平成14年 マンション管理士 試験問題 及び 解説
ページ2(問26より問50まで)
*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。
また、マンションの管理の適正化に関する指針も、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。
※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。
解説者からのコメント:あやふやな出題、適切でない出題もあって、解答ができないのもあります。
※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部対応していません。
*全体の注意:区分所有法は、平成14年に改正があった。また、マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。
過去の問題を解くときには、最新の法令にあっているかどうか、注意してください。
第26問 |
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〔問 26〕 甲マンションの管理者が、集会の招集に当たり、各区分所有者に次の書類を送付した。この書面の1〜4の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、集会の議事の進め方について、規約に別段の定めがないものとする。 定時総会は、別紙招集通知のとおり開催いたしますが、あらかじめ、その手順について若干の説明をいたします。 1 まず、総会の席上、議長を選出いたしますが、当日の総会で特別の決議をする場合を除き、議長は、議案審議の公平を期すために、管理者でない区分所有者から選挙で選ぶこととされています。 →X 誤。 建物の区分所有等に関する法律(以下、区分所有法という。)第41条は、「集会においては、規約に別段の定めがある場合及び別段の決議をした場合を除いて、管理者又は集会を招集した区分所有者の1人が議長となる。」と定める。従って、議長は管理者でない区分所有者から選挙で選ぶとする本肢は誤り。 2 つぎに、総会における議決権の行使についてですが、一の専有部分を数人で共有している場合は、議決権を行使する一人の方を決めていただかなければなりません。 →○ 正。 区分所有法第40条は、「専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者1人を定めなければならない。」と定める。よって、本肢は正しい。 3 また、マンションの賃借人である方は、利害関係がある場合は、総会に出席して意見を述べることができますが、議決権はありません。 →○ 正。 議決権は、区分所有法第38条により、「各区分所有者の議決権は、規約に別段の定めがない限り、第14条に定める割合による。」と定め、専有部分の所有者が持つ。また、第44条第1項は、「区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができる。」と定める。したがって、区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者である賃借人は、会議の目的たる事項について利害関係を有する場合に、集会に出席して「意見」を述べることができるが、「議決権」を行使することはできない。 4 最後に、当日の総会の議事は、これを議事録に記録として残しますが、議事録には、議長のほか、当日ご出席の二人の区分所有者の合わせて三人が署名押印をする必要があります。 →○ 正。 区分所有法第42条第3項は、「議事録が書面で作成されているときは、議長及び集会に出席した区分所有者の二人がこれに署名押印しなければならない。 」と定める。よって、本肢は正しい。 マンションの重要事項を話し合う大切な総会ですから、皆様におかれましては、万障お繰り合わせのうえご出席賜りますようお願いたします。 (別紙招集通知は省略) 正解:1 |
第27問 |
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〔問 27〕 集会の決議に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。 1 ペットの飼育について特に定めていなかった規約を改正して、「小鳥、金魚以外の動物の飼育を禁止する」という定めを置く場合、既に犬や猫を飼育している区分所有者の承諾を得る必要はない。 →○ 正。 これは、区分所有法第31条で規定する、規約の改正をする集会の決議が、一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすかどうかの問題である。 東京高判平6・8・4は以下のようにいう。すなわち、まず、区分所有者は、新たに規約で共用の利益に反する行為の具体的内容・範囲を定め、マンション内でのペットの飼育を一律に禁止することもできるとしている。その上で、マンションの居住者の中に犬を飼育している区分所有者がいる場合に、管理規約を改正して動物の飼育を禁止する規定を新設することは、現に犬を飼っている「一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼす」(建物の区分所有等に関する法律(以下、区分所有法という。)第31条第1項)ものではないとする。よって、規約の設定に際して当該区分所有者の承諾は不要。 2 都市計画事業による道路拡幅のため、区分所有者が共有するマンショシの敷地の一部を地方公共団体に売却しなければならない場合、集会で区分所有者及び議決権の各4分の3の賛成を得ても、これを行うことができない。 →○ 正。 これは、民法の適用か、区分所有法の適用かを訊いている。敷地の売却は、民法での共有物の変更に当たると解され、民法第251条によると、各共有者は、他の共有者の(全員の)同意がなければ、共有物に変更を加えることができない。区分所有者が共有するマンションの敷地を売却することも、共有物の処分(変更)行為に該当するため、共有者全員の同意が必要である。区分所有者及び議決権の各4分の3の賛成のみでは、これを行うことはできない。 3 駐車場の増設工事を議題とする集会でこれが否決された場合でも、引き続き次の年度に同一の議題について集会に提案し、再度議決を求めることができる。 →○ 正。 区分所有法第37条第1項は、決議事項の制限として、「集会においては、第35条の規定によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議をすることができる。」と定める。しかし、否決された場合に再度決議を求めることができないとする旨の規定は、特に存在しないため、何度でも議題にできる。 4 修繕積立金の取崩しを議題とする集会で、修繕積立金を月額10パーセント値上げすべきであるとの意見が出た場合、規約に別段の定めがなくても、修繕積立金の10パーセント値上げの決議をすることができる。 →X 誤。 区分所有法第37条第1項によると、規約で別段の定めがある場合を除き、集会においては、第35条の規定によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議をすることができることになる。あらかじめ招集通知により通知した事項以外の事項を、集会で決議することはできないので、修繕積立金の「取崩し」を議題とする集会で、修繕積立金の「値上げ」の決議を、規約の別段の定めなしに行うことはできない。 正解:4 |
第28問 |
〔問 28〕マンションの区分所有者共有の敷地に、新たに区分所有者共有の機械式立体駐車場を設置する場合の集会の決議に関する次の記述のうち、区分所者法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。 (注:区分所有法は旧法のまま。第17条は改正されている。ここは、旧のまま。やらない方がいいかも。) 1 この決議は、設置によって生ずる日照、騒音等の被害を受けると主張する区分所有者がいた場合、その被害の程度のいかんを問わず、その者の承諾を得なければ無効である。 →X 誤。 建物の区分所有等に関する法律(以下、区分所有法という。)第17条第1項本文は、「共用部分の変更(改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。」と定める。区分所有者共有の敷地に、新たに区分所有者共有の機械式立体駐車場を設置する行為は共用部分の重大変更にあたる。そして、同条第2項は、「前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。」と定める。従って、「被害の程度が小さい場合(いかんを問わず)」も、その者の承諾を得る必要があるとの本肢は誤りである。 2 この決議に必要とされる区分所有者の数は、規約で過半数とすることができる。 →○ 正。 区分所有法第17条第1項は、「共用部分の変更(改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。」と定める。区分所有者共有の敷地に、新たに区分所有者共有の機械式立体駐車場を設置する行為は、「共用部分の重大変更」にあたる。そして、集会の特別決議の要件につき、「区分所有者の定数」は、規約で過半数まで減ずることができる。よって、本肢は正しく、本問の正解肢となる。 3 この決議に反対した区分所有者は、設置に要する費用を負担する義務を負わない。 →X 誤。 区分所有法第19条は、「各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。」と定める。そして、この規定は、第21条により共有の附属施設に準用される。。以上により、当該集会の決議内容は、決議に反対した区分所有者に対しても、その効力を生ずる以上、設置に反対した区分所有者も、設置に要する費用を負担しなければならない。よって、この決議に反対した区分所有者は、設置に要する費用を負担する義務を負わないとの本肢は誤り。 4 この決議に賛成した区分所有者は、設置によって日照、騒音等の被害を受けても、その損害の賠償を区分所有者全員又は管理組合法人に請求することはできない。 →X 誤。 本問立体駐車設備の設置によって日照、騒音等の被害を受けた以上、区分所有者全員又は管理組合法人に対して、不法行為(民法第709条)に基づく損害の賠償を請求できる。これは、決議に賛成した区分所有者であっても当てはまるので、賛成区分所有者が損害の賠償を請求することはできないとする本肢は誤り。 正解:2 |
第29問 |
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*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。 (注:標準管理規約も大幅に改正されている。また、平成23年7月に、議決権行使者も改正があったので注意のこと。ここは、旧のまま。) 1 数年前に遠隔地に単身赴任した組合員が、近くに住む組合員でない親を代理人としたので、代理人による議決権の行使を認めなかった。 →○ 正。 中高層共同住宅標準管理規約(以下、標準管理規約という。)(単棟型)第44条第5項は、「組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、その組合員と同居する者、他の組合員若しくはその組合員と同居する者又はその組合員の住戸を借り受けた者でなければならない。」と定める。よって、「近くに住む組合員でない親」は、代理人の資格を認めなかった本肢総会運営は正しく、本問の正解肢となる。 2 住戸一戸を共有する夫婦が総会に出席したので、二人を議決権総数に含めた。 →X 誤。 建物の区分所有等に関する法律第40条は、「専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者1人を定めなければならない。」と定める。また、標準管理規約(単棟型)第44条第3項は、「前項により一の組合員とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければならない。」と定める。よって、住戸1戸を共有する夫婦が総会に出席したので、2人を議決権総数に含めた本肢総会運営は誤り。 3 「委任状と議決権行使書面のいずれも提出しない組合員は議案に賛成したものとみなす」という規約を定め、これに該当する組合員の議決権を賛成票に数えた。 →X 誤。 区分所有法、標準管理規約ともに、議決権の書面による行使をしない者を賛成者とみなす旨の定めは、特に存在しない。「委任状と議決権行使書面のいずれも提出しない組合員は議案に賛成したものとみなす」という規約を定め、これに該当する組合員の議決権を賛成票に数えた本肢総会運営は、誤り。 4 議長は、組合員としての議決権を行使した結果、可否同数となったので、議長としての決裁権を行使した。 →X 誤。 標準管理規約(単棟型)45条第2項は、「総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決し、可否同数の場合には、議長の決するところによる。」と定める。この規定は、可否同数の場合に議長に決裁権を認めたものにすぎず、議長に議決権と決裁権の両者を認めたものではない。議長が、組合員としての議決権を行使している本肢総会運営は、誤りである。 正解:1 |
〔問30〕 規約の保管に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 規約は、原則として管理者が保管するが、管理者が置かれていない場合には、裁判所が指定した者が保管する。 →X 誤。 建物の区分所有等に関する法律(以下、区分所有法という。)第33条第1項は、「規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。」と定める。管理者が置かれていない場合には、裁判所が指定した者が保管するという本肢は誤り。 2 規約の保管者は、規約の閲覧又は謄写に関する利害関係人の請求を拒んではならない。 →X 誤。 区分所有法第33条第2項は、「前項の規定により規約を保管する者は、利害関係人の請求があつたときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧を拒んではならない。」と定める。よって、「正当な理由がある場合」には、当該請求を拒むことができるので、利害関係人の請求を拒んではならないとの本肢は誤り。また、同条が認めているのは、閲覧だけであって、謄写は入っていない。 3 管理組合が法人となっている場合、規約は、理事が当該法人の事務所において保管しなければならない。 →○ 正。 区分所有法第47条第12項は、管理組合法人について、第33条第1項本文の規定を適用する場合には、第33条第1項本文中「管理者が」とあるのは「理事が管理組合法人の事務所において」とするとされる。よって、管理組合が法人となっている場合、規約は、理事が当該法人の事務所において保管しなければならないとの本肢は正しい。 4 区分所有者の全員に規約の写しを配布してあれば、規約の保管をする必要はない。 →X 誤。 区分所有法第33条に定める規約の保管義務につき、区分所有者の全員に規約の写しを配布している場合であっても、規約の保管義務は消滅しない。 正解:3 |
〔問 31〕 Aは、B所有の中古マンションの一室を取得したところ、管理組合からBの管理費滞納分を請求された。この場合におけるAの主張に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 「滞納分はBが全責任をもって管理組合に支払い、Aには一切迷惑をかけない。」という念書をもらって売買したのだから、私に支払義務はない。 →X 誤。 建物の区分所有等に関する法律第7条第1項は、「区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。」と定め、同法第8条は、「前条第1項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。」と定める。よって、管理者(管理組合)が他の区分所有者に対して有する管理費等の債権については、債務者である区分所有者の特定承継人(買受人)に対しても行うことができる。Bが全部支払うという念書は、AB間の問題であり、管理組合に対しては、何らの効力もない。Aに支払義務はないとの本肢は誤り。 2 私は競売代金全額を裁判所に支払って買受人となったが、この物件の現況調査報告書に管理費の滞納分について記載がなかったので、私に支払義務はない。 →X 誤。 選択肢1で述べた区分所有者の特定承継人の支払義務は、その義務につき特定承継人が債務の存在を知らなかったとしても負わされるものである。現況調査報告書に管理費の滞納分についての記載がなかったとしても、特定承継人はその義務を免れない。よって、本肢は誤り。 3 仲介業者からBに滞納分があると聞いていたので、私に支払義務があるのはやむを得ないとしても、支払いを遅延したのはBであって私ではないから、私に遅延損害金の支払義務はない。 →X 誤。 遅延損害金も管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権である。よって、区分所有法第8条により、区分所有者の特定承継人も支払い義務を負う。支払いを遅延したのが滞納者Bであったとしても、特定承継人Aは、遅延損害金の支払義務を免れるものではなく、本肢は誤り。 4 管理組合とBとの間に、Bが滞納分の全額を支払う旨の和解が成立しているから、私に支払義務はない。 →○ 正。 本肢においては、管理組合と滞納者Bとの間でBが全額支払うとの和解が成立している。これにより、特定承継人Aには、滞納分の支払義務はなくなる(民法第696条「当事者の一方が和解によって争いの目的である権利を有するものと認められ、又は相手方がこれを有しないものと認められた場合において、その当事者の一方が従来その権利を有していなかった旨の確証又は相手方がこれを有していた旨の確証が得られたときは、その権利は、和解によってその当事者の一方に移転し、又は消滅したものとする。 」。滞納管理費は、管理組合と滞納者Bの関係で確定しているので、その後、該当のマンションの一室を取得したAには及ばない。 正解:4 |
〔問 32〕 管理費の滞納に関する次の記述のうち、区分所有法、民法、民事訴訟法及び破産法の規定によれば、誤っているものはどれか。 1 滞納管理費の額が、滞納者所有のマンションの一室の価額の1/10未満の場合には、管理組合は、その一室に対し先取特権による競売の申立てを行うことができない。 →X 誤。 建物の区分所有等に関する法律第7条第1項は、「区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。」と定める。よって、管理組合は、区分所有者が専有部分に備え付けた動産に対して先取特権を有する。しかし、額による制限は存在しない。よって、本肢は誤り。 2 管理費の滞納者が破産宣告を受け、免責が確定した場合には、その者は、破産宣告までの滞納管理費の支払責任を免れる。 →○ 正。 破産法第15条(注:破産法は大幅な改正があった。旧法のまま。)によると、破産者に対し破産宣告前の原因に基づいて生じた財産上の請求権は、破産債権となる。そして、同法第366条の12(注:破産法は大幅な改正があった。旧法のまま。)によると、免責を受けた破産者は、原則として、破産債権者に対する債務の全部につきその責任を免れる。本肢においても、管理費の滞納者が破産宣告を受け、免責が確定した場合には、その者は、破産宣告までの滞納管理費の支払いを免れることになる。よって、本肢は正しい。 3 管理費の滞納者が行方不明の場合にも、管理組合は、その者に対して滞納額の支払いを求める訴訟を提起することができる。 →○ 正。 民事訴訟法第4条第2項によると、人の普通裁判籍は、住所が知れないときは居所により、居所が知れないときは最後の住所によって定まる。よって、滞納者が行方不明の場合にも、滞納者の最後の住所地が判明していれば、その住所地に訴えを提起することができる。また、民事訴訟法(第98条〜第113条)では、当事者の住所、居所、その他送達すべき場所(就業場所等)が知れない場合には公示送達の制度がある。本肢は正しい。 4 滞納管理費について消滅時効の期間が満了した場合にも、管理組合は、滞納者に対して適法に支払いを請求することができる。 →○ 正。 民法第145条によると、時効は、当事者が援用(主張)しなければ裁判所が時効に基づいて判断することができない。消滅時効期間が経過した後に、債務者(滞納者)が消滅時効を援用(利益を受ける意思を表明)して初めて、管理費等請求権は確定的に消滅するのであり、それまでは、滞納者に対して、適法に支払請求をすることができる。 正解:1 |
第33問 |
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〔問 33〕 マンションの管理を受託している管理会社の責務に関する次の記述のうち、中高層共同住宅標準管理委託契約書によれば、適切なものはどれか。 (注:標準管理規約も改正があった。ここは旧のまま。) 1 宅地建物取引業者が管理組合の組合員からその専有部分の売却の依頼を受け、その媒介等の業務のために管理規約の提供を要求してきても、管理会社は、これに応じる必要はない。 →X 不適切。 中高層共同住宅標準管理委託契約書(以下、標準管理委託契約書という。)第15条第1項によると、管理会社は、宅地建物取引業者が、組合員から、当該組合員が所有する専有部分の売却等の依頼を受け、その媒介等の業務のために、管理規約の提供及び修繕積立金の積立総額の明示並びに当該組合員の負担に係る管理費及び修繕積立金の月額の明示を要求してきたときには、管理組合に代わって、これに応じるものとされている。これに応ずる必要はないとする本肢は不適切である。 2 管理会社が再委託した業務の適正な処理については、再委託された業者が直接管理組合に対して責任を負い、管理会社が責任を負うことはない。 →X 不適切。 標準管理委託契約書第4条第2項によると、管理会社が、委託業務を第三者に再委託した場合においては、当該管理会社は、再委託した業務の適正な処理について、管理組合に対して、責任を負うことになる。管理会社が責任を負うことはないとする本肢は不適切である。 3 管理会社は、電気料金、水道料金、ガス料金その他の料金の改定に伴う料金増額分の支出については、管理組合の事前の承認を受けないで行うことができる。 →○ 適切。 標準管理委託契約書第7条第3項第二号によると、管理組合の承認を受けないでも、電気料金、水道料金、ガス料金その他の料金の改定に伴う料金増額分の支出に係る業務について、実施することができる。本肢は適切である。 4 管理会社は、総会及び理事会の開催に必要な資料の作成、案内の通知及び会場の準備を行うほか、総会及び理事会に出席しなければならない。 →X 不適切。 標準管理委託契約書別表第一は、「管理会社は、管理組合の総会及び理事会の開催に際し、必要となる資料の作成、案内の通知、会場の準備等管理組合の総会及び理事会の運営の補助を行う」とする定める。しかし、本肢のように、管理会社は、総会及び理事会に出席しなければならないとの定めは、存在しない。 正解:3 |
第34問 |
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*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。 1 貸借対照表は、会計年度末における資産、負債及び正味財産の状況を示す報告書である。 →○ 正。 管理組合の「貸借対照表」は、管理組合の年度末時点における資産、負債及び正味財産の状況を示す報告書である。よって、本肢は正しい。 2 標準管理規約によれば、特別修繕費及び修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならないこととされている。(注:標準管理規約も改正があった。ここは旧のまま。) →○ 正。 中高層共同住宅標準管理規約(以下、標準管理規約という。)(単棟型)第27条第1項は、「管理組合は、特別修繕費を修繕積立金として積み立てるものとする。」と定める。そして、同条第4項は、「特別修繕費及び修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならない。」と定める。本肢は、このとおりであり正しい。 3 当期中に什器備品等を購入した場合には、支払いが翌期に行われても、当期の収支報告書においては支出として表示される。 →○ 正。 発生主義の原則とは、全ての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割当てられるように処理しなければならない、という原則である(企業会計原則 第2 損益計算書原則1A)。よって、当期中に什器備品等を購入した場合には、支払いが翌期に行われても、当期の収支報告書においては支出として表示されることになるので、本肢は正しい。 4 標準管理規約によれば、駐車場使用料の余剰は、修繕積立金として積み立てるほか、管理組合全体の管理費の不足分に充当することとされている。 (注:標準管理規約も改正があった。ここは旧のまま。) →X 誤。 標準管理規約(単棟型)第28条は、「駐車場使用料その他の敷地及び共用部分等に係る使用料(以下「使用料」という。)は、それらの管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てる。」と定める。よって、管理組合全体の管理費の不足分に充当することはできず、本肢は誤り。本問の正解肢となる。 正解:4 |
第35問 |
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〔問 35〕 下記の表は管理組合で作成される貸借対照表の例であるが、空白となっているA〜Dについて、貸借対照表の科目として適切な組合せは、次のうちどれか。 1 A 未払金 B 前受金 C 未収入金 D 前払金 1→X 誤。 まず、AからDの空欄に何が入るかを検討する。 3→○ 正。 選択肢1で述べたように、Aには、未収入金が、Bには、前払金が、Cには、未払金が、Dには、前受金がそれぞれ入る。よって、本肢のとおりであり、本問の正解肢となる。
正解:3 |
第36問 |
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*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。 (注:標準管理規約も改正があった。ここは旧のまま。) 1 標準管理規約によれば、窓枠及び窓ガラスは専有部分とされているので、当該部分の工事費用は、長期修繕計画に計上してはならない。 →X 不適切。 中高層共同住宅標準管理規約(以下、標準管理規約という。)(単棟型)第7条第1項は、「対象物件のうち区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付した住戸とする。」とし、第2項は、「前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおりとする。」とした上で、その第三号において、「窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。」とする。したがって、標準管理規約によれば、「窓枠」及び「窓ガラス」は、専有部分に含まれないことになる。よって、本肢は不適切である。 2 長期修繕計画においては、一般的な材質及び仕様による外壁塗装工事の修繕周期は、12〜18年程度である。 →○ 適切。 一般的な外壁塗装工事の標準的修繕周期は、12〜18年とされている。本肢は適切であり、本問の正解肢となる。 3 長期修繕計画は修繕積立金算出の根拠となっているので、その見直しは、頻繁では不都合であり、20年ごとが適正である。 →X 不適切。 標準管理規約(単棟型)コメント第31条関係第2項第三号によれば、全体の工事金額が定められたものであること。また、長期修繕計画の内容については定期的な(おおむね5年程度ごとに)見直しをすることが必要である。よって、20年ごとの見直しが適正とする本肢は不適切である。 4 標準管理規約によれば、エレベーターの保守点検に要する費用は、特別修繕費から支出するものとされている。 →X 不適切。 標準管理規約(単棟型)第26条は、「管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する。」と定め、その第三号において、「共用設備の保守維持費及び運転費」を挙げる。したがって、標準管理規約によれば、共用設備の保守維持費及び運転費は、通常の管理に要する経費として「管理費」から支出することになる。「特別修繕費」から支出するという本肢は不適切である。 正解:2 |
〔問 37〕 マンションの調査診断及び改修設計に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。 1 トップライトのガラス回りのシーリング材には、耐久性に優れたシリコーン系シーリング材を使用するのが適切である。 →○ 適切。 トップライトとは、天窓やルーフ窓とも呼ばれる屋根(上方)に取り付けられた窓のことで、同じ大きさの一般の窓と比べて3倍の採光が得られると言われています。スタイルとしては固定式と開閉式に分かれていて、開閉方法には手動式と電動式があります。シリコーン系シーリング材は、耐久性に優れるが、周辺の壁面を汚染させることもある。よって、トップライト・外壁などの場所において使用される。よって、本肢は適切である。 2 開放廊下の防水改修工法としては、こて押さえ型のウレタン樹脂塗膜防水工法が適切である。 →X 不適切。 こて押さえ型のウレタン樹脂塗膜防水工法は、施工時間を要する。長い時間、使用制限しにくい開放廊下の防水改修工法としてふさわしくない。超速硬化型のウレタン塗膜防水(吹き付け工法)などを検討したほうがよい。本肢は不適切である。 3 外壁タイル浮きの1次診断を行う場合には、その方法は、足場を組んで、テストハンマー等でたたいて全数調査を行うのが一般的である。 →X 不適切。 外壁タイルの浮きの1次診断は、初期の調査であるから、多額の費用を要する足場などを組むことは適切ではない。1次診断を行う場合には、外観の目視検査、部分打診からはじめるのが妥当である。よって、本肢は不適切である。 4 外壁コンクリートのひび割れ幅が0.3o以下のものは、雨漏りの原因とならないので、補修する必要はない。 →X 不適切。 ここは、平成20年 マンション管理士 試験 「問37」 選択肢2 でも出た。 正解:1 (こんな専門的な内容が分かるかな?) |
第38問 |
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〔問 38〕マンションの大規模修繕工事に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。 1 大規模修繕工事とは、工事期間が1ヵ月以上で、かつ、一戸当たりの工事費が50万円以上の工事をいう。 →X 不適切。 一般的に大規模修繕工事とは、工事内容や工事費、工事期間等が多大となる修繕工事のことをいう。工事期間や工事費はマンションの規模や構造、仕様などにより異なるため、具体的な数値を挙げ定義することはできない。よって、本肢は不適切である。 2 大規模修繕工事は、管理組合にとって必須の業務であるので、その実施には、必ず区分所有者及び議決権の各4分の3以上の賛成が必要である。(注:区分所有法第17条は改正された。ここは旧法のまま。) →X 不適切。 建物の区分所有等に関する法律第17条第1項本文は、「共用部分の変更(改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。」と定める。しかし、大規模修繕工事の全てが、重大な共用部分の変更に該当するとは限らないため、必ず区分所有者及び議決権の各4分の3以上の賛成が必要とはいえない。よって、本肢は不適切である。 3 標準管理規約によれば、大規模修繕工事を円滑に進めるために、理事会の諮問機関として、大規模修繕に専門的に対応する委員会を設置することとされている。(注:標準管理規約も改正があった。ここは旧のまま。) →X 不適切。 大規模修繕工事を円滑に進めるために、理事会の諮問機関として、大規模修繕に対応する委員会を設置することは望ましい。しかし、中高層共同住宅標準管理規約に、そのような定めは存在しない。よって、本肢は不適切である。 4 鉄筋コンクリート造マンションの外壁について、延べ面積300uを超える大規模の修繕を行う場合には、一級建築士でなければ、その設計をしてはならない。 →○ 適切。 建築士には、「この法律で「建築士」とは、一級建築士、二級建築士及び木造建築士をいう。」があり、 正解:4 (こんなところで、建築士法がでるとは、不適切な設問である。) |
第39問 |
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〔問 39〕 次の記述のうち、鉄筋コンクリートの劣化症状の説明として、適切でないものはどれか。 1 腐食した鉄筋の錆がひび割れ部分から流出して、仕上げ材又はコンクリートの表面に付着した錆汚れという症状 →○ 適切。 「錆汚れ」とは、腐食した鉄筋の錆がひび割れ部分から流出して、仕上げ材又はコンクリートの表面に付着する現象である。そして、「錆汚れ」は、コンクリートの劣化症状のひとつであるので、本肢は、鉄筋コンクリートの劣化症状の説明として適切である。 2 日光、雨水等の劣化外力によって、コンクリート表面の塗膜に粉末が生じ、白くなったチョーキングという症状 →X 不適切。 チョーキングとは、日光、雨水等の劣化外力によって、コンクリート表面など外壁の塗膜に粉末が生じ、白くなる現象である。しかし、この「チョーキング」は、直接的なコンクリートの劣化症状ではなく、表面塗膜の劣化症状のひとつである。しかし、いくらチョーキングしていても、塗装の厚みが規定通りあればすぐに塗り替えが必要とは一概に言えません。 3 コンクリート内部の部分的な膨張圧によって、コンクリート表面の小部分が円錐形のくぼみ状に破壊されたポップアウトという症状 →○ 適切。 ポップアウトとは、コンクリート内部の部分的な膨張圧によって、コンクリート表面の小部分が円錐形のくぼみ状に破壊される症状である。ポッアウトは、主に骨材に起因するもの、凍結融解作用に起因するもの、膨張材反応物質の混入に起因するものなどあります。
4 コンクリートの表面にセメント中の石灰等が水に溶けてしみだし、空気中の炭酸ガスと結合して白色の物質(エフロレッセンス)が生じた症状 →○ 適切。 エフロレッセンスとは、白華現象ともいわれ、コンクリートの表面にセメント中の石灰等が水に溶けてしみだし、空気中の炭酸ガスと結合して白色の物質が生じる症状である。そして、このエフロレッセンスとは、コンクリートの劣化症状のひとつであるから、本肢は、鉄筋コンクリートの劣化症状として適切である。 正解:2 |
第40問 |
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〔問 40〕 マンションのエントランス回りについて、高齢者に対応した改修を行う場合に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。 (注:「高齢者、身体障害者が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」は、廃止になった。平成18年、新しく「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」となった。ここは、元のまま。) 1 エレベーターホールヘのアクセスのための階段に、連続した手すりを設置した。 →○ 適切。 高齢者に対応した改修として、エレベーターホールへのアクセスのための階段に連続した手すりを設けることは適切である。(高齢者、身体障害者が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する告示(平成6年建設省告示第1987号)特定施設を高齢者、身体障害者が円滑に利用できるようにするための判断の基準(以下、同基準という。)参照)本肢は適切である。 2 エントランスからエレベーターホールヘのアクセスに高低差があるので、勾配が1/15のスロープを併設した。 →○ 適切。 高齢者に対応した改修として、エントランスからエレベーターホールへのアクセスに高低差がある場合、勾配が1/15のスロープを併設することは適切である。なお、前述建設省告示ではスロープの勾配は1/12を超えないように設置することとされている。(同基準参照)本肢は適切である。 3 車椅子での利用を考慮し、床は御影石(みかげいし)の表面磨き仕上げとし、壁と床を床材と同じ色調で統一した。 →X 不適切。 車椅子での利用を考慮した場合、床面積は粗面とし、又は滑りにくい材料で仕上げることが適切である。また、壁と床は色調を変え識別しやすい材料を使用するのが適切である。(同基準参照)よって、床は御影石の表面磨き仕上げとし、壁と床を床材と同じ色調で統一するという本肢は不適切であり、本問の正解肢となる。 4 エントランスヘの屋外アプローチ階段の踏面(ふみづら)に影ができないよう複数の照明を設けた。 →○ 適切。 高齢者に対応した改修として、エントランスへの屋外アプローチ階段の踏面に影ができないように複数の照明を設けることは適切である。(同基準参照)本肢は適切である。 正解:3 (ここは、あまり内容に詳しくなくても、御影石が滑りやすいと知っていれば、解答できる。) |
〔問 41〕マンションの避難施設等に関する次の記述のうち、建築基準法及び消防法の規定によれば、誤っているものはどれか。 1 片廊下型マンションの場合は、規模にかかわらず、廊下の有効幅員は、90p以上でなければならない。 →X 誤。 建築基準法施行令第119条によると、共同住宅(床面積100m2超)で、両側に居室がある廊下以外における廊下、すなわち片廊下型マンションの場合、廊下の有効幅員は、120p以上でなければならない。「90cm」以上とする本肢は誤りで、本問の正解肢となる。90cmでは狭い。なお、両側に居室がある中廊下型での廊下の有効幅員は、160cm以上です。 2 避難階段には、屋外に設けるものと屋内に設けるものとがある。 →○ 正。 建築基準法第35条並びに建築基準法施行令第123条によると、「避難階段」には、屋外避難階段と屋内避難階段とがある。よって、本肢は正しい。 3 バルコニーから隣戸へ避難する構造で、境界部分に仕切板がある場合は、それを容易に破壊などして通行できる措置が講じられていることが必要である。 →○ 正。 バルコニーから隣戸へ避難する構造で、境界部分に仕切板がある場合は、避難を容易にするため、容易に破壊などして通行できる措置が講じられていることが必要である。よって、本肢は正しい。 4 3階に直接地上へ通ずる出入口がある場合は、3階は避難階である。 →○ 正。 建築基準法施行令第13条の3第一号によると、「避難階」とは、直接地上へ通ずる出入口のある階をいう。周囲の状況によっては、2階や3階も避難階になる。よって、本肢は正しい。 正解:1 |
第42問 |
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〔問 42〕マンションの構造上の安全に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。 1 建築基準法の規定によれば、2以上の部分がエキスパンションジョイントのみによって接しているマンションは、構造計算上、それぞれ別の建物とみなされる。 →○ 適切。 「エキスパンションジョイント」とは、構造体が相互に力学上影響を及ぼし合わないようにする接続部分をいう。建築基準法施行令第81条第2項によると、2以上の部分がエキスパンションジョイントなどの構造方法のみで接している建築物は、構造計算において、それぞれ別の建築物とみなされる。よって、本肢は適切である。 2 ピロティ式構造のマンションは、1階にピロティを設けることにより、地盤から建物に伝わる地震の振動を軽減するように計画されたものである。 →X 不適切。 「ピロティ」とは、建物を支持する独立柱が立ち並ぶ開放空間をいい、マンションの場合、通常、1階が駐車場などに使われている柱のみの空間を指す。一般に耐震壁などを設けづらいため、地震には不利な構造である。本肢は不適切であり、本問の正解肢である。 3 平面が整形で、耐カ壁の配置を均等にし、各階ともに同一位置に配置されたマンションは、構造上の安全性に配慮されたものといえる。 →○ 適切。 平面の形がいびつでなく、耐力壁(耐震壁)を平面上、バランスよく配置し、上下階の位置をできるだけ一致させることは、地震に有利な建物となる。本肢は適切である。 4 耐震壁が平面上で縦横両方面につりあいよく配置されていない建物は、地震時にねじれ振動が生じやすい。 →○ 適切。 耐震壁が平面上で縦横両方面につりあいよく配置されていない建物は、地震時にねじれ振動が生じやすい。本肢は、このとおりであり適切である。 正解:2 |
〔問 43〕マンションの給水方式に関する次の記述のうち、増圧直結給水方式に当てはまるものはどれか。 1 水道本管から引き込んだ水を直接ポンプで加圧し、各住戸に給水する。 →○ あてはまる。 ここは、平成20年 マンション管理士 試験 「問43」 も参照。 (1)配水管からの水圧で給水する直圧直結給水方式 「増圧直結給水方式」は、水道本管から引き込んだ水を、直接増圧ポンプで加圧し、各住戸に給水する方式をいう。よって、本肢が増圧直結給水方式に当てはまり、本問の正解肢となる。なお、この方式は、地域によっては、引き込み口径の制限があるため、大規模のマンションには、使用することができない。 2 受水槽の水をポンプで加圧し、各住戸に給水する。 →X あてはまらない。 「増圧直結給水方式」は、水道本管から引き込んだ水を、直接増圧ポンプで加圧し、各住戸に給水する方式をいい、受水槽を必要としない。よって、本肢は、増圧直結給水方式にあてはまらない。なお、本肢はタンクレスブースター方式の内容である。 3 屋上タンクの水をポンプで加圧し、各住戸に給水する。 →X あてはまらない。 「増圧直結給水方式」は、水道本管から引き込んだ水を、直接増圧ポンプで加圧し、各住戸に給水する方式をいい、屋上タンクを必要としない。よって、本肢は、増圧直結給水方式にはあてはまらない。 4 水道本管から引き込んだ水をポンプで加圧し、圧カタンクに貯水した後、タンクから各住戸に給水する。 →X あてはまらない。 「増圧直結給水方式」は、水道本管から引き込んだ水を、直接増圧ポンプで加圧し、各住戸に給水する方式をいい、圧力タンクを必要としない。よって、本肢は、増圧直結給水方式にあてはまらない。なお、本肢は、圧力タンク方式の内容である。 正解:1 |
〔問 44〕 マンションの排水設備の通気に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。 1 伸頂通気管は、排水横枝管の上流部分に接続し、屋上に立ち上げ、大気に開口する管で、排水横管内の流れをよくするために設けられる。 →X 不適切。まず、 通気設備とは、使用後の不要な水を、建物内から排水管を設けて排水する設備が排水設備であり、その排水管から流れ出た先の水の溜り場所や、下水道で発生した悪臭や有毒ガスが、排水管の中を通り、建物内に入って来るのを防ぐために、排水管内の流水による気圧変動をなるべく少なくし、常に大気圧に近い状態にするため、通気管を設け、通気する設備が通気設備である。 そして、通気方式には、 「伸頂通気管」は、最上部の排水横枝管接続部から排水立て管を管径を縮小することなく延長しそのまま大気中に開放するもの。排水横枝管の下流に設ける。言い換えると、伸頂通気管は、 最上部の排水横管が排水立て管に接続した点よりも、さらに上方へその排水立て管を立ち上げ、これを通気管に使用する部分をいう。よって、本肢は不適切である。なお、排水立て管内の流れをよくするために設けるという点は正しい。 2 通気立て管は、その下端を排水立て管の下部又は排水横主管に接続し、その上端を屋上又はその近辺で大気に開口する管で、排水立て管の流れを円滑にする機能を有する。 →○ 適切。 「通気立て管」は、一方を排水立て管の下部、又は排水横主管に接続し、他方を大気に開口するか、又は伸頂通気管に接続する管である。排水立て管の流れをよくするために設ける。よって、本肢は適切であり、本問の正解肢となる。 3 単管式排水方式とも呼ばれている排水用特殊継手を用いた排水方式は、通気立て管、伸頂通気管ともに省略できる。 →X 不適切。 「排水用特殊継手」は、排水をらせん状にすることにより、排水の流れをスムーズにすることもあるが、通常、伸頂通気管を設けてトラップ封水を保護するものである。よって、伸長通気管は省略できない。本肢は不適切である。 4 通気立て管は、その一部を雨水立て管と兼用することができる。 →X 不適切。 「雨水排水立て管」は、汚水排水管若しくは通気管と兼用し、又はこれらの管に連結しないこととされている。(昭和50年建設省告示第1597号)。本肢は不適切である。 正解:2 (通気管は出題傾向が高いので注意のこと。でも、私もよく分からない。) |
〔問 45〕 マンションの電気設備に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。 1 一棟の契約電力の総量が50KW以上の場合には、変圧のために電力会社が電気室を借室するのが一般的である。 →○ 適切。 契約電力総量が50KW以上になる場合、変圧のために、電力会社が電気室を借室して(借室電気室)変電設備を設け、各住戸に低圧の電気を引き込むことが一般的である。よって、本肢は適切である。 2 住戸内に単相3線式の配線が行われていれば、100Vのコンセントのほか、大型の家電用に200Vの電源が使用できる。 →○ 適切。 「単相3線式」とは、住戸内に3本の線を引き込み、3本の線のつなぎ方によって、100Vと200Vの両方の電気を使うことができる引き込み方である。住戸内に単相3線式の配線が行われていれば、100Vのコンセントのほか、大型の家電用に200Vの電源が使用できるので、本肢は適切である。(参考;平成19年 マンション管理士 試験 「問45」、平成20年 マンション管理士 試験 「問45」) 3 地上8階建てのマンションには、消防活動上必要な設備として、共用部分に非常用コンセント設備の設置が法律上義務付けられている。 →X 不適切。 消防法施行令第29条の2及び別表第1(五)ロによると、「非常コンセント設備」は、地階を除く階数が11以上の防火対象物に設置しなければならない。よって、地上8階建てのマンションには、この設備の設置は、法律上義務付けられていないので、本肢は不適切である。本問の正解肢となる。 4 インバーター照明器具には、50又は60Hzの交流を直流に変換し、さらに高周波の交流に逆変換する装置がある。 →○ 適切。 「インバーター」とは、交流から直流に変換し、さらに交流(高周波)に変換する電子回路をいう。インバーター照明器具には、50又は60Hzの交流を直流に変換し、さらに高周波の交流に逆変換する装置があるとする本肢は正しい。ここは、平成18年 マンション管理士 試験 「問45」 、平成20年 マンション管理士 試験 「問45」 でも出ている。 正解:3 |
〔問 46〕 マンション管理士Aは、甲マンション管理組合の管理者等である。この場合における次の記述のうち、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」という。)の規定によれば、誤っているものはどれか。 *注:問46から問50までは、マンション管理士試験か管理業務主任者試験の合格者には免除される部分 です。また、この問46から問50は、「マンション管理適正化法」と同指針からの出題と決まっていますので、出題は似たような内容となります。過去問題は やっておくと楽です。 1 Aは、甲以外の管理組合の相談に応じることはできるが、甲に対する助言、指導等を行うことはできない。 →X 誤。 マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、適正化法という。)第2条第五号によると、マンション管理士は、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務とする者をいう。マンション管理士が、管理組合の管理者等であったとしても、特にマンション管理士としての業務内容を制限されることはない。よって、本肢は誤りで、本問の正解肢となる。 2 Aは、道路交通法に違反し、懲役の刑に処せられ、その刑の執行を猶予されたときは、その登録を取り消される。 →○ 正。 適正化法第33条第1項第一号並びに第30条第1項第二号によると、マンション管理士は、禁錮以上の刑である懲役の刑に処せられた場合は、その登録を取り消される。その刑の執行が猶予されたとしても、刑はあるわけで、前述の登録取消しを免れるものではない。よって、Aは、道路交通法に違反し、懲役の刑に処せられ、その刑の執行を猶予されたときは、その登録を取り消されるとする本肢は正しい。 3 Aは、管理者等の実務を経験したとしても、5年ごとの講習の受講義務を免除されない。 →○ 正。 適正化法第41条第1項並びに同法施行規則第41条によると、マンション管理士として登録をすると、5年ごとに講習を受講しなければならない。たとえ、管理者等の実務を経験した場合であっても、当該講習の受講義務を免除されるものではない。よって、本肢は正しい。 4 Aは、マンション管理士登録証を紛失してしまっても、マンション管理士の名称を使用することができる。 →○ 正。 平成25年 マンション管理士試験 「問48」 。 正解:1 |
〔問 47〕 マシション管理士の登録に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、マンション管理士の登録に必要な他の要件は満たしているものとする。 1 被補助人として家庭裁判所から補助開始の審判を受けた者は、その審判を受けた日から2年を経過しなければ、マンション管理士の登録を受けることができない。 →X 誤。 似たような出題は、平成20年 マンション管理士 試験 「問48」 にある。 2 マンション管理適正化法以外の法律に違反したとして罰金の刑に処せられた者は、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しなくても、マンション管理士の登録を受けることができる。 →○ 正。 適正化法第30条第1項は、「マンション管理士となる資格を有する者は、国土交通大臣の登録を受けることができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、この限りでない。」と定め、その第三号において、「この法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者 」を挙げる。したがって、適正化法以外の法律に違反したことにより罰金の刑に処せられた場合は、マンション管理士の登録欠格事由には該当しない。よって、本肢は正しい。 3 偽りの手段により管理業務主任者証の交付を受けたとしてその登録を取り消された者は、その取消しの日から2年を経過しても、マンション管理士の登録を受けることができない。 →X 誤。 選択肢2でも引用した適正化法第30条では、マンション管理士となる資格を有する者は、国土交通大臣の登録を受けることができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、この限りでない。」とし、その第五号において、「第65条第1項第二号から第四号まで又は同条第2項第二号若しくは第三号のいずれかに該当することにより第59条第1項の登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者」を挙げる。同法第65条第1項第三号によると、「偽りその他不正の手段により管理業務主任者証の交付を受けたとき」は、国土交通大臣は、その登録を取り消さなければならない。よって、偽りの手段により管理業務主任者証の交付を受けたとして管理業務主任者の登録を取り消された者は、その取消しの日から2年を経過するまではマンション管理士の登録を受けることができないが、その取消しの日から2年を経過した場合は、マンション管理士の登録を受けることができる。その取消しの日から2年を経過しても、マンション管理士の登録を受けることができないとする、本肢は誤りである。 4 不正の手段によりマンション管理業者の登録を受けたとしてその登録を取り消された法人の業務を執行する取締役は、その取消しの日に当該取締役を辞任すれば、その日から2年を経過しなくても、マンション管理士の登録を受けることができる。 →X 誤。 適正化法第30条第1項は、「マンション管理士となる資格を有する者は、国土交通大臣の登録を受けることができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、この限りでない。」とし、その第六号において、「第83条第二号又は第三号に該当することによりマンション管理業者の登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者(当該登録を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しの日前三十日以内にその法人の役員(業務を執行する社員、取締役又はこれらに準ずる者をいう。第三章において同じ。)であった者で当該取消しの日から2年を経過しないもの)」を挙げる。そして同法第83条第二号によると、偽りその他不正の手段により登録を受けたとき、国土交通大臣は、マンション管理業者の登録を取り消さなければならない。よって、不正の手段によりマンション管理業者の登録を受けたとしてその登録を取り消された法人において、その取消しの日に当該法人を辞任した取締役(役員)は、その取消しの日から2年を経過するまでは、マンション管理士の登録を受けることができない。その登録を取り消された法人の業務を執行する取締役は、その取消しの日に当該取締役を辞任すれば、その日から2年を経過しなくても、マンション管理士の登録を受けることができるという本肢は誤り。 正解:2 |
〔問 48〕 「マンションの管理の適正化に関する指針」において定められている「マンションの管理の適正化の推進のためにマンションの区分所有者等が留意すべき基本的事項等」に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。 1 マンション購入予定者は、売買契約だけでなく、管理規約、使用細則、管理委託契約、長期修繕計画等管理に関する事項に十分に留意する必要がある。 →○ 適切。 「指針」からの出題と、初めての受験生は、疑問に思う事でしょうが、この「指針」からも出題があるので、全文を手に入れて読んでおきましょう。 ここに近いのは、 平成22年 管理業務主任者試験 「問46」 。 2 区分所有者等は、マンションの居住形態が相隣関係等に配慮を要する住まい方であることを十分に認識し、進んで、集会その他の管理組合の管理運営に参加する必要がある。 →○ 適切。 適正化指針三、マンションの管理の適正化の推進のためにマンションの区分所有者等が留意すべき基本的事項等において、「マンションの区分所有者等は、マンションの居住形態が戸建てのものとは異なり、相隣関係等に配慮を要する住まい方であることを十分に認識し、その上で、マンションの快適かつ適正な利用と資産価値の維持を図るため、管理組合の一員として、進んで、集会その他の管理組合の管理運営に参加するとともに、定められた管理規約、集会の決議等を遵守する必要がある。」と定めている。よって、本肢は適切である。 3 区分所有者等は、定められた管理規約、集会の決議等を遵守する必要があるため、マンションの管理に関する法律等に関する理解を深める必要がある。 →○ 適切。 適正化指針三、マンションの管理の適正化の推進のためにマンションの区分所有者等が留意すべき基本的事項等において、選択肢2で述べた文章につづいて、「そのためにも、マンションの区分所有者等は、マンションの管理に関する法律等に関する理解を深める必要がある。」と定めている。よって、本肢は正しい。 4 専有部分の賃借人等の占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者等が管理規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務は負わないが、管理規約等に十分に留意しなければならない。 →X 不適切。 適正化指針三、マンションの管理の適正化の推進のためにマンションの区分所有者等が留意すべき基本的事項等では、「専有部分の賃借人等の占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、マンションの区分所有者等が管理規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負うことに十分に留意することが重要である。」と定めている。専有部分の賃借人等の占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者等が管理規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務は負わないとする本肢は誤りである。本問の正解肢となる。 正解:4 |
第49問 |
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〔問 49〕 マンション管理業者Aは、甲マンション管理組合及び乙マンション管理組合と管理受託契約を締結しており、甲に関してのみ修繕積立金等の返還債務について保証契約を締結している。この場合における次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものはどれか。 (注:平成22年5月1日施行で、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則87条は、大幅に改正がなされた。ここは、改正前につき注意すること。もうやらない方がいい。) 1 Aは、甲の修繕積立金等を収納代行方式により管理する場合は、徴収後1ヵ月以内にその期間内の管理事務に要した費用を控除した残額を甲の口座に移し換えるときに限り、自己の口座において、徴収した修繕積立金等を管理することができる。 →○ 正。 マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、適正化法という。)第76条は、「マンション管理業者は、管理組合から委託を受けて管理する修繕積立金その他国土交通省令で定める財産については、整然と管理する方法として国土交通省令で定める方法により、自己の固有財産及び他の管理組合の財産と分別して管理しなければならない。」と定める。これをうけ同法施行規則第87条第2項によれば、修繕積立金等は、管理組合や管理者名義の口座において管理しなければならない。しかし、同条第3項によれば、収納代行精算方式において、(1)保証契約を締結し、(2)徴収後1ヵ月以内に残額を管理組合名義の口座に移し換えるという要件を満たせば、マンション管理業者名義の口座において、修繕積立金等を管理することが認められる。よって、本肢は正しい。 2 Aは、乙の管理者等が選任されるまでの比較的短い期間であれば、乙の預貯金通帳とその預貯金通帳に係る印鑑を同時に保管することができる。 →○ 正。 適正化法施行規則第87条第4項本文によれば、マンション管理業者は、修繕積立金等を管理する場合において、管理組合等を名義人とする預金通帳とその印鑑を同時に管理してはならない。しかし、同項但し書によれば、マンション管理業者は、管理組合に管理者が置かれていない場合において、管理者が選任されるまでの短い期間であれば、管理組合等を名義人とする預貯金通帳とその印鑑を同時に保管することができる。よって、本肢は正しい。 3 Aは、乙の修繕積立金等を支払一任代行方式により管理する場合には、修繕積立金を1ヵ月以内にこれを管理するための別の乙の口座に移し換えるときに限り、乙の預貯金通帳とその預貯金通帳に係る印鑑を同時に保管することができる。 →X 誤。 適正化法第87条第5項によると、マンション管理会社は、保証契約を締結したときで、管理組合の修繕積立金等を支払一任代行方式により管理する場合には、修繕積立金を1ヵ月以内にこれを管理するための別の乙の口座に移し換えるときに限り、乙の預貯金通帳とその預貯金通帳に係る印鑑を同時に保管することができる。しかし、本肢では、乙については、保証契約が締結されていないので、マンション管理業者は、管理組合等を名義人とする預貯金通帳とその印鑑を同時に保管することができない。よって、本肢は誤りであり、本問の正解肢となる。 4 Aは、金融機関又は証券会社に、甲の有価証券の保管場所を自己の固有財産及び他の管理組合の財産である有価証券の保管場所と明確に区分させ、かつ、当該有価証券が甲のものであることを判別できるように管理させなければならない。 →○ 正。 適正化法施行規則第87条第2項によると、修繕積立金等が「有価証券」である場合は、マンション管理業者は、金融機関又は証券会社に、甲の有価証券の保管場所を自己の固有財産及び他の管理組合の財産である有価証券の保管場所と明確に区分させ、かつ、当該有価証券が甲のものであることを判別できるように管理させる方法により、当該有価証券を管理しなければならない。よって、本肢は正しい。 正解:3 (選択肢3は、本当に引っかけ問題で、適切な出題ではない。) |
〔問 50〕マンション管理業者Aは、管理者等が置かれている甲マンション管理組合及び管理者等が置かれていない乙マンション管理組合と管理受託契約を締結している。この場合における次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 Aは、甲の管理者等に対し、定期に、管理業務主任者をして、甲から委託を受けた管理事務に関する報告をさせなければならない。 →○ 正。 マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、適正化法という。)第77条第1項は、「マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれているときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。」と定める。よって、本肢は正しく、本問の正解肢となる。 2 Aは、甲から委託を受けた管理事務に関する管理事務報告書に、管理業務主任者をして、記名押印させなければならない。 →X 誤。 適正化法第77条第1項は、「マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれているときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。」と定める。そして、同法施行規則88条は、管理事務に関する報告を行うときは、マンションの管理の状況について一定の事項を記載した「管理事務報告書」を作成、交付しなければならないと定める。しかし、「管理事務報告書」に、管理業務主任者の記名押印は要求されていないので、本肢は誤りである。 3 Aは、乙の区分所有者等に対し、乙から委託を受けた管理事務に関する報告を行う場合は、説明会を開催し、管理業務主任者をして、その内容を説明させれば、管理事務報告書を乙の区分所有者等に交付する必要はない。 →X 誤。 適正化法第77条第2項は、「マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれていないときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。」と定める。そして、同法施行規則第89条第1項によれば、管理事務の報告に際しては、管理事務報告書を区分所有者等に交付しなければならない。よって、管理事務報告書を乙の区分所有者等に交付する必要はないとする本肢は誤りである。 4 Aは、乙から委託を受けた管理事務に関する報告の説明会開催日の1週間前までに、開催日時及び場所並びに管理事務報告書の概要を記した書面を乙の区分所有者等の見やすい場所に掲示しなければならない。 →X 誤。 適正化法第77条第2項は、「マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれていないときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。」と定める。そして、同法施行規則第89条第3項によると、管理事務の報告に関する説明会の開催にあたっては、説明会の「日時」及び「場所」を掲示しなければならない。しかし、「管理事務報告書の概要を記した書面」を掲示する必要はない。よって、本肢は誤りである。 正解:1 |
終わり |
最終更新日:
2012年 4月11日:解答の太字・ピンク色の統一。平成23年標準管理規約の改正を入れた。
2011年 4月30日:再再確認済。
2011年 4月27日:再確認中
2011年 2月11日:「問49」に財産分別管理の改正文入。
2009年 6月14日