平成13年 マンション管理士 試験問題 及び 解説
ページ1(問1より問25まで)
ご質問は、 「マンション管理士 香川事務所」へ。
*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。
また、マンションの管理の適正化に関する指針も、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。
※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部対応していません。
*全体の注意:区分所有法は、平成14年に改正があった。また、マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。
過去の問題を解くときには、最新の法令にあっているかどうか、注意してください。
〔問 1〕 建物の専有部分に関する次の記述のうち、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)及び民法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。 1 専有部分は、区分所有権の目的たる建物の部分である。 →○ 正。 平成26年管理業務主任者試験 「問3」。 2 一戸の専有部分を、複数の区分所有者で共有することもできる。 →○ 正。共有は、特に区分所有法で禁止されていない。民法第249条によると、マンションの一室を数人で共有することは当然に可能である。したがって本肢は正しい。この場合、各共有者は持分に応じて共有物の全部を使用することができることになる。また、区分所有法では、共有の場合、議決権行使者は一人に決める必要がある。(区分所有法第40条参照) 3 専有部分は、その用法だけでなく用途も規約で制限することができる。 →○ 正。法第30条第1項は、「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。」と定める。建物等の管理又は使用に関する事項には、専有部分についての用法のみならず、住居用、店舗用など用途の制限も含まれると解される。したがって、規約で用途の制限をすることも可能である。したがって本肢は正しい。 4 専有部分には、共用部分に属する設備があってはならない。 →X 誤。最高裁昭和56年6月18日判決は、専有部分たる車庫内にマンホール、電気・水道のパイプ、排気管、配水管などの共用設備が設置されていたという事例において、「構造上の独立性を有する車庫内に共用設備が設置されていたとしても、それが当該建物部分の小部分を占めるにとどまり、その利用管理によって車庫の排他的利用に格別の制限ないし障害を生じない限り、車庫は専有部分にあたらないとはいえない。」とした。このことからするならば、専有部分には、共用部分に属する設備があってはならないとする本肢は誤りである。 正解 4 なお、区分所有法の解説は、別途「超解説 区分所有法」がありますので、こちらも参考にしてください。 |
第 2問 |
〔問 2〕 区分所有法に定める区分所有者の団体(以下「管理組合」という。)の管理の対象に関する次の記述のうち、同法の規定によれば、誤っているものはどれか。 1 共用部分は、当然に管理の対象である。 →○ 正。建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)第3条は、「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行なうための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部供用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。」と定める。すなわち管理組合とは、区分所有者全員が共用に供されるべき建物の部分等を管理するための団体であるといえる。したがって、共用部分は、当然に管理の対象となるので本肢は正しい。なお、法第18条第1項によると、共用部分の管理に関する事項は、集会の普通決議で決することになる。 2 建物の共用部分以外の附属施設のうち、区分所有者の共有に属するものは、当然に管理の対象である。 →○ 正。選択肢1でも述べたように、法第3条が、「建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行なうための団体を構成し」とするところからも明らかなように、区分所有者の共有に属する建物の附属施設は、管理組合が当然に管理すべき対象となる。したがって本肢は正しい。 3 専有部分内の床下に設置されていて居室から見えない配管は、当然に管理の対象である。 →X 誤。そうは、いえない場合がある。配管については争いがある。専有部分内の床下に設置されていて居室から見えない配管であっても、共用の配管である場合と、区分所有者の専有に属する場合とがある。専有部分の床下に設置されている配管が、共用の配管であれば管理組合の管理の対象となる。これに対し、共用ではなく、区分所有者の専有に属するものである場合には、管理組合の管理の対象ではない。このように、専有部分内の床下に設置されている居室から見えない配管が当然に管理組合の管理の対象であるとはいえない。したがって本肢は誤りで、問の正解肢となる。 4 区分所有者の共有に属さない敷地であっても、規約で定めることにより、管理の対象とすることができる。 →○ 正。法第5条第1項は、「区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地は、規約により建物の敷地とすることができる。」と定める。すなわち、建物が所在する土地(法定敷地という)以外でも、建物および法定敷地と一体として管理をする土地であれば、規約により敷地とすることができる(規約敷地という)。規約敷地も、法第3条第1項にいう「敷地」である以上、管理組合の管理の対象となる。したがって本肢は正しい。 正解 3 |
第 3問 |
〔問 3〕 Aが、管理組合に管理者Bが置かれているマンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律第2条第1号のマンションをいう。以下同じ。)の1戸を、その区分所有者と賃貸借契約を締結して占有している場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 Bは、Aに対し、その居住場所に集会の通知をしなければならない。 →X 誤。Aは、区分所有者ではなく、賃借人で占有者である事に注意。この場合、建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)第44条第1項は、「区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができる。」と定め、同条第2項において、「前項に規定する場合には、集会を招集する者(管理者B)は、第35条の規定により招集の通知を発した後遅滞なく、集会の日時、場所及び会議の目的たる事項を建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。」と定める。掲示が占有者への通知となる。したがって本肢は誤りである。 2 Aは、区分所有者ではないが、集会の決議に拘束されることがある。 →○ 正。法第46条第2項は、「占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。」と定める。したがって、占有者であるA(賃借人)も集会の決議に拘束されることがある。したがって本肢は正しく、問の正解肢となる。 3 Aは、議題に利害関係を有する場合には、自ら集会に出席し、意見を述べ、議決権を行使することができる。 →X 誤。占有者に議決権はない。法第44条第1項は、「区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができる。」と定める。けれども、占有者が、議決権を行使することを認める規定はない。議決権は、各区分所有者だけが持つ(法第38条参照)。したがって本肢は誤りである。 4 Aは、居室のバルコニーの使用方法につき、賃貸借契約に特段の定めがない限り、規約に定められた制限に拘束されることはない。 →X 誤。賃貸借契約と、マンションの規約は別の物である。法第46条第2項は、「占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。」と定める。占有者である賃借人も、居室のバルコニーの使用方法について規約に定められた場合、この制限に拘束されることになる。したがって本肢は誤りである。 正解 2 |
第 4問 |
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〔問 4〕 区分所有法による専有部分と共用部分に関する次の記述のうち、同法及び不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。 (注:不動産登記法は、平成16年末に、大幅に改正された。ここは、旧のまま。) 1 専有部分を規約により共用部分とすることができ、また、区分所有法上当然に共用部分とされる部分(以下この問において「法定共用部分」という。)を規約により専有部分とすることができる。 →X 誤。法定共用部分(廊下、エントランスなど)は規約でも専有部分にはできない。建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)第4条第2項は、「第1条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもって第三者に対抗することができない。」と定める。このように専有部分を規約により共用部分にすることができる(規約共用部分)。よって、本肢前段は正しい。しかし、法第4条第1項は、「数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならないものとする。」と定める。すなわち、法定共用部分は、区分所有法上当然に共用部分とされる部分であるから、専有部分とすることはできない。したがって、本肢後段は誤りである。結局、本肢は誤りであり、問の正解肢となる。 (ただし、共有者全員の同意があれば、区分所有法ではなく、民法の適用になり、法定共用部分(廊下や階段)でも、専有部分にできるので、民法か区分所有法か区別が必要である。) 2 専有部分を規約により共用部分とすることができ、また、規約による共用部分を専有部分とすることができる。 →○ 正。法第4条第2項前段は、「第1条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。」と定める。専有部分を規約により共用部分にすることができる(規約共用部分)。また、法第31条第1項によると、規約の変更をすることにより、規約による共用部分を専有部分にすることができる。したがって、本肢は正しい。 3 法定共用部分を規約による共用部分とすることはできず、また、規約による共用部分を法定共用部分とすることはできない。 →○ 正。選択肢1でも述べたように、法第4条第1項に定めるように、法定共用部分(廊下、エントランスなど)は、その構造上、当然に共用部分となるものだから、規約による共用部分とすることはできない。また規約共用部分とは、本来は専有部分であるものを規約によって、共用部分とするものだから、これを法定共用部分とすることはできない(同条第2項)。したがって、本肢は正しい。 4 専有部分と規約による共用部分は、その旨の表示登記をすることができるが、法定共用部分はその旨の表示登記をすることができない。 →○ 正。選択肢1でも述べたが、法定共用部分(廊下、エントランスなど)は、その構造上、当然に共用部分となるものだから、規約による共用部分とすることはできない。また、表示の登記とは、不動産の概要を公示するために登記簿の表題部になされる登記である。不動産登記法第16条の2 (注:不動産登記法は大幅に改正された。ここは、旧のまま。) によると区分所有建物の場合、1棟全体についての表題部と専有部分ごとの表題部・甲区・乙区を設けることになる。よって、専有部分は表示の登記をすることができる。また、不動産登記法第91条第3項 (注:不動産登記法は大幅に改正された。ここは、旧のまま。) によると、規約共用部分の登記は、当該専有部分の表題部に記載することになる。よって、規約共用部分も、その旨の登記をすることができる。本肢は正しい。 正解 1 (ここは、難問。また、民法の共有との関係もあるので、注意のこと。) |
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〔問 5〕 Aは、マンションの区分所有者Bからその専有部分を賃借しているが、他の区分所有者からの停止の請求を無視して、数年にわたりバルコニーで野鳩の餌付け及び飼育をし、著しい悪臭、騒音等を生じさせたため、B以外の区分所有者全員は、AB間の賃貸借契約の解除及びAの賃借部分の引渡しの請求を行うこととしたい。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。 1 この請求を行うに当たっては、必ず集会で区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数で決議しなければならない。 →○ 正。賃借人Aは、他の区分所有者からの停止の請求を無視して、数年にわたりバルコニーで野鳩の餌付け及び飼育をし、著しい悪臭、騒音等を生じさせている。これは「建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為」(建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)第6条第1項、第3項)に該当する。占有者が、「共同の利益に反する」場合、法第60条に該当する。法第60条第1項は、「第57条第4項に規定する場合において、第6条第3項において準用する同条第1項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもって、当該行為に係る占有者が占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約の解除及びその専有部分の引渡しを請求することができる。」と定める。そして、同条2項が準用するところの、法第58条第2項は、「前項の決議は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数でする。」と定める。したがって本肢は正しい。 2 この請求を行うための集会の決議の前には、必ずAに弁明の機会を与えなければならない。 →○ 正。法第60条第2項により、法第58条第3項が準用され、あらかじめ、占有者に対し弁明する機会を与えなければならないことになる。したがって本肢は正しい。 3 この賃貸借契約の解除は、訴えをもってしなければならない。 →○ 正。法第60条第1項に、「訴えをもって」とある以上、占有者(賃借人)に対する引渡しおよび賃貸借契約解除の請求は、訴えの方法によってのみできることになる。したがって本肢は正しい。 4 この請求を行うに当たっては、事前にBの同意を得なければならない。 →X 誤。選択肢2で述べたように、占有者(賃借人)に対して弁明の機会を与えることは必要だが(法第60条第2項による法第58条第3項の準用)、賃貸している区分所有者Bの同意を得ることは、必要とされていない。したがって本肢は誤りで、問の正解肢となる。(参考:平成19年 管理業務主任者 試験 「問39」、平成14年 マンション管理士 試験 「問5」) 正解 4 |
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第 6問 |
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〔問 6〕 団地(3棟のマンションで構成され、各団地建物所有者が敷地を共有している。)の管理に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。 (注:区分所有法の団地関係は大幅に改正された。ここは、旧のまま。) 1 敷地の管理は、3棟の管理組合の管理者の協議により行われる。 →X 誤。設問は、団地の関係となる。建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)第65条は、「1団地内に数棟の建物があって、その団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)がそれらの建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合には、それらの所有者(以下「団地建物所有者」という。)は、全員で、その団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。」と定める。よって、敷地の管理は、敷地の所有者全員で団体(団地管理組合)を構成し、集会を開き、規約を定めることにより行う。また、この団体が管理者を置くことは可能であるが、敷地の管理につき棟別の管理組合の管理者の協議によって行われるのではない。したがって本肢は誤り。 2 団地建物所有者及び議決権の各4/5以上の多数で建替え決議をすることができる。 (注:区分所有法の団地関係は大幅に改正された。ここは、旧のまま。団地は一括建替え決議ができるようになったので、ここはやらない方がいい。) →X 誤。法第62条第1項は、「老朽、損傷、一部の滅失その他の事由により、建物の価額その他の事情に照らし、建物がその効用を維持し、又は回復するのに過分の費用を要するに至ったときは、集会において、区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、建物の敷地に新たに主たる使用目的を同一とする建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。」と定める。しかし、この規定は、団地に関して準用されていない。よって、団地内の区分所有建物についても、建替えの規定は、区分所有建物ごとにのみ適用されることになる。したがって、団地管理組合の集会において団地建物所有者及び議決権の各5分の4以上の多数で建替え決議をすることはできない。したがって、本肢は誤り。 3 敷地に関する規約の変更は、団地建物所有者及び敷地の持分による議決権の各3/4以上の多数による集会の決議によれば、一部の敷地の共有者の権利に特別の影響を及ぼす場合でも、その承諾を得ずに行うことができる。 →X 誤。法第31条第1項は、「規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によってする。この場合において、規約の設定、変又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、その承諾を得なければならない。」と定める。そして、この規定は、法第66条によって、団地にも準用される。したがって、団地の敷地に関する規約の変更に関しては、一部の敷地の共有者の権利に特別の影響を及ぼす場合には、その承諾が必要であることになる。したがって本肢は誤り。 4 区分所有法に定める手続きを経れば、団地の管理組合は、各棟についてもその管理に当たることができる。 →○ 正。法第65条は、「1団地内に数棟の建物があって、その団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)がそれらの建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合には、それらの所有者(以下「団地建物所有者」という。)は、全員で、その団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。」と定める。団地の管理組合は、法第68条第1項の手続により定めた団地規約によって、団地全体の管理のみならず、各棟の管理もすることができる。したがって、本肢は正しく、問の正解肢である。なお、団地管理組合が団地内の区分所有建物の管理を行うこととされた場合であっても、なお、棟ごとの管理組合が存在し、義務違反者に対する措置や、建替えの決議等固有の権限を行使することができる。 正解 4 |
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〔問 7〕 管理者の権限又は義務に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 管理者が自己の名義で銀行に預金していた管理費を自己の用途に使った場合、各区分所有者は、区分所有者全員又は管理組合のために、その額について損害賠償を請求することができる。 →X 誤。ここは、難しい解釈である。 2 管理者は、規約に特段の定めがない限り、規約、集会の議事録、書面決議の書面及びその事務に関する報告書を保管し、利害関係人の閲覧に供する義務を負う。 →X 誤。設問を注意して読むこと。法第33条第1項は、「規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。」と定め、また、同条第2項は、「前項の規定により規約を保管するものは、利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧を拒んではならない。」と定める。これは集会の議事録(法第42条第3項)、書面決議の書面(法第45条第2項)について準用されている。したがって、管理者は、規約に特段の定めがない限り、規約、集会の議事録、書面決議の書面を保管し、利害関係人の閲覧に供する義務を負う。しかし、事務に関する報告書に関しては、保管や利害関係人への閲覧の義務は定められていない。したがって本肢は誤り。 3 管理者は、善良なる管理者の注意義務をもってその職務を処理することが必要であり、これに違反した場合には、自己がその事務をその本旨に従って履行したことを証明しない限り、法的な責任を負う。 →○ 正。法第28条は、「この法律及び規約に定めるもののほか、管理者の権利義務は、委任に関する規定に従う。」と定める。したがって、民法第644条が適用され、管理者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意義務をもって事務を処理する義務を負う。これに違反した場合法的な責任すなわち債務不履行責任(同法第415条)を負う。この場合受任者は、自己がその事務につき委任の本旨に従って履行したことを証明しない限り、債務不履行責任を負う。したがって本肢は正しく、問の正解肢となる。 4 管理者は、規約に基づき原告又は被告となったときは、区分所有者にその旨を通知することを要しない。 →X 誤。法第26条第5項前段は、「管理者は、前項の規約により原告又は被告となったときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。」と定める。したがって本肢は誤り。 正解 3 (少しばかり、難問。特に選択肢2は引っかけで、設問として適切でない。) |
〔問 8〕 甲マンション管理組合(管理者Aが置かれている。)に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。 1 任期途中のAを集会の決議によって解任するためには、規約に特段の定めがない限り、正当な事由が存することが必要である。 →X 誤。建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)第25条第1項は、「区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる。」と定めており、解任に当たっては、「正当な事由」の存在は要求されていない。また、同法第28条は、「この法律及び規約に定めるもののほか、管理者の権利義務は、委任に関する規定に従う。」と定める。そして、民法第651条第1項は、委任は各当事者がいつでも解除できるとする。したがって、規約に特段の定めがなく、かつ、正当事由が存在しなくても管理者を任期途中で解任できることになる。本肢は誤りで、問の正解肢となる。民法は、委任が当事者の信頼関係に基づくことから、この信頼関係が失われた場合、直ちに解除できるように委任契約の各当事者にいつでも解除しうることを認めたのである。 2 Aの解任の議案が集会で否決されても、B(区分所有者の一人である。以下この問において同じ。)は、Aの解任の訴えを提起することができる。 →○ 正。法第25条第1項は、「区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任することができる。」と定める。これとならんで同条2項は、「管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者が、その解任を裁判所に請求することができる。」とする。したがって本肢は正しい。これは、管理者が特定の区分所有者の利害に関係している場合を想定している。ここは、「問32」も参考に。 3 Aの選任は、規約に定めを置けば、集会の決議によらず理事会で行うことができる。 →○ 正。法第25条第1項は、「区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任することができる。」と定める。したがって、規約に定めを置けば理事会が、管理者を選任することもできることになる。したがって本肢は正しい。 4 集会において、AのほかBを管理者に選任することができる。 →○ 正。区分所有法は、管理者の人数について制限をおいていない。したがって、集会においてAのほかBを管理者に選任することも可能である。したがって本肢は正しい。 正解 1 |
〔問 9〕 規約として定めることができる事項に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。 1 区分所有者は、共用部分の保存行為を、管理者を通じて行うとすること。 →○ 正。建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)第18条第1項ただし書は、「共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。」とする。しかし、同条2項は、「前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。」定める。「区分所有者は、共用部分の保存行為を、管理者を通じて行うとすること。」という定めも「別段の定め」として有効である。したがって本肢のような規約も定めることができるので、本肢は正しい。 2 区分所有者以外には、集会の議事録の閲覧を拒むことができるとすること。 →X 誤。法第33条第1項は、「規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。」とし、第2項は、「前項の規定により規約を保管するものは、利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧を拒んではならない。」とする。さらに、これらの規定は、法第42条第3項により集会決議の議事録に準用されている。「利害関係人」には、専有部分の購入を検討している者や専有部分の賃借人等、区分所有者以外の者も含まれる。したがって、「区分所有者以外には、集会の議事録の閲覧を拒むことができるとすること」とする本肢の内容は、区分所有法に反し、規約として定めることはできない。したがって本肢は誤りで、問の正解肢となる。 3 専有部分と敷地利用権を分離して処分することができるとすること。 →○ 正。法第22条第1項は、「敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。」と定める。したがって、専有部分と敷地利用権を分離して処分することができるとする規約も定めることができるので、本肢は正しい。以前から存在するタウンハウス形式などを考慮したものである。 4 共用部分を、管理者又は区分所有者である特定の者の所有とすること。 →○ 正。原則として、共用部分には、所有者がいないが例外として、「管理所有」と呼ばれる規定がある。法第11条第1項は、「共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。」とし、同条第2項は、「前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。ただし、第27条第1項の場合を除いて、区分所有者以外の者を共用部分の所有者と定めることはできない。」とする。したがって第27条第1項の管理所有であれば、規約でもって、共用部分を、管理者や区分所有者に限った所有とすることは可能である。よって、本肢のような規約も定めることができるので、本肢は正しい。 正解 2 |
〔問 10〕 マンションの共用部分の変更又は管理に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 共用部分については、特定の共有者に専用使用する権利を設定することは認められない。 →X 誤。たとえば、バルコニーは、一般的に共用部分と解されている。しかし共用部分であるバルコニーについて、それに接する専有部分の区分所有者に専用使用させることができると解されている。したがって本肢は誤り。 2 各共有者は、規約に別段の定めがない限り、各自平等に、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。 →X 誤。建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)第19条は、「各共有者は、規約に別段の定めがない限り、その「持分に応じて」、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。」と定める。そして、法第14条第1項によれば、各共有者の持分は、原則として、その有する専有部分の床面積の割合によるとされる。つまり、区分所有する床面積が大きく、持分が大きい者は、負担または利益収取も大きい。「各自平等に」負担または利益収取するわけではない。したがって本肢は誤り。 3 共用部分の変更は、改良を目的とするものであれば、区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数による集会の決議を要しない。 →X 誤。法第17条第1項(注:ここは改正があった。旧のまま)は、「共用部分の変更(改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。」とする。改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しない場合のみ、軽微変更として、過半数で決議しうることになる。これに対し、ただ改良を目的とするのみの変更は、いまだ軽微変更とはいえないので、集会の特別決議によらなければならない。したがって本肢は誤り。 4 共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすときは、集会の決議に加え、その専有部分の区分所有者の承諾が必要である。 →○ 正。法第17条第2項は、「前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。」とする。したがって本肢は正しく、本問の正解肢である。多数決による横暴を防ぐためである。 正解 4 |
第11問 |
〔問 11〕 甲マンション(同一床面積の13の専有部分からなり、Aが5戸、Bが3戸、Cが2戸、D、E、Fが各1戸を所有し、規約において、各専有部分は一の議決権を有するものとされている。)の建替えについて、区分所有法の規定によれば、その建替え決議ができるのは、次のア〜エのうち、いくつあるか。ただし、区分所有法の建替えに係るその他の要件を満たしているものとする。 ア A B C D の賛成 1 一つ ★建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)第62条第1項(注:ここは改正があった。旧のまま)は、「老朽、損傷、一部の滅失その他の事由により、建物の価額その他の事情に照らし、建物がその効用を維持し、又は回復するのに過分の費用を要するに至ったときは、集会において、区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、建物の敷地に新たに主たる使用目的を同一とする建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。」と定める。本問のマンションおいて、以下の2つの要件を満たす場合に建替決議の要件を満たすことになる。 ア 建替え決議ができない イ 建替え決議ができる ウ 建替え決議ができない エ 建替え決議ができない 以上、建替え決議ができるのは、イのみの一つであり、1が正解肢となる。 正解 1 (1つ イ) |
第12問 |
*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。 (注:標準管理規約は平成16年に大幅に改正されている。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。原則は同じだが。ここは、旧のまま。ここの、主旨は変っていない。) 1 区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付した住戸とする。 →○ 正。中高層共同住宅標準管理規約〔単棟型〕(以下「単棟型」という。)第7条第1項は、「区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付した住戸とする。」と定める。本肢は、このとおりで正しい。 2 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。 →○ 正。単棟型第12条は、「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。」と定める。本肢は、このとおりで正しい。 3 建物の価格の1/2以下に相当する部分の滅失であっても、主要な構造部分に係るものであれば、その滅失した共用部分の復旧には、組合員総数及び議決権総数の各3/4以上の多数による決議を要する。 →X 誤。単棟型第45条第3項第4号には、建物価格の2分の1を超える滅失(大規模滅失)について定めている。しかし、2分の1以下の滅失(小規模滅失)については定めがない。したがって、原則規定である建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)第61条が適用される。同条第1項によると、「建物の価格の2分の1以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。」と定める。また、同条第3項によると、「第1項本文に規定する場合には、集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。」と定める。したがって、滅失した共用部分の復旧には、組合員総数及び議決権総数の各4分の3以上の多数による決議を要するとする、本肢は誤りであり、問の正解肢となる。 4 区分所有者が、その所有する専有部分を、第三者に譲渡又は貸与したときは、その区分所有者の駐車場使用契約は効力を失う。 →○ 正。単棟型第15条第3項は、「区分所有者がその所有する専有部分を、他の区分所有者又は第三者に譲渡又は貸与したときは、その区分所有者の駐車場使用契約は効力を失う。」と定める。したがって、本肢は正しい 正解 3 |
第13問 |
〔問 13〕 被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法に基づき、地震によって被災したマンションを再建する場合に関する次の記述のうち、同法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 都道府県知事により建物の全部滅失が認定されなければならない。 →X 誤。被災区分所有建物の再建等に関する法律は、平成7年に発生した「阪神・淡路大震災」で、被害を受けたマンションの再建を容易にするために急遽制定された法律で、適用があるのは「政令」で定めた災害で、「地区」が指定される。 2 建物の滅失が震度5を超える地震によるものでなければならない。 →X 誤。選択肢1で述べたように、法第2条第1項によると、本法が適用されるのは、大規模な火災、震災その他の災害のうち政令で定めるものである災害により、区分所有建物が滅失した場合である。建物の滅失が震度5を超える地震によらなければならないという要件はない。よって、本肢は誤りである。 3 当該地震が地方公共団体の条例によって指定されなければならない。 →X 誤。選択肢1で述べたように、法第2条第1項によると、本法で適用のある災害とは、政令で指定されるものであり、地方公共団体の条例で指定されるものではない。したがって、本肢は誤りである。 4 建物の滅失が政令で定められた災害によるものでなければならない。 →○ 正。選択肢1で述べたように、法第2条第1項によると、本法が適用されるのは、大規模な火災、震災その他の災害のうち政令で定めるものである災害により、区分所有建物が滅失した場合である。そして、この場合、同条同項が定めるように、敷地利用権が数人で有する所有権であったときは、敷地共有持分権を有していた者は、再建集会を開催できる。したがって、本肢は正しく、問の正解肢となる。なお、政令で定めた災害は、 内閣は、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法 (平成七年法律第四十三号)第二条第一項 の規定に基づき、この政令を制定する。 被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法第二条第一項 の災害として、阪神・淡路大震災を定める。 」 とあり、現在(平成20年10月)までに、平成7年の「阪神・淡路大震災」」の1件だけである。 正解 4 (平成23年3月に起きた東日本大震災により、平成23年には、ここからの出題があるかも?) |
〔問 14〕 Aがその所有するマンションの専有部分をBに賃貸した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。ただし、当該賃貸借契約は、定期建物賃貸借契約ではないものとする。 1 AB間の賃貸借契約は、書面によらなければ成立しない。 →X 誤。 平成23年 管理業務主任者試験 「問3」 、平成18年 管理業務主任者試験 「問4」 、平成15年 管理業務主任者試験 「問4」 。 2 BがAに無断で賃借権を第三者Cに譲渡する契約を締結したとしても、Aは、Cがマンションの使用を開始しない限り、賃貸借契約を解除することができない。 →○ 正。法第612条第1項によると、賃借人は賃貸人の承諾がなければ、賃借権を譲渡・転貸することはできないとされる。そして、同条第2項によると、賃借人がこれに反して無断で譲渡・転貸を行い、第三者Cに使用収益をさせたときは、賃貸人から解除することができることになる。したがって、本肢は正しく、問の正解肢となる。 注意:第三者の使用・収益の開始が無ければ、単に賃借人が賃貸人に無断で転貸しても、賃貸借契約は解除できない。 3 BがAに交付した敷金については、Aが当該専有部分の区分所有権を第三者Dに譲渡し、Dが新たな賃貸人となった場合でも、特約がない限り、Aが、契約終了時にBに敷金返還債務を負う。 →X 誤。判例(大判:昭和11年11月27日、最判:昭和48年2月2日)によると、建物賃貸借において、当該建物の所有者の交代により賃貸人としての地位を新所有者が承継した場合には、特約がなくとも、敷金の権利義務関係も新所有者である賃貸人に承継される。よって、本問において、敷金を返還しなければならないのは、新所有者であるDである。したがって、特約ない限りAが、敷金返還義務を負う、とする本肢は誤りである。 4 Bが、Aに対して事前に連絡をしないでその専有部分の修繕に必要な費用を出費した場合、その償還請求をすることができない。 →X 誤。法第608条第1項によると、賃借人が必要費(修繕など)を支出したときは、直ちに全額の償還を賃貸人に請求することができることになる。法第606条第1項に定めるように、本来、賃貸人は賃貸目的物の修繕をする義務を負うのであるからである。賃借人がこの返還請求権を行使する際に、事前の連絡をする必要はない。したがって、本肢は誤りである。必要費と有益費の違いに注意のこと。 正解 2 |
第15問 |
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〔問 15〕 Aがマンションの購入に際してB銀行から融資を受け、これにBの抵当権を設定した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。 (注:民法も改正があり、設問の民法395条の短期賃貸借の保護は無くなったので注意。) 1 Bの抵当権設定登記後、Aから当該マンションを賃借した者は、その賃貸借契約の期間が5年以内のときに限り、Bに対抗することができる。 →X 誤。民法(以下「法」という。)第395条(注:ここは改正された。旧のまま)によると、抵当権が先に設定され、その登記がある場合であっても、法第602条に定める期間を超えない短期の賃貸借、すなわち宅地にあっては5年、建物にあっては3年以下の賃貸借は、対抗力を備えれば、先に登記された抵当権者に対抗できることになる。マンションも建物であるから3年以下の賃貸借契約である場合のみ抵当権者に対抗できることになる。したがって、本肢は誤りである。 2 Aが借入金について期限に弁済しない場合、Bが優先弁済を受けるためには、必ず不動産競売によらなければならず、所有権を直ちにBに移転させる旨の特約をすることはできない。 →X 誤。債務の担保のために、抵当権を付した場合において、債務者が期限までに弁済をしない場合に、不動産競売手続によらず、目的物の所有権を直ちに抵当権者に移転させる旨の特約は有効である。これを「抵当直流し」という。本法は、質権につき、明文で流質契約を禁じているが(法第349条)、抵当権については規定がなく、有効と解されている。ただし、抵当権の登記には、「抵当直流し」の特約を登記する方法がないので、これを第三者に公示するためには仮登記を使う。債務が履行されない場合に備えて債務者所有の不動産を債権者に移転させること、すなわち代物弁済又は売買をあらかじめ予約し、債権者のその権利を仮登記によって保全することになる。このような制度を仮登記担保制度といい、「仮登記担保契約に関する法律」が詳細を定めている。したがって、本肢は誤りである。 3 Bの抵当権の効力は、原則として、当該マンションに付加して一体となった造作にも及ぶ。 →○ 正。法第370条は、抵当権の効力は、原則として、抵当不動産に付加してこれと一体となっているものに及ぶ旨を定める。本肢においては、造作が付加して一体となっているのであるから、抵当権の効力が及ぶことになる。よって、本肢は正しく、問の正解肢となる。 4 Bは、抵当権の実行をしようとするときは、あらかじめAに通知しなければならない。 →X 誤。法第381条(注:ここは改正された。旧のまま)によると、抵当権者が抵当権の実行をしようとするときは、あらかじめ滌除の権利が認められている第三者に通知しなければならない。これに対し、抵当権設定者には通知の必要はない。したがって、本肢は誤りである。 正解 3 |
〔問 16〕 AがBに中古マンションを売却した場合におけるAの瑕疵担保責任に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。 1 Aの瑕疵担保責任については、Bは、その瑕疵を知った日から1年以内にAに請求しなければならない。 →○ 正。この平成13年の出題後、瑕疵担保責任からの出題は、恒例となった。民法、住宅の品質確保の促進等に関する法律、宅地建物取引業法、そして、アフター・サービス規準において、いつも出題される。平成20年 管理業務主任者 試験 「問41」 、平成18年 管理業務主任者 試験 「問41」 、平成17年 管理業務主任者 試験 「問41」 、平成14年 管理業務主任者 試験 「問44」など。 2 AB間で、「Aは瑕疵担保責任を負わない」旨の特約をしても、Aが瑕疵を知りながらBに告げなかった事実については、免責されない。 →○ 正。法第572条によると、売主が担保責任を一切負わないとする特約も有効であるが、売主が瑕疵の存在を知っていたにもかかわらず買主に告げなかった場合、その瑕疵についての責任を免れることはできない。本肢は、このとおりで正しい。 3 Aの妻Cが1年前にAの専有部分内において自殺したことを、AがBに告げないことは、当該マンションの「隠れたる瑕疵」に当たる。 →○ 正。法第570条にいう「隠れたる瑕疵」とは、目的物が通常有するはずの品質・性能に欠陥があることをいう。判例によると、本肢のように、1年前に自殺があった場合も「隠れたる瑕疵」にあたるとされる。したがって、本肢は正しい。 4 Bは、あらかじめAに瑕疵の修補を請求した上でなければ、当該マンションに係る売買契約を解除することができない。 →X 誤。法第570条によると、売買の目的物につき瑕疵があった場合、それにより契約の目的を達成することができない場合に売買契約を解除することができることになる。瑕疵担保責任の内容につき、民法では、明文上、瑕疵の修補請求が認められていない。注意のこと。したがって、あらかじめ、売主に瑕疵の修補を請求した上でなければ、契約の解除をすることができないとする本肢は誤りであり、問の正解肢となる。 正解 4 (参考:瑕疵担保責任のまとめ) |
第17問 |
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〔問 17〕 Aマンションの敷地は、下図のとおり、市道をはさんで甲地と乙地からなっており、甲地にはAマンションと集会所があり、乙地はAマンションの駐車場として使用されている。Aマンションの1階には、全専有部分共通の玄関及びロビーがあり、また、各階には各専有部分に通ずる廊下がある。なお、甲地及び乙地は、いずれもAマンションの敷地権たる旨の登記がされている。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び不動産登記法の規定によれば、正しいものはどれか。 (注:不動産登記法は大幅に改正されている。ここは、旧のまま。ここの主旨は変っていない。) 1 玄関、ロビー及び廊下についても、区分所有者の専有部分の所有権保存又は移転の登記とあわせて、共有持分の登記をする必要がある。 →X 誤。玄関、ロビーおよび廊下は、構造上区分所有者全員の共用に供されるべき建物の部分であり、法定共用部分に該当する。建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)第11条第3項は、「民法第177条の規定は、共用部分には適用しない。」と定める。したがって、法定共用部分については、そもそも登記が行われない(不動産登記法第91条第3項(注:改正された。ここは旧のまま:参照)。したがって、玄関、ロビー及び廊下につき、区分所有者の専有部分の所有権保存又は移転の登記とあわせ、共有持分の登記する必要がある、とする本肢は誤り。法第11条第3条の趣旨は、専有部分の物権変動に随伴して共用部分の物権変動が生じた場合は、専有部分についての登記がされていれば、共用部分について独自の登記を備えることを要しないとしたものである。 2 集会所は、規約で共用部分たる旨を定めたうえで、共用部分である旨の登記をしなければ、その旨を第三者に対抗することができない。 →○ 正。集会所は、その構造から専有部分ともなりえる建物である。法第4条第1項は、「数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならないものとする。」と定め、同条第2項第1文は、「第1条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。」とする。したがって、専有部分のほか、本問の集会所のような附属建物についても、規約により共用部分とでき「規約共用部分」と呼ばれる。しかし、同項ただし書きは、「この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもって第三者に対抗することができない。」とする。したがって本肢は正しく、問の正解肢となる。 3 甲地及び乙地は、その性質から、法律上当然のAマンションの敷地である。 →X 誤。乙地は駐車場であり、マンションが建っていない。法第2条第5項は、「この法律において「建物の敷地」とは、建物が所在する土地および第5条第1項の規定により建物の敷地とされた土地をいう。」と定める。建物の敷地には、法律上当然に「建物の敷地」となる法定敷地と規約により「建物の敷地」となる規約敷地(法第5条第1項)があることになる。甲地は、建物が所在する土地であり、当然に敷地(法定敷地)となる。しかし、乙地は、土地上に建物が所在しないので、当然にはマンションの敷地とならず、規約により建物の敷地としなければならない。したがって本肢は誤り。 4 区分所有者は、Aマンションの各専有部分の所有権並びに甲地及び乙地の共有持分を、それぞれ分離して処分することができる。 →X 誤。法第22条第1項は、「敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。」と定める。ゆえに専有部分と敷地利用権は、規約に別段の定めがない場合を除き一体化する。このように一体化された敷地利用権があるときは、不動産登記法第93条の3第1項(注:改正された。ここは旧のまま)により敷地権として表示の登記がされている。本問においては、敷地権たる旨の登記が行われている。とするならば、専有部分と敷地利用権が一体化している、すなわち分離処分できないということになる。よって、本問においては、分離処分はできない。したがって本肢は誤り。 正解 2 |
第18問 |
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〔問 18〕 登記簿に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。 (注:不動産登記法は大幅に改正されている。ここは、旧のまま。甲区、乙区は変っていない。) 1 登記簿の甲区には所有権に関する事項が、また、乙区には所有権以外の権利に関する事項が、それぞれ記載される。 →○ 正。不動産登記法(以下「法」という。)第16条(注:改正された。ここは旧のまま)は、その第1項によると、登記簿について、その用紙を表題部・甲区・乙区に分けられることになる。その上で、同条第3項によると、甲区には所有権に関する事項が記載され、同条第4項によると、乙区には所有権以外の権利に関する事項が記載されることになる。本肢は、このとおりであり正しい。 2 マンションの登記簿は、その建物全体に関する一棟の建物を表示する表題部、その一棟の建物に属する区分された建物ごとの表題部並びに甲区及び乙区から構成される。 →○ 正。法第16条の2(注:改正された。ここは旧のまま)によると、マンション(区分所有建物)の登記簿は、その建物全体に関する1棟の建物を表示する表題部と、その1棟の建物に属する区分された建物ごとの表題部並びに甲区及び乙区から構成されることになる。本肢は、このとおりであり正しい。 3 所有権の買戻の特約の登記は、買主の権利取得の登記と同時に附記登記として、乙区事項欄に記載される。 →X 誤。法第59条の2(注:改正された。ここは旧のまま)によると、所有権の買戻しの特約の登記は、買主の権利取得の登記と同時に附記登記としてなされる。また、買戻しの特約は、所有権に関する事項なので、法第16条第3項により、甲区事項欄に記載されることになる。したがって、乙区事項欄になされるという本肢は誤りであり、問の正解肢となる。 4 所有権の仮差押の登記は、甲区事項欄に記載される。 →○ 正。法第135条の2(注:改正された。ここは旧のまま)により仮差押につき、仮登記に関する法第54条の規定が準用されることになる。その結果、仮差押の登記は、登記用紙中相当区事項欄になされることになる。そして、所有権の仮差押は所有権に関する事項であるから、法第16条第3項によると、甲区事項欄に記載される。したがって、本肢は正しい。 正解 3 |
第19問 |
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〔問 19〕 住宅の品質確保の促進等に関する法律第88条(新->第95条)に規定する瑕疵担保責任の特例に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (注:住宅の品質確保の促進等に関する法律は、平成18年12月改正された。新として対応済み。) 1 平成12年1月締結の売買契約に係るマンションについては、適用がない。 →○ 正。住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下「法」という。)は、平成11年6月15日に制定され、平成12年4月1日から施行された。したがって、平成12年1月には、まだ当該法律は施行されておらず、その適用はない。したがって本肢は正しく、問の正解肢となる。(法律不遡及の原則) 2 中古マンションについて、適用がある。 →X 誤。法第87条(新−>第94条)「住宅を新築する建設工事の請負契約(以下「住宅新築請負契約」という。)においては、請負人は、注文者に引き渡した時から十年間、住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの(次条において「住宅の構造耐力上主要な部分等」という。)の瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。次条において同じ。)について、民法第六百三十四条第一項
及び第二項 前段に規定する担保の責任を負う。」 3 売買契約締結の日から10年間に限り、適用がある。 →X 誤。法第88条(新->第95条)「新築住宅の売買契約においては、売主は、買主に引き渡した時(当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主に引き渡されたものである場合にあっては、その引渡しの時)から十年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の隠れた瑕疵について、民法第五百七十条
において準用する同法第五百六十六条第一項 並びに同法第六百三十四条第一項 及び第二項 前段に規定する担保の責任を負う。この場合において、同条第一項
及び第二項 前段中「注文者」とあるのは「買主」と、同条第一項 中「請負人」とあるのは「売主」とする。」によると、売主が瑕疵担保責任を負う期間は、「売買契約締結の日」から10年間ではなく、住宅を買主に「引き渡した時」から10年間であることになる。 4 柱及び梁などについては適用があるが、屋根及び外壁については適用がない。 →X 誤。法第87条(新−>第94条)「住宅を新築する建設工事の請負契約(以下「住宅新築請負契約」という。)においては、請負人は、注文者に引き渡した時から十年間、住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの(次条において「住宅の構造耐力上主要な部分等」という。)の瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。次条において同じ。)について、民法第六百三十四条第一項
及び第二項 前段に規定する担保の責任を負う。」とあり、 正解 1 (参考:瑕疵担保責任のまとめ) |
第20問 |
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〔問 20〕 マンションの売買に際し、宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条の重要事項の説明に関する次の記述のうち、同条の規定に違反しないものはどれか。 1 規約については、案しかできていなかったので、売買契約成立後に説明することとした。 →X 違反する。 宅地建物取引業法(以下「法」という。)第35条においては、「宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。」と定める。そして、その第5項の2によると、共用部分に関する規約の定め、専有部分の利用制限に関する規約の定め等が重要事項の説明の対象となる。そして、宅地建物取引業法施行規則(以下「規則」という。)第16条の2第2号によると、規約共用部分に関する規約の定め(その案を含む。次号において同じ。)があるときは、その内容も説明事項とされる。したがって、案しかできていない場合であっても、その案を重要事項として説明しなければならない。したがって本肢は違反となる。 2 特別修繕費については、売買契約書に記載したので、重要事項説明書には記載しなかった。 →X 違反する。 規則第16条の2第6号によると、大規模修繕積立金のような特別修繕費については、重要事項の説明の対象となる。したがって本肢は違反となる。 3 管理費の滞納額については、不明であったので、口頭で数十万円になると説明し、重要事項説明書には「管理費精算金未定」と記載した。 →X 違反する。 規則第16条の2第7号によると、通常の管理費用の額は重要事項の説明の対象となる。さらに、通達によって、滞納額があるときは、その額を告げるよう行政指導がなされている。したがって、本肢は違反するといえる。 4 規約中の管理組合の役員に関する定めについては、説明しなかった。 →○ 違反しない。 同法によっても、また、同規則によっても、規約中の管理組合の役員に関する定めは、重要事項の説明の対象にはなっていない。したがって本肢は違反でなく、問の正解肢となる。 正解 4 |
第21問 |
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〔問 21〕 買主Aは、宅地建物取引業者Cの媒介で、売主である宅地建物取引業者Bから甲マンションの201号室を購入する契約を締結し、入居した。この場合に関する次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。 1 本件契約は3割の値引きをしたので、Bは現状のまま売り渡すこととし、瑕疵担保責任を負わない旨の特約をした場合、この特約は有効である。 →X 誤。宅地建物取引業法(以下「法」という。)第40条第1項は、「宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、民法第570条において準用する同法第566条第3項に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。」と定め、また、同条第2項は、「前項の規定に反する特約は、無効とする。」とする。本肢において、3割値引きしたといえども、売主が瑕疵担保責任を負わないという特約は明らかに民法第570条の規定に比べ買主に不利であり、無効となる。したがって本肢は誤り。 2 Bの管理費の滞納額について、Cが重要事項として説明をせず、Aが支払わざるを得なくなった場合、Aは、Cに損害賠償を請求することができる。 →○ 正。宅地建物取引業法(以下「法」という。)第35条においては、「宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。」と定める。そして、その第5項の2によると、共用部分に関する規約の定め、専有部分の利用制限に関する規約の定め等が重要事項の説明の対象となる。そして、宅地建物取引業法施行規則(以下「規則」という。)第16条の2第7号によると、通常の管理費用の額は重要事項の説明の対象となる。さらに、通達によって、滞納額があるときは、その額を告げるよう行政指導がなされている。したがって、売主は、滞納額を買主に告げるという、売買契約上の義務を負っている。これを説明しなければ、債務不履行となり、相手方に損害を負わせた場合は、その損害を賠償する責任を負う(民法415条)。よって、AはC(宅地建物取引業者)に損害賠償を請求できる。したがって本肢は正しく、問の正解肢となる。 3 ガス給湯器の故障について、Bから賃借していたDに責任がある場合、Aは、Bに損害賠償を請求することはできない。 →X 誤。民法第570条によると、売主は、売買の目的物に隠れたる瑕疵があったときは、瑕疵担保責任を負う。ガス給湯器の故障は隠れたる瑕疵にあたる。責任の内容は、民法第570条により準用される同法第566条第1項によると、その瑕疵のため売買の目的が達成できない場合は、契約の解除並びに損害賠償請求をなしうるが、そうではない場合、損害賠償請求のみをなしうる。そして瑕疵担保責任は無過失責任である以上、他に故障の原因を作った者が存在していても責任を免れず、ガス給湯器の故障について、売主から賃借していた賃借人に責任があっても、売主は責任をまぬかれない。よって、B(元の所有者)はAに損害賠償責任を負う。したがって本肢は誤り。 4 上階301号室の汚水排水管の枝管(同室の床下コンクリートスラブと201号室の天井板との空間を通っており、301号室からの点検及び修理は不可能である。)の経年劣化により水漏れが生じた場合、Aは、301号室の区分所有者Eに損害賠償を請求することができる。 →X 誤。上階301号室の汚水排水管の枝管については、301号室からの点検および修理は不可能であるというのであるから、共用部分に該当する(最高裁平成12年3月21日判決参照)。共用部分の経年劣化では、301号室の区分所有者Eはその管理責任を負わない。したがって、Eに枝管の管理について過失は認められず、Eに過失がない以上、たとえ水漏れにより下の階の201号室に損害を与えたとしても不法行為責任(民法第709条)は負わない。よって、AはEに損害賠償を請求できない。したがって本肢は誤り。 正解 2 (少し難問。選択肢4も迷う。) |
第22問 |
〔問 22〕 簡易専用水道の管理基準に関する次の記述のうち、水道法の規定によれば、誤っているものはどれか。 (注:水道法も改正があった。ここは、新法に対応済み。) 1 簡易専用水道の設置者は、水槽の掃除を1年以内ごとに1回、定期的に行わなければならない。 →○ 正。先ず、『簡易専用水道』とは 2 簡易専用水道の設置者は、有害物、汚水等によって水が汚染されるのを防止するため、水槽の点検を行うなどの必要な措置を講じなければならない。 →○ 正。選択肢1で述べたように、簡易専用水道の管理について厚生労働省令(規則第23条(新->第55条))が定める基準によれば、2号に、水槽の点検等有害物、汚水等によって水が汚染されるのを防止するために必要な措置を講ずること、とされている。したがって本肢は正しい。 3 簡易専用水道の設置者は、給水栓における水の色、濁り、臭い、味などに異常を認めたときは、水道水質基準の項目のうち、必要なものについて検査を行わなければならない。 →○ 正。選択肢1で述べたように、簡易専用水道の管理について厚生労働省令(規則第23条(新->第55条))が定める基準によれば、3号により、給水栓における水の色、濁り、臭い、味その他の状態により、給水する水に異常を認めたときは、水質基準に関する厚生省令(平成4年第69号)の表に掲げる事項のうち必要なものについて検査を行うこととされている。したがって本肢は正しい。 4 簡易専用水道の設置者は、供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知ったときは、しばらく様子を見た後、必要に応じて給水を停止しなければならない。 →X 誤。選択肢1で述べたように、簡易専用水道の管理について厚生労働省令(規則第23条(新->第55条))が定める基準、4号によれば、供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知ったときは、直ちに給水を停止するとともに、水を使用することが危険である旨を関係者に周知させる措置を講ずること、とされている。しばらく様子を見た後、必要に応じて給水を停止したのでは、人の健康の確保が図れない。本肢は誤り、問の正解肢となる。 正解 4 |
〔問 23〕 自動車の保管場所の確保等に関する法律の適用地域内におけるマンションに関する次の記述のうち、同法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 マンションの区分所有者から、自家用自動車を購入したいとの相談を受けたが、マンションの駐車場に空きがなかったので、マンションから直線距離で2km以内の位置にある駐車場を借りるよう助言した。 →○ 正。自動車の保管場所の確保等に関する法律からは、このあと、平成20年 管理業務主任者 試験 「問45」 選択肢3 、まで出題がない。また、平成21年管理業務主任者試験 「問44」 で 2kmは出た。 2 マンションの区分所有者から、自動二輪車を購入したいとの相談を受けたので、保管場所の位置を管轄する警察署長に保管場所の位置等を届け出るよう助言した。 →X 誤。同法における自動車には、自動二輪車は該当せず、自動二輪車には同法の適用はない。したがって本肢のような助言をすることは誤り。 3 マンションの区分所有者から、軽自動車を購入したいとの相談を受けたので、保管場所の位置を管轄する警察署長に保管場所証明書交付申請を行うよう助言した。 →X 誤。法第5条は、「軽自動車である自動車を新規に運行の用に供しようとするときは、当該自動車の保有者は、当該自動車の保管場所の位置を管轄する警察署長に、当該自動車の使用の本拠の位置、保管場所の位置等を届け出なければならない。」と定める。届け出で足りるのであって、保管場所証明書の交付申請までは必要ではない。したがって本肢のような助言をすることは誤り。なお、保管場所を確保していることの証明した書面が必要なのは、道路運送車両法第4条、第12条、第13条に規定する処分を受けようとする場合である。 4 マンションの駐車場の改築工事を行うに当たり、マンションの前に交通量のほとんどない広い市道があり、駐車禁止の標識も立っていないことから、同市道をマンションの区分所有者の自動車の保管場所として一時的に使用するよう管理組合に助言した。 →X 誤。法第11条第1項は、「何人も、道路上の場所を自動車の保管場所として使用してはならない。」と定める。したがって本肢のような助言をすることは誤り。 正解 1 |
〔問 24〕 消防用設備等の点検及び報告に関する次の記述のうち、消防法の規定によれば、誤っているものはどれか。 1 特定の防火対象物に対して設置が義務づけられている消火設備、警報設備、避難設備等からなる消防用設備等は、すべて点検の対象となる。 →○ 正。先ず、 2 1000u以上の共同住宅で消防長又は消防署長の指定を受けているものは、消防設備士免状の交付を受けている者又は総務大臣が認める資格を有する者が行う点検を受けなければならない。 →○ 正。消防法施行令第36条第2項によると、延べ面積が1000平方メートル以上の共同住宅の消防用設備等の点検は、消防設備士または総務大臣の認める資格を有する者に行わせなければならないことになる。したがって本肢は正しい。 3 消防用設備等に対する外観点検及び機能点検は、1年に1回行う必要がある。 →X 誤。選択肢1で述べたように、消防用設備等に対する作動点検、外観点検および機能点検は、6ヶ月ごとに行う。総合点検は、1年ごとに実施する。したがって本肢は誤りで、問の正解肢となる。 4 共同住宅に係る点検結果の報告は、3年に1回消防長又は消防署長に対して行う必要がある。 →○ 正。ここは、平成20年 マンション管理士 試験 「問36」 でも出た。 正解 3 |
〔問 25〕マンション(延べ床面積2000u)の改修工事に関する次の記述のうち、建築基準法に基づく確認申請を要しないものはどれか。なお、建築基準法以外の法律に基づく認定等は受けないものとする。 1 屋内階段の全面模様替え →必要である。 建築基準法(以下「法」という。)第6条第1項によると、延べ面積が100平方メートルを超えるマンションにつき建築、大規模の修繕、大規模の模様替をしようとする場合等においては、建築主は、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならないことになる。さらに、大規模の修繕、模様替えとは、法第2条第14号によると、主要構造部の1種以上の過半について行う修繕や模様替えである。 2 すべての柱に鉄板を巻き付ける耐震補強 →必要である。 選択肢1で述べたように、法第2条第5号によると、柱は主要構造部分に該当する。そして、同条第15号によると、すべての柱に鉄板を巻きつける耐震補強は、主要構造部の1種以上の過半について行う大規模模様替えにあたる。よって、法第6条第1項によると、述べ面積が100平方メートルを超えるマンションにつき大規模修繕をする場合にあたる。以上により、本肢の場合は、確認申請を要する。 3 最下階のすべての床の模様替え →不要である。 選択肢1で述べたように、法第2条第5号によると、最下階の床は主要構造部にあたらないことになる。よって建築確認は不要である。したがって、本肢につき確認申請は不要であり、問の正解肢となる。(建築基準法での、主要構造部とは、火災上から見た物と考えるといい。) 4 屋根の全面模様替え →必要である。 選択肢1で述べたように、法第2条第5号によると、屋根は主要構造部に該当する。そして、全面模様替えは、主要構造部の1種以上の過半について行う大規模模様替えにあたる。以上により、本肢の場合は、確認申請を要する。 正解 3 |
ここまで、問25 |
最終更新日:
2018年 8月19日:リンク先「higuchi」へ変更した。
2012年 4月10日:標準管理規約の平成23年の改正。正解の太字・ピンク色で統一した。
2011年 5月1日:「問13」等追記
2010年2月10日:リンクなど入
2009年10月2日:一部加筆