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、老人ホームその他多数の者が利用する建築物で政令で定めるものであって政令で定める規模以上のもの
     二  火薬類、石油類その他政令で定める危険物であって政令で定める数量以上のものの貯蔵場又は処理場の用途に供する建築物
     三  地震によって倒壊した場合においてその敷地に接する道路の通行を妨げ、多数の者の円滑な避難を困難とするおそれがあるものとして政令で定める建築物であって、その敷地が前条第三項第一号の規定により都道府県耐震改修促進計画に記載された道路に接するもの」とあり、
政令は、建築物の耐震改修の促進に関する法律施行令第2条
 「(多数の者が利用する特定建築物の要件)
  第二条  法第六条第一号 の政令で定める建築物は、次に掲げるものとする。
     一  ボーリング場、スケート場、水泳場その他これらに類する運動施設
     二  診療所
     三  映画館又は演芸場
     四  公会堂
     五  卸売市場又はマーケットその他の物品販売業を営む店舗
     六  ホテル又は旅館
     
七  賃貸住宅(共同住宅に限る。)、寄宿舎又は下宿
     八  老人短期入所施設、保育所、福祉ホームその他これらに類するもの
     九  老人福祉センター、児童厚生施設、身体障害者福祉センターその他これらに類するもの
     十  博物館、美術館又は図書館
     十一  遊技場
     十二  公衆浴場
     十三  飲食店、キャバレー、料理店、ナイトクラブ、ダンスホールその他これらに類するもの
     十四  理髪店、質屋、貸衣装屋、銀行その他これらに類するサービス業を営む店舗
     十五  工場
     十六  車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場を構成する建築物で旅客の乗降又は待合いの用に供するもの
     十七  自動車車庫その他の自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設
     十八  保健所、税務署その他これらに類する公益上必要な建築物
   2  法第六条第一号 の政令で定める規模は、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるものとする。
     一  幼稚園又は保育所 階数が二で、かつ、床面積の合計が五百平方メートルのもの
     二  小学校、中学校、中等教育学校の前期課程若しくは特別支援学校(以下「小学校等」という。)、老人ホーム又は前項第八号若しくは第九号に掲げる建築物(保育所を除く。) 階数が二で、かつ、床面積の合計が千平方メートルのもの
     三  学校(幼稚園及び小学校等を除く。)、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所又は
前項第一号から第七号まで若しくは第十号から第十八号までに掲げる建築物 階数が三で、かつ、床面積の合計が千平方メートルのもの
     四  体育館 床面積の合計が千平方メートルのもの」とあり、
賃貸共同住宅は、第2条1項7号と同条2項3号に該当し、階数が3以上で、かつ、床面積の合計が1,000u以上なら、所有者は、耐震診断を行い、必要に応じ、耐震改修を行うよう努めなければなりません。



2 所管行政庁によって耐震改修計画の認定を受けた場合、既存不適格建築物にかかる制限の緩和は認められているが、耐火建築物にかかる制限の緩和は認められていない。

X 誤っている。 所管行政庁によって耐震改修計画の認定を受けると、耐火建築物は? 
 建築物の耐震改修の促進に関する法律第8条
 「(計画の認定)
  第八条  建築物の耐震改修をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、建築物の耐震改修の計画を作成し、所管行政庁の認定を申請することができる。
   2  前項の計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
     一  建築物の位置
     二  建築物の階数、延べ面積、構造方法及び用途
     三  建築物の耐震改修の事業の内容
     四  建築物の耐震改修の事業に関する資金計画
     五  その他国土交通省令で定める事項
   3  所管行政庁は、第一項の申請があった場合において、建築物の耐震改修の計画が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、その旨の認定(以下この章において「計画の認定」という。)をすることができる。
     一  建築物の耐震改修の事業の内容が耐震関係規定又は地震に対する安全上これに準ずるものとして国土交通大臣が定める基準に適合していること。
     二  前項第四号の資金計画が建築物の耐震改修の事業を確実に遂行するため適切なものであること。
     三  第一項の申請に係る建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分が耐震関係規定及び耐震関係規定以外の建築基準法 又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に適合せず、かつ、同法第三条第二項 の規定の適用を受けているものである場合において、当該建築物又は建築物の部分の増築(柱の径若しくは壁の厚さを増加させ、又は柱若しくは壁のない部分に柱若しくは壁を設けることにより建築物の延べ面積を増加させるものに限る。)、改築(形状の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)を伴わないものに限る。)、大規模の修繕(同法第二条第十四号 に規定する大規模の修繕をいう。)又は大規模の模様替(同条第十五号 に規定する大規模の模様替をいう。)をしようとするものであり、かつ、当該工事後も、引き続き、当該建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分が耐震関係規定以外の同法 又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に適合しないこととなるものであるときは、前二号に掲げる基準のほか、次に掲げる基準に適合していること。
       イ 当該工事が地震に対する安全性の向上を図るため必要と認められるものであり、かつ、当該工事後も、引き続き、当該建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分が耐震関係規定以外の建築基準法 又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に適合しないこととなることがやむを得ないと認められるものであること。
       ロ 工事の計画(二以上の工事に分けて耐震改修の工事を行う場合にあっては、それぞれの工事の計画)に係る建築物及び建築物の敷地について、交通上の支障の度、安全上、防火上及び避難上の危険の度並びに衛生上及び市街地の環境の保全上の有害の度が高くならないものであること。
     四  第一項の申請に係る建築物が耐震関係規定に適合せず、かつ、建築基準法第三条第二項 の規定の適用を受けている耐火建築物(同法第二条第九号の二 に規定する耐火建築物をいう。)である場合において、当該建築物について柱若しくは壁を設け、又は柱若しくははりの模様替をすることにより当該建築物が同法第二十七条第一項 、第六十一条又は第六十二条第一項の規定に適合しないこととなるものであるときは、第一号及び第二号に掲げる基準のほか、次に掲げる基準に適合していること。
       イ 当該工事が地震に対する安全性の向上を図るため必要と認められるものであり、かつ、当該工事により、当該建築物が建築基準法第二十七条第一項 、第六十一条又は第六十二条第一項の規定に適合しないこととなることがやむを得ないと認められるものであること。
       ロ 次に掲げる基準に適合し、防火上及び避難上支障がないと認められるものであること。
         (1) 工事の計画に係る柱、壁又ははりの構造が国土交通省令で定める防火上の基準に適合していること。
         (2) 工事の計画に係る柱、壁又ははりに係る火災が発生した場合の通報の方法が国土交通省令で定める防火上の基準に適合していること。
   4  第一項の申請に係る建築物の耐震改修の計画が建築基準法第六条第一項 の規定による確認又は同法第十八条第二項 の規定による通知を要するものである場合において、計画の認定をしようとするときは、所管行政庁は、あらかじめ、建築主事の同意を得なければならない。
   5  建築基準法第九十三条 の規定は所管行政庁が同法第六条第一項 の規定による確認又は同法第十八条第二項 の規定による通知を要する建築物の耐震改修の計画について計画の認定をしようとする場合について、同法第九十三条の二 の規定は所管行政庁が同法第六条第一項 の規定による確認を要する建築物の耐震改修の計画について計画の認定をしようとする場合について準用する。
   6  所管行政庁が計画の認定をしたときは、次に掲げる建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分(以下この項において「建築物等」という。)については、建築基準法第三条第三項第三号 及び第四号 の規定にかかわらず、同条第二項 の規定を適用する。
     一  耐震関係規定に適合せず、かつ、建築基準法第三条第二項 の規定の適用を受けている建築物等であって、第三項第一号の国土交通大臣が定める基準に適合しているものとして計画の認定を受けたもの
     二  計画の認定に係る第三項第三号の建築物等
   
7  所管行政庁が計画の認定をしたときは、計画の認定に係る第三項第四号の建築物については、建築基準法第二十七条第一項 、第六十一条又は第六十二条第一項の規定は、適用しない。
   8  第一項の申請に係る建築物の耐震改修の計画が建築基準法第六条第一項 の規定による確認又は同法第十八条第二項 の規定による通知を要するものである場合において、所管行政庁が計画の認定をしたときは、同法第六条第一項 又は第十八条第三項 の規定による確認済証の交付があったものとみなす。この場合において、所管行政庁は、その旨を建築主事に通知するものとする。 」とあり、
7項の建築基準法第27条1項は、
 「(耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない特殊建築物)
  第二十七条  次の各号の一に該当する特殊建築物は、
耐火建築物としなければならない。ただし、地階を除く階数が三で、三階を下宿、共同住宅又は寄宿舎の用途に供するもの(三階の一部を別表第一(い)欄に掲げる用途(下宿、共同住宅及び寄宿舎を除く。)に供するもの及び第二号又は第三号に該当するものを除く。)のうち防火地域以外の区域内にあるものにあつては、第二条第九号の三イに該当する準耐火建築物(主要構造部の準耐火性能その他の事項について、準防火地域の内外の別に応じて政令で定める技術的基準に適合するものに限る。)とすることができる。
     一  別表第一(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄の当該各項に掲げる用途に供するもの
     二  別表第一(い)欄に掲げる用途に供するもので、その用途に供する部分(同表(一)項の場合にあつては客席、同表(五)項の場合にあつては三階以上の部分に限る。)の床面積の合計が同表(は)欄の当該各項に該当するもの
     三  劇場、映画館又は演芸場の用途に供するもので、主階が一階にないもの」とあり、
この規定は、耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない特殊建築物ですから、耐火建築物にかかる制限の適用はありません。
なお、耐火建築物とは、建築基準法第2条
 「(用語の定義)
  第二条
  この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
     九の二 
耐火建築物 次に掲げる基準に適合する建築物をいう。
       イ その主要構造部が(1)又は(2)のいずれかに該当すること。
        (1) 耐火構造であること。
        (2) 次に掲げる性能(外壁以外の主要構造部にあつては、(i)に掲げる性能に限る。)に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。
          (i) 当該建築物の構造、建築設備及び用途に応じて屋内において発生が予測される火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。
         (ii) 当該建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。
       ロ その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能(通常の火災時における火炎を有効に遮るために防火設備に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を有すること。」です。



3 分譲マンション(既存不適格建築物であるものに限る。)であっても、都道府県耐震改修促進計画に記載された道路に接する敷地に建つものにあっては、道路の幅員などによって決まる限度以上の高さの部分がある場合には、その所有者は、耐震診断を行い、必要に応じ、耐震改修を行うよう努めなければならない。

○ 正しい。 選択肢1でも説明しましたが、 建築物の耐震改修の促進に関する法律第6条1号の「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、老人ホームその他多数の者が利用する建築物で政令で定めるものであって政令で定める規模以上のもの」には、分譲マンションは入っていませんが、「都道府県耐震改修促進計画」があり、そこに記載された道路に接する敷地に建つものなら、建築物の耐震改修の促進に関する法律第6条3号「三 地震によって倒壊した場合においてその敷地に接する道路の通行を妨げ、多数の者の円滑な避難を困難とするおそれがあるものとして政令で定める建築物であって、その敷地が前条第三項第一号の規定により都道府県耐震改修促進計画に記載された道路に接するもの」とあり、該当します。
なお、政令:建築物の耐震改修の促進に関する法律施行令第4条
 「(多数の者の円滑な避難を困難とするおそれがある特定建築物の要件)
  第四条  法第六条第三号 の政令で定める建築物は、そのいずれかの部分の高さが、当該部分から前面道路の境界線までの水平距離に、次の各号に掲げる当該前面道路の幅員に応じ、それぞれ当該各号に定める距離を加えたものを超える建築物とする。
     一  十二メートル以下の場合 六メートル
     二  十二メートルを超える場合 前面道路の幅員の二分の一に相当する距離」です。



4 建築確認を要する建築物の耐震改修の計画が、所管行政庁の認定を受けた場合は、当該建築物については確認済証の交付があったものとみなされる。

○ 正しい。 過去もでた。 平成22年マンション管理士試験 「問42」。 
  確認済証の交付は、建築物の建築において必要なものです(建築基準法第6条参照)。また、建築物の耐震改修の計画を認定する際には、建築基準法で定める規定に適合しているかどうかが確認されていますから(建築物の耐震改修の促進に関する法律第8条参照)(計画の認定)
 「第八条  建築物の耐震改修をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、建築物の耐震改修の計画を作成し、所管行政庁の認定を申請することができる。
   2  前項の計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
     一  建築物の位置
     二  建築物の階数、延べ面積、構造方法及び用途
     三  建築物の耐震改修の事業の内容
     四  建築物の耐震改修の事業に関する資金計画
     五  その他国土交通省令で定める事項
   3  所管行政庁は、第一項の申請があった場合において、建築物の耐震改修の計画が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、その旨の認定(以下この章において「計画の認定」という。)をすることができる。
     一  建築物の耐震改修の事業の内容が耐震関係規定又は地震に対する安全上これに準ずるものとして国土交通大臣が定める基準に適合していること。
     二  前項第四号の資金計画が建築物の耐震改修の事業を確実に遂行するため適切なものであること。
     三  第一項の申請に係る建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分が耐震関係規定及び耐震関係規定以外の建築基準法 又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に適合せず、かつ、同法第三条第二項 の規定の適用を受けているものである場合において、当該建築物又は建築物の部分の増築(柱の径若しくは壁の厚さを増加させ、又は柱若しくは壁のない部分に柱若しくは壁を設けることにより建築物の延べ面積を増加させるものに限る。)、改築(形状の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)を伴わないものに限る。)、大規模の修繕(同法第二条第十四号 に規定する大規模の修繕をいう。)又は大規模の模様替(同条第十五号 に規定する大規模の模様替をいう。)をしようとするものであり、かつ、当該工事後も、引き続き、当該建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分が耐震関係規定以外の同法 又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に適合しないこととなるものであるときは、前二号に掲げる基準のほか、次に掲げる基準に適合していること。
       イ 当該工事が地震に対する安全性の向上を図るため必要と認められるものであり、かつ、当該工事後も、引き続き、当該建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分が耐震関係規定以外の建築基準法 又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に適合しないこととなることがやむを得ないと認められるものであること。
       ロ 工事の計画(二以上の工事に分けて耐震改修の工事を行う場合にあっては、それぞれの工事の計画)に係る建築物及び建築物の敷地について、交通上の支障の度、安全上、防火上及び避難上の危険の度並びに衛生上及び市街地の環境の保全上の有害の度が高くならないものであること。
     四  第一項の申請に係る建築物が耐震関係規定に適合せず、かつ、建築基準法第三条第二項 の規定の適用を受けている耐火建築物(同法第二条第九号の二 に規定する耐火建築物をいう。)である場合において、当該建築物について柱若しくは壁を設け、又は柱若しくははりの模様替をすることにより当該建築物が同法第二十七条第一項 、第六十一条又は第六十二条第一項の規定に適合しないこととなるものであるときは、第一号及び第二号に掲げる基準のほか、次に掲げる基準に適合していること。
       イ 当該工事が地震に対する安全性の向上を図るため必要と認められるものであり、かつ、当該工事により、当該建築物が建築基準法第二十七条第一項 、第六十一条又は第六十二条第一項の規定に適合しないこととなることがやむを得ないと認められるものであること。
       ロ 次に掲げる基準に適合し、防火上及び避難上支障がないと認められるものであること。
         (1) 工事の計画に係る柱、壁又ははりの構造が国土交通省令で定める防火上の基準に適合していること。
         (2) 工事の計画に係る柱、壁又ははりに係る火災が発生した場合の通報の方法が国土交通省令で定める防火上の基準に適合していること。
   4  第一項の申請に係る建築物の耐震改修の計画が建築基準法第六条第一項 の規定による確認又は同法第十八条第二項 の規定による通知を要するものである場合において、計画の認定をしようとするときは、所管行政庁は、あらかじめ、建築主事の同意を得なければならない。
   5  建築基準法第九十三条 の規定は所管行政庁が同法第六条第一項 の規定による確認又は同法第十八条第二項 の規定による通知を要する建築物の耐震改修の計画について計画の認定をしようとする場合について、同法第九十三条の二 の規定は所管行政庁が同法第六条第一項 の規定による確認を要する建築物の耐震改修の計画について計画の認定をしようとする場合について準用する。
   6  所管行政庁が計画の認定をしたときは、次に掲げる建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分(以下この項において「建築物等」という。)については、建築基準法第三条第三項第三号 及び第四号 の規定にかかわらず、同条第二項 の規定を適用する。
     一  耐震関係規定に適合せず、かつ、建築基準法第三条第二項 の規定の適用を受けている建築物等であって、第三項第一号の国土交通大臣が定める基準に適合しているものとして計画の認定を受けたもの
     二  計画の認定に係る第三項第三号の建築物等
   7  所管行政庁が計画の認定をしたときは、計画の認定に係る第三項第四号の建築物については、建築基準法第二十七条第一項 、第六十一条又は第六十二条第一項の規定は、適用しない。
   8  第一項の申請に係る建築物の耐震改修の計画が建築基準法第六条第一項 の規定による確認又は同法第十八条第二項 の規定による通知を要するものである場合において、
所管行政庁が計画の認定をしたときは、同法第六条第一項 又は第十八条第三項 の規定による確認済証の交付があったものとみなす。この場合において、所管行政庁は、その旨を建築主事に通知するものとする。」とあり、
8項により、所管行政庁が計画の認定をしたときは、確認済証の交付があったものとみなされます。
参考:建築基準法第6条
 「(建築物の建築等に関する申請及び確認)
  第六条  建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。
     一  別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が百平方メートルを超えるもの
     二  木造の建築物で三以上の階数を有し、又は延べ面積が五百平方メートル、高さが十三メートル若しくは軒の高さが九メートルを超えるもの
     三  木造以外の建築物で二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超えるもの
     四  前三号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法 (平成十六年法律第百十号)第七十四条第一項 の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物」


答え:2  (ここ「問21」は、今後も重要と考えて解説にかなり時間をかけました。あまり、「建築物の耐震改修の促進に関する法律」などは読んだことがないでしょうから、条文も細かく入れました。)

問22

【問 22】 建築基準法第39条に規定されている災害危険区域に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 高潮、出水による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができるとしているが、津波による危険は対象としていない。

X 誤っている。 建築基準法からの出題で、第39条からは目新しい。平成23年3月11日に発生した、東北地方太平洋沖地震での津波の被害に絡んでの出題だ。
  では、建築基準法第39条
 「(災害危険区域)
  第三十九条  地方公共団体は、条例で、
津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができる。
   2  災害危険区域内における住居の用に供する建築物の建築の禁止その他建築物の建築に関する制限で災害防止上必要なものは、前項の条例で定める。」とあり、
1項によれば、「地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定すること」ができます


2 災害危険区域を指定することができるのは、国土交通大臣である。

X 誤っている。 災害危険区域を指定するのは、選択肢1で引用しました、建築基準法第39条1項
 「
地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができる」とあり、
地方公共団体です。国土交通大臣ではありません。



3 災害危険区域内においては、住居の用に供する建築物の建築を禁止することができる。

○ 正しい。 選択肢1で引用しました、建築基準法第39条2項
 「2  災害危険区域内における
住居の用に供する建築物の建築の禁止その他建築物の建築に関する制限で災害防止上必要なものは、前項の条例で定める」とあり、
条文のままです。



4 建築物の建築に関する制限で災害防止上必要なものは、建築基準法施行令に規定されている。

X 誤っている。 選択肢1で引用しました、建築基準法第39条2項
 「2  災害危険区域内における住居の用に供する建築物の建築の禁止その他建築物の建築に関する制限で災害防止上必要なものは、
前項の条例で定める」とあり、
前項(1項)の条例=地方公共団体の条例ですから、建築基準法施行令ではありません。



答え:3 (ここは、建築基準法第39条を知らないと、迷う。 解答も難しいか。)

問23

【問 23】 鉄筋コンクリート造に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1 壁式構造とは、鉄筋コンクリート造の壁や床板によって箱状の構造体を構成し、荷重や外力に抵抗する構造形式である。

○ 適切である。 ここらは、過去問題をやっていれば、楽。 平成23年マンション管理士試験 「問41」 でも出ている。 
 壁式構造は、壁面や床板などの平面的な構造材を組み合わせた、柱を持たない箱状の骨組のことです。板状になった薄い壁梁は付きますが、柱や梁が室内に出っ張らないので、すっきりした空間ができます。しかし、壁で構造を支えるために、室内空間に耐力壁(構造壁)を設ける必要があり、ラーメン構造(柱と梁をしっかり固定する構造)に比べると空間構成があまりとれず、大空間はできません。通常は、鉄筋コンクリート造で5階建て以下の中低層マンションに適用されます。

 


2 高さ20m を超えるような中高層マンションは、現在でも鉄骨鉄筋コンクリート造で建てられており、鉄筋コンクリート造のものはない。

X 適切でない。 鉄骨鉄筋コンクリート(Steel Reinforced Concrete)造は、建物の芯になる柱や梁を鉄骨で組み周りを鉄筋とコンクリートで覆い、耐火性、耐震性、防音性に優れています。高層建築物で用いられています。
また、鉄筋コンクリート(Reinforced Concrete)造は、建物の芯になる柱や梁を鉄筋で組み周りをコンクリートで覆った造りです。これら、鉄骨鉄筋コンクリート造でも鉄筋コンクリート造また、他に鋼管コンクリート造なども、高さ20mを超える中高層マンションの建築で採用されています。



3 プレキャストコンクリート工法で用いられる鉄筋コンクリートの部材の製造は工場で行われることが多く、現在では現場の構内で行われることはほとんどない。

X 適切でない。 プレキャストコンクリート工法とはきいたことがあるとおもったら、平成17年 マンション管理士試験 「問41」 でも出ている。
  通常、建築工事現場で、型枠を作りそこにコンクリートを流すのですが、プレキャストコンクリート(Pre-cast Concrete)工法では、事前(Pre)に、工場でコンクリート部材を作って(Cast)おいて、現場で繋ぎあわせせます。この工法の利点としては、現場での天候や職人の技に左右されず、安定した性能が確保でき、また工期が短縮でき、狭い現場でも対応できます。しかし、一体性が弱くなる短所もあります。通常は、専用工場で作られて、現場に搬入されますが、工場と現場が離れている場合などでは、現場の構内で行われることもあるようです。





4 プレキャストコンクリートと現場打ちコンクリートを併用する工法は、現在ではほとんど採用されていない。

X 適切でない。 すべてをプレキャストコンクリート工法で造れる建築物は少ないようです。そこで、メインの柱や梁、床などは、プレキャストコンクリート工法で造り、細かな部分は、現場打ちコンクリートも併用しているようです。


答え:1  (プレキャストコンクリートは、なんとなく知っていたかも。 ここは、選択肢1 が分かれば次の問題に、すぐ移れる。)

問24

【問 24】 共同住宅の外壁の塗材に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1 薄付け仕上塗材は、最も古い形の吹付け仕上げによる材料で、通称「吹付けタイ ル」と呼ばれている。

X 適切でない。 まったく、新しい分野からの出題でNETでは根拠が探せない。平成23年版「マンション管理の知識」にもない。そこで、図書館にいって「塗装工事」や「吹付け工事」関係の本を読み漁って、どうにかまとめました。
  *仕上塗材の種類
    1.
薄付け仕上塗材...昭和20年代からあるもので、単層で厚さ3mm程度の砂壁状の凸凹模様(塗装の本では、逆に凹凸と出てますが)に仕上げます。通称「セメントリシン」とか「「シリカリシン」と呼ばれます。
    2.厚付け仕上塗材...単層で4mm程度以上に仕上げます。石材調でスタッコ状(Sutacco=化粧漆喰)で、薄付け仕上塗材よりも、重厚で高級な感じがでます。ドイツ壁とも呼ばれます。
    3.軽量骨材仕上塗材...主として天井用で、砂壁状でバーライト吹付をします。
    4.
複層仕上塗材...他の塗材が、下地処理を除いて、多くは単層の仕上げですが、この仕上塗材は、下塗材、主材、上塗材(模様吹き)の3層からなります。厚さは、1〜5mm程度の凸凹模様に仕上げます。ドイツから1965年頃きたやり方で、陶磁器調のタイルの風合いがあります。通称「吹付けタイル」と呼ばれます。







 という訳で、設問に戻りますが、前半の「薄付け仕上塗材は、最も古い形の吹付け仕上げによる材料」は正しいのですが、後半の「通称”吹付けタイル”と呼ばれている」が間違っています。薄付け仕上塗材は通称「セメントリシン」とか、「シリカリシン」と呼ばれます。通称「吹付けタイル」と呼ばれているのは、次の選択肢2の「複層仕上塗材」です。


2 複層仕上塗材は、合成樹脂、セメントなどの結合材及び骨材、充てん材を主原料と し、下塗り、主材塗り、上塗りの3層で構成される仕上塗材で、通称「セメントリシン」と呼ばれている。

X 適切でない。 選択肢1で説明しましたように、複層仕上塗材は、合成樹脂、セメントなどの結合材及び骨材、充てん材を主原料と し、下塗材・主材・上塗材の3層で構成されています。仕上がりの特徴は、豪華なパターンと立体感あふれる美しさを壁面に形成します。前半は正しいのですが、後半の「通称”セメントリシン”と呼ばれているが、間違いです。複層仕上塗材は、通称「吹付けタイル」と呼ばれています。通称「セメントリシン」と呼ばれているのは、選択肢1の「薄付け仕上塗材」です。


3 可とう形改修用仕上塗材は、改修工事専用の塗材で、下地調整機能の特徴を持ち、通称「微弾性フィラー」と呼ばれている。

○ 適切である。 まったく、専門用語ばかりで、どこからきた言葉だか、根拠が探せません。でも、さすが図書館です。
   オーム社が出している、「マンション維持修繕技術 ハンドブック(何と、この管理業務主任者試験の出題元と同じ、社団法人 高層住宅管理業協会 編 )」 価格 ¥10,000− P.171 に この出題文と同じ文章がそのままありました。
  でも、一応、他も調べましたので載せましょう。
 まず、耳慣れない「可とう」は難しい漢字なら「可撓」です。建築では、よく使用されているようです。今様に言うなら、「柔軟性があって、まげても折れず、伸びチジミに対応できる」となりますか。ヒビや割れの隙間が膨張したり収縮しても追従できるといった意味合いです。
 そこで、次の、「微弾性フィラー=Filler(埋めるもの)」ですが、塗装ペイントでJIS規格があり、その分類で「可とう形改修用仕上塗材」に入っているようです。下地の凸凹を埋め平らにする調整機能があります。改修工事専用の塗材で、特徴としては、水性のため環境を汚染せず、機能としては微細なクラック(ひび割れ)を埋めることが出来ます。乾燥後も弾力性が残っているためクラックに追従することが出来るそうです。(まったく、知るわけは、ありませんでした。)
微弾性フィラー厚塗りの例




4 鉄部のさび止め塗料としては、下塗りに鉛系さび止めペイント、上塗りにボイル油を展色剤とした油性調合ペイントが、現在最も用いられている。

X 適切でない。 この設問も、まったく、慣れない言葉のオンパレードでどこが正しくて、どこが、間違っているのか、全然不明でしょう?
  根拠は、これも、選択肢3と同じ「マンション維持修繕技術 ハンドブック」にありました。P.172、173 でした。
  この箇所によりますと、「鉄部のさび止め塗料としては、下塗りに鉛系さび止めペイント、上塗りにボイル油を展色剤とした油性調合ペイントを使います」までは正しいのですが、今の主流は、「鉛系さび止めペイント + 上塗り;
合成樹脂調合ペイント」だそうです。
 でも、それ以外にも調べましたので、それも載せます。
  設問では、鉛系と曖昧ですが、鉛系さび止めは、現在では鉛中毒の危険性が指摘されほとんど使用されなくなっているとの指摘もあります。
 また、ボイル油は、原料の亜麻仁油・大豆油・桐油などの植物油にマンガン・コバルトなどの金属化合物を加えて加熱し乾燥性を改善したものです。油絵にも使用されるとのことです。
次に展色剤とは、英語ならビヒクル=Vehicle(乗り物・車:今の発音表現なら”ビークル”?)で、配合されている顔料などを、車で運ぶように、広げていく能力をもった成分のことです。
油性調合ペイントとは、ボイル油に顔料を練りこんだ油性ペイントを原料とし、場合により流れ止め剤などの添加剤を加えて調合した、乾燥剤と伸展剤を加えた塗料のことを言います。油性調合ペイントは、作業性、耐候性に優れるが、硬さやつやは、合成樹脂系やラッカーよりも劣るため、現在はあまり使用されなくなったようです。


答え:3  (いやはや、根拠を求めて、苦労しました。まず、「マンション管理の知識」は調べても該当しないし、図書館の一般的な「塗装」や「外壁」の本にもないしで、実に時間がかかった。それが、管理業務主任者試験の出題元にからむ「マンション維持修繕技術 ハンドブック」とは、実に不適切な出題方法です。)

問25

【問 25】 建築物定期調査、建築設備及び昇降機定期検査に関する次の記述のうち、 建築基準法によれば、誤っているものはどれか。


注:建築基準法第12条は、平成28年6月施行で、改正があった。ここは、未対応。


1 具体的な調査・検査の項目並びに項目ごとの調査・検査の方法、結果の判定基準が告示で定められている。

○ 正しい。 建築物の定期調査・検査報告制度が法律で決められています。
  ここは、過去も出ていますが、少しばかり、関係の条文が長いのでまとめを説明します。平成22年管理業務主任者試験 「問27」 、平成21年マンション管理士試験 「問37」 、平成19年マンション管理士試験 「問20」、 平成18年管理業務主任者試験 「問18」 、など。
  
  劇場、病院、ホテル、共同住宅、デパートなど、多くの人が集まる特殊建築物等では、建物の構造の損傷や劣化が、大惨事を起こす可能性があります。そこで、建築基準法第12条では、定期的に、一級建築士や二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者にその状況の調査・検査させて、その結果を、特定行政庁(国土交通省ではありませんよ)に報告させます。報告の時期は、6カ月から3年までの間で、特定行政庁が定めます。(同法施行規則第5条1項)
★昇降機(エレベーター・エスカレーター)、建築設備も定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者に検査(当該建築設備についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければなりません(建築基準法第12条3項)。昇降機などの報告の時期は、おおむね6ヶ月から1年までの間隔で行います。おおむね2年ごとでありませんよ。 (同法法施行規則6条)

★定期報告と資格者、時期のまとめ

定期報告が必要な建築物など 調査、検査をする資格者 報告時期
6条1項1号など 一級建築士、二級建築士、特殊建築物等調査資格者 6ヵ月〜
3年
昇降機 一級建築士、二級建築士、昇降機検査資格者 6ヵ月〜
1年
建築設備 一級建築士、二級建築士、建設設備検査資格者

参考:
建築基準法第12条
 「(報告、検査等)
  第十二条  
第六条第一項第一号に掲げる建築物その他政令で定める建築物(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物を除く。)で特定行政庁が指定するものの所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、当該建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者にその状況の調査(当該建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、当該建築物の建築設備についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
   2  国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物(第六条第一項第一号に掲げる建築物その他前項の政令で定める建築物に限る。)の管理者である国、都道府県若しくは市町村の機関の長又はその委任を受けた者(以下この章において「国の機関の長等」という。)は、当該建築物の敷地及び構造について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は同項の資格を有する者に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検をさせなければならない。
   
3  昇降機及び第六条第一項第一号に掲げる建築物その他第一項の政令で定める建築物の昇降機以外の建築設備(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物に設けるものを除く。)で特定行政庁が指定するものの所有者は、当該建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者に検査(当該建築設備についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
   4  国の機関の長等は、国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物の昇降機及び国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物(第六条第一項第一号に掲げる建築物その他第一項の政令で定める建築物に限る。)の昇降機以外の建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は前項の資格を有する者に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検をさせなければならない。
   5  特定行政庁、建築主事又は建築監視員は、次に掲げる者に対して、建築物の敷地、構造、建築設備若しくは用途又は建築物に関する工事の計画若しくは施工の状況に関する報告を求めることができる。
     一  建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、工事監理者又は工事施工者
     二  第一項の調査、第二項若しくは前項の点検又は第三項の検査をした一級建築士若しくは二級建築士又は第一項若しくは第三項の資格を有する者
     三  第七十七条の二十一第一項の指定確認検査機関
     四  第七十七条の三十五の五第一項の指定構造計算適合性判定機関
   6  建築主事又は特定行政庁の命令若しくは建築主事の委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の職員にあつては第六条第四項、第六条の二第十一項、第七条第四項、第七条の三第四項、第九条第一項、第十項若しくは第十三項、第十条第一項から第三項まで、前条第一項又は第九十条の二第一項の規定の施行に必要な限度において、建築監視員にあつては第九条第十項の規定の施行に必要な限度において、当該建築物、建築物の敷地又は建築工事場に立ち入り、建築物、建築物の敷地、建築設備、建築材料、設計図書その他建築物に関する工事に関係がある物件を検査し、若しくは試験し、又は建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、工事監理者若しくは工事施工者に対し必要な事項について質問することができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。
   7  特定行政庁は、確認その他の建築基準法令の規定による処分並びに第一項及び第三項の規定による報告に係る建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する台帳を整備し、かつ、当該台帳(当該処分及び当該報告に関する書類で国土交通省令で定めるものを含む。)を保存しなければならない。
   8  前項の台帳の記載事項その他その整備に関し必要な事項及び当該台帳(同項の国土交通省令で定める書類を含む。)の保存期間その他その保存に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。 そして、政令:建築基準法施行規則第5条(建築物の定期報告)
 「第五条  法第十二条第一項 (法第八十八条第一項 又は第三項 において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による報告の時期は、建築物の用途、構造、延べ面積等に応じて、おおむね六月から三年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期(法第十二条第一項 の規定による指定があつた日以後の新築又は改築(一部の改築を除く。)に係る建築物について、建築主が法第七条第五項 (法第八十七条の二 又は法第八十八条第一項 において準用する場合を含む。第六条第一項において同じ。)又は法第七条の二第五項 (法第八十七条の二 又は法第八十八条第一項 において準用する場合を含む。第六条第一項において同じ。)の規定による検査済証の交付を受けた場合においては、その直後の時期を除く。)とする。
   2  法第十二条第一項 の規定による調査は、建築物の敷地、構造及び建築設備の状況について安全上支障がないことを確認するために十分なものとして行うものとし、当該調査の項目、方法及び結果の判定基準は国土交通大臣の定めるところによるものとする。
   3  法第十二条第一項 の規定による報告は、別記第三十六号の二の四様式による報告書及び別記第三十六号の二の五様式による定期調査報告概要書に国土交通大臣が定める調査結果表を添えてするものとする。ただし、特定行政庁が規則により別記第三十六号の二の四様式、別記第三十六号の二の五様式又は国土交通大臣が定める調査結果表に定める事項その他の事項を記載する報告書の様式又は調査結果表を定めた場合にあつては、当該様式による報告書又は当該調査結果表によるものとする。
   4  法第十二条第一項 の規定による報告は、前項の報告書及び調査結果表に、特定行政庁が建築物の敷地、構造及び建築設備の状況を把握するため必要があると認めて規則で定める書類を添えて行わなければならない。」

建築基準法施行規則第6条
 「(建築設備等の定期報告)
  第六条  法第十二条第三項 (法第八十八条第一項 又は第三項 において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による報告の時期は、建築設備、法第六十六条 に規定する工作物(高さ四メートルを超えるものに限る。)又は法第八十八条第一項 に規定する昇降機等(以下「建築設備等」という。)の種類、用途、構造等に応じて、
おおむね六月から一年まで(ただし、国土交通大臣が定める検査の項目については、一年から三年まで)の間隔をおいて特定行政庁が定める時期(法第十二条第三項 の規定による指定があつた日以後の設置又は築造に係る建築設備等について、設置者又は築造主が法第七条第五項 又は法第七条の二第五項 の規定による検査済証の交付を受けた場合においては、その直後の時期を除く。)とする。
   2  法第十二条第三項 の規定による検査は、建築設備の状況について安全上支障がないことを確認するために十分なものとして行うものとし、当該検査の項目、事項、方法及び結果の判定基準は国土交通大臣の定めるところによるものとする。
   3  法第十二条第三項 の規定による報告は、昇降機(令第百三十八条第二項第一号 に掲げる乗用エレベーター又はエスカレーターを含む。以下この条において同じ。)にあつては別記第三十六号の三様式による報告書及び別記第三十六号の三の二様式による定期検査報告概要書に、令第百三十八条第二項第二号 又は第三号 に掲げる遊戯施設(以下単に「遊戯施設」という。)にあつては別記第三十六号の三の三様式による報告書及び別記第三十六号の三の四様式による定期検査報告概要書に、建築設備等(昇降機及び遊戯施設を除く。)にあつては別記第三十六号の四様式による報告書及び別記第三十六号の四の二様式による定期検査報告概要書にそれぞれ国土交通大臣が定める検査結果表を添えてするものとする。ただし、特定行政庁が規則により別記第三十六号の三様式、別記第三十六号の三の二様式、別記第三十六号の三の三様式、別記第三十六号の三の四様式、別記第三十六号の四様式、別記第三十六号の四の二様式又は国土交通大臣が定める検査結果表その他の事項を記載する報告書の様式又は検査結果表を定めた場合にあつては、当該様式による報告書又は当該検査結果表によるものとする。
   4  法第十二条第三項 の規定による報告は、前項の報告書及び調査結果表に、特定行政庁が建築設備等の状況を把握するために必要と認めて規則で定める書類を添えて行わなければならない。」です。

とそこで、設問に戻りますと、具体的な調査・検査の方法、判定の基準は、平成20年3月10日の国土交通省告示で
調査の対象物により、
 1.建築物...国土交通省告示第282号
 2.昇降機...国土交通省告示第283号
 3.建築設備...国土交通省告示第285号
と別れて出されています。すべて平成20年4月1日から施行されています。(その後の改正もあります。)

なお、建築基準法に基づく「定期調査・検査報告制度」は、消防法に基づく消防用設備等点検とは異なる制度ですから注意してください。



2 建築物定期調査は、定量的な調査を主とし、目視などによる定性的な調査は、塀の劣化及び損傷状況の調査など限られた項目のみとされている。

X 誤っている。 選択肢1で引用しました、国土交通省告示第282号によりますと、敷地の地盤沈下や排水、また塀・擁壁・外壁などの劣化・損傷を目視確認やテストハンマーでの打診確認をして判定基準と照らし合わせます。塀・擁壁・窓・屋上・屋根・建築物の内部・躯体部・部材・床・天井・避難設備・排煙設備などと幅広い項目が挙げられています


3 建築設備に関する定期検査の項目には、換気設備の風量測定、非常用の照明装置の照度測定を含む。

○ 正しい。 建築設備とは、換気設備・排煙設備・非常用の照明装置・給水設備及び排水設備であり、選択肢1で引用しました、国土交通省告示第285号に換気設備の風量測定、非常用の照明装置の照度測定は入っています。


4 昇降機定期検査では、ロープ式、油圧式等それぞれに検査結果表の様式が告示で定められている。

○ 正しい。 選択肢1で引用しました、 国土交通省告示第283号によると、昇降機定期検査では、ロープ式、油圧式等それぞれに検査結果表の様式が告示で、実に細かく定められています。

答え:2 (こんな細かな点まで、出題されるとは! 根拠を探し出すまで、随分と時間がかかった。ここも、私の別途 「要約 建築基準法」 を参考にしてください。)

ここまで、問25


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最終更新日:
2018年 3月17日:建築基準法第12条の改正を入れた。
2012年 9月26日:「問5」、選択肢1に解説追加。
2012年 6月22日:平成23年の標準管理規約の改正を確認した。
2012年 3月 9日:「問6」に追記。
2012年 3月 7日:「問7」選択肢エ 訂正した。
2012年 2月18日:「問2」に追記。
2012年 2月14日:リンクを充実。「問11」に追記。
2012年 1月30日:印刷で図が大きかった「問13」を小さくしたり、「問19」の選択肢4の”50%”など入れた。
2012年 1月20日:高層住宅管理業協会の発表を受けて、記入。
2012年 1月19日:一応、「問50」まで解説終わり。
2011年12月31日:マンション管理士試験の解説を終えて、本格的に解説開始。
2011年12月20日:解説開始

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