| 第四章 所在等不明区分所有者等の除外等に関する裁判手続 *以下全部新設 | |
| 第八十六条 | 所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判 |
| 第八十七条 | 所有者不明専有部分管理命令 |
| 第八十八条 | 管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 |
| 第八十九条 | 非訟事件手続法の適用除外 |
| 第九十条 | 最高裁判所規則 |
マンション管理士・管理業務主任者を目指す方のために、区分所有法を条文ごとに解説しました。
試験問題は、過去の問題から出されるのではありません。条文から出題されます。
条文を勉強することが、合格への道です。
★第四章 所在等不明区分所有者等の除外等に関する裁判手続
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
*新設 〜所在等不明区分所有者等の除外等に関する裁判手続〜
令和7年(2025年)5月に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって、区分所有法内に以下の第3章と第4章が新設されました。
第3章 建物が滅失した場合における措置
第1節 専有部分のある建物が滅失した場合における措置(第72条〜第77条)
第2節 団地内の建物が滅失した場合における措置(第78条〜第85条)
第4章 所在等不明区分所有者等の除外等に関する裁判手続(第86条〜第90条)
です。
これから取り上げる、第4章 所在等不明区分所有者等の除外等に関する裁判手続 の構成は、
第86条・・・所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判
第87条・・・所有者不明専有部分管理命令
第88条・・・管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令
第89条・・・非訟事件手続法の適用除外
第90条・・・最高裁判所規則
となっています。
施行は、令和8年4月1日。
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★令和8年4月1日施行で 第4章として「所在等不明区分所有者等の除外等に関する裁判手続」が新設された理由
今まで説明してきたように、令和8年4月1日施行の改正区分所有法で新設されたものの中には、
@所在等不明区分所有者の除外・・・第38条の2
A所有者不明専有部分管理命令・・・第6節 第46条の2〜第46条の7
B管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令・・・第7節 第46条の8〜第46条の14
があったことを思い出してください。
これらの条文の新設の目的は、2つあります。
1.集会における「区分所有者が不明な問題」への対応 〜 →決議の母数から除く〜
1つめは、集会における「区分所有者が不明な問題」への対応です。
マンションなど区分所有建物において、専有部分(室)の所有者である区分所有者の所在が相続関係などで不明な場合、これまでは区分所有者の団体(管理組合)の集会(総会)において3/4以上などの多数決が求められる場合、所在などが不明な区分所有者の数が常に”分母”に含まれており、そこで集会の決議においては所在が不明で集会に参加しない者(棄権者)は、毎回「反対票」として扱われ、廊下やエントランスなど共用部分の管理や規約の改正などにおいて、区分所有者の団体(管理組合)としては、無関心な反対票が多くなりそのため区分所有建物の適切な管理ができず、また、区分所有者の数と議決権の各々の3/4以上の賛成を必要とする規約の改正などの決議が非常に困難になっていました。
その解決策として、令和8年4月1日施行の改正区分所有法では、区分所有者の所在が不明な場合、 「裁判所に申し立て」て正式な裁判手続きを経ることで、所在不明の区分所有者を最初から集会の決議の”母数(分母)”から除外し、これにより、マンションの円滑な管理を阻害する要因を排除することができ、区分所有者の団体(管理組合)が意思決定をスムーズに行えるようにしました。
具体的には、偏った見方をしない第三者である ”裁判所”の決定で所在不明の区分所有者を集会での議決権を有しないものとして、集会の決議の母数から除外することで、集会の出席割合や決議の賛成割合を計算する際に、所在が不明な区分所有者を、最初から集会の決議における”母数”に含めずに行えるようになります。
これが、第38条の2 「所在等不明区分所有者の除外」の規定です。

<参照> 区分所有法 第38条の2 (注:令和8年4月1日施行で新設)
(所在等不明区分所有者の除外)
第三十八条の二 裁判所は、区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、
当該区分所有者(次項において「所在等不明区分所有者」という。)以外の区分所有者(以下この項及び第三項において「一般区分所有者」という。)又は
管理者の請求により、一般区分所有者による集会の決議をすることができる旨の裁判をすることができる。
2 前項の裁判により所在等不明区分所有者であるとされた者は、前条の規定にかかわらず、集会における議決権(当該裁判に係る建物が滅失したときは、当該建物に係る敷地利用権を有する者又は当該建物の附属施設(これに関する権利を含む。)の共有持分を有する者が開く集会における議決権)を有しない。
3 一般区分所有者の請求により第一項の裁判があつたときは、当該一般区分所有者は、遅滞なく、管理者にその旨を通知しなければならない。
ただし、管理者がないときは、その旨を建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。
2.管理不全マンションへの対処 〜 → 区分所有者に代わって管理人を置く〜
令和8年4月1日施行の改正区分所有法で新設されたものの2番目は、1番目の集会における「所在が不明な区分所有者」の問題とも関係していますが、所在が不明な区分所有者やマンションの管理に無関心な区分所有者が多数いると、彼らが管理すべき専有部分(室)が汚いまま放置されたり、ベランダや玄関周りなどの共用部分の管理もおろそかになります。
このような状態になるのは、区分所有者の団体(管理組合)が機能していないことも一因で、これらの事態に陥る前に、マンション管理士を顧問にする法整備が必要ですが、それは、さておき。
建物が適切に管理されずに、劣化や損傷が放置されたままの状況は、マンションの周辺の人たちの生活をも脅かします。
そこで、令和8年4月1日施行の改正区分所有法では、利害関係者(近隣の住民など、区分所有建物に住んでいない第三者も含んで)が法的拘束力を持つ裁判手続きを通じて、「所有者不明”専有部分”管理人」や建物の専有部分の管理が不全なら「管理不全”専有部分”管理人」を、また玄関周りやベランダなどの建物の共用部分の管理ができないなら「管理不全”共用部分”管理人」という「管理人」を選任してもらい、選任された「管理人」が、区分所有者に代わって建物の専有部分や共用部分の管理を行う制度を作りました。
それが、令和8年4月1日施行の改正区分所有法で第1章内に新設された、
第6節の「”所有者不明”専有部分管理命令」 (第46条の2 〜 第46条の7) 及び
第7節の「管理不全”専有部分”管理命令」及び「管理不全”共用部分”管理命令」 (第46条の8 〜 第46条の14)
の規定です。
これらの新設された制度により、区分所有者が不明な専有部分や不適切な管理状態にある専有部分・共用部分に対し、「利害関係者が裁判所に申し立てる」ことで、裁判所から選任された管理人が区分所有者に代わって管理します。
★新しく民法の特別法である「区分所有法」の独自の制度「所在等不明区分所有者」「管理不全専有部分・共用部分の管理制度」を区分所有法内に取り入れたので、裁判手続きを区分所有法内に入れた。
令和8年4月1日施行の改正区分所有法で新設された、区分所有法の独自の制度
・「所在等不明区分所有者」
・「管理不全専有部分・共用部分の管理制度」
は、裁判所の裁判で「所在等不明区分所有者」にしたり、裁判所による「管理人による管理の命令」を必要としています。
しかし、この新設された区分所有法独自の制度は、裁判所が通常扱う「民事事件」や「刑事事件」など、他の一般の事件とは異なっているため、例えば、「所在等不明区分所有者」にするのは、どこの裁判所に申し出ればいいのか(管轄裁判所の決定と言います)、また、裁判所の裁判に対して「異議」がある時にはどうするのかなどを、通常の「民事訴訟法」や「非訟事件手続法」、また、「刑事訴訟法」などの手続によらず、区分所有法内に規定する必要があり、令和8年4月1日施行の改正区分所有法では、こられの裁判手続きも規定したということです。
★どうして、民事訴訟法や非訟事件手続法では扱えないのか?
日本では民事や刑事の裁判を行う前の手続を扱う法律には、日本国憲法や裁判所の管轄などを定めた裁判所法もありますが、主に
1.民事事件
ア.民事訴訟法・・・当事者間の具体的な権利の紛争の解決。訴状の提出から弁論、証拠調べ、判決、和解、控訴、上告までの流れを定める。
イ.非訟事件手続法・・・裁判所による”後見的な法律関係の形成・調整”。家事事件手続法や会社法の中、また借地借家法の条文(第41条〜)など、様々な法律で規定されている。
2.刑事事件
ア.刑事訴訟法・・・刑事事件に関する捜査、起訴、公判、判決、上訴などの手続きを規定。
がありますが、
令和8年4月1日施行で新設された改正区分所有法内の規定、
・「所在等不明区分所有者」
・「管理不全専有部分・共用部分の管理制度」は、
刑事事件ではないことは明らかですので、民事の事件を扱う法律として、以下に「民事訴訟法」と「非訟事件手続法」の違いを纏めました。
| ◎非訟事件手続法と民事訴訟法の違い | ||
| 項目 | 非訟事件手続法 | 民事訴訟法 |
| 目的 | 裁判所による後見的・行政的な法律関係の形成・調整 | 当事者間の具体的な権利義務の紛争解決 |
| 概説 | 当事者間の争いがない、または争いの程度が低い事件について、裁判所が紛争解決ではなく、後見的な立場から関与し、法律関係を形成・調整するための手続きを定めた法律です。 具体的には、会社、借地借家、家事事件など、様々な非訟事件が存在し、それぞれ個別の法律で詳細が定められています。例えば、成年後見の開始などがこれにあたります。 |
当事者間で法的な紛争が発生した場合に、その権利や義務の存否を確定し、紛争を解決するための手続きを定めた法律です。原告と被告がそれぞれの主張と証拠を提出し、裁判所が公平な立場から判決を下します。 |
| 当事者 | 厳密な対立構造を前提としないものが多い | 原告と被告が対立する構造 |
| 手続きの開始 | 申立てが原則。職権での開始も可能 | 当事者の申立てによる |
| 審理方式 | 公開の口頭弁論を必ずしも開かない | 公開の口頭弁論が原則 |
| 事実認定 | 裁判所が職権で事実を調査できる(職権探知主義) | 当事者が事実を主張・証明する(弁論主義) |
| 裁判の形式 | 決定 | 判決 |
| 不服申立て | 抗告 | 控訴・上告 |
| 根拠法 | 非訟事件手続法、借地借家法、会社法、家事事件手続法など | 民事訴訟法 |
このような特徴がある「非訟事件手続法」の「裁判所による後見的・行政的な法律関係の形成・調整」ををまねて、令和8年4月1日施行で新設された改正区分所有法内において、
・「所在等不明区分所有者」
・「管理不全専有部分・共用部分の管理制度」
の
・裁判所の管轄は・・・地方裁判所にする
・裁判を確定させること
・即時抗告ができるのは・・・利害関係人に限る
・登記をどうするのか
などを、第86条(所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判)〜第90条(最高裁判所規則)として規定しました。

★第86条:所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判
そこで、本第84条では、第38条の2 に規定される「所在等不明区分所有者の除外」の裁判について、
・どこの地方裁判所が管轄するかを定め(1項)、
・公告が必要(2項) とし
・所在等不明区分所有者が現れたら、取り消す
などが規定されています。
★「所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判」を管轄する地方裁判所は、どこか 〜管轄裁判所はその建物がある地方裁判所〜
前置きが長くなったので、ここで、再度、区分所有法 第86条 1項の規定を見てみましょう。
<参照> 区分所有法 第86条
第四章 所在等不明区分所有者等の除外等に関する裁判手続
(所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判)
第八十六条 次の各号に掲げる裁判に係る事件は、それぞれ当該各号に定める物の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
一 第三十八条の二第一項の規定による裁判
当該裁判に係る建物
二 第六十六条及び第七十九条において準用する第三十八条の二第一項の規定による裁判
当該裁判に係る土地又は附属施設
三 第七十三条において準用する第三十八条の二第一項の規定による裁判
当該裁判に係る建物の敷地又は附属施設
<参照> 区分所有法 第38条の2 (注:新設。令和8年4月1日施行)
(所在等不明区分所有者の除外)
第三十八条の二 裁判所は、区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、当該区分所有者(次項において「所在等不明区分所有者」という。)以外の区分所有者(以下この項及び第三項において「一般区分所有者」という。)又は管理者の請求により、一般区分所有者による集会の決議をすることができる旨の裁判をすることができる。
2 前項の裁判により所在等不明区分所有者であるとされた者は、前条の規定にかかわらず、集会における議決権(当該裁判に係る建物が滅失したときは、当該建物に係る敷地利用権を有する者又は当該建物の附属施設(これに関する権利を含む。)の共有持分を有する者が開く集会における議決権)を有しない。
3 一般区分所有者の請求により第一項の裁判があつたときは、当該一般区分所有者は、遅滞なく、管理者にその旨を通知しなければならない。ただし、管理者がないときは、その旨を建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。
---------------------------------------------------
第66条 及び 第79条 において準用する 第38条の2
第66条 第2章 団地 での 準用規定
(建物の区分所有に関する規定の準用)
第六十六条 第七条、第八条、第十七条から第十九条まで並びに前章第四節(第二十七条を除く。)、第五節(第三十条第二項、第三十一条第二項及び第三十二条を除く。)及び第八節の規定は、前条の場合について準用する。
(注:前章第4節:管理者(第26条〜第29条、
第5節:規約及び集会(第30条〜第45条)
第8節:管理組合法人(第47条〜第56条の7)
この場合において、これらの規定(第五十五条第一項第一号を除く。)中「管理組合法人」とあるのは、「団地管理組合法人」と読み替えるほか、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
(以下、略)
---------------------------------------------------
第66条(団地)での 第38条の2 の読み替えあり
(所在等不明区分所有者の除外)
第三十八条の二 裁判所は、
区分所有者を 団地建物所有者を
知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、当該
区分所有者 当該団地建物所有者
(次項において「
所在等不明区分所有者 所在等不明団地建物所有者
」という。)以外
の区分所有者 の団地建物所有者
(以下この項及び第三項において「
一般区分所有者 一般団地建物所有者
」という。)又は管理者の請求により、
一般区分所有者 一般団地建物所有者
による集会の決議をすることができる旨の裁判をすることができる。
2 前項の裁判により
所在等不明区分所有者 所在等不明団地建物所有者
であるとされた者は、前条の規定にかかわらず、集会における議決権(当該裁判に係る
建物が 土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。以下この項において同じ。)の共有者である団地建物所有者の所有に係る団地内の建物が
滅失したときは、当該
建物に係る敷地利用権を有する者又は当該建物の附属施設(これに関する権利を含む。)の共有持分を有する者が開く 土地又は附属施設について開かれる
集会における議決権)を有しない。
3 一般区分所有者 一般団地建物所有者
の請求により第一項の裁判があつたときは、当該
一般区分所有者 一般団地建物所有者
は、遅滞なく、管理者にその旨を通知しなければならない。
ただし、管理者がないときは、その旨を
建物内 団地内
の見やすい場所に掲示しなければならない。
---------------------------------------------------
第79条 第二節 団地内の建物が滅失した場合における措置
(集会等に関する規定の準用)
第七十九条 第十七条第一項、第二項及び第五項、第十八条第一項から第三項まで及び第六項、第十九条、第一章第四節(第二十七条を除く。)及び第五節(第三十条第二項、第三十一条第二項、第三十二条、第三十三条第四項、第三十四条第二項、第三十五条第四項及び第四十三条を除く。)並びに第六十八条第一項の規定は、前条の場合について準用する。
(注:第1章第4節:管理者(第26条〜第29条、
第5節:規約及び集会(第30条〜第45条)
この場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
(以下、略)
---------------------------------------------------
第73条(区分所有建物が滅失した場合の措置)において準用する 第38条の2
(集会等に関する規定の準用)
第七十三条 第十七条第一項及び第五項、第十八条第一項、第二項及び第六項、第十九条並びに第一章第四節(第二十七条を除く。)及び第五節(第三十条第二項、第三十一条第二項、第三十二条、第三十三条第四項、第三十四条第二項、第三十五条第四項、第四十三条、第四十四条及び第四十六条第二項を除く。)の規定は、前条の場合について準用する。
(注:第1章第4節:管理者(第26条〜第29条、
第5節:規約及び集会(第30条〜第45条)
この場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
(以下、略)
★日本の裁判所では、訴状の内容や被告の住所等によって、担当する裁判所が異なる 〜管轄裁判所制度〜
日本で民事や刑事の裁判を行うには、どこにある裁判所がそれを受けるのか(土地管轄)、また訴えの内容によって、まず地方裁判所が受けるのか簡易裁判所が受けるのか(事物管轄)が決められており、その裁判手続に沿った届出が必要とされます。
原則として、訴え(届出)は、「被告(訴えられる人)」の所在地を管轄する裁判所にします(民事訴訟法 第4条1項)。
また、今回のように所在が不明な場合には、被告となる人の最後の住所を基に裁判所の管轄が決まります(民事訴訟法 第4条2項)。
この裁判所の管轄は、当事者の合意により、第一審に限り、決めることができます。(民事訴訟法 第11条)
<参照> 民事訴訟法 第4条 及び 第11条
第二節 管轄
(普通裁判籍による管轄)
第四条 訴えは、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する。
2 人の普通裁判籍は、住所により、日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときは居所により、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときは最後の住所により定まる。
(以下、略)
---------------------------------------------------
(管轄の合意)
第十一条 当事者は、第一審に限り、合意により管轄裁判所を定めることができる。
2 前項の合意は、一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない。
3 第一項の合意がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
これら、基本となる民事訴訟法をもとにして、本第86条1項では、令和8年4月1日施行の 第38条の2 所在等不明区分所有者の除外は、1項に
「裁判所は、区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、当該区分所有者(次項において「所在等不明区分所有者」という。)以外の区分所有者(以下この項及び第三項において「一般区分所有者」という。)又は管理者の請求により、一般区分所有者による集会の決議をすることができる旨の裁判をすることができる。」
とありますから、
・所在等不明区分所有者以外の区分所有者 又は
・管理者 は、裁判所に請求して、
所在等不明区分所有者であることの裁判ができます。
その裁判を請求できる、逆に言えば、申し出を受ける管轄の地方裁判所(第86条1項)はどこかというと、
1.単棟の場合・・・その建物がある地方裁判所(1号)(第38条の2の規定)
2.団地及び団地の建物が滅失した場合・・・その土地または附属施設がある地方裁判所(2号)(第66条及び79条)
3.滅失した単棟の場合・・・前に建物があった敷地または附属施設がある地方裁判所(3号)(第73条)
です。
基本的に、所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判は、該当する建物や土地の地方裁判所に、申し出ればいいということです。
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
新設: 施行は、令和8年4月1日。
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★第86条(所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判)2項:〜地方裁判所は、公告をすること〜
本第86条2項は、前の第86条1項の管轄地方裁判所で、所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判 をする際に必要な公告の期間や、所在等不明区分所有者にさせられる者から異議ができることを規定しています。
*届け出を受けた地方裁判所がやること 〜公告だけでいい〜
所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判の申し出を受け取った地方裁判所は、所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判の申し出があったことを、広く一般に知らせる「公告」をします。
裁判所の公告には、裁判所の掲示板や官報に載せるやり方があります。
あとの、第86条4項で、「4 第一項の裁判は、第二項第二号イからハまでに掲げる者に告知することを要しない。」とありますから、訴えられる者(被告)に訴えがあったことを知らせる(告知)為の方法「公示送達(民法 第98条)」などは不要で、単に公告だけで済ませられます。
・公告の内容は、
1号・・・所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判の申し出があったこと
2号・・・この裁判に異議がある
ア.単棟での・・・所在等不明区分所有者(2号イ)
イ.団地又は滅失した団地での・・・所在等不明”団地”建物所有者又は所在等不明”団地”建物所有者等(2号ロ)
ウ.滅失した単棟の場合・・・所在等不明”敷地”共有者等(2号ハ)
に該当するなら、公告後、1ヶ月以内に異議の届出をすること
3号・・・異議の届出がない場合には、その公告から1ヶ月を過ぎると、所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判がされるです。
| 第八十六条 (所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 3項 第一項の裁判は、確定しなければその効力を生じない。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
新設: 施行は、令和8年4月1日。
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★第86条(所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判)3項: 〜当然ながら、裁判で確定しなければ効力がない〜
本第86条3項は、1項で規定する単棟や団地(建物が滅失した場合も含めて)において「所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判」をする際に、届出を受けた地方裁判所が、異議の有無や利害関係者からの届出の内容(調査をしても、その区分所有者の所在が分からないなど)を審理して、妥当であれば、裁判はもう争うことのできない「確定」となります。
裁判所で審理される内容は、区分所有者の団体(管理組合)での管理者、近隣の住民など、利害関係者から出された訴えの相手の住所が充分に調べても分からないという内容です。
なお、利害関係者が行う具体的な調査の方法は、
@自力での調査・・・ 住民票・戸籍の附票の取得をして、最後の住所地への訪問、知人への聞き取りなどを行う
A探偵の利用・・・ 専門の業者に依頼して調査を行う
B弁護士の利用・・・ 弁護士に職務上の請求をさせ住民票や戸籍の附票を取得したり、弁護士会照会を利用して企業や団体に情報照会を行わせる
などで、住所を特定できる場合があります。
届出を受けた地方裁判所は、該当の公告をしたのち、1ヶ月が過ぎれば、裁判ができます。
これら利害関係者から提出された内容を、審理し、必要なら利害関係者から状況を聞き、届出が妥当と判断すれば、裁判が”確定”します。
所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判が確定すれば、その効力として、第38条の2 2項に規定される
「2 前項の裁判により所在等不明区分所有者であるとされた者は、前条の規定にかかわらず、集会における議決権(当該裁判に係る建物が滅失したときは、当該建物に係る敷地利用権を有する者又は当該建物の附属施設(これに関する権利を含む。)の共有持分を有する者が開く集会における議決権)を有しない。」
があります。
所在等不明区分所有者等となると、単棟での集会や団地での集会、また滅失した区分所有者建物の集会において議決権がなくなります。
当然の規定です。
| 第八十六条 (所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 4項 第一項の裁判は、第二項第二号イからハまでに掲げる者に告知することを要しない。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
新設: 施行は、令和8年4月1日。
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★第86条(所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判)4項:告知の相手が不明〜告知は不要〜
本第84条4項は、「所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判」をする際には、2項で異議の届出ができるとされた
「イ 第38条2第1項(単棟での議決権)に規定する
所在等不明区分所有者
ロ 第66条又は第79条において(団地での議決権)読み替えて準用する第38条の2第1項に規定する
所在等不明”団地”建物所有者又は団地でのある建物が滅失した場合の所在等不明”団地”建物所有者”等”
ハ 第73条において(単棟が滅失した場合)読み替えて準用する第38条2 第1項に規定する
所在等不明”敷地”共有者等」
に対して、管轄の地方裁判所は、「所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判」が行われますと、訴えの相手方に「告知」をしなくてもいいと言っています。
通常の裁判であれば、裁判所は裁判を起こす際には、原告(訴えを起こす人)から、訴状の正本(裁判所用)と被告(訴えらえる人)の人数分の副本を裁判所に提出させ、この副本が裁判所から郵便などで訴えの相手方である被告に送られます(送達)。(民事訴訟法 第99条。第138条)
<参照> 民事訴訟法 第99条 及び、第138条
(送達実施機関)
第九十九条 送達は、特別の定めがある場合を除き、郵便又は執行官によってする。
2 郵便による送達にあっては、郵便の業務に従事する者を送達をする者とする。
---------------------------------------------------
(訴状の送達)
第百三十八条 訴状は、被告に送達しなければならない。
2 前条の規定は、訴状の送達をすることができない場合(訴状の送達に必要な費用を予納しない場合を含む。)について準用する。
この訴えの相手方(被告)に対する「送達行為」は、その訴訟があることを知らせる「訴訟告知」と呼ばれます。
この「訴訟告知」は、もし訴えの相手方が裁判が始まったことを知らないまま判決が出てしまえば、訴えられた方に不利益が生じる可能性があるため、日本の法律では、必ず訴訟の相手方に訴状を送る手続きが定められています。
この際、訴訟の相手方の住所や居所が不明なら、民法第98条での「公示送達」をし、裁判所の掲示板に訴状を掲示することで、訴訟の相手に訴状が送達されたとみなすことができます。
この「公示送達」により、訴訟の相手に訴状が届いていなくても裁判手続きを進めることができます。
しかし、この「所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判」では、もう最初から訴えの相手方の所在等が充分な調査をしても不明ですから、裁判の告知をしなくてもいいとしています。
<参照> 民法 第98条
(公示による意思表示)
第九十八条 意思表示は、表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、公示の方法によってすることができる。
2 前項の公示は、公示送達に関する民事訴訟法(平成八年法律第百九号)の規定に従い、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、その掲示があったことを官報に少なくとも一回掲載して行う。ただし、裁判所は、相当と認めるときは、官報への掲載に代えて、市役所、区役所、町村役場又はこれらに準ずる施設の掲示場に掲示すべきことを命ずることができる。
3 公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から二週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない。
4 公示に関する手続は、相手方を知ることができない場合には表意者の住所地の、相手方の所在を知ることができない場合には相手方の最後の住所地の簡易裁判所の管轄に属する。
5 裁判所は、表意者に、公示に関する費用を予納させなければならない。
所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判が行われることを、告知しなくてもいい相手方は、具体的には、
@単棟での所在等不明区分所有者
A団地での所在等不明”団地”建物所有者又は滅失した団地の所在等不明”団地”建物所有者”等”
B区分所有建物が滅失した場合での、所在等不明”敷地”共有者等
です。
通常の民事事件よりも、「所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判」の扱い方は、簡便ということです。
| 第八十六条 (所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 5項 裁判所は、第一項各号に定める物の所有者(その共有持分を有する者を含む。)及びその所在が判明したときは、利害関係人の申立てにより、同項の裁判を取り消さなければならない。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
新設: 施行は、令和8年4月1日。
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★第86条(所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判)5項:所在が不明者でなくなったら、裁判は取り消しとなる
◎第1項に定める物の所有者(共有者を含む)とは
<参照> 区分所有法 第86条 1項
(所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判)
第八十六条 次の各号に掲げる裁判に係る事件は、それぞれ当該各号に定める物の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
一 第三十八条の二第一項の規定による裁判
当該裁判に係る建物
二 第六十六条及び第七十九条において準用する第三十八条の二第一項の規定による裁判
当該裁判に係る土地又は附属施設
三 第七十三条において準用する第三十八条の二第一項の規定による裁判
当該裁判に係る建物の敷地又は附属施設
(以下、略)
本第86条5項は、1項の所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判の管轄地方裁判所を規定した、
1.単棟の場合・・・その建物がある地方裁判所(1号)
2.団地、及び団地の建物が滅失した場合・・・その土地または附属施設がある地方裁判所(2号)
3.滅失した単棟の場合・・・前に建物があった敷地または附属施設がある地方裁判所(3号)
によって、管轄の地方裁判所が所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判をする際に、
@不明とされていた区分所有者等(共有者を含んで)が判明した場合、また、
Aその所在が判明した場合
には、利害関係人からの申し立てがあれば、裁判を取り消すと規定しています。
これらの場合には、もう所在等不明区分所有者ではないため、当然の規定です。
★利害関係人の範囲
所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判は、「所有者(その共有持分を有する者を含む。)及びその所在が判明したとき」に利害関係人からの申し立てで取り消すことになっています。
そこで、ここ場合の利害関係人という曖昧な規定の具体例が問題となります。
基本的には、所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判は、「区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、当該区分所有者(次項において「所在等不明区分所有者」という。)以外の区分所有者(以下この項及び第三項において「一般区分所有者」という。)又は管理者の請求により、一般区分所有者による集会の決議をすることができる旨の裁判をすることができる。(第38条の2 1項)」とありますから、所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判の請求をした、
・一般区分所有者 と
・管理者
が入ることになりますが、それら以外にも
・所在が判明した区分所有者本人(その相続人なども含む)
も入るでしょう。
| 第八十六条 (所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 6項 第一項の裁判及び前項の規定による取消しの裁判に対しては、利害関係人に限り、即時抗告をすることができる。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
新設: 施行は、令和8年4月1日。
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★第86条(所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判)6項:〜取消しの裁判に対しては、即時抗告の制度がある〜
◎第1項の裁判及び前項の規定による取消しの裁判
<参照> 区分所有法 第86条1項 及び 前項(5項) の裁判
(所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判)
第八十六条 次の各号に掲げる裁判に係る事件は、それぞれ当該各号に定める物の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
一 第三十八条の二第一項の規定による裁判
当該裁判に係る建物
二 第六十六条及び第七十九条において準用する第三十八条の二第一項の規定による裁判
当該裁判に係る土地又は附属施設
三 第七十三条において準用する第三十八条の二第一項の規定による裁判
当該裁判に係る建物の敷地又は附属施設
---------------------------------------------------
5 裁判所は、第一項各号に定める物の所有者(その共有持分を有する者を含む。)及びその所在が判明したときは、利害関係人の申立てにより、同項の裁判を取り消さなければならない。
本第86条6項は、所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判の管轄地方裁判所が、
@所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判をしない(第86条1項)とか、
A所在等不明区分所有者等が判明、またはその所在が判明したので、裁判を取消すの決定をした場合(第86条5項)には、
管理人など利害関係人なら、その管轄地方裁判所の「決定」については、誤りがあるので「もう一度、早く審理をしてくれという申し立て(これが、即時抗告です)」をします。
管轄の地方裁判所での審理が不充分と訴えた方が不満に感じることは多々ありますから、それを、防ぐ趣旨です。
★即時抗告とは 〜民事訴訟法 第332条〜
即時抗告は、裁判所の決定や命令に対して不服がある場合に申し立てる手続き(抗告)の一つです。
即時抗告ができるのは全ての裁判所の決定や命令に対してではありません。
この区分所有法の第86条6項の規定にあるように、特に、「即時抗告をすることができる」という明文の規定がある場合に限り、即時抗告が可能です。
法律内で迅速に確定させる必要がある決定について認められています。
即時抗告の対象は裁判所の「決定」や「命令」であり、裁判官が言い渡す「判決」は対象外です。判決に対する不服申し立ては、通常「控訴」や「上告」という形で行われます。
| 判決・決定・命令の主な違い | |||
| 項目 | 判決 | 決定 | 命令 |
| 主体 | 裁判所 | 裁判所 | 裁判官(裁判長など) |
| 対象 | 訴えの結論(有罪・無罪など) | 裁判手続きの付随事項 | 裁判手続きの付随事項 |
| 口頭弁論 | 原則必要 | 不要 | 不要 |
| 不服申立て | 控訴、上告 | 抗告 | 抗告、再抗告(不服申立てできない場合もあり) |
*即時抗告の期間
即時抗告は、迅速な解決を求めるため、不服申立ての期間が法律で短く定められているのが特徴です。
・民事訴訟・・・裁判の告知を受けてから1週間以内。
・刑事訴訟・・・裁判の決定を受けてから3日以内。
・家事事件(家事審判・遺産分割審理・家事調停など)・・・審判の告知を受けてから2週間以内。
この期間は「不変期間」と呼ばれ、いかなる理由があろうとも延長は許されません。
<参照> 民事訴訟法 第332条 及び 刑事訴訟法 第409条 第422条
(即時抗告期間)
第三百三十二条 即時抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
---------------------------------------------------
刑事訴訟法 第409条 、 第422条
第四章 抗告
第四百十九条 抗告は、特に即時抗告をすることができる旨の規定がある場合の外、裁判所のした決定に対してこれをすることができる。但し、この法律に特別の定のある場合は、この限りでない。
第四百二十二条 即時抗告の提起期間は、三日とする。
*執行停止の効力
即時抗告には、原則として「執行停止の効力」があります。(民事訴訟法 第334条)
<参照> 民事訴訟法 第334条
(原裁判の執行停止)
第三百三十四条 抗告は、即時抗告に限り、執行停止の効力を有する。
2 抗告裁判所又は原裁判をした裁判所若しくは裁判官は、抗告について決定があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。
これは、即時抗告が申し立てられると、一度下された裁判所の決定の効力が自動的に停止することを意味します。 通常の抗告では、この執行停止の効力は自動的には発生しません。
*通常の抗告との違い
即時抗告と通常の抗告には、以下のようにいくつかの重要な違いがあります。
| 項目 | 即時抗告 | 通常の抗告 |
| 申立て期間 | 法律で定められた短い期間内 (民事1週間、刑事3日、家事2週間) |
不服申立て期間の定めなし |
| 対象 | 法律で個別に認められている特定の決定 | 裁判所の決定・命令全般 |
| 効力 | 申し立てにより、元の決定の効力が停止する (執行停止の効力) (民事訴訟法 第334条) | 申立てしても、原則として元の決定の効力は維持される(刑事訴訟法 第424条) |
*即時抗告の手続き
即時抗告は、原則として原裁判所(最初に決定を出した裁判所)に「抗告状」を提出して行います。
ただし、抗告状に記載する申し立て先は、審理を行う上級裁判所(通常は高等裁判所)になります。
*抗告状の提出
抗告状は、主に以下の内容を記載して作成します。
・タイトル:「抗告状」または「即時抗告申立状」
・宛名:高等裁判所(抗告状の提出は、原裁判所)
・作成日と事件番号
・申立人(抗告人)および相手方の氏名・住所(注:住所が不明なら、相手人の住所は、記載せず)
・即時抗告の趣旨と理由
抗告の趣旨:原審判を取り消す
抗告理由:申立書に「追って抗告理由書を提出する」と記載し、後から「抗告理由書」として別途提出することも可能です。
*審理のながれ
管轄の地方裁判所への即時抗告が受け付けられると、審理は高等裁判所が行います。
審理は、当事者双方が提出した書面に基づいて行われることが多いですが、裁判官が直接意見を聴く機会を設ける場合もあります。
即時抗告は、原審の続きという構造を持っており、当事者は主張や証拠を追加で提出することができます。
高等裁判所は、審理の結果、元の決定を取り消すとかなどの結論を出します。
| 第八十七条 (所有者不明専有部分管理命令) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 1項 第一章第六節の規定による非訟事件は、裁判を求める事項に係る専有部分の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
新設: 施行は、令和8年4月1日。
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◎非訟事件とは 〜非訟事件と訴訟事件〜
裁判所が扱う事件は、大きく分けると民事の訴訟や刑事訴訟の「訴訟事件」と、民事の審判・調停など非公開の「非訟事件」の2つになります。
そこで、非訟事件とは、裁判所が当事者間で争いのない民事の法律関係に保護者のように後見的に介入し、通常の「訴訟事件」のようにハッキリと白黒をつけるのに対して、「どうすればより良い状態になるか」という見地から判断して、将来の法律関係を形成する事件の一類型です。
訴訟よりも柔軟で迅速な手続を可能にし、当事者の負担を軽減する役割を持っています。
具体的には、
*家族に関するものとしては、
・後見開始の審判
・子の氏の変更の許可
・養子縁組の許可
*財産管理に関するものとしては
・借地権の譲渡・転貸の許可
・供託金に関する事件
*会社に関するものとしては、
・会社の清算人選任・解任
・株式に関する事件
これらの手続きは、「非訟事件手続法」や「家事事件手続法」、「会社法」などの法律に基づいて行われます。
「非訟事件」を取り扱う「非訟事件手続法」は、改正があり、最新版は、2011年(平成23年)5月19日に制定され、施行は、2013年(平成25年1月1日からです。
非訟事件の主な特徴は、
・当事者間の権利義務の確定を目的とする訴訟事件とは異なり、紛争の予防や除去を目的として、より柔軟な手続きで処理されます。
・裁判所の裁量・・・: 裁判所は当事者の主張に拘束されず、その自らの裁量によって判断(決定)を下します。
・非公開審理・・・原則として審理は公開されません。(非訟事件手続法 第30条)
・職権探知主義・・・ 裁判所が職権で事実を調査することがあります。(非訟事件手続法 第49条)
があげられます。
訴訟事件との主な違いは、以下のようになります。
| ◎非訟事件と訴訟事件との違い | ||
| 項目 | 非訟事件 | 訴訟事件 |
| 目的 | 裁判所による法律関係の形成、紛争の予防・除去 | 当事者間の権利義務の確定 |
| 手続の適用法律 | 非訟事件手続法 | 民事訴訟法・刑事訴訟法 |
| 紛争性 | 争訟性が低いものから高いものまで様々 | 当事者間(原告・被告)の権利義務の争いを前提とする |
| 当事者 | 申立人と利害関係人 | 原告と被告 |
| 裁判所の役割 | 後見的介入、裁量による判断ができる | 法令に基づき権利義務の存否を判断 |
| 審理形式 | 非公開、職権探知主義(裁判所の判断で資料を収集できる) | 公開の口頭弁論、当事者の主張・証明が中心 |
| 裁判の方式 | 決定 | 判決 |
<参照> 非訟事件手続法 第1条から3条まで
第一編 総則
(趣旨)
第一条 この法律は、非訟事件の手続についての通則を定めるとともに、民事非訟事件、公示催告事件及び過料事件の手続を定めるものとする。
(最高裁判所規則)
第二条 この法律に定めるもののほか、非訟事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
第二編 非訟事件の手続の通則
第一章 総則
(第二編の適用範囲)
第三条 非訟事件の手続については、次編から第五編まで及び他の法令に定めるもののほか、この編の定めるところによる。
★所有者が不明な時、また管理ができていない時の専有部分や共用部分の管理命令及び選任された管理人について 〜非訟事件として扱う〜
上の第86条1項の「所在等不明区分所有者等の除外等に関する裁判手続」でも述べましたが、令和8年4月1日施行の改正区分所有法では、誰が区分所有者か分からない場合とか、区分所有者の氏名は分かっても、その区分所有者では専有部分(室)や共用部分であるベランダや玄関回り等の管理ができていない場合には、管理者などの利害関係者から「もう、該当の区分所有者では管理ができないので、区分所有者に代わって、誰か他の管理ができる人を選任して」と裁判所に請求し、請求を受けた裁判所は、その専有部分や共用部分の管理を対象とした「所有者不明専有部分管理命令」をだして、「所有者不明”専有部分”管理人」や「管理不全になった”専有部分”または”共用部分”の管理人」を選任し、彼ら管理人は、区分所有者に代わって、専有部分や共用部分を管理する制度を創設しました。
なお、民事事件で裁判所から出されるものには、以下の3つがあります。
@判決・・・「裁判所」による裁判(意思表示的訴訟行為)であり、口頭弁論に基づき(民事訴訟法 第87条)、裁判官、被告人又は弁護人がいる公開の法廷で宣告されるもの
判決に対する不服申立方法は、控訴、上告です。
A決定・・・「裁判所」の裁判であることは「判決」と同じですが、口頭弁論に基づくことを要せず(民事訴訟法 第87条)、書面で裁判(意思表示的訴訟行為)の内容を当事者(被告人又は弁護人)に伝えるもの
告知の方法も自由(民事訴訟法 第119条)
決定に対する不服申立方法は、抗告(即時抗告も抗告の1種)です。
B命令・・・「裁判長」単独の裁判(意思表示的訴訟行為)であり、口頭弁論に基づくことを要せず、書面で裁判(意思表示的訴訟行為)の内容を当事者(被告人又は弁護人)に伝えるもの
告知の方法が自由(民事訴訟法 第119条)
命令に対する不服申立方法も、抗告(即時抗告も抗告の1種)です。
| 判決・決定・命令の主な違い | |||
| 項目 | 判決 | 決定 | 命令 |
| 主体 | 裁判所 | 裁判所 | 裁判官(裁判長など) |
| 対象 | 訴えの結論(有罪・無罪など) | 裁判手続きの付随事項 | 裁判手続きの付随事項 |
| 口頭弁論 | 原則必要 | 不要 | 不要 |
| 不服申立て | 控訴、上告 | 抗告 | 抗告、再抗告(不服申立てできない場合もあり) |
これら、所有者不明専有部分管理命令にしろ、管理不全専有部分・共用部分管理命令にしろ、その命令(処分・決定)は、裁判所が下すことになっていますが、これらの規定は、民法の特別法である「区分所有法」が独自に定めたものであるため、通常の民事裁判におけるどこの裁判所に届をだせばいいのか(管轄裁判所)、また裁判所の決定に対して異議があるときはどうすれば良いのかなどが分かりません。
そこで、本第87条では、
・第1章 第6節にある規定、つまり、「所有者不明専有部分管理命令(第46条の2 〜 第46条の7)」は、
「非訟事件」であり、
また、次の第88条では、
・第1章 第7節にある規定、つまり、「管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令」
この第7節の内訳は、
1.管理不全専有部分管理命令・・・第46条の8〜第46条の12
2.管理不全共用部分管理命令・・・第46条の13〜第46条の14
ですが、これらも「非訟事件」であるとしています。
そして、第89条では、「非訟事件手続法の適用除外」を規定しています。
これにより、
@所有者不明専有部分管理命令
A管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令
の手続は、「非訟事件手続法」によることになりますが、基本は、「民事訴訟法」と同じです。
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★民法の規定を適用しないから、区分所有法内で、ほぼ、非訟事件手続法とおなじ規定をする。
前にも述べましたが、土地や建物の所有者が不明で管理が必要な状況は、民法でも議論されていて、令和5年(2023年)4月1日施行の改正民法でも、特定の土地・建物のみに特化して管理を行う「所有者不明土地・建物管理制度」が創設されました(新民法 第264条の2〜第264条の14)
しかし、区分所有法では、民法で新設された「所有者不明の土地・建物の管理制度」(新民法 第264条の8(所有者不明建物管理命令)、及び新民法 第264条の14(管理不全建物管理命令))やは、明確な理由もなく採用していません。(区分所有法 第6条4項)
<参照> 区分所有法 第6条 4項
(区分所有者の権利義務等)
第六条 区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
2 区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分若しくは自己の所有に属しない共用部分を使用し、又は自らこれらを保存することを請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。
3 第一項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者(以下「占有者」という。)に準用する。
4 民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百六十四条の八及び第二百六十四条の十四の規定は、専有部分及び共用部分には適用しない。
<参照> 民法 第264条の8(所有者不明建物管理命令) 及び 民法 第264条の14(管理不全建物管理命令)
(所有者不明建物管理命令)
第二百六十四条の八 裁判所は、所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない建物(建物が数人の共有に属する場合にあっては、共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない建物の共有持分)について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その請求に係る建物又は共有持分を対象として、所有者不明建物管理人(第四項に規定する所有者不明建物管理人をいう。以下この条において同じ。)による管理を命ずる処分(以下この条において「所有者不明建物管理命令」という。)をすることができる。
2 所有者不明建物管理命令の効力は、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物(共有持分を対象として所有者不明建物管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である建物)にある動産(当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物の所有者又は共有持分を有する者が所有するものに限る。)及び当該建物を所有し、又は当該建物の共有持分を有するための建物の敷地に関する権利(賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(所有権を除く。)であって、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物の所有者又は共有持分を有する者が有するものに限る。)に及ぶ。
3 所有者不明建物管理命令は、所有者不明建物管理命令が発せられた後に当該所有者不明建物管理命令が取り消された場合において、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物又は共有持分並びに当該所有者不明建物管理命令の効力が及ぶ動産及び建物の敷地に関する権利の管理、処分その他の事由により所有者不明建物管理人が得た財産について、必要があると認めるときも、することができる。
4 裁判所は、所有者不明建物管理命令をする場合には、当該所有者不明建物管理命令において、所有者不明建物管理人を選任しなければならない。
5 第二百六十四条の三から前条までの規定は、所有者不明建物管理命令及び所有者不明建物管理人について準用する。
---------------------------------------------------
(管理不全建物管理命令)
第二百六十四条の十四 裁判所は、所有者による建物の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該建物を対象として、管理不全建物管理人(第三項に規定する管理不全建物管理人をいう。第四項において同じ。)による管理を命ずる処分(以下この条において「管理不全建物管理命令」という。)をすることができる。
2 管理不全建物管理命令は、当該管理不全建物管理命令の対象とされた建物にある動産(当該管理不全建物管理命令の対象とされた建物の所有者又はその共有持分を有する者が所有するものに限る。)及び当該建物を所有するための建物の敷地に関する権利(賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(所有権を除く。)であって、当該管理不全建物管理命令の対象とされた建物の所有者又はその共有持分を有する者が有するものに限る。)に及ぶ。
3 裁判所は、管理不全建物管理命令をする場合には、当該管理不全建物管理命令において、管理不全建物管理人を選任しなければならない。
4 第二百六十四条の十から前条までの規定は、管理不全建物管理命令及び管理不全建物管理人について準用する。
そこで、区分所有法第87条は、非訟事件手続法第90条と、ほぼ同じ規定を区分所有法内に規定しています。
<参照> 非訟事件手続法 第90条
第二章 土地等の管理に関する事件 (所有者不明土地管理命令及び所有者不明建物管理命令)
第九十条 民法第二編第三章第四節の規定による非訟事件は、裁判を求める事項に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
2 裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号の期間が経過した後でなければ、所有者不明土地管理命令(民法第二百六十四条の二第一項に規定する所有者不明土地管理命令をいう。以下この条において同じ。)をすることができない。この場合において、同号の期間は、一箇月を下ってはならない。
一 所有者不明土地管理命令の申立てがその対象となるべき土地又は共有持分についてあったこと。
二 所有者不明土地管理命令をすることについて異議があるときは、所有者不明土地管理命令の対象となるべき土地又は共有持分を有する者は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。
三 前号の届出がないときは、所有者不明土地管理命令がされること。
3 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の申立てをする場合には、その許可を求める理由を疎明しなければならない。
4 裁判所は、民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の裁判又は同法第二百六十四条の七第一項の規定による費用若しくは報酬の額を定める裁判をする場合には、所有者不明土地管理人(同法第二百六十四条の二第四項に規定する所有者不明土地管理人をいう。以下この条において同じ。)の陳述を聴かなければならない。
5 次に掲げる裁判には、理由を付さなければならない。
一 所有者不明土地管理命令の申立てを却下する裁判
二 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の申立てを却下する裁判
三 民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の申立てについての裁判
6 所有者不明土地管理命令があった場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分について、所有者不明土地管理命令の登記を嘱託しなければならない。
7 所有者不明土地管理命令を取り消す裁判があったときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明土地管理命令の登記の抹消を嘱託しなければならない。
8 所有者不明土地管理人は、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分及び所有者不明土地管理命令の効力が及ぶ動産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、その土地の所有者又はその共有持分を有する者のために、当該金銭を所有者不明土地管理命令の対象とされた土地(共有持分を対象として所有者不明土地管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である土地)の所在地の供託所に供託することができる。この場合において、供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。
9 裁判所は、所有者不明土地管理命令を変更し、又は取り消すことができる。
10 裁判所は、管理すべき財産がなくなったとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、所有者不明土地管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、所有者不明土地管理命令を取り消さなければならない。
11 所有者不明土地等(民法第二百六十四条の三第一項に規定する所有者不明土地等をいう。以下この条において同じ。)の所有者(その共有持分を有する者を含む。以下この条において同じ。)が所有者不明土地等の所有権(その共有持分を含む。)が自己に帰属することを証明したときは、裁判所は、当該所有者の申立てにより、所有者不明土地管理命令を取り消さなければならない。この場合において、所有者不明土地管理命令が取り消されたときは、所有者不明土地管理人は、当該所有者に対し、その事務の経過及び結果を報告し、当該所有者に帰属することが証明された財産を引き渡さなければならない。
12 所有者不明土地管理命令及びその変更の裁判は、所有者不明土地等の所有者に告知することを要しない。
13 所有者不明土地管理命令の取消しの裁判は、事件の記録上所有者不明土地等の所有者及びその所在が判明している場合に限り、その所有者に告知すれば足りる。
14 次の各号に掲げる裁判に対しては、当該各号に定める者に限り、即時抗告をすることができる。
一 所有者不明土地管理命令 利害関係人
二 民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の裁判 利害関係人
三 民法第二百六十四条の七第一項の規定による費用又は報酬の額を定める裁判 所有者不明土地管理人
四 第九項から第十一項までの規定による変更又は取消しの裁判 利害関係人
15 次に掲げる裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
一 民法第二百六十四条の二第四項の規定による所有者不明土地管理人の選任の裁判
二 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の裁判
16 第二項から前項までの規定は、民法第二百六十四条の八第一項に規定する所有者不明建物管理命令及び同条第四項に規定する所有者不明建物管理人について準用する。
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★所有者不明”専有部分”管理命令の届出を受け付けるのはその専有部分がある地方裁判所である
前の第86条1項でも説明しましたが、日本の裁判制度においては、訴えは日本のどこの裁判所に出していいものではなく、場所と訴えの内容によって受け持ちの裁判所が決められています。(土地管轄・事物管轄・専属管轄)
そこで、本第87条1項においては、
・第1章 第6節に規定される、
所有者不明”専有部分”管理命令・・・第46条の2 〜 第46条の7
の裁判を受け付けるのは、マンションなど区分所有建物(専有部分)がある「地方裁判所」としています。
裁判所に訴える内容は、専有部分の所有者が不明または、所在が不明な場合に、所有者不明”専有部分”管理命令を出して、その区分所有者に代わって「所有者不明専有部分管理人」を選任してくれというものですから、その区分所有建物がある「地方裁判所」が管轄するのは、当然でしょう。
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
新設: 施行は、令和8年4月1日。
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★第87条(所有者不明”専有部分”管理命令)2項:〜所有者不明専有部分管理命令を出す前に、地方裁判所は「公告」をすること〜
本第87条2項は、前の第87条1項で規定する「所有者不明”専有部分”管理命令」を出してくれという申し出を受け付けた地方裁判所は、その「所有者不明専有部分管理命令」をする前に、決まった内容の「公告」をしなさいと言っています。
裁判所が出す「公告」とは、法律に基づき、裁判所が特定の事項を広く一般に知らせる行為を指します。
公告は、広範囲の利害関係者や不特定の者に対し、権利行使の機会を与えることなどを目的としています。
その「公告」の内容は、
1号.該当の専有部分(室)や共用部分について、所有者不明専有部分管理命令を希望する申し立てがあったこと
2号.該当の専有部分(室)や共用部分の所有者は、この公告から1ヶ月以内に「異議」があれば届け出ること
3号.公告後、1ヶ月たっても「異議の届出」がないと、所有者不明専有部分管理命令がなされること
の3つです。
裁判所の公告には、裁判所の掲示板や官報に載せるやり方があります。
なお、通常の裁判であれば、訴えの相手方に知らせる(告知)を必要としますが、この「所有者不明専有部分管理命令」では、相手方には告知は必要でないとされています。(第87条12項)
地方裁判所の手続としては、その「公告」だけです。
| 第八十七条 (所有者不明専有部分管理命令) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 3項 第四十六条の三第二項又は第四十六条の六第二項の許可の申立てをする場合には、その許可を求める理由を疎明しなければならない。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
新設: 施行は、令和8年4月1日。
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★第87条(所有者不明専有部分管理命令)3項:〜裁判所から選任された所有者不明専有部分管理人が行う行為で理由の疎明が必要な場合がある〜
本第87条3項は、所有者不明専有部分管理命令で選任された所有者不明専有部分管理人がその許された権限を超えて行為をする時(第46条の3 2項)と、所有者不明専有部分管理人を辞めたいという時(第46条の6 2項)には、その理由を明らかにせよ(疎明)と規定しています。
<参照> 区分所有法 第46条の3 2項 及び 第46条の6 2項 の許可
(所有者不明専有部分管理人の権限)
第四十六条の三 前条第四項の規定により所有者不明専有部分管理人が選任された場合には、所有者不明専有部分管理命令の対象とされた専有部分又は共有持分並びに所有者不明専有部分管理命令の効力が及ぶ動産並びに共用部分及び附属施設に関する権利並びに敷地利用権並びにこれらの管理、処分その他の事由により所有者不明専有部分管理人が得た財産(以下「所有者不明専有部分等」という。)の管理及び処分をする権利は、所有者不明専有部分管理人に専属する。
2 所有者不明専有部分管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもつて善意の第三者に対抗することはできない。
一 保存行為
二 所有者不明専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
---------------------------------------------------
(所有者不明専有部分管理人の解任及び辞任)
第四十六条の六 所有者不明専有部分管理人がその任務に違反して所有者不明専有部分等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、所有者不明専有部分管理人を解任することができる。
2 所有者不明専有部分管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。
★疎明とは
疎明は、一応、非訟事件手続法では、「疎明は、即時に取り調べることができる資料にしなければならない」となっています。(非訟事件手続法 第50条)
<参照> 非訟事件手続法 第50条
(疎明)
第五十条 疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。
通常、裁判における「疎明」とは、当事者が提出する証拠によって、裁判官が「一応、それは確からしい」と推測できる状態にする、またはその状態にするための行為を指します。
「疎明」は、裁判官が「これは本当だ」と確信を得る「証明」とは異なり、より低い程度の確実性が求められるものです。
★「疎明」と「証明」との違い
「疎明」と「証明」の主な違いは、裁判官が事実を認定する際の確信の度合いにあります。
| 項目 | 疎明 | 証明 |
| 確信度 | 裁判官が「一応確からしい」と推測する状態(低い蓋然性) でいい | 裁判官が「これは本当だ」と確信を得る状態(高度な蓋然性)が必要 |
| 目的 | 迅速な判断や暫定的な決定を目的とする手続 | 判決に直接影響を与える事実の確定 |
| 証拠 | 即時に取り調べ可能な証拠に限定される場合がある | 通常、より厳格な証拠調べが必要 |
そこで、本第87条3項では、地方裁判所によって選任された所有者不明専有部分管理人が勝手行うことのできない
@第46条の3 2項にある
「2 所有者不明専有部分管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
ただし、この許可がないことをもつて善意の第三者に対抗することはできない。
一 保存行為 (注:修理程度)
二 所有者不明専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為」
と
A第46条の6 2項にある所有者不明専有部分管理人が辞任をしたいときの、
「2 所有者不明専有部分管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。」
について、所有者不明専有部分管理人が辞任の許可を地方裁判所に求める申し立てをする際には、裁判官が納得できる理由を疎明しろと規定しています。
なお、第46条の3 2項 での
@保存行為とは、専有部分等の現状維持で、壊れていれば修理をすることなどを指します。
A所有者不明専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為とは、民法第264条の10 2項にある規定(民法 第264条の14 4項で準用)で、所有者が不明な専有部分を、今の使い方や特徴を大きく変えない形で、ちょっと便利にしたり、少し良くしたりする行為を指します。
具体的には、利用とは、部屋の掃除や換気程度で、改良とは壁などの簡単な張替えや古くなった設備の交換ですが、「性質を変えない範囲」というと判断の基準が曖昧です。
専有部分(室)の間取りを変更したり増築となるとこれは、もう「性質を変える範囲」となり、裁判所の許可が必要でしょう。
<参照> 民法 第264条の10 及び 民法 第264条の14
(管理不全土地管理人の権限)
第二百六十四条の十 管理不全土地管理人は、管理不全土地管理命令の対象とされた土地及び管理不全土地管理命令の効力が及ぶ動産並びにその管理、処分その他の事由により管理不全土地管理人が得た財産(以下「管理不全土地等」という。)の管理及び処分をする権限を有する。
2 管理不全土地管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもって善意でかつ過失がない第三者に対抗することはできない。
一 保存行為
二 管理不全土地等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
3 管理不全土地管理命令の対象とされた土地の処分についての前項の許可をするには、その所有者の同意がなければならない。
---------------------------------------------------
(管理不全建物管理命令)
第二百六十四条の十四 裁判所は、所有者による建物の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該建物を対象として、管理不全建物管理人(第三項に規定する管理不全建物管理人をいう。第四項において同じ。)による管理を命ずる処分(以下この条において「管理不全建物管理命令」という。)をすることができる。
2 管理不全建物管理命令は、当該管理不全建物管理命令の対象とされた建物にある動産(当該管理不全建物管理命令の対象とされた建物の所有者又はその共有持分を有する者が所有するものに限る。)及び当該建物を所有するための建物の敷地に関する権利(賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(所有権を除く。)であって、当該管理不全建物管理命令の対象とされた建物の所有者又はその共有持分を有する者が有するものに限る。)に及ぶ。
3 裁判所は、管理不全建物管理命令をする場合には、当該管理不全建物管理命令において、管理不全建物管理人を選任しなければならない。
4 第二百六十四条の十から前条までの規定は、管理不全建物管理命令及び管理不全建物管理人について準用する。
これらについての理由を疎明することは、地方裁判所が判断をするのに必要なので、当然の規定です。
| 第八十七条 (所有者不明専有部分管理命令) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 4項 裁判所は、第四十六条の六第一項の規定による解任の裁判又は第四十六条の七第一項の規定による費用若しくは報酬の額を定める裁判をする場合には、所有者不明専有部分管理人の陳述を聴かなければならない。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
新設: 施行は、令和8年4月1日。
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★第87条(所有者不明専有部分管理命令)4項:〜地方裁判所は、所有者不明専有部分管理人を解任するとき と 所有者不明専有部分管理人の費用と報酬の額を決めるときには、所有者不明専有部分管理人の陳述を聴くこと〜
<参照> 区分所有法 第46条の6 1項 又は 第46条の7 1項
(所有者不明専有部分管理人の解任及び辞任)
第四十六条の六 所有者不明専有部分管理人がその任務に違反して所有者不明専有部分等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、所有者不明専有部分管理人を解任することができる。
2 所有者不明専有部分管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。
---------------------------------------------------
(所有者不明専有部分管理人の報酬等)
第四十六条の七 所有者不明専有部分管理人は、所有者不明専有部分等から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。
2 所有者不明専有部分管理人による所有者不明専有部分等の管理に必要な費用及び報酬は、所有者不明専有部分等の所有者(その共有持分を有する者を含む。)の負担とする。
本第87条4項は、
@地方裁判所が選任した所有者不明専有部分管理人に任務違反とか重要な事由があれば、地方裁判所は、所有者不明専有部分管理人を解任できる規定(第46条の6 1項) と
A地方裁判所が定めることになっている所有者不明専有部分管理人へ支払う費用・報酬額(第46条の7 1項)
の2つの事項については、それらを行う際には、当事者である所有者不明専有部分管理人の話(陳述)も聞いてから、決めなさいとしています。
所有者不明専有部分管理人としては自分自身に係る「解任」や「報酬の額」などについては、意見があるでしょうから、これも、当然の規定です。
なお、地方裁判所が所有者不明専有部分管理人へ支払う費用・報酬額は、所有者不明専有部分管理人の陳述を聞き、その専有部分の状況に応じて個々に地方裁判所が決めますが、この負担は最終的には不明な区分所有者となります。
しかし、不明な区分所有者に請求しても支払を受けることは難しいです。
この場合、所有者不明専有部分管理命令の申し出をする際に、申出人は管理費用や所有者不明専有部分管理人の報酬に充てるための「予納金」を裁判所に納める必要があります。
この予納金から所有者不明専有部分管理人は、費用や報酬を受け取ることになりますが、所有者不明専有部分管理人に特別の資格が必要(マンション管理士)とか管理の期間が長くなるとなれば、申出人は、追加の予納金を納めることになります。
一般に、予納金の額は、10万円から50万円程度となることが多いようですが、これでは、直ぐに不足するでしょう。
| 第八十七条 (所有者不明専有部分管理命令) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 5項 次に掲げる裁判には、理由を付さなければならない。 一 所有者不明専有部分管理命令の申立てを却下する裁判 二 第四十六条の三第二項又は第四十六条の六第二項の許可の申立てを却下する裁判 三 第四十六条の六第一項の規定による解任の申立てについての裁判 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
新設: 施行は、令和8年4月1日。
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◎「決定」「命令」については、上訴が許されるものについてだけ「理由」を記載することが要求されている
★第87条(所有者不明専有部分管理命令)5項:〜地方裁判所は、却下や解任をするなら、理由もつけること〜
<参照> 区分所有法 第46条の3 2項 又は 第46条の6 2項 の却下の裁判 と 第46条の6 1項の解任
(所有者不明専有部分管理人の権限)
第四十六条の三 前条第四項の規定により所有者不明専有部分管理人が選任された場合には、所有者不明専有部分管理命令の対象とされた専有部分又は共有持分並びに所有者不明専有部分管理命令の効力が及ぶ動産並びに共用部分及び附属施設に関する権利並びに敷地利用権並びにこれらの管理、処分その他の事由により所有者不明専有部分管理人が得た財産(以下「所有者不明専有部分等」という。)の管理及び処分をする権利は、所有者不明専有部分管理人に専属する。
2 所有者不明専有部分管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもつて善意の第三者に対抗することはできない。
一 保存行為
二 所有者不明専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
---------------------------------------------------
(所有者不明専有部分管理人の解任及び辞任)
第四十六条の六 所有者不明専有部分管理人がその任務に違反して所有者不明専有部分等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、所有者不明専有部分管理人を解任することができる。
2 所有者不明専有部分管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。
本第87条4項は、地方裁判所が行う「所有者不明専有部分管理命令」において
1号.所有者不明専有部分管理命令の申立てを「却下」する裁判
2号-1.所有者不明専有部分管理人の辞任の申し立てを「許可しない」場合(第46条の3 2項)
2号-2.所有者不明専有部分管理人が裁判所の許可なくして勝手に行うことのできない
ア.保存行為 を超えた行為 と
イ.管理している専有部分等の性質を変える行為
について裁判所の許可を求めても「許可しない」場合(第46条の6 2項)
3号.利害関係人からの請求で所有者不明専有部分管理人を「解任する」場合(第46条の6 1項)
について、地方裁判所として、どうしてこれらの却下や許可をしないのか、また解任をしたのか、その理由を付けることを求めています。
これらの理由を付すことによって、裁判所の出した決定が公正とか恣意的であるかどうかの判断ができます。
関係者にとっては「理由」は納得できるか異議があるかの判断の基になり重要ですから、当然の規定です。
| 第八十七条 (所有者不明専有部分管理命令) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 6項 所有者不明専有部分管理命令があつた場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明専有部分管理命令の対象とされた専有部分又は共有持分について、所有者不明専有部分管理命令の登記を嘱託しなければならない。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
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新設: 施行は、令和8年4月1日。
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◎嘱託とは・・・ある特定の業務をお願いすること。ここでは、裁判所書記官が、法務省の管轄登記所の職員に該当の専有部分又は共有持分が、所有者不明専有部分管理命令の決定を受けたことの登記をお願いすること。
◎裁判所書記官とは・・・裁判が円滑に進むように、裁判を側面から支援する裁判所で働く専門家です。
裁判所事務官として一定期間勤務した後、所定の研修を修了することで、裁判所書記官に任官されます。
裁判の記録作成から、訴訟に関する訴状の送付など事務手続きまで、幅広い業務を担当しています。
・裁判所書記官の業務内容
・裁判の記録作成: 裁判所で話された内容や提出された証拠などを正確に記録し、調書を作成します。
これは、後々の裁判の進行や判決に非常に重要です。
・訴訟に関する事務: 裁判の期日を設定したり、訴状や準備書面などの書類を管理したりします。
・裁判の当事者への連絡: 裁判の期日や呼び出しなど、裁判に必要な情報を当事者や関係者に伝えます。
★第87条(所有者不明専有部分管理命令)6項:〜所有者不明専有部分管理命令は、職権で登記される〜
本第87条6項は、利害関係人からの申し立てで地方裁判所による「所有者不明専有部分管理命令」がなされた区分所有建物の「専有部分」または「共有の持分」について、裁判所書記官が職権で登記所へ登記を依頼する規定です。
一般の扱いとして、所有者不明の土地や建物に関する「管理命令」が出された場合、その管理命令は不動産の取引に影響を与えることがあります。
令和5年(2023年)4月1日で施行された改正民法にも同じような管理不全にある土地・建物に管理命令を出す規定があります。(民法 第264条の8、同第264条の14 など)
民法では、管理不全については多くの条文は建物よりも土地が先に規定されそのため、建物の規定は「所有者不明土地管理命令」の条文を準用しています。
<参照> 民法 第264条の8
(所有者不明建物管理命令)
第二百六十四条の八 裁判所は、所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない建物(建物が数人の共有に属する場合にあっては、共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない建物の共有持分)について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その請求に係る建物又は共有持分を対象として、所有者不明建物管理人(第四項に規定する所有者不明建物管理人をいう。以下この条において同じ。)による管理を命ずる処分(以下この条において「所有者不明建物管理命令」という。)をすることができる。
2 所有者不明建物管理命令の効力は、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物(共有持分を対象として所有者不明建物管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である建物)にある動産(当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物の所有者又は共有持分を有する者が所有するものに限る。)及び当該建物を所有し、又は当該建物の共有持分を有するための建物の敷地に関する権利(賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(所有権を除く。)であって、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物の所有者又は共有持分を有する者が有するものに限る。)に及ぶ。
3 所有者不明建物管理命令は、所有者不明建物管理命令が発せられた後に当該所有者不明建物管理命令が取り消された場合において、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物又は共有持分並びに当該所有者不明建物管理命令の効力が及ぶ動産及び建物の敷地に関する権利の管理、処分その他の事由により所有者不明建物管理人が得た財産について、必要があると認めるときも、することができる。
4 裁判所は、所有者不明建物管理命令をする場合には、当該所有者不明建物管理命令において、所有者不明建物管理人を選任しなければならない。
5 第二百六十四条の三から前条までの規定は、所有者不明建物管理命令及び所有者不明建物管理人について準用する。
これら民法での管理不全の土地と建物を第三者が管理する規定は、区分所有法では、明確な納得できる理由もなく適用がありませんでした。(参照:区分所有法 第6条4項)
<参照> 区分所有法 第6条 4項だけ
(区分所有者の権利義務等)
第六条
4 民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百六十四条の八及び第二百六十四条の十四の規定は、専有部分及び共用部分には適用しない。
しかし、日本全国で高齢化が進み、マンションでの孤独死やマンションの管理に無関心な区分所有者が増加して、管理が十分にできていないマンションも増えてきています。
これでは、いけないと遅ればせながら、法務省も考えて、一度区分所有法では適用しないとしていた民法と同じような「所有者不明専有部分管理命令」などを令和8年4月1日施行の改正区分所有法で新設したという訳です。(区分所有法 第6節 第46条の2〜第46条の7、第7節 管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 第46条の8〜第64条の14)
そこで、 所有者不明専有部分管理命令があった場合には、これを受けて、裁判所書記官は、遅滞なく登記簿に所有者不明専有部分管理命令があり、その対象になっているのは、
@専有部分 又は
A共有持分
であることを、該当の不動産登記を管轄する法務局の登記官に登記簿への記載を依頼(嘱託)します。
裁判所書記官が職権で、遅滞なく、登記を嘱託することになっていますから、所有者不明専有部分管理命令を申し立てた人からは、別途この登記の申請をしなくてもいいということです。
(具体的には、申し出た人が申請費用を負担しなくていい。)
「所有者不明専有部分管理命令」の登記簿への記載は、「所有権の処分の制限の登記」に該当し、権利部甲区(所有権に関する事項)欄に、「差押」「仮差押」「仮処分」「所有権移転仮登記」などと同様に記載されます。
登記記録の例としては、全部事項証明書の表題部(「一棟の建物の表示」と「専有部分の建物の表示」)の下にある権利部(甲区、所有権に関する事項)で以下のようになります。
登記簿への記載には、地方裁判所によって選任された管理人の氏名や住所はありません。

| 所有者不明専有部分管理命令 登記簿の記載例 (登記) | ||||
| 権利部 【甲区】 (所有権に関する事項) | ||||
| 【順位番号】 | 【登記の目的】 | 【受付年月日・受付番号】 | 【原因】 | 【権利者その他の事項】 |
| 1 | 所有権保存 | 平成15年2月24日 第123号 |
平成15年2月20日 売買 |
所有者 墨田区○○二丁目5番1−203号 甲野太郎 |
| 2 | 所有者不明専有部分管理命令 | 令和7年8月8日 第555号 |
令和7年8月6日 東京地方裁判所決定 |
|
| 第八十七条 (所有者不明専有部分管理命令)) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 7項 所有者不明専有部分管理命令を取り消す裁判があつたときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明専有部分管理命令の登記の抹消を嘱託しなければならない。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
新設: 施行は、令和8年4月1日。
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★第87条(所有者不明専有部分管理命令)7項:〜登記された所有者不明専有部分管理命令を、取り消すときは、裁判所書記官が職権で登記を抹消する〜
前の第87条6項で、
「所有者不明専有部分管理命令があつた場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明専有部分管理命令の対象とされた専有部分又は共有持分について、所有者不明専有部分管理命令の登記を嘱託しなければならない。」
とされ、所有者不明専有部分管理命令は、不動産取引に影響をあたえることもあるため、所有者不明専有部分管理命令があつた場合には、裁判所書記官が職権で、該当の専有部分又は共有持分について管轄の登記所へ登記を依頼(嘱託)します。
その登記された所有者不明専有部分管理命令を取り消す裁判があれば、登記は当然に逆の行動として「抹消」をしなければなりませんから、本第87条7項は、その規定です。
所有者不明専有部分管理命令を取り消す裁判を受けて、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明専有部分管理命令の登記の抹消を法務局の登記官に依頼(嘱託)します。
なお、登記された所有者不明専有部分管理命令の登記簿での具体例は、以下のようになり、抹消された所有者不明専有部分管理命令など文言の下には、「抹消」であることをしめす「下線」が付きます。(訂正でよく使われる「二重線」では、ありませんよ。)
| 所有者不明専有部分管理命令 登記簿の記載例 (抹消) | ||||
| 権利部 【甲区】 (所有権に関する事項) | ||||
| 【順位番号】 | 【登記の目的】 | 【受付年月日・受付番号】 | 【原因】 | 【権利者その他の事項】 |
| 1 | 所有権保存 | 平成15年2月24日 第123号 |
平成15年2月20日売買 |
所有者 墨田区○○二丁目5番1−203号 甲野太郎 |
| 2 | 所有者不明専有部分管理命令 | 令和7年8月8日 第555号 |
令和7年8月6日 東京地方裁判所決定 |
|
| 3 | 2番所有者不明専有部分管理命令抹消 | 令和何年何月何日 第何号 |
令和何年何月何日 東京地方裁判所 取消決定 | |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
新設: 施行は、令和8年4月1日。
★第87条(所有者不明専有部分管理命令)8項:〜所有者不明専有部分管理命令の対象で、余分なお金が発生したら「供託」する〜
◎供託制度
あまり、私たちの日常生活において馴染みが無いのですが、家賃などの金銭を受け取って欲しい家主がいる場合に、その家主が家賃の受取を拒否すると、遅延利息も発生しますが、この家賃を法務局の供託所に預けることで家賃を支払ったことになり、後日家主が「家賃を受け取っていない」ということを防げる効果があります。
例えば、借家の立ち退きがこじれて裁判になった時に、家賃の受取を拒否する家主に対して、借家人(借主)は、現在の家賃を毎月供託することで、裁判が解決した時に利息の支払をのがれることができます。

これを「供託」といい、家賃など債務の弁済(弁済供託)や旅行業の営業保証金(保証供託)などがあります。
供託が認められるのは、民法や会社法、また民事訴訟法や刑事訴訟法など、そしてこの区分所有法のように規定で「供託することができる」の条文がある場合です。
何にでも供託の制度が適用されるわけではありません。
★「供託」の対象となるのは 〜金銭が発生した場合〜
所有者不明専有部分管理命令で供託の対象となるのは、
@その専有部分または共有持分
Aその動産(家具や自動車など)・エントランスなどの共用部分・附属施設に関する権利
B敷地利用権の管理や処分
Cその他
から金銭が発生した場合です。
具体的には、専有部分(室)が貸し出されていればその家賃収入やもし売れるものがあれば売却代金が該当し、この金額から滞納している管理費や修繕積立金があればそれらを支払い、またゴミの撤去が必要であればその撤去費用や所有者不明専有部分管理人の報酬をマイナスした金額が供託の金額となります。
区分所有者が不明な専有部分では、区分所有者の特定や連絡が難しく、そこから生じる金銭を直接区分所有者に渡すことができません。
このような状況で、管理によって得られた金銭を安全に保管し、後日、区分所有者が判明した際に確実に引き渡せるようにするために「供託」が利用されます。
この供託により、所有者不明専有部分管理人は金銭の管理責任を果たしつつ、将来区分所有者が判明した時に、債務(金銭の引き渡し義務)を免れることができます。
供託の方法として、所有者不明専有部分管理人は、法務局の管轄に従い「専有部分」がある地元の供託所に、金銭を持って行き、「所有者不明土地管理命令に基づく供託であること」を理由に供託します。
所有者不明専有部分管理命令は、まだこの解説を書いている時点(2025年12月)では未施行で実例がないため、民法における「所有者不明土地(建物)管理命令における供託の制度」を例にしますと、供託書に以下の内容を記載します。
・不動産の所在地と物件の特定情報(地番、家屋番号など)
・権利関係の詳細(所有者不明の状況など)
・管理人の氏名及び住所
・供託の事由(所有者不明土地管理命令に基づく供託である旨)
・供託金額及びその内訳(賃料収入、売却代金、管理費用の差引など)
・供託書には管理人の印鑑を押印する必要があります。
後日、不明だった区分所有者が現れれば、その区分所有者は、供託所に供託金の「還付請求」をして、金銭を受け取ることになります。
★所有者不明専有部分管理人は「供託」をしたことを「公告」すること
本第87条8項の後半では、供託をしたら
「この場合において、供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。」
と規定しています。
供託の費用は、基本的に供託を行う人(供託者=所有者不明専有部分管理人)が負担することになります。
所有者が不明なのに、供託したことを「公告」をしろと言われても、その効果は見込めません。しかし、法律とは、社会全体を対象にしているため、そんなものです。
★法務省令で定める公告の方法 〜官報に載せる〜
管轄の供託所へ「供託」したという事実の「公告」の方法としては、政府が発行している官報に載せる
・官報公告
になります。
<公告ひな型>
これも、所有者不明専有部分管理命令は、まだこの解説を書いている時点(2025年12月)では未施行で実例がないため、民法における「所有者不明土地(建物)管理命令における供託の制度」を例にしますと、官報の供託公告に以下の内容を記載します
| 所有者不明専有部分管理人による官報での供託公告記載例 |
| 建物の区分所有等に関する法律 第87条8項の規定により、次のとおり供託しました。 一 不明者 ○○ ○○ 住所 ○○県○○市○○町○番地 xxマンションxx号室 二 供託所 ○○地方法務局 三 供託番号 令和○年度金第○○○号 四 供託金額 ○○○円 五 裁判所 ○○地方裁判所 六 事件名 所有者不明専有部分管理命令申立事件 七 事件番号 令和○年 第○○○号 令和○年○月○日 ○○県○○市○○○丁目○○番○○号 所有者不明専有部分管理人 ○○ ○○ |
| 第八十七条 (所有者不明専有部分管理命令) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 9項 裁判所は、所有者不明専有部分管理命令を変更し、又は取り消すことができる。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
新設: 施行は、令和8年4月1日。
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★第87条(所有者不明専有部分管理命令)9項:〜所有者不明専有部分管理命令は、事情により、変更や取り消しができる〜
本第87条9項は、利害関係人からの申し立てで地方裁判所が一度決定した「所有者不明専有部分管理命令」を、地方裁判所は、その内容を変更したり、取り消しができるとしています。
★所有者不明専有部分管理命令の変更と取り消し
所有者不明専有部分管理命令は、以下のような状況で変更や取り消しが必要となる場合があります。
@管理が必要な状況の解消
ゴミの除去やベランダの補修ができたなど、所有者不明専有部分管理命令を発令した目的が達成された場合
A所有者不明専有部分管理人の解任 (第46条の6 1項)
所有者不明専有部分管理人が任務に違反して専有部分に著しい損害を与えた場合や、その他の重要な事由がある場合、利害関係人の請求により裁判所が管理人を解任できます。
B所有者不明専有部分管理人の辞任 (第46条の6 2項)
所有者不明専有部分管理人が、病気や高齢など正当な事由があるとして、裁判所の許可を得て辞任する場合があります。
C専有部分の売却 (第87条10項)
所有者不明専有部分管理人が地方裁判所の許可を得て専有部分を売却し、売却代金を供託した場合など、管理する財産がなくなった際には所有者不明専有部分管理命令が取り消されることがあります。
D所有者不明でなくなった場合(第87条11項)
不明とされていた区分所有者が判明、または住所がわかったとき
★必ず所有者不明専有部分管理命令を取り消さなければならない場合がある
管理の目的が達せられた場合とか、所有者不明専有部分管理人の解任やその辞任なら、地方裁判所の独自の判断で、所有者不明専有部分管理命令を変更したり、取り消しができますが、
次の第87条10項で
@管理すべき財産がなくなったとき
A管理を継続することが相当でなくなったとき
には、所有者不明専有部分管理人若しくは利害関係人の申立てがあれば、地方裁判所は必ず所有者不明専有部分管理命令の取り消しをします。
この状況にあるということは、もうこれ以上管理する必要がありませんから当然です。
また、地方裁判所が、申し立てがなくても、上の2つの事由を知れば、その際には職権で「所有者不明専有部分管理命令」の取り消しをします。
また、第87条11項では、
・所有者不明専有部分等の所有者とされていた者が、自分が所有者だと証明したとき
にも、必ず所有者不明専有部分管理命令を取り消さなければならないとしています。
ここ第87条9項は、10項及び11項に該当しない場合には、地方裁判所独自で、所有者不明専有部分管理命令を変更し、又は取り消すことができるということです。
| 第八十七条 (所有者不明専有部分管理命令) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 10項 裁判所は、管理すべき財産がなくなつたとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなつたときは、所有者不明専有部分管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、所有者不明専有部分管理命令を取り消さなければならない。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
新設: 施行は、令和8年4月1日。
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★所有者不明専有部分管理命令を”必ず”取り消さなければならない場合 〜管理対象の財産がなくなったときなど〜
本第87条10項は、地方裁判所が出した所有者不明専有部分管理命令を、必ず取り消す場合を規定しています。
その場合とは、
@管理すべき財産がなくなったとき (管理すべき財産の全部が供託されたときを含む)
A財産の管理を継続することが相当でなくなったとき
の2つです。
@の管理すべき財産がなくなったときとは、
文字どうり(物理的)なら、津波や地震で専有部分のある区分所有建物が被災して、管理の対象である建物の専有部分がなくなれ(全部滅失)ば、もう所有者不明専有部分管理命令の必要性がありませんから、この場合には、所有者不明専有部分管理命令は、所有者不明専有部分管理人若しくは利害関係人の申立て、また地方裁判所がそれを独自に知り得れば、地方裁判所の職務(職権)として、所有者不明専有部分管理命令を取り消すことになります。
また、法的に、管理の対象となっている専有部分が、地方裁判所の許可を得て売却されて、新しい区分所有者になり、別に所有者不明専有部分管理人を選任する必要がなくなった場合もこれに該当します。
*管理すべき財産の全部が「供託」されたときとは
所有者不明専有部分管理命令の目的は、不明な区分所有者に代わって専有部分の管理を所有者不明専有部分管理人に任せることです。
管理の対象となっている財産の全てが「供託」になったときには、所有者不明専有部分管理人が管理する財産が「供託」の制度によって国(法務省)が管理することになりますから、この場合も、「管理すべき財産がなくなったき」と同様の扱いにしたのです。
しかし、金銭面での管理は終わっても、まだ、管理不全な状況は続いており、納得できない規定ですが、非訟事件手続法 第90条10項でも同様な規定があります。
<参照>非訟事件手続法 第90条10項だけ
第二章 土地等の管理に関する事件 (
所有者不明土地管理命令及び所有者不明建物管理命令)
第九十条
10 裁判所は、管理すべき財産がなくなったとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、所有者不明土地管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、所有者不明土地管理命令を取り消さなければならない。
Aの財産の管理を継続することが相当でなくなったときとは、
@での管理すべき財産がなくなったとき以外の理由です。
具体的には、
・不明であった区分所有者が現れたとか、
・不明であった区分所有者の死亡が確認されたとか
・管理の必要性よりも、管理の費用がかかり過ぎて適切でない
などが考えられます。
これらの要件に合致すれば、
・所有者不明専有部分管理人若しくは利害関係人の申立て または
・地方裁判所の職権
で、所有者不明専有部分管理命令は、必ず取り消されます。
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
新設: 施行は、令和8年4月1日。
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★所有者がハッキリすれば、もう、所有者不明専有部分管理命令は不要 〜取り消す〜
本第87条11項は、面倒な言い回しですが、「所有者不明専有部分管理命令」の対象になっている所有者が不明とされている専有部分(それが共有なら、その共有持分)の本当の持主は、私ですと誰かが証明したときには、前に出された「所有者不明専有部分管理命令」は、必ず地方裁判所によって取り消すことを規定しています。
調査が不十分など、何らかの事由で、所有者不明専有部分管理命令の対象とされた専有部分(または、その共有持分)が本当は所有者不明ではなかったということです。
間違えて所有者不明専有部分管理命令を出したのですから、正しい区分所有者が申し出てくれば、地方裁判所は、所有者不明専有部分管理命令を取り消すのは、当然です。
★選任されていた所有者不明専有部分管理人は、任務中何をしたのか、また財産があれば、判明した区分所有者に報告し返すこと
一度、地方裁判所から所有者不明専有部分管理命令が出されれば、必ず地方裁判所によって所有者不明専有部分管理人が選任されています。(第46条の2 1項及び4項)
所有者不明専有部分管理命令により、選任された所有者不明専有部分管理人は、その管理者としての任務を果たす義務がありますから、対象となった専有部分について管理費や修繕積立金を支払ったとか、どこかの修繕をしたとか、を記録していますから、所有者不明専有部分管理命令が取り消しになった時点で、これらの活動を「事務の経過及び結果」として、新しく判明した区分所有者に報告します。
また、所有者不明専有部分管理人として職務活動中に得た財産が、新しく判明した区分所有者に属するということがハッキリすれば(証明されれば)、当然その財産は、新しく判明した区分所有者に引き渡します。
逆に、所有者不明専有部分管理人としての任務中に得た財産があっても、それが、新しく判明した区分所有者に属しないなら、その財産は、新しく判明した区分所有者に引き渡す必要はありません。
| 第八十七条 (所有者不明専有部分管理命令) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 12項 所有者不明専有部分管理命令及びその変更の裁判は、所有者不明専有部分等の所有者に告知することを要しない。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
新設: 施行は、令和8年4月1日。
★所有者不明専有部分管理命令、またその変更は、所有者不明専有部分等の所有者に告知しなくていい 〜不明だから〜
本第87条12項は、所有者不明専有部分管理命令の裁判があること、またその変更の裁判があっても、当事者である所有者不明専有部分等の所有者に「告知」しなくてもいいと規定しています。
前に説明しました第86条4項のように、通常の裁判であれば、裁判所は裁判を起こす際には、原告(訴えを起こす人)から、訴状の正本(裁判所用)と被告(訴えらえる人)の人数分の副本を裁判所に提出させ、この副本が裁判所から郵便などで訴えの相手方である被告に送られます(送達)。(民事訴訟法 第99条。第138条)
<参照> 民事訴訟法 第99条 及び、第138条
(送達実施機関)
第九十九条 送達は、特別の定めがある場合を除き、郵便又は執行官によってする。
2 郵便による送達にあっては、郵便の業務に従事する者を送達をする者とする。
---------------------------------------------------
(訴状の送達)
第百三十八条 訴状は、被告に送達しなければならない。
2 前条の規定は、訴状の送達をすることができない場合(訴状の送達に必要な費用を予納しない場合を含む。)について準用する。
この訴えの相手方(被告)に対する「送達行為」は、その訴訟があることを知らせる「訴訟告知」と呼ばれます。
この「訴訟告知」は、もし訴えの相手方が裁判が始まったことを知らないまま判決が出てしまえば、訴えられた方に不利益が生じる可能性があるため、日本の法律では、必ず訴訟の相手方に訴状を送る手続きが定められています。
この際、訴訟の相手方の住所や居所が不明なら、民法第98条での「公示送達」をし、裁判所の掲示板に訴状を掲示することで、訴訟の相手に訴状が送達されたとみなすことができます。
この「公示送達」により、訴訟の相手に訴状が届いていなくても裁判手続きを進めることができます。
しかし、この「所有者不明専有部分管理命令に関する裁判」では、もう最初から訴えの相手方である所有者不明専有部分等の所有者の所在等が不明ですから、裁判があること、またその裁判で変更があったこと告知をしなくてもいいとしています。
所有者が不明なため、裁判の簡素化が図られています。
| 第八十七条 (所有者不明専有部分管理命令) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 13項 所有者不明専有部分管理命令の取消しの裁判は、事件の記録上所有者不明専有部分等の所有者及びその所在が判明している場合に限り、その所有者に告知すれば足りる。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
新設: 施行は、令和8年4月1日。
★所有者不明専有部分管理命令の「取消し」の裁判の告知
本第87条13項は、所有者不明専有部分管理命令が取り消されたという告知は、
@裁判の記録にある不明な区分所有者
A後から不明で無くなった区分所有者がいればその区分所有者
に告知すればいいという規定です。
所有者不明専有部分管理命令は、管理が必要な状況が解消されたり、地方裁判所の許可で専有部分が売却されたり、不明だった区分所有者が判明したりすると、地方裁判所の職権や利害関係人からの申し立てで取り消しになります。
通常、裁判が取り消しになると、当事者に知らせる(告知)がなされますが、所有者不明専有部分管理命令の取消し裁判は、もともと区分所有者を知ることができない、またはその所在が不明な専有部分についてなされるものですから、事件記録によって所有者不明専有部分の所有者やその所在が判明している場合に限り、その所有者へ告知すれば足りるとされています。
これは、裁判所が所有者の所在を把握している状況での手続きの簡素化を意味しています。
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
新設: 施行は、令和8年4月1日。
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★即時抗告とは 〜民事訴訟法 第332条〜
即時抗告も、前の第86条6項で説明しましたように、繰り返しの説明になりますが、即時抗告は、裁判所の決定や命令に対して不服がある場合に申し立てる手続き(抗告)の一つです。
即時抗告ができるのは全ての裁判所の決定や命令に対してではありません。
この区分所有法の第87条14項の規定にあるように、特に、「即時抗告をすることができる」という明文の規定がある場合に限り、即時抗告が可能です。
法律内で迅速に確定させる必要がある決定について認められています。
即時抗告の対象は裁判所の「決定」や「命令」であり、裁判官が言い渡す「判決」は対象外です。判決に対する不服申し立ては、通常「控訴」や「上告」という形で行われます。
*即時抗告の期間
即時抗告は、迅速な解決を求めるため、不服申立ての期間が法律で短く定められているのが特徴です。
・民事訴訟・・・裁判の告知を受けてから1週間以内。
・刑事訴訟・・・裁判の決定を受けてから3日以内。
・家事事件(家事審判・遺産分割審理・家事調停など)・・・審判の告知を受けてから2週間以内。
この期間は「不変期間」と呼ばれ、いかなる理由があろうとも延長は許されません。
<参照> 民事訴訟法 第332条 及び 刑事訴訟法 第409条 第422条
(即時抗告期間)
第三百三十二条 即時抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
---------------------------------------------------
刑事訴訟法 第409条 、 第422条
第四章 抗告
第四百十九条 抗告は、特に即時抗告をすることができる旨の規定がある場合の外、裁判所のした決定に対してこれをすることができる。但し、この法律に特別の定のある場合は、この限りでない。
第四百二十二条 即時抗告の提起期間は、三日とする。
*執行停止の効力
即時抗告には、原則として「執行停止の効力」があります。(民事訴訟法 第334条)
<参照> 民事訴訟法 第334条
(原裁判の執行停止)
第三百三十四条 抗告は、即時抗告に限り、執行停止の効力を有する。
2 抗告裁判所又は原裁判をした裁判所若しくは裁判官は、抗告について決定があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。
これは、即時抗告が申し立てられると、一度下された裁判所の決定の効力が自動的に停止することを意味します。 通常の抗告では、この執行停止の効力は自動的には発生しません。
*通常の抗告との違い
即時抗告と通常の抗告には、以下のようにいくつかの重要な違いがあります。
| 項目 | 即時抗告 | 通常の抗告 |
| 申立て期間 | 法律で定められた短い期間内 (民事1週間、刑事3日、家事2週間) |
不服申立て期間の定めなし |
| 対象 | 法律で個別に認められている特定の決定 | 裁判所の決定・命令全般 |
| 効力 | 申し立てにより、元の決定の効力が停止する (執行停止の効力) (民事訴訟法 第334条) | 申立てしても、原則として元の決定の効力は維持される(刑事訴訟法 第424条) |
*即時抗告の手続き
即時抗告は、原則として原裁判所(最初に決定を出した裁判所)に「抗告状」を提出して行います。
ただし、抗告状に記載する申し立て先は、審理を行う上級裁判所(通常は高等裁判所)になります。
*抗告状の提出
抗告状は、主に以下の内容を記載して作成します。
・タイトル:「抗告状」または「即時抗告申立状」
・宛名:高等裁判所(抗告状の提出は、原裁判所)
・作成日と事件番号
・申立人(抗告人)および相手方の氏名・住所(注:住所が不明なら、相手人の住所は、記載せず)
・即時抗告の趣旨と理由
抗告の趣旨:原審判を取り消す
抗告理由:申立書に「追って抗告理由書を提出する」と記載し、後から「抗告理由書」として別途提出することも可能です。
*審理のながれ
管轄の地方裁判所への即時抗告が受け付けられると、審理は高等裁判所が行います。
審理は、当事者双方が提出した書面に基づいて行われることが多いですが、裁判官が直接意見を聴く機会を設ける場合もあります。
即時抗告は、原審の続きという構造を持っており、当事者は主張や証拠を追加で提出することができます。
高等裁判所は、審理の結果、元の決定を取り消すとかなどの結論を出します。

★即時抗告が出来る決定・裁判は、限られる
そこで、即時抗告は、裁判所の特定の決定に対して許されることになっていますから、本第87条14項は、即時抗告のできる地方裁判所の決定とだれが即時抗告ができるかを列挙しています。
<参照> 区分所有法 第46条の6 1項 第46条の7 1項 第87条9項から11項の規定
(所有者不明専有部分管理人の解任及び辞任)
第四十六条の六 所有者不明専有部分管理人がその任務に違反して所有者不明専有部分等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、所有者不明専有部分管理人を解任することができる。
2 所有者不明専有部分管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。
---------------------------------------------------
(所有者不明専有部分管理人の報酬等)
第四十六条の七 所有者不明専有部分管理人は、所有者不明専有部分等から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。
2 所有者不明専有部分管理人による所有者不明専有部分等の管理に必要な費用及び報酬は、所有者不明専有部分等の所有者(その共有持分を有する者を含む。)の負担とする。
---------------------------------------------------
第87条9項から11項 (所有者不明専有部分管理命令)
9 裁判所は、所有者不明専有部分管理命令を変更し、又は取り消すことができる。
10 裁判所は、管理すべき財産がなくなつたとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなつたときは、所有者不明専有部分管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、所有者不明専有部分管理命令を取り消さなければならない。
11 所有者不明専有部分等の所有者(その共有持分を有する者を含む。以下この条において同じ。)が所有者不明専有部分等の所有権(その共有持分を含む。)が自己に帰属することを証明したときは、裁判所は、当該所有者の申立てにより、所有者不明専有部分管理命令を取り消さなければならない。この場合において、所有者不明専有部分管理命令が取り消されたときは、所有者不明専有部分管理人は、当該所有者に対し、その事務の経過及び結果を報告し、当該所有者に帰属することが証明された財産を引き渡さなければならない。
第87条14項1号から4号までの即時抗告ができる裁判所の決定・裁判と即時抗告ができる人は以下の表になります。
| 番号 | 裁判所の決定・裁判 | 即時抗告ができる人 | 利害関係人の範囲など |
| 1号 | 所有者不明専有部分管理命令(第46条の2) | 利害関係人 | ・管理者(理事長) ・専有部分の共有者の一部が不明である場合の共有者 ・管理組合法人 ・他の区分所有者 ・地方自治体:その専有部分が所在する地方公共団体 ・隣接地所有者:所有者不明の土地・建物が適切に管理されないことで、不利益を被るおそれのある人が該当する場合 ・購入希望者:所有者不明の不動産の利用に具体的な計画があり、その利用に関心がある人も利害関係人となることがあります。 |
| 2号 | 所有者不明専有部分管理人の解任の裁判 (第46条の6 1項) |
利害関係人 | ・管理者(理事長) ・専有部分の共有者の一部が不明である場合の共有者 ・管理組合法人 ・他の区分所有者 ・地方自治体:その専有部分が所在する地方公共団体 ・隣接地所有者:所有者不明の土地・建物が適切に管理されないことで、不利益を被るおそれのある人が該当する場合とで、不利益を被るおそれのある人が該当する場合があります。 |
| 3号 | 所有者不明専有部分管理人の費用・報酬等を定める裁判 (第46条の7 1項) |
所有者不明専有部分管理人 | 納得していな所有者不明専有部分管理人だけ |
| 4号 | 所有者不明専有部分管理命令の変更・取り消しの裁判 (第87条9項から11項) |
利害関係人 | ・管理者(理事長) ・専有部分の共有者の一部が不明である場合の共有者 ・管理組合法人 ・他の区分所有者 ・地方自治体:その専有部分が所在する地方公共団体 ・隣接地所有者:所有者不明の土地・建物が適切に管理されないことで、不利益を被るおそれのある人が該当する場合 |
| 第八十七条 (所有者不明専有部分管理命令)) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 15項 次に掲げる裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 一 第四十六条の二第四項の規定による所有者不明専有部分管理人の選任の裁判 二 第四十六条の三第二項又は第四十六条の六第二項の許可の裁判 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
新設: 施行は、令和8年4月1日。
◎裁判での不服申し立て(不服申請)とは
裁判での不服申し立てとは、訴訟法での手続で、裁判や裁判所の処分によって、納得できないとか不利益を受けた人が、その取り消しや変更をその上級の裁判所や同じ機関に求めて行う申し立てを指します。行政庁の処分に対するものとは区別されます。
この不服申し立て制度の目的は、もう一度、訴えの内容を審理することにより、裁判が適正に行われたどうか、裁判当事者(被告・原告)の権利の救済、また裁判での法律の統一した解釈を行う等です。
不服申立方法には、
@ 控訴、上告、抗告など、原裁判の取消・変更を求める上訴、
A 特別上告 や特別抗告など、憲法違反を理由とし、最高裁判所に確定裁判の取消・変更を求める特別上訴、
B 確定裁判の取消・変更を求める再審、また
C 督促異議、執行異議、少額訴訟判決に対する異議、仲裁判断取消の申立てなど、
その他の不服申立方法があります。
★「不服の申し立て」と「即時抗告」の違い
「不服の申し立て」と第87条14項で説明しました「即時抗告」は、どちらも裁判所の決定に納得できない場合(不服がある場合)に利用する手続きですが、即時抗告は、法令で認められていなければできないとか、不服申し立ての中でも特に期間が短く限定されている点が大きな違いです。
★不服の申し立てができない裁判がある
本第87条の最後の項 15項は、通常、裁判所の判断(決定や判決)に納得できない場合(不服な場合)には、再度(三審まで可)審理を請求することができる(不服の申し立て)という訴訟の手続を破り、一度裁判所が出した決定に対して納得ができなくても、我慢しろという規定です。
不服の申し立てができない裁判となると、憲法で保障された「裁判を受ける権利」(憲法 第32条)などに抵触する気がします。
<参照> 憲法 第31条 及び 第32条 、 そして 第82条
第三十一条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
第三十二条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。
---------------------------------------------------
第八十二条 裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
A 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。
但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。
国家機関である裁判所が紛争の解決法として扱う事件には、国家が後見的に介入して紛争を処理する「非訟事件」と、争いを法によって解決する「訴訟事件」に分けられることを思い出して下さい。
この非訟事件においては、不服申し立ての手続きが制限されても憲法第32条や第82条違反でないという見解から、所有者不明専有部分管理命令において、裁判所が出した
@所有者不明専有部分管理人が選任された場合(第46条の2 4項)
A所有者不明専有部分管理人が権限外である
ア.保存行為
イ.所有者不明専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
以外をする許可を裁判所に求めても許可をしない場合(第46条の3 2項)
B所有者不明専有部分管理人の辞任を許可しない場合(第46条の6 2項)
においては、
・所有者不明専有部分管理人の人選が不満とか、
・所有者不明専有部分管理人の権限外をやりたいのに許可しないのはおかしいとか、
・所有者不明専有部分管理人を辞めたいのに辞めさせてくれないのはおかしいとか
は、言えませんということです。
不服の申し立てができない@とAは、納得できますが、Bの所有者不明専有部分管理人の辞任を許可しない場合も不服の申し立てができないのは、「正当な事由がない」のでしょうが、やりたくない人にそれ以上、所有者不明専有部分管理人をやらせることは、無理があります。
<参照> 区分所有法 第46条の2 4項 、 第46条の3 2項 又は 第46条の6 2項
(所有者不明専有部分管理命令)
第四十六条の二
4 裁判所は、所有者不明専有部分管理命令をする場合には、当該所有者不明専有部分管理命令において、所有者不明専有部分管理人を選任しなければならない。
---------------------------------------------------
第46条の3 2項
(所有者不明専有部分管理人の権限)
第四十六条の三
2 所有者不明専有部分管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもつて善意の第三者に対抗することはできない。
一 保存行為
二 所有者不明専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
---------------------------------------------------
第46条の6 2項
(所有者不明専有部分管理人の解任及び辞任)
第四十六条の六
2 所有者不明専有部分管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。
| 第八十八条 (管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 1項 第一章第七節の規定による非訟事件は、裁判を求める事項に係る専有部分又は共用部分の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
新設: 施行は、令和8年4月1日。
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★第88条:管理不全”専有部分”管理命令及び管理不全”共用部分”管理命令の裁判手続き 〜区分所有者はいるが、管理ができていない場合の命令〜
第88条「管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令 今後、略して、「管理不全”専有部分/共用部分”管理命令」ということもあります。)は、区分所有者の存在・住所は分かっているが、その区分所有者は、長期不在で、管理費や修繕積立金の支払がよく滞納するとか建物の専有部分(室)の管理ができない場合または、同じく区分所有者はいるが建物の共用部分である玄関回りがいつも汚いとか、ベランダの管理ができていない場合などでその区分所有者に代わって、管理者(理事長)など利害関係人は、裁判所に「管理不全”専有部分”管理命令」または「管理不全”共用部分”管理命令」を出してもらい、その「管理不全”専有部分/共用部分”管理命令」により選任された「管理不全”専有部分/共用部分”管理人」の権限・報酬などを定めた第1章第7節の規定を裁判上どう扱うかの規定です。
区分所有法で、裁判の手続規定まで設けているのは、上で説明した所有者不明専有部分管理命令(第87条)と同様に、区分所有法では、第6条4項で、同じような規定がある民法の条文(新民法 第264条の8(所有者不明建物管理命令) ,第264条の14(管理不全建物管理命令))を適用しないとしたためです。
<参照> 区分所有法 第6条
(区分所有者の権利義務等)
第六条 区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
2 区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分若しくは自己の所有に属しない共用部分を使用し、又は自らこれらを保存することを請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。
3 第一項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者(以下「占有者」という。)に準用する。
4 民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百六十四条の八及び第二百六十四条の十四の規定は、専有部分及び共用部分には適用しない。
<参照> 民法 第264条の8 及び 第264条の14 (区分所有法では、適用されない)
(所有者不明建物管理命令)
第二百六十四条の八 裁判所は、所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない建物(建物が数人の共有に属する場合にあっては、共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない建物の共有持分)について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その請求に係る建物又は共有持分を対象として、所有者不明建物管理人(第四項に規定する所有者不明建物管理人をいう。以下この条において同じ。)による管理を命ずる処分(以下この条において「所有者不明建物管理命令」という。)をすることができる。
2 所有者不明建物管理命令の効力は、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物(共有持分を対象として所有者不明建物管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である建物)にある動産(当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物の所有者又は共有持分を有する者が所有するものに限る。)及び当該建物を所有し、又は当該建物の共有持分を有するための建物の敷地に関する権利(賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(所有権を除く。)であって、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物の所有者又は共有持分を有する者が有するものに限る。)に及ぶ。
3 所有者不明建物管理命令は、所有者不明建物管理命令が発せられた後に当該所有者不明建物管理命令が取り消された場合において、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物又は共有持分並びに当該所有者不明建物管理命令の効力が及ぶ動産及び建物の敷地に関する権利の管理、処分その他の事由により所有者不明建物管理人が得た財産について、必要があると認めるときも、することができる。
4 裁判所は、所有者不明建物管理命令をする場合には、当該所有者不明建物管理命令において、所有者不明建物管理人を選任しなければならない。
5 第二百六十四条の三から前条までの規定は、所有者不明建物管理命令及び所有者不明建物管理人について準用する。
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(管理不全建物管理命令)
第二百六十四条の十四 裁判所は、所有者による建物の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該建物を対象として、管理不全建物管理人(第三項に規定する管理不全建物管理人をいう。第四項において同じ。)による管理を命ずる処分(以下この条において「管理不全建物管理命令」という。)をすることができる。
2 管理不全建物管理命令は、当該管理不全建物管理命令の対象とされた建物にある動産(当該管理不全建物管理命令の対象とされた建物の所有者又はその共有持分を有する者が所有するものに限る。)及び当該建物を所有するための建物の敷地に関する権利(賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(所有権を除く。)であって、当該管理不全建物管理命令の対象とされた建物の所有者又はその共有持分を有する者が有するものに限る。)に及ぶ。
3 裁判所は、管理不全建物管理命令をする場合には、当該管理不全建物管理命令において、管理不全建物管理人を選任しなければならない。
4 第二百六十四条の十から前条までの規定は、管理不全建物管理命令及び管理不全建物管理人について準用する。
本第88条(管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令の裁判手続き)は、上の第87条の「所有者不明専有部分管理命令」の裁判手続きととほぼ同じ構成です。
★第1章第7節とは
本第88条1項での、第1章 第7節に規定とは、具体的には、以下の規定です。
第1章 建物の区分所有
第7節 管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令
(第46条の8〜第46条の14)
・第46条の8・・・・管理不全”専有部分”管理命令
・第46条の9・・・・管理不全専有部分管理人の権限
・第46条の10・・・管理不全専有部分管理人の義務
・第46条の11・・・管理不全専有部分管理人の解任及び辞任
・第46条の12・・・管理不全専有部分管理人の報酬等
・第46条の13・・・管理不全”共用部分”管理命令
・第46条の14・・・管理不全共用部分管理人の権限等
第1章第7節で規定される、「管理不全”専有部分/共用部分”管理命令」に該当する規定(第46条の8〜第46条の14)は、全て通常の訴訟事件でなく、「非訟事件」として扱い、この「管理不全”専有部分/共用部分”管理命令」に関する管轄裁判所は「裁判を求める事項に係る専有部分又は共用部分の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する」として、管轄裁判所は地方裁判所が扱います。
◎非訟事件とは 〜非訟事件と訴訟事件〜
これも、上の第87条での説明の繰り返しになりますが、法の構成が、第87条「”所有者不明専有部分”管理命令」とこの第88条「管理不全”専有部分/共用部分”管理命令」ではほぼ同じですので、復習もかねて読んでください。
裁判所が扱う事件は、大きく分けると民事の訴訟や刑事の訴訟を対象とした「訴訟事件」と、民事の審判・調停など非公開の「非訟事件」の2つになります。
その1つの非訟事件とは、裁判所が争いのない民事の法律関係に保護者のように後見的に介入し、将来の法律関係を形成する事件の一類型です。
訴訟よりも柔軟で迅速な手続を可能にし、当事者の負担を軽減する役割を持っています。
「非訟事件」を取り扱う「非訟事件手続法」は、改正があり、最新版は、2011年(平成23年)5月19日に制定され、施行は、2013年(平成25年1月1日からです。
*非訟事件の主な特徴は、
・当事者間の権利義務の確定を目的とする訴訟事件とは異なり、紛争の予防や除去を目的として、より柔軟な手続きで処理されます。
・裁判所の裁量・・・: 裁判所は当事者の主張に拘束されず、その自らの裁量によって判断(決定)を下します。
・非公開審理・・・原則として審理は公開されません。(非訟事件手続法 第30条)
・職権探知主義・・・ 裁判所が職権で事実を調査することがあります。(非訟事件手続法 第49条)
があげられます。
訴訟事件との主な違いは、以下のようになります。
| 非訟事件と訴訟事件との違い | ||
| 項目 | 非訟事件 | 訴訟事件 |
| 目的 | 法律関係の形成、紛争の予防・除去 | 権利義務の確定 |
| 手続の適用法律 | 非訟事件手続法 | 民事訴訟法・刑事訴訟法 |
| 紛争性 | 争訟性が低いものから高いものまで様々 | 事者間の権利義務の争いを前提とする |
| 当事者 | 申立人と利害関係人 | 原告と被告 |
| 裁判所の役割 | 後見的介入、裁量による判断ができる | 法令に基づき権利義務の存否を判断 |
| 審理形式 | 非公開、職権探知主義 | 公開の口頭弁論、当事者の主張・証明が中心 |
| 裁判の方式 | 決定 | 判決 |
★区分所有法での裁判手続きは、非訟事件手続法を基本にしている
区分所有法内に令和8年4月1日施行で新設された、
第六節 所有者不明専有部分管理命令(第四十六条の二〜第四十六条の七)
第七節 管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令(第四十六条の八〜第四十六条の十四)
など「管理不全」関係の各規定は、基本的には、令和3年の改正民法で新設された「第四節 所有者不明土地管理命令及び所有者不明建物管理命令」を受けてこれも新設された非訟事件手続法の第二章 土地等の管理に関する事件
(所有者不明土地管理命令及び所有者不明建物管理命令)(第90条〜第92条)を基本にしています。
<参照> 非訟事件手続法 第91条
(管理不全土地管理命令及び管理不全建物管理命令)
第九十一条 民法第二編第三章第五節の規定による非訟事件は、裁判を求める事項に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
2 民法第二百六十四条の十第二項又は第二百六十四条の十二第二項の許可の申立てをする場合には、その許可を求める理由を疎明しなければならない。
3 裁判所は、次の各号に掲げる裁判をする場合には、当該各号に定める者の陳述を聴かなければならない。ただし、第一号に掲げる裁判をする場合において、その陳述を聴く手続を経ることにより当該裁判の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。
一 管理不全土地管理命令(民法第二百六十四条の九第一項に規定する管理不全土地管理命令をいう。以下この条において同じ。) 管理不全土地管理命令の対象となるべき土地の所有者
二 民法第二百六十四条の十第二項の許可の裁判 管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者
三 民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の裁判 管理不全土地管理人(同法第二百六十四条の九第三項に規定する管理不全土地管理人をいう。以下この条において同じ。)
四 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による費用の額を定める裁判 管理不全土地管理人
五 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による報酬の額を定める裁判 管理不全土地管理人及び管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者
4 次に掲げる裁判には、理由を付さなければならない。
一 管理不全土地管理命令の申立てについての裁判
二 民法第二百六十四条の十第二項の許可の申立てについての裁判
三 民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の申立てについての裁判
四 民法第二百六十四条の十二第二項の許可の申立てを却下する裁判
5 管理不全土地管理人は、管理不全土地管理命令の対象とされた土地及び管理不全土地管理命令の効力が及ぶ動産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、その土地の所有者(その共有持分を有する者を含む。)のために、当該金銭を管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所在地の供託所に供託することができる。この場合において、供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。
6 裁判所は、管理不全土地管理命令を変更し、又は取り消すことができる。
7 裁判所は、管理すべき財産がなくなったとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、管理不全土地管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、管理不全土地管理命令を取り消さなければならない。
8 次の各号に掲げる裁判に対しては、当該各号に定める者に限り、即時抗告をすることができる。
一 管理不全土地管理命令 利害関係人
二 民法第二百六十四条の十第二項の許可の裁判 管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者
三 民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の裁判 利害関係人
四 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による費用の額を定める裁判 管理不全土地管理人
五 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による報酬の額を定める裁判 管理不全土地管理人及び管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者
六 前二項の規定による変更又は取消しの裁判 利害関係人
9 次に掲げる裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
一 民法第二百六十四条の九第三項の規定による管理不全土地管理人の選任の裁判
二 民法第二百六十四条の十二第二項の許可の裁判 1
0 第二項から前項までの規定は、民法第二百六十四条の十四第一項に規定する管理不全建物管理命令及び同条第三項に規定する管理不全建物管理人について準用する。
当解説で不明な点があれば、新民法や新非訟事件手続法の解説も参考にしてください。
★「管理不全”専有部分/共用部分”管理命令」の届出を受け付けるのはその専有部分がある地方裁判所である
前の第86条1項や第87条1項でも説明しましたが、日本の裁判制度においては、訴えは日本のどこの裁判所に出していいものではなく、場所と訴えの内容によって受け持ちの裁判所が決められています。(土地管轄・事物管轄・専属管轄)
そこで、本第88条1項においては、
・第1章 第7節に規定される、
管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令・・・第46条の8 〜 第46条の14
の裁判を受け付けるのは、マンションなど区分所有建物(専有部分)がある「地方裁判所」としています。
裁判所に訴える内容は、専有部分の所有者がいても、その専有部分(室)や玄関回りやベランダなど共用部分の管理ができない場合に、「管理不全”専有部分/共用部分”管理命令」を出してもらい、その区分所有者に代わって「管理不全”専有部分/共用部分”管理人」を選任してくれというものですから、その区分所有建物がある「地方裁判所」が管轄するのは、当然でしょう。
★「管理不全”専有部分/共用部分”管理命令」では、地方裁判所の「公告」は不要
注意しなければいけないのは、「所有者不明専有部分管理命(第87条2項)」では、区分所有者が誰なのか、またどこにいるのか不明なため、この所有者不明専有部分管理命を出す前に、地方裁判所は官報などに最低1か月間の「公告」をして裁判があることを知らせることになっていますが、本第88条の「管理不全”専有部分/共用部分”管理命令」では、地方裁判所の「公告」は不要となっていることです。
裁判の当事者である建物の専有部分の区分所有者は、判明していますから、裁判の広告は不要にしています。
| 第八十八条 (管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 2項 第四十六条の九第三項又は第四十六条の十一第二項の許可の申立てをする場合には、その許可を求める理由を疎明しなければならない。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
新設: 施行は、令和8年4月1日。
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★第88条(管理不全”専有部分/共用部分”管理命令)2項:〜裁判所から選任された「管理不全”専有部分”管理人」が行う行為で理由の疎明が必要な場合がある〜
本第88条2項は、「管理不全”専有部分”管理命令」(第46条の9)により、裁判所から選任された「管理不全”専有部分”管理人」が
@保存行為など許された権限を超えて行為をする時(第46条の9 3項)と、
A管理不全”専有部分”管理人を辞めたいという時(第46条の6 2項)には、
その理由を明らかにせよ(疎明)と規定しています。
<参照> 区分所有法 第46条の9(権限) 3項 又は 第46条の11(辞任) 2項 の許可の申立て
(管理不全専有部分管理人の権限)
第四十六条の九 管理不全専有部分管理人は、管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分並びに管理不全専有部分管理命令の効力が及ぶ動産並びに共用部分及び附属施設に関する権利並びに敷地利用権並びにこれらの管理、処分その他の事由により管理不全専有部分管理人が得た財産(以下「管理不全専有部分等」という。)の管理及び処分をする権限を有する。
2 前項の規定にかかわらず、管理不全専有部分管理人は、集会において議決権を行使することができない。
3 管理不全専有部分管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもつて善意でかつ過失がない第三者に対抗することはできない。
一 保存行為
二 管理不全専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
4 管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分の処分についての前項の許可をするには、その区分所有者の同意がなければならない。
---------------------------------------------------
(管理不全専有部分管理人の解任及び辞任)
第四十六条の十一
管理不全専有部分管理人がその任務に違反して管理不全専有部分等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、管理不全専有部分管理人を解任することができる。
2 管理不全専有部分管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。
★疎明とは
疎明は、一応、非訟事件手続法では、「疎明は、即時に取り調べることができる資料にしなければならない」となっています。(非訟事件手続法 第50条)
通常、裁判における「疎明」とは、当事者が提出する証拠によって、裁判官が「一応、それは確からしい」と推測できる状態にする、またはその状態にするための行為を指します。
「疎明」は、裁判官が「これは本当だ」と確信を得る「証明」とは異なり、より低い程度の確実性が求められるものです。
詳細は上の、第87条3項にありますから、見て下さい。
そこで、本第88条2項では、地方裁判所によって選任された「管理不全”専有部分”管理人」が勝手行うことのできない
@第46条の9 2項にある
「3 管理不全専有部分管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
ただし、この許可がないことをもつて善意でかつ過失がない第三者に対抗することはできない。
一 保存行為
二 管理不全専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
の権限を超えた行為で裁判所の許可を求める場合と
A第46条の11 2項にある「管理不全”専有部分”管理人」が辞任をしたいときの、
「2 管理不全専有部分管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。」
での「管理不全”専有部分”管理人」が辞任の許可を地方裁判所に求める申し立てをする際には、管轄する地方裁判所の裁判官が納得できる理由を疎明しろと規定しています。
なお、第46条の9 2項 での
@保存行為とは、専有部分等の現状維持で、壊れていれば修理をすることなどを指します。
A管理不全専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為とは、民法第264条の10 2項にある規定(民法 第264条の14 4項で準用)で、管理が充分でない専有部分を、今の使い方や特徴を大きく変えない形で、ちょっと便利にしたり、少し良くしたりする行為を指します。
<参照> 民法 第264条の14(管理不全建物管理命令) 4項で準用 民法 第264条の10
(管理不全土地管理人の権限)
第二百六十四条の十 管理不全土地管理人は、管理不全土地管理命令の対象とされた土地及び管理不全土地管理命令の効力が及ぶ動産並びにその管理、処分その他の事由により管理不全土地管理人が得た財産(以下「管理不全土地等」という。)の管理及び処分をする権限を有する。
2 管理不全土地管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもって善意でかつ過失がない第三者に対抗することはできない。
一 保存行為
二 管理不全土地等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
3 管理不全土地管理命令の対象とされた土地の処分についての前項の許可をするには、その所有者の同意がなければならない。
区分所有建物の専有部分において、具体的には、利用とは、部屋の掃除や換気程度で、改良とは壁などの簡単な張替えや古くなった設備の交換ですが、「性質を変えない範囲」というと判断の基準が曖昧です。
専有部分(室)の間取りを変更したり増築となるとこれは、もう「性質を変える範囲」となり、管理不全”専有部分”管理人はもう、勝手にできず、その際には、裁判所の許可が必要でしょう。
★管理不全専有部分管理命令の裁判手続の関係
「疎明」から今後でてきます、管理不全専有部分管理命令における以下の各種裁判手付き
@管理不全専有部分管理人からの理由の疎明(第88条2項)
A陳述を聴く(第88条3項)
B裁判の理由を付す(第88条4項)
C裁判の公告(第88条5項)
D裁判の変更と取り消し(第88条6項)
E必ず取り消す場合(第88条7項)
F即時抗告ができる場合(第88条8項)
G不服の申し立てが出来ない裁判(第88条9項)
があります。
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
新設: 施行は、令和8年4月1日。
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★第88条(管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令)3項:地方裁判所は管理不全”専有部分”管理命令の裁判で陳述を聞くことを必要とされる場合がある〜
本第88条3項では、管理不全専有部分管理命令の申し立てが、管理者などの利害関係人からあった場合に、その対象となっている専有部分を所有している区分所有者や、管理不全専有部分管理命令が出された後の管理不全専有部分管理人の解任や報酬を決める際に、当事者である区分所有者や管理不全専有部分管理人の意見を聞いてから(陳述)判断しなさいといっています。
基本的には、書面審査が中心で口頭弁論も必要としない非訟事件で、簡便で後見的な意味合いを持つ管理不全専有部分管理”命令”の裁判ですが、以下の5つの場合には、当事者である「区分所有者」と「管理不全専有部分管理人」の話を参考にすることを地方裁判所に義務付けています。
ただし、地方裁判所は、彼らの話を聴くだけで、彼らの意見に従うことはありません。最終判断は、地方裁判所に委ねられています。
管理不全専有部分管理命令で、地方裁判所が関係者の意見を聴いたり、次の第88条4項での理由を付すのは、まとめると以下のようになります。
| 地方裁判所が、管理不全専有部分管理命令の裁判で、陳述を聴かなければならない場合 と理由を付す場合 | ||||
| 番号 | 対象規定 | 陳述する人 | 説明など | 理由を付すこと |
| 1 | 管理不全専有部分管理命令 (第46条の8 1項) | 専有部分の区分所有者 | 対象となる本人から聴くこと | 付す |
| (管理不全専有部分管理命令) 第四十六条の八 裁判所は、区分所有者による専有部分の管理が不適当であることによつて他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該専有部分を対象として、第三項に規定する管理不全専有部分管理人による管理を命ずる処分(以下「管理不全専有部分管理命令」という。)をすることができる。 |
||||
| 2 | 第四十六条の九第三項の許可の裁判 | 専有部分の区分所有者 | 大幅な変更行為は専有部分に対する影響が大きい | 付す |
| (管理不全専有部分管理人の権限) 第四十六条の九 3 管理不全専有部分管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもつて善意でかつ過失がない第三者に対抗することはできない。 一 保存行為 二 管理不全専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為 |
||||
| 3 | 第四十六条の十一第一項の規定による解任の裁判 | 管理不全専有部分管理人 | どうして解任されるかは意見をいいたい | 付す プラスして第46条の11 2項もあり。 |
| (管理不全専有部分管理人の解任及び辞任) 第四十六条の十一 管理不全専有部分管理人がその任務に違反して管理不全専有部分等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、管理不全専有部分管理人を解任することができる。” |
||||
| 4 | 第四十六条の十二第一項の規定による”費用の額”を定める裁判 | 管理不全専有部分管理人 | ”費用”なので、管理人の意見も聴くこと | 規定なし |
| (管理不全専有部分管理人の報酬等) 第四十六条の十二 管理不全専有部分管理人は、管理不全専有部分等から裁判所が定める額の”費用の前払及び報酬”を受けることができる。 |
||||
| 5 | 第四十六条の十二第一項の規定による”報酬の額”を定める裁判 | 管理不全専有部分管理人及び 専有部分の区分所有者 |
”報酬”は当然に貰う方と払う方の意見を聴くこと | 規定なし |
| (管理不全専有部分管理人の報酬等) 第四十六条の十二 管理不全専有部分管理人は、管理不全専有部分等から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。 |
||||
本第88条3項の規定は、非訟事件手続法 第91条3項を参考にしています。
<参照> 非訟事件手続法 第91条(管理不全土地管理命令及び管理不全建物管理命令)3項だけ
3 裁判所は、次の各号に掲げる裁判をする場合には、当該各号に定める者の陳述を聴かなければならない。
ただし、第一号に掲げる裁判をする場合において、その陳述を聴く手続を経ることにより当該裁判の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。
一 管理不全土地管理命令(民法第二百六十四条の九第一項に規定する管理不全土地管理命令をいう。以下この条において同じ。)
管理不全土地管理命令の対象となるべき土地の所有者
二 民法第二百六十四条の十第二項の許可の裁判
管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者
三 民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の裁判
管理不全土地管理人(同法第二百六十四条の九第三項に規定する管理不全土地管理人をいう。以下この条において同じ。)
四 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による費用の額を定める裁判
管理不全土地管理人
五 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による報酬の額を定める裁判
管理不全土地管理人及び管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者
★地方裁判所が陳述を聴かなければならない5つの場合
1号.地方裁判所が管理不全”専有部分”管理命令関係において、陳述を聴かなければならない場合の1番目は、
管理不全専有部分管理命令を出す際に、その対象となっている専有部分の区分所有者の陳述です。
管理者など利害関係人からの請求により、「区分所有者による専有部分の管理が不適当であることによつて他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合(第46条の8)」に該当するかどうかの判定を裁判所がする際には、周りの人の話だけでなく、本当にその専有部分を有している区分所有者では、管理が出来ないのかを確認するために、本人である区分所有者からの意見を聴くことは重要です。
地方裁判所は、利害関係人からの請求内容と区分所有者本人の意見を参考にして、「管理不全”専有部分”管理命令」を出すか出さないか、その必要性を判断します。
---------------------------------------------------
2号.地方裁判所が管理不全”専有部分”管理命令関係において、陳述を聴かなければならない場合の2番目は、「管理不全”専有部分”管理命令」が出された後に、管理不全専有部分管理人が行う行為が自己の権限として許されている、
ア.保存行為 と
イ.管理不全専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
を超えていいるので、管理不全専有部分管理人が地方裁判所に「許可」を求めた際に、地方裁判所は、その管理の対象となっている区分所有者にも意見を求める(陳述を聴く)というものです。
管理不全専有部分管理人が裁判所に「許可」を求める行為は、その専有部分を大幅に改造する場合などでしょうから、これは区分所有者にとっては、重大な関心事です。
そこで、この管理不全専有部分管理人が権限外の行為であるので裁判所に「許可」を求める行為ならば、地方裁判所は、その「許可」の判断をする際には、対象となっている専有部分を有する区分所有者の話を聴くのは、当然です。
この場合も、地方裁判所は、区分所有者の陳述を聴くだけで、区分所有者が管理不全専有部分管理人の権限外の行為に賛成しない場合でも、地方裁判所は、「許可」することもあるでしょう。
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3号.地方裁判所が管理不全”専有部分”管理命令関係において、陳述を聴かなければならない場合の3番目は、管理不全”専有部分”管理命令によって選任された管理不全専有部分管理人がその任務に違反して管理不全専有部分等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、管理不全専有部分管理人を解任することができる場合(第46条の11 1項)、地方裁判所は、「解任」について、当事者である管理不全専有部分管理人の話(陳述)を必ず聴くことにしています。
どうして自分が辞めらされることになったのか、管理不全専有部分管理人としては、自分の任務をした訳ですから、釈明(陳述)というよりも、これは、次の第88条4項 3号に規定される地方裁判所が行おうとしている「解任」の理由の方が重要と考えます。
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4号.地方裁判所が管理不全”専有部分”管理命令関係において、陳述を聴かなければならない場合の4番目は、次の5番目とも大きく関わっていますが、管理不全専有部分管理人は、管理不全専有部分等から裁判所が定める額の”費用の前払及び報酬”を受けることができる。(第46条の12 1項)での前払いされる”費用と報酬の額を定める場合には、地方裁判所が選任した管理不全専有部分管理人からの意見を聴くこととしています。
多くの場合”費用の額”は、実費(実際にかかる額)で決めやすいのですが、”報酬の額”は、決まった相場の額がまだ無いため、また選任される管理不全専有部分管理人が行う業務の難易度や必要とされる時間などで変動することが想定されます。
管理不全専有部分管理人としては、これからの自分の任務でどのくら”費用”がかかるのか、また、自分が受け取るべき”報酬”に納得がいかないと、例え管理不全専有部分管理人として選任されていて、「善良な管理者」として任務を全うしろといわれても、報酬が余りにも少ないとやる気にはなりませんから、自分の意見を述べるのは当然です。
なお、この「所有者不明専有部分管理人による所有者不明専有部分等の管理に必要な費用及び報酬は、所有者不明専有部分等の所有者(その共有持分を有する者を含む。)の負担となります(第47条の7 2項)から、「報酬」に関しては、負担する区分所有者も 次の第88条3項 5号 によって、その区分所有者も意見を言うことができます。
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5号.地方裁判所が管理不全”専有部分”管理命令関係において、陳述を聴かなければならない場合の最後の5番目は、前のCでも述べましたが、所有者不明専有部分管理人が前払いで受け取る”費用と報酬”のうち、”報酬の額”は、所有者不明専有部分管理人とそれを負担する専有部分の区分所有者にとっても、重大な事項ですから、この”報酬額”については、地方裁判所は必ず、区分所有者の意見を聴いてから判断することになっています。
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★ただし、「管理不全専有部分管理命令」で、専有部分の区分所有者」の陳述を聴く手続を経ると、申し立ての目的を達することができないときは、専有部分の区分所有者」の陳述を聴かなくてもいい
本第88条3項では、「管理不全専有部分管理命令」の裁判をする場合には、対象となる有部分の区分所有者などの陳述を聴かなければならないとしながら、「ただし、第一号に掲げる裁判をする場合において、その陳述を聴く手続を経ることにより当該裁判の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。
第88条3項1号は、
一 管理不全専有部分管理命令 の裁判で 陳述を聴く人は、
管理不全専有部分管理命令の対象となるべき専有部分の区分所有者
です。
「その陳述を聴く手続を経ることにより当該裁判の申立ての目的を達することができない事情があるとき」とは、通常なら裁判所は事件の当事者や証人から直接陳述を聞く手続きを行うべきですが、それができない特別な状況がある場合に、その手続きを省略できるということです。
あまり、馴染みがない表現ですね。
裁判には、公平・中立とか、公開の原則とか、過程の透明性などが求められますが、また、迅速な解決も必要です。
そこで、事件の当事者が病気や災害にあったとか、長期海外へ行っている、出頭を拒んでいるなどの理由で裁判所に出頭できない理由がある場合には、当事者の陳述を待っていては、裁判が長くなる恐れもあります。
このように専有部分の区分所有者が長期の病気などの状況で、その陳述を聴くことが出来なければ、迅速な解決ができず、管理不全専有部分管理命令の裁判の目的を達せないような場合なら、地方裁判所は、対象となっている専有部分の区分所有者からの陳述がなくても、「管理不全専有部分管理命令」の裁判ができるとしています。
裁判を迅速に進めるための例外規定です。
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◎理由を付すとは・・・裁判所の判断の内容で、「なぜそうなのか」という根拠や説明を付け加えることです。
根拠や理由を述べることで、訴訟を起こした当事者が裁判所の判定の内容をより深く理解し、納得または反論がしやすくなります。
★第88条(管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令)4項:〜地方裁判所は管理不全”専有部分”管理命令の裁判で”理由を付す”ことが求められることがある〜
基本的には、書面審査が中心で特定の場合を除いて口頭弁論も必要としない非訟事件で、簡便で後見的な意味合いを持つ管理不全専有部分管理”命令”の裁判ですが、以下の4つの場合には、どうしてその結果になったのかの経過や根拠を「その理由」として説明する(理由を付す)ことにしています。
裁判官が判決や決定を下す際に、その結論に至った経緯や根拠を具体的に説明するのは、裁判官の恣意的な判断を防ぎ、裁判の透明性と公正さを保つ上でとても大切な民主主義の基本的なルールですから、当然です。
この裁判で付せられた理由を検討することにより、当事者や上級裁判所はその「理由」を読んで、納得したり、適切でないなら「即時抗告」や「不服の申し立て」などの手段をとることができます。
<参照> 区分所有法 第46条の9 3項(権限外) 第46条の11 1項(解任) 及び 2項(辞任)
(管理不全専有部分管理人の権限)
第四十六条の九 管理不全専有部分管理人は、管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分並びに管理不全専有部分管理命令の効力が及ぶ動産並びに共用部分及び附属施設に関する権利並びに敷地利用権並びにこれらの管理、処分その他の事由により管理不全専有部分管理人が得た財産(以下「管理不全専有部分等」という。)の管理及び処分をする権限を有する。
2 前項の規定にかかわらず、管理不全専有部分管理人は、集会において議決権を行使することができない。
3 管理不全専有部分管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもつて善意でかつ過失がない第三者に対抗することはできない。
一 保存行為
二 管理不全専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
4 管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分の処分についての前項の許可をするには、その区分所有者の同意がなければならない。
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(管理不全専有部分管理人の解任及び辞任)
第四十六条の十一 管理不全専有部分管理人がその任務に違反して管理不全専有部分等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、管理不全専有部分管理人を解任することができる。
2 管理不全専有部分管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。
★地方裁判所が理由を付さなければならない、4つの裁判
管理不全専有部分管理命令の裁判においては、以下の4つの裁判では、必ず理由を付せ(理由を述べろ)としています。
1号.管理不全専有部分管理命令の申立てについての裁判 〜行うか/行わないか〜
理由を付さなければならない、4つの裁判の1つ目は、管理不全専有部分管理命令の申立てについての裁判です。(46条の8)
管理者等の利害関係人から、「区分所有者による専有部分の管理が不適当であることによつて他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要がある」として請求された管理不全専有部分管理命令の裁判ですから、これを受理して裁判を行うことにしたとか受理しないのならその理由を説明するのは、裁判の透明性の要求からも必要な行為です。
前の第88条3項1号により、陳述を許された管理不全専有部分管理命令の対象となるべき専有部分の区分所有者の陳述と、管理不全専有部分管理命令を請求した利害関係人の請求内容を審査して、地方裁判所は、管理不全専有部分管理命令の処分をだします。
どうして、管理不全専有部分管理命令をだすのか、またださないのか、その理由を付します。
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2号.管理不全専有部分管理人が行う権限外の行為の許可/不許可の裁判 〜第46条の9 3項〜
理由を付さなければならない、4つの裁判の2つ目は、地方裁判所によって選任された管理不全専有部分管理人が権限として許されている保存行為などを超えた(権限外)行為を行いたいので、地方裁判所に「許可」求めた場合です。(第46条の9 3項)
この場合も、前の第88条3項2号により、管理不全専有部分管理人は、「許可」がどうして必要か意見を述べることができます。
管理不全専有部分管理人の意見も聴いて、許可を求められた地方裁判所は、管理不全専有部分管理人の権限外の行為を「許可」するか「不許可」について、判断した理由を付さなければなりません。
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3号.管理不全専有部分管理人を裁判所が”解任”する場合 〜第46条の11 1項〜
理由を付さなければならない、4つの裁判の3つ目は、管理不全専有部分管理人が任務違反で、管理不全専有部分等に著しい損害を与えたこと、その他重要な事由があるとき」には、利害関係人の請求で、地方裁判所が管理不全専有部分管理人を解任できる場合には、その「理由を付す」ことになっています。(第46条の11 1項)
解任される管理不全専有部分管理人には、前の第88条3項3号により、陳述の機会が与えられおり、地方裁判所は、利害関係人の請求内容と管理不全専有部分管理人の言い分を聴いて、管理不全専有部分管理人を「解任」する理由を付します。
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4号.管理不全専有部分管理人の辞任を「却下」する裁判 〜第46条の11 2項〜
理由を付さなければならない、4つの裁判の最後の4番目は、管理不全専有部分管理人が「正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる」により、辞任を申し立てたのに、地方裁判所が、これを「却下」した場合にも、その理由を付すことになっています。(参照:第46条の11 2項)
管理不全専有部分管理人は、病気や激務に耐えられないなど正当な事由があるので「辞めたい」と申し立てしますが、その「正当な事由」の判断は、地方裁判所に委ねられていますから、地方裁判所が辞任には正当な事由がないので、その申し立ては「却下」することもありえます。
その「却下」には当然に、理由を付すことが必要です。
辞任において「正当な事由がない」場合・・・管理不全専有部分管理人としては、通常考えられる「正当な事由」である、病気や高齢、多忙などのやむを得ない事情を説明しても、裁判所としては、そんな個人的な事由だけでは、区分所有者の財産を管理・処分する重要な役割を担っている管理不全専有部分管理人に辞められては困るという判断でしょうが、しかし、辞めたいと願っている管理不全専有部分管理人にその職を続けさしても、「却下」の効果は薄いでしょう。
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◎供託の制度・・・、家賃などの金銭を受け取って欲しい家主がいる場合に、その家主が家賃の受取を拒否すると、遅延利息も発生しますが、この家賃を法務局の供託所に預けることで家賃を支払ったことになり、後日家主が「家賃を受け取っていない」ということを防げる効果があります。
例えば、借家の立ち退きがこじれて裁判になった時に、家賃の受取を拒否する家主に対して、借家人(借主)は、現在の家賃を毎月供託することで、家賃を支払ったことになり裁判が解決した時に利息の支払をのがれることができます。

この制度を「供託」といい、具体的には、家賃など債務の弁済(弁済供託)や、 宅地建物取引業法(第25条)においては、宅建業者は営業をする際に「営業保証金」として一定の金額を供託所に預ける必要があります。
この宅建業者の供託金は、トラブルが発生した場合の損害補償に充てられます。同じような趣旨で、旅行業の営業保証金(保証供託)などもあります。
供託が認められるのは、民法や会社法、また民事訴訟法や刑事訴訟法など、そしてこの区分所有法のように規定で「供託することができる」の条文がある場合です。
何にでも供託の制度が適用されるわけではありません。
★第88条(管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令)5項:〜管理不全専有部分管理命令の対象で、余分なお金が発生し、区分所有者が受け取らなかったら「供託」する〜
本第88条5項は、管理不全専有部分管理命令の対象となっている
@専有部分
A管理不全専有部分管理命令の効力が及ぶ動産(家具、備品など)
B共用部分及び附属施設に関する権利
C敷地利用権の管理、処分
Dその他の事由により
金銭が生じた場合に、管理不全専有部分管理人は、それらの発生した金銭から、かかった費用や管理不全専有部分管理人の報酬などを差し引いて、残った金銭があれば、対象の区分所有者に渡しますが、もしも、対象の区分所有者がその金銭を受け取らない時には、その金銭を法務局にある管轄の「供託所」に供託することができるとしています。
通常であれば、これらの金銭を対象の区分所有者は受け取るでしょうが、管理が充分にできないほどの区分所有者であることを考えると、管理不全専有部分管理人から提供される金銭を受け取らないことも想定されます。
その場合、 供託制度を利用することにより、管理不全専有部分管理人は金銭の管理責任を果たしつつ、将来区分所有者がその供託した金銭を受け取れば、債務(金銭の引き渡し義務)を免れることができます。
★管理不全専有部分管理人は「供託」をしたことを「公告」すること
本第88条5項の後半では、「この場合において、供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない」として、管理不全専有部分管理人は供託をしたことを「おおやけ(公)」にすることになっています。
公告の方法としては、官報に載せる方法があります。
供託の方法や公告については、前の第87条8項と同じですから、そちらも参考にしてください。
| 第八十八条 (管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 6項 裁判所は、管理不全専有部分管理命令を変更し、又は取り消すことができる。 |
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★第88条(管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令)6項:〜地方裁判所は、一度出した「管理不全専有部分管理命令」の変更や取り消しができる〜
一度地方裁判所が出した「管理不全専有部分管理命令」も、目的としている状況や管理の対象に変更があれば、その内容を変更したり、もう不要となれば、取り消すことができます。
この「取り消し」については、次の第88条7項で、
「裁判所は、管理すべき財産がなくなつたとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなつたときは、管理不全専有部分管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、管理不全専有部分管理命令を取り消さなければならない。」
とありますから、この第88条6項では、
@管理する財産がなくなったとき と
A財産の管理をすることが相当でなくなったとき
以外での理由でも地方裁判所は、取り消しができるということです。
具体的な例としては、管理の対象としている専有部分や共用部分に変更があったり、管理不全専有部分管理人が辞任、また解任して後任者が見つからないとかでしょうか。
| 第八十八条 (管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 7項 裁判所は、管理すべき財産がなくなつたとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなつたときは、管理不全専有部分管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、管理不全専有部分管理命令を取り消さなければならない。 |
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★第88条(管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令)7項:〜地方裁判所は、一度出した「管理不全専有部分管理命令」を必ず”取り消す”場合がある〜
本第88条7項は、前の第88条6項で「裁判所は、管理不全専有部分管理命令を変更し、又は取り消すことができる。」としている規定にプラスして、以下の状況に当てはまれば、もう、「できる」ではなく、必ず「管理不全専有部分管理命令」を取り消せとしています。
その要件には2つがあります。
@管理すべき財産がなくなつたとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。) と
Aその他財産の管理を継続することが相当でなくなったとき
です。
@の管理すべき財産がなくなったときとは、
文字どうり(物理的)なら、津波や地震で専有部分のある区分所有建物が被災して、管理の対象である建物の専有部分がなくなれ(全部滅失)ば、もう管理不全専有部分管理命令の必要性がありませんから、この場合には、管理不全専有部分管理命令は、管理不全専有部分管理人若しくは利害関係人の申立て、また地方裁判所がそれを独自に知り得れば、地方裁判所の職務(職権)として、管理不全専有部分管理命令を取り消すことになります。
また、法的に、管理の対象となっている専有部分が売却されて、新しい区分所有者になり、別に管理不全専有部分管理人を選任する必要がなくなった場合もこれに該当します。
*管理すべき財産の全部が「供託」されたときとは
管理不全専有部分管理命令の目的は、管理が充分にできない区分所有者に代わって専有部分の管理を管理不全専有部分管理人に任せることです。
管理の対象となっている財産の全てが「供託」になったときには、管理不全専有部分管理人が管理する財産が「供託」の制度によって国(法務省)が管理することになりますから、この場合も、「管理すべき財産がなくなったき」と同様の扱いにしたのです。
しかし、金銭面では管理の必要性はなくなっても、まだ、管理不全な状況は続いており、納得できない規定です。
Aの財産の管理を継続することが相当でなくなったときとは、
@での管理すべき財産がなくなったとき以外の理由です。
具体的には、
・管理が出来なかった区分所有者が管理できる状態になったとか、
・管理の必要性よりも、管理の費用がかかり過ぎて適切でない
などが考えられます。
これらの要件に合致すれば、
・管理不全専有部分管理人若しくは利害関係人の申立て または
・地方裁判所の職権
で、管理不全専有部分管理命令は、必ず取り消されます。
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★即時抗告とは 〜民事訴訟法 第332条〜
即時抗告も、前の第86条6項や第87条14項で説明しましたように、繰り返しの説明になりますが、即時抗告は、裁判所の決定や命令に対して不服がある場合に申し立てる手続き(抗告)の一つです。
即時抗告は、口頭弁論を経ずに行われる訴訟手続に関する申し立てで、不利益を被った当事者を救済するために利用されます。
一般の抗告とは異なり、早期の問題解決が求められる場合に即時抗告が規定されています。
即時抗告ができるのは全ての裁判所の決定や命令に対してではありません。
この区分所有法の第88条8項の規定にあるように、特に、「即時抗告をすることができる」という明文の規定がある場合に限り、即時抗告が可能です。
法律内で迅速に確定させる必要がある決定について認められています。
即時抗告の対象は裁判所の「決定」や「命令」であり、裁判官が言い渡す「判決」は対象外です。判決に対する不服申し立ては、通常「控訴」や「上告」という形で行われます。
*即時抗告の期間
即時抗告は、迅速な解決を求めるため、不服申立ての期間が法律で短く定められているのが特徴です。
・民事訴訟・・・裁判の告知を受けてから1週間以内。
・刑事訴訟・・・裁判の決定を受けてから3日以内。
・家事事件(家事審判・遺産分割審理・家事調停など)・・・審判の告知を受けてから2週間以内。
この期間は「不変期間」と呼ばれ、いかなる理由があろうとも延長は許されません。
<参照> 民事訴訟法 第332条 及び 刑事訴訟法 第409条 第422条
(即時抗告期間)
第三百三十二条 即時抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
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刑事訴訟法 第409条 、 第422条
第四章 抗告
第四百十九条 抗告は、特に即時抗告をすることができる旨の規定がある場合の外、裁判所のした決定に対してこれをすることができる。但し、この法律に特別の定のある場合は、この限りでない。
第四百二十二条 即時抗告の提起期間は、三日とする。
*執行停止の効力
即時抗告には、原則として「執行停止の効力」があります。(民事訴訟法 第334条)
<参照> 民事訴訟法 第334条
(原裁判の執行停止)
第三百三十四条 抗告は、即時抗告に限り、執行停止の効力を有する。
2 抗告裁判所又は原裁判をした裁判所若しくは裁判官は、抗告について決定があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。
これは、即時抗告が申し立てられると、一度下された裁判所の決定の効力が自動的に停止することを意味します。
通常の抗告では、この執行停止の効力は自動的には発生しません。
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★第88条(管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令)8項:〜即時抗告ができる6つの場合〜
本第88条8項も、地方裁判所が出した以下の6つの場合に限って、「即時抗告」ができるとしています。
<参照> 区分所有法 第46条の8((管理不全専有部分管理命令) 、第46条の9(権限) 3項 、 第46条の11(解任) 1項 及び 第46条の12(報酬) 1項、及び前2項の変更・取消し
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@
(管理不全専有部分管理命令)
第四十六条の八 裁判所は、区分所有者による専有部分の管理が不適当であることによつて他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該専有部分を対象として、第三項に規定する管理不全専有部分管理人による管理を命ずる処分(以下「管理不全専有部分管理命令」という。)をすることができる。
---------------------------------------------------
A
(管理不全専有部分管理人の権限)
第四十六条の九 管理不全専有部分管理人は、管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分並びに管理不全専有部分管理命令の効力が及ぶ動産並びに共用部分及び附属施設に関する権利並びに敷地利用権並びにこれらの管理、処分その他の事由により管理不全専有部分管理人が得た財産(以下「管理不全専有部分等」という。)の管理及び処分をする権限を有する。
2 前項の規定にかかわらず、管理不全専有部分管理人は、集会において議決権を行使することができない。
3 管理不全専有部分管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもつて善意でかつ過失がない第三者に対抗することはできない。
一 保存行為
二 管理不全専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
4 管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分の処分についての前項の許可をするには、その区分所有者の同意がなければならない。
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B
(管理不全専有部分管理人の解任及び辞任)
第四十六条の十一 管理不全専有部分管理人がその任務に違反して管理不全専有部分等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、管理不全専有部分管理人を解任することができる。
2 管理不全専有部分管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。
---------------------------------------------------
C及びD
(管理不全専有部分管理人の報酬等)
第四十六条の十二 管理不全専有部分管理人は、管理不全専有部分等から裁判所が定める額の費用の前払及び
報酬を受けることができる。
2 管理不全専有部分管理人による管理不全専有部分等の管理に必要な費用及び報酬は、管理不全専有部分等の所有者の負担とする。
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E前2項の規定による変更又は取消しの裁判
★即時抗告ができる裁判と即時抗告ができる人
即時抗告は、口頭弁論を経ずに早期な解決を必要としているため、管理不全専有部分管理命令においては、以下の6つの事項について、即時抗告ができる裁判とその即時抗告ができる人を規定しています。
| 即時抗告ができる裁判と即時抗告ができる人 | |||
| 番号 | 事項(条文) | 即時抗告ができる人 | 説明など |
| 1号 | 管理不全専有部分管理命令の処分(第46条の8) | 利害関係人 | ・該当の区分所有者本人(共有者) ・管理者(理事長) マンション全体の管理を行う立場にあり、専有部分の管理不全がマンション全体の環境に影響を及ぼす場合に該当します。 ・管理組合法人 管理組合が法人化されている場合、管理不全専有部分管理命令の請求者となることができます。 ・抵当権者 管理不全により 建物価値が毀損または担保価値が著しく低下することがあります。 ・他の区分所有者 居住するマンションの他の専有部分の管理不全によって、自身の権利や法律上保護される利益が侵害される、またはそのおそれがある区分所有者が該当します。 ・近隣住民 必ずしもマンションの区分所有者でなくても、管理不全の専有部分から悪臭や害虫発生などにより、権利利益の侵害を受けるおそれがある近隣住民も利害関係人として含まれます。 |
| 2号 | 管理不全専有部分管理人の権限外の行為の許可(第46条の9 3項) | 対象とされた専有部分の区分所有者 | |
| 3号 | 管理不全専有部分管理人の解任・不解任(第46条の11 1項) | 利害関係人 | ・管理不全専有部分管理人 ・該当の区分所有者本人(共有者) ・管理者 ・管理組合法人 ・他の区分所有者 ・近隣の住民 |
| 4号 | 管理不全専有部分管理人に支払う費用の額(第46条の12 1項) | 管理不全専有部分管理人 | |
| 5号 | 管理不全専有部分管理人に支払う報酬の額(第46条の12 1項) | 1.管理不全専有部分管理人 2.管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分の区分所有者 |
|
| 6号 | 管理不全専有部分管理命令の変更/取消し(前2項=第88条6項と7項) | 利害関係人 | ・該当の区分所有者本人(共有者) ・管理不全専有部分管理人 ・管理者 ・管理組合法人 ・他の区分所有者 ・近隣の住民 |
1号.管理不全専有部分管理命令(第46条の8)における処分、〜採用/不採用の決定〜
管理不全専有部分管理命令関係の裁判で、即時抗告ができる1番目は、区分所有法第46条の8 1項によって、「区分所有者による専有部分の管理が不適当であることによつて他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めた」利害関係人が、地方裁判所にその処分を請求したにもかかわらず、受け付けた地方裁判所が、この請求を採用または不採用にした場合です。
採用と不採用では「利害関係人」が異なりますが、各々の言い分が通らなかった訳ですから、これは、「即時抗告」して、早めに再度裁判所の判断を仰ぎます。
この場合、即時抗告ができるのは、「利害関係人」としていますが、この抽象的な表現は、法として問題があります。
立法者としては、様々な状況が考えられるために、「管理不全専有部分管理人」とか「その専有部分の区分所有者」などに特定出来ないために幅広い「利害関係人」としたようですが、その時の解釈に委ねるのは、曖昧さがあり、裁判所の判断基準としても適切ではありません。具体的に列挙すべきです。
でも、解説者としては、「利害関係人」を一応考えましょう。
ここでの利害関係人には、
1.該当の区分所有者本人(共有者)・・・一番影響をうけます
2.管理者(理事長)/管理組合法人・・・管理組合/法人を代表して
3.抵当権者・・・管理によって、自己の権利が制限される場合がある
4.他の区分所有者・・・自己の専有部分・共用部分に影響をうける
5.近隣住民・・・管理組合や管理組合法人が動かないために、管理不全の専有部分から迷惑を被っている場合
このほか、
E賃借人・・・管理不全専有部分管理命令の内容が、使用上の制限を含む場合
も状況によっては、「利害関係人」に入ることもあるでしょう。
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2号.管理不全専有部分管理人の権限外の行為の許可
管理不全専有部分管理命令関係の裁判で、即時抗告ができる2番目は、管理不全専有部分管理人の権限外の行為の許可(第46条の9 3項)で、地方裁判所がこれを「許可」した場合です。
この場合、即時抗告ができるのは、対象の専有部分の区分所有者だけとなっています。
管理不全専有部分管理人の権限外の行為の例としては、
・賃貸借の締結・解除
・修繕・改変
・売却・処分行為
などが考えられ、これらの行為は、区分所有者が有している区分所有権の使用・収益・処分に直接影響しますから、地方裁判所が「許可」した内容に不満があれば、該当の専有部分の区分所有者は、「即時抗告」ができます。
---------------------------------------------------
3号.管理不全専有部分管理人の解任
管理不全専有部分管理命令関係の裁判で、即時抗告ができる3番目は、管理不全専有部分管理人の解任・不解任(第46条の11 1項)の処分です。
地方裁判所が出した、管理不全専有部分管理人の解任・不解任に対して、「利害関係人」であれば、即時抗告ができます。
また、判断が曖昧な「利害関係人」です。
管理不全専有部分管理人の解任は、「管理不全専有部分管理人がその任務に違反して管理不全専有部分等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるとき(第46条の11 1項)」に利害関係人からの請求でなされます。
では、この場合の利害関係人の範囲ですが、
1.管理不全専有部分管理人・・・解任で報酬など一番影響を受ける
2.該当の区分所有者(共有者)・・・管理不全専有部分等に著しい損害で影響をうける
3.管理人(理事長)/管理組合法人・・・管理が出来ていないので
4.他の区分所有者・・・管理組合/法人に代わって請求する
5.担保権者・・・管理人が任務をしないので
が考えられます。
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4号.管理不全専有部分管理人に支払う”費用”の額
管理不全専有部分管理命令関係の裁判で、即時抗告ができる4番目は、管理不全専有部分管理人に支払う費用の額(第46条の12 1項)について、地方裁判所が定めた”費用”に対して納得がいかないときに、管理不全専有部分管理人は、即時抗告ができます。
管理不全専有部分管理命令による”費用の額”は、修理や清掃などで実際にかかる額として、地方裁判所が決めて、管理不全専有部分管理人に支払いをしますが、実務を担当する管理不全専有部分管理人としては、その算定では不足するなどの理由があれば、即時抗告をして、再度審査をしてもらいます。
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5号.管理不全専有部分管理人に支払う”報酬”の額
管理不全専有部分管理命令関係の裁判で、即時抗告ができる5番目は、管理不全専有部分管理人に支払う報酬の額(第46条の12 1項)について、納得ができない時には、
1.管理不全専有部分管理人 と
2.管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分の区分所有者
なら、即時抗告ができます。
管理不全専有部分管理人に支払う”報酬”の額は、管理不全専有部分管理命令による対象とする業務の内容や期間、また管理不全専有部分管理人が、マンション管理士なのか、弁護士なのか、管理会社なのかなどによって差が生じます。
また実務としては、報酬を負担する区分所有者としては、できるだけ安い方を望み、一方、報酬を受け取る側としては、できるだけ高い金額を望み、この調停役として地方裁判所が決めることになりますが、地方裁判所が下した決定に納得できないなら、即時抗告をしなさいということです。
---------------------------------------------------
6号.管理不全専有部分管理命令の”変更/取消し”
管理不全専有部分管理命令関係の裁判で、即時抗告ができる最後の6番目は、管理不全専有部分管理命令の変更や取消しに対して、納得が行かない場合に「利害関係人」から、即時抗告ができるとしています。
ここでの利害関係人」は、当該「変更・取消し」という裁判所の判断によって、 法律上の地位・権利義務が直接影響を受ける者ということで、
1.専有部分の区分所有者(共有者)・・・本人として影響を受ける
2.管理不全専有部分管理人・・・権限や報酬・任期などで影響を受ける
3.申し立て人(管理者/管理組合法人/他の区分所有者など)・・・管理不全状態が再発 生活・財産上の被害が再燃する
4.担保権者・・・担保価値が低下するおそれがある
などが考えられます。
| 第八十八条 (管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 9項 次に掲げる裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 一 第四十六条の八第三項の規定による管理不全専有部分管理人の選任の裁判 二 第四十六条の十一第二項の許可の裁判 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
新設: 施行は、令和8年4月1日。
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★第88条(管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令)9項:〜裁判でありながら「不服の申し立てができない2つの場合がある〜
<参照> 区分所有法 第46条の8(管理不全専有部分管理命令) 3項、 第46条の11(管理不全専有部分管理人の解任及び辞任) 2項
(管理不全専有部分管理命令)
第四十六条の八 裁判所は、区分所有者による専有部分の管理が不適当であることによつて他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該専有部分を対象として、第三項に規定する管理不全専有部分管理人による管理を命ずる処分(以下「管理不全専有部分管理命令」という。)をすることができる。
2 管理不全専有部分管理命令の効力は、当該管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分又は共用部分、附属施設若しくは建物の敷地にある動産(当該管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分の区分所有者又はその共有持分を有する者が所有するものに限る。)並びに共用部分及び附属施設に関する権利並びに敷地利用権(いずれも当該管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分の区分所有者又はその共有持分を有する者が有するものに限る。)に及ぶ。
3 裁判所は、管理不全専有部分管理命令をする場合には、当該管理不全専有部分管理命令において、管理不全専有部分管理人を選任しなければならない。
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(管理不全専有部分管理人の解任及び辞任)
第四十六条の十一 管理不全専有部分管理人がその任務に違反して管理不全専有部分等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、管理不全専有部分管理人を解任することができる。
2 管理不全専有部分管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。
★不服の申し立てとは
通常、日本の裁判制度では、ある裁判所が出した判断(裁判・決定・命令など)に納得できない当事者や利害関係人は、上級の裁判所に対して再度、裁判所としての判断を求めることができます。
これが、「不服の申し立て」です。
裁判所の裁判官も人の子ですから、その判断が間違っていることもありますから、審理を再度行うことで、事実の認定や適法性などがもう一度確認され、誤りを是正することもできます。
不服の申し立てはその対象と手続によって以下のように名称が異なります。
| 不服の申し立て | |
| 対象 | 不服の申し立ての名称 |
| 地方裁判所・簡易裁判所の判決 | 控訴 |
| 等裁判所の判決 | 上告 |
| 裁判所の決定・命令 | 抗告 |
| 特に緊急性が高い決定 | 即時抗告 |
*不服申し立てが出来ない。 なぜ? 〜管理を止めないことが最優先〜
上で述べたように、日本の裁判所が出した、判断(裁判・決定・命令など)に納得できない当事者や利害関係人は、上級の裁判所に対して再度、裁判所としての判断を求めることができますが、本第88条9項では、管理不全専有部分管理命令で行った
1号.管理不全専有部分管理人の選任(第46条の8 3項) と
2号.管理不全専有部分管理人の辞任の許可(第46条の11 2項)
に不満があっても、この決定に対しては、不服の申し立てができなとしています。
この「不服を認めない」ことが許されるのは、管理不全専有部分管理人の「選任」や「辞任」そのものは、 争訟性が低い非訟的で暫定的判断であり、 迅速・柔軟な管理確保を優先する制度設計によるためだそうです。
繰り返しますが、管理不全専有部分管理命令のような「非訟事件」は、管理状態を改善するための行政的・後見的措置に近い性質を持っています。
そして、管理不全専有部分管理人の選任・辞任は、権利義務の確定・違法性の判断・損害賠償責任の有無などを決めるものではありません。
もし、不服申し立てを認めると、手続が長期化する、管理不全が放置される、また近隣被害が拡大するということになり制度創設の目的に反する結果になります。
同様な制度は破産管財人」にもあります。
なお、管理不全専有部分管理人の「選任」や「辞任」で実害がおきれば、利害関係人から、「変更」や「取消し」を求めることができます。(第88条8項6号)
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
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新設: 施行は、令和8年4月1日。
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★第88条10項:管理不全”共用部分”管理命令及び管理不全”共用部分”管理人の裁判手続きの規定は、管理不全”専有部分”管理命令と管理不全”専有部分”管理人の裁判手続きの規定を読み替えて準用する
本第88条10項は、管理不全”専有部分”管理命令の新設(第46条の8)と同様に、第46条の13(管理不全”共用部分”管理命令)として管理不全の”共用部分”の管理の規定が新設されたことに伴い、裁判手続として今まで第88条で規定してきた2項から9項までの
・管理不全”専有部分”管理命令 と
・管理不全”専有部分”管理人 の規定を
管理不全”共用部分”管理命令関係の裁判手続きにおいても読み替えて準用する規定です。
★区分所有者は判明しているが、建物の共用部分の管理ができない場合 〜管理不全”共用部分”管理命令を請求する〜
管理不全”共用部分”管理命令は、区分所有者は存在していて、建物の専有部分(室)の管理は、その区分所有者ができるが、共用部分(廊下・階段・屋上・設備など)が適切に管理されず、そのまま放置すると建物全体や区分所有者に重大な支障が生じるおそれがある場合に、 裁判所がマンション管理士など第三者を「管理人」として選任し、共用部分の管理をさせることです。
具体的には、区分所有者の団体(管理組合)が存在していない、理事会が長期にわたり開催されていない、共用部分が著しく劣化して危険な状態である、漏水・設備の故障・防災の不備などの状態が放置されたままなどの状況であるとき、管理の専門家であるマンション管理士など第三者を管理不全共用部分管理人に選任して最低限、建物の共用部分を維持・保全することです。
<参照> 区分所有法 第46条の13
(管理不全共用部分管理命令)
第四十六条の十三 裁判所は、区分所有者による共用部分の管理が不適当であることによつて他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該共用部分を対象として、第三項に規定する管理不全共用部分管理人による管理を命ずる処分(以下「管理不全共用部分管理命令」という。)をすることができる。
2 管理不全共用部分管理命令の効力は、当該管理不全共用部分管理命令の対象とされた共用部分にある動産(当該管理不全共用部分管理命令の対象とされた共用部分の所有者又はその共有持分を有する者が所有するものに限る。)に及ぶ。
3 裁判所は、管理不全共用部分管理命令をする場合には、当該管理不全共用部分管理命令において、管理不全共用部分管理人を選任しなければならない。
*本当にこの区分所有法での多くの条文の準用と読み替えの作業は、正確にやらなければならないので、疲れる作業でうんざりする。
★管理不全”共用部分”管理命令及び管理不全”共用部分”管理人についての準用での流れ
基本的には、管理が不全な”専有部分”を、”共用部分”に置き換えたものです。
なお、非訟事件である、管理不全”共用部分”管理命令を管轄するのは、その専有部分(共用部分)がある場所を管轄する”地方裁判所”なのは、管理不全専有部分管理命令と同様です。(第88条1項)
管理不全”共用部分”管理命令及び管理不全”共用部分”管理人についての準用での流れは以下のようになります。
・管理不全”共用部分”管理人が
1.権限外の行為をするとき
2.辞任したいとき
には、地方裁判所に許可を求めるが、その理由を「疎明(裁判官に分かってもらう)」すること
・地方裁判所は、管理不全”共用部分”管理人が権限外の行為をもとめてきたときには、その所有者の陳述を聴くこと
ただし、その陳述を聴く手続を経ることにより当該裁判の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。
・地方裁判は、利害関係人の請求で、管理不全”共用部分”管理人がその任務に違反して管理不全”共用部分”等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、管理不全”共用部分”管理人を解任することができる
・管理不全”共用部分”管理人は、管理不全”共用部分”等から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。
・地方裁判は、以下の裁判では、理由を付すこと
1.管理不全”共用部分”管理命令の申立てについての裁判
2.管理不全”共用部分”管理人が権限外の行為の許可を求めてきたとき
3.管理不全”共用部分”管理人の解任請求
4.管理不全”共用部分”管理人が辞任を求めてきたとき
・対象の共用部分から金銭が生じたら、供託をすること
供託した「公告」もすること
・裁判所は、管理不全”共用部分”管理命令を変更し、又は取り消すことができる
・裁判所は、管理すべき財産がなくなったとき(全部が供託されたときも)には、管理不全”共用部分”管理命令を取り消さなければならない
・即時抗告ができる6つの場合とその人
| 番号 | 裁判 | 即時抗告ができる人 | 説明など |
| 1 | 管理不全”共用部分”管理命令 | 利害関係人 | |
| 2 | 管理不全”共用部分”管理人が行う権限外の行為の許可 | 共用部分の所有者 | 区分所有者に限っていない |
| 3 | 管理不全”共用部分”管理人の解任 | 利害関係人 | |
| 4 | 管理不全”共用部分”管理人に支払う費用の額 | 管理不全”共用部分”管理人 | |
| 5 | 管理不全”共用部分”管理人に支払う報酬の額 | ・管理不全”共用部分”管理人 ・共用部分の所有者 |
|
| 6 | 管理不全”共用部分”管理命令の変更/取消し | 利害関係人 | |
・不服の申し立てができない裁判
1.管理不全”共用部分”管理人の選任
2.管理不全”共用部分”管理人の辞任
これらの解説については、第88条2項以下と、ほぼ重なりますから、そちらを読んでください。
| 第八十九条 (非訟事件手続法の適用除外) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 1項 第三十八条の二第一項(第六十六条、第七十三条及び第七十九条において準用する場合を含む。)の規定による裁判に係る事件については、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第四十条の規定は、適用しない。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
新設: 施行は、令和8年4月1日。
★所在等不明区分所有者の除外の裁判には、検察官の関与がなくていい
<参照> 区分所有法 第38条の2(所在等不明区分所有者の除外) と 非訟事件手続法 第40条(検察官の関与)
区分所有法 第38条の2
(所在等不明区分所有者の除外)
第三十八条の二 裁判所は、区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、当該区分所有者(次項において「所在等不明区分所有者」という。)以外の区分所有者(以下この項及び第三項において「一般区分所有者」という。)又は管理者の請求により、一般区分所有者による集会の決議をすることができる旨の裁判をすることができる。
2 前項の裁判により所在等不明区分所有者であるとされた者は、前条の規定にかかわらず、集会における議決権(当該裁判に係る建物が滅失したときは、当該建物に係る敷地利用権を有する者又は当該建物の附属施設(これに関する権利を含む。)の共有持分を有する者が開く集会における議決権)を有しない。
3 一般区分所有者の請求により第一項の裁判があつたときは、当該一般区分所有者は、遅滞なく、管理者にその旨を通知しなければならない。ただし、管理者がないときは、その旨を建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。
---------------------------------------------------
非訟事件手続法 第40条
(検察官の関与)
第四十条 検察官は、非訟事件について意見を述べ、その手続の期日に立ち会うことができる。
2 裁判所は、検察官に対し、非訟事件が係属したこと及びその手続の期日を通知するものとする。
本第89条1項と次の2項では、区分所有法に新しく規定された、
1.所在等不明区分所有者の除外の裁判(区分所有法 第38条の2)には、
・非訟事件手続法で定める「検察官の関与」(非訟事件手続法 第40条)の規定は適用しない(区分所有法 第89条1項)
2.区分所有法で新しく規定した
第1章 第6節 及び 第7節の規定
第一章 建物の区分所有
第六節 所有者不明専有部分管理命令(第四十六条の二〜第四十六条の七)
第七節 管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令(第四十六条の八〜第四十六条の十四
も、非訟事件(区分所有法 第87条、および 第88条)ですが、こちらにも、
・検察官は関与しない(非訟事件手続法 第40条)
・終局決定の裁判書には、理由の要旨がなくてもいい(非訟事件手続法 第57条2項2号)((区分所有法 第89条2項)
としています。
★非訟事件手続法が一部適用されない理由
まず、区分所有法で定める「所在等不明区分所有者の除外の裁判(区分所有法 第38条の2)には、
・非訟事件手続法で定める「検察官の関与」(非訟事件手続法 第40条)の規定は適用しない
の理由ですが、
非訟事件は、当事者の主張対立を前提とせず、 裁判所が後見・身分・法律関係を形成・変更・確定する手続であるため、当事者の主張や同意だけでは、
公益利害関係人、第三者、また判断能力が不十分な者などの利益が十分に守られない場合があります。
これらの利益を守るために、検察官を公益の代表者として関与(意見の陳述、立会など)させ、 適正な手続・実体に沿った妥当性を担保するのが非訟手続法 第40条の目的です。
しかし、区分所有法での「所在等不明区分所有者を除外する裁判」は、 区分所有者の団体(管理組合)内部の修繕や管理費等の滞納などの管理関係を円滑化するためのいわゆる後見的な”私的調整制度”であり、「所在等不明区分所有者を除外する裁判」を行っても、その影響は、該当の区分所有者の団体(管理組合)内に限られ、通常の裁判のように公益に重大な影響を及ぼすおそれもなく、公益代表として関与させる検察官の必要性はありません。
また、所在等不明区分所有者の権利保護は裁判所の審査等により十分確保されているため、 そこで、非訟事件手続法 第40条の「検察官の関与」の規定の適用は排除されています。
通常、検察官が関与するとなると、そのために「所在等不明区分所有者の除外の裁判」の進行が遅れたり、また、区分所有者の団体(管理組合)内部の私的関係では、国家が関与するほどの裁判ではないとの判断によるものです。
区分所有法で定める
1.所在等不明区分所有者を除外する裁判 の他の
2.所有者不明専有部分管理命令
3.管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令
にしても、所在等不明区分所有者を除外する裁判と同様に、その内容は、区分所有者の団体(管理組合)内部での”私的調整制度”であるため、
2.所有者不明専有部分管理命令
3.管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令
にも、公益を代表する検察官の関与は不要としました。
なお、
2.所有者不明専有部分管理命令(第6節 第46条の2〜第46条の7)
3.管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令(第7節 第46条の8〜第46条の14)
においては、公益を代表する検察官の関与は不要のほかに、
「終局決定の裁判書には、理由の要旨がなくてもいい(非訟事件手続法 第57条2項2号)」ともしています。
非訟事件手続法では、原則として、裁判所の終局決定は、当事者・利害関係人に対する説明責任および不服申立ての実効性確保の観点から、 主文のほかに理由の要旨を付すことになっています。(非訟事件手続法 第57条2項)
しかし、区分所有法の所有者不明専有部分管理命令などでは、「終局決定の裁判書には、理由の要旨がなくてもいい」としました。
この理由は、区分所有法の所有者不明専有部分管理命令などは、緊急的・暫定的な管理措置として、区分所有権自体を無くすものではなく、管理を一時的に管理者に委ねるだけで、迅速な手続を確保する必要があり、終局決定の裁判書に理由の要旨を付さなくても足りるとされています。
詳細な理由の記載を要すると、 手続が遅延し 建物の安全・管理に支障が生じるおそれがある。
また、利害関係人は不服申立て等により 事後的に裁判所の審査を受けることができ、 理由記載省略によっても権利救済が失われるわけではありません。
他にも、理由の付記が不要なものとしては、
・判断が暫定的・保全的であるもの
・権利義務を終局的に確定しないもの
・迅速性が強く要請されるもの
については、理由付記を省略しても 当事者の権利保護に欠けるところがありませんから、理由の付記が不要とされます。
| 第八十九条 (非訟事件手続法の適用除外) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 2項 第一章第六節及び第七節の規定による非訟事件については、非訟事件手続法第四十条及び第五十七条第二項第二号の規定は、適用しない。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
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新設: 施行は、令和8年4月1日。
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★第89条2項は、
・所有者不明専有部分管理命令(第6節 第46条の2〜第46条の7)
・管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令(第7節 第46条の8〜第46条の14)
では、非訟事件手続法での
@検察官の関与は不要(非訟事件手続法 第40条参照)
A終局決定の裁判書には「理由の要旨」が不要(非訟事件手続法 第57条2項2号参照)
を規定しています。
<参照>
区分所有法 第1章 第6節 及び 第7節の規定
第一章 建物の区分所有
第六節 所有者不明専有部分管理命令(第四十六条の二〜第四十六条の七)
第七節 管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令(第四十六条の八〜第四十六条の十四)
---------------------------------------------------
非訟事件手続法 第40条 及び 第57条2項2号
検察官の関与)
第四十条 検察官は、非訟事件について意見を述べ、その手続の期日に立ち会うことができる。
2 裁判所は、検察官に対し、非訟事件が係属したこと及びその手続の期日を通知するものとする。
---------------------------------------------------
(終局決定の方式及び裁判書)
第五十七条 終局決定は、裁判書を作成してしなければならない。ただし、即時抗告をすることができない決定については、非訟事件の申立書又は調書に主文を記載することをもって、裁判書の作成に代えることができる。
2 終局決定の裁判書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 主文
二 理由の要旨
三 当事者及び法定代理人
四 裁判所
前の第89条1項での説明と重複しますが、非訟事件とされる(区分所有法 第87条及び第88条参照)
・所有者不明専有部分管理命令(第6節 第46条の2〜第46条の7)
・管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令(第7節 第46条の8〜第46条の14)
では、その手続きは、非訟事件手続法に則て処理がなされます。
しかし、これら区分所有法での”管理命令”の裁判は、 区分所有者の団体(管理組合)内部の修繕や管理費等の滞納などの管理関係を円滑化するためのいわゆる後見的な”私的調整制度”であり、管理命令がだされても、その影響は、該当の区分所有者の団体(管理組合)内に限られ、通常の裁判のように公益に重大な影響を及ぼすおそれもなく、公益代表として関与させる検察官の必要性はありません。
そこで、非訟事件手続法 第40条の「検察官の関与」の規定の適用は排除されています。
また、非訟事件手続法では、原則として、裁判所の終局決定は、当事者・利害関係人に対する説明責任および不服申立ての実効性確保の観点から、 主文のほかに「理由の要旨」を付すことになっています。(非訟事件手続法 第57条2項)
しかし、区分所有法の所有者不明専有部分管理命令などでは、「終局決定の裁判書には、理由の要旨がなくてもいい」としました。
この理由は、区分所有法の所有者不明専有部分管理命令などは、緊急的・暫定的な管理措置として、区分所有権自体を無くすものではなく、管理を一時的に管理者に委ねるだけで、迅速な手続を確保する必要があり、終局決定の裁判書に理由の要旨を付さなくても足りるとされています。
詳細な理由の記載を要すると、 手続が遅延し 建物の安全・管理に支障が生じるおそれがある。
また、利害関係人は不服申立て等により 事後的に裁判所の審査を受けることができ、 理由記載省略によっても権利救済が失われるわけではありません。
他にも、理由の付記が不要なものとしては、
・判断が暫定的・保全的であるもの
・権利義務を終局的に確定しないもの
・迅速性が強く要請されるもの
については、理由付記を省略しても 当事者の権利保護に欠けるところがありませんから、理由の付記が不要とされます。
| 第九十条 (最高裁判所規則) (注:令和8年4月1日施行で改正あり。新設。) |
| 1項 この章に定めるもののほか、第三十八条の二第一項(第六十六条、第七十三条及び第七十九条において準用する場合を含む。)の規定による裁判に係る事件並びに第一章第六節及び第七節の規定による非訟事件に関する裁判手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 |
| 過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
| 管理業務主任者 | 未記入 |
新設: 施行は、令和8年4月1日。
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◎この章に定めるもの・・・区分所有法 第4章 所在等不明区分所有者等の除外等に関する裁判手続
・所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判・・・第86条
・所有者不明専有部分管理命令・・・第87条
・管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令・・・第88条
・非訟事件手続法の適用除外・・・第89条
◎第38条の2(所在等不明区分所有者の除外) 1項(第66条、第73条、第77条で準用)の裁判/事件
「(所在等不明区分所有者の除外)
第三十八条の二 裁判所は、区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、当該区分所有者(次項において「所在等不明区分所有者」という。)以外の区分所有者(以下この項及び第三項において「一般区分所有者」という。)又は管理者の請求により、一般区分所有者による集会の決議をすることができる旨の裁判をすることができる。」
◎第1章第6節及び第7節の非訟事件の裁判
・所有者不明専有部分管理命令(第6節 第46条の2〜第46条の7)
・管理不全専有部分管理命令及び管理不全共用部分管理命令(第7節 第46条の8〜第46条の14)
★第90条:所在等不明区分所有者の除外や、所有者不明専有部分管理命令、管理不全”専有部分/共用部分”管理命令の裁判の手続の詳細は、「最高裁判所規則」で定める
令和8年4月1日施行で新設された、
・所在等不明区分所有者の除外
・所有者不明専有部分管理命令
・管理不全”専有部分/共用部分”管理命令
についての裁判手続きは、上で説明した「非訟事件手続法」もありますが、別途「最高裁判所規則」もあり、この「最高裁判所規則」を使用します。
区分所有法では、
・所在等不明区分所有者の除外
・各種管理命令
・裁判手続き
・非訟事件としての処理
などの大枠を定めていますが、具体的・技術的な手続事項については詳細に規定していませんから、詳細は最高裁判所規則を使うということです。
*最高裁判所規則とは
最高裁判所規則は、憲法第77条1項に基づき、最高裁判所が、憲法および法律の委任に基づいて制定する一般的・抽象的な規範(規則)で、 各種訴訟手続、弁護士、裁判所の組織・権限・その他司法事務に関する事項を定めるものです。
<参照> 憲法 第77条
第七十七条 最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
A 検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。
B 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。
具体的には、最高裁判所規則には、以下のように多くの規則があります。
・民事事件関係・・・ 民事訴訟規則、民事執行規則、破産規則など。
・刑事事件関係・・・ 刑事訴訟規則など。
・非訟事件関係・・・非訟事件手続規則
・家事事件・少年事件関係・・・ 少年審判規則など。
・裁判所の組織・運営・・・ 最高裁判所裁判事務処理規則など、裁判所の内部的な事項を定める規則も存在する。
区分所有法の
・所在等不明区分所有者の除外
・所有者不明専有部分管理命令
・管理不全”専有部分/共用部分”管理命令
などに関係するのは、非訟事件手続規則(平成二十四年最高裁判所規則第七号)でその構成は以下のようになっています
| 最高裁判所規則 のうち 非訟事件手続規則 |
| 目次 第一章 総則(第一条―第四条) 第二章 非訟事件に共通する手続 第一節 管轄(第五条―第七条) 第二節 裁判所職員の除斥、忌避及び回避(第八条―第十一条) 第三節 当事者能力及び手続行為能力(第十二条―第十四条) 第四節 参加(第十五条) 第五節 手続代理人(第十六条) 第六節 手続費用 第一款 手続費用の負担(第十七条) 第二款 手続上の救助(第十八条) 第七節 非訟事件の審理等(第十九条―第三十六条) 第八節 当事者に対する住所、氏名等の秘匿(第三十六条の二) (令四最裁規一七・追加) 第三章 第一審裁判所における非訟事件の手続 第一節 非訟事件の申立て(第三十七条―第四十一条) 第二節 非訟事件の手続の期日(第四十二条・第四十三条) 第三節 事実の調査及び証拠調べ(第四十四条・第四十五条) 第四節 裁判(第四十六条―第四十八条) 第五節 裁判によらない非訟事件の終了(第四十九条・第五十条) 第四章 不服申立て 第一節 終局決定に対する不服申立て 第一款 即時抗告(第五十一条―第六十五条) 第二款 特別抗告(第六十六条) 第三款 許可抗告(第六十七条) 第二節 終局決定以外の裁判に対する不服申立て(第六十八条―第七十条) 第五章 再審(第七十一条・第七十二条) 第六章 過料事件(第七十三条) 第七章 雑則(第七十四条) 附則 |
| ページ終わり |
最終更新:
2026年 3月8日:校正終わった。
戻って来るまで、3ヶ月もかかるとは!
2925年12月30日:一応、ラフに解説終わる。
2025年12月 3日:解説に入る。
2025年 9月25日:ファイルを新規作成した。
2025年 5月31日〜:令和8年4月1日施行版に移行中
新規の条文多い。
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