マンション管理士・管理業務主任者を目指す方のために、区分所有法を条文ごとに解説しました。
試験問題は、過去の問題から出されるのではありません。条文から出題されます。
条文を勉強することが、合格への道です。
第五十三条 |
1項 管理組合法人の財産をもつてその債務を完済することができないときは、区分所有者は、第十四条に定める割合と同一の割合で、その債務の弁済の責めに任ずる。ただし、第二十九条第一項ただし書に規定する負担の割合が定められているときは、その割合による。 |
過去出題 | マンション管理士 | H29年、H27年、H24年、H23年、H18年、 |
管理業務主任者 | R02年、H29年、H27年、H25年、 |
★管理組合法人における区分所有者の債務弁済の義務
第53条は管理組合法人の債務についての各区分所有者の責任に関する規定です。
基本的な話として、法人とその構成員である個人とは別個の人格として扱うことになっていますから、法人が有している債務・責任と構成員である個人の債務・責任とは別々のものであるのが原則です。
従って、法人の債務の責任を構成員個人が負担することは原則としてないこととなっています。
このことは民法の法人では当然の前提であり、区分所有者の団体のような明確な法人でない「権利能力なき社団」の場合もまた同様に理解されています。
しかし、一定の目的で人が集まった「社団」は一定の目的のために組織された団体であり、その目的により団体の性格は様々ですから構成員が団体の債務に対して責任をとるか、とらないかということも、その団体の目的や性格によって取り扱いを別にしても問題のない事項です。
例えば、株式会社においては、株主(出資者)は自分の出資額を超えて責任を負わない「有限責任」ですし、一方、合名会社ではその組合的性格からか、会社の債務に関して構成員たる社員(出資者)が会社の債務をその出資額を超えても弁済が終わるまで責任を持つ「無限責任」が認められています。 (今は削除された商法第80条)
◎そこで、区分所有法で規定する区分所有者の団体(通常:管理組合)の場合を考えてみますと、その区分所有者の団体が行っている「建物並びにその敷地及び附属施設の管理事業(行為)」は団体の構成員である区分所有者全員のためのもので、該当の管理事業で発生した債務は各区分所有者のために区分所有者の団体が負担しているという性質を持っており、それならば各区分所有者が自分たちの団体の債務につき何ら責任を負わないという結果は不当ということになります。
それに、区分所有者の団体(管理組合)が法人化される前には、区分所有者の団体の債務は区分所有者の団体の債務であると共に全区分所有者が「総有的に負担する債務」という二重の性格をもっていました。(区分所有法第29条1項 参照)
<参照> 区分所有法 第29条 (区分所有者の責任等)
第二十九条 管理者がその職務の範囲内において第三者との間にした行為につき区分所有者がその責めに任ずべき割合は、第十四条に定める割合と同一の割合とする。
ただし、規約で建物並びにその敷地及び附属施設の管理に要する経費につき負担の割合が定められているときは、その割合による。
2 前項の行為により第三者が区分所有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行うことができる。
*第一次的には、管理組合法人が負担し、それでもまだ債務が残っていれば、各区分所有者がその持分に応じて負担する。(分割責任)
基本的には、法人であれば、その債務は、まず、法人が負担します。問題は、それでも、債務が完済できない時にどうするかです。
本第53条は区分所有者の団体(管理組合)は法人化されてもその団体としての本質的な性格は法人化前と変わりがないこと、ただし、第19条(共用部分の負担及び利益収集)・第29条(区分所有者の責任等)の規定と同様に各区分所有者の負担は「総額の不可分または連帯の債務」ではなく、共用部分の持分に応じて分割された民法での「分割債務」(債務自体は法人に帰属するので区分所有者は責任部分のみ負担するという考えの方が妥当かもしれませんが)を負うと軽減した規定ということになります。
★管理組合法人の財産
管理組合法人に属する財産としては、金銭としては、管理費、修繕積立金、駐車場使用料などの専用使用料、また第三者から受け取った金銭。そして、もしあれば、管理組合法人名義の土地・建物の不動産、また事務所内にテレビやパソコン、コピー機などがあればそれら動産が考えられます。
また、利息(法定果実)も含まれます。
なお、当然ながら、各区分所有者の各自の財産である建物の専有部分(室)や、区分所有者全員の共有であるエントランスや廊下などの共用部分、また管理組合法人名義でない区分所有者の共有となっている敷地や附属施設などは、ここでの管理組合法人の財産には含まれません。
★管理組合法人の債務
一方、管理組合法人の債務としては、税金の支払、管理業務委託契約に基づく管理会社への委託料の支払、不法行為・不法利得などがあればそれらを含めて、また区分所有者に対しての債務など、発生の原因に関係なく全ての債務が対象となります。
★区分所有者の負担割合 〜分割債務である。連帯債務ではない〜
管理組合法人が抱えた債務を管理組合法人の財産で完済できれば、問題はありませんが、管理組合法人の財産でも債務が完済できない場合には、各区分所有者が残りの債務を負担することになります。
各区分所有者の負担割合は原則として専有部分の床面積を基にした共用部分の持分割合(第14条)によりますが、債務の負担割合が規約で別に定められているときはその割合によります。
本第53条のもとになったとされる、今は削除されています商法第80条では、合名会社の社員の責任は「連帯責任」であったのが、区分所有法では、「分割責任」になっています。
*連帯責任:債務の総額を各自が連帯して支払う。
*分割責任:債務を自分に割り当てられた部分だけ支払う。
<参照> 区分所有法 第14条:
各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。
*床面積は、内側線での面積(内法)
*別の規約があれば、それに従う。(第29条1項参照)
★区分所有者の負担の条件
管理組合が法人化されていない場合の区分所有法第29条(区分所有者の責任等)で規定される管理者の行為の場合には直接各区分所有者が負担するのと異なり、管理組合が法人化されると、管理組合法人の債務の弁済の第一次責任はまずその法人にあり、区分所有者個人の責任は次の2番目として二次的・補充的(保証人的)な責任となっています。
そして、区分所有者の負担の条件は、
@管理組合法人の財産をもつてその債務を完済することができないとき(1項)・・・債務超過
A管理組合法人に対する個別財産への強制執行が効を奏しなかったとき(2項)・・・支払停止
です。
@「管理組合法人の財産をもつてその債務を完済することができないとき」とは、通常「債務超過」と呼ばれます。
管理組合法人が有している総財産をもってしてもその総債務の弁済ができない状態をいい、個々の債務の弁済期がいつかとは係りのないものです。通常の法人なら破産原因となります。
従って、現時点で弁済期のきた債務を弁済していても総額の比較で債務の方が多い場合には債務超過となります。
管理組合法人の貸借対照表で債務の方が多い場合には債権者からの請求を受ける可能性があるということでしょう。
A「管理組合法人に対する個別財産への強制執行が効を奏しなかったとき」は一般に「支払停止」と見られ支払不能を推測する事由とされます。
強制執行とは、国家手続きによって、債務者に弁済を強制的にさせることです。
Aの場合も、@の場合も、いずれも破産法では破産原因となっています。
ただし、弁済期がきた債務を支払えない「支払停止」では必ずしも完全な「支払不能」とは限りませんから、いわゆる民法第453条での「検索の抗弁権」が認められて管理組合法人は支払不能ではないこと、即ち管理組合法人にまだ弁済できる資力があり、かつ、強制執行(取り立て)が容易であることを証明すれば、区分所有者は各自の責任を免れることができるとされます(3項)。
具体的には、通常、管理組合法人の財産は、管理組合法人名義で預金口座で管理されていますから、その銀行口座に強制執行(取り立て)をしても債権全額が満足(弁済)を受けなかった場合は、「強制執行が効を奏さなかったとき」に当たり、二次的に支払請求を受けた区分所有者は、管理組合法人が他に修繕積立金等の運用として国債等の有価証券を別途○○に保管している等の証明ができればいいということです。
なお、管理組合法人名義で土地・建物などの不動産を所有している場合には、その不動産は財産価値があり資力の点では問題がないかもしれませんが、不動産は競売手続きが必要になる場合が多く、また担保権が設定されているなどで直ちに金銭に換価できず一般に強制執行が容易とは理解されていません。
★管理組合法人が破産になっても、法人の解散事由にならない
多くの法人では、「債務超過」や「支払不能」となると、「破産」となり、その法人は解散になることが多いのですが、区分所有法では、これらの事由では管理組合法人は解散しないとしています。(第55条1項参照)
<参照> 区分所有法 第55条(解散)
第五十五条 管理組合法人は、次の事由によつて解散する。
一 建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあつては、その共用部分)の全部の滅失
二 建物に専有部分がなくなつたこと。
三 集会の決議
2 前項第三号の決議は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数でする。
この区分所有法で管理組合法人の場合、破産を法人の解散事由にしなかった理由として、法の立案者は、「管理組合法人においては、第53条1項のように、管理組合法人の財産が不足しても、その場合には区分所有者が分割で無限責任を負い、また区分所有建物が存在する限り、区分所有者の団体はその活動を続ける必要があるので、破産手続きや破産宣告だけでは、管理組合法人の解散事由にはしなかった」ようです。
第五十三条 |
2項 管理組合法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかつたときも、前項と同様とする。 |
過去出題 | マンション管理士 | H18年、 |
管理業務主任者 | 未記入 |
*強制執行が効を奏しなかったとき...管理組合法人の財産に対して法に基づいて強制執行したが結果として、満足のいく内容が得られないときは、区分所有者が負担することになる。
★管理組合法人の財産に対して、強制執行しても、不満足な状況にあるときは、
本第53条2項も、1項と同じように、各区分所有者が、原則:専有部分の床面積の割合(区分所有法第14条)で負担すると規定しています。
具体的には、管理組合法人の財産は、区分所有者からの管理費・修繕積立金、専用庭や駐車場の使用料などで、これらは、管理組合法人名義で通常預金口座で管理されていますから、その銀行口座に執行しても債権全額が満足(弁済)を受けなかった場合は、強制執行が効を奏さなかったときに当たり、その場合には二次的に、各区分所有者が、原則として、その専有部分の床面積の割合で負担することになります。
この規定により、管理組合法人に対して強制執行をしても満足できる弁済を受けられなかった債権者は、再度1項で規定する管理組合法人の完済不能の立証をしなくても、各区分所有者に弁済の請求ができることになります。
ただし、管理組合法人の代わりに、弁済の請求を受けた区分所有者は、管理組合法人が他に修繕積立金等の運用として国債等の有価証券を○○に保管している等の証明ができれば、その請求を逃れられることもあります。(3項)
第五十三条 |
3項 前項の規定は、区分所有者が管理組合法人に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、適用しない。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★本第53条3項の規定で、管理組合法人においては、区分所有者が、債権者から管理組合法人の債務を弁済するように請求された場合に、区分所有者は、まず管理組合法人にまだ資力(支払う財力)があり、かつ、執行が容易であることを証明できれば、弁済の責任を逃れられます。
これは、民法の保証の「検索の抗弁権」に似ている。
<参考>民法 第453条(検索の抗弁)
民法第四百五十三条 債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。
管理組合法人と区分所有者の関係は、保証債務と同様に、原則として主たる債務が管理組合法人によって完全に履行されない場合に、次の手段(二次的)として区分所有者が債務を履行するという考えです。
★管理組合法人に資力がある
民法第453条(検索の抗弁)での「弁済をする資力」の範囲で、債務の全額が必要か、一部でも足りるかで争われましたが、現在は、一部の弁済の資力でもあればいいとされています。(大審院昭和8年6月13日判決)
★(強制)執行が容易であることの証明
「執行が容易」とは、法律上の手続が簡単というのではなく、現実に弁済をうけることが、たやすいということです。
例えば、管理組合法人が有価証券や金銭を持っていれば、比較的(強制)執行は容易であると考えられますが、現実に各弁済の内容や方法で検討されます。
第五十四条 |
1項 区分所有者の特定承継人は、その承継前に生じた管理組合法人の債務についても、その区分所有者が前条の規定により負う責任と同一の責任を負う。 |
過去出題 | マンション管理士 | H23年、H18年、 |
管理業務主任者 | 未記入 |
*特定承継人...売買などの譲受人。ある債務の発生後に、区分所有者となった者。
★どうして、特定承継人にまで責任が及ぶのか 〜包括承継人以外にも〜
本第54条は管理組合法人の債務に対する区分所有者の特定承継人の責任に関する規定です。
またまた、区分所有法第29条2項のように、区分所有建物を購入したなどの特定承継人の責任が規定されています。
区分所有者の団体である管理組合が法人化されていない場合での、業務執行者である管理者と取引をした第三者を保護する規定として、第29条2項で区分所有者の特定承継人にも債務の請求ができることを思い出してください。
管理組合法人と法人化されていない区分所有者の団体である管理組合の違いは法人格が法によって完全に認められるか不完全にしか認められないか(権利能力なき社団)でしかありませんから、法人化されていない管理組合で認められている事項が完全な法人の場合にも認められるべきであり、そこで、区分所有者の特定承継人に対しても管理組合法人に区分所有者が負っていた債務支払責任が認められることは当然といえます。
<参照> 区分所有法 第29条 (区分所有者の責任等) ;
2項 前項の行為(注:管理者が職務として行った行為)により第三者が区分所有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行うことができる。
第29条2項と同様な、この規定が存在するのは、第47条11項で区分所有法第4節:管理者の規定(第25条から第29条2項を含む)の適用を排除したことにより、法人でも第29条2項と同様の規定をすることにすぎません。
従って、第54条の趣旨・内容は第29条の場合と同様ですから第29条の解説に譲ります。
★ただし、管理組合法人では、債務はまず、管理組合法人が負担する責任があります(一次的責任)から(第53条参照)、ここでの特定承継人の責任も区分所有者と同様に、二次的な補充の立場になります。
★前の区分所有者も責任を負う。
本第54条だけを読むと、前の区分所有者は、特定承継人が責任を負うので、自己の責任を逃れられるように感じるでしょうが、ここは、第29条と同様に、前の区分所有者も引き続き責任を負います。
前の区分所有者と特定承継人とは、民法での「不真正連帯の関係」になります。
不真正連帯債務...各債務者においては、債務の発生においては関連がないが、各債務者は同一の債務について、全部を履行する義務がある。
第五十五条 |
1項 管理組合法人は、次の事由によって解散する。 一 建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあっては、その共用部分)の全部の滅失 二 建物に専有部分がなくなったこと。 三 集会の決議 |
過去出題 | マンション管理士 | R03年、R02年、R01年、H29年、H28年、H26年、H23年、H19年、H18年、H14年、 |
管理業務主任者 | H28年、H27年、H15年、 |
*次の事由によって解散する...この三つの事由以外では、管理組合法人は解散しない。管理組合法人金銭的に「破産」しても、それは解散事由ではない。
ただし、3号の「集会の決議」での管理組合法人の解散の場合は、マンションなどの区分所有建物は物理的にも存在しているので登記上での法人は解散しても、法人でない区分所有者の団体(管理組合)は存在する。(区分所有法第3条参照)。
また、規約でも、上記3事由以外の解散事由は定められない。
★「建物の滅失」とは...災害に基づくものであるか人の行為によるものであるかを問わず、物が物としての物理的な存在自体を失うことを意味します。したがって、後でその物は発見される可能性はありません。
★管理組合法人の解散と清算
本第55条は管理組合法人の解散及び清算に関する規定です。
ある法人の解散とは、法人として成立した際に登記している現在の法人格を無くすことで、一定の解散原因が発生すると管理組合法人に限らず株式会社でも公益財団法人にせよ法人は解散することになります。
ただ、面倒な話として法人の解散が即法人の消滅というわけではなく、法人の解散とは、今まで行ってきた法人本来の活動を止めて、次の清算の段階に入ることをいいます。
実際に法人が解散して消滅するためには解散前にその法人に帰属していた財産や権利義務関係を整理して後に引き継ぎがなければなりません。
この整理の段階が「清算」とよばれ、清算の段階が完了して初めて法人に帰属していた権利義務がなくなります。これは、人でいえば死亡にあたります。
この清算の終了により、法人が完全に消滅することになります。 (新第55条の2 参照)
◎このように法人の解散・消滅は一般に
解散 −-> 清算 −-> 消滅 という段階を経由することになります。
例外的に法人の解散が即消滅という現象が法人の合併の場合に発生しますが(包括承継のため清算不要の理由による)、マンションの管理組合法人では即消滅はあまり考えられません。
ただ、管理組合法人の場合その成立の実体が区分所有者の団体(管理組合)を基礎にしていますから、法人の解散といっても一般の法人と異なり元の区分所有者の団体自体の解消を意味するとは限りません。
★「集会の決議」での解散では、区分所有者の団体は残る
管理組合法人の解散事由として第55条1項で、
1号:建物全部の消滅
2号:専有部分全部の消滅
3号:集会での決議
の3つの事由が挙げられていますが、1号(建物全部の消滅)や2号(専有部分全部の消滅)と異なり3号で規定されています「集会の決議」による場合、管理組合法人が解散してもマンションという建物は現実に存続していますから区分所有法第3条の規定の区分所有者の団体(管理組合)が依然として存続し、管理組合法人の解散は単なる登記上での法人格が無くなるだけで、この場合には、法人化前の区分所有者の団体に戻ることになります。この点は注意が必要です。
なお、区分所有者全員の承諾があれば、集会を開催せずに、書面または電磁的方法により管理組合法人解散の決議はできます。(区分所有法第45条1項及び3項)
★管理組合法人の解散事由
通常、法人とは一定の目的のために結成された団体(または財産)に取引の当事者となりうる法人格が与えられたものですから、その目的が成功または不成功となれば消滅する場合や基本となる団体が消滅したり、またその法人の存在が社会的に害悪を及ぼすような場合にも法人格は不要となり場合によっては法人格が剥奪されて消滅することになります。
法人の解散事由(原因)とは、このような事態が発生した場合、法人を消滅させるための項目です。
例えば、株式会社の解散事由は、「株主総会の決議、合併」などが、会社法第471条にあります。
<参照> 会社法 第471条
第八章 解散
(解散の事由)
第四百七十一条 株式会社は、次に掲げる事由によって解散する。
一 定款で定めた存続期間の満了
二 定款で定めた解散の事由の発生
三 株主総会の決議
四 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
五 破産手続開始の決定
六 第八百二十四条第一項又は第八百三十三条第一項の規定による解散を命ずる裁判
第55条1項で列記されています3つの解散事由のうち
@ 1号の「建物(一般の管理組合法人の場合は専有部分と共用部分を含む1棟の建物、一部共用部分の管理組合法人では、管理している一部共用部分)全部の滅失」とは、
管理組合法人設立の基本となっている管理対象物の建物が地震、土砂崩れ、火災、ガス爆発、取り壊しなどで見た目(物理的)にも全部無くなり(消滅し)、そのため建物の管理を目的として設立された管理組合法人の目的が、これ以上達成されないことが確定することです。
建物が全部滅失(無くなる)した場合には、管理組合法人の設立基礎である区分所有法第3条で定める、「全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体=区分所有者の団体」そのものが存在しなくなりますから、これ以上管理組合法人を存続させる意味がなくなり、滅失した跡に建物の敷地や附属の施設が残っていても、当然に管理組合法人は解散することになります。(第47条1項(管理組合法人の成立)参照)
この状態は、同じく区分所有法第3条に規定される建物の一部共用部分を管理するために設立された「一部共用部分の管理組合法人」でも、その管理の対象である一部共用部分が全部滅失すれば、当然に解散となります。
この建物の全部が消滅(なくなる)した後の処理については、区分所有法自体には規定がなく、民法や被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法によって対応することになります。
第55条1項1号での管理組合法人における建物が全部滅失した場合は、管理組合法人と一部共用部分の管理組合法人に共通の解散理由ですが、建物が全部滅失するということは、建物の専有部分に対しての権利である区分所有権も同時に消滅しますから、区分所有者の団体という管理組合法人の構成員(区分所有者)が全員消滅するということもその理由となるでしょう。
また、建替え決議(区分所有法第62条)に基づき、建物の全部が取り壊された場合も、この建物の全部滅失となり管理組合法人の解散事由に該当します。
★建物の一部滅失では、管理組合法人は、当然には無くならない。
逆に、本第55条1項1号では「建物の”全部”滅失」の場合には、管理組合法人が当然に解散すると規定していますが、これには、建物の大部分が滅失してもその一部分が残っている場合は、全部の滅失ではありませんので、この場合管理組合法人の解散事由に該当しませんから、くれぐれも注意してください。
一部滅失の場合には、建物の一部滅失として、第61条で定める復旧・建替えなどの方法があります。
A 2号の建物の「専有部分がなくなったこと」とは、
建物の一部分だけが消滅した場合、残りの部分を管理する管理組合法人は存続できますから、第55条1項2号の建物の「専有部分がなくなったこと」とは、区分所有法で定める建物の専有部分が法律的に全部消滅したことを意味し、また、エントランスや廊下などの共用部分を残して専有部分だけ滅失することがない以上、専有部分全部の物理的な消滅の場合には、1号で定める建物全部の滅失に該当します。
つまり2号は、建物は存在していても区分所有法で定める区分所有建物でなくなるという、法律的な消滅を意味していると解します。
そこで、復習になりますが、
「専有部分」(区分所有法第2条3項)とは、「区分所有権の目的たる建物の部分」で、
それでは、 区分所有権(区分所有法第2条1項)とは、
「この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。」
であり、
区分所有法第1条「 一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。」です。
そこで、専有部分であるには、
「一棟の建物のうち
@構造上区分され(構造上の独立性)
A独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができる(利用上の独立性)
が必要です。
具体的には、一人の区分所有者が全専有部分を譲り受けた後に、建物の物理的な形状には変更を加えず、登記簿上、全専有部分を合体して通常の1棟の建物にした場合(合併の登記)、または各専有部分の壁を取り除いて、構造上も1棟の建物とした場合(合棟)は、専有部分が無くなり、ひいては区分所有法第3条で規定する区分所有者の団体でなくなりますから、この場合には、管理組合法人は、解散になります。
また、2号の場合も、1号と同様に、区分所有法第3条で定める「区分所有者の団体」も存在しなくなります。
★区分所有者の数が1名になっても当然に解散とならない?
専有部分の消滅の他に、区分所有者の団体が1名では当然に成立しないことから、以前は複数いた区分所有者が1名になると、管理組合法人も当然に解散されると思うのが自然であるが、多くの解説書はこの部分に触れていない。
そこで、調べると、改正前の区分所有法第47条の法人の成立要件「区分所有者の数が30人以上必要」の時から、この区分所有者数の問題があったようだ。
そこでは、法人格を取得した後で、区分所有者数が30人未満となった場合でも、管理組合法人は当然には解散しない。
この説明として、「区分所有者の数は特に制限されておらず、また、専有部分が存在する以上、途中で区分所有者数が減少しても、後で増加することも考えられるから」だとある。
この、理論が法人格成立の要件から区分所有者の数が無くなった改正後も引き続き採用されていて、「専有部分が存在する以上、途中で区分所有者数が減少しても、後で増加することも考えられる」ので、区分所有者の数が1名になっても、法律上当然には解散とならない。
私としては、区分所有者が1名では団体で無くなり、当然に法人は解散と考える方が自然であり、上の解釈には納得がいかないけど。
<参考>民法 組合の解散事由について
学説では、組合員が一人になった場合も解散事由に当たるかどうかが議論されている。
・解散事由に当たるとする見解は、組合が契約であることや団体であることから、複数の組合員の存在が必須であり、一人になった場合には組合の存続要件を満たさないとする。
・これに対し、組合の成立時には二人以上の組合員の存在が必須であるが、一度組合が成立して事業が開始された後は、その継続性という要請を重視し、組合員が一人となった場合でも新たな組合員の加入によって組合が存続することを認めるべきであるとして、組合員が一人になった場合ではなく組合員が欠けた場合を解散事由とするという見解もある。
B 管理組合法人解散事由の第55条1項3号の「集会の決議」は法人の自治を確認したものです。
区分所有者の最高決議機関である「集会」で、区分所有者及び議決権の各3/4以上の特別多数決議(第55条2項参照)で、管理組合法人の解散を決議すれば、管理組合法人は解散となります。
管理組合法人の成立には区分所有者及び議決権の各3/4以上で可能だった(区分所有法第47条)ことの裏返しです。
集会の決議で管理組合法人が成立するなら、同じく集会の決議で管理組合法人は解散にできます。当然の規定です。
この規定があるのは、法人として必要な登記や理事長が代わるたびに登記も変更が必要とか面倒な手続きが嫌になった場合とか、建替え等により清算が必要な場合、その他理由の有無を問いません。
集会で特別多数による管理組合法人を解散するという決議があればかまいません。
*集会で管理組合法人が解散しても、区分所有者の団体は残る 〜法人格がなくなるだけ〜
しかし、この第55条1項3号での「集会の決議」での管理組合法人の解散の場合には第55条1項1号の「建物の全部滅失」や同2号の「専有部分の喪失」の場合と異なり、マンションのような区分所有建物は物理的にも依然として残っており、区分所有者の団体である管理組合という団体自体はまだ存在していますから、ただ法人格のみの解消ということになります。
そこで、管理組合法人が解散すると、当然に名称に管理組合法人と入れていたのを取ったり、該当する規約の改正が必要となり、業務執行は理事の代わりにまた管理者を選任できます。
この議決は管理組合法人成立時の議決と同様に特別多数決議(区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成が必要)とされています(2項)。
★なお、この3事由以外の事由では、管理組合法人は解散しない。規約でも定められない。
★管理組合法人が「破産」になっても、解散にならない。
前の第53条でも説明しましたが、多くの法人では、債務超過や支払不能となると、破産となり、その法人は解散になることが多いのですが、区分所有法では、それらの事由では管理組合法人は解散しないとしています。
管理組合法人で、破産を解散事由にしなかった理由として、法の立案者は、「管理組合法人においては、第53条1項のように、管理組合法人の財産が不足しても、その場合には区分所有者が分割で無限責任を負い、また区分所有建物が存在する限り、区分所有者の団体はその活動を続ける必要があるので、破産手続きや破産宣告だけでは、管理組合法人の解散事由にはしなかった」とのことです。
*区分所有者の数が1名になっても管理組合法人は解散しないとか、破産状態でも法人として解散しないとか、区分所有法第3条での「区分所有者の団体」と「建物」は、今後のマンション生活での研究分野として面白い対象か?
* 建物の一部分の滅失では、管理組合法人は解散しない。(集会で3/4以上の決議があれば別)
{設問-1}次の記述は正しいか。
管理組合法人は、区分所有者が1人になった場合でも、解散する事由にはあたらない。
答え:そのとおりで、正しい。
(区分所有法第55条1項):
「管理組合法人は次の事由によって解散する。
一 建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあっては、其の共用部分 )の全部の滅失
二 建物に専有部分がなくなったこと。
三 集会の決議 」
に該当しないため。また、専有部分が存在する以上、途中で区分所有者数が減少しても、後で増加することも考えられるため。
{設問-2} 平成28年 管理業務主任者試験 「問36」
[問 36] 区分所有者の団体に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 区分所有法第3条に規定される団体は、建物並びにその敷地及び附属施設を管理するための団体であり、区分所有者の合意によって設立されるものではない。
〇 正しい。 区分所有者の団体は、合意によるものではなく、区分所有法上”当然”に成立する。
平成28年 マンション管理士試験 「問2」 、 平成23年 マンション管理士試験 「問1」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問2」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問1」 、平成21年 マンション管理士試験 「問2」 、 平成18年 マンション管理士試験 「問2」 、平成17年 マンション管理士試験 「問1」 、平成14年 管理業務主任者試験 「問38」 など。
区分所有法第3条は、
「(区分所有者の団体)
第三条 区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。」
とあり、
この規定は、「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し」で切れて、後半の「・・・ができる」にはかからないとされています。
そして、この解釈として、区分所有者は任意に団体を構成するのではなく、区分所有関係が成立したら、当然に区分所有者の団体が、法律的に擬制される構成になっていますから、区分所有者の合意によって設立されるものではないは、正しい。
2 一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するものは、区分所有者全員で構成する区分所有法第3条に規定する団体が、その管理を行う。
〇 正しい。
平成27年 マンション管理士試験 「問1」 、平成26年 管理業務主任者試験 「問36」 、平成26年 マンション管理士試験 「問9」 、平成24年 管理業務主任者試験 「問38」 など。
一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(一部共用部分)の管理とは、選択肢1で引用しました区分所有法第3条後半
「一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。」
とあり、
文章上、一部共用部分とは何か分かり難く、必ずしも「明らか」ではありませんが、
これは、具体的には、1棟のマンションで下が店舗、上が住居用の構造となっており、店舗部分には従業員専用入り口やお客を対象にした出入口があり、住居部に対しては住居部専用の出入口や居住階専用のエレベーターがある場合を考えてください。
この状況で店舗用の共用部分である従業員専用出入り口や店内にある廊下などの部分は、店舗部だけの「一部共用部分」となりますし、また、住居部専用の出入口や住居部だけが使用する廊下、居住階専用のエレベーターなどがあればその共用部分は、住居部だけの「一部共用部分」となります。
この場合「一部共用部分」を管理する各々の団体が当然に構成されます。
そして、その「一部共用部分」を管理する各々の団体においても、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができるとしています。
そして、その一部共用部分の管理となると、区分所有法第16条
「(一部共用部分の管理)
第十六条 一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するもの又は第三十一条第二項の規約に定めがあるものは区分所有者全員で、その他のものはこれを共用すべき区分所有者のみで行う。」
とあり、
「区分所有者”全員の利害に関係するもの”」は一部共用部分であっても当然に全体の管理への強制移管とし、その他のものは、一部共用部分であって全体の利害に関係しなくても、全体の管理に移管してもよいと、任意移管を規定しています。
そこで、一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するものは、区分所有者全員で構成する区分所有法第3条に規定する団体が、その管理を行うは、正しい。
3 区分所有法第3条に規定される団体は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数によって管理組合法人となる旨を決議し、一般社団法人の設立に必要な定款作成や設立登記等の一連の事務手続きが終了することにより、管理組合法人となる。
X 誤っている。 管理組合法人は、一般社団法人の設立と異なり、定款は不要。
平成28年 マンション管理士試験 「問8」 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問1」 、平成21年 管理業務主任者試験 「問33」 、平成19年 管理業務主任者試験 「問36」
区分所有法第3条に規定される団体が管理組合法人となるには、区分所有法第47条
「(成立等)
第四十七条 第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる。
2 前項の規定による法人は、管理組合法人と称する。
3 この法律に規定するもののほか、管理組合法人の登記に関して必要な事項は、政令で定める。
(以下、略)」
とあり、
区分所有法第47条1項によれば、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で、@名称 と A事務所を決め、そのうえで、事務所を管轄する登記所に行って B所定の登記をすれば法人となれます。
では、同条3項の「この法律に規定するもののほか、管理組合法人の登記に関して必要な事項は、政令で定める」の内容ですが、
まず、この法律(区分所有法)に規定するものとは、
1.名称を決める
2.事務所を定める
で、登記に関して必要な事項を定める政令とは、具体的には、「組合等登記令」です。
組合等登記令で必要なのは、組合等登記令第2条
「(設立の登記)
第二条 組合等の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、設立の認可、出資の払込みその他設立に必要な手続が終了した日から二週間以内にしなければならない。
2 前項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
一 目的及び業務
二 名称
三 事務所の所在場所
四 代表権を有する者の氏名、住所及び資格
五 存続期間又は解散の事由を定めたときは、その期間又は事由
六 別表の登記事項の欄に掲げる事項 」
で、別表とは、管理組合法人に関した部分を抜き出すと、
「別表 (第一条、第二条、第六条、第七条の二、第八条、第十七条、第二十条、第二十一条の三関係)
名称 | 根拠法 | 登記事項 |
管理組合法人 団地管理組合法人 |
建物の区分所有等に関する法律 | 共同代表の定めがあるときは、その定め |
です。
そして、設立の時の申請では、組合等登記令第16条
「(設立の登記の申請)
第十六条 設立の登記は、組合等を代表すべき者の申請によつてする。
2 設立の登記の申請書には、定款又は寄附行為及び組合等を代表すべき者の資格を証する書面を添付しなければならない。
3 第二条第二項第六号に掲げる事項を登記すべき組合等の設立の登記の申請書には、その事項を証する書面を添付しなければならない。」
とあり、
組合等登記令第16条2項によれば、設問のような”定款”も必要となっていますが、これには例外規定として、組合等登記令第26条11項
「(特則)
第二十六条 (前半、省略)
11 管理組合法人又は団地管理組合法人の設立の登記の申請書には、第十六条第二項の規定にかかわらず、次の書面を添付しなければならない。
一 法人となる旨並びにその名称及び事務所を定めた集会の議事録
二 第二条第二項第一号に掲げる事項を証する書面
三 管理組合法人又は団地管理組合法人を代表すべき者の資格を証する書面
(以下、略)」
とあり、
組合等登記令第16条2項の規定が排除されていますから、定款は不要で、設問の前半「区分所有法第3条に規定される団体は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数によって管理組合法人となる旨を決議」は、正しいのですが、設問の後半「一般社団法人の設立に必要な定款作成や設立登記等の一連の事務手続きが終了することにより、管理組合法人となる」は、誤りで、全体として、誤りです。
4 建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあっては、その共用部分)の全部が滅失した場合には、管理組合法人は解散する。
〇 正しい。
平成28年 マンション管理士試験 「問9」 、平成27年 管理業務主任者試験 「問30」 、 平成26年 マンション管理士試験 「問3」 、平成23年 マンション管理士試験 「問7」 、 平成19年 マンション管理士試験 「問11」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「問35」
管理組合法人の解散は、区分所有法第55条
「(解散)
第五十五条 管理組合法人は、次の事由によつて解散する。
一 建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあつては、その共用部分)の全部の滅失
二 建物に専有部分がなくなつたこと。
三 集会の決議
2 前項第三号の決議は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数でする。 」
とあり、
区分所有法第55条1項1号により、建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあっては、その共用部分)の全部が滅失した場合には、管理組合法人は解散するは、正しい。
答え:3
《タグ》区分所有法。 団体。法人化。設立。解散。
組合登記令など、細かく説明しましたが、答えは易しい。
第五十五条 |
2項 前項第三号の決議は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数でする。 |
過去出題 | マンション管理士 | R03年、H29年、H20年、 |
管理業務主任者 | H25年、 |
★ 前項第三号の決議...集会で管理組合法人を解散すること
★区分所有者の団体(管理組合)は、集会で区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数の決議で「法人」になれました。(第47条1項参照)
そこで、管理組合法人解散の議決には法人成立時の議決と同様に「区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数」による特別多数決議とされています。
★特別に多数の賛成が必要で「特別多数決議事項」と呼ばれる。(その8の3−2)
★管理組合法人の設立も解散も4分の3以上必要。
★注意:ただし、他の特別多数決議事項と違って、集会の招集通知で、「会議の目的たる事項」を示すだけでよく、「議案の要領」を示す必要はありません。(参照 区分所有法第35条5項)
★集会で区分所有者及び議決権の各四分の三以上で管理組合法人を解散しても、「法人格を持たない区分所有者の団体」は残っています。
また、法人が解散すると、いままでいた理事は当然には「管理者」にはなりませんから、別途手続きで管理者を選任するなどが必要となります。
{設問-1} 平成23年 マンション管理士試験 「問7」
〔問 7〕震災によるマンションの修繕工事が予算を大幅にオーバーし多額の債務を負担することとなった管理組合法人の理事会でのA〜Dの各理事の次の発言のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。
1 A理事「大変なことになりましたね。ただ、管理組合法人の場合は、法人としての責任ということになりますから、管理組合法人の総資産の有限責任の範囲での債務の負担ということになるでしょう。」
X 誤っている。 管理組合法人の資産で債務が完済出来ない場合には、区分所有者にも債務負担がいく。
マンションの管理組合が法人化されていれば、債務は一次的にはその法人が負いますが、法人の財産でも負債を完済できない場合には、区分所有法第53条の規定があります。
「(区分所有者の責任)
第五十三条 管理組合法人の財産をもつてその債務を完済することができないときは、区分所有者は、第十四条に定める割合と同一の割合で、その債務の弁済の責めに任ずる。ただし、第二十九条第一項ただし書に規定する負担の割合が定められているときは、その割合による。
」です。
設問のような場合には、正に、この第53条の適用となり、区分所有者が、原則、専有部分の床面積の割合(第14条)で負担し、規約で別の負担割合が決められていればその負担割合で(第29条)負担することになります。管理組合法人の総資産の有限責任の範囲での債務の負担ではありません。
2 B理事「いいえ、もし管理組合法人の総資産でも弁済額に足りない場合には、我々区分所有者の個人財産をもって、専有部分の床面積の割合で分割された責任範囲で負担しなけれぱならないですよ。」
○ 正しい。
これは、選択肢1で述べましたように、区分所有法第53条。
「(区分所有者の責任)
第五十三条 管理組合法人の財産をもつてその債務を完済することができないときは、区分所有者は、第十四条に定める割合と同一の割合で、その債務の弁済の責めに任ずる。ただし、第二十九条第一項ただし書に規定する負担の割合が定められているときは、その割合による。」とあり、
規約がないとの設問ですから、このとおりです。
3 C理事「いやいや、管理組合法人の場合は、総資産でも弁済額に足りない場合には、管理組合法人の解散ということになると思います。その場合は、区分所有者全員が連帯して債務を負担することになりますよ。」
X 誤っている。 管理組合法人では、破産は解散事由にならない。
総資産でも弁済額に足りない場合は、通常、破産で、多くの場合法人は、解散になりますが、管理組合の法人では解散事由にしていません。それは、まだ、建物が残っているので、別の扱いにしたとのことです。それでは、管理組合の法人の解散は、区分所有法第55条。
「(解散)
第五十五条 管理組合法人は、次の事由によつて解散する。
一 建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあつては、その共用部分)の全部の滅失
二 建物に専有部分がなくなつたこと。
三 集会の決議
2 前項第三号の決議は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数でする。」とだけあり、
総資産でも弁済額に足りない場合には、選択肢1で述べましたように、管理組合法人は解散せず存続し、その際の負担は、区分所有法第53条により、各区分所有者が、原則、その専有部分の床面積の割合のより負担します。区分所有者全員が連帯して債務を負担することにはなりません、
4 D理事「結論には時間がかかりそうですね。私は、近々、専有部分を売って引っ越しすることが決まっています。買受人には、十分伝えておきますので、もし、区分所有者が負担すると決まっても、その時は区分所有者ではないはずの私には責任はありません。」
X 誤っている。 債務負担は、前の区分所有者にも、また特定承継人にも及ぶ。
後からマンションを購入した人(買受人)は、特定承継人と呼ばれ、法人では、区分所有法第54条。
「(特定承継人の責任)
第五十四条 区分所有者の特定承継人は、その承継前に生じた管理組合法人の債務についても、その区分所有者が前条(第53条)の規定により負う責任と同一の責任を負う。」
とあり、
マンションの売買契約で、債務が発生した後から購入した人(特定承継人)でも、この規定により、購入前に発生していた債務を負担します。
そして、この場合の元の区分所有者(売主)と後の特定承継人(購入者)の関係は、始めからは連帯の債務ではないが、同一の給付する債務を負担するという「不真正連帯債務」の関係にあると解釈されていますので、引っ越したあとでも、元の区分所有者も、また責任を負います。(先に特定承継人が支払えば、特定承継人は、元の売主に請求できます。)
答え:2 (震災などと、今年3月11日に発生した、東北地方太平洋沖地震をもってきているが、法人の規定の基礎で、ここも、易しい。)
{設問-2}次の記述は正しいか。
*建物に専有部分がなくなっても、集会において解散決議がなされるまでは、管理組合法人は解散しない。
→X 誤 建物に専有部分がなくなるのは、管理組合法人の解散事由の1つ。
区分所有法第55条「管理組合法人は、次の事由によつて解散する。
一 建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあつては、その共用部分)の全部の滅失
二 建物に専有部分がなくなつたこと。
三 集会の決議
第1項は、「管理組合法人は、次の事由によつて解散する。」とし、その第二号において、「建物に専有部分がなくなつたこと。」を挙げる。建物に専有部分がなくなった場合、集会の解散決議を要しないで、管理組合法人は解散する。よって、第二号により建物に専有部分がなくなると、管理組合法人は解散する。
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★区分所有法第55条3項は、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法が変更されたものです。
なお、旧3項から削除された、旧民法第73条から第76条、第78条から第82条までの規定は、区分所有法第55条の2 以降に新設されました。
また、旧非訴訟手続法第35条2項、同第36条から40条の規定は、区分所有法第56条の2 以降に新設されました。
*以下は、平成20年12月の改正以前の解説です。参考までに。
★解散・清算の手続きは民法と非訟事件手続法による
管理組合法人が1項の解散原因の発生により解散すると清算に入ることになります。
3項はその清算に関する重要規定です。
通常、法人が解散する場合には、清算手続きを経て、それが完了して、消滅します。
解散−->清算−->消滅
という段階を経由することになります。清算が完了するまでは、なお存続していますので注意してください。
清算に入った法人は清算法人といわれ、その権利能力は清算目的の範囲に制限されます(民法 第73条)。
その清算業務の内部的・外部的(代表)執行機関を清算人とよびます(民法 第74条)。
清算はこれまでの取引関係の整理であり多数の一般債権者等に利害関係がある行為ですから裁判所の監督を受け(民法 第82条)、それは主に清算人に対する人事権を含めた監督権の発動によりなされます(民法 第75条、第76条、非訟事件手続法)。
清算人は法人の業務を終了して,債権を取り立て,債務については公告の上,債権者の債権の届出を受けてその優先度合いに応じて公平にこれを弁済し、残余財産を確定してこれを引き継ぐものに引き渡すことになります(民法 第78条から第80条)。
★解散すると清算手続き(法人の財産関係を整理する)に入る。この清算手続きが終わるまで、管理組合法人は存続するものとみなされる。
清算事務は、清算人がするが、裁判所の監督に服する。
<参照> 民法 第73条 〜 第76条:
民法 第七十三条:(清算法人) ;
解散した法人は、清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす。
民法 第七十四条 :(清算人) :
法人が解散したときは、破産手続開始の決定による解散の場合を除き、理事がその清算人となる。ただし、定款若しくは寄附行為に別段の定めがあるとき、又は総会において理事以外の者を選任したときは、この限りでない。
民法 第七十五条 :(裁判所による清算人の選任) ;
前条の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任することができる。
民法 第七十六条:(清算人の解任);
重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を解任することができる。
<参照> 民法 第78条 〜 第82条:
民法 第七十八条:(清算人の職務及び権限) ;
清算人の職務は、次のとおりとする。
一 現務の結了
二 債権の取立て及び債務の弁済
三 残余財産の引渡し
2 清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。
民法 第七十九条 :(債権の申出の催告等) ;
清算人は、その就職の日から二箇月以内に、少なくとも三回の公告をもって、債権者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。
2 前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは、その債権は清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、清算人は、知れている債権者を除斥することができない。
3 清算人は、知れている債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。
4 第一項の規定による公告は、官報に掲載してする。
民法 第八十条 :(期間経過後の債権の申出) ;
前条第一項の期間の経過後に申出をした債権者は、法人の債務が完済された後まだ権利の帰属すべき者に引き渡されていない財産に対してのみ、請求をすることができる。
民法 第八十一条: (清算法人についての破産手続の開始) ;
清算中に法人の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをし、その旨を公告しなければならない。
2 清算人は、清算中の法人が破産手続開始の決定を受けた場合において、破産管財人にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。
3 前項に規定する場合において、清算中の法人が既に債権者に支払い、又は権利の帰属すべき者に引き渡したものがあるときは、破産管財人は、これを取り戻すことができる。
4 第一項の規定による公告は、官報に掲載してする。
民法 第八十二条:(裁判所による監督) ;
法人の解散及び清算は、裁判所の監督に属する。
2 裁判所は、職権で、いつでも前項の監督に必要な検査をすることができる。
<参照> 非訟事件手続法 第35条第2項、第36条 〜 第40条:
第三十五条2項;法人ノ解散及ヒ清算ノ監督ハ其主タル事務所所在地ノ地方裁判所ノ管轄トス
第三十六条 法人ノ清算人ニ関スル事件ハ法人ノ主タル事務所所在地ノ地方裁判所ノ管轄トス
第三十七条 法人ノ清算人ノ選任ノ裁判ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ズ
第三十八条 民法第七十五条 ノ規定ニ依リ裁判所ガ法人ノ清算人ヲ選任シタル場合ニ於テハ法人ヲシテ之ニ報酬ヲ与ヘシムルコトヲ得其額ハ清算人及ビ監事ノ陳述ヲ聴キ裁判所之ヲ定ム
第三十九条 法人ノ清算人ノ解任ニ付テノ裁判及ビ前条ノ裁判ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得
第四十条 裁判所ハ特ニ選任シタル者ヲシテ法人ノ解散及ビ清算ノ監督ニ必要ナル検査ヲ為サシムルコトヲ得
○2 前三条ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ裁判所ガ検査ヲ為スベキ者ヲ選任シタル場合ニ之ヲ準用ス
*ここまでが、平成20年12月の改正前の解説です。
◎ 平成20年12月1日施行内容 第五十五条の次に次の八条を加える。 |
第五十五条の二 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 解散した管理組合法人は、清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第55条の2 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第55条の2 は、旧民法第73条の規定に対応しています。
<参考> 旧民法 第七十三条:(清算法人) ;
解散した法人は、清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす。
★なお存続するものとみなす...法人が解散しても、清算が終わるまでまだ存続している。
★管理組合法人が区分所有法第55条(解散)で規定する建物の全部の滅失や建物に専有部分が無くなる、また集会の決議で法人としての解散事由の発生により解散すると、次の段階としての「清算」に入ることになります。
<参照>区分所有法 第55条 (解散)
第五十五条 管理組合法人は、次の事由によつて解散する。
一 建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあつては、その共用部分)の全部の滅失
二 建物に専有部分がなくなつたこと。
三 集会の決議
2 前項第三号の決議は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数でする。
本第55条の2 以下はその法人の解散後の清算に関する重要規定です。
通常、法人として登記をすると、その法人が解散してもまだ消滅しておらず、法人としての本来の事業活動は出来ませんが財産関係の後始末である「清算手続き」を経て、それが完了してから、消滅します。
この清算手続きが必要なのは、法人が自由に解散すると債権者や取引先など利害関係者に支払などが出来なくなるため、解散した法人の財産(資産と負債)を整理し、また公平に分配することにより、利害関係者を保護する仕組みです。
なお、面倒ですが、管理組合法人の破産の場合には、破産は、二次的に区分所有者が分割で責任を負うとの理由で、管理組合法人の解散事由とされていません(第55条参照)ので注意してください。
ただし、管理組合法人が清算手続きに入り債務超過が明らかになると、管理組合法人での解散事由とは別の理由として、清算人は破産宣告などの手続きに従います。(第55条の9 参照)。混同しないように注意してください。
法人の場合:解散−->清算−->消滅
という段階を経由することになります。清算が完了するまでは、なお限定ながら法人は存続していますので注意してください。
それが、「清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす」の規定です。
以下に説明します「清算法人」と元の「管理組合法人」が重なって存在していると考えてください。
通常、清算に入った法人は「清算法人」といわれ、その権利能力は清算目的の範囲に制限されます(新:区分所有法第55条の2、旧民法第73条)。
その清算業務の内部的・外部的(代表)執行機関を「清算人」とよび、通常元の管理組合法人の理事が清算人になりますが、規約や集会で元の理事以外の人が清算人になることもあります。(新:区分所有法第55条の3、旧民法第74条)。
この、清算の段階に入っても、管理組合法人での監事は、引き続き清算人の職務を監督し、集会(総会)は依然として最高意思決定機関であることには注意してください。
また、清算人がいない場合や、清算人が欠けた場合には、裁判所が利害関係人や検察官の請求、また裁判所独自の職権で、清算人を選ぶこともあります。(新:区分所有法第55条の4、旧民法第75条)。
重要な事由がある時には、裁判所が利害関係人や検察官の請求、また裁判所独自の職権で、清算人を解任できます。(新:区分所有法第55条の5、旧民法76条)。
★清算人の職務・権限(新:区分所有法第55条の6、旧民法第78条)
<参照> 新:区分所有法 第55条の6 (清算人の職務及び権限);
1項 清算人の職務は、次のとおりとする。
一 現務の結了
二 債権の取立て及び債務の弁済
三 残余財産の引渡し
2項 清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。
管理組合法人の解散によって管理組合法人としての執行機関である理事から、清算に関する事務の執行を引き継いだ清算人(多くは元の理事)は、以下の職務を行います。
また、清算人は解散の前に理事が有していた、法人の財産の占有、法人の代表、法人としての権利の行使を「清算の範囲内」で行使できます。(2項)
以前理事が行っていた職務の内、清算についての部分だけ(判定が困難な場合も発生する)が、清算人の職務となります。
1号.現務の結了...現に継続している法人の事務を完結させます。結了とは、全てのことを終わらせることです。
2号.債権の取立て・債務の弁済
ア.債権の取立て...期限が来ている債権は回収します。弁済期にまだ達していない債権があれば、譲渡や金銭に換価処分をします。
イ.債務の弁済 ....債務があれば、手続きも速やかに終了するようにします。
また、債務の弁済については、第三者も関係するため、詳細な手続きが定められています。
a.債権申出の催告(新:区分所有法第55条の7、旧民法第79条)
清算人は、その職についたら、2ヶ月以内に少なくとも3回、一般の債権者(清算人が把握していない債権者)に対し、官報で2ヶ月以上の期間を定めて、この期間内に債権の申出をするよう公告します。
この定めた2ヶ月以上の期間内に債権の申出がないと、清算から弁済も配当も受けられない「除斥」になることも公告します。
なお、清算人が把握している債権者(知れてる債権者)に対しては、個別に申出を催告します。この場合には、除斥期間を定める必要もなく、また1回だけの催告で構いません。
b.弁済
指定した期間内に申出のあった債権者に対して、順次弁済をしていきます。
除斥期間内に申出の無かった債権者は、申出のあった債権者に全部弁済したあとに、まだ帰属権者に引き渡さないものがあれば、この部分に対して請求できます。(新:区分所有法第55条の8)。これが「除斥公告」の効力です。
c.申出のあった債権の全部が弁済できない時 −−> 破産申請へ (新:区分所有法第55条の9、旧民法第81条)
債権の総額が法人の財産より多くて、弁済が出来ない時には、清算人は、直ちに破産手続開始の申請をし官報で公告します。
そして、破産手続開始の決定を受けると、清算人は破産管財人に事務を引き継ぎし、清算人の任務は終了します。
破産手続開始の決定があると、破産管財人は、清算中に既に弁済したものがあれば取り戻して、配当に充当できます。
なお、破産管財人の職務権限は、破産財団に関する権利義務に限られますから、それ以外の管理組合法人の代表などの権利義務は「清算人」に依然として存続すると考えられています。
3号.残余財産の引渡し
債権を取立て、弁済をしてもなお管理組合法人としての財産が残っていれば、規約に別段の定めがなければ、清算人から帰属権者に、引き渡しとなります。(区分所有法第55条の6 3項、及び同56条)
★この「帰属権者へ残余財産の引渡し」規定と団体の存在について
管理組合法人の解散の事由のうち、1.建物全部の滅失、と 2.建物に専有部分がなくなった 場合には、区分所有法そのものの適用が無くなるため、清算をして残余の財産があれば、帰属権者は区分所有者となりますが、解散事由の、「3.集会の決議」 による場合には、残余財産は、各区分所有者には帰属せず、区分所有法第3条で規定する「区分所有者の団体」に帰属すると考えられています。
法律であれば、このあたりは、条文で明確にすべきだと思います。
第五十五条の三 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 管理組合法人が解散したときは、破産手続開始の決定による解散の場合を除き、理事がその清算人となる。ただし、規約に別段の定めがあるとき、又は集会において理事以外の者を選任したときは、この限りでない。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第55条の3 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第55条の3 は、旧民法第74条の規定に対応しています。
<参考> 旧民法 第七十四条 :(清算人) :
法人が解散したときは、破産手続開始の決定による解散の場合を除き、理事がその清算人となる。ただし、定款若しくは寄附行為に別段の定めがあるとき、又は総会において理事以外の者を選任したときは、この限りでない。
★管理組合法人が解散となり、清算の段階に入ると清算法人といわれ、その権利能力は清算目的の範囲に制限されます。(区分所有法第55条の2 参照)
★理事 −> 清算人 へ (原則)
その清算業務の内部的・外部的(代表)執行機関を「清算人」とよび、通常元の管理組合法人の理事が清算人になりますが、規約や集会で元の理事以外の人が清算人になることもあります。
今までの理事では今後の清算事務を任せておけないと考えれば、集会で他の信頼できる人を清算人に選べます。
ただし、破産となると、別途「破産管財人」が選任されますので、当然には理事が清算人にはなりません。(第55条の9 参照)
第五十五条の四 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 前条の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任することができる。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第55条の4 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第55条の4 は、旧民法第75条の規定に対応しています。
<参考>旧民法 第七十五条 :(裁判所による清算人の選任) ;
前条の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任することができる。
★清算人がいない時 −> 裁判所が清算人を選ぶ
清算の段階に入ると、管理組合法人の理事に代わって清算人が存在します。
通常、解散時の理事が法律上当然に清算人になります(区分所有法第55条の3)が、元の理事が清算人にはならないといったり、清算人の人数が足りず、事務処理が滞って損害が生じるような場合には、裁判所が利害関係人や検察官の請求、また裁判所独自の職権で、清算人を選ぶこともあります。
解散では誰かが、後始末をきっちりとする必要があります。清算人がその人です。
清算人は、第三者に対する影響が大きいため、裁判所の権限で選べることは注意が必要です。
★利害関係人の範囲
ここでの利害関係人としては、区分所有者(また解散時に区分所有者であった者)、管理組合法人の債権者・債務者が考えられます。
★注意:ここで、仮理事の選任を思い出してください。
地方裁判所は、理事が欠けた場合には、利害関係人または検察官の請求で「仮理事」を選任します。(参照:区分所有法第49条の4 1項 )
<参照>区分所有法 第49条の4 1項 (仮理事)
第四十九条の四 理事が欠けた場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、仮理事を選任しなければならない。
そう、仮理事の選任では、地方裁判所の職権は入っていませんが、「清算人の選任」は地方裁判所が職権でもできることです。
出題され易い箇所です。
第五十五条の五 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を解任することができる。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第55条の5 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第55条の5 は、旧民法第76条の規定に対応しています。
<参考>旧民法第七十六条:(清算人の解任);
重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を解任することができる。
★清算人の解任 −> 裁判所が行う
清算の段階での清算人の職務は非常に重要です。
そこで、清算人が病気で入院するなどで職務を全うできないなど、重要な事由があれば、裁判所が利害関係人や検察官の請求、また裁判所独自の職権で、清算人を解任できます。
清算人の選任が、裁判所の職権でできたように、清算人の解任も、利害関係人(第55条の4 参照)や検察官の請求の他に裁判所の職権でできることに注意が必要です。
★解任に不満なら −> 「即時抗告」ができる (第56条の6 参照)
「重要な事由」の判断は、非常に曖昧です。
そこで、清算人としての地位を勝手に裁判所によって奪わるることに対して不満があれば、「即時抗告」ができる救済策があります。
<参照>区分所有法 第56条の6 (即時抗告)
第五十六条の六 清算人の解任についての裁判及び前条の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第五十五条の六 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 清算人の職務は、次のとおりとする。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第55条の6 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第55条の6 は、旧民法第78条の規定に対応しています。
<参考>旧民法 第七十八条:(清算人の職務及び権限) ;
清算人の職務は、次のとおりとする。
一 現務の結了
二 債権の取立て及び債務の弁済
三 残余財産の引渡し
2 清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。
★管理組合法人が解散すると、今までいた理事の代わりに清算人が存在します。
既に説明しましたが、清算人がその職務としてできる範囲と権限を明確にしたのが、この第55条の6 です。
★ 清算人の職務には、
1.現務の結了...現に継続している法人の事務を完結させます。
2.債権の取立て・債務の弁済
ア.債権の取立て...期限が来ている債権は回収します。弁済期にまだ達していない債権があれば、譲渡や金銭に換価処分をします。
イ.債務の弁済...債務があれば、手続きも速やかに終了するようにします。
また、債務の弁済については、第三者も関係するため、詳細な手続きが定められています。
a.債権申出の催告(新:区分所有法第55条の7、旧民法第79条)
清算人は、職についたら、2ヶ月以内に少なくとも3回、一般の債権者(清算人が把握していない債権者)に対し、官報で2ヶ月以上の期間を定めて、この期間内に債権の申出をするよう公告します。
この定めた2ヶ月以上の期間内に債権の申出がないと、清算から弁済も配当も受けられない「除斥」になることも公告します。
なお、清算人が把握している債権者(知れてる債権者)に対しては、個別に申出を催告します。この場合には、除斥期間を定める必要もなく、また1回だけの催告で構いません。
b.弁済
期間内に申出のあった債権者に対して、順次弁済をしていきます。
除斥期間内に申出の無かった債権者は、申出のあった債権者に全部弁済したあとに、まだ帰属権者に引き渡さないものがあれば、この部分に対して請求できます。(新:区分所有法第55条の8)。これが「除斥公告」の効力です。
c.申出のあった債権の全部が弁済できない時 −−> 破産申請へ (新:区分所有法第55条の9、旧民法第81条)
債権の総額が法人の財産より多くて、弁済が出来ない時には、清算人は、直ちに破産手続開始の申請をし官報で公告します。
そして、破産手続開始の決定を受けると、清算人は破産管財人に事務を引き継ぎし、清算人の任務は終了します。
破産手続開始の決定があると、破産管財人は、清算中に既に弁済したものがあれば取り戻して、配当に充当できます。
なお、破産管財人の職務権限は、破産財団に関する権利義務に限られますから、それ以外の管理組合法人の代表などの権利義務は「清算人」に依然として存続すると考えられています。
3.残余財産の引渡し
債権を取立て、弁済をしてもなお管理組合法人としての財産が残っていれば、清算人から帰属権者に、引き渡しとなります。
★管理組合法人の解散の登記も清算人の職務
思い出してください。管理組合法人は、設立の登記をしています。(区分所有法第47条1項及び3項参照)(組合等登記令第2条)
<参照>区分所有法 第47条 (成立等);
第四十七条 第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる。
2 (略)
3 この法律に規定するもののほか、管理組合法人の登記に関して必要な事項は、政令で定める。
<参照>組合等登記令 第2条 (設立の登記);
第二条 組合等の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、設立の認可、出資の払込みその他設立に必要な手続が終了した日から二週間以内にしなければならない。
2 前項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
一 目的及び業務
二 名称
三 事務所の所在場所
四 代表権を有する者の氏名、住所及び資格
五 存続期間又は解散の事由を定めたときは、その期間又は事由
六 別表の登記事項の欄に掲げる事項
そして、設立の登記をしたら、当然に解散の登記もすることになっています。(組合等登記令第7条)
<参照>組合等登記令 第7条 (解散の登記);
第七条 組合等が解散したときは、合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除き、二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、解散の登記をしなければならない。
解散により、理事はそのまま法律上当然に清算人となりますから(区分所有法第55条の3)、清算人として、解散から2週間以内に管理組合法人の解散の届出をして、解散の登記をしなければなりません。
★罰則がある。
管理組合法人の解散の登記を怠ると、、区分所有法71条5号により、20万円以下の過料となります。
<参照>区分所有法 第71条 ;
第七十一条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その行為をした管理者、理事、規約を保管する者、議長又は清算人は、二十万円以下の過料に処する。
五 第四十七条第三項(第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に基づく政令に定める登記を怠つたとき。
★清算人は、清算中の管理組合法人の事務執行機関として、元の理事が有していた管理組合法人の財産を占有し、管理組合法人の権利を行使し、管理組合法人を代表して法律行為をするなど、職務を執行するのに必要な一切の権限をもっています。ただし、それは清算の範囲内(判断が難しいけど)に限られます。(2項)
★清算人は、複数いてもいい
清算人は理事と同じように、一人には限りません。
複数の清算人がいる場合には、多数決で事務を執行することになります。
第五十五条の七 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 清算人は、その就職の日から二月以内に、少なくとも三回の公告をもつて、債権者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。この場合において、その期間は、二月を下ることができない。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第55条の7 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第55条の7 は、旧民法第79条の規定に対応しています。
<参考>旧民法 第七十九条 :(債権の申出の催告等) ;
清算人は、その就職の日から二箇月以内に、少なくとも三回の公告をもって、債権者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。
2 前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは、その債権は清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、清算人は、知れている債権者を除斥することができない。
3 清算人は、知れている債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。
4 第一項の規定による公告は、官報に掲載してする。
★第55条の7 は、清算人の職務として、債権を確定することを規定しています。
★債権申出の催告 〜2ヶ月以内に、官報で 最低3回はすること〜
清算人は、職についたら、2ヶ月以内に少なくとも3回、一般の債権者(清算人が把握していない債権者)に対し、官報で2ヶ月以上の期間を定めて、この期間内に債権の申出をするよう公告します。(1項、4項)
この定めた2ヶ月以上の期間内に債権の申出がないと、清算から弁済も配当も受けられない「除斥」になることも公告します。(2項)
なお、清算人が把握している債権者(知れている債権者)に対しては、個別に申出を催告します。
この場合には、除斥期間を定める必要もなく、また1回だけの催告で構いません。(3項)
この清算人からの催告を受け、一般の債権者と知れている債権者からの債権が申出され、債権の総額が確定します。
★罰則あり。20万円以下の過料
第55条の7 1項に定める債権の申出の催告の公告をしなかったり、また内容が不正な公告をすると、区分所有法第71条8号により、20万円以下の過料となります。
<参照>区分所有法 第71条 ;
第七十一条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その行為をした管理者、理事、規約を保管する者、議長又は清算人は、二十万円以下の過料に処する。
八 第五十五条の七第一項又は第五十五条の九第一項(これらの規定を第六十六条において準用する場合を含む。)の規定による公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。
第五十五条の八 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 前条第一項の期間の経過後に申出をした債権者は、管理組合法人の債務が完済された後まだ権利の帰属すべき者に引き渡されていない財産に対してのみ、請求をすることができる。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第55条の8 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第55条の8 は、旧民法第80条の規定に対応しています。
<参考>旧民法 第八十条 :(期間経過後の債権の申出) ;
前条第一項の期間の経過後に申出をした債権者は、法人の債務が完済された後まだ権利の帰属すべき者に引き渡されていない財産に対してのみ、請求をすることができる。
★指定した期間を過ぎた債権の救済 〜残った財産にしか請求できない〜
清算の段階に入り、債権を確定させるために、公告や催告をしても(区分所有法第55条の7 参照)、指定した期間内に債権があると申出をしなかった債権者に対しての救済として、この第55条の8 があります
ただし、救済といっても、管理組合法人の清算事務処理の方が優先しています。
つまり、一度確定した債務の弁済が終わってもまだ、管理組合法人に財産があり、さらにそれが帰属権利者に引き渡されていないものから弁済を受けられることになっています。
第五十五条の九 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 清算中に管理組合法人の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになつたときは、清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをし、その旨を公告しなければならない。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第55条の9 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第55条の9 は、旧民法第81条の規定に対応しています。
<参考>旧民法 第八十一条: (清算法人についての破産手続の開始) ;
清算中に法人の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをし、その旨を公告しなければならない。
2 清算人は、清算中の法人が破産手続開始の決定を受けた場合において、破産管財人にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。
3 前項に規定する場合において、清算中の法人が既に債権者に支払い、又は権利の帰属すべき者に引き渡したものがあるときは、破産管財人は、これを取り戻すことができる。
4 第一項の規定による公告は、官報に掲載してする。
★管理組合法人の財産で弁済できないと −> 解散事由ではないが、この段階で清算は破産となる
管理組合法人では、債務は、第一次的には管理組合法人が弁済し、それでも完済できない時は、区分所有者が持分に応じて分割して責任を負う(第53条参照)ため、破産は、管理組合法人の解散事由としていませんが、この清算の段階で、債務超過が明らかになれば、清算を破産の手続きで行います。
清算の段階で、債務を集計すると、債務の総額が管理組合法人が持っている財産の額より大きくて、全額の弁済が出来ないことがわかれば、清算から「破産」の段階に変わります。
清算人は、弁済出来ないこと(支払不能=債務超過)が分かった時点で、裁判所に対して破産手続き開始の申し立てをします。(1項)
そして、官報に破産手続き開始の申し立てをしたことを公告します。(1項、4項)
★清算人から破産管財人に引き継ぐ
破産手続開始の申立てを受けた裁判所は、内容を確認して、破産手続開始の決定をし、破産管財人(一人に限らない)を選任します。(破産法第30条、同第31条参照)
<参照> 破産法 第30条 (破産手続開始の決定);
第三十条 裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合において、破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、破産手続開始の決定をする。
一 破産手続の費用の予納がないとき(第二十三条第一項前段の規定によりその費用を仮に国庫から支弁する場合を除く。)。
二 不当な目的で破産手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。
2 前項の決定は、その決定の時から、効力を生ずる。
<参照> 破産法 第31条1項 (破産手続開始の決定と同時に定めるべき事項等);
第三十一条 裁判所は、破産手続開始の決定と同時に、一人又は数人の破産管財人を選任し、かつ、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 破産債権の届出をすべき期間
二 破産者の財産状況を報告するために招集する債権者集会(第四項、第百三十六条第二項及び第三項並びに第百五十八条において「財産状況報告集会」という。)の期日
三 破産債権の調査をするための期間(第百十六条第二項の場合にあっては、破産債権の調査をするための期日)
(以下略)
裁判所によって破産管財人が選任されれば、清算人はいままでの事務をその破産管財人に引き継ぎ、あとは、破産管財人が清算人に代わって破産手続きをします。
破産の段階に入れば、清算中に管理組合法人が既に債権者に支払ったものや帰属権利者に引き渡したものがあれば、破産管財人が、これらを取り戻すことができることに、注意が肝心です。(3項)
★清算人の業務は終了して、あとは破産管財人が業務を引き継ぐ 〜 全業務ではない 〜
2項に「清算人は、清算中の管理組合法人が破産手続開始の決定を受けた場合において、破産管財人にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。
」とありますが、破産管財人の職務権限は、破産財団に関する権利義務に限られています。
そこで、依然として、清算人には、破産管財人が有していない、管理組合法人としての代表などの職務は残っています。
★罰則あり。
区分所有法第71条9号により、20万円以下の過料。
清算人が、弁済出来ないこと(支払不能=債務超過)が分かった時点で、裁判所に対して破産手続き開始の申し立てをしないと(1項)、20万円以下の過料になります。
<参照>区分所有法 第71条9号 ;
第七十一条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その行為をした管理者、理事、規約を保管する者、議長又は清算人は、二十万円以下の過料に処する。
九 第五十五条の九第一項(第六十六条において準用する場合を含む。)の規定による破産手続開始の申立てを怠つたとき。
第五十六条 |
解散した管理組合法人の財産は、規約に別段の定めがある場合を除いて、第十四条に定める割合と同一の割合で各区分所有者に帰属する。 |
過去出題 | マンション管理士 | H25年、H19年、 |
管理業務主任者 | R01年、 |
★管理組合法人の残余財産は各区分所有者へ帰属する(規約で定めていなければ)
本第56条は管理組合法人が解散をし、清算をした後、まだ残っている財産があれば誰のものになるのかの規定です。
破産的清算等債務者の財産の債権者への公平な満足を目的とする場合を除き、通常の清算手続きは残余財産を確定するためのものですから、清算が終了し、余った財産が確定すればこれを引き継ぐべき者に引き継ぐことになります。
そこで、第56条では、規約で別段の定めのない限り、持分割合(区分所有法の原則である内法床面積割合(第14条))で各区分所有者がこの残余財産の帰属主体となることとしています。
◎しかし、もともと、管理組合法人の財産はその法人格の存在から形式的には法人に帰属している財産ですが、実質的には全区分所有者の総有財産でしたから、形式的な帰属先(管理組合法人)が消滅すれば実質的な帰属先(各区分所有者)が顕在化するのは当然といえます。
従って、法人の残余財産も法人格が消滅すれば本来の帰属主体に帰属するようになるのであり、第56条の規定は単にこのことを確認した規定ともいえます。
★ステップアップを目指す人へ 〜 区分所有者個人に帰属するのか、団体に帰属するのか 〜
★残余財産の帰属方法
管理組合法人の解散は第55条1項の解散事由の
1.建物の全部の滅失
2.建物の専有部分が無くなった
この2つの場合には、区分所有法第3条で定める「区分所有者の団体」も存在しなくなり区分所有者が団体の拘束から外れて、残った財産は、区分所有者個人に還元される場合ですが、次の管理組合法人の解散理由
3.集会の決議
による場合には、単に管理組合法人の法人格が無くなるだけで、区分所有法第3条で定める区分所有者の団体(管理組合)は依然として存続しています。
そこで、それぞれの解散の場合に応じてこの第56条の規定の意味も同じではありません。
@通常、上の1.及び2.の団体(社団)そのものが解散する場合は、残余財産は文字通り分割されて各個人(区分所有者)に帰属することになります。
この第56条が規定しています「規約に別段の定め」がある場合とは、原則である専有部分の床面積の内法面積按分以外の定め、例えば、壁芯面積割合の場合とか、価値比の場合、その他共用持分が第14条の割合によらない場合や残余財産分配が持分とは別箇に定まっている場合がこれにあたります。
次に、
A上の3.の法人格は無くなったが、区分所有建物はまだ存在し、それに伴い区分所有者の団体(社団=管理組合)がまだ解消しない場合は、残余財産は依然として管理組合運営の資金となりますから、「権利能力なき社団」としての管理組合に承継され、各区分所有者には直接・現実的に分割して帰属するとは考えられません。
従って、各区分所有者への帰属とは、法人化前の管理組合当時の帰属状態に復帰することであり、第14条に定める潜在的持分での総有状態になります。
勿論、規約の定めも持分割合が第14条の割合によらない場合の規定であることは社団が解消する場合と同様です。
以上ですが、いずれの場合も管理組合または個々の区分所有者以外の者、例えば「建替え組合」等に残余財産を帰属させることができるかは問題です。
規約での変更が認められている以上、可能という考えもありえますが、個人財産となる場合にはその個人の意思によりますから多数決で処理できる問題ではなく、管理組合財産となる場合には管理組合業務範囲内なら可能ですが、範囲外なら全員の合意が必要なため規約での定めはできないと思われます。
★解散すると、残った財産は、規約で定めがなければ、専有部分の床面積の割合で各区分所有者に返される。
<参照>区分所有法 第14条:各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。
*別の規約があれば、それに従う。
<参考>標準管理規約65条:(消滅時の財産の清算)
第65条 管理組合が消滅する場合、その残余財産については、第10条に定める各区分所有者の共用部分の共有持分割合に応じて各区分所有者に帰属するものとする。
第65条関係コメント
共有持分割合と修繕積立金等の負担割合が大きく異なる場合は負担割合に応じた清算とするなど、マンションの実態に応じて衡平な清算の規定を定めることが望ましい。
{設問} 平成19年マンション管理士 試験 「問11」
管理組合法人が解散する場合の残余財産の帰属に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。
1 建物に専有部分がなくなったことにより解散した管理組合法人の残余財産は、区分所有法第3条の団体に帰属する。
答え:間違いである。団体もなくなり、各区分所有者に帰属する。
管理組合法人の解散事由は、区分所有法第55条1項(解散)
「 管理組合法人は、次の事由によつて解散する。
一 建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあつては、その共用部分)の全部の滅失
二 建物に専有部分がなくなつたこと。
三 集会の決議 」 である。
1号と2号により、管理組合法人が解散したときは、区分所有法第3条で定める区分所有者の団体(管理組合)そのものも存在しなくなり、同法第56条(残余財産の帰属)
「解散した管理組合法人の財産は、規約に別段の定めがある場合を除いて、第十四条に定める割合と同一の割合で各区分所有者に帰属する。」により、団体ではなく、各区分所有者に帰属することになる。
2 建物の全部の滅失により解散した管理組合法人の残余財産は、各共有者の専有部分の床面積の割合により各区分所有者に帰属する。
答え:正しい。
選択肢1で述べたように、区分所有法第55条1項と同法第56条により、正しい。
3 集会の決議により解散する管理組合法人の残余財産は、区分所有法第3条の団体に帰属する。
答え:正しい?
この設問は適切ではない。
選択肢1で述べたように、区分所有法第55条1項3号の集会の決議で管理組合法人が解散しても、これは、管理組合法人格が手続き上なくなっただけで、まだ建物や専有部分は存在しているので、区分所有法第3条で規定する団体は存在している。そこで、残余財産は依然として管理組合運営の資金となり、人格なき社団としての管理組合(区分所有法第3条の団体)に承継され、各区分所有者には直接・現実的に帰属するとは考えられない。
正しい。
答え:間違いである?
厳密に、区分所有法第56条だけを考えると、「解散した管理組合法人の財産は、規約に別段の定めがある場合を除いて、第十四条に定める割合と同一の割合で各区分所有者に帰属する。
」とあるので、間違いである。
4 建替え決議に基づき建物を取り壊すことにより解散する管理組合法人の残余財産は、各共有者の専有部分の床面積の割合により各区分所有者に帰属する。
答え:正しい。
建替え決議に基づき建物を取り壊すことにより解散する場合も、選択肢1で述べた、区分所有法第55条1項1号に該当するため、同法第56条により、残余財産は、各共有者の専有部分の床面積の割合により各区分所有者に帰属する。
正解:1 (ただし、解釈で 3 にもなり得る。難問というか、設問が中途半端で悪い!) マンション管理センターの正解:1
◎ 平成20年12月1日施行内容 第五十六条の次に次の六条を加える。 |
第五十六条の二 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 管理組合法人の解散及び清算は、裁判所の監督に属する。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第56条の2 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第56条の2 は、旧民法第82条の規定に対応しています。
<参考>旧民法 第八十二条:(裁判所による監督) ;
法人の解散及び清算は、裁判所の監督に属する。
2 裁判所は、職権で、いつでも前項の監督に必要な検査をすることができる。
★どうして、裁判所が管理組合法人の解散と清算を監督するのか
第56条の2 は、管理組合法人の解散・清算を裁判所が監督することにしています。(1項)
解散・清算では、該当の管理組合法人の財産の整理が中心になります。これは第三者の利害にも影響があり、当事者に任せると公正でなくなるおそれもあるため、裁判所の職務としました。
その裁判所は、管理組合法人のある「地方裁判所」が管轄します。(区分所有法第56条の3 参照)
<参照>区分所有法 第56条の3 (解散及び清算の監督等に関する事件の管轄);
第五十六条の三 管理組合法人の解散及び清算の監督並びに清算人に関する事件は、その主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
なお、地方裁判所は監督機関として、当然に内部の検査ができることも規定しています。(2項)
★罰則がある。 過料20万円以下
地方裁判所の検査を妨害する者に対しては、20万円以下の過料があります。(区分所有法第71条 10号参照)
<参照>区分所有法 第71条
第七十一条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その行為をした管理者、理事、規約を保管する者、議長又は清算人は、二十万円以下の過料に処する。
十 第五十六条の二第二項(第六十六条において準用する場合を含む。)の規定による検査を妨げたとき。
★検査役が選任されることもある
裁判所は、管理組合法人の解散・清算を監督しますから、必要なら、一時的に調査をする検査役を選任することもあります。(区分所有法第56条の7 1項参照)
<参照>区分所有法 第56条の7 1項 (検査役の選任);
第五十六条の七 裁判所は、管理組合法人の解散及び清算の監督に必要な調査をさせるため、検査役を選任することができる。
第五十六条の三 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 管理組合法人の解散及び清算の監督並びに清算人に関する事件は、その主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第56条の3 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文、及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第56条の3 は、旧非訟事件手続法第35条2項と同第36条の規定に対応しています。
<参考> 旧非訟事件手続法 第35条第2項、及び同法第36条:
第三十五条2項;法人ノ解散及ヒ清算ノ監督ハ其主タル事務所所在地ノ地方裁判所ノ管轄トス
第三十六条 法人ノ清算人ニ関スル事件ハ法人ノ主タル事務所所在地ノ地方裁判所ノ管轄トス
★前の区分所有法第56条の2 で管理組合法人の解散・清算の監督は、公正を期すため裁判所の監督にしましたので、それでは、どこの裁判所が担当するのかを定めたのが、本第56条の3 です。
★裁判所には管轄がある
裁判所には、簡易裁判所、家庭裁判所、地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所があり、どの裁判所が裁判権を行使するかを、その事務や事件の性質、土地などで分担しています。
これを、裁判管轄と読んでいます。
★管理組合法人として登記した事務所を管轄する「地方裁判所の管轄」となる
第56条の2 で管理組合法人の解散・清算を裁判所の監督にしましたが、裁判所には、簡易裁判所、家庭裁判所、地方裁判所などいろいろあります。
そこで、どこの裁判所の管轄にするか決めなければなりません。
管理組合法人はその設立において、事務所を定めて登記していますから(区分所有法第47条1項参照)、その事務所を管轄する「地方裁判所」の担当にしました。
また、財産の整理をする清算人が事件を起こし被告となる場合には、本来は清算人の生活本拠地を管轄とする裁判所(民事訴訟法第4条1項参照)が担当になるべきですが、管理組合法人のある土地を管轄している地方裁判所としています。(2項)
このほうが、一貫性もあり合理的と考えたようです。
<参照>区分所有法 第47条 (成立等)
第四十七条 第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる。
<参照>民事訴訟法第4条1項 (普通裁判籍による管轄)
第四条 訴えは、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する。
なお、地方裁判所の管轄となるのは、仮の理事を選任する場合と同様です。(参照:区分所有法第49条の4)
★管理組合法人の解散・清算の結了の登記は、組合等登記令による。 〜民法ではない〜
管理組合法人の登記は、組合等登記令に従ってしたように(区分所有法第47条3項)、管理組合法人が解散したら、2週間以内に、解散の登記をし(組合等登記令第7条参照)、清算手続きが結了した時(清算結了)に管理組合法人は消滅し、清算人(理事)が「清算結終の登記」を申請します。(組合等登記令第10条参照)
<参照>区分所有法 第47条3項 (成立等)
3 この法律に規定するもののほか、管理組合法人の登記に関して必要な事項は、政令で定める。
<参照>組合等登記令 第7条(解散の登記)
第七条 組合等が解散したときは、合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除き、二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、解散の登記をしなければならない。
<参照>組合等登記令 第10条(清算結了の登記)
第十条 組合等の清算が結了したときは、清算結了の日から二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、清算結了の登記をしなければならない。
<参照>組合等登記令第26条5項: 特則
5 建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号)
第五十五条第一項第一号 又は
第二号 の規定による
管理組合法人の解散の登記は、登記官が、職権ですることができる。
第五十六条の四 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 清算人の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第56条の4 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文、及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第56条の4 は、旧非訟事件手続法第37条の規定に対応しています。
<参考> 旧非訟事件手続法第37条
第三十七条 法人ノ清算人ノ選任ノ裁判ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ズ
★裁判所は、状況に応じて管理組合法人の清算人を選任できます。(区分所有法第55条の4 参照)
<参照>区分所有法 第55条の4 (裁判所による清算人の選任)
第五十五条の四 前条の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任することができる。
しかし、裁判所が行った行為も全てが正しいとか、妥当でないことはよくあることです。
そこで、通常は、不利益を受ける人は、不服の申し立てとして、再度審判を求めたり、異議の申請ができますが、裁判所が行った清算人の選任では、不服を受け付けなくしています。
職権で清算人を選べたように、裁判所の権限を大ききしています。
★清算人には、報酬がある場合もある
通常の委任関係では、無報酬が原則ですが、清算人は裁判所の判断で報酬がもらえることもあります。(区分所有法第56条の5 参照)
<参照>区分所有法 第56条の5 (裁判所の選任する清算人の報酬);
第五十六条の五 裁判所は、第五十五条の四の規定により清算人を選任した場合には、管理組合法人が当該清算人に対して支払う報酬の額を定めることができる。この場合においては、裁判所は、当該清算人及び監事の陳述を聴かなければならない。
★選任では不服申し立てができないが、解任では不服申し立てはできる
清算人に、「重要な事由」あれば、裁判所により、解任されます。
この場合には、改正前は救済策として、「即時抗告」が認められていましたが、この区分所有法第56条の6 は削除されました。(2013年 2月20日 追記)
<参照>区分所有法 第55条の5 (清算人の解任);
第五十五条の五 重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を解任することができる。
<参照>区分所有法第56条の6 (即時抗告);→平成25年1月1日施行で削除に
第五十六条の六 清算人の解任についての裁判及び前条の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第五十六条の五 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 裁判所は、第五十五条の四の規定により清算人を選任した場合には、管理組合法人が当該清算人に対して支払う報酬の額を定めることができる。この場合においては、裁判所は、当該清算人及び監事の陳述を聴かなければならない。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第56条の5 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文、及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第56条の5 は、旧非訟事件手続法第38条の規定に対応しています。
<参考> 旧非訟事件手続法 第38条 :
第三十八条 民法第七十五条 ノ規定ニ依リ裁判所ガ法人ノ清算人ヲ選任シタル場合ニ於テハ法人ヲシテ之ニ報酬ヲ与ヘシムルコトヲ得其額ハ清算人及ビ監事ノ陳述ヲ聴キ裁判所之ヲ定ム
★裁判所が選んだ清算人は、報酬をもらえることがある
通常、管理組合法人が解散し、清算の段階に入ると、今までの理事が清算人となりますが、(区分所有法55条の3 参照)、清算人になる人がいなかったり、また清算人が欠けたりした場合には、裁判所が清算人を選ぶことがあります。それが、区分所有法55条の4 の規定です。
<参照> 区分所有法 第55条の4 (裁判所による清算人の選任)
第五十五条の四 前条の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任することができる。
★裁判所が報酬決定権を持つ
通常、委任関係では報酬のないことが原則ですが、状況の特殊性を考えてか、裁判所が選任した清算人には、報酬額を裁判所が決めてもいいことになっています。
この報酬の額を決めるときには、その清算人の意見と監事の意見を聞くことになっています。(後段)
なお、改正により、第56条の6 にあった、検査役からの解任や報酬に不満があれば、可能であった「即時抗告」は削除されました。(2013年 2月20日 追記)
★報酬額に不満なら −> 即時抗告をする (第56条の6 参照)
清算人が裁判所に意見をいっても、希望どおりの報酬になる保証はありません。
報酬額が不満なら、次の第56条の6 により「即時抗告」ができます。
なお、決めた報酬額は、当然解散した管理組合法人が清算人に支払います。(裁判所が払うのではありませんよ。)
第五十六条の六 (平成20年12月1日施行内容) |
|
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
第56条の6 は、非訟事件手続法及び家事事件手続法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律 の制定(平成23年5月25日)により、削除されました。
<参照>非訟事件手続法及び家事事件手続法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律
(建物の区分所有等に関する法律の一部改正)
第八十四条 建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)の一部を次のように改正する。
第五十六条の六を次のように改める。
第五十六条の六 削除
第五十六条の七第二項中「前三条」を「第五十六条の四及び第五十六条の五」に、「第五十六条の五」を「同条」に改める。
*明治31年に制定された、非訟事件手続法が平成23年5月25日付で大幅に改正され、関係する法令として、区分所有法でも、この第56条の6 が削除され、削除に伴い、次の第56条の7 も一部改正がありました。
★以下は、削除前の説明です。 ご参考までに。
★第56条の6 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文、及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第56条の6 は、旧非訟事件手続法第39条の規定に対応しています。
<参考>旧非訟事件手続法 第39条;
第三十九条 法人ノ清算人ノ解任ニ付テノ裁判及ビ前条ノ裁判ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得
★第56条の6 は、
1.清算人を解任された 場合と
2.清算人としての報酬に不満がある 場合の救済策を定めています。
1.解任に対する救済策
★清算人の解任権は裁判所が持つ
清算人となっても、長期入院となり清算の職務ができないなど、「重要な事由」があれば、裁判所は清算人を解任できます。(区分所有法第55条の5 参照)
<参照>区分所有法 第55条の5 (清算人の解任)
第五十五条の五 重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を解任することができる。
しかし、「重要な事由」の判定は非常に曖昧です。その曖昧な判定で裁判所が下した解任により清算人が被害をこうむることもありえます。その場合には、清算人に不服申し立てとして「即時抗告」が認められています。(参照:民事訴訟法第332条)
<参照>民事訴訟法 第332条 (即時抗告期間);
第三百三十二条 即時抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
2.報酬に対する救済策
★清算人の報酬決定権も裁判所が持つ
また、裁判所により、清算人の報酬も決められます。(前条;区分所有法56条の5)
<参照>区分所有法 第56条の5 (裁判所の選任する清算人の報酬)
第五十六条の五 裁判所は、第五十五条の四の規定により清算人を選任した場合には、管理組合法人が当該清算人に対して支払う報酬の額を定めることができる。この場合においては、裁判所は、当該清算人及び監事の陳述を聴かなければならない。
この報酬の額についても、不満のある清算人には「即時抗告」をすることが認められています。
第五十六条の七 (平成20年12月1日施行内容) (2項は、平成25年1月1日施行より改正) |
1項 裁判所は、管理組合法人の解散及び清算の監督に必要な調査をさせるため、検査役を選任することができる。 (改正前) 旧2項 前三条の規定は、前項の規定により裁判所が検査役を選任した場合について準用する。この場合において、第五十六条の五中「清算人及び監事」とあるのは、「管理組合法人及び検査役」と読み替えるものとする。 ★第五十六条の七 第二項中「前三条」を「第五十六条の四及び第五十六条の五」に、「第五十六条の五」を「同条」に改める。 (平成23年5月25日法律第53号。 この法律は、新非訟事件手続法の施行の日(注:平成25年1月1日)から施行する。) |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第56条の7 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文、及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第56条の7 は、旧非訟事件手続法第40条の規定に対応しています。
<参照> 旧非訟事件手続法 第40条:
第四十条 裁判所ハ特ニ選任シタル者ヲシテ法人ノ解散及ビ清算ノ監督ニ必要ナル検査ヲ為サシムルコトヲ得
2 前三条ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ裁判所ガ検査ヲ為スベキ者ヲ選任シタル場合ニ之ヲ準用ス
また、第56条の7 2項は、非訟事件手続法及び家事事件手続法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律 の制定(平成23年5月25日)により、第56条の6 が削除されたことを受け、条文が変更されています。
<参照>非訟事件手続法及び家事事件手続法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律
(建物の区分所有等に関する法律の一部改正)
第八十四条 建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)の一部を次のように改正する。
第五十六条の六を次のように改める。
第五十六条の六 削除
第五十六条の七第二項中「前三条」を「第五十六条の四及び第五十六条の五」に、「第五十六条の五」を「同条」に改める。
*明治31年に制定された、非訟事件手続法が平成23年5月25日付で大幅に改正され、関係する法令として、区分所有法でも、この第56条の6 が削除され、削除に伴い、第56条の7 2項も一部改正がありました。(2013年 2月20日 追記)
★解散・清算調査の検査役の選任
第56条の7 は裁判所が「検査役」の選任をすることを認めた規定です。
★検査役は監事(監査役)と異なる
検査役は臨時的に、状況を調査することを職務としています。
常設なものでないのが、監事や監査役と異なっています。
★管理組合法人の解散と清算は、地方裁判所が監督する
管理組合法人の解散と清算は、地方裁判所が監督し、地方裁判所は必要に応じて検査もできます。(区分所有法第56条の2 参照)
<参照>区分所有法 第56条の2 (裁判所による監督)
第五十六条の二 管理組合法人の解散及び清算は、裁判所の監督に属する。
2 裁判所は、職権で、いつでも前項の監督に必要な検査をすることができる。
そこで、裁判所の独自の判断で、必要があれば、管理組合法人の解散と清算の状況を検査する「検査役」を選任することもできます。
★検査役に準用される 第56条の4 及び 第56条の5
区分所有法 第56条の4 (不服申立ての制限)
第五十六条の四 清算人の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
---------------------------------------
区分所有法 第56条の5 (裁判所の選任する清算人の報酬)
第五十六条の五 裁判所は、第五十五条の四の規定により清算人を選任した場合には、管理組合法人が当該清算人に対して支払う報酬の額を定めることができる。この場合においては、裁判所は、当該「清算人及び監事」(読み換えー> 「管理組合法人及び検査役」 )の陳述を聴かなければならない。
検査役も裁判所によって選任されるため、裁判所によって選任される清算人と同様に、不服の申し立てはできません。(第五十六条の四 参照)
また、裁判所が決める報酬については、意見を述べることができます。(第56条の5 参照)
なお、改正により、第56条の6 にあった、検査役からの解任や報酬に不満があれば、「即時抗告」が削除されました。(2013年 2月20日 追記)
{設問-1} 平成26年 マンション管理士試験 「問3」
[問 3] 管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 監事が欠けた場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、仮監事を選任しなければならない。
○ 正しい。
仮監事の出題とは、珍しい。
管理組合法人においては、理事と監事は必須です。そこで、監事に対しても、理事の規定が準用されています。それは、区分所有法第50条、
「(監事)
第五十条 管理組合法人には、監事を置かなければならない。
2 監事は、理事又は管理組合法人の使用人と兼ねてはならない。
3 監事の職務は、次のとおりとする。
一 管理組合法人の財産の状況を監査すること。
二 理事の業務の執行の状況を監査すること。
三 財産の状況又は業務の執行について、法令若しくは規約に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、集会に報告をすること。
四 前号の報告をするため必要があるときは、集会を招集すること。
4 第二十五条、第四十九条第六項及び第七項並びに前条の規定は、監事に準用する。 」 とあり、
設問の監事が欠けた場合は、区分所有法第50条4項に該当します。
準用されています区分所有法第50条4項の前条とは、区分所有法第49条の4です。
「(仮理事)
第四十九条の四 理事が欠けた場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、仮理事を選任しなければならない。
2 仮理事の選任に関する事件は、管理組合法人の主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 」 とあり、
監事が欠けた場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、仮監事を選任しなければなりませんから、正しい。
2 管理組合法人と理事との利益が相反する事項については、裁判所によって特別代表者が選任され、この者が管理組合法人を代表する。
X 誤っている。 監事が管理組合法人を代表する。
平成25年マンション管理士試験 「問8」、 平成23年マンション管理士試験 「問8」、 平成22年管理業務主任者試験 「問29」 など。
管理組合法人と理事との利益が相反する行為は、利益相反行為として禁止されています。それは、管理組合法人を代表する理事が取引の相手方(業者)と同一人であると、管理組合法人の利益が十分に保障されない恐れがあるからです。
そこで、自己契約・双方代理として原則として禁止されています。(民法第108条)
では、このような管理組合法人と理事との利益が相反する事項に対しては、どうすればいいかということですが、設問のように、「裁判所によって特別代表者
が選任され、この者が管理組合法人を代表」する方法も一案ですが、毎回裁判所の手を煩わすこともないという方法もあります。
そこで、区分所有法では、第51条
「(監事の代表権)
第五十一条 管理組合法人と理事との利益が相反する事項については、監事が管理組合法人を代表する。 」 と規定しました。
この規定により、管理組合法人と理事との利益が相反する事項については、理事に代表権がなく、監事が管理組合法人を代表するとしています。
裁判所によって特別代表者が選任されません。監事が管理組合法人を代表しますから、誤りです。
3 管理組合法人は、財産目録を作成しなければならないが、常にこれを主たる事務所に備え置くことについては義務づけられていない。
X 誤っている。 主たる事務所に備え置くことについては義務づけられている。
平成22年管理業務主任者試験 「問29」、 平成21年管理業務主任者試験 「問32」。
管理組合が法人化されると、法人としての様々な対応が必要とされます。そのひとつが、区分所有法第48条の2
「(財産目録及び区分所有者名簿)
第四十八条の二 管理組合法人は、設立の時及び毎年一月から三月までの間に財産目録を作成し、常にこれをその主たる事務所に備え置かなければならない。ただし、特に事業年度を設けるものは、設立の時及び毎事業年度の終了の時に財産目録を作成しなければならない。
2 管理組合法人は、区分所有者名簿を備え置き、区分所有者の変更があるごとに必要な変更を加えなければならない。 」 とあり、
管理組合法人は、財産目録を作成し(1項)、また区分所有者名簿も作成し変更のたびに変更します(2項)。これら、財産目録と区分所有者名簿は、区分所有法第48条の2により、常にこれをその主たる事務所に備え置かなければならなりませんから、誤りです。
4 管理組合法人の解散事由は、建物の全部の滅失又は建物に専有部分がなくなることであり、集会の決議によることは含まれない。
X 誤っている。 管理組合法人は集会の決議で解散する。
平成23年マンション管理士試験 「問7」、平成19年マンション管理士試験 「問11」。
管理組合法人の解散事由は、区分所有法第55条
「(解散)
第五十五条 管理組合法人は、次の事由によつて解散する。
一 建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあつては、その共用部分)の全部の滅失
二 建物に専有部分がなくなつたこと。
三 集会の決議
2 前項第三号の決議は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数でする。」 とあり、
第55条1項3号によれば、集会の決議で解散できますから、誤りです。
答え:1。 特に、条文通りの出題で難しいことはない出題でした。 法人の規定も、丁寧に読んでおいて下さい。
{ある受験者の感想…選択肢1か3で迷い、3にしてしまった。}
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謝辞:Kzさんの了解により一部転用・編集をしています。
最終更新日:
2024年 8月31日:見直した。
2024年 1月31日:見直した。リンク先も更新した。
2022年11月30日:また、見直した。
2022年 1月25日:見直した。
関係の法律も更新した。標準管理規約やコメントも令和3年6月22日版にした。
2021年12月16日:令和3年(2021年)の出題年を入れた。
2021年 3月23日:見直して、図(第53条)も加えた。
2021年 3月 5日:令和2年(2020年)の出題年を入れた。
2020年 3月29日:令和元年(2019年)の出題年を入れた。
2019年 7月18日:第55条「解散事由」に組合員1名になった時の民法上の解釈を追記した。
2019年 4月17日:平成30年の出題年を入れた。
2018年 3月13日:平成29年の出題年を入れた。
2017年 4月 4日:平成28年の出題年を入れた。
2016年 4月10日:3月14日付の標準管理規約の改正に対応した。
2016年 2月24日;平成27年の出題年を入れた。
2015年 4月 1日:平成26年の出題年を入れた。
2014年 2月23日:平成25年の出題年を入れた。
2013年 3月24日:平成24年の出題年を入。
2013年 2月20日:第56条の6 削除に伴い、56条の7 などを修正。追記した。
2012年 3月 5日:平成23年の出題や、「解散事由」で「破産」が入っていない点を加筆。
2011年 7月18日:少し加筆
2010年6月15日:組合等登記令などを中心にかなり加筆
2009年10月29日:少し加筆(第56条)
2009年6月23日:ちょっとだけ加筆