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瑕疵担保責任のまとめ

マンション管理士・管理業務主任者試験で良く出る、瑕疵担保責任をまとめました。

「隠れた瑕疵が存在する時の売主の責任」

改正 「契約内容不適合責任」へ 

注意:平成29年(2017年)6月2日公布で、民法の債権を中心に大幅な改正があり、当「瑕疵担保責任」も、内容と規定の条文にも変更がありますから、改正の内容に注意してください。ここの解説は、まだ改正には対応していません。
    改正民法の施行は、2020年4月1日です。
    改正 「契約内容不適合責任」へ 

    

*「隠れた」...通常人の注意を払っても発見できないこと

*「瑕疵」...対象不動産が、通常有している品質・性能を有していないこと。また、当事者が契約上予定した使用目的に適する性質や、売主が特に保証した品質・性能を有しない場合も含む

*売主の無過失責任...売主に故意・過失がなくても責任がある。

条文 責任者 相手 責任内容 対象建物 時効など。注意事項
民法

570条→566条準用

特約可能
任意)

売主 買主

買主が事実を知った時(瑕疵を発見した時)から一年以内(除斥期間)にしなければならない。 

*新築、中古を含む 引渡しから10年で時効になる。(民法167条1項)

*損害賠償請求 可

*契約の解除(目的を達しないときだけ) 可

*修補請求 不可(民法では定めなし)
宅地建物取引業法 40条 業者が売主 買主
(業者以外)
引渡しから2年以上の特約なら有効。(他は無効)
*無効の例:
 引渡しの日から1年に限り責任を負う。
*新築、中古を含む 無効になると民法の適用になる
品確法
(住宅の品質確保の促進等に関する法律)
94条 請負人 注文者

引渡しから10年間。買主に不利な特約は無効。

*無効の例:
 引渡しから5年に限り責任を負う。

(20年以内の伸長 可。 97条)

*損害賠償請求 可

*契約の解除(目的を達しないときだけ) 可

*修補請求 可 (これが、民法と違うところ)

 

*新築、または1年間人が住んだことのない、居住用のみ

マンションも入る

構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分に限る。
 住宅のあらゆる部分ではない。

構造耐力上主要な部分:
 住宅の基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、当該住宅の自重若しくは積載荷重、積雪、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものとする。

雨水の浸入を防止する部分:
 一 住宅の屋根若しくは外壁又はこれらの開口部に設ける戸、わくその他の建具
 二 雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、当該住宅の屋根若しくは外壁の内部又は屋内にある部分
95条 売主 買主
消費者契約法 8条1項5号 事業者 消費者 当該瑕疵により消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任の全部(一切)を免除する条項は(特約)無効
   
10条 事業者 消費者 民法の規定よりも消費者にとって信義誠実の原則に反して一方的に不利益な特約は無効    
アフターサービス 任意契約 請負人・売主 注文者・買主

隠れた瑕疵に限らない。無料での補修

*部位や欠陥の種類で異なる(1年〜10年間)

契約による アフターサービスと瑕疵担保責任は並存している。 


 *民法での売主の瑕疵担保責任について
  売買の対象物に通常の注意を払っても発見できない品質や性能の不備があれば、買主が支払った金額は公平でありません。そこで、民法では売主に対して、故意や過失がなくても(無過失責任)、契約の解除や損害賠償などの責任を負わせることにしています。
 それが、民法で定める売主の瑕疵担保責任といわれています。
 具体的には、民法第570条 → 第566条
  「(売主の瑕疵担保責任)
 第五百七十条  売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。 」 とあり、
 準用されています、民法第566条は、
 「(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
 第五百六十六条  売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
 2  前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
 3  前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。 」 です。
 
 そこで、売主の瑕疵担保責任では、買主は事実を知った時(瑕疵を発見した時)から一年以内(除斥期間)に、
  @契約の解除
  A解約ができないときには、損害賠償請求   そして、
  B解除により損害が発生していれば、その損害賠償請求 ができます。
 しかし、民法では、修補の請求は認めていません。ここが、民法での注意点です。
 また、任意の特約もできます。

 なお、瑕疵担保責任について、何らの特約をしなかった場合には、売主は瑕疵担保責任を負います。


 *宅地建物取引業での業者の瑕疵担保責任について
  土地・建物の売買を扱う宅地建物取引業者(マンションの分譲会社)は、民法に従っているのですが、買主の無知に付け込み、民法で許されている、売買の際に自分たち宅地建物取引業者に都合のいい特約を結んでいて、買主とトラブルが多く発生していました。
 そこで、宅地建物取引業者の特約を規制するため、 宅地建物取引業法第40条
 「(瑕疵担保責任についての特約の制限)
 第四十条  宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、民法 (明治二十九年法律第八十九号)第五百七十条 において準用する同法第五百六十六条第三項 に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条 に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
 2  前項の規定に反する特約は、無効とする。」 として、
  宅地建物取引業者であれば、瑕疵担保責任を負う期間を「目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合」なら、有効ですが、その他の買主にとって不利となる特約は無効としています。
 つまり、
 *引渡しから2年以上の特約なら有効。
   他は無効。無効の場合は、民法の適用となる。
 *無効の例:
  引渡しの日から1年に限り瑕疵担保責任を負う。
  ”売買契約締結の日”から2年間は瑕疵担保責任を負う。

 *売主に賠償能力がない場合の救済措置 〜特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律の制定〜
  皆さんは、平成17年(2005年)11月に発覚した姉歯一級建築士による耐震強度偽装事件を憶えていますか。
 この事件では、買主は売主である分譲会社に瑕疵担保責任を追及できましたが、売主の会社が倒産しており、賠償責任が果たせない状況になりました。 
 この事態を踏まえ、住宅(マンション)の購入者の利益保護を目的として、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)」が制定されました。
この法律により、宅地建物取引業者等が平成21年(2009年)10月1日以降に引き渡す新築住宅について、
  @「保険の加入」 または
  A「保証金の供託」の資力確保
 が義務付けられました。

 

  ・資力確保を義務付けられる対象者について
   平成21年(2009年)10月1日以降に新築住宅を引き渡す場合、請負人となる建設業者(建設業の許可を受けた建設業者)と売主となる宅地建物取引業者(宅地建物取引業法の免許を受けた宅建業者)には、資力確保措置の義務が課されます。
    ただし、宅建業者が発注者となり、建設業者から新築住宅の引き渡しを受ける場合、建設業者には資力確保措置の義務はありません。

  ・住宅瑕疵担保履行法の対象となるのは、建築物のうち「新築住宅」です。
   「新築住宅」とは、新たに建設された「住宅」であって、建設工事の完了から1年以内で、かつ、人が住んだことのないものをさします(住宅の品質確保の推進に関する法律第2条第2項)。
   また、「住宅」とは、住宅の品質確保の推進に関する法律でいう「人の居住の用に供する家屋または家屋の部分」をさします(住宅の品質確保の推進に関する法律第2条第1項)。
   したがって、戸建住宅や分譲マンションはもちろん、賃貸住宅(公営住宅、社宅等も含む)も対象となります。
   一方、事務所、倉庫、物置、車庫は「住宅」でないため、対象となりません。また、一時使用目的の住宅(仮設住宅等)も対象外です。


 *住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)について
  品確法でも、新築住宅の瑕疵担保責任の特例を規定しています。
 品確法では、民法の特例として、請負人と売主の瑕疵担保責任を強化し、全ての「新築住宅」の
 @構造耐力上主要な部分 又は
 A雨水の浸入を防止する部分
 に限って、(住宅のあらゆる部分ではない)、その責任期間は、建築請負会社から売主に引き渡されたものである場合は売主に引き渡された時から1O年間であり、それ以外の場合は買主又は注文者に引き渡した時から10年間としています。
 そして、民法と大きく異なる点は、その責任内容として損害賠償や契約の解除のほかに修補の請求もできるとされていることです。
 さらに、新築住宅の売買契約において、特約により構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分だけでなくその他の部分も含め、瑕疵担保責任の期間を引き渡した時から20年以内とすることもできます。

 


*アフターサービスについて
 アフターサービスは、売主や請負人が営業政策としてあくまでもサービスとして買主や注文主と結ぶ任意の契約ですから、契約自由の原則により、公序良俗に反しないことなどの制限はありますが、その内容は、自由ですから、アフターサービスの内容として、民法と関係なく、瑕疵又は欠陥の補修のみを定め、損害賠償の請求はできない旨を定めることもできます。
 また、対象部位や種類ごとに、そのサービス期間と起算日を定めていることが多くあります。

 アフターサービスは、新築分譲マンションの購入時に物件の欠陥箇所を無償で直すという、あくまでも、法律での強制的な内容ではなく、建築・販売業者のサービスとして行うものです。基本的な内容は、(財)不動産協会が作っているが、各販売業者によって異なっています。
 各部位(外装、内装、配管など)ごとに、状況により直しますが、年数により期限切れもあります。


★瑕疵の例
 *パンフレットやモデルルーム等で示された事項や保証した性能がない。
  この場合品質が同等以上への変更なら、瑕疵でない。品質が劣る物への変更があれば瑕疵になる。

 *建築上の瑕疵(建築基準法に適さない建築工事は、瑕疵に該当します)
  ・コンクリートの強度不足
  ・コンクリート材料の不良...コンクリートの細骨材に塩分のある浜砂を使用したために鉄筋に錆が異常に発生した
  ・コンクリート床板の厚さ不足
  ・柱の防火被覆不足
  ・受水槽、貯水槽に防塵、防錆処理がない
  ・排水管に通気管がない
  ・排水トラップがない
  ・耐震強度が偽装されていた

★マンションの共用部分の瑕疵担保責任の開始時期は、いつになるのか?
  例えば、共用部分の瑕疵担保期間は、引き渡し後2年間とする契約があった場合、どの買主を基準とするのかの問題があります。
  1.共用部分の瑕疵担保期間の起算点は、最初の買主が引き渡しを受けた時点から起算する説
  2.瑕疵担保責任を請求する区分所有者の引渡し時から起算する説
  がありますが、2の方が有力です。

★建築会社と分譲会社が異なっていた場合、分譲会社が倒産したら、買主は分譲会社に代わって請負契約上の瑕疵担保責任の修補や損害賠償の請求ができる。
  最近、マンションの分譲会社の倒産が多くなっています。
  この場合、マンションの買主は、建築会社と直接の契約はしていませんが、債権者代位権(民法第423条)により、請負契約上の瑕疵担保責任の修補や損害賠償の請求ができます。





最終更新日:
2022年 3月19日:Windows 11 へ
2019年 9月21日:民法の改正に伴い「瑕疵担保責任」が、2020年4月1日施行で「契約内容不適合責任」になるので、新しくサイトを作った。
2018年 8月13日:画像と「住宅瑕疵担保履行法」を追加した。
2018年 8月 6日:民法の改正を注意した。
2016年 3月19日:WINDOWS 10 を入れた。
2016年 1月21日:作成


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