ヴェトナムとアンコール・ワット   7日間の旅行記

2010年(平成22年)  7月11日(日) 第4日目 

カンボジア、アンコール・トム、アンコール・ワット観光

(その2 アンコール・ワット〜アプサラダンス・ショーまで)

2010年7月11日(日)の観光で、アンコール・トムやタ・ケウ、タ・プロムなど午前の部は、前にあります。
長いので、7月11日は2ページ構成になっています。

カンボジアの地図、概要などは、前にあります。

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◎ 本 日 の 予 定   (7月11日の午前の部は、前にあります。午後の部だけです。)
 場 所  概 要
ホテルで休憩 13:00
 〜 
15:00 
ホテルに戻りお休み 
アンコール・ワット観光
   (約2時間)
15:00

17:30
第一回廊のレリーフ
第二回廊のレリーフ  
プレ・ループ遺跡からの
  夕日鑑賞
17:30
夕日を見る
ショウ&夕食 19:00 アプサラダンスショー と ビュッフェ
宿泊 アンコール・ミラクル・リゾート&スパ (連泊) 

訪  問  地 詳    細
  15:00
*アンコール・ミラクル・リゾート&スパでの昼寝

 ホテルでの1時からの休憩です。
 シャワーを浴び、気分もしっかりしたところで、アンコール・ワットの観光に出発です。
◎アンコール・ワット観光の前に

  アンコール・ワット(Angkor Wat)のアンコールとは「都」、ワットとは「寺院」のことを示します。元は12世紀頃のヒンズー教の神であるヴィシュヌ神を祀る寺院であったのを、仏教寺院に変更し、そして王の墳墓として建てられました。すべて石造りで、東西1,500m、南北1,300mの敷地に、左右対称に建てられています。1992年に世界遺産に登録されました。
 周囲は、幅200mの環濠に囲まれており、中には参道や三重の回廊、5基の塔があります。
 中央の塔の高さは65mもあります。

 周囲を囲む環濠は大洋を、回廊はヒマラヤ山脈を表し、中央にひときわ高くそびえる堂塔は世界の中心たるメール山(須弥山=シュミセン、聖なる山)をあらわしており、その三重の回廊を進むごとに天へ近づいていく、まさにそれは神々との交信のための、地上につくられた楽園でした。

 そして回廊の壁には、スーリヤヴァルマン2世が率いるクメール軍や天女アプラサを描いた緻密な壁画があります。
 また、インド古代の叙事詩「マハーバーラタ」の戦闘シーン、上段が天国、中段に閻魔大王、そして下段には地獄の責め苦に苦しむ人々を生々しく描いた「天国と地獄」など、壁画の迫力と美しさは見事です。
 特に、外側の第一回廊東面にある、神々と阿修羅が不老不死の妙薬を手に入れるために海を千年以上かき回し続けたというヒンズー教の天地創造の物語「乳海攪拌」の図は必見です。

  アンコール・ワットは、日本では平家物語にも出てくる「祇園精舎」と思われていたようで、多くの日本人も訪れた記録があり、1632年(寛永9年)に森本右近太夫が残した十字回廊の柱の落書きは有名です。

 アンコール・ワット寺は西を正面としているので、午前に写真を撮ると逆光になるため、午後の観光が良いでしょう。日の出が美しく、観光スケジュールにも、日の出を観るコースが入っています。

  参道の石組みや壊れた塔の修復は日本人の石工が指導しており、その様子はNHK「プロジェクトX」で取り上げられて、私も見ました。
アンコール・ワット入口        *アンコール・ワットは西大門から入る。

 それでは、アンコール・ワットへ入って行きましょう。

 西にある大門から入ります。
 この濠の上の参道も、寺院に向かって右側は補修されていますが、左側は元の石組でかなりデコボコしています。
  *濠に囲まれた、左側の擁壁

  アンコール・ワットは、外側を高い壁で囲み、外側から、第一回廊、第二回廊そして第三回廊と名付けられた、三つの回廊から出来ていて、中央に祠があります。

  濠も幅が200mもあります。
  *西大門の塔

 さすがに、有名なアンコール・ワットで、西洋人の観光客も随分と来ています。
  *入口の石柱には、銃弾の跡がある。

 1980年頃、カンボジアの内戦時、政権を追われたクメール・ルージュがここアンコール・ワットにたてこもったために、アンコール・ワットの遺跡も戦火を浴びました。

 クメール・ルージュはアンコール・ワットは、石造りの城郭となっていたのと、文化遺跡であるため、相手からの攻撃を受け難いと考えたようです。
  *表情の豊かな、女神たち。
   入口や窓の側など、至るところに女神たちの像が彫られていますが、皆んな表情が豊かで、癒されます。
アンコール・ワット 西参道       *西大門から左右にあるお経を納めてあった蔵(経蔵)を眺めながら、本堂に向かいます。

  *前庭の西参道の欄干には、大蛇が彫られています。
  *前庭の北側には池があります。

 この池に写った、アンコール・ワットはよく絵葉書にもなっています。

 でも、撮影する人が多くて、このような人の入らないタイミングで撮影するのは、大変でした。

 (アンコール・ワットは左右が対象になっているので、当然南側にも、池があるが、写真を撮るのは、光線の関係で、北側の池になります。)
アンコール・ワット 第一回廊       *第一回廊の北側から、本堂に入る。

 寺院の正面は、十字回廊ですが、そこは観光客が多いので、慣れているガイドさんの案内で、北側の方から、第一回廊に入ります。

 第一回廊は、東西200m、南北180mです。
  *アンコール・ワットのレリーフ

 アンコール・ワットを有名にしているのは、壁全面に彫りこまれたレリーフです。
  *第一回廊の西面には、インドの叙事詩「マハーバーラタ」や「ヤーマヤナ」のレリーフがあり、南面にはスーリヤヴァルマン2世の戦い様子を描いたレリーフがあります。
  王は象に乗っていて分かりやすい。
  *また第一回廊の南面東側には、「天国と地獄」と呼ばれる彫刻群があります。
 上段には天国に昇った人、中段には閻魔大王とその裁きを待つ人、下段には疑獄へ落ちた人が受ける痛々しい刑罰が細かく描かれたここの彫刻は、優れています。
 天国の浮き浮きとした生活に比べて、地獄では火責め、舌抜き、鞭打ちなどの刑が描かれています。

 (レリーフの写真は、暗くて今一はっきりしませんので、詳細な彫刻は、現地でぜひご覧ください。)
*そして、第一回廊の東面には、神々と阿修羅が不老不死の妙薬を手に入れるために、大蛇を綱にして、亀の背中に乗ったヴァイシュヌ神の指揮で、海を千年以上かき回し続けたというヒンズー教の天地創造の物語「乳海攪拌(にゅうかいかくはん)」の図があるのですが、今は修理中で、観られません。
 その代りに、写真パネルが貼ってあります。
あれば、こんな感じです。
アンコール・ワット 十字回廊   *十字回廊

  第一回廊の西から、中に入ると、十字回廊です。
 十字回廊には、4つの中庭があり、沐浴用の池もあります。

 
  *森本右近太夫一房の落書き
  この十字回廊には、落書きが多く、日本人と分かる落書きも14か所にあるとのことです。慶長17年(1612年)などと書かれています。
 その中で有名なのが、南の柱に肥後(今の熊本)からきた森本右近太夫一房(もりもと うこんだゆう かずふさ)の墨書です。
 上から墨で消した跡がありますが、寛永9年正月(西暦1632年)とあり、「数千里の海を渡り、浮世の思いを清めるため、ここに仏四体を奉るものなり」と記されているようです。

 なお、徳川幕府による鎖国令が寛永12年(1635年)に出され、帰国した森本右近太夫も身分を隠していたようです。
 
アンコール・ワット 第三回廊    *女神像の胸

 出入口近くには、必ず女神が彫られているのですが、その胸は黒光がしています。

 観光客が、なでているのですね。(男性だけでなく、女性も触っていましたよ。)
  *第二回廊から第三回廊へ

 急な勾配の階段を登り、第二回廊へ行きますが、ツアー参加者のうち何人かはもう疲れていて、下の外でまっています。

 確かに、昼の休憩はとったものの、この暑さでは、まいります。

 なお、第二回廊には、出入り口に女神達の彫刻はありますが、第一回廊のような壁の彫刻はありません。
  第二回廊は、東西115m、南北100mです。
アンコール・ワット 中央祠堂      *中央祠堂です。

 どうにか、アンコール・ワットの中心にたどり着きました。
 ここでも、急な階段があり、また、修理が終わったので、登ることができるとの情報でしたが、階段の下に柵があって登ることができませんでした。
 中央祠堂の高さは65mだそうです。
  *第三回廊を彩る女神(デヴァーター=Devata)たち
 
 現地時間で5時に近く、西日が強くなっていますので、かえって、写真効果がでます。

 なお、第三回廊は、正方形で、、一辺が60mで第二回廊よりも、13m高くなっています。
  *ここまで来ると、胸にさわれない?

 さすがに、聖地に近いせいか、また彫刻されている場所が高いせいか、女神たちの胸も人の手で汚れていません。

 全体に黒ずんだ左側の女神と右側の女神の白さが違うのは、多分修復のせいでしょう。
夕日観光へ   17:20 *アンコール・ワット発

 
 約2時間超を過ごしたアンコール・ワットから、次は夕日を見に行きます。
  *お土産の売り子のしつこさには閉口

 カンボジアに入り、アンコール・トムやアンコール・ワットの観光をしているわけですが、すぐ側に、観光写真やスカーフ、扇子などを強引に売り込んでくる子供たちの群れには参ります。

 断っても断っても離れずにいて、観光気分が台無しです。
プレ・ループの夕日       17:30 *プレ・ループ(Pre Rup)寺院から夕日を見る。

 アンコール・ワッットから約4Km程、東北にあるプレ・ループ寺院にバスで移動し、ジャングルに沈む太陽を見ましょう。

 また、石段を登ります。
  *プレ・ループ寺院

 プレとは「変化」、ループとは「身体」を意味しているそうです。

 ヒンズー教の寺院で、境内の石槽では、死者を火葬した跡があり、荼毘(だび)にふされた灰で死者を描く儀式があったようで、それが名前の由来です。
  *見物に良い場所は、既に他の人がいる!

 東側から登ったので、人込みは分からなかったのですが、夕日の西側に回ると、人ひと、ひとでした。
 日が沈むのは、6時30分頃で、まだ1時間ぐらい時間があるのに、場所取りで大変です。
  *平凡なデジカメでは夕日は撮れません。

 逆光の太陽をカメラで撮るには、絞りを強くしたり、フィルターを使用しなければ無理です。

 私のバカチョン・デジカメにはそんな機能はありませんので、太陽を背にしたアングルで撮ってみました。

 石塔に映える獅子の影です。
  *夕日

 カメラの絞りが浅いので、夕日の写真はこれが限度です。

 ここの観光でのうたい文句に、アンコール・ワットなどが見れるとのことでしたが、見えるのは深いジャングルだけで、この距離では、望遠レンズでもなければ、アンコール・ワットやアンコール・トムの塔を写すのは無理です。
  *また、急な石段を降りる。

 夕日観光が終わっても、塔から降りるのにまた一苦労です。

 昔の人は、この急勾配の階段をスイスイと登り降りしていたのでしょうか?
  *現地らしい風景?

 プレ・ループでの夕日も見ましたので、夕食に向かいます。

 バスの近くに、こんな和やかな子供がいましたよ。

 
夕食とダンスショー 19:00
*夕食とアプサラ・ダンスショー

 シェムリアップの街に戻り、「アマゾン・レストラン」という、、400人も収容できる大きくて、広いレストラン・シアターで、カンボジアの伝統的な踊りを見ながら、ビュッフェ形式の夕食です。

 我々の席は、舞台の前の一等席です。
  *夕食のメニュー

 現地の魚や肉をココナッツで蒸し甘すっぱい名物料理のアモックや、変な海苔巻すし、焼き鳥など、カンボジア料理、西洋料理、ヴェトナム料理などが選べます。
  *アプサラ・ダンス

 ダンス・ショーは、19:30〜20:20ぐらいまで、やっています。

 歓迎の踊り、漁師の踊り、そして、アンコール王朝から続く、宮廷で踊られた天女であり女神でもあるアプサラの舞いなどがあります。

 アプサラ(Apsara)とは、サンスクリット語では、天の踊り子という意味だそうです。
  *宮廷舞踊では手のそりかえりが大切です。

 反り返った指先の角度が大きければ大きいほど、良い踊り手のようです。

  *ウンチク

 宮廷舞踊も内戦のクメール・ルージュの時代、王制に関係しているとのことで迫害され、多くの踊り手がいなくなったため、今は復興に力をいれている。
  *楽団は、鐘、太鼓、木琴、鉄琴、笛です。

 現地では、鐘は「コン・トム」、太鼓は「サムファー」、木琴(竹製もあるらしい)は「ロニー・エク」、鉄琴(銅製)は「ロニー・デク」、そして、笛は西洋のオーボエに似ていて「スラライ」と呼ばれます。
ホテル 20:40 *、ホテル:アンコール・ミラクル・リゾート&スパでお休み

 昨日から泊っている、ホテル:アンコール・ミラクル・リゾート&スパ に戻り、暑かった一日の汗を流して、お眠りです。
◎ 2010年7月11日(日)は終わりです。
◎まとめに時間がかかった!
  この、7月11日分は、「アンコール・トム」、「アンコール・ワット」と歴史的な観光地であったため、撮った写真も多く、また建造物としてのデータも探したため、まとめあげるのに、何と2週間もかかった。

◎歴史的遺産の保存の方法
  カンボジアでは、遺跡を修復するやり方として、アンコール・ワットのように元の形に戻すやり方と、少しは修復するが、殆ど大木に絡ませたままにしているタ・プロムのケースがある。

  完璧に当時のまま再現することは、歴史的にみても参考になることは多いけど、ある程度の事実が分かれば、「物は必ず滅びる」という宇宙の原則に従ったやりかたもあり得ると思う。

  アンコール遺跡群の修復・保存に昔から力を注いでいる、上智大学の石澤良昭学長によると、現地考古学者と日本やフランスとの文化の摩擦があり、やりかたで随分ともめた時期があったようだ。

  日本政府もアンコールの遺跡群の修復には1999年頃から援助をしており、上智大学だけでなく早稲田大学なども技術指導をしている。
  

◎アンコール・トムは広くて、改修が進んでいない。
  城壁に囲まれたアンコール・トムは、放置されていた期間が長くて、城内には大木が生茂り、中央のバイヨン寺院にしても、修復中です。
  近辺には、石ころがごろごろしていて、これらを1つ1つ合わせ、積み上げていくには、まだまだ時間がかかりそうです。

  まして、それ以外の小さな寺院に至っては、繁茂している木々との闘いがまっています。

◎映画「トゥーム・レーダー」の舞台だった。
  巨大な大木に覆われたタ・プロムは、アンジェリーナ・ジョリーが宝探しをする「トゥーム・レーダー」のロケ地です。
  この寺院の入り口から入って、アンジェリーナ・ジョリーが扮するララは地下の仕掛けのある部屋へ行ったのです。
 

◎三島由紀夫の戯曲「癩(ライ)王のテラス」がある。
  作家の三島由紀夫がカンボジアのアンコール・トムを見物し、ライ王のテラスにあるライ王像をみて戯曲「癩(ライ)王のテラス」を書いています。

  
  
  私も、三島由紀夫の本は、「金閣寺」、「潮騒」、「春の海」などは読んでいますが、彼の戯曲までは興味がありませんので、内容は知りません。
  あしからず。

◎ミネラル・ウォーターが必需品
  暑い! 蒸す! です。
  観光バスに戻れば、冷房が効いていますが、自然界は厳しい。
  そこで、ホテルにミネラル・ウォーターが、旅行会社からのプレゼントとして出されています。
  まあ、1本ではすぐ飲んでしまいますが。水の補給は欠かさないようにしましょう。

◎歴史を良く知っているガイドさん
  現地のガイドさんは、32歳の男性ですが、2年ほど現地の日本人の先生について日本語を習ったとのことですが上手な日本語を話します。
  また、当然ながら、アンコール・トムやアンコール・ワットの歴史も、日本人の立場から話してくれるので分かりやすい。

◎寺院観光での、チケット(パス)の検査は厳しい!
  寺院の入り口は勿論、入る前に観光バスの中に係員が乗り込んで、チケットにカラーで印刷された顔と見比べますよ。

◎昼の休憩は正しい!
 午前の観光の後、12時過ぎにホテルに戻り、約3時間の休憩タイムがあるのですが、この休憩がないとこの暑さでは、身体が持たないでしょう。
 この休憩時間に、朝着ていたシャツを洗濯し、ベランダに干して、夜戻ると乾いていました。

◎ホテルの設備
  テレビもチャンネル数が多くて、NHKも入ります。

◎森本右近太夫
  江戸時代の鎖国になる前には、日本からも多くの人が海外に出ています。
  アジアは勿論のこと、スペイン・ポトガルで紹介した「天正の少年使節団」もいましたね。
 
  森本右近太夫について調べると、上智大学の石澤良昭先生によると水戸市の彰考舘にある平家物語にも登場する「祇園精舎」の平面図は森本右近太夫が書いたのではないかとのことです。


◎天地創造の物語「乳海攪拌」
  「乳海」なんて何のことかと思うでしょう。
  天地創造で、1000年も海をひっかきまわしていたら、海が乳色に濁ってしまったと言う事です。
  ヒンズー教の神話で、亀の上で、蛇を綱引きし、そこに不老不死の霊薬や乳海から象や馬、女神等が生まれたなどが刻まれています。詳細を知りたい方は、ネットで読んでください。

◎シェムリアップやアンコール・ワットの近辺は道路も街並みもきれい。
  カンボジア政府が観光に力を入れているせいか、道路も整備されているし、ホテル群も統一した色と建築様式で綺麗でした。


◎また、また掛け言葉を。
  カンボジアとかけて、
  いい舞台ととく。
  そのこころは、
  「アンコール」があります。

  お粗末でした。

  お休みなさい。

 

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