★★       条 文 の 解 説        ★★

建物の区分所有等に関する法律

(この解説においては、略称:区分所有法 と言う)

第1章 建物の区分所有 
第6節 所有者不明専有部分管理命令 及び 
第7節 管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令

 第六節 所有者不明専有部分管理命令  *全て新設
第四十六条の二 所有者不明専有部分管理命令
第四十六条の三 所有者不明専有部分管理人の権限
第四十六条の四 所有者不明専有部分等に関する訴えの取扱い
第四十六条の五 所有者不明専有部分管理人の義務
第四十六条の六 所有者不明専有部分管理人の解任及び辞任
第四十六条の七 所有者不明専有部分管理人の報酬等
   
 第七節 管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 *全て新設
第四十六条の八 管理不全専有部分管理命令
第四十六条の九 管理不全専有部分管理人の権限
第四十六条の十 管理不全専有部分管理人の義務
第四十六条の十一 管理不全専有部分管理人の解任及び辞任
第四十六条の十二 管理不全専有部分管理人の報酬等
第四十六条の十三 管理不全共用部分管理命令
第四十六条の十四 管理不全共用部分管理人の権限等

X-b2. 第6節 
所有者不明専有部分管理命令
(第46条の2〜第46条の7)

第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令
(第46条の8〜第46条の14)

まで

マンション管理士・管理業務主任者を目指す方のために、区分所有法を条文ごとに解説しました。 

試験問題は、過去の問題から出されるのではありません。条文から出題されます。

条文を勉強することが、合格への道です。

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凡例:各条文は、黒字にて表示。解説は条文の下に緑字にて表示
 

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第1章 建物の区分所有
 第6節 所有者不明専有部分管理命令 (注:令和8年4月1日施行。新設。)
第四十六条の二 (所有者不明専有部分管理命令) (注:令和8年4月1日施行。新設。)

1項 裁判所は、区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない専有部分(専有部分が数人の共有に属する場合にあつては、共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない専有部分の共有持分)について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その請求に係る専有部分又は共有持分を対象として、所有者不明専有部分管理人(第四項に規定する所有者不明専有部分管理人をいう。第三項において同じ。)による管理を命ずる処分(以下「所有者不明専有部分管理命令」という。)をすることができる。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

★これから、解説が始まる
  第6節 所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7   及び
  第7節 管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
  は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。



◎裁判所は @”所有者不明”専有部分管理命令や 
        A管理不全”専有部分”管理命令 
        B管理不全”共用部分”管理命令 をだせる


★改正の理由 〜区分所有建物の管理に特化した財産管理制度の創設〜

 令和8年4月1日施行の改正区分所有法では、改正の基本を「区分所有建物の管理の円滑化を図る」とし、所在等不明区分所有者(第38条の2)を集会の決議の母数から除く規定を各条文に入れました。

 この区分所有法改正の基本的な発想としては、高齢化が進む日本において孤独死などで持主が不明な家屋が多く現れ、それらは適切な管理ができず、ゴミ屋敷や荒れ放題の家屋となりこの状況は近隣に迷惑をかけるだけでなく災害時に対応が出来ません。

  

 そこで、まず民法が令和5年4月1日施行で改正され、土地・家屋の所有者が不明だったり、所有者による管理が適切にされていない土地・建物を対象に(つまり土地・建物に特化した)財産管理制度の創設(民法第264条の2〜第264条の14)として、
   @所有者不明土地・建物の管理制度・・・・・・・・・・・民法第264条の2〜第264条の8
   A管理不全状態にある土地・建物の管理制度・・・民法第264の9〜第264条の14
  が創設されています。(詳細は、区分所有法第6条4項 参照)

 この改正民法と同じように相続人が不明とか、区分所有者が海外にいるようで連絡がとれないなどで管理が出来ないといった問題は、戸建てだけに限らずマンションのような区分所有建物でも現れています。

 しかし、おかしなことに、区分所有法では、令和5年に民法が改正されても、区分所有建物では、民法の所有者不明建物管理制度は、適用されないとしました。(改正区分所有法第6条4項) 

<参照> 区分所有法 第6条4項

(区分所有者の権利義務等)
第六条 区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。

2 区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。

3 第一項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者(以下「占有者」という。)に準用する。

4 民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百六十四条の八及び第二百六十四条の十四の規定は、専有部分及び共用部分には適用しない。

 区分所有者が誰だか分からないとか、その専有部分(部屋)を持っている区分所有者自身では適切な管理が期待できない管理不全の専有部分があると、区分所有者が、専用使用しているベランダやバルコニーなどの共用部分の管理や他の人の専有部分にも悪影響が及び、また、管理が悪い専有部分が売れなくなる事態になります。

 これらを解決する方法として、改正された民法と同様な規定が、遅ればせながら区分所有法でも令和8年4月1日施行で改正・追加され、所在等不明区分所有者を集会の母数から除く措置と並行し、区分所有建物の管理に特化した財産管理制度として以下の規定が創設されました。

◎区分所有建物の管理に特化した財産管理制度

 この民法から始まった「財産管理制度」の大きな流れは、次の段階として「区分所有建物の管理」という事に特化して、区分所有者が不明な専用部分や、ゴミや漏水、また危険な状態の放置などで管理が不適当な専用部分・共用部分に対して利害関係者が地方裁判所に申し立てると、地方裁判所が管理人を選出し管理を命ずる制度です。
 この財産管理制度により、財産管理の効率化と利用者の負担を軽減しようとしています。

 基本となっているのは、改正民法の同じような規定です。(民法 第4節 所有者不明土地管理命令及び所有者不明建物管理命令 第264条の2〜第264条の8、第5節 管理不全土地管理命令及び管理不全建物管理命令 第264条の9〜第264条の14)

 なお、日本国内に住所や居所がない区分所有者に対しては、新しく「国内管理人」の制度(区分所有法第6条の2)が創設されています。

  

★区分所有法での「財産管理制度」の構成

 区分所有法での「財産管理制度」の構成は、大きく分けると、
  1.区分所有者が日本にいない場合の「国内管理人」(第6条の2)・・・既に解説していますのでそちらを観てください。
  そして、
  2.専有部分の”所有者が不明な場合”に、地方裁判所は区分所有者に代わって所有者不明専有部分管理人を選び、所有者不明専有部分管理人が専有部分や共用部分の管理を行う。(第6節)
  3.専有部分の所有者は分かっているが”管理が不適当な場合”に、地方裁判所はその区分所有者に代わって、管理不全専有部分や管理不全共用部分管理人を選び、各々の管理人が専有部分や共用部分の管理行う(第7節)
 です。

 今後でてきます規定を纏めると以下のようになります。
     ◎区分所有建物の管理に特化した財産管理制度  
 条文など  状況   請求者  選任者 名称  管理人の主な管理内容   裁判所等の許可が必要な行為
 第6条の2  区分所有者が日本にいない    ---  海外にいる本人 国内管理人   ・保存行為
・議決権の行使
・債務の弁済など
区分所有者を代理する
    ------
 第6節  所有者不明  利害関係人   地方裁判所   所有者不明専有部分管理人 ・保存行為
・管理行為
・利用行為
・財産管理 
・議決権の行使など総会対応
 裁判所許可で可能
 売却・賃貸・権利の設定
 第7節  所有者はいるが、管理が出来ていない   専有部分 管理不全専有部分管理人  管理行為
・修繕
・清掃
・危険の除去
本人の同意が必要 
 売却・賃貸・権利の設定
 共用部分   管理不全共用部分管理人

 具体的には、
 1.第6節 所有者不明専有部分管理命令
  @第46条の2 所有者不明専有部分管理命令 
  A第46条の3 所有者不明専有部分管理人の権限
  B第46条の4 所有者不明専有部分等に関する訴えの取扱い
  C第46条の5 所有者不明専有部分管理人の義務
  D第46条の6 所有者不明専有部分管理人の解任及び辞任
  E第46条の7 所有者不明専有部分管理人の報酬等

 2.第7節 管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令
  @第46条の8  管理不全専有部分管理命令
  A第46条の9  管理不全専有部分管理人の権限
  B第46条の10 管理不全専有部分管理人の義務
  C第46条の11 管理不全専有部分管理人の解任及び辞任
  D第45条の12 管理不全専有部分管理人の報酬等

  E第46条の13 管理不全共用部分管理命令
  F第46条の14 管理不全共用部分管理人の権限等
 となっています。


 これらの条文をみても分かるように、所有者不明専有部分管理命令と管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令の構成は、ほぼ同じですから、条文数は多くても、所有者不明専有部分管理命令を勉強すれば、ほぼ分かります。

★基本は、民法の条文と同じ。

 区分所有法に取込んでいる「xxx管理命令」や「xx管理人」の規定は、基本的に民法に規定されているのと同様な規定です。
 そこで、区分所有法の適用がある「区分所有者」という概念がない場合もあり、例えば、「所有者不明専有部分等の”所有者”」といったように、一般的な権利を有する「所有者」になっていることに注意してください。
 



★条文の趣旨:

 それでは、改正された区分所有法 第6節  所有者不明専有部分管理命令 の第46条の2 1項を見てみましょう。

 <参照> 区分所有法 第46条の2  1項

(所有者不明専有部分管理命令)
1項 裁判所は、
 区分所有者を知ることができず、又は
 その所在を知ることができない専有部分
 (専有部分が数人の共有に属する場合にあつては、共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない専有部分の共有持分)について、
 必要があると認めるときは
 利害関係人の請求により、その請求に係る専有部分又は共有持分を対象として、
 所有者不明専有部分管理人(第四項に規定する所有者不明専有部分管理人をいう。第三項において同じ。)による
 管理を命ずる処分(以下「所有者不明専有部分管理命令」という。)をすることができる

 ◎以下は元になっている民法の「所有者不明土地・建物管理命令」の条文です。

 <参照> 民法 第4節 所有者不明土地管理命令及び所有者不明建物管理命令 

この民法第264条の8 (区分所有法第6条4項により、区分所有法の専有部分では、適用されない。)

(所有者不明建物管理命令)
第二百六十四条の八 裁判所は、
所有者を知ることができず、又は
その所在を知ることができない建物(建物が数人の共有に属する場合にあっては、共有者を知ることができず、又は
その所在を知ることができない建物の共有持分)について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、
その請求に係る建物又は共有持分を対象として、
所有者不明建物管理人(第四項に規定する所有者不明建物管理人をいう。以下この条において同じ。)による管理を命ずる処分(以下この条において
「所有者不明建物管理命令」という。)をすることができる


2 所有者不明建物管理命令の効力は、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物(共有持分を対象として所有者不明建物管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である建物)にある動産(当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物の所有者又は共有持分を有する者が所有するものに限る。)及び当該建物を所有し、又は当該建物の共有持分を有するための建物の敷地に関する権利(賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(所有権を除く。)であって、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物の所有者又は共有持分を有する者が有するものに限る。)に及ぶ。

3 所有者不明建物管理命令は、所有者不明建物管理命令が発せられた後に当該所有者不明建物管理命令が取り消された場合において、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物又は共有持分並びに当該所有者不明建物管理命令の効力が及ぶ動産及び建物の敷地に関する権利の管理、処分その他の事由により所有者不明建物管理人が得た財産について、必要があると認めるときも、することができる。

4 裁判所は、所有者不明建物管理命令をする場合には、当該所有者不明建物管理命令において、所有者不明建物管理人を選任しなければならない。

5 第二百六十四条の三から前条までの規定は、所有者不明建物管理命令及び所有者不明建物管理人について準用する。

---------------------------------------------------
 準用されている 第264条の3 〜 第264条の7(前条)

所有者不明土地管理人の権限
第二百六十四条の三 前条第四項の規定により所有者不明土地管理人が選任された場合には、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分及び所有者不明土地管理命令の効力が及ぶ動産並びにその管理、処分その他の事由により所有者不明土地管理人が得た財産(以下「所有者不明土地等」という。)の管理及び処分をする権利は、所有者不明土地管理人に専属する。

2 所有者不明土地管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもって善意の第三者に対抗することはできない。
   一 保存行為
   二 所有者不明土地等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為 (所有者不明土地等に関する訴えの取扱い)

---------------------------------------------------

第二百六十四条の四 所有者不明土地管理命令が発せられた場合には、所有者不明土地等に関する訴えについては、所有者不明土地管理人を原告又は被告とする

---------------------------------------------------

(所有者不明土地管理人の義務)
第二百六十四条の五 所有者不明土地管理人は、所有者不明土地等の所有者(その共有持分を有する者を含む。)のために、善良な管理者の注意をもって、その権限を行使しなければならない。

2 数人の者の共有持分を対象として所有者不明土地管理命令が発せられたときは、所有者不明土地管理人は、当該所有者不明土地管理命令の対象とされた共有持分を有する者全員のために、誠実かつ公平にその権限を行使しなければならない。

---------------------------------------------------

(所有者不明土地管理人の解任及び辞任)
第二百六十四条の六 所有者不明土地管理人がその任務に違反して所有者不明土地等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、所有者不明土地管理人を解任することができる。

2 所有者不明土地管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。

---------------------------------------------------

(所有者不明土地管理人の報酬等)
第二百六十四条の七 所有者不明土地管理人は、所有者不明土地等から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。

2 所有者不明土地管理人による所有者不明土地等の管理に必要な費用及び報酬は、所有者不明土地等の所有者(その共有持分を有する者を含む。)の負担とする。

 この民法の規定をみて分かるように、令和8年4月1日施行で改正された区分所有法は、民法の「所有者不明土地管理命令及び所有者不明建物管理命令」とほぼ同じ規定となっています。

 それなら、民法に従って、処理ができるのではないかと思いますが、他の法律に従って運用するのは、非効率との意見があり、今回(令和8年4月1日施行)の改正となったとのことです。 (一度は、区分所有法第6条4項で、民法の「所有者不明土地・建物管理命令」制度は採用しないといいながら、法担当者が区分所有法を充分に検討していなかったための苦しい言い訳です。)

★区分所有法と民法、民事訴訟法との関係  〜同じような規定があれば、区分所有法の方が優先する〜

 この後の区分所有法の規定では、民法とほぼ同じような「xx管理命令」や「xx管理人」制度の規定、また、訴訟手続については、民事訴訟法の規定と同様な規定を取り入れています。

 この区分所有法に規定された内容は、民法や民事訴訟法の特別法として、同様な規定があれば、区分所有法の規定の方が優先適用されることになります。

 そこで、マンション管理士や管理業務主任者また、マンションの管理組合の役員もこれら区分所有法の規定は重要ですよ。 

★所有者不明専有部分管理命令とは

 本第64条の2 で規定する「所有者不明専有部分管理命令」とは、
  まず、
  ・専有部分(室)の所有者(区分所有者)を知ることができない、または
  ・区分所有者の所在が不明な場合
  に、
  ・利害関係人の申し立てにより、
  ・裁判所が管理人(所有者不明専有部分管理人)を選任し、
  その管理人に専有部分の管理を命じる制度です。
 専有部分(室)が他の人との共有になっている場合には、不明となっている共有者の専有部分の持分も管理の対象になります。

   


★裁判は非訟事件となる

 この「所有者不明専有部分管理命令」の裁判は、通常の訴訟手続とは異なる手続、つまり「非訟事件」として扱われ、裁判所が民事の法律関係について後見的に介入して処理することになります。 (第87条1項)

 <参照> 区分所有法 第87条

(所有者不明専有部分管理命令)
第八十七条 第一章第六節の規定による非訟事件は、裁判を求める事項に係る専有部分の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する

2 裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号の期間を経過した後でなければ、所有者不明専有部分管理命令をすることができない。この場合において、同号の期間は、一月を下つてはならない。
   一 所有者不明専有部分管理命令の申立てがその対象となるべき専有部分又は共有持分についてあつたこと。
   二 所有者不明専有部分管理命令をすることについて異議があるときは、所有者不明専有部分管理命令の対象となるべき専有部分又は共有持分を有する者は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。
   三 前号の届出がないときは、所有者不明専有部分管理命令がされること。

3 第四十六条の三第二項又は第四十六条の六第二項の許可の申立てをする場合には、その許可を求める理由を疎明しなければならない

4 裁判所は、第四十六条の六第一項の規定による解任の裁判又は第四十六条の七第一項の規定による費用若しくは報酬の額を定める裁判をする場合には、所有者不明専有部分管理人の陳述を聴かなければならない。

5 次に掲げる裁判には、理由を付さなければならない。
   一 所有者不明専有部分管理命令の申立てを却下する裁判
   二 第四十六条の三第二項又は第四十六条の六第二項の許可の申立てを却下する裁判
   三 第四十六条の六第一項の規定による解任の申立てについての裁判

6 所有者不明専有部分管理命令があつた場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明専有部分管理命令の対象とされた専有部分又は共有持分について、所有者不明専有部分管理命令の登記を嘱託しなければならない。

7 所有者不明専有部分管理命令を取り消す裁判があつたときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明専有部分管理命令の登記の抹消を嘱託しなければならない。

8 所有者不明専有部分管理人は、所有者不明専有部分管理命令の対象とされた
 専有部分又は
 共有持分並びに
 所有者不明専有部分管理命令の効力が及ぶ動産並びに
 共用部分及び附属施設に関する権利並びに
 敷地利用権の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、その専有部分の区分所有者又はその共有持分を有する者のために、当該金銭を所有者不明専有部分管理命令の対象とされた専有部分(共有持分を対象として所有者不明専有部分管理命令が発せられた場合にあつては、共有物である専有部分)の所在地の供託所に供託することができる。
 この場合において、供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。

9 裁判所は、所有者不明専有部分管理命令を変更し、又は取り消すことができる。

10 裁判所は、管理すべき財産がなくなつたとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなつたときは、所有者不明専有部分管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、所有者不明専有部分管理命令を取り消さなければならない。

11 所有者不明専有部分等の所有者(その共有持分を有する者を含む。以下この条において同じ。)が所有者不明専有部分等の所有権(その共有持分を含む。)が自己に帰属することを証明したときは、裁判所は、当該所有者の申立てにより、所有者不明専有部分管理命令を取り消さなければならない
 この場合において、所有者不明専有部分管理命令が取り消されたときは、所有者不明専有部分管理人は、当該所有者に対し、その事務の経過及び結果を報告し、当該所有者に帰属することが証明された財産を引き渡さなければならない。

12 所有者不明専有部分管理命令及びその変更の裁判は、所有者不明専有部分等の所有者に告知することを要しない。

13 所有者不明専有部分管理命令の取消しの裁判は、事件の記録上所有者不明専有部分等の所有者及びその所在が判明している場合に限り、その所有者に告知すれば足りる。

14 次の各号に掲げる裁判に対しては、それぞれ当該各号に定める者に限り、即時抗告をすることができる。
   一 所有者不明専有部分管理命令 利害関係人
   二 第四十六条の六第一項の規定による解任の裁判 利害関係人
   三 第四十六条の七第一項の規定による費用又は報酬の額を定める裁判 所有者不明専有部分管理人
   四 第九項から第十一項までの規定による変更又は取消しの裁判 利害関係人

15 次に掲げる裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
   一 第四十六条の二第四項の規定による所有者不明専有部分管理人の選任の裁判
   二 第四十六条の三第二項又は第四十六条の六第二項の許可の裁判
 


 注:非訟事件と訴訟事件の違い
   *非訟事件・・・当事者のどちらかの「勝ち負けを決める激しい争い」が前提ではなく、
    ・一定の権利関係を確認する
    ・家事や相続などを円満に処理する
    ・許可や監督などを行う
   といった、裁判所による事務的・管理的な手続に近いものです。後見的なという言い方もあります。
    敵対する当事者が居ない場合もあり、その場合は、「利害関係人」が関与します。
   
  *訴訟事件・・・裁判所が、当事者同士の法律上の争いを「誰が正しいか」判断して、勝ち負けを決める手続です。
     例えば民事裁判や刑事裁判が典型です。


★申し立ての要件

 裁判所から「所有者不明専有部分管理命令」を出してもらうには、
  @調査を尽くしても、区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない専有部分があること
   ・専有部分が数人の共有に属する場合 → ある共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない専有部分の共有持分があること
  A管理の必要性があると認められるとき
  B利害関係人から申し立てる
 です。

  この場合、複数の専有部分が所有者不明の専有部分であっても、所有者不明専有部分管理命令は、各専有部分単位となります。
  所有者不明専有部分の管理人には、同一人物が選任されることもあるでしょう。
  ある専有部分が共有となっていてそこの複数の共有者が不明なら、一人の所有者不明専有部分の管理人が、不明な共有持分の合計を管理します。


◎必要があると認めるときとは 〜管理不全な状態にあること〜

 条文の構成とは、順序が異なりますが、まず、裁判所に所有者不明専有部分管理命令を出してもらう理由としては、該当の専有部分が管理不全の状態にあることです。
 固い表現としては、該当の専有部分の管理不全の状態によって、他人の権利・法的利益が侵害され、又はそのおそれがあり、専有部分の管理状況等に照らし、管理人による管理の必要性がある場合となります。
 しかし、マンションのような区分所有建物において、戸建てのようにゴミ屋敷とか樹木が生え放題という事態は通常は考えられず、ここでの管理不全は、主に区分所有者が不明なために、ベランダが荒れ放題とかその専有部分からの漏水や、管理費や修繕積立金が長期に渡って滞納されている状態となりますか。

◎請求できる利害関係人の範囲

 上の例では、管理費や修繕積立金の滞納をあげましたが、この管理費や修繕積立金の滞納の場合には、被害を受けている区分所有者の団体(管理組合)を代理して管理者や区分所有者の団体が法人化されていれば、管理組合法人の理事などが利害関係人になります。
 また、該当の専有部分の管理が悪くて迷惑を被っている他の区分所有者や、専有部分が共有関係にあれば共有者の誰かが不明なため連絡がとれないなどで困っている他の共有者も利害関係人に該当し、さらに該当の専有部分の賃借人や購入しようとする購入希望者、また、状況が酷い場合には、周辺の住民や地方公共団体の長も利害関係人に入ると考えられます。


◎(調査を尽くしても)区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとは

 これは、別な言葉で言えば、利害関係人である区分所有者の団体(管理組合)や他の区分所有者などの力では、調査を尽くしたがどうしても誰が区分所有者か突きとめられず、また、区分所有者の氏名は分かっているものの、どこに住んでいるのか分からない状況にあることを、裁判所に証拠書類として提出することです。

  その調査方法は、下のようになります。

◎区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない専有部分とは 〜調査方法〜

 具体的な区分所有者の調査方法としては、
 @専有部分の所有者が、”自然人”として登記されている場合
   不動産登記簿、住民票上の住所、戸籍等を調査。登記人が死亡している場合は、相続人も調べること。
 A専有部分の所有者が、”法人”として登記されている場合
   法人登記簿上の主たる事務所の存否のほか、代表者・役員の法人登記簿・住民票上の住所等を調査。代表者の死亡も調べること。
 B専有部分の所有者が、”法人でない社団”として登記されている場合
   代表者及び構成員の住民票上の住所等を調査
  これらを事案に応じて、郵便や現地調査、近隣住民への聞き込み、また探偵や弁護士を介して調べることになりますが、当然調査には費用と時間がかかります。

 これらを調査しても、区分所有者が誰だか分からないとか、区分所有者の氏名は分かるが、どこに住んでいるか連絡がとれないなら、利害関係人は、それを裏付ける事実(請求の原因)記載した「訴状」を建物を管轄する地方裁判所に請求できます。(新設:区分所有法第87条1項
 なお、不動産の所有者が海外に居住しているときは、国内における連絡先者の氏名・住所などは、登記されています

◎裁判手続きの流れ
 
 裁判所における詳細な手続きとしては、新設された第87条にありますので、そちらを見てください。

 裁判手続きの概要は、以下のようになります。
  1.利害関係人が、所有者不明専有部分の所在地を管轄する地方裁判所に申し立てを行います。(区分所有法第87条1項)。
    申し立ての趣旨:「別紙物件目録記載の区分所有建物の専有部分について所有者不明専有部分管理人による管理を命ずる  との裁判を求める。」
    この際には、申し立て手数料や郵便切手代・予納金(管理人の報酬など)・登録免許税などの費用がかかります。
  2.裁判所が提出された資料
   (登記事項証明書、固定資産評価証明書、戸籍謄本や住民票、不明の事実を証明する資料や写真など)
   に基づいて審理を行います。
  3.裁判所は、提出された資料が妥当であると判断したら、「所有者不明専有部分管理命令」を発令し、マンション管理士など管理人にふさわしい人物を所有者不明専有部分管理人を選任します。
    この前に申立てを受けた地方裁判所は、1か月以上の異議申出期間等を定め公告します。
   異議申出期間等に誰からも申し出がなければ、裁判所は所有者不明専有部分管理命令を発令して、所有者不明専有部分管理人を選任します。
   裁判所書記官が嘱託で登記申請をし、所有者不明専有部分管理人が選任された旨が登記され、公示されます。
  4.選任された所有者不明専有部分管理人が、権限に基づいて専有部分、共用部分、附属施設、建物の敷地にある動産等の権利を含めた管理を行います。   
  5.対象専有部分の売却などにより所有者不明専有部分管理命令の目的が達成された場合、所有者不明専有部分管理命令は取り消されます。


◎所有者不明専有部分管理人に選任される人

 所有者不明専有部分の管理人には、マンション管理士、弁護士や司法書士など対象の建物の状況に応じた人が選任されます

◎所有者不明専有部分管理人の権限と義務等

 @ 財産の管理・処分権を持つ
  裁判所から選任された所有者不明専有部分管理人は、管理の対象となっている専有部分だけでなく所在等が不明な区分所有者(所在等不明区分所有者)が専用使用していたベランダやバルコニーなどの共用部分またその上にある動産(家具、備品など)について保存・利用・改良行為を行うほか、建替え決議などでは裁判所の許可を得て、専有部分(区分所有権)やその敷地利用権など対象財産の処分(売却、建物の取壊しなど)をすることも可能です。(第46条の3)
  所有者不明専有部分管理人は集会においては、所在等不明区分所有者に代わって、区分所有権を有し、議決権を行使できます。
 A 管理処分権は所有者不明専有部分管理人に専属し、所有者不明専有部分等に関する訴訟においても、所有者不明専有部分管理人が原告又は被告となります。 (第46条の4)
 B 所有者不明専有部分管理人は、所在等不明区分所有者に対して「善管注意義務」を負い、共有の専有部分を管理する場合は、共有者全員のために「誠実公平義務」を負います。(第46条の5)
 C所有者不明専有部分管理人に任務違反行為があれば、利害関係人の請求により裁判所から解任されます。また正当な事由があれば、裁判所の許可があれば辞任できます。(第46条の6)
 D所有者不明専有部分管理人は、所有者不明専有部分等(予納金を含む)から、裁判所が定めた費用の前払・報酬を受けることができます(費用・報酬は不明な所有者の負担)。(第47条の7)

◎裁判手続きの詳細

 所有者不明専有部分管理命令の請求は地方裁判所にするとか、公告をするなど詳細は、これも、令和8年4月1日施行で新設された区分所有法第87条以下にあります。


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第四十六条の二 (所有者不明専有部分管理命令) (注:令和8年4月1日施行。新設。)

2項 所有者不明専有部分管理命令の効力は、当該所有者不明専有部分管理命令の対象とされた専有部分(共有持分を対象として所有者不明専有部分管理命令が発せられた場合にあつては、共有物である専有部分)又は共用部分、附属施設若しくは建物の敷地にある動産(当該所有者不明専有部分管理命令の対象とされた専有部分の区分所有者又は共有持分を有する者が所有するものに限る。)並びに共用部分及び附属施設に関する権利並びに敷地利用権(いずれも当該所有者不明専有部分管理命令の対象とされた専有部分の区分所有者又は共有持分を有する者が有するものに限る。)に及ぶ。 

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

★第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。
施行は、令和8年4月1日。



 令和8年4月1日施行で新しく設けられた区分所有法第46条の2 2項は、第46条の2 1項で裁判所から出された「所有者不明専有部分管理命令」の効力を規定しています。

◎所有者不明専有部分管理命令の効力

 
 所有者不明専有部分管理命令の効力が及ぶ範囲は、当然ながら区分所有建物全体や他の区分所有者が有している専有部分に及ぶわけではありません。
 区分所有者が不明な「専有部分」およびその管理に必要不可欠な「共用部分」についてだけ、
 ・室内の保存・修繕
 ・危険防止(漏水、腐敗など)
 ・管理費・修繕積立金の支払
 などに効力が及びます。

  条文的には、
  @建物の専有部分(室)(区分所有法第2条項3項)
    専有部分が共有の場合の所有者不明専有部分管理命令は、共有の専有部分
  A建物のベランダなど専用使用している共用部分(区分所有法第2条4項)
  B共用部分とされた附属施設(区分所有法第4条2項、第21条)(規約共用部分を含む)
  C建物の敷地(区分所有法第21条)
  Dこれらの上にある家具や什器等の動産
  E権利・・・区分所有権(区分所有法第2条1項)、敷地利用権(区分所有法第2条6項)
        共有の場合は、所有者不明が有している共有の持分権
 です。

 権利として効力の及ぶ範囲は、
 ・専有部分に関する権利(区分所有権)
 ・ 共用部分に関する権利(区分所有権と分離できない)
 ・ 附属施設に関する権利(区分所有権と分離できない)
 ですが、実際にできる管理行為は、
  ・ 専有部分の管理が目的で 共用部分や敷地に関しては、必要最小限のみと解釈されます。

 この所有者不明専有部分管理命令の効力が及ぶ範囲は、結局、所有者不明専有部分管理人の権限ともなります。(第46条の3)



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第四十六条の二 (所有者不明専有部分管理命令) (注:令和8年4月1日施行。新設。)

3項 所有者不明専有部分管理命令は、所有者不明専有部分管理命令が発せられた後に当該所有者不明専有部分管理命令が取り消された場合において、当該所有者不明専有部分管理命令の対象とされた専有部分又は共有持分並びに当該所有者不明専有部分管理命令の効力が及ぶ動産並びに共用部分及び附属施設に関する権利並びに敷地利用権の管理、処分その他の事由により所有者不明専有部分管理人が得た財産について、必要があると認めるときも、することができる。 

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

★第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。



 令和8年4月1日施行で新しく設けられた区分所有法第46条の2 3項は、裁判所から所有者不明専有部分管理命令が出された後にその所有者不明専有部分管理命令が、目的が終了した事態の発生により取り消されても、未清算の財産があるなど、でまだ必要があれば、再度「所有者不明専有部分管理命令」を出すことができるという規定です。

◎所有者不明専有部分管理命令が発せられた後に当該所有者不明専有部分管理命令が取り消された場合とは
 相続を含めて、不明だった区分所有者が現れたとか
 所有者は不明だが、該当の専有部分を管理する必要性が無くなった・・・危険性や管理費等の滞納が解消された
 利害関係人からの申し立てとか
 管理すべき専有部分(財産)が、強制競売で新しく区分所有者ができたとか
 建物の取壊しなどで、所有者が不明な専有部分が無くなることです。
 
 この場合にも、所有者不明専有部分管理命令が出ていた間に
 ・部屋(専有部分)の賃料が発生している
 ・何かの売却代金・補償金を受領している
 ・動産を処分して現金化している
 ・共用部分・敷地利用権に基づく対価を得ている
 などの理由で所有者不明専有部分管理人が得た財産が存在していることがあります。

 まだ、残った財産(得た財産)があるのに、所有者不明専有部分管理命令が取消しとなると、残された財産を管理する人も居なくなります。

 これでは、困るので、裁判所は、「必要があると認めれば」、再度、「所有者不明専有部分管理命令」という方法を使って、
 所有者不明専有部分管理人を選任して、その人に、残った財産の残務処理として、
  ・清算
  ・引渡し
  ・供託
  ・帰属確定までの暫定管理
 などをやらせる規定です。

 本第46条の2 3項での「所有者不明専有部分管理人」には、前の第46条の2 2項での「所有者不明専有部分管理命令の効力」はありません。
 あくまでも、「得た財産」の残務整理だけです。

★裁判所が「必要があると認めるときとは」

 「所有者不明専有部分管理命令」において、所有者不明専有部分管理命令が取り消された後であっても、 それまでに所有者不明専有部分管理人が関与して生じた財産関係を そのまま放置すると、
  @ 権利関係が宙に浮く
  A 管理組合や第三者に不測の損害が生じる
  B 最終的な所有者に不当な不利益又は不当利得が生じる
 という事態を避けるために、 裁判所が後処理として所有者不明専有部分管理人の関与を続けさせる必要がある場合が、考えられます。

  逆の見方として、
  ・所有者不明専有部分管理人が関与して得た財産が存在しない
  ・すべての権利関係が既に整理済み
  ・取消し後に所有者不明専有部分管理人を関与させると 逆に混乱や不利益が生じる場合
  などは、「必要がない場合」です。


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第四十六条の二 (所有者不明専有部分管理命令) (注:令和8年4月1日施行。新設。)

4項 裁判所は、所有者不明専有部分管理命令をする場合には、当該所有者不明専有部分管理命令において、所有者不明専有部分管理人を選任しなければならない。 

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管理業務主任者

★第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。



 令和8年4月1日施行で新しく設けられた区分所有法第46条の2 4項は、所有者不明専有部分管理命令を裁判所が出す際には、必ず、それを管理する人(管理人)を選任しなければならないとしています。

◎所有者不明専有部分管理人を必ず選任する 

 裁判所が「所有者不明専有部分管理命令」を出したら裁判所の職員がその命令を実行する訳ではありません。
裁判所によって選任されたマンション管理士や弁護士・司法書士などの所有者不明専有部分管理人が、所有者不明専有部分管理命令に含まれる内容を実行します。

 「所有者不明専有部分管理命」だけでなく、いろいろな裁判所の命令は、その命令を実行する人がいて始めて効果が期待できるのですから、当然の規定です。

  


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第四十六条の三 (所有者不明専有部分管理人の権限) (注:令和8年4月1日施行。新設。) 

1項 前条第四項の規定により所有者不明専有部分管理人が選任された場合には、所有者不明専有部分管理命令の対象とされた専有部分又は共有持分並びに所有者不明専有部分管理命令の効力が及ぶ動産並びに共用部分及び附属施設に関する権利並びに敷地利用権並びにこれらの管理、処分その他の事由により所有者不明専有部分管理人が得た財産(以下「所有者不明専有部分等」という。)の管理及び処分をする権利は、所有者不明専有部分管理人に専属する。

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管理業務主任者

★第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。



 令和8年4月1日施行で新しく設けられた区分所有法第46条の3 1項は、第46条の2により裁判所から出された所有者不明専有部分命令を実行する管理人の権限を定めています。

◎所有者不明専有部分管理人の権限

★前条第4項の規定により・・・第46条の2 4項(裁判所による所有者不明専有部分管理人の選任)
 これにより、所有者不明専有部分管理人は、
  @所有者不明専有部分管理命令の対象とされた専有部分 又は
  A共有なら共有持分 並びに
  Bその動産(物品、備品など) 並びに
  C共用部分(バルコニー、ベランダなど) 及び
  D附属施設(集会所、駐車場など)に関する権利 並びに
  E敷地利用権 並びに
  Fこれらの管理・処分、その他の事由で管理人が得た財産(賃貸収入など)
  の管理・処分
 する権利を有します。

 なお、@〜Fは、今後の規定の中で、「所有者不明専有部分等」と呼ばれます。

  また、その専有部分が共有関係にあれば、不明な区分所有者の持分に応じて、所有者不明専有部分管理人は、管理・処分ができます。

 注意:所有者不明専有部分管理人が処分できるのは、その他の事由で所有者不明専有部分管理人が得た財産の処分であり、区分所有権の移動を伴う専有部分(室)の売却などはできない。

 さらに、該当専有部分(室)の
  @保存行為・・・修理程度
  A利用・改良行為・・・その専有部分の性質を変えない程度まで
  ができ(第46条の3 2項)
 また、裁判になったら、
  @当事者(被告・原告)
 にもなります。(第46条の3 3項)

 集会の決議においても、基本的に、所在等不明区分所有者に代わって議決権行使をすることができるものと考えられます。



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第四十六条の三 (所有者不明専有部分管理人の権限) (注:令和8年4月1日施行。新設。) 

2項   所有者不明専有部分管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもつて善意の第三者に対抗することはできない。
   一 保存行為
   二 所有者不明専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

★第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。



 令和8年4月1日施行で新しく設けられた区分所有法第46条の3 2項は、第46条の2により裁判所から出された所有者不明専有部分命令を実行する管理人の権限の範囲を定めています。

◎所有者不明専有部分管理人の権限

 基本的に、所有者不明専有部分管理人(管理人)は、
  @保存行為・・・修繕程度・漏水への対応
  A該当の専有部分(室)等の性質を変えない範囲の利用・改良を目的とする行為
 については、裁判所の許可がなくても、管理人の裁量で出来ます。


 @保存行為とは、専有部分等の現状維持で、壊れていれば修理をすることなどを指します。
 A所有者不明専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為とは、民法第264条の10 2項にある規定(民法 第264条の14 4項で準用)で、所有者が不明な専有部分を、今の使い方や特徴を大きく変えない形で、ちょっと便利にしたり、少し良くしたりする行為を指します。
  具体的には、利用とは、部屋の掃除や換気程度で、改良とは壁などの簡単な張替えや古くなった設備の交換ですが、「性質を変えない範囲」というと判断の基準が曖昧です。
  専有部分(室)の間取りを変更したり増築となるとこれは、もう「性質を変える範囲」となり、裁判所の許可が必要でしょう。


  これら上の2つの行為は、不明な所有者にとって重大な影響がありませんから、いちいち裁判所の許可は不要です。

 しかし、上の2つでない行為については、不明な所有者に被害を与えることもあるため、裁判所の許可を必要としています。
 不明な所有者を保護するために、当然な規定です。

★ただし、この許可がないことをもつて善意の第三者に対抗することはできない。(主張を認めさせることができない)

 所有者不明専有部分管理人(管理人)は、その裁量で
  @保存行為
  A該当の専有部分(室)等の性質を変えない範囲の利用・改良を目的とする行為
 はできますが、それらを超える行為(例えば、売却)は、不明の区分所有者に大きな影響を与える恐れもある為、管理人が単独では出来ず、必ず裁判所の許可が必要です。

 しかし、管理人が裁判所の許可なく、上記2つ以外の事を行う場合を想定しています。
 その場合、管理者の相手となった「善意の第三者」つまり、管理者の行為は裁判所の許可が必要なのにそれを知らなかった人には、言いわけができない。
 これにより、管理人が裁判所の許可なく勝手にした行為の責任は、管理人が負うことになります。
取引の安全性を考慮したものです。


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第四十六条の四 (所有者不明専有部分等に関する訴えの取扱い) (注:令和8年4月1日施行。新設。) 

1項 所有者不明専有部分管理命令が発せられた場合には、所有者不明専有部分等に関する訴えについては、所有者不明専有部分管理人を原告又は被告とする。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

★第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。




 令和8年4月1日施行で新しく設けられた区分所有法第46条の4 1項は、第46条の2により裁判所から出された所有者不明専有部分命令を実行する所有者不明専有部分管理人(管理人)の権限として、該当の専有部分が裁判の対象になった時には、管理人が裁判の当事者、つまり原告(裁判を起こす側)または被告(裁判で訴えられた側)になると規定しています。

所有者不明専有部分等・・・第46条の3 1項での規定
  @所有者不明専有部分管理命令の対象とされた専有部分 又は
  A共有なら共有持分 並びに
  Bその動産(物品、備品など) 並びに
  C共用部分(バルコニー、ベランダなど) 及び
  D附属施設(集会所、駐車場など)に関する権利 並びに
  E敷地利用権 並びに
  Fこれらの管理・処分、その他の事由で管理人が得た財産(賃貸収入など)

◎所有者不明専有部分管理人は、裁判の当事者(原告・被告)になる

 この裁判で、所有者不明専有部分管理人が被告や原告になるというのは、区分所有法における「管理者」の権限での「規約又は集会の決議があれば、区分所有者のために、原告・被告になれる(第26条4項)」の説明と同じですが、裁判において出される判決(確定判決)の効力は、原則としてその裁判の当事者(原告・被告)にしか及びません。(民事訴訟法第115条)

<参照> 民事訴訟法 第115条

(確定判決等の効力が及ぶ者の範囲)
第百十五条 確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。
   一 当事者
   二 当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人
   三 前二号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人
   四 前三号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者

2 前項の規定は、仮執行の宣言について準用する。

 所在等が不明な区分所有者に代わって、公的な裁判所から管理人が選任されていればその管理人が裁判の当事者になるのは、納得の行くところです。

 管理人の権限として、前の第46条の3 2項の別の規定として設けるほどでもない規定ですが、該当の専有部分に対して裁判となれば、管理者が不明な区分所有者に代わって、原告・被告になるという当然の規定です。

 裁判の例としては、マンションで管理費や修繕積立金を滞納して裁判になった時とか、区分所有法第57条以下に定められている「義務違反者に対する措置」で、
  @使用禁止の請求〈第58条
  A区分所有権の競売の請求(第59条
 などの裁判が考えられます。


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第四十六条の四 (所有者不明専有部分等に関する訴えの取扱い) (注:令和8年4月1日施行。新設。) 

2項  所有者不明専有部分管理命令が発せられた場合には、所有者不明専有部分等に関する訴訟手続で当該所有者不明専有部分等の所有者(その共有持分を有する者を含む。第五項において同じ。)を当事者とするものは、中断する。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

★第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。



 令和8年4月1日施行で新しく設けられた区分所有法第46条の4 2項は、第46条の2により裁判所から出された所有者不明専有部分命令がだされた場合に、現在、該当の専有部分等の所有者(不明)が当事者となっている裁判をどうするかの規定です。

◎該当の所有者不明専有部分等に関する訴訟手続は、中断する 〜また、再開(受け継ぎ)がされる〜

 裁判の中断とは・・・訴訟手続きが一時的に停まることです。

 具体的な例としては、当事者の一方が死亡したとか、精神的または身体的に訴訟を続けられないとか、天災で交通が途絶えたとか、他の法的な事由が発生して状況が変わった場合等です。
 これらの場合、中断事由が解消されるまで、訴訟手続きは停まります。(民事訴訟法第124条)

<参照> 民事訴訟法 第124条

訴訟手続の中断及び受継
第百二十四条 次の各号に掲げる事由があるときは、訴訟手続は、中断する
この場合においては、それぞれ当該各号に定める者は、訴訟手続を受け継がなければならない。
   一 当事者の死亡 相続人、相続財産の管理人、相続財産の清算人その他法令により訴訟を続行すべき者
   二 当事者である法人の合併による消滅 合併によって設立された法人又は合併後存続する法人
   三 当事者の訴訟能力の喪失又は法定代理人の死亡若しくは代理権の消滅 法定代理人又は訴訟能力を有するに至った当事者
   四 次のイからハまでに掲げる者の信託に関する任務の終了 当該イからハまでに定める者
     イ 当事者である受託者 新たな受託者又は信託財産管理者若しくは信託財産法人管理人
     ロ 当事者である信託財産管理者又は信託財産法人管理人 新たな受託者又は新たな信託財産管理者若しくは新たな信託財産法人管理人
     ハ 当事者である信託管理人 受益者又は新たな信託管理人
   五 一定の資格を有する者で自己の名で他人のために訴訟の当事者となるものの死亡その他の事由による資格の喪失 同一の資格を有する者
   六 選定当事者の全員の死亡その他の事由による資格の喪失 選定者の全員又は新たな選定当事者

2 前項の規定は、訴訟代理人がある間は、適用しない。

3 第一項第一号に掲げる事由がある場合においても、相続人は、相続の放棄をすることができる間は、訴訟手続を受け継ぐことができない。

4 第一項第二号の規定は、合併をもって相手方に対抗することができない場合には、適用しない。

5 第一項第三号の法定代理人が保佐人又は補助人である場合にあっては、同号の規定は、次に掲げるときには、適用しない。
   一 被保佐人又は被補助人が訴訟行為をすることについて保佐人又は補助人の同意を得ることを要しないとき。
    二 被保佐人又は被補助人が前号に規定する同意を得ることを要する場合において、その同意を得ているとき。

 この民事訴訟法 第124条では、所有者不明専有部分管理人(管理人)は、入っていませんが、前の第46条の4 1項により、裁判所により不明等である区分所有者に代わって所有者不明専有部分管理命令で新しく所有者不明専有部分管理人(管理人)が選任され、管理人が裁判の原告・被告になるとしましたから、不明であったその該当の専有部分の区分所有者(不明な共有者を含んで)の名義で裁判が行われていれば、その不明な区分所有者に代わって管理人を裁判の当事者(原告/被告)に出来ますから、不明な区分所有者を裁判の当事者として進行中であった裁判を中断して、当事者名を不明な区分所有者から管理人に変更する手続などを行い、それが終わると、今度は新しく管理人が当事者となった裁判が再開されます。
 そして、新しい訴訟の追行者が訴訟手続きを進めます。

 一時中断した訴訟は、次の第46条の4 3項により、 所有者不明専有部分管理人が、原告/被告として、受け継ぐことになります。
 これが、訴訟手続の受け継ぎ(受継)です。

 基本的な、改正区分所有法のスタンスとしては、
 所有者不明専有部分管理命令により訴訟の当事者に空白が生じる場合には、 民事訴訟法上の中断・受継制度を踏まえ、 所有者不明専有部分管理人をして当該訴訟手続を受け継がせることにより、 訴訟の適正かつ迅速な解決を図る趣旨です。



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第四十六条の四 (所有者不明専有部分等に関する訴えの取扱い) (注:令和8年4月1日施行。新設。)

3項 前項の規定により中断した訴訟手続は、所有者不明専有部分管理人においてこれを受け継ぐことができる。
 この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。

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★第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。



 令和8年4月1日施行で新しく設けられた区分所有法第46条の4 3項は、第46条の2 により裁判所から所有者不明専有部分命令がだされた場合に、現在、該当の専有部分等の所有者(不明)が当事者(原告/被告)となっている裁判は、中断するとしました(第46条の4 2項)から、中断された裁判の当事者をどうするかの規定が必要です。

◎中断された訴訟手続きは、所有者不明専有部分管理人(管理人)が引き継ぐ。(受継)

 裁判手続きで、不明となっていた区分所有者に代わって所有者不明専有部分管理人(管理人)が裁判所から選任されましたから、不明となっていた区分所有者が当事者(原告/被告)となっていた裁判は、管理人が引き継ぐ(受け継ぐ)ことになります。
 規定では、「中断した訴訟手続は、所有者不明専有部分管理人においてこれを受け継ぐことが”できる”」と「できる」になっていますが、ここは単に「受け継ぐ」としても良い規定です。

◎訴訟の相手方からも、不明な区分所有者に代わって管理人を訴訟の当事者にできる。

 不明となった区分所有者に代わって新しく所有者不明専有部分管理人(管理人)が地方裁判所から選任されたにも係らず、訴訟が中断されたままの状態でおかれては、訴訟の相手方も困ってしまいます。

 そこで、訴訟の相手方から、事件の当事者を管理人に代えるようにして、一時中断していた裁判を再開(受継)できます。(民事訴訟法 第126条)

<参照> 民事訴訟法 第126条

(相手方による受継の申立て)
第百二十六条 訴訟手続の受継の申立ては、相手方もすることができる。

 なお、提出する証拠書類としては、
  所有者不明専有部分についての「管理命令謄本、管理人選任決定」です。


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第四十六条の四 (所有者不明専有部分等に関する訴えの取扱い) (注:令和8年4月1日施行。新設。)

4項 所有者不明専有部分管理命令が取り消されたときは、所有者不明専有部分管理人を当事者とする所有者不明専有部分等に関する訴訟手続は、中断する。

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第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。



 令和8年4月1日施行で新しく設けられた区分所有法第46条の4 4項は、第46条の2により裁判所から出された所有者不明専有部分命令が取り消された場合、所有者不明専有部分管理人(管理者)がいなくなる恐れがありますから、この場合には、管理者を裁判の当事者(原告・被告)にしていた裁判(訴訟手続)は、一時的に中断すると規定しています。

◎所有者不明専有部分管理命令が取り消されたときは、所有者不明専有部分管理人を当事者とする所有者不明専有部分等に関する訴訟手続は、中断する。

 裁判の当事者である所有者不明専有部分管理人(原告/被告)がいなくなる恐れがあれば、所有者不明専有部分管理人の訴訟当事者適格は、 所有者不明専有部分管理命令の存在を前提とするため、 当該命令が取り消された場合には当事者適格が失われることから、裁判が停まる(中断する)のは、当然です。
 注:裁判は中断するだけで、終わる(終了)ではありません。

◎所有者不明専有部分管理命令が取り消された場合とは
 相続を含めて不明だった区分所有者が現れたとか
 管理すべき専有部分(財産)が、売却で新しい区分所有者ができた
 とか、建物の取壊しなどで、一度無くなることです。(第46条の2 3項参照)
 
  所有者不明専有部分管理命令が取り消されるという状況にあれば、裁判所から選任された所有者不明専有部分管理人(管理者)を当事者とした裁判にも影響が及びますから、とりあえず、その裁判は中断して状況を確認します。

 この中断した裁判は、所有者不明専有部分”等”の「所有者」が引き継ぎます。(次の、第46条の4 5項)


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第四十六条の四 (所有者不明専有部分等に関する訴えの取扱い) (注:令和8年4月1日施行。新設。) 

5項 所有者不明専有部分等の所有者は、前項の規定により中断した訴訟手続を受け継がなければならない。
 この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

★第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。



 令和8年4月1日施行で新しく設けられた区分所有法第46条の4 5項は、第46条の2により裁判所から出された所有者不明専有部分命令が取り消された場合、所有者不明専有部分管理人(管理人)がいなくなり、裁判手続きは中断する(第46条の4 4項)としていますから、中断した裁判を誰が受け継ぐのか、それは「所有者不明専有部分等の所有者=区分所有者」としています。

所有者不明専有部分”等”・・・第46条の3 1項
  @所有者不明専有部分管理命令の対象とされた専有部分 又は
  A共有なら共有持分 並びに
  Bその動産(物品、備品など) 並びに
  C共用部分(バルコニー、ベランダなど) 及び
  D附属施設(集会所、駐車場など)に関する権利 並びに
  E敷地利用権 並びに
  Fこれらの管理・処分、その他の事由で管理人が得た財産(賃貸収入など)

◎裁判で、所有者不明専有部分管理命令が取り消されて、所有者不明専有部分管理人(管理人)がいなくなった場合には、新しく「所有者」が裁判の当事者(原告・被告)になる(受継)

 
 前の第46条の4 4項で、所有者不明専有部分管理命令が取り消された場合に、所有者不明専有部分管理人(管理人)が当事者(原告・被告)となっていた裁判(訴訟手続)は、中断するとしましたから、中断した裁判を再開する規定が必要です。
 言い換えると、今まであった裁判の「後始末」を、誰がするのかということです。

 所有者不明専有部分管理命令が取り消されると、所有者不明専有部分管理人(管理人)はいなくなりますから、だれかが、裁判(訴訟)手続きを引き継ぐことになります。
 そのだれかは専有部分の所有者となる人です。

◎所有者不明専有部分管理命令が取り消された場合の「所有者」とは
 ・不明であった区分所有者が不明でなくなった
 ・専有部分が売却された
 など時の区分所有者ですが、ここを「所有者」としているのは、まだ、相続の関係から登記が終わっていない場合も想定して、区分所有法での「区分所有者」には該当しない場合もあるため、民法上での通常の権利を表す「所有者」としたようです。

★不明であった区分所有者が現れれば、問題は解決するけど、元の区分所有者が依然として不明な場合はどうするのか?

 今回の改正区分所有法では、単に訴訟上の手続は解決したように見えますが、最終的な解決は先送りしています。

 注:第45条の4 4項と5項での「取消し」の理由は、「所有者不明専有部分等の所有者」が特定できる状態になった場合の規定で、所有者が不明のままを前提としていないとの考えかたもありますが、それであれば、「取消し」事由を明確にすべきです。

★訴訟の相手方も、「受継」できる

 これは、前の第46条の4 3項と同様です。

 所有者不明専有部分管理命令が取り消されて、所有者不明専有部分管理人(管理人)を当事者とする所有者不明専有部分等に関する訴訟手続は、中断しています。

 管理人に代わって 所有者不明専有部分等の所有者が、新しく訴訟手続を受け継ぎますが、その所有者が訴訟手続きをしない場合には、訴訟の相手方から、事件の当事者を所有者不明専有部分等の所有者に変更して、一時中断していた裁判を再開(受継)できます。(民事訴訟法 第126条)

<参照> 民事訴訟法 第126条

(相手方による受継の申立て)
第百二十六条 訴訟手続の受継の申立ては、相手方もすることができる。

 なお、提出する書類としては、
  ・所有者不明専有部分管理命令が取り消されたこと 取消決定謄本
  ・所有者が誰か 登記事項証明書 戸籍(相続の場合)
  ・その訴訟が「管理人当事者」だったこと
  ・訴状・答弁書写し
 です。

 民事訴訟法に優先する特別法として、区分所有法が、中断した訴訟が未解決のまま残るのを避けた規定です。


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第四十六条の五 (所有者不明専有部分管理人の義務) (注:令和8年4月1日施行。新設。) 

1項 所有者不明専有部分管理人は、所有者不明専有部分等の所有者(その共有持分を有する者を含む。)のために、善良な管理者の注意をもつて、その権限を行使しなければならない。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

★第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。

 令和8年4月1日施行で新しく設けられた区分所有法第46条の5 1項は、第46条の2により裁判所から出された所有者不明専有部分命令により裁判所から選任された所有者不明専有部分管理人(管理人)の義務を規定しています。

 なお、所有者不明専有部分管理人の権限は、前の第46条の3 に規定されています。

所有者不明専有部分”等”・・・第46条の3 1項
  @所有者不明専有部分管理命令の対象とされた専有部分 又は
  A共有なら共有持分 並びに
  Bその動産(物品、備品など) 並びに
  C共用部分(バルコニー、ベランダなど) 及び
  D附属施設(集会所、駐車場など)に関する権利 並びに
  E敷地利用権 並びに
  Fこれらの管理・処分、その他の事由で管理人が得た財産(賃貸収入など)


◎所有者不明専有部分管理人(管理人)の義務の内容 〜善管注意義務〜

所有者不明専有部分管理人(管理人)は不明な区分所有者(共有者を含めて)や相続で未登記の所有者などに対して「善良な管理者の注意をもって、その権限を行使しなければならない」となっています。
この管理人の義務は、一般に「善管注意義務」と呼ばれる義務で、その内容は「職業や地位において、社会通念上求められる程度の注意を払う義務」のことです。

 他人の財産を預かって管理する立場ですから、その道のプロとして、一般の区分所有者が自分の部屋を管理する際(自己の財産に対するのと同一の注意)よりも、一段階高いレベルの注意義務です。

 雨漏りなどがあれば、速やかに調査し、応急の対応が必要ですし、管理費や修繕積立金を滞納せず支払うことですし、金銭の出入りは、必ず帳簿につけて報告できるようにします。

 また、裁判所の許可の有無などに従った行為が必要です。(参考:第46条の3 2項)

 参考:注意義務に関して似たような義務として「自己の財産に対する注意義務」があります。
   「自己の財産に対する注意義務」とは、自分の財産を管理するのと同じ程度の注意を払う義務のことです。
    自己の財産に対する注意義務は、善管注意義務よりも注意の程度が低いとされます。(民法第264条の11 1項と同じ)

<参照> 民法 第264条の11

(管理不全土地管理人の義務)
第二百六十四条の十一 管理不全土地管理人は、管理不全土地等の所有者のために、善良な管理者の注意をもって、その権限を行使しなければならない。

2 管理不全土地等が数人の共有に属する場合には、管理不全土地管理人は、その共有持分を有する者全員のために、誠実かつ公平にその権限を行使しなければならない。

 この第46条の5 1項でも、「所有者不明専有部分管理人は、”所有者不明専有部分等の所有者”に対して」となっていて「区分所有者」となっていないことに注意。

 管理人の制度は、基本的に民法での同様の規定を載せているだけなので、区分所有法での多数決が支配する「団体法」が支配する規定でなく、民法の実体上の権利の主体者である「所有者」としている。
 

*さらに、専有部分が共有の場合は、共有者全員に対して
  ・誠実・公平にその権限を行使すること(第46条の5 2項)
  「誠実」とは、真心をもって人や物事に接すること、嘘や偽りがなく、正直で真面目な態度を指します。
  一方、「公平」とは、偏らず、えこひいきをせず、すべてのものを平等に扱うことです。
  民法における誠実かつ公平とは、信義誠実の原則(信義則)に基づき、お互いの信頼を裏切らないように誠実に行動することを意味します。(民法第1条2項)

 所有者不明専有部分管理人は、不明な区分所有者などに代わって保存行為や利用・改良行為の権限(第46条の3)を行うのですから、当然な規定です。

<参照> 民法 第1条

(基本原則)
第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。

2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。

3 権利の濫用は、これを許さない。

所有者不明専有部分管理人と所有者不明専有部分等の所有者との利益相反行為は禁止される

  よく代理人と本人との関係で問題になるのが、例えば、代理人が、代理している人の土地を買うなど場合などの「利益相反行為」です。

  所有者不明専有部分管理人も代理人に近い存在ですから、管理している専有部分を自ら購入するような行為は、許されないとなります。(参考:民法第108条)

 <参照> 民法 第108条

(自己契約及び双方代理等)
第百八条 同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。
ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。

2 前項本文に規定するもののほか、代理人と本人との利益が相反する行為については、代理権を有しない者がした行為とみなす。
ただし、本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。


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第四十六条の五 (所有者不明専有部分管理人の義務) (注:令和8年4月1日施行。新設。) 

2項 数人の者の共有持分を対象として所有者不明専有部分管理命令が発せられたときは、所有者不明専有部分管理人は、当該所有者不明専有部分管理命令の対象とされた共有持分を有する者全員のために、誠実かつ公平にその権限を行使しなければならない。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

★第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。


 令和8年4月1日施行で新しく設けられた区分所有法第46条の5 2項は、第46条の2により裁判所から出された所有者不明専有部分命令により裁判所から選任された所有者不明専有部分管理人(管理人)の義務を規定しています。

◎専有部分が共有での所有者不明専有部分管理人は、共有者全員のために「誠実・公平」の義務を負う

 前の第46条の5 1項では、所有者不明専有部分管理人(管理人)の義務として「善管注意義務」をあげています。

 さらに、管理人の立場が、共有者の一部に代わって選任された場合には、特別に該当の専有部分を有する共有者全員のために「誠実かつ公平にその権限を行使しなければならない」とされています。

 どうして、管理人には「善管注意義務」を求めてる(第46条の5 1項)だけでなく、共有の場合「誠実・公平」までを求めているのかはハッキリしませんが、基本となっている民法第264条の5 2項にも同様な規定があります。

<参照> 民法 第264条の5 

(所有者不明土地管理人の義務)
第二百六十四条の五 所有者不明土地管理人は、所有者不明土地等の所有者(その共有持分を有する者を含む。)のために、善良な管理者の注意をもって、その権限を行使しなければならない。

2 数人の者の共有持分を対象として所有者不明土地管理命令が発せられたときは、所有者不明土地管理人は、当該所有者不明土地管理命令の対象とされた共有持分を有する者全員のために、誠実かつ公平にその権限を行使しなければならない。

 区分所有法での、この規定を考えてみますと、
 専有部分が数人の共有関係にある場合に、相続がまだ終わっていないとか、複数の共有者が所在等不明である場合には、特定の共有者の利益を犠牲にして他の共有者の利益を図るような行為をすることは適当でないため、共有持分権者全員のために誠実かつ公平にその権限を行使しなければならないとのことです。

 管理人は、ある特定の共有者の利益を優先するのではなく、「全共有者の利益」を考えて、「誠実・公平」に管理人として行動しろということです。

 当たり前ですが。


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第四十六条の六 (所有者不明専有部分管理人の解任及び辞任) (注:令和8年4月1日施行。新設。)

1項 所有者不明専有部分管理人がその任務に違反して所有者不明専有部分等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、所有者不明専有部分管理人を解任することができる。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

★第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。



 令和8年4月1日施行で新しく設けられた区分所有法第46条の6 1項は、前の第46条の2により地方裁判所から出された所有者不明専有部分命令によりその地方裁判所から選任された所有者不明専有部分管理人(管理人)が、どのような場合に解任されるかの規定です。

所有者不明専有部分”等”・・・第46条の3 1項
  @所有者不明専有部分管理命令の対象とされた専有部分 又は
  A共有なら共有持分 並びに
  Bその動産(物品、備品など) 並びに
  C共用部分(バルコニー、ベランダなど) 及び
  D附属施設(集会所、駐車場など)に関する権利 並びに
  E敷地利用権 並びに
  Fこれらの管理・処分、その他の事由で管理人が得た財産(賃貸収入など)

★所有者不明専有部分管理人の解任事由

 区分所有者が不明とか不在な場合に利害関係人からの請求で出された「所有者不明専有部分管理命令(第46条の2)によって選任された所有者不明専有部分管理人(管理人)であっても、ちゃんとその任務を行っていないとか、管理を任されている専有部分などに損害を与えたりした時には、管理人としてふさわしくありませんから、そのらの事態が起きたときに、管理人を選任した地方裁判所は、事情を知っている利害関係人からの請求でその管理人を解任します。

 なお、解任は、裁判所などから強制的にその人の「役職=管理人職」を奪うことで、次(第46条の6 2項)に出てくる管理人が自らの意思で「職」を辞める「辞任」ではありません。

◎任務違反で、
  @該当の専有部分等に著しい損害を与えた、また
  A重要な事由 とは
 所有者不明専有部分管理人(管理人)がその任務に違反して所有者不明専有部分等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときの具体的な例は、
 ・雨漏りの修理をしなかったために専有部分がカビだらけになったとか
 ・重大な過失で専有部分(室)が回復できない状態になった場合とか、
 ・管理費や修繕積立金を横領(使い込み)したとか、
 ・明らかに過大な修理費を支払ったとか、
 ・管理の報告がでたらめとか、
 ・虚偽の報告をしたとか
 ・管理人が精神的や肉体的な面においてこれ以上任務を遂行することが難しい状況になった
 など該当しますか。

 要は、管理人の「作為・不作為」によって、結果としての損害が無視できない状況になっていて、この管理人を存続させることはできないと裁判所が納得できることです。

★管理人の解任請求は、利害関係人から行う 〜裁判所の職権では、しない〜

 この管理人の解任を請求するのは、利害関係人ですが、利害関係人として考えられる範囲は、所有者不明専有部分管理命令を出してくれと請求した利害関係人(第46条の2 1項)とほぼ同様に、
 @区分所有者の団体(管理組合)を代理して管理者
 A区分所有者の団体が法人化されていれば、管理組合法人の理事
 B他の区分所有者、
 C専有部分が共有関係にあれば共有者の誰かが不明なため連絡がとれないなどで困っている他の共有者
 D専有部分の賃借人(状況によるが)
 E担保権者(担保の価値がなくなる場合)
 F状況によっては地方公共団体の長
 に追加して、
 G後から判明した所有者本人
 も利害関係人に入ると考えられます。

 管理人の解任請求は、必ず利害関係人からの請求が必要で、重要な事由があるときでも、裁判所独自の職権ではできないことに注意してください。

 この理由としては、別途、重要な事項が発生した場合には、裁判所は、その「所有者不明専有部分管理命令」を取り消すことができるので、裁判所の「職権」による解任を、ここで、規定するまでもないとの判断のようです。(改正・新設 第87条 9項)

<参照> 区分所有法 第87条 9項だけ

(所有者不明専有部分管理命令)
第八十七条 

9 裁判所は、所有者不明専有部分管理命令を変更し、又は取り消すことができる。


  また、管理される行為の空白を作らないため、解任請求と同時に、利害関係人は後任の管理人の選任も裁判所に求めます。


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第四十六条の六 (所有者不明専有部分管理人の解任及び辞任) (注:令和8年4月1日施行。新設。)

2項  所有者不明専有部分管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

★第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。




 令和8年4月1日施行で新しく設けられた区分所有法第46条の6 2項は、第46条の2により裁判所から出された所有者不明専有部分命令により裁判所から選任された所有者不明専有部分管理人(管理人)が辞任できる規定です。

★所有者不明専有部分管理人(管理人)の辞任 〜正当な事由が必要〜

 裁判所から選任された所有者不明専有部分管理人(管理人)には、ほぼ区分所有者と同様な強い権限(第46条の3)が与えられ、また利害関係人も多い為、自ら勝手に辞任することは出来ませんが、”正当な事由”があれば、裁判所の許可を得て辞任できます。

 管理人が辞任できる「正当な事由」とは、
 @長期に渡り病気の治療が必要
 A高齢による判断力の低下や体力の衰え
 などですか。

*所有者不明専有部分命令の「取消し事由」と辞任の「正当な事由」との関係

 通常、相続関係が決着がつき不明であった所有者が明確になれば、所有者不明専有部分命令は裁判所によって「取り消し」となります(第46条の2 3項)が、この状況に裁判所が気付かない場合には、管理者からの辞任の正当事由にできるでしょう。


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第四十六条の七 (所有者不明専有部分管理人の報酬等) (注:令和8年4月1日施行。新設。)

1項  所有者不明専有部分管理人は、所有者不明専有部分等から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

★第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。

 令和8年4月1日施行で新しく設けられた区分所有法第46条の7 1項は、第46条の2により裁判所から出された所有者不明専有部分命令により裁判所から選任された所有者不明専有部分管理人(管理人)の報酬・費用の規定です。

★所有者不明専有部分管理人(管理人)は、費用代と報酬を貰える

 所有者不明専有部分命令により地方裁判所から選任された所有者不明専有部分管理人(管理人)は、無償でその任務を行う訳ではありません。当然に報酬を貰い、修繕などにかかった費用も前払いで請求できます。

 その管理人の報酬とかかった費用は、裁判所が、客観的に決めて、支払うのは「所有者不明専有部分等の所有者(その共有持分を有する者を含む。)の負担(次の第46条の7 2項)」となっています。

 しかし、不明な所有者がどのようにして、現実の金銭を支払うのか、面白い規定です。

 負担者については、次の第46条の7 2項 を読んでください。

★費用と報酬は、裁判所が定める 〜誰がはらう?〜

 管理人に支払う費用や報酬は、利害関係人に決めさせると管理人と利害関係が衝突してなかなか決まらない状況が想定されますから、ここは、第三者である裁判所が中立的に決めるとなっています。

 修繕など費用の方は、現実にかかった(また、見積り)金額ですからこの方の決め方はそのままで決まりますが、報酬額の決め方は、簡単ではありません。

 報酬の決め方としては、
  ・管理の内容
  ・管理に必要な時間(短期・長期)
  ・責任の軽重
  ・専門的な知識の必要性(マンション管理士か弁護士か)
 などを考慮して、事案ごとに決めることになります。

 で、裁判所が決めた、費用や報酬は、一体だれが、払うのでしょうか。
その解答が、次の第46条の7 2項にあります。


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第四十六条の七 (所有者不明専有部分管理人の報酬等) (注:令和8年4月1日施行。新設。)

2項 所有者不明専有部分管理人による所有者不明専有部分等の管理に必要な費用及び報酬は、所有者不明専有部分等の所有者(その共有持分を有する者を含む。)の負担とする。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

★第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。



 
 令和8年4月1日施行で新しく設けられた区分所有法第46条の7 2項は、第46条の2により裁判所から出された所有者不明専有部分命令により裁判所から選任された所有者不明専有部分管理人(管理人)の報酬を誰が負担するかの規定です。

★所有者不明専有部分管理人(管理人)の費用・報酬は、不明な所有者が負担する

 前の第47条の7 1項で、所有者不明専有部分管理人(管理人)にも報酬やかかった費用が前払いで払われることになっていますから、管理人の報酬や管理に係る費用の負担を誰がするのかというと、規定では「所有者不明専有部分等の所有者(その共有持分を有する者を含む。)の負担とする」として、不明な所有者が負担することにしています。

 しかし、不明な所有者からどうやって、金を支払わせるのでしょうか?
 
 まったく、理論だけで、実態がない規定です。

★請求した利害関係人が予納金から支払う

 所有者不明専有部分管理人(管理人)を選任した裁判所が、その責任において費用や報酬を管理人に支払うとしたら面白いのですが、財源のない裁判所が払うなんてことはありません。

 現実には、今支払える「所有者不明専有部分管理命令」を請求した利害関係人が、「予納金」の名目で、裁判所が算定した金額を、「所有者不明専有部分管理命令」の請求に準じて収めます。

  具体的には、 大阪地方裁判所の「管理不全土地・建物管理命令申立てについてのQ&A」の例ですが、
  

 予納金

  手続に必要な金銭を裁判所に納めていただきます。

  管理費用(投棄されたごみの除去等に要する費用等、管理のために必要となる費用)や管理人報酬の原資となるものです。
 具体的な金額については、予定される管理業務の内容や管理に要する期間等を勘案した上で、裁判官が判断し、後日、担当書記官からご連絡します(予納金が納付された後、管理命令を発令するか判断がされます。)。

 ※ 管理のために見込まれる費用の算出のために、申立て段階で申立人に見積りをしてもらうことがあります。
 ※ 裁判所からの連絡後、相当期間内に予納金が納付されなかった場合、そのことを理由に申立てが却下される場合があります。
 ※ 管理が終了して予納金に残余がある場合は、残余の予納金を返還します。
 ※ 当初の見通しを上回る費用等が必要となった場合等は、予納金の追納をお願いする場合があります。
 

 とあり、申立てた利害関係人が、予納金として、前もって収めます。

 この予納金は、最終的に、その専有部分の所有者が決定すれば、その所有者から返して貰う仕組みです。

 これだけの情報では現実の管理人の報酬は、いくらになるのか不明ですが、「マンション管理士 香川事務所」としては、、月10万円は欲しいところです。

 かなりの期間管理人が必要となると、例えば、1年間なら、管理人の報酬だけでも、120万円 になる。
 不明な区分所有者の調査や管理人への報酬、滞納している管理費や修繕積立金も立替えるとなると、かなりの予納金が必要となる。

 この制度はチャンと利用できるのかな? 机上の理論構成だけが先行していないか。


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◎第七節 管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令

 ここからは、管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令に入ります。

  条文と解説とが、今までの「所有者不明専有部分管理命令」と似ていますから、注意してください。

第1章 建物の区分所有
第七節 管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 (注:令和8年4月1日施行。新設。) 
第四十六条の八 (管理不全専有部分管理命令) (注:令和8年4月1日施行。新設。)

1項 裁判所は、区分所有者による専有部分の管理が不適当であることによつて他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該専有部分を対象として、第三項に規定する管理不全専有部分管理人による管理を命ずる処分(以下「管理不全専有部分管理命令」という。)をすることができる。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

★第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。

 ここからは、令和8年4月1日施行の改正区分所有法で新設された、

 第7節 管理不全”専有部分”管理命令及び管理不全”共用部分”管理命令 に入ります。
 第7節の構成は、

  第7節 管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令
  
  第7節は、前半の5条が「専有部分」の管理で、後の2条は「共用部分」の管理として規定されています。
  @第46条の8  管理不全専有部分管理命令
  A第46条の9  管理不全専有部分管理人の権限
  B第46条の10 管理不全専有部分管理人の義務
  C第46条の11 管理不全専有部分管理人の解任及び辞任
  D第45条の12 管理不全専有部分管理人の報酬等

  E第46条の13 管理不全共用部分管理命令
  F第46条の14 管理不全共用部分管理人の権限等
 となっています。

 今まで、説明しました、 第6節の構成
 第6節 所有者不明専有部分管理命令
  @第46条の2 所有者不明専有部分管理命令 
  A第46条の3 所有者不明専有部分管理人の権限
  B第46条の4 所有者不明専有部分等に関する訴えの取扱い
  C第46条の5 所有者不明専有部分管理人の義務
  D第46条の6 所有者不明専有部分管理人の解任及び辞任
  E第46条の7 所有者不明専有部分管理人の報酬等
 と比べてみれば分かるように、第6節と第7節の構成は、ほぼ同じです。


 上で説明したように第6節は、区分所有者が不明な場合に所有者不明専有部分管理人を裁判所が選任して、その管理人が専有部分等の管理を行いますが、これから説明します第7節は、区分所有者は分かっているが、その専有部分(室)やバルコニー、ベランダなどの共用部分にいつまでもゴミが放置されているなどで管理が不全なときに、区分所有者に代わって、管理不全”専有部分”管理人や管理不全”共用部分”管理人を、”所有者不明”専有部分管理人と同様に裁判所が選任して、それらの管理人に、該当の専有部分や共用部分の管理を適切にやらせて、管理不全な状態を解消するのが目的です。

 国内管理人とか、管理不全専有部分管理人など、各種管理人の制度は、纏めると以下のようになります。
     ◎区分所有建物の管理に特化した財産管理制度
条文など 状況   請求者  選任者 名称  管理人の業務内容
第6条の2 区分所有者が海外にいる     ------ 区分所有者が管理人を選任 国内管理人 管理人の権利・義務・報酬など
第6節  所有者不明 利害関係人の請求 地方裁判所が管理人を選任  所有者不明専有部分管理人
第7節   所有者はいるが
管理不全 
専有部分 管理不全専有部分管理人
共用部分  管理不全共用部分管理人


 上で説明した第6節の「所有者不明専有部分管理命令」では、区分所有者が不明・不在の規定でしたが、これから解説に入る、第七節 管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令は、区分所有者はいるが、ゴミが放置されたままとかで管理が出来ていない専有部分(室)やベランダなどの共用部分の管理を、区分所有者に代わって管理人が行う制度 です。

 管理不全”専有部分”管理命令と管理不全”共用部分”管理命令の違いは管理の対象が、
  @管理不全”専有部分”管理命令なら
   ・専有部分(室)と共用部分また附属施設、そこにある動産、その権利、敷地利用権
  と広いが
  A管理不全”共用部分”管理命令なら、
   ・共用部分(廊下、外壁、配管など)とそこにある動産に限る
  の違いです。

   

◎管理不全専有部分管理命令

★条文の趣旨:

 それでは、令和8年4月1日施行で新しく追加された区分所有法 第7節  管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の最初の第46条の8 1項を見てみましょう。

<参照> 区分所有法 第46条の8 1項

管理不全専有部分管理命令
第四十六条の八 
裁判所は、
区分所有者による
専有部分の管理が不適当であることによつて
他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、
必要があると認めるときは、
利害関係人の請求により、
当該専有部分を対象として、第三項に規定する
管理不全専有部分管理人
による管理を命ずる処分(以下
管理不全専有部分管理命令」という。)をすることができる。

 区分所有法の「管理不全”専有部分”/”共用部分”管理制度」も、基本的には、令和5年(2023年)4月1日施行で改正・創設された民法の「所有者不明土地・建物管理制度」の条文を元にしています。

 民法が対象としています戸建て建物では、マンションのような区分所有建物での「専有部分(室)」とか、廊下・エントランスなどの「共用部分」という建物を区分する概念がないため、「管理不全建物管理命令」(民法第264条の14)の規定を一部変更したと言うことです。
 元となった「管理不全建物管理命令」(民法第264条の14)は以下のような規定です。

<参照> 民法 第264条の14

管理不全建物管理命令
第二百六十四条の十四 裁判所は、所有者による建物の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該建物を対象として、管理不全建物管理人(第三項に規定する管理不全建物管理人をいう。第四項において同じ。)による管理を命ずる処分(以下この条において「管理不全建物管理命令」という。)をすることができる。

2 管理不全建物管理命令は、当該管理不全建物管理命令の対象とされた建物にある動産(当該管理不全建物管理命令の対象とされた建物の所有者又はその共有持分を有する者が所有するものに限る。)及び当該建物を所有するための建物の敷地に関する権利(賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(所有権を除く。)であって、当該管理不全建物管理命令の対象とされた建物の所有者又はその共有持分を有する者が有するものに限る。)に及ぶ。

3 裁判所は、管理不全建物管理命令をする場合には、当該管理不全建物管理命令において、管理不全建物管理人を選任しなければならない。

4 第二百六十四条の十から前条までの規定は、管理不全建物管理命令及び管理不全建物管理人について準用する。

---------------------------------------------------
 ★準用されている第二百六十四条の十から前条(第264条の13)までの規定

(管理不全土地管理人の権限)
第二百六十四条の十 管理不全土地管理人は、管理不全土地管理命令の対象とされた土地及び管理不全土地管理命令の効力が及ぶ動産並びにその管理、処分その他の事由により管理不全土地管理人が得た財産(以下「管理不全土地等」という。)の管理及び処分をする権限を有する。

2 管理不全土地管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもって善意でかつ過失がない第三者に対抗することはできない。
   一 保存行為
   二 管理不全土地等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

3 管理不全土地管理命令の対象とされた土地の処分についての前項の許可をするには、その所有者の同意がなければならない。

---------------------------------------------------

(管理不全土地管理人の義務)
第二百六十四条の十一 管理不全土地管理人は、管理不全土地等の所有者のために、善良な管理者の注意をもって、その権限を行使しなければならない。

2 管理不全土地等が数人の共有に属する場合には、管理不全土地管理人は、その共有持分を有する者全員のために、誠実かつ公平にその権限を行使しなければならない。

---------------------------------------------------

(管理不全土地管理人の解任及び辞任)
第二百六十四条の十二 管理不全土地管理人がその任務に違反して管理不全土地等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、管理不全土地管理人を解任することができる。

2 管理不全土地管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。

---------------------------------------------------

(管理不全土地管理人の報酬等)
第二百六十四条の十三 管理不全土地管理人は、管理不全土地等から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。

2 管理不全土地管理人による管理不全土地等の管理に必要な費用及び報酬は、管理不全土地等の所有者の負担とする。

 なお、民法第264条の14(管理不全建物管理命令)の規定は、区分所有法では、適用がありません。(区分所有法第6条4項)
 区分所有法では適用がないと令和5年4月1日施行で改正しながら、もう、新しく令和8年4月施行で区分所有法に民法とほぼ同様な規定を創設するとは、区分所有法の担当者は、区分所有法に専念する努力が足りないと思います。

<参照> 区分所有法 第6条4項

(区分所有者の権利義務等)
第六条 区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。

2 区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分若しくは自己の所有に属しない共用部分を使用し、又は自らこれらを保存することを請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。

3 第一項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者(以下「占有者」という。)に準用する。

4 民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百六十四条の八及び第二百六十四条の十四の規定は、専有部分及び共用部分には適用しない。

◎本規定の解説は、上の第46条の2「所有者不明専有部分管理命令」以降での説明と大差が無いのですが、「所有者不明専有部分管理命令」では、区分所有者が不明・不在でしたが、「管理不全”専有部分/共用部分”管理命令」においては、一応区分所有者はいますので、そのあたりが変更になります。

 管理不全命令は専有部分(室)にゴミが集積・放置しているような管理不全状態にある場合は「管理不全”専有部分”管理命令」とし、共用部分とされる外壁が剥落するような管理不全状態なら「管理不全”共用部分”管理命令」に分けています。

★裁判は非訟事件となる

 通常の訴訟手続とは異なる手続により、裁判所が民事の法律関係について後見的に介入して処理する事件=非訟事件扱いとなります。

 注:非訟事件と訴訟事件の違い
   *非訟事件・・・当事者のどちらかの「勝ち負けを決める激しい争い」が前提ではなく、
    ・一定の権利関係を確認する
    ・家事や相続などを円満に処理する
    ・許可や監督などを行う
   といった、裁判所による事務的・管理的な手続に近いものです。後見的なという言い方もあります。
    敵対する当事者が居ない場合もあり、その場合は、「利害関係人」が関与します。
   
  *訴訟事件・・・裁判所が、当事者同士の法律上の争いを「誰が正しいか」判断して、勝ち負けを決める手続です。
     例えば民事裁判や刑事裁判が典型です。

 裁判手続としては、これも令和8年4月1日施行の改正区分所有法で新設された 第四章 所在等不明区分所有者等の除外等に関する裁判手続(第86条〜第90条)」の第88条以下が、第7節「管理不全専有部分/共用部分管理命令」 (第46条の8〜第46条の14)を規定しています。

★申し立ての要件

 裁判所から対象となる区分所有建物の専有部分について「管理不全専有部分管理命令」を出してもらうには、区分所有者の存在は明らかですが、
  @その専有部分(室)の管理が不適当で他人の権利または法律上保護される利益の侵害、またはそのおそれがある場合
  A第三者による管理の必要性があると認められるとき
  B利害関係人から申し立てる(請求する)
 です。

 これらの要件が揃えば、例え、区分所有者本人が、管理は自分でできると反対していても、裁判所は、管理不全専有部分管理命令を出して「管理不全専有部分管理人」(3項)を、必ず選任して、その管理不全専有部分管理人が、専有部分やその動産・共用部分・附属施設など管理不全専有部分管理命令の対象となったものの管理と処分をすることになります。(第46条の9 1項)。
 ただし、区分所有者は存在していますから、所有者不明専有部分管理人の場合にその管理人が有していた集会(総会)おける議決権を管理不全専有部分管理人は、有しないことに注意してください。(第46条の9 2項)

 また、管理不全専有部分の管理処分権の全てが管理不全専有部分管理人に専属させず、管理不全専有部分に関する訴えにおいても、管理不全専有部分管理人を原告又は被告としないことも、所有者不明専有部分管理人と異なっています。

◎必要があると認めるときとは 〜管理不全な状態にあること〜

 まず、裁判所に管理不全専有部分管理命令を出してもらう理由としては、該当の専有部分が管理不全の状態にあることです。
 具体的には、区分所有者は判明しているが、該当の専有部分(室)にはゴミが集積されていて臭気や害虫の発生など、また専有部分の配管が腐ったまま放置されている、専有部分に可燃物が大量の置かれているなどで管理が不適当で、そのため、共用部分や他の区分所有者の専有部分や区分所有建物の近隣住民の権利・利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある事態が生ずることです。

 現実に被害がなくても、侵害されるおそれがあればいいということは、留意点です。

 そして、該当の区分所有者独自では、その改善が見込めない場合に、第三者を管理人(管理不全専有部分管理人)にして、その区分所有者に代わって、管理人がその専有部分などを管理することになります。

 

◎請求できる利害関係人の範囲

  裁判所に管理不全専有部分管理命令を出してくれと請求するのは、「利害関係人」とされています。

  利害関係人とは、ゴミが集積しているとかの管理不全の専有部分によって権利・利益の侵害(被害)を受け、又は受けるおそれがある者ですから、他の区分所有者や、賃借人、迷惑している区分所有建物の近隣住民、また区分所有者の団体(管理組合)の管理者、管理組合法人などが考えられます。

 なお、他の区分所有者が個別に裁判所に管理不全専有部分管理命令の請求をする際には集会の決議を経る必要はありませんが、管理者や管理組合法人がこの管理不全専有部分管理命令を出してくれと請求するには、規約又は集会の決議によることが必要と解されます。(区分所有法第26条第4項、第47条第8項参照)

 また、状況によっては地方公共団体の長も利害関係人に入ると考えられます

◎裁判手続きの流れ
 
 裁判所における手続きとしては、以下のようになります。

  1.利害関係人が、該当の専有部分又は共用部分の所在地を管轄する地方裁判所に申し立てを行います。(区分所有法第88条1項)。
    申し立て書の例: 別紙物件目録記載の区分所有建物の専有部分について管理不全専有部分管理命令による管理を命ずる  との裁判を求める。」
    この際には、その理由や申し立て手数料や郵便切手代・予納金(管理人の報酬など)・登録免許税などの費用がかかります。
  2.裁判所が提出された資料
   (登記事項証明書、固定資産評価証明書、戸籍謄本や住民票、適切な管理が必要な状況を証明する資料や写真など)
   に基づいて審理を行います。
  3.裁判所は、提出された資料が妥当であると判断したら、管理不全専有部分管理命令を発令し、管理不全専有部分管理人を選任します。
  4.選任された管理不全専有部分管理人が、権限に基づいて専有部分、共用部分、附属施設、建物の敷地にある動産等の権利を含めた管理を行います。(2項)
    共有の場合は、該当の共有者が所有する持分です。

   
◎管理不全専有部分管理命令の効力の及ぶ範囲

  管理不全専有部分管理命令の効力が及ぶ範囲は、以下のようになります。(第46条の8 2項)
  区分所有者(共有なら、その区分所有者の所有する持分)の
  @管理不全となっている専有部分(室) 又は
  A共用部分(ベランダやバルコニーなど) 
  B附属施設(管理事務室や集会所など) 若しくは
  C建物の敷地にある動産(家具、家電など) 並びに
  D共用部分 及び 附属施設に関する権利 並びに
  E敷地利用権
  です。

  専有部分(室)の権利=区分所有権は、共用部分と共に動き(第15条)、また敷地利用権も区分所有権との分離処分が禁止(第22条1項)されていることを思い出してください。

  その他の財産には及びません。


◎管理不全専有部分管理人に選任される人

  裁判所は、管理不全専有部分管理命令を出す際には、必ず、管理不全専有部分管理人を選任しなければなりません。(第46条の8 3項)
  管理不全専有部分の管理人には、マンション管理の専門家であるマンション管理士、法律に詳しい弁護士や司法書士など対象の建物の状況に応じた人が選任されます。
 また、区分所有者の団体(管理組合)の管理者(理事長)や、管理組合が法人化されていれば、管理組合法人の理事も、裁判所が適していると認めれば管理人になるでしょう。


◎管理不全専有部分管理人の権限

 @ 裁判所から選任された管理不全専有部分管理人(「管理人)は、管理の対象となっている専有部分や専用使用しているベランダやバルコニーなどの共用部分またその上にある動産(家具、備品など)など管理不全専有部分管理命令の対象となっている
  区分所有者(共有なら、その区分所有者の所有する持分)の
  ア.財産の処分(区分所有者の同意は不要)
   @管理不全となっている専有部分 又は
   A共用部分(ベランダやバルコニーなど) 
   B附属施設(集会所や駐車場など)若しくは
   C建物の敷地にある動産(家具、家電など) 並びに

 イ.権利については、
   D共用部分 及び 附属施設に関する権利 並びに
   E敷地利用権
 の管理を行います。

 専有部分の権利(区分所有権)と共に共用部分が動き(第15条)、共有である敷地利用権も、専有部分との分離処分が禁止(第22条1項)されていますから、当然です。

  ただし、管理人が勝手にできるのは、
   1.保存行為(修理程度) と
   2.管理不全専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
  だけで、これらを超える行為を行う時には、裁判所の許可が必要です。

 管理人が勝手に、専有部分を売却するような行為は、当然ながら出来ませんし(第49条の9 3項及び4項)、また、管理人は、集会での議決権も行使できません。
 集会に出席できるのは、あくまでも区分所有者です。


  具体的には、ゴミの撤去や家具・家電製品など動産の処分は管理人が区分所有者の同意がなくても、片付けられます。

 また、何らかの事情で管理人が得た財産があれば、これらの管理・処分も出来ます(第46条の9 1項)

◎管理不全専有部分管理人には、”集会の議決権”と”裁判の当事者適格”がない 

 注意しなければならないのは、上でも説明しましたが、管理不全専有部分管理人には、所在者不明専有部分管理人の権限にあった
  @集会における議決権(第46条の2 2項) と
  A裁判の当事者(原告・被告)になること(第46条の4 1項)
 が無いことです。
  これは、該当の区分所有者の存在は分かっているため、その区分所有者が実行することが妥当だからです。

◎管理不全専有部分管理人の権限・義務

 管理不全専有部分管理人としては、所在者不明専有部分管理人と同様に、保存行為や利用・改良行為は、管理不全専有部分管理人が独自の判断でできますし、(第46条の9 3項)、 管理不全専有部分管理人は、該当の区分所有者等のために「善管注意義務」を負い、(第46条の10 1項)、専有部分などが共有関係にあれば、他の共有者に対して「誠実・公平」の義務もあります。(第46条の10 2項)

◎管理不全専有部分管理人の解任及び辞任

 管理不全専有部分管理人がその任務で「著しい損害」を与えたり、「重要な事由」があれば、利害関係人は裁判所に請求して、その管理不全専有部分管理人を解任してもらえますし、逆に管理不全専有部分管理人からも「正当な事由」があれば、裁判所の許可で「辞任」できます。(第46条の11 2項)

◎管理不全専有部分管理人の報酬等

 管理不全専有部分管理人も無料で奉仕する訳ではありませんから、該当の管理不全専有部分等の管理に必要な費用や報酬は、裁判所が決めた額を貰えます。(第46条の12 1項)
 当然に、管理不全専有部分管理人に支払われる費用や報酬は、管理不全専有部分等の所有者の負担となります。(第46条の12 2項)

 ここで、管理不全専有部分等の”所有者”の負担となっていて、区分所有者となっていないのは、他でも説明しましたが、管理不全になっている専有部分の所有者が相続関係でまだ未確定なども想定して、区分所有者よりも広い概念である民法的に「所有者」にして、管理によって利益を得る権利者の負担(受益者負担)とするものです。

 一応、所有者がいるのですから、区分所有者の団体(管理組合)の管理費から支払われるのではありません


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第四十六条の八 (管理不全専有部分管理命令) (注:令和8年4月1日施行。新設。)

2項  管理不全専有部分管理命令の効力は、当該管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分又は共用部分、附属施設若しくは建物の敷地にある動産(当該管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分の区分所有者又はその共有持分を有する者が所有するものに限る。)並びに共用部分及び附属施設に関する権利並びに敷地利用権(いずれも当該管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分の区分所有者又はその共有持分を有する者が有するものに限る。)に及ぶ。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

★第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。



 令和8年4月1日施行の改正区分所有法で新しく設けられた区分所有法第46条の8 2項は、第46条の8 1項により裁判所から出された管理不全専有部分管理命令の効力に関する規定です。

◎管理不全”専有部分”管理命令の効力の範囲

 区分所有者では、ゴミが片付けられないとかで専有部分(室)の管理が不適当となっていて、そのため他の人の権利侵害やそのおそれがあると、裁判所は、区分所有者の団体(管理組合)の管理者(理事長)など利害関係人の請求により管理不全専有部分管理命令を出します。

 その管理不全専有部分管理命令の効力は、
 該当の区分所有者(共有なら、その共有持分だけ)の
  ア.動産(家具や什器備品)
   @対象とされた専有部分 又は
   A共用部分(ベランダやバルコニーなど)、
   B附属施設(集会所や駐車場など)にある物 若しくは
   C建物の敷地にある物

  イ.権利
   @共用部分に関する権利  及び
   A附属施設に関する権利 並びに
   B敷地利用権
  に及ぶ。

  専有部分の権利(区分所有権)と共に共用部分が動き(第15条)、共有である敷地利用権も、専有部分との分離処分が禁止(第22条1項)されていますから、当然です。

★共有関係を規定する理由

 この条文において、「共有関係」が出てくるのは、多くの場合、管理不全に陥りやすいのは、責任が明確でない場合、つまり、共有関係であることが多いためです。

 この共有関係にあれば、管理が出来ていない共有者の有するものについて、管理人は権限を行使します。

 ただし、管理人が勝手にできるのは、
   1.保存行為(修理程度) と
   2.管理不全専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
  だけで、これらを超える行為を行う時には、裁判所は、その区分所有者の同意を得たうえで許可します。
 

 管理人が勝手に、専有部分を売却するような行為は、当然ながら出来ませんし(第49条の9 3項及び4項)、また、管理人は、集会での議決権も行使できません。(第49条の9 2項)
 集会に出席できるのは、あくまでも区分所有者です。


  具体的には、ゴミの撤去や家具・家電製品など動産の処分は管理人が区分所有者の同意がなくても、片付けられます。

 また、何らかの事情で管理人が得た財産があれば、これらの管理・処分も出来ます(第46条の9 1項)

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第四十六条の八 (管理不全専有部分管理命令) (注:令和8年4月1日施行。新設。)

3項 裁判所は、管理不全専有部分管理命令をする場合には、当該管理不全専有部分管理命令において、管理不全専有部分管理人を選任しなければならない。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

★第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。



 令和8年4月1日施行の改正区分所有法で新しく設けられた区分所有法第46条の8 3項は、第46条の8 1項により裁判所から出された管理不全専有部分管理命令では、管理不全専有部分管理人を必ず選任するという規定です。

◎管理不全専有部分管理命令を出す際には、必ず「管理不全専有部分管理人を選任」すること

 区分所有者がいても、専有部分(室)にはゴミが集積している、専有部分から漏水があるが対応ができないので、下の階の区分所有者が困っているなど管理が不適当で、そのため他の区分所有者や管理者(利害関係人)が迷惑を被っている場合などに該当すれば、利害関係人の請求で、裁判所が、「必要」と認めれば、「管理不全専有部分管理命令」が出るわけです。

 この管理不全専有部分管理命令がでても、このままでは誰がその管理不全専有部分管理命令を執行するかが決まっていません。
 そこで、本第46条の8 3項で管理不全専有部分管理命令を執行する誰かは「管理不全専有部分管理人」であり、管理不全専有部分管理命令を出す場合には、必ず裁判所は管理不全専有部分管理人を選任しなければならないと規定しています。

 管理不全専有部分管理人には、区分所有法とマンションの管理に詳しい「マンション管理士 香川」や、法律に詳しい弁護士・司法書士が選任されるでしょう。 


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第四十六条の九 (管理不全専有部分管理人の権限) (注:令和8年4月1日施行。新設。)

1項 管理不全専有部分管理人は、管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分並びに管理不全専有部分管理命令の効力が及ぶ動産並びに共用部分及び附属施設に関する権利並びに敷地利用権並びにこれらの管理、処分その他の事由により管理不全専有部分管理人が得た財産(以下「管理不全専有部分等」という。)の管理及び処分をする権限を有する。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

★第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。



 令和8年4月1日施行の改正区分所有法で新しく設けられた区分所有法第46条の9 1項は、第46条の8 1項により裁判所から出された管理不全専有部分管理命令で選任された管理不全専有部分管理人の権限を定めた規定です。

◎管理不全専有部分管理人の権限 〜処分は、限定される〜

 裁判所から選任された管理不全専有部分管理人ですが、区分所有者に代わって全ての権限を有しているわけではありません。

 管理不全専有部分管理人が有している権限は、
 @対象の専有部分(室) 並びに
 A管理命令の効力が及ぶ動産 これは、第46条の2 2項により
   ア.動産(家具や什器備品)
    @対象とされた専有部分 又は
    A共用部分、
    B附属施設 若しくは
    C建物の敷地
 
  イ.権利
   @共用部分に関する権利  及び
   A附属施設に関する権利 並びに
   B敷地利用権
  に及ぶ。

 プラスして、
   ハ.管理・処分その他の事由により管理不全専有部分管理人が得た財産の管理及び処分をする権限を有する。
 
 かなり条文が「又は」とか「並びに」とか「、」とかが入り組んでいて分かり難いのですが、基本的に、管理不全専有部分管理人は、管理権と動産を片付ける程度はできますが、専有部分の処分(売却など)はできない。 専有部分などの処分権は、区分所有者が持つと言うことです。

 
  管理人が処分できるのは、管理・処分その他の事由により管理不全専有部分管理人が得た財産の処分だけです。

 具体的には、
  ・危険箇所の除去
  ・必要最低限の修繕
  ・清掃・防犯対応
  ・無断占有の排除
  ・賃貸可能なら短期賃貸
  程度です。

 参考:管理不全専有部分の管理処分権は管理不全専有部分管理人に専属させず、管理不全専有部分に関する訴えにおいても、管理不全専有部分管理人を原告又は被告としないことを想定している。

 管理処分権とは・・・自己の財産を管理し、処分する権限のことです。

 また、管理人が勝手にできるのは、
   1.保存行為(修理程度) と
   2.管理不全専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
  だけで、これらを超える行為を行う時には、裁判所の許可が必要です。
 

 管理人が勝手に、専有部分を売却するような行為は、当然ながら出来ませんし(第49条の9 3項及び4項)、また、管理人は、集会での議決権も行使できません。(第49条の9 2項)
 集会に出席できるのは、あくまでも区分所有者です。

 


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第四十六条の九 (管理不全専有部分管理人の権限) (注:令和8年4月1日施行。新設。)

2項 前項の規定にかかわらず、管理不全専有部分管理人は、集会において議決権を行使することができない。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

★第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。




 令和8年4月1日施行の改正区分所有法で新しく設けられた区分所有法第46条の9 2項は、第46条の8 1項により裁判所から出された管理不全専有部分管理命令で選任された管理不全専有部分管理人の権限を定めた規定です。

◎管理不全専有部分管理人の権限には、集会での議決権行使は入っていない 〜裁判で、原告/被告となることも入っていない〜

 本第49条の9 2項では、管理不全専有部分管理人の権限には、「集会で議決権を行使することが入っていない」としています。
 
 ”所有者不明”専有部分管理人と異なって、”管理不全”専有部分”管理人の権限には、集会での議決権行使は入っていないことに注意してください。

 管理が出来なくても区分所有者はいますから、管理不全専有部分管理人は区分所有者に専属した議決権の行使が出来ず、また裁判での当事者(原告・被告)になれません。(第46条の4(所有者不明専有部分等に関する訴えの取扱い) 1項の規定がない)

 ただし、この規定は、「管理人が“管理人という立場で”議決権を行使すること」を禁止しているだけですから、区分所有者が管理人を集会の代理人としてすれば、管理人も”代理人の立場”で、議決権を行使できることは、勿論問題ありません。


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第四十六条の九 (管理不全専有部分管理人の権限) (注:令和8年4月1日施行。新設。)

3項 管理不全専有部分管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもつて善意でかつ過失がない第三者に対抗することはできない。
   一 保存行為
   二 管理不全専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

★第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。



  令和8年4月1日施行の改正区分所有法で新しく設けられた区分所有法第46条の9 3項は、第46条の8 1項により裁判所から出された管理不全専有部分管理命令で選任された管理不全専有部分管理人の権限の限界を定めた規定です。

 この規定は、”所有者不明”専有部分管理人の規定 第46条の3 2項とほぼ同様です。「善意の第三者に対抗できない」を「善意でかつ過失がない第三者」と”かつ過失がない”が追加されている。

<参照> 区分所有法 第46条の3 2項だけ

所有者不明専有部分管理人の権限
 第四十六条の三

2 所有者不明専有部分管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
 ただし、この許可がないことをもつて善意の第三者に対抗することはできない。
   一 保存行為
   二 所有者不明専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

◎”管理不全”専有部分”管理人が基本的にできる行為は、

 前の第46条の9 1項で、管理不全専有部分管理人(管理人)の権限は、
 @対象の専有部分(室) 並びに
 A管理命令の効力が及ぶ動産 これは、第46条の2 2項により
   ア.動産(家具や什器備品)
    @対象とされた専有部分 又は
    A共用部分、
    B附属施設 若しくは
    C建物の敷地
 
  イ.権利
   @共用部分に関する権利  及び
   A附属施設に関する権利 並びに
   B敷地利用権
  に及ぶ。

 プラスして、
   ハ.管理・処分その他の事由により管理不全専有部分管理人が得た財産の管理及び処分をする権限を有する。

  ですが、管理人としては、集会の議決権行使は出来ないし(第49条の9 2項)また、本第46条の9 3項で、管理人が勝手にできるのは
  @保存行為(修理程度)
  A管理不全専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
 と限定し、これ以外の行為をする際、裁判所の許可が必要ともなっています。

◎ただし、この許可がないことをもつて「善意で”かつ過失がない”第三者」に対抗することはできない。

 管理不全”専有部分”管理人が、裁判所の許可を得なければならない
  @保存行為(修理程度)
  A管理不全専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
 以外を行った場合に、その行為が本当は裁判所の許可が必要であることを「善意(知らない)でかつ”過失(不注意)のない”第三者」に及ぶ場合には、管理不全”専有部分”管理人は、その行為を第三者に対して無効だと主張出来ません。

 つまり、第三者が、管理不全”専有部分”管理人の行為は裁判所の許可が必要だということを、
  @善意(もともと知らなくて) かつ
  A過失がない(通常期待される注意をしても気付けない)
 場合であれば、管理不全”専有部分”管理人が、該当の第三者に対して責任を負うと言うことです。

 ”所有者不明”専有部分管理人の規定と異なって、”管理不全”専有部分管理人に対する「第三者」には、「善意=事情を知らない」の他に「過失=不注意」がないまで求めている理由は、区分所有者がいるのにどうして管理人がいるのか、その理由を第三者において、細かく確認しろということでしょうか。


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第四十六条の九 (管理不全専有部分管理人の権限) (注:令和8年4月1日施行。新設。) 

4項 管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分の処分についての前項の許可をするには、その区分所有者の同意がなければならない。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

★第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。

 令和8年4月1日施行の改正区分所有法で新しく設けられた区分所有法第46条の9 4項は、第46条の8 1項により裁判所から出された管理不全専有部分管理命令で選任された管理不全専有部分管理人の権限の限界を超える場合の裁判所の許可を定めた規定です。

 前項の許可: 区分所有法 第46条の9 3項

 3 管理不全専有部分管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない
ただし、この許可がないことをもつて善意でかつ過失がない第三者に対抗することはできない。

 一 保存行為

 二 管理不全専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為


◎”管理不全”専有部分管理人の権限の限界を超える「専有部分の処分」は、裁判所も許可を出す前に、区分所有者の同意が必要

  本区分所有法第46条の9 4項は、前の第46条の9 3項で、管理不全専有部分管理人の判断で、
  @保存行為(修理程度) と
  A 管理不全専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
 は、管理不全専有部分管理人ができるとしましたが、それ以外の行為には、裁判所の許可を必要としています。

 また、さらに、管理不全専有部分管理人が専有部分を売却するなど処分行為をしようとするには、裁判所が許可をするにあたり、行為の内容は重要でしょうから、区分所有者の意見を聴いて、区分所有者が納得(同意)しなければ、許可はできないとしています。

 区分所有者が存在しているのですから、「管理行為」を超えた財産を奪うことになる「専有部分の処分行為」は、裁判所の一存で許可するのも行き過ぎと考えたのでしょう。

 *専有部分の処分行為とは
   ・売却
   ・抵当権設定
   ・長期賃貸
   など、所有権を実質的に動かす行為

  これは、保存 利用・改良 とは次元が違う。 所有権の核心に触れる。

  管理不全を理由に、 所有権の処分まで裁判所+管理人に委ねるのは、 さすがにやりすぎ」ということです


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第四十六条の十 (管理不全専有部分管理人の義務) (注:令和8年4月1日施行。新設。)

1項 管理不全専有部分管理人は、管理不全専有部分等の所有者のために、善良な管理者の注意をもつて、その権限を行使しなければならない。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

★第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。




 令和8年4月1日施行の改正区分所有法で新しく設けられた区分所有法第46条の10 1項は、第46条の8 1項により裁判所から出された管理不全専有部分管理命令で選任された管理不全専有部分管理人の義務を定めた規定です。

 この規定は、”所有者不明”専有部分管理人の義務の規定(第46条の5 1項)から「(その共有持分を有する者を含む。)」が除かれています。

<参照> 区分所有法 第46条の5 1項

(所有者不明専有部分管理人の義務)
第四十六条の五 所有者不明専有部分管理人は、所有者不明専有部分等の所有者(その共有持分を有する者を含む。)のために、善良な管理者の注意をもつて、その権限を行使しなければならない。

◎管理不全専有部分等・・・管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分並びに管理不全専有部分管理命令の効力が及ぶ動産並びに共用部分及び附属施設に関する権利並びに敷地利用権並びにこれらの管理、処分その他の事由により管理不全専有部分管理人が得た財産(第46条の9 1項)

◎管理不全専有部分等の所有者のため・・・区分所有者としていない。
 令和8年4月1日施行の改正区分所有法で管理人制度を区分所有法に取込んでいるが、管理不全専有部分管理人は、民法での管理不全専有部分等の財産を管理する人であることが前提なので、管理不全専有部分管理人を 管理組合や他の区分所有者の代理人ではなく、 当該専有部分等という財産の保全者として位置づけ、 忠実義務の帰属先を明確にするため。

★”管理不全”専有部分管理人の義務 〜 @善管注意義務、 A誠実・公平義務〜 

 第46条の10 で、管理不全専有部分管理人は
  @管理不全専有部分等の所有者に対しては
    「善管注意義務」を負う (第46条の10 1項)
  A管理不全専有部分等が数人の共有に属する場合には
   「誠実・公平義務」を負う (第46条の10 2項)
  と通常の管理人と同様な義務規定があります。

 @”管理不全”専有部分管理人の「善管注意義務」
   ”管理不全”専有部分管理人は、所有者に代わって、専有部分等の管理を行いますから、民法で定める法律行為でない事務の委託つまり「準委任」(民法第658条)に該当し、受任者の注意義務として所有者のために「善良な管理者の注意義務=善管注意義務」(民法第644条)を負うのは当然です。

 具体的には、
  ・必要とされる修繕をしていない
  ・高すぎる工事費を支払った
  ・明らかに不利な契約を結んだ
  などが、善管注意義務違反となります。
 
 善管注意義務・・・ある人がその社会的地位において一般的に要求される注意を払う義務のこと(民法第400条)
 参考:自己の財産に対するのと同一の注意・・・注意義務の程度が「善管注意義務」に比べて軽い(民法第659条)

<参照> 民法 第858条 及び 第644条

(準委任)
第六百五十六条 この節(注:第10節 委任)の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。

---------------------------------------------------

(受任者の注意義務)
第六百四十四条 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

 A共有の場合”管理不全”専有部分管理人は、共有者全員に対して、 
  「誠実・公平の義務」を負う。
  これは、改正された民法第264条の5 や 同 第264条の8 5項)また、新しい区分所有法第46条の5 2項)と同様な規定です。
  誠実・公平とは、真心を持って、一部の人だけを特別に扱う事のないように行動することとでもなりますか。

★管理組合や他の区分所有者からは、管理不全専有部分管理人に善管注意義務違反等を追及できない

 ”管理不全”専有部分管理人(管理人)は、所有者や共有者に代わって、管理不全専有部分等の管理をしていますから、善管注意義務違反や、共有者を公平に扱わないときでも、それを追及できるのは、所有者や該当の共有者だけです。
 区分所有者の団体(管理組合)や他の区分所有者が、管理人が修繕をしないために迷惑を被っても、善管注意義務違反等の追及は出来ません。
 この場合、利害関係人として、不法行為等で地方裁判所に管理不全専有部分管理命令の変更や取消しを求めて解決することになります。(第88条 6項)

<参照> 区分所有法 第88条 6項だけ

(管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令)
第八十八条

6 裁判所は、管理不全専有部分管理命令を変更し、又は取り消すことができる。


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第四十六条の十 (管理不全専有部分管理人の義務) (注:令和8年4月1日施行。新設。)

2項 管理不全専有部分等が数人の共有に属する場合には、管理不全専有部分管理人は、その共有持分を有する者全員のために、誠実かつ公平にその権限を行使しなければならない。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

★第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。

 令和8年4月1日施行の改正区分所有法で新しく設けられた区分所有法第46条の10 2項は、第46条の8 1項により裁判所から出された管理不全専有部分管理命令で選任された管理不全専有部分管理人の義務を定めた規定です。

◎”管理不全”専有部分管理人の義務 〜その2〜  共有の場合

 前の第46条の10 1項で、”管理不全”専有部分管理人は、所有者に代わって、専有部分等の管理を行いますから、所有者のために「善良な管理者の注意義務=善管注意義務」を負うと規定し、
 この第46条の10 2項では、
 ・共有の場合”管理不全”専有部分管理人は、共有者全員に対して、 
  「誠実・公平の義務」を負うとしています。

  これは、改正された民法第264条の5 や 同 第264条の8 5項)また、新しい区分所有法第46条の5 2項)と同様な規定です。
  誠実・公平とは、真心を持って、一部の人だけを特別に扱う事のないように公平に行動することとでもなります。

<参照> 区分所有法 第46条の5 2項

(所有者不明専有部分管理人の義務)
第四十六条の五

2 数人の者の共有持分を対象として所有者不明専有部分管理命令が発せられたときは、所有者不明専有部分管理人は、当該所有者不明専有部分管理命令の対象とされた共有持分を有する者全員のために、誠実かつ公平にその権限を行使しなければならない。



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第四十六条の十一 (管理不全専有部分管理人の解任及び辞任)  (注:令和8年4月1日施行。新設。)

1項 管理不全専有部分管理人がその任務に違反して管理不全専有部分等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、管理不全専有部分管理人を解任することができる。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。


  令和8年4月1日施行の改正区分所有法で新しく設けられた区分所有法第46条の11 1項は、第46条の8 1項により裁判所から出された管理不全専有部分管理命令で選任された管理不全専有部分管理人の解任・辞任を定めた規定です。

 この規定は、”所有者不明”専有部分管理人の解任及び辞任の規定(第46条の6 1項)と同様な規定です。

<参照> 区分所有法 第46条の6 1項

(所有者不明専有部分管理人の解任及び辞任)
第四十六条の六 所有者不明専有部分管理人がその任務に違反して所有者不明専有部分等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、所有者不明専有部分管理人を解任することができる。


◎管理不全専有部分管理人の解任

  裁判所から選任された”管理不全”専有部分管理人が
  @任務違反で管理している管理不全専有部分等に著しい損害を与えた また
  A重要な事由がある
  場合に、
  利害関係人からの請求があれば、裁判所は”管理不全”専有部分管理人を解任できる。

 ”管理不全”専有部分管理人が管理している物に「著しい損害」を与えてはいけませんし、また、身体的な問題が発生して管理人としてその任務を執行できないなど、「重要な事項」があれば、損害を受けた利害関係人などから裁判所に解任してくれと請求して、その請求内容が適切であれば、裁判所は、”管理不全”専有部分管理人を解任できます。
 
 なお、解任と次の辞任は違います。辞任は、自分の意思で、管理人を辞めることです。

★任務違反、著しい損害の具体例

 例えば、天井から雨漏りがしているのに、放置して、床や壁、設備などが腐食して、原状回復に高額な費用がかかった
 とか、世間相場を大幅に超えた契約をしたなどが、任務違反と著しい損害を与えたことに該当します。

★「その他重要な事由」の具体例

 この範囲は、かなり広い概念ですが、例えば、長い間該当の専有部分を確認していないとか、報告書がでていないなど、また”管理不全”専有部分管理人としては、知識が明らかに不足している、所有者の意見をまったく聞き入れないなどですか。

★利害関係人の範囲

 解任請求できる利害関係人としては、
  ・管理不全専有部分等の所有者
  ・共有者の一部
  ・区分所有者の団体(管理組合/管理組合法人)
  ・ 他の区分所有者
  ・場合によっては債権者
  などです。
  ”管理不全”専有部分管理人の行為によって、影響を受ける立場の人です。

★解任と損害賠償は別問題

   ”管理不全”専有部分管理人の行為によって損害を受ければ、解任請求とは別途に「損害賠償請求」などもできます。

 また、裁判所は、解任請求と同時に新たな管理人の選任 または管理命令の内容変更を処理し、管理の継続をすることになります。


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第四十六条の十一 (管理不全専有部分管理人の解任及び辞任) (注:令和8年4月1日施行。新設。)

2項 管理不全専有部分管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。



 令和8年4月1日施行の改正区分所有法で新しく設けられた区分所有法第46条の11 2項は、第46条の8 1項により裁判所から出された管理不全専有部分管理命令で選任された管理不全専有部分管理人の辞任を定めた規定です。

 この規定は、”所有者不明”専有部分管理人の解任及び辞任の規定(第46条の6 2項)と同様な規定です。

<参照> 区分所有法 第46条の6 2項

(所有者不明専有部分管理人の解任及び辞任)
第四十六条の六

2 所有者不明専有部分管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。


◎管理不全専有部分管理人の辞任 〜正当な事由が必要〜

  裁判所から選任された”管理不全”専有部分管理人でも、病気や高齢であるなど「正当な(正しい)事由」があれば、裁判所に願い出て、裁判所が認めれば、辞任することができます。

 また、殆ど考え難いのですが、所有者や共有者との仲が悪くてもう管理人として任務を遂行できない場合もあるでしょう。

★多忙、やりたくないは「正当な事由」と言えるか?

  管理組合の役員に選任された人の場合にも起こっていますが、管理人として選任された人に別の仕事があり、もう管理人の任務はやっていけないような後発的な事情が発生した時には、裁判所も「正当な事由」として辞任を認めない訳にいはいかない気がします。
  また、本人がこれ以上管理人をしたくないといったら、裁判所はどう対応しますかね。解任か辞任を認めるか。

★辞任申し立て後

 辞任の申し立てと同時に、裁判所は後任候補を検討します。  


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第四十六条の十二 (管理不全専有部分管理人の報酬等) (注:令和8年4月1日施行。新設。) 

1項 管理不全専有部分管理人は、管理不全専有部分等から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。



 令和8年4月1日施行の改正区分所有法で新しく設けられた区分所有法第46条の12 1項は、第46条の8 1項により裁判所から出された管理不全専有部分管理命令で選任された管理不全専有部分管理人の報酬を定めた規定です。

 この規定は、”所有者不明”専有部分管理人の報酬等の規定(第46条の7 1項)と同様な規定です。

<参照> 区分所有法 第46条の7 1項

(所有者不明専有部分管理人の報酬等)
第四十六条の七 所有者不明専有部分管理人は、所有者不明専有部分等から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。


◎管理不全専有部分管理人の報酬

 裁判所から選任された”管理不全”専有部分管理人でも、この時代、無償で働くってことはありませんから、当然、管理にかかる費用があれば、裁判所から前払いで受取り、決まった報酬も裁判所から貰います。

 その費用や報酬は、当然、所有者が負担します。(第46条の2 2項)


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第四十六条の十二 (管理不全専有部分管理人の報酬等) (注:令和8年4月1日施行。新設。) 

2項 管理不全専有部分管理人による管理不全専有部分等の管理に必要な費用及び報酬は、管理不全専有部分等の所有者の負担とする。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。




 令和8年4月1日施行の改正区分所有法で新しく設けられた区分所有法第46条の12 2項は、第46条の8 1項により裁判所から出された管理不全専有部分管理命令で選任された管理不全専有部分管理人の報酬は誰が負担するかを定めた規定です。

 この規定は、”所有者不明”専有部分管理人の報酬等の規定(第46条の7 2項)とほぼ同様な規定です。「(その共有持分を有する者を含む。)」がないだけ。

<参照> 区分所有法 第46条の7 2項

(所有者不明専有部分管理人の報酬等)
第四十六条の七

2 所有者不明専有部分管理人による所有者不明専有部分等の管理に必要な費用及び報酬は、所有者不明専有部分等の所有者
(その共有持分を有する者を含む。の負担とする。


◎管理不全専有部分管理人が管理に必要な費用や彼の報酬は、該当の所有者が負担する。

  所有者に代わって、”管理不全”専有部分管理人が管理不全専有部分等の管理をしてくれるのですから、該当の所有者がその費用と”管理不全”専有部分管理人の報酬を当然に負担します。 

ここで、管理不全専有部分等の”所有者”の負担となっていて、区分所有者となっていないのは、他でも説明しましたが、管理不全になっている専有部分の所有者が相続関係でまだ未確定なども想定して、区分所有者よりも広い概念である民法的に「所有者」にして、管理によって利益を得る権利者の負担(受益者負担)とするものです。

 一応、所有者がいるのですから、区分所有者の団体(管理組合)の管理費から支払われるのではありません


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第四十六条の十三 (管理不全共用部分管理命令) (注:令和8年4月1日施行。新設。) 

1項 裁判所は、区分所有者による共用部分の管理が不適当であることによつて他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該共用部分を対象として、第三項に規定する管理不全共用部分管理人による管理を命ずる処分(以下「管理不全共用部分管理命令」という。)をすることができる。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。

★管理不全”共用部分”管理命令  〜今度は、共用部分の管理命令〜

 ここ、令和8年4月1日施行の改正区分所有法で新設された第46条の13 からは、マンションなど区分所有建物のベランダや外壁などの共用部分が管理できていない場合に、裁判所は、利害関係人の請求があれば、「管理不全”共用部分”管理命令を出して、その共用部分の管理を管理不全”共用部分”管理人を選任して行わせる規定です。

 前の「管理不全”専有部分”管理命令」(第46条の8〜第46条の12)の”専有部分”を”共用部分”にしただけで、「管理不全”専有部分”管理命令」の規定が多く準用されています。

 しかし、マンションのような区分所有建物でのエントランスや廊下・屋上などの共用部分だけが、ある区分所有者による管理不全という状態が想定し難い。
 どうして、上で説明した「管理不全専有部分管理命令」(第46条の8)に「共用部分」もその効力内に入っているのに、わざわざ、「共用部分」だけを取り出して別の規定としたのかよくわからない。

 「共用部分」の保安・保全・保守・清掃・消毒・ゴミ処理などの管理は、区分所有者の団体(管理組合)がその業務として行うことになっている(標準管理規約 第32条)。

<参照> 標準管理規約 第32条 (*令和7年10月17日版)


(業務)
第32条 管理組合は、建物並びにその敷地及び附属施設の管理のため、次の各号に掲げる業務を行う。
   一 管理組合が管理する敷地及び共用部分等(以下本条及び第48条において「組合管理部分」という。)の保安、保全、保守、清掃、消毒及びごみ処理
   二 組合管理部分の修繕
   三 長期修繕計画の作成又は変更に関する業務及び長期修繕計画書の管理
   四 建替え マンション再生等に係る合意形成に必要となる事項の調査に関する業務
   五 適正化法第103条第1項に定める、宅地建物取引業者から交付を受けた設計図書の管理
   六 修繕等の履歴情報の整理及び管理等
   七 共用部分等に係る火災保険、地震保険その他の損害保険に関する業務
   八 区分所有者が管理する専用使用部分について管理組合が行うことが適当であると認められる管理行為
   九 敷地及び共用部分等の変更及び運営
   十 修繕積立金の運用
   十一 官公署、町内会等との渉外業務
   十二 マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務
   十三 広報及び連絡業務
   十四 管理組合の消滅時における残余財産の清算
   十五 その他建物並びにその敷地及び附属施設の管理に関する業務

 特に、裁判所が「管理不全”共用部分”管理命令」を出さなくても、「共用部分」は、管理組合がチャンと管理するし、またチャンと管理しなければいけない。

  という状況にある規定ですが、一応、解説をします。

◎区分所有者では「共用部分」の管理が不適当で、そのため他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合

 上でも説明したように、マンションのような区分所有建物での共用部分とされる外壁や廊下・階段などの管理は区分所有者の団体(管理組合)(第3条参照)が管理するため、ある特定の「区分所有者による共用部分の管理が不適当である」状況が想定できない。
 そのため、他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合とは具体的にどんな場合かは、もう区分所有法の創設者に聞かないと分からない。

 民法の建物管理不全の例としては、「建物が所有者によって適切に管理されておらず、屋根や外壁が脱落・飛散するおそれがあり、他人に財産上・身体上の被害を及ぼすおそれがあるケース」があげられているが、これだとマンションの1棟全体の管理が不適当となり、該当のマンションでは管理組合もなく、当然「管理者」も選任されていない状態で、荒れ果てている事態となる。
 確かに、屋根や外壁は、マンションでは「共用部分」ではある。

 そのマンション全体の管理が出来ていない時の、近隣の住民ぐらいしか、この規定を利用する人が浮かばないけど、近隣の人たちが、裁判所に提出する資料調査など面倒な事に絡むとは思えない。

◎利害関係人から、区分所有者に代わって該当の共用部分を管理する人を選任してくれと裁判所に請求する

 この場合の利害関係人とは誰が入るのか、基本的に分からない。これも、区分所有法の創設者に聞くことだ。

◎裁判所は、「必要があると」認めると、管理不全共用部分管理命令をだして、必ず管理不全”共用部分”管理人も選任する

 ある区分所有者では、該当の「共用部分」の管理が出来ないのなら、その管理をする管理人を選任するのは、妥当ですが、たびたび説明していますが、「共用部分」の管理は、区分所有者の団体(管理組合)が行っていますから、「必要性」の要件を満たす状況が分かりません。

★別の理論から構成されている?

 「マンション管理士 香川」としては、区分所有者の団体(管理組合)が、正常に存在していることを想定しているが、法の理論としては、区分所有者の団体が存在していなくて、専有部分は問題ないが、共用部分である外壁等が崩落して危険な場合を想定して、ここでいう区分所有者も1名でなく、全区分所有者を意味していると捉えるのかな。それなら、もっと分かりやすい条文にしないと、法律として不適切だ。


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第四十六条の十三 (管理不全共用部分管理命令) (注:令和8年4月1日施行。新設。) 

2項 管理不全共用部分管理命令の効力は、当該管理不全共用部分管理命令の対象とされた共用部分にある動産(当該管理不全共用部分管理命令の対象とされた共用部分の所有者又はその共有持分を有する者が所有するものに限る。)に及ぶ。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。



 令和8年4月1日施行の改正区分所有法で新しく設けられた区分所有法第46条の13 2項は、第46条の13 1項により裁判所から出された管理不全”共用部分”管理命令の効力の範囲を定めた規定です。

管理不全共用部分管理命令の効力

 管理不全共用部分管理命令の効力の範囲としては、
< @該当の共用部分にある動産(什器・備品、家電・家具など)
   共有ならその人が所有するものに限る
 です。

 これで、共用部分に危険物があれば、撤去できます。
でも、危険物ならわざわざ管理不全”共用部分”管理命令をもらって、管理不全共用部分管理人がやるまでの事でない。
消防法違反として地元の消防の仕事ですが。


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第四十六条の十三 (管理不全共用部分管理命令) (注:令和8年4月1日施行。新設。) 

3項 裁判所は、管理不全共用部分管理命令をする場合には、当該管理不全共用部分管理命令において、管理不全共用部分管理人を選任しなければならない。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。



 令和8年4月1日施行の改正区分所有法で新しく設けられた区分所有法第46条の13 3項は、第46条の13 1項により裁判所から出された管理不全”共用部分”管理命令を出す際には、必ず「管理不全共用部分管理人」を選任しろという規定です。

◎管理不全共用部分管理命令では、必ず「管理不全共用部分管理人」を選任しなければならない

 管理不全”共用部分”管理命令は、裁判所の職員が執行する訳ではありませんから、誰かを命令の執行人として裁判所は選任します。それが、管理不全共用部分管理人です。

 管理不全共用部分管理人には、マンション管理に詳しい、マンション管理士や弁護士、司法書士が想定されます。


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第四十六条の十四 (管理不全共用部分管理人の権限等)  (注:令和8年4月1日施行。新設。)

1項 第四十六条の九から第四十六条の十二までの規定は、管理不全共用部分管理命令及び管理不全共用部分管理人について準用する。この場合において、これらの規定中「管理不全専有部分等」とあるのは「管理不全共用部分等」と、第四十六条の九第一項中「専有部分並びに」とあるのは「共用部分及び」と、「動産並びに共用部分及び附属施設に関する権利並びに敷地利用権」とあるのは「動産」と、同条第四項中「専有部分の」とあるのは「共用部分の」と、「区分所有者」とあるのは「所有者」と、第四十六条の十二第二項中「の所有者の負担とする」とあるのは「を共有する者が連帯して負担する」と読み替えるものとする。

過去出題 マンション管理士
管理業務主任者

第6節
所有者不明専有部分管理命令 の 第46条の2から第46条の7
 及び
第7節
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 の 第46条の8から第46条の14
 は、
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、新しく付け加えられた条文です。

施行は、令和8年4月1日。

 令和8年4月1日施行の改正区分所有法で新しく設けられた区分所有法第46条の14は、第46条の13 1項により裁判所から出された管理不全”共用部分”管理命令で選任された「管理不全”共用部分”管理人の権限等」を規定しています。
 
 その内容は、前に説明した「管理不全”専有部分”管理命令」の規定を準用して、読み替えをするものです。

◎管理不全”共用部分”管理人の権限等 

 第46条の9から第46条の12までを準用する。

 まずは、準用されている第46条の9 を見てみましょう。

区分所有法 第46条の9
 
(管理不全 ”専有部分”  →”共用部分”管理人の権限)

第四十六条の九 
管理不全”専有部分” → ”共用部分”管理人は、管理不全”専有部分” → ”共用部分”管理命令の対象とされた ”専有部分” →”共用部分” 並び → 及び に管理不全”専有部分” → ”共用部分”管理命令の効力が及ぶ 動産並びに共用部分及び附属施設に関する権利並びに敷地利用権 → 動産 並びにこれらの管理、処分その他の事由により管理不全”専有部分” → ”共用部分”管理人が得た財産(以下「管理不全”専有部分” → ”共用部分”等」という。)の管理及び処分をする権限を有する。

2 前項の規定にかかわらず、管理不全”専有部分” → ”共用部分”管理人は、集会において議決権を行使することができない。

3 管理不全”専有部分” → ”共用部分”管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもつて善意でかつ過失がない第三者に対抗することはできない。
   一 保存行為
   二 管理不全”専有部分” → ”共用部分”等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

4 管理不全”専有部分” → ”共用部分”管理命令の対象とされた ”専有部分” → ”共用部分” の処分についての前項の許可をするには、その 区分 所有者の同意がなければならない。

◎管理不全”共用部分”管理人の権限

   管理不全”共用部分”管理人の権限としては、管理不全”専有部分”管理人とほぼ同じで、
  1.管理不全”共用部分”命令の効力範囲の
   @共用部分にある動産(什器・備品など)の管理と処分
   A共用部分にある動産(什器・備品など)の管理と処分で得た財産の管理と処分
  ができます。

  2.管理不全”共用部分”管理人には、集会における議決権はありません。

  3.保存行為と共用部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為は、独自の判断でできますが、これ以外の行為については、裁判所の許可が必要です。
    裁判所の許可が必要な行為を管理不全”共用部分”管理人が行った場合には、それを知らない(善意)ことに過失がない第三者には、対抗できません。

  4.共用部分の処分行為を裁判所がする際には、「その所有者の同意」が必要です。

---------------------------------------------------

次に準用されている、第46条の10は、

◎管理不全”共用部分”管理人の義務です。

区分所有法 第46条の10


 (管理不全 ”専有部分” → ”共用部分”管理人の義務)

第四十六条の十 管理不全”専有部分” → ”共用部分”管理人は、管理不全”専有部分” → ”共用部分”等の所有者のために、善良な管理者の注意をもつて、その権限を行使しなければならない。

2 管理不全”専有部分” → ”共用部分”等が数人の共有に属する場合には、管理不全”専有部分” → ”共用部分”管理人は、その共有持分を有する者全員のために、誠実かつ公平にその権限を行使しなければならない。

 管理不全”共用部分”管理人の義務は、管理不全”専有部分”管理人に課された義務と同様です。

  1.所有者のために「善管注意義務」を負う
  2.共有なら、全員の為に「誠実・公平の義務」を負います。

---------------------------------------------------

 そして、次に準用されている、第46条の11は、

◎管理不全”共用部分”管理人の解任及び辞任

区分所有法 第46条の11  

(管理不全”専有部分” → ”共用部分”管理人の解任及び辞任)

第四十六条の十一 管理不全”専有部分” → ”共用部分”管理人がその任務に違反して管理不全”専有部分” → ”共用部分”等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、管理不全”専有部分” → ”共用部分”管理人を解任することができる。

2 管理不全”専有部分” → ”共用部分”管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。

 管理不全”共用部分”管理人が、
 1.任務違反で著しい損害を与えた
 2.重要な事由
 があると、利害関係人は裁判所に請求して、管理不全”共用部分”管理人を解任できます。

 また、管理不全”共用部分”管理人は、正当な事由があれば、裁判所の許可で辞任できます。

---------------------------------------------------
 最後に準用されている、第46条の12は、

◎管理不全”共用部分”管理人の報酬等

区分所有法 第46条の12 

(管理不全”専有部分” → ”共用部分”管理人の報酬等)

第四十六条の十二 管理不全”専有部分” → ”共用部分”管理人は、管理不全”専有部分” → ”共用部分”等から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。

2 管理不全”専有部分” → ”共用部分”管理人による管理不全”専有部分” → ”共用部分”等の管理に必要な費用及び報酬は、管理不全”専有部分” → ”共用部分”等 ”の所有者の負担とする” →”を共有する者が連帯して負担する。

 管理不全”共用部分”管理人は、裁判所が定めた費用と報酬を受け取ります。

 その費用と報酬は、「共有する者が連帯」で負担します。

 この費用の負担の規定が「共有する者が連帯」となっているのをみると、法の創案者は、外壁の崩壊など区分所有建物全体で管理が必要で、近隣の住民が、利害関係人となることを想定しているようです。

ページ終わり

謝辞:Kzさんの了解により一部転用・編集をしています。

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最終更新日:
2026年 2月 8日:
令和8年4月1日施行の改正区分所有法と標準管理規約は令和7年10月17日版にした。
2025年 8月 5日:一応、概略解説した。
まだ、検討は必要。後日戻ってくること。
2025年 5月31日〜:令和8年4月1日施行版に移行中
2025年 7月19日:新設で新規に作成した。
2009年6月21日:開設

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