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★★      要約 建築基準法       ★★

   第3章 都市計画区域等における建築物の敷地、構造、建築設備及び用途

第四節 建築物の敷地及び構造 から 第四節の二 都市再生特別地区

X-b.第55条(第一種低層住居専用地域等 又は第二種低層住居専用地域 内における建築物の高さの限度)  から 第60条の3(特別用途誘導地区) まで

マンション管理士・管理業務主任者を目指す方のために、試験にでる建築基準法を条文ごとにイラストなどを入れて解説しました。 

試験問題は、過去の問題から出されるのではありません。条文から出題されます。

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第3章 

都市計画区域等における建築物の敷地、構造、建築設備及び用途 
第4節
建築物の敷地及び構造
説明
第55条 第一種低層住居専用地域等 又は第二種低層住居専用地域 内における建築物の高さの限度
第56条 建築物の各部分の高さ
第56条の2 日影による中高層の建築物の高さの制限
第57条 高架の工作物内に設ける建築物等に対する高さの制限の緩和
第57条の2 特例容積率適用地区内における建築物の容積率の特例
第57条の3 指定の取消し
第57条の4 特例容積率適用地区内における建築物の高さの限度
第57条の5  高層住居誘導地区
第58条 高度地区
第59条 度利用地区
第59条の2 敷地内に広い空地を有する建築物の容積率等の特例
第60条 特定街区
第4節の2
都市再生特別地区、居住環境向上用途誘導地区及び特定用途誘導地区 
第60条の2 都市再生特別地区
第60条の2の2 居住環境向上用途誘導地区
第60条の3 特定用途誘導地区
凡例:各条文は、黒字にて表示。解説は条文の下に緑字にて表示

施行:令和2年(2020年)9月7日施行に対応した。
施行:令和元年(2019年)6月25日に対応した。
都市緑地法等の一部を改正する法律(この中に、「田園住居地域」が創設され都市計画法や建築基準法、宅地建物取引業の一部改正も入っている);
施行:平成30年(2018年)4月1日 に対応した。改正箇所をピンク字で表示
建築基準法の最終改正:交付日:平成26年(2014年)6月4日、施行:平成27年(2015年)6月1日
改正箇所を赤字にて表示
前回の改正:平成23年(2011年)12月14日


 第四節 建築物の敷地及び構造  (続き)
(第一種低層住居専用地域等 又は第二種低層住居専用地域 内における建築物の高さの限度)
第五十五条 (改正あり:成30年4月1日施行。)

 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内においては、建築物の高さは、十メートル又は十二メートルのうち当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を超えてはならない。

  2  前項の都市計画において建築物の高さの限度が十メートルと定められた第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内においては、その敷地内に政令で定める空地を有し、かつ、その敷地面積が政令で定める規模以上である建築物であつて、特定行政庁が低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めるものの高さの限度は、同項の規定にかかわらず、十二メートルとする。

  3  前二項の規定は、次の各号の一に該当する建築物については、適用しない。
   一  その敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地を有する建築物であつて、低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めて特定行政庁が許可したもの
   二  学校その他の建築物であつて、その用途によつてやむを得ないと認めて特定行政庁が許可したもの

4  第四十四条第二項の規定は、前項各号の規定による許可をする場合に準用する。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

★55条:第一種低層住居専用地域等内における建築物の高さの限度

  55条も、前の54条(外壁の後退距離)に引き続き、良好な住居環境がある低層住宅の地域、つまり、第一種低層住居専用地域(高級住宅地)、
第二種低層住居専用地域(コンビニ程度は可能な住宅地)又は田園住居地域(農業の利用の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するために定める地域)内における、今度は高さの制限を、10mか12mにするように規定しています。(絶対高さ制限)

  
 
 高さ 10m なら大体 2階建てで、 高さ 12m なら 、大体3階建てまでの高さになります。

★第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域、田園住居地域内は、外壁の後退(54条)や絶対高さ(55条)など、規制が多い!
  高級住宅地には規制が多くて、自分勝手には出来ないってことです。

  新しい畑のある「田園住居地域」も入るとは、面白い発想だ。

★その敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地を有したり、学校・神社・寺院等なら、適用がない。(3項)

    ★制限内容  容積率 (%) 
(原則)(52条)
建蔽率  (%)
(原則)(53条)
 番号 対象の用途地域 高さ制限 (55条)  外壁の後退距離(54条)
 1 第一種低層住居専用地域   10m か 12m 1m か 1.5m    50、60、80、100、150、200  30、40、50、60
 2 第二種低層住居専用地域
 3 田園住居地域 

 


(建築物の各部分の高さ)
第五十六条

 建築物の各部分の高さは、次に掲げるもの以下としなければならない。
  一  別表第三(い)欄及び(ろ)欄に掲げる地域、地区又は区域及び容積率の限度の区分に応じ、前面道路の反対側の境界線からの水平距離が同表(は)欄に掲げる距離以下の範囲内においては、当該部分から前面道路の反対側の境界線までの水平距離に、同表(に)欄に掲げる数値を乗じて得たもの
  二  当該部分から隣地境界線までの水平距離に、次に掲げる区分に従い、イ若しくはニに定める数値が一・二五とされている建築物で高さが二十メートルを超える部分を有するもの又はイからニまでに定める数値が二・五とされている建築物(ロ及びハに掲げる建築物で、特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内にあるものを除く。以下この号及び第七項第二号において同じ。)で高さが三十一メートルを超える部分を有するものにあつては、それぞれその部分から隣地境界線までの水平距離のうち最小のものに相当する距離を加えたものに、イからニまでに定める数値を乗じて得たものに、イ又はニに定める数値が一・二五とされている建築物にあつては二十メートルを、イからニまでに定める数値が二・五とされている建築物にあつては三十一メートルを加えたもの
   イ 第一種中高層住居専用地域若しくは第二種中高層住居専用地域内の建築物又は第一種住居地域、第二種住居地域若しくは準住居地域内の建築物(ハに掲げる建築物を除く。)
      一・二五(第五十二条第一項第二号の規定により容積率の限度が十分の三十以下とされている第一種中高層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域以外の地域のうち、特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内の建築物にあつては、二・五)
   ロ 近隣商業地域若しくは準工業地域内の建築物(ハに掲げる建築物を除く。)又は商業地域、工業地域若しくは工業専用地域内の建築物
      二・五
   ハ 高層住居誘導地区内の建築物であつて、その住宅の用途に供する部分の床面積の合計がその延べ面積の三分の二以上であるもの
      二・五
   ニ 用途地域の指定のない区域内の建築物
      一・二五又は二・五のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定めるもの
  三  第一種低層住居専用地域、若しくは 第二種低層住居専用地域若しくは田園住居地域内又は第一種中高層住居専用地域若しくは第二種中高層住居専用地域(次条第一項の規定に基づく条例で別表第四の二の項に規定する(一)、(二)又は(三)の号が指定されているものを除く。以下この号及び第七項第三号において同じ。)内においては、当該部分から前面道路の反対側の境界線又は隣地境界線までの真北方向の水平距離に一・二五を乗じて得たものに、第一種低層住居専用地域、又は 第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内の建築物にあつては五メートルを、第一種中高層住居専用地域又は第二種中高層住居専用地域内の建築物にあつては十メートルを加えたもの

  2  前面道路の境界線から後退した建築物に対する前項第一号の規定の適用については、同号中「前面道路の反対側の境界線」とあるのは、「前面道路の反対側の境界線から当該建築物の後退距離(当該建築物(地盤面下の部分その他政令で定める部分を除く。)から前面道路の境界線までの水平距離のうち最小のものをいう。)に相当する距離だけ外側の線」とする。

  3  第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域又は準住居地域内における前面道路の幅員が十二メートル以上である建築物に対する別表第三の規定の適用については、同表(に)欄中「一・二五」とあるのは、「一・二五(前面道路の反対側の境界線からの水平距離が前面道路の幅員に一・二五を乗じて得たもの以上の区域内においては、一・五)」とする。

  4  前項に規定する建築物で前面道路の境界線から後退したものに対する同項の規定の適用については、同項中「前面道路の反対側の境界線」とあるのは「前面道路の反対側の境界線から当該建築物の後退距離(当該建築物(地盤面下の部分その他政令で定める部分を除く。)から前面道路の境界線までの水平距離のうち最小のものをいう。以下この表において同じ。)に相当する距離だけ外側の線」と、「前面道路の幅員に」とあるのは「、前面道路の幅員に、当該建築物の後退距離に二を乗じて得たものを加えたものに」とすることができる。

  5  建築物が第一項第二号及び第三号の地域、地区又は区域の二以上にわたる場合においては、これらの規定中「建築物」とあるのは、「建築物の部分」とする。

  6  建築物の敷地が二以上の道路に接し、又は公園、広場、川若しくは海その他これらに類するものに接する場合、建築物の敷地とこれに接する道路若しくは隣地との高低の差が著しい場合その他特別の事情がある場合における前各項の規定の適用の緩和に関する措置は、政令で定める。

  7  次の各号のいずれかに掲げる規定によりその高さが制限された場合にそれぞれ当該各号に定める位置において確保される採光、通風等と同程度以上の採光、通風等が当該位置において確保されるものとして政令で定める基準に適合する建築物については、それぞれ当該各号に掲げる規定は、適用しない。
   一  第一項第一号、第二項から第四項まで及び前項(同号の規定の適用の緩和に係る部分に限る。)
       前面道路の反対側の境界線上の政令で定める位置
   二  第一項第二号、第五項及び前項(同号の規定の適用の緩和に係る部分に限る。)
       隣地境界線からの水平距離が、第一項第二号イ又はニに定める数値が一・二五とされている建築物にあつては十六メートル、第一項第二号イからニまでに定める数値が二・五とされている建築物にあつては十二・四メートルだけ外側の線上の政令で定める位置
   三  第一項第三号、第五項及び前項(同号の規定の適用の緩和に係る部分に限る。)
      隣地境界線から真北方向への水平距離が、第一種低層住居専用地域 又は 第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内の建築物にあつては四メートル、第一種中高層住居専用地域又は第二種中高層住居専用地域内の建築物にあつては八メートルだけ外側の線上の政令で定める位置

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

★56条:建築物の各部分の高さ

  「容積率 = 建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合」を52条で定め、「建ぺい率 = 建築物の建築面積の敷地面積に対する割合」を53条で定め、これらの面積的な規制に続き、当56条は、建築物の各部分の高さを規制します。

★56条の条文「前面道路の反対側の境界線からの水平距離」などを読んでもピンとこないでしょう。
  また、「別表第3」が出てきては、もうお手上げです。
  これらの規定は通常、「斜線制限」と呼ばれています。
  斜線制限には、
    @道路斜線制限
    A隣地斜線制限
    B北側斜線制限 
   の3種があります。

  高いビルが、上の方で不自然に角が削られて斜めになっているのをみたことがあるでしょう。これは、その建築物が、「斜線制限」の規制を受けたせいです。

   

   マンションやオフィスビルなど建物の上部が、変に三角形状に切り取られたような部分がみられますが、これが各種斜線制限の範囲内で、高さや容積をできるだけ確保するように設計した結果です。

★道路斜線制限(1項1号)

 都市計画区域内では、市街地における解放空間である道路や沿道の上空を一定の角度を持って開放的な空間とし、日照、採光、通風などの環境を確保するするため、建築物の高さを、敷地の接する前面道路の反対側境界線を起点とする一定こう配の斜線の範囲内に収める規制をしています。
 この規制を「道路斜線制限」と呼びます。

 前面道路の反対側の境界線からのこう配の数値には2種類あり、
   @住居系地域(1.25) か
   Aそれ以外の地域(1.5)か
  で異なっています。

 さらに、その地域の容積率の制限に応じて、前面道路から一定以上離れた部分については斜線制限から除外される規定や、2本以上の前面道路がある場合の緩和規定があります。

建築物の各部分の高さは、

@別表第三(い)欄及び(ろ)欄に掲げる地域、地区又は区域及び容積率の限度の区分に応じ、
A前面道路の反対側の境界線からの水平距離が同表(は)欄に掲げる距離以下の範囲内においては、当該部分から前面道路の反対側の境界線までの水平距離に、

B同表(に)欄に掲げる数値(1.25 か 1.5)を乗じて得たもの

以下にすること。

   

  ★別表第3 前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制限 (第五十六条、第九十一条関係)
   (い)  (ろ)  (は)  (に)
  建築物がある地域、地区又は区域 第五十二条第一項、第二項、第七項及び第九項の規定による容積率の限度 距離 数値
第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、若しくは 第二種中高層住居専用地域若しくは田園住居地域内の建築物又は第一種住居地域、第二種住居地域若しくは準住居地域内の建築物(四の項に掲げる建築物を除く。) 十分の二十以下の場合 二十メートル 一・二五
十分の二十を超え、十分の三十以下の場合 二十五メートル
十分の三十を超え、十分の四十以下の場合 三十メートル
十分の四十を超える場合 三十五メートル
近隣商業地域又は商業地域内の建築物 十分の四十以下の場合 二十メートル 一・五
十分の四十を超え、十分の六十以下の場合 二十五メートル
十分の六十を超え、十分の八十以下の場合 三十メートル
十分の八十を超え、十分の百以下の場合 三十五メートル
十分の百を超え、十分の百十以下の場合 四十メートル
十分の百十を超え、十分の百二十以下の場合 四十五メートル
十分の百二十を超える場合 五十メートル
準工業地域内の建築物(四の項に掲げる建築物を除く。)又は工業地域若しくは工業専用地域内の建築物 十分の二十以下の場合 二十メートル 一・五
十分の二十を超え、十分の三十以下の場合 二十五メートル
十分の三十を超え、十分の四十以下の場合 三十メートル
十分の四十を超える場合 三十五メートル
第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域又は準工業地域内について定められた高層住居誘導地区内の建築物であつて、その住宅の用途に供する部分の床面積の合計がその延べ面積の三分の二以上であるもの   三十五メートル 一・五
用途地域の指定のない区域内の建築物 十分の二十以下の場合 二十メートル 一・二五又は一・五のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定めるもの
十分の二十を超え、十分の三十以下の場合 二十五メートル
十分の三十を超える場合 三十メートル
備考
一 建築物がこの表(い)欄に掲げる地域、地区又は区域の二以上にわたる場合においては、同欄中「建築物」とあるのは、「建築物の部分」とする。
二 建築物の敷地がこの表(い)欄に掲げる地域、地区又は区域の二以上にわたる場合における同表(は)欄に掲げる距離の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
三 この表(い)欄一の項に掲げる第一種中高層住居専用地域若しくは第二種中高層住居専用地域(第五十二条第一項第二号の規定により、容積率の限度が十分の四十以上とされている地域に限る。)又は第一種住居地域、第二種住居地域若しくは準住居地域のうち、特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内の建築物については、(は)欄一の項中「二十五メートル」とあるのは「二十メートル」と、「三十メートル」とあるのは「二十五メートル」と、「三十五メートル」とあるのは「三十メートル」と、(に)欄一の項中「一・二五」とあるのは「一・五」とする。

★隣地斜線制限(1項2号)

  斜線制限の2番目は、隣地を考慮した「隣地斜線制限」です。

  建物の高層化によってできる影が、隣地の通風、採光などの条件が悪くなるのを制限します。
  そこで、高さが20mまたは30mを超える部分の制限です。 

    

★ここで、各種制限を次の「北側斜線制限」まで入れてまとめると以下のようになります。

*各種制限    
用途地域等  高さ制限  道路斜線制限    隣地斜線制限    北側斜線制限 
 関係条文  55条  56条1項1号  56条1項2号  56条1項3号
 第一種低層住居専用地 10m、又は12m  有り。

容積率により、
距離(20m、25m、30m、35m)、 
勾配係数:1.25     
無し。高さ制限があるので。   有り。高さ5m、勾配係数:1.25 
 第二種低層住居専用地域
 第一種中高層住居専用地域 無し   有り。高さ:20m、勾配係数:1.25  有り。高さ10m、勾配係数:1.25 
 第二種中高層住居専用地域
 田園住居地域  10m、又は12m  無し。高さ制限があるので。   有り。高さ5m、勾配係数:1.25 
 第一種住居地域  無し          有り。高さ:20m、勾配係数:1.25     無し   
 第二種住居地域
 準住居地域
 近隣商業地域  有り。容積率により、距離(20m、25m、30m、35m、40m、45m、50m)、 勾配係数:1.5       有り。高さ:31m、勾配係数:2.5 
 商業地域
 準工業地域  有り。容積率により、距離(20m、25m、30m、35m、)、 勾配係数:1.5   
 工業地域
 工業専用地域
 高層住居誘導地区 有り。第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域又は準工業地域内で、住宅の用途に供する部分の床面積の合計がその延べ面積の三分の二以上なら、距離:35m、勾配係数:1.5    有り。第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域又は準工業地域内で、住宅の用途に供する部分の床面積の合計がその延べ面積の三分の二以上なら、高さ:31m、勾配係数:2.5
 用途地域の指定のない区域  有り。容積率により、距離(20m、25m、30m)、 勾配係数:1.25 か 1.5    有り。距離(20m か31m)、 勾配係数:1.25 か 2.5

★建築物の各部分の高さは、

 ・隣地境界線までの水平距離に傾斜勾配の係数として、1.25 (住居系)または 2.5 (商業・工業系)を乗じて得たものに20mまたは31mを加えた数値以下といなければなりません。
  ただし、20mまたは31mを超える部分が隣地境界線から後退している場合は、後退分だけ外側の線を隣地境界線とみなします。

  この各種ある用途地域の中で第1種低層住居専用地域・第2種低層住居専用地域および田園住居地域がどうして入っていないのかに気が付いたらえらい。
 それは、第1種低層住居専用地域・第2種低層住居専用地域および田園住居地域は、建築物の高さが原則として10mまたは12mに制限される「絶対高さ制限」が別途規定されているため、「隣地斜線制限」は適用されません。(建築基準法第55条参照

*1. 住居系で、第1種低層住居専用地域・第2種低層住居専用地域および田園住居地域をのぞいた、
   ・第一種中高層住居専用地域、
   ・第二種中高層住居専用地域、
   ・第一種住居地域、
   ・第二種住居地域、
   ・準住居地域
   内の建築物は、基準の高さは、20mで、勾配係数は、1.25

 2.商業系と工業系
   ・近隣商業地域、
   ・準工業地域、
   ・商業地域、 
   ・工業地域、
   ・工業専用地域、
  内の建築物は、基準の高さは、31m で、勾配係数は、 2.5

 3.高層住居誘導地区...郊外居住者の都心への呼び戻し、都心における居住機能の確保、職住近接で利便性が高い高層住宅の建設を目的として、平成9年(1997年)に導入されました。
  @第一種住居地域、A第二種住居地域、B準住居地域、C近隣商業地域またはD準工業地域で、容積率が、400%または500%と定められたものの内に、建築物の容積率の最高限度、建築物の建蔽率の最高限度及び建築物の敷地面積の最低限度を定める地区で、都市計画で定められます。(都市計画法第9条17項)

  ここで、対象となるのは、 Dの近隣商業地域を除いた、
   ・第一種住居地域、
   ・第二種住居地域、
   ・準住居地域
   ・準工業地域
   内で、住宅の用途に供する部分の床面積の合計がその延べ面積の三分の二以上なら、基準の高さは、35m で、勾配係数は、 1.5 です。

 4.用途地域の指定のない地域は、特定行政庁が、容積率に合わせて、勾配係数を、1,25 か 1.5 に定めます。 

★北側斜線制限(1項3号)

 斜線制限の3番目は、北側の隣地の日照(日当たり)を考慮した「北側斜線制限」です。
良好な住居環境を保護する必要がある地域(住居専用地域)で制限があります。

    

 規制の内容は敷地の境界線から垂直に、5m または 10m 上がった先の高さで一定の勾配(1.25)を付けて、隣地の建物に太陽が当たるように配慮するものです。
  
 具体的には、
  ・第一種低層住居専用地域、
  ・第二種低層住居専用地域、
  ・
田園住居地域
  ・第一種中高層住居専用地域
  ・第二種中高層住居専用地域
  内において、建築物の各部分の高さは、
  ・前面道路の反対側の境界線又は隣地境界線までの真北方向(地理上の北極。磁石の真北とは、東京で 約6度ほど差がある)の水平距離に 
    1.25 を乗じて得たものに、
   ・第一種低層住居専用地域、二種低層住居専用地域、若しくは田園住居地域内の建築物にあつては 5m を、
   ・第一種中高層住居専用地域又は第二種中高層住居専用地域内の建築物にあつては 10m を加えたもの以下にする必要があります。

 北側の日照や採光に考慮したものです。

★高さ制限や斜線制限をまとめると、以下のようになります。

地域 第1種 第2種 第1種 第2種 第1種 第2種 準住居
地域
近隣商業
地域
商業地域 準工業
地域
工業地域 工業専用
地域
用途地域
指定の
ない地域
その他
低層住居専用地域
田園住居地域
中高層住居専用地域 住居地域
高さの制限 道路斜線制限

  道路     敷地

高さの10M又は12Mは都市計画で決めらた数値。
 
容積率 距離L(M)
200%以下 20
200%超300%以下 25
300%超 30
容積率 距離L(M)
近隣商業地域
商業地域
400%以下 20
400%超600%以下 25
600%超800%以下 30
800%超 35
準工業地域
工業地域
工業専用地域
指定無し
200%以下 20
200%超300%以下 25
300%超 30
隣地斜線制限
    無し

斜線制限はありませんが高さの制限(10M又は12M)があります。
北側斜線制限 無し


★制限の緩和として、セットバック(後退)があります。(2項、4項)これについては、施行令130条の12、また、6項については、135条の3、135条の4 もあるので、知りたい人はみてください。

★2つ以上の前面道路がある場合
  これは、もう難解すぎて分かりません。施行令132条 参照。


(日影による中高層の建築物の高さの制限)
第五十六条の二 (改正あり:平成30年9月25日施行)

 別表第四(い)欄の各項に掲げる地域又は区域の全部又は一部で地方公共団体の条例で指定する区域(以下この条において「対象区域」という。)内にある同表(ろ)欄の当該各項(四の項にあつては、同項イ又はロのうちから地方公共団体がその地方の気候及び風土、当該区域の土地利用の状況等を勘案して条例で指定するもの)に掲げる建築物は、冬至日の真太陽時による午前八時から午後四時まで道の区域内にあつては、午前九時から午後三時まで)の間において、それぞれ、同表(は)欄の各項(四の項にあつては、同項イ又はロ)に掲げる平均地盤面からの高さ(二の項及び三の項にあつては、当該各項に掲げる平均地盤面からの高さのうちから地方公共団体が当該区域の土地利用の状況等を勘案して条例で指定するもの)の水平面(対象区域外の部分、高層住居誘導地区内の部分、都市再生特別地区内の部分及び当該建築物の敷地内の部分を除く。)に、敷地境界線からの水平距離が五メートルを超える範囲において、同表(に)欄の(一)、(二)又は(三)の号(同表の三の項にあつては、(一)又は(二)の号)のうちから地方公共団体がその地方の気候及び風土、土地利用の状況等を勘案して条例で指定する号に掲げる時間以上日影となる部分を生じさせることのないものとしなければならない。ただし、特定行政庁が土地の状況等により周囲の居住環境を害するおそれがないと認めて建築審査会の同意を得て許可した場合 又は当該許可を受けた建築物を周囲の居住環境を害するおそれがないものとして政令で定める位置及び規模の範囲内において増築し、改築し、若しくは移転する 場合においては、 この限りでない。

  2  同一の敷地内に二以上の建築物がある場合においては、これらの建築物を一の建築物とみなして、前項の規定を適用する。

  3  建築物の敷地が道路、川又は海その他これらに類するものに接する場合、建築物の敷地とこれに接する隣地との高低差が著しい場合その他これらに類する特別の事情がある場合における第一項本文の規定の適用の緩和に関する措置は、政令で定める。

  4  対象区域外にある高さが十メートルを超える建築物で、冬至日において、対象区域内の土地に日影を生じさせるものは、当該対象区域内にある建築物とみなして、第一項の規定を適用する。

  5  建築物が第一項の規定による日影時間の制限の異なる区域の内外にわたる場合又は建築物が、冬至日において、対象区域のうち当該建築物がある区域外の土地に日影を生じさせる場合における同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

★56条の2:日影による中高層の建築物の高さの制限

 56条の2  は、建築物の北側が日影にならないように定めています。「日影」としていますが、これは、逆にみると、ある建築物によって影響を受ける近隣の「日照権」の表れです。
都市部(特に東京や大阪)における中高層マンションの建設で、近隣の住宅の日照権問題が大きくなり、その対応策として昭和51年の改正で設けられました。

 日照権問題の解決策としては、北側斜線制限や低層住居専用地域における10m(または12m)等の高さ制限もありますが、これでは、問題は解決しませんでした。

 そこで、一定の地域において、中高層建築物による、一定時間以上の日影を一定時間内におさめさせ、その地域の日照権を地域レベルで確保するための規定です。

★日影制限を満たすためには、建物の高さの抑制と、隣地境界線との距離を充分にとる必要があります。

★日影規制は、全国一律の適用ではありません。地方公共団体が、その地方の気候及び風土などを勘案して条例で定めます。

★別表第4 日影による中高層の建築物の制限(第五十六条、第五十六条の二関係)

  (い) (ろ) (は) (に)
  地域又は区域 制限を受ける建築物 平均地盤面からの高さ   敷地境界線からの水平距離が十メートル以内の範囲における日影時間 敷地境界線からの水平距離が十メートルを超える範囲における日影時間
第一種低層住居専用地域、又は 第二種低層住居専用地域又は田園住居地域 軒の高さが七メートルを超える建築物又は地階を除く階数が三以上の建築物 一・五メートル (一) 三時間(道の区域内にあつては、二時間) 二時間(道の区域内にあつては、一・五時間)
(二) 四時間(道の区域内にあつては、三時間) 二・五時間(道の区域内にあつては、二時間)
(三) 五時間(道の区域内にあつては、四時間) 三時間(道の区域内にあつては、二・五時間)
第一種中高層住居専用地域又は第二種中高層住居専用地域 高さが十メートルを超える建築物 四メートル又は六・五メートル (一) 三時間(道の区域内にあつては、二時間) 二時間(道の区域内にあつては、一・五時間)
(二) 四時間(道の区域内にあつては、三時間) 二・五時間(道の区域内にあつては、二時間)
(三) 五時間(道の区域内にあつては、四時間) 三時間(道の区域内にあつては、二・五時間)
第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域 高さが十メートルを超える建築物 四メートル又は六・五メートル (一) 四時間(道の区域内にあつては、三時間) 二・五時間(道の区域内にあつては、二時間)
(二) 五時間(道の区域内にあつては、四時間) 三時間(道の区域内にあつては、二・五時間)
用途地域の指定のない区域 軒の高さが七メートルを超える建築物又は地階を除く階数が三以上の建築物 一・五メートル (一) 三時間(道の区域内にあつては、二時間) 二時間(道の区域内にあつては、一・五時間)
(二) 四時間(道の区域内にあつては、三時間) 二・五時間(道の区域内にあつては、二時間)
(三) 五時間(道の区域内にあつては、四時間) 三時間(道の区域内にあつては、二・五時間)
高さが十メートルを超える建築物 四メートル (一) 三時間(道の区域内にあつては、二時間) 二時間(道の区域内にあつては、一・五時間)
(二) 四時間(道の区域内にあつては、三時間) 二・五時間(道の区域内にあつては、二時間)
(三) 五時間(道の区域内にあつては、四時間) 三時間(道の区域内にあつては、二・五時間)
この表において、平均地盤面からの高さとは、当該建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面からの高さをいうものとする。

★制限をするのは、地方公共団体の条例である。
  日影による中高層の建築物の高さの制限は、どこでも適用されるわけではありません。地域の特性を考えて、地方公共団体の条例があるときだけ、適用されます。

★全区域、全地域で指定できるわけではない。
 よく読むと、用途地域の内、商業地域、工業地域、工業専用地域では指定されない。

★地域によって、高さや日影の時間が違う。

★いつが基準時か?
  日照条件が一番悪い、冬至(とうじ)日の真太陽時による午前八時から午後四時まで(北海道の区域内にあつては、午前九時から午後三時まで)の 8時間 
 

★同一の敷地内に二以上の建築物がある場合においては、これらの建築物を一の建築物とみなされます。(2項)

★建築物の敷地が道路、川又は海その他これらに類するものに接する場合、建築物の敷地とこれに接する隣地との高低差が著しい場合その他これらに類する特別の事情がある場合における適用の緩和に関する措置は政令(施行令135条の12、 参照)(3項)

★対象区域外にある高さが10mを超える建築物で、冬至日において、対象区域内の土地に日影を生じさせるものは、当該対象区域内にある建築物とみなされて、この規定が適用されます。(4項)

★建築物が日影時間の制限の異なる区域の内外にわたる場合又は建築物が、冬至日において、対象区域のうち当該建築物がある区域外の土地に日影を生じさせる場合における同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定めます。(施行令135条の13 参照)(5項)

 


(高架の工作物内に設ける建築物等に対する高さの制限の緩和)
第五十七条

 高架の工作物内に設ける建築物で特定行政庁が周囲の状況により交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるものについては、前三条の規定は、適用しない。

2  道路内にある建築物(高架の道路の路面下に設けるものを除く。)については、第五十六条第一項第一号及び第二項から第四項までの規定は、適用しない。
 

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

★57条:高架の工作物内に設ける建築物等に対する高さの制限の緩和

  特定行政庁が認めた場合、高架の工作物内に設ける建築物(高架下の店舗など)には、前の3条、つまり、
   ・55条((第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、
若しくは田園住居地域内における建築物の高さの限度) 、
   ・56条(建築物の各部分の高さ) 、
   ・56条の2(日影による中高層の建築物の高さの制限)
  は適用しても不合理なので適用がありません。(1項)

★道路内にある建築物(高架の道路の路面下に設けるものを除く。)は、特定行政庁の指定がなくても、
   ・56条1項1号(道路斜線制限)、
   ・56条2項から4項まで(前面道路の境界線から後退した建築物関係)
   を適用することが本来無理なため、適用はありません。(2項)


(特例容積率適用地区内における建築物の容積率の特例)
第五十七条の二

 特例容積率適用地区内の二以上の敷地(建築物の敷地となるべき土地及び当該特例容積率適用地区の内外にわたる敷地であつてその過半が当該特例容積率適用地区に属するものを含む。以下この項において同じ。)に係る土地について所有権若しくは建築物の所有を目的とする地上権若しくは賃借権(臨時設備その他一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。以下「借地権」という。)を有する者又はこれらの者の同意を得た者は、一人で、又は数人が共同して、特定行政庁に対し、国土交通省令で定めるところにより、当該二以上の敷地(以下この条及び次条において「特例敷地」という。)のそれぞれに適用される特別の容積率(以下この条及び第六十条の二第四項において「特例容積率」という。)の限度の指定を申請することができる。

 2  前項の規定による申請をしようとする者は、申請者及び同項の規定による同意をした者以外に当該申請に係る特例敷地について政令で定める利害関係を有する者があるときは、あらかじめ、これらの者の同意を得なければならない。

 3  特定行政庁は、第一項の規定による申請が次の各号に掲げる要件のいずれにも該当すると認めるときは、当該申請に基づき、特例敷地のそれぞれに適用される特例容積率の限度を指定するものとする。
  一  申請に係るそれぞれの特例敷地の敷地面積に申請に係るそれぞれの特例容積率の限度を乗じて得た数値の合計が、当該それぞれの特例敷地の敷地面積に第五十二条第一項各号(第五号を除く。以下この号において同じ。)の規定によるそれぞれの建築物の容積率(当該特例敷地について現に次項の規定により特例容積率の限度が公告されているときは、当該特例容積率。以下この号において「基準容積率」という。)の限度を乗じて得た数値の合計以下であること。この場合において、当該それぞれの特例敷地が基準容積率に関する制限を受ける地域又は区域の二以上にわたるときの当該基準容積率の限度は、同条第一項各号の規定による当該各地域又は区域内の建築物の容積率の限度にその特例敷地の当該地域又は区域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計とする。
  二  申請に係るそれぞれの特例容積率の限度が、申請に係るそれぞれの特例敷地内に現に存する建築物の容積率又は現に建築の工事中の建築物の計画上の容積率以上であること。
  三  申請に係るそれぞれの特例容積率の限度が、申請に係るそれぞれの特例敷地における建築物の利用上の必要性、周囲の状況等を考慮して、当該それぞれの特例敷地にふさわしい容積を備えた建築物が建築されることにより当該それぞれの特例敷地の土地が適正かつ合理的な利用形態となるよう定められていること。この場合において、申請に係る特例容積率の限度のうち第五十二条第一項及び第三項から第八項までの規定による限度を超えるものにあつては、当該特例容積率の限度に適合して建築される建築物が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないものとなるよう定められていること。

 4  特定行政庁は、前項の規定による指定をしたときは、遅滞なく、特例容積率の限度、特例敷地の位置その他国土交通省令で定める事項を公告するとともに、国土交通省令で定める事項を表示した図書をその事務所に備えて、一般の縦覧に供さなければならない。

 5  第三項の規定による指定は、前項の規定による公告によつて、その効力を生ずる。

 6  第四項の規定により特例容積率の限度が公告されたときは、当該特例敷地内の建築物については、当該特例容積率の限度を第五十二条第一項各号に掲げる数値とみなして、同条の規定を適用する。

 7  第四項の規定により公告された特例敷地のいずれかについて第一項の規定による申請があつた場合において、特定行政庁が当該申請に係る第三項の指定(以下この項において「新規指定」という。)をしたときは、当該特例敷地についての第三項の規定による従前の指定は、新規指定に係る第四項の規定による公告があつた日から将来に向かつて、その効力を失う。

過去出題 マンション管理士  H19年、
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★57条の2:特例容積率適用地区内における建築物の容積率の特例

  57条の2 は、特例容積率適用地区内における建築物の容積率の特例を定めています。

特例容積率適用地区とは...都市計画で定められる地区の1つです。平成13年に創設された「特例容積率適用 “区域” 」が、拡充されて平成17年度から創設された地区です。

  特例容積率適用地区では、建築物の高さの最高限度が定められ(都市計画法第8条3項2号ホ)、建築基準法第52条で規定される「容積率」の利用が未利用な区域の容積率を活用・促進し、土地の高度利用を図るものです。 (都市計画法第9条16号)

<参照> 都市計画法第8条3項2号ホ

ホ 特例容積率適用地区 建築物の高さの最高限度(当該地区における市街地の環境を確保するために必要な場合に限る。)

<参照> 都市計画法第9条16号

16 特例容積率適用地区は、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域又は工業地域内の適正な配置及び規模の公共施設を備えた土地の区域において、建築基準法第五十二条第一項から第九項までの規定による建築物の容積率の限度からみて未利用となつている建築物の容積の活用を促進して土地の高度利用を図るため定める地区とする

    市街地の防災機能確保等のため、特例容積率の限度の指定の申請に基づき、要件に該当する場合は、特例敷地のそれぞれに適用される特例容積率の限度が指定されます。

    都市計画区域内の一部の許容容積率を放棄し、放棄した分の容積率を区域内の別の場所に加算することができる制度です。一体地特例や空中権取引とも呼ばれ、都市計画法と建築基準法の改正により実現しました。

★これもまた、分かり難い。

★設定の背景をみると理解が深まる?

  都心部など、もともと指定された容積率が比較的大きなエリアでも、その中に歴史的建造物があったり、火災のときの延焼防止に役立つ屋敷林があったりして、容積率があまり消化されていない敷地が少なくありません。 
このような敷地で使われずに残っている未利用容積 (将来的にも使う予定がない部分) を他の敷地に上乗せし、土地の有効利用を図ろうとするのが 「特例容積率適用地区」 です。

  たとえば、都市計画により指定された容積率が500%で、同じ面積の2つの敷地があったとき、一方が200%までしか容積率を使っていなければ、他方の容積率を800%まで認める (両方の合計は 1000%で同じ) わけです。
  ただし、周囲の状況などに応じて建築物の高さの最高限度や、対象敷地面積の最低限度が定められる場合があります。

★特例容積率適用地区は都市計画のなかでその範囲などが定められるだけであり、容積移転の適用は土地所有者など権利者からの申請に基づいて特定行政庁が指定します。このときに該当する2以上の敷地のことを 「特例敷地」 といいますが、いくら容積率を使用していないといっても、道路や線路敷、公共公園などは特例敷地になりません。

★ 「特例容積率適用地区」 では第一種・第二種低層住居専用地域・田園住居地域および工業専用地域を除く、9つの用途地域内で定めることができるようになりました。

★特例容積率適用地区の例

  東京駅の丸の内側にある、東京ビルディングは、日本で初めて「特例容積率適用区域制度」が適用されて、JR東京駅丸の内駅舎の容積率の移転を受けているビルです。三菱地所・JR東日本・東京三菱銀行を主体に行われた東京駅周辺再開発で、東京駅上空の余っている容積率を売却して得た資金をもとに、戦災で被害をうけた赤レンガ駅舎を建設当初の姿に復元するという事業により適用されました。

★各項の説明...よく読んでください。省きます。


(指定の取消し)
第五十七条の三

 前条第四項の規定により公告された特例敷地である土地について所有権又は借地権を有する者は、その全員の合意により、同条第三項の指定の取消しを特定行政庁に申請することができる。この場合においては、あらかじめ、当該特例敷地について政令で定める利害関係を有する者の同意を得なければならない。

2  前項の規定による申請を受けた特定行政庁は、当該申請に係るそれぞれの特例敷地内に現に存する建築物の容積率又は現に建築の工事中の建築物の計画上の容積率が第五十二条第一項から第九項までの規定による限度以下であるとき、その他当該建築物の構造が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるときは、当該申請に係る指定を取り消すものとする。

3  特定行政庁は、前項の規定による取消しをしたときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。

4  第二項の規定による取消しは、前項の規定による公告によつて、その効力を生ずる。

5  前二項に定めるもののほか、第二項の規定による指定の取消しについて必要な事項は、国土交通省令で定める。

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★57条の3:指定の取り消し

  57条の3 は、57条の2 で指定された「特例敷地」について所有権又は借地権を有する者の指定を取り消す規定です。

 


(特例容積率適用地区内における建築物の高さの限度)
第五十七条の四

 特例容積率適用地区内においては、建築物の高さは、特例容積率適用地区に関する都市計画において建築物の高さの最高限度が定められたときは、当該最高限度以下でなければならない。ただし、特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したものについては、この限りでない。

2  第四十四条第二項の規定は、前項ただし書の規定による許可をする場合に準用する。

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★57条の4:特例容積率適用地区内における建築物の高さの限度

  57条の4 は、特例容積率適用地区内においては、原則、建築物の高さは、特例容積率適用地区に関する都市計画において建築物の高さの最高限度が定められたときは、当該最高限度以下でなければならないと規定します。

  容積率だけでなく、高さでも規制はあります。

 


(高層住居誘導地区)
第五十七条の五 (注:改正あり:平成30年4月1日施行。「建ぺい率」 が 漢字の 「建蔽率」になった)

 高層住居誘導地区内においては、建築物の建蔽率は、高層住居誘導地区に関する都市計画において建築物の建ぺい率の最高限度が定められたときは、当該最高限度以下でなければならない。

2  前項の場合において、建築物の敷地が高層住居誘導地区の内外にわたるときは、当該高層住居誘導地区に関する都市計画において定められた建築物の建蔽率の最高限度を、当該建築物の当該高層住居誘導地区内にある部分に係る第五十三条第一項の規定による建築物の建蔽率の限度とみなして、同条第二項の規定を適用する。

3  高層住居誘導地区に関する都市計画において建築物の敷地面積の最低限度が定められた場合については、第五十三条の二(第二項を除く。)の規定を準用する。この場合において、同条第一項中「用途地域」とあるのは、「高層住居誘導地区」と読み替えるものとする。

4  高層住居誘導地区内の建築物については、第五十六条の二第一項に規定する対象区域外にある建築物とみなして、同条の規定を適用する。この場合における同条第四項の規定の適用については、同項中「対象区域内の土地」とあるのは、「対象区域(高層住居誘導地区を除く。)内の土地」とする。

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★57条の5:高層住居誘導地区

  57条の5 は、都市計画法で緩和した、「高層住居誘導地区」内の建築物の容積率に対して、建築基準法での建ぺい率の規制を規定しています。

★高層住居誘導地区が設定されたわけ

  この規定は、平成9年の改正で創設されました。
  バブルで土地価格が暴騰し、都心に人が住めなくなったため、郊外居住者の都心への呼び戻し、都心における居住機能の確保、職住近接で利便性が高く良好な都市環境の実現などを目的として、都市計画法および建築基準法の改正 で導入されました。
 高層住宅の建築を誘導することにより、居住人口の都心回帰を促そうとしたものです。

高層住居誘導地区とは...都市計画で定められる地区の1つです。
  この地区では、容積率、建ぺい率の最高限度が決められ、また敷地の最低限度も決められます。(都市計画法第8条3項2号ヘ)
  高層住居誘導地区に指定されるのは、第1・2種住居地域、準住居地域、近隣商業地域または準工業地域の5つの用途地域の中で、もともと400〜500%の容積率が指定されている地域です。(都市計画法第9条17号)

  高層住居誘導地区は,第一種中高層住居専用地域や第二種中高層住居専用地域の中では定められません。なぜなら中高層住居専用地域は,もともとが高層住居のための所ですから,わざわざ高層住居誘導地区を定める必要性がないためです。

   高層住居誘導地区に指定されると、600%まで容積率が認められるうえ、斜線制限、日影規制の適用を除外されます。一般規制では、400%の容積率を認められているところでも、斜線制限、日影規制が適用されるので実質の使用可能容積率は280%程度ですが、高層住居誘導地区の場合、600%が丸ごと使用可能容積率になります。

<参照> 都市計画法第8条3項2号へ

ヘ 高層住居誘導地区 建築基準法第五十二条第一項第五号に規定する建築物の容積率、建築物の建蔽率の最高限度(当該地区における市街地の環境を確保するため必要な場合に限る。次条第十七項において同じ。)及び建築物の敷地面積の最低限度(当該地区における市街地の環境を確保するため必要な場合に限る。次条第十七項において同じ。)

     ただし、高層住居誘導地区でも「住宅」でなければ適用されない。(建築基準法第52条1項5号)

<参照> 建築基準法第52条1項5号

五 高層住居誘導地区内の建築物(第七号に掲げる建築物を除く。)であつて、その住宅の用途に供する部分の床面積の合計がその延べ面積の三分の二以上であるもの(当該高層住居誘導地区に関する都市計画において建築物の敷地面積の最低限度が定められたときは、その敷地面積が当該最低限度以上のものに限る。) 当該建築物がある第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域に関する都市計画において定められた第二号に定める数値から、その一・五倍以下で当該建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計のその延べ面積に対する割合に応じて政令で定める方法により算出した数値までの範囲内で、当該高層住居誘導地区に関する都市計画において定められたもの

<参照> 都市計画法第9条17号

17 高層住居誘導地区は、住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するため、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域でこれらの地域に関する都市計画において建築基準法第五十二条第一項第二号に規定する建築物の容積率が十分の四十又は十分の五十と定められたものの内において、建築物の容積率の最高限度、建築物の建蔽率の最高限度及び建築物の敷地面積の最低限度を定める地区とする。

★道路斜線制限(56条の2,1項)と日影規制(56条の2、4項)を受けなくなります。(4項)

★高層住居誘導地区の例

  総戸数4,000戸の高層住居誘導地区第1号――芝浦アイランド
  東京都と港区、UR都市機構、三井不動産を中心とする民間事業者が一体となり、運河で囲まれた約6haのエリアの再生を手がける。総戸数は約4000戸、計画人口は約1万人。4棟の超高層住宅を建設する。A1街区は分譲、A2街区と南地区は賃貸とし、地区全体での分譲賃貸比率が半々となるように計画。


(高度地区)
第五十八条

 高度地区内においては、建築物の高さは、高度地区に関する都市計画において定められた内容に適合するものでなければならない。

過去出題 マンション管理士  H19年、
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★58条:高度地区

  58条は、高度地区内における建築物の高さを規制します。

★紛らわしい、「高度利用地区」(次の59条)もありますので、「高度地区」と「高度利用地区」の違いを明確にしておくこと。

高度地区とは...都市計画で定められる地区の1つです。建築物の高さの最高限度又は最低限度を定めます。(都市計画法第8条3項2号ト)
  そして、用途地域内に設けられます。(都市計画法第9条18号)

<参照> 都市計画法第8条3項2号ト

ト 高度地区 建築物の高さの最高限度又は最低限度(準都市計画区域内にあつては、建築物の高さの最高限度。次条第十八項において同じ。)

<参照> 都市計画法第9条18号

18 高度地区は、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区とする。

★高度地区には、2つの種類がある
   @最高限度高度地区...この限度以上に高い建築物を建築してはいけない。
   A最低限度高度地区...この限度以下に低い建築物を建築してはいけない。(高度で最低を決めるとは、おかしな表現ではあるが)

★法文だけ読むとずいぶんと曖昧に思えますが、実際の制限規定はそれぞれの地方公共団体により定められており、その内容は一律ではありません。


(高度利用地区)
第五十九条

 高度利用地区内においては、建築物の容積率及び建ぺい率並びに建築物の建築面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、それぞれの建築面積)は、高度利用地区に関する都市計画において定められた内容に適合するものでなければならない。ただし、次の各号のいずれか (x) に該当する建築物については、この限りでない。
   一  主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロツク造その他これらに類する構造であつて、階数が二以下で、かつ、地階を有しない建築物で、容易に移転し、又は除却することができるもの
   二  公衆便所、巡査派出所その他これらに類する建築物で、公益上必要なもの
   三  学校、駅舎、卸売市場その他これらに類する公益上必要な建築物で、特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したもの

2  高度利用地区内においては、建築物の壁又はこれに代わる柱は、建築物の地盤面下の部分及び国土交通大臣が指定する歩廊の柱その他これに類するものを除き、高度利用地区に関する都市計画において定められた壁面の位置の制限に反して建築してはならない。ただし、前項各号の一に該当する建築物については、この限りでない。

3  高度利用地区内の建築物については、当該高度利用地区に関する都市計画において定められた建築物の容積率の最高限度を第五十二条第一項各号に掲げる数値とみなして、同条の規定を適用する。

4  高度利用地区内においては、敷地内に道路に接して有効な空地が確保されていること等により、特定行政庁が、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可した建築物については、第五十六条第一項第一号及び第二項から第四項までの規定は、適用しない。

5  第四十四条第二項の規定は、第一項第三号又は前項の規定による許可をする場合に準用する。

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★59条:高度利用地区

 前の58条での「高度地区」とか、この59条の「高度利用地区」とか、まったく、紛らわしい。

★紛らわしいついでに、用途地域、特別用途地区、特定用途制限地域も復習のこと。

高度利用地区とは...都市計画で定められる地区の1つです。(都市計画法第8条1項3号、同3項2号チ)
  これも、高度地区と同じように、用途地域内に設けられます。(都市計画法第9条19項)

高度利用地区に指定される地区は、都市全体からみて高度に土地利用を図るべき地区であるにも関わらず、現況の低容積率、土地利用の細分化、道路等の公共施設の整備不十分等によって、市街地再開発事業により整備されることが期待される地区であることから、その都市計画は建築物についての適正な形態を定めて、民間の旺盛な建築活動を計画的に誘導することにより、良好な市街地環境へ変えていこうとするものです。

  具体的には以下に示す4つの項目において制限を定めることで、敷地の統合を促進し、かつ小規模建築物(エンピツビルなど)の建築を抑制して建築物の大規模化、共同化を図り、さらに建築物の周囲にオープンスペースを確保して市街地環境の向上を図ることができることとなっています。

   規定の内容は、建築物の
   @ 容積率の、 @.最高限度
            A.最低限度  土地の合理的かつ健全な高度利用を図ります。
   A建ぺい率は、@.最高限度 だけ。建築物の周辺にオープンスペースを確保します。
   B建築面積は、@.最低限度だけ。土地利用の細分化を防ぎます。
   C壁面の位置、@.制限する。必要な場合は道路に面して有効な空間を確保し、市街地の環境の向上を図ります。

★この高度利用地区に指定されると、中途半端な大きさのビルの所有者などは、建て替えを迫られることもあります。その場合、都市計画法によって、固定資産税の軽減や資金のあっせんその他の援助を受けることができるようになっています。

<参照> 都市計画法第8条1項3号

都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる地域、地区又は街区で必要なものを定めるものとする。

  三  高度地区又は高度利用地区

<参照> 都市計画法第8条3項2号チ

  チ 高度利用地区 建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建築物の建ぺい率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度並びに壁面の位置の制限(壁面の位置の制限にあつては、敷地内に道路(都市計画において定められた計画道路を含む。以下この号において同じ。)に接して有効な空間を確保して市街地の環境の向上を図るため必要な場合における当該道路に面する壁面の位置に限る。次条第十八項において同じ。)

<参照> 都市計画法第9条19項

19 高度利用地区は、用途地域内の市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建築物の建蔽率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度並びに壁面の位置の制限を定める地区とする。

高度地区高度利用地区の違い

  高度地区も高度利用地区も、共に用途地域内に設けられますが、
  高度地区は、高さの @最高限度 と、 A最低限度 を規制していましたが、
  高度利用地区は、@容積率の @最高限度 と A最低限度、 A建ぺい率の @最高限度、B建築面積の最低限度、さらに、C壁面の位置の制限をします。

★東京都の指定例

  大崎駅東口、西大井町駅南など、大崎と大井町の7ヶ所が指定されています。(平成20年3月現在)


(敷地内に広い空地を有する建築物の容積率等の特例)
第五十九条の二 (注:改正あり:「建ぺい率」 が 漢字の 「建蔽率」になった)

 その敷地内に政令で定める空地を有し、かつ、その敷地面積が政令で定める規模以上である建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつ、その建蔽率、容積率及び各部分の高さについて総合的な配慮がなされていることにより市街地の環境の整備改善に資すると認めて許可したものの容積率又は各部分の高さは、その許可の範囲内において、第五十二条第一項から第九項まで、第五十五条第一項、第五十六条又は第五十七条の二第六項の規定による限度を超えるものとすることができる。

2 第四十四条第二項の規定は、前項の規定による許可をする場合に準用する。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

★59条の2:敷地内に広い空地を有する建築物の容積率等の特例

  59条の2 は、特別の空地や広い敷地には、容積率と高さなどに限度を緩和できる規定です。

「総合設計制度」ともよばれ、昭和46年に創設された制度です。

  これは、敷地内に公開空地(オープンスペース)を設ければ、容積率の割り増しや斜線制限の緩和ができ、市街地の整備改善を行う民間主導での街づくり誘導型の制度です。

 容積率の緩和などはできますが、建蔽率の規定は変更出来ません。

   

★政令で定める空地を有する...政令で定める規模以上の敷地面積は建築基準法施行令第136条です。

<参照> 建築基準法施行令第136条

 (敷地内の空地及び敷地面積の規模)
第百三十六条 法第五十九条の二第一項の規定により政令で定める空地は、法第五十三条の規定により建蔽率の最高限度が定められている場合においては、当該最高限度に応じて、当該空地の面積の敷地面積に対する割合が次の表に定める数値以上であるものとし、同条の規定により建蔽率の最高限度が定められていない場合においては、当該空地の面積の敷地面積に対する割合が十分の二以上であるものとする。

  法第五十三条の規定による建ぺい率の最高限度 空地の面積の敷地面積に対する割合
(一) 十分の五以下の場合 一から法第五十三条の規定による建ぺい率の最高限度を減じた数値に十分の一・五を加えた数値
(二) 十分の五を超え、十分の五・五以下の場合 十分の六・五
(三) 十分の五・五を超える場合 一から法第五十三条の規定による建ぺい率の最高限度を減じた数値に十分の二を加えた数値

2  法第五十九条の二第一項 の規定によりその各部分の高さのみを法第五十五条第一項 又は法第五十六条 の規定による限度を超えるものとする建築物に対する前項の規定の適用については、同項中「十分の二」とあるのは「十分の一・五」と、「十分の一・五」とあるのは「十分の一」と、「十分の六・五」とあるのは「十分の六」とする。

3  法第五十九条の二第一項 の規定により政令で定める規模は、次の表の(い)欄に掲げる区分に応じて、同表(ろ)欄に掲げる数値とする。ただし、特定行政庁は、街区の形状、宅地の規模その他土地の状況により同欄に掲げる数値によることが不適当であると認める場合においては、規則で、同表(は)欄に掲げる数値の範囲内で、その規模を別に定めることができる。

  (い) (ろ) (は)
   地域又は区域 敷地面積の規模(単位 平方メートル) 規則で定めることができる敷地面積の規模(単位 平方メートル)
(一) 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域 三、〇〇〇 一、〇〇〇以上
三、〇〇〇未満
(二) 第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、準工業地域、工業地域又は工業専用地域 二、〇〇〇 五〇〇以上
二、〇〇〇未満
(三) 近隣商業地域又は商業地域 一、〇〇〇 五〇〇以上
一、〇〇〇未満
(四) 用途地域の指定のない区域 二、〇〇〇 一、〇〇〇以上
二、〇〇〇未満

(特定街区)
第六十条

 特定街区内においては、建築物の容積率及び高さは、特定街区に関する都市計画において定められた限度以下でなければならない。

2 特定街区内においては、建築物の壁又はこれに代わる柱は、建築物の地盤面下の部分及び国土交通大臣が指定する歩廊の柱その他これに類するものを除き、特定街区に関する都市計画において定められた壁面の位置の制限に反して建築してはならない。

3 特定街区内の建築物については、第五十二条から前条まで並びに第六十条の三第一項及び第二項の規定は、適用しない。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

★60条:特定街区

 
 60条の「特定街区」では、容積率(52条)、建ぺい率(53条)などを含めた規定が適用されません。

特定街区とは...「特定”街区”」となっていますが、都市計画で定められる地域・地区の1つです。(都市計画法第8条1項4号)
   この特定街区の指定があると、
    @容積率、
    A高さの最高限度、
    B壁面の位置
   の制限が、別途規定されます。(都市計画法第8条3項2号リ、同法第9条20項)

   街区の場所に応じて、有効な空き地を確保し、また一般的な規制によらない自由な設計ができ、良好な市街地の形成を促進しようとするものです。

<参照> 都市計画法第8条1項4号

第八条  都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる地域、地区又は街区で必要なものを定めるものとする。

四  特定街区

<参照> 都市計画法第8条3項リ

リ 特定街区 建築物の容積率並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限

<参照> 都市計画法第9条20項

20 特定街区は、市街地の整備改善を図るため街区の整備又は造成が行われる地区について、その街区内における建築物の容積率並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限を定める街区とする。

 

    個々の敷地単位ではなく、纏まった街区を単位として、有効な空地を備えた市街地の整備改善をはかるため、建築物の計画を都市計画に定め、建築形態の一般的規制を適用せずこれに置き換えます。
    有効な空地の規模等に応じ、容積率を割増します。
    隣接する複数の街区を一体的に計画する場合には、街区間の容積率移転が可能です。

★容積率の割り増しや設計の自由度が高まるなど、「総合設計制度」に似ているが、都市計画決定が必要など手続きに手間と時間がかかるため、件数はあまり多くありません。

★特定街区の例

  東京の霞ヶ関ビル、浜松町の貿易センタービル、新宿副都心の高層ビルなどが特定街区によるものです。

 


第四節の二 都市再生特別地区及び特定用途誘導地区
(都市再生特別地区)
第六十条の二 (注:ピンク字は、平成30年4月1日施行。「建ぺい率」 が 漢字の 「建蔽率」になった。)

  都市再生特別地区内においては、建築物の容積率及び建蔽率、建築物の建築面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、それぞれの建築面積)並びに建築物の高さは、都市再生特別地区に関する都市計画において定められた内容に適合するものでなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物については、この限りでない。
   一 主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であつて、階数が二以下で、かつ、地階を有しない建築物で、容易に移転し、又は除却することができるもの
   二 公衆便所、巡査派出所その他これらに類する建築物で、公益上必要なもの
   三 学校、駅舎、卸売市場その他これらに類する公益上必要な建築物で、特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したもの

2 都市再生特別地区内においては、建築物の壁又はこれに代わる柱は、建築物の地盤面下の部分及び国土交通大臣が指定する歩廊の柱その他これに類するものを除き、都市再生特別地区に関する都市計画において定められた壁面の位置の制限に反して建築してはならない。ただし、前項各号のいずれかに該当する建築物については、この限りでない。

3 都市再生特別地区に関する都市計画において定められた誘導すべき用途に供する建築物については、第四十八条から第四十九条の二までの規定は、適用しない。

4 都市再生特別地区内の建築物については、当該都市再生特別地区に関する都市計画において定められた建築物の容積率の最高限度を第五十二条第一項各号に掲げる数値(第五十七条の二第六項の規定により当該数値とみなされる特例容積率の限度の数値を含む。)とみなして、第五十二条の規定を適用する。
5 都市再生特別地区内の建築物については、第五十六条、第五十七条の四、第五十八条及び第六十条の三第二項の規定は、適用しない。

6 都市再生特別地区内の建築物については、第五十六条の二第一項に規定する対象区域外にある建築物とみなして、同条の規定を適用する。この場合における同条第四項の規定の適用については、同項中「対象区域内の土地」とあるのは、「対象区域(都市再生特別地区を除く。)内の土地」とする。

7 第四十四条第二項の規定は、第一項第三号の規定による許可をする場合に準用する。
 

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★第四節の二 都市再生特別地区、居住環境向上用途誘導地区及び特定用途誘導地区

★60条の2:都市再生特別地区

  60条の2 は、新しい規定です。平成14年の都市再生特別措置法により制定されました。

★創設の背景...近年における急速な情報化、国際化、少子高齢化等の社会経済情勢の変化に我が国の都市が十分対応できたものとなっていないことにかんがみ、これらの情勢の変化に対応した都市機能の高度化及び都市の居住環境の向上(以下「都市の再生」という。)を図るため、都市の再生の推進に関する基本方針等について定めるとともに、都市再生緊急整備地域における市街地の整備を推進するための民間都市再生事業計画の認定及び都市計画の特例並びに都市再生整備計画に基づく事業等に充てるための交付金の交付等の特別の措置を講じ、もって社会経済構造の転換を円滑化し、国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。

 言い換えると、都市再生特別地区は、既存の用途地域等による制限に代わって、誘導すべき用途や容積率、高さ等必要な事項を都市計画に定めることにより「建築確認」だけの迅速な手続きで、建築物の建築が可能となり、民間事業者による都市再開発を誘導し、地区の特性に応じた良好な市街地を実現させるものです。

都市再生特別地区とは...都市計画法で定められる、都市計画の地域・地区の1つ。(都市計画法第8条1項4の2号)
  都市再生特別地区については、別の法律:都市再生特別措置法第36条が規定されています。(都市計画法第8条4項) 

  都市再生緊急整備地域において、国が定める地域整備方針の方向に沿った都市開発事業等を迅速に実現するため、土地の合理的かつ健全な高度利用を図る特別の用途・容積・高さ・配列等の建築物の建築を誘導することを目指した地域地区であり、都市の再生に貢献しています。

<参照> 都市計画法第8条1項4の2号
 
第八条  都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる地域、地区又は街区で必要なものを定めるものとする。

 四の二 都市再生特別措置法(平成十四年法律第二十二号)第三十六条第一項の規定による都市再生特別地区、同法第八十九条の規定による居住調整地域、同法第九十四条の二第一項の規定による居住環境向上用途誘導地区又は同法第百九条第一項の規定による特定用途誘導地区

<参照> 都市計画法第8条4項

 4 都市再生特別地区、居住環境向上用途誘導地区、特定用途誘導地区、特定防災街区整備地区、景観地区及び緑化地域について都市計画に定めるべき事項は、前項第一号及び第三号に掲げるもののほか、別に法律で定める

★都市再生特別措置法第36条

<参照> 都市再生特別措置法第36条 

第六節 都市計画等の特例

第一款 都市再生特別地区等

(都市再生特別地区)
第三十六条 都市再生緊急整備地域のうち、都市の再生に貢献し、土地の合理的かつ健全な高度利用を図る特別の用途、容積、高さ、配列等の建築物の建築を誘導する必要があると認められる区域については、都市計画に、都市再生特別地区を定めることができる。

2 都市再生特別地区に関する都市計画には、都市計画法第八条第三項第一号及び第三号に掲げる事項のほか、建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)の誘導すべき用途(当該地区の指定の目的のために必要な場合に限る。)、建築物の容積率(延べ面積の敷地面積に対する割合をいう。以下同じ。)の最高限度及び最低限度、建築物の建蔽率(建築面積の敷地面積に対する割合をいう。第九十四条の二第二項第二号において同じ。)の最高限度、建築物の建築面積の最低限度、建築物の高さの最高限度並びに壁面の位置の制限を定めるものとする。

3 前項の建築物の容積率の最高限度は、十分の四十以上の数値でなければならない。ただし、当該地区の区域を区分して同項の建築物の容積率の最高限度を定める場合にあっては、当該地区の区域を区分して定められた建築物の容積率の最高限度の数値にそれぞれの数値の定められた区域の面積を乗じたものの合計を当該地区の全体の面積で除して得た数値が十分の四十以上であることをもって足りる。

4 第二項の建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限は、当該地区にふさわしい高さ、配列等を備えた建築物の建築が誘導されること、建築物の敷地内に道路(都市計画において定められた計画道路を含む。次条第一項において同じ。)に接する有効な空地が確保されること等により、当該都市再生特別地区における防災、交通、衛生等に関する機能が確保されるように定めなければならない。

★都市再生特別地区制度の趣旨

   都市再生緊急整備地域内において、既存の用途地域等に基づく用途、容積率等の規制を適用除外とした上で、自由度の高い計画を定めることができる都市計画制度を創設しました。

   特定行政庁の許可等によらず「建築確認のみ」で都市再生特別地区の内容を実現できるものとされます。

★決定方法: 都道府県が都市計画の手続を経て決定
        提案制度により都市開発事業者による提案が可能です

★ 計画事項
   以下の事項を従前の用途地域等に基づく規制にとらわれずに定めることができます。
    1.誘導すべき用途(用途規制の特例が必要な場合のみ)
    2.容積率の最高限度(400%以上)及び最低限度
    3.建ぺい率の最高限度
    4.建築面積の最低限度
    5.高さの最高限度
    6.壁面の位置の制限

    これにより、以下の用途地域等による規制を適用除外。
     1.用途地域及び特別用途地域による用途制限
     2.用途地域による容積率制限
     3.斜線制限
     4.高度地区による高さ制限
     5.日影規制

★東京都の例

  品川区大崎二丁目及び三丁目各地内(平成16年1月指定)

★大阪の「あべのハルカス」
  容積率は1600%、高さの最高限度が310m

   


(居住環境向上用途誘導地区)
第六十条の二の二 

 居住環境向上用途誘導地区内においては、建築物の建蔽率は、居住環境向上用途誘導地区に関する都市計画において建築物の建蔽率の最高限度が定められたときは、当該最高限度以下でなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物については、この限りでない。
   一 公衆便所、巡査派出所その他これらに類する建築物で、公益上必要なもの
   二 学校、駅舎、卸売市場その他これらに類する公益上必要な建築物で、特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したもの

2 居住環境向上用途誘導地区内においては、建築物の壁又はこれに代わる柱は、居住環境向上用途誘導地区に関する都市計画において壁面の位置の制限が定められたときは、建築物の地盤面下の部分及び国土交通大臣が指定する歩廊の柱その他これに類するものを除き、当該壁面の位置の制限に反して建築してはならない。ただし、前項各号のいずれかに該当する建築物については、この限りでない。

3 居住環境向上用途誘導地区内においては、建築物の高さは、居住環境向上用途誘導地区に関する都市計画において建築物の高さの最高限度が定められたときは、当該最高限度以下でなければならない。ただし、特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したものについては、この限りでない。

4 居住環境向上用途誘導地区内においては、地方公共団体は、その地区の指定の目的のために必要と認める場合においては、国土交通大臣の承認を得て、条例で、第四十八条第一項から第十三項までの規定による制限を緩和することができる。

5 第四十四条第二項の規定は、第一項第二号又は第三項ただし書の規定による許可をする場合に準用する。
 

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★60条の2の2:居住環境向上用途誘導地区

  60条の2の2 も、新しい規定です。令和2年6月10日公布、令和2年9月7日施行の都市再生特別措置法の改正により、建築基準法でも追加として制定されました。

★居住環境向上用途誘導地区の創設の背景...頻発・激甚化する自然災害に対応するため、災害ハザードエリアにおける新規立地の抑制、移転の促進、防災まちづくりの推進の観点から総合的な対策を講じることが喫緊の課題となっています。
 また、こうした取組に併せて、駅前等のまちなかにおける歩行者空間の不足や、商店街のシャッター街化等の課題に対応するため、まちなかにおいて多様な人々が集い、交流する「居心地が良く歩きたくなる」空間を形成し、都市の魅力を向上させることが必要です。
 これらの課題に対応するため、安全で魅力的なまちづくりを推進するためのものです。

  

★居住環境向上用途誘導地区とは...都市計画法で定められる、都市計画の地域・地区の1つ。(都市計画法第8条1項4の2号)

 つまり、安全で魅力的なまちづくりの推進を図ることを目的とした、都市再生特別措置法等の改正により、「立地適正化計画」を作成した区域内において「居住環境向上用途誘導地区」を都市計画に定めることができるとされます。(都市計画法第8条4項,、都市再生特別措置法第81条)

  都市計画の市街化区域にある「住居系」「商業系」「工業系」の3つの用途の「住居系」に新しく、市町村が人集めのために「居住環境向上用途誘導地区」を定め、そこは用途制限や容積率を緩和するということです。

<参照> 都市計画法第8条1項4の2

(地域地区)
第八条 都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる地域、地区又は街区を定めることができる。

四の二 都市再生特別措置法(平成十四年法律第二十二号)第三十六条第一項の規定による都市再生特別地区、同法第八十九条の規定による居住調整地域、同法第九十四条の二第一項の規定による居住環境向上用途誘導地区又は同法第百九条第一項の規定による特定用途誘導地区

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<参照> 都市計画法第8条4項

4 都市再生特別地区、居住環境向上用途誘導地区、特定用途誘導地区、特定防災街区整備地区、景観地区及び緑化地域について都市計画に定めるべき事項は、前項第一号及び第三号に掲げるもののほか、別に法律で定める

<参照>都市再生特別措置法第81条

第六章 立地適正化計画に係る特別の措置

第一節 立地適正化計画の作成等

立地適正化計画
第八十一条 市町村は、単独で又は共同して、都市計画法第四条第二項に規定する都市計画区域内の区域について、都市再生基本方針に基づき、住宅及び都市機能増進施設(医療施設、福祉施設、商業施設その他の都市の居住者の共同の福祉又は利便のため必要な施設であって、都市機能の増進に著しく寄与するものをいう。以下同じ。)の立地の適正化を図るための計画(以下「立地適正化計画」という。)を作成することができる。

(以下略)

 
 そこで、建築基準法においては、「居住環境向上用途誘導地区」内の建築物であって、都市計画において定められた誘導すべき用途を含むものの容積率や建蔽率を、建築基準法における容積率や建蔽率とする規定が、60条の2の2 として新たに追加された。

★「居住環境向上用途誘導地区」では...立地適正化計画を作成した区域内において、病院、店舗その他の都市の居住者の日常生活に必要な施設であって、居住環境の向上に資するものを有する建築物の建築を誘導する必要があると認められる区域に定めることができる。 (都市再生特別措置法第第94条の2)

<参照> 都市再生特別措置法第第94条の2

第四款 居住環境向上用途誘導地区

第九十四条の二 立地適正化計画に記載された居住誘導区域のうち、当該居住誘導区域に係る居住環境向上施設を有する建築物の建築を誘導する必要があると認められる区域(都市計画法第八条第一項第一号に規定する用途地域(同号に掲げる工業専用地域を除く。第百九条第一項において同じ。)が定められている区域に限る。)については、都市計画に、居住環境向上用途誘導地区を定めることができる。

2 居住環境向上用途誘導地区に関する都市計画には、都市計画法第八条第三項第一号及び第三号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を定めるものとする。
   一 建築物等の誘導すべき用途及びその全部又は一部を当該用途に供する建築物の容積率の最高限度
   二 当該地区における市街地の環境を確保するため必要な場合にあっては、建築物の建蔽率の最高限度、壁面の位置の制限及び建築物の高さの最高限度

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★改正された都市再生特別措置法(コンパクトシティ法)の概要
 〜人口の減少・高齢化社会への対応〜

 (1) 安全なまちづくり
   [1] 災害ハザードエリアにおける新規立地の抑制
      1) 災害レッドゾーンにおける自己業務用施設の開発を原則禁止 (都市計画法第33条)
      2) 市街化調整区域の浸水ハザードエリア等における住宅等の開発許可の厳格化 (都市計画法第34条)
      3) 居住誘導区域外における災害レッドゾーン内での住宅等の開発に対する勧告・公表 (都市再生特別措置法第88条)

   [2] 災害ハザードエリアからの移転の促進
      1) 市町村による災害ハザードエリアからの円滑な移転を支援するための計画作成 (都市再生特別措置法第81条等)
   [3] 居住エリアの安全確保
     1) 居住誘導区域から災害レッドゾーンを原則除外
      2) 市町村による居住誘導区域内の防災対策を盛り込んだ「防災指針」の作成 (都市再生特別措置法第81条)

  (2) 魅力的なまちづくり
    [1] 「居心地が良く歩きたくなる」まちなかの創出
       都市再生整備計画に「居心地が良く歩きたくなる」まちなかづくりに取り組む区域を設定 (都市再生特別措置法第46条第2項第5号) し、以下の取組を推進
      1) 官民一体で取り組む「居心地が良く歩きたくなる」空間の創出(公共による車道の一部広場化と民間によるオープンスペース提供等)※予算・税制両面から支援 (都市再生特別措置法第46条第3項第2号)
      2) まちなかエリアにおける駐車場出入口規制等の導入(メインストリート側ではなく裏道側に駐車場の出入口を設置) (都市再生特別措置法第62条の10等)
      3) イベント実施時などにまちづくり会社等の都市再生推進法人が道路・公園の占用手続等を一括して対応 (都市再生特別措置法第62条の8)  等
   [2] 居住エリアの環境向上
      1) 居住誘導区域内における病院・店舗など日常生活に必要な施設について用途・容積率制限を緩和 (都市再生特別措置法第81条、都市計画法第8条、建築基準法第52条等)
      2) 居住誘導区域内における都市計画施設の改修促進 (都市再生特別措置法第81条等)

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★居住環境向上用途誘導地区内の建蔽率... 建蔽率は、都市計画で定められた最高限度以下(1項)

★居住環境向上用途誘導地区内の 壁面の位置の制限 建築物の壁・r柱...都市計画で定められた壁面の位置の制限に反してはならない(地盤面下のものや歩廊等を除く)(2項)

★居住環境向上用途誘導地区内の絶対高さ...最高高さは、都市計画で定められた最高限度以下(3項)

★居住環境向上用途誘導地区内の用途制限の緩和... 条例により用途地域の緩和が可能(国土交通大臣承認が必要)(4項)


(特定用途誘導地区)
第六十条の三 

 特定用途誘導地区内においては、建築物の容積率及び建築物の建築面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、それぞれの建築面積)は、特定用途誘導地区に関する都市計画において建築物の容積率の最低限度及び建築物の建築面積の最低限度が定められたときは、それぞれ、これらの最低限度以上でなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物については、この限りでない。
   一 主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であつて、階数が二以下で、かつ、地階を有しない建築物で、容易に移転し、又は除却することができるもの
   二 公衆便所、巡査派出所その他これらに類する建築物で、公益上必要なもの
   三 学校、駅舎、卸売市場その他これらに類する公益上必要な建築物で、特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したもの

2 特定用途誘導地区内においては、建築物の高さは、特定用途誘導地区に関する都市計画において建築物の高さの最高限度が定められたときは、当該最高限度以下でなければならない。ただし、特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したものについては、この限りでない。

3 特定用途誘導地区内においては、地方公共団体は、その地区の指定の目的のために必要と認める場合においては、国土交通大臣の承認を得て、条例で、第四十八条第一項から第十三項までの規定による制限を緩和することができる。

4 第四十四条第二項の規定は、第一項第三号又は第二項ただし書の規定による許可をする場合に準用する。 

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

 60条の3の特定用途誘導地区も、新しい規定です。
 これも、平成26年の都市再生特別措置法第109条の創設により、建築基準法に創設されました。

<参照>  都市再生特別措置法第109条 第五款 特定用途誘導地区
 
第百九条 立地適正化計画に記載された都市機能誘導区域のうち、当該都市機能誘導区域に係る誘導施設を有する建築物の建築を誘導する必要があると認められる区域(都市計画法第八条第一項第一号に規定する用途地域が定められている区域に限る。)については、都市計画に、特定用途誘導地区を定めることができる

2 特定用途誘導地区に関する都市計画には、都市計画法第八条第三項第一号及び第三号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を定めるものとする。
   一 建築物等の誘導すべき用途及びその全部又は一部を当該用途に供する建築物の容積率の最高限度
   二 当該地区における土地の合理的かつ健全な高度利用を図るため必要な場合にあっては、建築物の容積率の最低限度及び建築物の建築面積の最低限度
   三 当該地区における市街地の環境を確保するため必要な場合にあっては、建築物の高さの最高限度


  特定用途誘導地区創設の目的は、人口減少・高齢化の進展に伴う都市再生を図るために、市町村が作成するマスター・プランである立地適正化計画において、医療施設、福祉施設、商業施設など都市機能増進施設を誘導するために、都市計画で定めることです。

   

 
 特定用途誘導地区は、都市再生特別措置法の「立地適正化計画」で定める、医療・福祉・商業などの施設を誘導する「居住誘導区域内」に定められる「都市機能誘導区域内」に指定され、地区内の建築物の用途制限、容積率・高さの最高限度について、通常の用途地域とは異なる扱い(緩和措置)が定められています。

<参照> 都市計画法第8条1項4の2

(地域地区)
第八条 都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる地域、地区又は街区を定めることができる。

四の二 都市再生特別措置法(平成十四年法律第二十二号)第三十六条第一項の規定による都市再生特別地区、同法第八十九条の規定による居住調整地域、同法第九十四条の二第一項の規定による居住環境向上用途誘導地区又は同法第百九条第一項の規定による特定用途誘導地区

----------------------------------------------------

<参照> 都市計画法第8条4項

4 都市再生特別地区、居住環境向上用途誘導地区特定用途誘導地区、特定防災街区整備地区、景観地区及び緑化地域について都市計画に定めるべき事項は、前項第一号及び第三号に掲げるもののほか、別に法律で定める

 

ページ終わり

最終更新日:
2022年 4月18日:新しい令和2年9月施行の「都市再生特別措置法」改正による「建築基準法第60条の2の2:居住環境向上用途誘導地区」を追加した。
施行:令和元年6月25日に対応した。
2019年 8月 9日:第56条の2 1項ただし書きを追加。
2018年 3月21日:第60条の3「特別用途誘導地区」の解説を入れた。
2018年 3月19日:「田園住居地域」を入れた。
2018年 3月17日:平成29年と平成28年の出題年を入れた。
2016年 3月 5日:平成27年の出題年を入れた。
2015年 4月22日:平成27年6月1日施行の法改正と平成26年の出題年を入れた。
2014年 2月23日:平成25年の出題年を入れた。
2011年 5月 8日:改正を確認
開始:2008年10月14日 

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