| 第六十五条 | 団地建物所有者の団体 |
| 第六十六条 | 建物の区分所有に関する規定の準用 *改正あり |
| 第六十七条 | 団地共用部分 |
| 第六十八条 | 規約の設定の特例 *改正あり |
| 第六十九条 | 団地内の建物の建替え承認決議 *改正あり |
| 第七十条 | 団地内の建物の一括建替え決議 *改正あり |
| 第七十一条 | 団地内建物敷地売却決議 *新設 |
| * | 都市再開発法による団地一括建替え |
マンション管理士・管理業務主任者を目指す方のために、区分所有法を条文ごとに解説しました。
試験問題は、過去の問題から出されるのではありません。条文から出題されます。
条文を勉強することが、合格への道です。
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第六十九条 (注:令和8年4月1日施行で改正あり。) |
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1項 一団地内にある数棟の建物(以下 一 当該特定建物が専有部分のある建物である場合 その建替え決議又はその区分所有者の全員の同意があること。 二 当該特定建物が専有部分のある建物以外の建物である場合 その所有者の同意があること。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | R06年、R02年、R01年、H30年、H25年、H22年、H17年、 |
| 管理業務主任者 | R06年、05年、H19年、H17年、 |
★令和8年4月1日施行で改正があった条文。
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★令和8年4月1日施行の改正理由 〜”出席した”を加えた〜
集会での決議要件を、他の決議要件と合わせて、集会は
@議決権の過半数(規約で過半数を上回る割合を定めていればその割合)で成立し
A出席した団地建物所有者の議決権の3/4(75%)上の多数 が賛成した「「建替え承認決議」
が得られれば、建替えを希望する棟・戸建ては、その棟・戸建てを取壊して、新たな建物を建築できる
なお、議決権は、その団地の土地の持分の”価格”の割合による(第69条2項)
注:ここ議決権も改正前は「当該特定建物の所在する土地(これに関する権利を含む。)の持分の割合によるものとする」とあったのが、「当該特定建物の所在する土地(これに関する権利を含む。)の持分の”価格”の割合によるものとする」と「価格」が挿入された。
★「土地の持分の割合」と「土地の持分の”価格”の割合」の違い
・土地の持分の割合は「誰が、どのくらい所有権を持っているか」という権利の割合です。
不動産登記簿の「敷地権の割合」が該当します。
・土地の持分の価格の割合は「その権利の割合が、金額にするといくらになるか」という価値の割合です。
具体的には、敷地全体の固定資産税評価額に各共有者の「敷地権の割合」をかけて算出することになります。
どちらも「割合」という言葉が使われますが、持分割合は所有権という「量」の配分を示し、持分価格の割合はその「量」を「金額」に換算したものです。
この変更の理由は、民法の第252条(共有物の管理)1項において、「共有物の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する」に合わせたようです。
特に、「土地の持分の割合」と「土地の持分の価格の割合」の違いは、区分所有法の規定では、無いと考えていいでしょう。
<参照> 民法 第252条
(共有物の管理)
第二百五十二条 共有物の管理に関する事項(次条第一項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第一項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。
(以下、略)
*過半数・・・全体の数量の半分よりも多いこと。 例えば、全体が 100 なら 過半数は、51以上となり、50 ではだめです。
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*この条文も一度で理解できる人は少ない。 やたら”当該”と”建物”が多く、またカッコ書きもありで分かり難い。でも、団地の建替えも必ず、出題されるので読んでおくこと。
◎議決権・・・団地の敷地(土地)の持分の”価格”の割合(第69条2項)(規約での別段は認めない)
◎当該特定建物が専有部分のある建物である場合(第69条1項1号)・・・マンションなどの区分所有建物
◎当該特定建物が専有部分のある建物”以外の建物”である場合(第69条1項2号)・・・単独所有の戸建や賃貸専用のマンションなど
★区分所有法が規定する団地内には、区分所有法の世界のマンションのような区分所有建物と、民法の単独所有の世界の「戸建て」が含まれているので、以下の条文においても、「専有部分のある建物=区分所有建物」と「専有部分がある建物”以外”の建物=戸建てなど」と取り扱い方に、区別をしているので、規定が面倒になっている。

★特定建物=建替えを希望する建物
★土地「これに関する権利を含む」...他の条文でも使われているが、土地に対する所有権の「共有」の場合と借地権・地上権などの「準共有」を含むということ。
★前提となるのは、特別多数決による区分所有法第62条で定める一棟の「建替え決議」。それを何とか「団地」関係でも応用できないかと苦労した規定。
<参照> 区分所有法 第62条:(建替え決議) (*令和8年4月1日施行で改正あり)
第六十二条 集会においては、区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。
★民法からの脱出 〜「全員の合意」から「多数決原理の採用」〜
一棟での建替えを定めている区分所有法第62条の規定もそうですが、民法(第251条)の考え方では、共有している建物を壊すことになる建替えなどは、1つの物を複数の人が所有するという「共有」の考えでの「共有物の重大変更」に該当し、「共有物の重大変更」行為は「他の共有者の同意(全員の賛成)」が無ければできません。
しかし、マンション(区分所有建物)という、多数の人々が団体で共同生活をする建物の持つ特異性から、共有物の重大変更において民法で規定する共有している全員の合意は得難いとの現実的な認識で、区分所有法では、民法の「共有者全員の合意」を変更し一棟の建替えにおいては、議決権を有しないものを除いた「区分所有者及び議決権の各4/5以上」の特別多数決で共有物である建物を壊すことができることにしています。(第62条)
複数の人が持っている「共有物」である建物を取壊してしまうという最大の変更行為を、民法の「全員の同意」の適用から外し、多数決にするというのが、民法の特別法として区分所有法が生まれた理由の1つです。
1つの棟の建替えの場合でも指摘しましたが、この民法の「共有での全員の同意」の考えと「団体での多数決」という特別な状況を扱う区分所有法の折衷を図ったことで、多数による少数の人が持っている所有権や財産権などを奪うという権利侵害の問題はあります。
1つの棟以上に複数の棟を抱える団地では、1つの棟の場合よりも、慣れ親しんだ場所から追い出されることになる区分所有者(個人)の権利保護が必要となりますので注意してください。
<参考> 民法 第251条:(共有物の変更) (改正あり)
第二百五十一条 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
2 共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、当該他の共有者以外の他の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。

★団地内の建物も建替えができる
団地内であろうと団地外でもあっても、鉄筋コンクリート造のマンションを始めとして建物は老朽化するだけでなく、地震や津波、土砂崩れ、またガス爆発などの災害によっても、建物としての終わりが来て「建替え」が必要となります。
また、老朽化していなくても、まだ充分に住める状態である建物でも建物の所有者の多くが、もうその建物に飽きて建替えを希望すれば、建替えはできます。
それに備えた規定です。
★言葉の使い分け、「建替え決議」と「建替え”承認”決議」に注意
法律ですから、まず、言葉の使い分けに注意してください。そこで、定義に戻ります。
◎ 「建替え決議」...建替えが議題のとき、該当の建物の区分所有者が、区分所有者及び議決権の各4/5以上の賛成で行う集会の決議。(第62条)
この集会には、該当の建物の区分所有者以外は参加できない。団地関係では、この建替えを希望する棟での「建替え決議」があることが前提にある。
◎ 「建替え”承認”決議」...ある棟が団地関係にある場合には、勝手にその棟の建替え決議だけで建替えを認めることはできません。
その訳は、ある棟の建替えにより、今までより高い階数の建物が建てば、近辺の棟への日照や風害の問題も新しく発生し、また奇抜なデザインの建物が建つと、団地全体の景観が変わるなど、団地内の他の棟の区分所有者や団地を構成している戸建の所有者の利害に大きくかかわります。
そこで、区分所有法で定める団地関係にあれば、建替えを希望する棟の「建替え”決議”」の他に、建替えを希望する棟が建替え後に与える影響などを充分に検討するため、他の棟を加えた団地全体の敷地共有者(団地管理組合)の集会において、この集会の成立要件は、令和8年4月1日施行の改正区分所有法により、議決権((土地の持分価格の割合)の過半数が出席すれば成立し、出席した議決権の3/4(75%)以上が建替えを希望する棟の建替えに賛成することを必要としました。
それが、「建替え”承認”決議」です。(第69条1項) 建替えを希望する棟が建替えをすることを団地全体の集会で認めた、つまり団地が「承認した」ということです。
団地では団地全体での、この「建替え”承認”決議」がなければ、たとえ建替えを希望する棟が「建替え決議」をしても、建替えができないということになります。
建替えを希望する棟の区分所有者以外も参加している団地の集会で了承を得るということです。
なお、団地建物所有者全員の承諾があれば、集会を開催せずに、書面または電磁的方法により建替え決議はできます。(区分所有法第45条1項及び3項の準用:第65条による)
★団地内建物の建替えパターン
敷地(土地)や集会所など附属の施設が、建物などの所有者の「共有の関係」にある団地では、区分所有法の適用がある団地となり団地全体の管理ができます。(第65条)
そして、団地内での建替えについては、「土地(敷地)が共有」であれば、本第69条と次の第70条、そして、令和8年4月1日施行で追加された第71条という4のパターンが区分所有法では規定されています。
1.建替えを希望する一つの棟(特定建物という)だけの建替え(区分所有法第69条1項〜5項)
2.建替えを希望する複数の棟(特定建物)の建替え(区分所有法第69条6項、7項)
3.団地内の全部の棟の建替え・・・一括建替え (区分所有法第70条1項〜4項)
令和8年4月1日施行で追加の
4.団地内の全棟とその敷地を売却する・・・もう建替えはしない。団地内の全部の建物と敷地を売り払う(第71条)
★団地での建替えの概要
A.棟別建替え(1つの棟及び複数の棟の建替え)(第69条)
上のパターンの内、1と2、つまり土地(敷地)を共有する団地内の特定の建物の建替えは、1つの棟でも複数の棟でも、建替えを希望する棟の区分所有者及び議決権の各4/5(80%)以上の賛成による「建替え決議」(区分所有法第62条参照)に追加して、団地の管理組合の全体集会で、議決権(土地の持分の価格の割合=敷地割合)の過半数が出席し、その議決権だけの3/4(75%)以上の承認が得られれば、実施できるようにしました。
注:ここの多数決は、区分所有権が動くため、他の集会(総会)での、区分所有者の数だとか、「議決権を有しないものを除く」の規定は無いことに注意のこと。
一棟だけの建替えも、複数の棟でも、また団地内にある戸建も建替え可能です。ここの団地内には、区分所有建物以外の戸建などが存在してもかまいません。
しかし、団地関係の中に、附属施設である集会所を共有している戸建てが入っているような場合、通常、戸建て人の土地は、戸建ての人だけの個人所有でしょうから、その場合にはその個人単独所有の土地は除いて、土地が共有になっている建物だけでの適用となります。
B.団地内の全棟一括建替え(第70条)
上のパターン3の、「団地内の全部の棟の一括建替え」には、団地の管理組合の全体集会で、議決権を有しないものを除いた区分所有者及び議決権の各5分の4以上の賛成と、その全体集会において各棟での、それぞれ、区分所有者の数と議決権(敷地割合)の3分の2以上の賛成(3分の1を超える反対がなければ)が得られれば、全建物の一括建替えの実施も可能としました。
なお、一括建替えができる団地関係は、全部がマンションなどの区分所有建物で構成されていて、さらに注意しなければならないのは「団地規約」もあることが条件とされています。
戸建などの区分所有建物でない建物(非区分所有建物)が団地関係にあれば、一括建替えは出来ません。区分所有法第70条の適用は出来ません。これが、肝心な点です。
戸建ては、区分所有法の世界ではなく、民法の世界にあるためです。
★令和8年4月1日施行の追加 〜団地内建物敷地売却決議(第71条)〜
令和8年4月1日施行の改正区分所有法においては、1棟では「建替え」に加えて、
@建物更新決議・・・第64条の5
A建物敷地売却決議・・・第64条の6
B建物取壊し敷地売却決議・・・第64条の7
C取壊し決議・・・第64条の8
があったことを思い出してください。
そこで、団地関係においても、もう新しい建物を建てることを放棄して、団地内にある全部の建物が専有部分のある建物ならその全部の建物とその敷地を一括して売り払うという「団地内建物敷地売却決議」ができるようにしました。
それが、新設された第71条団地内建物敷地売却決議)です。
団地の管理組合の集会で決議がされる状況は以下のようになります。
注:集会の成立要件とは・・・議決権の過半数が出席(規約でこれを上回る割合があればそれを採用する。)。
なお、区分所有者の数は入っていない。
| ◎ 団 地 で の 建 替 え 条 件 | 令和8年新設 | |||
| 対象 | 棟別建替え | 全部の棟 | 建物敷地売却 | |
| 1つの棟 | 複数の棟 | |||
| 区分所有法 | 第69条1項〜5項 | 第69条6項、7項 | 第70条1項〜4項 | 第71条 |
| 決議の読み方 | 建替え承認決議 | 一括建替え承認決議 | 一括建替え決議 | 団地内建物敷地売却決議 |
| 団地内の建物 |
1.最低一棟は区分所有建物(専有部分のある建物) 2.非区分所有建物(戸建等)も可 |
1.最低一棟は区分所有建物(専有部分のある建物) 2.非区分所有建物(戸建等)も可 |
区分所有建物に限る。戸建等は入らない。 | 区分所有建物に限る。戸建等は入らない。 |
| 全体の決議の前に |
1.区分所有建物の場合...その棟の建替え決議(区分所有者の数及び議決権の数4/5以上の賛成) 又は全員の合意があること 2.非区分所有建物...その所有者の合意があること |
1.区分所有建物の場合...その棟の建替え決議(区分所有者の数及び議決権の数4/5以上の賛成) 又は全員の合意があること 2.非区分所有建物...その所有者の合意があること |
1.団地全体の規約があること 2.団地集会で、その棟ごとに区分所有者の数及び議決権の数各 |
1.団地全体の規約があること 2.団地集会で、その棟ごとに区分所有者の数及び議決権の数各 |
| 団地管理組合の決議 | 議決権(敷地割合)の3/4以上(注:敷地持分だけ。区分所有者の数は入っていない) (*集会の成立要件あり) |
議決権(敷地割合)の3/4以上(注:敷地持分だけ。区分所有者の数は入っていない) (*集会の成立要件あり) |
区分所有者の数及び議決権の数(敷地割合)の各4/5以上 | 区分所有者の数及び議決権の数(敷地割合)の各4/5以上 |
*団地内での一つの棟(建物)の建替えの場合
本第69条1項では、団地内に複数の@区分所有建物と A戸建てや1棟が賃貸の建物(これを非区分所有建物といいます)がある場合に、ある建物が今ある建物を取壊して同じ団地内に新しく建物を建築する「建替え」を希望する場合、団地全体でその「建替えを」承認するのはどうするかの規定です。
その承認の前に、「建替え」を希望する建物が
@区分所有建物(専有部分のある建物)であれば、こちらは、区分所有法の世界で
ア.第62条「建替え」の規定に沿った 4/5以上の多数決による「建替え決議」がなされたか 又は
イ.区分所有者全員の同意(全員が同意すれば、なんでもできます)
があることです。(第69条1項1号)
A戸建てや1棟が賃貸マンションなど非区分所有建物であれば、民法の世界で
その所有者が、建替えを希望(建替えに同意)していること(第69条1項2号)
が必要とされます。
団地の関係に「戸建て」をいれたために、面倒な規定となっています。

★団地内に複数の区分所有建物と非区分所有建物があり、敷地は他の棟とも共有(準共有)しているとき
1.建替えを希望する棟が区分所有の専有部分があるとき(区分所有建物)は議決権を有しないものを除いて、、区分所有者及び議決権の各5分の4による建替決議が成立しているか(第62条)、区分所有者全員が同意(集会の手続きをしなくていい)していること(1号)
2.建替えを希望する建物(棟)が区分所有の建物でないとき(非区分所有建物。個人で一棟を持っているとか戸建など)は、その所有者が同意していること(2号)
が前提で、
3.全体の団地管理組合の集会は、議決権の過半数(別途規約で、過半数を上回る規定があれば、それを採用する)で成立し、出席した議決権の4分の3(75%)以上の多数が承認すれば、建替えを希望する建物(棟)は壊して新たな建物を団地内に建築できる。
(注)この団地の建替で承認決議では、他の決議方法と違って戸建ても団地関係にはいっているため”区分所有者の数”は入っていない。
議決権=敷地の共有持分の価格の割合 第69条2項)
注:議決権:令和8年4月1日施行の改正区分所有法で、以前は「土地の持分の割合」が「土地の持分の”価格の”割合」と変わった。
★団地内建物の建替え”承認決議”の趣旨
本第69条は団地内にある一部の建物の建替えを団地全体(団地管理組合)として承認する決議つまり「建替え”承認”決議」に関する規定です。
この第69条(団地内の建物の建替え承認決議)の規定と次の第70条(団地内の建物の一括建替え決議)は、平成14年に新規に設定されたものです。
★全員の同意から、多数決へ 〜民法の緩和〜
平成14年の改正前でも、単独敷地に存在する単独建物(1棟)の建替えに関しては規定がありましたが、複数の建物が1つの区画内に存在するいわゆる団地における建替えに関しては規定がなく民法第251条の「共有物の変更」などの解釈に委ねられていました。
区分所有法第65条で規定される「団地」とは一定のまとまりのある土地及びその土地の上の建物群を指称する概念ですが、そこで規定される団地においても各建物とその敷地が完全に独立していれば問題なく「単独建物の建替え決議」で処理することができます。(区分所有法第62条参照)

しかし、建物群が存在する土地(敷地)が他の者との「共有」となっている場合には、土地に関する共有者の関係は区分所有法に規定がありませんでしたから、民法の「共有の原則」で規律され、その民法によれば、共有の土地の上に新たに建物を建築することは、土地の上に永続的な工作物を設置し土地の使用を永続的に固定することになりますから、この行為は共有関係での「重大な変更行為」に該当して「共有者全員の合意」が必要とされます(民法第251条1項)。
<参照> 民法 第251条:(共有物の変更);
第二百五十一条 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
2 共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、当該他の共有者以外の他の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。
これに対しては、共有者は共有物をその用法に従い、持分に応じて使用できることもまた民法の原則であり(民法第249条)、その土地は建物の敷地として使用することが共有者全員の合意事項であるはずですから、建替えによる新築建物の敷地とすることもその用法に従った使用ということもできるようにも思われます。
<参照> 民法 第249条 (共有物の使用)
第二百四十九条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
2 共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。 3
共有者は、善良な管理者の注意をもって、共有物の使用をしなければならない。
しかし、その土地を建物の敷地として使うということはあくまでも現在の建物に関する合意であり、新規に建築される、今までとは異なった建物についての合意はされていないといわざるを得ませんから、建物を「建替えること」は建物の敷地としての利用からみると、これは民法の規定に従うことになり、建替えは共有物の重大な変更というべきで、土地の共有者全員の「合意」が必要となります。(民法第151条)
しかし、現実に土地共有者全員の合意を得ることは、至難の業でこれでは共有者の多数が建替えを希望しても先に進めません。
そこで、区分所有法での建物の区分所有権と土地の敷地利用権が分離処分ができないと(区分所有法第22条)いう点からも、建物の建替えを促進するため土地共有者全員の「合意」という民法の要件を緩和し、「特別多数決」にした規定が区分所有法第69条の団地内の建物の建替えを承認するという規定です。
区分所有法で規定する要件(条件)に合致すれば、民法の規定「全員の合意」から「多数決」に変更されて適用される、つまり、民法の特別法として区分所有法が制定されたということです。
この区分所有法の規定は、民法の所有権を侵害している争いがありますが、それは、置いときます。
★団地内での建替え承認決議の要件
団地内のある建物を取り壊して新しい建物を団地内に建築するという建替えに対する団地での「承認決議」が成立する要件は、まず
@敷地を共有又は準共有(これに関する権利=借地権等の場合)する2棟以上の建物が存在し、
Aそのうちの少なくとも一棟は区分所有建物となっている建物である ことです。
@の要件は、1筆の土地の上に複数の建物が建っている場合にその土地が団地建物所有者全員の共有(または借地権などでの準共有)になっている場合や、数筆の土地の上に別々の建物が建っていても、その数筆の土地が団地を構成する建物所有者の全員の共有(または準共有)になっている場合ですが、これらは団地関係が成立する規定として当然(区分所有法第65条参照)であり、Aの「少なくとも一棟は区分所有建物」であることという要件も区分所有法を特別法として民法の規定を変更して適用するのですからこれまた当然です。

従って、「@敷地を共有又は準共有(借地権等の場合)する2棟以上の建物が存在」を満たしても全部単独所有の一棟の建物の場合で
Aの「そのうちの少なくとも一棟は区分所有建物となっている建物である」という要件を満たさない場合は、第69条の適用はなく民法の原則どおりの取扱いとなります。
例えば、1筆の土地を、親族達で共有していて、各自が戸建てをその土地の上に建てている場合には、区分所有建物ではないため、本第69条の適用がなく、この場合は、民法の共有に基づき「全員の合意」がなければ、建替えはできません。
もっとも、区分所有法第1条の要件(大まかにいうと、@構造上の独立性と A利用上の独立性)を満たせば戸建ての建物も区分所有建物に変更できますから、建物のうちのどれか一棟が区分所有建物になれば本第69条(団地内の建物の建替え承認決議)の適用が受けられます。
次に、@とAの要件を満たすと、団地とは何かを定義する第65条の要件も土地の共有ということにより当然満たしていますから、これらの建物所有者は当然に団体(団地管理組合)を構成するため、
B番目として、その団地建物所有者の団体(団地管理組合)又は団地管理組合が法人化されていれば団地管理組合法人の集会で、出席した議決権の3/4(75%)以上の多数の決議を得ることが必要とされます(第69条1項)。
ただ、建替え”承認”決議の場合の議決権は、通常の団地規約で定める区分所有者及び議決権という原則的な「建物の管理」に関する議決権ではなく、共有土地(敷地)の利用に関することから、別途に規約が存在しても、それとは無関係に「土地の持分の価格の割合」が議決権となることに注意が必要です(第69条2項)。
★団地では、議決権は、土地の持分の”価格”の割合による...区分所有法での一般の議決方法は、規約に別段の定めが無ければ、専有部分の床面積比(第30条、第38条、→第14条)だけど、団地全体の建替えを承認する決議なので、議決権は「土地(敷地)の共有持分の価格の割合」にした。規約での別段の定めは、無視される(規約で定めても無効。)
団地規約でいかなる規定があっても、「土地の持分の価格の割合」であるため、事前に団地建物所有者ごとに、土地の持分割合を調査しておくこと。
★決議には団地建物所有者の数は、入っていない。 〜土地の持分価格の3/4(75%)以上でいいのか〜
団地建物所有者の団体(団地管理組合)の集会の決議といっても、「建替え承認決議」が得られると、新たに建築される建物は、必ずしも現在の位置のままや同じ高さまた同じ大きさである必要はなく、既存の建物と比べて新しい建物では、建物の敷地面積が変わったり、外観、高さ、大きさや容積率は通常変動しますから、団地管理組合の集会の対象は共有関係にある土地の重大な変更を承認しようとする場合であり、その当事者は本来土地の所有者達(共有者)であるべきですから、建替えを承認をする集会は、民法的には「土地共有者集会」の意味合いを持つものです。
しかし、団地管理組合という組織があり、すべて土地共有者とこの団地管理組合の構成員が同一であることから、団地管理組合で定める集会という方法とその議決という手段を用いることは、合理的なやり方といえるでしょう。
従って、団地管理組合の集会の議決といっても実質的には、民法を基本とし、建替えは変更を伴うため管理に関する事項ではなく、その「土地の重大な変更行為」として「全共有者の合意が必要」ですから、この場合の議決権は団地管理組合の議決権一般とは異なり、その割合は建物共用部分の共有持分割合ではなく、「土地の共有持分の割合による」のであり(第69条2項)、団地建物所有者数(区分所有者数)という頭数要件も採用されてはいません(第69条1項)。
即ち、区分所有法第69条は民法第251条の共有者「全員の”持分”での合意」を、特例として「持分の”3/4以上”の合意」に緩和しただけであるといえますが、共有地の建替えの促進には一つの条件緩和として一応有効なものといえるでしょう。
なお、この議決権の必要数を3/4以上にしたという数字は、区分所有法でいえば、エントランスや廊下などの建物の共用部分の変更(第17条1項)や規約の設定・変更(第31条1項)でも採用されている数字で、一応妥当性はあると支持されています。
また、団地内建物の建替えが、団地内にある他の建物の将来の建替えに特別の影響を及ぼす場合には、影響を受けるのが区分所有建物なら、影響を受ける区分所有建物の議決権を有する3/4以上の賛成が必要などの制約があります。(第69条5項)
民主主義における多数の横暴を防ぎ、少数の保護は原則です。
★なお、団地での建替え”承認”決議の前に、当然ながら、建替えを希望する棟での”建替え”が決まっていること
C番目として、説明が後になりましたが、団地全体の建替え承認決議を受ける前に、建替えを希望する建物が
T区部所有建物(専有部分のある建物)なら、
ア.議決権を有しないものを除いて、区分所有者及び議決権の各4/5以上による建替え決議(区分所有法第62条)、
イ.または所有者全員の建替えの同意(集会が不要)があることが必要です(第69条1項1号)。
U.戸建てや1棟が賃貸マンションのような非区分所有建物なら
その所有者が建替えを希望していること(同意)が必要です(第69条1項2号)
これは、団地内で建替えを希望する建物が区分所有建物の場合は、その棟での建替え決議または建替えについて全員の同意が必要で、また、区分所有建物以外の場合(賃貸専用建物・戸建など)はその所有者の同意がこれにあたりますが、区分所有建物で管理組合がある場合や、それ以外の建物の場合で単に共有の場合には、当事者が複数ですからその同意は何らかの同意文書でその存在を証明できるでしょうが、区分所有建物でもその全部を1人の者が所有する場合や単独所有建物の場合には同意する相手方が不存在ですから、建替えの意思を外部に表示する何らかの方法がこれにあたるものといえるでしょう。
★建替え事業の進め方
区分所有法では、一棟の場合でも、団地の場合でも「建替え決議」までは定めていますが、その後の建替え事業の実施方法は規定されていません。
そこで、建替え参加者の団体の存在、外部からの融資の問題などが浮上していました。
それをうけ、平成14年「マンションの 再生 建替え 等の円滑化に関する法律」が制定されました。
「マンションの 再生 建替え 等の円滑化に関する法律」の概要はこちらを参照。

★団地での建替えの問題点
★ある棟は「建替え決議」をしたのに、団地総会で「建替え承認」がされなかったとき(否決)はどうなるのか
区分所有法第69条は、団地全体としての建替え承認決議があれば、建替えを希望する棟の建替えができることを規定していますが、建替えを希望する棟の建替え決議があったのに、団地総会では認められないとき(承認が得られないとき)は、その棟の建替えはできないのかの問題があります。
◎これは、かなり高度な問題のようで、解釈も確定していないようだ。
しかし、建替えを希望する棟も団地として、全体の中の1つのであるため、個々の権利が優先するのではなく、団地全体の計画(マスタープラン)が優先するという解釈がある。
これによると、建替えを希望する棟の建替えはできなく、ほったらかしとなるが。
今後、議論される事項だ。
再度、建替えを希望する棟は、団地全体で建替えを認めてもらう(承認)ために、建替え計画を縮小したり、配置を変えたりすることになるか。
*コンメンタール区分所有法や他の参考書も随分読んだが、この問題には触れていない。
★@各棟の建替え決議と、A団地総会での建替え承認決議の順序はあるのか。(どちらかが先行するのか)
この第69条では、建替えを希望する棟での建替え決議(区分所有者及び議決権の各4/5以上の賛成)又は全員の同意があり、団地総会で建替え承認決議ができると規定していますが、先ず、団地総会で承認をして、あとから、建替えを希望する棟で建替え決議しても、この決議は有効でしょうが、本来は、建替えを希望する棟の建替え決議があることを前提に創案「されたようです。(参考:マンション管理の知識 3訂版 P.166 )
★国土交通省が作成しています標準管理規約(団地型)は、団地内の数棟の建物は全部が区分所有建物を前提にしています。戸建の住宅は含まれていないことに注意してください。
<参考>標準管理規約(団地型) 49条: (団地総会の会議及び議事)
(*令和7年10月17日版に合わせた)
(団地総会の会議及び議事)
第49条 団地総会の会議(WEB会議システム等を用いて開催する会議を含む。)は、前条第1項に定める議決権総数の過半数を有する組合員が出席しなければならない。
2 団地総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
3 次の各号に掲げる事項に関する団地総会の議事は、前2項にかかわらず、組合員総数の過半数であって議決権総数の過半数を有する組合員の出席を要し、出席組合員及びその議決権の各4分の3以上で決する。
一 規約の制定、変更又は廃止(第72条第一号の場合を除く。)
二 土地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法律第123号)第25条第2項に基づく認定を受けた建物の耐震改修を除く。)
三 前号の土地及び共用部分等の変更に伴って必要となる専有部分の保存行為等
四 その他団地総会において本項の方法により決議することとした事項
4 次の各号に掲げる事項に関する団地総会の議事は、前3項にかかわらず、組合員総数の過半数であって議決権総数の過半数を有する組合員の出席を要し、出席組合員及びその議決権の各3分の2以上で決する。
一 土地及び共用部分等の変更のうち、次に掲げるもの
イ 土地及び共用部分等の設置又は保存に瑕疵があることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合におけるその瑕疵の除去に関して必要となるもの
ロ 高齢者、障害者等の移動又は施設の利用に係る身体の負担を軽減することにより、その移動又は施設の利用上の利便性及び安全性を向上させるために必要となるもの
二 前号の土地及び共用部分等の変更に伴って必要となる専有部分の保存行為等
三 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
5 建替え承認決議は、第1項及び第2項にかかわらず、議決権(前条第1項にかかわらず、建替えを行う団地内の特定の建物(以下「当該特定建物」という。)の所在する土地(これに関する権利を含む。)の持分の価格の割合による。第7項において同じ。)総数の過半数を有する組合員の出席を要し、出席組合員の議決権の4分の3以上で行う。
ただし、当該特定建物が区分所有法第62条第2項各号に掲げるいずれかの事由に該当する場合は、議決権総数の過半数を有する組合員の出席を要し、出席組合員の議決権の3分の2以上で行う。
6 当該特定建物の建替え決議又はその区分所有者の全員の合意がある場合における当該特定建物の団地建物所有者は、建替え承認決議においては、いずれもこれに賛成する旨の議決権を行使したものとみなす。
7 建替え承認決議に係る建替えが当該特定建物以外の建物(以下「当該他の建物」という。)の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、建替え承認決議を会議の目的とする団地総会において、当該他の建物の区分所有者全員の議決権の4分の3以上の議決権を有する区分所有者が、建替え承認決議に賛成しているときに限り、当該特定建物の建替えをすることができる。
8 一括建替え決議及び団地内建物敷地売却決議は、第2項にかかわらず、組合員総数及び議決権(前条第1項にかかわらず、当該団地内建物の敷地の持分の価格の割合による。)総数の各5分の4以上で行う。
ただし、全ての団地内建物が区分所有法第62条第2項各号に掲げるいずれかの事由に該当する場合は、組合員総数及び議決権総数の各4分の3以上で行う。
9 前項の決議は、当該団地総会において、団地内建物のうちいずれか1棟以上につき、それぞれの組合員又は議決権(前条第1項に基づき、別表第5に掲げる議決権割合による。)総数の3分の1を超える反対があった場合は、行うことができない。
10 敷地分割決議は、第2項にかかわらず、組合員総数及び議決権(前条第1項にかかわらず、当該団地内建物の敷地の持分の割合による。)総数の各4分の3以上で行う。
〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
11 前10項の場合において、組合員が書面又は代理人によって議決権を行使したときは、当該組合員の数は出席した組合員の数に、当該議決権の数は出席した組合員の議決権の数に、それぞれ算入する。
(イ)電磁的方法が利用可能な場合
11 前10項の場合において、組合員が書面、電磁的方法又は代理人によって議決権を行使したときは、当該組合員の数は出席した組合員の数に、当該議決権の数は出席した組合員の議決権の数に、それぞれ算入する。
12 前11項の適用については、所有者不明専有部分管理人は、組合員とみなす。
13 第3項第一号において、規約の制定、変更又は廃止が一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
14 第3項第二号及び第4項第一号において、土地及び共用部分等の変更が、専有部分又は専用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分を所有する組合員又はその専用使用部分の専用使用を認められている組合員の承諾を得なければならない。
この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
15 団地総会においては、第45条第1項によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができる。
| 第六十九条 (注:令和8年4月1日施行で改正あり。) |
|
2項 前項の集会における各団地建物所有者の議決権は、第六十六条において準用する第三十八条の規定にかかわらず、第六十六条において準用する第三十条第一項の規約に別段の定めがある場合であつても、当該特定建物の所在する土地(これに関する権利を含む。)の持分の 価格の 割合によるものとする。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | R02年、 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
★令和8年4月1日施行で改正があった条文。
★令和8年4月1日施行の改正理由 〜議決権は「土地の持分の割合」 → 「土地の持分の”価格の”割合」へ〜
令和8年4月1日施行の改正区分所有法前では、「議決権」は、「土地の持分の割合」でしたが、改正で議決権は「土地の持分の”価格”の割合」と、「価格」が挿入されています。
この改正の意図は、建替え承認は「共有地の運命を左右する」という性質から、明確に民法第252条(共有物の管理)1項での規定「各共有者の持分の価格」を基本にして、規約でも変更できない財産の持分として「価格」をいれたようです。
改正しても、基本的な意味としては、改正前の「「議決権」は、「土地の持分の割合」と同じです。
登記上の持分割合でいいでしょう。集会で決議を取るたびに、土地の価格を算定して割合をだす必要は有りません。
<参照> 民法 第252条
(共有物の管理)
第二百五十二条 共有物の管理に関する事項(次条第一項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第一項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。
2 裁判所は、次の各号に掲げるときは、当該各号に規定する他の共有者以外の共有者の請求により、当該他の共有者以外の共有者の持分の価格に従い、その過半数で共有物の管理に関する事項を決することができる旨の裁判をすることができる。
一 共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
二 共有者が他の共有者に対し相当の期間を定めて共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべき旨を催告した場合において、当該他の共有者がその期間内に賛否を明らかにしないとき。
(以下、略)
★第38条の規定にもかかわらず、議決権は、規約で別段の定めがあっても、土地の持分の”価格”の割合
<参照> 区分所有法 第38条:(議決権) ; (*令和8年4月1日施行でも改正なし)
各区分所有者の議決権は、規約に別段の定めがない限り、第十四条に定める割合による。
引用されている 区分所有法 第14条
(共用部分の持分の割合)
第十四条 各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。
2 前項の場合において、一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積は、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとする。
3 前二項の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による。
4 前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。
★団地での建替え承認の集会における議決権 〜土地(敷地)の持分の”価格”の割合とした〜 区分所有者の数は入っていない

★団地では、議決権は、土地の持分の価格の割合による 〜規約での別段の定めができない〜
一般の区分所有者の団体(管理組合)の集会(総会)での議決方法での議決権は、原則として、専有部分の床面積比(第30条、第38条、→第14条1項)だけど、規約で別段の定めができる(第14条3項)。
しかし、共有している土地の上にある特定の建物を取り壊して、新たに建物を建築することは、もっぱら土地の共有持分権の問題であり、共有物の日常的な利用や管理のありかたを問題としていない。
そこで、議決権は、民法の考えを尊重して、土地(敷地)の共有持分の”価格”の割合にした。規約での別段の定めは、無視される。
団地規約でいかなる規定があっても、議決権は土地の持分の”価格”の割合であるため、事前に団地建物所有者ごとに、土地の持分割合を調査しておくこと。
★土地「これに関する権利を含む」...土地に対する所有権の「共有」の場合と借地権・地上権などの「準共有」を含むということ。
★また、団地建物所有者の数は、議決権には入っていないことにも注意。
| 第六十九条 |
|
3項 第一項各号に定める要件に該当する場合における当該特定建物の団地建物所有者は、建替え承認決議においては、いずれもこれに賛成する旨の議決権の行使をしたものとみなす。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | R02年、R01年、H22年、 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
★第1項各号に該当:建替えの対象となった棟の各持主は、たとえ反対でも多数決の原理で、建替え賛成と”みなされる”。
しかし、この建替対象棟以外の棟にも室(専有部分)を持って(別の敷地利用権がある)いる人は、別の棟の敷地利用権についての、議決権は別に行使できる。
建替えを希望する棟では、全員建替え賛成とみなされるだけ。
★賛成とみなす 〜擬制の必要性が何故必要か〜
建替え承認決議の議決権は、2項のとおり、土地持分の価格割合となりますが、建替え対象建物が区分所有建物の場合にはその棟の建替え決議での反対者の議決権も含めて建替え承認会議での議決権行使では全ての議決権が賛成票にカウントされる(”みなす”です)ものとして一棟の票の総取り方式が採用されています(第69条3項)。
これは、建替えを希望する棟での建替え決議に反対や無回答の人が、再度、団地全体の集会で反対をすることができるとすると、決着がつかない。また建替えしようとする棟から反対票がでるのはおかしいという趣旨で、建替え反対者も売渡請求権の行使等により、やがていなくなるというのもその理由の一つでしよう。
なお、「みなす」ついての同じような規定は、一棟での建替えに関する合意(区分所有法第64条)も参考にしてください。
注:みなす・・・もう反論は出来ない。
推定す・・・異なる事実があれば、そちらを認定する。
<参照>区分所有法 第64条 (建替えに関する合意)
第六十四条 建替え決議に賛成した各区分所有者、建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者及び区分所有権又は敷地利用権を買い受けた各買受指定者(これらの者の承継人を含む。)は、建替え決議の内容により建替えを行う旨の合意をしたものとみなす。

区分所有建物以外の建物(戸建てなど)の建替えの場合は、そもそも民法第251条により共有者全員の合意(賛成)が必要ですから、全員が賛成しているため「みなす」必要はありません。
建替えに同意したらみなすことにより、もはやその撤回は許さないという効果はどの場合でも期待はできません。
このように区分所有建物以外の建物(戸建てなど)の場合も含めて”みなし”ている趣旨は不明です。
★建替えを希望する棟の議決権はすべて賛成となる
団地の建替え承認決議で必要とされる土地の持分割合の3/4以上のうち、建替えを希望する棟の議決権は、たとえ反対者がいても、全部賛成として扱われますから、集計でも注意が必要です。
ただし、賛成として総取りされる議決権はあくまでも建替えをする建物についての議決権ですから、同一人が団地の他の建物も所有している場合にはこの議決権は総取りの対象(みなし)とはならず自由に行使できることは上記の趣旨から当然です(第69条3項但書)。
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
★令和8年4月1日施行で改正があった条文。
★令和8年4月1日施行の改正理由
引用されていた第35条1項に全ての通知に「議案の要領」が追加され、5項が、削除されたため。
---------------------------------------------------
★区分所有法第35条1項の通知:集会招集の通知:原則少なくとも1週間前(初日不算入)にだすこと → 2ヶ月前(初日不算入。民法第140条)にする。
規約があれば、伸ばすことはできる。短くはできない。
<参照>区分所有法 第35条1項:(招集の通知); (*令和8年4月1日施行で改正あり。)
集会の招集の通知は、会日より少なくとも 一週間前 → 二か月前 に、会議の目的たる事項 及び議案の要領 を示して、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる。
---------------------------------------------------
<参考> 旧 区分所有法 第35条 5項 (*令和8年4月1日施行で削除へ)
5項 第一項の通知をする場合において、会議の目的たる事項が第十七条第一項、第三十一条第一項、第六十一条第五項、第六十二条第一項、第六十八条第一項又は第六十九条第七項に規定する決議事項であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。
★団地での建替え”承認”を求める集会の招集: 一棟の建替え決議集会に合わせて、2ヶ月前(初日不算入)にだすこと。
団地での建物の建替え承認の集会もその重要性から、一棟の建替え決議の集会の通知と同じように(第62条4項)集会日(会日)より少なくとも、2ヶ月前(初日は不算入)に(規約でプラスだけ可)招集の通知を出すことになっています。建替え承認をするか否か十分にその内容を検討する時間を与えます。
通知の相手方は、団地の敷地を共有している戸建てを含めて団地建物の全所有者です。
★集会の招集者
団地の建物の建替え承認決議を求める集会の招集も、通常の団地集会と同じように団地の管理者が招集します。(区分所有法第66条-->第34条1項)。
また、団地建物所有者の1/5以上で議決権(区分所有法第66条-->第38条)の1/5以上を有する者が、団地の管理者に対して集会の招集を請求できます。(区分所有法第66条-->第34条3項)
★招集通知の通知事項
団地内の建替えを希望する建物の建替え”承認”を求める集会の通知を出す際には、以下の項目が必要です。
1.会議の目的たる事項
団地の建物の建替え承認決議を求める集会の招集の通知には、会議の目的として
「○○団地のXX棟の建替え承認決議に関する件」
などこの集会は団地内で建替えを希望する棟を明らかにして建替え承認決議を行う集会であることを示します。
2.議案の要領
その際には、議案の要点と主な内容を示します。
具体的には、
「建替えを希望する建物(XX棟)を取り壊し、またその建物がある土地と共に一体として管理・使用する団地内に新たに建物を建築することに賛成か反対か」
をきくことになります。
3.新たに建築する建物の設計の概要(当該建物の当該団地内における位置を含む。)
建替えを希望する建物の設計の概要と、団地内における位置や形状を計画図などを添付します。
新たに建築される建物は、現在の土地と同一の場所だけに限らず、同じ団地内であれば、移動して建築することも可能なだけでなく、広さや階数も変更が可能ですから、この設計の概要は、他の棟の団地建物所有者にとっても非常に重要です。
(注:参考)一棟の建替えでは、議案の要領のほかに
<参照> 区分所有法 第62条5項
一 建替えを必要とする理由
二 建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持又は回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額及びその内訳
三 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容
四 建物につき修繕積立金として積み立てられている金額
*注:集会日の前1ヶ月前に、「説明会」も必要。(第62条6項)
★団地全体での”建替え承認決議”の集会では、説明会の開催は義務付けられていない。
団地の建替え承認を求める集会では、建替えについての説明会は、もう該当の棟で済んでいると法の創案者は考えているようで、説明会の開催は義務付けられていません。
団地全体としては、建替えるのはあくまでも、他人が入っている建物であって、自分が権利を持っている建物の取壊しや費用の負担の問題がないため団地全体の建替え承認の集会では説明会の開催が求められていないようです。
団地全体の中で新しく建てる棟がどう影響するかを審議することになっています。(法の規定では、棟別集会と団地全体の集会の開催の前後関係が明確ではないが。)
しかし、ある棟の建替えは団地全体に影響を与えますから、できるだけ、団地全体を対象とした説明会も開催する方がいいと思います。
◎建替承認集会の通知―(2ヶ月以上 プラスは可) ――>◎開催日(会日)

★招集等の特則
建替え承認集会を招集する場合は、通常の集会の招集手続きにはよらず、その重要性から一棟の建替え決議の場合と同様に特別なものが規定されています。
まず招集通知は会日(集会開催日)より2ヶ月前(初日不算入)までに発することが必要で、この期間は規約で伸長(伸ばすこと)は認めますが短縮を認めません。
更に、招集には、
@「議案の要領」の他
A「新築建物の設計の概要」(敷地のどの位置に建てるかも含む。)
をも通知する必要があります。
| 過去出題 | マンション管理士 | H22年、H17年、 |
| 管理業務主任者 | R05年、H17年、 |
★令和8年4月1日施行で改正があった条文。
★令和8年4月1日施行の改正理由
管理の円滑化の推進で、所在等不明区分所有者(議決権を有しない)を決議の母数からの除外した
---------------------------------------------------
★1号:当該他の建物が専有部分のある建物...影響を受けるのが、区分所有建物
★2号:当該他の建物が専有部分のある建物以外の建物...影響を受けるのが、区分所有建物以外の建物=戸建てや賃貸棟など
★特別の影響をうける建物の所有者の保護 〜団地全体での議決権の3/4以上の建替え承認を受ける前に〜
本第69条5項は、団地内のある棟・建物の建替え承認決議をする際には、その棟・建物の建替えが他の棟・建物に「特別の影響を及ぼすときには、「特別の影響をうける棟・建物の権利者の特別多数による賛成が必要」としています。
ある棟・建物の建替えが、団地内の既存の他の棟(当該他の建物)の将来の建替えに特別の影響を及ぼすような場合とは、、例えば、建替えを希望する建物の容積率が、今までよりも大きくて、将来残りの棟が建替えをするときに容積率が不足して、小さな建物しか建てられない場合など、には、
1.影響を受ける建物が区分所有建物(専有部分のある建物)なら、他の棟の全体で議決権(土地の持分価格の割合)の3/4(75%)以上の賛成 (複数の棟が影響を受けることもある)
2.影響を受ける建物が区分所有建物でない(単独所有の戸建や賃貸専用のマンションなど)なら、その所有者の賛成 (議決権を有しない者は除いて)
がなければ、建替えを希望する棟の建替えはできない。
★戸建てや賃貸マンションで、「議決権を有しない者」とは?
団地内の戸建てや1棟が賃貸マンションでも、土地を「共有」していれば、これらの人は当然に「議決権=土地の持分価格の割合」を持っています。
そこで、令和8年4月1日施行で追加された「(議決権を有しないものを除く。)」の規定ですが、 これは、相続で所有が未確定な場合でも、その場合には「議決権を有しないもの」として処理をして、「建替え承認決議」を進める意向と考えられます。
憲法第29条で保障された「財産権」を区分所有法で侵さない予防的な規定と捉えます。
★他の建物に特別の影響を及ぼす場合 〜判断は難しいが〜
建替えを希望する建物(特定建物)は、建築基準法や都市計画法に従い、一団地認定・総合的設計制度等各種の手法を用いて建替えを行うこととなりますが、その建替え希望の建物が、極論をすれば、団地内の容積率全部を使用しての建替えや、他の建物に十分な敷地(仮想敷地)を残さない計画も立てることができますから、これをそのまま承認すると残された団地内の他の建物に不利益な場合も生じてきます。
注:一団地認定・・・建築基準法第86条第1項等の規定に基づく、一団地認定とは、建築基準法の原則で ある一敷地一建築物の例外として、複数の敷地を一の敷地とみなして一又は二以上の建築物を建築することを認めるもの。
一団地認定は、建築規制の特例的な適用となることから、制度の活用にあたっては建築確認とは別に、特定行政庁の認定又は許可が必要。
*一団地の総合的設計制度・・・一団の土地の区域内の全ての建築物について、総合的な設計に基づき同時に新築、増築、改築、移転、大規模の修繕又は大規模の模様替を行うものは、一団地の総合的設計制度を適用することが可能。
そこで、ある建物の建替え計画が団地内の他の建物の建替えに特別の影響を及ぼす(及ぼすべきとき)場合とは、建替えを希望する特定建物の建替えによって団地内の他の建物の建替えに顕著な支障が生じ、それがその建物の団地建物所有者の有する敷地利用権の具体的な侵害に当たると評価できる場合といえます。
例えば、建替えを希望している建物の床面積が建替えによって大幅に増加し、敷地利用権の持分割合から、本来、他の建物に割り付けられる容積率を浸食し、将来、団地内の他の建物が建替えをしようとした時に、制限を受けるような場合が考えられます。
特別な影響ですから、単なる日照や工事中の騒音被害などの影響では足らず、裁判の判決でよく使われる「受忍限度を越える程度のもの」が必要です。
この場合には、団地全体での建替え承認集会の際に、その特別の影響を蒙る建物所有者の同意(それが区分所有建物の場合は、区分所有法の世界で、その議決権(土地持分)の3/4以上の賛成が必要となります(第69条5項1号)。
逆の捉え方として、特別の影響を受ける建物の1/4以上の反対があれば、建替えを希望しても建替えはできないということです。
その特別の影響を蒙る建物が、戸建てや1棟が賃貸マンション(専有部分のある建物以外の建物)なら、民法の世界となり、その建物の所有者(議決権を有しないものは除いて)の賛成(同意)が必要ということです。(第69条5項2号)
ただし、本第69条5項は「当該建物全体」の建替えに支障という理由による規定であり、新築建物が「個々の建物所有者」に「受忍限度を越える」、例えば、日影(日照)被害とか通風や採光の悪化が生じる等の個別の問題は、人格的な利益にかかわりますので、団地の敷地の共有者で構成される集会の多数決で決定するのは無理があります。
建替え承認決議がなされても、このような被害を受けた他の建物の団地建物所有者や賃借人、また他の居住者であっても、損害賠償や差止め請求など別途解決が図れる必要があり、建替え承認集会がそれらの被害を適法化するものではないことは勿論です。
ただし、その影響が「受忍限度をこえない」軽微な場合には、これらの請求は認められないでしょう。
しかし、「受忍限度を超える」と、例えば、建替えをしない棟の1階の住人から日照権の侵害による差止め請求などが認められると、たとえ、団地集会で建替え承認の決議がなされても、その建替えはできなくなります。
★団地集会での「承認」をする際に、確認すればいい
影響を受ける建物の賛成・反対は、その団地での建替え承認を求める集会(総会)で、承認決議の際に確認をします。
別途、影響を受ける建物(棟)ごとの集会は必要ありませんが、団地集会ではこの辺りの進行に注意が必要です。
★特別な影響がないのに、建替えに賛成しないと、権利濫用にもなることもある
建替えによる影響が軽微な場合や一時的な場合に、建替えに反対を主張すると権利濫用となることもあります。
{設問}一団地内にA、B、Cの3棟の区分所有建物が存在し、その団地内の土地が3棟の区分所有者全員の共有になっている場合の建替え決議において、
A棟を建替えることによってB棟及びC棟の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、A棟のみの建替え決議のほか、B棟及びC棟において、それぞれ建替え承認決議が必要である。正しいか?
答え:正しくない。団地全体の集会で足りる。
区分所有法第69条5項によると、A棟の建替えが、B棟およびC棟の建替えに特別の影響をおよぼすときは、団地全体の集会で、影響を受けるB棟・C棟の区分所有者全員の議決権の4分の3以上の賛成があればいい。
「B棟、C棟において、それぞれ建替え承認決議が必要」は誤り 。
| 第六十九条 |
|
6項 第一項の場合において、当該特定建物が二以上あるときは、当該二以上の特定建物の団地建物所有者は、各特定建物の団地建物所有者の合意により、当該二以上の特定建物の建替えについて一括して建替え承認決議に付することができる。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | H17年、 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
★第1項...団地内のある建物の建替えの”承認”決議をする場合
★特定建物...建替えを希望する建物
★複数の建物が当時に建替えを希望するなら → まとめて、1回の団地集会で、建替え”承認”決議をもらえる
本第69条6項は、団地内で複数の建物が、建替えを希望し、建替え承認決議を求めるなら、各建物ごとの建替え承認決議もできるが、対象建替え希望の建物の持主たちが「合意」すれば、団地集会で纏めて「建替え承認決議」を貰えるようにすることもできることを規定しています。
★「合意」について
マンションのような区分所有建物であれば、次の第69条7項により、第62条で定める「建替え決議の集会」において、建替えを希望する建物(特定建物)が、議決権を有しないものは除いて、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数が賛成して、団地集会での他の建替えを希望する建物と「一括して建替え承認決議」に付す、という決議をしていれば、その特定建物の区分所有者は、反対者も含めて「合意」したとみなされる。
この「一括建替え承認決議」は、各棟の「建替え」を目的とする集会において「建替え決議」とは別にすること。
注:団地全体での建替えは、別途、一括建替え決議として第70条にある。

★複数棟の一括決議 (これは、次の第70条に規定される団地全体の「一括建替え」とは違う。団地内の「複数の棟の一括建替え」の場合)
団地内で建替えを希望する建物が複数ある場合には、その計画ごとに、団地集会で建替え承認集会を行うことも煩雑ですから、これらを団地全体で同一の議案として一括して議決することもできます。
この利点としては、隣接した建物群が共同で建替えをすることにより、一棟だけの建替えに比べて建築内容が豊かになり、また屋外空間もゆとりのあるものとなり、団地全体での調和のとれた建物群として計画できることです。
また、巨大な団地で、全棟の一括建替えが困難な場合、数棟ごとにまとめて徐々に建替えて行く時にも利用できます。
ただし、前の第69条5項でもあるように他の建物に「特別の影響を及ぼす場合」、その他の理由により、建替えを希望しているある建物の建替え計画は否決され、他の建替えを希望する建物の建替え計画は承認されるという事態も当然生じますから、否決される建替え計画と一括で団地の全体集会にかけると自分たちの建物の建替え計画案も一緒に否決されることもあります。
自分たちの建物の「建替え」だけでなく、他の建物も一緒に建替えるいう行為が、団地全体においてどのような影響を与えるのか慎重に、また責任を持って考慮しなければいけません。
従って、複数の建替え計画案を一括議決にかけるか否かは、建替え承認決議を得ようとする各建物所有者の合意が必要とされます。
しかし、区分所有建物では全員の合意を得るのは、不可能です。そこで、みなし合意があります。 (第69条7項)
| 過去出題 | マンション管理士 | H22年、H17年、 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
★令和8年4月1日施行で改正があった条文。
◎前項の場合において・・・第69条6項:建替え希望建物が2つ以上あるときには、一括して建替え承認決議に付すことができる。

★令和8年4月1日施行の改正理由 〜建替えの円滑化〜
令和8年4月1日施行の改正区分所有法の「管理の円滑化の推進」により、
@所在等不明区分所有者(議決権を有しない)を決議の母数から除外した
Aまた、第62条2項各号のいずれかに該当 → 客観的事由(5つ)に該当するなら、4/5(80%)以上を、3/4(75%)に緩和できる。
<参照> 区分所有法 第62条2項
(建替え決議)
第六十二条 集会においては、区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。
2 建物が次の各号のいずれかに該当する場合における前項の規定の適用については、同項中「五分の四」とあるのは、「四分の三」とする。
一 地震に対する安全性に係る建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に準ずるものとして法務大臣が定める基準に適合していないとき。
二 火災に対する安全性に係る建築基準法又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に準ずるものとして法務大臣が定める基準に適合していないとき。
三 外壁、外装材その他これらに類する建物の部分が剥離し、落下することにより周辺に危害を生ずるおそれがあるものとして法務大臣が定める基準に該当するとき。
四 給水、排水その他の配管設備(その改修に関する工事を行うことが著しく困難なものとして法務省令で定めるものに限る。)の損傷、腐食その他の劣化により著しく衛生上有害となるおそれがあるものとして法務大臣が定める基準に該当するとき。
五 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第十四条第五項に規定する建築物移動等円滑化基準に準ずるものとして法務大臣が定める基準に適合していないとき。
(以下、略)
※客観的事由 下の@〜Dのいずれかに該当
@ 耐震性の不足
A 火災に対する安全性の不足
B 外壁等の剥落により周辺に危害を生ずるおそれ
C 給排水管等の腐食等により著しく衛生上有害となるおそれ
D バリアフリー基準への不適合
所在等不明区分所有者の決議の母数からの除外に加え、原則的な多数決割合は現行規定(4/5)を維持しつつ、5つの一定の客観的事由がある場合には多数決割合を3/4に引き下げる。
これは、社会的に危険性がある等から、建替えを促進するため。
---------------------------------------------------
★特定建物...建替えを希望する建物がこの第69条7項では、「専有部分のある建物=区分所有建物」 であることに限定されている。
★まず、建替えを希望する各々の区分所有建物で、適法な、区分所有者及び議決権の各4/5(80%)以上の多数で「建替え決議」(区分所有法第62条)が成立していること。
その「建替え決議」とは別に、建替えを希望する棟の区分所有者及び議決権の各4/5(80%)以上の多数で、「他の建替えを希望する棟と一括して団地の建替え”承認”決議にかけるよう決議」ができる。
また、令和8年4月1日施行の改正により、
客観的事由 下の@〜Dのいずれかに該当
@ 耐震性の不足
A 火災に対する安全性の不足
B 外壁等の剥落により周辺に危害を生ずるおそれ
C 給排水管等の腐食等により著しく衛生上有害となるおそれ
D バリアフリー基準への不適合
があれば、区分所有者及び議決権は 4/5(80%) 以上を、3/4(75%) 以上 に緩和できる。
★合意があったとみなす...建替えを希望する建物が他の建替えを希望する建物と「一括して団地の建替え承認決議にかけるよう決議」をすると、それらの建物は、前の第69条6項で定める「各特定建物の団地建物所有者の合意により」が「合意のあったもの」とみなされる。建替えに対して反対を許さなくしている。
・参考:推定す・・・反証ができれば、そちらを認定する。

<参照> 区分所有法 第62条1項:(建替え決議); (*令和8年4月1日施行で改正あり)
(建替え決議)
第六十二条 集会においては、区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。
(以下、略)
★建替え希望の建物が2つ以上あり、各々が他の建物と共に建替えを希望していれば、各棟の建替え決議(第62条1項)の段階でもう、建替えを希望する他の棟との一括建替え決議にしてと、区分所有者及び議決権の各4/5(80%)以上の多数で決議すれば、反対者がいても、建替え希望棟の全員(反対者も含めて)が一括決議に合意したとみなすことができる。
★特別に多数の賛成が必要で「特別決議事項」と呼ばれる。(その8の8)
★区分所有建物の場合: 建替え決議 + 一括付議
本第69条7項は、前の6項における建替え希望の建物(特定建物)が、専有部分のある建物、つまり、区分所有建物である場合の規定です。
建替えを希望する建物がマンションのような区分所有建物の場合には、その「建替え決議」において、別途に、議決権を有しないものを除いた、区分所有者及び議決権の各4/5(80%)以上の多数で、自己の棟の建替え計画を、他の建物の建替え計画と一括して、団地全体の「建替え”承認”会議」に付する旨の議決(一括付議)も合わせて行うことができます。(第69条6項)
そこで、第69条6項の一括建替え承認決議の付議にするには、「各特定建物の団地建物所有者の合意」が必要となっていますが、 区分所有建物では、区分所有者全員が「合意」をするのは不可能である事を考え、「特定建物の区分所有者及び議決権の各4/5(80%)以上の多数」を持って、民法上での「合意」をしたものとみなすことにしています。
一括建替え承認への付議は、例えば、団地内にA・B・C棟の3つのマンションがあり、A・B棟の2棟だけが共同して、1つの棟のマンションに建替えをしたい時などに使えます。(C棟を含めた団地全体での建替えなら、次の第70条(一括建替え決議)があります。)
★団地内で、一部棟の建替えが実行されると、共用部分や敷地の持ち分などが変更になる
団地で、ある棟の建替えが承認され建替えが完成すると、多くの場合従前の建物と階数や高さなどの規模や戸数が異なり、それにより建替えられた各区分所有者が持つ専有部分の床面積が変更になります。
この場合、建替えられた建物での共用部分の持分の割合の変更や、それまでの団地全体での敷地の共有持分割合も変更が必要となります。
また、議決権割合にも変更が必要です。
不動産登記簿や団地規約との整合性をとる大変な作業が発生します。
| 第六十九条 (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
|
8項 建替え承認決議に係る建替えの対象となる特定建物(第六項の場合にあつては、建替え承認決議に係る建替えの対象となる全ての特定建物)が第六十二条第二項各号のいずれかに該当する場合における第一項の規定の適用については、同項中「四分の三」とあるのは、「三分の二」とする。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | |
| 管理業務主任者 |
★令和8年4月1日施行で改正があった条文。 新しく、第69条に8項として追加された規定。
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★令和8年4月1日施行で新設された理由
団地内の一部建物の建替えの際の必要な団地全体の敷地共有者による建替え”承認”決議の要件(議決権=土地の持分価格の割合の3/4)を満たすのは容易でなく、必要な建替えが迅速に行えない。
そこで、建替え対象の建物に一定の客観的事由(5つ)(第62条2項)がある場合には、議決権の割合を、3/4(75%)以上から2/3(66.6%)以上に引き下げる。
社会的な判断から、要件を緩和して建替えをスムーズに行えるようにするものです。

<参照> 区分所有法 第62条 2項
(建替え決議)
第六十二条 集会においては、区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。
2 建物が次の各号のいずれかに該当する場合における前項の規定の適用については、同項中「五分の四」とあるのは、「四分の三」とする。
一 地震に対する安全性に係る建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に準ずるものとして法務大臣が定める基準に適合していないとき。
二 火災に対する安全性に係る建築基準法又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に準ずるものとして法務大臣が定める基準に適合していないとき。
三 外壁、外装材その他これらに類する建物の部分が剥離し、落下することにより周辺に危害を生ずるおそれがあるものとして法務大臣が定める基準に該当するとき。
四 給水、排水その他の配管設備(その改修に関する工事を行うことが著しく困難なものとして法務省令で定めるものに限る。)の損傷、腐食その他の劣化により著しく衛生上有害となるおそれがあるものとして法務大臣が定める基準に該当するとき。
五 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第十四条第五項に規定する建築物移動等円滑化基準に準ずるものとして法務大臣が定める基準に適合していないとき。
(以下、略)
◎第68条第1項の規定の適用
団地内の建物の建替え承認決議は、
1.集会は
・議決権(土地の持分の価格の割合)を有する団地建物所有者の過半数で成立し
2.出席した
・団地建物所有者の議決権の3/4以上
が賛成すれば、可決する。
<参照> 区分所有法 第69条1項 の概要
議決権の過半数(これを上回る割合を第六十六条において準用する第三十条第一項の規約で定めた場合にあつては、その割合以上)を有する団地建物所有者が出席し、出席した団地建物所有者の議決権の四分の三以上の多数による承認の決議
しかし、令和8年4月1日施行の改正により、
客観的事由(第62条2項) 下の@〜Dのいずれかに該当
@ 耐震性の不足
A 火災に対する安全性の不足
B 外壁等の?落により周辺に危害を生ずるおそれ
C 給排水管等の腐食等により著しく衛生上有害となるおそれ
D バリアフリー基準への不適合
があれば、区分所有者及び議決権は 3/4(75%) 以上を、2/3(66.6%) 以上 にできるとした。
|
第七十条 (注:令和8年4月1日施行で改正あり。) |
|
1項 団地内建物の全部が専有部分のある建物であり、かつ、当該団地内建物の敷地(団地内建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により団地内建物の敷地とされた土地をいい、これに関する権利を含む。以下この項及び 次条第一項 |
| 過去出題 | マンション管理士 | R07年、R06年、R05年、H30年、H28年、H18年、H17年 |
| 管理業務主任者 | R06年、R05年、H19年、H17年、 |
★令和8年4月1日施行で改正があった条文。
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★令和8年4月1日施行の改正理由 〜賛成多数から → 反対へ変える〜
現行の区分所有法第70条で定めるマンションなど専有部分のある建物(区分所有建物)なら「団地内にある建物の全部を一括して建替える決議」で必要とされる団地全体の決議の要件(団地全体の区分所有者数と議決権の各4/5(80%)以上) プラス 各棟要件(棟ごとの 区分所有者数と議決権の各2/3(66.6%)以上)の賛成を満たすのは容易でなく、必要な一括建替えが迅速に行えない。
各棟要件では、特に戸数が少ない棟では、出席していないため「一括建替え」反対票に数えられる反対票の重みが大きく、団地関係に属する区分所有建物の建替えを阻害しているとの指摘がある。
そこで、各棟要件を、現行の「賛成」が2/3(66.6%)以上必要から、積極的に「建替え反対」の意思を示す1/3(33.3%)を超えるに規定を切り替えて、いずれかの棟で建替えに反対する者が1/3(33.3%)を超えない限り、一括建替えができることとする。
また、他の建替えでも採用した、団地内で全ての建物に一定の客観的事由(5つ)(第62条2項)がある場合には、団地全体の要件を「4/5(80%)以上」から「3/4(75%)以上」に引き下げる。(令和8年4月1日施行で新設:第70条2項)
<参照> 区分所有法 第62条 2項
(建替え決議)
第六十二条 集会においては、
区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及び議決権の各五分の四以上の多数で、
建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。
2 建物が次の各号のいずれかに該当する場合における前項の規定の適用については、同項中「五分の四」とあるのは、「四分の三」とする。
一 地震に対する安全性に係る建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に準ずるものとして法務大臣が定める基準に適合していないとき。
二 火災に対する安全性に係る建築基準法又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に準ずるものとして法務大臣が定める基準に適合していないとき。
三 外壁、外装材その他これらに類する建物の部分が剥離し、落下することにより周辺に危害を生ずるおそれがあるものとして法務大臣が定める基準に該当するとき。
四 給水、排水その他の配管設備(その改修に関する工事を行うことが著しく困難なものとして法務省令で定めるものに限る。)の損傷、腐食その他の劣化により著しく衛生上有害となるおそれがあるものとして法務大臣が定める基準に該当するとき。
五 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第十四条第五項に規定する建築物移動等円滑化基準に準ずるものとして法務大臣が定める基準に適合していないとき。
(以下、略)
令和8年4月1日施行の改正により、
客観的事由(第62条2項) 下の@〜Dのいずれかに該当
@ 耐震性の不足
A 火災に対する安全性の不足
B 外壁等の剥落により周辺に危害を生ずるおそれ
C 給排水管等の腐食等により著しく衛生上有害となるおそれ
D バリアフリー基準への不適合
があれば、区分所有者及び議決権(土地の持分の価格の割合)は 4/5(80%) 以上を、3/4(75%) 以上 に緩和できる。
これは、令和8年4月1日施行の改正区分所有法全体の考え方で、建替えの要件である、4/5(80%)以上の賛成を得ることは、非常に高いハードルで、この要件が、1棟の建替えや団地関係においての「建替え」を阻止しているので、該当の建物が社会的にも危険と認められる状態なら、ハードルを、4/5(80%)から、 3/4(75%)に下げて、「建替え」を円滑に進めようとするものです。
★しかし、建替え反対者=少数者の保護は、充分か?
以前から、問題にしていますように、区分所有法での「多数決による建物の取壊し」は、建替えに反対する人にとっては、強制的に「売渡請求(第63条)」を受けて、その建物から除外されることになり、これは、民法で保障されている個人の所有権=「財産権(憲法29条)」を侵害する行為です。
この1棟での建替え(団地での建物一括建替えも)に関しては、最高裁判所の判例、平成21年4月23日(後述)により、一応、合憲となっていますが、多数決の名を借りた「強制収用」にならないように、注意することが、肝心です。
---------------------------------------------------
★団地内の建物の全部が専有部分のある建物...対象はマンションなどの区分所有建物だけで、団地の土地が共有(準共有)されていること。
戸建てや1棟が賃貸マンションなど非区分所有建物が団地関係に入っている場合には、団地内での全棟(一括)建替えの決議はできない。(区分所有法の対象ではない。)
戸建てや1棟が賃貸マンションの処分は、民法の世界にある。区分所有法の多数決の世界には、なじまない。

★団地内の各棟ごとに、建替えもできる(第69条)が、団地内の全部の区分所有建物(戸建て等が入っていないこと)を纏めて、団地集会の決議で建替えることもできる。
逆に、一部の建物を残こした「一括建替え決議」はできない。
そして、キーワードは「第三十条第一項の「規約」が定められているとき」
(この第70条もまた、分かりにくい条文。引用されている各々の条文の内容がピンとこない。)
でも、実務的にも理論的にも問題を含んだ条文です。
★第5条1項の規定により団地内建物の敷地とされた土地 = 「規約敷地」 も対象になる
<参照> 区分所有法 第5条1項(規約による建物の敷地)
第五条 区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地は、規約により建物の敷地とすることができる。
★準用の第68条1項(注:第1号を除く) = 団地としての「規約」があること
<参照> 区分所有法 第68条1項 (*令和8年4月1日施行で改正あり)
(規約の設定の特例)
第六十八条 次の物につき第六十六条において準用する第三十条第一項の規約を定めるには、第一号に掲げる土地又は附属施設にあっては当該土地の全部又は附属施設の全部につきそれぞれ共有者の 四分の三以上の者であつて 四分の三以上で その持分の四分の三以上を有するものの同意、第二号に掲げる建物にあってはその全部につきそれぞれ第三十四条の規定による集会における 出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く。以下この項(第一号を除く。)において同じ。)及びその議決権の各四分の三以上の多数による決議(区分所有者の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)の者であつて議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)を有するものが出席してされたものに限る。)があることを要する。
区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による決議があることを要する。
一 一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内の一部の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地又は附属施設(専有部分のある建物以外の建物の所有者のみの共有に属するものを除く。)
二 当該団地内の専有部分のある建物
★第62条1項の規定(1棟の建替え決議)にかかわらず、一括して建替え決議ができる。
<参照> 区分所有法 第62条1項 (*令和8年4月1日施行で改正あり)
(建替え決議)
1項 集会においては、区分所有者 (議決権を有しないものを除く。) 及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。
★参考図:一棟の建替えの場合(区分所有法第62条)

★しかし、団地内の全部の建物を一括で建替えるには要件がある。

★団地の全ての建物の一括建替えの要件は、
@団地内の建物は全部区分所有建物であること(一部に戸建の住宅等がある団地ではこの一括決議はできない)
A敷地が団地内建物の区分所有者の共有であること。(各々の建物の敷地は、各々が共有し、通路だけが全体の共有では、該当しない。)
B団地全体の規約(団地管理規約)で管理を定めてあること。
そして、次の段階をクリヤーできれば、
*団地の全体の集会で、各棟ごとに、
・区分所有者の 1/3(33.3%) を超える者 が団地内の建物の一括建替え決議に反対しないこと 又は
・議決権(別段の定めがなければ、専有部分の床面積の割合、第38条、第14条) の 1/3(33.3%) を超える議決権者 が団地内の建物の一括建替え決議に反対しないこと
をえて、
D団地全部の
ア.区分所有者(議決権を有しないものは除いて) と
イ.議決権(ここは、土地の持分の価格の割合) の
各 4/5(80%)以上 が賛成すれば、団地内の建物の一括建替え決議は、できる。
注:令和8年4月1日施行で改正されて、改正前は、「2/3以上の”賛成”」がある場合が、「1/3を超える”反対”」がない場合と「賛成」から、建替えに積極的に「反対」の意思表示に、変更された。
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★団地内建物の一括建替えの趣旨
本第70条は団地内にある全ての建物がマンションのように専有部分のある建物なら、その全部の建物を取壊して、また新しい建物を建築するという、団地全体を一まとめ(一括して)「建替え」ができる決議の規定です。
この第70条も前の第69条(団地内の建物の建替え承認決議)と同様に平成14年の改正で新設されたものです。
前の第69条(団地内の建物の建替え”承認”決議)のように団地内の建物を一棟(または複数棟)だけ建替えるということは、通常各建物毎の団地内の敷地全体に占める容積率や建ぺい率、建替えでの想定敷地たる土地の位置等が予め決められていないことから、建替えを希望しない残った他の建物が有すべき容積率や建ぺい率などとの調整が非常に困難となることが予想されます。
大体、団地内にある複数の建物の状況は、建築年数やその管理状態の良し悪しで、建物ごとに多少の差はあるものの、多くの団地内の建物においては老朽化・陳腐化等を原因とする建替えが必要な時期は概ね団地全体で一致すると思われますから、そのようなときは、団地内に存在する全部の建物を一度に建替える方が、一棟ごとにバラバラに建替えるよりも権利調整の面からも望ましいことはいうまでもありません。
ところで、団地内の全ての建物を一括して建替える場合は、何度も言っていますように民法の共有により、区分所有者の「全員が合意」すれば行えることは勿論ですが、単独棟においても建替えを希望する棟がマンションのような区分所有建物の場合は、民法の原則から外して、つまりその建物所有者の「全員の合意」を必要とせず、区分所有者及び議決権の各4/5以上の賛成の「建替え決議」により行うことができ、団地内の全部の棟が区分所有建物の場合には、各建物ごとに建替え決議(第62条)をして、団地での建替え”承認”決議(第69条)があれば民法および平成14年の改正前の区分所有法でも可能でした。
区分所有法で必要な建替えでの要件を満たせば、元々は低層の複数の建物を、建替え後は高層の一棟にすることも、また複数棟にすることも自由であり、そして、住宅専用から住宅と店舗の併設(下駄ばきマンション)や敷地の一部を売却して建設費用に充当するなども、第70条での「団地の建物の一括建替え」でも可能ですから、団地全体での建替えでは建替えた後、その団地がどうなるのかのマスタープランを上手く作成することが肝心です。(敷地関係については、第62条を参照。)
団地内での、全部の棟が区分所有建物の場合には、全区分所有者を構成員とする区分所有建物の一棟が一つの敷地にあるのと事情は変わりませんから、全区分所有者について一棟の建替え決議と同等の要件が備われば建替えができると考えてもよいはずです。
そこで、団地内の全てがマンションのような区分所有建物である数棟の建物がその敷地を共有していれば、一棟の建替え決議(第62条)を、まとめて団地全体の棟に認めたものが第70条の規定と考えられます。
この団地内建物の一括建替えの案を考えた法務省の担当者から、団地内建物の一括建替えのメリットは、
@複数の低層の建物を纏めて高層の建物にできる
A建物と空き地を入れ替えることができる
B敷地全体の配置を見直すことにより敷地の有効活用ができる
C容積率に余裕がある団地では、敷地の一部を分譲して建替え費用をねん出できる
などだそうです。
しかし、建替えは一棟での場合と同様に、建替えに反対する人にとっては、現住所で永年にわたって築き上げた「居住権」を、多数決の理論によって奪われ、追い出しを余儀なくされるという実態を深く考量すべきです。
どうして、建替えに反対するのか、余命がないのか、金銭的な余裕がないのか。
建替えに賛成できない理由に対する充分な補償が必要です。
★団地内の建物の一括建替えの要件
団地内建物の一括建替え決議の要件は、まず
@団地内建物の全てが専有部分のある建物(区分所有建物)であること、 であり 更には
A敷地(団地内建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により団地内建物の敷地とされた土地(規約敷地)をいい、これに関する権利を含む。)が当該団地内建物の区分所有者の共有(建物の敷地利用権が所有権以外の権利の場合は、その権利は準共有に属していること)に属すること、
B団地管理組合規約が定められていること、
C団地管理組合(法人を含む)の集会で、
全区分所有者(議決権を有しない者は除いて)およびその議決権(土地の持分の価格の割合)の各4/5(80%)以上の多数で「一括の建替え決議」を行うこと、
Dしかし、各棟ごとに区分所有者 または および その議決権(ここは、その棟の専有部分の床面積割合)の 1/3(33.3%) を超える 「反対」が無いこと。 2/3(66.6%)以上の賛成があること、
の5つが必要です。

@の要件の「団地内の建物がすべて区分所有建物であること」と、Aの要件の「敷地が共有」は、団地内の全部の棟を合わせて1個の建物に擬制する前提であり、且つ組織としても1個の団地管理組合が成立する要件でもあります。
すでに説明しましたように、区分所有法での団地を構成する場合には、マンションのような区分所有建物だけでなく戸建や1棟が賃貸マンション(非区分所有建物)も入ることができました(第65条)が、この一括建替え決議をする団地には、戸建や1棟が賃貸マンションがあってはいけません。
区分所有建物だけで構成される団地だけが、一括建替え決議ができます。
繰り返しになりますが、戸建てや1棟が賃貸マンションの処分は、民法の世界で、多数決の世界の区分所有法には、なじまないとの判断です。
また、敷地利用権が所有権以外の賃借権や地上権での準共有でも可能ですが、その場合には、土地の所有者との調整が必要なのは、一棟の建替えと同様です。単に、建物である集会所等の管理棟が共有の場合も、該当しません。
Bの要件の「団地での管理規約があること」を要求する理由は不明ですが、おそらく管理組合組織が現実に機能していることを要求するもののようです。(注:本当に要件としてこの「団地規約があること」の存在理由が分かりませんが、出題の対象によくなる。)
しかし、前述の一棟での建替え(区分所有法第62条)では要求していない規約での定めの要件をこの団地での一括建替えの場合に要求し、且つ規約制定決議と共に建替え決議をすればよいのであれば機能しているといっても形式に過ぎませんから無用な要求であったように思われます。
団地の規約があって管理している団地は団地としての一体性(協同性)が強いので、一括建替えに馴染みやすいとの見方もあります。
Cの「全体集会での決議の要件(全体要件)」は、@とAで擬せられた団地管理組合による事実上の一棟での建替え(第62条)決議に相当します。
団地内の建物の一括建替えでは、団地内にある複数の建物が一棟とみなされ、個々の棟の集会ではなく、団地全体の集会で一括建替え決議が可能となっています。
そのため、建替え承認決議での議決権(土地の持分の価格の割合 第68条、第38条の準用読替え)の4/5以上だけでなく、ここ第70条では、区分所有法第62条の「建替え決議」で必要とした区分所有者の数も4/5以上の賛成も必要としています。
なお、区分所有者全員の承諾があれば、団地全体集会を開催せずに、書面または電磁的方法により決議はできます。(区分所有法第45条1項及び3項)
D令和8年4月1日施行で改正されましたが、この Dの「棟での決議の要件(各棟要件)」は、団地全体での一括建替え決議における少数保護規定です。
民主主義の原則として、多数決制を採用する場合には、常に、少数者の保護も考慮する必要があります。
団地内にある複数の建物を一棟に擬制(第64条)したといっても、現実には団地は複数棟の集合体であり、「団地全体で区分所有者及び議決権の各4/5以上の賛成」という要件は、仮に一棟が全員反対でも団地全部を合算すれば賛成の要件を満たすということも起こりえますから、それでは、個々の棟での建替え要件の「区分所有者及び議決権の各4/5以上の賛成」からみれば、多数による少数の抑圧の規定となってしまいます。
民主主義としては、それぞれの棟の自主性も尊重・保護されなければなりませんから、全体に対して一部の自主性を守る「規約」の設定・変更・廃止を規定した区分所有法第31条2項と同様の趣旨で一括建替え決議では「団地全体で区分所有者及び議決権の各4/5以上の賛成」という要件のほか、各棟でも規約の設定などとは、やや緩いのですが、「区分所有者及び議決権の 各1/3(33.3%)を超える者が積極的に「反対をしない」ことを要件にしました。
★令和8年4月1日施行で改正された 〜各棟の要件を、2/3(66.6%)以上の”賛成”から、1/3(33.3%)を超える”反対”に変更した〜
団地内建物の全てを一括建替えを決議する際に、どこかの棟で区分所有者及び議決権の各1/3を超える反対があると団地内の建物の一括建替え決議ができないという点に関して、集会の決議において委任状や議決権行使書を提出しない無関心な欠席区分所有者は、議案に対して「反対」という扱いになります。
そこで、各棟要件を、令和8年4月1日施行の改正前は「賛成」が2/3以上あることから、積極的な「反対」が1/3を超ええないことに切り替えて、いずれかの棟で建替えに反対する者が1/3を超えない限り、一括建替えができることとして、
ある棟で、
1.区分所有者の1/3 又は
2.議決権(規約がなければ、専有部分の割合(第38条))の1/3を超える
反対が無ければ、団地内の建物の一括建替え決議ができるとしました。
---------------------------------------------------
*この団地内の建物の一括建替え決議を受けて、取り壊すことのできるのは、団地内の区分所有建物(専有部分と共用部分)と区分所有法第67条によって規約で団地共用部分とされた団地内の別棟の集会所や立体駐車場などの附属施設たる建物です。
もしも、団地内の集会所が、団地全体の規約で共用部分となっておらず、特定の棟の区分所有者達だけの共有となっている場合には、団地内の建物の一括建替え決議はできません。
この場合の集会所を取り壊したければ、団地内の建物の一括建替え決議の前に、団地の規約を改正して、その集会所を団地共用部分とする必要があります。また、第三者に対抗するためには、団地共用部分にしたという登記が必要です。(区分所有法第67条参照)
注:以下は、令和8年4月1日施行で改正される前の議論です。
参考までに。
★どうして、この団地の全建物の一括建替えだけを 各棟の 2/3以上 にしたのか 〜議決要件が緩和されている?〜
他の区分所有法の条文では、重大な事項の決定には、3/4(75%)以上の多数で、さらに一棟での建替えでは、4/5(80%)以上の多数が求められています。
それが、団地の一括建替え決議の場合には、棟については他の場合の 3/4 の規定より少なくここの規定だけ 2/3(66.6%)以上 の賛成で足りるとしています。
いいかえると、一棟の1/3(33.3%)未満の区分所有者が建替えに反対しても、団地全体で4/5(80%)以上の多数決で建替えができるということです。
例えば、規約に関する第31条2項等に規定されるように区分所有法の従来の立場からは1/4(25%)以上の反対(3/4の賛成)とした方が整合性が取れる数値のようにも思われます。
平成14年の改正において立法者は、ここを、2/3以上とした説明として、「色々な考え方があるが、これまでに要求されていた建物ごとの4/5以上という決議要件を緩和する必要性は認めつつも、過半数をなお相当程度上回る賛成を要求することにより、これまでの制度との均衡の確保を図ったもの」と述べています。
そこで、立法担当者がここだけ、2/3以上の多数にしたことにつき、合理性と、必要性から憲法29条(財産権)に違反する可能性が指摘されています。
★区分所有法第70条1項(団地内全建物一括建替え)は憲法第29条(財産権)違反か?
たびたび説明していますが、区分所有法の特徴は、民法の共有での「全員の同意(合意)」を多くの人々が住むマンション生活では得ることは難しいとの判断から、民法の特別法として区分所有法を制定しそこでは、「多数決」を採用したことです。
しかし、多数を優先する場合には、少数の保護も必要です。
そこで、区分所有法第62条の一棟での「建替え」でも説明しましたが、第70条の「団地内全建物の一括建替え」では建替えに参加しない少数者の権利保護がなされていない、これは憲法第29条(財産権)違反であるとの裁判が起こされ、平成21年4月23日:最高裁の判決 として、「区分所有法第70条は憲法第29条に違反しない」がでましたので紹介します。
<参照>憲法 第29条:
第二十九条 財産権は、これを侵してはならない
2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
*違反である主張:
区分所有法第70条によれば,団地内全建物一括建替えにおいては,各建物について,当該建物の区分所有者ではない他の建物の区分所有者の意思が反映されて当該建物の建替え決議がされることになり,建替えに参加しない少数者の権利が侵害され,更にその保護のための措置も採られていないなどとして,同条が憲法第29条に違反する。
*これに対する最高裁の判断:
◎まず、区分所有権の性質と行使について、次のように判断していますので、もう一度、区分所有権を理解する参考になります。
・区分所有権は,一棟の建物の1部分を構成する専有部分を目的とする所有権であり,共用部分についての共有持分や敷地利用権を伴うものでもある。
・区分所有権の行使(区分所有権の行使に伴う共有持分や敷地利用権の行使を含む。以下同じ。)は,必然的に他の区分所有者の区分所有権の行使に影響を与えるものであるから,区分所有権の行使については,他の区分所有権の行使との調整が不可欠であり,区分所有者の集会の決議等による他の区分所有者の意思を反映した行使の制限は,区分所有権自体に内在するものであって,これらは,区分所有権の性質というべきものである。
◎そして、マンション(区分所有建物)の建替えを次のように捉えています。
これによると、まず区分所有法第62条1項で定める一棟の建替えの規定は合理性があると述べています。
・区分所有建物について,老朽化等によって建替えの必要が生じたような場合に,大多数の区分所有者が建替えの意思を有していても一部の区分所有者が反対すれば建替えができないということになると,良好かつ安全な住環境の確保や敷地の有効活用の支障となるばかりか,一部の区分所有者の区分所有権の行使によって,大多数の区分所有者の区分所有権の合理的な行使が妨げられることになるから,一棟建替えの場合に区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数で建替え決議ができる旨定めた区分所有法第62条1項は,区分所有権の上記性質にかんがみて,十分な合理性を有するものというべきである。
◎そして、主点の団地内全建物の一括建替えについても合理性はあると、次のように述べています。
・区分所有法第70条1項は,団地内の各建物の区分所有者及び議決権の各3分の2以上の賛成があれば,団地内区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数の賛成で団地内全建物一括建替えの決議ができるものとしているが,団地内全建物一括建替えは,団地全体として計画的に良好かつ安全な住環境を確保し,その敷地全体の効率的かつ一体的な利用を図ろうとするものであるところ,区分所有権の上記性質にかんがみると,団地全体では同法第62条1項の議決要件と同一の議決要件を定め,各建物単位では区分所有者の数及び議決権数の過半数を相当超える議決要件を定めているのであり,同法第70条1項の定めは,なお合理性を失うものではないというべきである。
◎少数者(建替え反対者=建替えに参加しない人)の保護としては、売渡請求権が時価であることで相応の手当てがなされていると述べています。
・団地内全建物一括建替えの場合,一棟建替えの場合と同じく,上記のとおり,建替えに参加しない区分所有者は,売渡請求権の行使を受けることにより,区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すこととされているのであり(区分所有法第70条4項,第63条4項),その経済的損失については相応の手当がされているというべきである。
◎そして、結論として、区分所有法第70条は、憲法第29条に違反しないとのことです。
・規制の目的,必要性,内容,その規制によって制限される財産権の種類,性質及び制限の程度等を比較考量して判断すれば,区分所有法第70条 は,憲法第29条に違反するものではない。
★論点の 2/3以上には触れていませんが、平成14年に改正された区分所有法が一応、憲法違反ではないということでもあります。
この最高裁判所による合憲の判決が、その後の「区分所有法」での「多数決理論」を推し進めています。
★議決権の決め方 〜敷地の持分割合でいいのか〜
この団地での一括建替え決議での議決権は第69条2項の準用により建物の共用部分の持分割合ではなく、「敷地の共有持分の価格の割合」とされています(2項)。
この点に関し、民法上は、建物の建替えは既存建物の所有者による建物所有権の滅失行為(建物解体)と土地利用権者(所有者または借地権者)による建物の新築行為の複合行為と考えられますが、区分所有法は第62条(棟の建替え決議)においてそれらを一括して建物所有者(土地利用権者の位置も兼任してはおりますが)に授権する特則を置いていますから、その場合の議決権は建物共有部分の持分が基準となります。
従って、複数の区分建物群を一棟のものに擬した第70条で第62条の建物共有部分の持分ではなく土地持分による議決権とするのは、第62条の立場と矛盾するものといわざるを得ないようです。
{一括建替え決議ができない例}
一団地内に甲、乙及び丙の3棟の建物があり、甲及び乙は専有部分のある建物で、丙はAが所有する専有部分のない建物で全室が賃貸されている。この場合、一括建替えは全部の建物が区分建物(専有部分のある建物)を含む一棟の建物でなければならず、丙建物が専有部分のない建物であるので、一括建て替え決議はできない。
区分所有法第69条の建替えでは区分建物の組合毎に建替え決議、単独所有建物では所有者の承諾が必要。
{小規模滅失との関係}数棟ある団地の中で特定の棟が小規模滅失した場合でも、団地で一括建替え決議をすることができる。(注:一括建替えの決議は団地の集会で可能だが、復旧の決議(第61条)は、団地では準用されていないので、できない。用語を明確にしておくこと。)
*都市再開発法改正の概要 (平成28年6月の改正点)
今までは、複数の棟で構成される団地においては、土地が共有であると、都市再開発法では、共有者全員を一人の組合員とみなしているため、建替えは民法での「全員の合意(同意)」を必要とし、これでは、建替えの合意を得ることは、ほとんど不可能でした。
そこで、改正をし、市街地再開発組合を設立すれば、各組合員(共有者)をそれぞれ一人の組合員とし、組合員の3分の2以上の賛成で建替え(再開発事業)ができるようにしました。(都市再開発法第20条、同第14条1項参照)
但し、その前に要件として、
・地方公共団体が都市計画として再開発事業を決定すること
そのためには、第一種市街地再開発事業(権利変換方式)の施行区域として、(都市再開発法第3条 参照)
ア.高度利用地域内にあること
イ.区域内の建築物の3分の2以上が老朽化していること
ウ.区域内に十分な公共施設がない等により、土地利用が不健全である 等を満たすこと
・そして、市街地再開発組合(組合)として設立をするには、
組合員全体の3分の2以上の合意を得れば、再開発組合が設立でき、認可されます。
<参照> 都市再開発法
(組合員)
第二十条 組合が施行する第一種市街地再開発事業に係る施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者は、すべてその組合の組合員とする。
2 宅地又は借地権が数人の共有に属するときは、その数人を一人の組合員とみなす。 ただし、当該宅地の共有者(参加組合員がある場合にあつては、参加組合員を含む。)のみが組合の組合員となつている場合は、この限りでない。
------------------------------------
(宅地の所有者及び借地権者の同意)
第十四条 第十一条第一項又は第二項の規定による認可を申請しようとする者は、組合の設立について、施行地区となるべき区域内の宅地について所有権を有するすべての者及びその区域内の宅地について借地権を有するすべての者のそれぞれの三分の二以上の同意を得なければならない。この場合においては、同意した者が所有するその区域内の宅地の地積と同意した者のその区域内の借地の地積との合計が、その区域内の宅地の総地積と借地の総地積との合計の三分の二以上でなければならない。
2 第七条の二第五項の規定は、前項の規定により同意を得る場合について準用する。
------------------------------------
(認可)
第十一条 第一種市街地再開発事業の施行区域内の宅地について所有権又は借地権を有する者は、五人以上共同して、定款及び事業計画を定め、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事の認可を受けて組合を設立することができる。
2 前項に規定する者は、事業計画の決定に先立つて組合を設立する必要がある場合においては、同項の規定にかかわらず、五人以上共同して、定款及び事業基本方針を定め、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事の認可を受けて組合を設立することができる。
3 前項の規定により設立された組合は、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事の認可を受けて事業計画を定めるものとする。
4 第七条の九第二項の規定は前三項の規定による認可に、同条第三項の規定は第一項又は第二項の規定による認可について準用する。この場合において、同条第二項中「施行地区となるべき区域」とあるのは、「施行地区となるべき区域(第十一条第三項の規定による認可の申請にあつては、施行地区)」と読み替えるものとする。
5 組合が施行する第一種市街地再開発事業については、第一項又は第三項の規定による認可をもつて都市計画法第五十九条第四項 の規定による認可とみなす。第七条の九第四項ただし書の規定は、この場合について準用する。
------------------------------------
(第一種市街地再開発事業の施行区域)
第三条 都市計画法第十二条第二項 の規定により第一種市街地再開発事業について都市計画に定めるべき施行区域は、第七条第一項の規定による市街地再開発促進区域内の土地の区域又は次に掲げる条件に該当する土地の区域でなければならない。
一 当該区域が高度利用地区、都市再生特別地区又は特定地区計画等区域内にあること。
二 当該区域内にある耐火建築物(建築基準法第二条第九号の二 に規定する耐火建築物をいう。以下同じ。)で次に掲げるもの以外のものの建築面積の合計が、当該区域内にあるすべての建築物の建築面積の合計のおおむね三分の一以下であること又は当該区域内にある耐火建築物で次に掲げるもの以外のものの敷地面積の合計が、当該区域内のすべての宅地の面積の合計のおおむね三分の一以下であること。
イ 地階を除く階数が二以下であるもの
ロ 政令で定める耐用年限の三分の二を経過しているもの
ハ 災害その他の理由によりロに掲げるものと同程度の機能低下を生じているもの
ニ 建築面積が百五十平方メートル未満であるもの
ホ 容積率(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、その延べ面積の合計を算定の基礎とする容積率。以下同じ。)が、当該区域に係る高度利用地区、都市再生特別地区、地区計画、防災街区整備地区計画又は沿道地区計画に関する都市計画において定められた建築物の容積率の最高限度の三分の一未満であるもの
ヘ 都市計画法第四条第六項 に規定する都市計画施設(以下「都市計画施設」という。)である公共施設の整備に伴い除却すべきもの
三 当該区域内に十分な公共施設がないこと、当該区域内の土地の利用が細分されていること等により、当該区域内の土地の利用状況が著しく不健全であること。
四 当該区域内の土地の高度利用を図ることが、当該都市の機能の更新に貢献すること。
*区分所有法第70条(団地内建物の一括建替え決議)と都市再開発法の比較
区分所有法第70条の団地内建物の一括建替え決議においては、要件として
@団地内建物の全てが専有部分のある建物(区分所有建物)であること、
A敷地(団地内建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により団地内建物の敷地とされた土地(規約敷地)をいい、これに関する権利を含む。)が当該団地内建物の区分所有者の共有(建物の敷地利用権が所有権以外の権利の場合は、その権利は準共有に属していること)に属すること、
B団地管理組合規約が定められていること、
C団地管理組合(法人を含む)の集会で全区分所有者およびその議決権(土地の持分の割合)の各4/5以上の多数で一括の建替え決議を行うこと、
D各棟ごとに区分所有者 又は および その議決権(その棟の専有部分の床面積割合)の 1/3を超える 2/3以上の賛成があること、 反対がないこと
と、区分所有法では多くの要件を必要としていますが、
都市再開発法の市街地開発事業で建替えを行うと、
@団地内の建物には区分所有建物以外の建物(戸建てなど)があってもいい
A団地管理規約はなくていい
B・土地が全体で一筆の場合
同意した者の数が、全体の共有者の2/3以上および同意した土地の共有持分割合の合計が2/3以上あればいい。
・複数の土地に分かれている場合
・人数要件として、
(土地ごとの (同意者数/当該土地の共有者数))/土地の筆数 が2/3以上 あり、
・面積要件として、
(土地ごとの (同意した者の共有持分x当該土地面積))/住宅団地の土地の面積の合計 が2/3以上 あればいい
となります。
ただし、都市再開発法では、一部建替えは、難しくなります。
また、道路や公園、広場などの公共施設も造られます。
区分所有法では、建替え決議により、建替え不参加者に対しては、「売渡請求」ができますが、市街地開発事業では、「権利変換の手法」を採用して、権利をなくして金銭を受領する場合には転出の申し出が必要で、転出の申し出を行わない者については、強制的に新たな建物及びその敷地に権利の移動を行います。売渡請求はありません。
<参考>標準管理規約(団地型) 49条5項〜9項 だけ: (団地総会の会議及び議事)
(*令和7年10月17日版)
5 建替え承認決議は、第1項及び第2項にかかわらず、議決権(前条第1項にかかわらず、建替えを行う団地内の特定の建物(以下「当該特定建物」という。)の所在する土地(これに関する権利を含む。)の持分の価格の割合による。第7項において同じ。)総数の過半数を有する組合員の出席を要し、出席組合員の議決権の4分の3以上で行う。
ただし、当該特定建物が区分所有法第62条第2項各号に掲げるいずれかの事由に該当する場合は、議決権総数の過半数を有する組合員の出席を要し、出席組合員の議決権の3分の2以上で行う。
6 当該特定建物の建替え決議又はその区分所有者の全員の合意がある場合における当該特定建物の団地建物所有者は、建替え承認決議においては、いずれもこれに賛成する旨の議決権を行使したものとみなす。
7 建替え承認決議に係る建替えが当該特定建物以外の建物(以下「当該他の建物」という。)の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、建替え承認決議を会議の目的とする団地総会において、当該他の建物の区分所有者全員の議決権の4分の3以上の議決権を有する区分所有者が、建替え承認決議に賛成しているときに限り、当該特定建物の建替えをすることができる。
8 一括建替え決議及び団地内建物敷地売却決議は、第2項にかかわらず、組合員総数及び議決権(前条第1項にかかわらず、当該団地内建物の敷地の持分の価格の割合による。)総数の各5分の4以上で行う。
ただし、全ての団地内建物が区分所有法第62条第2項各号に掲げるいずれかの事由に該当する場合は、組合員総数及び議決権総数の各4分の3以上で行う。
9 前項の決議は、当該団地総会において、団地内建物のうちいずれか1棟以上につき、それぞれの組合員又は議決権(前条第1項に基づき、別表第5に掲げる議決権割合による。)総数の3分の1を超える反対があった場合は、行うことができない。
(以下、「略」
{設問}一団地内に甲、乙及び丙の3棟の建物があり、甲及び乙は専有部分のある建物で、丙はAが所有する専有部分のない建物で全室が賃貸されている。この場合におけるこの団地内の建物の建替えに関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、甲、乙及び丙の3棟が所在する土地は、団地建物所有者の共有に属しており、その共有者全員で団地管理組合(区分所有法第65条に規定する団体をいう。以下この問いについて同じ。)を構成しているものとする。
1 甲、乙及び丙の一括建替えについては、団地管理組合の集会において、団地建物所有者及び議決権の各4/5以上の多数で、一括建替え決議を行うことができる。
答え:間違い。団地に専有部分のない建物があっては、一括建替えはできない。
区分所有法第70条の一括建替えで必要な要件は、全部の建物が区分建物(専有部分のある建物)を含む一棟の建物でなければならず、丙建物が専有部分のない建物であるので、一括建替え決議はできない。参考:区分所有法69条の建替えでは区分建物の組合毎に建替え決議、単独所有建物では所有者の承諾が必要。
2 甲の建替えについては、甲の集会において建替え決議を得た上で、団地管理組合の集会において、議決権の3/4以上の多数による建替え承認決議を得なければならない。
答え:正しい。
区分所有法第69条1項1号のとおり。
3 甲及び乙の建替えについては、甲及び乙のそれぞれの建替えを会議の目的とする各集会において、区分所有者及びその議決権の各4/5以上の多数で甲及び乙を一括して建替え承認決議に付する旨の決議をすることができる。
答え:正しい。
区分所有法第69条6項、7項によれば、2棟以上の区分建物を含む一棟の建物同士は一括建替え承認決議にかけるように決議ができる。
4 甲の建替えが乙の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、団地管理組合の甲に係る建替え承認決議において、乙の区分所有者全員の議決権の各3/4以上の議決権を有する者の賛成を得なければならない。
答え:正しい。
区分所有法第69条5項1号のとおり。
答え:1
| 第七十条 (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
|
2項 団地内建物の全部が第六十二条第二項各号のいずれかに該当する場合における前項本文の規定の適用については、同項中「五分の四」とあるのは、「四分の三」とする。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | |
| 管理業務主任者 |
★令和8年4月1日施行で追加された条文。
★令和8年4月1日施行の追加理由
★地震等(客観的事由 5つ)に該当すれば、多数決要件を 4/5以上 から 3/4以上 へ緩和する
「建替え決議」(第62条)でも、説明しましたが、、区分所有建物が耐震性不足等(5つの客観的事由)で生命・身体・財産への危険を生ずるおそれがある場合、公共の福祉の観点から、多数決割合を4/5以上から3/4以上に緩和して、その建替えを促進する必要があるという案を採用した結果です。

<参照> 区分所有法 第62条 2項
(建替え決議)
第六十二条 集会においては、区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。
2 建物が次の各号のいずれかに該当する場合における前項の規定の適用については、同項中「五分の四」とあるのは、「四分の三」とする。
一 地震に対する安全性に係る建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に準ずるものとして法務大臣が定める基準に適合していないとき。
二 火災に対する安全性に係る建築基準法又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に準ずるものとして法務大臣が定める基準に適合していないとき。
三 外壁、外装材その他これらに類する建物の部分が剥離し、落下することにより周辺に危害を生ずるおそれがあるものとして法務大臣が定める基準に該当するとき。
四 給水、排水その他の配管設備(その改修に関する工事を行うことが著しく困難なものとして法務省令で定めるものに限る。)の損傷、腐食その他の劣化により著しく衛生上有害となるおそれがあるものとして法務大臣が定める基準に該当するとき。
五 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第十四条第五項に規定する建築物移動等円滑化基準に準ずるものとして法務大臣が定める基準に適合していないとき。
(以下、略)
つまり、第70条(前項本文)で規定されている、議決権を有する区分所有者と議決権の各「4/5(80%)以上」の賛成を要するという規定は、
1.地震に対する建築基準法の安全性に適合していないとき
2.火災に対する建築基準法の安全性に適合していないとき
3.外壁、外装材等が剥離して危険な状態と法務大臣が定める基準に該当するとき
4.給排水等の配管の損傷、腐食等の劣化により著しく衛生上有害と法務大臣が定める基準に該当するとき
5.高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の建築物移動等円滑化基準に準ずるものとして法務大臣が定める基準に適合していないとき
のいずれかに該当すれば、各4/5(80%)以上 から「3/4(75%)以上」の賛成で可能となります。(参考:第62条2項)
これら、地震などに耐えられないなどの事由があれば、社会的に影響が大きいと判断して、よりスムーズに、団地全体の建替えを促進する狙いです。
| 過去出題 | マンション管理士 | R07年、 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
★令和8年4月1日施行で改正された条文。
第70条2項が追加されたので、旧2項が新3項になり、第70条1項に合わせて、規約敷地(第5条1項)も含むと明確にした。
★令和8年4月1日施行の改正理由
他の規定と合わせて、議決権を「土地の持分割合」から、民法の共有にある「土地の持分の”価格”の割合」に変更し、規約敷地(第5条1項の規定)も含むことを明確にした。
★団地内の建物の一括建替えでの議決権も「敷地の共有持分の価格の割合」である。規約で別段は無効。
<参照>前条2項=区分所有法 第69条(団地内の建物の建替え承認決議)2項:(*令和8年4月1日施行で改正あり)
2 前項の集会における各団地建物所有者の議決権は、第六十六条において準用する第三十八条の規定にかかわらず、
第六十六条において準用する第三十条第一項の規約に別段の定めがある場合であつても、
当該特定建物の所在する土地(これに関する権利を含む。)
{読み替えー>
当該団地内建物の敷地 (団地内建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により団地内建物の敷地とされた土地をいい、これに関する権利を含む。) の持分の 価格の 割合によるものとする。
<参照>区分所有法 第5条(規約による建物の敷地)1項
(規約による建物の敷地)
第五条 区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地は、規約により建物の敷地とすることができる。
2 建物が所在する土地が建物の一部の滅失により建物が所在する土地以外の土地となつたときは、その土地は、前項の規定により規約で建物の敷地と定められたものとみなす。建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となつたときも、同様とする。
★団地での建物の一括建替え集会での議決権: 土地の持分の価格の割合。規約で別段の定めはできない
団地全体の一括建替え決議で必要とされる団地全体の 区分所有者の数 と 議決権 の各4/5以上 での議決権の方は、たとえ規約で定めても「土地の持分価格割合」です。規約の定めは無効です。
1棟での建替え決議(第62条)のように、「区分所有者と議決権(注:規約がない限り、専有部分の割合。第38条→祭14条))の各4/5以上の賛成」とは違っていますから注意してください。よく試験にでます。
しかし、各棟ごとに必要な「それぞれその区分所有者の三分の二以上の者であつて第三十八条に規定する議決権の合計の三分の二以上の議決権を有するもの」では、議決権は、規約に別段の定めがあれば、それに従い、無ければ専有部分の床面積の割合になります。(区分所有法第38条、第14条参照)
実務では、棟ごとの管理規約の有無を確認し、議決権の整理をすることが必要です。
| 第七十条 |
|
4 一 再建団地内敷地の一体的な利用についての計画の概要 二 新たに建築する建物(以下この項において「再建団地内建物」という。)の設計の概要 三 団地内建物の全部の取壊し及び再建団地内建物の建築に要する費用の概算額 四 前号に規定する費用の分担に関する事項 五 再建団地内建物の区分所有権の帰属に関する事項 |
| 過去出題 | マンション管理士 | R05年、 |
| 管理業務主任者 | H27年、 |
★令和8年4月1日施行で改正された条文。
第70条2項が追加されたので、旧3項が新4項になった。
本第70条3項は、専有部分のある建物(区分所有建物)だけで成立する団地では、団地内の全部の建物を特別多数決で、一括して建替えできる決議をする際に、次の5つの事項も定めて、あとで争いが起きないようにしなさいといっています。
★一括建替えでは、一棟の建替え(第62条 4 2 項)の4つの決議事項に準じた(2号から5号)ほかに、
<参照>区分所有法 第62条 4 2 項(建替決議):
建替え決議においては、次の事項を定めなければならない。
一 新たに建築する建物(以下この項において「再建建物」という。)の設計の概要
二 建物の取壊し及び再建建物の建築に要する費用の概算額
三 前号に規定する費用の分担に関する事項
四 再建建物の区分所有権の帰属に関する事項
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<比較> 区分所有法 第70条 4 3 項 (団地内建物の一括建替え決議)
団地内建物の一括建替え決議においては、次の事項を定めなければならない。
一 再建団地内敷地の一体的な利用についての計画の概要
二 新たに建築する建物(以下この項において「再建団地内建物」という。)の設計の概要
三 団地内建物の全部の取壊し及び再建団地内建物の建築に要する費用の概算額
四 前号に規定する費用の分担に関する事項
五 再建団地内建物の区分所有権の帰属に関する事項
「再建団地内敷地の一体的な利用についての計画の概要」(1号) が1棟の建替え決議にプラスされて、合計5つになっている。
これらは、必ず定めること。(団地内の建物の一括建替え決議で必要な事項であり通知に際して議案の要領が必要。参照:区分所有法第62条4項)
★団地内での一括建替えの決議事項の内容は、各区分所有者が、一括建替えが妥当か否かを判断できる内容であること。
一号 再建団地内敷地の一体的な利用についての計画の概要
全ての建物を建替えるために、団地内の敷地の効率的な利用計画が必要です。
各棟の配置、空地、駐車場、集会所、倉庫など附属施設の配置などが図面で計画されます。
二号 新たに建築する建物(以下この項において「再建団地内建物」という。)の設計の概要
棟数、階数、用途、構造、仕様、延べ床面積、建築面積、専有面積などを決め、これらによって建築費用の概算が算定されます。
三号 団地内建物の全部の取壊し及び再建団地内建物の建築に要する費用の概算額
各棟ごとの取壊しの費用と、再建される建物について必要な建築費用です。
決議時点での市場価格に基づいた概算で可能です。実際にかかった費用と差異が生じても、決議は無効とならないと解されます。
四号 前号に規定する費用の分担に関する事項
前の三号で提示された取壊し費用も建築費用も計画段階での概算額のため、分担額の明細までは明示できませんが、新しく建築される区分所有建物の区分所有者となる人達の間での分担の方法、分担の基準などを専有部分の床面積比例とか、権利価格配分とかで公平に決めておきます。(次の 5 4 項で、1棟の建替えの第62条 5 3 項(衡平であること)が準用されている。)
五号 再建団地内建物の区分所有権の帰属に関する事項
区分所有権の対象となっている建物の専有部分(室)をどう扱うか、対価の清算の方法、基準を定めます。
希望する専有部分が他の人と競合する時は、抽選にしたらいいでしょう。
余剰の専有部分が生じた時には、どうするのか、売却利益がでれば、分配はどうするのかなどを定めます。
ここも、一棟の建替え決議(第62条参照)と同じように、建物についてであり、土地の権利の帰属は入っていないことに注意してください。
基本的には、団地であっても、一棟の建替えのように、現在の建物を壊して、新しい建物を建築することを決定することは同じですから、団地集会での「一括建替え決議」においても、一棟での「建替え決議」と同じように、新建物の設計の概要(2号)、費用の概算とその分担(3号、4号)、新建物の権利の帰属(5号)などを決議で定めますが、団地であるため、敷地全体の一体的な利用についての計画(1号)も定められることになっています。
| 過去出題 | マンション管理士 | R07年、 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
★令和8年4月1日施行で改正された条文。
第70条2項が追加されたので、旧4項が新5項になった。
★令和8年4月1日施行の改正理由 → 準用先の条文に変更があったため。
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★団地内建物の一括建替えの決議でも、集会の招集、決議後の売渡請求権、建替えの合意などは、一棟の建替えに関する規定が準用されている。
第62条5項の衡平の原則、6項の集会招集の特則、7項の通知事項、8項の説明会、9項の説明会の招集、10項の議事録、第63条の売渡請求権および第64条の建替え合意の擬制が準用されています。
また、令和8年4月1日施行で改正・追加された、
・第64条の2(賃貸借の終了請求)、
・第64条の3(使用貸借の終了請求)
・第64条の4(配偶者居住権の消滅請求)
も、準用があります。
| ◎準用されている条文 | ||
| No. | 条文 | 内容 |
| 1 | 第62条 5項〜10 項 | 建替え決議の衡平、招集の通知、議案の要領、説明会の開催、議事録の作成 |
| 2 | 第63条、第64条、 + 第64条の2、第64条の3,第64条の4 |
建替えの参加、売渡請求、建替えの合意 + 賃貸借の終了請求、使用貸借の終了請求、配偶者居住権の消滅請求 |
★準用と読替えは、条文をよく読んでください。
★各区分所有者の衡平を害しないこと(第62条5項の準用)
費用の分担や新たに建築する建物の区分所有権の帰属を定める場合には、各区分所有者での衡平(公平とも)がなくてはいけません。
★会議の目的たる事項
招集の通知には、会議の目的として
「○○団地の一括建替え決議に関する件」
など団地内の全ての建物を取り壊して、かつ新たな建物を建築する、つまり一括建替えを行う集会であることを明確に示します。
★議案の要領
新たに建築する建物の計画概要として、次の事項の要点と主な内容を示します。
A.一括建替え決議で定める5つの事項を要約したもの
1.再建団地内建物の敷地となる土地(以下「再建団地内敷地」という)の一体的な利用についての計画の概要
2.再建団地内建物の設計の概要
3.団地内建物の全部の取り壊しおよび再建団地内建物の建築に要する費用の概算額
4.上記3の費用の分担に関する事項
5.再建団地内建物の区分所有権の帰属に関する事項
2から5は、一棟の区分所有建物の建替え決議と同じです。
1は、団地で発生する固有の事項で、再建団地内の各建物の配置、規模、形状や空地部分等も検討できるものです。
B.区分所有法第62条7項の事項(第70条5項で準用)
1.(団地内区分所有建物の一括)建替えを必要とする理由
2.(団地内区分所有)建物の建替えをしないとした場合における効用の維持又は回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額及びその内訳
3.(団地内区分所有)建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容
4.(団地内区分所有建物につき修繕積立金団地全体及び各棟別)として積み立てられている金額
★団地の一括建替え集会の開催の通知
少なくとも会日の2か月前(初日不算入)に出すこと。この2か月前は、伸ばすこと(プラス)はできます。

★説明会の開催も必要
一括建替え決議の集会を招集した人は、一括建替え集会日よりも、最低1ヶ月前(初日不算入)までに、説明会を開きます。
この説明会の通知は、普通の集会と同じように、1週間前(初日不算入)までに出せばいいが、規約でも短縮はできません。伸ばすことはできます。(第62条8項、9項が準用されている。)
実務としては、団地全体の建替えともなると、取壊しや新しく建築する建物だけでなく区分所有法に従った適法な手続きであることなど検討事項も多く、また参加者も多くなるため、かなり前から説明会を開催(数度)して、多くの区分所有者の理解と同意を得ることが肝心です。
★一括建替え決議の成立要件 〜 全体での決議(全体要件)と各棟の反対がない 賛成 (各棟要件)が必要 〜
@団地での一括建替え決議が成立するためには、団地管理組合の全体集会において、議決権を有しない者を除いた区分所有者の数と議決権で各5分の4以上の賛成が必要です。(第70条1項)。
ここでの議決権も、団地の建替え承認決議と同様に、団地内建物の敷地の持分価格の割合です。規約で別段の定めがあっても、無効です。
Aさらに、令和8年4月1日施行で改正された規定では、
各棟ごとに、反対が 区分所有者 又は 議決権の各 3分1を超えない ことも 反対3分の2以上の賛成も必要です。
各棟での議決権は面倒なことに、各棟で規約があればそれに従い、規約がなければ、専有部分の床面積の割合となるので注意のこと。
一棟でも規定数の反対があると、賛成が得られないと、 当然、一括建替え決議は成立しません。これは、少数からなる区分所有建物の保護とみることができます。
各建物ごとの議決権行使の集計が必要となります。
★一括建替え決議で定める事項
上の議案の事項での説明にあるように、
1.再建団地内建物の敷地となる土地(以下「再建団地内敷地」という)の一体的な利用についての計画の概要
2.再建団地内建物の設計の概要
3.団地内建物の全部の取り壊しおよび再建団地内建物の建築に要する費用の概算額
4.上記3の費用の分担に関する事項
5.再建団地内建物の区分所有権の帰属に関する事項
の5項目を具体的に決議します。
★一括建替え決議の成立から建替えの合意まで
一括建替えに参加しなかった区分所有者に対して催告をしたり、不参加が確定すれば、売渡請求をするなどは、一棟での建替え規定が準用されます。
★一括建替え決議に賛成しなかった区分所有者に対しては、区分所有権と敷地利用権を時価で売り渡すように請求できる(第63条の準用)
この売渡請求は、同一の建物の区分所有者間で行使してもいいし、また、団地内での、異なった建物の区分所有者間でも行使できます。
参考図:一棟の場合(区分所有法第63条)

★買戻請求もできる(第63条6項の準用)
一括建替え決議の日から2年以内に建物の取り壊しの工事の着手がなければ、売渡請求を受けた現在の権利者は、一棟の建替えと同じように、区分所有権と敷地利用権を買い戻すことができます。
この買戻請求権が行使されると、一括建替え決議に拘束されない区分所有者が団地内に存在することになり、もう一括建替えは実施できなくなりますので、注意が必要です。
参考図:一棟の場合(区分所有法第63条)

★団地内における建物の取壊しの着手とは? 〜一棟でもいいのか、すべての棟の取壊し着手が必要か〜
団地ですから、そこには複数の建物が存在しています。
そこで、準用されています第63条7項で規定する、「建替え決議の日から二年以内に建物の取壊しの工事に着手しない場合」の解釈が、団地内の一棟でも建物の取壊し工事に着手すれば足りるのか、あるいは、団地内の全ての建物の取壊しに着手する必要があるのかが問題となっています。
これは、一棟でも建物の取壊しの着手があれば、もうその建物の区分所有権等の買戻し請求ができませんから、団地全体でも買戻し請求を認めない方が衡平であるとの観点から、一括建替え決議の日から2年以内に団地内の一部の建物の取壊し工事に着手すれば足り、その後は買戻し請求ができないと解されています。
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★令和8年4月1日施行で改正・追加された規定がある
令和8年4月1日施行で改正された「建替え」に
・賃貸借の終了請求・・・ 第64条の2
・使用貸借の終了請求・・・ 第64条の3
・配偶者居住権の消滅請求・・・ 第64条の4
があり、これらも、第70条5項により、団地内の建物の一括建替え決議でも準用されます。
詳細は、各条文を参考にしてください。
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★建替え事業の進め方
たびたび指摘してますが、区分所有法では、「建替え決議」までは定めていますが、その後の建替え事業の実施方法は規定されていません。
そこで、建替え参加者の団体の存在、外部からの融資の問題などが浮上していました。
それをうけ、平成14年「マンションの 再生 建替え 等の円滑化に関する法律」が制定されました。
「マンションの 再生 建替え 等の円滑化に関する法律」の概要はこちらを参照。
★「マンションの 再生 建替え 等の円滑化に関する法律」へ
一括建替え決議が成立すれば、建替え事業は、 「マンションの 再生 建替え 等の円滑化に関する法律」によって、権利変換手続きなどがすすめられます。
★建替えは、反対者を追い出すことに注意すること!
一棟での建替えに限らず、団地関係でも、建替えとなりますと、多数決により、少数者である建替え反対者が強制的に住み慣れた地域から、自分の意志に関係なく、強制的に立ち退きをしなければなりません。
私の「超解説 区分所有法」を受験のために読んでいる人にとっては、建替えを条文の解釈としてあくまでも「他人事」として理解されるでしょうが、永年住み慣れ生活してきた場所を自分の意志に反して、第三者から強制的に追い出しを迫られることに対しては、ものすごく抵抗があります。
私も、50年間住み慣れた東京の葛飾区にある「金町団地」を、昔の住宅公団(今の都市再生機構}から、家賃収入を上げるために建替えを名目にした「強制追い出し訴訟」を受けたため建替えが抱えている悲しさを、実感として持っています。
幸い、「金町団地居住者」と都市再生機構との法廷闘争は、私たち「居住者」の勝利に終わりましたが、建替えにあたっては、マンション管理士だけでなく、管理組合の役員さんも、単に賛成と説得するだけでなく、反対せざるをえないお金のない高齢者の存在にも心を配ってください。
参考までに;「金町団地 建替闘争の記録」 もあります。
★団地の建替えは時間がかかる。
一棟の建替えでも、区分所有者および議決権の 4/5(80%)以上 の賛成を得ることは、建替えに直面した際に、やってみればわかりますが、現実問題として、多大な時間とエネルギーを必要とするかなり高いハードルです。
まして、複数の建物がある団地において、建替えは簡単には進まないことは、過去の例が示しています。ここは、居住者だけでは、どうしても乗り越えられない問題が多くありますので、早めにマンション管理の専門家である「マンション管理士」に相談した方がいいですよ。
これは、決して宣伝ではありません。マンション管理士に相談することにより、あなたのマンションや団地の建替えを進める上で、かなり費用と時間が節約できますから。
当然、この「超解説 区分所有法」 を解説している 「マンション管理士 香川事務所」 への相談が、一番最適な方法ですが。
団地の建替え例:東京の多摩ニュータウンにある 「諏訪2丁目住宅マンション」、ここの報告会などは、参考になりますので、NETで検索してください。
{設問-1}一団地内に、下図のとおり専有部分のあるA及びBの建物があって、甲地はAの区分所有者、乙地はBの区分所有者がそれぞれ共有しており、また、中央の通路部分をA及びBの各区分所有者が共有している。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 A及びBの区分所有者全員で構成する団体(以下この問いにおいて「団地管理組合」という。)は、通路の管理を行うことができる。
答え: 正しい。そのとおり。できる。
区分所有法第65条「一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)がそれらの建物の所有者(専有部分のある建物にあつては、区分所有者)の共有に属する場合には、それらの所有者(以下「団地建物所有者」という。)は、全員で、その団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる」の規定により、通路の共有につきABの団地管理組合が成立するので、共通管理対象の通路の管理を行える。
2 団地管理組合は、甲地及び乙地について規約を定めなければ、その管理を行うことができない。
答え: 正しい。そのとおり。規約がないと管理はできない。
区分所有法第68条1項「次の物につき第六十六条において準用する第三十条第一項の規約を定めるには、第一号に掲げる土地又は附属施設にあつては当該土地の全部又は附属施設の全部につきそれぞれ共有者の四分の三以上でその持分の四分の三以上を有するものの同意、第二号に掲げる建物にあつてはその全部につきそれぞれ第三十四条の規定による集会における区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による決議があることを要する。
一 一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内の一部の建物の所有者(専有部分のある建物にあつては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地又は附属施設(専有部分のある建物以外の建物の所有者のみの共有に属するものを除く。)」
の規定により、団地管理組合の非本来的な管理対象である土地の管理は規約の定めが必要。
3 団地管理組合は、共同の利益に反する行為をしているAの区分所有者に対し、集会の決議により、その行為の停止を請求する訴訟を提起することができる。
答え: 誤りである。「共同の利益違反」の訴訟は、団地管理組合ではできない。各棟でやる。
区分所有法第66条では、「義務違反者に対する措置の規定の準用(区分所有法57条)はない」。義務違反者に対する措置を行うのは各棟の組合で団地管理組合ではできない。
4 団地管理組合は、A及びBを一括して建て替える旨の集会の決議をすることができない。
答え: 正しい。そのとおり。できない。
区分所有法第70条1項により、一括建替の決議の要件は、@団地内の建物の全部が区分所有建物であること(戸建などが入っているときはだめ)、A敷地が団地内建物の区分所有者の共有に属していること、B団地管理規約が定められていること、である。該当の団地は、通路は共有だが、Aの要件の敷地が甲地はAの共有、乙地はBの共有と別々になっているため、要件を満たさない。またBの規約の有無が設問にない。
答え:3
{設問-2}平成15年 マンション管理士 〔問 11〕
A、B、C及びDの4棟のマンションで構成されている甲団地の団地管理組合(区分所有法第65条に規定する団体をいう。)の団地総会(同条に規定する集会をいう。)の議案にできないものは、区分所有法の規定によれば、次のア〜エのうち、いくつあるか。
ア 地震により建物の価格の1/5に相当する部分が滅失したA棟の復旧の決議に関する件
イ 建物が老朽化したB棟について、現在地で、同規模及び同形状の建物に建替えを行う場合の建替え承認決議に関する件
ウ 避難路になっているベランダに避難の妨げとなる物置を設置しているC棟の区分所有者に対し、その物置を撤去する決議に関する件
エ D棟に隣接している、区分所有者全員が共有する駐車場の使用料について、その金額を変更する決議に関する件
1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
答え:区分所有法の規定によれば、
ア× 団地内の一棟の建物の復旧決議である。地震により建物の価格の2分の一以下である五分の一に相当する部分が滅失したA棟の復旧の決議に関する件は、建物の復旧決議の規定(第61条)であるが、この規定は第66条の団地関係に準用されておらず、団地総会の議案にできない。当該棟の管理組合の決議事項である。
イ○ 団地内の一棟の建物の建替え承認決議である。同法第69条第1項により、一棟の建物の建替えをするには、当該建物において建替え決議が成立し、かつ団地総会において、議決権の4分の3以上の多数による承認の決議を得る必要がある。よって、団地総会の議案にできる。
ウ× 義務違反者に対する措置である。第68条で団地管理組合が全ての棟を管理している場合は団地で処理できると考えることもできるが、第66条で義務違反者に対する措置(第57条)を準用していないため、避難路になっているベランダに避難の妨げとなる物置を設置しているC棟の区分所有者に対し、その物置を撤去する決議に関する件は当該棟の決議事項とするのが素直と思われる。
エ○ 団地内の附属施設の使用料の変更である。D棟に隣接している、区分所有者全員が共有する駐車場の使用料について、その金額を変更する決議に関する件は団地の管理対象である。
答え:2 (アとウが出来ない。2つ)
{設問-3} 平成28年 マンション管理士試験 「問11」
〔問 11〕一団地内に専有部分のあるA棟及びB棟の2棟の建物がある。区分所有法 第 70 条に基づき、この団地内の建物の一括建替え決議を行おうとする場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、
A棟及びB棟が所在する土地は、団地建物所有者の共有に属しており、その共有者全員で構成する団地管理組合(区分所有法第 65 条の団地建物所有者の団体をいう。)において、団地管理組合の規約が定められているものとする。
1 一括建替え決議を行う場合の議決権割合は、団地管理組合の規約に議決権割合に関する別段の定めがある場合にはその定めによる。
X 誤っている。 議決権割合は、規約での別段の定めを認めていない。敷地の持分の割合による。
平成19年 管理業務主任者試験 「問38」 、平成18年 マンション管理士試験 「問11」 、 平成17年 マンション管理士試験 「問12」 、平成16年 マンション管理士試験 「問11」 。
団地での建物の一括建替え決議は、区分所有法第70条
「(団地内の建物の一括建替え決議)
第七十条 団地内建物の全部が専有部分のある建物であり、かつ、当該団地内建物の敷地(団地内建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により団地内建物の敷地とされた土地をいい、これに関する権利を含む。以下この項及び次項において同じ。)が当該団地内建物の区分所有者の共有に属する場合において、当該団地内建物について第六十八条第一項(第一号を除く。)の規定により第六十六条において準用する第三十条第一項の規約が定められているときは、第六十二条第一項の規定にかかわらず、当該団地内建物の敷地の共有者である当該団地内建物の区分所有者で構成される第六十五条に規定する団体又は団地管理組合法人の集会において、当該団地内建物の区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、当該団地内建物につき一括して、その全部を取り壊し、かつ、当該団地内建物の敷地(これに関する権利を除く。以下この項において同じ。)若しくはその一部の土地又は当該団地内建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地(第三項第一号においてこれらの土地を「再建団地内敷地」という。)に新たに建物を建築する旨の決議(以下この条において「一括建替え決議」という。)をすることができる。ただし、当該集会において、当該各団地内建物ごとに、それぞれその区分所有者の三分の二以上の者であつて第三十八条に規定する議決権の合計の三分の二以上の議決権を有するものがその一括建替え決議に賛成した場合でなければならない。
2 前条第二項の規定は、前項本文の各区分所有者の議決権について準用する。この場合において、前条第二項中「当該特定建物の所在する土地(これに関する権利を含む。)」とあるのは、「当該団地内建物の敷地」と読み替えるものとする。
3 団地内建物の一括建替え決議においては、次の事項を定めなければならない。
一 再建団地内敷地の一体的な利用についての計画の概要
二 新たに建築する建物(以下この項において「再建団地内建物」という。)の設計の概要
三 団地内建物の全部の取壊し及び再建団地内建物の建築に要する費用の概算額
四 前号に規定する費用の分担に関する事項
五 再建団地内建物の区分所有権の帰属に関する事項
4 第六十二条第三項から第八項まで、第六十三条及び第六十四条の規定は、団地内建物の一括建替え決議について準用する。この場合において、第六十二条第三項中「前項第三号及び第四号」とあるのは「第七十条第三項第四号及び第五号」と、同条第四項中「第一項に規定する」とあるのは「第七十条第一項に規定する」と、「第三十五条第一項」とあるのは「第六十六条において準用する第三十五条第一項」と、「規約」とあるのは「第六十六条において準用する第三十条第一項の規約」と、同条第五項中「第三十五条第一項」とあるのは「第六十六条において準用する第三十五条第一項」と、同条第七項中「第三十五条第一項から第四項まで及び第三十六条」とあるのは「第六十六条において準用する第三十五条第一項から第四項まで及び第三十六条」と、「第三十五条第一項ただし書」とあるのは「第六十六条において準用する第三十五条第一項ただし書」と、同条第八項中「前条第六項」とあるのは「第六十一条第六項」と読み替えるものとする。」
とあります。
そこで設問の「議決権の割合」は、
「当該団地内建物の区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数」とあり、
区分所有法第70条2項
「2 前条第二項の規定は、前項本文の各区分所有者の議決権について準用する。この場合において、前条第二項中「当該特定建物の所在する土地(これに関する権利を含む。)」とあるのは、「当該団地内建物の敷地」と読み替えるものとする。
」
により、準用されています、前条の区分所有法第69条2項の規定は、
「2 前項の集会における各団地建物所有者の議決権は、第六十六条において準用する第三十八条の規定にかかわらず、第六十六条において準用する第三十条第一項の規約に別段の定めがある場合であつても、当該特定建物の所在する土地(これに関する権利を含む。)の持分の割合によるものとする。」
とあり、
規約での別段の定めを認めていませんから、誤りです。土地の持分の割合です。
2 A棟の区分所有者Cが一括建替え決議に賛成しなかったときには、一括建替決議に賛成した B棟の区分所有者Dは、 Cに対して、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。
〇 正しい。 別棟の区分所有者であっても、区分所有権等の売渡し請求はできる。
選択肢1で引用しました、区分所有法第70条4項により、第62条と第63条及び第64条の数項が準用されています。
具体的には、
| ◎準用されている条文 | ||
| No. | 条文 | 内容 |
| 1 | 第62条3項〜8項 | 建替え決議の衡平、招集の通知、議案の要領、説明会の開催、議事録 |
| 2 | 第63条、第64条 | 建替えの参加、売渡請求、建替えの合意 |
です。
設問の「区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきこと」は、第63条4項にあり、
「4 第二項の期間が経過したときは、建替え決議に賛成した各区分所有者若しくは建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者(これらの者の承継人を含む。)又はこれらの者の全員の合意により区分所有権及び敷地利用権を買い受けることができる者として指定された者(以下「買受指定者」という。)は、同項の期間の満了の日から二月以内に、建替えに参加しない旨を回答した区分所有者(その承継人を含む。)に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。建替え決議があつた後にこの区分所有者から敷地利用権のみを取得した者(その承継人を含む。)の敷地利用権についても、同様とする。」
とあり、
一括建替決議に賛成した B棟の区分所有者Dは、 棟が違うA棟の区分所有者Cに対しても、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができますから、正しい。
3 団地建物所有者の集会において、団地内建物の区分所有者及び議決権の各 5 分の 4以上の多数の賛成を得るとともに、 A棟及びB棟ごとについて、区分所有者の
3分の 2以上の者であつて議決権の合計の 3分の 2以上の議決権を有するものが賛成することが必要である。
〇 正しい。
選択肢1で引用しました区分所有法第70条1項によれば、団地内での建物の一括建替え決議には
・団地管理組合(法人を含む)の集会で全区分所有者およびその議決権(土地の持分の割合)の各 4/5以上の多数で一括の建替え決議を行うこと、
かつ
・各棟ごとに区分所有者およびその議決権(その棟の専有部分の床面積割合)の2/3以上の賛成があること、
が必要ですから、正しい。
4 一括建替え決議においては、団地内建物の全部の取壊し及び再建団地内建物の建築に要する費用の概算額に加え、その費用の分担に関する事項を定める必要がある。
〇 正しい。
一括建替え決議において定める事項は、
選択肢1で引用しました区分所有法第70条3項によれば、
「3 団地内建物の一括建替え決議においては、次の事項を定めなければならない。
一 再建団地内敷地の一体的な利用についての計画の概要
二 新たに建築する建物(以下この項において「再建団地内建物」という。)の設計の概要
三 団地内建物の全部の取壊し及び再建団地内建物の建築に要する費用の概算額
四 前号に規定する費用の分担に関する事項
五 再建団地内建物の区分所有権の帰属に関する事項 」
とあり、
区分所有法第70条3項3号及び4号により、団地内建物の全部の取壊し及び再建団地内建物の建築に要する費用の概算額に加え、その費用の分担に関する事項を定める必要があるので、正しい。
答え:1
《タグ》区分所有法。 団地。一括建替え決議。 議決権
団地で第70条の一括建替え決議からの出題は、最近は無かった。 基本的な部分を抑えていれば、易しい?
*ある受験生の感想:選択肢2は棟をまたがってはできないとかと考えた。考え過ぎ。
選択肢1は、団地議決権は一括建替えの場合でも規約で別段の定めができないことを知らなかった。
★団地の建替え関係のまとめ
| ◎ 団 地 で の 建 替 え 条 件 | |||
| 対象 | 棟別建替え | 全部の棟 | |
| 1つの棟 | 複数の棟 | ||
| 区分所有法 | 第69条1項〜5項 | 第69条6項、7項 | 第70条1項〜4項 |
| 決議の読み方 | 建替え承認決議 | 一括建替え承認決議 | 一括建替え決議 |
| 団地内の建物 |
1.最低一棟は区分所有建物(専有部分のある建物) 2.非区分所有建物(戸建等)も可 |
1.最低一棟は区分所有建物(専有部分のある建物) 2.非区分所有建物(戸建等)も可 |
区分所有建物に限る |
| 全体の決議の前に |
1.区分所有建物の場合...その棟の建替え決議(区分所有者の数及び議決権の数各4/5以上の賛成) 又は全員の合意があること 2.非区分所有建物...その所有者の合意があること |
1.区分所有建物の場合...その棟の建替え決議(区分所有者の数及び議決権の数各4/5以上の賛成) 又は全員の合意があること 2.非区分所有建物...その所有者の合意があること |
1.団地全体の規約があること 2.団地集会で、その棟ごとに区分所有者の数 |
| 団地管理組合の決議 | 議決権(敷地割合)の3/4以上(注:区分所有者の数は入っていない) | 議決権(敷地割合)の3/4以上(注:区分所有者の数は入っていない) | 区分所有者の数及び議決権の数(敷地割合)の4/5以上 |
| 第七十一条 (団地内建物敷地売却決議) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 1項 前条第一項本文に規定する場合には、第六十四条の六の規定にかかわらず、当該団地内建物の敷地の共有者である当該団地内建物の区分所有者で構成される第六十五条に規定する団体又は団地管理組合法人の集会において、当該団地内建物の区分所有者(議決権を有しないものを除く。以下この項において同じ。)及び議決権の各五分の四以上の多数で、当該団地内建物及びその敷地につき一括して、その全部を売却する旨の決議(以下この条において「団地内建物敷地売却決議」という。)をすることができる。 ただし、当該集会において、当該団地内建物のうちいずれか一以上の建物につき、その区分所有者の三分の一を超える者又は第三十八条に規定する議決権の合計の三分の一を超える議決権を有する者がその団地内建物敷地売却決議に反対した場合は、この限りでない。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
★「団地内建物敷地売却決議」を規定している第71条1項から5項は、令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新設された条文で、令和8年4月1日施行です。
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★令和8年4月1日施行で「団地内建物敷地売却決議」が新設された理由 〜建替えの? の選択肢を増やした〜
令和8年4月1日施行の改正区分所有法で、一棟の場合において建物が老朽化していたり外壁が落ちそうになり近隣を含めて危険な状態があっても「建替え」がスムーズに行われない状況から、「建替え」の規定が見直され、建替えの選択肢(オプション)として
@建物更新(一棟リノベーション)決議・・・第64条の5
A建物敷地売却決議・・・第64条の6
B建物取壊し敷地売却決議・・・第64条の7
C取壊し決議・・・第64条の8
が追加されました。
また、建替えに関する共通な考えとして、建替えで必要な区分所有者及び議決権の多数決要件(各4/5(80%)以上)から、所在等不明区分所有者を「議決権を有しないもの」として決議の母数から除外をし、更に「客観的事由」として、次の5つの要件
@ 耐震性の不足
A 火災に対する安全性の不足
B 外壁等の剥落により周辺に危害を生ずるおそれ
C 給排水管等の腐食等により著しく衛生上有害となるおそれ
D バリアフリー基準への不適合
のいずれかに該当するなら、建替えにおける多数決割合を、4/5(80%)以上 から 3/4(75%)以上 に引き下げる(緩和)ように改正しています。(第62条2項)
この一棟の「建替え」のオプションとして第64条の6 に追加された「建物敷地売却決議」を参考にして、団地内にある全部の建物がマンションのように「専有部分」のある建物(区分所有建物)群であれば、この複数の区分所有建物を、一つの区分所有建物のように「擬制」して、議決権を有しない区分所有者を除いた、区分所有者及び議決権の各4/5以上が賛成すれば、
・団地内の全ての建物 と
・その全敷地(敷地利用権)
を一括して売却できるという。ものです。
これは、「団地内建物敷地売却決議」と呼ばれます。
ただし、この団地内建物敷地売却決議においては、どこかの棟で、議決権を有しない区分所有者を除いた、
・区分所有者 又は
・議決権
の 1/3を超える「反対」があっては、団地内建物敷地売却決議は成立しません。
建替えのオプションと言いながら、団地内の全ての建物とその敷地を売り払う行為は、建物を「建替える」行為ではありませんが、建物が老朽化していたり、外壁が今にも落ちそうという危険な状態であっても、民法の共有関係での原則「共有者全員の合意」が必要では、実現できなかった「建物と敷地の売却」を多数決によってできることを区分所有法では可能にしたということです。
資金的に「建替え」ができない団地で使ってくれと草案者が考えた規定です。
この新設の詳細は、第64条の6 を参考にしてください。

しかし、建物が老朽化や危険な状態になっても、財政上も「建替え」ができない区分所有者が多くいるような団地だとすれば、そこは立地条件も悪く容易に売却できる相手先も見つからないし、たとえ建物とその敷地が売れたとしても手に入る「金額」はたいした金額ではないと思いますが、老朽化などでスラム化する団地を何とかしたいという行政側の強い気持ちの現れととらえればいいでしょう。
一棟の建物敷地売却決議と同様に、まず団地の建物と土地を買ってくれる相手(売却先)を見つけ、また、団地から出て行く人々への対応が必要です。
こんな状況になる前に、「マンション管理士 香川事務所」を顧問として迎えて、時間をかけた措置を早めにとりましょう。
<参照> 区分所有法 第64条の6
(建物敷地売却決議)
第六十四条の六 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利であるときは、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。)、議決権及び当該敷地利用権の持分(議決権を有しない区分所有者が有するものを除く。)の価格の各五分の四以上の多数で、建物及びその敷地(これに関する権利を含む。)を売却する旨の決議(次項及び第三項において「建物敷地売却決議」という。)をすることができる。
2 建物敷地売却決議においては、次の事項を定めなければならない。
一 売却の相手方となるべき者の氏名又は名称
二 売却による代金の見込額
三 売却によつて各区分所有者が取得することができる金銭の額の算定方法に関する事項
3 第六十二条(第一項及び第四項を除く。)及び第六十三条から第六十四条の四までの規定は、建物敷地売却決議について準用する。この場合において、第六十二条第二項中「前項」とあるのは「第六十四条の六第一項」と、同条第五項中「前項第三号及び第四号」とあるのは「第六十四条の六第二項第三号」と、同条第七項第一号及び第二号中「の建替え」とあるのは「及びその敷地(これに関する権利を含む。)の売却」と、第六十三条第一項、第二項及び第四項から第六項まで、第六十四条並びに第六十四条の二第一項中「建替えに」とあるのは「売却に」と、第六十三条第七項中「建物の取壊しの工事に着手しない」とあるのは「売買契約による建物及びその敷地(これに関する権利を含む。)についての権利の移転(以下この項及び次項において「建物等の権利の移転」という。)がない」と、同項ただし書中「建物の取壊しの工事に着手しなかつた」とあるのは「建物等の権利の移転がなかつた」と、同条第八項中「建物の取壊しの工事の着手」とあるのは「建物等の権利の移転」と、「その着手をしない」とあるのは「建物等の権利の移転がない」と、第六十四条中「建替えを」とあるのは「売却を」と読み替えるものとする。
◎「前条1項本文に規定する場合」とは: 前条=第70条1項の本文
団地内建物の全部が専有部分のある建物であり、かつ、当該団地内建物の敷地(団地内建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により団地内建物の敷地とされた土地をいい、これに関する権利を含む。以下この項及び次条第一項において同じ。)が当該団地内建物の区分所有者の共有に属する場合
◎「第64条の6 の規定にもかかわらず」とは:第64条の6(一棟の建物敷地売却決議)に該当しても、第64条の6の規定は適用せず、この第71条の規定「団地内建物敷地売却決議」ができる
◎「第65条に規定する団体」とは:第65条「団地建物所有者の団体」で、通常は団地の区分所有者による団体=団地管理組合、または団地管理組合が法人化されていれば、団地管理組合法人を指す。(第66条による準用)
◎当該団地内建物の区分所有者(議決権を有しないものを除く。以下この項において同じ。)及び議決権の各五分の四以上の多数:ここの議決権は、団地全体であるため、土地の持分の価格の割合(第71条3項 → 第69条2項の準用)
◎反対者の議決権は:第38条・・・棟であるため、規約が無ければ、専有面積(第14条)内のり計算による。(第71条ただしがき)
★団地内建物敷地売却決議の要件
本第71条で規定する、団地内にある全ての建物とその全敷地(敷地利用権)を、誰かに一括して売ってしまう「団地内建物敷地売却決議」が成立する要件は、以下のようになります。
1.団地内の建物の全てが専有部分のある建物(区分所有建物)であり、その建物の敷地(規約敷地も含んで)は、団地の建物の区分所有者の共有(準共有)であること(第71条1項→第70条1項)
2.団地規約が定められていること
3.当該団地内建物の区分所有者で構成される集会で、議決権を有しない者は除いて
ア.区分所有者 及び
イ.議決権(土地の持分の価格の割合。 第71条3項 → 第69条2項)
の 各 4/5(80%)以上が賛成し、
かつ、どこかの棟で
ウ.区分所有者 又は
エ.議決権(規約が無ければ、専有部分の割合 第71条1項 → 第38条)
の 1/3(33.3%)を超える 「反対」が無ければ、
団地内建物敷地売却決議は成立します。
また、団地内の区分所有建物の全てが、「客観的事由」として、次の5つの要件
@ 耐震性の不足
A 火災に対する安全性の不足
B 外壁等の剥落により周辺に危害を生ずるおそれ
C 給排水管等の腐食等により著しく衛生上有害となるおそれ
D バリアフリー基準への不適合
に該当するなら、多数決割合を、4/5(80%)以上 から 3/4(75%)以上 に引き下げる(緩和)ことが出来ます。(第71条2項 → 第62条2項)
★団地内建物敷地売却決議の要件の1.団地内の建物の全てが専有部分のある建物(区分所有建物)であり、その建物の敷地(規約敷地も含んで)は、団地の建物の区分所有者の共有(準共有)であること
・団地内の全ての建物がマンションのような区分所有建物であること
これは、団地関係には、戸建ても含まれることを思い出してください。
戸建ての建替えやその敷地の処分は、区分所有法の対象ではありません。
・その敷地(規約敷地も含んで)が建物の区分所有者の共有(準共有=賃借権など所有権以外の権利))であること
この要件も第70条で定める「団地内の建物の一括建替え決議」と同様に団地全体を一棟の敷地に擬制するために必要と考えた要件です。
★団地内建物敷地売却決議の要件の2.団地規約があること
・ この「団地規約」があることも、前の第70条の「団地内の建物の一括建替え決議」と同様に、「団地規約」がある団地は一体性が強いと草案者が考えたものです。
団地管理規約が存在し、適切に団地の管理・運営が出来ていることは、団地の建物と土地を買う側にしてみれば、重要な点でもあります。
★団地内建物敷地売却決議の要件の3.団地全体の集会で
・議決権を有しない者は除いて
@全体決議要件として、
ア.区分所有者 及び
イ.議決権(土地の持分の価格の割合。 第71条3項 → 第69条2項)
の 各 4/5(80%)以上が賛成し、
A各棟決議要件として、どこかの棟で
ウ.区分所有者 又は
エ.議決権(規約が無ければ、専有部分の割合 第71条1項 → 第38条)
の 1/3(33.3%)を超える 「反対」が無いこと
が必要とされます。
面倒な話ですが、団地全体の集会では所在等不明な議決権を有しない区分所有者は、当然に除いたうえで、
区分所有者と議決権(ここは、団地全体の土地が絡むため土地の持分の価格の割合)は、他の「建替え」と同様に、4/5(80%)を必要としています。
この区分所有者と議決権の数には、通常の集会の場合に使われる「出席した」の条件はありません。
その訳は、この団地内建物敷地売却決議が成立すれば、区分所有者は、区分所有権とその敷地利用権を失うという重大な事項であるためです。
その上に、追加の要件として、団地内のどこかの棟で、ここも、所在等が不明で議決権を有しない区分所有者を除いて、区分所有者と議決権(ここの議決権は、棟での行為であるため、規約の定めで可。規約がなければ、その専有部分の割合)の 各 1/3(33.3%)を超える「反対」がないことです。
今まで、区分所有法の規定では、多数決においては、「3/4以上の多数によって決する」というように「賛成」だけを規定していましたが、令和8年4月1日施行の改正区分所有法では、積極的に「反対」の意思表示を求めるようになったのは、画期的なことです。
また、団地全体で必要とされる、区分所有者と議決権(土地の持分の価格の割合)の 4/5以上の要件は、他の「建替え」での要件でも採用されている令和8年4月1日施行の改正区分所有法第62条2項で追加されたように、団地内の全ての建物が、「客観的事由」として、次の5つの要件
@ 耐震性の不足
A 火災に対する安全性の不足
B 外壁等の剥落により周辺に危害を生ずるおそれ
C 給排水管等の腐食等により著しく衛生上有害となるおそれ
D バリアフリー基準への不適合
のいずれかに該当すれば、多数決の割合を、4/5(80%)以上から 3/4(75%)以上 に引き下げる(緩和)ことができます。(第71条2項)
<参照> 区分所有法 第62条
(建替え決議)
第六十二条 集会においては、区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。
2 建物が次の各号のいずれかに該当する場合における前項の規定の適用については、同項中「五分の四」とあるのは、「四分の三」とする。
一 地震に対する安全性に係る建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に準ずるものとして法務大臣が定める基準に適合していないとき。
二 火災に対する安全性に係る建築基準法又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に準ずるものとして法務大臣が定める基準に適合していないとき。
三 外壁、外装材その他これらに類する建物の部分が剥離し、落下することにより周辺に危害を生ずるおそれがあるものとして法務大臣が定める基準に該当するとき。
四 給水、排水その他の配管設備(その改修に関する工事を行うことが著しく困難なものとして法務省令で定めるものに限る。)の損傷、腐食その他の劣化により著しく衛生上有害となるおそれがあるものとして法務大臣が定める基準に該当するとき。
五 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第十四条第五項に規定する建築物移動等円滑化基準に準ずるものとして法務大臣が定める基準に適合していないとき。
(以下、略)
★一部の棟で、団地内建物敷地売却決議の「反対」が成立すると
団地内のある棟で1/3を超えた「団地内建物敷地売却決議に反対」が成立すると、団地全体での団地内建物敷地売却決議は成立しませんから、団地内建物敷地売却決議をする際の議案の条件として、「全ての棟で「団地建物敷地売却決議が成立した場合に限り決議内容が有効となる(停止条件)」という文面を付した団地建物敷地売却決議を行うことが必要となります。
「団地内建物敷地売却決議に反対」の理由としては、他に行く場所がないとか、「売渡請求」での「時価」に納得できない、など、が考えられ、裁判になることもあるでしょう。
そのような事態に陥らないよう、どうして「団地内の全ての建物と敷地を売却」しなければならない事態になったのかを、何度も説明会を開いて、団地の区分所有者の理解を得ることです。
| 第七十一条 (団地内建物敷地売却決議) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 2項 団地内建物の全部が第六十二条第二項各号のいずれかに該当する場合における前項本文の規定の適用については、同項中「五分の四」とあるのは、「四分の三」とする。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
★「団地内建物敷地売却決議」を規定している第70条1項から5項は、令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新設された条文で、令和8年4月1日施行です。
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★一定の客観的事由があれば、多数決要件を 4/5(80%)以上から 3/4(75%)以上に緩和する
★令和8年4月1日施行で新設の理由
令和8年4月1日施行の改正区分所有法の建替えにおいては、建替え決議における区分所有者と議決権の各4/5以上の多数決要件を満たすのは容易でなく、必要な建替えが迅速に行えないとのことで、所在等不明区分所有者の決議の母数からの除外に加え、原則的な多数決割合は現行規定の(4/5以上)を維持しつつ、新たに一定の客観的事由がある場合には多数決割合を3/4以上に引き下げることにしました。
その客観的な事由とは、区分所有法第62条2項に規定される、5つの事由です。
<参照> 区分所有法 第62条
(建替え決議)
第六十二条 集会においては、区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。
2 建物が次の各号のいずれかに該当する場合における前項の規定の適用については、同項中「五分の四」とあるのは、「四分の三」とする。
一 地震に対する安全性に係る建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に準ずるものとして法務大臣が定める基準に適合していないとき。
二 火災に対する安全性に係る建築基準法又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に準ずるものとして法務大臣が定める基準に適合していないとき。
三 外壁、外装材その他これらに類する建物の部分が剥離し、落下することにより周辺に危害を生ずるおそれがあるものとして法務大臣が定める基準に該当するとき。
四 給水、排水その他の配管設備(その改修に関する工事を行うことが著しく困難なものとして法務省令で定めるものに限る。)の損傷、腐食その他の劣化により著しく衛生上有害となるおそれがあるものとして法務大臣が定める基準に該当するとき。
五 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第十四条第五項に規定する建築物移動等円滑化基準に準ずるものとして法務大臣が定める基準に適合していないとき。
(以下、略)

★団地内の全ての棟に客観的な事由(5つの内1つでも))が当てはまると、多数決要件を、4/5(80%)以上から3/4(75%)以上に緩和できる
団地内にある区分所有建物の「全て」が、区分所有法第62条2項で規定する、5つの客観的な事項、つまり、
@ 耐震性の不足
A 火災に対する安全性の不足
B 外壁等の剥落により周辺に危害を生ずるおそれ
C 給排水管等の腐食等により著しく衛生上有害となるおそれ
D バリアフリー基準への不適合
のいずれかに該当すれば、団地内建物敷地売却決議に必要な区分所有者と議決権(土地の持分の価格の割合) 各4/5(80%)以上から 3/4(75%)以上 に引き下げる(緩和)ことができます。
ただし、この多数決要件を 4/5以上から 3/4以上 に緩和できるのは、団地内の全ての建物が、5つの客観的な事項のいずれかに該当する場合であり、例えば、団地内に3棟の区分所有建物があり、1棟だけが、客観的な事由のいずれかに該当する場合には、この緩和措置は受けられません。
1棟だけが客観的な事由の1つに該当する場合に、団地内建物敷地売却決議を行うなら、多数決要件は、規定の 4/5以上 が必要となります。
★棟ごとの「反対」は、以前と変わらず「1/3を超えない」こと
5つの客観的な事由があれば、団地集会での団地内建物敷地売却決議に必要な多数決要件が、4/5以上 から 3/4以上 に緩和されますが、この規定は、いずれかの棟で区分所有者又は議決権(ここは、規約がなければ、専有部分の割合)の 1/3を超える反対 が無いことには、関係がありませんから注意してください。
| 第七十一条 (団地内建物敷地売却決議) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 3項 第六十九条第二項の規定は、第一項本文の各区分所有者の議決権について準用する。この場合において、同条第二項中「当該特定建物の所在する土地(これに関する権利を含む。)」とあるのは、「当該団地内建物の敷地(団地内建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により団地内建物の敷地とされた土地をいい、これに関する権利を含む。)」と読み替えるものとする。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
★「団地内建物敷地売却決議」を規定している第70条1項から5項は、令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新設された条文で、令和8年4月1日施行です。
★団地内建物敷地売却決議における議決権とは → 団地の敷地(規約敷地を含んで)の持分の価格の割合
◎第69条(団地内の建物の建替え承認決議)2項の規定の議決権:規定があっても「建物の所在する土地(これに関する権利を含む。)の持分の価格の割合によるものとする」
<参照> 区分所有法 第69条 2項
(団地内の建物の建替え承認決議)
第六十九条
2 前項の集会における各団地建物所有者の議決権は、第六十六条において準用する第三十八条の規定にかかわらず、第六十六条において準用する第三十条第一項の規約に別段の定めがある場合であつても、
当該特定建物の所在する土地(これに関する権利を含む。)
読み替え → 「当該団地内建物の敷地(団地内建物が所在する土地及び第五条第一項の規定(注:規約敷地)により団地内建物の敷地とされた土地をいい、これに関する権利を含む。)」
の持分の価格の割合によるものとする。
本第71条3項は、団地内建物敷地売却決議をする集会において必要な議決権は何を基準とするかを規定しています。
区分所有法での集会における議決権の決め方は、
1.棟での議決権・・・規約で決めていい。規約がないときは、専有部分の床面積の割合(第38条 → 第14条)
ただし建替えなどで敷地(土地)が絡むと土地の持分の価格の割合(第64条の6,第64条の7)
2.団地での議決権・・・規約で別段を定めていても、土地の持分の価格の割合(第69条2項)
を基本としています。
そこで、団地内建物敷地売却決議をする際に必要な議決権は、敷地利用権が共有又は地上権などの準共有となっている団地内建物の敷地(規約敷地=第5条1項 を含む)の持分の価格の割合にしています。
通常、団地内の敷地の持分の価格は、「敷地利用権の持分」と同じであるものと考えられます。
| 第七十一条 (団地内建物敷地売却決議) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 4項 団地内建物敷地売却決議においては、次の事項を定めなければならない。 一 売却の相手方となるべき者の氏名又は名称 二 売却による代金の見込額 三 売却によつて各団地内建物所有者が取得することができる金銭の額の算定方法に関する事項 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
★「団地内建物敷地売却決議」を規定している第70条1項から5項は、令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新設された条文で、令和8年4月1日施行です。
★団地内建物敷地売却決議において定める3つの事項
本第71条4項は、団地内建物敷地売却決議をする際に、必要な以下の3つを定めなさいと規定しています。
その3つは、
@売却の相手方となるべき者の氏名又は名称
A売却による代金の見込額
B売却によつて各団地内建物所有者が取得することができる金銭の額の算定方法に関する事項
です。
1.売却の相手方となるべき者の氏名又は名称
団地内建物敷地売却決議において定めなければならない1番目は、「売却の相手方となるべき者の氏名又は名称」です。
団地内にある全ての建物とその敷地を誰が買ってくれるのか、これは、次の2番目の「売却による代金の見込額」つまりいくらで売れるのかと並んで、重要な事項です。
1棟での「建物敷地売却決議」(第64条の6)でも指摘しましたが、団地全体の建物と土地を買ってくれる個人または法人(デベロッパー等)を見つけることは、1棟以上に動く金額が大きく、団地管理組合(団地管理組合法人)は、この団地内建物敷地売却決議”案”を提出する前にあちらこちらの不動産関係者(社)に団地の建物の状況・その敷地の面積情報・近隣情報・都市計画・一団地認定、更に団地管理組合(団地管理組合法人)の今までの管理・活動状況などを広く公開して、不動産の相場に沿った買い手を見つけなければなりません。
要は、買い手側にこの団地の建物と土地を買ってももっと高く売れるとか、リホームや解体しても元がとれるとかのメリットがなければ売れません。
しかし、この作業は、まったく不動産業界に不慣れな団地管理組合(団地管理組合法人)でできることではありません。
そこは、マンション管理と不動産業界にも詳しい、宅地建物取引士の資格も持つ「「マンション管理士 香川事務所」に早めに相談し解決策を図ることが肝心です。
★売却の相手と売却額が決まったたら、覚書などで、書類を交換しておくこと
「団地内建物敷地売却決議」の前提となる売却の相手が、その団地内の建物と土地を購入しないとなると、時間をかけて準備・可決された「団地内建物敷地売却決議」も無効となりまから、そんな事態にならないように、必ず売却の相手と売却額などを明示した「覚書」を交換しておいてください。
2.売却による代金の見込額
「団地内建物敷地売却決議」をする際に定めなければならない2番目は「売却による代金の見込額」です。
買ってくれる相手(売却の相手方)が決まり、売れる金額が決まっていることは、言うまでもなく重要なことです。
当然ながら売却額が決まっていなければ、「団地内の建物と土地」を売る決議は出来ません。
この「売却見込み額」は、極端な事由が起こらなければ、ほぼ「売却額」となります。
3.売却によつて各団地建物所有者が取得することができる金銭の額の算定方法に関する事項
「団地内建物敷地売却決議」をする際に決めなければならない終りの3番目は「売却によつて各団地建物所有者が取得することができる金銭の額の算定方法に関する事項」です。
建物と土地を売却して得られる見込み代金を、各団地建物所有者がいくらの割合で受け取るのかは、一番重要な事項です。
・金額算定基準
各団地建物所有者がいくら受け取ることができるかは、各団地建物所有者にとって一番の関心事項です。
そこで、考えられる受取金額の算定方法としては、一棟の場合には以下の方法があります。
1.専有部分の割合方式・・・各室の床面積の割合による
2.敷地利用権の持分方式・・・規約なり登記事項証明書による割合
3.固定資産税に基づく割合方式・・・路線価方式(タワー・マンションなどでは、階層別専有床面積補正率を使用すること)で算出された固定資産税をもとにする割合
4.分譲された室の金額を元に算出する方式・・・マンションでは階数(眺望)や南向きなどで、分譲価格が違うため、分譲された当時の各室(専有部分)の価格を元にする。しかし、これでは、分譲当時の各室の価格を把握していること、とか途中でリフォームした場合などをどう評価するか揉める。
これを参考にして、基本方針としては、敷地利用権の持分方式が例となっていますが、まず、各棟での分配基準を定め、次に団地全体としての算定基準を定めて、最後には全体での調整も必要となります。
金銭を受け取る団地建物所有者にしてみれば、一円でも多く貰いたいので、この受取金額の分配に関しては、一度の説明会(「団地建物敷地売却決議」をする会日よりも少なくても1ヶ月前には開催すること(第62条8項の準用))では、なかなか結論がでないと思われますから、説明会は、複数回開催されるでしょう。
なお、この際には、引っ越し費用や店舗や事務所として使用していたなどの補償は、考慮しない方がいいでしょう。
いずれにしても、団地建物所有者間で十分に話し合った上で、各団地建物所有者の衡平を害しないよう適切に定めることが必要です。(第62条5項の準用)
| 第七十一条 (団地内建物敷地売却決議) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 5項 第六十二条第五項から第十項まで及び第六十三条から第六十四条の四までの規定は、団地内建物敷地売却決議について準用する。 この場合において、第六十二条第五項中「前項第三号及び第四号」とあるのは「第七十一条第四項第三号」と、同条第六項及び第七項中「第三十五条第一項」とあるのは「第六十六条において準用する第三十五条第一項」と、同条第六項ただし書中「規約」とあるのは「第六十六条において準用する第三十条第一項の規約」と、同条第七項第一号及び第二号中「の建替え」とあるのは「及びその敷地(これに関する権利を含む。)の売却」と、同条第九項中「第三十五条及び第三十六条」とあるのは「第六十六条において準用する第三十五条及び第三十六条」と、第六十三条第一項、第二項及び第四項から第六項まで、第六十四条並びに第六十四条の二第一項中「建替えに」とあるのは「売却に」と、第六十三条第七項中「建物の取壊しの工事に着手しない」とあるのは「売買契約による建物及びその敷地(これに関する権利を含む。)についての権利の移転(以下この項及び次項において「建物等の権利の移転」という。)がない」と、同項ただし書中「建物の取壊しの工事に着手しなかつた」とあるのは「建物等の権利の移転がなかつた」と、同条第八項中「建物の取壊しの工事の着手」とあるのは「建物等の権利の移転」と、「その着手をしない」とあるのは「建物等の権利の移転がない」と、第六十四条中「建替えを」とあるのは「売却を」と読み替えるものとする。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
★「団地内建物敷地売却決議」を規定している第70条1項から5項は、令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新設された条文で、令和8年4月1日施行です。
★「建替え決議」の準用
団地内建物敷地売却決議を規定している第71条5項は、一棟での「建替え決議(第62条)」の規定から、集会開催の手順や反対者に対する「区分所有権等の売渡し請求」、「賃貸借の終了請求」などを準用しています。
内容は、以下のようになります。
| 準用されるている内容 (建替え決議 → 団地内建物敷地売却決議) | |||
| 条 | 項 | 条文 | 読み替え |
| 第62条 (建替え決議) |
5項 | 5 の事項は、各区分所有者の衡平を害しないように定めなければならない。 |
あり |
| 6項 | 6 の通知は、同項の規定にかかわらず、当該集会の会日より少なくとも二月前に発しなければならない。ただし、この期間は、 で伸長することができる。 |
あり | |
| 7項 | 7 前項に規定する場合において、 の通知をするときは、会議の目的たる事項及び議案の要領のほか、次の事項をも通知しなければならない。 一 建物 を必要とする理由 二 建物 をしないとした場合における当該建物の効用の維持又は回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額及びその内訳 三 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容 四 建物につき修繕積立金として積み立てられている金額 |
あり | |
| 8項 | 8 第六項の集会を招集した者は、当該集会の会日より少なくとも一月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について区分所有者に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。 | ||
| 9項 | 9 の規定は、前項の説明会の開催について準用する。 |
あり | |
| 10項 | 10 前条第六項の規定は、 (注:前条=第61条 6 前項の決議をした集会の議事録には、その決議についての各区分所有者の賛否をも記載し、又は記録しなければならない。) |
||
| 第63条 (区分所有権等の売渡し請求等) |
1項 | 参加するか否かを回答すべき旨を書面で催告しなければならない。 |
あり |
| 2項 | 2 集会を招集した者は、前項の規定による書面による催告に代えて、法務省令で定めるところにより、同項に規定する区分所有者の承諾を得て、電磁的方法により建替え決議の内容により 参加するか否かを回答すべき旨を催告することができる。この場合において、当該集会を招集した者は、当該書面による催告をしたものとみなす。 |
あり | |
| 3項 | 3 第一項に規定する区分所有者は、同項の規定による催告を受けた日から二月以内に回答しなければならない。 | ||
| 4項 | 4 前項の期間内に回答しなかつた第一項に規定する区分所有者は、 参加しない旨を回答したものとみなす。 |
あり | |
| 5項 | 5 第三項の期間が経過したときは、 参加する旨を回答した各区分所有者(これらの者の承継人を含む。)又はこれらの者の全員の合意により区分所有権及び敷地利用権を買い受けることができる者として指定された者(以下「買受指定者」という。)は、同項の期間の満了の日から二月以内に、 参加しない旨を回答した区分所有者(その承継人を含む。)に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。 |
あり | |
| 6項 | 6 前項の規定による請求があつた場合において、 参加しない旨を回答した区分所有者が建物の明渡しによりその生活上著しい困難を生ずるおそれがあり、かつ、 |
あり | |
| 7項 | 7 建替え決議の日から二年以内に 場合には、第五項の規定により区分所有権又は敷地利用権を売り渡した者は、この期間の満了の日から六月以内に、買主が支払つた代金に相当する金銭をその区分所有権又は敷地利用権を現在有する者に提供して、これらの権利を売り渡すべきことを請求することができる。 ただし、 ことにつき正当な理由があるときは、この限りでない。 |
あり | |
| 8項 | 8 前項本文の規定は、同項ただし書に規定する場合において、 を妨げる理由がなくなつた日から六月以内に ときに準用する。 この場合において、同項本文中「この期間の満了の日から六月以内に」とあるのは、「 を妨げる理由がなくなつたことを知つた日から六月又はその理由がなくなつた日から二年のいずれか早い時期までに」と読み替えるものとする。 |
あり | |
| 第64条 (建替えに関する合意) |
参加する旨を回答した各区分所有者及び区分所有権又は敷地利用権を買い受けた各買受指定者(これらの者の承継人を含む。)は、 行う旨の合意をしたものとみなす。 |
あり | |
| 第64条の2 (賃貸借の終了請求) |
1項 | 参加する旨を回答した各区分所有者(これらの者の承継人を含む。)若しくはこれらの者の全員の合意により賃貸借の終了を請求することができる者として指定された者又は賃貸されている専有部分の区分所有者は、当該専有部分の賃借人に対し、賃貸借の終了を請求することができる。 |
あり |
| 2項 | 2 前項の規定による請求があつたときは、当該専有部分の賃貸借は、その請求があつた日から六月を経過することによつて終了する。 | ||
| 3項 | 3 第一項の規定による請求があつたときは、当該専有部分の区分所有者は、当該専有部分の賃借人(転借人を含む。第五項において同じ。)に対し、賃貸借の終了により通常生ずる損失の補償金を支払わなければならない。 | ||
| 4項 | 4 第一項の規定による請求をした者(当該専有部分の区分所有者を除く。)は、当該専有部分の区分所有者と連帯して前項の債務を弁済する責任を負う。 | ||
| 5項 | 5 専有部分の賃借人は、第二項の規定により当該専有部分の賃貸借が終了したときであつても、前二項の規定による補償金の提供を受けるまでは、当該専有部分の明渡しを拒むことができる。 | ||
| 第64条の3 (使用貸借の終了請求) |
前条第一項及び第二項の規定は、専有部分が使用貸借の目的物とされている場合(民法第五百九十八条第一項又は第二項に規定する場合を除く。)について準用する。 | ||
| 第64条の4 (配偶者居住権の消滅請求) |
第六十四条の二の規定は、専有部分に配偶者居住権が設定されている場合(民法第千三十五条第一項ただし書に規定する場合を除く。)について準用する。 | ||
★一棟の「建替え決議」の条文の準用の流れ
基本的に「団地内建物敷地売却決議」においては、一棟の「建替え決議(第62条以下)と同様な流れとなり
・売却によつて各団地内建物所有者が取得することができる金銭の額の算定方法に関する事項は、各区分所有者の衡平を害しないように定めなければならない
・団地内建物敷地売却決議の集会の通知は、集会の会日より少なくとも二月前に発しなければならない。
また、この2か月前は規約があれば、伸ばすことができる。
・団地内建物敷地売却決議の通知には、
会議の目的たる事項及び議案の要領のほか、次の事項をも通知しなければなりません。
一 建物及びその敷地(これに関する権利を含む。)の売却を必要とする理由要とする理由
二 建物及びその敷地(これに関する権利を含む。)の売却をしないとした場合における当該建物の効用の維持又は回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額及びその内訳
三 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容
四 建物につき修繕積立金として積み立てられている金額
・団地内建物敷地売却決議を招集した者は、集会の会日より少なくとも一月前までに、区分所有者に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない
・説明会の通知も「集会の通知」と同様
・団地内建物敷地売却決議をした集会の議事録には、各区分所有者の賛否を記録すること
(これにより、後の「区分所有権等の売渡請求」の相手がわかる)
・規定の催告により団地内建物敷地売却決議への賛成・反対が確定し、反対者は、賛成者から「区分所有権等の売渡し請求」を受けてその団地から出て行く
・しかし、団地内建物敷地売却決議から2年が過ぎても、建物等の権利の移転がない時には、今度は逆に「区分所有権等の売渡し請求」を受けたものから、現にその権利を有する者に対して「買い戻し請求」ができる
・団地内建物敷地売却決議の賛成者は、全員団地内建物敷地売却を行う旨の合意をしてものとみなされ
・賃貸借契約や使用貸借があれば終了請求ができ配偶者居住権の消滅請求もできます。
これらの手続を経て、団地内の全ての建物と敷地の権利は、一度団地内建物敷地売却決議の賛成者に帰属し、その後、売買契約によりデベロッパーなど買主のものとなります。
★団地内建物敷地売却決議の反対者・非参加者に対する時価の「売渡請求金額」
本第71条5項によって一棟の「建替え決議」での「区分所有権等の売渡請求」(第63条)が準用されていますから、団地内建物敷地売却決議の反対者や非参加者に対しては、決議後、団地内建物敷地売却決議参加者(売却参加者全員の合意により区分所有権及び敷地利用権を買い受けることができる者として指定された者(買受指定者)を含む)は団地内建物敷地売却決議に参加しない反対の区分所有者(非賛成者)等に対して、その区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すよう請求することができます。

そこで、売渡請求の「時価」ですが、団地内建物敷地売却決議があった時の金額で、これは、団地内建物敷地売却決議の賛成者が受け取る売却代金の分配金の額と同様でいいと考えられます。
なお、売渡請求権は「形成権」となりますので、その行使の意思表示が相手方である団地内建物敷地売却決議不参加者に到達すると直ちに、相手方の区分所有権及び敷地利用権を目的とする時価による売買契約が成立します。
★団地内建物敷地売却決議において注意すること
この団地内建物敷地売却決議は、多くの区分所有者が関係しますから、団地管理組合(団地管理組合法人)としても、事前に、大規模修繕工事でカバーできないのか、建物のリホームや他の建替え手法はとれないのかなど時間をかけて検討をし合意を形成することが必要です。
また、区分所有者だけでなく、賃借人や配偶者居住権を持っている人も関係しますから、それらの人々に対しても、充分に説明をしてください。
| ページ終わり |
謝辞:Kzさんの了解により一部転用・編集をしています。
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最終更新:
2026年 3月 2日:
令和8年4月1日施行、標準管理規約は、令和7年10月17日版に合わせた。
まったく、大変な作業で、時間と知識がかかった。
2025年 9月25日:ファイル分けた
2025年 5月31日〜:令和8年4月1日施行版に移行中
新規の条文多い。
2025年 4月27日:見直し、加筆などした。
2025年 2月12日:令和6年(2024年)の出題年を入れた。
2024年 9月13日:見直した。
2024年 2月 4日:令和5年(2023年)の出題年を入れた。
2024年 2月 3日:見直した。
2023年 1月 4日:再再度、見直した。
2022年 2月 2日:見直した。
標準管理規約(団地型)は、令和3年6月22日版にした。
2021年 3月 6日:令和2年(2020年)の出題年を入れた。
2020年 3月29日:令和元年(2019年)の出題年を入れた。
2019年 4月17日:平成30年の出題年を入れた。
2018年 8月 9日:文ちょろちょろと見直した。
2018年 3月27日:都市再開発法を再検討した。
2018年 3月13日:平成29年の出題を入れた。
2017年 4月 7日:平成28年の出題年を入れた。
2016年 9月 9日:都市再開発法による団地の建て替えを、第70条に追加した。
2016年 4月10日:3月31日付の標準管理規約(団地型)の改正に対応した。
2016年 2月24日;平成27年の出題年を入れた。
2015年 4月11日:平成26年の出題年を入れた。
2014年 2月23日:平成25年の出題年を入れた。
2012年 3月18日:第70条に追記、図入。
2012年 3月16日:第69条に、図や記述をかなり詳細に追記。
2011年 9月28日:第70条1項に追記
2011年 8月17日:再確認
2011年 8月12日:第69条で敷地関係の図を入れた。
2011年 8月 8日:第69条の図で附属施設の共有を削除した。
2011年 1月15日:平成22年の出題記入
2010年2月11日:ちょろちょろと加筆
2009年11月14日:あちらこちらを追記
2009年7月6日:第70条1項に憲法違反でない判例追加。
2009年3月26日
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