マンション生活での相談は、「マンション管理士 香川事務所」へ。

令和1年(2019年) 管理業務主任者 試験問題 及び 解説

ページ2(問26より問50まで)

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謝辞:問題文の作成には、高井 さまの協力を得ています。

※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。

*試験に臨んで、お節介なアドバイス
  1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
    殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
    そして、各選択肢を読み、○かXをつけます。
    問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。

  2.疑問な問題は、とりあえず飛ばす。
    回答の時間は限られています。
    そこで、回答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
    全部の回答が終わってから、再度戻って決定してください。

  3.複雑な問は、図を描く。
    甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
    この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。
    重要な点が分かってきます。


出題者からの注意

令和元年(2019年)度 管理業務主任者試験  問題
 実施:令和元年12月 1日

次の注意事項をよく読んでから、始めてください。

1. これは試験問題です。問題は、1ページから32ページまで50問です。
2. 試験の開始の合図と同時に、問題のページ数を確認してください。もし落丁や乱丁があった場合は、直ちに試験監督員に申し出てください。
3. 解答は、別紙の解答用紙に記入してください。
4. 正解は、各問題とも1つだけです。複数の解答をしたもの、判読が困難なものは、正解としません。
   解答は、解答用紙の注意事項をよく読み、所定の要領で記入してください。
5. 問題中の法令等に関する部分は、平成31年4月1日現在で施行されている規定に基づいて出題されています。


本試験問題では、以下の法律等について、それぞれ右欄に記載の略称を使用しています。



解説者(マンション管理士 香川)からのコメント:あやふやな出題、適切でない出題もあって、解答ができないのもあります。

※主な法改正など。
  ・令和2年(2020年)4月1日施行で、民法が大幅に改正されるので、留意のこと。

  ・マンション標準管理委託契約書は、平成30年3月9日付で24条に「反社会勢力の排除」などの改正があり、平成30年度の試験から出題適用となるので注意のこと。

  ・マンション標準管理規約は、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があり、平成30年度の試験から出題適用となるので注意のこと。

  ・マンションの管理の適正化に関する指針(国土交通省告示第490号)及びマンション標準管理規約は、平成28年3月14日付で大幅な改正があった。
  
  ・マンション標準管理委託契約書は、平成28年7月に改正があり、平成29年度の試験から出題適用となるので注意のこと。
   
  ・マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
 ・マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。

問26

【問 26】 標準管理規約(単棟型)の定めによれば、マンションの住戸の次の修繕工事のうち、共用部分の工事に該当するものの組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

ア 床のフローリング工事

X 共用部分の工事でない。 専有部分の工事。
 平成30年 管理業務主任者試験 「38」 「問29」 も参照のこと。

 組合せ問題か。 

 まず、専有部分と共用部分の範囲は、標準管理規約(単棟型)7条、
「(専有部分の範囲)
 第7条 対象物件のうち区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付 した住戸とする。
2 前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおり とする。
  
 一 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。
   二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。
   三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。
3 第1項又は前項の専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にあ る部分以外のものは、専有部分とする。」

 そして、共用部分の範囲は、標準管理規約(単棟型)8条
「(共用部分の範囲)
 第8条 対象物件のうち共用部分の範囲は、別表第2に掲げるとおりとする。」
 で、
 別表第2 共用部分の範囲 は、
   1 エントランスホール、廊下、階段、エレベーターホール、エレベーター室、共用トイレ、屋上、 屋根、塔屋、ポンプ室、自家用電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプスペース、メータ ーボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く。)、内外壁、界壁、床スラブ、床、天井、柱、基礎 部分、
バルコニー等専有部分に属さない「建物の部分」
   2 エレベーター設備、電気設備、給水設備、排水設備、消防・防災設備、インターネット通信設備、 テレビ共同受信設備、オートロック設備、宅配ボックス、避雷設備、集合郵便受箱、各種の配線配 管(給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については、配 管継手及び立て管)等専有部分に属さない「建物の附属物」
   3 管理事務室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、トランクルーム、倉庫及びそれらの附属物 」
 です。

 そこで、設問の「床のフローリング工事」なら、標準管理規約(単棟型)7条2項1号の「
一 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする」により、床は専有部分となりますから、床のフローリング工事なら、共用部分の工事ではありません。


イ 玄関扉内部塗装の補修工事

X 共用部分の工事でない。 関扉内部塗装だと、専有部分になる。

 選択肢アで引用しました、標準管理規約(単棟型)7条2項2号
「 
二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。 」
 とあり、
 標準管理規約(単棟型)7条2項2号によれば、「玄関扉内部」は、専有部分ですから、設問の「玄関扉内部塗装の補修工事」は、共用部分の工事ではありません。


ウ 網戸の交換工事

〇 共用部分の工事に該当する。
 網戸は共用部分。

 今までの説明に「網戸」が、出てきませんが、これは、標準管理規約(単棟型)7条のコメントC
「C 雨戸又は網戸がある場合は、第2項第三号に追加する。 」
 とあり、
 網戸があれば、第2項第三号は、
「三
網戸、窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。」
 となりますから、
 網戸は、専有部分ではなく、共用部分ですから、設問の「網戸の交換工事」は、共用部分の工事に該当します。



エ バルコニー床面の防水工事

〇 共用部分の工事に該当する。 バルコニー床面は、専用使用ができるが、共用部分。

 選択肢アで引用しました、標準管理規約(単棟型)8条(共用部分の範囲)の別表第2に「バルコニー」は、該当しましすから、設問の「バルコニー床面の防水工事」は、共用部分の工事に該当します。

 なお、バルコニーには、専用使用権は、設定されていますので、混乱しないで。



1 ア・イ
2 ア・エ
3 イ・ウ
4 ウ・エ


答え: 4 (共用部分の工事に該当するのは、 ウ と エ )

  専有部分と共用部分の範囲は、明確に区分しておくこと。

  組合せ問題とは、出題方法として、不適切。
 難しくはないが。


《タグ》組合せ問題 、標準管理規約(単棟型) 共用部分の範囲 専有部分の範囲 床 玄関扉の内部 網戸 バルコニー

問27

【問 27】 国土交通省による「長期修繕計画作成ガイドライン」によれば、次の用語の定義として、最も不適切なものはどれか。

1 推定修繕工事とは、長期修繕計画において、計画期間内に見込まれる修繕工事及び改修工事をいう。

〇 適切である。 推定修繕工事とは、長期修繕計画において、計画期間内に見込まれる修繕工事及び改修工事をいう。

  令和01年 マンション管理士試験 「問36」 、平成28年 マンション管理士試験 「問39」 平成26年 マンション管理士試験 「問38」 、平成26年 管理業務主任者試験 「問27」 、 平成25年マンション管理士試験 「問37」、 平成23年マンション管理士試験 「問38」、 平成21年 マンション管理士試験 「問36」 。

 長期修繕計画作成ガイドライン
  https://www.mlit.go.jp/common/001172736.pdf 

 設問は、長期修繕計画作成ガイドライン 第1章総則 
 「4 用語の定義
  このガイドラインにおける用語の定義は、次の各号に掲げるところによります。
  
十三 推定修繕工事 長期修繕計画において、計画期間内に見込まれる修繕工事(補修工事(経常的に行う補修工事を除く。)を含む。以下同じ。)及び改修工事をいいます。」
 とあり、
 設問の「推定修繕工事とは、長期修繕計画において、計画期間内に見込まれる修繕工事及び改修工事をいう」は、適切です。



2 修繕積立金とは、計画修繕工事に要する費用に充当するための積立金をいう。

〇 適切である。 修繕積立金とは、計画修繕工事に要する費用に充当するための積立金をいう。


 設問は、長期修繕計画作成ガイドライン 第1章総則 
 「4 用語の定義
  このガイドラインにおける用語の定義は、次の各号に掲げるところによります。
  
十六 修繕積立金 計画修繕工事に要する費用に充当するための積立金をいいます。」 
 とあり、
 設問の「修繕積立金とは、計画修繕工事に要する費用に充当するための積立金をいう」は、適切です。



3 計画修繕工事とは、長期修繕計画に基づいて計画的に実施する修繕工事及び改修工事をいう。

〇 適切である。 計画修繕工事とは、長期修繕計画に基づいて計画的に実施する修繕工事及び改修工事をいう。

  設問は、長期修繕計画作成ガイドライン 第1章総則 
 「4 用語の定義
  このガイドラインにおける用語の定義は、次の各号に掲げるところによります。
  
十四 計画修繕工事 長期修繕計画に基づいて計画的に実施する修繕工事及び改修工事をいいます。」
 とあり、
 設問の「計画修繕工事とは、長期修繕計画に基づいて計画的に実施する修繕工事及び改修工事をいう」は、適切です。



4 大規模修繕工事とは、建物の全体又は複数の主要構造部について、計画修繕工事とは別に実施される、大規模な修繕工事及び改修工事をいう。

X 適切でない。 大規模修繕工事とは、建物の全体又は複数の部位について行う大規模な計画修繕工事をいう。

 設問は、長期修繕計画作成ガイドライン 第1章総則 
 「4 用語の定義
  このガイドラインにおける用語の定義は、次の各号に掲げるところによります。
  
十五 大規模修繕工事 建物の全体又は複数の部位について行う大規模な計画修繕工事をいいます。」
 とあり、
 設問の「大規模修繕工事とは、建物の全体又は複数の主要構造部について、”
計画修繕工事とは別に実施される”、大規模な修繕工事及び改修工事をいう」は、適切ではありません。


答え: 4

  マンション管理士試験と管理業務主任者試験では、よく、長期修繕計画作成ガイドラインから出題があるが、この内容は、ほぼ、常識で、解説をするまでもなく、難しくはない

《タグ》、長期修繕計画作成ガイドライン 定義 推定修繕工事 修繕積立金 計画修繕工事  大規模修繕工事


*2020年 2月11日:一応、管理業務主任者試験 の解説が、「問25」まで終わったので、また「問27」から、解説を再開している。
問28

【問 28】 国土交通省による「長期修繕計画作成ガイドライン」によれば、次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 新築マンションの場合においては、分譲事業者が提示した長期修繕計画(案)と修繕積立金の額について、購入契約時の書面合意により分譲事業者からの引渡しが完了した時点で決議したものとすることができる。

〇 適切である。 新築マンションの場合においては、分譲事業者が提示した長期修繕計画(案)と修繕積立金の額について、購入契約時の書面合意により分譲事業者からの引渡しが完了した時点で決議したものとすることができる。


  長期修繕計画作成ガイドライン
  https://www.mlit.go.jp/common/001172736.pdf

 長期修繕計画作成ガイドラインから、上の 「問27」 に続いて、2問もでるとは、出題者として、安易な態度だ!

 設問は、長期修繕計画作成ガイドライン 第2章 長期修繕計画の作成の基本的な考え方
 「第2節 長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の手順
 1 長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の手順
  
新築マンションの場合は、分譲事業者が提示した長期修繕計画(案)と修繕積立金 の額について、購入契約時の書面合意により分譲事業者からの引渡しが完了した時点 で決議したものとするか、又は引渡し後速やかに開催する管理組合設立総会において、 長期修繕計画及び修繕積立金の額の承認に関しても決議することがあります。
 とあり、
 設問の「新築マンションの場合においては、分譲事業者が提示した長期修繕計画(案)と修繕積立金の額について、購入契約時の書面合意により分譲事業者からの引渡しが完了した時点で決議したものとすることができる」は、適切です。



2 長期修繕計画の見直しに当たっては、必要に応じて専門委員会を設置するなど、検討を行うために管理組合内の体制を整えることが必要である。

〇 適切である。 長期修繕計画の見直しに当たっては、必要に応じて専門委員会を設置するなど、検討を行うために管理組合内の体制を整えることが必要である。

 設問は、長期修繕計画作成ガイドライン 第2章 長期修繕計画の作成の基本的な考え方
 「第2節 長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の手順
 2 検討体制の整備
  
長期修繕計画の見直しに当たっては、必要に応じて専門委員会を設置するなど、検 討を行うために管理組合内の体制を整えることが必要です。」
 とあり、
 設問の「長期修繕計画の見直しに当たっては、必要に応じて専門委員会を設置するなど、検討を行うために管理組合内の体制を整えることが必要である」は、適切です。



3 長期修繕計画の見直しは、大規模修繕工事実施の直前又は直後に行うことにより、大規模修繕工事と大規模修繕工事の中間の時期に単独で行うことは不要となる。

X 適切でない? 長期修繕計画作成ガイドラインには、このような規定はない? 5年程度に見直すこと?
  平成29年 マンション管理士試験 「問39」 、

 設問に近い「長期修繕計画の見直し」は、長期修繕計画作成ガイドライン 第3章 長期修繕計画の作成の方法
 第1節 長期修繕計画の作成の方法
 10 長期修繕計画の見直し
  長期修繕計画は、次に掲げる不確定な事項を含んでいますので、
5年程度ごとに調 査・診断を行い、その結果に基づいて見直すことが必要です。また、併せて修繕積立 金の額も見直します。
  @建物及び設備の劣化の状況
  A社会的環境及び生活様式の変化
  B新たな材料、工法等の開発及びそれによる修繕周期、単価等の変動
  C修繕積立金の運用益、借入金の金利、物価、消費税率等の変動」
 とあり、
 明確な規定を、長期修繕計画作成ガイドラインからは、探せなかったので、適切ではないのでしょう。


 2020年 2月26日:追記 長期修繕計画作成ガイドライン のコメント 
 第3章 長期修繕計画の作成の方法
     10 長期修繕計画の見直し に以下のような記述があった。 

 「◆長期修繕計画の見直しは、大規模修繕工事と大規模修繕工事の中間の時期に単独で行う場合、大規模修繕工事の直前に基本計画の検討に併せて行う場合、又は、大規模修繕工事の実施の直後に修繕工事の結果を踏まえて行う場合があります。
したがって、その時期は、おおよそ大規模修繕工事(12年程度ごと)の直前又は直後とその中間程度となります。」



4 計画修繕工事を実施する際は、その基本計画の検討時において、建物及び設備の現状、修繕等の履歴などの調査・診断を行い、その結果に基づいて内容や時期等を判断する。

〇 適切である? 常識から判断。

 この設問も、ぴったりした規定を長期修繕計画作成ガイドラインからは、探せなかったのですが、、
 長期修繕計画作成ガイドライン 第2章 長期修繕計画の作成の基本的な考え方
 第1節 長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の目的
   2 基本的な考え方
    二 長期修繕計画の作成の前提条
      C
計画修繕工事の実施の要否、内容等は、事前に調査・診断を行い、その結果に基 づいて判断する。」
  など、
 また、常識から、適切と判断します。


 2020年 2月26日:追記 長期修繕計画作成ガイドライン のコメント に以下の記述があった。
 「第2章 長期修繕計画の作成の基本的な考え方
 第1節 長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の目的
   2 基本的な考え方

 二長期修繕計画の作成の前提条件
   長期修繕計画の作成に当たっては、次に掲げる事項を前提条件とします。
    @推定修繕工事は、建物及び設備の性能・機能を新築時と同等水準に維持、回復させる修繕工事を基本とする。
    A区分所有者の要望など必要に応じて、建物及び設備の性能を向上させる改修工事を設定する。
    B計画期間において、法定点検等の点検及び経常的な補修工事を適切に実施する。
    C計画修繕工事の実施の要否、内容等は、事前に調査・診断を行い、その結果に基づいて判断する。」



答え: 3 

 この長期修繕計画作成ガイドラインからは、出題が良くあるが、ある選択肢は、規定のまま出したりしているが、特に、どの規定から出題があるのか、分からないことが多い。

 解説としては、常識からでも判断ができるが、それでは、国家資格の出題として、適切でない。

《タグ》長期修繕計画作成ガイドライン 修繕積立金 見直し 


*2020年 2月11日:解説。

問29

【問 29】 次のア〜オのうち、標準管理規約(単棟型)の定めによれば、共用部分の範囲に属するものはいくつあるか。

ア インターネット通信設備

〇 共用部分である。

  「問26」 も参照のこと。

 個数問題か、まったく、よくない出題方法だ。
 また、「問26」 と差のない出題で、脳がない。

 共用部分の範囲とは、標準管理規約(単棟型)8条 別表第2
「(共用部分の範囲)
 第8条 対象物件のうち共用部分の範囲は、別表第2に掲げるとおりとする。」
 そして、
 別表第2 共用部分の範囲
   1 エントランスホール、廊下、階段、エレベーターホール、エレベーター室、共用トイレ、屋上、 屋根、塔屋、ポンプ室、自家用電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプスペース、
メータ ーボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く。)、内外壁、界壁、床スラブ、床、天井、柱、基礎 部分、バルコニー等専有部分に属さない「建物の部分」
   2 エレベーター設備、電気設備、給水設備、排水設備、消防・防災設備、
インターネット通信設備、 テレビ共同受信設備、オートロック設備、宅配ボックス、避雷設備、集合郵便受箱、各種の配線配管(給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については、配管継手及び立て管)等専有部分に属さない「建物の附属物」
   3 管理事務室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、
トランクルーム、倉庫及びそれらの附属物 」
 です。

 別表第2  2 によれば、「インターネット通信設備」は、共用部分の範囲に属します。



イ 雑排水管の配管継手

〇 共用部分である。

 選択肢アで引用しました、標準管理規約(単棟型)8条の別表第2 2、
「雑排水管及び汚水管については、配管継手及び立て管)」
 とあり、
 別表第2  2 によれば、「雑排水管の配管継手」は、共用部分の範囲に属します。


ウ 集合郵便受箱

〇 共用部分である。
 
 選択肢アで引用しました、標準管理規約(単棟型)8条の別表第2 2、
「集合郵便受箱」
 とあり、
 別表第2  2 によれば、「集合郵便受箱」は、共用部分の範囲に属します。



エ トランクルーム

〇 共用部分である。

 選択肢アで引用しました、標準管理規約(単棟型)8条の別表第2 3、
「トランクルーム」
 とあり、
 標準管理規約(単棟型)8条の別表第2 3 によれば、「トランクルーム」は、共用部分の範囲に属します。



オ 給湯器ボイラー

X 共用部分でない。 給湯器ボイラーは、専有部分。

 選択肢アで引用しました、標準管理規約(単棟型)8条の別表第2 1、
「メータ ーボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く。)」
 とあり、
 標準管理規約(単棟型)8条の別表第2 1 によれば、「給湯器ボイラー」は、共用部分の範囲から、除かれます。



1 二つ
2 三つ
3 四つ
4 五つ


答え: 3 (共用部分の範囲は、 ア イ ウ エ の4つ)

 個数問題や組み合わせ問題は、正解に時間がかかり、また、他の単純な4択問題とは、異なり、国家資格の出題方法としては、不適切です。
 
 選択肢オ の「給湯器ボイラー」は、ちゃんと、共用部分の範囲の別表を読んでいないと、悩むか。
 また、給湯器ボイラーの設置場所も、確認しておくこと。

《タグ》個数問題 標準管理規約(単棟型) 共用部分の範囲 インターネット通信設備 雑排水管の配管継手 集合郵便受箱 トランクルーム 給湯器ボイラー

問30

【問 30】 次の記述のうち、標準管理規約(団地型)の定めによれば、団地総会の決議を必要とせず、棟総会の決議のみで決することができる事項はどれか。

1 各棟修繕積立金の保管及び運用方法

X 団地総会の決議事項。

  令和01年 マンション管理士試験 「問32」 、 平成30年 マンション管理士試験 「問31」 、平成27年 マンション管理士試験 「問32」 、平成27年 管理業務主任者試験 「問32」 、  平成26年 マンション管理士試験 「問33」 

 標準管理規約(団地型)が、基本としているのは、団地全体での”
一元管理”とし、多くの事項は、団地総会で決めるようにしていますが、区分所有法との関係で、団地には準用が無い規定(義務違反者に対する措置、復旧及び建替えなど)があるため、棟の総会も開く規定があります。
 そこで、区分所有法で団地総会に準用されていない条文が狙われることになります。
 

 設問の団地総会は、標準管理規約(団地型)50条、
「(議決事項)
 第50条 次の各号に掲げる事項については、団地総会の決議を経なければならない。
   一 収支決算及び事業報告
   二 収支予算及び事業計画
   三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
   四 規約(第72条第一号の場合を除く。)及び使用細則等の制定、変更又は廃止
   五 長期修繕計画の作成又は変更
   六 第28条第1項又は第29条第1項に定める特別の管理の実施(第72条第三号及び第四号の場合を除く。)並びにそれに充てるための資金の借入れ及び団地修繕積立金又は各棟修繕積立金の取崩し
   七 第28条第2項若しくは第3項又は第29条第2項若しくは第3項に定める建替え等に係る計画又は設計等の経費のための団地修繕積立金又 は各棟修繕積立金の取崩し
   
八 団地修繕積立金及び各棟修繕積立金の保管及び運用方法
   九 第21条第2項に定める管理の実施
   十 区分所有法第69条第1項の場合の建替えの承認
   十一 区分所有法第70条第1項の場合の一括建替え
   十二 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
   十三 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
   十四 その他管理組合の業務に関する重要事項 」
 です。
 標準管理規約(団地型)50条8号によれば、設問の「各棟修繕積立金の保管及び運用方法」は、団地総会の決議事項です。



2 1棟を同一規模の建物に建て替える場合の建替え決議の承認

X 団地総会の決議事項。

 設問の「1棟を同一規模の建物に建て替える場合の建替え決議の承認」は、区分所有法第69条1項にあります。
 区分所有法第69条
(団地内の建物の建替え承認決議)
 第六十九条 一団地内にある数棟の建物(以下この条及び次条において「団地内建物」という。)の全部又は一部が専有部分のある建物であり、かつ、その団地内の特定の建物(以下この条において「特定建物」という。)の所在する土地(これに関する権利を含む。)が当該団地内建物の第六十五条に規定する団地建物所有者(以下この条において単に「団地建物所有者」という。)の共有に属する場合においては、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める要件に該当する場合であつて当該土地(これに関する権利を含む。)の共有者である当該団地内建物の団地建物所有者で構成される同条に規定する団体又は団地管理組合法人の集会において議決権の四分の三以上の多数による承認の決議(以下「
建替え承認決議」という。)を得たときは、当該特定建物の団地建物所有者は、当該特定建物を取り壊し、かつ、当該土地又はこれと一体として管理若しくは使用をする団地内の土地(当該団地内建物の団地建物所有者の共有に属するものに限る。)に新たに建物を建築することができる。
   一 当該特定建物が専有部分のある建物である場合 その建替え決議又はその区分所有者の全員の同意があること。
   二 当該特定建物が専有部分のある建物以外の建物である場合 その所有者の同意があること。

  (以下、略)」
 です。

 

 すると、選択肢1で引用しました、標準管理規約(団地型)50条10号、
「(議決事項)
 第50条 次の各号に掲げる事項については、団地総会の決議を経なければならない。
 
 十 区分所有法第69条第1項の場合の建替えの承認
 とあり、
 標準管理規約(団地型)50条10号によれば、設問の「1棟を同一規模の建物に建て替える場合の建替え決議の承認」は、団地総会の決議事項です。



3 各棟の階段及び廊下の補修工事

X 団地総会の決議事項。

 ここの解説は、かなり面倒。

 まず、各棟の階段及び廊下は、棟の共用部分ですが、標準管理規約(団地型)では、棟の共用部分も団地の共用部分もまとめて「共用部分」として扱います。
 それは、標準管理規約(団地型)2条(定義)の6号
 「六 共用部分 区分所有法第2条第4項の共用部分(以下「
棟の共用部分」という。)及び区分所有法第67条第1項の団地共用部分(以下「団地共用部分」という。)をいう。」
 です。

 団地の共用部分(等)の管理は、管理組合が行います。それは、標準管理規約(団地型)21条1項、
「(土地及び共用部分等の管理)
 第21条
土地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。ただし、バルコニー等の保存行為(区分所有法第18条第1項ただし書の「保存行為」をいう。以下同じ。)のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。
  (以下、略)」
  です。

 そして、補修工事であれば、これは、団地全体の管理費から支出します。
 それは、標準管理規約(団地型)27条6号、
「(管理費)
 第27条 管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する。
    
六 経常的な補修費
 すると、選択肢1で引用しました、標準管理規約(団地型)50条14号、
 「十四 その他管理組合の業務に関する重要事項 」
 に該当しますから、「各棟の階段及び廊下の補修工事」は、団地総会の決議事項です。



4 建物の一部が滅失した場合の滅失した棟の共用部分の復旧

〇 棟総会の決議だけでできる。 復旧は、団地関係に入っていない。

 設問の「建物の一部が滅失した場合の滅失した棟の共用部分の復旧」となると、これは、区分所有法第61条の規定が該当しますが、この区分所有法第61条の規定は、区分所有法第66条での「団地での単棟の規定の準用」には、入っていないのです。
 これは、大規模・小規模滅失に関係なく、復旧は各棟で決める方がいい。棟を超えてまで介入する権利はない、との考えです。

 これを受け、標準管理規約(団地型)72条、
「(議決事項)
 第72条
次の各号に掲げる事項については、棟総会の決議を経なければならない
   一 区分所有法で団地関係に準用されていない規定に定める事項に係る規約の制定、変更又は廃止
   二 区分所有法第57条第2項、第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起及びこれらの訴えを提起すべき者の選任
  
 三 建物の一部が滅失した場合の滅失した棟の共用部分の復旧
   四 建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査の実施及びその経費 に充当する場合の各棟修繕積立金の取崩し
   五 区分所有法第62条第1項の場合の建替え及び円滑化法第108条第 1項の場合のマンション敷地売却
   六 区分所有法第69条第7項の建物の建替えを団地内の他の建物の建替 えと一括して建替え承認決議に付すこと 」
 とあり、
 標準管理規約(団地型)72条3号により、設問の「建物の一部が滅失した場合の滅失した棟の共用部分の復旧」は、棟総会の決議だけで可能です。



答え: 4 

  選択肢3の解説は、面倒だった。

  区分所有法第66条に戻って、どの条文が団地関係に準用があり、どの規定が準用されないのかは、纏めておくこと。

《タグ》標準管理規約(団地型) 団地総会の決議事項 1棟の建替え決議 共用部分の修理 棟の共用部分の復旧 


*2020年 2月11日:解説
問31

【問 31】 理事長が、自己の経営する会社のために管理組合と取引(以下、本問において「当該取引」という。)をしようとする場合における次の記述のうち、標準管理規約(単棟型)によれば、最も不適切なものはどれか。

1 理事長は、理事会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。

〇 適切である。 標準管理規約では、利益相反規定が、追加された。


 設問は、標準管理規約(単棟型)37条の2、
[(利益相反取引の防止)
 第37条の2
役員は、次に掲げる場合には、理事会において、当該取引に つき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
   一 役員が自己又は第三者のために管理組合と取引をしようとするとき。

   二 管理組合が役員以外の者との間において管理組合と当該役員との利益 が相反する取引をしようとするとき。」
 とあり、
 標準管理規約の改正で、利益相反規定が追加されています。
 そこで、標準管理規約(単棟型)37条の2 1号によれば、役員である理事長も、 理事長が、自己の経営する会社のために管理組合と取引することは、「一 役員が自己又は第三者のために管理組合と取引をしようとするとき」に、該当し、「理事長は、理事会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない」は、適切です。



2 当該取引の承認について、理事長は、理事会の議決に加わることができない。

〇 適切である。 特別の利害関係があれば、理事は議決に加われない。
  平成28年 マンション管理士試験 「問30」 

 設問は、標準管理規約(単棟型)53条
「(理事会の会議及び議事)
 第53条 理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する。
2 次条第1項第五号に掲げる事項については、理事の過半数の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議によることができる。
3 前2項の決議について特別の利害関係を有する理事は、議決に加わることができない。

(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
4 議事録については、第49条(第4項を除く。)の規定を準用する。た だし、第49条第2項中「総会に出席した組合員」とあるのは「理事会に 出席した理事」と読み替えるものとする。」
 とあり、
 標準管理規約(単棟型)53条3項によれば、自己の経営する会社のために管理組合と取引することは、特別の利害関係を有する理事長となり、「当該取引の承認について、理事長は、理事会の議決に加わることができない」は、適切です。



3 管理組合が当該取引のための契約を締結するに当たっては、必ず理事長以外の理事が、管理組合を代表しなければならない。

X 適切でない。 この場合、監事又は理事長以外の理事が代表する。 監事もあり得る。
 
 設問は、標準管理規約(単棟型)38条、
「(理事長)
 第38条 理事長は、管理組合を代表し、その業務を統括するほか、次の各号に掲げる業務を遂行する。
   一 規約、使用細則等又は総会若しくは理事会の決議により、理事長の職務として定められた事項
   二 理事会の承認を得て、職員を採用し、又は解雇すること。
2 理事長は、区分所有法に定める管理者とする。
3 理事長は、通常総会において、組合員に対し、前会計年度における管理組合の業務の執行に関する報告をしなければならない。
4 理事長は、○か月に1回以上、職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない。
5 理事長は、理事会の承認を受けて、他の理事に、その職務の一部を委任することができる。
6 管理組合と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合においては、監事又は理事長以外の理事が管理組合を代表する。
 とあり、
  標準管理規約(単棟型)38条6項によれば、「管理組合と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有せず」、この場合には、「”
監事又は理事長以外の理事”が管理組合を代表する」ため、設問の「必ず理事長以外の理事が、管理組合を代表しなければならない」は、適切ではありません。監事も入っています。


4 理事長以外の理事は、当該取引が管理組合に著しい損害を及ぼすおそれがあることを発見したときは、直ちに、その事実を監事に報告しなければならない。

〇 適切である。 当然。

 ここも、追加規定。

 設問は、標準管理規約(単棟型)40条2項
「(理事)
 第40条 理事は、理事会を構成し、理事会の定めるところに従い、管理組合の業務を担当する。
2 理事は、管理組合に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときは、直ちに、当該事実を監事に報告しなければならない。
3 会計担当理事は、管理費等の収納、保管、運用、支出等の会計業務を行 う。 」
 とあり、
 標準管理規約(単棟型)40条2項によれば、設問の「理事長以外の理事は、当該取引が管理組合に著しい損害を及ぼすおそれがあることを発見したときは、直ちに、その事実を監事に報告しなければならないは、適切です。



答え: 3

 未だに、改正点からの出題とは、もう、標準管理規約からの出題は、ネタが無くなったのか。
 問題としては、それほど、難しくはない。

《タグ》標準管理規約(単棟型) 利益相反規定 理事長 理事 監事

問32

【問 32】 複合用途型マンションに関する次の記述のうち、標準管理規約(複合用途型)によれば、最も適切なものはどれか。

1 管理組合は、区分所有者が納入する費用について、全体管理費、住宅一部管理費、店舗一部管理費及び全体修繕積立金の4 つに区分して経理しなければならない。

X 適切でない。 標準管理規約(複合用途型)では、区分経理は、6つになる。4つではない。

  平成30年 マンション管理士試験 「問32」 、平成27年 マンション管理士試験 「問33」 、  平成19年 マンション管理士試験 「問33」 

 標準管理規約(複合用途型)からは、時々出題がある。

 複合用途型のマンションとは、1つの建物で、多くは、下が店舗部、上が住宅部になっているものです。下駄ばきマンションともいわれます。
 複合用途型のマンションとなると、区分所有法で「一部共用部分があるマンション」として、管理組合が「店舗部」「住宅部」と2つあってもいいなどと面倒ですが、標準管理規約(複合用途型)では、規約によって、1つの管理組合が、全体を一元管理し、一部管理組合は、想定していません。

 

 設問の経理の区分は、標準管理規約(複合用途型)32条
「(区分経理)
 第32条 管理組合は、次の各号に掲げる費用ごとにそれぞれ区分して経理 しなければならない。
   一 全体管理費
   二 住宅一部管理費
   三 店舗一部管理費
   四 全体修繕積立金
   五 住宅一部修繕積立金
   六 店舗一部修繕積立金 」
 とあり、
 設問では「@全体管理費、A住宅一部管理費、B店舗一部管理費及び C全体修繕積立金」の4つですが、他に「D 住宅一部修繕積立金 E 店舗一部修繕積立金 」もあり、設問は、適切ではありません。



2 駐車場使用料は、その管理に要する費用に充てるほか、全体修繕積立金として積み立てる。

〇 適切である。 駐車場使用料は、その管理に要する費用に充てるほか、全体修繕積立金として積み立てる。

 駐車場使用料は、標準管理規約(複合用途型)33条
「(使用料)
 第33条
駐車場使用料その他の敷地及び共用部分等に係る使用料(以下 「使用料」という。)は、それらの管理に要する費用に充てるほか、全体修繕積立金として積み立てる。(管理費等)
 とあり、
 標準管理規約(複合用途型)33条によれば、設問の「駐車場使用料は、その管理に要する費用に充てるほか、全体修繕積立金として積み立てる」は、適切です。



3 新たに店舗部分の区分所有者となった者は、店舗として使用する場合の営業形態及び営業行為について書面で届け出なければ、組合員の資格を取得することができない。

X 適切でない。 特に「店舗として使用する場合の営業形態及び営業行為について書面で届け出」は、求められていない。

 新たに店舗部分の区分所有者となった者は、標準管理規約(複合用途型)34条、
「(組合員の資格)
 第34条 組合員の資格は、区分所有者となったときに取得し、区分所有者でなくなったときに喪失する。」
 とあり、
 組合員の資格は、区分所有者となったときに取得します。

 この際に、届け出が必要です。それは、標準管理規約(複合用途型)35条、
「(届出義務)
 第35条
新たに組合員の資格を取得し又は喪失した者は、直ちにその旨を書面により管理組合に届け出なければならない。」
 とありますが、
 この様式には、
  1 対象住戸 ○○号室
  2 区分所有権を取得した者 氏名
  3 区分所有権を喪失した者 氏名
   住所(移転先)
  4 区分所有権の変動の年月日   年 月 日
  5 区分所有権の変動の原因
 を記載しますが、設問のような「店舗として使用する場合の営業形態及び営業行為について書面で届け出」までは、求められていませんから。設問は、適切では、ありません。



4 管理組合には、その意思決定機関として、住宅部分の区分所有者で構成する住宅部会及び店舗部分の区分所有者で構成する店舗部会を置かなければならない。

X 適切でない。 部会は、意思決定機関ではない。 部会は、協議組織。

  平成30年 マンション管理士試験 「問32」 

 部会の規定は、標準管理規約(複合用途型)60条、
「(住宅部会及び店舗部会)
 第60条
管理組合に、住戸部分の区分所有者で構成する住宅部会及び店舗部分の区分所有者で構成する店舗部会を置く
2 住宅部会及び店舗部会の組織及び運営については、別に部会運営細則に定めるものとする。」
 とあり
 住宅部会と店舗部会を置きますが、これは、あくまでもそれぞれの管理などについて”
協議をする機関”ですから、設問の「管理組合には、その”意思決定機関”として」は、適切ではありません。
 
 参考:コメント第 60 条関係
@ 住宅部会及び店舗部会は管理組合としての意思を決定する機関ではないが、それぞれ住宅部分、店舗部分の一部共用部分の管理等について
協議する組織として位置づけるものである。
A 住宅、店舗おのおのから選出された管理組合の役員が、各部会の役員を兼ねるようにし、各部会の意見が理事会に反映されるような仕組みが、有効であると考えられる。



答え: 2 


 標準管理規約(複合用途型)は、細かく知らなくても、選択肢2の「駐車場使用料」は、他の標準管理規約から選べたか。

 過去問題をやっていれば、正解は、早い。

《タグ》標準管理規約(複合用途型) 6つの区分経理 駐車場使用料 組合員の資格 部会


*2020年 2月11日:解説

問33

【問 33】 専有部分の修繕等に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び標準管理規約(単棟型)によれば、最も不適切なものはどれか。

1 区分所有者は、工事業者に依頼し、畳の交換や壁紙の張替えを行う場合においては、あらかじめ、理事長にその旨を届け出る必要がある。

〇 適切である。 専有部分の修繕等でも、工事業者が出入りするなら、届けること。
  平成28年 マンション管理士試験 「問26」 、
 
 専有部分の工事は、標準管理規約(単棟型)17条7項
「(専有部分の修繕等)
 第17条 区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物 に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)であ って共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものを行おう とするときは、あらかじめ、理事長(第35条に定める理事長をいう。以 下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。
2 前項の場合において、区分所有者は、設計図、仕様書及び工程表を添付 した申請書を理事長に提出しなければならない。
3 理事長は、第1項の規定による申請について、理事会(第51条に定め る理事会をいう。以下同じ。)の決議により、その承認又は不承認を決定 しなければならない。
4 第1項の承認があったときは、区分所有者は、承認の範囲内において、 専有部分の修繕等に係る共用部分の工事を行うことができる。
5 理事長又はその指定を受けた者は、本条の施行に必要な範囲内において、 修繕等の箇所に立ち入り、必要な調査を行うことができる。この場合にお いて、区分所有者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
6 第1項の承認を受けた修繕等の工事後に、当該工事により共用部分又は 他の専有部分に影響が生じた場合は、当該工事を発注した区分所有者の責 任と負担により必要な措置をとらなければならない。
7 区分所有者は、第1項の承認を要しない修繕等のうち、工事業者の立入 り、工事の資機材の搬入、工事の騒音、振動、臭気等工事の実施中におけ る共用部分又は他の専有部分への影響について管理組合が事前に把握する 必要があるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長にその旨を届 け出なければならない。
 とあり、
 専有部分での畳の交換や壁紙の張替えを行う場合であっても、標準管理規約(単棟型)17条7項によれば、工事業者が立ち入るので、「あらかじめ、理事長にその旨を届け出る必要がある」は、適切です。



2 理事長の承認を受けた工事であっても、当該工事の結果、共用部分又は他の専有部分に生じた事後的な影響については、当該工事を発注した区分所有者は、その責任や負担を免れるわけではない。

〇 適切である。 当然のこと。

 設問は、選択肢1で引用しました、標準管理規約(単棟型)17条6項、
6 第1項の承認を受けた修繕等の工事後に、当該工事により共用部分又は 他の専有部分に影響が生じた場合は、当該工事を発注した区分所有者の責 任と負担により必要な措置をとらなければならない。
 とあり、
 標準管理規約(単棟型)17条6項によれば、設問の「理事長の承認を受けた工事であっても、当該工事の結果、共用部分又は他の専有部分に生じた事後的な影響については、当該工事を発注した区分所有者は、その責任や負担を免れるわけではない」は、適切です。



3 理事長は、施工状況の確認のために立入り、調査を行った結果、申請又は届出を受けたものとは異なる内容の工事が行われていることが確認された場合においては、原状回復のための必要な措置等をとることができる。

〇 適切である。 当然のこと。

 設問は、選択肢1で引用しました、標準管理規約(単棟型)17条5項
5 理事長又はその指定を受けた者は、本条の施行に必要な範囲内において、 修繕等の箇所に立ち入り、必要な調査を行うことができる。この場合にお いて、区分所有者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。」
 とあり、
 該当のコメントL
「L 本条の承認を受けないで、専有部分の修繕等の工事を行った場合には、第67条の規定により、理事長は、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うか、その差止め、排除又は
原状回復のための必要な措置等をとることができる
 
第5項の立入り、調査の結果、理事長に申請又は届出を行った内容と異なる内容の工事が行われている等の事実が確認された場合も、同様である。」
 とあり、
 標準管理規約(単棟型)17条5項のコメントLによれば、設問の「理事長は、施工状況の確認のために立入り、調査を行った結果、申請又は届出を受けたものとは異なる内容の工事が行われていることが確認された場合においては、原状回復のための必要な措置等をとることができる」は、適切です。



4 理事長の承認を受けた工事であれば、総会の決議を経なくても、当該工事に必要な外壁の穿孔、躯体の一部撤去を行うことができる。

X 適切でない。 
外壁の穿孔、躯体の一部撤去となると、共用部分の変更になる。 総会の決議事項。

 理事長の承認を得ても、標準管理規約(単棟型)のコメント17条関係C
「C 専有部分の修繕等の実施は、共用部分に関係してくる場合もあることから、ここでは、そのような場合も想定し、区分所有法第18条第1項の共用部分の管理に関する事項として、同条第2項の規定により、規約で別の方法を定めたものである。
 
なお、区分所有法第17条第1項の共用部分の変更に該当し、集会の決議を経ることが必要となる場合もあることに留意する必要がある。」
 がある


 そこで、また、共用部分の範囲は、上の 「問29」 でも引用しました、標準管理規約(単棟型)8条 別表第2
「(共用部分の範囲)
 第8条 対象物件のうち共用部分の範囲は、別表第2に掲げるとおりとする。

 別表第2 共用部分の範囲
   1 エントランスホール、廊下、階段、エレベーターホール、エレベーター室、共用トイレ、屋上、 屋根、塔屋、ポンプ室、自家用電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプスペース、メータ ーボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く。)、
内外壁、界壁、床スラブ、床、天井、柱、基礎 部分、バルコニー等専有部分に属さない「建物の部分」
   2 エレベーター設備、電気設備、給水設備、排水設備、消防・防災設備、インターネット通信設備、 テレビ共同受信設備、オートロック設備、宅配ボックス、避雷設備、集合郵便受箱、各種の配線配管(給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については、配管継手及び立て管)等専有部分に属さない「建物の附属物」
   3 管理事務室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、トランクルーム、倉庫及びそれらの附属物 」
 とあり、
 「(内)外壁」は、共用部分となります。


 そこで、設問の「当該工事に必要な外壁の穿孔、躯体の一部撤去を行う」は、共用部分の変更に該当し、
 すると、標準管理規約(単棟型)47条
「(総会の会議及び議事)
 第47条 総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有す る組合員が出席しなければならない。
2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合 員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。
   一 規約の制定、変更又は廃止
   
二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わな いもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第2項に基づ く認定を受けた建物の耐震改修を除く。)
   三 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴 えの提起
   四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部 分の復旧
   五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項
4 建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議 決権総数の5分の4以上で行う。
5 マンション敷地売却決議は、第2項にかかわらず、組合員総数、議決権総数及び敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上で行う。
 (ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
6 前5項の場合において、書面又は代理人によって議決権を行使する者 は、出席組合員とみなす。
7 第3項第一号において、規約の制定、変更又は廃止が一部の組合員の権 利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。こ の場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはな らない。
8 第3項第二号において、敷地及び共用部分等の変更が、専有部分又は専 用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分を所有 する組合員又はその専用使用部分の専用使用を認められている組合員の承 諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由が なければこれを拒否してはならない。
9 第3項第三号に掲げる事項の決議を行うには、あらかじめ当該組合員又 は占有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。
10 総会においては、第43条第1項によりあらかじめ通知した事項につい てのみ、決議することができる。 」
 とあり、
 標準管理規約(単棟型)47条によれば、同条3項2号の「二 敷地及び
共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わな いもの」に該当するか、どうかを検討しなけばならず、また、同条8項の「8 第3項第二号において、敷地及び共用部分等の変更が、専有部分又は専 用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分を所有 する組合員又はその専用使用部分の専用使用を認められている組合員の承 諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由が なければこれを拒否してはならない。 」の
検討も必要となり、
”総会の決議事項”となりますから、設問の「理事長の承認を受けた工事であれば、”総会の決議を経なくても”、当該工事に必要な外壁の穿孔、躯体の一部撤去を行うことができる」は、適切ではありません。


答え: 4 

 選択肢4 は、ちょっと難しい。

《タグ》標準管理規約(単棟型) 専有部分の修繕 承認を要しない修繕 届出 立入調査 違反 共用部分の変更 総会の決議事項

問34

【34】 役員の任期に関する次のア〜エの記述のうち、標準管理規約(単棟型)の定めによれば、適切なものはいくつあるか。

ア 任期満了により退任する会計担当理事は、後任の会計担当理事が就任するまでの間、引き続きその職務を行う。

〇 適切である。 
役員は、任期満了でも、次の役員が決まるまで、職務を行う。

 役員の任期は、標準管理規約(単棟型)36条、
「(役員の任期)
 第36条 役員の任期は○年とする。ただし、再任を妨げない。
2 補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 任期の満了又は辞任によって退任する役員は、後任の役員が就任するま での間引き続きその職務を行う。
4 役員が組合員でなくなった場合には、その役員はその地位を失う。 」
 とあり、
 標準管理規約(単棟型)36条3項によれば、設問の「任期満了により退任する会計担当理事は、後任の会計担当理事が就任するまでの間、引き続きその職務を行う」は、適切です。

 なお、会計担当理事も、役員です。
 参考:標準管理規約(単棟型)35条
「(役員)
第35条
管理組合に次の役員を置く
   一 理事長
   二 副理事長 ○名
   三
会計担当理事 ○名
   四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。) ○名
   五
監事 ○名
2 理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する。
3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事のうちから、理事会で選任 する。 」



イ 任期途中に理事長が海外に単身赴任した場合においては、後任の理事長が就任するまでの間、当該住戸に居住する配偶者が、不在区分所有者となった理事長の職務を代理する。

X 適切でない。 標準管理規約(単棟型)には、こんな規定はない。

 設問のような「任期途中に理事長が海外に単身赴任した場合においては、後任の理事長が就任するまでの間、当該住戸に居住する配偶者が、不在区分所有者となった理事長の職務を代理する」の規定は、標準管理規約(単棟型)にはありませんから、適切ではありません。

 任期途中で、理事長が海外に赴任となると、後任の理事長を選任し、それまでは、副理事長が、理事長の代理をすべきです。

 参考:標準管理規約(単棟型)39条
「(副理事長)
 第39条 副理事長は、理事長を補佐し、理事長に事故があるときは、その 職務を代理し、理事長が欠けたときは、その職務を行う。 」



ウ 任期途中で辞任した監事は、後任の監事が就任するまでの間、引き続きその職務を行う。

〇 適切である。 監事も役員で、役員は、任期満了でも、次の役員が決まるまで、職務を行う。
 
 設問は、選択肢1で引用しました、標準管理規約(単棟型)36条3項、
3 任期の満了又は辞任によって退任する役員は、後任の役員が就任するま での間引き続きその職務を行う。 」
 とあり、
 監事も役員ですから、設問の「任期途中で辞任した監事は、後任の監事が就任するまでの間、引き続きその職務を行う」は、適切です。



エ 任期途中で理事長が、総会決議で解任された場合においては、後任の理事長が就任するまでの間、引き続きその職務を行う。

X 適切でない。 解任は、任期満了や辞任ではない。もう、業務を任せられない。

 よく、出題される。

 解任は、選択肢1で引用しました、標準管理規約(単棟型)36条3項、
「3 任期の満了又は辞任によって退任する役員は、後任の役員が就任するま での間引き続きその職務を行う。 」
 とは、事情が異なります。

 解任というなら、もう、その職を任せる訳にはいきませんから、設問の「任期途中で理事長が、総会決議で解任された場合においては、後任の理事長が就任するまでの間、引き続きその職務を行う」ことは”
できず”、適切ではありません。

 この場合も、後任の理事長を早急に選任し、それまでは、副理事長が理事長を代理します。



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え: 2 (適切なものは、 ア と ウ の2つ)

 また、個数問題か。 実に、不適切な、出題官だ。
 問題としては、易しいが。

《タグ》標準管理規約(単棟型) 役員の任期 辞任・満了 解任

問35

【問 35】 区分所有法第71条の罰則規定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 管理組合法人において、登記に関して必要な事項の登記を怠った場合にあっては、理事は過料に処せられる。

〇 正しい。 法人では、登記は不可欠。 登記しないと理事は、20万円以下の過料がつく。

 平成26年 管理業務主任者試験 「問38」 平成25年マンション管理士試験 「問11」、 平成23年マンション管理士試験 「問31」、 平成22年管理業務主任者試験 「問38」

 区分所有法の終わりの条文「罰則」からも、時々、出題がある。

 それは、区分所有法第71条、
第三章 罰則
 第七十一条 
次の各号のいずれかに該当する場合には、その行為をした管理者、理事、規約を保管する者、議長又は清算人は、二十万円以下の過料に処する。
   一 第三十三条第一項本文(第四十二条第五項及び第四十五条第四項(これらの規定を第六十六条において準用する場合を含む。)並びに第六十六条において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)又は第四十七条第十二項(第六十六条において準用する場合を含む。)において読み替えて適用される第三十三条第一項本文の規定に違反して、規約、議事録又は第四十五条第四項(第六十六条において準用する場合を含む。)の書面若しくは電磁的記録の保管をしなかつたとき。
   二 第三十三条第二項(第四十二条第五項及び第四十五条第四項(これらの規定を第六十六条において準用する場合を含む。)並びに第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、正当な理由がないのに、前号に規定する書類又は電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧を拒んだとき。
   三 第四十二条第一項から第四項まで(これらの規定を第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、議事録を作成せず、又は議事録に記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をしたとき。
   四 第四十三条(第四十七条第十二項(第六十六条において準用する場合を含む。)において読み替えて適用される場合及び第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
   
五 第四十七条第三項(第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に基づく政令に定める登記を怠つたとき。
   六 第四十八条の二第一項(第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、財産目録を作成せず、又は財産目録に不正の記載若しくは記録をしたとき。
   七 理事若しくは監事が欠けた場合又は規約で定めたその員数が欠けた場合において、その選任手続を怠つたとき。
   八 第五十五条の七第一項又は第五十五条の九第一項(これらの規定を第六十六条において準用する場合を含む。)の規定による公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。
   九 第五十五条の九第一項(第六十六条において準用する場合を含む。)の規定による破産手続開始の申立てを怠つたとき。
   十 第五十六条の二第二項(第六十六条において準用する場合を含む。)の規定による検査を妨げたとき。

 とあり、
 どの条文が、罰則の対象かというと、以下の表になります。 

*区分所有法「罰則」 第71条及び第72条 まとめ
 ◎ 過 料 内 容 と 罰 対 象 者
番号 条文(71条) 内容 罰 対象者 過料金額
1号 規約、議事録の保管義務違反 管理組合の管理者または管理組合法人の理事 ¥200,000以下
2号 規約、議事録の閲覧義務違反 管理組合の管理者、管理者が居ないときの保管者と定められた者、または管理組合法人の理事
3号 議事録不作成、不記載、虚偽の記載 集会の議長
4号 事務不報告、虚偽報告 管理組合の管理者および管理組合法人の理事
5号 管理組合法人の不登記 管理組合法人の理事・解散は清算人
6号 財産目録不作成、不正記載 管理組合法人の理事
7号 管理組合法人の理事・監事の定数を欠いた場合の不選任 管理組合法人の理事
8号 清算時において債権申し出の公告または破産申立ての公告を怠ったとき 管理組合法人の清算人
9号 清算時に債務超過が判明した場合の破産の申立てを怠ったとき 管理組合法人の清算人
10 10号 清算時の裁判所の検査を妨げたとき 検査を妨害した清算人だけ?
11 72条 管理組合法人でない組合が「管理組合法人」の名称を用いたとき 使用した者 ¥100,000以下

 ここでの、過料(かりょう ”あやまちりょう” とも)とは...義務違反に対する制裁金。刑法上の刑罰ではない。刑法、刑事訴訟法は適用されず、また、軽微な義務違反が対象であるため、民事訴訟法も適用されず非訟事件手続法による。同じ読みの「科料」(”とがりょう”とも)は刑法上の罰。

 (注)紛らわしいのは、
   A.第33条で1項(規約の保管義務)、2項(規約の閲覧義務)は罰則の対象だけど、3項(保管場所の掲示)は罰則が無いこと。
   B.第33条1項(規約の保管義務)で、管理者がいない時に規約または集会の決議で規約の保管者と定められた区分所有者には、保管義務に違反しても、罰則はないと言う。(第33条1項の本文が適用で、「但し書き」は入らないから)
  です。

 これを踏まえて、設問の「管理組合法人において、登記に関して必要な事項の登記を怠った場合にあっては、理事は過料に処せられる」は、元の規定は、区分所有法第47条3項
(成立等)
 第四十七条 第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる。
2 前項の規定による法人は、管理組合法人と称する。
3 この法律に規定するもののほか、管理組合法人の登記に関して必要な事項は、政令で定める。
4 管理組合法人に関して登記すべき事項は、登記した後でなければ、第三者に対抗することができない。

 (以下、略)」」
 とあり、
 区分所有法第47条3項は、罰則の区分所有法第71条5項「五 第四十七条第三項(第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に基づく政令に定める登記を怠つたとき」に
該当しますから、設問の「管理組合法人において、登記に関して必要な事項の登記を怠った場合にあっては、理事は過料に処せられる」は、正しい。


2 議長は、集会の議事において、議事録に記載すべき事項を記載しなかった場合に、過料に処せられる。

〇 正しい。 議長が集会(総会)の議事録に記載すべき事項を記載しなかった場合には、20万円以下の過料がつく。


 設問の元になるのは、区分所有法第42条
(議事録)
 第四十二条 集会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成しなければならない。
2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、又は記録しなければならない
3 前項の場合において、議事録が書面で作成されているときは、議長及び集会に出席した区分所有者の二人がこれに署名押印しなければならない。
4 第二項の場合において、議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報については、議長及び集会に出席した区分所有者の二人が行う法務省令で定める署名押印に代わる措置を執らなければならない。
5 第三十三条の規定は、議事録について準用する。

 とあり、
 これの罰則は、選択肢1で引用しました、区分所有法第71条3号、
三 第四十二条第一項から第四項まで(これらの規定を第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、議事録を作成せず、又は議事録に記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をしたとき。」
 とあり、
 区分所有法第42条2項は、区分所有法第71条3号に該当しますから、設問の「議長は、集会の議事において、議事録に記載すべき事項を記載しなかった場合に、過料に処せられるは、正しい。



3 監事は、集会の議事において、管理者の管理事務についての監査報告を怠った場合に、過料に処せられる。

X 誤っている。 監事の罰則規定はない。

  区分所有法第71条各号には、監事についての罰則の規定はないため、設問の「監事は、集会の議事において、管理者の管理事務についての監査報告を怠った場合に、過料に処せられるは、誤りです。


4 管理組合法人において、規約に定めた理事の員数が欠けた場合にあって、その選任手続を怠ったときは、理事は過料に処せられる。

〇 正しい。 管理組合法人では、理事・監事の定数を守ることは、重要です。選任を怠ると、理事には、20万円以下の過料がつく。

  設問は、選択肢1で引用しました、区分所有法第71条7号、
七 理事若しくは監事が欠けた場合又は規約で定めたその員数が欠けた場合において、その選任手続を怠つたとき。」 
 とあり、
 設問の「管理組合法人において、規約に定めた理事の員数が欠けた場合にあって、その選任手続を怠ったときは、理事は過料に処せられる」は、正しい。



答え:3

 
区分所有法では、最後の「罰則」まで、手を抜かずに、勉強すること。
 問題としては、易しい。

 なお、区分所有法 については、 別途 「超解説 区分所有法」 もあるので、しっかり、勉強してください。

《タグ》区分所有法 罰則 法人の登記 集会の議事録 監事 理事の定数


* 2020年 2月13日:解説

問36

【問 36】 専有部分の用途に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び標準管理規約(単棟型)によれば、最も不適切なものはどれか。

1 専有部分を居住用借家として使用することを可能とする場合においては、専有部分の用途を住宅専用である旨を規約に明記しておくだけでは足りない。

X 適切でない。 基本的に専有部分を、住宅専用としてあれば、居住用借家として使用を可能とすることを規約に明記しなくていい。

 出題意図が分かりますか。
 解説としては、かなり高度な設問。

 基本的に、マンションの専有部分(室)の所有者は、民法の所有権(第206条)に基づき、その専有部分の使用、収益、処分ができます。 
 しかし、マンションが共同生活の場であるという特異性を考慮して、区分所有者相互の共同の利益を守るために、専有部分の使用(用途)の制限(居住に限るとか、事務所を認めるとか)は、相対的な禁止事項として規約を定めて、できると考えられています。
参考:区分所有法第30条1項
(規約事項)
 第三十条 
建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる
 (以下、略)」

 そこで、専有部分の用途、管理・使用制限までは、規約で明確に定めますが、設問のような「専有部分の用途を住宅専用である旨」の規約があれば、「専有部分を居住用借家とし使用する」規約が明確になくても、「借家」にすることは、可能ですから、設問は、不適切です。


2 専有部分を住宅宿泊事業として使用することを禁止とする場合においては、専有部分の用途を住宅専用である旨を規約に明記しておくだけでは足りない。

〇 適切である。 用途に関する事項として、民泊(住宅宿泊事業)を認めるかどうかは、明確にした方がいい。


 やっと、試験で、民泊がでた。

 マンションの用途を「住宅専用」としたときに、新しく発生してきたのが、いわゆる「住宅宿泊事業(いわゆる民泊(正規の旅館ではないが、一般個人宅を宿泊に提供する))」です。
 この新しい民泊という政府が進める方針(住宅宿泊事業法の制定)をどのようにマンションで対応するか、国土交通省は、かなり時間をかけてどうにか、平成29年8月29日の改正 マンション標準管理規約 で、@「民泊の可能」とA「民泊の禁止」と例示しました。

 それが、標準管理規約(単棟型)12条2項
 「※住宅宿泊事業に使用することを可能とする場合、禁止する場合に応じて、次のように規定〕
 (ア)住宅宿泊事業を可能とする場合
「(専有部分の用途)
 第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用することができる。」

 (イ)
住宅宿泊事業を禁止する場合
「(専有部分の用途)
 第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用してはならない。
  です。
 この、コメントとして、コメント第12 条関係
A 住宅宿泊事業法第2条第3項に規定する住宅宿泊事業については、第2項のように、可能か禁止かを明記することが望ましい。また、旅館業法第3条第1項の簡易宿所の許可を得て行う「民泊」については、旅館業営業として行われるものであり、通常は第1項の用途に含まれていないと考えられるため、可能としたい場合には、その旨を明記することが望ましい。
 旅館業法や住宅宿泊事業法に違反して行われる事業は、管理規約に明記するまでもなく、当然に禁止されているとの趣旨である。
さらに、「区分所有者は、その専有部分を、宿泊料を受けて人を宿泊させる事業を行う用途に供してはならない。」のような規定を置くこともあり得る。
B マンションによっては、一定の態様の住宅宿泊事業のみを可能とすることも考えられ、その場合は規約に明記すべきである。
 多数の区分所有者等による共同生活の場であり、その共同生活の維持のための法的手段が区分所有法上特に設けられているというマンションの特性に鑑みれば、個別のマンションの事情によっては、例えば、住宅宿泊事業者が同じマンション内に居住している住民である等のいわゆる家主居住型の住宅宿泊事業に限り可能とするケースも考えられる。

 *
いわゆる家主居住型の住宅宿泊事業のみ可能とする場合の例
  第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
   2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業(同法第11条第1項2号に該当しないもので、住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する専有部分と同法第2条第5項の届出住宅が同一の場合又は同じ建物内にある場合に限る。)に使用することができる。

 さらに、個別のマンションの事情によっては、このようないわゆる家主居住型の住宅宿泊事業のうち、住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用している専有部分において宿泊させる場合(いわゆる家主同居型)に限り可能とするケースも考えられる。
 *
いわゆる家主同居型のみ可能とする場合の例
 第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
  2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業(同法第11条第1項2号に該当しないもので、住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する専有部分と同法第2条第5項の届出住宅が同一の場合に限る。)に使用することができる。

C 新規分譲時の原始規約等において、住宅宿泊事業の可否を使用細則に委任しておくこともあり得る。
 *住宅宿泊事業の可否を使用細則に委任する場合
   第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
   2 区分所有者が、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用することを可能とするか否かについては、使用細則に定めることができるものとする。
D (イ)の場合において、住宅宿泊事業の実施そのものだけでなく、さらに、その前段階の広告掲載等をも禁止する旨を明確に規定するため、「区分所有者は、前2項に違反する用途で使用することを内容とする広告の掲載その他の募集又は勧誘を行ってはならない。」のような規定を置くこともあり得る。」

 ということで、設問に戻ると「専有部分を住宅宿泊事業として使用することを禁止とする場合においては、専有部分の用途を住宅専用である旨を規約に明記しておくだけでは足りない」ため、設問は、適切です。



3 専有部分の用途として住宅宿泊事業を可能とする規約があったとしても、他の居住者の住宅としての使用を妨げる行為については、当該住宅宿泊事業を営む者は、共同の利益に反する義務違反者としての責任を免れない。

〇 適切である。 規約で民泊を認めても、それは「共同の利益違反行為」までを認めたものではない。

 では、「共同の利益違反」の規定は、区分所有法第6条
(区分所有者の権利義務等)
 第六条 区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
2 区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。
3 第一項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者(以下「占有者」という。)に準用する。

 です。

 この区分所有法第6条の規定は、特に「住宅宿泊事業を可能」と規約で認めても、「共同の利益に反する義務違反」までを免責するものではありませんから、設問の「専有部分の用途として住宅宿泊事業を可能とする規約があったとしても、他の居住者の住宅としての使用を妨げる行為については、当該住宅宿泊事業を営む者は、共同の利益に反する義務違反者としての責任を免れない」は、適切です。



4 専有部分の用途として住宅宿泊事業を可能とする規約があったとしても、旅館業法に違反して行われる宿泊事業は認められない。

〇 適切である。 規約で住宅宿泊事業を可能としても、旅館業法に違反して行われる宿泊事業を当然に禁止している。


 設問は、常識でも分かる。他の法律違反はだめ。

 具体的には、選択肢2で引用しました、コメント第12 条関係A
「A 住宅宿泊事業法第2条第3項に規定する住宅宿泊事業については、第2項のように、可能か禁止かを明記することが望ましい。
 また、旅館業法第3条第1項の簡易宿所の許可を得て行う「民泊」については、旅館業営業として行われるものであり、通常は第1項の用途に含まれていないと考えられるため、可能としたい場合には、その旨を明記することが望ましい。
 
旅館業法や住宅宿泊事業法に違反して行われる事業は、管理規約に明記するまでもなく、当然に禁止されているとの趣旨である
 さらに、「区分所有者は、その専有部分を、宿泊料を受けて人を宿泊させる事業を行う用途に供してはならない。」のような規定を置くこともあり得る。」
 とあり、
 コメント第12 条関係Aによれば、設問の「専有部分の用途として住宅宿泊事業を可能とする規約があったとしても、旅館業法に違反して行われる宿泊事業は認められない」は、適切です。



答え: 1

 選択肢1の賃貸が、不適切とは、すぐに分かるが、解説には、時間がかかる。
 選択肢2、4 で迷うか。

 民泊は、今後も出題が考えられるので、詳細に載せた。 コメントなどは変更の可能性も強いが。

《タグ》区分所有法 借家 標準管理規約 規約事項 民泊(住宅宿泊事業) 免責 旅館業法違反


*2020年 2月13日:解説

問37

【問 37】 次の事項のうち、区分所有法の規定によれば、規約で別段の定めをすることができないものはどれか。

1 専有部分と敷地利用権の分離処分の禁止

〇 規約で別段の定めをすることができる。
 平成29年 管理業務主任者試験 「問1」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問8」 、  平成26年マンション管理士試験 「問26」 、平成26年管理業務主任者試験 「問1」 、平成25年マンション管理士試験 「問12」 、 平成24年マンション管理士試験 「問10」 、 平成22年マンション管理士試験 「問5」  

 規約で別段の定めができるものは、どこまで区分所有法を勉強しているかを見易くて、出題傾向が、高い。
 基本的に、どうして、別段の定めができるのか、他の法律との関係、居住者の自治権、多数決議の尊重などを考えると、条文からだけでなく分かるかも。

 専有部分と敷地利用権の分離処分の禁止は、区分所有法第22条、
(分離処分の禁止)
 第二十二条 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。
ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
2 前項本文の場合において、区分所有者が数個の専有部分を所有するときは、各専有部分に係る敷地利用権の割合は、第十四条第一項から第三項までに定める割合による。ただし、規約でこの割合と異なる割合が定められているときは、その割合による。
3 前二項の規定は、建物の専有部分の全部を所有する者の敷地利用権が単独で有する所有権その他の権利である場合に準用する。

 とあり、
 区分所有法第22条1項によれば、「専有部分と敷地利用権の分離処分の禁止」事項でも、規約で別段の定めができます。



2 先取特権の被担保債権の範囲

X 規約で別段の定めをすることができない。

 設問は、区分所有法第7条、
(先取特権)
 第七条 区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する
債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。
2 前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。
3 民法(明治二十九年法律第八十九号)第三百十九条の規定は、第一項の先取特権に準用する
。」
 とあり、
 規約での別段の定めを認めていません。



3 集会におけるあらかじめ通知していない事項(集会の決議につき特別の定数が定められているものを除く。)の決議

〇 規約で別段の定めをすることができる。

 設問は、区分所有法第37条、
(決議事項の制限)
 第三十七条 集会においては、第三十五条の規定によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議をすることができる。
2 
前項の規定は、この法律に集会の決議につき特別の定数が定められている事項を除いて、規約で別段の定めをすることを妨げない
3 前二項の規定は、前条の規定による集会には適用しない。

 とあり、
 、区分所有法第37条1項及び同条2項によれば、設問の「集会におけるあらかじめ通知していない事項(集会の決議につき特別の定数が定められているものを除く。)の決議」なら、規約で別段の定めができます。



4 解散した管理組合法人の残余財産の帰属の割合

〇 規約で別段の定めをすることができる。

 設問は、区分所有法第56条
(残余財産の帰属)
 第五十六条 解散した管理組合法人の財産は、
規約に別段の定めがある場合を除いて、第十四条に定める割合と同一の割合で各区分所有者に帰属する。
 とあり、
 規約で別段の定めができます。



答え: 2 

 区分所有法で、規約で別段の定めができるものは、出題傾向が高いので、纏めておくこと。
 出題としては、易しい。

《タグ》区分所有法 別段の定め 専有部分と敷地利用権の分離処分の禁止 先取特権の被担保債権の範囲 あらかじめ通知した事項の決議 解散した管理組合法人の残余財産の帰属の割合


*2020年 2月14日:解説

問38

【問 38】 管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 管理組合法人は、理事の任期を 5年と定めることができる。

X 誤っている。 法人の理事の任期は、原則2年。規約で最長3年まで。 5年ではない。
 令和01年 マンション管理士試験 「問1」 、

 管理組合が法人化されたときは、理事は必ず置きます。その、理事の任期は、区分所有法第49条、
(理事)
 第四十九条 管理組合法人には、理事を置かなければならない。
2 理事が数人ある場合において、規約に別段の定めがないときは、管理組合法人の事務は、理事の過半数で決する。
3 理事は、管理組合法人を代表する。
4 理事が数人あるときは、各自管理組合法人を代表する。
5 前項の規定は、規約若しくは集会の決議によつて、管理組合法人を代表すべき理事を定め、若しくは数人の理事が共同して管理組合法人を代表すべきことを定め、又は規約の定めに基づき理事の互選によつて管理組合法人を代表すべき理事を定めることを妨げない。
6 理事の任期は、二年とする。ただし、規約で三年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。
7 理事が欠けた場合又は規約で定めた理事の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した理事は、新たに選任された理事(第四十九条の四第一項の仮理事を含む。)が就任するまで、なおその職務を行う。
8 第二十五条の規定は、理事に準用する。

 とあり、
 区分所有法第49条6項によれば、理事の任期は原則:2年ですが、規約があれば最長3年まで伸ばせますが、設問の「理事の任期を 5年と定めることができる」は、誤りです。


 


2 管理組合法人は、代表権のない理事を置くことができる。

〇 正しい。 理事のうちから代表を決めたら、他の理事には、代表権がない。

  管理組合法人では、原則、各理事が法人の代表ですが、選択肢1で引用しました、区分所有法第49条3項、4項及び5項
3 理事は、管理組合法人を代表する。
4 理事が数人あるときは、各自管理組合法人を代表する。
5 前項の規定は、規約若しくは集会の決議によつて、管理組合法人を代表すべき理事を定め、若しくは数人の理事が共同して管理組合法人を代表すべきことを定め、又は規約の定めに基づき理事の互選によつて管理組合法人を代表すべき理事を定めることを妨げない

 とあり、
 区分所有法第49条5項によれば、規約や集会の決議で理事のうちから「代表者」を決めることができます。そこで、代表権のない理事もあり得ますから、設問の「管理組合法人は、代表権のない理事を置くことができるは、正しい。



3 管理組合法人は、管理者を置くことができない。

〇 正しい。 法人なら、管理者に代わって、理事が置かれるので管理者の規定は適用がなくなる。
  
 設問は、区分所有法第47条11項
(成立等)
 第四十七条 
  
11 第四節及び第三十三条第一項ただし書(第四十二条第五項及び第四十五条第四項において準用する場合を含む。)の規定は、管理組合法人には、適用しない。
 とあり、
 引用されています、第4節とは、「第四節 管理者」の規定です。

 管理組合法人には、その執行機関として理事が常設されます(第49条参照)から、区分所有者の団体が法人でないときの執行機関である管理者(区分所有者の代理人)は必要がなくなります。
 そのため、区分所有法第4節(第25条から第29条)で規定している管理者についての各条項は管理組合法人では適用の余地がなくなり、第5節(第30条から第46条)の規約および集会の各条項のうち「管理者」という文言は「理事」という文言に読み替えられて管理組合法人に適用されることになります。(12項)

 なお、この適用除外での第27条の「管理所有」も管理組合法人には適用がないことに注意してください。 

 そこで、設問の「管理組合法人は、管理者を置くことができない」は、正しい。


 


4 管理組合法人の監事は、理事又は管理組合法人の使用人を兼ねてはならない。

〇 正しい。 理事を監督する立場の監事は、理事又は管理組合法人の使用人を兼ねてはならない。

 監事は、区分所有法第50条、
(監事)
 第五十条 管理組合法人には、監事を置かなければならない。
2 監事は、理事又は管理組合法人の使用人と兼ねてはならない。
3 監事の職務は、次のとおりとする。
   一 管理組合法人の財産の状況を監査すること。
   二 理事の業務の執行の状況を監査すること。
   三 財産の状況又は業務の執行について、法令若しくは規約に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、集会に報告をすること。
   四 前号の報告をするため必要があるときは、集会を招集すること。
4 第二十五条、第四十九条第六項及び第七項並びに前条の規定は、監事に準用する。

 とあり、
 区分所有法第50条2項によれば、設問の「管理組合法人の監事は、理事又は管理組合法人の使用人を兼ねてはならない」は、正しい。

 理事を監督する立場にある監事が同時に理事であったり、また、理事の監督をうける使用人であったりしては、業務執行を監督する実が挙がりませんから当然の規定です。




答え: 1

 このあたりの出題は、易しい。

《タグ》区分所有法 法人 理事の任期 代表理事 監事 
 

問39

【問 39】 次のア〜エの文を正しく並べると、理事長の解任に関する最高裁判所の判決文の一部となるが、正しい順番に並べたものは 1〜 4のうちどれか。

ア これは、理事長を理事が就く役職の つと位置付けた上、総会で選任された理事に対し、原則として、その互選により理事長の職に就く者を定めることを委ねるものと解される。

イ そうすると、このような定めは、理事の互選により選任された理事長について理事の過半数の一致により理事長の職を解き、別の理事を理事長に定めることも総会で選任された理事に委ねる趣旨と解するのが、本件規約を定めた区分所有者の合理的意思に合致するというべきである。

ウ そして、本件規約は、理事長を区分所有法に定める管理者とし(43条2項)、役員である理事に理事長等を含むものとした上(40条1項)、役員の選任及び解任について総会の決議を経なければならない(53条13号)とする一方で、理事は、組合員のうちから総会で選任し(40条2項)、その互選により理事長を選任する(同条3項)としている。

エ 区分所有法は、集会の決議以外の方法による管理者の解任を認めるか否か及びその方法について区分所有者の意思に基づく自治的規範である規約に委ねているものと解される。


 例年「問39」は、判例からの出題。

 基本となっているのは、区分所有法第25条1項の規定。
(選任及び解任)
 第二十五条 
区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる
2 管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。


 設問は、比較的新しい 最高裁判所 判決:平成29年12月18日
  事例は;
 理事長を建物の区分所有等に関する法律に定める管理者とし,役員である理事に理事長を含むものとした上,役員の選任及び解任について総会の決議を経なければならない旨の定めがある規約を有するマンション管理組合において,理事の互選により選任された理事長につき,理事の過半数の一致により理事長の職を解くことができるとされた、もの

 具体的な判決文は;
 「 (1)ア 区分所有法によれば,区分所有者は,全員で,建物等の管理を行うための団体を構成し,同法の定めるところにより,集会を開き,規約を定め,及び管理者を置くことができるとされ(3条),規約に別段の定めがない限り,集会の決議によって,管理者を選任し,又は解任することができるとされている(25条1項)。そうすると,
区分所有法は,集会の決議以外の方法による管理者の解任を認めるか否か及びその方法について区分所有者の意思に基づく自治的規範である規約に委ねているものと解される

 イ
そして,本件規約は,理事長を区分所有法に定める管理者とし(43条2項),役員である理事に理事長等を含むものとした上(40条1項),役員の選任及び解任について総会の決議を経なければならない(53条13号)とする一方で,理事は,組合員のうちから総会で選任し(40条2項),その互選により理事長を選任する(同条3項)としている
 
これは,理事長を理事が就く役職の1つと位置付けた上,総会で選任された理事に対し,原則として,その互選により理事長の職に就く者を定めることを委ねるものと解される。そうすると,このような定めは,理事の互選により選任された理事長について理事の過半数の一致により理事長の職を解き,別の理事を理事長に定めることも総会で選任された理事に委ねる趣旨と解するのが,本件規約を定めた区分所有者の合理的意思に合致するというべきである。本件規約において役員の解任が総会の決議事項とされていることは,上記のように解する妨げにはならない。

ウ したがって,上記イのような定めがある規約を有する上告人においては,理事の互選により選任された理事長につき,本件規約40条3項に基づいて,理事の過半数の一致により理事長の職を解くことができると解するのが相当である。

(2) これを本件についてみると,前記事実関係等によれば,本件理事会決議は,平成25年10月20日に開催された上告人の理事会において,理事の互選により理事長に選任された被上告人につき,本件規約40条3項に基づいて,出席した理事10名の一致により理事長の職を解き,理事としたものであるから,このような決議の内容が本件規約に違反するとはいえない。」


 ということで、設問を正しく並べると、

 1は、エ 区分所有法は、集会の決議以外の方法による管理者の解任を認めるか否か及びその方法について区分所有者の意思に基づく自治的規範である規約に委ねているものと解される。

 2は、ウ そして、本件規約は、理事長を区分所有法に定める管理者とし(43条2項)、役員である理事に理事長等を含むものとした上(40条1項)、役員の選任及び解任について総会の決議を経なければならない(53条13号)とする一方で、理事は、組合員のうちから総会で選任し(40条2項)、その互選により理事長を選任する(同条3項)としている。

 3は、ア これは、理事長を理事が就く役職の つと位置付けた上、総会で選任された理事に対し、原則として、その互選により理事長の職に就く者を定めることを委ねるものと解される。

 4は、イ そうすると、このような定めは、理事の互選により選任された理事長について理事の過半数の一致により理事長の職を解き、別の理事を理事長に定めることも総会で選任された理事に委ねる趣旨と解するのが、本件規約を定めた区分所有者の合理的意思に合致するというべきである。

 となり、
 正解は、 エ、ウ、ア、イ の順となる。



1 ア、イ、ウ、エ
2 イ、ア、ウ、エ
3 ウ、ア、イ、エ
4 エ、ウ、ア、イ


答え: 4

 日本語として、エ が頭は、分かる。接続詞がない。

 この判例は、私の「超解説 区分所有法」 第25条でも取り上ていましたので、勉強をしっかりやっていれば、易しかったでしょう。

《タグ》判例 区分所有法第25条 管理者の選任 解任 理事会でできるか


*2020年 2月15日:解説

問40

【問 40】 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 新築住宅とは、新たに建設された住宅で、かつ、まだ人の居住の用に供したことのないもので、建設工事完了の日から1年を経過していないものをいう。

〇 正しい。 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」での新築住宅とは、新たに建設された住宅で、かつ、まだ人の居住の用に供したことのないもので、建設工事完了の日から1年を経過していないものをいう。

  令和01年 管理業務主任者業務試験 「問20」 も参考に、 平成29年 管理業務主任者試験 「問40」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問41」 

 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に関係した、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」も参照のこと。

 平成12年4月に施行された「住宅の品質確保の推進等に関する法律(住宅品質確保法)」では、「売り主」及び「請負人」に対し
  @構造耐力上主要な部分 と 
  A雨水の浸入を防止する部分 について
  10年間の瑕疵担保責任を負うことが義務付けられています。

 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」での、新築住宅とは、住宅の品質確保の促進等に関する法律第2条、
(定義)
 第二条 この法律において「住宅」とは、人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分(人の居住の用以外の用に供する家屋の部分との共用に供する部分を含む。)をいう。
2 この法律において「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。)をいう。
3 この法律において「日本住宅性能表示基準」とは、住宅の性能に関し表示すべき事項及びその表示の方法の基準であって、次条の規定により定められたものをいう。
4 この法律において「住宅購入者等」とは、住宅の購入若しくは住宅の建設工事の注文をし、若しくはしようとする者又は購入され、若しくは建設された住宅に居住をし、若しくはしようとする者をいう。

 とあり、
 住宅の品質確保の促進等に関する法律第2条2項によれば、設問の「新築住宅とは、新たに建設された住宅で、かつ、まだ人の居住の用に供したことのないもので、建設工事完了の日から1年を経過していないものをいう」は、正しい。

 なお、「新築住宅」には、戸建てやマンションの他、賃貸住宅も入りますが、事務所、倉庫、物置、車庫は「住宅」でないため、対象となりません。また、一時使用目的の住宅(仮設住宅等)も対象外です。


2 新築住宅について、住宅新築請負契約に基づき請負人が注文者に引き渡した時から10年間瑕疵担保責任を負う部位は、同住宅の構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるものである。

〇 正しい。 10年間瑕疵担保責任を負う部位は、同住宅の構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの。


 請負人なら、住宅の品質確保の促進等に関する法律第94条1項
(住宅の新築工事の請負人の瑕疵(かし)担保責任の特例)
 第九十四条 住宅を新築する建設工事の請負契約(以下「住宅新築請負契約」という。)においては、
請負人は、注文者に引き渡した時から十年間、住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの(次条において「住宅の構造耐力上主要な部分等」という。)の瑕疵(かし)(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。次条において同じ。)について、民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百三十四条第一項及び第二項前段に規定する担保の責任を負う。
2 前項の規定に反する特約で注文者に不利なものは、無効とする。
3 第一項の場合における民法第六百三十八条第二項の規定の適用については、同項中「前項」とあるのは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律第九十四条第一項」とする。

 とあり、
 住宅の品質確保の促進等に関する法律第94条1項によれば、設問の「新築住宅について、住宅新築請負契約に基づき請負人が注文者に引き渡した時から10年間瑕疵担保責任を負う部位は、同住宅の構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるものである」は、正しい。

 なお、引用されています民法第634条は、
(請負人の担保責任)
 第六百三十四条 仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。
2 注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第五百三十三条の規定を準用する。

 です。

 住宅の品質確保の促進等に関する法律で「瑕疵担保責任の範囲」は、住宅の全てではありませんので注意してください。 

 また、政令とは、住宅の品質確保の促進等に関する法律施行令第5条によれば、
 1.構造耐力上主要な部分とは...住宅の基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、当該住宅の自重若しくは積載荷重、積雪、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものとする。(住宅の品質確保の促進等に関する法律施行令第5条1項)
   2.雨水の侵入を防止する部分とは...
     一 住宅の屋根若しくは外壁又はこれらの開口部に設ける戸、わくその他の建具
     二 雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、当該住宅の屋根若しくは外壁の内部又は屋内にある部分(住宅の品質確保の促進等に関する法律施行令第5条2項)

 これは、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」での規定と同じです。


 



3 新築住宅に係る瑕疵担保責任の特例の規定は、法人が買主である売買契約においては適用されない。

X 誤っている。 特に、買主が法人であれば適用しないという規定はない。 法人にも適用される。

 設問は、住宅の品質確保の促進等に関する法律第95条
(新築住宅の売主の瑕疵(かし)担保責任の特例)
 第九十五条 新築住宅の売買契約においては、
売主は、買主に引き渡した時(当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主に引き渡されたものである場合にあっては、その引渡しの時)から十年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の隠れた瑕疵(かし)について、民法第五百七十条において準用する同法第五百六十六条第一項並びに同法第六百三十四条第一項及び第二項前段に規定する担保の責任を負う。この場合において、同条第一項及び第二項前段中「注文者」とあるのは「買主」と、同条第一項中「請負人」とあるのは「売主」とする。
2 前項の規定に反する特約で買主に不利なものは、無効とする。
3 第一項の場合における
民法第五百六十六条第三項の規定の適用については、同項中「前二項」とあるのは「住宅の品質確保の促進等に関する法律第九十五条第一項」と、「又は」とあるのは「、瑕疵修補又は」とする
 とあり、
  住宅の品質確保の促進等に関する法律第95条によれば、特に買主が法人であれば、この規定を適用しないとの記述はないため、法人にも新築住宅に係る瑕疵担保責任の特例の規定は適用されますから、設問の「新築住宅に係る瑕疵担保責任の特例の規定は、法人が買主である売買契約においては適用されない」は、誤りです。

  また、民法第566条での「瑕疵担保責任」の範囲は、
(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
 第五百六十六条 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、
買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
2 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
3 前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。

 で、
 民法では、
  @損害賠償
  A契約の解除(目的を達しない時)
  ですが、
 住宅の品質確保の促進等に関する法律では、
  @損害賠償
  A契約の解除(目的を達しない時) プラス
  B修補
  もあるのが、特徴です。



4 新築住宅の瑕疵担保責任について、瑕疵を修補する責任に限定し、契約の解除や損害賠償の請求はできないこととする特約は無効である。

〇 正しい。 新築住宅の瑕疵担保責任で、注文主や買主に不利な規定は、特約でも無効となる。

 請負人は、注文主に対して、選択肢1で引用しました、住宅の品質確保の促進等に関する法律第94条、
第九十四条 住宅を新築する建設工事の請負契約(以下「住宅新築請負契約」という。)においては、請負人は、注文者に引き渡した時から十年間、住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの(次条において「住宅の構造耐力上主要な部分等」という。)の瑕疵(かし)(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。次条において同じ。)について、民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百三十四条第一項及び第二項前段に規定する担保の責任を負う。
2 前項の規定に反する特約で注文者に不利なものは、無効とする。

 により、
 請負人は、瑕疵担保責任として、民法第634条の、
  @瑕疵の修補
  A損害賠償
 の責任を負います。

 また、売主は、買主に対して、選択肢3で引用しました住宅の品質確保の促進等に関する法律第95条、
第九十五条 新築住宅の売買契約においては、売主は、買主に引き渡した時(当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主に引き渡されたものである場合にあっては、その引渡しの時)から十年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の隠れた瑕疵(かし)について、民法第五百七十条において準用する同法第五百六十六条第一項並びに同法第六百三十四条第一項及び第二項前段に規定する担保の責任を負う。この場合において、同条第一項及び第二項前段中「注文者」とあるのは「買主」と、同条第一項中「請負人」とあるのは「売主」とする。

2 前項の規定に反する特約で買主に不利なものは、無効とする。

3 第一項の場合における民法第五百六十六条第三項の規定の適用については、同項中「前二項」とあるのは「住宅の品質確保の促進等に関する法律第九十五条第一項」と、「又は」とあるのは「、瑕疵修補又は」とする。

 により、
 売主は、買主に対する瑕疵担保責任として、
  @損害賠償
  A契約の解除(目的を達しない時) プラス
  B修補
 を負います。

 そこで、設問に戻り、「新築住宅の瑕疵担保責任について、瑕疵を修補する責任に限定し、”契約の解除や損害賠償の請求はできないこと”とする特約」は、注文主や買主に”不利な特約”ですから、住宅の品質確保の促進等に関する法律第94条2項、又は 住宅の品質確保の促進等に関する法律第95条2項により「無効」となりますから、設問は、正しい。


答え: 3

 選択肢3がおかしいと、何となく分かれば、正解は、早い。

 瑕疵担保責任は、2020年4月1日の、民法の大幅改正により、変更されます。
 そこで、 「瑕疵担保責任」のまとめ のサイトも変更していますから、参考にしてください。

《タグ》 住宅の品質確保の促進等に関する法律 新築住宅とは 請負人 売主 瑕疵担保責任 


2020年 2月16日:解説

問41

【問 41】 マンションの損害保険に関する次の記述のうち、区分所有法、地震保険に関する法律及び標準管理規約(単棟型)によれば、最も不適切なものはどれか。

1 地震若しくは噴火又はこれらによる津波を直接又は間接の原因とする火災、損壊、埋没、流失による損害(政令で定めるものに限る。)をてん補する地震保険契約は火災保険契約等特定の損害保険契約に附帯して締結される。

〇 正しい(適切である)。 地震保険は、政府が再保険し、単独では加入できない。
 平成29年 管理業務主任者試験 「問43」 、

 地震保険は、被災者の生活の安定を目的とする保険であるため、保険の対象は住宅及び生活用動産に限られ、保険事故は地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没・流出による全損・半損(大小)・一部損です。
 この保険は、独立の保険ではなく、火災保険(住宅総合保険、店舗総合保険など)の契約に附帯する形になっています。
地震損害の巨大性に対処するため、政府が再保険することとなっており、保険金の支払いの確実を担保しています。
 火災保険(主契約)の保険金額の30〜50%に相当する範囲内で保険金額を設定することになり、建物5,000万円、家財1,000万円が上限となっています。



 具体的には、地震保険に関する法律第2条2項2号、3号
(定義)
 第二条 
 2 この法律において「地震保険契約」とは、次に掲げる要件を備える損害保険契約(火災に係る共済契約を含む。以下同じ。)をいう。
   一 居住の用に供する建物又は生活用動産のみを保険の目的とすること。
   
二 地震若しくは噴火又はこれらによる津波(以下「地震等」という。)を直接又は間接の原因とする火災、損壊、埋没又は流失による損害(政令で定めるものに限る。)を政令で定める金額によりてん補すること。
   三 特定の損害保険契約に附帯して締結されること。

   四 附帯される損害保険契約の保険金額の百分の三十以上百分の五十以下の額に相当する金額(その金額が政令で定める金額を超えるときは、当該政令で定める金額)を保険金額とすること。

 とあり、
 地震保険に関する法律第2条2項2号及び同項3号によれば、設問の「地震若しくは噴火又はこれらによる津波を直接又は間接の原因とする火災、損壊、埋没、流失による損害(政令で定めるものに限る。)をてん補する地震保険契約は火災保険契約等特定の損害保険契約に附帯して締結される」は、正しい。



2 共用部分に係る損害保険料は、各区分所有者が、その有する専有部分の床面積の割合に応じて負担するが、規約でこれと異なる定めをすることができる。

〇 正しい(適切である)。 保険料の負担は、原則:その有する専有部分の床面積の割合だが、規約で別段の定めもできる。

 今度は、区分所有法が対象。
 まず、共用部分に係る損害保険料は、区分所有法第19条、
(共用部分の負担及び利益収取)
 第十九条 
各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する
 とあり、
 共用部分の地震保険料などは、原則:区分所有法第14条の規定により、その有する専有部分の床面積の割合で負担しますが、この規定は、規約により別段の定めができますから、設問の「共用部分に係る損害保険料は、各区分所有者が、その有する専有部分の床面積の割合に応じて負担するが、規約でこれと異なる定めをすることができる」は、正しい。

参考:区分所有法第14条4項
(共用部分の持分の割合)
 第十四条 
各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による
2 前項の場合において、一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積は、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとする。
3 前二項の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による。
4 前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない


3 理事長(管理者)は、共用部分に係る損害保険契約に基づく保険金額の請求及び受領について、区分所有者を代理する。

〇 正しい(適切である)。 管理者(理事長)は、共用部分に係る損害保険契約では、区分所有者を代理する。

 こんども、区分所有法第26条、
(権限)
 第二十六条 管理者は、共用部分並びに第二十一条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設(次項及び第四十七条第六項において「共用部分等」という。)を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。
2 
管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。
3 管理者の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
4 管理者は、規約又は集会の決議により、その職務(第二項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。
5 管理者は、前項の規約により原告又は被告となつたときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合には、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する
。」

 とあり、
 区分所有法第26条2項によれば、設問の「理事長(管理者)は、共用部分に係る損害保険契約に基づく保険金額の請求及び受領について、区分所有者を代理する」は、正しい。



4 共用部分について、損害保険契約をするか否かの決定を、理事会の決議により行う旨を規約で定めることはできない。

X 誤っている(適切でない)。 共用部分について、損害保険契約をするのは、管理に関する事項となり、規約で別段の定めができる。

 今度は、かなり高度な設問。

 共用部分について、損害保険契約をするのは、区分所有法第18条、
(共用部分の管理)
 第十八条 共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない
3 前条第二項の規定は、第一項本文の場合に準用する。
4 共用部分につき損害保険契約をすることは、共用部分の管理に関する事項とみなす。」
 とあり、
 区分所有法第18条4項によれば、共用部分につき損害保険契約をすることは、「共用部分の管理に関する事項とみなされ」、すると、共用部分の管理に関する事項で重大な変更(第17条参照)でないなら、原則:集会の決議から、区分所有法第18条2項により、規約で別段の定めもできますから、設問の「共用部分について、損害保険契約をするか否かの決定を、理事会の決議により行う旨を規約で定めること」は、可能なため、設問は、誤りです。



答え: 4 

 巨大地震が予想される今日、地震に関して、いい出題です。

《タグ》地震保険 地震保険に関する法律 区分所有法 共用部分の負担 共用部分の管理に関する事項 規約可


*2020年 2月16日:解説

問42

【問 42】 Aが所有するマンションの一住戸について、自らを貸主とし、借主Bと、期間を5年とする定期建物賃貸借契約(以下、本問において「本件契約」という。)を締結しようとする場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 本件契約において、相互に賃料の増減額請求をすることはできない旨の特約は無効である。

X 誤っている。 定期建物賃貸借契約なら、賃料の増減額の特約もできる
  借地借家法からも、1問は出題される。 令和01年 マンション管理士試験 「問13」、 平成30年 管理業務主任者試験 「問42」 、 平成30年 マンション管理士試験 「問15」 、 平成28年 管理業務主任者試験 「40」、  平成27年 管理業務主任者試験 「問44」 平成26年 マンション管理士試験 「問12」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問43」 、 平成25年 管理業務主任者試験 「問42」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問43」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問44」 、  平成22年 管理業務主任者試験 「問44」 、平成21年 管理業務主任者試験 「問45」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問43」 など。

  定期建物賃貸借契約が生まれた背景:
 建物の賃貸借契約では、契約の更新については、解約の通知をするとか、正当な事由が必要とか、借家人を保護した規定がありますが、これはでは、余りにも借家人の保護に行きすぎという大家サイドの意見から、平成12年(2000年)3月から借地借家法の改正で、「定期建物賃貸借」という制度が創設されました。

 その「定期建物賃貸借」では、
 @期間は、何か月から何年でもいいが、必ず期間を定めること
 A契約期間が満了すれば、更新はない
 Bただし、その契約は、「公正証書などの書面」によること
 Cその契約の内容(更新がないこと)を、書面を交付して、賃貸人が借家人に説明をすること
 D契約期間の満了前の一年から6ヵ月前に、契約終了の通知をすること
 が、求められます。


 

 そこで、設問の「相互に賃料の増減額請求は」借地借家法第32条、
(借賃増減請求権)
 第三十二条 
建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
2 建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
3 建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない
。」

 があり、
 借地借家法第32条1項によれば、一般の賃借料は、原則:状況の変化により、増減ができます。

 では、定期建物賃貸借契約なら、借地借家法第38条、
(定期建物賃貸借)
 第三十八条 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない。
2 前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
3 建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
4 第一項の規定による建物の賃貸借において、期間が一年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の一年前から六月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から六月を経過した後は、この限りでない。
5 第一項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が二百平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する。
6 前二項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
7 第三十二条の規定は、第一項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない。」
 とあり、
 借地借家法第38条7項によれば、「7 第三十二条の規定は、第一項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない」とのことで、定期建物賃貸借契約では、「借賃の改定に係る特約がある場合」なら、その”
特約は有効”とのことですから、設問の「本件契約において、相互に賃料の増減額請求をすることはできない旨の特約は、有効」なりますから、「無効である」は、誤りです。


2 Aは、本件契約を締結するに当たり、あらかじめBに対し、本件契約期間満了後の更新はなく終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならないが、本件契約書に明確にその旨が記載され、Bがその内容を認識しているときは、説明をしなくてもよい。

X 誤っている。 定期建物賃貸借契約なら、説明は、契約書に書かれていて、賃借人が内容を認識していても、契約書とは別に必ずすること。

  定期建物賃貸借での基本は、選択肢1で引用しました、借地借家法第38条2項、
2 前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
 です。

 そこで、賃借人に対して、事前の説明がどの程度必要なのかについて、争いがあり、 最高裁判所 判決:平成24年9月13日 があります。
 「事例;借地借家法38条2項所定の書面が賃借人の認識にかかわらず契約書とは別個独立の書面であることの要否
  判決要旨:
借地借家法38条2項所定の書面は,賃借人が,その契約に係る賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず,契約書とは別個独立の書面であることを要する

  法38条1項の規定に加えて同条2項の規定が置かれた趣旨は,定期建物賃貸借に係る契約の締結に先立って,賃借人になろうとする者に対し,定期建物賃貸借は契約の更新がなく期間の満了により終了することを理解させ,当該契約を締結するか否かの意思定のために十分な情報を提供することのみならず,説明においても更に書面の交付を要求することで契約の更新の有無に関する紛争の発生を未然に防止することにあるものと解される。
  以上のような法38条の規定の構造及び趣旨に照らすと,同条2項は,定期建物賃貸借に係る契約の締結に先立って,賃貸人において,契約書とは別個に,定期建物賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了することについて記載した書面を交付した上,その旨を説すべきものとしたことがらかである。そして,紛争の発生を未然に防止しようとする同項の趣旨を考慮すると,上記書面の交付を要するか否かについては,当該契約の締結に至る経緯,当該契約の内容についての賃借人の認識の有無及び程度等といった個別具体的事情を考慮することなく,形式的,画一的に取り扱うのが相当である。
 したがって,法38条2項所定の書面は,賃借人が,当該契約に係る賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず,契約書とは別個独立の書面であることを要するというべきである。」
 とあり、
 この、 最高裁判所の判決では、契約書と別個に書面を交付して説明をしていないので、該当の定期借家契約は、無効としていますから、設問の「本件契約書に明確にその旨が記載され、Bがその内容を認識しているときは、説明をしなくてもよい」は、誤りです。



3 本件契約の期間を6箇月とした場合においては、本件契約は期間の定めのない契約とみなされる。

X 誤っている。 定期建物賃貸借契約なら、期間が1年未満でも、可能。

 定期建物賃貸借契約の期間は、選択肢1で引用しました、借地借家法第38条1項
「 第三十八条 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。
この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない
 です。
 この場合、引用されています借地借家法第29条とは、
(建物賃貸借の期間)
 第二十九条 
期間を一年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす
2 民法第六百四条の規定は、建物の賃貸借については、適用しない。

 とあり、
 借地借家法第38条1項では、通常の建物の賃貸借と異なり、期間が1年未満でも構わないことになっていますから、設問の「本件契約の期間を6箇月とした場合においては、本件契約は期間の定めのない契約とみなされる」は、誤りです。
 定期建物賃貸借契約では、期間が6ヵ月であっても有効です。



4 本件契約の目的が、事業用のものであるか否かにかかわらず、公正証書による等書面によりしなければならない。

〇 正しい。 定期建物賃貸借契約は、居住用にも事業用にも適用され、必ず「公正証書による等書面」であること。

 定期建物賃貸借契約なら、選択肢1で引用しました、借地借家法第38条1項、
第三十八条 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、
公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない。
 とあり、
 借地借家法第38条1項によれば、設問の「本件契約の目的が、
事業用のものであるか否かにかかわらず、”公正証書による等書面によりしなければならない”」は、正しい。
 なお、定期建物賃貸借契約は、事業用でも、個人の居住用でも利用されます。


答え: 4
 

  選択肢4は、易しい。

《タグ》借地借家法 定期建物賃貸借契約 特約 説明 期間 公正証書等


*2020年 2月17日:解説

問43

【問 43】 マンション建替事業に関する次の記述のうち、「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」の規定によれば、正しいものはどれか。

1 権利変換計画の決定及びその変更を行うときは、マンション建替組合(以下、本問において「組合」という。)の総会において、組合員の議決権及び持分割合の各4分の3以上の決議で決する。

X 誤っている。 権利変換計画は特に重要。 組合員の議決権及び持分割合は、5分の4以上必要。 4分の3ではたりない。
  令和01年 マンション管理士試験 「問19」 、 平成30年 マンション管理士試験 「問19」 、 平成29年 マンション管理士試験 「問19」 、平成29年 管理業務主任者試験 「問42」、 平成28年 マンション管理士試験 「問19」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問19」 

 よく出る問題。
 まず、総会の決議は、マンションの建替え等の円滑化に関する法律第27条、
(総会の決議事項)
 第二十七条 次に掲げる事項は、総会の議決を経なければならない。
   一 定款の変更
   二 事業計画の変更
   三 借入金の借入れ及びその方法並びに借入金の利率及び償還方法
   四 経費の収支予算
   五 予算をもって定めるものを除くほか、組合の負担となるべき契約
   六 賦課金の額及び賦課徴収の方法
   
七 権利変換計画及びその変更
   八 第九十四条第一項又は第三項の管理規約
   九 組合の解散
   十 その他定款で定める事項

 とあり、
 通常の事項であれば、出席者の議決権の過半数で決するのですが(同法29条)、重要な事項については、同法第30条があります。
(特別の議決)
 第三十条 第二十七条第一号及び第二号に掲げる事項のうち政令で定める重要な事項並びに同条第八号及び第九号に掲げる事項は、組合員の議決権及び持分割合(組合の専有部分が存しないものとして算定した施行マンションについての区分所有法第十四条に定める割合(一括建替え合意者のみにより設立された組合にあっては、組合の持分が存しないものとして算定した施行マンションの敷地(これに関する権利を含む。)の持分の割合)をいう。第三項において同じ。)の各四分の三以上で決する。
2 権利変換期日以後における前項の規定の適用については、同項中「組合の」とあるのは「組合及び参加組合員の」と、「施行マンション」とあるのは「施行再建マンション」とする。
3 第二十七条第七号に掲げる事項は、組合員の議決権及び持分割合の各五分の四以上で決する
 です。

 そこで、設問の「権利変換計画の決定及びその変更を行うとき」は、マンションの建替え等の円滑化に関する法律第27条7号に該当して、同法第30条3項「3 第二十七条第七号に掲げる事項は、
”組合員の議決権及び持分割合の各五分の四以上で決する”。」により、設問の「組合員の議決権及び持分割合の”各4分の3以上”の決議で決する」は、誤りです。
 組合員の議決権及び持分割合の各五分の四以上が必要です。



2 マンション建替事業は、組合によるほか、区分所有者又はその同意を得た者が 1でも施行することができる。

〇 正しい。 
マンション建替事業は、組合だけでなく、区分所有者又はその同意を得た者が 1でも施行することができる。

 多くのマンション建替事業は、組合方式で行われますが、一人でもできます。
 それが、マンションの建替え等の円滑化に関する法律第5条
第五条 マンション建替組合(以下この章において「組合」という。)は、マンション建替事業を施行することができる。
2 マンションの区分所有者又はその同意を得た者は、一人で、又は数人共同して、当該マンションについてマンション建替事業を施行することができる
 とあり、
 マンションの建替え等の円滑化に関する法律第5条2項によれば、設問のように「マンション建替事業は、組合によるほか、区分所有者又はその同意を得た者が 1でも施行することができる」は、正しい。



3 参加組合員として組合の組合員となることができる者は、当該マンションの区分所有者又はその包括承継人に限られる。

X 誤っている。 参加組合員となるには、マンション建替事業に参加することを希望し、かつ、それに必要な資力及び信用を有する者であって、定款で定められたものであればいい。当該マンションの区分所有者又はその包括承継人に限られない。


 まず、組合員は、マンションの建替え等の円滑化に関する法律第16条
(組合員)
 第十六条 施行マンションの建替え合意者等(その承継人(組合を除く。)を含む。)は、すべて組合の組合員とする。
2 マンションの一の専有部分が数人の共有に属するときは、その数人を一人の組合員とみなす。

 とあります。

 そして、設問の「参加組合員」は、同法第17条、
(参加組合員)
 第十七条 
前条に規定する者のほか、組合が施行するマンション建替事業に参加することを希望し、かつ、それに必要な資力及び信用を有する者であって、定款で定められたものは、参加組合員として、組合の組合員となる
 とありますから、
 マンションの建替え等の円滑化に関する法律第17条によれば、
「参加組合員」の資格は、
  @マンション建替事業に参加することを希望 かつ
  Aそれに必要な資力及び信用を有する者 であって
  B定款で定められたもの 
 であれば、いいため、設問の「参加組合員として組合の組合員となることができる者は、”当該マンションの区分所有者又はその包括承継人に限られる”」は、「限られないため」誤りです。

 建替事業は、大変に難しい事業で、実施にあたっては、法律上の権利関係の調整や資金の調達など、複雑で専門知識を必要としています。
 そこで、外部の民間業者(金融機関、建設業者、ディベロッバーなど)も、事業に参加する組合員となれます。



4 建替えに参加しない旨を組合に回答した区分所有者(その承継人を含み、その後に建替え合意者等となった者を除く。)は、組合に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で買い取るべきことを請求することができる。

X 誤っている。 組合の方から、建替え不参加者に、売渡請求を行う。 建替え不参加者から「買取請求」ではない。
 
 設問は、マンションの建替え等の円滑化に関する法律第15条
(区分所有権及び敷地利用権の売渡し請求)
 第十五条 
組合は、前条第一項の公告の日(その日が区分所有法第六十三条第二項(区分所有法第七十条第四項において準用する場合を含む。)の期間の満了の日前であるときは、当該期間の満了の日)から二月以内に、区分所有法第六十三条第四項(区分所有法第七十条第四項において準用する場合を含む。)に規定する建替えに参加しない旨を回答した区分所有者(その承継人を含み、その後に建替え合意者等となったものを除く。)に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。建替え決議等があった後に当該区分所有者から敷地利用権のみを取得した者(その承継人を含み、その後に建替え合意者等となったものを除く。)の敷地利用権についても、同様とする。
2 前項の規定による請求は、建替え決議等の日から一年以内にしなければならない。ただし、この期間内に請求することができなかったことに正当な理由があるときは、この限りでない。
3 区分所有法第六十三条第五項から第七項まで(区分所有法第七十条第四項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定は、第一項の規定による請求があった場合について準用する。この場合において、区分所有法第六十三条第六項中「第四項」とあるのは、「マンションの建替え等の円滑化に関する法律第十五条第一項」と読み替えるものとする。

 とあり、
 マンションの建替え等の円滑化に関する法律第15条1項によれば、「建替えに参加しない旨を回答した区分所有者(その承継人を含み、その後に建替え合意者等となったものを除く。)」に対して、「区分所有権及び敷地利用権を時価」で売り渡すことを請求できるのは、
組合側であって、不参加者からの「買取請求」ではないため、設問は誤りです。


答え: 2

 よくでる問題で、難しくはない。

 マンションの建替え等の円滑化に関する法律の解説もありますから、参考にしてください。
  https://mezase-mansion.jp/enkatu/enkatu-ho.htm

《タグ》マンションの建替え等の円滑化に関する法律 権利変換計画の決定及びその変更 5分の4 一人でも可 参加組合員制度 売渡請求権


*2020年 2月17日:解説

問44

【問 44】 各種の法令に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 「個人情報の保護に関する法律」によれば、個人情報取扱事業者であるマンション管理業者が、管理費を滞納している組合員の氏名及び滞納額が記載されたリストを、その管理事務を受託する管理組合に提出するときは、当該組合員の同意を得なければならない。

X 誤っている。 管理組合と委託関係にあれば、管理業者は 本人の同意を必要とする「第三者」には該当しないので、管理業者は滞納額を、本人の同意なく、管理組合に知らせていい。  
  令和01年 マンション管理士試験 「問31」 平成30年 管理業務主任者試験 「問43」 、  平成27年 管理業務主任者試験 「問43」 、平成25年 管理業務主任者試験 「問41」 、平成22年 管理業務主任者試験 「問45」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問44」 、 平成17年 管理業務主任者試験 「問45」。 

 個人情報の保護に関する法律(以下、「個人情報保護法」といいます)は、令和1年のマンション管理士試験 「31」 でもでているが、根拠のあまりはっきりしない設問だ。

 まず、個人情報保護法が、平成29年5月30日に改正・施行され、今までは、扱う個人情報が5,000人以下の場合には、この法律の対象とならなかったのが、扱う個人情報が一人でも、この個人情報保護法の適用の対象となりました。
 だいたい、法律の対象を、個人情報の内容でなく、扱う人数で、線引きしていたという適当さがこの法律が制定された当時の曖昧さを示しています。

 では、個人情報とは、個人情報保護法第2条によれば、
  @生存する個人に関する情報であって、
  A当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの
  B他の情報と簡単に照合することができて、それによって特定の個人を識別できるもの
  のことです。

 この「個人情報」に該当する事項を取り扱えば、法人格がないマンションの管理組合、自治会(町会)、各種の小さなサークルも「個人情報取扱事業者」として個人情報保護法が適用されます。

 ◎問題点:改正された(当初もそうだけど)個人情報保護法は規定はあるが、各条文に、具体的な判断事例がなく、今後の政令や規則に委ねる部分が多い為、プライバシーの保護を優先するのか、管理組合全体の立場を優先するのかなど、問題が先送りされており、専門家でも意見が分かれていて、今後の争点となる。
 また、マンションの管理組合などが法改正により、急遽、対象となったため、法の適用範囲において疑問点が多いのが指摘される。
 今後、マンションの管理組合など、中小の個人情報取扱事業者に対しては、法の改正がある予定。


  通常、滞納額など個人データを、本人の同意なく第三者に提供するの禁止されています。
 それが、個人情報の保護に関する法律第23条、
(第三者提供の制限)
 第二十三条 
個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。
   一 法令に基づく場合
   二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
   三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
   四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
2 個人情報取扱事業者は、第三者に提供される個人データ(要配慮個人情報を除く。以下この項において同じ。)について、本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止することとしている場合であって、次に掲げる事項について、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置くとともに、個人情報保護委員会に届け出たときは、前項の規定にかかわらず、当該個人データを第三者に提供することができる。
   一 第三者への提供を利用目的とすること。
   二 第三者に提供される個人データの項目
   三 第三者への提供の方法
   四 本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止すること。
   五 本人の求めを受け付ける方法
3 個人情報取扱事業者は、前項第二号、第三号又は第五号に掲げる事項を変更する場合は、変更する内容について、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置くとともに、個人情報保護委員会に届け出なければならない。
4 個人情報保護委員会は、第二項の規定による届出があったときは、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、当該届出に係る事項を公表しなければならない。前項の規定による届出があったときも、同様とする。
5 次に掲げる場合において、当該個人データの提供を受ける者は、前各項の規定の適用については、第三者に該当しないものとする。
   
一 個人情報取扱事業者が利用目的の達成に必要な範囲内において個人データの取扱いの全部又は一部を委託することに伴って当該個人データが提供される場合
   二 合併その他の事由による事業の承継に伴って個人データが提供される場合
   三 特定の者との間で共同して利用される個人データが当該特定の者に提供される場合であって、その旨並びに共同して利用される個人データの項目、共同して利用する者の範囲、利用する者の利用目的及び当該個人データの管理について責任を有する者の氏名又は名称について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置いているとき。
6 個人情報取扱事業者は、前項第三号に規定する利用する者の利用目的又は個人データの管理について責任を有する者の氏名若しくは名称を変更する場合は、変更する内容について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置かなければならない。

 です。

 そこで、管理組合と管理事務を受託しています管理業者の関係は、個人情報の保護に関する法律第23条5項1号によれば、「5 次に掲げる場合において、当該個人データの提供を受ける者は、前各項の規定の適用については、第三者に該当しないものとする。
   一 個人情報取扱事業者が利用目的の達成に必要な範囲内において個人データの取扱いの全部又は一部を委託することに伴って当該個人データが提供される場合」
 に該当しますから、本人の同意がなくて、個人データである滞納額を、管理組合と管理業者が提供し合っても、個人情報の保護に関する法律には触れないため、設問の「「個人情報の保護に関する法律」によれば、個人情報取扱事業者であるマンション管理業者が、管理費を滞納している組合員の氏名及び滞納額が記載されたリストを、その管理事務を受託する管理組合に提出するときは、当該組合員の同意を得なければならない」では、「本人の同意は不要」で、誤りです。

 なお、マンションの管理組合には、委託先の監督として、個人情報の保護に関する法律第22条
(委託先の監督)
第二十二条 個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。

 もあります。

 また、*「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」及び 「個人データの漏えい等の事案が発生した場合等の対応について」 に関するQ&A
 平成 29 年2月 16 日 (平成 30 年7月 20 日更新) 個人情報保護委員会

 
(第三者に該当しない場合)
Q5−38 :
マンション管理組合がマンション管理会社に管理業務を委託している場合に、管理組合が保有する組合員名簿を管理会社が提供してもらうよう求めることは可能ですか
A5−38 :マンション管理規約や管理業務委託契約の内容にもよりますが、一般的に利用目的の達成に必要な範囲内において、個人データの取扱いに関する業務を委託する場合 には、
第三者提供には該当しません。また、委託内容に組合員名簿の作成・保管等が含ま れている場合に管理会社から管理組合に名簿を提供することも第三者提供にはなりませ ん。したがって、この委任の範囲内であれば、個人情報保護法上、管理組合が管理会社へ 本人の同意を取得することなく名簿を提供することは可能と解されます。ただし、委託者は個人データの取扱いについて、委託先を監督する義務があります(法第 22 条)。
  もあります。


2 身体障害者補助犬法によれば、身体障害者補助犬を同伴して同法の定める施設等(住宅を除く。)の利用又は使用する身体障害者は、その身体障害者補助犬に、その者のために訓練された身体障害者補助犬である旨を明らかにするための表示をしなければならない。

〇 正しい。 住宅以外の施設利用なら、訓練された身体障害者補助犬である旨を明らかにする表示は必要。

 設問は、身体障害者補助犬法第12条
「(身体障害者補助犬の表示等)
 第十二条 
この章に規定する施設等(住宅を除く。)の利用等を行う場合において身体障害者補助犬を同伴し、又は使用する身体障害者は、厚生労働省令で定めるところにより、その身体障害者補助犬に、その者のために訓練された身体障害者補助犬である旨を明らかにするための表示をしなければならない。
2 この章に規定する施設等の利用等を行う場合において身体障害者補助犬を同伴し、又は使用する身体障害者は、その身体障害者補助犬が公衆衛生上の危害を生じさせるおそれがない旨を明らかにするため必要な厚生労働省令で定める書類を所持し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

 とあり、
 身体障害者補助犬法第12条1項によれば、設問の「身体障害者補助犬法によれば、身体障害者補助犬を同伴して同法の定める施設等(住宅を除く。)の利用又は使用する身体障害者は、その身体障害者補助犬に、その者のために訓練された身体障害者補助犬である旨を明らかにするための表示をしなければならない」は、正しい。



3 消防法によれば、共同住宅等の一定の防火対象物の管理について権原を有する者は、防火管理者を定め、遅滞なく所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。

〇 正しい。 共同住宅等では、防火管理者が必要。
 防火管理者の出題は、平成30年 マンション管理士試験 「問23」 、平成27年 マンション管理士試験 「問23」 、 平成24年マンション管理士試験 「問23」 、平成24年 管理業務主任者試験 「問19」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問23」 、 平成20年 マンション管理士試験 「問24」 、平成17年 マンション管理士試験 「問25」 、平成15年 マンション管理士試験 「問24」 、平成14年マンション管理士 試験 「問24」 、 平成13年 管理業務主任者 試験 「問19」

 消防法での防火管理者は、消防法第8条
第八条 学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店(これに準ずるものとして政令で定める大規模な小売店舗を含む。以下同じ。)、複合用途防火対象物(防火対象物で政令で定める二以上の用途に供されるものをいう。以下同じ。)その他多数の者が出入し、勤務し、又は
居住する防火対象物で政令で定めるものの管理について権原を有する者は、政令で定める資格を有する者のうちから防火管理者を定め、政令で定めるところにより、当該防火対象物について消防計画の作成、当該消防計画に基づく消火、通報及び避難の訓練の実施、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備、火気の使用又は取扱いに関する監督、避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理並びに収容人員の管理その他防火管理上必要な業務を行わせなければならない
2 前項の権原を有する者は、同項の規定により防火管理者を定めたときは、遅滞なくその旨を所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
○3 消防長又は消防署長は、第一項の防火管理者が定められていないと認める場合には、同項の権原を有する者に対し、同項の規定により防火管理者を定めるべきことを命ずることができる。
○4 消防長又は消防署長は、第一項の規定により同項の防火対象物について同項の防火管理者の行うべき防火管理上必要な業務が法令の規定又は同項の消防計画に従つて行われていないと認める場合には、同項の権原を有する者に対し、当該業務が当該法令の規定又は消防計画に従つて行われるように必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
○5 第五条第三項及び第四項の規定は、前二項の規定による命令について準用する
。」
 とあり、
 消防法第8条1項及び同条2項によれば、設問の「消防法によれば、共同住宅等の一定の防火対象物の管理について権原を有する者は、防火管理者を定め、遅滞なく所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない」は、正しい。


 



4 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」によれば、国民は、高齢者、障害者等の円滑な移動及び施設の利用を確保するために必要な協力をするよう努めなければならない。

〇 正しい。 国民は、高齢者、障害者等に協力すること。

 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第7条
(国民の責務)
 第7条 
国民は、高齢者、障害者等の自立した日常生活及 び社会生活を確保することの重要性について理解を深めるとともに、これらの者の円滑な移動及び施設の利用を確保するために協力するよう努めなければならな い
 とあり、
 設問の「「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」によれば、国民は、高齢者、障害者等の円滑な移動及び施設の利用を確保するために必要な協力をするよう努めなければならない」は、正しい。


答え:1 

 
選択肢1の「個人情報保護法」では、根拠を探すのに苦労した。
 個人情報保護法については、令和01年 マンション管理士試験 「問31」 も参考にしてください。

 他の選択肢は、もう易しい。

 だけど、この「問44」だけで、4つの法律から出題がある。
 この出題方法は、マンションの管理の適正化に関する法律で、管理業務主任者に対して出題の範囲となっているのをカバーするためらしいが、この程度の内容なら、もう止めた方がいい。
 もっと、管理業務主任者に相応しい問題として欲しい。

《タグ》個人情報保護法  身体障害者補助犬法 表示 消防法 防火管理者 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律


*2010年 2月18日:解説。

問45

【問 45】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないB又は宅地建物取引業者Cを買主として、マンションの一住戸の売買を行う場合における、宅地建物取引業法第35条の規定に基づき宅地建物取引士が書面を交付して行う重要事項の説明等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 AB間の売買において、天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、Aは、Bに対して、その内容について、説明しなければならない。

X 誤っている。 天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めは、重要事項での説明では、ない。
  平成30年 管理業務主任者試験 「問45」 、平成29年 管理業務主任者試験 「問45」 、平成28年 管理業務主任者試験 「問45」 、平成27年 管理業務主任者試験 「問45」 平成26年 管理業務主任者試験 「問45」 、平成25年 管理業務主任者試験 「問45」 、平成24年 管理業務主任者試験 「問45」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問40

 もう、「問45」は、宅地建物取引業法の第35条(重要事項の説明等)と第37条(書面の交付)に引っ掛けた出題が、鉄板。

 両条の概要は、
 *第35条(重要事項の説明等)
  ・契約締結前に、物件に関する事項や取引条件など「重要事項」を記載した説明をすること 
  ・説明の相手方は、買主や借主で、必ず書面を交付して専門家の宅地建物取引主任士が説明すること
  ・両当事者の合意があっても、「重要事項の説明」は、省略できない
  ・様式は、一般の土地建物と区分所有建物では違う
  ・平成29年施行の宅地建物取引業法の改正で、
   ・買主や借主になろうとする者が宅建業者のときは、重要事項説明を省略できることになった
   ・しかし、この35条書面(重要事項説明書)の交付は、買主や借主になろうとする者が宅建業者のときも必要
   と
 *第37条(書面の交付)
  ・契約を締結した時に、成立した契約内容の明確化をはかるために所定の事項を記載した「書面の交付」(契約書ではありませんよ)
  ・交付先は、契約の両当事者(売主や貸主も入る)、宅地建物取引主任士が記名押印するが、宅建業者が交付するだけ、説明義務はない  
  です。

 この宅地建物取引業法で、一般的に言われる「35条書面」と「37条書面」は、内容が一部重複していて、間違えやすく、また、法の改正が多いので、管理業務主任者でも、出題の対象として、よく狙われるので、条文は、長いがよく読んでおくこと。

 

 これらを踏まえて、設問の宅地建物取引業法第35条
(重要事項の説明等)
 第三十五条 宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。
   一 当該宅地又は建物の上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人又は登記簿の表題部に記録された所有者の氏名(法人にあつては、その名称)
   二 都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。以下この条において同じ。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要
   三 当該契約が建物の貸借の契約以外のものであるときは、私道に関する負担に関する事項
   四 飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況(これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項)
   五 当該宅地又は建物が宅地の造成又は建築に関する工事の完了前のものであるときは、その完了時における形状、構造その他国土交通省令・内閣府令で定める事項
   
六 当該建物が建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)第二条第一項に規定する区分所有権の目的であるものであるときは、当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容、同条第四項に規定する共用部分に関する規約の定めその他の一棟の建物又はその敷地(一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又はこれに関する権利がそれらの建物の所有者の共有に属する場合には、その土地を含む。)に関する権利及びこれらの管理又は使用に関する事項で契約内容の別に応じて国土交通省令・内閣府令で定めるもの
   六の二 当該建物が既存の建物であるときは、次に掲げる事項
     イ 建物状況調査(実施後国土交通省令で定める期間を経過していないものに限る。)を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要
     ロ 設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で国土交通省令で定めるものの保存の状況
   七 代金、交換差金及び借賃以外に授受される金銭の額及び当該金銭の授受の目的
   八 契約の解除に関する事項
   九 損害賠償額の予定又は違約金に関する事項
   十 第四十一条第一項に規定する手付金等を受領しようとする場合における同条又は第四十一条の二の規定による措置の概要
   十一 支払金又は預り金(宅地建物取引業者の相手方等からその取引の対象となる宅地又は建物に関し受領する代金、交換差金、借賃その他の金銭(第四十一条第一項又は第四十一条の二第一項の規定により保全の措置が講ぜられている手付金等を除く。)であつて国土交通省令・内閣府令で定めるものをいう。第六十四条の三第二項第一号において同じ。)を受領しようとする場合において、同号の規定による保証の措置その他国土交通省令・内閣府令で定める保全措置を講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要
   
十二 代金又は交換差金に関する金銭の貸借のあつせんの内容及び当該あつせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置
   十三 当該宅地又は建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結その他の措置で国土交通省令・内閣府令で定めるものを講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要
   十四 その他宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護の必要性及び契約内容の別を勘案して、次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める命令で定める事項
     イ 事業を営む場合以外の場合において宅地又は建物を買い、又は借りようとする個人である宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に資する事項を定める場合 国土交通省令・内閣府令
     ロ イに規定する事項以外の事項を定める場合 国土交通省令
2 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の割賦販売(代金の全部又は一部について、目的物の引渡し後一年以上の期間にわたり、かつ、二回以上に分割して受領することを条件として販売することをいう。以下同じ。)の相手方に対して、その者が取得しようとする宅地又は建物に関し、その割賦販売の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。
   一 現金販売価格(宅地又は建物の引渡しまでにその代金の全額を受領する場合の価格をいう。)
   二 割賦販売価格(割賦販売の方法により販売する場合の価格をいう。)
   三 宅地又は建物の引渡しまでに支払う金銭の額及び賦払金(割賦販売の契約に基づく各回ごとの代金の支払分で目的物の引渡し後のものをいう。第四十二条第一項において同じ。)の額並びにその支払の時期及び方法
3 宅地建物取引業者は、宅地又は建物に係る信託(当該宅地建物取引業者を委託者とするものに限る。)の受益権の売主となる場合における売買の相手方に対して、その者が取得しようとしている信託の受益権に係る信託財産である宅地又は建物に関し、その売買の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。ただし、その売買の相手方の利益の保護のため支障を生ずることがない場合として国土交通省令で定める場合は、この限りでない。
   一 当該信託財産である宅地又は建物の上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人又は登記簿の表題部に記録された所有者の氏名(法人にあつては、その名称)
   二 当該信託財産である宅地又は建物に係る都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で政令で定めるものに関する事項の概要
   三 当該信託財産である宅地又は建物に係る私道に関する負担に関する事項
   四 当該信託財産である宅地又は建物に係る飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況(これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項)
   五 当該信託財産である宅地又は建物が宅地の造成又は建築に関する工事の完了前のものであるときは、その完了時における形状、構造その他国土交通省令で定める事項
   六 当該信託財産である建物が建物の区分所有等に関する法律第二条第一項に規定する区分所有権の目的であるものであるときは、当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容、同条第四項に規定する共用部分に関する規約の定めその他の一棟の建物又はその敷地(一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又はこれに関する権利がそれらの建物の所有者の共有に属する場合には、その土地を含む。)に関する権利及びこれらの管理又は使用に関する事項で国土交通省令で定めるもの
   七 その他当該信託の受益権の売買の相手方の利益の保護の必要性を勘案して国土交通省令で定める事項
4 宅地建物取引士は、前三項の説明をするときは、説明の相手方に対し、宅地建物取引士証を提示しなければならない。
い。
5 第一項から第三項までの書面の交付に当たつては、宅地建物取引士は、当該書面に記名押印しなければならない。

6 次の表の第一欄に掲げる者が宅地建物取引業者である場合においては、同表の第二欄に掲げる規定の適用については、これらの規定中同表の第三欄に掲げる字句は、それぞれ同表の第四欄に掲げる字句とし、前二項の規定は、適用しない。  

(注:第一欄)   (注:第二欄)  (注:第三欄) (注:第四欄) 
 宅地建物取引業者の相手方等  第一項   宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項   少なくとも次に掲げる事項
 交付して説明をさせなければ  交付しなければ
 第二項に規定する宅地又は建物の割賦販売の相手方  第二項   宅地建物取引士をして、前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項について、これらの事項  前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項
 交付して説明をさせなければ  交付しなければ
7 宅地建物取引業者は、前項の規定により読み替えて適用する第一項又は第二項の規定により交付すべき書面を作成したときは、宅地建物取引士をして、当該書面に記名押印させなければならない。」
 とあり、
 設問の「AB間の売買において、天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、Aは、Bに対して、その内容について、説明しなければならない」の規定は、宅地建物取引業法第35条には、該当の規定がないため、誤りです。

 この規定は、契約時に交付する書面の宅地建物取引業法第37条1項10号にはあります。
十 天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容


2 AB間の売買において、Aは、Bに対して、代金又は交換差金に関する金銭の貸借のあっせんの内容及び当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置について、説明しなければならない。

〇 正しい。 代金又は交換差金に関する金銭の貸借のあっせんの内容及び当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置は、重要事項として説明が必要。

 設問は、選択肢1で引用しました、宅地建物取引業法第35条1項12号、
十二 代金又は交換差金に関する金銭の貸借のあつせんの内容及び当該あつせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置
 とあり、
 宅地建物取引業法第35条1項12号によれば、設問の「AB間の売買において、Aは、Bに対して、代金又は交換差金に関する金銭の貸借のあっせんの内容及び当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置について、説明しなければならない」は、正しい。



3 AB間の売買において、共用部分に関する規約が案の段階である場合にあっては、Aは、Bに対して、当該規約案の内容について、説明する必要はない。

X 誤っている。 新規分譲マンション等でまだ、規約が「案」でも、その「案」を説明すること。

 まず、マンション(区分所有建物)の規定は、選択肢1で引用しました、宅地建物取引業法第35条1項6号、
六 
当該建物が建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)第二条第一項に規定する区分所有権の目的であるものであるときは、当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容、同条第四項に規定する共用部分に関する規約の定めその他の一棟の建物又はその敷地(一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又はこれに関する権利がそれらの建物の所有者の共有に属する場合には、その土地を含む。)に関する権利及びこれらの管理又は使用に関する事項で契約内容の別に応じて国土交通省令・内閣府令で定めるもの
 とあり、
 これを受けた政令は、宅地建物取引業法施行規則第16条の2 、
(法第三十五条第一項第六号の国土交通省令・内閣府令で定める事項)
 第十六条の二 法第三十五条第一項第六号の国土交通省令・内閣府令で定める事項は、建物の貸借の契約以外の契約にあつては次に掲げるもの、建物の貸借の契約にあつては第三号及び第八号に掲げるものとする。
   一 当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容
   
二 建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下この条、第十六条の四の三、第十六条の四の六及び第十九条の二の五において「区分所有法」という。)第二条第四項に規定する共用部分に関する規約の定め(その案を含む。次号において同じ。)があるときは、その内容
   三 区分所有法第二条第三項に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容
   四 当該一棟の建物又はその敷地の一部を特定の者にのみ使用を許す旨の規約(これに類するものを含む。次号及び第六号において同じ。)の定め(その案を含む。次号及び第六号において同じ。)があるときは、その内容
   五 当該一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用、通常の管理費用その他の当該建物の所有者が負担しなければならない費用を特定の者にのみ減免する旨の規約の定めがあるときは、その内容
   六 当該一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約の定めがあるときは、その内容及び既に積み立てられている額
   七 当該建物の所有者が負担しなければならない通常の管理費用の額
   八 当該一棟の建物及びその敷地の管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名(法人にあつては、その商号又は名称)及び住所(法人にあつては、その主たる事務所の所在地)
   九 当該一棟の建物の維持修繕の実施状況が記録されているときは、その内容

 とあり、
 宅地建物取引業法施行規則第16条の2 2号によれば、新規分譲などで、まだ共用部分に関する規約が「案」であっても、説明が必要ですから、設問の「AB間の売買において、共用部分に関する規約が案の段階である場合にあっては、Aは、Bに対して、当該規約案の内容について、説明する必要はない」は、「説明の対象」ですから、誤りです。



4 AC間の売買において、Aは、Cに対して、重要事項について説明しなければならない。

X 誤っている。 法の改正で、「重要事項の説明」は、相手が宅地建物取引業者なら、省ける。 ただし、交付はすること。



 選択肢1で引用しました、宅地建物取引業法第35条6項、
6 次の表の第一欄に掲げる者が宅地建物取引業者である場合においては、同表の第二欄に掲げる規定の適用については、これらの規定中同表の第三欄に掲げる字句は、それぞれ同表の第四欄に掲げる字句とし、前二項の規定は、適用しない。
  
(注:第一欄)   (注:第二欄)  (注:第三欄) (注:第四欄) 
 宅地建物取引業者の相手方等  第一項   宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項   少なくとも次に掲げる事項
 交付して説明をさせなければ  交付しなければ
 第二項に規定する宅地又は建物の割賦販売の相手方  第二項   宅地建物取引士をして、前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項について、これらの事項  前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項
 交付して説明をさせなければ  交付しなければ

 とあり、
 実に、条文が読みにくくて、どこがどう変わったのか、こんな文章で放置する法の創案者の頭脳程度を疑いますが、これは、結局、宅地建物取引業法第35条1項は、
 「宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者 (以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、” が宅地建物取引業者である場合においては” その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項 
”少なくとも次に掲げる事項” を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を 交付して説明をさせなければ ”交付しなければ” ならない。
 となり、
 宅地建物取引業者間のACの売買において、Aは、書面の交付を行えば、重要事項の説明を行う必要はないため、設問の「AC間の売買において、Aは、Cに対して、重要事項について説明しなければならない」は、誤りです。


答え: 2

 
解説は丁寧にしましたが、過去問題をやっていれば、選択肢2は選べたか。

《タグ》 宅地建物取引業法 重要事項の説明 規約の案 同業者

*2020年 2月20日:バラバラと解説してきた管理業務主任者の解説も一応終わった。 令和1年は、途中でマンション管理士試験の解説のファイルが、保存エラーで無くなり、もう、やる気も薄れたが、どうにか、マンション管理士・管理業務主任者試験の解説が終わった。

問46


 *注:問46から問50までは、マンション管理士試験か管理業務主任者試験の合格者には免除される部分です。また、この問46から問50は、「マンション管理適正化法」と「同指針」からの出題と決まっていますので、出題は過去問題と似たような内容となります。過去問題はやっておくと楽です。

 *マンションの管理の適正化に関する指針(国土交通省告示第490号)は、平成28年3月に改正があったので、注意のこと。

 *勉強の仕方としては、「マンション管理適正化法」と「同施行規則」は、連動して作成されているので、「マンション管理適正化法」と「同施行規則」が左右で対照になったものがあると分かり易い。


【問 46】 次のア〜エの記述のうち、マンション管理適正化指針によれば、適切なものはいくつあるか。

ア 管理組合は、マンションの快適な居住環境を確保するため、あらかじめ、共用部分の範囲及び管理費用を明確にし、トラブルの未然防止を図ることが重要である。

〇 適切である。
  令和01年 マンション管理士試験 「問46」 
 
 よくも、こんなところで、個数問題とは、まったく、不適切な出題官だ。


   マンション管理適正化指針

 設問は、「マンション管理適正化指針 二 3
 「二 マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本的事項
   3 共用部分の範囲及び管理費用の明確化
   
 管理組合は、マンションの快適な居住環境を確保するため、あらかじめ、共用部分の範囲及び管理費用を明確にし、トラブルの未然防止を図ることが重要である。
    特に、専有部分と共用部分の区分、専用使用部分と共用部分の管理及び駐車場の使用等に関してトラブルが生じることが多いことから、適正な利用と公平な負担が確保されるよう、各部分の範囲及びこれに対するマンションの区分所有者等の負担を明確に定めておくことが望ましい」
 とあり、
 適切です。



イ 建築後相当の年数を経たマンションにおいては、長期修繕計画の検討を行う際には、必要に応じ、建替え等についても視野に入れて検討することが望ましい。

〇 適切である。
  令和01年 マンション管理士試験 「問46」 

 設問は、「マンション管理適正化指針 二 5
  5 長期修繕計画の策定及び見直し等
   マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値の維持・向上を図るためには、適時適切な維持修繕を行うことが重要である。特に、経年による劣化に対応するため、あらかじめ長期修繕計画を策定し、必要な修繕積立金を積み立てておくことが必要である。
   長期修繕計画の策定及び見直しにあたっては、「長期修繕計画作成ガイドライン」を参考に、必要に応じ、マンション管理士等専門的知識を有する者の意見を求め、また、あらかじめ建物診断等を行って、その計画を適切なものとするよう配慮する必要がある。
   長期修繕計画の実効性を確保するためには、修繕内容、資金計画を適正かつ明確に定め、それらをマンションの区分所有者等に十分周知させることが必要である。
   管理組合の管理者等は、維持修繕を円滑かつ適切に実施するため、設計に関する図書等を保管することが重要である。また、この図書等について、マンションの区分所有者等の求めに応じ、適時閲覧できるようにすることが望ましい。
   なお、
建築後相当の年数を経たマンションにおいては、長期修繕計画の検討を行う際には、必要に応じ、建替え等についても視野に入れて検討することが望ましい
   建替え等の検討にあたっては、その過程をマンションの区分所有者等に周知させるなど透明性に配慮しつつ、各区分所有者等の意向を十分把握し、合意形成を図りながら進めることが必要である。」
 とあり、
 適切です。



ウ 複合用途型マンションにあっては、住宅部分と非住宅部分との利害の調整を図り、その管理、費用負担等について適切な配慮をすることが重要である。

〇 適切である。
  平成21年 管理業務主任者試験 「問46」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「問47」 、

 設問は、「マンション管理適正化指針 二 8
 8  その他配慮すべき事項
 マンションが団地を構成する場合には、各棟固有の事情を踏まえながら、全棟の連携をとって、全体としての適切な管理がなされるように配慮することが重要である。
 また、
複合用途型マンションにあっては、住宅部分と非住宅部分との利害の調整を図り、その管理、費用負担等について適切な配慮をすることが重要である。」
 とあり、
 適切です。



エ マンションの管理は、専門的な知識を必要とすることが多いため、管理組合は、問題に応じ、マンション管理士等専門的知識を有する者の支援を得ながら、主体性をもって適切な対応をするよう心がけることが重要である。

〇 適切である。

  平成19年 管理業務主任者試験 「問46」 、

 設問は、「マンション管理適正化指針 一 3
  一 マンションの管理の適正化の基本的方向
   3
マンションの管理は、専門的な知識を必要とすることが多いため、管理組合は、問題に応じ、マンション管理士等専門的知識を有する者の支援を得ながら、主体性をもって適切な対応をするよう心がけることが重要である。」
 とあり、
 適切です。



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え: 4 (適切なのは、 ア、イ、ウ、エ の全部。4つ)

  答えとしては、易しい。 マンション管理士試験 令和01年 「問46」 選択肢ア の出題文は、拙いが、管理業務主任者試験は、問題ない。

  出題の対象が、「また」とか「なお」から多く出ているぞ。

《タグ》マンション管理適正化指針 共用部分の範囲及び管理費用の明確化 長期修繕計画の策定及び見直し等 複合用途型マンション マンション管理士等専門的知識を有する者の支援

問47

【問 47】 マンション管理業者が行うマンション管理適正化法第76条の規定に基づく財産の分別管理に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法によれば、最も不適切なものはどれか。

1 マンション管理業者は、マンション管理適正化法施行規則第87条第2項第1号イに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、原則、保管口座に係る管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するもの(以下、本肢において「印鑑等」という。)を管理してはならないが、管理者から依頼を受けた場合は、一時的に当該保管口座の印鑑等を管理することができる。

X 正しくない。 保管口座で、管理者から依頼を受けたら、印鑑を管理できるなんて、適当な規定はない。
  平成30年 マンション管理士試験 「問47」 、 平成30年 管理業務主任者試験 「問49」 、  平成28年 管理業務主任者試験 「問49」 、  平成24年 管理業務主任者試験 「問48」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問50」 、平成22年 管理業務主任者試験 「問13」 


 法律なのに、「不適切なもの」と聞くか? ここは、「正しくないものはどれか」とすべき設問だろう。

 マンション管理において、管理業者が、区分所有者からの口座引き落としで入ってくる管理費や修繕積立金を自社名義の口座に纏めていれていたので、その業者が倒産した時に、銀行口座にある預金が倒産した業者としての預金か、管理組合の預金かの区別ができずに差し押さえられ、管理組合が裁判で、預金の取り戻しを請求しなけばならない事態がかなり発生しました。これを受け、マンション管理適正化法第76条の「財産の分別管理」の規定があります。
 
(財産の分別管理)
 第七十六条 マンション管理業者は、管理組合から委託を受けて管理する修繕積立金その他国土交通省令で定める財産については、整然と管理する方法として国土交通省令で定める方法により、自己の固有財産及び他の管理組合の財産と分別して管理しなければならない
。」
 
 そこで、条文中の「国土交通省令で定める方法」を受けた規定は、マンション管理適正化法施行規則第87条です。


財産の分別管理)
 第八十七条 法第七十六条の国土交通省令で定める財産は、管理組合又はマンションの区分所有者等から受領した管理費用に充当する金銭又は有価証券とする。
2 法第七十六条に規定する国土交通省令で定める方法は、次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該各号に定める方法とする。
  一 修繕積立金等が金銭である場合 次のいずれかの方法
     
 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を収納口座に預入し、毎月、その月分として徴収された修繕積立金等金銭から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換え、当該保管口座において預貯金として管理する方法
     
 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金(金銭に限る。以下この条において同じ。)を保管口座に預入し、当該保管口座において預貯金として管理するとともに、マンションの区分所有者等から徴収された前項に規定する財産(金銭に限る。以下この条において同じ。)を収納口座に預入し、毎月、その月分として徴収された前項に規定する財産から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換え、当該保管口座において預貯金として管理する方法
     
 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を収納・保管口座に預入し、当該収納・保管口座において預貯金として管理する方法
  二 修繕積立金等が有価証券である場合 金融機関又は証券会社に、当該有価証券(以下この号において「受託有価証券」という。)の保管場所を自己の固有財産及び他の管理組合の財産である有価証券の保管場所と明確に区分させ、かつ、当該受託有価証券が受託契約を締結した管理組合の有価証券であることを判別できる状態で管理させる方法
3 マンション管理業者は、前項第一号イ又はロに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、マンションの区分所有者等から徴収される一月分の修繕積立金等金銭又は第一項に規定する財産の合計額以上の額につき有効な保証契約を締結していなければならない。ただし、次のいずれにも該当する場合は、この限りでない。
  一 修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産がマンションの区分所有者等からマンション管理業者が受託契約を締結した管理組合若しくはその管理者等(以下この条において「管理組合等」という。)を名義人とする収納口座に直接預入される場合又はマンション管理業者若しくはマンション管理業者から委託を受けた者がマンションの区分所有者等から修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産を徴収しない場合
  二 マンション管理業者が、管理組合等を名義人とする収納口座に係る当該管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理しない場合
4 マンション管理業者は、第二項第一号イからハまでに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、保管口座又は収納・保管口座に係る管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理してはならない。ただし、管理組合に管理者等が置かれていない場合において、管理者等が選任されるまでの比較的短い期間に限り保管する場合は、この限りでない。
5 マンション管理業者は、毎月、管理事務の委託を受けた管理組合のその月(以下この項において「対象月」という。)における会計の収入及び支出の状況に関する書面を作成し、翌月末日までに、当該書面を当該管理組合の管理者等に交付しなければならない。この場合において、当該管理組合に管理者等が置かれていないときは、当該書面の交付に代えて、対象月の属する当該管理組合の事業年度の終了の日から二月を経過する日までの間、当該書面をその事務所ごとに備え置き、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等の求めに応じ、当該マンション管理業者の業務時間内において、これを閲覧させなければならない。
6 この条において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
  一 
収納口座 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭又は第一項に規定する財産を預入し、一時的に預貯金として管理するための口座をいう。
  二 
保管口座 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金を預入し、又は修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産の残額(第二項第一号イ若しくはロに規定するものをいう。)を収納口座から移し換え、これらを預貯金として管理するための口座であって、管理組合等を名義人とするものをいう。
  三 
収納・保管口座 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を預入し、預貯金として管理するための口座であって、管理組合等を名義人とするものをいう。

 です。

 このマンション管理適正化法施行規則第87条の規定は、重要な定義の @収納口座 A保管口座 B収納・保管口座 が6項にあることに注意してください。

 
  詳細は、 平成30年 管理業務主任者試験 「問49」 を読んでください。
 また、イロハの方式の違いも、理解してください。

 では、設問の「マンション管理適正化法施行規則第87条第2項第1号イに定める方法」とは、
 「一 修繕積立金等が金銭である場合 次のいずれかの方法
     
イ マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を収納口座に預入し、毎月、その月分として徴収された修繕積立金等金銭から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換え、当該保管口座において預貯金として管理する方法
 です。

 

 そして、マンション管理適正化法施行規則第87条第4項
「4 マンション管理業者は、第二項第一号イからハまでに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、保管口座又は収納・保管口座に係る管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理してはならない。
ただし、管理組合に管理者等が置かれていない場合において、管理者等が選任されるまでの比較的短い期間に限り保管する場合は、この限りでない。」
 とあります。
 
 但し書きは、例えば、管理組合ができたばかりのことを想定すれば、但し書きも分かるでしょう。

 

 そこで、マンション管理適正化法施行規則第87条第4項但し書き によれば、マンション管理業者は管理者等がいない(まだ選任されていない)、短い期間に限り印鑑、預貯金の引出用のカード等を保管できますが設問のような「管理者から依頼を受けた場合は、一時的に当該保管口座の印鑑等を管理することができる」の規定はないため、正しくありません。


2 マンション管理業者は、マンション管理適正化法施行規則第87条第3項に基づき保証契約を締結しなければならない場合において、管理委託契約の契約期間の途中に当該保証契約の期間が満了するときは、当該保証契約の更新等を行う必要がある。

〇 正しい。 保証契約が管理委託契約の契約期間の途中で満了する時は、その保証契約の更新をすること。


 設問は、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法施行規則第87条第3項
「3 マンション管理業者は、前項第一号イ又はロに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、マンションの区分所有者等から徴収される一月分の修繕積立金等金銭又は第一項に規定する財産の合計額以上の額につき有効な保証契約を締結していなければならない。ただし、次のいずれにも該当する場合は、この限りでない。
 (以下、略)」
 です。

 そこで、「有効な保証契約」ですが、国総動第47号(平成21年9月9日付) 「マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行等 について」 によると、
「B 「
有効な保証契約」とは、マンション管理業者が保証契約を締結していなければならないすべての期間にわたって、規則第87条第3項に規定する保証契約を締結していることが必要であるとの趣旨である。したがって、管理委託契約の契約期間の途中で保証契約の期間が満了する場合には、当該保証契約の更新等をしなければならない。 」
 とのことですから、
 設問の「マンション管理業者は、マンション管理適正化法施行規則第87条第3項に基づき保証契約を締結しなければならない場合において、管理委託契約の契約期間の途中に当該保証契約の期間が満了するときは、当該保証契約の更新等を行う必要がある」は、正しい。

 まあ、当然ですが。

 また、標準管理委託委託契約書 コメント 別表第1 1 (2)関係 Eもあります。
「E マンション管理業者は、甲の収納口座と甲の保管口座を設ける場合にあっては、次の要件を両方とも満たさない場合は、収納口座に収納される一月分の管理費等の合計額以上の額につき、有効な保証契約を締結していることが必要なことから、保証契約の内容等を記載するものとする。
 なお、「有効な保証契約」とは、マンション管理業者が保証契約を締結していなければならないすべての期間にわたって、適
正化法規則第87 条第3項に規定する保証契約を締結していることが必要であるとの趣旨である。したがって、管理委託契約の契約期間の途中で保証契約の期間が満了する場合には、当該保証契約の更新等をしなければならない。
 (以下、略)」



3 分別管理の対象となる財産とは、管理組合から委託を受けて修繕積立金として管理する金銭又は有価証券及び管理組合又はマンションの区分所有者等から受領した管理費用に充当する金銭又は有価証券である。

〇 正しい。 分別管理の対象となる財産は、修繕積立金 + 管理費用に充当する金銭や有価証券。 

 
 分別管理の対象となる財産とは、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法第76条
(財産の分別管理)
 第七十六条 マンション管理業者は、
管理組合から委託を受けて管理する修繕積立金その他国土交通省令で定める財産については、整然と管理する方法として国土交通省令で定める方法により、自己の固有財産及び他の管理組合の財産と分別して管理しなければならない。」
 とあり、
 これを受けた、これも、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法施行規則第87条1項
(財産の分別管理)
 第八十七条 法第七十六条の国土交通省令で定める
財産は、管理組合又はマンションの区分所有者等から受領した管理費用に充当する金銭又は有価証券とする。
 (以下、略)」
 とあり、
 設問の「分別管理の対象となる財産とは、管理組合から委託を受けて修繕積立金として管理する金銭又は有価証券及び管理組合又はマンションの区分所有者等から受領した管理費用に充当する金銭又は有価証券である」は、正しい。



4 マンション管理業者は、管理組合から委託を受けて有価証券を管理する場合においては、金融機関又は証券会社に、当該有価証券の保管場所を自己の固有財産及び他の管理組合の財産である有価証券の保管場所と明確に区分させ、かつ、当該有価証券が受託契約を締結した管理組合の有価証券であることを判別できる状態で管理させなければならない。

〇 正しい。 管理組合から預かった有価証券も、明確に区分管理すること。


 設問は、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法施行規則第87条2項2号
二 
修繕積立金等が有価証券である場合 金融機関又は証券会社に、当該有価証券(以下この号において「受託有価証券」という。)の保管場所を自己の固有財産及び他の管理組合の財産である有価証券の保管場所と明確に区分させ、かつ、当該受託有価証券が受託契約を締結した管理組合の有価証券であることを判別できる状態で管理させる方法
 とあり、
 設問の「マンション管理業者は、管理組合から委託を受けて有価証券を管理する場合においては、金融機関又は証券会社に、当該有価証券の保管場所を自己の固有財産及び他の管理組合の財産である有価証券の保管場所と明確に区分させ、かつ、当該有価証券が受託契約を締結した管理組合の有価証券であることを判別できる状態で管理させなければならない」は、正しい。



答え: 1

 出題が細かいが、このマンション管理適正化法施行規則第87条からは、よく出題されるので、方式 イ、ロ、ハ の違い、@収納口座 A保管口座 B収納・保管口座 の違いは、記憶してください。


  少し、難しいか。 解説も細かくしたので、時間がかかった。

《タグ》マンション管理適正化法施行規則第87条 印鑑等の保管 保証契約の満了 分別管理の対象となる財産 有価証券の保管

問48

【問 48】 マンション管理業者が行うマンション管理適正化法第72条の規定に基づく重要事項の説明等に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法によれば、最も適切なものはどれか。

1 マンション管理業者は、新規に管理受託契約を締結しようとする場合において、当該マンション管理業者が管理者等に選任されているときは、重要事項の説明会を開催する必要はない。

X 誤っている。 新規契約なら、マンション管理業者が、管理者等であれば、説明会は開くこと。

  令和01年 マンション管理士試験 「問47」 、

 また、法律なのに、「適切なもの」と聞くか? この出題官は、出題文に、自信がないようだ。
 出題文の基礎が、全部法律からにしていないから、「適切か」になるようだ。


 重要事項の説明等は、マンション管理適正化法第72条1項
(重要事項の説明等)
 第七十二条 
マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約(新たに建設されたマンションの当該建設工事の完了の日から国土交通省令で定める期間を経過する日までの間に契約期間が満了するものを除く。以下「管理受託契約」という。)を締結しようとするとき(次項に規定するときを除く。)は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等に対し、管理業務主任者をして、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるもの(以下「重要事項」という。)について説明をさせなければならない。この場合において、マンション管理業者は、当該説明会の日の一週間前までに、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に対し、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を交付しなければならない。
2 マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、あらかじめ、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面を交付しなければならない。
3 前項の場合において当該管理組合に管理者等が置かれているときは、マンション管理業者は、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、重要事項について、これを記載した書面を交付して説明をさせなければならない。
4 管理業務主任者は、第一項又は前項の説明をするときは、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければならない。
5 マンション管理業者は、第一項から第三項までの規定により交付すべき書面を作成するときは、管理業務主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない。

 とあり、
 マンション管理適正化法第72条1項によれば、「新規に管理受託契約を締結するなら、説明会は開催することになっていますから、設問の「マンション管理業者が管理者等に選任されているときは、重要事項の説明会を開催する必要はないは、誤りです。


 この「マンション管理業者が管理者等に選任されているとき」については、国総動第51号 平成13年7月31日
  (1)重要事項説明(法第72条、規則第82条及び第83条)
    ロ)マンション管理業者が管理者等に選任された場合においても法第72条の規定は適用され、管理業者若しくはその代表者等(以下「管理業者等」という。)以外の管理者等が存在する場合については、当該管理者等に対しても重要事項の説明を行う必要があること。」
 ともあります。

 このあたりは、よく出題されますので、あなたのために、表にしました。

 *新たに管理受託契約を締結する場合の重要事項説明 (注:条件の変更更新も、新規と同様)
 管理者等  管理業務主任者が記名押印した書面の交付等 相手方   管理業務主任者の説明の方法  例外事項
 管理組合の理事長(管理者等)がいる  説明会開催の1週間前までに   @理事長及び A組合員全員に交付  管理業務主任者証を提示し説明会で説明する  新築マンションなら契約期間が工事完了から1年以内なら適用しない
 管理業者が理事長(管理者等)になっている  説明会開催の1週間前までに  組合員全員に交付  管理業務主任者証を提示し説明会で説明する  新築マンションなら契約期間が工事完了から1年以内なら適用しない
 選任されていない  説明会開催の1週間前までに  組合員全員に交付  管理業務主任者証を提示し説明会で説明する  新築マンションなら契約期間が工事完了から1年以内なら適用しない
   
 *従前と同一の条件で管理受託契約を更新する場合の重要事項説明
 管理者等 管理業務主任者が記名押印した書面の交付等  相手方   管理業務主任者の説明の方法
 管理組合の理事長(管理者等)がいる  更新が成立するまでに  @理事長及び A組合員全員に交付  管理業務主任者証を提示し理事長だけに説明でいい(交付は、全員にするが)
 管理業者が理事長(管理者等)になっている  更新が成立するまでに  組合員全員に交付  従前と同一なので説明不要(交付だけでいい)
 選任されていない  更新が成立するまでに  組合員全員に交付  従前と同一なので説明不要(交付だけでいい)
 注:従前と同一の条件とは  「マン ション管理業者の商号又は名称、登録年月日及び登録番号」 の変更 と 以下の「契約内容の軽微な変更」も含む
 (1)従前の管理受託契約と管理事務の内容及び実施方法(法第76条の規定により 管理する財産の管理の方法を含む。以下同じ)を同一とし、管理事務に要する 費用の額を減額しようとする場合
 (2)従前の管理受託契約に比して管理事務の内容及び実施方法の範囲を拡大し、管理事務に要する費用の額を同一とし又は減額しようとする場合
 (3)従前の管理受託契約に比して管理事務に要する費用の支払いの時期を後に変更 (前払いを当月払い若しくは後払い、又は当月払いを後払い)しようとする場合
 (4)従前の管理受託契約に比して更新後の契約期間を短縮しようとする場合
 (5)管理事務の対象となるマンションの所在地の名称が変更される場合



2 マンション管理業者は、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を作成し、管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に対し交付するときは、管理業務主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない。

〇 正しい。 重要事項と説明会の開催は、1週間前までに交付すること。 それには、管理業務主任者が記名押印すること

  設問は、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法第72条1項及び同条5項
(重要事項の説明等)
 第七十二条 マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約(新たに建設されたマンションの当該建設工事の完了の日から国土交通省令で定める期間を経過する日までの間に契約期間が満了するものを除く。以下「管理受託契約」という。)を締結しようとするとき(次項に規定するときを除く。)は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等に対し、管理業務主任者をして、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるもの(以下「重要事項」という。)について説明をさせなければならない。
この場合において、マンション管理業者は、当該説明会の日の一週間前までに、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に対し、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を交付しなければならない。

 5 マンション管理業者は、第一項から第三項までの規定により
交付すべき書面を作成するときは、管理業務主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない

 とあり、
 設問の「マンション管理業者は、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を作成し、管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に対し交付するときは、管理業務主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない」は、正しい。



3 マンション管理業者は、管理者等の置かれた管理組合と、従前の管理受託契約と同一の条件で管理受託契約を更新しようとするときは、当該管理者等に対して、管理業務主任者をして、重要事項について記載した書面を交付して説明すれば足りる。

X 誤っている。 管理者等がいて、従前の管理受託契約と同一の条件なら、説明は管理者等でいいが、重要事項の交付は、区分所有者全員にすること。

 設問は、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法第72条2項及び同条3項、
2 マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、あらかじめ、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面を交付しなければならない。
3 前項の場合において
当該管理組合に管理者等が置かれているときは、マンション管理業者は、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、重要事項について、これを記載した書面を交付して説明をさせなければならない

 とあり、
 マンション管理適正化法第72条2項によれば、設問の「当該管理者等に対して、管理業務主任者をして、重要事項について記載した書面を交付して
説明すれば足りる」では、誤りです。
 この場合、説明は、管理者等で良いのですが、「重要事項を記載した書面」の交付は、区分所有者全員にしなければなりません。



4 マンション管理業者は、当初の管理受託契約に係る変更契約を締結しようとする場合においては、同一の条件でない管理受託契約に変更するときであっても、管理組合の管理者等に対して、管理業務主任者をして、重要事項について記載した書面を交付して説明すれば足りる。

X 誤っている。 当初の管理受託契約に係る変更契約を締結をする場合も、新規契約と同様。管理者等だけでなく、区分所有者の全員に対しても、管理業務主任者は、重要事項の書面を交付して説明すること。

 設問の「当初の管理受託契約に係る変更契約を締結しようとする場合」に「ついては、国総動第309号 平成14年2月28日 「マンションの管理の適正化の推進に関する法律第72条に規定する重要事項の説明等について」
 があり、
 「第二 「契約成立時の書面の交付」について
   1
法第73条に規定する「契約成立時の書面の交付」については、当初契約と同様に更新契約の際にも行う必要があること。
 との判断で、当初の管理受託契約に係る変更契約を締結しようとする場合においても、選択肢1で引用しましたマンション管理適正化法第72条1項
「(重要事項の説明等)
 第七十二条 マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約(新たに建設されたマンションの当該建設工事の完了の日から国土交通省令で定める期間を経過する日までの間に契約期間が満了するものを除く。以下「管理受託契約」という。)を締結しようとするとき(次項に規定するときを除く。)は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより
説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等に対し、管理業務主任者をして、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるもの(以下「重要事項」という。)について説明をさせなければならない。この場合において、マンション管理業者は、当該説明会の日の一週間前までに、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に対し、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を交付しなければならない
 (以下、略)」
 が適用されますから、「管理組合の管理者等に対して、管理業務主任者をして、重要事項について記載した書面を交付して説明すれば”足りず”」で、設問の、「マンション管理業者は、当初の管理受託契約に係る変更契約を締結しようとする場合においては、同一の条件でない管理受託契約に変更するときであっても、管理組合の管理者等に対して、管理業務主任者をして、重要事項について記載した書面を交付して説明すれば”
足りる”」は、誤りです。


答え: 2 

 
 この出題の近辺、重要事項の交付、説明会の相手、は、きちんと整理していないと、正解が難しい。

《タグ》マンションの管理の適正化の推進に関する法律第72条 説明会の開催 管理業者が管理者等 管理業務主任者の業務 従前と同一の内容 当初契約の変更

問49

【問 49】 マンション管理業者が行うマンション管理適正化法第77条の規定に基づく管理事務の報告に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法によれば、最も適切なものはどれか。

1 マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれている場合であっても、当該管理者等に報告するとともに、説明会を開催し、当該管理組合を構成する区分所有者等全員に対して、管理業務主任者をして、当該管理事務の報告をさせなければならない。

X 誤っている。 管理事務の報告は、管理者等がいれば、管理者等に行えばいい。 区分所有者に対する報告は不要。

 令和01年 マンション管理士試験 「問47」 、 平成30年 管理業務主任者試験 「問50」 、 平成29年 管理業務主任者試験 「問47」 など。

 法律を根拠としている問題なのに、「最も適切なものはどれか」ときき、通常なら「正しいものはどれか」ときかないのがおかしいと思っていたら、選択肢3 で、平成30年 管理業務主任者試験 「問50」 の「会計の”収入”」が抜けた事件があったのだと、変に納得した。

 管理事務の報告は、マンション管理適正化法第77条1項
(管理事務の報告)
 第七十七条 
マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれているときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。
2 マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれていないときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。
3 管理業務主任者は、前二項の説明をするときは、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければならない。

 とあり、
 管理事務の報告なら、マンション管理適正化法第77条1項によれば、「管理者等が置かれているときなら、
管理者等に対してだけ、すればよく」、設問の「マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれている場合であっても、当該管理者等に報告するとともに、説明会を開催し、当該管理組合を構成する区分所有者等全員に対して、管理業務主任者をして、当該管理事務の報告をさせなければならない」は、誤りです。

 この管理事務もよく出題されますので、纏めました。 

● マンション管理適正化法第77条における管理業務主任者がおこなう管理事務の報告まとめ  
管理組合の態様 報告先  説明会の有無  報告方法  備考 
1.管理組合の理事長(又は法人の理事)が管理者等に選任されている場合 管理者(理事長)等  管理組合の事業年度終了後、遅滞なく、管理業務主任者が管理業務主任者証を提示して行う 管理業務主任者の記名押印は求められていない
2.管理組合の理事長等が管理者に選任されていない場合   
 ア.管理業者が管理者等に選任されている場合 区分所有者等  管理組合の事業年度の終了後、遅滞なく、説明会で、管理業務主任者が管理業務主任者証を提示して行う  説明会の開催の案内は、1週間前までに掲示 
 イ.管理者等が選任されていない場合



2 マンション管理業者は、管理組合の同意があれば、当該管理組合の管理者等に対し、管理業務主任者以外の者をして報告させることができる。

X 誤っている。 こんな規定はない。
 
 管理事務の報告について、マンション管理適正化法には設問のような、「マンション管理業者は、管理組合の同意があれば、当該管理組合の管理者等に対し、管理業務主任者以外の者をして報告させることができる」の規定はないため、誤りです。

 管理事務の報告は、選択肢1で引用していますマンション管理適正化法第77条です。
管理事務の報告は、管理業務主任者の重要な業務です。



3 管理事務報告書には、報告の対象となる期間、管理組合の会計の収入及び支出の状況並びにその他管理受託契約の内容に関する事項を記載しなければならない。

〇 正しい。 管理事務報告書には、報告の対象となる期間、管理組合の会計の収入及び支出の状況並びにその他管理受託契約の内容に関する事項を記載しなければならない。
 平成30年 管理業務主任者試験 「問50」 選択肢ウ は、もめたが、 平成29年 管理業務主任者試験 「問47」 、平成28年 管理業務主任者試験 「問48」  

 基本となる管理事務の報告は、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法第77条1項
「(管理事務の報告)
 第七十七条 マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれているときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。
 (以下、略)」
 を受けた、国土交通省令は、マンション管理適正化法施行規則第88条
(管理事務の報告)
 第八十八条 マンション管理業者は、法第七十七条第一項の規定により管理事務に関する報告を行うときは、管理事務を委託した管理組合の事業年度終了後、遅滞なく、当該期間における管理受託契約に係るマンションの管理の状況について
次に掲げる事項を記載した管理事務
報告書を作成し、管理業務主任者をして、これを管理者等に交付して説明をさせなければならない
  一 報告の対象となる期間
  二 管理組合の会計の収入及び支出の状況
  三 前二号に掲げるもののほか、管理受託契約の内容に関する事項

 とあり、
 設問の「管理事務報告書には、報告の対象となる期間、管理組合の会計の収入及び支出の状況並びにその他管理受託契約の内容に関する事項を記載しなければならない」は、正しい。



4 管理事務の報告の説明会が開催される場合においては、説明会の参加者の参集の便を考慮して、説明会の開催日の2週間前までに、当該説明会を開催する日時及び場所の掲示をしなければならない。

X 誤っている。 説明会の案内は、1週間前でいい。 2週間前ではない。
  平成30年 管理業務主任者試験 「問50」 、  平成23年 マンション管理士試験 「問50」 、 平成14年 マンション管理士試験 「問50」 

 管理事務の開催の案内は、マンション管理適正化法施行規則第89条
第八十九条 マンション管理業者は、法第七十七条第二項の規定により管理事務に関する報告を行うときは、管理事務を委託した管理組合の事業年度の終了後、遅滞なく、当該期間における管理受託契約に係るマンションの管理の状況について前条各号に掲げる事項を記載した管理事務報告書を作成し、法第七十七条第二項に規定する説明会を開催し、管理業務主任者をして、これを当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に交付して説明をさせなければならない。
2 前項の説明会は、できる限り説明会に参加する者の参集の便を考慮して開催の日時及び場所を定め、管理事務の委託を受けた管理組合ごとに開催するものとする。
3 マンション管理業者は、前項の説明会の開催日の一週間前までに説明会の開催の日時及び場所について、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等の見やすい場所に掲示しなければならない。

 とあり、

 マンション管理適正化法施行規則第89条2項によれば、設問の前半「管理事務の報告の説明会が開催される場合においては、説明会の参加者の参集の便を考慮して」は、正しい。

 しかし、マンション管理適正化法施行規則第89条3項によれば、設問の後半「説明会の開催日の”
2週間前まで”に、当該説明会を開催する日時及び場所の掲示をしなければならない」は、「2週間前まで」でなく「1週間前まで」でいいため、誤りです。

 よって、選択肢4は全体として、誤りです。



答え: 3

 選択肢3は、平成30年の管理業務主任者試験 「問50」の選択肢ウ で「会計の”収入”」が抜けて、出題ミスを認めたのでもう出題されないかと思ったが、連続して出題するとは、出題官も、良い根性をしている。

 1週間前とかの数字は、もう覚えるほかにない。

 過去問をやっていれば、易しい。

《タグ》マンション管理適正化法第77条 管理者等がいる場合 管理事務の報告の内容 説明会の掲示

問50

【問 50】 マンション管理業者の登録等に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法によれば、最も不適切なものはどれか。

1 マンション管理業の更新の登録を受けようとする者は、登録の有効期間満了の日の90日前から30日前までの間に登録申請書を提出しなければならないが、当該有効期間の満了の日までにその申請に対する処分がなされないときは、従前の登録は、当該有効期間の満了後もその処分がなされるまでの間は、なお効力を有する。

〇 正しい。 処分が遅れていれば、効力も前のまま。
  平成24年 マンション管理士試験 「問48」 

 マンション管理業の登録は、マンション管理適正化法第44条、
「(登録)
 第四十四条 マンション管理業を営もうとする者は、国土交通省に備えるマンション管理業者登録簿に登録を受けなければならない。
2 
マンション管理業者の登録の有効期間は、五年とする。
3 前項の有効期間の満了後引き続きマンション管理業を営もうとする者は、更新の登録を受けなければならない。
4 更新の登録の申請があった場合において、第二項の有効期間の満了の日までにその申請に対する処分がなされないときは、従前の登録は、同項の有効期間の満了後もその処分がなされるまでの間は、なお効力を有する
5 前項の場合において、更新の登録がなされたときは、その登録の有効期間は、従前の登録の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。」

 とあり、
 設問の後半「当該有効期間の満了の日までにその申請に対する処分がなされないときは、従前の登録は、当該有効期間の満了後もその処分がなされるまでの間は、なお効力を有する」は、マンション管理適正化法第44条4項により、正しい。

 では、設問の前半の申請期間「登録の有効期間満了の日の90日前から30日前までの間に登録申請書を提出しなければならない」は、マンション管理適正化法施行規則第50条、
(更新の登録の申請期間)
 第五十条 
法第四十四条第三項の規定により同項の更新の登録を受けようとする者は、登録の有効期間満了の日の九十日前から三十日前までの間に登録申請書を提出しなければならない。
 とあり、
 設問の前半も正しい。

 よって、選択肢1は、全体として正しい。



2 マンション管理業の登録申請書に記載すべき事務所とは、本店又は支店(商人以外の者にあっては、主たる事務所又は従たる事務所)のほか、継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、マンション管理業に係る契約の締結又は履行に関する権限を有する使用人を置く事務所をいう。

〇 正しい。 事務所の定義である。

 管理業者の具体的な登録の申請は、マンション管理適正化法第45条、
(登録の申請)
 第四十五条 前条第一項又は第三項の規定により登録を受けようとする者(以下「登録申請者」という。)は、国土交通大臣に次に掲げる事項を記載した登録申請書を提出しなければならない。
   一 商号、名称又は氏名及び住所
   
二 事務所(本店、支店その他の国土交通省令で定めるものをいう。以下この章において同じ。)の名称及び所在地並びに当該事務所が第五十六条第一項ただし書に規定する事務所であるかどうかの別
   三 法人である場合においては、その役員の氏名
   四 未成年者である場合においては、その法定代理人の氏名及び住所(法定代理人が法人である場合においては、その商号又は名称及び住所並びにその役員の氏名)
   五 第五十六条第一項の規定により第二号の事務所ごとに置かれる成年者である専任の管理業務主任者(同条第二項の規定によりその者とみなされる者を含む。)の氏名
2 前項の登録申請書には、登録申請者が第四十七条各号のいずれにも該当しない者であることを誓約する書面その他国土交通省令で定める書類を添付しなければならない。」

 とあり、

 これを受けた、マンション管理適正化法施行規則第52条
「(法第四十五条第一項第二号の事務所)
 
第五十二条 法第四十五条第一項第二号の事務所は、次に掲げるものとする。
   
一 本店又は支店(商人以外の者にあっては、主たる事務所又は従たる事務所)
   二 前号に掲げるもののほか、継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、マンション管理業に係る契約の締結又は履行に関する権限を有する使用人を置くもの

 とあり、
 マンション管理適正化法第45条1項2号及びマンション管理適正化法施行規則第52条によれば、設問の「マンション管理業の登録申請書に記載すべき事務所とは、本店又は支店(商人以外の者にあっては、主たる事務所又は従たる事務所)のほか、継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、マンション管理業に係る契約の締結又は履行に関する権限を有する使用人を置く事務所をいう」は、正しい。


 なお、事務所については、 国総動第51号(平成13年7月31日付) 「マンションの管理の適正化の推進に関する法律の施行について」
 「(2)事務所の定義(法第45条第1項第2号、規則第52条)
 本法の「事務所」とは、
   @ 本店又は支店(商人以外の者にあっては、主たる事務所又は従たる事務所)
   A @の他、継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、マンション管理業に係る契約の締結又は履行に関する権限を有する使用人を置くものをいう。
  
「本店」、「支店」とは、商業登記簿に本店、支店の登記がされたものであること。 また、本店及び支店の商業登記は当然商人のみが行うものであるが、公益法人や協同組合等商人以外の者については「本店」及び「支店」を事務所の基準とするこ とができないことから、民法等で「主たる事務所・従たる事務所」として取り扱われているものであること。
  
「継続的に業務を行うことができる施設を有する場所」とは、物理的にも社会通念上事務所と認識される程度の形態を備えているもので、実体上支店に類似するも のをいうこと。
  
「契約の締結又は履行に関する権限を有する使用人」とは、支店における支店長又は支配人に相当するような者であること。 」
 も参考にしてください。



3 国土交通大臣は、マンション管理適正化法施行規則により算定した、マンション管理業の登録を受けようとする者の資産額が1,000万円以上でない場合においては、その登録を拒否しなければならない。

X 誤っている。 資産額は、300万円以上でいい。 1,000万円はいらない。
  平成26年 マンション管理士試験 「問49」 、平成23年 マンション管理士試験 「問49」 、

 登録で資産が規定されているのは、マンション管理適正化法第47条、
(登録の拒否)
 第四十七条 国土交通大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
  一 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
  二 第八十三条の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
  三 マンション管理業者で法人であるものが第八十三条の規定により登録を取り消された場合において、その取消しの日前三十日以内にそのマンション管理業者の役員であった者でその取消しの日から二年を経過しないもの
  四 第八十二条の規定により業務の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
  五 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
  六 この法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
  七 マンション管理業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む。)が前各号のいずれかに該当するもの
  八 法人でその役員のうちに第一号から第六号までのいずれかに該当する者があるもの
  九 事務所について第五十六条に規定する要件を欠く者
  
十 マンション管理業を遂行するために必要と認められる国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎を有しない者
 とあり、
 マンションの管理業者として登録するには、マンション管理適正化法第47条10号により、ある程度の「財産的基礎」が必要です。


 これを受けて、マンション管理適正化法施行規則第54条
(財産的基礎)
 第五十四条 法第四十七条第十号の国土交通省令で定める基準は、次条に定めるところにより算定した
資産額(以下「基準資産額」という。)が、三百万円以上であることとする。」
 とあり、
 マンション管理適正化法施行規則第54条によれば、財産的基礎の金額は、「
300万円以上」ですから、設問の「国土交通大臣は、マンション管理適正化法施行規則により算定した、マンション管理業の登録を受けようとする者の資産額が1,000万円以上でない場合においては、その登録を拒否しなければならない」の内、「資産額が1,000万円以上でない場合」は、誤りです。
 300万円以上あれば、申請できます。


4 マンション管理業者がマンション管理業を廃止した場合においては、マンション管理業者であった個人又はマンション管理業者であった法人を代表する役員は、その日から30日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。

〇 正しい。 廃業届は、30日以内に出すこと。
  平成26年 マンション管理士試験 「問49」 、 平成20年 マンション管理士試験 「問49」 、

 廃業届は、マンション管理適正化法第50条、
(廃業等の届出)
第五十条 マンション管理業者が次の各号のいずれかに該当することとなった場合においては、当該各号に定める者は、
その日(第一号の場合にあっては、その事実を知った日)から三十日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない
  一 死亡した場合 その相続人
  二 法人が合併により消滅した場合 その法人を代表する役員であった者
  三 破産手続開始の決定があった場合 その破産管財人
  四 法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合 その清算人
 
 五 マンション管理業を廃止した場合 マンション管理業者であった個人又はマンション管理業者であった法人を代表する役員
 2 マンション管理業者が前項各号のいずれかに該当するに至ったときは、マンション管理業者の登録は、その効力を失う。」

 とあり、
 マンション管理適正化法第50条1項本文及び同法1項5号によれば、設問の「マンション管理業者がマンション管理業を廃止した場合においては、マンション管理業者であった個人又はマンション管理業者であった法人を代表する役員は、その日から30日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない」は、正しい。


答え: 3 

  ここは、過去問をやっていれば、実に易しい。

 しかし、法律から出題しているのに、どうして、「正しい」でなく、「不適切」ときくのかな。

《タグ》 マンション管理適正化法 更新登録 事務所とは 資産額 300万円以上 廃業届


*2020年 1月31日:バラバラと解説をしてきたが、これで、「問1」の解説に戻ります。

ここまで、問50 (解説終わり)


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2020年 2月26日:再度、確認した。
*2020年 2月20日:バラバラと解説してきた管理業務主任者の解説も一応終わった。 
令和1年は、途中でマンション管理士試験の解説のファイルが、保存エラーで無くなり、もう、やる気も薄れたが、どうにか、マンション管理士・管理業務主任者試験の解説が終わった。

2020年 2月11日」「問25」までが終わったので、「問27」から、解説を再開。
2020年 1月30日:マンション管理士試験の解説が終わったので、管理業務主任者試験の解説を、再開。
「問47」からバラバラとやる。
2020年 1月 7日〜:標準管理規約など、バラバラと解説開始。
条文などの挿入:2020年 1月 4日〜
解説開始:2019年12月15日〜
問題 UP:2019年12月 8日〜

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