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平成16年 マンション管理士 試験問題 及び 解説

試験日:平成16年(2004年11月28日:日曜日 13:00〜15:00 120分)

ページ2(問26より問50まで)

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ご質問は、 「マンション管理士 香川事務所」へ。


*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。
また、マンションの管理の適正化に関する指針も、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。

※ 出題当時以後の法令等の改正には一部対応していません。

※  マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
   マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。


問26

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

{問 26} 総戸数50戸の甲マンション管理組合の理事長Aが総会を招集したところ、会日の前日までに出席の回答をした組合員はAを含め9名、委任状提出者は6名であったので、Aは、出欠の意思表示がなされていない4名の組合員に電話をして出席の約束を取り付け、他の理事にも同様の働きかけを依頼した。この総会が成立するため、他の理事が出席の約束を取り付け、又は、委任状を集める必要がある最少の議決権数は、マンション標準管理規約(単棟型)(以下「標準管理規約」という。)によれば、次のうちどれか。ただし、甲の規約には、住戸1戸につき1個の議決権を有するものと定められており、出席の意思表示をした者は総会に出席するものとする。

1 5個
2 6個
3 7個
4 8個

標準管理規約第47条によれば、「総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない、」とされ、規約で議決権が住戸1戸に付き1個なら、総戸数50戸では議決権総数は50個となる。50個の半数以上は25個である。(注:会議の成立定数は、半数以上で、議事の決定は過半数です。)
既に出席する者は、
  理事長のAを含め9名 + 委任状提出者6名 + 電話の4名の組合員の 計19名であるから、あと6名で25名(個)となる。

正解 2

問27

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

{問 27} 甲マンション管理組合の総会当日、急病のため欠席した理事長に代わり副理事長が議長を務めた場合における委任状及び議決権行使書の取扱いに関する次の記述のうち、標準管理規約(電磁的方法が利用可能でない場合とする。)によれば、適切なものはどれか。


注:マンション標準管理規約は、平成23年7月に小幅な改正があり、第35条の役員の資格、総会での代理人の制限(第46条)などが変更になっているので注意のこと。ここは、旧のまま。

1. 組合員Aは、総会に出席した顔見知りの組合員Bを代理人とする委任状を理事長あてに提出していたので、副理事長は、Aの代理人としてのBの議決権行使を認めた。

→○ 適切である。 標準管理規約第46条「1項 各組合員の議決権の割合は、別表第5に掲げるとおりとする。
   2項  住戸1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使については、これら共有者をあわせて一の組合員とみなす。
   3項 前項により一の組合員とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければならない。
   4項 組合員は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。
   5項 組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、その組合員と同居する者若しくはその組合員の住戸を借り受けた者、又は他の組合員若しくはその組合員と同居する者でなければならない。(注:平成23年の改正で、5項は削除された。)
   6項  代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければならない。」とあり、
5項により、他の組合員Bは、代理人として適切である。また、6項によれば、代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければならないが、書面は、誰が代理人か知らしめることが必要なだけで本人が出してもかまわない。適切である。

2. 組合員Cは、他の組合員の賃借人であるDを代理人とする委任状を提出していたので、副理事長は、Cの代理人としてのDの議決権行使を認めた。

→× 適切でない。 選択肢1でも述べたように、標準管理規約第46条5項によれば、組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、その組合員と同居する者若しくはその組合員の住戸を借り受けた者、又は他の組合員若しくはその組合員と同居する者でなければならないので、他の組合員の住戸の占有者(賃借人D)は除外されている。不適切である。

3. 組合員Eは、総会開始直前に会場に現れ、理事長を代理人とする委任状を提出して帰ったので、副理事長は、そのまま、この委任状に基づき議決権を行使した。

→× 適切でない。 代理人は総会に出席して、議決権を行使しなければならない。そこで急病で欠席した理事長に対する委任状は行使できないため無効である。(参照:標準管理規約(単棟型)46条関係コメントC書面による議決権の行使とは、総会には出席しないで、総会の開催前に議案についての賛否を記載した書面を総会の招集者に提出することである。他方、代理人よる議決権の行使とは、組合員本人から授権を受けた代理人が総会に出席して議決権を行使することである。不適切である。
なお、組合員は、代理人により議決権を行使する場合は、第46条第5項に規定する者の中で、誰を代理人とするかについて主体的に決定することが望まれる。)
 しかし、ここの設問は、適切でない。具体的に個人名が記載された委任状で、その個人が欠席ならば、無効も妥当であるが、理事長としてあるだけなら、それは、総会の流れ(これも曖昧ですが)に従うという意思表示であり、完全に無効とすることは、検討の余地がある。
.

 注:それなら白紙委任状をどう扱うかがさらに問題となる。これは、平成19年 マンション管理士 試験 問27 を参照。

4. 組合員Fは、議決権行使書を電子メールで送信していたので、副理事長は、この議決権行使書を有効として処理した。

→× 適切でない。 電子メールは電磁的方法であり、設問のように電磁的方法が規約で認められていない場合には使用できない。不適切である。

正解 1

問28

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

{問 28} 甲マンション管理組合の理事長Aが、独断で、甲の修繕積立金を積み立てている乙銀行の口座を解約し、その一部をマンション入口のドアを自動ドアに改良する工事に充て、残額を丙銀行に預けたので、驚いた組合員Bは、他の組合員の署名を集め、Aに対して「銀行口座解約及びドア工事に関する件」を議案とする臨時総会の招集を請求したが、Aは招集しなかった。B及び他の組合員は、自ら上記議案に係る臨時総会を招集し、その総会において、全役員解任と新役員選任についてのみ決議した。この場合に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。ただし、臨時総会の招集及び成立に必要な要件は満たしているものとする。

1 Aについての解任決議は有効であるが、A以外の役員についての解任決議は無効である。

→× 適切でない。 標準管理規約47条9項によれば、「総会においては、第43条第1項(招集通知)によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができる」とされ、議案が「銀行口座解約及びドア工事に関する件」とする招集で、あらかじめ通知していない、別議案の役員解任と新役員選任の議案を決議することは出来ないのですべて無効。

2 Aは、新役員に、丙銀行の預金通帳及びその通帳に係る印鑑を引き渡さなければならない。

→× 適切でない。 選択肢1の説明のように、役員選任・解任決議は議案外で無効なため、Aは依然として理事長であり、通帳などの引渡しは不要。

3 乙銀行の口座を解約するためには、出席組合員の議決権の過半数の賛成による総会の決議が必要であった。

→○ 適切である。 標準管理規約48条「 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
   一 収支決算及び事業報告
   二 収支予算及び事業計画
   三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
   四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
   五 長期修繕計画の作成又は変更
   六 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
   七 第28条第2項に定める建物の建替えに係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し
   八 修繕積立金の保管及び運用方法
   九 第21条第2項に定める管理の実施
   十 区分所有法第57条第2項及び前条第3項第三号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任
   十一 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
   十二 区分所有法第62条第1項の場合の建替え
   十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
   十四 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
   十五 その他管理組合の業務に関する重要事項」とあり、
8号によれば、修繕積立金の保管及び運用方法は総会決議事項でありこれは、出席組合員の議決権の過半数の賛成の普通決議で決する。

4 このドア改良工事を行うためには、組合員総数の3/4以上及び議決権総数の3/4以上の賛成による総会の決議が必要であった。

→× 適切でない。 標準管理規約47条3項「次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。
   一 規約の制定、変更又は廃止
   二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)
   三 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起
   四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
   五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項」とあり、
2号によれば、敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は特別決議事項であるが、このドア改良工事の程度では「その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの」であり、組合員総数の3/4以上及び議決権総数の3/4以上の賛成は不要で
総会の普通決議でいい
<参考>標準管理規約(単棟型)47条関係コメント  ア)バリアフリー化の工事に関し、建物の基本的構造部分を取り壊す等の加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事は普通決議により、階段室部分を改造したり、建物の外壁に新たに外付けしたりして、エレベーターを新たに設置する工事は特別多数決議により実施可能と考えられる。

正解 3

問29

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

{問 29} 規約原本及び現に有効な規約に関する次の記述のうち、標準管理規約(電磁的方法が可能でない場合とする。)によれば、適切でないものはどれか。

1 規約原本とは、規約1通に区分所有者全員が記名押印したものをいい、その内容は、現に有効な規約の内容とは必ずしも一致しない。

→○ 適切である。 まず、規約原本とは何かを理解しておいてください。規約の案は、多くの場合、マンションの分譲会社が作成し、売買契約時に、管理規約(案)を添付し、本来なら、1冊の原本に順次購入者(区分所有者)が記名・押印すべきですが、それでは煩雑になるため、別紙の「承諾書」を各購入者から取得し、これをもって「規約原本」にしています。
  標準管理規約72条1項によれば、「この規約を証するため、区分所有者全員が記名押印した規約を1通作成し、これを規約原本とする」とされ、同3項「 規約が規約原本の内容から総会決議により変更されているときは、理事長は、1通の書面に、現に有効な規約の内容と、その内容が規約原本及び規約変更を決議した総会の議事録の内容と相違ないことを記載し、署名押印した上で、この書面を保管する」によれば規約改正のつど原本を作成することとにはなっていないから、規約原本が常に有効な規約内容を表している保証はない。一致していないこともある。

2 規約原本がなくても、初めて規約を設定した際の総会の議事録があれば、それが規約原本の機能を果たすことになる。

→○ 適切である。 マンションの分譲時に、選択肢1で述べた規約の「承諾書」がないときには、最初の総会の議題として、「管理規約の承認」を設定し、議決する方法もあります。
  規約原本はこの規約を証する機能を果たすために存在するので、規約を設定した際の総会の議事録でも同様の機能がある。(標準管理規約72条関係コメント「区分所有者全員が記名押印した規約がない場合には、分譲時の規約案及び分譲時の区分所有者全員の規約案に対する同意を証する書面又は初めて規約を設定した際の総会の議事録が、規約原本の機能を果たすこととなる。」参照)

3 総会で規約の変更が決議された場合、理事長は、変更された後の規約を記載した書面に総会の議長と議長が指名した出席組合員2名が署名押印したものを保管しなければならない。

→× 適切でない。 選択肢1でも述べたように、標準管理規約72条3項によれば、「規約が規約原本の内容から総会決議により変更されているときは、理事長は、1通の書面に、現に有効な規約の内容と、その内容が規約原本及び規約変更を決議した総会の議事録の内容と相違ないことを記載し、署名押印した上で、この書面を保管する。」しかし、出席組合員2名の署名押印は不要(注:総会の議事録には、議長と出席した区分所有者2名の署名押印が必要:区分所有法第42条3項。混同しないように。)

4 区分所有者又は利害関係人から書面により現に有効な規約の内容を記載した書面の閲覧請求があったときは、理事長は、その閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。

→○ 適切である。 標準管理規約72条4項「区分所有者又は利害関係人の書面又は電磁的方法による請求があったときは、理事長は、規約原本、規約変更を決議した総会の議事録及び現に有効な規約の内容を記載した書面又は記録した電磁的記録(以下「規約原本等」という。)の閲覧をさせなければならない。が、同5項によれば、「第2項及び前項の場合において、理事長は、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。」この場合、相当の日時、場所等を指定することができる。

正解 3  

問30

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

{問 30} A棟を含む3棟のマンションで構成されている甲団地管理組合(理事長B)で、A棟の共用部分から雨漏りが生じた。甲と当該団地を分譲した乙会社が話合いを行い、両者は、乙が雨漏りについて補修工事を行うこと、また、雨漏りにより専有部分に損害が生じていれば当該専有部分の所有者に対して損害の補償をすることで合意した。この場合に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約(団地型)によれば、適切でないものはどれか。

1.Bは、A棟の総会の決議を経なければ、乙と補修工事の契約を締結することはできない。

→× 適切でない。 団地では、一定の事項は、棟別総会の決議を経ることになっている。
  棟別の総会決議は、標準管理規約(団地型)72条「次の各号に掲げる事項については、棟総会の決議を経なければならない
  一 区分所有法で団地関係に準用されていない規定に定める事項に係る規約の制定、変更又は廃止
  二 区分所有法第57条 第2項、第58条 第1項、第59条 第1項又は第60条 第1項の訴えの提起及びこれらの訴えを提起すべき者の選任
  三 建物の一部が滅失した場合の滅失した棟の共用部分の復旧
  四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査の実施及びその経費に充当する場合の各棟修繕積立金の取崩し
  五 区分所有法第62条 第1項の場合の建替え
  六 区分所有法第69条 第7項の建物の建替えを団地内の他の建物の建替えと一括して建替え承認決議に付すこと」とある。

また、管理組合の業務は、標準管理規約(団地型)34条「管理組合は、次の各号に掲げる業務を行う。
  一 管理組合が管理する土地及び共用部分等(以下本条 及び第50条 において「組合管理部分」という。)の保安、保全、保守、清掃、消毒及びごみ処理
  二 組合管理部分の修繕
  三 長期修繕計画の作成又は変更に関する業務
  四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査に関する業務
  五 適正化法第103条 に定める、宅地建物取引業者から交付を受けた設計図書の管理
  六 修繕等の履歴情報の整理及び管理等
  七 共用部分等に係る火災保険その他の損害保険に関する業務
  八 団地建物所有者が管理する専用使用部分について管理組合が行うことが適当であると認められる管理行為
  九 土地及び共用部分等の変更及び運営
  十 団地修繕積立金及び各棟修繕積立金の運用
  十一 官公署、町内会等との渉外業務
  十二 風紀、秩序及び安全の維持に関する業務
  十三 防災に関する業務
  十四 広報及び連絡業務
  十五 地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成
  十六 管理組合の消滅時における残余財産の清算及び建物の取壊し時における当該棟に係る残余財産の清算
  十七 その他組合員の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保するために必要な業務」とあり、
雨漏りの補修は、 棟総会の決議事項でなく、管理組合の権限に属する。
  また、 標準管理規約(団地型)40条2項「理事長は、区分所有法に定める管理者とする。」によれば、管理者である理事長は、組合管理部分の雨漏りの補修の保存行為は単独でできる

2.甲は、団地総会の決議を経ることなく、乙と補修工事の契約を締結することができる。

→○ 適切である。 選択肢1で述べたように、標準管理規約(団地型)34条2号によれば、組合管理部分の修繕は管理組合の業務である。また、団地総会の決議は不要である。(参照:標準管理規約(団地型)50条)

3.補修工事と同時にA棟の外壁塗装工事を実施する場合、その実施につき、甲の総会で決議することができる。

→○ 適切である。 外壁塗装工事は、選択肢1でも述べたように、標準管理規約(団地型)34条2号に該当する団地管理組合の業務である。団地管理組合の管理対象となっている区分所有建物の工事は、団地管理組合の総会で決議できる。なお、この決議は、普通決議でいい(参照:標準管理規約(団地型)49条関係コメント オ) 計画修繕工事に関し、鉄部塗装工事、外壁補修工事、屋上等防水工事、給水管更生・更新工事、照明設備、共聴設備、消防用設備、エレベーター設備の更新工事は普通決議で実施可能と考えられる。)

4.専有部分に雨漏りによる損害が生じている場合、Bは、その補償金の受領をその職務の一環として行うことはできない。

→○ 適切である。 個人が所有している専有部分の損害賠償債権は当該個人に帰属し管理組合には帰属しないから、理事長Bは職務としてできない。

正解 1

問31

{問 31} マンション内において生じた紛争について、管理組合が原告として訴訟を提起することができるものは、区分所有法、民法及び民事訴訟法の規定によれば、次のうちどれか。

1.特定の区分所有者が専有部分内で騒音を発生させ、直下の居住者とトラブルとなっているため、その騒音の差止請求。

→× できない 裁判での訴訟を提起できるいわゆる「当事者適格」がマンションの管理組合にあるか、どうかをきいている。
     騒音発生が広範囲に及び共同の利益を害する程度に至るときは、区分所有法第57条の差止請求の対象となるが、上下階の二者間の問題に止まるときは二者間で解決すべき問題。通常は直下の居住者による所有権または人格権に基づく差し止めの問題で、共同の利益に反する行為とはいえず、管理組合には当事者適格がない。

 (騒音被害では、共同の利益に反する行為と言い難いとした判例:東京地裁八王子支部、平成8年7月30日、がある。これによると騒音問題は、あくまでも当事者間の問題で、管理組合は原告になれない。) (参考:平成19年マンション管理士試験 問10)

2.管理会社から派遣された管理員が、犬の飼育を禁止している規約の規定に違反して区分所有者が飼っている犬にかまれてけがをしたため、その損害賠償請求。

→× できない。 加害者たる飼い主と被害者たる管理員間の不法行為に基づく損害賠償の問題で、管理組合には当事者適格がない。

3.特定の専有部分の区分所有権につき複数の者が区分所有権を争っているため、管理の必要上行う区分所有者の確認請求。

→○ できる 確認請求は、給付の訴えとは異なり、その対象が無限に拡がり得る。そこで確認の訴えをなし得る場合を限定する必要がある。確認の訴えは、原告が自己の権利又は法律的地位について危険・不安があり、原告・被告間で確認判決をすることが有効・適切であるかぎり認められると解される。専有部分の区分所有権の帰属は組合員の地位の問題であり、管理組合にとって誰が組合員であるかは管理費請求等の組合員の組合に対する義務の履行者を決定し、議決権の行使を認める相手方を決定するのに重要であり、利害関係を持つので、この確認訴訟の当事者適格がある。

4.特定の専有部分の占有者が占有権限のないことが疑われるため、管理の必要上行う占有権限の確認請求。

→× できない。 選択肢3でも述べたように、確認の訴えは、原告が自己の権利又は法律的地位について危険・不安があり、原告・被告間で確認判決をすることが有効・適切であるかぎり認められると解される。専有部分の占有者は管理組合の部外者であり、原則としてその決定は管理組合の利害にはかかわらないから、管理組合には当事者適格がない。

正解 3 (1が正解かも?) 最終解答 3 です。(かなりの難問。)

問32

{問 32} 管理者が区分所有者に対して管理費の支払を請求する訴訟を提起し、第一審の勝訴判決を得て、その判決が確定した場合に関する次の記述のうち、区分所有法、民事訴訟法、及び民事執行法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 管理者が区分所有者の区分所有権につき強制競売の申立てをするためには、当該区分所有者に弁明の機会を与える必要がある。

→× 誤っている。 引っ掛けの設問に注意のこと。ここでは、「管理費の支払請求」で勝訴の判決を既に得ている。
  判決確定後、強制執行として競売手続の申立てをするにあたって、区分所有法で規定するような債務者に弁明の機会を与える必要はない(民事執行法第4条、第45条第1項)。

2 口頭弁論の終結前に専有部分の譲渡を受けた特定承継人の財産に対しては、別途債務名義を得なければ、強制執行することができない。

→○ 正しい。 口頭弁論終結後の承継人に判決の効力は及ぶが(民事訴訟法第115条1項3号)、口頭弁論終結前の承継人に対しては規定がない。特定人に対して金銭の支払いを命ずるのであり、特定承継人は別人であるからこの者に執行するためにはこの者に対する判決が必要。

3 判決が言い渡され、区分所有者が判決書の送達を受けた後に所在不明になったときは、確定判決の効力として、例外的に自力執行が認められる。

→× 誤っている。 民事の執行は、申し立てにより、裁判所又は執行官が行う。確定判決の効力としても、自力執行は認められていない。

4 管理者は、確定判決に基づき強制競売の申立てをした場合には、先取特権に基づく競売の申立てをすることができない。

→× 誤っている。 民事執行法第47条によれば、担保権の実行としての競売開始決定後の強制競売の開始決定は妨げられず、担保権の実行としての競売手続きでも準用されている(民事執行法第188条)。よって、強制競売の申し立てをした場合でも、先取特権に基づく競売の申し立てはできる。片方が取り下げられたり却下される可能性もあり、売却・配当手続きが配慮されれば禁止する理由もない。

正解 2 (難問である。民事執行法まで出題されるとは。)

問33

{問 33} 甲マンション管理組合と管理委託契約を締結している乙マンション管理業者が、事前に甲の個別の承認又は指示を受けずにできる業務は、マンション標準管理委託契約書によれば、次のうちどれか。ただし、出納の業務については、支払一任代行方式によるものとする。


(注)マンション標準委託契約書は、平成22年(2010年)5月1日施行で、改正があったので、注意のこと。ここは、改正前のまま。


1 利害関係人からの書面による総会議事録の閲覧請求を受け付け、求めに応じてその写しを提供すること。

→× できない。  本来、規約や総会議事録の提供・閲覧は管理組合か売主の組合員が行うものであるが、標準管理委託契約書では、第14条「乙は、宅地建物取引業者が、甲の組合員から、当該組合員が所有する専有部分の売却等の依頼を受け、その媒介等の業務のために管理規約の提供及び次の各号に掲げる事項の開示を求めてきたときは、甲に代わって、当該宅地建物取引業者に対し、管理規約の写しを提供し、及び各号に掲げる事項を書面をもって開示するものとする。」とあり、宅地建物取引業者に対しては、管理規約の写しや管理費などの開示が出来るが、単純な利害関係人に、総会議事録の写しを提供するのは、管理組合から個別に指示を受けなければならない。

2 管理費等の滞納者に対して、電話若しくは自宅訪問又は督促状の方法により督促をしてもその滞納者が支払わない場合に、内容証明郵便で督促をすること。

→× できない。  滞納費など債権の回収の主体は、あくまでも、管理組合である。マンションの管理業者は主体ではない。標準管理委託契約書第10条1項 別表第1・1基幹事務 (2)出納 A管理費等滞納者に対する督促 「二 甲の組合員が管理費等を滞納したときは、支払期限後○月の間、電話若しくは自宅訪問又は督促状の方法により、その支払の督促を行う。」「三 二の方法により督促しても甲の組合員がなお滞納管理費等を支払わないときは、乙はその業務を終了する。」となっているので、内容証明郵便で督促することは、管理組合から個別に指示を受けなければならない。

3 甲名義の収納口座から、乙自身が受領する事務管理業務費、管理員業務費等の定額委託業務費を支払うこと。

→○ できる。 出納が支払一任代行方式である。標準管理委託契約書第6条「甲は、管理事務として乙に委託する事務(別表第1から別表第4までに定める事務)のため、乙に委託業務費を支払うものとする。」とあり、 別表第1コメントH「支払一任代行方式における甲の収納口座からの支払については、「管理に関する費用」として、乙は甲からの支払委託により包括的に承認を受けていると考えられる。」ので出来る。(ここのコメントは、平成22年に改正されているので注意のこと。)

4 甲の余裕資金について、必要に応じ、定期預金、金銭信託等の運用益の高い金融商品に振り替えること。

→× できない。  標準管理委託契約書 別表第1 1基幹事務 (2)出納 B通帳等の保管等 「四 甲の管理費等のうち余裕資金については、必要に応じ、甲(管理組合)の指示に基づいて、定期預金、金銭信託等に振り替える。」ので、管理組合から個別に指示を受けなければならない。

正解 3

問34

{問 34} 管理組合の会計に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。ただし、会計処理は、発生主義の原則によるものとする。

1.当月に納入された滞納管理費等は、当月の収入に計上しなければならない。

★発生主義ということ ―この発生主義は重要です―

  全ての費用・収益は、その支出・収入に基づいて計上し、その発生した期間
     *収入については、請求権が生じた月、
     *支出については、支出が労役などの提供又は工事などである場合は、その労役などの提供又は工事等が完了した月、物品の購入なら、その物品が納入された月
    に正しく割り当てるように処理すること。

 これにより、管理費や修繕積立金は該当月に徴収することになっているなら、未収入金(滞納)があっても、全額計上されている。
 また、会計上の書類として、「貸借対照表」と「収支報告書」があることを理解すること。

→× 適切でない。 滞納管理費等は、請求された月に、既に未収金として計上されているので、貸借対照表の資産の当月の未収金の入金となる。当月に納入されても当月の収入とならない。

2.会計期間内に現金勘定又は預金勘定から支払いが行われた取引は、その会計期間の収支報告書に費用として計上する必要がある。

→× 適切でない。 「現金勘定」「預金勘定」とも、貸借対照表の資産であるので、収支報告書には計上されない。具体的に修繕費とか管理委託費用として支出には記載される。

→× 適切でない。 発生主義によると、会計期間内に現金勘定又は預金勘定から支払が行われた取引は、実際に支払った期間ではなく、発生した期間に割り当てられる。その会計期間の収支報告書に費用として計上するとは限られない。

3.年度当初に計画された点検、清掃及び改修工事が行われていない場合には、見積書により未払金を計上しておく必要がある。

→× 適切でない。 発生主義の原則では、実際の取引が発生している場合で、その支払いがない場合に未払金を計上するので、計画・予算化されていても、実際に「点検、清掃及び改修工事が行われていない」場合は、未払金として計上しない。

4.収支報告書上の次期繰越収支差額の金額と貸借対照表上の現金及び預金の残高合計とは、通常合致しない。

→○ 適切である。 そのとおり、通常合致しない。似たような出題が、平成20年 マンション管理士 試験 「問34」 選択肢3 にある。
   収支報告書は、一会計年度内の収支状況を示すものであり、貸借対照表とは会計年度末における管理組合の財産の状況を示すものである。収支報告書の”次期繰越収支差額”は、貸借対照表の”正味財産”と通常は一致するもの。(例外として、資金の外にある積立保険金がある場合には、”次期繰越収支差額”は、”正味財産”と一致しないようだ。) 参考:平成21年マンション管理士試験 「問34」 選択肢4 


参考までに:比較貸借対照表を載せます。

正解 4

問35

{問 35} 甲マンション管理組合では、平成15年度(会計年度は4月1日から翌年3月31日までとする。)の決算作業中に、ア及びイの事実が判明したため、その決算において適切な会計処理を行った。これに伴い、平成16年度に甲が行うべき仕訳は、次のうちどれか。ただし、平成16年4月に行ったイの仕訳は取り消さず、追加の仕訳で対応するものとし、会計処理は、発生主義の原則によるものとする。

ア 平成16年3月に普通預金口座に入金され、平成16年3月分の管理費収入として処理した100,000円については、平成16年4月分の管理費であった。

発生主義については、前「問34」を参照。

*本来、3月において処理する4月分の管理費の入金は、前受金として、資産の増加で借方に、管理費の収入の増加で貸方に記帳する。

平成16年3月31日における正しい会計処理を推定する。
まず、平成16年3月31日における誤った仕訳は以下のとおりであったと考えられる。

(借方)            |  (貸方)
普通預金   100,000  | 管理費収入 100,000

したがって、修正仕訳は、次のとおりとなる。

(借方)            |  (貸方)
管理費収入  100,000  | 前受金   100,000

これを元に平成16年3月31日においてすべきであった正しい仕訳を推定すると以下のようになる。

(借方)           |  (貸方)
普通預金  100,000 |  前受金   100,000

以上をもとに、平成16年4月1日における仕訳を導き出す。

(借方)          |   (貸方)
前受金  100,000  |  管理費収入   100,000

イ 平成16年3月に実施された特別清掃に係る費用300,000円について、平成16年4月に特別清掃費として計上され、普通預金で支払う内容の仕訳伝票が起こされていた。

*3月に発生しているが、3月ではまだ、清掃費は払っていないので、未払金として費用の増加で借方に、相手勘定としては、特別清掃費として負債の増加で借方に記帳。

平成16年3月31日においてすべきであった正しい仕訳を推定すると以下のようになる。

(借方)           |  (貸方)
特別清掃費  300,000 | 未払金   300,000

以上をもとに、平成16年4月1日における仕訳を導き出す。

(借方)            |  (貸方)
特別清掃費  300,000 |  普通預金   300,000

したがって、以下のような追加仕訳が必要となる。

(借方)          |    (貸方)
未払金  300,000  |  特別清掃費   300,000

ア、イについてのそれぞれの結論と一致する仕訳は以下のとおりである。

(借方)           |  (貸方)
普通預金  100,000  | 管理費収入   100,000
未払金   300,000  | 特別清掃費   300,000

1.     (借方)               (貸方)

    普通預金  100,000     管理費収入 100,000
    特別清掃費 300,000     未払金   300,000


2.    (借方)            (貸方)

     普通預金  100,000    管理費収入 100,000
     未払金   300,000    特別清掃費 300,000


3.     (借方)             (貸方)

      前受金   100,000     管理費収入 100,000
     特別清掃費 300,000     未払金   300,000


4.    (借方)             (貸方)

     前受金   100,000     管理費収入 100,000
     未払金   300,000     特別清掃費 300,000

正解 4   (設問が悪すぎる。簿記の問題レベルで、推定の処理も含まないとできないのは、マンション管理士・管理業務主任者試験の出題としては、ひどい!)

問36

{問 36} マンションの長期修繕計画の作成又は変更に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

1.標準管理規約によれば、修繕工事の実施前に行う建物診断は、長期修繕計画の対象に含まれない。

→× 適切でない。 標準管理規約第32条コメントB「長期修繕計画の作成又は変更及び修繕工事の前提として、劣化診断(建物診断)を管理組合として併せて行う必要がある。」とある。

2.計画期間を20年から25年に伸ばす変更を行う場合、これに合わせて修繕周期も伸ばす必要がある。

→× 適切でない。 計画期間を伸ばしても、修繕周期を伸ばす必要性、合理性は無い。修繕周期は、対象の箇所ごとに適切な周期がある。

3.標準管理規約によれば、窓及び玄関扉等の開口部の改良工事は、長期修繕計画の対象となる工事に含まれる。

→○ 適切である。 標準管理規約第32条コメントA「2 計画修繕の対象となる工事として外壁補修、屋上防水、給排水管取替え、窓及び玄開扉等の開口部の改良等が掲げられ、各部位ごとに修繕周期、工事金額等が定められているものであること。」とある。

4.保護アスファルト防水工法で施工した屋根の修繕周期は、露出アスファルト防水工法で施工した場合に比べ一般的に短い。

→× 適切でない。 まず、アスファルト防水とは、 ビルの屋上は平坦で、人が歩けるようにできていますが、室内に雨が漏れないように防水層が作られています。新築時に多い防水仕様は、アスファルト防水熱工法と呼ばれるもので、合成繊維にアスファルトを含浸させたルーフィングというシートを、溶解したアスファルトを接着剤として、何枚か重ね張りして防水層を形成するものです。そして、その上に日射や歩行から防水層を保護する押さえ層というものを乗せることが多く、コンクリートを薄く張ってそれにあてるのが一般的です。 その寿命は、押さえのコンクリート層がある場合(保護アスファルト防水工法)で約20年、防水層の露出している場合(露出アスファルト防水工法)は15年ほど。修理方法には、既存の層をすべて排除して新しく敷きなおす場合と、これまでの部分はそのまま残し、その上から新たな防水層を重ねていく2種類がある

  保護アスファルト防水工法で施行した屋根の修繕周期はおよそ18年から20年であり、露出アスファルト防水工法で施行した場合の修繕周期は12年である。保護アスファルト防水工法の方が、露出アスファルト防水工法に比べ一般的に長い。(参照:「マンション管理の知識:3訂版」 P.523から)

正解 3  (この辺りの出題の参考書は「マンション管理の知識」です。)

問37

{問 37} マンションの外壁タイルの劣化現象又は劣化診断に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1. タイルの劣化状況を目視調査する項目としては、剥落、欠損、ひび割れ、白華現象及びはらみがある。

→○ 適切である。 このあたりは、よく出題される。 平成20年 管理業務主任者 試験 「問26」 、平成19年 マンション管理士 試験 「問37」 など。
   そのとおり。なお、白華現象とは、エフロレッセンスともいわれ、張りつけ用のセメントモルタル中の水酸化カルシウムが晶出したもので、タイルの背面に浸入した雨水の影響によるものです。門柱や外壁・擁壁などに張ったタイルが、塩を吹いたようになることをいいます。雨水はタイルの目地から浸入する場合、擁壁のように壁の背後から水が浸出してくる場合のほか、バラペット上部の水切りが不完全で、壁の上部から雨水がはいる場合などがあります。


 従来のタイル張り工法でなく、混和剤(接着剤)を含んだ張りつけモルタルを用いた、改良庄着張り工法で張ったものは、このような白華現象を起こすことが少ない。また目地材についても、防水性の目地セメントが開発されていますのでその目地材を使うと良いでしょう。

2. 壁面に伸縮調整目地を適切な間隔で設けない場合は、タイルに生じるひずみの影響により、剥離を生じることがある。

→○ 適切である。 そのとおり。タイルなどは、外気温度により、伸縮するので、調整用の目地(すきま)を設けて、伸縮を調整します。

3. タイルのひび割れは、その下地のモルタルやコンクリートが原因であることが多い。

→○ 適切である。 そのとおり。タイル下地とはモルタルで、タイルを張る前にコンクリートの上に周辺とのレベルあわせ、不陸合わせ(凸凹をなくする)するためにモルタルで下地を作ります。
そのモルタルが収縮クラック(長期間に乾燥が進む段階での縮みによるひび割れ)を起こしたことが原因という考えが一番考えやすいです。

4. 赤外線法によるタイルの浮きの調査は、その結果が気象条件による影響を受けやすいため、日照及び温度変化の少ない日に行う必要がある。

→× 適切でない。 逆である。赤外線法は、外壁に赤外線を照射し、センサーを用いて温度を測定して、モルタルやタイルの浮いている部分を特定する、モルタルやタイルの浮き部分の調査方法である。
日照及び温度変化の大きい日が適しており、「日照及び温度変化の少ない日に行う必要がある」という記述は間違っている。(参照:「マンション管理の知識:3訂版」 P.580から)

 参考:平成21年マンション管理士試験 「問38」 、 平成18年マンション管理士試験 「問37」 など。

 理由は;外壁面は直射日光が当たると表面温度が上昇する。外壁の仕上げがモルタルやタイルの場合、この温度上昇の度合いは、モルタルやタイルの浮いていると部分のほうが、浮いていない健全な部分よりも、大きい。下地と仕上げのモルタルやタイルとの間に生じた空気層は熱伝導が小さいため、表面仕上材のモルタルやタイルの熱エネルギーが伝達されずに蓄積されることに起因する。

正解 4 

問38

{問 38} マンションの改修工事の方法に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1. 既存サッシを撤去せずに新規のサッシを取り付けるには、既存サッシの外側に施工する方法と内側に施工する方法がある。

→○ 適切である。 既存のサッシを二重にする二重サッシ工法があり、外付け、うち付けともできる。たとえば、うち付けは、今あるサッシの内側に、もう1セット、専用サッシを取り付けるという方法で、マンションのリフォームで大活躍しています。防音性と断熱性が高まる。

2. 電気を低圧引込みから高圧引込みに変更する場合、100戸を超える規模のマンションに一般的に用いられるものとして、集合住宅用変圧器方式にする方法がある。

→× 適切でない。 集合住宅用変圧器方式は、パットマウント方式ともいわれ、電力会社の借室電気室を不要とする高圧引き込みの変圧器として、開発され、採用事例が増えている。この方式は、50〜70戸程度以下の集合住宅が適用範囲であり、100戸を超える規模の集合住宅は適用範囲外であり、借室電気室が必要である。 (参照:「マンション管理の知識:3訂版」 P.545から)

3. 給水管及び排水管のいずれについても、更生工法により配管を延命させる方法がある。

→○ 適切である。 配管の延命策として、エポキシ樹脂ライニング工法(使用中のパイプ内の錆やスケールを圧縮空気又は、圧縮水等で研磨材やピグを管内に送り込み管内面をクリーニングし、さらに特殊な専用のエポキシ樹脂等で管内をライニングするもの)や理化学的防食手法がある。

4. エレベーターを取り替えるには、専用機械室を必要としない方法がある。

→○ 適切である。 設問のような、専用機械室を必要としない方法、マシンルームレス式がある。ここは、平成21年マンション管理士試験 「問45」 選択肢4 でも出ている。
    (参照:「マンション管理の知識:3訂版」 P.568から)マシンルームレスエレベーターは、エレベーターの巻上機を昇降路のピットに、制御盤を乗場または塔内に配置することで従来の「ロープ式」「油圧式」に不可欠だった機械室を無くした、次世代型のエレベーターです。機械室を無くすことにより、省スペース、省エネルギー、建築コストの削減はもちろんのこと、昇降路の位置を自由に設計できるので建築物の屋根や、外観など意匠設計の自由度が向上します。また、運転性能の向上、走行騒音の低下、廃油処理が必要なくなることにより地球環境に優しい移動環境を構築します。このような特性を持つマシンルームレスエレベーターは建物設計の段階から様々な発想を生み、私たちの生活を、より快適なものへと進化させていきます。これからエレベーターは、徐々にマシンルームレスエレベーターへ移行し、次世代エレベーターの本流となっていきます。

正解  2 (少し難問?)

問39

{問 39} マンションの修繕工事の施工方法に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

1. コンクリート打放し仕上げの外壁の修繕工事におけるエポキシ樹脂注入工法は、ひび割れ幅が1mmを超え、挙動の大きいひび割れ部に用いられる。

→× 適切でない。 ここは、平成20年 マンション管理士 試験 「問37」 でも出た。
   適切でない。エポキシ樹脂注入工法は、ひび割れ幅が小さい0.1mm(通常は0.2mm)以上1mm以下のひび割れの補修方法で、ひび割れ幅の変動する活性ひび割れの場合には、伸びちじみに対応できる弾性エポキシ樹脂を採用する。
挙動とは、割れが広がったり縮 まったりしようとする動きです。
設問にある、ひび割れ幅1mm以上のひび割れの場合には、エポキシ樹脂注入工法ではなく、表面をU形にカットし表面をシールするUカットシール工法を用いる。ひび割れの挙動にも追従できる。

2. 塗り仕上げ外壁の既存塗膜を除去するには、電動工具、高圧水又は剥離剤が用いられる。

→○ 適切である。 既存塗膜の除去処理については、高圧水洗や剥離剤を使用する方法、機械工具よる方法がある。 

3. シーリング材の施工に用いられるマスキングテープは、シーリング材が十分硬化した後に除去する必要がある。

→× 適切でない。 マスキングテープは、シーリング材がシール部周囲を汚損することを防止するために、シール部周囲に貼るものでテープ状の養生材である。シーリング材が硬化すると剥がれにくいため、シーリング材が硬化する前に除去する。

4. 屋根の防水層に砂付あなあきルーフィングを用いる場合、下地面と絶縁させて防水層の破断を防ぐため、砂付き面は上向きに施工する必要がある。

→× 適切でない。 砂付きルーフィング(すなつきルーフィング)とは、古紙やぼろ布などからなる有機質天然繊維や合成繊維あるいはガラス繊維などで作られる原紙または原反に、アスファルトを含浸・被覆し表面に粗目の砂粒を密着させ、裏面には鉱物質細紛を添着しシート状にしたもの。

 通常はロール化されており、主として露出防水層の仕上げ材として使用される。砂付あなあきルーフィングは、砂付面を下側にして施工する

正解 2 

問40

{問 40} マンションの耐震性又は地震による揺れに関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1. 建物の耐震性能を高めるためには、重心と剛心とをできるだけ離した方がよい。

→× 適切でない。 耐震は、平成21年マンション管理士試験 「問41」 でも出ている。
   重心とは建物平面形状の中心をいい、剛心とは水平力に対抗する力の中心をいう。建物の重心と剛心が離れていると地震時に建物が捩じられて揺れが大きくなり、耐震性能に悪影響を及ぼすことがある。建物の耐震性能は、重心と剛心の距離が小さいほう(できるだけ近づける)が、より優れている。

2. 屋上に突出して設置する水槽などの建築設備は、地震の震動による影響をうけやすい。

→○ 適切である。 そのとおり。屋上に突出して設置する水槽などは、建物自体の振動と異なった振動を受けるために、特に転倒防止などが必要。(参照:平成19年 管理業務主任者試験 問28

3. 免震構造は、建物の土台等に免震装置を設けて地震力が建物に伝わらないようにするものであるのに対し、制震構造は、建物の骨組み等に制震装置を設けて地震力を吸収するものである。

→○ 適切である。 そのとおり。免震構造は、建物の土台に積層ゴムやダンパーを設けて、地震力が建築物に伝わらないようにする。制震構造は、建築物の骨組みなど、建物内部にダンパーなどの減衰装置を組み込み、建築物のゆれを抑える。

4. 1階にピロティを持つ既存建物に耐震補強を行う場合は、1階に耐震壁や鉄骨ブレースを新設する方法が有効である。

→○ 適切である。 1階がピロティ形式(建物を柱だけで支え、壁のない階をもつ建物のこと。ピロティ形式の建物の多くは、その部分を駐車場や駐輪場として利用する。また、1階部分が自由に通り抜けできるようになった建築スタイルのことも「ピロティ」という。なお、ピロティとはフランス語で「杭(くい)」の意。)になっていると、揺れに弱い。そこで、耐震壁や補強ブレース(ななめの筋交い)で強化する。

正解 1 

問41

{問 41} マンションのバリアフリーに関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。


 (注:「高齢者、身障者等の移動の円滑化の促進に関する法律」(バリアフリー新法とも)は、大幅な改正と統合で平成18年12月から施行されています。ここの、出題は、改正に影響されません。)


1. 住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく日本住宅性能表示基準では、マンションの主に建物出入口から住戸の玄関までの間における高齢者等への配慮のために必要な対策の程度が定められている。

→○ 適切である。 そのとおり。(参照:品確法第3条1項、平成13年国土交通省告示第1346号9 に「高齢者等への配慮に関すること」として定められている。)

2. 高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律に基づく認定建築物であるマンションは、容積率の特例が認められている。

→○ 適切である。 バリアフリー新法は、平成20年 管理業務主任者 試験 「問23」 で出た。また、平成21年管理業務主任者試験 「問44」 選択肢1 でも出ている。
    バリアフリー対応の係わる利用円滑化誘導基準に適合するとの認定を受けた特定建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、廊下、階段、エレベーター等の特定施設の床面積のうち、通常の建築物の特定施設の床面積を超えることとなる部分の床面積(延べ面積の1割を上限とする。)は、算入しないものとする。

  (参照:「高齢者、身障者等の移動の円滑化の促進に関する法律」(バリアフリー新法)第19条 (認定特定建築物の容積率の特例
  第十九条  建築基準法第五十二条第一項 、第二項、第七項、第十二項及び第十四項、第五十七条の二第三項第二号、第五十七条の三第二項、第五十九条第一項及び第三項、第五十九条の二第一項、第六十条第一項、第六十条の二第一項及び第四項、第六十八条の三第一項、第六十八条の四、第六十八条の五(第二号イを除く。)、第六十八条の五の二(第二号イを除く。)、第六十八条の五の三第一項(第一号ロを除く。)、第六十八条の五の四(第一号ロを除く。)、第六十八条の五の五第一項第一号ロ、第六十八条の八、第六十八条の九第一項、第八十六条第三項及び第四項、第八十六条の二第二項及び第三項、第八十六条の五第三項並びに第八十六条の六第一項に規定する建築物の容積率(同法第五十九条第一項 、第六十条の二第一項及び第六十八条の九第一項に規定するものについては、これらの規定に規定する建築物の容積率の最高限度に係る場合に限る。)の算定の基礎となる延べ面積には、同法第五十二条第三項 及び第六項 に定めるもののほか、第十七条第三項の認定を受けた計画(前条第一項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの。第二十一条において同じ。)に係る特定建築物(以下「認定特定建築物」という。)の建築物特定施設の床面積のうち、
移動等円滑化の措置をとることにより通常の建築物の建築物特定施設の床面積を超えることとなる場合における政令で定める床面積は、算入しないものとする。」

そして、その政令は、
  高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令 24条 (認定特定建築物の容積率の特例)
  「第二十四条  
法第十九条 の政令で定める床面積は、認定特定建築物の延べ面積の十分の一を限度として、当該認定特定建築物の建築物特定施設の床面積のうち、通常の建築物の建築物特定施設の床面積を超えることとなるものとして国土交通大臣が定めるものとする。」
 により、最高限度10%まで、延べ面積に算入されません。

3. 階段や踊り場に高さが50p以下の手すりを設置する場合、建築基準法によれば、手すりの出幅10pを限度として、手すりがないものとみなして、その幅を算定することができる。

→○ 適切である。 建築基準法施行令23条3項
  「3  階段及びその踊場に手すり及び階段の昇降を安全に行うための設備でその高さが五十センチメートル以下のもの(以下この項において「手すり等」という。)が設けられた場合における第一項の階段及びその踊場の幅は、手すり等の幅が十センチメートルを限度として、ないものとみなして算定する。」による。(こんな、細かな規定まで出題されるのか!)

4. 片廊下型住棟の廊下の端部にエレベーターを新設する場合、3階建て以下のマンションにあっては、建築基準法による確認の申請は不要である。

→× 適切でない。 建築基準法第87条の2、第6条1項1号の準用により、共同住宅に昇降機を設置しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築関係規程に適合するものであることについて、建築主事等の確認を受けなければならない。設問のような規定はない。

正解 4 

問42

{問 42} マンションの室内における冬季の結露対策に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1.暖房しない部屋について、換気を行わないようにして、気密性を高めた。

→× 適切でない。 結露問題は、出題傾向が高い。 平成21年マンション管理士試験 「問40」 、 平成20年マンション管理士試験 「問40」 など。
   結露は、水蒸気を多く含む湿った空気が、湿度の低い壁や窓ガラスの表面に触れてできる。気密性が高い部屋では、換気を行わないと湿気が逃げず、結露を生じる可能性が高くなる。

2.各住戸の対策として、輻射式の暖房装置を取り付けた。

→○ 適切である。 輻射(ふくしゃ)式の暖房装置とは、物体に直接伝わる放射熱の特性を生かした暖房方式(床暖房など)。エアコンやファンヒーターなどの温風暖房が室温だけを高くするのに対して、壁や床、人体の表面温度を高め、室内をむらなくあたためるので、結露対策として適切である。 

3.窓ガラスを単板ガラスから複層ガラスにして、熱貫流率を小さくした。

→○ 適切である。 ここは、平成20年 マンション管理士 試験 「問39」 選択肢4 でも出た。
   複層ガラスは、ペアガラスともいい、ガラスとガラスの間に乾燥空気の層を封入した、熱の伝導が少ないガラスで、結露対策として適切である。なお、熱貫流とは、熱が、材料を通して温度の高い空間から低い空間へ伝わる現象をいい、そのときの「熱の伝わりやすさ」を表す数値を熱貫流率という。
この数値が小さいほど熱を伝えにくく、断熱性能が高い。

4.外断熱工法の採用により、外壁の改修工事を行った。

→○ 適切である。 外断熱とは、構造躯体の外側に断熱層を設けることで、外断熱工法では、外気と室内温度の差が少なくなり、結露が生じにくい。

正解 1

問43

{問 43} マンションの設備計画に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1.受水槽の容量は、マンション全体で1日に使用する水量の1/2程度を確保できるようにするのが一般的である。

→○ 適切である。 そのとおり。 受水槽の容量は、マンション全体で1日に使用する水量の1/2程度を確保できるようにするのが一般的です。「マンション管理の知識 3訂版」ページ534 中ほど。なお、受水槽と高置水槽の違いは分かっている?

2.台所や浴室の雑排水横枝管の勾配は、便所の汚水横枝管の勾配より大きくするのが一般的である。

○ 適切である? 勾配をつけすぎてしまうと水分だけが先に流れてしまい、配管が詰まる恐れがあります。
    トイレなど管径が大きい汚水管の勾配は、台所や雑排水管等の管径が細いものより勾配より緩やか(小さくする)にするのが一般的です。

→X 適切でない?  排水管の勾配は、排水管の管径によって決まり、管径が大きいほど勾配が少なくて良い。緩やか過ぎるとよどみ、急過ぎると固形物が残る。一般的に汚水の大便器は管径100mmで勾配は、1/50。台所流しは管径40〜50mmで、勾配は1/25となる。従って、便所の勾配の方が緩やかである。 また、管径65mm以下は、最小勾配1/50となっている。( 「マンション管理の知識 3訂版」ページ 540より)

3.ディスポーザー排水処理システムを採用する場合、ディスポーザーからの排水を含む台所流し排水を、他の雑排水と合流させて放流するようにするのが一般的である。

→X 適切でない? ディスポーザー排水処理システムでは、ディスポーザー排水と台所排水とをあわせて、排水中の固形物などを「排水処理槽」で処理した後に、下水道管などに放流する。一般に他の雑排水とは合流されない。ディスポーザーの排水管は、台所専用の排水管で、浴室洗面系や汚水系排水管とは分離する。 「マンション管理の知識 3訂版」ページ 541 下から3行目。 ディスポーザーは、平成21年管理業務主任者試験 「問20」 で 詳細が出ている。

4.サイホン式大便器を採用する場合、1回あたりの洗浄水量が洗落し式大便器に比べて多くなるのが一般的である。

→○ 適切である。 サイホン式大便器(トラップ排水路を満水しやすいように屈曲させ、排水時に洗浄水で自己サイホン作用を起こさせて、排水力を大きくした方式)を採用する場合、洗落し式大便器(便器の底部にトラップを設けた形で、汚物を直接トラップの溜水中に落下させ、臭気の発散を少なくして、洗浄水の流れにより排出する方式)に比べて1回あたりの洗浄水量が多くなるのが一般的である。1回あたりの洗浄水量は、サイホン式が11〜13リットルであるのに対し、洗落し式は8〜11リットルである。

正解  2 、 3 かも?  最終解答 3 です。 

問44

{問 44} マンションの設備配管の腐食に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1.水道メーター回りで青銅製バルブと鋼管を直接つなぐと、鋼管に腐食が起きることがある。

→○ 適切である。 水道メーター、バルブの接続部などでは、配管である鉄と水道メーターやバルブの銅合金など異なった金属同士が接触しているため、鋼管に異種金属接触腐食が生じることがある。

2.硬質塩化ビニルライニング鋼管では、継手の接合部よりも直管部に集中して、腐食が起きることがある。

→X 適切でない。 硬質塩化ビニルライニング鋼管の腐食は、直線部ではなく継手の接合部でライニングがなくなり生じやすい。ここは、分かり易い。

3.土中埋設の鋼管では、電位差が生ずることにより、鋼管外面に腐食が起きることがある。

→○ 適切である。 そのとおり。大地は巨大な電導体であり、土中埋設の鋼管は、絶好の電導体である。特に電位差の大きい場所に埋設された鋼管は電流が流入されやすく、再び土壌中に流出する地点では、電位差が生ずることにより、鋼管外面に腐食が起きることがある。

4.給湯管に使用される銅管では、管内の流速が速い場合、局部的に酸化皮膜が破壊されて腐食が起きることがある。

→○ 適切である。 銅管では、潰食といって、銅管の表面上の保護皮膜が過大な流速、気泡の巻き込みや流れの乱れによって削り取られ腐食することがある。

正解 2

問45

{問 45} マンションの設備及びそれを構成している部位又は部品に関する次の記述のうち、 適切でないものはどれか。

1.給水設備には、揚水ポンプ、連結送水管及び量水器が含まれる。

→X 適切でない。 連結送水管は、消防用設備(消火活動に必要な施設)であり、マンションの給水設備ではない。

2.排水設備には、TY継手、伸頂通気管及びベントキャップが含まれる。

→○ 適切である。 そのとおり。ベントキャップは通気用のふたのこと。

3.電気設備には、パットマウント、遮断器及び自動点滅器が含まれる。

→○ 適切である。 そのとおり。電気設備とは、一般的には、建物内で使用する電気機器や機械設備へ電気を供給するための設備のことで、主なものとしては、受変電設備(高電圧を低電圧に下げ、この設備から各部屋に電気を配電するもの)、動力設備(空調機やモーターに電源を供給するもの)、照明、コンセント、電話設備、放送設備、テレビ共聴設備、自動火災報知設備、自家発電設備、避雷針などのことを総称して電気設備と呼んでいます。太陽光発電設備、コージェネレーション設備(発電機で電気を作り、その際にできた温水を給湯や冷暖房に利用する省エネルギー設備)を設けたりすることもしています。 パットマウントは変圧器のこと。遮断器は平常状態及び短絡・過電流・地絡状態の電路を投入・遮断できる装置です。遮断器の2次側で短絡・過電流・地絡が発生したときに電路を保護するために、過電流継電器や地絡継電器など保護継電器と組み合わせたり、過電流や地絡を検出する装置を内蔵しています。

4.消火設備には、加圧送水装置、呼水槽及び非常電源が含まれる。

→○ 適切である。 そのとおり。居住者が主に使用する屋内消火栓設備として、水源、加圧送水装置、非常電源などから構成されている。呼水槽は呼び水を必要とするポンプのこと。

正解 1  

問46

{問 46} 「マンションの管理の適正化に関する指針」に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。


  *注:問46から問50までは、マンション管理士試験か管理業務主任者試験の合格者には免除される部分 です。また、この問46から問50は、「マンション管理適正化法」と同指針からの出題と決まっていますので、出題は似たような内容となります。過去問題は やっておくと楽です。


1 「マンションの管理の適正化に関する指針」は、国土交通大臣が定め、平成13年8月1日に、国土交通省告示として公表された。

→○ 適切である。 指針からの出題は、平成21年管理業務主任者 「問46」 、 平成20年管理業務主任者試験 「問46」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問46」 もある。
    マンションの管理の適正化の推進に関する法律第3条は、「国土交通大臣は、マンションの管理の適正化の推進を図るため、管理組合によるマンションの管理の適正化に関する指針(以下「マンション管理適正化指針」という。)を定め、これを公表するものとする。これをうけ国土交通大臣は、当該指針を定めるとともに、平成13年8月1日に国土交通省告示第1288号として公表された。

2 マンション管理業者の業務に関して問題が生じた場合には、管理組合は、必要に応じ、地方公共団体にその解決を求める等の措置を講じることが必要であると定められている。

→X 適切でない。 適正化指針4章 「マンションの管理の適正化の推進のための管理委託に関する基本事項」では、「必要に応じ、マンション管理業者の所属する団体にその解決を求める等の措置を講じることが必要」とあり「地方公共団体」が誤り。

3 管理組合の管理者等は、マンションの管理の適正化を図るため、必要に応じ、マンション管理士等専門的知識を有する者の知見の活用を考慮することが重要であると定められている。

→○ 適切である。 適正化指針5章 「マンション管理士制度の普及と活用について」、「管理組合の管理者等は、マンションの管理の適正化を図るため、必要に応じ、マンション管理士等専門的知識を有する者の知見の活用を考慮することが重要である」と定められている。(現状としては、マンション管理士の活用がないのですが。)

4 地方公共団体は、マンション管理士等専門的知識を有する者や経験豊かで地元の実情に精通し、マンションの区分所有者等から信頼される者等の協力を得て、マンションに係る相談体制の充実を図るよう努める必要があると定められている。

→○ 適切である。 適正化指針6章 「国、地方公共団体及びマンション管理適正化センターの支援」、「地方公共団体は、マンション管理士等専門的知識を有する者や経験豊かで地元の実情に精通し、マンションの区分所有者等から信頼される者等の協力を得て、マンションに係る相談体制の充実を図るよう努める必要がある」と定められている。(現状としては、マンションの相談体制が整っていなくて、マンション管理士の活用の場が少ない。)

正解 2

問47

{問 47} 甲マンション管理組合の管理者Aと区分所有者Bとの間に発生したマンションの管理に関する紛争に対し、Aの相談に応じてマンション管理士Cが行った次の行為のうち、マンション管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」という。)の規定によれば、マンション管理士の業務として行うことができないものはどれか。ただし、Cは、マンション管理士以外の資格を有しないものとする。

1 Bが他の区分所有者の迷惑となる騒音を煩雑に発生させているため、Bに対してその行為の停止を求める訴訟の提起を目的とする集会の招集通知及び議題の案を作成した。

→○ できる。 マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下適正化法という。)第2条第五号は、マンション管理士の定義を定め、「第30条第1項の登録を受け、マンション管理士の名称を用いて、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されているものを除く。)とする者をいう。」と定める。区分所有者間のトラブル対処での案の作成はマンション管理士の業務である。

2 Bが私物を廊下に放置して通行の妨げとなっているため、Bに対してその撤去を求めるための内容証明郵便の記載内容及び作成方法をAに助言した。

→○ できる。 選択肢1でも述べたように、助言もマンション管理士の業務である。

3 甲の規約及び駐車場使用細則の内容を調査した上で、Bの駐車場内における迷惑駐車を中止させるためには駐車場使用細則を変更する必要があることをAに指摘した。

→○ できる。 選択肢1でも述べたように、ルールの改良もマンション管理士の業務である。

4 Bの管理費の滞納に係る事情をAから聴取した上で、Bに対する滞納管理費30万円の支払いを求める訴状を作成し、甲の代理人として管轄の簡易裁判所に提出した。

→X できない。  マンション管理士のCは弁護士の資格を有していない。したがって、訴訟代理人として裁判所に訴状を提出することはできない。弁護士法第72条により、弁護士および弁護士法人でない者が報酬を得る目的で法律事件に関して法律事務を取り扱うことなどを業とすることを、弁護士法または他の法律に別段の定めがある場合を除いて禁止している。(マンション管理士としては、弁護士よりも知識があるので、本当に残念ですが。)

正解 4 

問48

{問 48} 管理業務主任者に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 管理業務主任者試験に合格した者で、管理事務に関し2年以上の実務経験を有するもの又は国土交通大臣がその実務経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものでなければ、国土交通大臣の登録をうけることができない。

→ ○ 正しい。 適正化法第59条1項「試験に合格した者で、管理事務に関し国土交通省令で定める期間以上の実務の経験を有するもの又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものは、国土交通大臣の登録を受けることができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、この限りでない。 」と、同施行規則68条「法第五十九条第一項 の国土交通省令で定める期間は、二年とする。 」による。 

2 管理業務主任者試験に合格し、国土交通大臣の登録を受けた者であっても、管理業務主任者証の交付を受けなければ、管理業務主任者でない。

→ ○ 正しい。 適正化法第2条9号「管理業務主任者 第六十条第一項に規定する管理業務主任者証の交付を受けた者をいう。 」とある。管理業務主任者証には、写真、氏名・住所などが記載されています。(ただし、マンション管理士は、登録を受けるだけです。マンション管理士証はありません。)

3 管理業務主任者試験に合格した者が国土交通大臣の登録を受けた場合、その登録の有効期間は、5年である。

→ X  誤っている。 適正化法第59条により合格して、欠格事項に該当しなければ登録は受けられる。この登録に期限はない。ただし、登録だけでは、管理業務主任者ではない。管理業務主任者証の交付が必要。そして、管理業務主任者証の有効期限は5年。(適正化法第60条3項)

4 管理業務主任者は、登録が削除されたにもかかわらず、速やかに管理業務主任者証を国土交通大臣に返納しなかったときは、10万円以下の過料に処せられる。

→ ○ 正しい。 適正化法第60条4項「管理業務主任者は、前条第一項の登録が消除されたとき、又は管理業務主任者証がその効力を失ったときは、速やかに、管理業務主任者証を国土交通大臣に返納しなければならない。」とあり、 返納しないと、
、同法第113条「次の各号のいずれかに該当する者は、
十万円以下の過料に処する。
   一  第五十条第一項の規定による届出を怠った者
   二  第六十条第四項若しくは第五項、第七十二条第四項又は第七十七条第三項の規定に違反した者
   三  第七十一条の規定による標識を掲げない者 」の
2号による。

正解 3 

問49

{問 49} マンション管理業者が行う重要事項の説明に関する次の事項のうち、マンション管理適正化法の規定に反しないものはどれか。

1 マンション管理業者の登録番号及び登録年月日は説明したが、マンション管理業者の直前1年の各事業年度の財務の内容は説明しなかった。

→○ 違反しない。 管理業者の直前1年の各事業年度の財務の内容は、重要事項を定める適正化法施行規則84条「法第七十二条第一項 の国土交通省令で定める事項は、次に掲げるものとする。
   一  マンション管理業者の商号又は名称、住所、登録番号及び登録年月日
   二  管理事務の対象となるマンションの所在地に関する事項
   三  管理事務の対象となるマンションの部分に関する事項
   四  管理事務の内容及び実施方法(法第七十六条 の規定により管理する財産の管理の方法を含む。)
   五  管理事務に要する費用並びにその支払の時期及び方法
   六  管理事務の一部の再委託に関する事項
   七  保証契約に関する事項
   八  免責に関する事項
   九  契約期間に関する事項
   十  契約の更新に関する事項
   十一  契約の解除に関する事項 」
に入っていない。

2 管理事務の一部の再委託に関する事項は説明したが、管理事務の対象となるマンションの部分に関する事項は説明しなかった。

→X 違反する。 選択肢1でも述べたように、適正化法施行規則第84条6号、3号に規定される重要事項の1つ。

3 管理組合から委託を受けて管理する財産の管理の方法は説明したが、管理事務に要する費用の支払いの方法は説明しなかった。

→X 違反する。 選択肢1でも述べたように、適正化法施行規則第84条5号に規定される重要事項の1つ。

4 免責に関する事項は説明したが、保証契約に関する事項は説明しなかった。

→X 違反する。 選択肢1でも述べたように、適正化法施行規則第84条8号、7号に規定される重要事項の1つ。

正解 1 

問50

{問 50}  甲マンション管理組合及び乙マンション管理組合と管理受託契約を締結しているマンション管理業者Aは、甲及び乙の事業年度が終了したため、それぞれの区分所有者等に対して当該期間における管理事務の報告を行った。この場合に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、甲乙ともに、管理者が置かれていないものとする。

1 Aは、甲との管理受託契約に係る管理事務報告書を作成する場合は、報告の対象となる期間、甲の会計の収入及び支出の状況のほか、管理受託契約の内容に関する事項を記載しなければならない。

→○ 正しい。 マンション管理の適正化の推進に関する法律(以下適正化法という)第77条第2項は、「マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれていないときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。」とあり、
そして、適正化法施行規則88条「 マンション管理業者は、法第七十七条第一項 の規定により管理事務に関する報告を行うときは、管理事務を委託した管理組合の事業年度終了後、遅滞なく、当該期間における管理受託契約に係るマンションの管理の状況について次に掲げる事項を記載した管理事務報告書を作成し、これを管理者等に交付しなければならない。
   一  報告の対象となる期間
   二  管理組合の会計の収入及び支出の状況
   三  前二号に掲げるもののほか、管理受託契約の内容に関する事項 」とある。

2 Aは、甲及び乙との管理受託契約に係る管理事務に関する報告の説明会を、それぞれ開催しなければならない。

→○ 正しい。 選択肢1で述べたように、適正化法第77条2項による 

3 Aが管理業務主任者をして乙との管理受託契約に係る管理事務に関する報告をさせる場合、管理業務主任者は、説明の相手方に対して、管理業務主任者証を提示しなければならない。

→○ 正しい。 適正化法第77条3項「管理業務主任者は、前二項の説明をするときは、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければならない。 」による 

4 Aは、乙との管理受託契約に係る管理事務に関する報告の説明会の開催を省略する場合は、その説明会に代えて、すべての区分所有者等に対して管理事務報告書を交付しなければならない。

→ X 誤っている。 選択肢1で述べたように適正化法第77条2項により、説明会は省略できない。説明会を開催し、管理業務主任者をして、管理事務に関する報告をしなければならない。

正解 4 

終わり


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最終更新日:
2012年 4月27日:正解肢の太字・ピンク色で統一。
「問27」に標準管理規約の平成23年7月の小幅な改正入。
2011年 4月12日:再確認。
2011年 2月11日:「問33」に標準管理委託契約の改正入。
2008年9月26日

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